(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子及びこれを製造する方法、並びにポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子及びこれを製造する方法
(51)【国際特許分類】
C08G 81/00 20060101AFI20240125BHJP
C08J 3/12 20060101ALI20240125BHJP
C08L 71/00 20060101ALI20240125BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
C08G81/00
C08J3/12 Z CEZ
C08L71/00 A
C08L83/05
(21)【出願番号】P 2020078800
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】大木 貴仁
(72)【発明者】
【氏名】井口 良範
(72)【発明者】
【氏名】青木 俊司
(72)【発明者】
【氏名】木村 恒雄
【審査官】前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-040214(JP,A)
【文献】特開2001-040097(JP,A)
【文献】特開2001-048729(JP,A)
【文献】特開2000-086438(JP,A)
【文献】特開2021-055027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 2/00- 85/00
C08J 3/00- 7/18
C08L 1/00-101/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子であって、
(A)脂肪族不飽和基を一分子中に少なくとも2個有するポリエーテル、
(B)下記一般式(1):
【化1】
(0<l≦1000、2≦m≦1000、0≦n≦1000)
[R
1は、それぞれ独立して、水素原子、非置換のもしくはハロゲン原子で置換された炭素原子数1~12の一価炭化水素基、またはアルコキシ基である。R
2は、それぞれ独立して、炭素原子数1~20の一価炭化水素基(ただし、フェニル基は除く)である。]
で示され、ケイ素原子に結合した水素原子を一分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(C)ヒドロシリル化反応性触媒、
を含有する組成物の付加反応物を含み、
但し、前記(A)成分の前記脂肪族不飽和基が一分子中に2個存在し、且つ前記(B)成分の前記ケイ素原子に結合した水素原子が一分子中に2個存在する組み合わせの場合を除くものであることを特徴とするポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子。
【請求項2】
前記(A)成分が、前記脂肪族不飽和基が一分子中の両末端部位に存在するポリエーテルであることを特徴とする請求項1に記載のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子。
【請求項3】
前記(A)成分が、前記脂肪族不飽和基が一分子中の両末端部位に存在するポリプロピレングリコールであることを特徴とする請求項2に記載のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子。
【請求項4】
前記(B)成分が、下記式(2):
Δ = ρΣF/M (2)
(式(2)中、ρはオルガノハイドロジェンポリシロキサンの比重であり、Fは原子及び官能基の分子凝集エネルギー定数((cal・cm
3)
1/2/mol)であり、Mはオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子量である)
で示される溶解度パラメータΔの数値が少なくとも7.5以上であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子。
【請求項5】
前記(B)成分が、下記式(3):
(l/
[l+m+n+2
])×100 > 10 (3)
を満たすフェニルオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする請求項4に記載のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子と、
前記ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の表面に付着した、球状のポリオルガノシルセスキオキサンまたはシリカと
を含むものであることを特徴とするポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子。
【請求項7】
請求項1~5の何れか1項に記載のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を製造する方法であって、
(i)前記(A)成分及び前記(B)成分を含む油相成分と、水相成分とから成る、O/W型乳化物を得る工程、
(ii)前記(C)成分の存在下において、前記(i)工程で得られたO/W型乳化物中の油相成分に含まれる前記(A)成分と前記(B)成分とを付加硬化反応により硬化させ、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液を得る工程、及び
(iii)前記工程(ii)で得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の前記水分散液から、外相の水及びポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子中に存在する水を除去する工程、
を含むことを特徴とするポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を製造する方法。
【請求項8】
請求項6に記載のポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子を製造する方法であって、
(i)前記(A)成分及び前記(B)成分を含む油相成分と、水相成分とから成る、O/W型乳化物を得る工程、
(ii)前記(C)成分の存在下において、前記(i)工程で得られたO/W型乳化物中の油相成分に含まれる前記(A)成分と前記(B)成分とを付加硬化反応により硬化させ、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液を得る工程、及び
(iv)前記(ii)工程で得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子と、水と、アルカリ性物質との存在下で、オルガノトリアルコキシシラン、あるいはテトラアルコキシシランを加水分解及び重縮合させ、前記ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の表面にポリオルガノシルセスキオキサン、あるいはシリカを付着させる工程
を含むことを特徴とするポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子及びこれを製造する方法、並びにポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子及びこれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シリコーンゴム球状粒子・粉末については、広範囲の産業分野において、その用途の提案がなされている。例えば、合成樹脂材料(例えば特許文献1及び2参照)や、合成ゴム材料(例えば特許文献3参照)、化粧料(例えば特許文献4~7参照)などへの添加配合が示されている。
【0003】
上記に示す通り、例えば、エポキシ樹脂の低応力化剤として、“柔軟性”を利用したシリコーンゴム球状粒子が配合・使用されている。即ち、電子部品とエポキシ樹脂の熱膨張率の差異により、樹脂に対して応力が掛かり、クラックを発生する場合がある為、シリコーンゴム球状粒子の添加によりその防止が可能となる。
【0004】
具体的には、線状オルガノポリシロキサンブロックを含むポリマー硬化物の粒子を含有したエポキシ樹脂(例えば特許文献8)や、シリコーンゴム粒子の表面をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した粒子を含有したエポキシ樹脂(例えば特許文献9)等が提案されている。
【0005】
更に、各種樹脂、塗料、ゴム等の成分と取扱作業性に優れるものとして、有機化合物と含ケイ素有機化合物を含む球状有機架橋粒子(例えば特許文献10)が提案されている。
【0006】
また、シリコーンゴム球状粒子は、化粧料に柔らかい感触やなめらかさ等の使用感を付与する目的や、光を散乱させて自然な仕上がりを演出したり、毛穴やシワ等を見えにくくする目的等において、ファンデーション及び化粧下地等のメークアップ化粧料、クリーム及び乳液等の基礎化粧料、サンスクリーン化粧料等、幅広い化粧料・化粧品材料に用いられている。
【0007】
例えば、ポリメチルシルセスキオキサン粉末を含有する化粧料(例えば特許文献11)、球状シリコーンゴム粉末を含有するメーキャップ化粧料(例えば特許文献12)、シリコーンゴム球状微粒子にポリオルガノシルセスキオキサン樹脂を被覆した複合シリコーン粉体を含有する化粧料(例えば特許文献13)が提案されている。これらのシリコーンゴム球状粒子や、シリコーンゴム球状粒子にポリオルガノシルセスキオキサン樹脂を被覆した粒子は、上述の使用感に加え、化粧料に柔らかな感触を付与することも出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特公昭63-12489号公報
【文献】特公平6-55805号公報
【文献】特開平2-102263号公報
【文献】特開平8-12546号公報
【文献】特開平8-12545号公報
【文献】特公平4-17162号公報
【文献】特公平4-66446号公報
【文献】特開昭58-219218号公報
【文献】特開平8-85753号公報
【文献】特開2001-40214号公報
【文献】特開昭63-297313号公報
【文献】特開平8-12524号公報
【文献】特開平9-20631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記シリコーンゴム球状粒子は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、塗料、化粧品材料等の、特に水系組成物での配合・使用する際において、分散性に乏しいという問題があった。
【0010】
また、近年の海洋プラスチックごみ問題を受け、特に化粧品材料用途においては、土壌、陸水、海洋を含む自然環境下で光、熱、酸・塩基などの外部刺激によって、ゴム球状粒子が分解性を示すものの開発が望まれている。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、塗料、化粧品材料等の、特に水系組成物での配合及び使用時における優れた分散性を示し、さらには外部刺激による分解特性を発現するゴム球状粒子、複合粒子、およびこれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を達成するために、本発明では、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子であって、
(A)脂肪族不飽和基を一分子中に少なくとも2個有するポリエーテル、
(B)下記一般式(1):
【化1】
(0<l≦1000、2≦m≦1000、0≦n≦1000)
[R
1は、単独に、水素原子、非置換のもしくはハロゲン原子で置換された炭素原子数1~12の一価炭化水素基、またはアルコキシ基である。R
2は、単独に、炭素原子数1~20の一価炭化水素基である。]
で示され、ケイ素原子に結合した水素原子を一分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(C)ヒドロシリル化反応性触媒、
を含有する組成物の付加反応物を含み、
但し、前記(A)成分の前記脂肪族不飽和基が一分子中に2個存在し、且つ前記(B)成分の前記ケイ素原子に結合した水素原子が一分子中に2個存在する組み合わせの場合を除くものであることを特徴とするポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を提供する。
【0013】
このようなポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子であれば、水系組成物での配合及び使用の際に優れた分散性を示すことができ、さらには外部刺激による分解特性を示すことができるゴム球状粒子とすることができる。
【0014】
また、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子は、水系組成物において優れた分散性を示すことができるため、例えば肌に優しい水系組成物を含んだ化粧料などの物品に含ませることができる。本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を含んだ物品は、柔らかい感触、及びなめらかさなどの優れた使用感を示すことができる。そして、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子は優れた光散乱能を示すことができるので、このようなゴム球状粒子を含んだ物品は、自然な仕上がりを演出することができたり、毛穴やしわなどを見えにくくする効能を発現することができる。
【0015】
前記(A)成分が、前記脂肪族不飽和基が一分子中の両末端部位に存在するポリエーテルであることが好ましい。
このような(A)成分を含むことにより、水系組成物での配合及び使用時に優れた分散性を示すことができ、更には外部刺激による分解特性を示すことができる。
【0016】
前記(A)成分が、前記脂肪族不飽和基が一分子中の両末端部位に存在するポリプロピレングリコールであることが更に好ましい。
このような(A)成分を含むことにより、後述するゴム球状粒子の調製時おいて、安定な乳化物を形成することができる。
【0017】
前記(B)成分が、下記式(2):
Δ = ρΣF/M (2)
(式(2)中、ρはオルガノハイドロジェンポリシロキサンの比重であり、Fは原子及び官能基の分子凝集エネルギー定数((cal・cm3)1/2/mol)であり、Mはオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子量である)
で示される溶解度パラメータΔの数値が少なくとも7.5以上であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることが好ましい。
このような(B)成分であれば、組成物中で(A)成分との優れた相溶性(溶解性)を示すことができる。その結果、(A)成分とこのような(B)成分とを含有した組成物は、均一な硬化性組成物となることができる。
【0018】
前記(B)成分が、下記式(3):
(l/l+m+n+2)×100 > 10 (3)
を満たすフェニルオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることがより好ましい。
このような(B)成分であれば、組成物中で(A)成分とのより優れた相溶性(溶解性)を示すことができる。その結果、(A)成分とこのような(B)成分とを含有した組成物は、より均一な硬化性組成物となることができる。
【0019】
また、本発明は、
本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子と、
前記ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の表面に付着した、球状のポリオルガノシルセスキオキサンまたはシリカと
を含むものであることを特徴とするポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子を提供する。
【0020】
このような複合粒子であれば、水系組成物中での優れた分散性を示すことができ、外部刺激による分解特性を示すことができるのに加え、より柔らかな感触及びより優れた光散乱能を示すことができる。よって、このような複合粒子であれば、より優れた使用感を示す化粧料などの物品を実現できる。
【0021】
また、本発明は、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を製造する方法であって、
(i)前記(A)成分及び前記(B)成分を含む油相成分と、水相成分とから成る、O/W型乳化物を得る工程、
(ii)前記(C)成分の存在下において、前記(i)工程で得られたO/W型乳化物中の油相成分に含まれる前記(A)成分と前記(B)成分とを付加硬化反応により硬化させ、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液を得る工程、及び
(iii)前記工程(ii)で得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の前記水分散液から、外相の水及びポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子中に存在する水を除去する工程、
を含むことを特徴とするポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を製造する方法を提供する。
【0022】
このような製造方法によると、水系組成物での配合及び使用の際に優れた分散性を示すことができ、さらには外部刺激による分解特性を示すことができる、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を製造できる。
【0023】
更に、本発明は、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子を製造する方法であって、
(i)前記(A)成分及び前記(B)成分を含む油相成分と、水相成分とから成る、O/W型乳化物を得る工程、
(ii)前記(C)成分の存在下において、前記(i)工程で得られたO/W型乳化物中の油相成分に含まれる前記(A)成分と前記(B)成分とを付加硬化反応により硬化させ、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液を得る工程、及び
(iv)前記(ii)工程で得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子と、水と、アルカリ性物質との存在下で、オルガノトリアルコキシシラン、あるいはテトラアルコキシシランを加水分解及び重縮合させ、前記ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の表面にポリオルガノシルセスキオキサン、あるいはシリカを付着させる工程
を含むことを特徴とするポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子を製造する方法を提供する。
【0024】
このような製造方法によると、水系組成物中での優れた分散性を示すことができ、外部刺激による分解特性を示すことができるのに加え、より優れた使用感を示す化粧料などの物品を実現できる、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子を製造できる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子であれば、水系組成物での配合及び使用の際に優れた分散性を示すことができ、さらには外部刺激による分解特性を示すことができるゴム球状粒子とすることができる。また、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子は、柔らかい感触、及びなめらかさなどの優れた使用感を示すことができ、自然な仕上がりを演出することができ、毛穴やしわなどを見えにくくする効能を発現することができる化粧料などの物品を実現することができる。
【0026】
また、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子であれば、より優れた使用感を示す化粧料などの物品を実現できる。
【0027】
また、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を製造する方法であれば、水系組成物での配合及び使用の際に優れた分散性を示すことができ、さらには外部刺激による分解特性を示すことができる、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を製造できる。
【0028】
そして、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子を製造する方法であれば、水系組成物中での優れた分散性を示すことができ、外部刺激による分解特性を示すことができるのに加え、より優れた使用感を示す化粧料などの物品を実現できる、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、実施例7にて得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子(粉体)の表面の電子顕微鏡写真である。
【
図2】
図2は、実施例7にて得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子表面の電子顕微鏡写真である。
【
図3】
図3は、実施例7にて得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子表面の異なる倍率での電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
上述のように、水系組成物での配合及び使用時における優れた分散性を示し、さらには外部刺激による分解特性を発現するゴム球状粒子、複合粒子、およびこれらの製造方法の開発が求められていた。
【0031】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、脂肪族不飽和基を一分子中に少なくとも2個有するポリエーテルと特定の構造を有するポリシロキサンとを含む組成物の付加反応物を含んだポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を見出し、更に、このようなゴム球状粒子であれば水系組成物において優れた分散性を示すことができ、且つ外部刺激による分解特性を発現することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。また、本発明者らは、このゴム球状粒子の表面にポリオルガノシルセスキオキサン、あるいはシリカが付着しているポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子、さらにはこれらの製造方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0032】
即ち、本発明は、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子であって、
(A)脂肪族不飽和基を一分子中に少なくとも2個有するポリエーテル、
(B)下記一般式(1):
【化2】
(0<l≦1000、2≦m≦1000、0≦n≦1000)
[R
1は、単独に、水素原子、非置換のもしくはハロゲン原子で置換された炭素原子数1~12の一価炭化水素基、またはアルコキシ基である。R
2は、単独に、炭素原子数1~20の一価炭化水素基である。]
で示され、ケイ素原子に結合した水素原子を一分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(C)ヒドロシリル化反応性触媒、
を含有する組成物の付加反応物を含み、
但し、前記(A)成分の前記脂肪族不飽和基が一分子中に2個存在し、且つ前記(B)成分の前記ケイ素原子に結合した水素原子が一分子中に2個存在する組み合わせの場合を除くものであることを特徴とするポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子である。
【0033】
また、本発明は、
本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子と、
前記ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の表面に付着した、球状のポリオルガノシルセスキオキサンまたはシリカと
を含むものであることを特徴とするポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子である。
【0034】
また、本発明は、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を製造する方法であって、
(i)前記(A)成分及び前記(B)成分を含む油相成分と、水相成分とから成る、O/W型乳化物を得る工程、
(ii)前記(C)成分の存在下において、前記(i)工程で得られたO/W型乳化物中の油相成分に含まれる前記(A)成分と前記(B)成分とを付加硬化反応により硬化させ、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液を得る工程、及び
(iii)前記工程(ii)で得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の前記水分散液から、外相の水及びポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子中に存在する水を除去する工程、
を含むことを特徴とするポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を製造する方法である。
【0035】
更に、本発明は、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子を製造する方法であって、
(i)前記(A)成分及び前記(B)成分を含む油相成分と、水相成分とから成る、O/W型乳化物を得る工程、
(ii)前記(C)成分の存在下において、前記(i)工程で得られたO/W型乳化物中の油相成分に含まれる前記(A)成分と前記(B)成分とを付加硬化反応により硬化させ、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液を得る工程、及び
(iv)前記(ii)工程で得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子と、水と、アルカリ性物質との存在下で、オルガノトリアルコキシシラン、あるいはテトラアルコキシシランを加水分解及び重縮合させ、前記ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の表面にポリオルガノシルセスキオキサン、あるいはシリカを付着させる工程
を含むことを特徴とするポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子を製造する方法である。
【0036】
以下、本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
<ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子>
本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子は、上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する組成物の付加反応物を含むものである。
【0038】
言い換えると、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子は、粒子を形成する成分が、(A)成分であるポリエーテルと(B)成分であるポリシロキサンの両者により構成されていることを特徴とするものであるということができる。
【0039】
本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子は、上記付加反応物であるが、それ以外の成分を含むこともできる。各成分の詳細は、後述する。
【0040】
本発明におけるポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の体積平均粒径は、0.5~100μmが好ましく、1~30μmがより好ましい。体積平均粒径が上記範囲内にある場合、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子は凝集性がより低く、一次粒子まで容易に分散すると共に、さらさら感が向上する。また、100μm以下とすることで、ざらつき感を低減でき、更にはざらつき感をなくすことができる。尚、本発明の体積平均粒径は、得られるポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の粒径に合わせ、1μm以上は電気抵抗法にて、1μm未満はレーザー回折/散乱法にて測定する。
【0041】
ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を構成するゴムは、べたつきがないことが好ましく、そのゴム硬度は、JIS K 6253に規定されているタイプAデュロメータによる測定において、5~90の範囲であることが好ましく、より好ましくは10~70の範囲である。ゴム硬度が5以上であれば、ゴム球状粒子の凝集を十分に抑えることができ、一次粒子にまで容易に分散することができると共に、さらさら感を維持することができる。また、ゴム硬度が90以下であれば、後述するポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子が得やすくなる。
【0042】
以下、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子に関する成分を説明する。
【0043】
[(A)~(C)成分を含有する組成物の付加反応物]
先に述べたように、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子は、上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する組成物の付加反応物を含むものである。以下、この組成物を、付加反応組成物と呼ぶ。
【0044】
付加反応組成物は、付加硬化反応をすることができる硬化性組成物ということもできる。また、付加反応組成物は、液状であっても良い。すなわち、この付加反応組成物は、硬化性液状組成物であっても良い。
そして、付加反応組成物は、(A)~(C)成分以外の成分を含有することもできる。
以下に、付加反応組成物の各成分を説明する。
【0045】
[(A)成分]
本発明において、付加反応組成物の(A)成分は、一分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有するポリエーテルであることを特徴とする。
【0046】
これら脂肪族不飽和基を有する構造としては、従来公知の製造方法によって得られるものであればよく、ポリエーテル(重合体)に、脂肪族不飽和基を分子末端に有する分子を、エステル結合、リン酸エステル結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合、アミド結合、スルフィド結合等を介して導入すればよい。
【0047】
(A)成分中の脂肪族不飽和基を有する官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロぺニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;エチニル基等のアルキニル基;ノルボルネン基、ジシクロペンタジエニル基等の環状不飽和基等の分子鎖末端や分子鎖側鎖の官能基が挙げられ、好ましくは、ビニル基、アリル基等の分子鎖末端や分子鎖側鎖の官能基が挙げられる。
【0048】
(A)成分であるポリエーテルの25℃における動的粘度は、100,000mm2/s以下が好ましく、10,000mm2/s以下がより好ましい。動的粘度が100,000mm2/s以下であれば、後述する本発明の製造方法において、粒度分布の十分に狭い粒子を得ることができる。下限値については特に限定されないが、1mm2/s以上が好ましい。尚、本発明における動的粘度は、オストワルド粘度計による25℃下での測定値を指す。
【0049】
このような上記(A)成分としては、例えば、ジアリルエーテル;ポリエチレングリコール-ジアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール-ジアリルエーテル、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール-ジアリルエーテル、ポリプロピレングリコール-ジアリルエーテル、ポリブチレングリコール-ジアリルエーテル、ブトキシポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール-ジアリルエーテル、トリエチレングリコール-ジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノール-ジビニルエーテル、またはエチレングリコールを開始剤としてアリルグリシジルエーテルを開環重合したポリエーテル、あるいはブタノール、アリルアルコール、またはプロパルギルアルコール等を開始剤としてビニルシクロヘキサン-1,2-エポキサイドを開環重合したポリエーテル、などが挙げられる。
【0050】
(A)成分の構造は上記のいずれであっても良いが、後述する本発明の製造方法より、脂肪族不飽和基が一分子中の末端部位に存在するポリエーテルであることが好ましく、特にポリプロピレングリコール-ジアリルエーテル、ポリブチレングリコール-ジアリルエーテルが好ましい。
【0051】
(A)成分は、脂肪族不飽和基が一分子中の両末端部位に存在するポリプロピレングリコールであることが更に好ましい。具体例としては、ポリプロピレングリコール-ジアリルエーテルを挙げることができる。
【0052】
[(B)成分]
本発明における、付加反応組成物の(B)成分は、下記一般式(1)で示される、ケイ素原子に結合した水素原子を一分子中に少なくとも2個有する、オルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする。
【化3】
(0<l≦1000、2≦m≦1000、0≦n≦1000)
[R
1は、単独に、水素原子、非置換のもしくはハロゲン原子で置換された炭素原子数1~12の一価炭化水素基、またはアルコキシ基である。R
2は、単独に、炭素原子数1~20の一価炭化水素基である。]
【0053】
上記一般式(1)においてlは0より大であるため、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、フェニル基を有する。したがって、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、フェニルオルガノハイドロジェンポリシロキサンということもできる。
【0054】
上記R1としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、アルコキシ基;及びこれら官能基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部をハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)等の原子及び/またはアクリロキシ基、メタクリロキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられるが、工業的には、全R1基中の50モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0055】
上記R2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等のアルキル基が挙げられるが、工業的には、全R2基中の50モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0056】
なお、付加反応組成物は、前記(A)成分の前記脂肪族不飽和基が一分子中に2個存在し、且つ前記(B)成分の前記ケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基:SiH基)が一分子中に2個存在する組み合わせの場合を除くものである。
このような付加反応組成物であれば、架橋による付加反応を起こすことができる。一方、(A)成分の脂肪族不飽和基が一分子中に2個存在し、且つ(B)成分のケイ素原子に結合した水素原子が一分子中に2個存在する組み合わせの場合、架橋による付加反応を起こすことができない。
【0057】
(B)成分が、下記式(2):
Δ = ρΣF/M (2)
(式(2)中、ρはオルガノハイドロジェンポリシロキサンの比重であり、Fは原子及び官能基の分子凝集エネルギー定数((cal・cm3)1/2/mol)であり、Mはオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子量である)
で示される溶解度パラメータΔの数値(SP値)が少なくとも7.5以上であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることが好ましい。
このような(B)成分であれば、組成物中で(A)成分との優れた相溶性(溶解性)を示すことができる。その結果、(A)成分とこのような(B)成分とを含有した組成物は、均一な硬化性組成物となることができる。
【0058】
また、前記(B)成分が、下記式(3):
(l/l+m+n+2)×100 > 10 (3)
を満たすフェニルオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることがより好ましい。
このような(B)成分であれば、組成物中で(A)成分とのより優れた相溶性(溶解性)を示すことができる。その結果、(A)成分とこのような(B)成分とを含有した組成物は、より均一な硬化性組成物となることができる。
【0059】
(B)成分であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの25℃における動的粘度は、10,000mm2/s以下が好ましく、1,000mm2/s以下がより好ましい。動的粘度が上記10,000mm2/s以下であると、前記(A)成分との十分な相溶性を示すことができると共に、後述する本発明の製造方法において、粒度分布の十分に狭い粒子を得ることができる。下限は特には限定されないが、1mm2/s以上が好ましい。
【0060】
また、上記フェニルオルガノハイドロジェンポリシロキサンの構造は、直鎖状、環状、分岐状のいずれであっても良いが、特に直鎖状が好ましい。
【0061】
付加反応組成物において、(B)成分は、(B)成分のケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基:SiH基)が、(A)成分の脂肪族不飽和基1個に対して、0.5個~2.0個となる量で含まれていることが好ましく、0.8個~1.7個となる量で含まれていることがより好ましい。
【0062】
[(C)成分]
(C)成分であるヒドロシリル化反応性触媒は、ヒドロシリル化反応に用いられる公知又は周知の触媒であればよい。例えば、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H2PtC14・kH2O、H2PtCl6・kH2O、NaHPtCl6・kH2O、KHPtCl6・kH2O、Na2PtCl6・kH2O、K2PtCl4・kH2O、PtCl4・kH2O、Na2HPtCl4・kH2O(但し、式中のkは0~6の整数であり、好ましくは0または6)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3220972号明細参照);塩化白金酸とオレフィンとの複合体(米国特許第3159601号明細、同第3159662号明細、同第3775452号明細参照);白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム-オレフィン複合体;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);白金、塩化白金、塩化白金酸または塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特に、白金とビニル基含有ジシロキサンまたはビニル基含有環状シロキサンとの複合体等が挙げられる。
【0063】
ヒドロシリル化反応性触媒の配合量は、ヒドロシリル化反応を促進する為の有効量であればよい。触媒の添加量が適切な量であれば、後述する界面活性剤のポリエーテル部位が酸化するのを防いで、臭気が発生するのを防ぐことができる。また、得られた粒子が黒ずむのを防ぐことができる。特には、上記ポリエーテルとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの合計質量に対する触媒中の白金族金属の質量換算量が、0.1~100ppm(質量)が好ましく、0.5~50ppmがより好ましく、1~30ppmがさらに好ましい。
【0064】
[(D)成分]
本発明は、付加反応組成物の(C)成分;ヒドロシリル化反応性触媒による硬化反応性を制御する目的として、(D)添加剤成分、つまりは反応制御剤をさらに含有することが出来る。反応制御剤は、上記(C)成分の白金族金属系触媒に対して硬化抑制効果を有する化合物であれば特に限定されず、従来より公知のものを用いることが出来る。例えば、各種有機窒素化合物、有機リン化合物、アセチレン系化合物、オキシム化合物、及び有機クロロ化合物、マレイン酸ジアリル、トリアリルイソシアヌレートなどが挙げられる。
【0065】
(D)成分としては、例えば、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、3-メチル-1-ペンテン-3-オール、フェニルブチノール、1-エチニルシクロヘキサノール等のアセチレン系アルコール、3-メチル-3-1-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-イン等のアセチレン系化合物、これらのアセチレン系化合物とアルコキシシラン又はシロキサンあるいはハイドロジェンシランとの反応物、テトラメチルビニルシロキサン環状体等のビニルシロキサン、ベンゾトリアゾール等の有機窒素化合物及びその他の有機リン化合物、オキシム化合物、及び有機クロロ化合物等が挙げられる。これら化合物の配合量は、良好な反応制御能が得られる量であればよい。一般には、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して0.01~10質量部が好ましく、0.05~5質量部がより好ましい。
【0066】
[その他の配合成分]
付加反応により本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を構成する硬化性液状組成物は、(A)~(C)成分及び任意の(D)成分に加え、他の成分を適量配合することは任意である。他の成分としては以下のものが挙げられ、1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることが出来る。
【0067】
[酸化防止剤]
本発明の付加反応組成物中においては、(A)成分中の脂肪族不飽和基、すなわち付加反応性炭素―炭素二重結合が未反応のまま残存している場合があり、必要に応じて酸化防止剤を添加することにより、着色やポリエーテル自身の劣化等を未然に防止することが可能である。
【0068】
酸化防止剤としては、従来公知のものを全て使用することが出来る。例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,5-ジ-t-アミルヒドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)等が挙げられる。
【0069】
酸化防止剤を使用する場合、その配合量は酸化防止剤としての有効量であればよく、特に制限されないが、上記(A)及び(B)成分との合計質量に対して、通常10~10,000ppm(質量)が好ましく、100~1,000ppmがより好ましい。このような範囲内の配合量とすることで、酸化防止能力が十分に発揮され、着色、白濁、酸化劣化等の発生のない硬化物が得られる。
【0070】
[付加反応物以外の成分]
本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子は、当該粒子中においてさらに、シリコーンオイル、無機系粉体、有機系粉体等を含有してもよい。
【0071】
<ポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子>
本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子は、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子と、前記ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の表面に付着した、球状のポリオルガノシルセスキオキサンまたはシリカとを含むものである。本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子は、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の表面に、球状のポリオルガノシルセスキオキサン、あるいはシリカが付着してなるものであるということもできる。球状のポリオルガノシルセスキオキサン又はシリカは、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の表面に吸着していてもよい。球状のポリオルガノシルセスキオキサン、あるいはシリカが付着することで、光散乱能が向上する。
【0072】
[ポリオルガノシルセスキオキサン]
上記ポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子におけるポリオルガノシルセスキオキサンの形状は、球状であり、球状(真球状)または半球状であることが好ましい。球状のポリオルガノシルセスキオキサンの粒径は10~500nmが好ましく、20~200nmがより好ましい。ポリオルガノシルセスキオキサンの粒径が上記10nm以上の場合、十分な光散乱能を得ることができる。また、粒径が500nm以下である場合、得られる複合粒子の感触が優れ、また十分な光散乱能を得ることができる。但し、ポリオルガノシルセスキオキサンの粒径は、上記ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の粒径よりも小さいことが好ましい。
【0073】
ポリオルガノシルセスキオキサンは、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子表面の全部、または一部に付着することができる。具体的には、まばらに付着していてもよいし、表面に隙間なく付着していてもよいが、光散乱特性に優れるポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子が得られる点から、付着密度は高い方が好ましい。尚、ポリオルガノシルセスキオキサンの形状、粒径、及びゴム球状粒子表面での付着密度は、得られた複合粒子を電子顕微鏡にて観察することにより確認出来る。
【0074】
上記ポリオルガノシルセスキオキサンは、例えば、R3SiO3/2で示される単位が、三次元網目状に架橋したレジン状固形物である。上記のR3は、置換または非置換の炭素数1~20の一価炭化水素基である。R3としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及び、これら官能基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部をハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)等の原子、及び/またはアミノ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられる。
【0075】
後述する本発明の製造方法より、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の表面にポリオルガノシルセスキオキサンを付着させる為には、反応性等の点から、上記R3の50モル%以上がメチル基、ビニル基、またはフェニル基であることが好ましく、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上が上記基であるとよい。
【0076】
ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の表面に付着するポリオルガノシルセスキオキサンの量は、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子100質量部に対し1~50質量部が好ましく、より好ましくは2~25質量部である。ポリオルガノシルセスキオキサンの量が1質量部以上である場合、得られるポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子が十分な光散乱能を示すことができると共に、さらさらとした感触を示すこともできる。ポリオルガノシルセスキオキサンの量が50質量部以下である場合、得られる複合粒子が十分に柔らかな感触を示すことができる。
【0077】
ポリオルガノシルセスキオキサンは、R3SiO3/2単位の他に、任意の割合で、R3
2SiO2/2単位、R3
3SiO1/2単位、及びSiO4/2単位から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。このようなポリオルガノシルセスキオキサンにおいては、R3SiO3/2単位の含有率が全シロキサン単位中に70~100モル%の範囲が好ましく、80~100モル%の範囲がより好ましい。
【0078】
[シリカ]
シリカは、例えばテトラアルコキシシランの加水分解・重縮合反応によって得られるものであり、SiO2単位からなる構造であるが、原料であるテトラアルコキシシランに由来するアルコキシ基や、縮合反応しなかったシラノール基を含有していてもよい。
【0079】
シリカの形状は、球状であり、球状(真球状)または半球状であることが好ましい。また、球状のシリカの粒径は500nm以下が好ましい。但し、シリカの粒径は、上記ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の粒径よりも小さいことが好ましい。
【0080】
シリカは、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の表面の全部、または一部に付着する。具体的には、まばらに付着していてもよいし、表面に隙間なく付着していてもよいが、おおよそ隙間なく被覆されていることが好ましく、その付着密度は高い方が好ましい。尚、被覆したシリカの形状及び粒子径は、複合粒子の表面を電子顕微鏡にて観察することにより確認出来る。
【0081】
<ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の製造方法>
また、本発明は、先に説明した本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を製造する方法を提供する。この方法は、
(i)前記(A)成分及び前記(B)成分を含む油相成分と、水相成分とから成る、O/W型乳化物を得る工程、
(ii)前記(C)成分の存在下において、前記(i)工程で得られたO/W型乳化物中の油相成分に含まれる前記(A)成分と前記(B)成分とを付加硬化反応により硬化させ、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液を得る工程、及び
(iii)前記工程(ii)で得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の前記水分散液から、外相の水及びポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子中に存在する水を除去する工程、
を含むことを特徴とする。
【0082】
本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子は、例えば、この方法により得ることが出来る。ただし、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子は、その他の方法で製造しても良い。
【0083】
以下、各工程をより詳細に説明する。
【0084】
[(i)工程]
(i)工程は、上記(A)成分及び上記(B)成分を含む油相成分と、水相成分とから成る、O/W型乳化物(水中油滴型エマルション)を得る工程である。
【0085】
例えば、O/W型乳化物は、上記(A)成分及び(B)成分を含有する組成物に、界面活性剤と水を添加し、乳化処理を施すことにより得ることができる。
【0086】
界面活性剤は、(A)成分及び(B)成分を含有する組成物と水との混合により乳化させ、エマルション(乳化物)を形成させる為の「乳化剤」として使用するものである。界面活性剤は特には限定されず、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び、両イオン性界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は1種単独、または2種以上を適宜組み合わせて用いることが出来る。
【0087】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0088】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、モノアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、モノアルキルリン酸エステル塩、ジアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0089】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルジメチルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、モノアルキルアミン塩、モノアルキルアミドアミン塩等が挙げられる。
【0090】
両イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルジメチルカルボキシベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルカルボキシベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0091】
界面活性剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることが出来る。中でも、少量で(A)及び(B)成分を含有する組成物を乳化することが可能であり、かつ微細であり粒度分布の狭いポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の製造が出来る点から、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0092】
上記界面活性剤の使用量は、(A)及び(B)成分を含有する組成物100質量部に対し、0.01~20質量部が好ましく、0.05~5質量部がより好ましい。使用量が0.01~20質量部であれば、安定な乳化物を形成することができ、微細かつ粒度分布の狭いポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子が十分に得られる。
【0093】
O/W型乳化物は、上記(A)成分及び上記(B)成分に加え、場合により(C)成分を更に含ませることもできる。
【0094】
(C)成分は、ヒドロシリル化反応触媒(例えば白金族金属系触媒)であるが、触媒の水に対する分散性が低い場合、触媒を界面活性剤に溶解した状態でエマルション中へ添加することが好ましい。この際、使用する界面活性剤は、上記記載のものを使用すればよく、中でもノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0095】
(C)成分は、(A)及び(B)成分を含有する組成物中において、予め添加してもよい。この場合、乳化工程が終了する前の段階で硬化性液状組成物が硬化しないよう、反応性、温度、及び反応時間を考慮して乳化を行うのが好ましい。また、組成物中に予め反応制御剤((D)成分)を配合してもよい。
【0096】
尚、(C)成分は、付加硬化反応前であれば、どの時点で付加反応組成物に添加しても良い。
【0097】
乳化方法は、一般的な乳化分散機を用いて行えばよく、これに限定されない。該乳化分散機としては、例えば、ホモミキサー等の高速回転せん断撹拌機、ホモディスパー等の高速回転遠心放射型攪拌機、ホモジナイザー等の高圧噴射式乳化分散機、コロイドミル、超音波乳化機等が挙げられる。
【0098】
[(ii)工程]
(ii)工程は、(C)成分の存在下において、(i)工程で得られたO/W型乳化物中の油相成分に含まれる(A)成分と(B)成分とを付加硬化反応により硬化させ、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液を得る工程である。
【0099】
ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液は、例えば、上記の乳化方法により得られたO/W型乳化物((C)成分を含んでいない)に(C)成分を添加し、この乳化物の油相成分に含まれる(A)成分と(B)成分とを付加硬化反応させることで製造出来る。
【0100】
或いは、(C)成分を含んだO/W型乳化物を先に説明したように得て、この乳化物の油相成分に含まれる(A)成分と(B)成分とを付加硬化反応させることでも製造出来る。
【0101】
付加硬化反応は、室温下で行ってもよいが、反応が完結しない場合においては100℃未満の加熱下で行ってもよい。温度条件としては、20~60℃が好ましく、30~50℃がより好ましい。反応温度が20~60℃であれば、硬化反応が十分に進行すると共に、乳化物の安定性を維持することができ、目的とするポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を十分に得ることができる。
【0102】
[(iii)工程]
(iii)工程は、前記工程(ii)で得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の前記水分散液から、外相の水及びポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子中に存在する水を除去する工程である。
【0103】
ポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子としない場合では、この(iii)工程でポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を粉体として取り出す。具体的な方法は、後述する複合粒子を粉体として取り出す工程と同じであり、例えば、ゴム球状粒子に含浸している液体、水分等を揮発除去することで、外相の水及びポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子中に存在する水を除去し、粉体としてのゴム球状粒子を得る。
【0104】
このように、1つの態様として、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子は、例えば、以下の方法により得ることが出来る。
まず、(A)成分及び(B)成分を含有する組成物に、場合により(C)成分を加えてから、界面活性剤と水を添加し、乳化処理を施してエマルション(乳化物)とする。次いで、(C)成分の存在下で(A)成分と(B)成分とを付加硬化反応させる。このような架橋・ゴム化する方法により、目的とする構造体(ゴム球状粒子)の水分散液が得られる。この水分散液から、外相の水及びゴム球状粒子中に存在する水を除去することにより、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を取り出すことができる。各工程の詳細については、先に説明した通りである。
【0105】
他の1つの態様として、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子は、例えば、以下の方法により得ることが出来る。
まず、(A)成分、(B)成分、及び(D)添加剤成分を含有する組成物を準備する。この組成物を低温保管(~20℃)したものに、(C)成分を添加後、直ちに界面活性剤と水を添加し乳化処理を施してエマルション(乳化物)とする。この乳化物を加熱熟成(30℃~)することで付加硬化反応させる。このような架橋・ゴム化する方法により、目的とする構造体(ゴム球状粒子)の水分散液が得られる。この水分散液から、外相の水及びゴム球状粒子中に存在する水を除去することにより、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を取り出すことができる。各工程の詳細については、先に説明した通りである。
【0106】
<ポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子の製造方法>
また、本発明は、先に説明した本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子を製造する方法を提供する。この方法は、
(i)前記(A)成分及び前記(B)成分を含む油相成分と、水相成分とから成る、O/W型乳化物を得る工程、
(ii)前記(C)成分の存在下において、前記(i)工程で得られたO/W型乳化物中の油相成分に含まれる前記(A)成分と前記(B)成分とを付加硬化反応により硬化させ、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液を得る工程、及び
(iv)前記(ii)工程で得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子と、水と、アルカリ性物質との存在下で、オルガノトリアルコキシシラン、あるいはテトラアルコキシシランを加水分解及び重縮合させ、前記ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の表面にポリオルガノシルセスキオキサン、あるいはシリカを付着させる工程
を含むことを特徴とする。
【0107】
本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子は、例えば、この方法により得ることが出来る。ただし、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子は、その他の方法で製造しても良い。
【0108】
以下、各工程をより詳細に説明する。
【0109】
[(i)工程]
本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子を製造する方法の(i)工程は、先に説明したポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を製造する方法の(i)工程と同様である。
【0110】
(i)工程で任意で使用する界面活性剤の使用量を0.01~20質量部とすることにより、安定な乳化物を形成することができ、微細かつ粒度分布の狭いポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子が十分に得られる。また、界面活性剤の使用量を上記範囲とすることにより、本発明の製造方法より、ポリオルガノシルセスキオキサン、あるいはシリカをポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の表面へ十分に付着させることができる。
【0111】
[(ii)工程]
本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子を製造する方法の(ii)工程は、先に説明したポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を製造する方法の(ii)工程と同様である。
【0112】
尚、この方法の(ii)工程では、該水分散液を、シリコーンオイルを含浸したポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液という形で製造することもできる。また、(C)成分は、付加硬化反応前であれば、どの時点で添加してもよい。
【0113】
ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子に含浸させる液体としては、オルガノポリシロキサンが挙げられる。オルガノポリシロキサンとしては、例えば平均組成式R4
aSiO(4-a)/2で示すことができるものが挙げられる。式中、R4は、非置換または置換の炭素数1~20の一価炭化水素基であり、aは1≦a≦3で示される正数で、好ましくは0.5≦a≦2.3である。
【0114】
R4としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及び、これら官能基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部をハロゲン原子等の原子、及び/またはアミノ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、メルカプト基、カルボキシル基等の置換基で置換した、炭化水素基等が挙げられる。
尚、工業的には、全R4基中の50モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0115】
上記オルガノポリシロキサンは、25℃における粘度が100,000mm2/s以下であることが好ましく、10,000mm2/s以下であることがより好ましい。粘度が100,000mm2/s以下であれば、この製造方法により粒度分布の十分に狭いポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を得ることができる。尚、上記粘度は、オストワルド粘度計による25℃下での測定値を示すものである。
【0116】
[(iv)工程]
(iv)工程は、(ii)工程で得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子と、水と、アルカリ性物質との存在下で、オルガノトリアルコキシシラン、あるいはテトラアルコキシシランを加水分解及び重縮合させ、上記ゴム球状粒子の表面にポリオルガノシルセスキオキサン、あるいはシリカを付着させる工程である。
【0117】
工程(ii)で得られた上記水分散液(すなわち、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子と、水とを含む分散液)は、そのままの状態で(iv)工程に使用してもよいが、必要に応じてさらに水を添加してもよい。ゴム球状粒子は、水100質量部に対し1~150質量部含まれていることが好ましく、5~70質量部の範囲がより好ましい。水の量に対するゴム球状粒子の量が水100質量部に対し1~150質量部であると、複合粒子の生成効率の低下を防ぎながら、ゴム球状粒子表面へのポリオルガノシルセスキオキサン、あるいはシリカの付着を十分に行うことができ、更には粒子凝集や融着を防ぐことができる。
【0118】
アルカリ性物質は、オルガノトリアルコキシシランを加水分解、及び縮合反応させる触媒として作用する。アルカリ性物質は、特には限定されず、オルガノトリアルコキシシランの加水分解、及び縮合反応を進行させるものであればよい。アルカリ性物質は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることが出来る。
アルカリ性物質はそのまま添加しても、アルカリ性水溶液として添加してもよい。
【0119】
アルカリ性物質としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;アンモニア;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド;または、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン等のアミン類等が挙げられる。なかでも、得られるポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子の粉末から、揮発により容易に除去できることから、アンモニアが最も好ましい。尚、アンモニアは、市販のアンモニア水溶液を使用することが可能である。
【0120】
アルカリ性物質の添加量としては、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液におけるpHが、好ましくは9.0~13.0、より好ましくは9.5~12.5の範囲となる量であるのがよい。pHが上記範囲内であれば、オルガノトリアルコキシシランの加水分解、及び縮合反応を十分に進行させることができ、得られるポリオルガノシルセスキオキサン、あるいはシリカが、ゴム球状粒子表面に十分量付着することが出来る。
【0121】
アルカリ性物質の添加方法としては、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液に対し、オルガノトリアルコキシシランの添加前に予め配合してもよいし、オルガノトリアルコキシシランの添加後に配合してもよい。
【0122】
前記オルガノトリアルコキシシランは、例えば、R4Si(OR5)3で示されるものが挙げられる。式中、R4は非置換または置換の炭素数1~20の一価炭化水素基であり、上記記載内容の通りである。R5は、非置換の炭素数1~6の一価炭化水素基である。R5としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられるが、反応性の点からメチル基であることが好ましい。
【0123】
ポリオルガノシルセスキオキサン中にR3
2SiO2/2単位、R3
3SiO1/2単位、及びSiO4/2単位の少なくとも1種以上をさらに導入する場合(R3はポリオルガノシルセスキオキサンに関する上記記載内容の通りである)、各々に対応するR4
2Si(OR5)2、R4
3SiOR5、及びSi(OR5)4のうち、少なくとも1種以上を添加すればよい。R4Si(OR5)3の含有率は、例えば、全原料中70~100モル%が好ましく、80~100モル%がより好ましい。
【0124】
オルガノトリアルコキシシランの添加量は、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子100質量部に対し、ポリオルガノシルセスキオキサンの量が1~50質量部となる範囲が好ましく、2~25質量部の範囲となる量がより好ましい。
【0125】
前記テトラアルコキシシランは、例えば、Si(OR5)4で示されるものが挙げられる。式中、R5は、非置換の炭素数1~6の一価炭化水素基であり、上記記載内容の通りである。R5は、反応性の点からメチル基またはエチル基であることが好ましい。これはすなわち、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランがより好ましい。最も好ましくはテトラメトキシシランである。尚、テトラアルコキシシランは、アルコキシ基の一部または全部が加水分解したものを使用してもよい。更に、一部が縮合したものを使用してもよい。
【0126】
ポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子を製造する工程において、ポリオルガノシルセスキオキサン、あるいはシリカの付着性や、得られる複合粒子のサイズを制御する目的として、界面活性剤や水溶性高分子化合物等を上記水分散液に予め添加してもよい。
【0127】
ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液へさらに任意に添加する界面活性剤としては、特には限定されず、上記の非イオン性界面活性剤等を使用すればよい。尚、添加する界面活性剤は、ゴム球状粒子の水分散液中に含まれる界面活性剤と同じであっても、異なっていてもよく、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることが出来る。
【0128】
添加する界面活性剤の量は、特に限定されるものではないが、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液100質量部に対して、0.01~20質量部の範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.05~5質量部であるのがよい。
【0129】
オルガノトリアルコキシシラン、またはテトラアルコキシシランの添加方法は、プロペラ翼、平板翼等の通常の攪拌機を用いて撹拌下で行うことが好ましい。撹拌は、オルガノトリアルコキシシラン、またはテトラアルコキシシランの添加後、アルコキシシランの加水分解、及び縮合反応が完結するまで継続する。
【0130】
ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子水分散液にアルカリ性物質を配合した後に、オルガノトリアルコキシシラン、またはテトラアルコキシシランを添加する場合、アルコキシシランを一度に添加してもよいが、時間をかけて徐々に添加する方が好ましい。添加時における反応液の温度は、0~40℃であることが好ましく、より好ましくは0~30℃の範囲である。温度が上記範囲内であれば、ゴム球状粒子の表面にポリオルガノシルセスキオキサン、またはシリカを上手く付着させることができる。アルコキシシランの加水分解及び縮合反応を完結させる為、反応を室温下または40~100℃程度の加熱下で行ってもよく、また、アルカリ性物質を適宜追加してもよい。
【0131】
縮合反応時の温度は0~60℃であることが好ましく、0~40℃の範囲であることがより好ましい。該温度が上記範囲内にあると、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子表面にポリオルガノシルセスキオキサン、またはシリカを上手く付着させることができる。ポリオルガノシルセスキオキサン、またはシリカが生成するまでは、反応液を静置または非常にゆっくりとした撹拌状態にしておくのがよい。尚、静置時間は、10分~24時間の範囲にあるのが好ましい。その後、縮合反応を完結させる為、アルカリ性物質を追加で添加する、あるいは40~100℃下で加熱してもよい。
【0132】
ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液に任意に添加する水溶性高分子化合物は、特には限定されず、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることが出来る。水溶性高分子化合物としては、非イオン性水溶性高分子化合物、アニオン性水溶性高分子化合物、カチオン性水溶性高分子化合物、及び両イオン性水溶性高分子化合物等が挙げられる。
【0133】
非イオン性水溶性高分子化合物としては、例えば、ビニルアルコールと酢酸ビニルとの共重合体、アクリルアミドの重合体、ビニルピロリドンの重合体、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体、ポリエチレングリコール、イソプロピルアクリルアミドの重合体、メチルビニルエーテルの重合体、デンプン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、グアガム、キサンタンガム等が挙げられる。
【0134】
アニオン性水溶性高分子化合物としては、例えば、アクリル酸ナトリウムの重合体、アクリル酸ナトリウムとマレイン酸ナトリウムとの共重合体、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとの共重合体、スチレンスルホン酸ナトリウムの重合体、ポリイソプレンスルホン酸ナトリウムとスチレンとの共重合体、ナフタレンスルホン酸ナトリウムの重合体、カルボキシメチルデンプン、リン酸デンプン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、カラギーナン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0135】
カチオン性水溶性高分子化合物としては、例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドの重合体、ビニルイミダゾリンの重合体、メチルビニルイミダゾリウムクロライドの重合体、アクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体、メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体、エピクロルヒドリン/ジメチルアミン共重合体、エチレンイミンの重合体、エチレンイミンの重合体4級化物、アリルアミン塩酸塩の重合体、ポリリジン、カチオン化デンプン、カチオン化セルロース、キトサン、及びこれらに非イオン性基やアニオン性基を持つモノマーを共重合した、これら誘導体等が挙げられる。
【0136】
両イオン性水溶性高分子化合物としては、例えば、アクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドとアクリル酸とアクリルアミドとの共重合体、メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドとアクリル酸とアクリルアミドとの共重合体、アクリルアミドの重合体のホフマン分解物等が挙げられる。
【0137】
水溶性高分子化合物を用いる場合、その配合量は、本発明の製造工程より得られる乳化物中において0.01~50質量%が好ましく、0.1~20質量%がより好ましく、0.3~10質量%がさらに好ましい。
【0138】
[ポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子に含浸している液体を揮発により除去する工程]
【0139】
ポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子は、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の表面にポリオルガノシルセスキオキサン、またはシリカを付着させた後、ゴム球状粒子に含浸している液体、及び水分を揮発除去することで、粉体として得られる。
【0140】
ポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子に含浸している液体を揮発により除去する工程は、従来公知の方法に従えばよい。含浸している液体の沸点が高く、揮発により除去出来ない場合、または低温にて揮発除去したい場合、除去工程の前段階において、沸点の低い溶剤等を用いて洗浄置換すればよい。
【0141】
洗浄置換に用いる溶剤は、従来公知のものを使用すればよい。例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素;ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール;クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチル、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;エチルアセテート、イソプロピルアセテート、エチルアセトアセテート、ベンジルアセテート等のエステル;エチルエーテル、ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、及び、1,4-ジオキサン等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン等が挙げられる。
【0142】
粉体として取り出す工程における処理操作として、予め、ろ過分離、遠心分離、デカンテーション等の方法を用いて分散液を濃縮する方法が挙げられる。具体的には、例えば、分散液/濃縮物に溶剤を添加し、プロペラ翼、平板翼等の通常の撹拌機を用いて混合した後、該ろ過分離、遠心分離、デカンテーション等の方法で固液分離する。
【0143】
ポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子中に含浸している液体、洗浄により置換された溶剤又は水分の揮発除去は、常圧下、または減圧下にて加熱処理を施すことで除去できる。例えば、分散液を加熱下で静置して水分を除去する方法、分散液を加熱下で撹拌流動させながら除去する方法、スプレードライヤーのような熱風気流中に分散液を噴霧させる方法、流動熱媒体を利用する方法等が挙げられる。尚、該操作の前処理として、上記分散液を濃縮する方法を採用してもよい。
【0144】
ポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子の粉体が凝集している場合、ジェットミル、ボールミル、ハンマーミル等の粉砕機を用いて解砕する方法が挙げられる。
【0145】
先に説明した、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の製造方法の(iii)工程も、例えば、以上のような方法で行うことができる。
【0146】
1つの態様として、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子は、例えば、以下の工程を含む製造方法により得ることが出来る。
(I)(A)成分及び(B)成分を含有する組成物に、界面活性剤と水を添加し、乳化処理を施してエマルションとした後、(C)成分の存在下で(A)成分と(B)成分との付加硬化反応により、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液を得る工程;
(II)(I)で得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液、水、及びアルカリ物質の存在下にて、オルガノトリアルコキシシラン、あるいはテトラアルコキシシランを加水分解及び縮合反応させ、上記ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の表面にポリオルガノシルセスキオキサン、あるいはシリカを付着させる工程。
【0147】
他の1つの態様として、本発明のポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子は、例えば、以下の工程を含む製造方法より得ることも出来る。
(I’)(A)、(B)、及び(D)成分を含有する組成物を低温保管(~20℃)しておき、これに(C)成分を添加後、直ちに界面活性剤と水を添加し乳化処理を施してエマルションとした後、加熱熟成(30℃~)することで、(A)成分と(B)成分との付加硬化反応により、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液を得る工程;
(II’)(I’)で得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液、水、及びアルカリ物質の存在下にて、オルガノトリアルコキシシラン、あるいはテトラアルコキシシランを加水分解及び縮合反応させ、上記ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の表面にポリオルガノシルセスキオキサン、あるいはシリカを付着させる工程。
【実施例】
【0148】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0149】
[実施例1]
ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子水分散液の調製
平均重量分子量が2,000のポリプロピレングリコールジアリルエーテル((A)成分)(三洋化成工業(株)製)88.2g、
下記式(1)で示される、フェニルメチルハイドロジェンポリシロキサン((B)成分)11.8g((A)成分の脂肪族不飽和基1個に対し、(B)成分のヒドロシリル基が1.13個となる配合量)、
【化4】
(l=7,m=23,n=0。R
1のうち2つは水素原子であり、他はメチル基である。R
2はメチル基である)
酸化防止剤:dl-α-トコフェロール(ビタミンE・EFC;国貞化学工業(株)製)0.02g
を、容量300mlのデスカップに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌溶解・分散させた。
【0150】
次いで、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=23モル)0.4gと水16gを加え、ホモミキサーを用いて5,000rpmで撹拌したところ、水中油滴型の乳化物となり、増粘が認められ、更に10分間撹拌を継続した。次いで、1,500~2,000rpmで撹拌しながら水83.6gを加えたところ、均一な白色エマルションを得た。このエマルションを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量500mlのガラスフラスコに移し、20~25℃に温調した後、撹拌下に白金―ビニル基含有ジシロキサン錯体((C)成分)のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.6gとポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)0.3gの混合溶解物を添加し、同温度で2時間撹拌した後、40℃に再温調して12時間撹拌することで、均一なポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液を得た。
【0151】
得られた水分散液中の、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の形状を光学顕微鏡にて観察したところ、球状形態であり、体積平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定した結果、3.5μmであった。
【0152】
得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の硬度を、以下のように測定した。上記ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、上記(1)式にて示されるフェニルメチルハイドロジェンポリシロキサン、及び白金―ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量:0.5%)を、上記記載の配合割合にて混合し、厚みが10mmとなるようアルミシャーレに流し込んだ。25℃下において24時間静置後、50℃の恒温槽内で2時間加熱し、ゴムサンプルを得た。得られたゴムをアルミシャーレから外し、ゴム硬度をデュロメータA硬度計で測定した結果、30であった。
【0153】
次いで、上記の通り調製したゴムサンプルを、温度:70℃/湿度:90%の恒温恒湿器に保管し、経時でのゴム硬度の変化を調査した。経時1週間後からサンプル表面の液化(分解)が確認された。すなわち、実施例1で得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子が、外部刺激による分解特性を発現したことを確認した。
【0154】
[実施例2]
実施例1にて示したポリプロピレングリコールジアリルエーテル((A)成分)88.2g、フェニルメチルハイドロジェンポリシロキサン((B)成分)11.8g、酸化防止剤:dl-α-トコフェロール0.02gを、容量300mlのデスカップに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌溶解・分散させた。次いで、これを5~10℃下において一定時間(2時間~)低温保管した後、白金―ビニル基含有ジシロキサン錯体((C)成分)のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.6gを素早く添加してから1,500rpmで撹拌し、溶解させた。続いてこの分散液に、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=23モル)0.4gと水16gを加え、ホモミキサーを用いて5,000rpmで撹拌したところ、水中油滴型の乳化物となり、増粘が認められ、更に3分間撹拌を継続した。後に、1,500~2,000rpmで撹拌しながら水83.6gを加えたところ、均一な白色エマルションを得た。このエマルションを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量500mlのガラスフラスコに移し、20~25℃に温調し2時間撹拌した後、40℃に再温調して12時間撹拌することで、均一なポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液を得た。
【0155】
[実施例3]
実施例1にて示したポリプロピレングリコールジアリルエーテル((A)成分)86.5g、フェニルメチルハイドロジェンポリシロキサン((B)成分)13.5g((A)成分の脂肪族不飽和基1個に対し、(B)成分のヒドロシリル基が1.4個となる配合量)、酸化防止剤:dl-α-トコフェロール0.02gを、容量300mlのデスカップに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌溶解・分散させた。後工程については、上記実施例2と同様の調製工程を経た結果、均一なポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液を得た。
【0156】
[実施例4]
実施例2に示す配合組成、処方と同様にして均一な白色エマルションを得た後、このエマルションを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量500mlのガラスフラスコに移し、窒素バブリングを行いながら、20~25℃に温調し2時間撹拌した後、40℃に再温調して12時間撹拌することで、均一なポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液を得た。
【0157】
[実施例5]
平均重量分子量が2,000のポリプロピレングリコールジアリルエーテル((A)成分)(三洋化成工業(株)製)87.7g、
下記式(1)で示される、フェニルメチルハイドロジェンポリシロキサン((B)成分)12.3g((A)成分の脂肪族不飽和基1個に対し、(B)成分のヒドロシリル基が1.13個となる配合量)、
【化5】
(l=1,m=6,n=1。R
1及びR
2はメチル基である)
酸化防止剤:dl-α-トコフェロール(ビタミンE・EFC;国貞化学工業(株)製)0.02g
を、容量300mlのデスカップに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌溶解・分散させた。
その後の調製工程については、実施例1に示す処方と同様にして行った結果、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液を得た。
【0158】
[実施例6]
平均重量分子量が2,000のポリプロピレングリコールジアリルエーテル((A)成分)(三洋化成工業(株)製)87.7g、
下記式(1)で示される、フェニルメチルハイドロジェンポリシロキサン((B)成分)12.3g((A)成分の脂肪族不飽和基1個に対し、(B)成分のヒドロシリル基が1.13個となる配合量)、
【化6】
(l=1,m=6,n=1。R
1及びR
2はメチル基である)
酸化防止剤:dl-α-トコフェロール(ビタミンE・EFC;国貞化学工業(株)製)0.02g
を、容量300mlのデスカップに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌溶解・分散させた。
その後の調製工程については、実施例2に示す処方と同様にして行った結果、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液を得た。
【0159】
[ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の調製]
実施例1~6で得られた各ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子水分散液を、加圧ろ過器を用いて水分約30%に脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量2Lのガラスフラスコに移し、水1,000mlを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。
【0160】
脱水物を再度錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量2Lのガラスフラスコに移し、水1,000mlを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。その後、先の脱水物を減圧乾燥機中で3×10-3Paの減圧度、100℃の温度下にて乾燥し、水分を除去した。
【0161】
これにより、粉末状の実施例1~6の各々のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を得た。
【0162】
[実施例7]
ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子水分散液の調製
平均重量分子量が2,000のポリプロピレングリコールジアリルエーテル((A)成分)(三洋化成工業(株)製)150.0g、下記式(1)で示される、フェニルメチルハイドロジェンポリシロキサン((B)成分)16.23g((A)成分の脂肪族不飽和基1個に対し、(B)成分のヒドロシリル基が1.13個となる配合量)、
【化7】
(l=2,m=6,n=0。R
1及びR
2はメチル基である)
酸化防止剤:dl-α-トコフェロール(ビタミンE・EFC;国貞化学工業(株)製)0.02g
を、容量500mlのデスカップに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌溶解・分散させた。
【0163】
次いで、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=23モル)0.6gと水39gを加え、ホモミキサーを用いて5,000rpmで撹拌したところ、水中油滴型の乳化物となり、増粘が認められ、更に10分間撹拌を継続した。次いで、1,500~2,000rpmで撹拌しながら水94.2gを加えたところ、均一な白色エマルションを得た。このエマルションを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量500mlのガラスフラスコに移し、20~25℃に温調した後、撹拌下に白金―ビニル基含有ジシロキサン錯体((C)成分)のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.5gとポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)0.4gの混合溶解物を添加し、同温度で2時間撹拌した後、40-50℃に再温調して12時間撹拌することで、均一なポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液を得た。
【0164】
得られた水分散液中のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の形状を、光学顕微鏡装置「ECLIPSE LV100POL」((株)Nikon製)にて観察したところ、球状形態であり、体積平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定した結果、5.2μmであった。
【0165】
得られた水分散液の一部を取り出した。これに対し、実施例1と同様の脱水、水分除去を行って、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の粉末を得た。得られた粉末を、電子顕微鏡で観察した。その結果を
図1に示す。
【0166】
ポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子の調製
上記得られた、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子の水分散液176gを、錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量2Lのガラスフラスコに移し、水689g、28%アンモニア水18.3g、及び40%ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体水溶液(MEポリマーH40W;東邦化学工業(株)製)0.4gを添加した。5~10℃に温調した後、メチルトリメトキシシラン(KBM-13;信越化学工業(株)製)17.2gを、20分間かけて滴下し、この間の液温を5~10℃に保持しながら、更に1時間撹拌を行った。続けて、55~60℃まで加熱し、その温度を保持したまま1時間撹拌を行い、メチルトリメトキシシランの加水分解、及び縮合反応を十分に進行・完結させた。
【0167】
得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子の水分散液を、加圧ろ過器を用いて水分約30%に脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量2Lのガラスフラスコに移し、水1,000mlを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。
【0168】
脱水物を再度錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量2Lのガラスフラスコに移し、水1,000mlを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。その後、先の脱水物を減圧乾燥機中で3×10-3Paの減圧度、100℃の温度下にて乾燥し、水分を除去した。
【0169】
最後に、得られた乾燥物をジェットミルで解砕した結果、流動性のあるポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子を得た(
図2,3)。
【0170】
上記得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子を、界面活性剤を用いて水に分散させた。その結果、均一な水分散液が得られた。すなわち、実施例7で得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子が、水中で優れた分散性を示すことが確認された。
【0171】
次に、この水分散液に含まれるポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子の粒子径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定した結果、体積平均粒径が6μmであった。また、該複合粒子を電子顕微鏡(走査型顕微鏡S-4700;日立ハイテクノロジーズ(株)製)で観察した結果、粒子表面には、粒径100nm以下の粒状のポリメチルシルセスキオキサンが付着していることが確認された。その付着量は、ポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子100質量%に対して4.1質量%であった。
【0172】
[比較例1]
平均重量分子量2,000のポリプロピレングリコールジアリルエーテル((A)成分)(三洋化成工業(株)製)79.0g、
下記式(1)で示される、メチルハイドロジェンポリシロキサン21.0g((X)成分)((A)成分の脂肪族不飽和基1個に対し、(X)成分のヒドロシリル基が1.13個となる配合量)、
【化8】
(l=0(すなわち、フェニル基を含まない),m=8,n=24。R
1のうち2つは水素原子であり、他はメチル基である。R
2はメチル基である)
酸化防止剤:dl-α-トコフェロール(ビタミンE・EFC;国貞化学工業(株)製)0.02g
を、容量300mlのデスカップに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌溶解・分散させた。
【0173】
次いで、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)0.4gと水16gを加え、ホモミキサーを用いて5,000rpmで撹拌したところ、水中油滴型の乳化物となり、増粘が認められ、更に10分間撹拌を継続した。次いで、1,500rpm~2,000rpmで撹拌しながら水83.6gを加えたところ、均一な白色エマルションを得た。このエマルションを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量500mlのガラスフラスコに移し、20~25℃に温調した後、撹拌下に塩化白金酸―オレフィン錯体((C)成分)のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.6gとポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)0.3gの混合溶解物を添加し、同温度で2時間撹拌した後、40℃に再温調して12時間撹拌した結果、撹拌時間の経過に伴いエマルションが崩壊し、相分離したオイルの硬化により凝集物の発生が確認された。
【0174】
比較例1で得られた凝集物を含んだ混合物に対して、実施例1と同様の脱水、水分除去を行って、比較例1の粒子を得た。
【0175】
[分散性の評価]
実施例1~6の各々のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子を、界面活性剤を用いて水に分散させた。その結果、実施例1~6の各々のポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子から均一な水分散液が得られた。すなわち、実施例1~6のそれぞれで得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子が、水中で優れた分散性を示すことが確認された。
【0176】
一方、比較例1で得られた粒子を、同様の手順で水に分散させた。その結果、均一な水分散液を得ることが出来なかった。
【0177】
[分解特性の評価]
実施例2~7で用いた(A)~(C)成分を用いたこと以外は実施例1のゴムサンプルの調製方法と同様にして、実施例2~7のゴムサンプルを調製した。
【0178】
各々のゴムサンプルを、温度:70℃/湿度:90%の恒温恒湿器に保管し、経時でのゴム硬度の変化を調査した。経時1週間後からサンプル表面の液化(分解)が確認された。すなわち、実施例2~6で得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子、並びに実施例7で得られたポリエーテル/ポリシロキサン架橋複合粒子に含まれる架橋ゴム球状粒子が、実施例1の架橋ゴム球状粒子と同様に、外部刺激による分解特性を発現したことを確認した。
【0179】
(産業上の利用可能性)
本発明におけるポリエーテル/ポリシロキサン架橋ゴム球状粒子、及び複合粒子は、その特徴的な構造組成、および構造により、樹脂、塗料等の水系組成物での配合・使用時における分散性の付与により、特に化粧料等に有用であることが期待され、さらには粉体の外部刺激による分解特性の発現もまた期待される。
【0180】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。