(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】炊飯用油脂組成物、飯類、及び飯類の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23D 9/00 20060101AFI20240129BHJP
A23L 7/10 20160101ALI20240129BHJP
【FI】
A23D9/00 518
A23L7/10 A
(21)【出願番号】P 2018013053
(22)【出願日】2018-01-29
【審査請求日】2020-12-18
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡田 孝宏
(72)【発明者】
【氏名】地引 由美子
(72)【発明者】
【氏名】平川 妙子
【合議体】
【審判長】植前 充司
【審判官】磯貝 香苗
【審判官】淺野 美奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-192658(JP,A)
【文献】特開2001-161266(JP,A)
【文献】特開平3-175940(JP,A)
【文献】特開2017-153472(JP,A)
【文献】特開2014-162734(JP,A)
【文献】特開2004-283031(JP,A)
【文献】国際公開第2012/132079(WO,A1)
【文献】特開2012-184366(JP,A)
【文献】特開2016-101138(JP,A)
【文献】特開2003-92987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用油脂100質量部に対して、ポリグリセリンの重合度が2~5のポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを0.1~4.0質量部、構成脂肪酸が不飽和脂肪酸であり、ポリグリセリンの重合度が2のポリグリセリン脂肪酸エステルを0.1~3.0質量部含有する、炊飯用油脂組成物(ただし、炊飯用油脂組成物100重量部中にポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを0.6重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステルを1.2重量部含有するものを除く、さらに、ポリグリセリンの重合度が2~5のポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ポリグリセリンの重合度が2~3のポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、及び、モノグリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤を含まない)。
【請求項2】
食用油脂100質量部に対して、ポリグリセリンの重合度が2~6のポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを0.1~4.0質量部、構成脂肪酸が不飽和脂肪酸であり、ポリグリセリンの重合度が2のポリグリセリン脂肪酸エステルを0.1~3.0質量部、ソルビタンモノオレート及び/又
はソルビタンモノステアレートを0.1~3.0質量部含有する、炊飯用油脂組成物(ただし、ポリグリセリンの重合度が2~6のポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ポリグリセリンの重合度が2~3のポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及び、モノグリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤を含まない)。
【請求項3】
前記ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの前記ポリグリセリンの重合度が3~4である、請求項1又は2に記載の炊飯用油脂組成物。
【請求項4】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの前記構成脂肪酸が、オレイン酸を含む、請求項1乃至3の何れか一項に記載の炊飯用油脂組成物。
【請求項5】
前記食用油脂100質量部に対して、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、及び、モノグリセリン脂肪酸エステルのうちの少なくとも1つを0.1~3.0質量部、さらに含有する、請求項1
又は3又は4に記載の炊飯用油脂組成物。
【請求項6】
米飯用であることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか一項に記載の炊飯用油脂組成物。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の炊飯用油脂組成物を、炊飯前の生穀類に対して、0.1~5.0質量%添加して炊飯する、飯類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯用油脂組成物、飯類、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炊飯した米飯は炊飯後数時間で食されることが多かったが、衛生性の向上、低温流通の発達により、食されるまでの保存期間が長くなってきた。一方、炊飯に使用される油脂組成物として、ジグリセリンモノ脂肪酸エステルとデカグリセリンペンタ脂肪酸エステルを含有する炊飯用油脂組成物(特許文献1)、油脂とモノグリセリドとポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する油脂組成物(特許文献2)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-191839号公報
【文献】特開2008-245637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら従来の油脂組成物によれば、炊飯した米飯を保存すると、米飯の食感が低下するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、特定のポリグリセリン縮合リシノール酸エステルと特定のジグリセリン脂肪酸エステルとを特定量含有させることにより、炊飯した米飯を保存しても、保存後の米飯の食感の低下が抑制されることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、下記の[1]~[9]を提供する。
[1] 食用油脂100質量部に対して、ポリグリセリンの重合度が2~6のポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを0.1~5.5質量部、ポリグリセリンの重合度が2~10のポリグリセリン脂肪酸エステルを0.1~9.0質量部含有する、炊飯用油脂組成物。
[2] 前記ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの前記ポリグリセリンの重合度が3~4である、[1]に記載の炊飯用油脂組成物。
[3] 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ポリグリセリンの重合度が2のポリグリセリン脂肪酸エステルである、[1]又は[2]に記載の炊飯用油脂組成物。
[4] 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を含む、[1]乃至[3]の何れか一項に記載の炊飯用油脂組成物。
[5] 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの前記構成脂肪酸が、オレイン酸を含む、[4]に記載の炊飯用油脂組成物。
[6] 前記食用油脂100質量部に対して、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、及び、モノグリセリン脂肪酸エステルのうちの少なくとも1つを0.1~3.0質量部、さらに含有する、[1]乃至[5]の何れか一項に記載の炊飯用油脂組成物。
[7] 米飯用であることを特徴とする、請求項[1]乃至[6]の何れか一項に記載の炊飯用油脂組成物。
[8] [1]乃至[7]の何れか一項に記載の炊飯用油脂組成物を、炊飯前の生穀類に対して、0.1~5.0質量%添加して炊飯した、飯類。
[9] [1]乃至[7]のいずれか一項に記載の炊飯用油脂組成物を、炊飯前の生穀類に対して、0.1~5.0質量%添加して炊飯する、飯類の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、炊飯後に保存しても、米飯の食感の低下を抑制することができる炊飯用油脂組成物、及び、食感の低下が抑制された米飯類と米飯類の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に例示説明する。なお、本発明の実施の形態において、A(数値)~B(数値)は、A以上B以下を意味する。
【0009】
[炊飯用油脂組成物]
<油脂>
本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物は、主成分として通常の食用油脂を用いることができる。例えば、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、コーン油、米油、ゴマ油、オリーブ油、えごま油、亜麻仁油、落花生油、ぶどう種子油、ヤシ油、パーム核油、パーム油等の植物油脂、乳脂、ラード等の動物油脂、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の合成油を単独で、あるいは混合して用いることができる。また、パームオレイン、パームスーパーオレイン、パームミッドフラクション、パームステアリン等の植物油の分別油や、油脂あるいは油脂と脂肪酸低級アルコールエステルを原料にしたエステル交換油等を用いることができる。なお、エステル交換油は、エステル交換後に分別を行ったものも用いることができる。
【0010】
<ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル>
本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物は、食用油脂100質量部に対して、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを0.1~5.5質量部含有する。この範囲であれば、本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物を添加して炊飯した米飯を保存しても、保存後の米飯の食感の低下を抑制することができる。本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物は、食用油脂100質量部に対して、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを0.2~4.5質量部含有することが好ましく、0.3~2.5質量部含有することがより好ましい。
【0011】
本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物に含有されるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルは、ポリグリセリンの重合度が2~6である。この範囲であれば、本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物を添加して炊飯した米飯を保存しても、保存後の米飯の食感の低下を抑制することができる。本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物に含有されるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルは、ポリグリセリンの重合度が3~5であることが好ましく、ポリグリセリンの重合度が3~4であることがより好ましい。
【0012】
本実施の形態において、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルは、市販のものを用いることができる。なお、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルのポリグリセリン部分は、複数のグリセリンが重合した構造を有し、ポリグリセリン部分の重合度が異なる複数の成分が混合したポリグリセリン縮合リシノール酸エステルが市販されている。本実施の形態において、ポリグリセリンの重合度という語は、ポリグリセリン部分の平均重合度を意味する。なお、ポリグリセリン部分の重合度は、例えば、混合物の水酸基価から算出することができる。
【0013】
<ポリグリセリン脂肪酸エステル>
本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物は、食用油脂100質量部に対して、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.1~9.0質量部含有する。この範囲であれば、本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物を添加して炊飯した米飯を保存しても、保存後の米飯の食感の低下を抑制することができる。本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物は、食用油脂100質量部に対して、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.3~5.0質量部含有することが好ましく、0.5~2.5質量部含有することがより好ましい。
【0014】
本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物に含有されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンの重合度が2~10である。この範囲であれば、本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物を添加して炊飯した米飯を保存しても、保存後の米飯の食感の低下を抑制することができる。本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物に含有されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンの重合度が2~3であることが好ましく、ポリグリセリンの重合度が2であることがより好ましい。なお、ポリグリセリン脂肪酸エステルのポリグリセリンの重合度は、ポリグリセリン部分の平均重合度を意味する。
【0015】
本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物に含有されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、特に構成脂肪酸を限定するものではないが、少なくともリシノール酸は含まない。炊飯用油脂組成物が液状になりやすいことから、構成脂肪酸の50質量%以上が炭素数16~22の不飽和脂肪酸であることが好ましく、不飽和脂肪酸がオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸であることがより好ましい。酸化安定性の点から、オレイン酸、エルカ酸がさらに好ましい。例えば、ペンタグリセリンのオレイン酸エステル、デカグリセリンのオレイン酸エステル等を用いることができる。
【0016】
本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物に含有されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、特にこれに限定されるものではないが、油脂への溶解及び炊飯用油脂組成物の炊飯時の水への分散性の点からHLB4.0~9.0であることが好ましく、HLB6.0~8.0であることがより好ましい。なお、HLBとは、親水性疎水性バランス(Hydrophile Lipophile Balance)の略であって、乳化剤が親水性か親油性かを知る指標となるもので、0~20の値をとる。HLB値が小さい程、親油性が強いことを示す。本発明において、HLB値の算出はアトラス法の算出法を用いる。アトラス法の算出法は、
HLB=20×(1-S/A)
S:ケン化価
A:エステル中の脂肪酸の中和価
からHLB値を算出する方法を言う。以降、本明細書においてHLBという語は、上記アトラス法により算出されたHLBを意味するものとする。
【0017】
本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物は、特にこれに限定されるものではないが、食用油脂100質量部に対するポリグリセリン縮合リシノール酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量の合計が、0.3~10.0質量部であることが好ましく、0.7~8.0質量部であることがより好ましく、1.0~6.0であることがさらに好ましい。この範囲であれば、本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物を添加して炊飯した米飯を保存しても、保存後の米飯の食感の低下を一層抑制することができる。
【0018】
本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物は、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルに加え、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、及び、モノグリセリン脂肪酸エステルのうちの少なくとも1つを含有することができる。本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物における、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、及び、モノグリセリン脂肪酸エステルのうちの少なくとも1つの含有量は、特にこれに限定されるものではないが、食用油脂100質量部に対して、0.1~1.0質量部、好ましくは、0.2~0.8質量部、より好ましくは、0.4~0.6質量部である。この範囲であれば、本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物を添加して炊飯した米飯を保存しても、保存後の米飯の食感の低下を一層抑制することができる。
【0019】
本実施の形態に係る炊飯用油脂組成物は、上記成分以外にも、炊飯用油脂組成物に一般的に配合される原材料を使用することができる。具体的には、例えば、pH調整剤、調味剤、着色料、香料、酸化防止剤、糖類、糖アルコール類、安定剤、乳化剤等を使用することができる。これらの成分の量は、本実施の形態の効果を損なわない限り任意の量とすることができるが、例えば、炊飯用油脂組成物中に10質量%以下含有させることができ、好ましくは0~3質量%、より好ましくは0~1質量%含有させることができる。
【0020】
[飯類及びその製造方法]
本実施の形態の飯類は、上述の炊飯用油脂組成物を、「炊飯前の生穀類に対して、0.1~5質量%添加して炊飯した」ことを特徴とし、いわゆるプロダクトバイプロセスの形式で記述している(炊飯用油脂組成物中には、グリセリン脂肪酸エステルや植物油等の炊飯時の加熱により変性する成分を含んでおり、多数の微量成分が存在するため、保存後の米飯の食感の低下を抑制する成分の特定ができない。さらに、炊飯用油脂組成物の一部は、飯類の表面でなく、内部に染み込むと考えられるが、その程度が規程できない)。
【0021】
<炊飯前の生穀類>
本実施の形態で用いる生穀類として、米、粟、ひえ、キヌア、麦等、周知の生穀類を用いることができる。特に限定されるものではないが、粘着性を有する生米が50質量%以上の生穀類であることが好ましく、全てが生米であることがより好ましい。生米の種類や産地なども特に制限されない。例えば、ジャポニカ米、インディカ米、ジャバニカ米だけでなく、これらの交配品種等を用いることができる。また、生米の精米度合も特に制限されない。白米だけでなく、玄米、五分づき米、発芽玄米、無洗米なども本実施の形態で用いることができる。
【0022】
<炊飯>
本実施の形態では、前述の[炊飯用油脂組成物]で示した炊飯用油脂組成物を、炊飯前に、生穀類と水に添加する。生穀類と水と炊飯用油脂組成物の添加順序は、特に限定されない。添加後に撹拌してもかまわないが、生穀物が破損することがあるので、撹拌しないことが好ましい。
本実施の形態の飯類は、炊飯前の生穀類に対して、0.1~5質量%添加する。この範囲であれば、炊飯した米飯を保存しても、保存後の米飯の食感の低下を抑制することができる。より好ましくは、0.3~2質量%であり、より好ましくは、0.5~1.5質量%である。
炊飯時の、水量、加熱温度、加熱時間等は通常の炊飯と同様に行う。
【実施例】
【0023】
次に、実施例及び比較例を挙げ、本実施の形態を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。また。以下において「%」とは、特別な記載がない場合、質量%を示す。
【0024】
<炊飯用油脂組成物の製造>
食用油脂としては菜種油を用い、表1乃至5に示した配合に従って菜種油に所定の乳化剤を配合して、実施例1乃至20及び比較例1乃至7の炊飯用油脂組成物を調整した。尚、表1乃至5中の配合量は、菜種油100質量部に対する質量部で表した数値である。
【0025】
<使用原料>
食用油脂:菜種サラダ油(日清オイリオグループ株式会社製)
ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル:サンソフトNo.818H(太陽化学株式会社製、ヘキサグリセリン縮合リシノール酸エステル)、サンソフトNo.818JC(太陽化学株式会社製、トリグリセリン縮合リシノール酸エステル)、SYグリスターCR310(阪本薬品工業株式会社製、テトラグリセリン縮合リシノール酸エステル)、SYグリスターCRS-75(阪本薬品工業株式会社製、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル)
ポリグリセリン脂肪酸エステル:ポエムDO-100V(理研ビタミン株式会社製、ジグリセリンモノオレート、HLB7.0)、サンソフトA-173E(太陽化学株式会社製、ペンタグリセリントリオレート、HLB7.0)、サンソフトQ-175S(太陽化学株式会社製、デカグリセリンペンタオレート、HLB4.5)、サンソフトQ-18D(太陽化学株式会社製、ジグリセリンモノステアレート、HLB7.0)
ソルビタン脂肪酸エステル:サンソフトNo.81S(太陽化学株式会社製、ソルビタンモノオレート、HLB5.1)、サンソフトNo.61S(太陽化学株式会社製、ソルビタンモノステアレート、HLB5.0)、エマゾールL-10V(花王株式会社製、ソルビタンモノラウレート、HLB8.6)、ソルマンS-300(理研ビタミン株式会社製、ソルビタンモノステアレート、HLB8.0)
ショ糖脂肪酸エステル:リョートーシュガーエステルO-170(三菱ケミカルフーズ株式会社製、ショ糖オレイン酸エステル、HLB1)
モノグリセリン脂肪酸エステル:エマルジーMU(理研ビタミン株式会社製、蒸留モノグリセライド)
【0026】
<飯類の製造(炊飯)>
精白米の1.4倍量の水を精白米に加えて1時間浸漬させた後、得られた実施例1乃至20及び比較例1乃至7の炊飯用油脂組成物のそれぞれを、精白米100質量部に対して1.0質量部となるように添加し、よく攪拌した。その後、電気炊飯器にて炊飯することにより米飯を製造した。炊きあがり後、炊飯された米飯をバットに移し軽くほぐし、25℃で真空冷却した。
【0027】
<評価>
得られた米飯80g前後を、35mm三角型おにぎり成形器内に詰め、おにぎりを成形した。成形したおにぎりはラップで包み、10℃で1日(以下、「10℃ D+1」という)、又は、5℃で1日(以下、「5℃ D+1」という)保存した。保存後のおにぎりの食感を専門パネラー5名にて、以下の評価基準(5名の話し合い)により評価を実施した。尚、評価は、それぞれの温度で保存したおにぎりを、電子レンジ等で温めることなく、そのまま食することで行った。評価結果を表1乃至5に示す。
5:軟らかい
4:やや軟らかい
3:僅かに軟らかい
2:やや硬い
1:硬い
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
表1乃至5の結果から明らかなように、ポリグリセリン部分の重合度が所定の範囲内である特定のポリグリセリン縮合リシノール酸エステルと、ポリグリセリン部分の重合度が所定の範囲内である特定のポリグリセリン脂肪酸エステルとを一定量含有する炊飯用油脂組成物は、保存後の米飯の食感の低下を抑制することができる。