(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】コア-シェル化合物、これを含む感光性樹脂組成物、感光性樹脂膜、カラーフィルタおよびCMOSイメージセンサ
(51)【国際特許分類】
C09B 57/00 20060101AFI20240123BHJP
C07D 209/14 20060101ALI20240123BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
C09B57/00 X CSP
C07D209/14
G02B5/20 101
(21)【出願番号】P 2022549813
(86)(22)【出願日】2021-02-08
(86)【国際出願番号】 KR2021001615
(87)【国際公開番号】W WO2021172787
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】10-2020-0022394
(32)【優先日】2020-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リ,ヨン
(72)【発明者】
【氏名】コ,チェヒュク
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ジユン
(72)【発明者】
【氏名】シン,インスプ
(72)【発明者】
【氏名】キム,キュヨン
(72)【発明者】
【氏名】リュ,ジヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ギュソク
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-530765(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0382587(US,A1)
【文献】国際公開第2004/005981(WO,A1)
【文献】特開2008-298820(JP,A)
【文献】特開2018-172635(JP,A)
【文献】特開2018-172624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 57/00
C07D 209/14
G02B 5/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表されるコアと、
前記コアを囲み、下記の化学式2で表されるシェルとからなるコア-シェル化合物:
【化1】
前記化学式1および化学式2において、
R
1~R
6はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基、置換もしくは非置換のC3~C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC1~C20アルコキシ基、または置換もしくは非置換のC6~C20アリール基であり、
R
2およびR
4はそれぞれ独立して存在するか、互いに融合して融合環を形成してもよく、
R
3およびR
5はそれぞれ独立して存在するか、互いに融合して融合環を形成してもよく、
L
aおよびL
bはそれぞれ独立して、単一結合、または置換もしくは非置換のC1~C10アルキレン基である。
【請求項2】
前記化学式1で表されるコアは、下記の化学式1-1で表される、請求項1に記載の化合物:
【化2】
前記化学式1-1において、
R
1~R
6はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基、置換もしくは非置換のC3~C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC1~C20アルコキシ基、または置換もしくは非置換のC6~C20アリール基であり、
R
2およびR
4はそれぞれ独立して存在するか、互いに融合して融合環を形成してもよく、
R
3およびR
5はそれぞれ独立して存在するか、互いに融合して融合環を形成してもよい。
【請求項3】
前記化学式1-1で表されるコアは、下記の化学式1-1-1または化学式1-1-2で表される、請求項2に記載の化合物:
【化3】
前記化学式1-1-1および化学式1-1-2において、
R
1~R
3およびR
6はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基、置換もしくは非置換のC3~C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC1~C20アルコキシ基、または置換もしくは非置換のC6~C20アリール基である。
【請求項4】
前記R
1は置換もしくは非置換のC1~C20アルコキシ基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記R
2は置換もしくは非置換のC3~C20シクロアルキル基である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記R
2はアルコキシ基で置換されたC3~C20シクロアルキル基である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記R
3は置換もしくは非置換のC6~C20アリール基である、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
前記R
3は1つ以上のアルキル基で置換されたC6~C20アリール基である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
前記R
6は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、または置換もしくは非置換のC1~C20アルコキシ基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
前記化学式1で表されるコアは、610nm~640nmで最大吸光波長を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
前記化学式2で表されるシェルは、下記の化学式2-1で表される、請求項1に記載の化合物。
【化4】
【請求項12】
前記コア-シェル化合物は、下記の化学式A~化学式Iのいずれか1つで表される、請求項1に記載の化合物。
【化5】
【化6】
【化7】
【請求項13】
前記化合物は、緑色染料である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物を含む感光性樹脂組成物。
【請求項15】
前記感光性樹脂組成物は、540nmで90%以上の透過度を有し、600nm~640nmで10%以下の透過度を有する、請求項14に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項16】
前記感光性樹脂組成物は、450nmで5%以下の透過度を有する、請求項15に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項17】
前記感光性樹脂組成物は、CMOSイメージセンサ用である、請求項15に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項18】
請求項14に記載の感光性樹脂組成物を用いて製造される感光性樹脂膜。
【請求項19】
請求項18に記載の感光性樹脂膜を含むカラーフィルタ。
【請求項20】
請求項19に記載のカラーフィルタを含むCMOSイメージセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、コア-シェル化合物、これを含む感光性樹脂組成物、前記感光性樹脂組成物を用いて製造される感光性樹脂膜、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタおよび前記カラーフィルタを含むCMOSイメージセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、コンピュータ産業と通信産業の発達に伴い、デジタルカメラ、ビデオカメラ、PCS(Personal Communication System)、ゲーム機器、警備用カメラ、医療用マイクロカメラなどの多様な分野で性能が向上したイメージセンサの需要が増大している。イメージセンサとしては、電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device)およびCMOSイメージセンサがあるが、ここで、CMOSイメージセンサ(以下、CIS)は、駆動方式が簡便であり、信号処理回路を単一チップに集積可能で製品の小型化が可能である。また、電力消耗が非常に低くてバッテリ容量が制限的な製品への適用が容易であるというメリットがある。CISは技術開発と共に高解像度が実現可能であることによって使用が急激に増加している。
【0003】
CIS関連技術動向で、高画質および機器の小型化実現のためのpixel数の増加およびsizeが減少しており、これによって高透過型CIS用感光性樹脂組成物の開発が進められている。緑色、赤色、青色カラーフィルタを有するCIS用感光性樹脂組成物中、一般に、緑色画素は特定の波長または特定の波長範囲で満足しなければならない透過度がある。
【0004】
しかし、現在まで開発されたCIS用緑色感光性樹脂組成物の場合、540nmでの透過度および600nm~640nmでの透過度を同時に満足させていないので、混色の問題が改善されておらず、何よりも高透過型CISの提供が不可能であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一実施形態は、CIS用カラーフィルタ内の緑色画素を構成するコア-シェル化合物を提供する。
【0006】
他の実施形態は、前記化合物を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0007】
さらに他の実施形態は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜を提供する。
【0008】
さらに他の実施形態は、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタを提供する。
【0009】
さらに他の実施形態は、前記カラーフィルタを含むCISを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、下記の化学式1で表されるコアと、前記コアを囲み、下記の化学式2で表されるシェルとからなるコア-シェル化合物を提供する。
【0011】
【0012】
前記化学式1および化学式2において、
R1~R6はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基、置換もしくは非置換のC3~C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC1~C20アルコキシ基、または置換もしくは非置換のC6~C20アリール基であり、
R2およびR4はそれぞれ独立して存在するか、互いに融合(結合)して融合環を形成してもよく、
R3およびR5はそれぞれ独立して存在するか、互いに融合して融合環を形成してもよく、
LaおよびLbはそれぞれ独立して、単一結合、または置換もしくは非置換のC1~C10アルキレン基である。
【0013】
前記化学式1で表されるコアは、下記の化学式1-1で表される。
【0014】
【0015】
前記化学式1-1において、
R1~R6はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基、置換もしくは非置換のC3~C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC1~C20アルコキシ基、または置換もしくは非置換のC6~C20アリール基であり、
R2およびR4はそれぞれ独立して存在するか、互いに融合して融合環を形成してもよく、
R3およびR5はそれぞれ独立して存在するか、互いに融合して融合環を形成してもよい。
【0016】
前記化学式1-1で表されるコアは、下記の化学式1-1-1または化学式1-1-2で表される。
【0017】
【0018】
前記化学式1-1-1および化学式1-1-2において、
R1~R3およびR6はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基、置換もしくは非置換のC3~C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC1~C20アルコキシ基、または置換もしくは非置換のC6~C20アリール基である。
【0019】
前記R1は置換もしくは非置換のC1~C20アルコキシ基であってもよい。
【0020】
前記R2は置換もしくは非置換のC3~C20シクロアルキル基、例えば、アルコキシ基で置換されたC3~C20シクロアルキル基であってもよい。
【0021】
前記R3は置換もしくは非置換のC6~C20アリール基、例えば、1つ以上のアルキル基で置換されたC6~C20アリール基であってもよい。
【0022】
前記R6は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、または置換もしくは非置換のC1~C20アルコキシ基であってもよい。
【0023】
前記化学式1で表されるコアは、610nm~640nmで最大吸光波長を有することができる。
【0024】
前記化学式2で表されるシェルは、下記の化学式2-1で表される。
【0025】
【0026】
前記コア-シェル化合物は、下記の化学式A~化学式Iのいずれか1つで表される。
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
前記コア-シェル化合物は、緑色染料であってもよい。
【0031】
他の実施形態は、前記コア-シェル化合物を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0032】
前記感光性樹脂組成物は、540nmで90%以上の透過度を有し、600nm~640nmで10%以下の透過度を有することができる。
【0033】
前記感光性樹脂組成物は、450nmで5%以下の透過度を有することができる。
【0034】
前記感光性樹脂組成物は、CMOSイメージセンサ用であってもよい。
【0035】
さらに他の実施形態は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造される感光性樹脂膜を提供する。
【0036】
さらに他の実施形態は、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタを提供する。
【0037】
さらに他の実施形態は、前記カラーフィルタを含むCMOSイメージセンサを提供する。
【0038】
その他、本発明の側面の具体的な事項は以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0039】
一実施形態によるコア-シェル化合物を含む感光性樹脂組成物は、緑色画素を形成して、高透過度を有するCMOSイメージセンサ用カラーフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】実施例1および比較例2に使用された緑色染料(合成例1および比較合成例1)の波長に応じた吸光度グラフである。
【
図2】実施例1、比較例1および比較例2による感光性樹脂組成物の波長に応じた透過度グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例として提示されるものであり、これによって本発明が制限されず、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇によってのみ定義される。
【0042】
本明細書において、特別な言及がない限り、「置換」乃至「置換された」とは、本発明の官能基中の1つ以上の水素原子がハロゲン原子(F、Br、ClまたはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基(NH2、NH(R200)またはN(R201)(R202)であり、ここで、R200、R201およびR202は同一または互いに異なり、それぞれ独立してC1~C10アルキル基である)、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環族有機基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロ環基からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されていることを意味する。
【0043】
本明細書において、特別な言及がない限り、「アルキル基」とは、C1~C20アルキル基を意味し、具体的にはC1~C15アルキル基を意味し、「シクロアルキル基」とは、C3~C20シクロアルキル基を意味し、具体的にはC3~C18シクロアルキル基を意味し、「アルコキシ基」とは、C1~C20アルコキシ基を意味し、具体的にはC1~C18アルコキシ基を意味し、「アリール基」とは、C6~C20アリール基を意味し、具体的にはC6~C18アリール基を意味し、「アルケニル基」とは、C2~C20アルケニル基を意味し、具体的にはC2~C18アルケニル基を意味し、「アルキレン基」とは、C1~C20アルキレン基を意味し、具体的にはC1~C18アルキレン基を意味し、「アリーレン基」とは、C6~C20アリーレン基を意味し、具体的にはC6~C16アリーレン基を意味する。
【0044】
本明細書において、特別な言及がない限り、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」と「メタクリレート」の両方とも可能であることを意味し、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の両方とも可能であることを意味する。
【0045】
本明細書において、別途の定義がない限り、「組み合わせ」とは、混合または共重合を意味する。また、「共重合」とは、ブロック共重合乃至ランダム共重合を意味し、「共重合体」とは、ブロック共重合体乃至ランダム共重合体を意味する。
【0046】
本明細書内の化学式において、別途の定義がない限り、化学結合が描かれるべき位置に化学結合が描かれていない場合は、前記位置に水素原子が結合していることを意味する。
【0047】
また、本明細書において、別途の定義がない限り、「*」は同一または異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0048】
一実施形態は、下記の化学式1で表されるコアと、前記コアを囲み、下記の化学式2で表されるシェルとからなるコア-シェル化合物を提供する。
【0049】
【0050】
前記化学式1および化学式2において、
R1~R6はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基、置換もしくは非置換のC3~C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC1~C20アルコキシ基、または置換もしくは非置換のC6~C20アリール基であり、
R2およびR4はそれぞれ独立して存在するか、互いに融合して融合環を形成してもよく、
R3およびR5はそれぞれ独立して存在するか、互いに融合して融合環を形成してもよく、
LaおよびLbはそれぞれ独立して、単一結合、または置換もしくは非置換のC1~C10アルキレン基である。
【0051】
緑色画素の透過スペクトルにおいて600nm~640nmの範囲内の任意の波長で光透過率10%以下を満足する場合、混色(crosstalk)の改善が可能で高透過型CIS用感光性樹脂組成物を実現することができ、これによって高画質画像を実現することができる。
【0052】
そこで、短波長領域で他の吸光を有さず、吸光基準の半値幅を最小化して、所望の波長領域を選択的に吸収できるスクアリリウム系染料を用いて高透過型CIS用感光性樹脂組成物を実現しようとする努力が続いているが、依然として満足できる水準の組成物の実現は行われていない。そこで、本発明の発明者らは、このような特定構造の非対称型スクアリリウム系染料を用いてCIS用感光性樹脂組成物を製造して透過スペクトルを測定したところ、高透過型緑色感光性樹脂組成物の透過率条件(500nm~600nmの範囲内の任意の波長、例えば、540nmでの波長で光透過率が90%以上の条件と、600nm~640nmの波長範囲内の任意の波長で光透過率が10%以下の条件)を満足したことを確認した。
【0053】
さらに、このような特定構造の非対称型スクアリリウム系化合物は、610nm~640nmで最大吸光波長を有する場合、長波長領域(600nm~640nm)での透過度がさらに改善(10%以下)されることを確認できた。
【0054】
例えば、前記化学式1で表されるコアは、下記の化学式1-1で表される。
【0055】
【0056】
前記化学式1-1において、
R1~R6はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基、置換もしくは非置換のC3~C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC1~C20アルコキシ基、または置換もしくは非置換のC6~C20アリール基であり、
R2およびR4はそれぞれ独立して存在するか、互いに融合して融合環を形成してもよく、
R3およびR5はそれぞれ独立して存在するか、互いに融合して融合環を形成してもよい。
【0057】
例えば、前記化学式1-1で表されるコアは、下記の化学式1-1-1または化学式1-1-2で表される。
【0058】
【0059】
前記化学式1-1-1および化学式1-1-2において、
R1~R3およびR6はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基、置換もしくは非置換のC3~C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC1~C20アルコキシ基、または置換もしくは非置換のC6~C20アリール基である。
【0060】
例えば、前記R1は置換もしくは非置換のC1~C20アルコキシ基であってもよい。
【0061】
例えば、前記R2は置換もしくは非置換のC3~C20シクロアルキル基、例えば、アルコキシ基で置換されたC3~C20シクロアルキル基であってもよい。
【0062】
例えば、前記R3は置換もしくは非置換のC6~C20アリール基、例えば、1つ以上のアルキル基で置換されたC6~C20アリール基であってもよい。
【0063】
例えば、前記R6は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、または置換もしくは非置換のC1~C20アルコキシ基であってもよい。
【0064】
例えば、前記化学式1で表されるコアは、610nm~640nmで最大吸光波長を有することができる。有機溶媒に対する溶解度が10%以上と優れた溶解度を有する染料化合物であっても、610nm~640nmで最大吸光波長を有することができない場合、高透過型CIS用緑色感光性樹脂組成物への使用に不適合でありうる。
【0065】
前記化学式2で表されるシェルは、下記の化学式2-1で表される。
【0066】
【0067】
例えば、前記コア-シェル化合物は、下記の化学式A~化学式Iのいずれか1つで表されるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
例えば、前記コア-シェル化合物は、緑色染料であってもよい。
【0072】
他の実施形態によれば、前記一実施形態によるコア-シェル化合物を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0073】
例えば、前記感光性樹脂組成物は、540nmで90%以上の透過度を有することができ、600nm~640nmで10%以下の透過度を有することができ、450nmで5%以下の透過度を有することができて、高透過型CIS用緑色カラーフィルタの実現に適合することができる。つまり、前記感光性樹脂組成物は、高透過型CMOSイメージセンサ用であってもよい。
【0074】
前記感光性樹脂組成物は、前記コア-シェル化合物、バインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤および溶媒をさらに含むことができる。
【0075】
一実施形態によるコア-シェル化合物は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して1重量%~10重量%、例えば3重量%~7重量%含まれる。前記範囲で一実施形態によるコア-シェル化合物が含まれる場合、色再現率および明暗比に優れている。
【0076】
前記感光性樹脂組成物は、顔料、例えば、黄色顔料、緑色顔料、またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0077】
前記黄色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内においてC.I.顔料黄色(ピグメントイエロー)138、C.I.顔料黄色139、C.I.顔料黄色150などが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0078】
前記緑色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内においてC.I.顔料緑色(ピグメントグリーン)36、C.I.顔料緑色58、C.I.顔料緑色59などが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0079】
前記顔料は、顔料分散液の形態で前記感光性樹脂組成物に含まれる。
【0080】
前記顔料分散液は、固形分の顔料、溶剤および前記溶剤中に前記顔料を均一に分散させるための分散剤を含むことができる。
【0081】
前記固形分の顔料は、顔料分散液の総量に対して1重量%~20重量%、例えば8重量%~20重量%、例えば8重量%~15重量%、例えば10重量%~20重量%、例えば10重量%~15重量%含まれる。
【0082】
前記分散剤としては、非イオン性分散剤、陰イオン性分散剤、陽イオン性分散剤などを使用することができる。前記分散剤の具体例としては、ポリアルキレングリコールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどが挙げられ、これらを単独でまたは2以上混合して使用することができる。
【0083】
前記分散剤の市販の製品を例に挙げると、BYK社のDISPERBYK-101、DISPERBYK-130、DISPERBYK-140、DISPERBYK-160、DISPERBYK-161、DISPERBYK-162、DISPERBYK-163、DISPERBYK-164、DISPERBYK-165、DISPERBYK-166、DISPERBYK-170、DISPERBYK-171、DISPERBYK-182、DISPERBYK-2000、DISPERBYK-2001など;EFKAケミカル社のEFKA-47、EFKA-47EA、EFKA-48、EFKA-49、EFKA-100、EFKA-400、EFKA-450など;Zeneka社のSolsperse5000、Solsperse12000、Solsperse13240、Solsperse13940、Solsperse17000、Solsperse20000、Solsperse24000GR、Solsperse27000、Solsperse28000など;またはAjinomoto社のPB711、PB821などがある。
【0084】
前記分散剤は、顔料分散液の総量に対して1重量%~20重量%含まれる。分散剤が前記範囲内に含まれる場合、適切な粘度を維持可能で感光性樹脂組成物の分散性に優れ、これによって、製品への適用時、光学的、物理的および化学的品質を維持できる。
【0085】
前記顔料分散液を形成する溶剤としては、エチレングリコールアセテート、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ポリエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどを使用することができる。
【0086】
前記顔料分散液は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して10重量%~20重量%、例えば12重量%~18重量%含まれる。前記顔料分散液が前記範囲内に含まれる場合、工程マージンの確保に有利であり、色再現率および明暗比に優れている。
【0087】
前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂であってもよい。
【0088】
前記アクリル系バインダー樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体で、1つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂である。
【0089】
前記第1エチレン性不飽和単量体は、1つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0090】
前記第1エチレン性不飽和単量体は、前記アクリル系バインダー樹脂の総量に対して5重量%~50重量%、例えば10重量%~40重量%含まれる。
【0091】
前記第2エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられ、これらを単独でまたは2以上混合して使用することができる。
【0092】
前記アクリル系バインダー樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらを単独または2種以上を配合して使用してもよい。
【0093】
前記バインダー樹脂の重量平均分子量は、3,000g/mol~150,000g/mol、例えば5,000g/mol~50,000g/mol、例えば20,000g/mol~30,000g/molであってもよい。前記バインダー樹脂の重量平均分子量が前記範囲内の場合、前記感光性樹脂組成物の物理的および化学的物性に優れ、粘度が適切であり、カラーフィルタの製造時、基板との密着性に優れている。
【0094】
前記バインダー樹脂の酸価は、15mgKOH/g~60mgKOH/g、例えば20mgKOH/g~50mgKOH/gであってもよい。前記バインダー樹脂の酸価が前記範囲内の場合、ピクセルパターンの解像度に優れている。
【0095】
前記バインダー樹脂は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して1重量%~30重量%、例えば1重量%~20重量%含まれる。前記バインダー樹脂が前記範囲内に含まれる場合、カラーフィルタの製造時、現像性に優れ、架橋性が改善されて、優れた表面平滑度を得ることができる。
【0096】
前記光重合性化合物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能または多官能エステルが使用できる。
【0097】
前記光重合性化合物は、前記エチレン性不飽和二重結合を有することによって、パターン形成工程で露光時に十分な重合を起こすことによって、耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れたパターンを形成することができる。
【0098】
前記光重合性化合物の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0099】
前記光重合性化合物の市販の製品を例に挙げると、次の通りである。前記(メタ)アクリル酸の一官能エステルの例としては、東亜合成化学工業(株)社のアロニックスM-101(登録商標)、同M-111(登録商標)、同M-114(登録商標)など;日本化薬(株)社のKAYARAD TC-110S(登録商標)、同TC-120S(登録商標)など;大阪有機化学工業(株)社のV-158(登録商標)、V-2311(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の二官能エステルの例としては、東亜合成化学工業(株)社のアロニックスM-210(登録商標)、同M-240(登録商標)、同M-6200(登録商標)など;日本化薬(株)社のKAYARAD HDDA(登録商標)、同HX-220(登録商標)、同R-604(登録商標)など;大阪有機化学工業(株)社のV-260(登録商標)、V-312(登録商標)、V-335 HP(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の三官能エステルの例としては、東亜合成化学工業(株)社のアロニックスM-309(登録商標)、同M-400(登録商標)、同M-405(登録商標)、同M-450(登録商標)、同M-710(登録商標)、同M-8030(登録商標)、同M-8060(登録商標)など;日本化薬(株)社のKAYARAD TMPTA(登録商標)、同DPCA-20(登録商標)、同-30(登録商標)、同-60(登録商標)、同-120(登録商標)など;大阪有機化学工業(株)社のV-295(登録商標)、同-300(登録商標)、同-360(登録商標)、同-GPT(登録商標)、同-3PA(登録商標)、同-400(登録商標)などが挙げられる。前記製品を単独使用または2種以上共に使用することができる。
【0100】
前記光重合性化合物は、より優れた現像性を付与するために、酸無水物で処理して使用してもよい。
【0101】
前記光重合性化合物は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して1重量%~15重量%、例えば5重量%~10重量%含まれる。光重合性化合物が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程において、露光時に硬化が十分に起こって信頼性に優れ、アルカリ現像液への現像性に優れている。
【0102】
前記光重合開始剤は、感光性樹脂組成物に一般に使用される開始剤として、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0103】
前記アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0104】
前記ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0105】
前記チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0106】
前記ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0107】
前記トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0108】
前記オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。前記O-アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテートおよび1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどが挙げられる。
【0109】
前記光重合開始剤は、前記化合物の他にも、カルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを使用することができる。
【0110】
前記光重合開始剤は、光を吸収して励起した状態になった後、そのエネルギーを伝達することによって、化学反応を起こす光増感剤と共に使用されてもよい。
【0111】
前記光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0112】
前記光重合開始剤は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して0.01重量%~10重量%、例えば0.1重量%~5重量%含まれる。光重合開始剤が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程において、露光時に硬化が十分に起こって優れた信頼性を得ることができ、パターンの耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れ、解像度および密着性にも優れており、未反応開始剤による透過率の低下を防止することができる。
【0113】
前記溶媒は、一実施形態によるコア-シェル化合物、顔料、バインダー樹脂、光重合性化合物および光重合開始剤との相溶性を有しかつ、反応しない物質が使用できる。
【0114】
前記溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類;オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類;3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類;ピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類などがあり、また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒が挙げられる。
【0115】
これらのうち、好適には、相溶性および反応性を考慮して、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;および/またはシクロヘキサノンなどのケトン類が使用できる。
【0116】
前記溶媒は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して残部量、例えば30重量%~80重量%含まれる。溶媒が前記範囲内に含まれる場合、前記感光性樹脂組成物が適切な粘度を有することによって、カラーフィルタの製造時、工程性に優れている。
【0117】
他の実施形態による感光性樹脂組成物は、基板との密着性などを改善するために、エポキシ化合物をさらに含むことができる。
【0118】
前記エポキシ化合物の例としては、フェノールノボラックエポキシ化合物、テトラメチルビフェニルエポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0119】
前記エポキシ化合物は、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部~20重量部、例えば0.1重量部~10重量部含まれる。エポキシ化合物が前記範囲内に含まれる場合、密着性、保存性などに優れている。
【0120】
また、前記感光性樹脂組成物は、基板との接着性を向上させるために、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシランカップリング剤をさらに含むことができる。
【0121】
前記シランカップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γイソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、βエポキシシクロヘキシル、エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0122】
前記シランカップリング剤は、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部~10重量部含まれる。シランカップリング剤が前記範囲内に含まれる場合、密着性、保存性などに優れている。
【0123】
また、前記感光性樹脂組成物は、必要に応じて、コーティング性の向上および欠点生成防止効果のために、界面活性剤をさらに含むことができる。
【0124】
前記界面活性剤の例としては、BM Chemie社のBM-1000(登録商標)、BM-1100(登録商標)など;大日本インキ化学工業(株)社のメガファックF142D(登録商標)、同F172(登録商標)、同F173(登録商標)、同F183(登録商標)など;住友スリーエム(株)社のフロラードFC-135(登録商標)、同FC-170C(登録商標)、同FC-430(登録商標)、同FC-431(登録商標)など;旭硝子(株)社のサーフロンS-112(登録商標)、同S-113(登録商標)、同S-131(登録商標)、同S-141(登録商標)、同S-145(登録商標)など;東レシリコーン(株)社のSH-28PA(登録商標)、同-190(登録商標)、同-193(登録商標)、SZ-6032(登録商標)、SF-8428(登録商標)などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤を使用することができる。
【0125】
前記界面活性剤は、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.001重量部~5重量部使用できる。界面活性剤が前記範囲内に含まれる場合、コーティング均一性が確保され、シミが発生せず、ガラス基板に対する湿潤性(wetting)に優れている。
【0126】
また、前記感光性樹脂組成物は、物性を阻害しない範囲内で酸化防止剤、安定剤などのその他の添加剤が一定量添加されてもよい。
【0127】
さらに他の実施形態によれば、前記一実施形態による感光性樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルタを提供する。
【0128】
前記カラーフィルタ内のパターン形成工程は、次の通りである。
【0129】
前記感光性樹脂組成物を支持基板上にスピンコーティング、スリットコーティング、インクジェットプリンティングなどで塗布する工程;前記塗布された感光性樹脂組成物を乾燥して感光性樹脂組成物膜を形成する工程;前記感光性樹脂組成物膜を露光する工程;前記露光した感光性樹脂組成物膜をアルカリ水溶液で現像して感光性樹脂膜を製造する工程;および前記感光性樹脂膜を加熱処理する工程を含む。前記工程上の条件などについて当該分野にて広く知られた事項であるので、本明細書において詳しい説明は省略する。
【0130】
さらに他の実施形態は、前記カラーフィルタを含むCMOSイメージセンサを提供する。
【実施例】
【0131】
以下、実施例を挙げて、本発明についてさらに詳細に説明するが、下記の実施例は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【0132】
(化合物の合成)
合成例1:化学式Aで表される化合物の合成
3-{4-[(2,4-Dimethyl-phenyl)-(2-methoxy-cyclohexyl)-amino]-phenyl}-4-hydroxy-cyclobut-3-ene-1,2-dione(60mmol)、1-[4-(2-Ethyl-hexyloxy)-phenyl]-1H-indole(60mmol)をトルエン(200mL)およびブタノール(200mL)に入れて、還流して生成される水をDean-stark蒸留装置で除去する。12時間撹拌後、緑色反応物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製して非対称スクアリリウム系化合物を得る。この化合物(5mmol)を600mLのクロロホルム溶媒に溶かした後、Isophthaloyl chloride(20mmol)、p-xylylenediamine(20mmol)を60mLのクロロホルムに溶解して、常温で5時間同時滴下させる。12時間後に減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで分離して、下記の化学式Aで表される化合物を得る。
【0133】
【0134】
合成例2:化学式Bで表される化合物の合成
3-{4-[(2,4-Dimethyl-phenyl)-(2-methoxy-cyclohexyl)-amino]-phenyl}-4-hydroxy-cyclobut-3-ene-1,2-dione(60mmol)、1-[4-(2-Ethyl-hexyloxy)-phenyl]-6-methoxy-1H-indole(60mmol)をトルエン(200mL)およびブタノール(200mL)に入れて、還流して生成される水をDean-stark蒸留装置で除去する。12時間撹拌後、緑色反応物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製して非対称スクアリリウム系化合物を得る。この化合物(5mmol)を600mLのクロロホルム溶媒に溶かした後、Isophthaloyl chloride(20mmol)、p-xylylenediamine(20mmol)を60mLのクロロホルムに溶解して、常温で5時間同時滴下させる。12時間後に減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで分離して、下記の化学式Bで表される化合物を得る。
【0135】
【0136】
合成例3:化学式Cで表される化合物の合成
3-{4-[(2,4-Dimethyl-phenyl)-(2-methoxy-cyclohexyl)-amino]-phenyl}-4-hydroxy-cyclobut-3-ene-1,2-dione(60mmol)、1-[4-(2-Ethyl-hexyloxy)-phenyl]-1H-indole-6-carbonitrile(60mmol)をトルエン(200mL)およびブタノール(200mL)に入れて、還流して生成される水をDean-stark蒸留装置で除去する。12時間撹拌後、緑色反応物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製して非対称スクアリリウム系化合物を得る。この化合物(5mmol)を600mLのクロロホルム溶媒に溶かした後、Isophthaloyl chloride(20mmol)、p-xylylenediamine(20mmol)を60mLのクロロホルムに溶解して、常温で5時間同時滴下させる。12時間後に減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで分離して、下記の化学式Cで表される化合物を得る。
【0137】
【0138】
合成例4:化学式Dで表される化合物の合成
3-{4-[(2,4-Dimethyl-phenyl)-(2-methoxy-cyclohexyl)-amino]-phenyl}-4-hydroxy-cyclobut-3-ene-1,2-dione(60mmol)、1-[4-(2-Ethyl-hexyloxy)-phenyl]-6-fluoro-1H-indole(60mmol)をトルエン(200mL)およびブタノール(200mL)に入れて、還流して生成される水をDean-stark蒸留装置で除去する。12時間撹拌後、緑色反応物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製して非対称スクアリリウム系化合物を得る。この化合物(5mmol)を600mLのクロロホルム溶媒に溶かした後、Isophthaloyl chloride(20mmol)、p-xylylenediamine(20mmol)を60mLのクロロホルムに溶解して、常温で5時間同時滴下させる。12時間後に減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで分離して、下記の化学式Dで表される化合物を得る。
【0139】
【0140】
合成例5:化学式Eで表される化合物の合成
3-[4-((2,4-Dimethyl-phenyl)-{2-[2-(2-methoxy-ethoxy)-ethoxy]-cyclohexyl}-amino)-phenyl]-4-hydroxy-cyclobut-3-ene-1,2-dione(60mmol)、6-Fluoro-1-(4-methoxy-phenyl)-1H-indole(60mmol)をトルエン(200mL)およびブタノール(200mL)に入れて、還流して生成される水をDean-stark蒸留装置で除去する。12時間撹拌後、緑色反応物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製して非対称スクアリリウム系化合物を得る。この化合物(5mmol)を600mLのクロロホルム溶媒に溶かした後、Isophthaloyl chloride(20mmol)、p-xylylenediamine(20mmol)を60mLのクロロホルムに溶解して、常温で5時間同時滴下させる。12時間後に減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで分離して、下記の化学式Eで表される化合物を得る。
【0141】
【0142】
合成例6:化学式Fで表される化合物の合成
3-Hydroxy-4-(2,3,6,7-tetrahydro-1H,5H-pyrido[3,2,1-ij]quinolin-9-yl)-cyclobut-3-ene-1,2-dione(60mmol)、6-Fluoro-1-(4-methoxy-phenyl)-1H-indole(60mmol)をトルエン(200mL)およびブタノール(200mL)に入れて、還流して生成される水をDean-stark蒸留装置で除去する。12時間撹拌後、緑色反応物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製して非対称スクアリリウム系化合物を得る。この化合物(5mmol)を600mLのクロロホルム溶媒に溶かした後、Isophthaloyl chloride(20mmol)、p-xylylenediamine(20mmol)を60mLのクロロホルムに溶解して、常温で5時間同時滴下させる。12時間後に減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで分離して、下記の化学式Fで表される化合物を得る。
【0143】
【0144】
合成例7:化学式Gで表される化合物の合成
3-[4-((2,4-Dimethyl-phenyl)-{2-[2-(2-methoxy-ethoxy)-ethoxy]-cyclohexyl}-amino)-phenyl]-4-hydroxy-cyclobut-3-ene-1,2-dione(60mmol)、4-Indol-1-yl-benzonitrile(60mmol)をトルエン(200mL)およびブタノール(200mL)に入れて、還流して生成される水をDean-stark蒸留装置で除去する。12時間撹拌後、緑色反応物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製して非対称スクアリリウム系化合物を得る。この化合物(5mmol)を600mLのクロロホルム溶媒に溶かした後、Isophthaloyl chloride(20mmol)、p-xylylenediamine(20mmol)を60mLのクロロホルムに溶解して、常温で5時間同時滴下させる。12時間後に減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで分離して、下記の化学式Gで表される化合物を得る。
【0145】
【0146】
合成例8:化学式Hで表される化合物の合成
3-[4-((2,4-Dimethyl-phenyl)-{2-[2-(2-methoxy-ethoxy)-ethoxy]-cyclohexyl}-amino)-phenyl]-4-hydroxy-cyclobut-3-ene-1,2-dione(60mmol)、1-(4-Fluoro-phenyl)-1H-indole(60mmol)をトルエン(200mL)およびブタノール(200mL)に入れて、還流して生成される水をDean-stark蒸留装置で除去する。12時間撹拌後、緑色反応物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製して非対称スクアリリウム系化合物を得る。この化合物(5mmol)を600mLのクロロホルム溶媒に溶かした後、Isophthaloyl chloride(20mmol)、p-xylylenediamine(20mmol)を60mLのクロロホルムに溶解して、常温で5時間同時滴下させる。12時間後に減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで分離して、下記の化学式Hで表される化合物を得る。
【0147】
【0148】
合成例9:化学式Iで表される化合物の合成
3-[4-((2,4-Dimethyl-phenyl)-{2-[2-(2-methoxy-ethoxy)-ethoxy]-cyclohexyl}-amino)-phenyl]-4-hydroxy-cyclobut-3-ene-1,2-dione(60mmol)、1-[4-(2-Ethyl-hexyloxy)-phenyl]-1H-indole(60mmol)をトルエン(200mL)およびブタノール(200mL)に入れて、還流して生成される水をDean-stark蒸留装置で除去する。12時間撹拌後、緑色反応物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製して非対称スクアリリウム系化合物を得る。この化合物(5mmol)を600mLのクロロホルム溶媒に溶かした後、Isophthaloyl chloride(20mmol)、p-xylylenediamine(20mmol)を60mLのクロロホルムに溶解して、常温で5時間同時滴下させる。12時間後に減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで分離して、下記の化学式Iで表される化合物を得る。
【0149】
【0150】
比較合成例1:化学式C-1で表される化合物の合成
Propionic acid2-{(2-cyano-ethyl)-[4-(2-hydroxy-3,4-dioxo-cyclobut-1-enyl)-phenyl]-amino}-ethyl ester(60mmol)、1-(2-Ethyl-hexyl)-1H-indole(60mmol)をトルエン(200mL)およびブタノール(200mL)に入れて、還流して生成される水をDean-stark蒸留装置で除去する。12時間撹拌後、緑色反応物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製して非対称スクアリリウム系化合物を得る。この化合物(5mmol)を600mLのクロロホルム溶媒に溶かした後、Isophthaloyl chloride(20mmol)、p-xylylenediamine(20mmol)を60mLのクロロホルムに溶解して、常温で5時間同時滴下させる。12時間後に減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで分離して、下記の化学式C-1で表される化合物を得る。
【0151】
【0152】
評価1:最大吸光波長の測定
前記合成例1~合成例9および比較合成例1による化合物を、希釈溶剤(ANONE)を用いて0.001wt%の濃度で製造して、前記合成例1~合成例9および比較合成例1によるコア-シェル化合物それぞれに対する吸収スペクトルを得ており、その結果を下記表1および
図1に示した。(UV-1800、SHIMADZU)
【0153】
【0154】
評価2:溶解度の測定
前記合成例1~合成例9および比較合成例1による化合物0.5gに、希釈溶剤(PGMEA)をそれぞれ添加し、当該溶液をミックスローター(iuchi株式会社、MIXROTAR VMR-5)で25℃rpmで1時間撹拌した後、それぞれの化合物の溶解度の確認結果を下記表2に示した。
【0155】
溶解度評価基準
希釈溶剤の総量に対して化合物(溶質)が10重量%以上溶解:○
希釈溶剤の総量に対して化合物(溶質)が10重量%未満溶解:X
【0156】
【0157】
前記表2から、合成例1~合成例9の化合物および比較合成例1の化合物とも溶解度に優れていることを確認できる。
【0158】
(感光性樹脂組成物の合成)
実施例1
下記言及された構成成分を下記表3に示した組成で混合して、実施例1による感光性樹脂組成物を製造した。
【0159】
具体的には、溶媒に光重合開始剤を溶かした後、2時間常温で撹拌した後、これにバインダー樹脂および光重合性化合物を添加して、2時間常温で撹拌した。次に、得られた前記反応物に着色剤として前記合成例1で製造された化合物(化学式Aで表される化合物)および顔料(顔料分散液形態)を入れて、1時間常温で撹拌した。次に、前記生成物を3回ろ過して不純物を除去することによって、感光性樹脂組成物を製造した。
【0160】
【0161】
実施例2
合成例1の化合物(化学式Aで表される化合物)の代わりに、合成例2の化合物(化学式Bで表される化合物)を用いたことを除けば実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物を製造した。
【0162】
実施例3
合成例1の化合物(化学式Aで表される化合物)の代わりに、合成例3の化合物(化学式Cで表される化合物)を用いたことを除けば実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物を製造した。
【0163】
実施例4
合成例1の化合物(化学式Aで表される化合物)の代わりに、合成例4の化合物(化学式Dで表される化合物)を用いたことを除けば実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物を製造した。
【0164】
実施例5
合成例1の化合物(化学式Aで表される化合物)の代わりに、合成例5の化合物(化学式Eで表される化合物)を用いたことを除けば実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物を製造した。
【0165】
実施例6
合成例1の化合物(化学式Aで表される化合物)の代わりに、合成例6の化合物(化学式Fで表される化合物)を用いたことを除けば実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物を製造した。
【0166】
実施例7
合成例1の化合物(化学式Aで表される化合物)の代わりに、合成例7の化合物(化学式Gで表される化合物)を用いたことを除けば実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物を製造した。
【0167】
実施例8
合成例1の化合物(化学式Aで表される化合物)の代わりに、合成例8の化合物(化学式Hで表される化合物)を用いたことを除けば実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物を製造した。
【0168】
実施例9
合成例1の化合物(化学式Aで表される化合物)の代わりに、合成例9の化合物(化学式Iで表される化合物)を用いたことを除けば実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物を製造した。
【0169】
比較例1
着色剤として合成例1の化合物(化学式Aで表される化合物)を用いないことを除けば実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物を製造した。
【0170】
比較例2
合成例1の化合物(化学式Aで表される化合物)の代わりに、比較合成例1の化合物(化学式C-1で表される化合物)を用いたことを除けば実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物を製造した。
【0171】
評価3:色座標、輝度および明暗比の測定
脱脂洗浄した厚さ1mmのガラス基板上に、1μm~3μmの厚さに前記実施例1~実施例9、比較例1および比較例2で製造した感光性樹脂組成物を塗布し、90℃のホットプレート上で2分間乾燥させて塗膜を得た。続いて、塗膜に365nmの主波長を有する高圧水銀ランプを用いて露光した。この後、200℃の熱風循環式乾燥炉内で5分間乾燥させてサンプルを得た。分光光度計(MCPD3000、Otsuka electronic社)を用いて、450nm、540nmおよび620nmの波長での前記サンプルの透過率を測定して、その結果を下記表4および
図2に記載した。
【0172】
【0173】
前記表4から、一実施形態によるコア-シェル化合物を染料として含む実施例1~実施例9の感光性樹脂組成物が、前記化合物を含まない比較例1および比較例2の感光性樹脂組成物と比較して、450nmでの透過度は5%以下の条件、540nmでの透過度は90%以上の条件、および620nmでの透過度は10%以下の条件をすべて満足させることによって、これを緑色感光性樹脂組成物として用いて高透過型CISの製造が可能であることを確認できる。(比較例2の場合、540nmでの透過度は90%以下であるが、これは一般的なCIS用緑色感光性樹脂組成物に適用不可能な透過度である。また、450nmでの透過度は5%以下の条件、540nmでの透過度は90%以上の条件を満足すると同時に、620nmでの透過度が10%以下と低い場合、混色の改善が可能であり、窮極的に高透過型CIS緑色カラーフィルタの製造を可能にする。)
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。