(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】画像形成装置及び調整方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20240125BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240125BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20240125BHJP
B65H 9/00 20060101ALI20240125BHJP
B65H 9/10 20060101ALI20240125BHJP
B65H 29/58 20060101ALI20240125BHJP
B65H 3/48 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G03G15/00 447
G03G21/00 386
G03G21/14
G03G15/00 450
B65H9/00 H
B65H9/10
B65H29/58 B
B65H3/48 320
(21)【出願番号】P 2019228618
(22)【出願日】2019-12-18
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 和人
(72)【発明者】
【氏名】戸坂 彰彦
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-033151(JP,A)
【文献】特開2011-088736(JP,A)
【文献】特開2003-263090(JP,A)
【文献】特許第5235961(JP,B2)
【文献】特開2002-087643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 21/14
B65H 9/00
B65H 9/10
B65H 29/58
B65H 3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてきたシート材の片面に対して処理を行うシート材処理手段と、
前記シート材処理手段よりも前記シート材の搬送方向上流側に配置され、前記シート材の幅方向の位置をシフトさせる第一シフト手段と、
前記シート材処理手段によりも前記シート材の搬送方向下流側に配置され、前記シート材の幅方向の位置をシフトさせる第二シフト手段とを備えた画像形成装置において、
前記第一シフト手段の前記シート材をシフトさせる際に基準とする第一基準位置と、前記第二シフト手段の前記シート材をシフトさせる際に基準とする第二基準位置との位置関係を調整する位置調整モードを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記第二シフト手段は、前記シート材の幅方向の位置を検出する位置検出手段を有し、
前記位置調整モードは、前記第一シフト手段により前記シート材を所定の位置にシフトさせて、前記第二シフト手段へ前記シート材を搬送し、前記位置検出手段により前記シート材の幅方向位置を検出し、前記位置検出手段の検出結果に基づいて、前記第一基準位置と前記第二基準位置との位置関係の調整が行われるようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
操作部と表示部とを有し、
前記位置調整モードは、前記位置検出手段の検出結果を前記表示部に表示し、
作業者が前記操作部の操作をして入力した調整値に基づいて、前記第一基準位置または前記第二基準位置を調整することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載の画像形成装置において、
作業者により操作される操作部を備え、
前記位置調整モードは、前記操作部の操作によって実行されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記シート材処理手段を通過するように前記シート材を搬送する主搬送路と、前記シート材処理手段により第一面が処理された前記シート材の表裏を反転させて前記主搬送路へ再搬送する反転搬送路とを備え、
前記第二シフト手段は、前記反転搬送路に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記第二シフト手段は、前記第二基準位置を基準にして前記シート材を、前記第一シフト手段がシフトさせた位置とは異なる位置にシフトさせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記第一シフト手段及び前記第二シフト手段は、所定のタイミングで、前記シート材をシフトさせる位置を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記第一シフト手段は、複数のシートにエアを吹き付けることで、1つのシートを他のシートから分離して給送するエア分離給送装置から給送されたシート材を、前記第一基準位置を基準にしてシフトさせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記第一シフト手段は、画像形成装置本体とは別体の装置に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
搬送されてきたシート材の片面に対して処理を行うシート材処理手段と、前記シート材処理手段よりも前記シート材の搬送方向上流側に配置され、前記シート材の幅方向の位置をシフトさせる第一シフト手段と、前記シート材処理手段によりも前記シート材の搬送方向下流側に配置され、前記シート材の幅方向の位置をシフトさせる第二シフト手段とを備えた画像形成装置の調整方法において、
前記第一シフト手段により所定の位置に前記シート材をシフトさせる工程と、
前記第二シフト手段が備える位置検出手段により前記シート材の幅方向の位置を検出する工程と、
前記位置検出手段の検出結果に基づいて、前記第一シフト手段の前記シート材をシフトさせる際に基準とする第一基準位置と、前記第二シフト手段の前記シート材をシフトさせる際に基準とする第二基準位置との位置関係を所定の関係に調整するための調整値を算出する工程と、
前記調整値で、前記第一基準位置又は第二基準位置を調整する工程とを有することを特徴とする調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、搬送されてきたシート材の片面に対して処理を行うシート材処理手段と、シート材処理手段よりもシート材の搬送方向上流側に配置され、シート材の幅方向の位置をシフトさせる第一シフト手段と、シート材処理手段によりもシート材の搬送方向下流側に配置され、シート材の幅方向の位置をシフトさせる第二シフト手段とを備えた画像形成装置が、知られている。
【0003】
特許文献1には、上記画像形成装置として、シート材処理手段としての第一画像形成部よりもシート材の搬送方向上流側に第一シフト手段を設け、第一画像形成部よりもシート材の搬送方向下流側に第二シフト手段を設けたものが記載してある。第一シフト手段は、第一基準位置を基準にして搬送されてきたシート材を所定の位置へシフトさせ、第二シフト手段は、第二基準位置を基準にして、第一シフト手段によるシフト位置とは異なる位置にシート材をシフトさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、製造誤差や組み付け誤差などにより、第一基準位置と第二基準位置との位置関係が、所望の位置関係からずれてしまい、第一シフト手段によりシフトされたシート材の位置と、第二シフト手段によりシフトされたシート材の位置との関係が崩れるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、搬送されてきたシート材の片面に対して処理を行うシート材処理手段と、前記シート材処理手段よりも前記シート材の搬送方向上流側に配置され、前記シート材の幅方向の位置をシフトさせる第一シフト手段と、前記シート材処理手段によりも前記シート材の搬送方向下流側に配置され、前記シート材の幅方向の位置をシフトさせる第二シフト手段とを備えた画像形成装置において、前記第一シフト手段の前記シート材をシフトさせる際に基準とする第一基準位置と、前記第二シフト手段の前記シート材をシフトさせる際に基準とする第二基準位置との位置関係を調整する位置調整モードを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第一シフト手段によりシフトされたシート材の位置と、第二シフト手段によりシフトされたシート材の位置との関係が崩れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】第一用紙位置補正機構の要部構成を示す一部断面正面図。
【
図4】ゲート部材を備えた斜行補正機構の動作推移を説明する簡略的な正面図。
【
図5】第一用紙位置補正機構の斜行補正動作について説明する図。
【
図7】斜行補正機構によりシフトユニットを移動(斜行)させた状態を示す図。
【
図9】シフトユニットと、主走査補正機構とを示す平面図。
【
図10】主走査補正機構の動作について説明する図。
【
図11】本実施形態に係る第二用紙位置補正機構を上方からみた斜視図。
【
図12】同第二用紙位置補正機構を下方からみた斜視図。
【
図14】同第二用紙位置補正機構におけるシフトブロックの近傍を示す拡大斜視図。
【
図15】本実施形態に係る第二用紙位置補正機構におけるエッジ位置検知センサ部の動作例を示す説明図。
【
図16】本実施形態に係る用紙位置補正装置の用紙の位置補正時における搬送ローラ対及びエッジ位置検知センサ部の動作例を示す説明図。
【
図17】
図16に続く搬送ローラ対及びエッジ位置検知センサ部の動作例を示す説明図。
【
図18】(A)~(C)は本実施形態に係る用紙位置補正装置の従動ローラの位置補正時における搬送ローラ対の動作例を示す説明図。
【
図19】(A)~(C)は
図18に続く搬送ローラ対の動作例を示す説明図。
【
図20】定着装置の定着ニップ部に用紙が挟み込まれた様子を示す模式図。
【
図21】定着部材のエッジ傷について、説明する図。
【
図22】本実施形態に係る用紙位置補正に関わる制御系の要部構成の一例を示すブロック図。
【
図23】用紙給送装置から給紙された用紙について、両面印刷時における用紙の幅方向の位置補正について説明する図。
【
図24】第一基準位置と第二基準位置との位置関係が幅方向にずれてしまう場合について説明する図。
【
図26】サービスマンに調整値の入力を促す表示の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態について説明する。
図1は、画像形成装置1を示す概略構成図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、プリンタ本体100と、大量のシート材たる用紙20を積載可能なエア分離給送装置たる用紙給送装置200と、用紙給送装置200から搬送された用紙20の位置を補正する用紙位置補正装置300とを備えている。用紙位置補正装置300は、プリンタ本体100の図中右側面に設けてあり、用紙給送装置200は、用紙位置補正装置300の図中右側面に設けてある。
【0009】
プリンタ本体100は中間転写ベルト16が設けてある。この中間転写ベルト16は複数のローラに張架されて走行可能であり、図中の上側には、イエローY、シアンC、マゼンタM、ブラックKの各感光体12が設けてある。各感光体12の周囲にはそれぞれ、レーザ走査ユニット10、帯電器11、現像機13、中間転写ベルト16を挟んで1次転写ローラ14等が配設してある。
【0010】
上記中間転写ベルト16の下部には、シート材処理手段としての2次転写ローラ15が設けてあり、中間転写ベルト16上に一次転写されたトナー像を用紙20に2次転写する。2次転写ローラ15が設けられている二次転写部の用紙搬送方向下流側にはシート材処理手段としての定着装置17が設けてある。これら二次転写部及び定着装置17の下側のプリンタ本体100のほぼ中央であって、反転搬送路19の途中に、第二シフト手段としての第二用紙位置補正機構30が設けてある。この第二用紙位置補正機構30の具体構成は、後述する。
【0011】
プリンタ本体100の上側には操作部と表示部とを有する操作表示部としての操作パネル3が設けてあり、左側面には排紙トレイ4が設けてある。さらに、第二用紙位置補正機構30の下側であってプリンタ本体100の下部に、用紙20を積載する第一~第三の3つのシート材積載部としての給紙トレイ5が備えてある。第一~第三の給紙トレイ5にはそれぞれ、転写紙又は樹脂フィルムなどから成るシート材としての用紙20が格納してあり、ユーザは操作パネル3やPC等の入力端末により、給紙に使用する第一~第三の給紙トレイ5を選択することができる。また、プリンタ本体100、第二用紙位置補正機構30などを制御するCPU、ROM、RAMなどで構成される制御手段としての制御装置400が設けてある。
【0012】
上記構成のプリンタ本体100でプリントが開始されると、まず各感光体12が図における反時計回り方向に回転駆動され、このとき帯電器11は、感光体12の表面を所定の極性に帯電する。次いで、各色のレーザ走査ユニット10は、各感光体12の帯電面に画像情報に基づくレーザ光を照射して、感光体12に静電潜像を形成する。次いで、現像機13は、感光体12の表面に形成された静電潜像をトナー像として可視像化する。次いで、一次転写ローラは、そのトナー像を中間転写ベルト16に転写する。なお、感光体クリーナーが、トナー像転写後の感光体12の表面に付着する転写残トナーを除去する。
【0013】
プリンタ本体100は、カラー画像形成時は、上述した画像形成動作が全ての感光体12で行い、これによって各感光体12にそれぞれ形成されたイエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像及び黒トナー像を中間転写ベルト16上に順次重ねて転写する。
【0014】
また、プリンタ本体100は、プリンタ本体100の下部に備えられた第一~第三の給紙トレイ5及び用紙給送装置200のいずれかから、用紙20を主搬送路24へ給紙する。次いで、プリンタ本体100は、主搬送路24へ給紙された用紙20をレジストローラ18に向けて送り出し、その先端を停止しているレジストローラ18に突き当てる。これによって用紙20が整合された後、レジストローラ18は2次転写ローラ15が設けられた上記中間転写ベルト16の2次転写部に向けて用紙20を上記トナー像と合致するタイミングで送り出す。
【0015】
プリンタ本体100は、2次転写ローラ15によって用紙の片面に対する処理として、中間転写ベルト16上のトナー像を用紙20に転写する処理を行う。トナー像が転写された用紙20は、定着装置17に送られ、用紙の片面に対する処理として、未定着のトナー像を定着する処理を行った後、プリンタ本体100は、排紙トレイ4に用紙20を排出する。なお、トナー像の転写後に中間転写ベルト16の表面に付着する転写残トナーは、中間転写ベルト用のクリーナーによって除去される。
【0016】
ユーザが操作パネル3又はPC等の入力端末を操作して、用紙20の両面印刷を選択した場合、プリンタ本体100は、分岐爪23により搬送経路を切り替えて、第一面に画像が形成された用紙20を反転搬送路19の反転ローラ21へ送り出す。プリンタ本体100は、分岐爪23により反転ローラ21へ送り出された用紙20を、反転ローラ21の正逆転により第二シフト手段としての第二用紙位置補正機構30の両面ローラへ搬送する。この際、用紙20の搬送方向に対する表裏は第一面画像形成時と反転する。そして、プリンタ本体100は、主搬送路24へ用紙20を再搬送し、中継ローラ22からレジストローラ18まで用紙20を搬送した後は、上述したのと同様のプロセスで第二面にも画像形成を施した後、排紙トレイ4に排出する。
【0017】
用紙給送装置200は、シート材積載部としての上下2段の用紙給送部200a,200bを有している。各用紙給送部200a,200bは、最大2500枚程度の用紙20を収納可能となっている。各用紙給送部200a,200bは、積載された用紙20を分離・給送するエア給送ユニット220をそれぞれ備えている。このエア給送ユニット220は、搬送手段である吸着ベルト210及び吸引装置230を備えている。
【0018】
吸着ベルト210は、ベルトの表面側から裏面側まで貫通する吸引孔を周方向の全域に設けてある。吸引装置230は、吸着ベルト210の内部に配置してあり、エアダクトと、このエアダクトを通じて空気を吸引する吸引ファンとを有している。吸引装置230は、吸着ベルト210の吸引口から空気を吸引することで、吸着ベルト210の下方に負圧を発生し、吸着ベルト210の下面に用紙を吸着させるように作用する。
【0019】
また、エア給送ユニット220は、積載された用紙束の上部の用紙に対して先端側からエアを吹き付けて、浮上させるフロント送風装置と、サイドからエアを吹き付けて用紙を浮上させるとサイド送風装置とを有している。フロント送風装置と、サイド送風装置とから吹き付けられた空気により、用紙束の上部の用紙が浮上する。
【0020】
浮上した上部の用紙のうち最上位用紙が、吸引装置230の吸引力により吸着ベルト210に吸着する。吸着ベルト210に最上位用紙が吸着したら吸着ベルト210を回転駆動し、吸着ベルト210に吸着した最上位用紙を給送する。
【0021】
下側の用紙給送部200bに積載された用紙20は、下搬送路282を通って、出口ローラ対280によって搬送され、用紙位置補正装置300へ移動する。上側の用紙給送部200aに積載された用紙20は、上搬送路281を通って、出口ローラ対280によって搬送され、用紙位置補正装置300へ移動する。上搬送路281の各搬送ローラ対、上搬送路281の各搬送ローラ対及び出口ローラ対280の一方の搬送ローラは、他方の搬送ローラに対して接離可能となっている。
【0022】
用紙位置補正装置300は、入り口ローラ対306と、第一シフト補正手段としての第一用紙位置補正機構330とを備えている。この第一用紙位置補正機構330の具体構成は、後述する。
エア給送ユニット220により分離・給送される用紙は、斜行が生じていたり、幅方向の位置が大きくばらついていたりする。このような斜行や幅方向の位置を補正するために本画像形成装置1は、プリンタ本体100と用紙給送装置200との間に用紙位置補正装置300を設けている。プリンタ本体100は、用紙位置補正装置300からプリンタ本体100へ搬送された用紙を、主搬送路24へ搬送し、その後は、プリンタ本体100の下部に備えられた第一~第三の給紙トレイ5から給送された用紙20と同様に搬送する。
【0023】
図2は、第一用紙位置補正機構330の要部構成を示す一部断面正面図であり、
図3は、第一用紙位置補正機構330の平面図である。
図4、
図5に示すように、第一用紙位置補正機構330は、用紙搬送方向Xの上流側から下流側へ向けて、入り口ローラ対306、補正ローラ対305、コンタクトイメージセンサ308、2個の用紙検出センサ318a、318bが順に配置してある。入り口ローラ対306は、用紙搬送路を挟んで対向するローラ対を有しており、装置本体側に固定して配置された一対のフレーム315a,315bに軸を介して回転可能に支持してある。
【0024】
入り口ローラ対306と補正ローラ対305との間の用紙搬送路には、入り口ローラ対306のニップ部接線方向とほぼ平行に延長されて配置された下側搬送ガイド353と、下側搬送ガイド353と対向して配置された上側搬送ガイド354とが設けてある。上側搬送ガイド354は、下側搬送ガイド353から離れる向きに上向きに膨出した膨出部分を有している。この膨出部分は、後述する用紙の一部を撓ませた際に生じるループ(湾曲部)が位置する部分である。
【0025】
補正ローラ対305は、用紙搬送路を挟んで下側に位置する補正駆動ローラ305aと、上側に位置する補正従動ローラ305bとを有する。補正駆動ローラ305aは、用紙の幅方向Yに所定の間隔をあけて設けたローラ部1305aを備えている。補正従動ローラ305bは、補正駆動ローラ305aのローラ部1305aにそれぞれ当接する2つのローラ部1305bを備えている。補正従動ローラ305bは、接離機構によって、補正駆動ローラ305aに対して当接したり離間したりする。接離機構は、例えば本出願人が提案した特開2012-030971号公報の
図5に示したと同様の、駆動ローラ側に設けられた挟持搬送ローラ接離用カム(351C)等を有している。なお、補正ローラ対305の接離機構は、上記したものに限らず、別の駆動モータとカムなどを用いて離間させる他の公知の接離機構でもよい。
【0026】
補正駆動ローラ305aのローラ部1305aが固定されている補正駆動ローラの軸305cには、ゲート部としての6つのゲート部材304が一体的に取り付けてある。6つのゲート部材304のうち4つは、補正駆動ローラ305aのローラ部1305aの軸方向両端面に隣接して配置してある。ゲート部材304の残りの2つは、本実施形態の画像形成装置で使用される用紙幅方向Yの最大用紙サイズに対応して軸305cの両端部近傍に設けてある。本実施形態では、これらゲート部材304は例えばアルミニウム等の金属で、補正駆動ローラ305aのローラ部1305aと別体で形成してある。これに限らず、補正駆動ローラ305aのローラ部1305aの軸方向両端面に隣接して配置するゲート部材は、ローラ部1305aと一体的に形成したものでもよい。
【0027】
図3に示すように、第一用紙位置補正機構330は、シフトユニット313を有している。シフトユニット313は各ゲート部材304と補正ローラ対305とを、軸305cを介して回動(正逆方向に円運動することを意味する)可能に取付け・支持する平板状のユニット本体312を有している。
【0028】
また、第一用紙位置補正機構330は、斜行補正機構314を有している。斜行補正機構314は、シフトユニット313を移動して、用紙幅方向Yに対するゲート部材304及び補正ローラ対305の角度を変える方向にシフトさせるものである。斜行補正機構314は、固定部材319、ラック320、ユニット移動モータ321、ピニオン321aなどを有している。
【0029】
コンタクトイメージセンサ308(以下、「CIS308」と略記する)は、搬送されてくる用紙の幅方向Yの位置を検知する用紙幅検知手段として機能する。CIS308は、用紙の幅方向Yの長さが、第一フレーム315aから第二フレーム315bまでの距離の半分以下の長さである。CIS308は、搬送されてくる用紙における幅方向Yの一端の位置を検知するために、シフトユニット313近傍の用紙搬送路上に突出するように第一フレーム315aに取付け・固定してある。
2個の用紙検出センサ318a、318bは、例えば反射型のフォトセンサからなり、用紙の先端と後端との通過タイミングを検出することにより平行度差を検知する平行度差検知手段、上位概念的には平行度差認識手段として機能する。
【0030】
また、第一用紙位置補正機構330は、補正ローラ対305を回転駆動する補正ローラ駆動装置340を備えている。補正ローラ駆動装置340は、駆動モータ309、モータギヤ311、2段ギヤ317、出力ギヤ310を有している。駆動モータ309は、正逆回転可能なステッピングモータ又はDCモータからなる。駆動モータ309は、ブラケットを介して用紙幅方向一端側の第一フレーム315aに固定してあり、補正ローラ対305を回転駆動する駆動源として機能する。駆動モータ309の出力軸にモータギヤ311が固定してある。2段ギヤ317は、モータギヤ311と噛み合う小径ギヤ317a及び出力ギヤ310と噛み合う大径ギヤ317bからなり、フレーム315aに回動可能に支持してある。出力ギヤ310は、補正ローラ対305の軸305cに固定してある。
なお、第一用紙位置補正機構330は、ゲート部材304の初期位置を検知するためのホームポジションセンサを出力ギヤ310等に配置している構成でもよい。
【0031】
図4(a)はゲート部材の構成を説明する断面図であり、
図4(b)は補正ローラ対305のニップ部とゲート部材304のゲート位置を説明する一部断面正面図である。また、
図4(c)、
図4(d)は補正ローラ対305のニップ部と、用紙の先端がゲート部材304の当接面304aに突き当たる位置との関係を説明する拡大断面図である。
【0032】
図4(a)に示すように、ゲート部材304は、当接面304aと、ガイド面304cと、搬送ガイド面304bとを有している。当接面304aは、用紙の先端位置の整合を行うものである。ゲート部材304の搬送ガイド面304bは、補正ローラ対305が停止し、補正従動ローラ305bが補正駆動ローラ305aから離間したときのガイドとなるものである。当接面304aは、
図4(a)、
図4(b)に示すように、補正駆動ローラ305aの外周面より突出した部分の搬送された用紙20の先端と対向する面である。
ガイド面304cは、ゲート部材304の当接面304aに連続した一部であり、補正駆動ローラ305aの外径と同径である。
【0033】
ゲート部材304は、補正駆動ローラ305aと一体で回転することで、当接面304aが
図4(b)に示すゲート位置Gpに位置する初期位置と、用紙搬送路から退避する退避位置との間で移動することが可能となっている。
【0034】
図4(b)、後述の
図5(b)に示すように、搬送されてきた用紙20の先端を突き当てる位置は補正ローラ対305の圧接により形成されるニップ部Nの位置ではない。即ち、搬送されてきた用紙20の先端を突き当てる位置は、ニップ部Nの位置よりも用紙搬送方向Xの上流側に偏倚した、ゲート部材304の当接面304aが位置するゲート位置Gpである。
【0035】
第一用紙位置補正機構330は、用紙20の先端をゲート部材304の当接面304aに突き当て、用紙20の一部を上側搬送ガイド354の膨出部分に撓ませた斜行補正する。その後、第一用紙位置補正機構330は、ゲート一体型の補正ローラ対305を回転し、用紙をゲート部材304に追従させながら補正ローラ対305のニップ部Nまで用紙を搬送する。この補正ローラ対305のニップ部Nまで用紙の搬送は、
図5(b)で撓ませたときに発生する用紙のコシ(用紙を撓ませたときに用紙がまっすぐに戻ろうとする力)で行われる。この用紙のコシにより、用紙は、ゲート部材304に追従し補正ローラ対305のニップ部Nまで移動する(
図4(c)、
図4(d))。したがって、ゲート部材304のゲート位置Gpは、ニップ部Nの位置に近づけるほうが好ましい。ゲート部材304のゲート位置Gpが、ニップ部Nの位置に近いほど、用紙のコシが弱くても、斜行補正後の用紙を、用紙のコシで補正ローラ対305のニップ部Nの位置までスムーズに搬送することができる。
【0036】
図5は、第一用紙位置補正機構330の斜行補正動作について説明する図である。
駆動モータ309(
図3参照)が回転駆動すると、モータギヤ311、2段ギヤ317、出力ギヤ310からなるギヤ列を介して、駆動モータ309の回転駆動力が補正駆動ローラ305aに伝達され、補正ローラ対305が回転する。先ず、用紙位置補正装置300の制御部350(
図23参照)は、補正ローラ対305を回転させて、
図4(b)、
図5(a)に示すように、補正駆動ローラ305aと一体のゲート部材304の当接面304aが用紙搬送路に突出する位置に位置決めを行う。この際、入り口ローラ対306の回転で用紙20の先端Paは入り口ローラ対306と補正ローラ対305との間の用紙搬送路上に位置している。
【0037】
次いで、制御部350は、
図5(b)に示すように、入り口ローラ対306の回転で用紙20を搬送する。すると、位置決めされたゲート部材304の当接面304aに用紙20の先端Paが突き当たる。その後も制御部350は入り口ローラ対306の回転で用紙20を搬送して用紙20の先端部を上側搬送ガイド154に沿って撓ませ、用紙20の先端位置を補正(斜行補正)する。その後、制御部350は、駆動モータ309を再度回転駆動させて、斜行補正した用紙20を再搬送する(
図5(c))。
【0038】
次いで、
図5(d)に示すように、用紙20の先端Paをプリンタ本体100の受け入れローラ対25(
図1参照)まで搬送すると、補正ローラ対305の補正従動ローラ305bが離間する。そして、制御部350は、ゲート部材304の搬送ガイド面304b及び補正駆動ローラ305a上を用紙20が抜けるのを待つ。次いで、用紙20の後端Pbが補正ローラ対305を抜けると、補正従動ローラ305bが補正駆動ローラ305aに圧接し、制御部350は、補正ローラ対305をゲート位置まで回転させる(
図5(e))。このとき、上記動作と同様に、ゲート部材304の当接面304aがゲート位置を占めるように位置決めする。
【0039】
補正駆動ローラ305aとゲート部材304とを一体に構成した方式の第一用紙位置補正機構330は、
図5(a)~
図5(e)までの動作を補正ローラ対305の1回転させる動作で全て行っている。これにより、用紙の斜行補正を短時間で行うことができるため、高速で搬送される用紙のスキュー補正ができ、さらに搬送される用紙間隔を狭くすることが可能である。さらに、ゲート部材304に搬送ガイド面304bを有することで、下流の受け入れローラ対25まで搬送後、補正ローラ対305の補正従動ローラ305bを離間しても安定して用紙を搬送することができる。また、用紙の後端が抜けてから再度、圧接→補正ローラ対回転→ゲート部材の再位置決めを行うといった方法をとれる。これにより、用紙長にかかわらず、高速な斜行補正を行うことができる。
【0040】
図6は、斜行補正機構314の正面図である。
斜行補正機構314は、固定部材319、ラック320、ユニット移動モータ321、ピニオン321aなどを有している。固定部材319は、シフトユニット313の用紙幅方向他端側(補正ローラ駆動装置340配置側と反対側)とラック320の図において左端側(ユニット移動モータ321側と反対側)とを結合・固定する部材である。用紙搬送方向Xに延びたラック320は、ラック歯320aを有している。ユニット移動モータ321は、正逆回転可能なステッピングモータ又はDCモータからなる。ユニット移動モータ321は、ブラケットを介して用紙幅方向他端側の第二フレーム315bに固定してあり、シフトユニット313を移動する駆動源として機能する。ユニット移動モータ321のモータ軸には、ラック歯320aとかみあうピニオン321aが取付け・固定してある。
【0041】
なお、斜行補正機構314は、シフトユニット313のホームポジションを検知するためのホームポジションセンサをピニオン321a又はシフトユニット313に配設した構成でもよい。また、斜行補正機構314は、固定部材319を用紙搬送方向Xにスムーズに案内するガイド部材を設けた構成でもよい。
【0042】
斜行補正機構314は、上記したラック320、ユニット移動モータ321、ピニオン321a等から構成されているものに限らず、タイミングベルト及び歯付きのプーリを利用してギヤの回転駆動を移動方向に変換する構成をとってもよい。
【0043】
図7は、斜行補正機構314によりシフトユニット313を移動(斜行)させ、用紙幅方向Yに対するゲート部材304及び補正ローラ対305の角度を変えた状態を示している。
図7に示すように、第二フレーム315bは、用紙搬送方向Xとほぼ平行に長穴315cを有している。この長穴315に補正駆動ローラ305aの軸305cが長穴315cに挿通してある。シフトユニット313は、この軸305cの用紙幅方向Yの一端側(図中下端)を中心に、用紙幅方向Yに対する補正ローラ対305の角度を変える方向に移動可能となっている。
【0044】
また、第一用紙位置補正機構330は、シフトユニット313を用紙幅方向Yに移動する主走査補正機構316を有している。
図8は、主走査補正機構316の斜視図であり、
図9はシフトユニット313と、主走査補正機構316とを示す平面図である。なお、
図9では、シフトユニット313に取付け・支持されているゲート部材304及び補正ローラ対305は、省略している。
主走査補正機構316は、シフトモータ322、歯付きの駆動プーリ323、タイミングベルト324、歯付きの従動プーリ325、偏心カム326、カム挟持部材327を有している。シフトモータ322は、正逆回転可能なステッピングモータ又はDCモータからなる。シフトモータ322は、ブラケットを介して装置本体に固定してあり、偏心カム326を回動する駆動源として機能する。歯付きの駆動プーリ323は、シフトモータ322のモータ軸に固定してある。
【0045】
歯付きの従動プーリ325は、共通の回動支点となるカム軸326aを介して、偏心カム326と一体的に結合・固定してある。カム軸326aは、装置本体に回動可能に支持してある。歯付きの駆動プーリ323と歯付きの従動プーリ325とに、タイミングベルト324が巻き掛けてあり、シフトモータ322の回転駆動力を偏心カム326に伝達するようになっている。カム挟持部材327は、偏心カム326を挟み付けるように保持する部材であり、シフトユニット313に取付け・固定してある。偏心カム326とカム挟持部材327とは、シフトモータ322の回動をシフトユニット313の用紙幅方向の移動へと変換する。なお、主走査補正機構316は、シフトユニット313のホームポジションを検知するためのホームポジションセンサをシフトモータ322やシフトユニット313等に適宜配設した構成でもよい。
【0046】
図10は、主走査補正機構316の動作について説明する図である。
図10(a)は、偏心カム326がホームポジションにある状態を示している。
図10(a)の状態からシフトモータ322を図中反時計回り方向に所定量回転させると、駆動プーリ323、タイミングベルト324、従動プーリ325を介して、偏心カム326が回転する。これにより、
図9に示したカム挟持部材327に挟み付けられている偏心カム326の端部の位置が用紙幅方向Yの一端側(図中右側)に変わることにより、シフトユニット313が用紙幅方向Yの一端側にシフト・移動する(
図10(b))。
【0047】
シフトモータ322を
図10(a)の状態から反対側の図中時計回り方向に所定量回転させると、駆動プーリ323、タイミングベルト324、従動プーリ325を介して、偏心カム326が回転する。これにより、
図9に示すカム挟持部材327に挟み付けられている偏心カム326の端部の位置が用紙幅方向Yの他端側(図中左側)に変わることにより、シフトユニット313が用紙幅方向Yの左側にシフト・移動する(
図10(c))。
【0048】
次に、第一用紙位置補正機構330による主走査方向のレジスト補正(幅方向位置補正)を行う動作例について説明する。
まず、制御部350(
図22参照)は、斜行補正が完了したら、この補正ローラ対305よりも用紙搬送方向X上流側の搬送ローラ対の一方の搬送ローラを他方の搬送ローラから離間させる。なお、補正ローラ対305よりも用紙搬送方向X上流側の搬送ローラ対は、入り口ローラ対306、用紙給送装置200の上搬送路281及び下搬送路282に配置されてある複数の搬送ローラ対である。次に、制御部350は、駆動モータ309により補正ローラ対305を回転駆動して用紙20を搬送し、CIS308によって用紙20の用紙幅方向Yの一端位置を検出する。
【0049】
次に、制御部350は、CIS308が検出した用紙幅方向Yの一端位置に基づいて、搬送される用紙幅方向Yにおける用紙の第一基準位置からのずれ量を計算する。第一基準位置は、用紙サイズ毎に設定してある。制御部350は、搬送されてきた用紙の用紙サイズ情報を、プリンタ本体100から取得し、取得した用紙サイズ情報に基づいて、対応する第一基準位置を記憶部341(
図22参照)から取得する。なお、用紙位置補正装置300は、記憶部341にひとつの基準位置情報を記憶しておき、用紙サイズ情報に基づいて、基準位置情報を補正することで、用紙サイズ情報に対応した第一基準位置を得るようにする構成でもよい。
【0050】
次に、制御部350は、計算したずれ量に基づいて、用紙20を幅方向所定位置に位置させるための第一シフト量(シフトユニット313の用紙の幅方向の移動量)を求める。次に、第一用紙位置補正機構330は、補正ローラ対305で用紙20を挟持した状態で、求めた第一シフト量だけシフトユニット313を用紙幅方向Yに移動させるようシフトモータ322を稼働する。これにより、用紙20が狙いの幅方向位置に移動し、主走査方向のレジスト補正が完了する。
【0051】
次に、反転搬送路19に配置してある第二用紙位置補正機構30について説明する。
図11は、本実施形態に係る第二用紙位置補正機構30を上方からみた斜視図であり、
図12は同第二用紙位置補正機構30を下方からみた斜視図である。
図13は同第二用紙位置補正機構30の側面図である。
図14は同第二用紙位置補正機構30におけるシフトブロックの近傍を示す拡大斜視図である。また、
図15は本実施形態に係る第二用紙位置補正機構30におけるエッジ位置検知センサ部60の動作例を示す説明図である。
【0052】
第二用紙位置補正機構30は、複数の回転駆動可能な搬送ローラ対31~34を有し、用紙20を挟持して搬送する搬送手段の機能に加えて、用紙20を幅方向に移動して用紙20の幅方向の位置を補正する移動手段の機能も有している。
【0053】
図11~
図13に示すように、第二用紙位置補正機構30は、4つの搬送ローラ対31~34、上ガイド板35、下ガイド板36、位置検出手段としてのエッジ位置検知センサ部60、2つのシフトブロック41、2つの移動モータ45等を有している。4つの搬送ローラ対31~34は、それぞれ、駆動ローラ31A~34Aと従動ローラ31B~34Bとからなり、用紙20を挟持搬送する搬送手段としての機能を有している。
【0054】
また、
図11に示すように、4つの駆動ローラ31A~34Aは、それぞれ、軸部上に間隔をあけて2つのローラ部を形成してある。例えば、
図11では、軸部34A1とローラ部34A2とが参照可能である。駆動ローラ31A~34Aは、幅方向(軸方向、主走査方向)の両端部を上ガイド板35上の支持部にそれぞれ回転可能に支持している。駆動モータ(例えばDCモータ)等からなる駆動手段(駆動機構)が、駆動ローラ31A~34Aを時計回り方向に回転駆動する。さらに、駆動ローラ31A~34Aは、用紙20の幅方向の位置補正時(主走査方向のレジスト補正時)や従動ローラの位置補正時に、移動手段によって幅方向に移動可能に構成してある。移動手段は、シフトブロック41とベルト駆動部46とを有している。上ガイド板35は、用紙20の搬送をガイドするとともに、駆動ローラ31A~34Aのローラ部が従動ローラ31B~34Bのローラ部に当接するように露呈させる開口部35aを有している。
【0055】
また、
図12に示すように、4つの従動ローラ31B~34Bは、それぞれ、軸部上に間隔をあけて2つのローラ部を有している。例えば、
図12では、軸部34B1とローラ部34B2とが参照可能である。従動ローラ31B~34Bは、幅方向の両端部が軸受80(加圧スプリングで駆動ローラ側に加圧している。)を介して下ガイド板36上にそれぞれ回転可能に支持してある。下ガイド板36は、用紙20の搬送をガイドするとともに、従動ローラ31B~34Bのローラ部が駆動ローラ31A~34Aのローラ部に当接するように露呈させる開口部36aを有している。
【0056】
このような構成により、搬送ローラ対31~34は、従動ローラ31B~34Bのローラ部と、駆動ローラ31A~34Aのローラ部とが圧接して、その間に用紙20を挟持することになる。また、従動ローラ31B~34Bは、駆動手段に直接的に接続されていないが、駆動ローラ31A~34Aとの摩擦抵抗によって、駆動手段による駆動ローラ31A~34Aの回転駆動にともない反時計回り方向に従動回転することになる。さらに、従動ローラ31B~34Bは、移動手段のシフトブロック41に直接的に接続されていないが、駆動ローラ31A~34Aに加圧して当接している。これにより、従動ローラ31B~34Bは、駆動ローラ31A~34Aとの摩擦抵抗によって、駆動ローラ31A~34Aの幅方向の移動にともない幅方向に従動する。
【0057】
また、
図11、
図14等に示すように、2つのシフトブロック41(可動板)は、それぞれ、上ガイド板35の軸部42に沿って幅方向に移動可能に取り付けてある。また、1つのシフトブロック41の両端の保持部41aは、2つの駆動ローラ31A、32A(又は、33A、34A)の軸部にそれぞれ固定されているブッシュ71を保持している。このような構成により、シフトブロック41が幅方向に移動すると、保持部41aがブッシュ71の端面を押圧して、2つの駆動ローラ31A、32A(又は、33A、34A)もシフトブロック41とともに幅方向に移動することになる。
【0058】
また、
図12に示すように、ベルト駆動部46は、ラック50、プーリギヤ48、移動モータ45、タイミングベルト47などを有している。ラック50は、シフトブロック41にそれぞれ設けてある。プーリギヤ48は上ガイド板35に回動可能に配置してあり、プーリギヤ48のギヤ部48aは、ラック50に噛み合っている。移動モータ45(
図11参照)は、例えばステッピングモータで構成し、上ガイド板35に配置してある。また、タイミングベルト47は、プーリギヤ48のプーリ部48bと、移動モータ45に固定されているモータプーリ49とに巻装してある。
【0059】
このような構成のベルト駆動部46は、移動モータ45が稼働すると、モータプーリ49、タイミングベルト47、プーリギヤ48、ラック50へと動力を伝達する。ラック50に伝達された動力により、シフトブロック41が幅方向に移動して、それに連動して駆動ローラ31A~34Aも幅方向に移動する。すなわち、シフトブロック41とベルト駆動部46とが、駆動ローラ31A~34Aを幅方向に移動する移動手段として機能する。
【0060】
また、
図14に示すように、上ガイド板35上には、シフトブロック41(駆動ローラ31A、32A)の幅方向の位置を検知する位置検知センサ75が配置してある。詳しくは、位置検知センサ75は、発光素子と受光素子とからなるフォトセンサであって、シフトブロック41に形成された突起部41bの有無を光学的に検知することにより、シフトブロック41(駆動ローラ31A、32A)の幅方向の位置を検知する。これにより、第二用紙位置補正機構30は、シフトブロック41(駆動ローラ31A、32A)を所定の幅方向位置に位置させることができる。
【0061】
なお、第二用紙位置補正機構30は、4つの駆動ローラ31A~34Aを幅方向に移動可能としているが、これは、搬送方向の長さの異なる種々のサイズの用紙20に対応するためである。具体的に、最長の用紙20が通紙される場合は、4つの搬送ローラ対31~34で用紙20を挟持した状態で、用紙20の幅方向の移動を実施し、主走査方向のレジスト補正を実施する。これに対して、最短の用紙20が通紙される場合は、用紙20の搬送方向下流側の2つの搬送ローラ対33、34で用紙20を挟持した状態で、用紙20の幅方向の移動を実施し、主走査方向のレジスト補正を実施する。
【0062】
また、第二用紙位置補正機構30は、4つの駆動ローラ31A~34Aのうち、上流側の2つの駆動ローラ31A、32Aが一方のシフトブロック41によって幅方向に移動されるように構成している。第二用紙位置補正機構30は、4つの駆動ローラ31A~34Aのうち、下流側の2つの駆動ローラ33A、34Aが他方のシフトブロック41によって幅方向に移動されるように構成している。これは、1つの駆動源(移動手段)によって4つの駆動ローラ31A~34Aを同時に幅方向へ移動させるように構成してしまうと、次のような問題が発生するためである。すなわち、短い用紙20を下流側の2つの駆動ローラ33A、34Aで移動させるときに、上流側の駆動ローラ31A、32Aの位置に達している次の用紙20まで、幅方向に移動させてしまうという問題が発生するためである。
【0063】
また、
図11、
図13、
図15等に示すように、上ガイド板35上であって下流側の2つの駆動ローラ33A、34Aの間の位置には、用紙20の幅方向端部の位置を検知する位置検知手段としてのエッジ位置検知センサ部60が設けてある。詳しくは、エッジ位置検知センサ部60は、ケース61、ブラケット62、エッジ位置検知センサ63、プーリ64、タイミングベルト65、等で構成している。エッジ位置検知センサ63は、ブラケット62に固定してある。また、ブラケット62は、ケース61の軸部61aに沿って幅方向に移動可能に、ケース61に取り付けてある。また、ブラケット62は、タイミングベルト65が固定してあり、ケース61に回動可能に配置されたプーリ64と、センサ用モータ68(上ガイド板35上に固設されている。)のモータプーリ66と、にはタイミングベルト65が巻装してある。
【0064】
このような構成により、センサ用モータ68が稼働すると、モータプーリ66、タイミングベルト65に動力が伝達され、ブラケット62に固定されたエッジ位置検知センサ63が幅方向に移動する。また、ケース61には、センサ位置検知センサ67が配置してある。センサ位置検知センサ67がブラケット62に形成された突起部62aを検知することで、センサ位置検知センサ67は、ブラケット62に固定されたエッジ位置検知センサ63の幅方向位置を検知する。これにより、第二用紙位置補正機構30は、エッジ位置検知センサ63を任意の幅方向位置に移動させることが可能となる。
【0065】
次に、
図16、
図17を用いて、用紙20のエッジ(側端)の位置を検知して主走査方向のレジスト補正(幅方向位置補正)を行う動作例について説明する。
図16は本実施形態に係る用紙位置補正装置の用紙の位置補正時における搬送ローラ対及びエッジ位置検知センサ部60の動作例を示す説明図である。また、
図17は、
図16に続く搬送ローラ対及びエッジ位置検知センサ部60の動作例を示す説明図である。なお、ここでは、搬送方向の長さが短い用紙20が通紙された場合についてのみ説明して、搬送方向の長さが長い用紙20が通紙された場合についての説明は省略する。
【0066】
図16に示すように、第二用紙位置補正機構30の位置に達した用紙20は、回転する搬送ローラ対31、34に挟持されて搬送されながら、上ガイド板35と下ガイド板36との間を移動する(白矢印方向の移動である。)。そして、用紙20の先端が第三の搬送ローラ対33の位置を通過してエッジ位置検知センサ部60の位置に到達すると、幅方向一端側の所定位置(ホームポジション)に待機していたエッジ位置検知センサ63が、用紙20に近づく方向に移動を開始する。エッジ位置検知センサ63は、用紙20の幅方向一端を検知する位置まで移動する(ハッチング矢印方向の移動である。)。
【0067】
制御装置400(
図23参照)は、センサ用モータ68(ステッピングモータ)によってエッジ位置検知センサ63をホームポジションから用紙20の幅方向の一端まで動作させたときのパルス数から、その移動距離を算出する。次に、制御装置400は、第二シフト量(主走査方向のレジスト補正量)を算出する。第二シフト量は、算出した移動距離と、ホームポジションから第二基準位置に基づいて設定された用紙20を幅方向所定位置に位置させるための狙いの位置までの距離との差である。
【0068】
上記基準距離(第二基準位置)は用紙サイズ毎に設定されており、記憶装置401(
図23参照)に、用紙サイズ毎の基準距離が記憶してある。制御装置400は、第二用紙位置補正機構30に搬送される用紙の用紙サイズを、用紙が給紙された給紙トレイ情報から取得する。そして、制御装置400は、取得した用紙サイズ情報に基づいて、対応する基準距離を取得する。なお、プリンタ本体100は、記憶装置401にひとつの基準距離を記憶しておき、用紙サイズ情報に基づいて、基準距離を補正することで、用紙サイズに対応した基準距離(第二基準位置)を得るようする構成でもよい。
【0069】
次に、
図17に示すように、用紙20の先端(搬送方向先端)が第四の搬送ローラ対34の位置に達すると、制御装置400は、下流側の2つの搬送ローラ対33、34で用紙20を挟持した状態で、移動モータ45を稼働する。移動モータ45が稼働すると、駆動ローラ33A、34Aが、幅方向に移動する。そして、制御装置400は、算出された第二シフト量(主走査方向のレジスト補正量)だけ駆動ローラ33A、34Aを幅方向に移動させる(
図17の黒矢印方向の移動である。)。これにより、用紙20を狙いの幅方向位置に移動させ、主走査方向のレジスト補正を行うことができる。
【0070】
ここで、搬送ローラ対33、34によって用紙20を挟持した状態で駆動ローラ33A、34Aを幅方向に移動させたときに、駆動ローラ33A、34Aに向けて圧接している従動ローラ33B、34Bは、駆動ローラ33A、34Aとともに幅方向に移動する。このため、従動ローラ33B、34Bは、駆動ローラ33A、34Aとともに同等に移動する。
【0071】
しなしながら、用紙20と従動ローラ33B、34Bとの間ですべりが発生し、駆動ローラ33A、34Aや用紙20が移動した量よりも従動ローラ33B、34Bが少ない量で移動することがある。すなわち、主走査方向のレジスト補正時において、用紙20と従動ローラ33B、34Bとの間ですべりが発生すると、駆動ローラ33A、34Aに対する従動ローラ33B、34Bの幅方向の位置にズレが生じてしまう。そして、このような状態が繰り返されるうちに、駆動ローラ33A、34Aに対する従動ローラ33B、34Bの幅方向の位置が大きくズレて、駆動ローラ33A、34Aのローラ部と従動ローラ33B、34Bのローラ部とが当接しなくなってしまう。すると、駆動ローラ33A、34Aと従動ローラ33B、34Bとで用紙20を挟持できず、第二用紙位置補正機構30は、用紙を搬送できなくなってしまう。
【0072】
第二用紙位置補正機構30は、このような不具合を防止するために、所定のタイミングで駆動ローラ33A、34Aと従動ローラ33B、34Bとの幅方向の相対位置の補正動作を行っている。この補正動作について、
図18及び
図19を用いて詳細に説明する。
【0073】
図18(A)~(C)は本実施形態に係る第二用紙位置補正機構30の従動ローラ33B、34Bの位置補正時における搬送ローラ対33、34の動作例を示す説明図である。また、
図19(A)~(C)は、
図18に続く搬送ローラ対33、34の動作例を示す説明図である。
【0074】
本実施形態に係る第二用紙位置補正機構30は、従動ローラ31B~34Bに当接可能に形成されて、従動ローラ31B~34Bの幅方向の移動範囲を制限するストッパ部を有している。具体的に、このストッパ部は、下ガイド板36の開口部36aの縁部である両端部36a1、36a2(
図18、
図19等を参照)を用いている。すなわち、開口部36aの両端部36a1、36a2(ストッパ部)が幅方向に移動する従動ローラ31B~34Bのローラ部の幅方向両端部に当接することで、両端部36a1、36a2(ストッパ部)が従動ローラ31B~34Bの幅方向の移動範囲を制限する。
【0075】
そして、駆動ローラ31A~34Aと従動ローラ31B~34Bとの間に用紙20が挟持されていないとき(例えば、通紙ジョブ直後である。)に、第二用紙位置補正機構30は、従動ローラ31B~34Bの軸方向の補正動作を行う。具体的には、第二用紙位置補正機構30は、ベルト駆動部46の駆動でシフトブロック41とともに駆動ローラ31A~34Aを幅方向一端側に向けて移動させる。そして、駆動ローラ31A~34Aに対して幅方向の位置がズレた状態の従動ローラ31B~34Bが開口部36aの両端部36a1、36a2(ストッパ部)に当接させる。その後もベルト駆動部46は駆動する。これにより、シフトブロック41とともに駆動ローラ31A~34Aが、従動ローラ31B~34Bが開口部36aの両端部36a1、36a2に当接した状態で幅方向一端側に向けて所定位置までさらに移動する。これにより、駆動ローラ31A~34Aに対する従動ローラ31B~34Bの幅方向の位置が補正された状態となる。
【0076】
ここで、このような駆動ローラ31A~34Aに対する従動ローラ31B~34Bの幅方向の位置を補正する制御は、ベルト駆動部46の駆動でシフトブロック41とともに駆動ローラ31A~34Aを幅方向の一方に向けて所定位置まで移動させる。その後、この制御は、駆動ローラ31A~34Aを幅方向の他方に向けて所定位置まで移動させる制御である。すなわち、従動ローラ31B~34Bの位置補正時に、駆動ローラ31A~34Aは、幅方向一端側(開口部36aの一方の端部36a1の側である。)の所定位置まで移動する。その後に、幅方向他端側(開口部36aの他方の端部36a2の側である。)の所定位置まで移動することになる。
【0077】
なお、上述した「所定位置」は、以下の位置である。すなわち、開口部36aの両端部36a1、36a2(ストッパ部)に当接した状態の従動ローラ31B~34Bに対して駆動ローラ31A~34Aの幅方向における、双方のローラ部の幅方向中心がほぼ一致する正規の位置である。
【0078】
以下、
図18及び
図19を用いて、上述した従動ローラ31B~34Bの位置補正時の動作について詳述する。なお、ここでは、用紙20の搬送方向下流側の2つの従動ローラ33B、34Bの位置補正について説明する。より具体的には、第三の従動ローラ33Bが幅方向の一方(
図18及び
図19の上方)に位置ズレしていて、第四の従動ローラ34Bが幅方向の他方(
図18及び
図19の下方)に位置ズレしている場合(
図18(A)参照)を、例として説明する。
【0079】
図18(A)~(C)は図中の上方向に位置ズレしている第三の従動ローラ33Bの位置補正を説明するための動作例を示している。また、
図19(A)~(C)は図中の下方向に位置ズレしている第四の従動ローラ34Bの位置補正を説明するための動作例を示している。
【0080】
従動ローラ33B、34Bの位置補正は、用紙20が搬送ローラ対33、34の位置を通過して、搬送ローラ対33、34が用紙20を挟持していない状態で行う。まず、この従動ローラ33B,34Bの位置補正は、
図18(A)及び
図18(B)に示すように、ベルト駆動部46を駆動してシフトブロック41とともに駆動ローラ33A、34Aを幅方向の一方(図中の上方)に向けて移動させる。すると、
図18(A)に示す状態から
図18(B)に示す状態へ駆動ローラ33A、34Aが移動する。このとき、従動ローラ33B、34Bは、駆動ローラ33A、34Aとの位置がズレた状態のまま、駆動ローラ33A、34Aとともに同等に移動する。
【0081】
そして、
図18(B)に示すように、移動した側に位置ズレが生じていた第三の従動ローラ33Bのローラ部が、開口部36aの一方の端部36a1(ストッパ部)に当接する。さらに、
図18(C)に示すように、ベルト駆動部46の駆動が続けられて駆動ローラ33A、34Aがシフトブロック41とともに幅方向の一方に向けてさらに移動する。このとき第三の従動ローラ33Bは開口部36aの一方の端部36a1に当接して移動が制限されることになるため、第三の従動ローラ33Bは、第三の駆動ローラ33Aとの摩擦抵抗に抗するように、その位置に留まることになる。
【0082】
そして、
図18(C)に示す状態において、駆動ローラ33A、34Aが幅方向の一方の所定位置に停止したとき、第三の駆動ローラ33Aに対する第三の従動ローラ33Bの位置補正が完了する。なお、
図18(A)~
図18(C)の過程は、幅方向一方に位置ズレが生じている第三の従動ローラ33Bの位置補正を行うものであって、幅方向他方に位置ズレが生じている第四の従動ローラ34Bの位置補正はしていない。
【0083】
次に、第三の従動ローラ33Bの位置補正が終了した後に、
図18(C)及び
図19(A)に示すように、ベルト駆動部46が駆動し、駆動ローラ33A、34Aがシフトブロック41幅方向の他方(図中の下方)に向けて移動する。すると、
図18(C)に示す状態から
図19(A)に示す状態へ駆動ローラ33A、34Aが移動する。このとき、2つの従動ローラ33B、34Bは、対応する駆動ローラ33A、34Aとの相対的な位置を維持した状態のまま、駆動ローラ33A、34Aとともに同等に移動する。
【0084】
そして、
図19(A)に示すように、移動した側に位置ズレが生じていた第四の従動ローラ34Bのローラ部が、開口部36aの他方の端部36a2(ストッパ部)に当接する。さらに、
図19(B)に示すように、ベルト駆動部46の駆動を続け、駆動ローラ33A、34Aがシフトブロック41とともに幅方向の他方に向けてさらに移動する。このとき第四の従動ローラ34Bは開口部36aの他方の端部36a2に当接して移動が制限されるため、駆動ローラ34Aとの摩擦抵抗に抗するように、第四の従動ローラ34Bはその位置に留まることになる。
【0085】
そして、
図19(B)に示す状態において、駆動ローラ33A、34Aが幅方向の他方の所定位置に停止したとき、第四の駆動ローラ34Aに対する第四の従動ローラ34Bの位置補正が完了する。なお、
図19(A)~
図19(B)の過程は、幅方向他方(図中の下方)に位置ズレが生じている第四の従動ローラ34Bの位置補正を行うものであって、既に位置補正がされた状態の第三の従動ローラ33Bのさらなる位置補正はしていない。
【0086】
このように、第二用紙位置補正機構30は、駆動ローラ33A、34Aを幅方向の双方向にそれぞれ移動させることで、従動ローラ33B、34Bが幅方向のどちらに位置ズレしていても、その位置補正を確実に行うことができる。そして、
図19(C)に示すように、双方の従動ローラ33B、34Bの位置補正終了後、第二用紙位置補正機構30は、ベルト駆動部46を駆動する。ベルト駆動部46が駆動することで、シフトブロック41とともに駆動ローラ33A、34Aが、幅方向の一方(図中の上方)に向けて移動する。その後、第二用紙位置補正機構30は、ベルト駆動部46の駆動を停止して、駆動ローラ33A、34Aのローラ部と従動ローラ33B、34Bのローラ部とをそれぞれ開口部36aの幅方向中央に位置させる。そして、第二用紙位置補正機構30は、次の通紙ジョブに備えることになる。
【0087】
第二用紙位置補正機構30は、反転搬送路19に設けてある。反転搬送路19は、
図1に示すように、スイッチバックした用紙を主搬送路24の用紙搬送方向とは逆方向に搬送してレジストローラ18へ再搬送する再搬送路19aを有している。この再搬送路19aは、ある程度の長さ直線状に用紙を搬送する。また、この再搬送路19aは、用紙を搬送するためだけに設けたものであり、再搬送路19aには、搬送ローラ以外は、設けていない。したがって、反転搬送路の再搬送路19aに第二用紙位置補正機構30を設けることで、プリンタ本体100を大型化することなく、精度よく用紙の幅方向位置を変更することができる。
【0088】
図20は、定着装置17の定着ニップ部に用紙が挟み込まれた様子を示す模式図である。
用紙20が定着ニップ部に進入すると、定着部材17aは、用紙の厚みで弾性変形して、内側に変形する。加圧部材17bが駆動ローラであり、定着部材17aが加圧部材17bと従動回転する構成においては、定着部材17aの表面速度は、加圧部材17bの回転軸中心から定着部材表面までの距離が支配的である。定着部材17aの用紙との接触領域において、定着部材17aは用紙20の厚みで弾性変形して内側に変形している。そのため、用紙の厚み分だけ加圧部材17bの回転軸中心から定着部材表面までの距離R1が、加圧部材17bの表面に接触している用紙との非接触箇所の加圧部材17bの回転軸中心から定着部材表面までの距離R0よりも長くなる(R1>R0)。よって、定着部材17aの用紙との接触領域における表面速度と、定着部材17aの用紙との非接触領域における表面速度とに速度差が生じる。この速度差により定着部材17aの用紙20の幅方向端部との接触箇所が強く擦れてしまい、他の箇所よりも摩耗するいわゆるエッジ傷が生じてしまう。特に、定着性を確保するために定着ニップ圧を高く設定する高速機は、上記エッジ傷が生じやすい。
【0089】
図21は、定着部材17aのエッジ傷について、説明する図である。
このようなエッジ傷は、定着ニップNを通過する用紙の幅方向位置を異ならせて、用紙の幅方向端部が定着部材の特定の位置に接触し続けないようにすることで、抑制することができる。しかし、
図21(b)に示すように、ずらす距離が短いと、エッジ傷は悪化し、エッジ傷の悪化を抑制するには、
図21(c)に示すように、少なくともLmm以上、用紙20の幅方向端部はずらす必要がある。
【0090】
そのため、画像形成装置1は、定着部材17aのエッジ傷を抑制するために、両面印刷において、第一面印刷時の用紙の幅方位置と、第二面印刷時の用紙幅方向位置と互いに異ならせている。
【0091】
図22は、本実施形態に係る用紙位置補正に関わる制御系の要部構成の一例を示すブロック図である。
プリンタ本体100の制御手段たる制御装置400は、例えばマイクロコンピュータ等のコンピュータ装置からなる。制御装置400には、I/Oインターフェース部を介して、第二用紙位置補正機構30の用紙の幅方向一端を検知するエッジ位置検知センサ部60が接続してある。また、シフトブロック41を用紙の幅方向に移動させる移動モータ45、搬送ローラ対31~34を駆動する搬送ローラ対移動モータ70が、制御装置400に接続してある。また、用紙サイズに対応する複数の基準距離などを記憶しているHDDなどからなる記憶装置401、操作パネル3が、制御装置400に接続してある。記憶装置401には、各給紙トレイ5に積載されている用紙の用紙サイズ情報が記憶してある。また、記憶装置401は、用紙給送装置200の各用紙給送部200a,200bに積載されている用紙の用紙サイズ情報も記憶してある。これら、用紙サイズ情報は、ユーザの操作パネル3の操作で取得したものである。
【0092】
用紙位置補正装置300は、第一用紙位置補正機構330を制御する制御部350を備えている。この制御部350は、例えば、第一用紙位置補正機構330の制御用に作製された半導体回路素子としてのICからなる。なお、制御部350は、制御装置400と同様、例えばマイクロコンピュータ等のコンピュータ装置でもよい。制御部350には、I/Oインターフェース部を介して、第一用紙位置補正機構330の用紙の幅方向一端を検知するCIS308、用紙の先端及び用紙の後端を検知する用紙検出センサ318a,318bが接続してある。また、補正ローラ対305を駆動する駆動モータ309、シフトユニット313を斜行させるユニット移動モータ321、シフトユニット313を幅方向に移動させるシフトモータ322が制御部350に接続してある。また、制御部350には、不揮発性メモリなどから構成された記憶部341が接続してある。記憶部341は、用紙サイズに対応する複数の第一基準位置を記憶している。
【0093】
図23は、用紙給送装置200から給紙された用紙20について、両面印刷時における用紙20の幅方向の位置補正について説明する図である。
図23に示すように、用紙位置補正装置300の制御部350は、図中破線の第一用紙位置補正機構330のCIS308が検出した用紙幅方向Yの一端位置の図中実線の第一基準位置までのずれ量を計算する。制御部350は、このずれ量に、記憶部341に記憶されている定着シフト量を加算して、第一シフト量を求める。そして、補正ローラ対305で用紙20を挟持した状態で、求めた第一シフト量だけシフトユニット313を用紙幅方向Yに移動させるようシフトモータ322が稼働し、用紙の幅方向位置を狙いの幅方向位置にシフトさせる。
【0094】
この狙いの幅方向位置にシフトした用紙20は、反転搬送路19へ搬送され、第二用紙位置補正機構30に到達する。すると、プリンタ本体100の制御装置400(
図22参照)は、エッジ位置検知センサ63のホームポジションから用紙の幅方向一端までの移動距離W2を算出する。次に、制御装置400は、上記移動距離W2とホームポジションから第二基準位置までの基準距離W1との差分から、第二基準位置に対する用紙の幅方向一端のずれ量を求める。次に、制御装置400は、この求めたずれ量に、HDDなどの記憶装置401(
図22参照)に記憶されている定着シフト量を加算して、第二シフト量を求める。そして、制御装置400は、移動モータ45を稼働して駆動ローラ33A、34Aを算出された第二シフト量だけ移動させ、用紙20を狙いの幅方向位置にシフトさせる。
【0095】
制御部350は、規定枚数達すると、第一用紙位置補正機構330における狙いの位置(定着シフト量)を変更する。同様に、制御装置400は、規定枚数達すると、第二用紙位置補正機構30における狙いの位置(定着シフト量)を変更する。なお、
図23に示す複数の狙いの位置の間隔は、Lmm以上となっている。これにより、用紙20の幅方向端部が定着部材17aの特定の位置に接触し続けないようにでき、定着部材17aのエッジ傷を抑制することができる。
【0096】
用紙位置補正装置300は、オプションで用紙給送装置200を用いるときに、プリンタ本体100に取付けられるため、そのときの取付け誤差により第二基準位置と第一基準位置との位置関係が所望の位置関係に対してずれるおそれがある。また、装置の製造誤差などにより、エッジ位置検知センサ63のホームポジションが規定の位置に対して幅方向にずれ、第二基準位置と第一基準位置との位置関係が所望の位置関係に対してずれるおそれもある。
【0097】
図24は、第一基準位置と第二基準位置との位置関係が幅方向にずれてしまう場合について説明する図である。
図24に示すように、第一基準位置と第二基準位置との間にずれW3が生じていると、第二シフト量に基づいてシフトさせた用紙の幅方向位置と、第一シフト量に基づいてシフトさせた用紙の幅方向位置との差が、Lmm未満となるおそれがある。その結果、定着部材17aのエッジ傷が悪化するおそれがある。
【0098】
また、プリンタ本体100の各色のレーザ走査ユニット10の書き込み基準位置は、工場出荷時に第二基準位置に基づいて設定してある。そのため、用紙位置補正装置300のプリンタ本体への取付け誤差により第一基準位置が、第二基準位置に対して幅方向にずれていると、用紙給送装置200から給紙された用紙に対する画像形成位置が、狙いの位置に対して幅方向にずれるおそれもある。
【0099】
そのため、本画像形成装置は、第一基準位置と第二基準位置との位置関係および、書き込み基準位置を調整する調整モードを備えている。この調整モードは、用紙位置補正装置300が、プリンタ本体100に取付けられたときに実行する。具体的には、サービスマンが、用紙位置補正装置300をプリンタ本体100に取付けた後、操作パネル3に対して所定の操作(パスワードキーの入力など)をして、操作パネル3に調整モード実行ボタンを表示する。そして、サービスマンが、この実行ボタンを押下することで、制御装置は、調整モードを実行する。
【0100】
図25は、調整モードの一例を示すフローチャートである。
まず、調整モードを実行する際、サービスマンは、操作パネル3を操作して、用紙給送装置200の上段の用紙給送部200a又は下段の200bを選択し、調整モードをスタートさせる(S1)。
【0101】
制御装置400は、操作パネル3から調整モードのスタート指示を受け付けたら、定着シフト機能をOFFとするとともに、記憶装置401に基準距離W1の調整値、書き込み基準位置の調整値が記憶されていれば、それら調整値をリセットする(S2)。なお、サービスマンが操作パネル3を操作して定着シフト機能をOFFとしたり、調整値をリセットしたりしてもよい。次に、制御装置400は、選択された対象の用紙給送部にセットされたN枚の用紙に対して、両面通紙制御を実施する(S3)。
【0102】
また、制御装置400は、対象の用紙給送部にセットされている用紙の用紙サイズ情報と、用紙位置補正指示とを、用紙位置補正装置300の制御部350へ送信する。制御部350は、プリンタ本体100の制御装置400から用紙サイズ情報と、用紙位置補正指示とを受信したら、用紙サイズ情報に基づいて、記憶部341からこの用紙サイズに対応する第一基準位置を取得する。次に、制御部350は、第一用紙位置補正機構330を制御し、対象の用紙給送部から給送された用紙20を幅方向に移動して、用紙の幅方向一端を第一基準位置に位置させる制御を行う(S4)。
【0103】
第一用紙位置補正機構330で用紙を第一基準位置へ位置させるとき、第一基準位置から用紙の幅方向位置とのずれ量が、所定範囲を超えているか否かを、制御部350は、チェックする。所定範囲を超えているとき(S5のNo)は、第一用紙位置補正機構330による調整範囲を超えており、用紙を第一基準位置までシフトさせることができない。このときは、対象の用紙給送部にセットした用紙サイズとは、異なる用紙サイズを設定(入力)している可能性がある。したがって、制御装置400は、「調整可能範囲を超えています。用紙設定を確認して下さい。」などのエラーメッセージを操作パネル3に表示し、用紙給送部にセットした用紙サイズと、設定された用紙サイズとを見直しを促す(S11)。そして、定着シフト機能をONにし、記憶装置401に基準距離W1の調整値、書き込み基準位置の調整値が記憶されていれば、これら調整値を元に戻して(S12)、調整モードを終了する。
【0104】
一方、第一基準位置と用紙の幅方向位置とのずれ量が、所定範囲内のとき(S5のYes)は、用紙の幅方向一端を第一基準位置に位置させることができる。したがって、このときは、第一用紙位置補正機構330により第一基準位置へ用紙をシフトさせた後、プリンタ本体100へ用紙を搬送する。
【0105】
次に、制御装置400は、用紙位置補正装置300からプリンタ本体100に搬送されてきた第一基準位置に位置された用紙を第二用紙位置補正機構30へ搬送し、エッジ位置検知センサ63によりホームポジションから用紙の幅方向一端までの移動距離を算出する。そして、制御装置400は、この算出した移動距離を、一時メモリに記憶する(S4)。制御装置400は、このような移動距離の算出と、算出した移動距離の一時メモリへの記憶をN枚の用紙について行う(S5)。
【0106】
第一用紙位置補正機構330から第二用紙位置補正機構30へ至るまでの間に、用紙の幅方向位置が、第一基準位置に対してずれることがあるが、そのずれは、コンマ数ミリ程度である。また、N枚の用紙について、移動距離を算出して平均化することで、上記ずれは平準化され、エッジ位置検知センサ63が検知する用紙の幅方向一端の位置は、ほぼ第一基準位置となる。
【0107】
制御装置400は、N枚の用紙についてのエッジ位置検知センサ63の移動距離を記憶装置に記憶したら、記憶装置401から搬送された用紙の用紙サイズ情報対応する基準距離W1を取得する。次に、制御装置400は、
図26に示すように、操作パネル3の表示部に、基準距離W1及びN枚のエッジ位置検知センサ63の移動距離を表示し、サービスマンに調整値の入力を促す表示を行う。サービスマンは、操作パネル3の表示されたN枚の用紙についてのエッジ位置検知センサ63の移動距離の平均値を算出し(S8)、算出した平均値と基準距離との差分値を計算する。この差分値を、サービスマンは、操作パネル3を操作して調整値として入力する。この調整値は、
図24に示す第一基準位置と第二基準位置との間のずれ量W3である。
【0108】
なお、本実施形態では、サービスマンが、操作パネル3に表示されたN枚の用紙についてのエッジ位置検知センサ63の移動距離と、基準距離とを用いて計算して調整値を求めているが、制御装置400が調整値を計算して求め、
図26に示すような表示を行わないようにしてもよい。制御装置400が調整値を求めることで、サービスマンが調整モードの実行ボタンを押すだけで、全自動で第一基準位置と第二基準位置との位置関係を調整することができ、サービスマンの負担を軽減することができる。
【0109】
次に、制御装置400は、調整値を、基準距離W1の調整値として記憶装置401に記憶する。また、制御装置400は、この調整値に基づいて書き込み基準の調整値を算出して記憶装置401に記憶する(S10)。そして、制御装置400は、定着シフト機能をOFFからONに切替え、調整モードを終了する。
【0110】
用紙給送装置200から給紙された用紙の第一面に画像を形成するときは、上述と同様にして、第一用紙位置補正機構330により第一基準位置から定着シフト量ずれた狙いの位置に用紙をシフトさせた後、プリンタ本体100へ搬送する。次に、制御装置400は、記憶装置401から給送される用紙の用紙サイズに対応する書き込み基準と、書き込み基準の調整値と、定着シフト量とを読み出して、書き込み基準を調整値により補正する。そして、制御装置400は、補正された書き込み基準に定着シフト量ずらした位置からレーザ走査装置の書き込み開始を行う。これにより、用紙給送装置200から供給された用紙に対して、狙いの位置に画像を形成することができる。
【0111】
用紙給送装置200から給紙された用紙の第二面に画像を形成するときは、制御装置400は、上述と同様にして第一面に画像を形成した用紙を反転搬送路19へ搬送する。次に、制御装置400は、記憶装置401から、給紙される用紙の用紙サイズに対応する基準距離と、調整値とを読み出す。次に、制御装置400は、基準距離を調整値で補正する。これにより、第二基準位置が、第一基準位置に一致するように補正される。次に、制御装置400は、補正された基準距離に対するエッジ位置検知センサ63のホームポジションから用紙幅方向一端までの移動距離との差分値(第二基準位置に対する用紙幅方向一端のずれ量)を算出する。その後は上述と同様に、制御装置400は、算出したずれ量に所定の定着シフト量を加算し、第二シフト量を求める。次に、制御装置400は、求めたシフト量、第二用紙位置補正機構30により用紙を幅方向にシフトさせる。これにより、第二基準位置から定着シフト量幅方向にずれた狙いの位置に用紙を位置させることができる。よって、用紙の片面に画像が形成された用紙が、定着部材17aを抜けるときの用紙の幅方向の位置と、用紙の両面に画像が形成された用紙が、定着部材17aを抜けるときの用紙の幅方向の位置とをLmm以上離すことができる。よって、定着部材17aのエッジ傷の悪化を抑制することができる。
【0112】
第二用紙位置補正機構30により狙いの位置にシフトされた用紙は、主搬送路24へ移動する。制御装置400は、用紙の第一面に画像を形成したときと同様に、記憶装置401から給送される用紙の用紙サイズに対応する書き込み基準と、書き込み基準の調整値と、定着シフト量とを読み出して、書き込み基準を調整値により補正する。そして、制御装置400は、補正された書き込み基準に定着シフト量ずらした位置からレーザ走査装置の書き込み開始を行う。
【0113】
なお、給紙トレイ5から給紙された用紙については、制御装置400は、書き込み基準及び基準距離を調整値で調整せずに、用紙の両面への画像形成を行う。これは、工場出荷時において、給紙トレイ5から給紙される用紙の幅方向の位置に基づいて、書き込み基準や基準距離を調整しているからである。
【0114】
この画像形成装置1は、第二用紙位置補正機構の基準距離(第二基準位置)を調整値で補正しているが、第一基準位置を調整値で補正し、第一基準位置を第二基準位置に合わせるようにしてもよい。
また、上記調整モードでは、第一用紙位置補正機構により用紙を第一基準位置にシフトさせているが、シフトさせる位置は、第一基準位置でなく予め決められた所定の位置でよい。
【0115】
第二用紙位置補正機構は、エッジ位置検知センサ63を幅方向に移動させ、エッジ位置検知センサ63のホームポジションの位置からエッジ位置検知センサ63が用紙の幅方向一端を検知するまでの移動距離から、用紙の幅方向一端の位置を検知している。しかし、これに限らず、第二用紙位置補正機構は、第一用紙位置補正機構と同様、コンタクトイメージセンサを用いて用紙の幅方向一端の位置を検知する構成としてもよい。また、第一位置用紙位置補正機構を、第二用紙位置補正機構と同様の構成で、用紙の幅方向一端の位置を検知するようにしてもよい。
【0116】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
搬送されてきた用紙20などのシート材の片面に対して処理を行う定着装置17などのシート材処理手段と、シート材処理手段よりもシート材の搬送方向上流側に配置され、シート材の幅方向の位置をシフトさせる第一用紙位置補正機構330などの第一シフト手段と、シート材処理手段によりもシート材の搬送方向下流側に配置され、シート材の幅方向の位置をシフトさせる第二用紙位置補正機構30などの第二シフト手段とを備えた画像形成装置1において、第一シフト手段のシート材をシフトさせる際に基準とする第一基準位置と、第二シフト手段のシート材をシフトさせる際に基準とする第二基準位置との位置関係を調整する調整モードなどの位置調整モードを有する。
これによれば、位置調整モードを実行することで、第一基準位置と第二基準位置との位置関係を、所定の位置関係に調整することができる。これにより、第一シフト手段によりシフトされたシート材の位置と、第二シフト手段によりシフトされたシート材の位置との位置関係を、所定の位置関係にすることができる。
【0117】
(態様2)
態様1において、第二用紙位置補正機構30などの第二シフト手段は、用紙20などのシート材の幅方向の位置を検出するエッジ位置検知センサ部60などの位置検出手段を有し、位置調整モードは、第一用紙位置補正機構330などの第一シフト手段により前記シート材を所定の位置(本実施形態では、第一基準位置)にシフトさせて、第二シフト手段へシート材を搬送し、位置検出手段によりシート材の幅方向位置を検出し、位置検出手段の検出結果に基づいて、第一基準位置と第二基準位置との位置関係の調整が行われるようにした。
これによれば、実施形態で説明したように、第二シフト手段の用紙などシート材の幅方向一端と第二基準位置とのずれ量を検知するためのエッジ位置検知センサ部60などの位置検出手段により、第一シフト手段により所定の位置シフトしたシート材の位置を検出することができる。第一基準位置と第二基準位置との位置関係が予め決められた所定の関係であれば、位置検出手段が検出したシート材の位置と、第二基準位置との関係も所定の関係となるはずである。よって、位置検出手段により検出した検出結果に基づいて、第一基準位置と第二基準位置との狙いの関係に対するずれ量を求めることでき、第一基準位置と第二基準位置との位置関係を狙いの関係に調整することができる。
【0118】
(態様3)
態様2において、操作部と、表示部とを備え、調整モードなどの位置調整モードは、エッジ位置検知センサ部60などの位置検出手段の検出結果を、表示部に表示し、作業者が操作部の操作をして入力した調整値に基づいて、第一基準位置または第二基準位置を調整する。
これによれば、実施形態で説明したように、第一基準位置と第二基準位置とを所定の関係に調整することができる。
【0119】
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、作業者により操作される操作部を備え、調整モードなどの位置調整モードは、操作部の操作によって実行される。
これによれば、作業者の操作により調整モードが実施される。
【0120】
(態様5)
態様1乃至4いずれかにおいて、定着装置17などのシート材処理手段を通過するようにシート材を搬送する主搬送路24と、シート材処理手段により第一面が処理されたシート材の表裏を反転させて主搬送路24へ再搬送する反転搬送路19とを備え、第二用紙位置補正機構30など第二シフト手段は、反転搬送路19に設けられている。
これによれば、実施形態で説明したように、反転搬送路19は、主搬送路24へ用紙20などのシート材を再搬送するため、主搬送路24を搬送されるシート材の垂直方向において、主搬送路24と異なる位置に、主搬送路24のシート材搬送方向とは逆方向にシート材を搬送するある程度の長さを有する再搬送路19aを有している。また、反転搬送路19には、主搬送路24とは異なり、シート材の片面に処理を行なう定着装置17などのシート材処理手段は配置されていない。したがって、反転搬送路19には、第二用紙位置補正機構30などの第二シフト手段を設けることができる十分なスペースがある。よって、第二シフト手段を反転搬送路19に設けることで、主搬送路24に第二シフト手段を設けるものに比べて、装置の大型化を抑制することができる。
【0121】
(態様6)
態様5において、第二用紙位置補正機構30などの第二シフト手段は、第二基準位置を基準にして用紙20などのシート材を、第一用紙位置補正機構330などの第一シフト手段がシフトさせた位置とは異なる位置に前記シート材をシフトさせる。
これによれば、実施形態で説明したように、一回目の定着装置17などのシート材処理手段にシート材を通過させるときのシート材の幅方向位置と、再搬送されて二回目のシート材処理手段にシート材を通過させるときのシート材の幅方向位置とを互いに異ならせることができ、シート材処理手段のエッジ傷の悪化を抑制するでき、シート材処理手段の寿命の低下を抑制することができる。
【0122】
(態様7)
態様6において、第一用紙位置補正機構330などの第一シフト手段及び第二用紙位置補正機構30などの第二シフト手段は、所定のタイミングで、シート材をシフトさせる位置を変更する。
これによれば、定着装置17などのシート材処理手段を通過する際の幅方向の位置を互いに異ならせることができる。これにより、シート材がシート材処理手段の同一箇所を搬送されることによるシート材処理手段の寿命の短縮を抑制することができる。
【0123】
(態様8)
態様1乃至7いずれかにおいて、第一用紙位置補正機構330などの第一シフト手段は、複数のシートにエアを吹き付けることで、1つのシートを他のシートから分離して給送する用紙給送装置200などのエア分離給送装置から給送されたシート材を、第一基準位置を基準にしてシフトさせる。
これによれば、実施形態で説明したように、シート幅方向位置がばらついてエア分離給送装置から給送されるシート材を、第一シフト手段により幅方向所定の位置にシフトさせることができる。これにより、エア分離給送装置から給送されるシート材を所定の位置に位置させて、定着装置などのシート処理手段へ搬送することができる。
【0124】
(態様9)
態様1乃至8いずれかにおいて、第一用紙位置補正機構330などの第一シフト手段は、画像形成装置本体とは別体の装置に設けられている。
これによれば、実施形態で説明したように、第一用紙位置補正機構330などの第一シフト手段が画像形成装置本体に取り付けられたときに、位置調整モードを実行することで、第一基準位置と第二基準位置とを所定の関係にすることができる。
【0125】
(態様10)
搬送されてきた用紙20などのシート材の片面に対して処理を行う定着装置17などのシート材処理手段と、シート材処理手段よりもシート材の搬送方向上流側に配置され、シート材の幅方向の位置をシフトさせる第一用紙位置補正機構330などの第一シフト手段と、シート材処理手段によりもシート材の搬送方向下流側に配置され、シート材の幅方向の位置をシフトさせる第二用紙位置補正機構30などの第二シフト手段とを備えた画像形成装置の調整方法において、第一シフト手段のシート材をシフトさせる際に基準とする第一基準位置に位置するように、第一シフト手段によりシート材をシフトさせる工程と、第二シフト手段が備えるエッジ位置検知センサ部60などの位置検出手段によりシート材の幅方向の位置を検出する工程と、位置検出手段の検出結果に基づいて、第一基準位置と、第二シフト手段のシート材をシフトさせる際に基準とする第二基準位置との位置関係を所定の関係に調整するための調整値を算出する工程と、調整値で、第一基準位置又は第二基準位置を調整する工程とを有する調整方法である。
これによれば、第一基準位置と第二基準位置とを所定の関係に調整することができる。
【符号の説明】
【0126】
1 :画像形成装置
3 :操作パネル
5 :給紙トレイ
10 :レーザ走査ユニット
17 :定着装置
17a :定着部材
17b :加圧部材
18 :レジストローラ
19 :反転搬送路
19a :再搬送路
20 :用紙
21 :反転ローラ
22 :中継ローラ
23 :分岐爪
24 :主搬送路
25 :受け入れローラ対
30 :第二用紙位置補正機構
31 :第一の搬送ローラ対
31A :第一の駆動ローラ
31B :第一の従動ローラ
32 :第二の搬送ローラ対
32A :第二の駆動ローラ
32B :第二の従動ローラ
33 :第三の搬送ローラ対
33A :第三の駆動ローラ
33B :第三の従動ローラ
34 :第四の搬送ローラ対
34A :第四の駆動ローラ
34A1 :軸部
34A2 :ローラ部
34B :第四の従動ローラ
34B1 :軸部
34B2 :ローラ部
35 :上ガイド板
35a :開口部
36 :下ガイド板
36a :開口部
36a1 :端部
36a2 :端部
41 :シフトブロック
41a :保持部
41b :突起部
42 :軸部
45 :移動モータ
46 :ベルト駆動部
47 :タイミングベルト
48 :プーリギヤ
48a :ギヤ部
48b :プーリ部
49 :モータプーリ
50 :ラック
60 :エッジ位置検知センサ部
61 :ケース
61a :軸部
62 :ブラケット
62a :突起部
63 :エッジ位置検知センサ
64 :プーリ
65 :タイミングベルト
66 :モータプーリ
67 :センサ位置検知センサ
68 :センサ用モータ
70 :搬送ローラ対移動モータ
71 :ブッシュ
75 :位置検知センサ
80 :軸受
100 :プリンタ本体
200 :用紙給送装置
200a :上段の用紙給送部
200b :下段の用紙給送部
220 :エア給送ユニット
300 :用紙位置補正装置
304 :ゲート部材
304a :当接面
304b :搬送ガイド面
304c :ガイド面
305 :補正ローラ対
305a :補正駆動ローラ
305b :補正従動ローラ
305c :軸
306 :入り口ローラ対
308 :CIS
309 :駆動モータ
310 :出力ギヤ
311 :モータギヤ
312 :ユニット本体
313 :シフトユニット
314 :斜行補正機構
315 :長穴
315a :第一フレーム
315b :第二フレーム
315c :長穴
316 :主走査補正機構
317a :小径ギヤ
317b :大径ギヤ
318a :用紙検出センサ
318b :用紙検出センサ
319 :固定部材
320 :ラック
320a :ラック歯
321 :ユニット移動モータ
321a :ピニオン
322 :シフトモータ
323 :駆動プーリ
324 :タイミングベルト
325 :従動プーリ
326 :偏心カム
326a :カム軸
327 :カム挟持部材
330 :第一用紙位置補正機構
340 :補正ローラ駆動装置
341 :記憶部
350 :制御部
353 :下側搬送ガイド
354 :上側搬送ガイド
400 :制御装置
401 :記憶装置
1305a :ローラ部
1305b :ローラ部
W1 :基準距離
W2 :移動距離
W3 :ずれ量
X :用紙搬送方向
Y :用紙幅方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】