(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法、および発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20240124BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L21/60 311S
(21)【出願番号】P 2020020800
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390022471
【氏名又は名称】アオイ電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(72)【発明者】
【氏名】大西 憲貴
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴章
(72)【発明者】
【氏名】岡田 修
(72)【発明者】
【氏名】河野 一郎
(72)【発明者】
【氏名】山下 良平
【審査官】八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-501650(JP,A)
【文献】特開2015-126209(JP,A)
【文献】特開2020-17580(JP,A)
【文献】特開2019-140361(JP,A)
【文献】特開2012-231036(JP,A)
【文献】特開2016-127289(JP,A)
【文献】中国実用新案第209328538(CN,U)
【文献】特開2011-96783(JP,A)
【文献】特開2014-159499(JP,A)
【文献】特開2019-208069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
H01L 33/48 -33/64
H01L 21/447-21/449
H01L 21/60 -21/607
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を放射する側をおもて面に向けて配置される複数の発光素子
、および、複数の前記発光素子の
一対の端子が裏面
で同一平面上に露出
するように複数の前記発光素子を封止して支持する支持体を有する発光基板を用意すること、
おもて面に配線が形成された配線基板を用意すること、
前記発光基板の前記裏面と、前記配線基板の前記おもて面とを、熱硬化性樹脂に導電性粒子が含有された異方性導電部材を挟んで対向配置すること、
前記異方性導電部材により前記発光基板の前記裏面と前記配線基板の前記おもて面を接合し、前記異方性導電部材に含まれる前記導電性粒子により、複数の前記発光素子の前記
一対の端子と前記配線基板の前記配線とを電気的に接続すること、
を備える、発光装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置の製造方法において、
前記発光基板として、少なくとも一部が透光性である樹脂により
同一平面上に露出する複数の前記発光素子
の光を放射する側を封止した基板を用意する、発光装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の発光装置の製造方法において、
前記発光基板の前記裏面の一部、または前記配線基板の前記おもて面の一部には、位置検出マークが設けられており、
前記異方性導電部材を前記位置検出マークと対向しない位置に配置する、発光装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の発光装置の製造方法において、
前記発光基板と前記配線基板との接合の前に、前記発光基板または前記配線基板の少なくとも一方の特性を確認する、発光装置の製造方法。
【請求項5】
光を放射する側をおもて面に向けて配置される複数の発光素子
、および、複数の前記発光素子の一対の端子が裏面で同一平面上に露出するように複数の前記発光素子を封止して支持する支持体を有する発光基板と、
配線が形成された配線基板と、
前記発光基板に配置された複数の前記発光素子
の前記一対の端子と前記配線基板上の前記配線とを電気的に接続する、導電性粒子を含有する樹脂から成る異方性導電部材と、
を備える発光装置。
【請求項6】
請求項5に記載の発光装置において、
前記発光基板は、少なくとも一部が透光性である樹脂により
同一平面上に露出する複数の前記発光素子
の光を放射する側を封止した基板である、発光装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の発光装置において、
前記発光基板の対角線長が100mm以上である、発光装置。
【請求項8】
請求項5から請求項7までのいずれか一項に記載の発光装置において、
1000個以上の前記発光素子を含む、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置の製造方法、および発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電極を有する基板に対し、LED素子を、接着剤に導電粒子が含有された異方性導電接着剤で接着した発光装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、1つのLED素子を含むLEDチップを、電極を有する基板に対して異方性導電接着剤で接着した発光装置を開示する。
しかし、多数のLED素子を有する発光装置、およびその製造方法については示されておらず、多数のLED素子を有する大面積の発光装置を、高い生産性で製造することは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によると、発光装置の製造方法は、光を放射する側をおもて面に向けて配置される複数の発光素子を有し、複数の前記発光素子の端子が裏面に露出している発光基板を用意すること、おもて面に配線が形成された配線基板を用意すること、前記発光基板の前記裏面と、前記配線基板の前記おもて面とを、熱硬化性樹脂に導電性粒子が含有された異方性導電部材を挟んで対向配置すること、前記異方性導電部材により前記発光基板の前記裏面と前記配線基板の前記おもて面を接合し、前記異方性導電部材に含まれる前記導電性粒子により、複数の前記発光素子の前記端子と前記配線基板の前記配線とを電気的に接続すること、を備える。
第2の態様によると、発光装置は、複数の発光素子が配置された発光基板と、配線が形成された配線基板と、前記発光基板に配置された複数の前記発光素子と前記配線基板上の前記配線とを電気的に接続する、導電性粒子を含有する樹脂から成る異方性導電部材と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
低コストで、大面積の発光面を備えた発光装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態の発光装置を示す図。
図1(a)は斜視図を示し、
図1(b)は上面図を示し、
図1(c)は、
図1(b)の線分Aにおける部分断面図を示す。
【
図2】発光装置の製造方法を説明する図。
図2(a)は用意する発光基板の下面図。
図2(b)は用意する配線基板の上面図。
図2(c)は発光基板、配線基板、および異方性導電部材を、位置整合して対向配置している状態を示す斜視図。
【
図3】発光装置の製造方法を説明する図であって、
図2に続く工程を示す図。
図3(a)は、発光基板、配線基板、および異方性導電部材を、位置整合して対向配置している状態を示す部分断面図。
図3(b)は、発光基板と配線基板とを、異方性導電部材を介して接合した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(一実施形態の発光装置)
図1は、一実施形態の発光装置1を示す図である。
図1(a)から
図1(c)の各図に矢印で示したX方向、Y方向およびZ方向は互いに直交する方向であり、各矢印の方向を+方向とする。X方向、Y方向およびZ方向は、
図1(a)から
図1(c)および以降の各図において、それぞれ同じ方向を示している。
【0009】
以降、+Z方向を「上方」とも呼び、各部材を+Z方向から見ることを「上方から見る」とも呼ぶ。各部材を-Z方向から見ることを「下方からから見る」とも呼ぶ。各部材を上方から見た図を「上面図」と呼び、各部材を下方から見た図を「下面図」と呼ぶ。
【0010】
図1(a)は発光装置1の斜視図であり、
図1(b)は発光装置1の上面図であり、
図1(c)は、
図1(b)に示した線分Aにおける発光装置1の部分断面図を示す。
図1(a)に示したとおり、発光装置1は、その+Z側に配置されている発光基板10と、その-Z側に配置されている配線基板20とが接合されて形成されている。
以下では、発光基板10の+Z側の面を「おもて面」10fと呼び、-Z側の面を「裏面」10bと呼ぶ。また、配線基板20の+Z側の面を「上面」20fと呼ぶ。
【0011】
図1(a)および
図1(b)に示したとおり、発光基板10には、発光素子12が、一例としてX方向およびY方向に沿って2次元的に複数配置されている。
図1(a)および
図1(b)は、X方向に9個、Y方向に6個、合計で54個の発光素子12が配置された状態を示している。ただし、発光素子12はX方向およびY方向に共に数十個以上配置され、その総数が1000個以上であっても良い。さらに、発光素子12はX方向およびY方向に共に数百個以上配置され、その総数が数万個以上であっても良い。
発光基板10の対角線長は、一例として、100mm以上であっても良い。
【0012】
一例として、配線基板20のY方向の長さは発光基板10のY方向の長さより長く、配線基板20の上面20fの+Y方向および-Y方向の端部の近傍は、発光基板10と対向することなく露出している。配線基板20の上面20fの+Y方向の端部および-Y方向の端部の近傍には、
図2(b)等に示した配線22の一部である接続部22cおよび接続部22dがそれぞれ形成されている。
【0013】
配線22の大部分は発光基板10により遮蔽されるため、
図1(a)および
図1(b)には示していない。そこで、配線基板20の上面図を示した
図2(b)を参照して、配線基板20の上面20fに形成されている配線22の形状の一例を説明する。
【0014】
配線22は、一例として
図2(b)に示したように、それぞれY方向に伸び、かつX方向に交互に配置される配線22aおよび配線22bとを含む。複数の配線22aおよび配線22bのそれぞれのX方向の配置の周期は、発光基板10上に配置されている発光素子12のX方向の配置の周期と等しい。
【0015】
さらに、複数の配線22aの+Y方向の端部は相互に接続されており、接続された+Y方向の端部の一部に接続部22cが形成されている。一方の複数の配線22bの-Y方向の端部も相互に接続されており、接続された-Y方向の端部の一部に接続部22dが形成されている。
配線22a、配線22b、接続部22c、および接続部22dを合わせて、またはそれぞれを、配線22とも呼ぶ。
【0016】
図1(c)は、
図1(b)に示した発光装置1の線分Aに相当する部分を-Y側から見た状態を示す部分断面図である。
図1(c)に示したように、発光素子12は、一例として無機または有機のLED13、蛍光部材14、および端子15a、15bを含み、LED13は端子15a、15bから供給される電力により発光する。
【0017】
蛍光部材14の+Z側には、透光性の樹脂11bが設けられており、LED13から発せられ、その少なくとも一部が蛍光部材14により波長変換された光は、樹脂11bを透過して、おもて面10fから発光装置1の外部に放射される。換言すれば、発光素子12のうち、光を放射する側であるLED13および蛍光部材14が、発光基板10のおもて面10fを向くように配置されている。
複数の発光素子12が配置されていることにより、発光基板10のおもて面10fは大面積の発光面として機能する。
【0018】
発光素子12のうち、透光性の樹脂11bと接していない部分は、端子15a、15bの-Z側の端部を除いて、樹脂11aに覆われている。樹脂11aは透光性であっても良く、透光性でなくても良い。樹脂11aと樹脂11bとは、複数の発光素子12を支持する支持体11を構成している。発光基板10は、支持体11と複数の発光素子12を含んで構成されている。
【0019】
発光基板10の裏面10bと配線基板20の上面20fとは、異方性導電部材30を介して接合されている。異方性導電部材30は、導電性粒子32a、32b(以下では、合わせて「導電性粒子32」とも呼ぶ)を含有する樹脂31から成る部材である。樹脂31は、一例として熱硬化性樹脂であり、発光基板10と配線基板20とを接合する接着剤としても機能している。導電性粒子32は、一例として、ニッケルの表面に金めっき層が形成された略球状の粒子である。
【0020】
発光基板10の端子15a、15bと配線基板20の配線22a、22bとがそれぞれ対向する部分では、異方性導電部材30内の導電性粒子32aが、端子15a、15bおよび配線22a、22bと接触している。従って、それぞれ対向する端子15a、15bと配線22a、22bとの間は、導電性粒子32aにより電気的に接続されている。
【0021】
一方、端子15a、15bと配線22a、22bとが対向しない部分では、異方性導電部材30の内部において導電性粒子32bは、端子15a、15bまたは配線22a、22bの少なくとも一方とは接触することなく配置されている。このため、対向しない端子15a、15bと配線22a、22bとの間、複数の端子15a、15bの間、および複数の配線22a、22bの間は、樹脂31により電気的に絶縁された状態となっている。
【0022】
不図示の電源から不図示の導線を介して、一例として接続部22dに基準電圧を、接続部22cに基準電圧よりプラスの電圧を印加すると、プラスの電圧は、接続部22cから配線22aを経て発光素子12の端子15aに印加される。一方、接続部22dに印加された基準電圧は配線22bを経て発光素子12の端子15bに印加される。これにより、発光素子12の2つの端子15b、15b間に電圧(電位差)が印加され、発光素子12は発光する。
【0023】
上述の一実施形態の発光装置1においては、配線22のうちの接続部22c、22dを露出させるために、配線基板20のY方向の長さを発光基板10のY方向の長さよりも長くした。しかし、接続部22c、22dが配線基板20の側面に設けられている場合など、接続部22c、22dを配線基板20の上面20fに露出させる必要が無い場合には、配線基板20のY方向の長さを発光基板10のY方向の長さと同じ、または短くしても良い。
【0024】
また、接続部22c、22dが露出する位置は、配線基板20のY方向の両端に限られるわけではなく、配線基板20のX方向の両端、あるいは、配線基板20のX方向またはY方向の一端であっても良い。
配線基板20の上面20fに形成されている配線22の形状は、上述の形状に限られるわけではなく、端子15a、15bのそれぞれが配線22a、22bのそれぞれと対向して配置される形状であれば、他の形状であっても構わない。
【0025】
また、発光素子12に含まれる発光部は、上述のLED13に限られるわけではなく、他の発光デバイスであっても良い。LED13や他の発光デバイスが広い波長域の光を発するものである場合には、発光素子12は蛍光部材14を有しなくても良い。また、蛍光部材14の保護が不要であれば、透光性の樹脂11bを有しなくても良い。
【0026】
(一実施形態の発光装置の製造方法)
以下、
図2および
図3を参照して、一実施形態の発光装置1の製造方法の実施形態について説明する。なお、以降の説明は、発光装置1の製造方法のみを説明するものではなく、一実施形態の発光装置1を構成する各部の詳細な構成についても合わせて説明するものであることに留意されたい。
【0027】
(工程1)
図2(a)に示した発光基板10を用意する。
図2(a)は、発光基板10の下面図である。
発光基板10は、一例としてX方向およびY方向に平行な辺を有する長方形の基板であり、上述したように、発光素子12がX方向およびY方向に沿って2次元的に複数配置されているものである。
【0028】
上述の
図1(c)に示したとおり、発光基板10は複数の発光素子12を有しており、それぞれの発光素子12は、光を放射する側であるLED13および蛍光部材14が、発光基板10のおもて面10fを向くように配置されている。また、発光素子12のうちLED13および蛍光部材14は、樹脂11a等を含む支持体11により封止されており、発光素子12の中の端子15a、15bの-Z側の端部のみが、発光基板10の裏面10bに露出している。従って、
図2(a)においては、端子15a、15b以外の、支持体11により封止されている部分の発光素子12を破線で示している。
【0029】
支持体11の材質は樹脂に限られるものではなく、例えば無機材料であっても良い。ただし、樹脂から成る支持体11を使用することで、より低コストで発光基板10を用意することができる。
発光基板10は、一例として、複数の発光素子12を端子15a、15bを下にして不図示の仮設基板上に並べ、複数の発光素子12を樹脂でモールドした後に、不図示の仮設基板を剥離することにより、形成することができる。
【0030】
この場合、モールドに使用する樹脂として、全て透光性の樹脂を使用しても良く、発光素子12の+Z側を含む部分を透光性の樹脂で、それ以外の部分を非透光性の樹脂でモールドしても良い。
また、発光基板10が販売等されている場合には、それを購入して使用しても良い。
【0031】
(工程2)
図2(b)に示した配線基板20を用意する。
図2(b)は配線基板20の上面図である。配線基板20は、一例としてX方向およびY方向に平行な辺を有する長方形の基板であり、そのX方向の長さは発光基板10のX方向の長さ概ね等しい。一方、配線基板20のY方向の長さは発光基板10のY方向の長さより長い。
【0032】
配線基板20に含まれる基板21の上面20fには、一例として、それぞれY方向に伸び、かつX方向に交互に配置されている配線22aおよび配線22bが形成されている。複数の配線22aおよび配線22bのそれぞれのX方向の配置の周期は、発光基板10上に配置されている発光素子12のX方向の配置の周期と等しい。
【0033】
配線基板20は、一例として、基板21上にリソグラフィ技術やディスペンサーを用いて、銅等の導電体による配線22a、22bを形成することにより、形成することができる。
また、上述の配線基板20が販売等されている場合には、それを購入して使用しても良い。
【0034】
(工程3)
図2(c)に示したように、不図示の接合装置を用いて、用意した発光基板10の裏面10bと、用意した配線基板20の上面20fとを、熱硬化性樹脂に導電性粒子が含有された異方性導電フィルムである異方性導電部材30を挟んで対向配置する。
【0035】
図3(a)は、
図2(c)に示した状態の、対向して配置された発光基板10、異方性導電部材30、および配線基板20を-Y側から見た状態を示す部分断面図であって、
図2(a)および
図2(c)に示した線分Aに相当する部分のXZ断面を示した図である。
なお、
図2(c)における線分Aは、
図1(b)に示した完成品の発光装置1における線分Aに対応している。
【0036】
異方性導電部材30中の導電性粒子32は、上述したように、一例として、ニッケルの表面に金めっき層が形成された略球状の粒子である。
この対向配置において、端子15aおよび端子15bのそれぞれが、異方性導電部材30を挟んで、配線22aおよび配線22bと対向するように、発光基板10と配線基板20とのX方向およびY方向の位置関係を設定する。
【0037】
なお、配線基板20の上面20fに、位置検出マーク23を形成しておいても良い。そして、不図示の接合装置が有する位置検出光学系ALGにより、発光基板10の支持体11を介して位置検出マーク23の位置を検出して、発光基板10と配線基板20とのX方向およびY方向の位置関係を設定しても良い。
なお、異方性導電部材30は、位置検出光学系ALGの検出光束を遮らないように、位置検出マーク23の近傍を避けて配置する。
【0038】
位置検出マーク23は、配線22と所定の位置関係となる位置に形成しておく。位置検出マーク23は、配線基板20上に配線22を形成する工程で配線22と同時に形成しても良く、配線22とは別にレーザーマーカ等で形成しても良い。
位置検出マークは、配線基板20ではなく、発光基板10の裏面10bに形成しておいても良い。あるいは、配線基板20の上面20fと発光基板10の裏面10bの両方に形成しておいても良い。
【0039】
(工程4)
図2(c)および
図3(a)に示した状態から、発光基板10と配線基板20とを、Z方向にさらに近接させ、接触させる。そして、熱処理を行い、熱硬化性樹脂31を硬化させ発光基板10と配線基板20とを接着(接合)させる。
【0040】
図3(b)は、発光基板10と配線基板20とを、熱硬化性樹脂31により接着させた状態を示している。
このとき、対向して配置された端子15aと配線22aとの間に配置されている異方性導電部材30に含まれる導電性粒子32aは、端子15aおよび配線22aと接触する。また、対向して配置された端子15bと配線22bとの間に配置されている異方性導電部材30に含まれる導電性粒子32aは、端子15bおよび配線22bと接触する。従って、それぞれ対向する端子15a、15bと配線22a、22bとの間は、導電性粒子32aにより電気的に接続される。
【0041】
一方、端子15a、15bと配線22a、22bとが対向しない部分では、異方性導電部材30の内部において導電性粒子32bは、端子15a、15bまたは配線22a、22bのうちの2つ以上とは接触することなく配置されている。このため、対向しない端子15a、15bと配線22a、22bとの間、複数の端子15a、15bの間、および複数の配線22a、22bの間は、熱硬化性樹脂31により電気的に絶縁された状態となっている。
【0042】
なお、実施形態のように異方性導電部材30を用いるのではなく、バンプを用いて配線22a、22bと端子15a、15bとを接続する場合には、発光基板10と配線基板20とは、局所的に配置されたバンプのみによって接合される。従って、発光基板10と配線基板20との間で十分な接合力を得ることが難しく、信頼性に乏しい接合とならざるを得ない。
【0043】
一方、実施形態においては、発光基板10の裏面10bと配線基板20の上面20fとが、端子15a、15bが配置されている部分を除くほぼ全面に渡って、熱硬化性樹脂31により接着(接合)させるので、発光基板10と配線基板20とを十分な接着力を持って接合させることができる。
【0044】
(工程5)
発光基板10と配線基板20とを接合した後に、
図3(b)に破線で示した切断線CLに沿って、発光基板10と配線基板20の+X方向の端部をダイシングソー等により切断する。同様に、発光基板10と配線基板20の-X方向の端部を切断する。
以上の工程により、
図1(a)から
図1(c)に示した発光装置1が完成する。
【0045】
なお、必要に応じて、発光基板10と配線基板20のY方向の両端部または片側の端部を切断しても良い。
なお、上述の位置検出マーク23は、
図3(b)に示したように切断線CLの位置よりも外側に配置しても良く、あるいは切断線CLの位置よりも内側に配置しても良い。
【0046】
なお、配線基板20に形成されている配線22aおよび配線22bの形状は、上述のそれぞれがY方向に伸びている形状に限られるわけではない。配線22aおよび配線22bの形状は、それぞれが端子15aおよび端子15bと対向し、それぞれの発光素子12に電力を供給することが可能な形状であれば、他の任意の形状であっても良い。
【0047】
(製造方法の変形例)
図4は、発光装置1の製造方法の変形例を説明する図である。
図4に示したように、変形例の製造方法においては、工程3において、用意した発光基板10の裏面10bに熱硬化性樹脂31に導電性粒子32が含有された異方性導電ペーストである異方性導電部材30を塗布する点が、上述の実施形態の製造方法とは異なっている。ただし、それ以外の各工程は、上述の実施形態の製造方法と同じである。
【0048】
従って、変形例の製造方法においては、異方性導電部材30を塗布した発光基板10と配線基板20との位置関係を、発光基板10の裏面10bに形成されている端子15aおよび端子15bのそれぞれが、配線22aおよび配線22bと対向するように設定する。そして、発光基板10と配線基板20とを接合する。
なお、さらなる変形例として、発光基板10の裏面10bではなく、配線基板20の上面20fに、異方性導電ペーストである異方性導電部材30を塗布しても良い。
【0049】
以上の、実施形態および変形例の製造方法において、工程1において、用意した発光基板10の特性を確認しても良い。すなわち、用意した発光基板10では、それぞれの発光素子12の端子15a、15bが裏面10bに露出しているので、端子15a、15bにテスターを接触させ、各発光素子12が所定の仕様を満たしているか否かを確認しても良い。所定の仕様とは、例えば、供給した電力に対する発光量、発光スペクトル、あるいは放射角度特性等に関する仕様である。
【0050】
同様に、工程2において、用意した配線基板20の特性を確認しても良い。すなわち、用意した配線基板20上の配線22の各部にテスターを接触させ、配線22の各部の導通状態および電気抵抗等が、所定の仕様を満たしているか否かを確認しても良い。
工程4よりも前に、発光基板10または配線基板20の少なくとも一方の特性を確認しておくことで、仕様を満たした発光基板10および配線基板20を選別して、接合することができ、歩留まり(生産性)を向上することができる。
【0051】
以上の、実施形態および変形例の製造方法においては、1つの発光基板10と1つの配線基板20を接合して1つの発光装置1を製造するものとした。しかし、発光基板10を並列に複数備えた基板(複合発光基板)と、配線基板20を並列に複数備えた基板(複合配線基板)とを用意し、これを異方性導電部材30を介して接合することで複数の発光装置1が接続された中間体を形成しても良い。そして、この中間体から、それぞれの発光装置1を分離することで、複数の発光装置1を製造しても良い。
【0052】
(一実施形態および変形例の発光装置の製造方法の効果)
(1)一実施形態および各変形例の発光装置1の製造方法は、光を放射する側(LED13、蛍光部材14)をおもて面10fに向けて配置される複数の発光素子12を有し、複数の発光素子12の端子15a、15bが裏面10bに露出している発光基板10を用意すること、上面20fに配線22が形成された配線基板20を用意すること、発光基板10の裏面10bと、配線基板20の上面20fとを、熱硬化性樹脂31に導電性粒子32が含有された異方性導電部材30を挟んで対向配置すること、異方性導電部材30により発光基板10の裏面10bと配線基板20の上面20fを接合し、異方性導電部材30に含まれる導電性粒子32により、複数の発光素子12の端子15a、15bと配線基板20の配線22a、22bとを電気的に接続すること、を備える。
この構成により、複数の発光素子12を備えた発光基板10と配線基板20とを、発光素子12の端子15a、15bと配線22a、22bとを電気的に接続しつつ、低コストで接合することができる。よって、大面積の発光面(おもて面10f)を備えた発光装置1を低コストで製造することができる。
【0053】
(2)さらに、発光基板10として、少なくとも一部が透光性である樹脂により複数の発光素子12を封止した基板を用意しても良い。これにより、一層低コストで発光装置1を製造することができる。
(3)さらに、発光基板10の裏面10bの一部、または配線基板20の上面20fの一部に位置検出マーク23が設けられていても良く、異方性導電部材30を位置検出マーク23と対向しない位置に配置しても良い。これにより、位置検出マーク23を用いて、発光素子12の端子15a、15bと配線22a、22bとを正確に位置合わせすることができる。
【0054】
(4)さらに、発光基板10と配線基板20との接合の前に、発光基板10または配線基板20の少なくとも一方の特性を確認しても良く、これにより、仕様を満たした特性を有する発光基板10および配線基板20を選別して接合することができ、歩留まり(生産性)を一層向上することができる。
【0055】
(一実施形態の発光装置の効果)
(5)一実施形態の発光装置1は、複数の発光素子12が配置された発光基板10と、配線22が形成された配線基板20と、発光基板10に配置された複数の発光素子12と配線基板20上の配線22とを電気的に接続する、導電性粒子32を含有する樹脂31から成る異方性導電部材30と、を備えている。
この構成により、大面積の発光面(おもて面10f)を備えた発光装置1を、低コストで実現することができる。
【0056】
(6)さらに、発光基板10を、少なくとも一部が透光性である樹脂(支持体11)により複数の発光素子12を封止した基板とすることで、より低コストで発光装置1を実現することができる。
【0057】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1:発光装置、10:発光基板、10f:おもて面、10b:裏面、11:支持体、12:発光素子、13:LED、14:蛍光部材、15a,15b:端子、20:配線基板、20f:上面、21:基板、22a,22b:配線、23:位置検出マーク、30:異方性導電部材、31:樹脂、32,32a,32b:導電性粒子