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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】横型回転乾燥機
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/32 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
F26B17/32 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021094095
(22)【出願日】2021-06-04
(65)【公開番号】P2022186066
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005902
【氏名又は名称】株式会社三井E&S
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100205730
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 重輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213551
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 智貴
(72)【発明者】
【氏名】新谷 喜智
(72)【発明者】
【氏名】青葉 雅文
(72)【発明者】
【氏名】松本 巧
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-145489(JP,A)
【文献】特開2012-193902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に加熱管を備えた円筒状本体と、
前記円筒状本体の軸方向に間隔をおいて前記円筒状本体の外周面に外嵌合された二つのタイヤと、
前記二つのタイヤの間に、前記円筒状本体の全周に亘って設けられ、電動機の駆動によって回転される環状の大歯車とを有し、
記円筒状本体を前記タイヤによって支持し、前記電動機の駆動によって前記大歯車を介して前記円筒状本体を回転させながら、前記円筒状本体の一端側から受け入れた被乾燥物を、前記加熱管の熱によって乾燥させ、該円筒状本体の他端側から排出する横型回転乾燥機であって、
前記円筒状本体の外周面に外嵌合された少なくとも二つの補強リングを備え、
前記二つの補強リングは、平板状の円環形状に形成され、前記二つのタイヤの間の位置に設けられ、一方の補強リングが前記一方のタイヤに近接し、他方の補強リングが他方のタイヤに近接し、前記一方の補強リングは、前記一方のタイヤと前記大歯車との間の位置に設けられていることを特徴とする横型回転乾燥機。
【請求項2】
前記一方の補強リングと前記一方のタイヤとの間隔、及び、前記他方の補強リングと前記他方のタイヤとの間隔は、前記タイヤ間の間隔の1/8以下であることを特徴とする請求項記載の横型回転乾燥機。
【請求項3】
前記補強リング高さ(外径と内径との差の半分)、前記補強リングの軸方向の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1又記載の横型回転乾燥機。
【請求項4】
前記補強リングの高さ(外径と内径との差の半分)は、前記補強リングの軸方向の厚さ厚さの16倍以下であって、前記円筒状本体の外径の3%以上12%以下であることを特徴とする請求項記載の横型回転乾燥機。
【請求項5】
前記補強リングは、前記円筒状本体に溶接されていることを特徴とする請求項1~の何れかに記載の横型回転乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は横型回転乾燥機に関し、詳しくは、円筒状本体の外周面に設けられた二つのタイヤの取付部分の疲労を低減できる横型回転乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、横型回転乾燥機として、例えば図7図8に示すものが知られている(特許文献1)。
【0003】
この回転乾燥機100は、図7に示すように、円筒状本体101を有している。円筒状本体101は、その一端部(図示左端部)に被乾燥物(例えば湿潤状態の粉体や粒体等)の供給口102を有し、他端部(図示右端部)に被乾燥物の排出口103を有している。円筒状本体101は、外周面に設けられた二つのタイヤ104を介して、軸方向に間隔をおいてそれぞれ二つずつ配置された支点ローラ105上に、回転可能に横置きされている。円筒状本体101は、供給口102側よりも排出口103側が下位となるように傾斜されて横置きされている。
【0004】
円筒状本体101は、二つのタイヤ104間に環状の大歯車106を備えている。円筒状本体101は、大歯車106と噛合する図示しないピニオンを介して電動機107の駆動力が伝達されることにより、所定の速度で軸回りに回転される。円筒状本体101は、供給口102から内部に受け入れた被乾燥物を、図8に示すように、円筒状本体101の内部に中心軸に平行に配置された多数の加熱管108と接触させ、被乾燥物を排出口103に向けて移動させることによって、連続的に乾燥を行う。
【0005】
円筒状本体101の内部に配置された加熱管108は、円筒状本体101の中心軸付近を除いて内周面に沿って配列され、多数の支持部材109U,109Lによって支持されている。支持部材109U,109Lは、扇型の板状部材からなり、円筒状本体101の内周面から中心軸に向けて突出するように設けられている。支持部材109U,109Lは、第1グループ(109U)と、この第1グループ(109U)に対して、円筒状本体101の軸方向に所定の間隔をおき、且つ、周方向に位相をずらせた第2グループ(109L)とによって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-145489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年の大型化の要請により、円筒状本体101の直径が3000mm以上であるものが作製され、これによって円筒状本体101の回転時の変形に起因すると考えられる疲労亀裂の発生が問題となってきている。
【0008】
本発明者らが検討したところ、特に大型化に起因して、円筒状本体101の外周面に設けられた二つのタイヤ104の取付部分に疲労が発生することがわかった。これは円筒状本体101の回転時に、円筒状本体101の自重や内部の紛体の重量によって、円筒状本体101が下方に撓み、ちょうど楕円が変形しながら回転しているような状態になって歪みが発生し、その歪みによる断面変形が二つのタイヤ104の取付部分に応力集中することによって発生するものと考えられる。タイヤ104の取付部分に疲労亀裂が発生すると、円筒状本体101の強度低下を来すおそれがあるのみならず、内部の粉体の漏出のおそれがある。
【0009】
そこで本発明は、円筒状本体の外周面に設けられた二つのタイヤの取付部分の疲労を低減できる横型回転乾燥機を提供することを課題とする。
【0010】
また、本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0012】
〔請求項1〕
内部に加熱管を備えた円筒状本体と、
前記円筒状本体の外周面に外嵌合されたタイヤと、
前記円筒状本体の外周面に外嵌合された補強リングとを有し、
前記円筒状本体の一端側から受け入れた被乾燥物を、該円筒状本体を前記タイヤによって支持して回転させながら前記加熱管の熱によって乾燥させ、該円筒状本体の他端側から排出する横型回転乾燥機であって、
前記補強リングは、平板状の円環形状に形成され、前記タイヤの近傍の位置に設けられていることを特徴とする横型回転乾燥機。
〔請求項2〕
前記タイヤは、前記円筒状本体の軸方向に間隔をおいて複数が設けられ、前記補強リングは、前記複数のタイヤの間に位置し、前記タイヤ間の間隔の中央ではなく何れかの前記タイヤの側に偏倚した位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の横型回転乾燥機。
〔請求項3〕
前記補強リングと前記タイヤとの間隔は、前記タイヤ間の間隔の1/8以下であることを特徴とする請求項2記載の横型回転乾燥機。
〔請求項4〕
前記補強リングは、高さ(外径と内径との差の半分)が、前記円筒状本体の軸方向の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1、2又は3記載の横型回転乾燥機。
〔請求項5〕
前記補強リングの高さ(外径と内径との差の半分)は、前記補強リングの前記円筒状本体の軸方向の厚さの16倍以下であって、前記円筒状本体の外径の3%以上12%以下であることを特徴とする請求項4記載の横型回転乾燥機。
〔請求項6〕
前記補強リングは、前記円筒状本体に溶接されていることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の横型回転乾燥機。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、円筒状本体の外周面に設けられた二つのタイヤの取付部分の疲労を低減できる横型回転乾燥機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る横型回転乾燥機の一例を示す側面図
図2】前記横型回転乾燥機の回転乾燥本体の構成を示す斜視図
図3図2中のタイヤ取付部を示す拡大図
図4図1中の(iv)-(iv)線に沿う断面図
図5A】前記横型回転乾燥機の各部寸法を示す側面図
図5B】横型回転乾燥機の円筒状本体を分布荷重が作用する単純梁と見做したときの、タイヤ間の間隔に対する剪断力の分布及び曲げモーメントの分布を示す側面図
図6】前記横型回転乾燥機の補強リングの断面形状の他の例を示す断面図
図7】従来の横型回転乾燥機を示す側面図
図8図7の(vii)-(vii)線に沿う断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施の形態を図面を用いて説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る横型回転乾燥機の一例を示す側面図であり、図2は、前記横型回転乾燥機の回転乾燥本体の構成を示す斜視図である。
【0017】
横型回転乾燥機1の主要部を構成している筒状の円筒状本体2は、図1及び図2に示すように、従来の横型回転乾燥機100(図7)と同様に、外周面に外嵌合された複数(ここでは二つ)のタイヤ3、3を介して、軸方向に間隔をおいてそれぞれ二つずつ配置された支点ローラ4、4上に回転可能に支持されている。二つのタイヤ3、3は、鋼材により円環状に形成されている。
【0018】
本発明は、円筒状本体2の直径が3000mm以上である横型回転乾燥機1に適用することが特に好適である。
【0019】
円筒状本体2の一端部(図1中の左端部)には、内部に被乾燥物を導入するための供給口5が連設されていると共に、他端部(図1中の右端部)には、被乾燥物を排出するための排出口6が連設されている。円筒状本体2は支点ローラ4上に、供給口5側よりも排出口6側が僅かに下位となるように傾斜させて横置きされている。
【0020】
二つのタイヤ3、3は、円筒状本体2の軸方向に間隔をおいて配置されており、その間には、一方のタイヤ3(ここでは排出口6側に位置するタイヤ3)に近接するように環状の大歯車7が円筒状本体2の全周に亘って設けられている。この大歯車7は、電動機8の駆動によって回転するピニオン8aと噛み合っており、電動機8の駆動によって、円筒状本体2が所定の速度で回転される。これにより、回転乾燥本体2は、回転しながら、供給口5から受け入れた被乾燥物を排出口6に向けて移動させるようになっている。
【0021】
二つのタイヤ3、3は、円筒状本体2の外周面に取付けられた二つのタイヤ支持環31、31上のタイヤ取付部にそれぞれ外嵌合されている。タイヤ支持環31、31は、鋼板により筒状に形成され、円筒状本体2の外周面に全周に亘って取付けられている。タイヤ支持環31、31の幅(筒の長さ)は、タイヤ3、3の幅よりもやや広くなっている。
【0022】
図3は、図2中のタイヤ取付部を示す拡大図である。
【0023】
タイヤ取付部は、図2及び図3に示すように、タイヤ支持環31の外周面上に複数の枕木部材32が等間隔で全周に亘って配置されて構成されている。枕木部材32は、円筒状本体2の軸方向を長手方向とした長方形の鋼板によって構成されている。各枕木部材32は、タイヤ支持環31の外周面に、両端側の外周縁部分(各3辺)を溶接されている。各枕木部材32の両端側の外周縁部分(各3辺)には、溶接部34が形成されている。全ての枕木部材32の外接円は、タイヤ3の内周円に一致している。
【0024】
各枕木部材32上には、一対の保持ブロック33、33が取付けられている。これら保持ブロック33、33は、各枕木部材32上に装着されるタイヤ3の両側部を挟持するようにして保持する。保持ブロック33、33は、タイヤ3が枕木部材32上を滑って円筒状本体2の軸方向に移動することを防止する。
【0025】
図4は、図1中の(iv)-(iv)線に沿う断面図である。
【0026】
円筒状本体2は、図4に示すように、その内部に円筒状本体2の中心軸に平行に配置された多数の加熱管21を備えている。ここに示す多数の加熱管21は、円筒状本体2の中心軸付近を除いて、円筒状本体2の内周面に沿う直径の異なる二つの円周上に、それぞれ周方向に等間隔で配置され、内外二層となされて配置されている。各加熱管21は、円筒状本体2の端部側から内部に蒸気等の加熱媒体が供給されることによって加熱される。円筒状本体2内では、供給口5から内部に受け入れられた被乾燥物が、多数の加熱管21に接触しながら排出口6に向けて移動することによって、連続的な乾燥が行われる。
【0027】
円筒状本体2内に配置された多数の加熱管21は、円筒状本体2内に設けられた多数の支持部材22U、22Lを貫通することにより、該支持部材22U、22Lによって支持されている。支持部材22U、22Lは、円筒状本体2の内周面から中心軸に向けて突設された扇形状の平板であり、複数枚が円筒状本体2の内周面に溶接されている。
【0028】
円筒状本体2の周方向に沿って配置された複数枚(ここでは3枚)の支持部材22Uが第1グループを構成し、他の複数枚(ここでは3枚)の支持部材22Lが第2グループを構成している。第1グループ及び第2グループは、円筒状本体2の軸方向上流側(供給口5側)から下流側(排出口6側)に向けて、交互に、それぞれが複数所定間隔で配置されている。
【0029】
第1グループの支持部材22Uは、円筒状本体2の周方向に沿って等間隔に配置されている。第2グループの支持部材22Lも、円筒状本体2の周方向に沿って等間隔に配置されている。第1グループの支持部材22Uと第2グループの支持部材22Lとは、円筒状本体2の周方向に位相をずらした状態に配置され、円筒状本体2の軸方向に重複しないようになっている。
【0030】
すなわち、第1グループの支持部材22Uは、円筒状本体2の周方向に120°間隔で配置され、第2グループの支持部材22Lは、第1グループの支持部材22Uに対して円筒状本体2の周方向に60°ずれて、120°間隔で配置されている。
【0031】
各支持部材22U、22Lの形状は、図示した扇形状のものに限定されず、例えば、台形や蒲鉾形など、他の形状であってもよい。しかし、取り扱い性や加熱管21の配置具合などを考慮すると、図示した扇形状が好ましい。また、1枚の支持部材22U、22Lによって支持される加熱管21の数も特に限定されない。
【0032】
円筒状本体2の外周面には、図1及び図2に示すように、補強リング9が設けられている。補強リング9は、鋼材により、平板状の円環形状(つまり、円盤の周縁部分の形状)に形成されている。補強リング9は、円筒状本体2の軸方向に間隔をおいて複数が設けられ、タイヤ3の近傍の位置に設けられている。補強リング9は、それぞれが円筒状本体2の外周面に外嵌合され、平板形状の主面が円筒状本体2の外周面に垂直とされ、円筒状本体2に溶接されている。各補強リング9は、同一構成である。
【0033】
補強リング9は、ここでは一方のタイヤ3(排出口6側に位置するタイヤ3)の上流側(供給口5側)及び他方のタイヤ3(供給口5側に位置するタイヤ3)の下流側(排出口6側)に設けられている。
【0034】
補強リング9は、平板状の円環形状に形成されているので、円環が変形する方向(円環の径方向)について強い剛性を有している。従って、補強リング9は、円筒状本体2の回転時に発生する断面変形を抑制する効果が高く、二つのタイヤ3、3の取付部分(タイヤ取付部)、特に、溶接部34への応力集中を効果的に抑制し、疲労を低減することができる。
【0035】
本発明は、特許文献1に記載された発明とは課題が異なるものであり、その構成乃至作用効果も異なる。即ち、本発明は、円筒状本体2の直径が例えば3000mm以上のような大型の横型回転乾燥機1において、円筒状本体の外周面に設けられた二つのタイヤの取付部分の疲労を低減することを課題とし、平板状の円環形状に形成された補強リング9を、タイヤ3の近傍の位置に設けることによって、タイヤ3の取付部分の疲労を低減できるという効果を奏する。
【0036】
図5Aは、前記横型回転乾燥機の各部寸法を示す側面図である。
【0037】
この実施形態のように、タイヤ3が円筒状本体2の軸方向に間隔をおいて複数が設けられている場合には、補強リング9は、複数のタイヤの3、3間に位置し、タイヤ3、3間の間隔lの中央ではなく何れかのタイヤ3の側に偏倚した位置に設けられていることが好ましい。
【0038】
図5Bは、横型回転乾燥機の円筒状本体を分布荷重が作用する単純梁と見做したときの、タイヤ間の間隔に対する剪断力の分布及び曲げモーメントの分布を示す側面図である。
【0039】
図5Bに示すように、補強リング9とタイヤ3との間隔Cは、タイヤ3、3間の間隔lの1/8以下であることが好ましい。このような間隔であることにより、補強リング9は、円筒状本体2の回転時に発生する断面変形を効果的に抑制することができる。
【0040】
円筒状本体2を分布荷重が作用する単純梁と見做すと、図5Bに示すように、タイヤ3、3間の間隔lに対して、剪断力Sは、一方のタイヤ3から他方のタイヤ3に向かって単純増加するように三角分布となり、曲げモーメントは、タイヤ3、3の位置で0で、タイヤ3、3間の間隔lの中央で極大となる分布となっている。
【0041】
タイヤ3、3が円筒状本体2の支点となっており、この支点付近に発生する剪断力が、タイヤの溶接箇所に亀裂が発生する原因であると考えられる。円筒状本体2は、分布荷重と見做すと、内容物から考えて三角分布となるので、補強リング9は、支点に近い箇所に設置したほうが効果が大きい。支点から(l/8)離れると剪断力は(3/4)Sになるので、補強リング9とタイヤ3との間隔Cは、タイヤ3、3間の間隔lの1/8以下であることが好ましい。
【0042】
本発明者の実験によると、円筒状本体2の外周面に本実施形態に示す補強リング9を設けた場合、タイヤ取付部、特に、溶接部34への応力集中が低減され、疲労が低減されることが確認された。
【0043】
図5Aに示すように、補強リング9における円筒状本体2の軸方向の厚さTは、薄すぎると個々の補強リング9による円筒状本体2の回転時の断面変形を抑制する効果に乏しくなる。また、補強リング9における円筒状本体2の外周面に垂直な方向の高さH(外径と内径との差の半分)は、狭すぎると個々の補強リング9による円筒状本体2の回転時の断面変形を抑制する効果に乏しくなる。これら補強リング9の厚さT及び高さHは、それぞれが所定値よりも大きいとともに、互いが適切な比率となっていることが好ましい。少なくとも補強リング9の高さHは、厚さTよりも大きいことが好ましい。
【0044】
剪断力は面積で働くので、補強リング9の高さH(外径と内径との差の半分)を大きく取りたいが、座屈したら意味がないので、制限がかかる。局部座屈を避けるために、補強リング9の高さHは、補強リング9の円筒状本体2の軸方向の厚さTの16倍以下であることが好ましい。
【0045】
なお、道路橋示方書〔表3.2.3〕によると、補強リング9の高さHが厚さTの16倍を超えると、許容応力度の規定範囲から外れる。従って、補強リング9の高さHは、厚さTの16倍以下であることが好ましい。また、補強リング9の高さHは、円筒状本体2の外径Dの3%以上12%以下であることが好ましく、5%以上12%以下であることがより好ましい。
【0046】
ここで、補強リングの高さHに関して、実績より検証する。
補強リング9の高さHを250mm、補強リング9の厚さTを25mm、円筒状本体2の外径Dを3136mm(板厚18mm)とすると、H/T=250mm/25mm=10倍であり、H/D=250mm/3136mm≒0.080=8.0%である。
補強リング9の高さHは、円筒状本体2の外径Dの5%で156.8mm、12%で376.3mmである。外径Dの12%を超えると、板厚25mmとしては、高さHが突出し過ぎであり、座屈する虞がある。
従って、補強リング9の高さHは、円筒状本体2の外径Dの5%以上12%以下であることがより好ましいことが確認される。
【0047】
補強リング9は、これらの形状を有することにより、円筒状本体2の回転時の断面変形を効果的に抑制することができる。
【0048】
図6は、補強リングの断面形状の他の例を示す断面図であり、(a)は断面T型、(b)は断面H型、(c)は断面三角型を示す。
【0049】
以上説明した補強リング9は、平板状の円環形状に形成されているが、図6に示すように、この円環形状に円筒状の補強筒91を接続して、(a)断面T型、(b)断面H型、(c)断面三角型等としてもよい。また、補強リング9は、2枚に限らず、3枚以上を設けてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1:横型回転乾燥機
2:円筒状本体
21:加熱管
22U、22L:支持部材
3:タイヤ
31:タイヤ支持環
32:枕木部材
33:保持ブロック
34:溶接部
4:支点ローラ
5:供給口
6:排出口
7:大歯車
8:電動機
9:補強リング
91:補強筒
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8