(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】新規な化合物およびこれを利用した有機発光素子
(51)【国際特許分類】
C07D 519/00 20060101AFI20240129BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20240129BHJP
H10K 50/12 20230101ALI20240129BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20240129BHJP
C07F 7/10 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
C07D519/00 311
C09K11/06 650
C09K11/06 635
H10K50/12
H10K85/60
C07F7/10 V CSP
(21)【出願番号】P 2022551367
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(86)【国際出願番号】 KR2021002022
(87)【国際公開番号】W WO2021177632
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】10-2020-0026669
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ビョン・ユン・イム
(72)【発明者】
【氏名】ジェチョル・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンウク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソヨン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】デホ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュファン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ウンヘ・カン
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110746409(CN,A)
【文献】国際公開第2018/097937(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104513662(CN,A)
【文献】特開2010-059147(JP,A)
【文献】国際公開第2019/191454(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/133836(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/025018(WO,A1)
【文献】特開2017-216447(JP,A)
【文献】国際公開第2010/098246(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07F
C09K
H10K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物:
【化1】
前記化学式1中、
LはN
または3価の炭素数6~60の芳香族
環であり、
L’はそれぞれ独立して、単結合;O;S;N(Z
2);また
は炭素数6~60のアリーレンであり、
nは0、1または2であり、
ここで、
Z
2
は非置換であるか、または炭素数1~10のアルキル、ベンゾフラニルおよびベンゾチオフェニルから構成される群より選択される1個以上の置換基で置換されたフェニル;非置換であるか、または炭素数1~10のアルキル、ベンゾフラニルおよびベンゾチオフェニルから構成される群より選択される1個以上の置換基で置換されたナフチル;または非置換であるか、または炭素数1~10のアルキル、ベンゾフラニルおよびベンゾチオフェニルから構成される群より選択される1個以上の置換基で置換されたジベンゾフラニルであり、
L
1~L
3はそれぞれ独立して、単結合
または炭素数6~60のアリーレ
ンであり、
Ar
1~Ar
3はそれぞれ独立して、
非置換であるか、または重水素、メチル、tert-ブチル、フェニルおよびSi(フェニル)
3
から構成される群より選択される1個以上の置換基で置換された炭素数6~20のアリール;または非置換であるか、または重水素、メチル、tert-ブチル、フェニルおよびSi(フェニル)
3
から構成される群より選択される1個以上の置換基で置換されたN、OおよびSのうちの1個のヘテロ原子を含む炭素数2~20のヘテロアリールであり、
R
1~R
3はそれぞれ独立して、水素
または重水
素であり、
aおよびcはそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
bは0~4の整数である。
【請求項2】
前記化合物は、下記化学式1-1~1-4のうちのいずれか一つで表される、請求項1に記載の化合物:
【化2】
【化3】
前記化学式1-1~1-4中、
L、L’、n、L
1~L
3、Ar
1~Ar
3、R
1~R
3、a、bおよびcは請求項1で定義した通りである。
【請求項3】
LはNであり、nは0であるか;または
Lは3価の炭素数6~20の芳香族環であり、nは0、1または2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
LはN、または
【化4】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
-(L’)
n-は単結合、または下記で構成される群より選択されるいずれか一つである、請求項1に記載の化合物:
【化5】
【請求項6】
L
1~L
3はそれぞれ独立して、単結合、フェニレン、またはナフチレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Ar
1およびAr
2はそれぞれ独立して、
【化6】
であり、
ここで、Rは水素、メチル、またはtert-ブチルである、請求項
1に記載の化合物。
【請求項8】
Ar
3は、下記で構成される群より選択されるいずれか一つである、請求項
1に記載の化合物:
【化7】
前記式中、R’は水素、メチル、またはtert-ブチルである。
【請求項9】
3つの角括弧「[]」内の構造は互いに同じである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物は、下記化学式1-1-1~1-4-1のうちのいずれか一つで表される、請求項1に記載の化合物:
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
前記化学式1-1-1~1-4-1中、
L、L’、n、L
1~L
3およびAr
1~Ar
3は請求項1で定義した通りである。
【請求項11】
前記化合物は、下記化合物から構成される群より選択されるいずれか一つである、請求項1に記載の化合物:
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【請求項12】
第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた発光層とを含む有機発光素子であって、前記発光層は、請求項
1~11のいずれか一項に記載の化合物を含む、有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年3月3日付の韓国特許出願第10-2020-0026669号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、新規な化合物およびこれを含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、有機発光現象とは、有機物質を利用して電気エネルギーを光エネルギーに変換させる現象をいう。有機発光現象を利用する有機発光素子は、広い視野角、優れたコントラスト、速い応答時間を有し、輝度、駆動電圧および応答速度特性に優れて多くの研究が進められている。
【0004】
有機発光素子は、一般的に正極と負極および前記正極と負極との間に有機物層を含む構造を有する。前記有機物層は、有機発光素子の効率と安全性を高めるために、それぞれ異なる物質から構成された多層の構造からなる場合が多く、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などからなる。このような有機発光素子の構造において、2つの電極の間に電圧をかけると、正極からは正孔が、負極からは電子が有機物層に注入され、注入された正孔と電子が接した時、エキシトン(exciton)が形成され、このエキシトンが再び基底状態に落ちる時、光が出るようになる。
【0005】
このような有機発光素子に使用される有機物に対して新たな材料の開発が要求され続けている。
【0006】
一方、最近では工程費用の節減のために既存の蒸着工程の代わりに溶液工程、特にインクジェット工程を利用した有機発光素子が開発されている。草創期にはすべての有機発光素子層を溶液工程でコーティングして有機発光素子を開発しようとしたが、現在の技術では限界があり、順構造形態でHIL、HTL、EMLのみを溶液工程で行い、その後の工程は、既存の蒸着工程を活用するハイブリッド(hybrid)工程が研究中である。
【0007】
そこで本発明では、有機発光素子に用いられ、かつ溶液工程に使用可能な新規な有機発光素子の素材を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国特許公開第10-2000-0051826号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、新規な化合物およびこれを含む有機発光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記化学式1で表される化合物を提供する:
【化1】
【0011】
前記化学式1中、
LはN;C(Z1);置換または非置換の3価の炭素数6~60の芳香族環;または置換または非置換のN、OおよびSのうちの1個以上のヘテロ原子を含む3価の炭素数2~60のヘテロ芳香族環であり、
L’はそれぞれ独立して、単結合;O;S;N(Z2);または置換または非置換の炭素数6~60のアリーレンであり、
nは0、1または2であり、
ここで、Z1およびZ2はそれぞれ独立して、水素;重水素;置換または非置換の炭素数1~60のアルキル;置換または非置換の炭素数6~60のアリール;または置換または非置換のN、OおよびSのうちの1個以上のヘテロ原子を含む炭素数2~60のヘテロアリールであり、
L1~L3はそれぞれ独立して、単結合;置換または非置換の炭素数6~60のアリーレン;または置換または非置換のN、OおよびSのうちの1個以上のヘテロ原子を含む炭素数2~60のヘテロアリーレンであり、
Ar1~Ar3はそれぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~60のアリール;または置換または非置換のN、OおよびSのうちの1個以上のヘテロ原子を含む炭素数2~60のヘテロアリールであり、
R1~R3はそれぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ;置換または非置換の炭素数1~60のアルキル;置換または非置換の炭素数6~60のアリール;または置換または非置換のN、OおよびSのうちの1個以上のヘテロ原子を含む炭素数2~60のヘテロアリールであり、
aおよびcはそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
bは0~4の整数であり、
n、a、bおよびcが2以上の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なり、
3つの角括弧「[]」内の構造は互いに同一または異なる。
【0012】
また、本発明は、第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた発光層と、を含む有機発光素子であって、前記発光層は、前記化学式1で表される化合物を含む、有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0013】
上述した化学式1で表される化合物は、有機発光素子の有機物層の材料として用いられ、また、溶液工程に使用可能であり、有機発光素子で効率および寿命特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】基板1、正極2、発光層3、および負極4からなる有機発光素子の例を示す図である。
【
図2】基板1、正極2、正孔注入層5、正孔輸送層6、発光層3、電子注入および輸送層7および負極4からなる有機発光素子の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の理解を助けるためにより詳しく説明する。
【0016】
(用語の定義)
本明細書において、
【化2】
は、他の置換基に連結される結合を意味し、phはフェニル基を意味する。
【0017】
本明細書において、「置換または非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミノ基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;ホウ素基;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;アリール基;アラルキル基;アラルケニル基;アルキルアリール基;アルキルアミン基;アラルキルアミン基;ヘテロアリールアミン基;アリールアミン基;アリールホスフィン基;またはN、OおよびS原子のうちの1個以上を含むヘテロアリールからなる群より選択される1個以上の置換基で置換されているまたは非置換であるか、前記例示された置換基のうちの2以上の置換基が連結された置換基で置換されているまたは非置換であることを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」は、ビフェニル基であってもよい。すなわち、ビフェニル基は、アリール基であってもよく、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されてもよい。
【0018】
本明細書において、カルボニル基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~40であることが好ましい。具体的には、下記のような構造の化合物であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【化3】
【0019】
本明細書において、エステル基は、エステル基の酸素が炭素数1~25の直鎖、分枝鎖もしくは環鎖アルキル基、または炭素数6~25のアリール基で置換されていてもよい。具体的には、下記構造式の化合物であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0020】
【0021】
本明細書において、イミド基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~25であることが好ましい。具体的には、下記のような構造の化合物であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0022】
【0023】
本明細書において、シリル基は、具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
本明細書において、ホウ素基は、具体的には、トリメチルホウ素基、トリエチルホウ素基、t-ブチルジメチルホウ素基、トリフェニルホウ素基、フェニルホウ素基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本明細書において、ハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素がある。
【0026】
本明細書において、前記アルキル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~40であることが好ましい。一実施形態によれば、前記アルキル基の炭素数は1~20である。さらに一つの実施形態によれば、前記アルキル基の炭素数は1~10である。さらに一つの実施形態によれば、前記アルキル基の炭素数は1~6である。アルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本明細書において、前記アルケニル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、2~40であることが好ましい。一実施形態によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~20である。さらに一つの実施形態によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~10である。さらに一つの実施形態によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~6である。具体的な例としては、ビニル、1-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、1,3-ブタジエニル、アリル、1-フェニルビニル-1-イル、2-フェニルビニル-1-イル、2,2-ジフェニルビニル-1-イル、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本明細書において、シクロアルキル基は特に限定されないが、炭素数3~60であることが好ましく、一実施形態によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~30である。さらに一つの実施形態によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~20である。さらに一つの実施形態によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~6である。具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本明細書において、アリール基は特に限定されないが、炭素数6~60であることが好ましく、単環式アリール基または多環式アリール基であってもよい。一実施形態によれば、前記アリール基の炭素数は6~30である。一実施形態によれば、前記アリール基の炭素数は6~20である。前記単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などであってもよいが、これらに限定されるものではない。前記多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0030】
本明細書において、フルオレニル基は置換されていてもよく、置換基2個が互いに結合してスピロ構造を形成してもよい。前記フルオレニル基が置換される場合、
【化6】
などであってもよい。但し、これらに限定されるものではない。
【0031】
本明細書において、ヘテロアリールは、異種元素としてO、N、SiおよびSのうちの1個以上を含むヘテロアリールであって、炭素数は特に限定されないが、炭素数2~60であることが好ましい。ヘテロアリールの例としては、キサンテン(xanthene)、チオキサンテン(thioxanthen)、チオフェン基、フラニル基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、アクリジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリル基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリン基(phenanthroline)、イソオキサゾリル基、チアジアゾリル基、フェノチアジニル基、およびジベンゾフラニル基などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0032】
本明細書において、芳香族環は、環形成原子として炭素のみを含み、分子全体が芳香族性(aromaticity)を有する縮合単環または縮合多環を意味する。前記芳香族環の炭素数は6~60、または6~30、または6~20であるが、これらに限定されるものではない。また、前記芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環などであり得るが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本明細書において、ヘテロ環(heterocyclic ring)は、環形成原子として炭素以外にO、NおよびSのうちの1個以上のヘテロ原子を含み、分子全体が芳香族性を有するヘテロ縮合単環またはヘテロ縮合多環を意味する。前記ヘテロ環の炭素数は2~60、または2~30、または2~20であるが、これらに限定されるものではない。また、前記ヘテロ環としては、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環などであり得るが、これらに限定されるものではない。
【0034】
本明細書において、アラルキル基、アラルケニル基、アルキルアリール基、アリールアミン基、アリールシリル基中のアリール基は、上述したアリール基に関する説明が適用可能である。本明細書において、アラルキル基、アルキルアリール基、アルキルアミン基中のアルキル基は、上述したアルキル基に関する説明が適用可能である。本明細書において、ヘテロアリールアミン基中のヘテロアリールは、上述したヘテロアリールに関する説明が適用可能である。本明細書において、アラルケニル基中のアルケニル基は、上述したアルケニル基に関する説明が適用可能である。本明細書において、アリーレンは、2価の基であることを除けば、上述したアリール基に関する説明が適用可能である。本明細書において、ヘテロアリーレンは、2価の基であることを除けば、上述したヘテロアリールに関する説明が適用可能である。本明細書において、芳香族環は1価の基ではなく、3個の置換基が結合して形成したことを除けば、上述したアリール基に関する説明が適用可能である。本明細書において、ヘテロ芳香族環は1価の基ではなく、3個の置換基が結合して形成したことを除けば、上述したヘテロアリールに関する説明が適用可能である。
【0035】
(化合物)
本発明は、前記化学式1で表される化合物を提供する。
【0036】
前記化学式1で表される化合物は、角括弧内の構造3個がリンカーLによって連結された構造を有する。具体的には、前記化学式1で表される化合物は、角括弧内の構造のみを有する下記化学式X1またはX2で表される化合物に比べて構造特異性によって優れた熱安定性および電気化学的安定性を示すことができ、同じ面積を基準にして下記化学式X1またはX2で表される化合物より確率的にさらに多くまたはさらに広く分布できるという長所を有する。これにより、前記化合物は有機溶媒に対して高い溶解度を有することができ、かつ、前記化合物を採用した有機発光素子の発光効率および寿命特性を向上させることができる。
【0037】
【0038】
前記化学式X1およびX2中、
各置換基に対する説明は前記化学式1で定義した通りである。
【0039】
特に、前記化学式1で表される化合物は、溶液工程に使用される有機溶媒、例えば、シクロヘキサノンなどの有機溶媒に対する溶解度が高いので、高沸点溶媒を使用するインクジェット塗布法などの大面積の溶液工程への使用が好適である。
【0040】
具体的には、前記化学式1で表される化合物に、L’の結合位置を表すと、下記化学式1’のように表される:
【化8】
【0041】
前記化学式1’中、
各置換基に対する説明は上述した通りであり、
Lの左側に位置するL’は1a位の炭素、2a位の炭素、3a位の炭素および4a位の炭素のうちのいずれか一つと結合することができ、
Lの上側に位置するL’は1b位の炭素、2b位の炭素、3b位の炭素および4b位の炭素のうちのいずれか一つと結合することができ、
Lの右側に位置するL’は1c位の炭素、2c位の炭素、3c位の炭素および4c位の炭素のうちのいずれか一つと結合することができる。
【0042】
より具体的には、Lの左側に位置するL’の結合位置、Lの上側に位置するL’の結合位置、Lの右側に位置するL’の結合位置を(Lの左側に位置するL’の結合位置、Lの上側に位置するL’の結合位置、Lの右側に位置するL’の結合位置)に示すと、(Lの左側に位置するL’の結合位置、Lの上側に位置するL’の結合位置、Lの右側に位置するL’の結合位置)は(1a位、1b位、1c位)、(2a位、2b位、2c位)、(3a位、3b位、3c位)、または(4a位、4b位、4c位)であり得る。
【0043】
具体的には、前記化合物は、下記化学式1-1~1-4のうちのいずれか一つで表される。
【0044】
【0045】
【0046】
前記化学式1-1~1-4中、
L、L’、n、L1~L3、Ar1~Ar3、R1~R3、a、bおよびcは前記化学式1で定義した通りである。
【0047】
一方、前記化学式1中、リンカーLはN;C(Z1);置換または非置換の3価の炭素数6~60の芳香族環;または置換または非置換のN、OおよびSのうちの1個以上のヘテロ原子を含む3価の炭素数2~60のヘテロ芳香族環であり、
L’はそれぞれ独立して、単結合;O;S;N(Z2);または置換または非置換の炭素数6~60のアリーレンであり、nは0、1または2である。
【0048】
このとき、LがNまたはC(Z1)であれば、nは0であり、
Lが置換または非置換の3価の炭素数6~60の芳香族環、または置換または非置換のN、OおよびSのうちの1個以上のヘテロ原子を含む3価の炭素数2~60のヘテロ芳香族環であれば、nは0、1または2である。
【0049】
具体的には、LはN;C(Z1);非置換であるか、または重水素および炭素数1~10のアルキルから構成される群より選択される1個以上の置換基で置換された3価の炭素数6~20の芳香族環;または非置換であるか、または重水素および炭素数1~10のアルキルから構成される群より選択される1個以上の置換基で置換されたN、OおよびSのうちの1個以上のヘテロ原子を含む炭素数2~20のヘテロ芳香族環であり、
L’はそれぞれ独立して、単結合;O;S;N(Z2);または置換または非置換の炭素数6~60のアリーレンであり、
ここで、Z1およびZ2はそれぞれ独立して、水素;重水素;炭素数1~10のアルキル;非置換であるか、または重水素および炭素数1~10のアルキルから構成される群より選択される1個以上の置換基で置換された炭素数6~20のアリール;または非置換であるか、または重水素および炭素数1~10のアルキルから構成される群より選択される1個以上の置換基で置換されたN、OおよびSのうちの1個以上のヘテロ原子を含む炭素数2~20のヘテロアリールであり得る。
【0050】
具体的には、Z1およびZ2はそれぞれ独立して、非置換であるか、または炭素数1~10のアルキル、ベンゾフラニルおよびベンゾチオフェニルから構成される群より選択される1個以上の置換基で置換されたフェニル;非置換であるか、または炭素数1~10のアルキル、ベンゾフラニルおよびベンゾチオフェニルから構成される群より選択される1個以上の置換基で置換されたナフチル;または非置換であるか、または炭素数1~10のアルキル、ベンゾフラニルおよびベンゾチオフェニルから構成される群より選択される1個以上の置換基で置換されたジベンゾフラニルであり得る。
【0051】
また、前記Z1およびZ2は水素、重水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、メチルフェニル、エチルフェニル、tert-ブチルフェニル、ベンゾフラニルおよびベンゾチオフェニルから構成される群より選択される1個以上、好ましくは1個の置換基で置換されるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
より具体的には、LはNであり、nは0であるか;または
Lは3価の炭素数6~20の芳香族環であり、Lは3価の炭素数6~20の芳香族環であり、nは0、1または2であり得る。
【0053】
【0054】
このとき、L’はそれぞれ独立して、単結合、O、N(Z2)、または炭素数6~20のアリーレンであり、ここで、Z2は非置換であるか、または炭素数1~10のアルキルで置換された炭素数6~20のアリールであり得る。
【0055】
より具体的には、L’はそれぞれ独立して、単結合、O、N(Z2)、またはフェニルであり、ここで、Z2は非置換であるか、または炭素数1~10のアルキルで置換されたフェニルであり得る。
【0056】
例えば、L’はそれぞれ独立して、単結合、O、N(フェニル)、N(4-tert-ブチルフェニル)、1,4-フェニレン、または1,3-フェニレンであり得る。
【0057】
例えば、LはNであり、nは0であるか;または
Lは3価のベンゼン環、または3価のナフチレン環であり、L’は、nは1または2であり得る。
【0058】
具体的には、例えば、LはNであり、nは0であるか;または
Lは
【化12】
であり、nは1または2であり得る。
【0059】
このとき、-(L’)
n-は単結合、または下記で構成される群より選択されるいずれか一つであり得る。
【化13】
【0060】
また、前記化学式1中、L1~L3はそれぞれ独立して、単結合、フェニレン、またはナフチレンであり得る。
【0061】
具体的には、L1およびL2は単結合であり、
L3は単結合、フェニレン、またはナフチレンであり得る。
【0062】
より具体的には、L
1およびL
2は単結合であり、
L
3は単結合、または
【化14】
であり得る。
【0063】
また、前記化学式1中、Ar1~Ar3はそれぞれ独立して、非置換であるか、または重水素、炭素数1~10のアルキル、炭素数6~20のアリール、Si(炭素数1~10のアルキル)3およびSi(炭素数6~20のアリール)3から構成される群より選択される1個以上の置換基で置換された炭素数6~20のアリール;または非置換であるか、または重水素、炭素数1~10のアルキル、炭素数6~20のアリール、Si(炭素数1~10のアルキル)3およびSi(炭素数6~20のアリール)3から構成される群より選択される1個以上の置換基で置換されたN、OおよびSのうちの1個または2個のヘテロ原子を含む炭素数2~20のヘテロアリールであり得る。
【0064】
具体的には、Ar1~Ar3はそれぞれ独立して、非置換であるか、または重水素、メチル、tert-ブチル、フェニルおよびSi(フェニル)3から構成される群より選択される1個以上の置換基で置換された炭素数6~20のアリール;または非置換であるか、または重水素、メチル、tert-ブチル、フェニルおよびSi(フェニル)3から構成される群より選択される1個以上の置換基で置換されたN、OおよびSのうちの1個のヘテロ原子を含む炭素数2~20のヘテロアリールであり得る。
【0065】
より具体的には、Ar1およびAr2はそれぞれ独立して、非置換であるか、または重水素、メチル、tert-ブチル、フェニルおよびSi(フェニル)3から構成される群より選択される1個の置換基で置換されたフェニル;または非置換であるか、または重水素、メチル、tert-ブチル、フェニルおよびSi(フェニル)3から構成される群より選択される1個の置換基で置換されたナフチルであり、
Ar3は非置換であるか、または重水素、メチル、tert-ブチル、フェニルおよびSi(フェニル)3から構成される群より選択される1個の置換基で置換されたフェニル;ジメチルフルオレニル;フェニルカルバゾリル;ジベンゾフラニル;ジベンゾチオフェニル;ベンゾフラニル;またはベンゾチオフェニルであり得る。
【0066】
例えば、
Ar
1およびAr
2はそれぞれ独立して、
【化15】
であり、
ここで、Rは水素、メチル、またはtert-ブチルであり得る。
【0067】
また、Ar
3は下記で構成される群より選択されるいずれか一つであり得る:
【化16】
前記式中、R’は水素、メチル、またはtert-ブチルである。
【0068】
また、前記化学式1中、R1~R3はそれぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ;炭素数1~10のアルキル;または炭素数6~20のアリールであり得る。このとき、R1の個数を意味するaは0、1、2または3であり、R2の個数を意味するbは0、1、2、3または4であり、R3の個数を意味するcは0、1、2または3である。
【0069】
例えば、R1~R3はそれぞれ独立して、水素または重水素であってもよく、aは0または3であり、bは0または4であり、cは0または3であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0070】
また、前記化学式1中、
L’は互いに同一であってもよく、nは互いに同一であってもよく、L1は互いに同一であってもよく、L2は互いに同一であってもよく、L3は互いに同一であってもよく、Ar1は互いに同一であってもよく、Ar2は互いに同一であってもよく、Ar3は互いに同一であってもよく、R1は互いに同一であってもよく、R2は互いに同一であってもよく、R3は互いに同一であってもよく、aは互いに同一であってもよく、bは互いに同一であってもよく、cは互いに同一であってもよい。
【0071】
例えば、前記化学式1中、3つの角括弧「[]」内の構造は互いに同一であってもよい。言い換えると、前記化学式1中の3つの角括弧「[]」内の構造
【化17】
は互いに同一であってもよく、ここで、*はLと結合する位置を意味する。
【0072】
また、前記化合物は、下記化学式1-1-1~1-4-1のうちのいずれか一つで表される:
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
前記化学式1-1-1~1-4-1中、
L、L’、n、L1~L3およびAr1~Ar3は前記化学式1で定義した通りである。
【0078】
前記化学式1-1-1中、L1は互いに同一であり、L2は互いに同一であり、L3は互いに同一であり、Ar1は互いに同一であり、Ar2は互いに同一であり、Ar3は互いに同一であってもよく、これにより、前記化学式1-1-1の化合物は三量体(Trimer)形態の構造を有し得る。
【0079】
また、例えば、前記化合物は、下記化学式2-1、化学式2-2および化学式2-3のうちのいずれか一つで表される:
【0080】
【0081】
【0082】
前記化学式2-1、化学式2-2および化学式2-3中
、
L
1~L
3およびAr
1~Ar
3は前記
化学式1で定義した通りである、
-(L’)
n-は下記で構成される群より選択されるいずれか一つである。
【化24】
【0083】
前記化学式1で表される化合物の代表的な例は以下の通りである:
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
一方、前記化学式1で表される化合物は、一例として、下記反応式1のような製造方法で製造することができる。
【化32】
【0092】
前記反応式1中、XはL’の種類によって水素、-OH、または
【化33】
であり得、X’はハロゲンであり、好ましくは臭素、または塩素であり、他の置換基に対する定義は上述した通りである。
【0093】
具体的には、前記化学式1で表される化合物は、Xの種類によってアミン置換反応またはSuzuki-coupling反応により出発物質SM1およびSM2が結合して製造される。このようなアミン置換反応およびSuzuki-coupling反応は、それぞれパラジウム触媒と塩基の存在下で行うことが好ましい。また、前記アミン置換反応およびSuzuki-coupling反応のための反応基は適切に変更することができ、化学式1で表される化合物の製造方法は、後述する製造例でさらに具体化される。
【0094】
(コーティング組成物)
一方、本発明に係る化合物は、溶液工程で有機発光素子の有機物層、特に発光層を形成することができる。具体的には、前記化合物は発光層のドーパント材料として用いられる。そのため、本発明は上述した本発明に係る化合物および溶媒を含むコーティング組成物を提供する。
【0095】
前記溶媒は、本発明に係る化合物を溶解または分散させることができる溶媒であれば特に限定されず、一例として、クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メシチレン、1-メチルナフタレン、2-メチルナフタレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテートなどのエステル系溶媒;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2-ヘキサンジオールなどの多価アルコールおよびその誘導体;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;およびN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒;ブチルベンゾエート、メチル-2-メトキシベンゾエート、エチルベンゾエートなどのベンゾエート系溶媒;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジフェニルフタレートなどのフタレート系溶媒;テトラリン;3-フェノキシトルエンなどの溶媒が挙げられる。また、上述した溶媒を1種単独でまたは2種以上の溶媒を混合して使用することができる。好ましくは、前記溶媒としてエチルベンゾエートを使用することができる。
【0096】
また、前記コーティング組成物は、ホスト材料に使用される化合物をさらに含むことができ、前記ホスト材料に使用される化合物に対する説明は後述する。
【0097】
また、前記コーティング組成物の粘度は1cP~10cPが好ましく、上記の範囲でコーティングが容易である。また、前記コーティング組成物内の本発明に係る化合物の濃度は0.1wt/v%~20wt/v%であり得る。
【0098】
また、前記化学式1で表される化合物の常温/常圧での溶解度(wt%)は、溶媒シクロヘキサノンを基準にして0.1wt%以上であり得る。したがって、前記化学式1で表される化合物および溶媒を含むコーティング組成物は溶液工程に使用することができる。
【0099】
また、本発明は、上述したコーティング組成物を使用して発光層を形成する方法を提供する。具体的には、正極上に、または正極上に形成された正孔輸送層上に、上述した本発明に係る発光層を溶液工程でコーティングする段階と、前記コーティングされたコーティング組成物を熱処理する段階とを含む。
【0100】
前記溶液工程は、上述した本発明に係るコーティング組成物を使用するもので、スピンコーティング、ディップコーティング、ドクターブレーディング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらにのみ限定されるものではない。
【0101】
前記熱処理段階で熱処理温度は150~230℃が好ましい。また、前記熱処理時間は1分~3時間であり、より好ましくは10分~1時間である。また、前記熱処理は、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
【0102】
(有機発光素子)
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物を含む有機発光素子を提供する。一例として、本発明は、第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた発光層とを含む有機発光素子であって、前記発光層は、前記化学式1で表される化合物を含む有機発光素子を提供する。
【0103】
また、本発明に係る有機発光素子は、第1電極が正極であり、第2電極が負極である、基板上に正極、1層以上の有機物層および負極が順次積層された構造(normal type)の有機発光素子であり得る。また、本発明に係る有機発光素子は、第1電極が負極であり、第2電極が正極である、基板上に負極、1層以上の有機物層および正極が順次積層された逆方向構造(inverted type)の有機発光素子であり得る。例えば、本発明の一実施例による有機発光素子の構造は
図1および
図2に示されている。
【0104】
図1は、基板1、正極2、発光層3、および負極4からなる有機発光素子の例を示す図である。この構造において、前記化学式1で表される化合物は、前記発光層に含まれ得る。
【0105】
図2は、基板1、正極2、正孔注入層5、正孔輸送層6、発光層3、電子注入および輸送層7、および負極4からなる有機発光素子の例を示す図である。この構造において、前記化学式1で表される化合物は前記発光層に含まれ得る。
【0106】
本発明に係る有機発光素子は、前記発光層が本発明に係る化合物を含み、上述した方法のように製造されることを除けば、当該技術分野で知られている材料および方法で製造することができる。
【0107】
例えば、本発明に係る有機発光素子は、基板上に、正極、有機物層、および負極を順次積層させて製造することができる。この時、スパッタリング法(sputtering)や電子ビーム蒸発法(e-beam evaporation)などのPVD(physical Vapor Deposition)方法を用いて、基板上に金属または導電性を有する金属酸化物またはこれらの合金を蒸着させて正極を形成し、その上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層を含む有機物層を形成した後、その上に負極として用いられる物質を蒸着させて製造することができる。
【0108】
この方法以外にも、基板上に、負極物質から有機物層、正極物質を順に蒸着させて有機発光素子を製造することができる(WO2003/012890)。但し、製造方法はこれに限定されるものではない。
【0109】
一例として、前記第1電極は正極であり、前記第2電極は負極であるか、または、前記第1電極は負極であり、前記第2電極は正極である。
【0110】
前記正極物質としては、通常有機物層への正孔注入が円滑となるように仕事関数の大きい物質が好ましい。前記正極物質の具体的な例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金などの金属、またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの金属酸化物;ZnO:AlまたはSNO2:Sbなどの金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンなどの導電性高分子などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0111】
前記負極物質としては、通常有機物層への電子注入が容易となるように仕事関数の小さい物質であることが好ましい。前記負極物質の具体的な例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛などの金属、またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO2/Alなどの多層構造物質などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0112】
前記正孔注入層は電極から正孔を注入する層で、正孔注入物質としては、正孔を輸送する能力を有し、正極からの正孔注入効果、発光層または発光材料に対して優れた正孔注入効果を有し、発光層で生成された励起子の電子注入層または電子注入材料への移動を防止し、また、薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。正孔注入物質のHOMO(highest occupied molecular orbital)が正極物質の仕事関数と周辺有機物層のHOMOとの間であることが好ましい。正孔注入物質の具体的な例としては、金属ポルフィリン(porphyrin)、オリゴチオフェン、アリールアミン系の有機物、ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン系の有機物、キナクリドン(quinacridone)系の有機物、ペリレン(perylene)系の有機物、アントラキノンおよびポリアニリンとポリチオフェン系の導電性高分子などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0113】
前記正孔輸送層は、正孔注入層から正孔を受け取って発光層まで正孔を輸送する層で、正孔輸送物質としては、正極や正孔注入層から正孔輸送を受けて発光層に移し得る物質で、正孔に対する移動性の大きい物質が好適である。前記正孔輸送物質としては、前記化学式1で表される化合物を使用するか、またはアリールアミン系の有機物、導電性高分子、および共役部分と非共役部分が共にあるブロック共重合体などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0114】
一方、前記有機発光素子には前記正孔輸送層と発光層との間に電子抑制層を備えていてもよい。前記電子抑制層は前記正孔輸送層上に形成され、好ましくは発光層に接して備えられ、正孔移動度を調節し、電子の過剰な移動を防止して正孔-電子間の結合確率を高めることによって有機発光素子の効率を改善する役割を果たす層を意味する。前記電子抑制層は電子阻止物質を含み、このような電子阻止物質の例としては、前記化学式1で表される化合物を使用するか、またはアリールアミン系の有機物などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0115】
前記発光層は、ホスト材料およびドーパント材料を含むことができる。ドーパント材料としては、上述した化学式1で表される化合物を使用することができる。また、ホスト材料としては、縮合芳香族環誘導体またはヘテロ環含有化合物などを使用することができる。具体的には、縮合芳香族環誘導体としては、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、ナフタレン誘導体、ペンタセン誘導体、フェナントレン化合物、フルオランテン化合物などがあり、ヘテロ環含有化合物としては、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ラダー型フラン化合物、ピリミジン誘導体などがあるが、これらに限定されない。
【0116】
一方、前記有機発光素子には前記発光層と電子輸送層との間に正孔阻止層を備えていてもよい。前記正孔阻止層は発光層上に形成され、好ましくは発光層に接して備えられ、電子移動度を調節し、正孔の過剰な移動を防止して正孔-電子間の結合確率を高めることによって有機発光素子の効率を改善する役割を果たす層を意味する。前記正孔阻止層は正孔阻止物質を含み、このような正孔阻止物質の例としては、トリアジンを含むアジン類誘導体;トリアゾール誘導体;オキサジアゾール誘導体;フェナントロリン誘導体;ホスフィンオキシド誘導体などの電子吸引基が導入された化合物を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0117】
前記電子注入および輸送層は電極から電子を注入し、受け取った電子を発光層まで輸送する電子輸送層および電子注入層の役割を同時に行う層で、前記発光層または前記正孔阻止層上に形成される。このような電子注入および輸送物質としては、負極から電子注入をよく受けて発光層に移し得る物質であって、電子に対する移動性の大きい物質が好適である。具体的な電子注入および輸送物質の例としては、8-ヒドロキシキノリンのAl錯体;Alq3を含む錯体;有機ラジカル化合物;ヒドロキシフラボン-金属錯体;トリアジン誘導体などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。または、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フルオレニリデンメタン、アントロンなどとそれらの誘導体、金属錯体化合物、および含窒素5員環誘導体などがあるが、これらに限定されない。
【0118】
前記電子注入および輸送層は、電子注入層および電子輸送層のような別の層で形成されていてもよい。このような場合、電子輸送層は前記発光層または前記正孔阻止層上に形成され、前記電子輸送層に含まれる電子輸送物質としては、上述した電子注入および輸送物質を使用することができる。また、電子注入層は前記電子輸送層上に形成され、前記電子注入層に含まれる電子注入物質としては、LiF、NaCl、CsF、Li2O、BaO、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フルオレニリデンメタン、アントロンなどとそれらの誘導体、金属錯体化合物、および含窒素5員環誘導体などを使用することができる。
【0119】
前記金属錯体化合物としては、8-ヒドロキシキノリナトリチウム、ビス(8-ヒドロキシキノリナト)亜鉛、ビス(8-ヒドロキシキノリナト)銅、ビス(8-ヒドロキシキノリナト)マンガン、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)ガリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)亜鉛、ビス(2-メチル-8-キノリナト)クロロガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナト)(o-クレゾラート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナト)(1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリナト)(2-ナフトラート)ガリウムなどがあるが、これらに限定されない。
【0120】
本発明に係る有機発光素子は、使用される材料によって、前面発光型、後面発光型、または両面発光型であり得る。
【0121】
また、本発明に係る化合物は、有機発光素子以外にも、有機太陽電池または有機トランジスターに含まれ得る。
【0122】
以下、前記化学式1で表される化合物およびこれを含む有機発光素子の製造を実施例により具体的に説明する。しかし、下記の実施例は本発明を例示したものに過ぎず、本発明の範囲がこれらによって限定されるものではない。
【実施例】
【0123】
製造例1:化合物1合成
段階1-1:中間体化合物1-bの合成
【化34】
【0124】
化合物1-a(1.0eq.)を丸底フラスコに入れ、無水CH2Cl2(0.28M)に溶解した。ピリジン(2.5eq.)を反応物に滴下し、バス(bath)温度を常温から0℃に下げて攪拌した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2、2.0eq.)を滴下ロートを用いて30分間ゆっくり滴下し、バス(bath)温度を常温に上げて4時間攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で洗浄して有機層を分離し、MgSO4で水を除去し、セライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液を減圧下で濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーを用いて精製して、中間体化合物1-b(収率90%)を得た。
m/z[M+H]+=425
【0125】
【0126】
化合物1-b(1.0eq.)、ビス(ピナコラト)ジボラン(B2pin2、2.2eq.)、KOAc(6.0eq.)を丸底フラスコに入れ、無水ジオキサン(0.2M)に溶解した。バス(bath)温度を常温から100℃に上げた後、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)ジクロリド(Pd(dppf)Cl2、10mol%)を滴下し、2時間攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で洗浄して有機層を分離し、MgSO4で水を除去し、セライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液を減圧下で濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーを用いて精製して、中間体化合物1-c(収率87%)を得た。
m/z[M+H]+=381
【0127】
【0128】
化合物1-c(1.0eq.)、化合物1-d(2.2eq.)、(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))(Pd(PPh3)4、12mol%)を丸底フラスコに入れ、無水PhMe(トルエン、0.21M)に溶解した。バス(bath)温度を110℃に上げた後、H2Oに溶かしたCs2CO3(5.0eq.)を反応液に滴下した。その後、バス(bath)温度を110℃下で一晩攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で洗浄して有機層を分離し、MgSO4で水を除去し、セライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液を減圧下で濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーを用いて精製して、中間体化合物1-e(収率99%)を得た。
m/z[M+H]+=439
【0129】
【0130】
化合物1-e(1.0eq.)、PPh3(5.0eq.)を丸底フラスコに入れ、無水1,2-ジクロロベンゼン(0.075M)に溶解した。バス(bath)温度180℃下で一晩攪拌した。反応後、反応物を常温下で攪拌しながら冷却させた。その後、ジクロロメタンと水で洗浄して有機層を分離し、MgSO4で水を除去し、セライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液を減圧下で濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーを用いて精製して、中間体化合物1-f(収率85%)を得た。
m/z[M+H]+=375
【0131】
【0132】
化合物1-f(1.0eq.)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOt-Bu、6.05eq.)を丸底フラスコに入れ、無水PhMe(0.03M)に溶解した。その後、化合物1-g(7.1eq.)を反応物に滴下した。次に、バス(bath)温度110℃下で反応物にビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(P(t-Bu)3)2、20mol%)を滴下し、22時間攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で洗浄して有機層を分離し、MgSO4で水を除去し、セライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液を減圧下で濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーを用いて精製して、中間体化合物1-h(収率85%)を得た。
m/z[M+H]+=527
【0133】
【0134】
化合物1-i(1.0eq.)、化合物1-j(1.2eq.)、NaOt-Bu(2.0eq.)を丸底フラスコに入れ、無水トルエンに溶解した。バス(bath)温度を110℃に上げた後、Pd((t-Bu)3P)2(3mol%)を滴下し、4時間攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で洗浄して有機層を分離し、MgSO4で水を除去し、セライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液を減圧下で濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーを用いて精製して、中間体化合物1-k(収率81%)を得た。
m/z[M+H]+=274
【0135】
【0136】
化合物1-h(1.0eq.)、化合物1-k(1.03eq.)、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(P(t-Bu)3HBF4、5mol%)、およびNaOt-Bu(1.1eq.)を丸底フラスコに入れ、無水PhMe(0.02M)に溶解した。バス(bath)温度105℃下で反応物にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3、2.5mol%)を滴下し、4時間攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で洗浄して有機層を分離し、MgSO4で水を除去し、セライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液を減圧下で濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーを用いて精製して、中間体化合物1-l(収率78%)を合成した。
m/z[M+H]+=764
【0137】
【0138】
CuI(10mol%)、LiNH2(0.5eq.)、K3PO4(3eq.)および中間体1-l(1.0eq.)を丸底フラスコに入れ、無水DMF(0.3M)に溶解した。バス(bath)温度130℃下で24時間攪拌した。反応後、internal standard solution 1,3-ジメトキシベンゼン(1.5M in DMSO)を滴下した。反応物を常温下で攪拌しながら冷却させた。反応物にn-ヘキサンを過剰に滴下して沈殿を取った。前記沈殿物をMeOHとH2Oで洗浄し、濾過して濾過ケーキを得た。十分に乾燥した濾過ケーキを1,2-ジクロロベンゼンに入れて加熱下で溶解させた。溶解した反応物をセライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液にn-ヘキサンを過剰に滴下して沈殿を取った。沈殿物をn-ヘキサンとMeOHで洗浄し、濾過して濾過ケーキを得て、十分に乾燥させて化合物1(60%収率)を製造した。
m/z[M+H]+=2200
【0139】
製造例2:化合物2の合成
段階2-1:中間体化合物2-bの合成
【化42】
【0140】
化合物1-kの代わりに化合物2-aを使用したことを除いては、前記段階1-7と同様にして中間体化合物2-b(収率75%)を製造した。
m/z[M+H]+=772
【0141】
【0142】
化合物1-lの代わりに化合物2-bを使用したことを除いては、前記段階1-8と同様にして化合物2(収率75%)を製造した。
m/z[M+H]+=2995
【0143】
製造例3:化合物3の合成
段階3-1:中間体化合物3-cの合成
【化44】
【0144】
化合物3-a(1.0eq.)、化合物3-b(1.2eq.)、NaOt-Bu(2.0eq.)を丸底フラスコに入れ、無水トルエンに溶解した。バス(bath)温度を110℃に上げた後、Pd((t-Bu)3P)2(3mol%)を滴下し、4時間攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で洗浄して有機層を分離し、MgSO4で水を除去し、セライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液を減圧下で濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーを用いて精製して、中間体化合物3-c(収率89%)を得た。
m/z[M+H]+=461
【0145】
【0146】
化合物1-kの代わりに化合物3-cを使用したことを除いては、前記段階1-7と同様にして中間体化合物3-d(収率68%)を製造した。
m/z[M+H]+=951
【0147】
【0148】
化合物1-lの代わりに化合物3-dを使用したことを除いては、前記段階1-8と同様にして化合物3(収率71%)を製造した。
m/z[M+H]+=2761
【0149】
製造例4:化合物4の合成
段階4-1:中間体化合物4-aの合成
【化47】
【0150】
1,3,5-トリブロモベンゼン(1.0eq.)、B2pin2(3.6eq.)、KOAc(18.0eq.)を丸底フラスコに入れ、無水ジオキサン(0.3M)に溶解した。バス(bath)温度を120℃に上げた後、Pd(dppf)Cl2(27mol%)を滴下し、一晩攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で洗浄して有機層を分離し、MgSO4で水を除去し、セライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液を減圧下で濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーを用いて精製して、中間体化合物4-a(収率68%)を製造した。
m/z[M+H]+=457
【0151】
【0152】
化合物1-l(3.3eq.)および化合物4-a(1.0eq.)を丸底フラスコに入れ、THF(0.3M)に溶解した。水に溶解したK2CO3(3.6eq.)を注入した。バス(bath)温度80℃下でPd(PPh3)4(9mol%)を滴下し、一晩攪拌した。反応後、反応物を常温下で攪拌しながら冷却させた。反応物にn-ヘキサンを過剰に滴下して沈殿を取った。沈殿物をMeOHとH2Oで洗浄し、濾過して濾過ケーキを得た。十分に乾燥した濾過ケーキを1,2-ジクロロベンゼンに入れて加熱下で溶解した。溶解した反応物をセライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液にn-ヘキサンを過剰に滴下して沈殿を取った。沈殿物をn-ヘキサンとMeOHで洗浄し、濾過して濾過ケーキを得て、十分に乾燥させて化合物4(収率73%)を製造した。
m/z[M+H]+=2261
【0153】
製造例5:化合物5の合成
段階5-1:化合物5の合成
【化49】
【0154】
化合物1-lの代わりに化合物2-bを使用したことを除いては、前記段階4-2と同様にして化合物5(収率71%)を製造した。
m/z[M+H]+=2285
【0155】
製造例6:化合物6の合成
段階6-1:化合物6の合成
【化50】
【0156】
化合物1-lの代わりに化合物3-dを使用したことを除いては、前記段階4-2と同様にして化合物6(収率85%)を製造した。
m/z[M+H]+=2822
【0157】
製造例7:化合物7の合成
段階7-1:中間体化合物7-bの合成
【化51】
【0158】
化合物4-a(1.0eq.)および化合物7-a(3.3eq.)を丸底フラスコに入れ、THF(0.3M)に溶解した。その後、水に溶解したK2CO3(3.3eq.)を注入した。バス(bath)温度80℃下でPd(PPh3)4(9mol%)を滴下し、一晩攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で洗浄して有機層を分離し、MgSO4で水を除去し、セライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液を減圧下で濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーを用いて精製して、中間体化合物7-b(収率91%)を製造した。
m/z[M+H]+=352
【0159】
【0160】
化合物7-b(1.0eq.)、化合物7-c(3.3eq.)およびNaOt-Bu(6.0eq.)を丸底フラスコに入れ、PhMe(0.3M)に溶解した。バス(bath)温度110℃下でPd(P(t-Bu)3)2(9mol%)を滴下し、一晩攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で洗浄して有機層を分離し、MgSO4で水を除去し、セライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液を減圧下で濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーを用いて精製して、化合物7-d(収率79%)を製造した。
m/z[M+H]+=749
【0161】
【0162】
化合物7-d(1.0eq.)、化合物l-l(3.3eq.)およびNaOt-Bu(6.0eq.)を丸底フラスコに入れ、PhMe(0.3M)に溶解した。バス(bath)温度110℃下でPd(P(t-Bu)3)2(9mol%)を滴下し、一晩攪拌した。反応後、反応物を常温下で攪拌しながら冷却させた。反応物にn-ヘキサンを過剰に滴下して沈殿を取った。沈殿物をMeOHとH2Oで洗浄し、濾過して濾過ケーキを得た。十分に乾燥した濾過ケーキを1,2-ジクロロベンゼンに入れて加熱下で溶解した。溶解した反応物をセライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液にn-ヘキサンを過剰に滴下して沈殿を取った。沈殿物をn-ヘキサンとMeOHで洗浄し、濾過して濾過ケーキを得て、これを十分に乾燥させて化合物7(収率74%)を製造した。
m/z[M+H]+=2930
【0163】
製造例8:化合物8の合成
段階8-1:化合物8の合成
【化54】
【0164】
化合物1-lの代わりに化合物2-bを使用したことを除いては、前記段階7-3と同様にして化合物8(収率68%)を製造した。
m/z[M+H]+=2955
【0165】
製造例9:化合物9の合成
段階9-1:化合物9の合成
【化55】
【0166】
化合物1-lの代わりに化合物3-dを使用したことを除いては、前記段階7-3と同様にして化合物9(収率82%)を製造した。
m/z[M+H]+=3491
【0167】
製造例10:化合物10の合成
段階10-1:中間体化合物10-bの合成
【化56】
【0168】
化合物7-aの代わりに化合物10-aを使用したことを除いては、前記段階7-1と同様にして化合物10-b(収率86%)を製造した。
m/z[M+H]+=352
【0169】
段階10-2:中間体化合物10-cの合成
【化57】
【0170】
化合物7-bの代わりに化合物10-bを使用したことを除いては、前記段階7-2と同様にして化合物10-c(収率79%)を製造した。
m/z[M+H]+=749
【0171】
【0172】
化合物7-dの代わりに化合物10-cを使用したことを除いては、前記段階7-3と同様にして化合物10(収率78%)を製造した。
m/z[M+H]+=2930
【0173】
製造例11:化合物11の合成
段階11-1:中間体化合物11-bの合成
【化59】
【0174】
1,3,5-トリブロモベンゼン(1.0eq.)、化合物11-a(3.3eq.)およびNaOt-Bu(6.0eq.)を丸底フラスコに入れ、PhMe(0.3M)に溶解した。バス(bath)温度110℃下でPd(P(t-Bu)3)2(9mol%)を滴下し、一晩攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で洗浄して有機層を分離し、MgSO4で水を除去し、セライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液を減圧下で濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーを用いて精製して、中間体化合物11-b(収率71%)を製造した。
m/z[M+H]+=520
【0175】
【0176】
化合物11-b(1.0eq.)、化合物1-l(3.3eq.)およびNaOt-Bu(6.0eq.)を丸底フラスコに入れ、PhMe(0.3M)に溶解した。バス(bath)温度110℃下でPd(P(t-Bu)3)2(9mol%)を滴下し、一晩攪拌した。反応後、反応物を常温下で攪拌しながら冷却させた。反応物にn-ヘキサンを過剰に滴下して沈殿を取った。沈殿物をMeOHとH2Oで洗浄し、濾過して濾過ケーキを得た。十分に乾燥した濾過ケーキを1,2-ジクロロベンゼンに入れて加熱下で溶解した。溶解した反応物をセライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液にn-ヘキサンを過剰に滴下して沈殿を取った。沈殿物をn-ヘキサンとMeOHで洗浄し、濾過して濾過ケーキを得て、十分に乾燥させて化合物11(収率67%)を製造した。
m/z[M+H]+=2702
【0177】
製造例12:化合物12の合成
段階12-1:化合物12の合成
【化61】
【0178】
化合物1-lの代わりに化合物2-bを使用したことを除いては、前記段階11-2と同様にして化合物12(収率73%)を製造した。
m/z[M+H]+=2726
【0179】
製造例13:化合物13の合成
段階13-1:化合物13の合成
【化62】
【0180】
化合物1-lの代わりに化合物3-dを使用したことを除いては、前記段階11-2と同様にして化合物13(収率74%)を製造した。
m/z[M+H]+=3263
【0181】
製造例14:化合物14の合成
段階14-1:化合物14の合成
【化63】
【0182】
化合物14-a(1.0eq.)、化合物1-l(4.5eq.)、CuBr(0.3eq.)およびCs2CO3(7.5eq.)を丸底フラスコに入れ、無水DMF(0.3M)に溶解した。反応物に2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン(2.4eq.)を滴下し、バス(bath)温度135℃下で36時間攪拌した。反応後、反応物を常温下で攪拌しながら冷却させた。反応物にn-ヘキサンを過剰に滴下して沈殿を取った。沈殿物をMeOHとH2Oで洗浄し、濾過して濾過ケーキを得た。十分に乾燥した濾過ケーキを1,2-ジクロロベンゼンに入れて加熱下で溶解した。溶解した反応物をセライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液にn-ヘキサンを過剰に滴下して沈殿を取った。沈殿物をn-ヘキサンとMeOHで洗浄し、濾過して濾過ケーキを得て、これを十分に乾燥させて化合物14(収率75%)を製造した。
m/z[M+H]+=2309
【0183】
製造例15:化合物15の合成
段階15-1:中間体化合物15-bの合成
【化64】
【0184】
化合物4-a(1.0eq.)および化合物15-a(3.3eq.)を丸底フラスコに入れ、THF(0.3M)に溶解した。水に溶解したK2CO3(3.3eq.)を注入した。バス(bath)温度80℃下でPd(PPh3)4(9mol%)を滴下し、一晩攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で洗浄して有機層を分離し、MgSO4で水を除去し、セライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液を減圧下で濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーを用いて精製して、中間体化合物15-b(収率92%)を製造した。
m/z[M+H]+=355
【0185】
【0186】
化合物14-aの代わりに化合物15-bを使用したことを除いては、前記段階14-1と同様にして化合物15(収率69%)を製造した。
m/z[M+H]+=2537
【0187】
製造例16:化合物16の合成
段階16-1:中間体化合物16-bの合成
【化66】
【0188】
化合物15-aの代わりに化合物16-aを使用したことを除いては、前記段階15-1と同様にして化合物16-b(収率74%)を製造した。
m/z[M+H]+=355
【0189】
【0190】
化合物14-aの代わりに化合物16-bを使用したことを除いては、前記段階14-1と同様にして化合物16(収率67%)を製造した。
m/z[M+H]+=2537
【0191】
製造例17:化合物17の合成
段階17-1:中間体化合物17-bの合成
【化68】
【0192】
化合物1-dの代わりに化合物17-aを使用したことを除いては、前記段階1-3と同様にして中間体化合物17-b(収率87%)を製造した。
m/z[M+H]+=439
【0193】
段階17-2:中間体化合物17-cの合成
【化69】
【0194】
化合物1-eの代わりに化合物17-bを使用したことを除いては、前記段階1-4と同様にして中間体化合物17-c(収率79%)を製造した。
m/z[M+H]+=375
【0195】
段階17-3:中間体化合物17-dの合成
【化70】
【0196】
化合物1-fの代わりに化合物17-cを使用したことを除いては、前記段階1-5と同様にして中間体化合物17-d(収率86%)を製造した。
m/z[M+H]+=527
【0197】
段階17-4:中間体化合物17-eの合成
【化71】
【0198】
化合物1-hの代わりに化合物17-dを使用したことを除いては、前記段階1-7と同様にして中間体化合物17-e(収率82%)を製造した。
m/z[M+H]+=764
【0199】
【0200】
化合物1-lの代わりに化合物17-eを使用したことを除いては、前記段階1-8と同様にして化合物17(収率58%)を製造した。
m/z[M+H]+=2200
【0201】
製造例18:化合物18の合成
段階18-1:中間体化合物18-bの合成
【化73】
【0202】
化合物1-dの代わりに化合物18-aを使用したことを除いては、前記段階1-3と同様にして中間体化合物18-b(収率89%)を製造した。
m/z[M+H]+=439
【0203】
段階18-2:中間体化合物18-cの合成
【化74】
【0204】
化合物1-eの代わりに化合物18-bを使用したことを除いては、前記段階1-4と同様にして中間体化合物18-c(収率81%)を製造した。
m/z[M+H]+=375
【0205】
段階18-3:中間体化合物18-dの合成
【化75】
【0206】
化合物1-fの代わりに化合物18-cを使用したことを除いては、前記段階1-5と同様にして中間体化合物18-d(収率82%)を製造した。
m/z[M+H]+=527
【0207】
段階18-4:中間体化合物18-eの合成
【化76】
【0208】
化合物1-hの代わりに化合物18-dを使用したことを除いては、前記段階1-7と同様にして中間体化合物18-e(収率79%)を製造した。
m/z[M+H]+=764
【0209】
【0210】
化合物1-lの代わりに化合物18-eを使用したことを除いては、前記段階1-8と同様にして化合物18(収率83%)を製造した。
m/z[M+H]+=1605
【0211】
製造例19:化合物19の合成
段階19-1:中間体化合物19-bの合成
【化78】
【0212】
化合物1-dの代わりに化合物19-aを使用したことを除いては、前記段階1-3と同様にして中間体化合物19-b(収率89%)を製造した。
m/z[M+H]+=439
【0213】
段階19-2:中間体化合物19-cの合成
【化79】
【0214】
化合物1-eの代わりに化合物19-bを使用したことを除いては、前記段階1-4と同様にして中間体化合物19-c(収率81%)を製造した。
m/z[M+H]+=375
【0215】
段階19-3:中間体化合物19-dの合成
【化80】
【0216】
化合物1-fの代わりに化合物19-cを使用したことを除いては、前記段階1-5と同様にして中間体化合物19-d(収率89%)を製造した。
m/z[M+H]+=527
【0217】
段階19-4:中間体化合物19-eの合成
【化81】
【0218】
化合物1-hの代わりに化合物19-dを使用したことを除いては、前記段階1-7と同様にして中間体化合物19-e(収率82%)を製造した。
m/z[M+H]+=764
【0219】
【0220】
化合物1-lの代わりに化合物19-eを使用したことを除いては、前記段階1-8と同様にして化合物19(収率85%)を製造した。
m/z[M+H]+=1605
【0221】
【0222】
化合物1-h(1.0eq.)、化合物1-k(2.3eq.)、P(t-Bu)3HBF4(10mol%)、およびNaOt-Bu(2.2eq.)を丸底フラスコに入れ、無水PhMe(0.02M)に溶解した。バス(bath)温度105℃下で反応物にPd2(dba)3(5mol%)を滴下し、一晩攪拌した。反応後、反応物を常温下で攪拌しながら冷却させた。反応物にn-ヘキサンを過剰に滴下して沈殿を取った。沈殿物をMeOHとH2Oで洗浄し、濾過して濾過ケーキを得た。十分に乾燥した濾過ケーキを1,2-ジクロロベンゼンに入れて加熱下で溶解した。溶解した反応物をセライト-シリカパッドを通過させた。通過した溶液にn-ヘキサンを過剰に滴下して沈殿を取った。沈殿物をn-ヘキサンとMeOHで洗浄し、濾過して濾過ケーキを得て、十分に乾燥させて比較化合物F(収率71%)を合成した。
m/z[M+H]+=1001
【0223】
【0224】
化合物1-kの代わりに化合物2-aを使用したことを除いては、前記比較化合物Fと同様にして化合物G(収率74%)を製造した。
m/z[M+H]+=1018
【0225】
【0226】
化合物1-kの代わりに化合物3-cを使用したことを除いては、前記比較化合物Fと同様にして比較化合物H(収率68%)を製造した。
m/z[M+H]+=1376
【0227】
【0228】
化合物1-kの代わりに化合物I-aを使用したことを除いては、前記比較化合物Fと同様にして化合物I(収率82%)を製造した。
m/z[M+H]+=1258
【0229】
実験例1:溶解度実験
前記製造例で製造した化合物および比較化合物の溶液工程に用いられる溶媒に対する溶解度を確認するために、これらをそれぞれ溶媒シクロヘキサノン(CHON)に常温/常圧条件で溶解した後、0.1wt%以上溶解するか否かを確認し、その結果を表1に示す。
【0230】
【0231】
上記表1から確認できるように、前記化学式1に含まれる化合物は、比較化合物Iとは異なり、有機発光素子の溶液工程に用いられる溶媒シクロヘキサノンに対する優れた溶解度を示すことが分かった。
【0232】
実施例1:有機発光素子の製造
実施例1
ITO(indium tin oxide)が500Åの厚さに薄膜コーティングされたガラス基板を洗剤を溶かした蒸留水に入れて超音波洗浄した。この時、洗剤としてはフィッシャー社(Fischer Co.)製品を使用し、蒸留水としてはミリポア社(Millipore Co.)製品のフィルタ(Filter)で2次ろ過した蒸留水を使用した。ITOを30分間洗浄した後、蒸留水で2回繰り返し超音波洗浄を10分間進行した。蒸留水洗浄が終わった後、イソプロピルアルコール、アセトンの溶剤で超音波洗浄をし、乾燥させた後、前記基板を5分間洗浄した後、グローブボックスに基板を輸送させた。
【0233】
前記ITO透明電極上に、下記化合物Bおよび下記化合物C(2:8の重量比)の20wt/v%シクロヘキサノンに溶かしたコーティング組成物をスピンコーティング(4000rpm)し、200℃で30分間熱処理(硬化)して400Åの厚さに正孔注入層を形成した。前記正孔注入層上に、下記化合物A(Mn:27,900;Mw:35,600;Agilent 1200 seriesを用いてPCスタンダード(Standard)を用いたGPCで測定)の6wt/v%トルエンに溶かしたコーティング組成物をスピンコーティング(4000rpm)して200℃で30分間熱処理して200Åの厚さの正孔輸送層を形成した。
【0234】
前記正孔輸送層上に、前記製造例1で製造した化合物1と下記化合物D(2:98の重量比)の2wt/v%シクロヘキサノンに溶かしたコーティング組成物をスピンコーティング(4000rpm)し、180℃で30分間熱処理して400Åの厚さに発光層を形成した。
【0235】
真空蒸着装置に移送した後、前記発光層上に、下記化合物Eを350Åの厚さに真空蒸着して電子注入および輸送層を形成した。
【0236】
前記電子注入および輸送層上に順次、10Åの厚さにLiFと1000Åの厚さにアルミニウムを蒸着してカソードを形成した。
【0237】
【0238】
上記の過程で有機物の蒸着速度は0.4~0.7Å/secを維持し、LiFは0.3Å/sec、アルミニウムは2Å/secの蒸着速度を維持し、蒸着時の真空度は2×10-7~5×10-8torrを維持した。
【0239】
実施例2~実施例19
発光層のドーパントとして化合物1の代わりに下記表2に記載された化合物を使用したことを除いて、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0240】
比較例1~比較例3
発光層のドーパントとして化合物1の代わりに下記表2に記載された化合物を使用したことを除いて、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0241】
前記実施例および比較例で使用された化合物の構造は以下の通りである。
【0242】
【0243】
【0244】
【0245】
【0246】
【0247】
実験例2
前記実施例および比較例で製造した有機発光素子に電流を印加したとき、10mA/cm2の電流密度での駆動電圧、外部量子効率(external quantum efficiency、EQE)および寿命を測定した結果を下記表2に示す。このとき、外部量子効率(EQE)は、「(放出された光子数)/(注入された電荷運搬体数)×100」から求め、T90は、初期輝度(500nit)が90%に低下するまでの時間を意味する。
【0248】
【0249】
上記表2に示すように、本発明の化合物を発光層のドーパントとして使用した有機発光素子は、比較例の化合物F、化合物Gまたは化合物Hを発光層のドーパントとして使用した有機発光素子に比べて、変換効率および寿命の側面において非常に優れた特性を示すことが分かった。
【符号の説明】
【0250】
1 基板
2 正極
3 発光層
4 負極
5 正孔注入層
6 正孔輸送層
7 電子注入および輸送層