(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】積層造形プロセスを用いて形成される研磨パッド及びそれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
B24B 37/24 20120101AFI20240124BHJP
B24B 37/26 20120101ALI20240124BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240124BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240124BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240124BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240124BHJP
B29C 64/112 20170101ALI20240124BHJP
B29C 64/40 20170101ALI20240124BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20240124BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240124BHJP
【FI】
B24B37/24 A
B24B37/26
B24B37/24 B
H01L21/304 622F
B33Y10/00
B33Y80/00
B33Y30/00
B29C64/112
B29C64/40
B29C64/393
B33Y50/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022142181
(22)【出願日】2022-09-07
(62)【分割の表示】P 2020569878の分割
【原出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-10-07
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チョカリンガム, アシュウィン
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ジェーソン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ガナパティアッパン, シヴァパキア
(72)【発明者】
【氏名】バジャージ, ラジーブ
(72)【発明者】
【氏名】レッドフィールド, ダニエル
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-533105(JP,A)
【文献】特表2014-515319(JP,A)
【文献】特表2018-533487(JP,A)
【文献】国際公開第2015/023442(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0044951(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00 - 37/34
H01L 21/304
B33Y 10/00
B33Y 80/00
B29C 64/112
B29C 64/40
B29C 64/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドの研磨面を形成する研磨パッド材料の連続的なポリマー相であって、
第1のプレポリマー組成物の重合反応生成物から形成された1以上の第1の材料ドメイン、
前記第1のプレポリマー組成物とは異なる第2のプレポリマー組成物の重合反応生成物から形成された複数の第2の材料ドメイン、及び
前記1以上の第1の材料ドメインと前記複数の第2の材料ドメインとの間の界面領域であって、前記第1のプレポリマー組成物と前記第2のプレポリマー組成物との共重合反応生成物を含む界面領域、
を含むポリマー相を含み、
前記複数の第2の材料ドメインは、前記研磨パッド材料の連続的なポリマー相においてパターン状に分布し、前記パターンは、前記研磨パッド材料の連続的なポリマー相のX‐Y平面内において前記1以上の第1の材料ドメインと並んだ構成で配置された前記複数の第2の材料ドメインを含み、前記X‐Y平面は前記研磨パッドの支持面に平行であり、
前記複数の第2の材料ドメインのうちの1以上の少なくとも1つの側方寸法は、前記X‐Y平面内で測定したときに約500μm未満であり、
前記1以上の第1の材料ドメインと前記複数の第2の材料ドメインとの間、又は前記複数の第2の材料ドメインと前記1以上の第1の材料ドメインとの間の貯蔵弾性率(E’30)の比は、約1:2より上である、
研磨パッド。
【請求項2】
前記研磨パッドは、前記X‐Y平面に直交するZ平面を有し、前記複数の第2の材料ドメインは更に、前記研磨パッドのZ平面において前記1以上の第1の材料ドメインと交互に積み重ねられた配置に分布し、前記1以上の第1の材料ドメインのうち1以上の厚さは約200μm未満である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記研磨パッド材料の連続的なポリマー相内に散在する複数のポア形成特徴を更に備える、請求項2に記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記複数のポア形成特徴は、研磨流体に曝露されると溶解して前記研磨面内に対応した複数のポアを形成する水溶性の犠牲材料から形成される、請求項3に記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記1以上の第1の材料ドメインと前記複数の第2の材料ドメインの少なくとも一方は、前記研磨面と平行に測定される前記少なくとも1つの側方寸法を有する矩形断面形状を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記研磨パッド材料の連続的なポリマー相は、
前記第1のプレポリマー組成物の液滴と前記第2のプレポリマー組成物の液滴とを、以前に形成されたプリント層の表面上に分注することと、
前記第1のプレポリマー組成物の分注された前記液滴と前記第2のプレポリマー組成物の分注された前記液滴とを少なくとも部分的に硬化させて、プリント層を形成することと、
の連続的な反復によって形成される、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項7】
前記研磨パッド材料の連続的なポリマー相内に散在する複数のポア形成特徴を更に備え、前記研磨パッド材料の連続的なポリマー相を形成するために使用される前記連続的な反復のうちの1以上が、液滴分注パターンに従って犠牲材料又は犠牲材料前駆体の液滴を分注して、前記複数のポア形成特徴の少なくとも部分を形成することを更に含む、請求項6に記載の研磨パッド。
【請求項8】
研磨パッドを形成する方法であって、
所定の液滴分注パターンに従って、第1のプレポリマー組成物の液滴と第2のプレポリマー組成物の液滴とを、以前に形成されたプリント層の表面上に分注することであって、前記第1のプレポリマー組成物が前記第2のプレポリマー組成物とは異なる、液滴を分注することと、
前記第1のプレポリマー組成物の分注された前記液滴と前記第2のプレポリマー組成物の分注された前記液滴とを少なくとも部分的に硬化させて、1以上の第1の材料ドメイン及び複数の第2の材料ドメインの少なくとも部分を含む第1のプリント層を形成することと、
の連続的な反復を含み、
分注された前記液滴を少なくとも部分的に硬化させることは、前記第1の材料ドメインと前記第2の材料ドメインの隣接する箇所に配置された界面境界領域において、前記第1のプレポリマー組成物と前記第2のプレポリマー組成物とを少なくとも部分的に共重合させて、研磨パッド材料の連続的なポリマー相を形成し、
前記複数の第2の材料ドメインは、前記研磨パッド材料の連続的なポリマー相においてパターン状に分布し、前記パターンは、前記研磨パッド材料の連続的なポリマー相のX‐Y平面内において前記1以上の第1の材料ドメインと並んだ構成で配置された前記複数の第2の材料ドメインを含み、前記X‐Y平面は前記研磨パッドの支持面に平行であり、
前記複数の第2の材料ドメインのうちの1以上の少なくとも1つの側方寸法は、前記X‐Y平面内で測定したときに約500μm未満であり、
前記1以上の第1の材料ドメインと前記複数の第2の材料ドメインとの間、又は前記複数の第2の材料ドメインと前記1以上の第1の材料ドメインとの間の貯蔵弾性率(E’30)の比は、約1:2より上である、
方法。
【請求項9】
前記第1のプリント層は、約200μm未満の厚さを有するように形成されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のプレポリマー組成物の液滴と前記第2のプレポリマー組成物の液滴とを、前記以前に形成されたプリント層の表面上に分注することは、液滴分注パターンに従って犠牲材料又は犠牲材料前駆体の液滴を分注して、前記第1のプリント層の研磨パッド材料の連続的なポリマー相内に散在する第1の複数のポア形成特徴の少なくとも部分を形成することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記犠牲材料又は前記犠牲材料前駆体は、研磨流体に曝露されると溶解して前記研磨パッド材料の連続するポリマー相内に対応した複数のポアを形成する水溶性の犠牲材料を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記水溶性の犠牲材料は、前記研磨流体に曝露されると膨潤し、周囲の前記研磨パッド材料を変形させて、前記研磨パッド材料の連続するポリマー相に凹凸を提供する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第2の所定の液滴分注パターンに従って、前記第1のプレポリマー組成物の液滴、前記第2のプレポリマー組成物の液滴、及び前記犠牲材料又は前記犠牲材料前駆体の液滴を、前記第1のプリント層の表面上に分注することと、
前記第1のプレポリマー組成物の分注された前記液滴及び前記第2のプレポリマー組成物の分注された前記液滴を少なくとも部分的に硬化させて、前記1以上の第1の材料ドメイン、前記複数の第2の材料ドメイン、及び第2の複数のポア形成特徴の少なくとも部分を含む第2のプリント層を形成することと、
を更に含み、
分注された前記液滴を少なくとも部分的に硬化させることは、前記第1の材料ドメインと前記第2の材料ドメインの隣接する箇所に配置された界面境界領域において、前記第1のプレポリマー組成物と前記第2のプレポリマー組成物とを少なくとも部分的に共重合させて、前記第2の複数のポア形成特徴が前記第2のプリント層の研磨パッド材料の連続的なポリマー相内に散在する研磨パッド材料の連続的なポリマー相を形成する、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のプリント層に形成される前記第1の複数のポア形成特徴の少なくとも1つ及び前記第2のプリント層に形成される前記第2の複数のポア形成特徴の少なくとも1つは、Z方向に整列し又は少なくとも部分的に重なり合っており、Z方向は前記X‐Y平面に直交する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
システムコントローラによって実行されたときに研磨パッドを製造する方法を実行するための指示命令を記憶したコンピュータ可読媒体を備える積層造形システムであって、前記方法が、
所定の液滴分注パターンに従って、第1のプレポリマー組成物の液滴と第2のプレポリマー組成物の液滴とを、以前に形成されたプリント層の表面上に分注することであって、前記第1のプレポリマー組成物が前記第2のプレポリマー組成物とは異なる、液滴を分注することと、
前記第1のプレポリマー組成物の分注された前記液滴と前記第2のプレポリマー組成物の分注された前記液滴とを少なくとも部分的に硬化させて、1以上の第1の材料ドメイン及び複数の第2の材料ドメインの少なくとも部分を含む第1のプリント層を形成することと、
の連続的な反復を含み、
分注された前記液滴を少なくとも部分的に硬化させることは、前記第1の材料ドメインと前記第2の材料ドメインの隣接する箇所に配置された界面境界領域において、前記第1のプレポリマー組成物と前記第2のプレポリマー組成物とを少なくとも部分的に共重合させて、研磨パッド材料の連続的なポリマー相を形成し、
前記複数の第2の材料ドメインは、前記研磨パッド材料の連続的なポリマー相においてパターン状に分布し、前記パターンは、前記研磨パッド材料の連続的なポリマー相のX‐Y平面内において前記1以上の第1の材料ドメインと並んだ構成で配置された前記複数の第2の材料ドメインを含み、前記X‐Y平面は前記研磨パッドの支持面に平行であり、
前記複数の第2の材料ドメインのうちの1以上の少なくとも1つの側方寸法は、前記X‐Y平面内で測定したときに約500μm未満であり、
前記1以上の第1の材料ドメインと前記複数の第2の材料ドメインとの間、又は前記複数の第2の材料ドメインと前記1以上の第1の材料ドメインとの間の貯蔵弾性率(E’30)の比は、約1:2より上である、
積層造形システム。
【請求項16】
前記第1のプリント層は、約200μm未満の厚さを有するように形成されている、請求項15に記載の積層造形システム。
【請求項17】
前記第1のプレポリマー組成物の液滴と前記第2のプレポリマー組成物の液滴とを、前記以前に形成されたプリント層の表面上に分注することは、液滴分注パターンに従って犠牲材料又は犠牲材料前駆体の液滴を分注して、前記第1のプリント層の研磨材料の連続的なポリマー相内に散在する第1の複数のポア形成特徴の少なくとも部分を形成することを更に含む、請求項15に記載の積層造形システム。
【請求項18】
前記犠牲材料又は前記犠牲材料前駆体は、研磨流体に曝露されると溶解して前記研磨材料の連続するポリマー相内に対応した複数のポアを形成する水溶性の犠牲材料を含む、請求項17に記載の積層造形システム。
【請求項19】
前記水溶性の犠牲材料は、前記研磨流体に曝露されると膨潤し、周囲の前記研磨材料を変形させて、前記研磨材料の連続するポリマー相に凹凸を提供する、請求項18に記載の積層造形システム。
【請求項20】
第2の所定の液滴分注パターンに従って、前記第1のプレポリマー組成物の液滴、前記第2のプレポリマー組成物の液滴、及び犠牲材料又は犠牲材料前駆体の液滴を、前記第1のプリント層の表面に分注することと、
前記第1のプレポリマー組成物の分注された前記液滴及び前記第2のプレポリマー組成物の分注された前記液滴を少なくとも部分的に硬化させて、前記1以上の第1の材料ドメイン及び前記複数の第2の材料ドメインの少なくとも部分を含む第2のプリント層を形成することと、
を更に含み、
分注された前記液滴を少なくとも部分的に硬化させることは、前記第1の材料ドメインと前記第2の材料ドメインの隣接する箇所に配置された界面境界領域において、前記第1のプレポリマー組成物と前記第2のプレポリマー組成物とを少なくとも部分的に共重合させて、第2の複数のポア形成特徴が前記第2のプリント層の研磨材料の連続的なポリマー相内に散在する研磨材料の連続的なポリマー相を形成する、
請求項15に記載の積層造形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、広くは、研磨パッド、及び研磨パッドを製造する方法に関し、特に、電子デバイス製造プロセスにおける基板の化学機械研磨(CMP)向けに使用される研磨パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 化学機械研磨(CMP)は、一般的に、高密度集積回路の製造で使用されて、基板上に堆積された材料の層を平坦化又は研磨する。典型的なCMPプロセスは、平坦化される材料層を研磨パッドに接触させ、研磨パッド、基板、又はそれらの両方を移動させ、したがって、研磨粒子を含む研磨流体の存在下で、材料層面と研磨パッドとの間に相対的な動きを生じさせることを含む。半導体デバイス製造におけるCMPの一般的な用途の1つは、例えば、プレ金属誘電体(PMD)又は層間誘電体(ILD)の研磨のようなバルク膜(bulk film)の平坦化であり、その場合、下にある二次元又は三次元特徴が、平坦化される層の表面内に凹部及び突出部を生成する。半導体デバイス製造におけるCMPの他の一般的な用途には、シャロートレンチアイソレーション(STI)及び層間金属相互接続形成が含まれ、CMPを使用して、STI又は金属相互接続特徴が内部に配置された層の露出面(領域)からビア、接点、又はトレンチ充填材料を除去する。
【0003】
[0003] 典型的なCMPプロセスでは、基板が、研磨パッドに向けて基板の裏側を押圧するキャリアヘッド内に保持される。材料は、研磨流体及び研磨粒子によって提供される化学的及び機械的作用の組み合わせによって、研磨パッドに接触している材料層面にわたり除去される。典型的には、研磨粒子が、スラリとして知られている研磨流体内で懸濁されるか、又は固定研磨パッドとして知られている研磨パッド内に埋め込まれるかの何れかである。
【0004】
[0004] 多くの場合、研磨パッドは、その材料特性、及び所望のCMP用途に対するそれらの材料特性の適合性に基づいて選択される。例えば、比較的硬い材料(硬質研磨パッド)から形成された研磨パッドは、概して、優れた局所的平坦化性能を提供し、PMD、ILD、及びSTIに使用される誘電体膜に対して望ましくはより高い材料除去速度を提供し、トレンチ、接点、及びラインのような凹み特徴内の膜材料の上面の望ましくないディッシングをより少なくする。比較的軟らかい材料(軟質研磨パッド)から形成された研磨パッドは、概して、相対的に低い材料除去速度を有し、研磨パッドの寿命を通して基板が取り替えられても材料除去速度が安定しており、特徴密度の高いエリアにおいて平坦面の望ましくないエロージョンをより少なくし、例えば、基板の材料表面(又は基板の材料表面内)の微小スクラッチをより少なくすることによって、相対性に優れた表面仕上げを提供する。
【0005】
[0005] 残念ながら、硬質と軟質の両方の研磨パッド材料を組み込んだ研磨パッドを、例えば、鋳造又は成形などの従来の方法で製造しようとする試みは、概して、硬質パッド又は軟質パッドの何れかの所望の特性を欠く研磨パッドをもたらす。
【0006】
[0006] したがって、当技術分野では、研磨パッド材料中に2つ以上の材料特性を有する研磨パッド及びそのような研磨パッドを製造する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 本開示の実施形態は、広くは、化学機械研磨(CMP)プロセスで使用することができる研磨パッド及びそのような研磨パッドを製造するための方法に関する。
【0008】
[0008] 一実施形態では、研磨パッドが、研磨パッドの研磨面を形成する研磨パッド材料の連続的なポリマー相を特徴とする。連続的なポリマー相は、1以上の第1の材料ドメイン及び複数の第2の材料ドメインを含む。ここで、1以上の第1の材料ドメインは、第1のプレポリマー(pre-polymer)組成物の重合反応生成物から形成され、複数の第2の材料ドメインは、第2のプレポリマー組成物の重合反応生成物から形成され、第2のプレポリマー組成物は、第1のプレポリマー組成物とは異なり、1以上の第1の材料ドメインと複数の第2の材料との間の界面領域は、第1のプレポリマー組成物と第2のプレポリマー組成物との共重合反応生成物から形成される。複数の第2の材料ドメインは、1以上の第1の材料ドメインと並んだ配置で研磨パッドのX‐Y平面にわたりパターン状に分布し、X‐Y平面は、研磨パッドの支持面に平行であり、1以上の第1の材料ドメインと複数の第2の材料ドメインとは、互いに1以上の材料特性の差異を有し、第2の材料ドメインの1以上のうちの少なくとも1つの寸法が、X‐Y平面内で測定したときに約10mm未満である。
【0009】
[0009] 別の一実施形態では、研磨パッドを形成する方法が、所定の液滴分注パターンに従って、第1のプレポリマー組成物の液滴と第2のプレポリマー組成物の液滴とを、以前に形成されたプリント層の表面上に分注すること、並びに、第1のプレポリマー組成物の分注された液滴と第2のプレポリマー組成物の分注された液滴とを少なくとも部分的に硬化させて、1以上の第1の材料ドメイン及び複数の第2の材料ドメインの少なくとも部分を含むプリント層を形成すること、の連続的な反復を含む。ここで、第1のプレポリマー組成物は、第2のプレポリマー組成物とは異なり、分注された液滴を少なくとも部分的に硬化させることが、異なる材料ドメインの隣接する箇所に配置された界面境界領域において、第1のプレポリマー組成物と第2のプレポリマー組成物とを少なくとも部分的に共重合させて、研磨材料の連続的なポリマー相を形成し、複数の第2の材料ドメインは、研磨パッドの支持面に平行なX‐Y平面にわたりパターン状に分布し、1以上の第1の材料ドメインと並んだ構成で配置され、1以上の第1の材料ドメインと第2の材料ドメインとは、互いに1以上の材料特性の差異を有し、第2の材料ドメインの1以上のうちの少なくとも1つの寸法が、X‐Y平面内で測定したときに約10mm未満である。
【0010】
[0010] 別の一実施形態では、システムコントローラによって実行されたときに研磨パッドを製造する方法を実行するための指示命令を記憶したコンピュータ可読媒体が提供される。該方法は、所定の液滴分注パターンに従って、第1のプレポリマー組成物の液滴と第2のプレポリマー組成物の液滴とを、以前に形成されたプリント層の表面上に分注すること、並びに、第1のプレポリマー組成物の分注された液滴と第2のプレポリマー組成物の分注された液滴とを少なくとも部分的に硬化させて、1以上の第1の材料ドメイン及び複数の第2の材料ドメインの少なくとも部分を含むプリント層を形成すること、の連続的な反復を含む。ここで、第1のプレポリマー組成物は、第2のプレポリマー組成物とは異なり、分注された液滴を少なくとも部分的に硬化させることが、異なる材料ドメインの隣接する箇所に配置された界面境界領域において、第1のプレポリマー組成物と第2のプレポリマー組成物とを少なくとも部分的に共重合させて、研磨材料の連続的なポリマー相を形成し、複数の第2の材料ドメインは、研磨パッドの支持面に平行なX‐Y平面にわたりパターン状に分布し、1以上の第1の材料ドメインと並んだ構成で配置され、1以上の第1の材料ドメインと第2の材料ドメインとは、互いに1以上の材料特性の差異を有し、第2の材料ドメインの1以上のうちの少なくとも1つの寸法が、X‐Y平面内で測定したときに約10mm未満である。
【0011】
[0011] 上述の本開示の特徴を詳しく理解し得るように、上記で簡単に要約した本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ、一部の実施形態は付随する図面に示されている。しかし、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、本開示は、他の等しく有効な実施形態を認めることができるので、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】[0012] 本明細書で説明される実施形態のうちの1以上又はそれらの組み合わせに従って形成された研磨パッドを使用するように構成された例示的な研磨システムの概略側面図である。
【
図2A】[0013]
図2A~
図2Bは、本明細書で説明される実施形態のうちの1以上又はそれらの組み合わせに従って形成された研磨パッドの概略的な斜視断面図である。
【
図2B】
図2A~
図2Bは、本明細書で説明される実施形態のうちの1以上又はそれらの組み合わせに従って形成された研磨パッドの概略的な斜視断面図である。
【
図3A】[0014]
図2Aに記載された研磨パッドの研磨面の一部分の概略的な拡大上面図である。
【
図3B】[0015] 本明細書で説明される実施形態のうちの1以上又はそれらの組み合わせによる、
図3Aの3B‐3B線に沿って切り取られた研磨パッドの一部分の概略断面図である。
【
図3C】[0016] 本明細書で説明される実施形態のうちの1以上又はそれらの組み合わせによる、
図2A~
図2Bに記載された研磨パッドなどの研磨パッドの表面の一部分の概略的な拡大上面図である。
【
図3D】[0017] 本明細書で説明される実施形態のうちの1以上又はそれらの組み合わせによる、
図3Cの3D‐3D線に沿って切り取られた研磨パッドの一部分の概略断面図である。
【
図3E】[0018]
図3E及び
図3Fは、本明細書で説明される実施形態のうちの1以上又はそれらの組み合わせによる、
図2A~
図2Bに記載された研磨パッドなどの研磨パッドの表面の一部分の拡大上面図である。
【
図3F】
図3E及び
図3Fは、本明細書で説明される実施形態のうちの1以上又はそれらの組み合わせによる、
図2A~
図2Bに記載された研磨パッドなどの研磨パッドの表面の一部分の拡大上面図である。
【
図4A】[0019] 本明細書で説明される実施形態のうちの1以上又はそれらの組み合わせに従って研磨パッドを製造するために使用され得る積層造形システムの概略断面図である。
【
図4B】[0020] 本明細書で説明される実施形態のうちの1以上又はそれらの組み合わせによる、以前に形成されたプリント層の表面上に配置された液滴を概略的に示す拡大断面図である。
【
図5A】[0021]
図5A及び
図5Bは、本明細書で説明される実施形態のうちの1以上又はそれらの組み合わせに従って研磨パッドのプリント層を形成するために積層造形システムによって使用され得る、液滴分注指示命令を概略的に示す。
【
図5B】
図5A及び
図5Bは、本明細書で説明される実施形態のうちの1以上又はそれらの組み合わせに従って研磨パッドのプリント層を形成するために積層造形システムによって使用され得る、液滴分注指示命令を概略的に示す。
【
図6】[0022] 本明細書で説明される実施形態のうちの1以上又はそれらの組み合わせによる、本明細書で説明される研磨パッドを形成する方法を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0023] 理解を容易にするために、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。具体的な記述がなくとも、一方の実施形態で開示された要素を他方の実施形態で有益に利用できると考えられている。
【0014】
[0024] 本明細書で説明される実施形態は、広くは、化学機械研磨(CMP)プロセスで使用され得る、研磨パッド及びそのような研磨パッドを製造するための方法に関する。
特に、本明細書で説明される研磨パッドは、共に研磨材料の連続的なポリマー相を形成する(複数の)空間的に配置された材料ドメインを特徴とする。
【0015】
[0025] 本明細書で使用される「空間的に配置されたドメイン(領域)」という用語は、研磨パッドの研磨材料内の、少なくとも2つの異なるプレポリマー組成物からそれぞれ形成された材料ドメインの分布を指す。ここで、異なる材料ドメインは、互いに対して、研磨パッドの研磨面に平行なX‐Y平面のうちの一方又は両方の方向において(すなわち、側方に)、及び、X‐Y平面に直交する(すなわち、垂直な)Z方向において分布する。同じプレポリマー組成物から形成された材料ドメインの少なくとも部分は、それらの間に介在する異なる前駆体組成物から形成された材料ドメインの少なくとも部分によって、空間的に分離され、すなわち、互いから間隔を空けられる。少なくとも2つの異なるプレポリマー組成物は、ドメインの材料の相互混合を防止又は制限するために、少なくとも部分的な硬化時に少なくとも部分的に重合され、それによって、互いに隣接し互いに接触して、互いに対する1以上の材料特性の差異を有する異なる材料ドメインを形成する。
【0016】
[0026] 本明細書で説明される連続的なポリマー相は、それぞれ異なるプレポリマー組成物の少なくとも部分的な重合によって、及び、異なる材料ドメインの隣接する箇所に配置された界面境界領域、すなわち、その界面境界領域での異なるプレポリマー組成物の少なくとも部分的な共重合によって形成される。ここで、少なくとも2つの異なるプレポリマー組成物は、互いから異なるモノマー又はオリゴマー種を含み、異なる材料ドメインの間の隣接する箇所に配置された界面境界領域は、共有結合によって架橋(link)されてそのコポリマーを形成する異なるモノマー又はオリゴマー種を特徴とする。幾つかの実施形態では、界面境界領域に形成されるコポリマーが、ブロックコポリマー、交互コポリマー、周期的コポリマー(periodic copolymer)、ランダムコポリマー、勾配コポリマー、分岐コポリマー、グラフトコポリマー(graft copolymer)、及びそれらの組み合わせ、のうちの1つ又はそれらの組み合わせを含む。
【0017】
[0027] 本明細書で説明される実施形態は、概して、半導体デバイス製造において使用される化学機械研磨(CMP)パッドに関するが、研磨パッド及びその製造方法は、化学的に活性な研磨流体と化学的に不活性な研磨流体の両方、及び/又は研磨粒子を含まない研磨流体を用いる他の研磨プロセスにも適用可能である。更に、本明細書で説明される実施形態は、単独で又は組み合わせて、少なくとも以下の産業で使用されてよい。すなわち、とりわけ、航空宇宙、セラミック、ハードディスクドライブ(HDD)、MEMS及びナノテク(Nano-Tech)、金属加工、光学及び電気光学製造、並びに半導体デバイス製造である。
【0018】
[0028] 概して、本明細書で説明される方法は、積層造形システム、例えば、2D又は3Dインクジェットプリンターシステムを使用して、研磨パッドの少なくとも一部分を層単位のプロセスで形成(プリント)する。典型的には、製造支持体又は以前に形成されたプリント層上に、少なくとも2つの異なるプレポリマー組成物のそれぞれの液滴を連続的に堆積させ、少なくとも部分的に硬化させることによって形成(プリント)される。有利なことに、本明細書で説明される積層造形システム及び方法は、各プリント層(XY解像度)内の少なくともミクロンスケールの液滴配置制御、ならびに、各プリント層の厚さ(Z解像度)にわたるミクロンスケール(0.1μmから200μm)の液滴配置制御を可能にする。
本明細書で説明される積層造形システム及び方法によって提供されるミクロンスケールのXY及びZ解像度は、それぞれが特有の特性及び属性を有する、少なくとも2つ、すなわち2つ以上の異なる材料ドメインの所望の再現可能なパターンの形成を容易にする。したがって、幾つかの実施形態では、本明細書で説明される研磨パッドを形成する方法が、それらから形成される研磨パッドの1以上の顕著な構造的特徴も付与する。
【0019】
[0029]
図1は、本明細書で説明される実施形態のうちの1つ又は組み合わせに従って形成された研磨パッドを使用するように構成された例示的な研磨システムの概略側面図である。ここで、研磨システム100は、感圧接着剤を用いて研磨パッド102が固定されたプラテン104と、基板キャリア106とを特徴とする。基板キャリア106は、プラテン104及びその上に取り付けられた研磨パッド102と対向する。基板キャリア106は、キャリア軸110の周りで同時に回転しながら、内部に配置された基板108の材料表面を、研磨パッド102の研磨面に対して押し付けるために使用される。典型的には、部分的に研磨パッド102の不均一な摩耗を低減させるために、回転している基板キャリア106が、プラテン104の内径から外径まで前後してスイープする間に、プラテン104がプラテン軸112の周りで回転する。
【0020】
[0030] 研磨システム100は、流体供給アーム114及びパッド調整アセンブリ116を更に含む。流体供給アーム114は、研磨パッド102を覆って配置され、研磨剤を懸濁させた研磨スラリなどの研磨流体を、研磨パッド102の表面に供給するために使用される。典型的には、研磨流体が、基板108の材料表面の化学機械研磨を可能にするために、pH調整剤及び酸化剤のような他の化学的に活性な成分を含有する。パッド調整アセンブリ116は、基板108の研磨の前、後、又は最中に、固定研磨調整ディスク118を、研磨パッド102の表面に対して押し付けることによって、研磨パッド102を調整するために使用される。調整ディスク118を研磨パッド102に対して押し付けることは、調整ディスク118を軸120の周りで回転させること、及び、調整ディスク118をプラテン104の内径からプラテン104の外径までスイープさせることを含む。調整ディスク118を使用して、研磨パッド102の研磨面を研磨し、回復させ、研磨パッド102の研磨面から研磨副生成物又は他のデブリを除去する。
【0021】
[0031]
図2A~
図2Bは、本明細書で説明される方法のうちの1つ又は組み合わせに従って形成される様々な研磨パッド200a~bの概略的な斜視断面図である。研磨パッド200a~bは、
図1で説明された例示的な研磨システム100の研磨パッド102として使用されてよい。
【0022】
[0032]
図2Aでは、研磨パッド200aが、副研磨要素206a内に部分的に配置され且つ副研磨要素206aの表面から延在する、複数の研磨要素204aを備える。研磨パッド200aは、厚さ202を有し、複数の研磨要素204aは、副厚さ215を有し、副研磨要素206aは、副厚さ212を有する。研磨要素204aは、副研磨要素206aの一部分(例えば、領域212A内の部分)によって、パッド200aの厚さ方向に支持されている。したがって、処理中に基板によって研磨パッド200aの研磨面201(すなわち、上面)に荷重が加えられると、その荷重は、研磨要素204aと副研磨要素206aの部分212Aとを介して伝達されることになる。ここで、複数の研磨要素204aは、支柱205の周りに配置され且つ支柱205から径方向外向きに延在する、複数の同心リング207を含む。ここで、支柱205は、研磨パッド200aの中心に配置されている。他の実施形態では、支柱205の中心、したがって同心リング207の中心は、研磨パッドが研磨プラテン上で回転するときに、基板と研磨パッドの表面との間の拭き取り型の相対移動を提供するために、研磨パッド200aの中心からずらすことができる。
【0023】
[0033] 複数の研磨要素204a及び副研磨要素206aは、研磨要素204aのそれぞれの間で且つ研磨パッド200aの研磨面の表面と副研磨要素206の表面との間で研磨パッド200a内に配置された、複数のチャネル218を画定する。複数のチャネル218は、研磨パッド200aにわたり、且つ、研磨パッド200aとその上で研磨される基板の材料表面との間の界面に、研磨流体を分配することを可能にする。他の実施形態では、周囲の研磨要素204aのパターンが、周方向に長方形、螺旋形、ランダム、別のパターン、又はそれらの組み合わせである。ここで、(1以上の)研磨要素204aの幅214は、約250ミクロンと約5ミリメートルの間、例えば、約250ミクロンと約2ミリメートルの間である。(1以上の)研磨要素204aの間のピッチ216は、約0.5ミリメートルと約5ミリメートルの間である。幾つかの実施形態では、幅214とピッチ216のうちの一方又は両方が、パッド材料の特性の区域を画定するために、研磨パッド200aの半径にわたって変化する。
【0024】
[0034]
図2Bでは、研磨要素204bが、副研磨要素206bから延在する円柱として示されている。他の実施形態では、研磨要素204aが、パッド200bの下側面と略平行に切断された断面において、任意の好適な断面形状、例えば、環形状、部分的環形状(例えば、円弧形状)、卵型、正方形状、矩形状、三角形状、多角形状、不規則な形状、又はそれらの組み合わせである。幾つかの実施形態では、研磨要素204bの形状及び幅214、並びにそれらの間の距離を、研磨パッド200cにわたり変化させて、完成した研磨パッド200bの硬度、機械的強度、流体輸送特性、又は他の所望の特性を調整する。本明細書の実施形態では、研磨要素204a、bのうちの一方若しくは両方、又は副研磨要素206a、bのうちの一方若しくは両方が、
図3A~
図3Dで示されるような複数の空間的に配置された材料ドメインを特徴とする、研磨材料の連続的なポリマー相から形成される。
【0025】
[0035]
図3Aは、一実施形態による、
図2Aに記載された研磨パッド200aの研磨面201の一部分の概略的な拡大上面図である。
図3Bは、3B‐3B線に沿って切り取られた
図3Aで示されている研磨要素204aの一部分の概略断面図である。
図3A~
図3Bで示されている研磨パッドの一部分は、複数の空間的に配置された第1の材料ドメイン302と複数の空間的に配置された第2の材料ドメイン304とから形成された、研磨パッド材料の連続的なポリマー相を特徴とする。ここで、空間的に配置された第2の材料ドメイン304は、第1の材料ドメイン302の間に挿入され、幾つかの実施形態では、それらに隣接して配置されている。
【0026】
[0036] 典型的には、第1の材料ドメイン302と第2の材料ドメイン304とが、
図4Aの記載で説明される例示的なプレポリマー組成物などの異なるプレポリマー組成物から形成され、したがって、互いに1以上の材料特性の差異を有する。幾つかの実施形態では、1以上の材料特性が、貯蔵弾性率(storage modulus)E’、損失弾性率(loss modulus)E”、硬度(hardness)、tan δ、降伏強さ(yield strength)、最大引張強さ(ultimate tensile strength)、伸び率(elongation)、熱伝導率(thermal conductivity)、ゼータ電位(zeta potential)、質量密度(mass density)、表面張力(surface tension)、ポアソン比(Poisson’s ratio)、破壊靭性(fracture toughness)、表面粗さ(surface roughness)(Ra)、ガラス転移温度(glass transition temperature)(Tg)、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される。例えば、幾つかの実施形態では、第1の材料ドメイン302と第2の材料ドメイン304の貯蔵弾性率(storage modulus)E’が、互いに異なり、その差は、ナノインデンテーション(nanoindentation)などの好適な測定法を使用して測定されてよい。幾つかの実施形態では、複数の第2の材料ドメイン304が、比較的低い又は比較的中間の貯蔵弾性率E’を有し、1以上の第1の材料ドメイン302が、比較的中間の又は比較的高い貯蔵弾性率E’を有する。摂氏約30度(E’30)の温度での低、中、又は高貯蔵弾性率E’の材料ドメインとしての特性が、表1で要約されている。
【0027】
[0037] 幾つかの実施形態では、第1の材料ドメイン302と第2の材料ドメイン304の間、又は第2の材料ドメイン304と第1の材料ドメイン302の間の貯蔵弾性率(E’30)の比は、約1:2より上、約1:5より上、約1:10より上、約1:50より上、例えば、約1:100より上である。幾つかの実施形態では、第1の材料ドメイン302と第2の材料ドメイン304との間の貯蔵弾性率E’30の比は、約1:500より上、例えば、1:1000より上である。
【0028】
[0038]
図3Aでは、第1及び第2の材料ドメイン302、304が、第1のパターンAで配置されている。そのパターンを使用して、X及びY方向においてX-Y平面内に研磨パッドの研磨面を形成する。図示されているように、第1及び第2の材料ドメイン302、304は、上から見たときに、第1の側方寸法W(1)及び第2の側方寸法W(2)を有する矩形断面形状を有する。側方寸法W(1)及びW(2)は、研磨面と平行に、したがって、研磨パッドの支持面と平行に、すなわち、XY平面内で測定される。他の実施形態では、連続的なポリマー相の研磨パッド材料を形成する材料ドメインが、上から見たときに、不規則な形状を含む任意の所望の断面形状を有してよい。
【0029】
[0039] 幾つかの実施形態では、第1又は第2の材料ドメイン302、304のうちの一方又は両方の少なくとも1つの側方寸法(すなわち、X及びY方向のX‐Y平面内で測定される)は、約10mm未満、例えば、約5mm未満、約1mm未満、約500μm未満、約300μm未満、約200μm未満、約150μm未満、又は約1μmと約150μmの間である。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの側方寸法W(1)、W(2)が、約1μmより上、例えば、約2.5μmより上、約5μmより上、約7μmより上、約10μmより上、約20μmより上、約30μmより上、例えば、約40μmより上である。
【0030】
[0040] 幾つかの実施形態では、第1及び第2の材料ドメイン302、304のうちの1以上の側方寸法が、硬度、機械的強度、流体輸送特性、又はその他の所望の特性を調整するために、研磨パッドにわたって変化する。第1のパターンAでは、第1及び第2の材料ドメイン302、304が、X-Y平面と平行に並んだ配置で分布する。ここで、複数の第1の材料ドメイン302の個々のものは、それらの間に介在する複数の第2の材料ドメイン304の個々のものによって間隔を空けられる。幾つかの実施形態では、第1又は第2の材料ドメイン302、304の個々のものが、約10mmを超える、約5mmを超える、約1mmを超える、約500μmを超える、約300μmを超える、約200μmを超える、又は約150μmを超える側方寸法を有さない。
【0031】
[0041] ここで、研磨材料の連続的なポリマー相は、
図3Bで示されている第1のプリント層305a及び第2のプリント層305bなどの、複数の連続的に堆積され部分的に硬化された材料前駆体層(プリント層)から形成される。図示されているように、第1及び第2の材料ドメイン302及び304は、第1のパターンA又は第2のパターンBで、第1及び第2のプリント層305a、bのそれぞれにわたり空間的に配置される。プリント層305a、bのそれぞれは、連続的に堆積され、少なくとも部分的に硬化されて、研磨材料の連続的なポリマー相を形成し、1以上のプリント層305a、bが、それに隣接して配置される。例えば、少なくとも部分的に硬化されたプリント層305a、bのそれぞれが、連続的なポリマー相を形成するときに、先に又は後に堆積され、少なくとも部分的に硬化されたプリント層305a、bのうちの一方又は両方が、その下又は上に配置される。
【0032】
[0042] 典型的には、プリント層305a、bのそれぞれが、層厚さT(1)に堆積される。
第1及び第2の材料ドメイン302、304は、1以上の連続的に形成された層305a、bから形成され、各材料ドメイン302、304の厚さT(X)は、典型的には層厚さT(1)の倍数(例えば、1X以上)である。
【0033】
[0043] 幾つかの実施形態では、層厚さT(1)が、約200μm未満、例えば、約100μm未満、約50μm未満、約10μm未満、例えば、約5μm未満である。幾つかの実施形態では、材料層305a、bのうちの1以上が、約0.5μmと約200μmの間、例えば、約1μmと約100μmの間、約1μmと約50μmの間、約1μmと約10μmの間、又は、例えば約1μmと約5μmの間などの層厚さT(1)に堆積される。
【0034】
[0044] 幾つかの実施形態では、第1の材料ドメイン302及び第2の材料ドメイン304が、Z方向に互いに交互に積み重ねられる。例えば、幾つかの実施形態では、複数の第2の材料ドメイン304が、1以上又は複数の第1の材料ドメイン302との積み重ね配置で、研磨パッドのZ平面内でパターン状に分布する。これらの実施形態の幾つかでは、材料ドメイン302、304のうちの1以上の厚さT(X)が、約10mm未満、例えば、約5mm未満、約1mm未満、約500μm未満、約300μm未満、約200μm未満、約150μm未満、約100μm未満、約50μm未満、約25μm未満、約10μm未満、又は約1μmと約150μmの間である。幾つかの実施形態では、材料ドメインのうちの1以上の厚さT(X)が、約1μmより上、例えば、約2.5μmより上、約5μmより上、約7μmより上、又は約10μmより上である。幾つかの実施形態では、材料ドメイン302、304のうちの1以上が、研磨パッドの支持面から研磨面まで延在し、したがって、材料ドメインの厚さT(X)は、研磨パッドの厚さと同じであってもよい。幾つかの実施形態では、材料ドメイン302、304のうちの1以上が、
図2A~
図2Bに記載されている研磨要素及び副研磨要素などの、研磨要素又は副研磨要素の厚さだけ延在する。
【0035】
[0045] 幾つかの実施形態では、研磨パッド材料が、研磨材料の連続的なポリマー相内に散在する複数のポア形成特徴を更に含む。典型的には、複数のポア形成特徴が、研磨流体に曝露されると溶解する水溶性の犠牲材料から形成され、したがって、研磨パッドの表面内に対応した複数のポアを形成する。幾つかの実施形態では、水溶性の犠牲材料が、研磨流体に曝露されると膨潤し、したがって、周囲の研磨材料を変形させて、研磨パッドの材料表面に凹凸を提供する。結果として得られるポア及び凹凸は、望ましくは、研磨パッドと基板の研磨される材料表面との間の界面への液体及び研磨剤の輸送を容易にし、それらの研磨剤を基板表面に対して固定して(研磨剤捕捉)、そこからの化学的及び機械的な材料の除去を可能にする。空間的に配置されたポア形成特徴を更に含む研磨パッド材料の例は、
図3C~
図3Dの記載で説明される。
【0036】
[0046]
図3Cは、幾つかの実施形態による、複数の空間的に配置されたポア形成特徴を特徴とする研磨パッドの材料表面の一部分の概略的な拡大上面図である。
図3Dは、3D‐3D線に沿って切り取られた、
図3Cで示されている研磨パッドの一部分の概略断面図である。ここで、研磨材料の連続的なポリマー相は、
図3Dで示されている第3のプリント層305c又は第4のプリント層305dなどの、複数の連続的に堆積され部分的に硬化された材料前駆体層(プリント層)から形成される。図示されているように、複数の第1及び第2の材料ドメイン302、304は、X‐Y平面と平行に並んだ構成で配置されており、複数のポア形成特徴306が、プリント層の全長にわたって、それぞれ第3のパターンC又は第4のパターンDで、第3及び第4のプリント層305c、dのそれぞれの範囲内に散在している。第1及び第2の材料ドメイン302、304は、研磨材料の連続的なポリマー相を形成し、不連続な複数のポア形成特徴306は、複数の空間的に配置された材料ドメイン302、304の個々のものの間に点在する。
【0037】
[0047]
図3Eは、他の実施形態による、
図2Aに記載された研磨パッド200aの研磨面201の一部分の概略的な拡大上面図である。
図3Eでは、第1及び第2の材料ドメイン302、304が、X及びY方向においてX-Y平面内に研磨パッドの研磨面を形成するために使用される、交互に噛み合ったパターンEで配置される。ここで、第1の材料ドメイン302の少なくとも部分は、それらの間に介在する第2の材料ドメイン304の少なくとも部分によって、互いから間隔を空けられている。
図3Fでは、複数の第2の材料ドメイン304が、アレイパターンFで配置され、それらの間に介在する1以上の連続的な第1の材料ドメイン302の部分によって間隔を空けられている。
【0038】
[0048] 本明細書で説明される積層造形システム及び関連する研磨パッド製造方法は、ポア形成特徴の形成を容易にし、したがって、結果として得られる任意の所望のサイズの又は任意の所望の空間配置内のポア及び凹凸の形成を容易にする。例えば、幾つかの実施形態では、複数のポア形成特徴306が、約10mm未満、例えば、約5mm未満、約1mm未満、約500μm未満、約300μm未満、約200μm未満、約150μm未満、約100μm未満、約50μm未満、約25μm未満、又は例えば約10μm未満の1以上の側方(X‐Y)寸法を有する。幾つかの実施形態では、ポア形成特徴306の1以上の側方寸法が、約1μmより上、例えば、約2.5μmより上、約5μmより上、約7μmより上、約10μmより上、又は約25μmより上である。幾つかの実施形態では、ポア形成特徴306の1以上の側方寸法が、流体輸送特性又はその他の所望の特性を調整するために、研磨パッド全体にわたって変化する。
【0039】
[0049] ここで、ポア形成特徴306は、プリント層305c、dのそれぞれの厚さT(1)の典型的には倍数、例えば1X以上の厚さである、T(X)のような厚さを有する。例えば、プリント層内のポア形成特徴の厚さは、典型的には、それに隣接して配置された研磨材料の連続的なポリマー相の厚さと同じである。したがって、少なくとも2つの連続的に堆積されたプリント層内に側方配置されたポア形成特徴が、Z方向に整列し又は少なくとも部分的に重なり合っている場合、結果として得られるポア形成特徴の厚さT(X)は、少なくとも2つの連続的に堆積されたプリント層の少なくとも組み合わされた厚さになる。幾つかの実施形態では、ポア形成特徴のうちの1以上が、その上又は下に配置された隣接する層内のポア形成特徴と重なり合わず、したがって、厚さT(1)を有する。本明細書で説明される研磨パッドの製造方法のうちの任意の1つ又は組み合わせを実施するために使用され得る例示的な積層造形システムが、
図4Aで更に説明される。
【0040】
[0050]
図4Aは、幾つかの実施形態による、本明細書で説明される研磨パッドを形成するために使用され得る積層造形システムの概略断面図である。ここで、積層造形システム400は、移動可能な製造支持体402、製造支持体402の上方に配置された複数の分注ヘッド404及び406、硬化源408、並びにシステムコントローラ410を特徴とする。
幾つかの実施形態では、分注ヘッド404、406が、研磨パッドの製造プロセス中に、互いに独立して且つ製造支持体402から独立して移動する。典型的には、第1及び第2の分注ヘッド404及び406が、対応する第1及び第2のプレポリマー組成物源412及び414と流体結合される。それらの源は、それぞれの第1及び第2のプレポリマー組成物を提供する。
【0041】
[0051] 幾つかの実施形態では、積層造形システム400が、犠牲材料前駆体源(図示せず)に流体結合した第3の分注ヘッド(図示せず)を特徴とする。幾つかの実施形態では、積層造形システム400が、それぞれ、異なるプレポリマー組成物又は犠牲材料前駆体組成物を分注するために、所望の数だけ多くの分注ヘッドを含む。幾つかの実施形態では、積層造形製造システム400が、複数の分注ヘッドを更に備える。その場合、2つ以上の分注ヘッドが、同じプレポリマー組成物又は犠牲材料前駆体組成物を分注するように構成されている。
【0042】
[0052] ここで、分注ヘッド404、406のそれぞれは、分注ヘッドリザーバに供給されるそれぞれのプレポリマー組成物の液滴430、432を噴射するように構成された液滴噴射ノズル416のアレイを特徴とする。ここで、液滴430、432は、製造支持体に向けて、したがって、製造支持体402上に、又は製造支持体402上に配置された以前に形成されたプリント層418上に噴射される。典型的には、分注ヘッド404、406のそれぞれが、ノズル416のそれぞれからの液滴430、432を、その他の発射ノズル416から独立して、それぞれの幾何学的アレイ又はパターンで発射する(その噴射を制御する)ように構成されている。ここで、ノズル416は、分注ヘッド404、406が製造支持体402に対して移動する際に、液滴分注パターンに従って、プリント層424などの形成されるプリント層に独立して発射する。分注されると、液滴430、432は、典型的には、UV放射源408などの電磁放射源によって提供される電磁放射(例えば、UV放射426)に曝露されることによって、少なくとも部分的に硬化されて、複数の形成されたプリント層424などのプリント層を形成する。
【0043】
[0053] 幾つかの実施形態では、分注された液滴430、432が、電磁放射に曝露されて、液滴が
図4Bの記載で説明されるような平衡サイズに広がる前に、その液滴を物理的に凝固させる。典型的には、分注された液滴430、432が、電磁放射に曝露されて、製造支持体402の表面、又は製造支持体402上に配置された以前に形成されたプリント層418の表面などの表面に液滴が接触してから1秒以内に、それらのプレポリマー組成物を少なくとも部分的に硬化させる。しばしば、液滴を凝固させることはまた、望ましくは、液滴とそれに隣接して配置された他の液滴との合体を防止することによって、表面上に分注された液滴の箇所を固定する。更に、分注された液滴を凝固させることは、有益なことに、種々のプレポリマー組成物の隣接して配置された液滴の界面領域にわたり、プレポリマー成分の拡散を遅らせるか又は実質的に防止する。したがって、種々の隣接して配置された材料ドメインの間での比較的顕著な材料特性の遷移を提供するために、種々のプレポリマー組成物の液滴の相互混合が所望に制御され得る。例えば、幾つかの実施形態では、種々の前駆体組成物の何らかの相互混合を概して含む、隣接して配置された種々の材料ドメインの間の1以上の遷移領域は、約50μm未満、例えば、約40μm未満、約30μm未満、約20μm未満、例えば約10μm未満などの幅(図示せず)を有する。
【0044】
[0054]
図4Bは、幾つかの実施形態による、
図4Aに記載された以前に形成された層418などの、以前に形成された層の表面418a上に配置された液滴432を概略的に示す拡大断面図である。典型的な積層造形プロセスでは、液滴432aなどのプレポリマー組成物の液滴が、液滴432aが表面418aに接触した時のその瞬間から約1秒以内に、以前に形成された層の表面418aとの平衡接触角度αに到達する。平衡接触角度αは、少なくとも、プレポリマー組成物の材料特性と、以前に形成された層、例えば以前に形成された層418の表面418aにおけるエネルギー(表面エネルギー)との関数である。幾つかの実施形態では、以前に形成された層の表面418aとの液滴の接触角度を固定するために、分注された液滴が平衡サイズに到達する前に、分注された液滴を少なくとも部分的に硬化させることが望ましい。これらの実施形態では、凝固した液滴432bの接触角度θが、その平衡サイズまで広がることが許容された同じプレポリマー組成物の液滴432aの平衡接触角度αより大きい。
【0045】
[0055] 本明細書では、分注された液滴430、432を少なくとも部分的に硬化させることにより、液滴内の第1及び第2のプレポリマー組成物のそれぞれの、及び同じプレポリマー組成物の隣接して配置された液滴との少なくとも部分的な重合、例えば架橋(cross-linking)が生じ、本明細書で説明される第1及び第2の材料ドメインなどの個別の第1及び第2のポリマードメインをそれぞれ形成する。更に、第1及び第2のプレポリマー組成物を少なくとも部分的に硬化させることにより、第1及び第2のプレポリマー組成物の隣接して配置された液滴間の界面領域において、第1及び第2のプレポリマー組成物の少なくとも部分的な共重合が生じる。第1及び第2のプレポリマー組成物の少なくとも部分的な重合は、種々の予備ポリマー組成物の隣接する液滴の界面境界領域にわたるプレポリマー成分の拡散を遅らせるか又は実質的に防止し、それらの間の相互混合の微細な制御を可能にする。言い換えれば、分注された液滴403、432を少なくとも部分的に硬化させることによって、液滴内の第1及び第2のプレポリマー組成物の少なくとも部分的な重合、隣接して配置された液滴間の第1及び第2のプレポリマー組成物の少なくとも部分的な共重合、並びに液滴403、432と、その下に隣接して配置された以前に形成されたプリント層418の少なくとも部分的に硬化された材料との間の少なくとも部分的な重合又は共重合が生じる。
【0046】
[0056] 本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る幾つかの実施形態では、第1及び第2のプレポリマー組成物が、それぞれ、官能性ポリマー、官能性オリゴマー、官能性モノマー、反応性希釈剤、及び光開始剤のうちの1以上の混合物を含む。
【0047】
[0057] 少なくとも2つのプレポリマー組成物のうちの一方又は両方を生成するために使用され得る好適な官能性ポリマーの例には、ジ、トリ、テトラ、及び1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン又はトリメチロールプロパントリアクリレートなどの、高官能性アクリレートを含む多官能性アクリレートが含まれる。
【0048】
[0058] 少なくとも2つのプレポリマー組成物のうちの一方又は両方を生成するために使用され得る好適な官能性オリゴマーの例には、単官能性及び多官能性オリゴマー、アクリレートオリゴマー、例えば、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、脂肪族六官能性ウレタンアクリレートオリゴマー、ジアクリレート、脂肪族六官能性アクリレートオリゴマー、多官能性ウレタンアクリレートオリゴマー、脂肪族ウレタンジアクリレートオリゴマー、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、脂肪族ポリエステルウレタンジアクリレートオリゴマーの脂肪族ジアクリレートオリゴマーとのブレンド、又はそれらの組み合わせ、例えば、ビスフェノール-Aエトキシレートジアクリレート若しくはポリブタジエンジアクリレート、四官能性アクリレートポリエステルオリゴマー、及び脂肪族ポリエステルベースのウレタンジアクリレートオリゴマーが含まれる。
【0049】
[0059] 少なくとも2つのプレポリマー組成物のうちの一方又は両方を生成するために使用され得る好適なモノマーの例には、単官能性モノマーと多官能性モノマーの両方が含まれる。好適な単官能性モノマーには、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えばSartomer(登録商標)からのSR285)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ビニルカプロラクタム、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、2-[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルアクリレート(例えば、RAHN USAコーポレーションからのGenomer 1122)、3,3,5-トリメチルシクロヘキサンアクリレート、又は単官能性メトキシ化PEG(350)アクリレートが含まれる。好適な多官能性モノマーには、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、アルコキシ化脂肪族ジアクリレート(例えば、Sartomer(登録商標)からのSR9209A)、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、又はそれらの組み合わせ、例えば、Sartomer(登録商標)からのSR562、SR563、SR564などの、ジオール及びポリエーテルジオールのジアクリレート又はジメタクリレートが含まれる。
【0050】
[0060] 典型的には、少なくとも2つの異なるプレポリマー組成物のうちの1以上を生成するために使用される反応性希釈剤は、少なくとも単官能性であり、遊離ラジカル、ルイス酸(Lewis acid)、及び/又は電磁放射に暴露されたときに重合を受ける。好適な反応性希釈剤の例には、モノアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、オクチルデシルアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、カプロラクトンアクリレート、イソボルニルアクリレート(IBOA)、又はアルコキシル化ラウリルメタクリレートが含まれる。
【0051】
[0061] 少なくとも2つの異なるプレポリマー組成物のうちの1以上を生成するために使用される好適な光開始剤の例には、例えば、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、アセチルフェノン、アルキルフェノン、ホスフィン酸化物、ベンゾフェノン化合物、及びアミン相乗剤を含むチオキサントン化合物、若しくはそれらの組み合わせなどの、ポリマー光開始剤並びに/又はオリゴマー光開始剤が含まれる。
【0052】
[0062] 上述されたプレポリマー組成物から形成される研磨パッドの例には、典型的には、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリエーテル、ポリオキシメチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリシロキサン、ポリスルホン、ポリフェニレン、ポリフェニレンスルファイド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、メラミン、ポリスルホン、ポリビニル材料、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ハロゲン化ポリマー、ブロックコポリマー、及びこれらのランダムなコポリマー、並びにそれらの組み合わせから成る群から選択される、オリゴマー及び/又はポリマーのセグメント、化合物、若しくは材料のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0053】
[0063] 本明細書で説明される幾つかの実施形態は、犠牲材料、例えば、グリコール(例えば、ポリエチレングリコール)、グリコールエーテル、及びアミンなどの水溶性材料から形成されるポア形成特徴を更に含む。本明細書で説明されるポア形成特徴を形成するために使用され得る好適な犠牲材料前駆体の例には、エチレングリコール、ブタンジオール、ダイマージオール、プロピレングリコール-(1,2)およびプロピレングリコール-(1,3)、オクタン-1,8-ジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール(1,4-ビス-ヒドロキシメチルシクロヘキサン)、2-メチル-1,3-プロパンジオール、グリセリン、ヘキサンジオール-(1,6)、ヘキサントリオール-(1,2,4)、トリメチルオレタン、ペンタエリスリトール、キニトールおよびソルビトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジブチレングリコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGMBE)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エタノールアミンを含む。ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0054】
[0064] 幾つかの実施形態では、犠牲材料前駆体が、1-ビニル-2-ピロドリン、ビニルイミダゾール、ポリエチレングリコールジアクリレート、アクリル酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、ヒテノールBC10(登録商標)、マキセマル6106(登録商標)、ヒドロキシエチルアクリレート及び[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロライド、3-アリルオキシ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、4-ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチル-(3-スルホプロピル)水酸化アンモニウム、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸、アリルトリフェニルホスホニウムクロライド、(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリフェニルホスホニウムクロライド、(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウムクロライド、E-SPERSE RS-1618、E-SPERSE RS-1596、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールジアクリレート、メトキシポリエチレングリコールトリアクリレート、又はそれらの組み合わせなどの、水溶性ポリマーを含む。
【0055】
[0065] ここで、
図4Aで示されている積層造形システム400は、その動作を指示するためのシステムコントローラ410を更に含む。システムコントローラ410は、メモリ435(例えば、不揮発性メモリ)及びサポート回路436と共に動作可能なプログラマブル中央処理装置(CPU)434を含む。サポート回路436は、通常、CPU434に結合されており、積層造形システム400の様々な構成要素に結合されたキャッシュ、クロック回路、入/出力サブシステム、電源など、及びそれらの組み合わせを備え、それらの制御を容易にする。CPU 434は、積層造形システム400の様々な構成要素やサブプロセッサを制御するために、プラグラム可能な論理制御装置(PLC)などの工業的な環境で使用される汎用コンピュータプロセッサの任意の形態のうちの1つである。メモリ435は、CPU434に結合されており、非一過性であり、通常、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスクドライブ、ハードディスク、又は任意の他の形態のローカル若しくは遠隔のデジタルストレージなどの、容易に入手可能なメモリのうちの1以上である。
【0056】
[0066] 典型的には、メモリ435が、指示命令(例えば、不揮発性メモリ)を含むコンピュータ可読記憶媒体の形態を採り、指示命令は、CPU434によって実行されると、製造システム400の動作を容易にする。メモリ435内の指示命令は、本開示の方法を実装するプログラムなどのプログラム製品の形態を採る。
【0057】
[0067] プログラムコードは、数々の異なるプログラミング言語のうちの任意の1つに適合し得る。一実施例では、本開示が、コンピュータシステムと共に使用するためのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラム製品として実装され得る。プログラム製品の(1以上の)プログラムは、(本明細書で説明されている方法を含む)実施形態の機能を規定する。
【0058】
[0068] 例示的なコンピュータ可読記憶媒体は、非限定的に、(i)情報が永続的に記憶される書込み不能な記憶媒体(例えば、CD-ROMドライブ、フラッシュメモリ、ROMチップ、又は任意の種類の固体不揮発性半導体メモリによって読み出し可能なCD-ROMディスクなどのコンピュータ内の読出し専用メモリデバイス)、及び(ii)変更可能な情報が記憶される書き込み可能な記憶媒体(例えば、ディスケットドライブ又はハードディスクドライブ内のフロッピーディスク或いは任意の種類の固体ランダムアクセス半導体メモリ)を含む。
本明細書で説明される方法の機能を指示するコンピュータ可読指示命令を伝える際には、このようなコンピュータ可読記憶媒体が、本開示の実施形態となる。幾つかの実施形態では、本明細書で説明される方法又はその部分が、1以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他の種類のハードウエア実装によって実行される。幾つかの他の実施形態では、本明細書で説明される研磨パッド製造方法が、ソフトウエアルーチン、ASIC、FPGA、及び/又は他の種類のハードウエア実装の組み合わせによって実行される。
【0059】
[0069] ここで、システムコントローラ410は、製造支持体402の移動、分注ヘッド404及び406の移動、そこからプレポリマー組成物の液滴を噴射するためのノズル416の発射、並びにUV放射源408によって提供される分注された液滴の硬化の程度及びタイミングを指示する。幾つかの実施形態では、製造システム400の動作を指示するためにシステムコントローラによって使用される指示命令が、形成されるプリント層のそれぞれに対する液滴分注パターンを含む。幾つかの実施形態では、液滴分注パターンが、CAD対応型ディジタルプリント指示命令としてメモリ425内に集合的に記憶される。本明細書で説明される研磨パッドを製造するために積層造形システム400によって使用され得るプリント指示命令の例が、
図5A~
図5Bで概略的に表現されている。
【0060】
[0070]
図5A及び
図5Bは、幾つかの実施形態による、本明細書で説明される方法を実施するために積層造形システム400によって使用され得るCAD対応型プリント指示命令の一部分を概略的に表している。ここで、プリント指示命令500又は502を使用して、プレポリマー組成物の液滴430、432の配置を制御する。それらを使用して、それぞれの材料ドメイン302、304、及びポア形成特徴306を形成するために使用される犠牲材料前駆体の液滴506を形成する。典型的には、液滴430、432、及び506の配置は、積層造形システムの分注ヘッドが製造支持体に対して移動する際に、ノズルのそれぞれの分注ヘッドアレイのノズルのうちの1以上を選択的に発射させることによって制御される。
図5Bは、分注ヘッドが製造支持体に対して移動する際に、ノズルの全部未満が発射されるCAD対応型プリント指示命令を表しており、それらの間の空間が、省かれた液滴510として仮想線で示されている。
【0061】
[0071] 典型的には、プリント層又はプリント層の一部分内に分注される液滴の合計体積が、その平均厚さを決定する。したがって、ノズルの分注ヘッドアレイ内のノズルの全部未満を選択的に発射させることができるので、プリント層のZ解像度(平均厚さ)を精密に制御することができる。例えば、
図5A及び
図5Bのプリント指示命令500及び502を、それぞれ使用して、同じ積層造形システム上に研磨パッドの1以上のそれぞれのプリント層を形成することができる。分注された液滴が同じサイズである場合、プリント指示命令502を使用して分注された液滴の合計体積は、プリント指示命令500を使用して分注された液滴の合計体積未満になり、したがって、より薄いプリント層を形成することになる。分注ヘッドが製造支持体に対して移動する際にノズルのうちの全部未満が発射される実施形態などの幾つかの実施形態では、液滴が広がり、その液滴の近傍に分注された他の液滴との重合又は共重合を容易にし、したがって、以前に形成されたプリント層の実質的な被覆を確実にすることが可能になる。
【0062】
[0072]
図6は、1以上の実施形態による、研磨パッドのプリント層を形成する方法を説明しているフロー図である。方法600の実施形態は、
図4Aの積層造形システム400、
図4Bの凝固した液滴、及び
図5A~
図5Bのプリント指示命令などの、本明細書で説明されているシステム及びシステム動作のうちの1以上との組み合わせで使用されてよい。更に、方法600の実施形態を使用して、
図3A~
図3Dで説明されている実施形態を含む、研磨パッド2A~2Bなどの図示され本明細書で説明されている研磨パッドのうちの任意の1以上の組み合わせを形成することができる。
【0063】
[0073] 動作601では、方法600が、第1のプレポリマー組成物の液滴と第2のプレポリマー組成物の液滴とを、所定の液滴分注パターンに従って、以前に形成されたプリント層の表面上に分注することを含む。ここで、第1のプレポリマー組成物は、第2のプレポリマー組成物とは異なる。例えば、幾つかの実施形態では、第1のプレポリマー組成物が、第2のプレポリマー組成物を生成するために使用されるモノマー又はオリゴマーとは異なる1以上のモノマー又はオリゴマーを含む。
【0064】
[0074] 動作602では、方法600が、第1のプレポリマー組成物の分注された液滴と第2のプレポリマー組成物の分注された液滴とを少なくとも部分的に硬化させて、1以上の第1の材料ドメイン及び複数の第2の材料ドメインの少なくとも部分を含むプリント層を形成することを含む。ここで、分注された液滴を少なくとも部分的に硬化させることにより、1以上の第1の材料ドメインと複数の第2の材料ドメインとの間の界面領域において、第1のプレポリマー組成物と第2のプレポリマー組成物とを共重合させて、研磨材料の連続的なポリマー相を形成する。幾つかの実施形態では、複数の第2の材料ドメインが、研磨パッドの支持面に平行なX‐Y平面においてパターン状に分布し、1以上の第1の材料ドメインと並んだ構成で配置される。典型的には、1以上の第1の材料ドメインと第2の材料ドメインとは、互いに1以上の材料特性の差異を有する。
【0065】
[0075] 幾つかの実施形態では、方法600が、Z方向、すなわち、製造支持体又はその上に配置された以前に形成されたプリント層の表面に対して直交する方向に積み重ねられた複数のプリント層を形成するために、動作601及び602の連続的な反復を更に含む。
それぞれのプリント層を形成するために使用される所定の液滴分注パターンは、その下に配置された以前のプリント層を形成するために使用される所定の液滴分注パターンと同じであっても異なっていてもよい。幾つかの実施形態では、方法600が、所定の液滴分注パターンに従って犠牲材料又は犠牲材料前駆体の液滴を分注して、複数の空間的に配置されたポア形成特徴の少なくとも部分を、1以上の連続して形成されたプリント層内に形成することを更に含む。
【0066】
[0076] 本明細書で説明される方法は、それらの間に種々の材料特性を備える制御され反復可能に空間的に配置された材料ドメインを有する研磨パッドの製造を有利に提供する。
研磨材料の連続的なポリマー相内に材料ドメインを空間的に配置することができるので、反復可能な且つ制御されたやり方で、研磨パッド材料内に2つ以上の材料特性を所望に含む研磨パッドを製造することができる。
【0067】
[0077] 以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱せずに本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定される。