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  • 特許-半導体装置およびそのトリミング方法 図1
  • 特許-半導体装置およびそのトリミング方法 図2
  • 特許-半導体装置およびそのトリミング方法 図3
  • 特許-半導体装置およびそのトリミング方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】半導体装置およびそのトリミング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/82 20060101AFI20240124BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240124BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20240124BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20240124BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240124BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
H01L21/82 F
H01L27/04 V
H01L27/04 H
H01L21/88 S
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019163519
(22)【出願日】2019-09-09
(65)【公開番号】P2021044306
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒関 亮
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-149856(JP,A)
【文献】特開2008-066693(JP,A)
【文献】特開昭61-253853(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0257435(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0092870(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第104183542(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205、21/768、21/82、21/822
H01L 23/522
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧印加により切断される溶断部を有するヒューズ素子と、該ヒューズ素子を被覆する絶縁膜とを備えた半導体装置において、
前記溶断部上に第1の絶縁膜を配置し、該第1の絶縁膜上に被覆膜を配置し、該被覆膜上に第2の絶縁膜を配置し、
前記被覆膜は、前記溶断部が切断する際に前記第1の絶縁膜から応力を受けて変形し、前記被覆膜と前記第1の絶縁膜との間が剥離することで前記応力が前記被覆膜上の前記第2の絶縁膜に伝搬することを抑制あるいは遮断する膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記被覆膜は、間隙を設けて配置された複数の被覆膜からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
電圧印加により切断される溶断部を有するヒューズ素子を備え、前記溶断部上に第1の絶縁膜を配置し、該第1の絶縁膜上に被覆膜を配置し、該被覆膜上に第2の絶縁膜を配置した半導体装置のトリミング方法であって、
前記ヒューズ素子に、前記溶断部を切断するための電圧を印加する工程と、
前記溶断部が溶融して体積が膨張し、該体積膨張により生じる応力が前記第1の絶縁膜を介して前記被覆膜に伝搬する工程と、
前記被覆膜が前記応力を受けて変形し、該変形により前記被覆膜と前記第1の絶縁膜との間に剥離が発生して、前記応力が前記被覆膜上の前記第2の絶縁膜に伝搬すること抑制あるいは遮断される工程と、を含むことを特徴とする半導体装置のトリミング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過電流を流すことで切断可能なヒューズ素子を備えた半導体装置およびそのトリミング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒューズ素子を備えた半導体装置では、ヒューズ素子を切断することで回路特性の調整等を行うことができる。この種のヒューズ素子を図4に示す。図4において、図4(a)はヒューズ素子1Bの平面図を、図4(b)はその断面図をそれぞれ示している。ヒューズ素子1Bは、シリコン酸化膜等の絶縁膜2上に形成された溶断部3と、この溶断部3に電流を流すため電圧が印加される引出配線4を備えている。5は溶断部3と引出配線4とを接続するコンタクト部、6は多層絶縁膜層からなる絶縁膜である。
【0003】
この種のヒューズ素子1Bを備えた半導体装置では、切断するヒューズ素子1Bの引出配線4に所定の電圧を印加することで溶断部3に過電流を流して切断する。その際、溶断部3を構成する物質は発熱して溶融し、あるいはさらに気化して体積が膨張する。この体積膨張により生じる応力がヒューズ素子1Bを覆う絶縁膜6に加わると、絶縁膜6にクラック等が生じる。その結果、半導体装置の耐湿性が悪化して信頼性が低下するという問題があることが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-33191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ヒューズ素子の溶断部を切断する際、ヒューズ素子を覆う絶縁膜に信頼性を低下させるクラック等を生じさせることのない半導体装置およびそのトリミング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願請求項1に係る半導体装置は、電圧印加により切断される溶断部を有するヒューズ素子と、該ヒューズ素子を被覆する絶縁膜とを備えた半導体装置において、前記溶断部上に第1の絶縁膜を配置し、該第1の絶縁膜上に被覆膜を配置し、該被覆膜上に第2の絶縁膜を配置し、前記被覆膜は、前記溶断部が切断する際に前記第1の絶縁膜から応力を受けて変形し、前記被覆膜と前記第1の絶縁膜との間が剥離することで前記応力が前記被覆膜上の前記第2の絶縁膜に伝搬することを抑制あるいは遮断する膜であることを特徴とする。
【0007】
本願請求項2に係る半導体装置は、請求項1記載の半導体装置において、前記被覆膜は、間隙を設けて配置された複数の被覆膜からなることを特徴とする。
【0009】
本願請求項に係る半導体装置のトリミング方法は、電圧印加により切断される溶断部を有するヒューズ素子を備え、前記溶断部上に第1の絶縁膜を配置し、該第1の絶縁膜上に被覆膜を配置し、該被覆膜上に第2の絶縁膜を配置した半導体装置のトリミング方法であって、前記ヒューズ素子に、前記溶断部を切断するための電圧を印加する工程と、前記溶断部が溶融して体積が膨張し、該体積膨張により生じる応力が前記第1の絶縁膜を介して前記被覆膜に伝搬する工程と、前記被覆膜が前記応力を受けて変形し、該変形により前記被覆膜と前記第1の絶縁膜との間に剥離が発生して、前記応力が前記被覆膜上の前記第2の絶縁膜に伝搬すること抑制あるいは遮断すされる工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、溶断部が切断される際の体積膨張により生じる応力が溶断部上の絶縁膜に加わった場合でも、この絶縁膜上に配置した被覆膜がその応力を吸収し、被覆膜上に積層されている絶縁膜に応力が伝搬することを抑制、遮断することができる。この被覆膜を構成する材料として破壊靭性が高い材料を選択すると、変形しやすく大きな応力を吸収することができ、被覆膜上の絶縁膜への応力の伝搬を抑制、遮断する効果が大きくなる。その結果、ヒューズ素子表面の絶縁膜にクラック等が発生することを防ぐことができ、半導体装置の信頼性劣化を招くことはない。
【0011】
さらに間隙を設けて配置した複数の被覆膜とすると、被覆膜と絶縁膜との接合面に剥離が生じ、被覆膜が変形しやすくなることで応力を吸収する効果が大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施例の説明図である。
図2】本発明の第1の実施例の説明図である。
図3】本発明の第2の実施例の説明図である。
図4】従来のヒューズ素子の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の半導体装置はヒューズ素子を備え、このヒューズ素子の溶断部上の絶縁膜中に被覆膜を配置し、溶断部に過電流を流し切断する際に、溶断部の溶融に伴い体積膨張が生じたとしても、その体積膨張による大きな応力が半導体装置の表面を覆う絶縁膜に加わらないように被覆膜を配置している。以下、本発明の半導体装置およびそのトリミング方法について詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の第1の実施例について説明する。本発明の半導体装置のヒューズ素子1Aを図1に示す。図1において、図1(a)は平面図を、図1(b)はその断面図をそれぞれ示している。ヒューズ素子1Aは、シリコン酸化膜等の絶縁膜2上に形成されたポリシリコンからなる溶断部3と、この溶断部3に電流を流すため電圧が印加されるアルミニウムからなる引出配線4を備える。5は溶断部3と引出配線4とを接続するタングステンからなるコンタクト部、6は絶縁膜で、シリコン酸化膜およびシリコン窒化膜からなる第1の絶縁膜6aと第2の絶縁膜6bの多層絶縁膜層で構成されている。このような構造は、従来のヒューズ素子1Bと同一である。
【0015】
本実施例のヒューズ素子1Aは、第1の絶縁膜6a(溶断部上の絶縁膜に相当)を介して溶断部3を覆うように被覆膜7を配置している点で従来のヒューズ素子1Bと相違している。図1に示す例では、被覆膜7は、引出配線4と同時に形成することができるアルミニウムからなり、それぞれ電気的に独立した2つの被覆膜7を備える構成となっている。
【0016】
この被覆膜7、引出配線4および溶断部3は、第2の絶縁膜6b(被覆膜上の絶縁膜に相当)で被覆されている。
【0017】
このような構成のヒューズ素子1Aは、次のように切断される。ヒューズ素子1Aを備えた半導体装置の回路特性の調整等を行うため、切断されるヒューズ素子1Aが決まる。この選択されたヒューズ素子1Aの引出配線4間に電圧を印加する。印加される電圧値が大きくなるに伴い、ポリシリコンからなる溶断部3に流れる電流値が上昇する。図1(a)に示すように溶断部3の幅は狭く形成されているので、溶断部3の発熱量は大きくなる。
【0018】
発熱量がシリコンの融点に達すると、溶断部3の一部のポリシリコンが溶融して液化する。この液化により、あるいはさらに気化することにより体積が膨張し、溶断部3上の第1の絶縁膜6aに応力が加わることになる。
【0019】
従来のヒューズ素子1Bでは、この応力によって溶断部3上の絶縁膜6にクラック等が発生した。しかしながら本実施例ではこの応力が、溶断部3上の第1の絶縁膜6aに加わり、さらに被覆膜7に加わることになる。このとき、第1の絶縁膜6aでは、従来同様クラック等が発生する。一方被覆膜7は、応力を受けて変形可能な材料で構成しているため、図2に模式的に示すように被覆膜7が変形する。
【0020】
この被覆膜7の変形により、被覆膜7と第1の絶縁膜6aとの間、あるいはさらに被覆膜7と第2の絶縁膜6bとの間に剥離が発生する。しかしながら、被覆膜7上の第2の絶縁膜6b上に応力は伝わらず、あるいは非常に小さい応力しか伝わらないことになる。その結果、被覆膜7上の第2の絶縁膜6bにクラック等が発生することはなく、半導体装置の信頼性を損ねることもなくなる。
【0021】
溶融した溶断部3は、その表面張力と上面からの膜ストレスとの作用により分裂し、切断される。
【0022】
なお被覆膜7は、溶断部3からの応力を第2の絶縁膜6bに伝えない構造や配置であれば、図2に示す形状に限定されない。例えば図3に示すように溶断部3の切断が予想される領域を全面覆うようにすることも可能である。なお、溶断部3からの応力を緩和するため、被覆膜7が変形可能とするためには、図2に示すように、分離された被覆膜7を複数配置する方が好ましい。分離された被覆膜7の側面部と第2の絶縁膜6bとの間に剥離が生じることで、被覆膜7の変形が容易になり、あるいはこの剥離により伝搬される応力が低減できるからである。また、第1の絶縁膜6aにクラック等が生じて被覆膜7と導通した場合でも、被覆膜7を電気的に分離した構造とすることで、ヒューズ素子の切断不良を防止できる利点もある。
【0023】
さらにまた、被覆膜7は、引出配線4と同じ金属で形成する必要はなく、適宜選択可能であるが、通常の半導体装置の多層配線で使用される材料とするのが好ましく、破壊靭性が高く割れにくい材料として、アルミニウム、銅等が変形しやすく好ましい。
【符号の説明】
【0024】
1A、1B:ヒューズ素子、2:絶縁膜、3:溶断部、4:引出配線、5:コンタクト部、6:絶縁膜、6a:第1の絶縁膜、6b:第2の絶縁膜、7:被覆膜
図1
図2
図3
図4