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  • 特許-血液中成分濃度測定装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】血液中成分濃度測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1455 20060101AFI20240124BHJP
   G01N 21/3577 20140101ALI20240124BHJP
【FI】
A61B5/1455
G01N21/3577
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019203020
(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公開番号】P2021074258
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】599048638
【氏名又は名称】CBC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】古川 祐光
(72)【発明者】
【氏名】渡部 愛理
(72)【発明者】
【氏名】中村 新一
(72)【発明者】
【氏名】相澤 弘明
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-018478(JP,A)
【文献】特開2008-289807(JP,A)
【文献】特開平09-056702(JP,A)
【文献】米国特許第06026314(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/1455
G01N 21/00 - 21/01
21/17 - 21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4種類の波長光を生体の所定部位へ向けて射出する4波長光射出手段と、
前記生体の所定部位を透過した4種類の波長光を受光する受光手段と、
前記受光手段が受光した光信号に基づいて前記4波長の受光強度情報を得る受光強度情報取得手段と、
前記4波長の受光強度情報に基づき前記4波長に対応する吸光度の時間変化値を求める吸光度時間変化値取得手段と、
吸光度時間変化値から血液中の所定成分を求める校正データが記憶された校正データテーブルと、
前記校正データテーブルの校正データを用いて前記吸光度時間変化値取得手段により取得された吸光度の時間変化値から血液中の所定成分濃度を求める成分濃度取得手段と、
を具備し、
前記4波長として、血液中の測定対象成分の吸収波長として1620-1680nm、前記測定対象成分に影響する血液中成分として脂質の吸収波長1170-1230nm、水の吸収波長として1420-1480nm、前記測定対象成分、前記血液中成分、前記水およびその他の生体成分に影響されない波長として1020-1180nmを選択することを特徴とする血液中成分濃度測定装置。
【請求項2】
前記吸光度時間変化値取得手段は、一定時間間隔で受光強度情報取得手段が取得した連続する複数の受光強度情報に基づき前記4波長に対応する吸光度の時間変化値を求めることを特徴とする請求項1に記載の血液中成分濃度測定装置。
【請求項3】
前記吸光度時間変化値取得手段は、一定時間間隔で受光強度情報取得手段が取得した連続する1回以上の取得の受光強度情報に基づき前記4波長に対応する吸光度の時間変化値を求めることを特徴とする請求項1または2に記載の血液中成分濃度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、血液中成分濃度測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外乱要因の考慮を行うことで精度よくグルコース濃度の定量分析を行うグルコース濃度の定量装置が開示されている。この装置は、生体組織あるいは体液を透過あるいは拡散反射した近赤外光を検出手段で検出して得られる信号を基にグルコース濃度の回帰分析を行う演算手段を備える。この演算手段は、分子の第1倍音が観察できるとともに水の吸収の影響が比較的小さい1480nmから1880nmの波長領域内における第1の波長域と第2の波長域と第3の波長域の少なくとも3つの隣接域内の各波長を連続的に測定して得られる連続スペクトル信号を説明変量とし、グルコース濃度を目的変量として定量を行うものである。
【0003】
第1の波長域は、グルコース分子のOH基由来の吸収を測定するための1550nmから1650nmであり、第2の波長域は、生体成分のNH基由来の吸収を測定するための1480nmから1550nmであり、第3の波長域は、生体成分のCH基由来の吸収を測定するための1650nmから1880nmである。
【0004】
特許文献2には、広範囲の波長の光の生体中における減衰の情報を同時に同一箇所で測定できる高精度な無侵襲生化学計測装置が開示されている。具体的には、4光源から出射された光は、4個のレンズを介して4つの光ファイバに導入され、合波素子によって合波されて一本の光ファイバに導入される。更に、レンズを介して生体試料の同一ポイントに照射され、光検出器によって検出される。
【0005】
光検出器の出力電流は電流電圧変換回路によって電圧信号に変換され、アナログ・デジタルコンバーターによりデジタル信号に変換される。信号処理装置は光源駆動回路を制御し、各波長毎の生体試料による減光度を計算し、生体中の酸素飽和度、血流量、グルコース濃度を計算する。
【0006】
更に、特許文献3には、採血を要せずして血中ビリルビン濃度を正確に測定することができる装置が開示されている。具体的には、第1発光手段と第2発光手段と第3発光手段と第4発光手段とを備え、これらの発光手段から光を測定部位に向けて発する。第1発光手段は、血液中の還元ヘモグロビン、酸化ヘモグロビン及びビリルビンに吸収される波長を有する。第2発光手段は、血液中の還元ヘモグロビン、酸化ヘモグロビン及びビリルビンのうち少なくとも還元ヘモグロビンに吸収される波長を有する。
【0007】
また、第3発光手段は、血液中の還元ヘモグロビン、酸化ヘモグロビン及びビリルビンのうち少なくとも酸化ヘモグロビンに吸収される波長を有する。第4発光手段は、血液中の還元ヘモグロビン、酸化ヘモグロビン、及びビリルビンには吸収されず水にのみ吸収される波長を有する。また、この装置は、上記の発光手段から発せられ、測定部位を透過した光を受けて電気信号に変換する受光手段と、この受光手段の出力信号に基づき、上記第1の光、第2の光、第3の光、及び第4の光の透過量にそれぞれ対応する信号を作成する信号作成手段とを具備する。更に、この信号作成手段において第1の時刻で作成された各信号と上記第1の時刻と異なる第2の時刻で作成された各信号とに基づき血中ビリルビン濃度を演算する演算手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2010-66280号公報
【文献】特開平10-216112号公報
【文献】特開平4-332535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1の発明では、光源は近赤外光であり、広い波長範囲の光を発する光源を必要としなくなる利点を有するものの、各波長領域の的確な測定を求められる。
【0010】
また、特許文献2の発明は、多変量解析法を適用してグルコース濃度を求めるものであるが、酸素飽和度、血流量、グルコース濃度を得ており、グルコース濃度のみを求めるものではない。
【0011】
更に、特許文献3の発明では、3元連立一次方程式を用いてC(Hb):血中Hb(還元ヘモグロビン)濃度、C(HbO2):血中HbO2(酸化ヘモグロビン)濃度、C(Bil):血中ビリルビン濃度を求めるものであり、1つの測定対象値を得るものではない。
【0012】
本実施形態は、測定時間を短縮化し、精度良く血液中の所定成分濃度を測定することが可能な血液中成分濃度測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本実施形態は、4種類の波長光を生体の所定部位へ向けて射出する4波長光射出手段と、前記生体の所定部位を透過した4種類の波長光を受光する受光手段と、前記受光手段が受光した光信号に基づいて前記4波長の受光強度情報を得る受光強度情報取得手段と、前記4波長の受光強度情報に基づき前記4波長に対応する吸光度の時間変化値を求める吸光度時間変化値取得手段と、吸光度時間変化値から血液中の所定成分を求める校正データが記憶された校正データテーブルと、前記校正データテーブルの校正データを用いて前記吸光度時間変化値取得手段により取得された吸光度の時間変化値から血液中の所定成分濃度を求める成分濃度取得手段と、を具備し、前記4波長としては、血液中の測定対象成分の吸収波長として1620-1680nm、前記測定対象成分に影響する血液中成分として脂質の吸収波長1170-1230nm、水の吸収波長として1420-1480nm、前記測定対象成分、前記血液中成分、前記水およびその他の生体成分に影響されない波長として1020-1180nmを選択することを特徴とする。

【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る血液中成分濃度測定装置の構成図。
図2】本発明の実施形態に係る血液中成分濃度測定装置のコンピュータ部分の構成図。
図3】本発明の実施形態に係る血液中成分濃度測定装置のコンピュータ部分の外部記憶装置に記憶されている手段の構成図。
図4】本発明の実施形態に係る血液中成分濃度測定装置に備えられる校正データテーブルの内容の一例を示す図。
図5】本発明の実施形態に係る血液中成分濃度測定装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下添付図面を参照して、本発明に係る血液中成分濃度測定装置の実施形態を説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1には、本発明の実施形態に係る血液中成分濃度測定装置の構成図が示されている。本実施形態では、4波長光射出手段として4つのLED11、12、13、14を用いる。
【0016】
LED11、12、13、14は異なる4波長光が生体の所定部位としての指先15へ向けて射出される。上記4波長としては、血液中の測定対象成分の吸収波長、上記測定対象成分に影響する血液中成分の吸収波長、水の吸収波長、上記測定対象成分、上記測定対象成分に影響する血液中成分、上記水およびその他の生体成分に影響されない波長を選択することができる。
【0017】
本実施形態では、測定対象成分濃度として、血糖値を測定するものとする。このため、4波長としては、血液中の上記測定対象成分である糖分の吸収波長として1620-1680nm、上記測定対象成分に影響する血液中成分として脂質の吸収波長1170-1230nm、上記水の吸収波長として1420-1480nm、上記測定対象成分である糖に影響する血液中成分として脂質に吸収される例1170-1230nm、上記水およびその他の生体成分に影響されない波長として1020-1180nmを選択することができる。
【0018】
上記波長をLED11、12、13、14に対応させると、LED11から射出される光の波長は何にも吸収されることのない例えば1020-1180nmを採用することができ、また、LED12から射出される光の波長は脂質に吸収される例えば1170-1230nmを採用することができる。LED13から射出される光の波長は水に吸収される例えば1420-1480nmを採用することができ、LED14から射出される光の波長は糖分に吸収される例えば1620-1680nmを採用することができる。
【0019】
LED11、12、13、14はドライバ16に接続されており、例えばパーソナルコンピュータなどのコンピュータ100の制御により動作するドライバ16により駆動されて光を射出する。
【0020】
指先15を透過した光は受光手段であるセンサ(光センサ)17により受光される。受光手段は、上記生体の所定部位を透過した4種類の波長光を受光するものである。センサ17は、コンピュータ100に接続されており、センサ17が検出した光信号はコンピュータ100に取り込まれる。
【0021】
図2には、本実施形態に係る血液中成分濃度測定装置である血糖値測定装置(以下、単に血糖値測定装置という。)のコンピュータ100部分の構成を示す。コンピュータ100は、CPU110を中心に構成されており、主メモリ111にプログラムやデータ等を読み込んで処理を実行する。CPU110には、バス112を介して外部記憶インタフェース113、入力インタフェース114、表示インタフェース115、データ出力インタフェース116、データ入力インタフェース117が接続されている。
【0022】
外部記憶インタフェース113には、CPU110が読み込んで血糖値測定装置として処理行うためのプログラムや各種データが記憶された外部記憶装置123が接続されている。入力インタフェース114には、キーボード等の入力装置124やマウス等のポインティングデバイス122が接続されている。表示インタフェース115には、LEDディスプレイなどの表示装置125が接続されており、必要な画像やキャラクタ等の表示がなされる。表示インタフェース115は、広く出力装置インタフェースとすることができ、プリンタ等の出力装置を表示装置125に加えて接続できるものであっても良い。
【0023】
データ出力インタフェース116には、先に説明したドライバ16が接続されており、CPUからの駆動データに応じてデータ出力インタフェース116からドライバ16へ駆動制御信号が送られ、ドライバ16へこの信号に応じてLED11、12、13、14の内の所要のものを所要時間発光させる。データ入力インタフェース117には、センサ17が接続されており、センサ17の出力信号を取り込むと共にAD変換して受光強度情報(データ)としてCPU110へ送るものである。このため、データ入力インタフェース117は、受光手段であるセンサ17が受光した光信号に基づいて上記4波長の受光強度情報を得る受光強度情報取得手段として機能する。
【0024】
外部記憶装置123には、先に説明したように、CPU110が読み込んで血糖値測定装置として処理行うためのプログラムや各種データが記憶されている。具体的には、図3に示されるように、プログラムにより実現される吸光度時間変化値取得手段201、校正データテーブル202、プログラムにより実現される血糖値取得手段(一般的には、成分濃度取得手段)203が備えられている。吸光度時間変化値取得手段201は、受光強度情報取得手段であるデータ入力インタフェース117が取得した上記4波長の受光強度情報に基づき上記4波長に対応する吸光度の時間変化値を求めるものである。
【0025】
校正データテーブル202は、吸光度時間変化値から血糖値を求める校正データが記憶されているものである。具体的には、図4に示されるように、吸光度時間変化値A、B、C、D、・・・に対して校正データa、b、c、d、・・・の数値(アルファベットは数値)が対応付けられたテーブルである。
【0026】
校正データテーブル202は、当初はある程度多数の人について本実施形態の手法で血液データを得ると共に侵襲的な手法を含めた公知の手法で得られた血糖値とに基づき作成した校正データを格納してスタートする。その後、本実施形態の手法で得られた血糖値と侵襲的な手法を含めた公知の手法で得られた血糖値とに基づき、例えば統計解析や機械学習等の手法により校正データを更新して精度の高いものとすることができる。
【0027】
血糖値取得手段203は、上記校正データテーブル202の校正データを用いて上記吸光度時間変化値取得手段201により取得された吸光度の時間変化値から血糖値を求めるものである。上記吸光度時間変化値取得手段201が吸光度の時間変化値を、例えばabaとして取得した場合には、図3の校正データテーブル202から校正データ値BBを取り出し、取得されている吸光度の時間変化値abaに対し校正データ値BBを用いた所定の演算(加算や乗算や除算など)を行って血糖値を求める。
【0028】
上記のようにして求められた血糖値は、CPU110によって、表示データへ変換され、表示インタフェース115へ送られるようにすることができる。これを受けた表示インタフェース115は、表示装置125を制御して血糖値の表示を表示装置125において行うことができる。
【0029】
以上のように構成された血糖値測定装置は、図5に示すフローチャートに従って動作を行うので、このフローチャートにより動作説明を行う。動作がスタートとなると、CPU110がドライバ16を制御し、4つのLED11~14を駆動して4波長光を射出する(S11)。ここで4つのLED11~14は順に所定時間駆動され、所定時間単位で4つの波長λ1、λ2、λ3、λ4の光が指先15へ向けて射出される。
【0030】
本実施形態では、4波長の吸光度を用いて血糖値を求める。その手法としては、多変量解析をはじめとする統計解析を用いることができるが、本発明は、これに限定されず、例えば機械学習を用いても良い。統計解析による手法としては、例えば以下に示すようにすることが考えられる。上記ステップS11に続いて、指先15を透過した光をセンサ17によって受光し、受光強度情報ai、bi、ci、diを取得する(S12)。受光強度情報ai、bi、ci、diに基づき4波長に対応する吸光度の時間変化値である血液データ=η1+η2+η3+η4を求める(S13)。
【0031】
本実施形態では、各波長について少なくとも脈拍1回以上の測定を行うものとする。例えば、波長を次のようにλ1nm→λ2nm→λ3nm→λ4nmと切り替えて測定すると、ここまでで4波長それぞれの測定点が1点プロットとなる。次に、波長をλ1nm→λ2nm→λ3nm→λ4nmと切り替えて測定すると、ここまでで4波長の測定点が2点プロットとなる。次に、波長をλ1nm→λ2nm→λ3nm→λ4nmと切り替えて測定すると、ここまでで4波長の測定点が3点プロットとなる。以下同様に測定を行い、所望数(例えば、20)点のプロットを得る。
【0032】
上記の所望数のプロットをつなぐことにより、各波長λ1、λ2、λ3、λ4において脈拍の山ができる。この脈拍の山が1つ以上(例えば、50山でも100山でも、各波長において統一した数の山)できるまで測定を行い、これを1セットの時系列データとする。このような1セットの時系列データを食事前に得て、次の1セットの時系列データを食事後に得て、次の1セットの時系列データを食後所定時間(例えば、3時間)において得て、・・・以下同様に更に長いタイムスケールで時系列データを得る。
【0033】
ωλj(j=1~4)を波長λjにおける重み係数とするとき、次の式(1)の中間パラメータpA、pB、pC、pDについて特異値分解を用いて求め、求めた中間パラメータpA、pB、pC、pDに基づき吸光度時間変化値を求める。
【0034】
【数1】
【0035】
上記式(1)は、次の式(2)と等価である。
【数2】
【0036】
上記式(2)における中間パラメータについては、先に説明した時系列データの中の、ある時刻t1における時系列データに対応するものが、次の式(3)であり、
【数3】
先に説明した時系列データの中で時刻t1より後の時刻t2において測定された時系列データに対応するものが、次の式(4)であり、
【数4】
t1、t2、・・・については、例えば、時刻t1は食事前の時刻、t2は食事直後の時刻などに対応するものである。
以下同様に、1セットの時系列データから中間パラメータの式を作成することができる。
【0037】
上記において検出した受光強度情報ai、bi、ci、diは、ノイズを含むために、脈拍1回以上の測定を行うことができる。そして、測定を2回以上とすると式(1)の行列は対角行列とならない。そこで、本実施形態では、中間パラメータpA、pB、pC、pDについて特異値分解を用いて求める。中間パラメータpA、pB、pC、pDの値か最長になるように最適解を繰り返し求める処理を、4回以上の測定の毎に行うものとすることができる。この動作は、吸光度時間変化値取得手段201が行うものとする。
【0038】
更に、吸光度時間変化値取得手段201は、吸光度時間変化値が血液データとして、血液データ=η1+η2+η3+η4であるとき、未定乗数χ1、χ2、χ3、χ4とし、次の式(5)に対し、ラグランジュ未定乗数法によりη1、η2、η3、η4を求める。
【0039】
【数5】
【0040】
以上のように血液データ=η1+η2+η3+η4が求まると、校正データテーブル202の校正データを用いて血糖値を求め表示装置125から出力する(S14)。
【0041】
このようにして得られた血糖値と校正データとは、校正データテーブル202へフィードバックされて校正データの精度が上昇される。このように実際に指先を透過した光信号から受光強度情報ai、bi、ci、diを取得し、校正データを使用した演算により血糖値を求めるために、だれが測定しても脈波成分に起因する吸光度の大きさを反映させてて適切に血糖値を測定することが可能である。
【0042】
なお、本実施形態では、LEDの発光の制御、透過光の受光後の受光強度情報ai、bi、ci、diの取得、更には、血液データの取得、更には、校正データを用いた血糖値の算出を1つのコンピュータで行ったが、それぞれを別のコンピュータや制御装置で行うようにしても良いし、いくつかの動作をグループ分けして2台乃至3台のコンピュータに分散させても良い。この場合に、血液データの取得、更には、校正データを用いた血糖値の算出を1つのコンピュータを遠方に配置して、LEDの発光の制御、透過光の受光後の受光強度情報ai、bi、ci、diの取得を複数地点において行うこともできる。このようなシステムとすると、数多くの人のデータを1地点のコンピュータに集中させて校正データの更新を適切に行うことができる。
【0043】
以上の実施形態においては、「血液中の所定成分濃度」として血糖値を求める血糖値測定装置について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、血中脂質濃度や血中コレステロール濃度なども測定できることが期待される。
【0044】
また、上記以上の説明においては、コンピュータ100をパーソナルコンピュータなどとしたが、本実施形態に係る血液中成分濃度測定装置を専用の装置とし、コンピュータ100を専用のCPUとして構成しても良い。この場合、主メモリ111に、血糖値測定装置として処理行うための必要なプログラムやデータを記憶するようにしても良い。
【0045】
更に、ネットワークに本実施形態に係る血液中成分濃度測定装置により測定した結果に基づき正常・異常や警戒レベルを判定する判定装置を設け、本実施形態に係る血液中成分濃度測定装置により測定した結果をネットワークを介して上記判定装置へ送り、判定結果を返送するようにしても良い。勿論、判定装置ではなく、判定結果を記憶する記憶装置を設け、医師がネットワークを用いて記憶装置へアクセスして判定を行い、判定結果を記憶装置へ記憶し、これを本実施形態に係る血液中成分濃度測定装置が取り込み、表示等を行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0046】
11~14 LED
15 指先
16 ドライバ
17 センサ
100 コンピュータ
111 主メモリ
112 バス
113 外部記憶インタフェース
114 入力インタフェース
115 表示インタフェース
116 データ出力インタフェース
117 データ入力インタフェース
122 ポインティングデバイス
123 外部記憶装置
124 入力装置
125 表示装置
201 吸光度時間変化値取得手段
202 校正データテーブル
203 血糖値取得手段(成分濃度取得手段)
図1
図2
図3
図4
図5