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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20240124BHJP
   H01L 23/50 20060101ALI20240124BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20240124BHJP
   B29C 33/68 20060101ALI20240124BHJP
   B29C 45/02 20060101ALI20240124BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
H01L21/56 R
H01L21/56 H
H01L23/50 G
B29C45/26
B29C33/68
B29C45/02
B29C45/14
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019206069
(22)【出願日】2019-11-14
(65)【公開番号】P2021082624
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 亮輔
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-196005(JP,A)
【文献】特開2001-077274(JP,A)
【文献】特開2004-235233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
H01L 23/50
B29C 45/26
B29C 33/68
B29C 45/02
B29C 45/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子とリード端子の一端とが樹脂により封止された半導体装置において、
前記リード端子は、それぞれ一方の面に凹部を備え
記半導体素子と前記リード端子の一端が、前記一方の面側に突出する第1の樹脂部で封止され、
前記凹部の一部は、前記第1の樹脂部で充填され、
前記第1の樹脂部から延出する前記リード端子に位置する前記凹部は、前記第1の樹脂部に連続する第2の樹脂部で充填され、
前記第1の樹脂部から延出する前記リード端子間は、前記第2の樹脂部に連続する第3の樹脂部で充填され、
前記第2の樹脂部および前記第3の樹脂部の前記一方の面の高さは、前記リード端子前記一方の面より低く、前記凹部の底面より高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
半導体素子とリード端子の一端とが樹脂により封止された半導体装置の製造方法において、
前記半導体素子と前記リード端子の一端とを前記樹脂により封止する際、
封止用の金型のキャビティ内に前記半導体素子と前記リード端子の一端と前記リード端子の一方の面に形成された凹部の一部とを配置し、前記キャビティの端部を前記凹部上に配置して、前記金型で前記リード端子、および前記一方の面に配置され前記凹部上で折れ曲がる離型フィルムをクランプし、
前記キャビティ内に前記樹脂を注入し前記半導体素子と前記リード端子の一端と前記凹部の一部を封止する、前記一方の面側に突出する第1の樹脂部を形成するとともに、前記第1の樹脂部から露出する前記リード端子に位置する前記凹部と前記リード端子間に前記樹脂を注入して、前記一方の面の高さが、前記リード端子の前記一方の面より低く、前記凹部の底面より高い、前記凹部を充填する第2の樹脂部と前記リード端子間を充填する第3の樹脂部とを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に樹脂封止部からリード端子が露出する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の通信機器等の小型化だけでなく、センサ搭載数の増加等で車載電子機器の小型化も進んでいる。特に車載電子機器では、高い実装信頼性を維持しながら、所定空間に搭載できる部品を作る必要があり、ショートリードを具備した半導体装置が使用される。
【0003】
図6及び図7に、従来の半導体装置20Aの一例を示す。図において、1はダイパッド、2はリード端子、3は半導体素子、4は半導体素子3とリード端子2を接続する金属ワイヤ、5は樹脂封止部、6はリード端子間樹脂部である。この種の半導体装置では、リード端子2の一部が樹脂封止部5の側面から水平方向に突出、露出し、リード端子2間にはリード端子間樹脂部6が形成されている。
【0004】
この種の半導体装置20Aを製造する場合、まず半導体素子3をリードフレームのダイパッド1上に実装し、リード端子2と半導体素子3の電極を金属ワイヤ4で接続する。その後図8に示すように、封止用金型となる上金型7aに形成されたキャビティ8内に半導体素子3とこの半導体素子3の電極と金属ワイヤ4で接続されたリード端子2の一端とを配置し、離型フィルム9を介して、上金型7aと下金型7bとでリード端子2をクランプする。その後、キャビティ内に封止樹脂を注入して樹脂封止部5を形成するとともに、リード端子2間に封止樹脂を注入してリード端子間樹脂部6を形成する。その後、リードフレームおよび樹脂封止部等を切断することで個片化し、図6および図7に示す半導体装置20Aを形成することができる。
【0005】
ここで離型フィルム9は、上金型7aの表面に樹脂が付着することを防ぐために用いられている。この離型フィルム9は、上金型7aと下金型7bとでリード端子2をクランプする際、変形してリード端子2間にわずかに入り込む。その結果、図7に示すようにリード端子間樹脂部6の表面がリード端子2の表面より低くなっている。この種の半導体装置の製造方法は特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-219210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のこの種の半導体装置の製造方法では、離型フィルム9を介して上金型7aと下金型7bとでリード端子2をクランプする際、キャビティ8の端部からリード端子2上に折り曲げられる部分で離型フィルムにシワが発生する問題が知られている。このシワがリード端子2上に広がるように発生したまま樹脂を注入してしまうと、このシワの中に樹脂が入り込みリード端子2上に樹脂が流れ出る、いわゆる樹脂漏れが生じてしまう。樹脂漏れが生じた半導体装置20Bを図9に示す。このように樹脂漏れ部10のある半導体装置20Bは、外観不良となる。また樹脂漏れが生じたリード端子の表面は実装基板等への実装面とすることができず、実装構造の自由度が低下してしまうという問題があった。本発明はこのような問題点を解消し、外観不良を発生させることなく、リード端子の表面および裏面のいずれも実装面として使用することができる半導体装置とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願請求項1に係る半導体装置は、半導体素子とリード端子の一端とが樹脂により封止された半導体装置において、前記リード端子は、それぞれ一方の面に凹部を備え、前記半導体素子と前記リード端子の一端が、前記一方の面側に突出する第1の樹脂部で封止され、前記凹部の一部は、前記第1の樹脂部で充填され、前記第1の樹脂部から延出する前記リード端子に位置する前記凹部は、前記第1の樹脂部に連続する第2の樹脂部で充填され、前記第1の樹脂部から延出する前記リード端子間は、前記第2の樹脂部に連続する第3の樹脂部で充填され、前記第2の樹脂部および前記第3の樹脂部の前記一方の面の高さは、前記リード端子前記一方の面より低く、前記凹部の底面より高いことを特徴とする。
【0009】
本願請求項2に係る半導体装置の製造方法は、半導体素子とリード端子の一端とが樹脂により封止された半導体装置の製造方法において、前記半導体素子と前記リード端子の一端とを前記樹脂により封止する際、封止用の金型のキャビティ内に前記半導体素子と前記リード端子の一端と前記リード端子の一方の面に形成された凹部の一部とを配置し、前記キャビティの端部を前記凹部上に配置して、前記金型で前記リード端子、および前記一方の面に配置され前記凹部上で折れ曲がる離型フィルムをクランプし、前記キャビティ内に前記樹脂を注入し前記半導体素子と前記リード端子の一端と前記凹部の一部を封止する、前記一方の面側に突出する第1の樹脂部を形成するとともに、前記第1の樹脂部から露出する前記リード端子に位置する前記凹部と前記リード端子間に前記樹脂を注入して、前記一方の面の高さが、前記リード端子の前記一方の面より低く、前記凹部の底面より高い、前記凹部を充填する第2の樹脂部と前記リード端子間を充填する第3の樹脂部とを形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、離型フィルムが封止用の金型でクランプされる際にシワが発生した場合でも、リード端子の凹部に離型フィルムが入り込むため、第2の樹脂部を超えてリード端子に樹脂漏れが生じることはない。その結果、半導体装置の外観不良を発生させることはなく、またリード端子の両面を実装基板等への実装面として使用することができ、実装構造の自由度が増すという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例の半導体装置の説明図である。
図2】本発明の実施例の半導体装置の説明図である。
図3】本発明の実施例の半導体装置の製造方法に使用するリードフレームの説明図である。
図4】本発明の実施例の半導体装置の製造方法を説明する図である。
図5】本発明の実施例の半導体装置の製造方法を説明する図である、
図6】従来の半導体装置の説明図である。
図7】従来の半導体装置の説明図である。
図8】従来の半導体装置の製造方法を説明する図である。
図9】従来の半導体装置の外観不良の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の半導体装置およびその製造方法では、半導体装置のリード端子上に凹部を備える構成とすることで、樹脂封止の際、離型フィルムにシワが発生した場合であっても、封止用金型のキャビティから離れた位置でリード端子を確実にクランプすることで樹脂漏れの発生を防止している。以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例
【0013】
本発明の実施例について説明する。図1および図2は、本実施例の半導体装置20の説明図である。図において1はダイパッド、2はリード端子、3は半導体装置、4は半導体素子3とリード端子2を接続する金属ワイヤ、5は樹脂封止部(第1の樹脂部に相当)、6はリード端子間樹脂部(第3の樹脂部に相当)、11は凹部、12は凹部樹脂部(第2の樹脂部に相当)である。
【0014】
本実施例の半導体装置20は、従来の半導体装置20Aと比較して凹部11と凹部樹脂部12を備えている点で相違している。図2に示すように、凹部11は、一部を樹脂封止部5で充填され、樹脂封止部5から延出するリード端子2に形成された凹部11は、樹脂封止部5に連続する薄い樹脂からなる凹部樹脂部12で充填されていることがわかる。
【0015】
この凹部樹脂部12は、図1に示すようにリード端子2間に充填されたリード端子間樹脂部6にも連続し、リード端子2の表面より低い高さとなっている。
【0016】
次に本実施例の半導体装置20の製造方法について説明する。図3は本実施例で使用するリードフレーム30の一部を示しており、ダイパッド1を挟んで左右に4本ずつリード端子2が配置された半導体装置形成領域がマトリックス状に複数配置している。本実施例では、リード端子2の一部に凹部11を形成している点が、通常の半導体装置の製造方法に使用されるリードフレームと相違している。
【0017】
図3に示すリードフレーム30を用いて半導体装置20を形成する場合、まず半導体素子3をリードフレームのダイパッド1上に実装し、リード端子2と半導体装置の電極を金属ワイヤ4で接続する。
【0018】
その後図4に示すように、封止用の金型となる上金型7aに形成されたキャビティ8内に半導体素子3とこの半導体素子3の電極と金属ワイヤ4で接続するリード端子2の一端とを配置し、離型フィルム9を介して、上金型7aと下金型7bとでリード端子2をクランプする。このとき図4に示すように、上金型7aのキャビティ8側の端部が凹部11上に配置し、凹部11の一部がキャビティ内に配置されるようにする。また凹部11の一部がリード端子2をクランプする上金型7a上に配置するようにする。なお、図4は、1個の半導体装置の形成領域の断面図を示している。
【0019】
このように配置することで、離型フィルム9が折り曲げられることによって生じるシワは凹部11内に入り込み、上金型7aとリード端子2とが接合する部分はシワのない部分となり、確実にクランプすることが可能となる。なお、凹部11の幅は、離型フィルム9の厚さやシワが形成される領域等を考慮して設定し、凹部11の深さは、離型フィルム9が十分に入り込み、凹部樹脂部12が形成される深さに設定すればよい。
【0020】
その後、キャビティ8内に封止樹脂を注入して樹脂封止部5を形成するとともに、凹部11内に封止樹脂を注入して凹部樹脂部12とリード端子2間に封止樹脂を注入してリード端子間樹脂部6を形成する。図5は、図4に示すキャビティ8が図面上下方向に一体となって形成されており、さらに図面左右方向に列状に形成されている封止用金型を用いて、樹脂封止部5を列状に形成した例を示している。このように樹脂封止部5が列状に配置するように構成すると、図4で説明した上金型7aのキャビティ8側の端部が図5の図面上下方向であって、図面左右方向に列状に配置されるため、同様に配置されている凹部11内にシワが形成された離型フィルム9を入り込ませることができ、また各リード端子を確実にクランプすることができ、樹脂漏れの発生を防止することが可能となる。
【0021】
その後、所定の位置で格子状に切断して個片化することで、図1および図2に示す半導体装置を形成することができる。
【0022】
本実施例の製造方法により形成される半導体装置20は、凹部11内およびリード端子2間に離型フィルム9が入り込むことが必須のため、リード端子間樹脂部6と凹部樹脂部12の表面の高さは、リード端子2の表面より低くなる。そのため凹部11の深さを浅く設定してしまうと、凹部樹脂部12が薄くなり、樹脂封止部5やリード端子間樹脂部6と分離してしまう場合もある。このような分離が生じると凹部樹脂部12の剥離により新たな外観不良を招いてしまう。そこで凹部樹脂部12は、樹脂封止部5とリード端子間樹脂部6と連続する形状となるように形成する必要がある。
【0023】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。例えば、上記実施例では、リード端子の一方の面のみに樹脂封止部が形成された半導体装置を例にとり説明したが、これに限定されずリード端子の両面に樹脂封止部を形成する半導体装置としてもよい。その場合、リード端子2の両面に凹部11を形成してもリード端子2の強度を保つことができる程度の厚さとする等工夫すればよい。
【0024】
また上記実施例のようなリード端子の一方の面のみに封止樹脂が形成される半導体装置では、リード端子やダイパッドの裏面側をエッチングしてリード端子等の一部を樹脂封止部内に配置する場合もあり、本実施例においても同様にリード端子やダイパッドの一部を樹脂封止部内に配置する構成としても何ら問題ない。
【符号の説明】
【0025】
1: ダイパッド、2:リード端子、3:半導体素子、4:金属ワイヤ、5:樹脂封止部、6:リード端子間樹脂部、7a:上金型、7b:下金型、8:キャビティ、9:離型フィルム、10:樹脂漏れ部、11:凹部、12凹部樹脂部、20、20A、20B:半導体装置、30:リードフレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9