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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】ボール用表皮材及び気体注入型ボール
(51)【国際特許分類】
   A63B 41/00 20060101AFI20240124BHJP
   D06N 3/14 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
A63B41/00 A
D06N3/14 101
D06N3/14 102
A63B41/00 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019236697
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021104192
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(74)【代理人】
【識別番号】100133798
【弁理士】
【氏名又は名称】江川 勝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】古川 通子
(72)【発明者】
【氏名】芦田 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】百谷 弦大
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-88661(JP,A)
【文献】特開2016-67666(JP,A)
【文献】特開2010-284251(JP,A)
【文献】特開2011-24788(JP,A)
【文献】特開平7-150479(JP,A)
【文献】特開平11-155980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 37/00-47/04
D06N 1/00- 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維基材と、前記繊維基材の一面側に配された表面樹脂層と、を備え、
前記表面樹脂層は、前記繊維基材の一面側に積層された厚さ30~100μmの接着層と、前記接着層に積層された厚さ10~30μmの中間層と、前記中間層に配された厚さ10~30μmの表皮層とを含み、
前記表皮層は、シリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンを主体とする100%モジュラスが4~8MPaである第1の高分子弾性体と、プロテインパウダーと、をむ、人工皮革であることを特徴とするボール用表皮材。
【請求項2】
前記表皮層中のプロテインパウダーの含有割合が3~10質量%である請求項1に記載のボール用表皮材。
【請求項3】
前記繊維基材は、0.5dtex以下の極細繊維の不織布と前記不織布に含浸付与された第2の高分子弾性体とを含む請求項1または2に記載のボール用表皮材。
【請求項4】
気体を注入して膨らませて用いられる気体注入型ボールであって、
気体を注入されて膨張する球形のチューブと、前記チューブの外周面を覆う表皮材と、前記チューブ内部に空気を注入するためのバルブと、を備え、
前記表皮材は、
繊維基材と、前記繊維基材の一面側に配された表面樹脂層と、を備え、
前記表面樹脂層は、シリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンを主体とする100%モジュラスが4~8MPaである第1の高分子弾性体とプロテインパウダーとを含む表皮層を、少なくとも備える人工皮革であることを特徴とする気体注入型ボール。
【請求項5】
前記表皮層中のプロテインパウダーの含有割合が3~10質量%である請求項4に記載の気体注入型ボール。
【請求項6】
前記繊維基材は、0.5dtex以下の極細繊維の不織布と前記不織布に含浸付与された第2の高分子弾性体とを含み、
前記表面樹脂層は、前記繊維基材の一面側に積層された厚さ30~100μmの接着層と、前記接着層に積層された厚さ10~30μmの中間層と、前記中間層に配された厚さ10~30μmの前記表皮層とを含む請求項4または5に記載の気体注入型ボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッカーボール等の気体を注入して膨らませて用いられる気体注入型ボールの表皮材として好ましく用いられるボール用表皮材、及びそれを用いた気体注入型ボールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サッカーやバレーボールには、気体を注入して膨らませて用いられる気体注入型ボール(以下、単に膨張型ボールとも称する)が用いられている。詳しくは、膨張型ボールは、球形のチューブの外側に皮革または合成皮革からなる複数の表皮パネル部材を組み合わせて縫糸で縫合した表皮材を配して形成されており、空気を注入するためのバルブをさらに備え、バルブから空気を注入して膨らませることにより球形のボールが形成される。
【0003】
このような膨張型ボールは、バルブから空気が抜かれてコンパクト化されて運搬されることがある。そして、運搬先の目的地において、コンパクト化された膨張型ボールにバルブから空気を注入して膨張させることにより、再び球形のボールが形成される。
【0004】
ところで、サッカーは、近年、人工芝のグラウンドで行われることがある。下記特許文献1は、人工芝上でサッカーを行った場合には、人工芝を構成する樹脂またはゴムが、ボールと強く擦れて溶融し、ボール表面にフィルム状の汚れとして付着する問題があったことを指摘する。そして、このような問題を解決するために、コート層を有するボール用表皮材であって、コート層が最表面側の最表面フィルム層とそれに接する第2表面層を含み、最表面フィルム層を構成する高分子弾性体の100%モジュラスが10MPa以上であって無機粒子を含有し、かつ第2表面層を構成する高分子弾性体の100%モジュラスが10MPa未満であることを特徴とするボール用表皮材を開示する。
【0005】
また、膨張型ボールに関する技術ではないが、硬式野球ボールにおいて、ホイール式ピッチングマシンの高速回転するホイールがボールに接触することにより回転力を与える際に、摩擦熱によってボールの表面の樹脂層が溶融したように削れてしまう現象を抑制する技術を開示する。具体的には、繊維基材と、繊維基材の一面に配された高分子弾性体と無機粒子とプロテインパウダーとを含む表皮層と、を備えるボール用人工皮革を開示し、このようなボール用人工皮革を用いることにより、ボールの表皮層が溶融したように削れてしまう現象が著しく抑制されたことを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-284251号公報
【文献】特開2016-67666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
人工皮革を表皮材として用いた気体注入型ボールにおいては、人工芝上で、人工芝を構成する樹脂またはゴムが、ボールと強く擦れて溶融する現象以外に、表皮材自身が摩擦熱により溶融する現象が認められた。さらに、近年では、フットサルのように体育館でプレーされることも多くなり、体育館においてはこの溶融現象がさらに顕著に発生するため、耐摩擦溶融性能の向上が求められるようになった。一方、別の現象として、空気が抜かれてコンパクト化されて運搬され、運搬先で空気を注入することにより膨らませることを繰り返された気体注入型ボールには、表皮材の表面にコンパクト化したときに発生するシワの型が残ることがあった。
【0008】
本件発明者は、摩擦熱により溶融する現象を抑制するためには、耐熱性の高い、100%モジュラスが高いポリウレタンを含む表皮層を含む表面樹脂層を備える人工皮革をボール用表皮材として用いることが好ましいことの知見を有していた。しかし、100%モジュラスが高いポリウレタンを表皮層に用いた場合、コンパクト化したときに発生するシワが残りやすいことを知見した。
【0009】
本発明は、表皮材の摩擦熱により溶融する現象を抑制できることと、コンパクト化して運搬するために空気を出し入れすることを繰り返しても、表皮材の表面にシワが残りにくいこととを両立させた、気体注入型ボールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面は、繊維基材と、繊維基材の一面側に配された表面樹脂層と、を備え、表面樹脂層は、シリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンを主体とする100%モジュラスが4~8MPaである第1の高分子弾性体とプロテインパウダーとを含む表皮層を少なくとも備える人工皮革であるボール用表皮材である。100%モジュラスが4~8MPaである第1の高分子弾性体を主体とする表皮層を備えた人工皮革によれば、コンパクト化して運搬するために空気を出し入れすることを繰り返しても、表皮材の表面に収縮時のシワが残りにくくなる。しかし、100%モジュラスが4~8MPaのように柔らかいポリウレタンは耐熱性が低いために摩擦熱により溶融しやすくなる。本発明に係るボール用表皮材においては、表皮層にプロテインパウダーを配合し、さらに、シリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンを用いて摩擦抵抗を低減させることにより、100%モジュラスが4~8MPaのように柔らかいポリウレタンを主体とする表皮層であっても、溶融したように削れてしまう現象が抑制される。その結果、気体注入型ボールにおいて、表皮材が摩擦熱により溶融する現象を抑制しながら、コンパクト化して運搬するために空気を出し入れすることを繰り返しても、表皮材の表面にシワが残りにくい気体注入型ボールが得られる。
【0011】
表皮層中のプロテインパウダーの含有割合は1~20質量%であることが、コンパクト化して運搬するために空気を出し入れすることを繰り返しても、表皮材の表面にシワが残りにくい点から好ましい。
【0012】
また、ボール用表皮材は、繊維基材が、0.5dtex以下の極細繊維の不織布と不織布に含浸付与された第2の高分子弾性体とを含み、表面樹脂層が、繊維基材の一面側に積層された厚さ30~100μmの接着層と、接着層に積層された厚さ10~30μmの中間層と、中間層に配された厚さ10~30μmの表皮層とを含む人工皮革であることが、サッカーボールに求められる特性バランスに優れる点から好ましい。
【0013】
また、本発明の他の一局面は、気体を注入して膨らませて用いられる気体注入型ボールであって、気体を注入されて膨張する球形のチューブと、チューブの外周面を覆う上記何れかのボール用表皮材と、チューブ内部に空気を注入するためのバルブとを備える気体注入型ボールである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表皮材が摩擦熱により溶融する現象を抑制できることと、コンパクト化して運搬するために空気を出し入れすることを繰り返しても、表皮材の表面にシワが残りにくいこととを両立させた、気体注入型ボールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明に係るボール用表皮材の一実施形態を説明する、人工皮革10の断面模式図である。
図2図2は、本発明に係る気体注入型ボール100の内部の層構成を説明するための断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るボール用表皮材は、気体を注入して膨らませて用いられるサッカーやバレーボール等の競技に用いられる気体注入型ボールの表皮材として用いられる。そして、ボール用表皮材は、繊維基材と、繊維基材の一面側に配された表面樹脂層と、を備える人工皮革であり、表面樹脂層は、シリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンを主体とする100%モジュラスが4~8MPaである第1の高分子弾性体とプロテインパウダーとを含む表皮層を少なくとも備える。
【0017】
図1は、本発明に係るボール用表皮材である人工皮革の一実施形態である、人工皮革10の断面模式図である。図1中、1は不織布及び不織布に含浸付与された高分子弾性体を含む繊維基材である。また、2は繊維基材の一面側に積層接着された表面樹脂層である。表面樹脂層2は、繊維基材1の一面側の最表層に積層された表皮層2aと、表皮層2aを積層する中間層2bと、中間層2bと繊維基材1とを接着する接着層2c、とを含む。
【0018】
繊維基材としては、例えば、不織布及び不織布に含浸付与された高分子弾性体(第2の高分子弾性体)を含む繊維基材が用いられる。
【0019】
不織布の種類は特に限定されない。不織布を形成する樹脂の具体例としては、例えば、ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド610,芳香族ポリアミド,ポリアミドエラストマー等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリトリメチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリエステルエラストマー等のポリエステル;アクリル樹脂;ポリオレフィン;ポリビニルアルコール樹脂等の、繊維形成能を有する合成樹脂から形成された繊維や、各種天然繊維や半合成繊維等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0020】
不織布を形成する繊維の繊度は特に限定されないが、0.5dtex以下、さらには0.0001~0.5dtex、とくには0.0001~0.2dtexであることが好ましい。繊維の繊度が高すぎる場合には人工皮革の表面平滑性が低下する。なお、繊度は、得られた立毛人工皮革の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を3000倍で撮影し、繊維の断面をランダムに10個選んで断面積を測定し、その断面積の平均値を算出し、各樹脂の密度から換算して算出される。
【0021】
不織布に含浸付与される高分子弾性体の種類は特に限定されない。具体的には、例えば、ポリウレタン;アクリロニトリル-ブタジエン共重合体やアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの共重合体等のアクリル系弾性体;ポリアミド系弾性体;シリコーンゴム;等の各種高分子弾性体が挙げられる。これらの中では、良好な風合が得られる点からポリウレタンがとくに好ましい。なお、ポリウレタンとしては、ポリエステル系ポリウレタン,ポリエーテル系ポリウレタン,ポリカーボネート系ポリウレタン等が挙げられる。高分子弾性体は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、高分子弾性体は、必要に応じて、顔料,充填剤,耐光安定剤,熱安定剤,酸化防止剤,紫外線吸収剤,蛍光剤等の添加剤などを含有してもよい。
【0022】
不織布に含浸付与される高分子弾性体の含有割合は特に限定されないが、繊維基材に対して、3~50質量%、さらには、5~25質量%の範囲であることが好ましい。
【0023】
繊維基材の厚さは特に限定されないが、0.3~2mm、さらには0.8~1.5mmであることが好ましい。繊維基材が薄すぎる場合には、ボールを製造する際の縫製の際に皺が発生しやすくなる傾向があり、厚すぎる場合にはボールが重くなりすぎる傾向がある。
【0024】
本実施形態の人工皮革に含まれる表面樹脂層は、人工皮革に天然皮革に似た外観及び風合いを付与するとともに、耐摩耗性等の耐久性を付与するための樹脂層である。そして、表面樹脂層は、シリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンを主体とする100%モジュラスが4~8MPaである第1の高分子弾性体とプロテインパウダーとを含む表皮層を、少なくとも備える。表面樹脂層は、表皮層を備える限り、単層構造であっても、その他の層を含む複数の層が積層された多層構造を有していてもよい。また、表皮層は、好ましくは、最表層に配される。図1に示した人工皮革10においては、表面樹脂層2は、表皮層2aと、中間層2bと、中間層2bと繊維基材1とを接着する接着層2cとを有する。
【0025】
表皮層は、シリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンを主体とする100%モジュラスが4~8MPaである第1の高分子弾性体とプロテインパウダーとを含む。ここで、シリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンを主体とするとは、表皮層に含まれる樹脂成分である第1の高分子弾性体中の50質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上がシリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンであることを意味する。また、表皮層に含まれるシリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンの含有割合は、40質量%以上、さらには50質量%以上、とくには60質量%以上であることが好ましい。
【0026】
シリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンとは、分子中にオルガノシロキサン単位(シリコーン単位)が共重合体単位として組み込まれ、高分子ポリオール単位としてポリカーボネートポリオールに由来する単位を含む、ポリウレタンである。オルガノシロキサン単位は、シリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンの分子中に導入されていれば特に限定されず、主鎖に導入されていてもよく、側鎖に導入されていてもよい。このようなシリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンは、例えば、ポリカーボネートポリオールを含む高分子ポリオール,鎖伸長剤,活性水素基含有オルガノポリシロキサン,及び有機ポリイソシアネートを含むポリウレタン原料を反応させることにより製造することができる。
【0027】
オルガノシロキサン単位は、式:-Si(-R)-O-(式中、R基は置換基である)で表される。R基で表される置換基としては、例えば、メチル,エチル,プロピル,ブチル,ヘキシル,オクチル,デシルアルキル基,アリール基,シクロアルキル基等のアルキル基;フェニル,メチルフェニル(トリル),ジメチルフェニル(キシリル),ナフチル等のアリール基;シクロペンチル,シクロヘキシル,メチルシクロヘキシル等のシクロアルキル基等が挙げられる。
【0028】
シリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンのオルガノシロキサン単位の割合は特に限定されないが、1~50質量%、さらには2~30質量%、とくには、3~15質量%であることが好ましい。
【0029】
高分子ポリオールとしては、平均分子量500~3000の各種ポリオール、具体的には、例えば、ポリカーボネートポリオール,ポリエステルポリオール,ポリエーテルポリオール,ポリエーテルエステルポリオール等が挙げられる。なお、ポリカーボネート系ポリウレタンとは、高分子ポリオールに由来する単位の50モル%以上、さらには90モル%以上がポリカーボネートポリオールに由来する単位であるポリウレタンを意味する。高分子ポリオールは、それぞれを単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
また、鎖伸長剤としては、イソシアネート基と反応し得る活性水素を分子中に2個以上有する分子量300以下の低分子化合物が挙げられる。鎖伸長剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール,プロピレングリコール,1,4-ブタンジオール,1,6-ヘキサンジオール、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン,1,4-シクロヘキサンジオールなどのジオール類;ヒドラジン,エチレンジアミン,プロピレンジアミン,ヘキサメチレンジアミン,ノナメチレンジアミン,キシリレンジアミン,イソホロンジアミン,ピペラジンおよびその誘導体,アジピン酸ジヒドラジド,イソフタル酸ジヒドラジドなどのジアミン類;ジエチレントリアミン等のトリアミン類;トリエチレンテトラミン等のテトラミン類;トリメチロールプロパン等のトリオール類;ペンタエリスリトール等のペンタオール類;アミノエチルアルコール,アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコール類等が挙げられる。また、鎖伸長剤とともに、エチルアミン,プロピルアミン,ブチルアミンなどのモノアミン類;4-アミノブタン酸,6-アミノヘキサン酸などのカルボキシル基含有モノアミン化合物;メタノール,エタノール,プロパノール,ブタノールなどのモノオール類を併用してもよい。
【0031】
また、有機ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,ノルボルネンジイソシアネート,水添メチレンジイソシアネート(4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)等の脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネート(無黄変型ジイソシアネート);フェニレンジイソシアネート,2,4-トリレンジイソシアネート,2,6-トリレンジイソシアネート,4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート,キシリレンジイソシアネート等の芳香環ジイソシアネート;等が挙げられる。
【0032】
なお、第1の高分子弾性体は、シリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタン以外のポリウレタンを50質量%未満の範囲で含んでもよい。このようなシリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタン以外のポリウレタンとしては、シリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタン以外のポリカーボネート系ポリウレタン,ポリエステル系ポリウレタン,ポリエーテル系ポリウレタン,ポリエーテルエステル系ポリウレタン等が挙げられる。
【0033】
第1の高分子弾性体は、シリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンを主体とする100%モジュラスが4~8MPaである高分子弾性体である。このような100%モジュラスが4~8MPaである第1の高分子弾性体を表皮層に含むことにより、気体注入型ボールをコンパクト化して運搬するために空気を出し入れすることを繰り返しても、表皮材の表面に収縮時のシワが残りにくくなる。第1の高分子弾性体の100%モジュラスが4MPa未満の場合には、表皮材が摩擦熱により溶融する現象を生じやすくなり、第1の高分子弾性体の100%モジュラスが8MPa超の場合には、表皮材の表面にシワが残りやすくなる。なお、高分子弾性体の100%モジュラスは、高分子弾性体の種類の選択や架橋密度を調製することにより適宜調整できる。
【0034】
ポリウレタンとしては2液型ポリウレタンが好ましく用いられる。2液型ポリウレタンを架橋するための架橋剤としては、公知の架橋剤であれば特に限定されない。その具体例としては、例えば、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、有機ポリイソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、メラミンホルムアミド化合物、ユリアメチロール化合物などが挙げられる。ポリウレタンと架橋剤との質量比としては50/1~50/10、さらには50/2~50/7であることが湿潤時に膨潤しにくく、風合いにも優れる点から好ましい。
【0035】
そして、表皮層はプロテインパウダーを含む。プロテインパウダーとは、シルク,コラーゲン,卵殻膜等のたんぱく質を微粉末化した材料である。具体的には、例えば、絹の繊維を機械的に微粉末化したシルクプロテインパウダーや、卵殻膜を機械的に微粉末化した卵殻膜パウダー、天然コラーゲン繊維を微粉末化したコラーゲンパウダー等が挙げられる。これらの中では、非水溶性のプロテインパウダー、とくには非水溶性のシルクプロテインパウダーが、使用時に水と接触しても溶解せず、効果の持続性が高い点から好ましい。
【0036】
表皮層中のプロテインパウダーの含有割合としては、1~20質量%、さらには5~10質量%であることが好ましい。表皮層中のプロテインパウダーの含有割合が低すぎる場合には、表皮材が摩擦熱により溶融する現象が充分に抑制されなくなる傾向がある。また、表皮層中のプロテインパウダーの含有割合が高すぎる場合には、製造コストが高くなる傾向がある。
【0037】
表皮層の厚さは、10~30μm、さらには12~25μm、とくには15~20μmであることが好ましい。表皮層が薄すぎる場合には、微粉末を混合した場合に機械的な耐摩耗性(例えばテーバー摩耗)が悪くなる傾向がある。また、表皮層が厚すぎる場合には、好ましくないゴムライクな風合いになる傾向があり、また、製造コストも高くなる傾向がある。
【0038】
また、中間層は、ボール用人工皮革に弾性を付与するための高分子弾性体を含む層である。中間層を形成する高分子弾性体の種類は特に限定されず、ポリウレタン;アクリロニトリル-ブタジエン共重合体やアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの共重合体等のアクリル系弾性体;ポリアミド系弾性体;シリコーンゴム等の各種高分子弾性体が挙げられる。これらの中では、ポリウレタン、とくには、ポリエーテル系ポリウレタン,ポリエステル系ポリウレタン,ポリカーボネート系ポリウレタンが、とくには、ポリエーテル系ポリウレタンが、気体注入型ボールの表皮材として用いる場合の各種特性のバランスに優れる点から好ましい。また、高分子弾性体は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
中間層を形成する高分子弾性体の100%モジュラスは特に限定されないが、4~10MPa、さらには、5~8MPaであることが風合いと表皮材の表面にシワが残りにくくなる特性にとくに優れる点から好ましい。
【0040】
また、中間層の厚さは、10~30μm、さらには12~25μm、とくには15~20μmであることが好ましい。中間層の厚さが薄すぎる場合には、ボール用人工皮革の表層に充分な弾性を付与しにくくなる傾向がある。
【0041】
接着層は、表面樹脂層を繊維基材に接着するための接着剤から形成される。このような接着剤としては、ポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリアミド系接着剤、シリコーンゴム系接着剤等の各種高分子弾性体の接着剤が好ましく用いられる。これらの中ではポリウレタン系接着剤、とくには、架橋タイプのポリウレタン系接着剤が好ましい。架橋タイプのポリウレタン系接着剤から形成される接着層は水に膨潤しにくいために、水に濡れるような過酷な条件でボールが使用された場合にも表皮層との高い接着力を維持することができる。
【0042】
また、接着層の厚さは30~100μm、とくには40~60μmであることが好ましい。接着層が薄すぎる場合には、表面樹脂層を繊維基材に接着するための充分な接着力を発現しにくくなる傾向がある。
【0043】
上述した各層にはそれぞれ、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、顔料,充填剤,耐光安定剤,熱安定剤,酸化防止剤,紫外線吸収剤,蛍光剤等の添加剤等を配合してもよい。また、中間層や接着層にもプロテインパウダーが配合されてもよい。とくには、表面樹脂層を着色して、繊維基材を隠ぺいするために、各層には、酸化チタン等の白色顔料やカーボンブラック等の黒色顔料、その他、酸化鉄、シリカ等の無機粒子等の添加剤をさらに配合することが好ましい。例えば、表皮材を白色に着色する場合には酸化チタンが、黒色に着色する場合にはカーボンブラックが配合される。
【0044】
各層中の添加剤の含有割合としては、10~50質量%、さらには20~40質量%、とくには25~35質量%であることが好ましい。各層中の添加剤の含有割合が高すぎる場合には、各層が硬く、脆くなりやすく、耐摩耗性が低下する傾向がある。また、各層のそれぞれに含有される添加剤の割合が低すぎる場合には、繊維基材を充分に隠蔽できなくなったりする傾向がある。
【0045】
また、各層は、非発泡性の高分子弾性体を含む層であることが、高い耐摩耗性を維持できる点から特に好ましい。
【0046】
また、上述した各層の厚さは、いずれも平均厚さである。各層の厚さは、無作為に選びだした少なくとも30箇所の膜厚の平均を算出した値である。
【0047】
表面樹脂層の全体厚さとしては、50~120μm、さらには60~80μmであることが好ましい。
【0048】
本実施形態の人工皮革の厚さとしては、0.8~2mm、さらには1.0~1.5μmであることが好ましい。
【0049】
図1に示すように、ボール用表皮材である人工皮革10においては、中間層2bに積層された表皮層2aを備え、中間層2bが接着層2cを介して繊維基材1に接着されている。このような、表皮層と中間層と接着層とを含む表面樹脂層は、例えば、次のようにして形成される。
【0050】
はじめに、離型紙上に乾式造面により表皮層を形成し、形成された表皮層に中間層を積層接着したフィルムを形成する。そして、形成された中間層の表面に接着剤を塗布して接着層を形成する。そして、接着層を介して、フィルムの中間層の側を繊維基材表面に接着した後、接着剤を硬化させる。そして、接着剤を硬化させた後、表皮層の表面から離型紙を剥離することにより、表面樹脂層が形成される。
【0051】
表面樹脂層は、凸部面積比が30~60%であり、シボ粗さ(Sa)が5~50μmであるシボのパターンを有することが好ましい。凸部面積比が低すぎる場合には、凸部に他の物体の表面が接触したときに、凸部が摩耗してシボが削れやすくなる傾向がある。また、凸部面積比が高すぎる場合には、他の物体の表面に接触したときに摩擦される面積が広く連続的になるために、ツヤの変化が大きくなる傾向がある。また、シボ粗さ(Sa)が小さすぎる場合には、他の物体の表面に接触したときの圧力によっては凹部も摩耗されてしまうために、ツヤの変化が大きくなる傾向がある。
【0052】
なお、凸部面積比とシボ粗さは、形状測定機である「ワンショット3D測定マクロスコープVR-3200」(株)キーエンス製)を用いてISO 25178(面粗さ測定)に準じて測定できる。具体的には、表面樹脂層の表面の54mm×72mmの範囲を高輝度LEDから照射された構造化照明光により、400万画素モノクロC-MOSカメラで12倍の倍率で歪みの生じた縞投影画像撮影を行い、うねり除去5%の条件で歪みを補正することにより、計測される。
【0053】
このようにして、本実施形態のボール用表皮材である人工皮革が得られる。このような人工皮革は、気体注入型ボールの表皮材として好ましく用いられる。このような人工皮革を用いたボール用表皮材は、上述したような摩擦熱により溶融する現象を抑制でき、また、コンパクト化して運搬するために空気を出し入れすることを繰り返しても、表皮材の表面にシワが残りにくい。
【0054】
上述したような人工皮革を表皮材として用いた、サッカーやバレーボールに用いられる、気体注入型ボールの構成の一例を、図2を参照して説明する。
【0055】
図2は、本実施形態の人工皮革10を表皮材として用いた球形の気体注入型ボール100の一部分の断面を拡大した模式断面図を示し、内側が空気等の気体を注入されて基体を保持する側であり、外側が外部に露出する側である。図2中、11は人工皮革10を五角形状または六角形状に切り抜いた表皮パネル部材であり、15は隣接する表皮パネル部材を縫合する縫糸であり、18はバルブであり、20は球形のチューブである。例えば、六角形状の表皮パネル部材の枚数は20枚であり、五角形状の表皮パネル部材の枚数は12枚である。隣接する表皮パネル部材11が球形に配置されて縫糸15で縫い合わされることにより、気体注入型ボール10の表皮が形成されている。
【0056】
チューブ20は、例えば、気密性を有するブチルゴムやラテックスゴムから形成されている球形のチューブである。そして、図2に示すように、表皮パネル部材11及びチューブ20を貫通し、気体注入型ボール100の外側に気体注入口が配されるようにバルブ18が設けられている。そして、バルブ18を介して、球形のチューブ20内に圧縮空気が注入されることにより、チューブ20が膨張して球形の気体注入型ボールが形成される。また、バルブ18から気体を抜くことにより、気体注入型ボールは収縮してコンパクト化される。
【0057】
このような気体注入型ボールにおいては、コンパクト化して運搬するために空気を出し入れすることを繰り返した場合に表皮材の表面にシワが残ることがあったが、本実施形態の人工皮革を表皮材として用いた場合には、表面にシワが残りにくくなる。
【実施例
【0058】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は下記実施例に限定されるものではない。はじめに、本実施例で用いた評価方法を以下にまとめて説明する。
【0059】
(1)耐摩擦溶融性
得られたボール用人工皮革から短冊状試験片(3×6cm)を切り出した。そして、短冊状試験片の表面樹脂層が形成された面を1800rpmで回転する桜製ローラー(直径73mm、巾26mm)に荷重2.0lb(907g)で2秒間又は荷重2.5lb(1135g)で5秒間接触させた。そして、摩擦溶融面の状態を次の基準で目視により判定した。
A:摩擦溶融が殆ど生じなかった。
B:表皮層の一部が摩擦溶融していたが、シボは残っていた。
C:表皮層が溶融し、シボがなくなっていた。
D:表皮層が溶融して不織布が見えていた。もしくは穴が開いていた。
【0060】
(2)表面のシワ形成性
作製したボールの空気を抜いて半球状にした状態で、温度20℃、湿度50%に調整した部屋に48時間放置した。その後、再度空気を入れて24時間放置した後、ボールの表皮パネル部材の表面を目視で確認し、次の基準で判定した。
A:しわが残らなかった。
B:しわが残った。
【0061】
(3)高分子弾性体の100%モジュラス
各層を形成するために用いた高分子弾性体の厚さが50~100μmのフィルムを作製した。このフィルムから試験片2.5cm×16cmを作成し、JISL1096の8.14.1「引張強度試験」に記載の測定方法に準じて応力-歪み曲線を得た。そして、応力-歪み曲線から100%伸びたときの応力を読み取り、100%モジュラスを求めた。
【0062】
(4)表皮層の各層の厚さ
得られたボール用人工皮革の厚さ方向と平行な任意の断面をSEMで300倍で観察した。そして、無作為に選び出した30箇所の膜厚を測定し、その平均値を求めた。
【0063】
[実施例1]
島成分であるポリアミド6と海成分であるポリエチレンとをそれぞれ単軸押出機中で溶融し、複合紡糸ノズルから質量比50:50、25島の海島型複合繊維を溶融紡糸した。そして、複合紡糸ノズルから吐出された海島型複合繊維を3500m/分の空気流で延伸しながら捕集ネットに吹き付けることにより長繊維のウェブを形成させた。得られたウェブの目付けは30g/m2であり、海島型複合繊維の繊度は2dtexであった。
【0064】
得られたウェブを、ウェブの長さ方向に対して、折り返し角度84度になるように一定間隔で連続的に折り畳みを繰り返すことによりウェブが10層積み重ねられた、幅176cm、目付け593g/m2の積重ウェブを得た。そして、得られた積重ウェブに、1バーブのフェルト針を用いて1400パンチ/cm2のニードルパンチ処理した後、幅方向に張力を付与して拡幅処理することにより、10%の巾出しを行い、さらに、加熱ロール間を通過させて熱プレス処理することにより、目付け420g/m2、厚さ1.6mmの海島型複合繊維の長繊維からなる絡合不織布を得た。
【0065】
次に、海島型複合繊維の絡合不織布にポリエステル系ポリウレタンの18%DMF溶液を含浸させ、水中で多孔質状に湿式凝固させた。そして、海島型複合繊維の海成分であるポリエチレンを95℃のトルエンで抽出除去することにより、海島型複合繊維を極細繊維に変換した。このようにして、0.03dtexのポリアミド6の長繊維の不織布及びポリエステル系ポリウレタンを含む、密度0.36g/cm、目付け415g/m2、厚さ約1.15mmの繊維基材が得られた。
【0066】
一方、シリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタン(NY-324:DIC(株)製、固形分25%)100質量部、酸化チタン20質量部、非水溶性のシルクプロテインパウダー(イデアテックスジャパン製の「プロテインパウダーG-SF」)5質量部、DMF20質量部、イソプロパノール10質量部、酢酸エチル10質量部を配合した表皮層用塗液を調製した。そして、表皮層用塗液を、円形の凸部を有する離型紙(FAVINI製PERLAGE)の表面にウェット塗布量120g/m2で塗布した後、乾燥することにより表皮層を形成した。表皮層はシルクプロテインパウダー12.5質量%及び酸化チタンを25質量%含有する。また、シリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンは、100%モジュラスが5.5MPaであった。
【0067】
次に、ポリエーテル系ポリウレタン(ME8116:大日精化工業(株)製、固形分30%)100質量部、酸化チタン30質量部、DMF30質量部、メチルエチルケトン30質量部、NE架橋剤(大日精化工業(株)製)3質量部を配合した中間層用塗液を調製した。そして、中間層用塗液を、表皮層の表面にウェット塗布量120g/m2で塗布した後、乾燥することにより中間層を形成した。中間層は酸化チタンを33質量%含有する。中間層のポリエーテル系ポリウレタンは、100%モジュラスが6MPaであった。
【0068】
そして、ポリエーテル系ポリウレタン(UD-8310:大日精化工業(株)製、固形分60%)100質量部、架橋剤タケネートD110N(三井化学(株)製)10質量部、架橋促進剤(QS:武田薬品工業(株)製)2質量部、DMF15質量部、酢酸エチル15質量部を配合した接着層用塗液を調製した。そして、接着層用塗液を、中間層の表面に、ウェット塗布量135g/m2で塗布した後、130℃で乾燥して接着層を形成した。そして、接着層のポリエーテル系ポリウレタンのタックが残る状態で、繊維基材の表面に貼り合わせて、さらに乾燥した。そして、接着層の架橋反応を促進するために、雰囲気温度60℃の乾燥機内で48時間のキュアリング処理を行った。そして、表皮層を覆う離型紙を剥がすことにより凹凸を有する表面を有する表面樹脂層を露出させた。
【0069】
このようにして、厚さ1.7mmのボール用人工皮革であるボール用表皮材が得られた。得られた人工皮革の断面を走査型電子顕微鏡(300倍)で観察し、無作為に選び出した30箇所の膜厚を測定し、その平均値を求めたところ、表皮層の厚さは20μm、中間層の厚さは20μm、接着層の厚さは55μmであった。また、表面樹脂層の表面は凸部面積比が32.5%であり、シボ粗さ(Sa)が14.1μmであるシボのパターンが形成されていた。
【0070】
そして、得られたボール用表皮材を用いて図2に示したような構造を有するサッカーボールを作製した。
【0071】
そして、得られたボール用表皮材及びサッカーボールの特性を上述した評価方法により評価した。サッカーボールの特性及び評価結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
[実施例2~実施例3]
表皮層を形成するための第1の高分子弾性体である、100%モジュラスが5.5MPaのシリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンの代わりに、100%モジュラスが4MPaまたは8MPaのシリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンを用いた以外は、実施例1と同様にしてボール用表皮材である人工皮革を製造し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0074】
[実施例4~実施例5]
表皮層中のプロテインパウダーの含有割合5質量%を3質量%または10質量%に変更した以外は、実施例1と同様にしてボール用表皮材である人工皮革を製造し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0075】
[比較例1]
表皮層中にプロテインパウダーを配合しなかった以外は、実施例1と同様にしてボール用表皮材である人工皮革を製造し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0076】
[比較例2]
表皮層中のプロテインパウダーをポリウレタンビーズに変更した以外は実施例1と同様にしてボール用表皮材である人工皮革を製造し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0077】
[比較例3]
表皮層を形成するための第1の高分子弾性体である、100%モジュラスが5.5MPaのシリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンの代わりに、100%モジュラスが11MPaのシリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンを用いた以外は、実施例1と同様にしてボール用表皮材である人工皮革を製造し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0078】
[比較例4]
表皮層を形成するための第1の高分子弾性体である、100%モジュラスが5.5MPaのシリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンの代わりに、100%モジュラスが5.5MPaのシリコーンで変性していない、ポリカーボネート系ポリウレタンを用いた以外は、実施例1と同様にしてボール用表皮材である人工皮革を製造し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0079】
[比較例5]
表皮層を形成するための第1の高分子弾性体である、100%モジュラスが5.5MPaのシリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタンの代わりに、100%モジュラスが5.5MPaのシリコーンで変性していない、ポリカーボネート系ポリウレタンを用い、さらに、プロテインパウダーを配合しなかった以外は、実施例1と同様にしてボール用表皮材である人工皮革を製造し、評価した。評価結果を表1に示す。
【符号の説明】
【0080】
1 繊維基材
2 表面樹脂層
2a 表皮層
2b 中間層
2c 接着層
10 人工皮革(ボール用表皮材)
11 表皮パネル部材
18 バルブ
20 チュー
図1
図2