(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】試験測定プローブ・カプラ及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
G01R 1/07 20060101AFI20240129BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
G01R1/07
G01R31/28 L
(21)【出願番号】P 2018226565
(22)【出願日】2018-12-03
【審査請求日】2021-11-22
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョシア・エイ・バートレット
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-99887(JP,A)
【文献】特開2010-154230(JP,A)
【文献】特開2013-191682(JP,A)
【文献】特開2001-27662(JP,A)
【文献】特開2007-132734(JP,A)
【文献】特開2005-91127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/07
G01R 31/28-31/315
G01R 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験測定プローブ・カプラであって、
基板と、
該基板の第1面
の表面よりも凹んだ形状で上記第1面に設けられる凹部と、
該凹部内に設けられ、第1距離広がる第1信号タップ導体と、
該第1信号タップ導体に電気的に結合される第1信号コンタクトと、
上記基板の上記第1面
の上記表面に沿って第2距離広がり、上記第1信号タップ導体と実質的に平行で、上記第1信号タップ導体から第1横方向離れて配置される第1グラウンド・タップ導体と、
該第1グラウンド・タップ導体と電気的に結合される第1グラウンド・コンタクトと
を具え、
上記凹部は、上記試験測定プローブ・カプラを被試験デバイスに対して配置したときに、
上記被試験デバイスの目標トレースを収容し、上記第1信号タップ導体
を、上
記目標トレースと非接触で電磁気的に結合
可能にするように
形成される試験測定プローブ・カプラ。
【請求項2】
上記凹部内に上記目標トレースを
収容すると、上記第1信号タップ導体と上記目標トレースとを実質的に平行に揃えて配置できるよう上記
凹部が
形成される請求項1の試験測定プローブ・カプラ。
【請求項3】
上記基板の上記第1面
の上記表面に沿って第3距離広がる第2グラウンド・タップ導体と、
該第2グラウンド・タップ導体と電気的に結合される第2グラウンド・コンタクトと
を更に具え、
上記第2グラウンド・タップ導体は、上記第1信号タップ導体と実質的に平行であり、上記第1信号タップ導体から第2横方向離れて配置され、上記第1信号タップ導体の上記第2横方向は、上記第1信号タップ導体の上記第1横方向と反対方向である請求項1又は2の試験測定プローブ・カプラ。
【請求項4】
上記基板の上記第1面
の上記表面よりも凹んだ形状で上記第1面に設けられる第2凹部と、
該第2凹部内に設けられ、第4距離広がる第2信号タップ導体と、
該第2信号タップ導体に電気的に結合される第2信号コンタクトと
を更に具え、
上記第2信号タップ導体は、上記第1信号タップ導体と実質的に平行であり、上記第1信号タップ導体及び上記第1グラウンド・タップ導体の間に配置され、
上記第2凹部は、上記試験測定プローブ・カプラを上記被試験デバイスに対して配置したときに、
上記被試験デバイスの第2目標トレースを収容し、上記第2信号タップ導体
を、上
記第2目標トレースと非接触で電磁気的に結合
可能にするように
形成される請求項1から3のいずれかの試験測定プローブ・カプラ。
【請求項5】
上記第1信号コンタクト、上記第1グラウンド・コンタクト又は上記第2グラウンド・コンタクトが、上記第1面と対向する上記基板の第2面に配置される請求項3の試験測定プローブ・カプラ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかの試験測定プローブ・カプラを用いる方法であって、
上記被試験デバイスと部分的に接触させて上記試験測定プローブ・カプラを配置する処理と、
上記被試験デバイスの上記目標トレースの部分と非接触で実質的に平行に上記試験測定プローブ・カプラの上記第1信号タップ導体を揃える処理と、
試験測定システムによって上記第1信号タップ導体からの電気信号を捕捉する処理と
を具える試験測定プローブ・カプラの使用方法。
【請求項7】
上記第1信号タップ導体からの電気信号を捕捉する処理が、上記試験測定プローブ・カプラのコンタクトに試験測定プローブを接触させる処理を有する請求項6の試験測定プローブ・カプラの使用方法。
【請求項8】
上記試験測定システムによって上記第1信号タップ導体からの上記電気信号を分析し、上記被試験デバイスの上記目標トレース中の電気信号の電気特性を推定する処理と、
上記第1信号タップ導体からの上記電気信号を上記被試験デバイスの上記目標トレース中の上記電気信号の上記電気特性と相関させる処理と
を更に具える請求項6又は7の試験測定プローブ・カプラの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験測定システムに関し、特に、試験測定システムのための試験測定プローブ・カプラと、この試験測定プローブ・カプラの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オシロスコープのような試験測定装置のユーザは、回路基板のような被試験デバイス(DUT)を試験測定装置の入力部に接続し、DUTに生じている電気信号を視覚化し、測定を実行するのに、プローブを使うことが多い。ユーザは、例えば、金めっきパッドやめっきビアのような回路基板中の導電性の試験ポイントと、プローブの導電性チップとの間を物理的に接触させることによって、プローブとDUT上の試験ポイントの間の電気的接続を確立することが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】「電磁場解析」の記事、特に「電磁場解析ソフトウェア」の項、Wikipedia、[online]、[2018年12月1日検索]、インターネット<https://ja.wikipedia.org/wiki/電磁場解析>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、場合によっては、DUTのアクセスする導電性試験ポイントのない部分(例えば、半田マスクで覆われる回路基板トレースなど)を進む信号を検査する必要がある。
【0006】
従来のシステムの中には、伝送チャンネル中を伝播する信号の電圧又は電流を測定するのに、方向性カプラを利用するものがあるが、こうしたシステムでは、カプラを挿入するのに信号パスを切断するか、又は、DUTのチャンネル中にカプラを組み込む必要がある。
【0007】
そこで、本発明による実施形態は、従来技術のこうした課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下では、本願で開示される技術の説明に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0009】
実施例1としては、試験測定プローブ・カプラがあり、基板と、該基板に沿って第1距離広がる第1信号タップ導体と、該第1信号タップ導体に電気的に結合される第1信号コンタクトと、上記基板に沿って第2距離広がり、上記第1信号タップ導体と実質的に平行で、上記第1信号タップ導体から第1横方向離れて配置される第1グラウンド・タップ導体と、該第1グラウンド・タップ導体と電気的に結合される第1グラウンド・コンタクトとを具えている。
【0010】
実施例2としては、実施例1のプローブ・カプラがあり、このとき、上記基板には、チャンネルがあり、上記第1信号タップ導体の上記第1距離は、上記チャンネルの範囲内である。ここで、チャンネルとは、信号伝送路であり、溝又は凹部構造体でもある。
【0011】
実施例3としては、実施例1又は2のプローブ・カプラがあり、このとき、上記第1信号タップ導体は、上記基板の一端部まで広がって、上記第1信号コンタクトに物理的に接続される。
【0012】
実施例4としては、実施例1から3のいずれかのプローブ・カプラがあり、このとき、上記基板を通過して延び、上記第1信号タップ導体を上記第1信号コンタクトに電気的に結合するビア(VIA)を更に具えている。
【0013】
実施例5としては、実施例1から4のいずれかのプローブ・カプラがあり、このとき、上記第1グラウンド・タップ導体は、上記基板の一端部まで広がって、上記第1グラウンド・コンタクトに物理的に接続される。
【0014】
実施例6としては、実施例1から5のいずれかのプローブ・カプラがあり、上記基板を通過して延び、上記第1グラウンド・タップ導体を上記第1グラウンド・コンタクトに電気的に結合するビアを更に具えている。
【0015】
実施例7としては、実施例1から6のいずれかのプローブ・カプラがあり、このとき、上記基板に沿って第3距離広がる第2グラウンド・タップ導体と、該第2グラウンド・タップ導体と電気的に結合される第2グラウンド・コンタクトとを更に具え、上記第2グラウンド・タップ導体は、上記第1信号タップ導体と実質的に平行であり、上記第1信号タップ導体から第2横方向離れて配置され、上記第1信号タップ導体の上記第2横方向は、上記第1信号タップ導体の上記第1横方向と反対である。
【0016】
実施例8としては、実施例7のプローブ・カプラがあり、このとき、上記第2グラウンド・タップ導体は、上記基板の一端部まで広がって、上記第2グラウンド・コンタクトに物理的に接続される。
【0017】
実施例9としては、実施例7又は8のプローブ・カプラがあり、上記基板を通過して延び、上記第2グラウンド・タップ導体を上記第2グラウンド・コンタクトに電気的に結合するビアを更に具えている。
【0018】
実施例10としては、実施例1から9のいずれかのプローブ・カプラがあり、上記基板に沿って第4距離広がる第2信号タップ導体と、該第2信号タップ導体に電気的に結合される第2信号コンタクトとを更に具え、上記第2信号タップ導体は、上記第1信号タップ導体と実質的に平行であり、上記第1信号タップ導体及び上記第1グラウンド・タップ導体の間に配置される。
【0019】
実施例11としては、実施例10のプローブ・カプラがあり、このとき、上記第2信号タップ導体は、上記基板の一端部まで広がって、上記第2信号コンタクトに物理的に接続される。
【0020】
実施例12としては、実施例10又は11のプローブ・カプラがあり、上記基板を通過して延び、上記第2信号タップ導体を上記第2信号コンタクトに電気的に結合するビアを更に具えている。
【0021】
実施例13としては、実施例10から12のいずれかのプローブ・カプラがあり、上記基板に沿って第3距離広がる第2グラウンド・タップ導体と、該第2グラウンド・タップ導体と電気的に結合される第2グラウンド・コンタクトとを更に具え、上記第2グラウンド・タップ導体は、上記第1信号タップ導体と実質的に平行で、上記第1信号タップ導体から第2横方向離れて配置され、上記第1信号タップ導体の上記第2横方向は、上記第1信号タップ導体の上記第1横方向と反対である。
【0022】
実施例14としては、試験測定プローブ・カプラを用いる方法があり、上記試験測定プローブ・カプラは、基板と、該基板に沿って第1距離広がる第1信号タップ導体と、上記基板に沿って第2距離広がり、上記第1信号タップ導体と実質的に平行で、上記第1信号タップ導体から第1横方向離れて配置される第1グラウンド・タップ導体とを有し、上記方法は、被試験デバイス(DUT)に接触させて上記プローブ・カプラを配置する処理と、上記DUTの目標トレースの部分と実質的に平行に上記試験測定プローブ・カプラの上記第1信号タップ導体を揃える処理と、試験測定システムによって上記第1信号タップ導体からの電気信号を捕捉する処理とを具えている。
【0023】
実施例15としては、実施例14の方法があり、上記第1信号タップ導体からの電気信号を捕捉する処理は、上記試験測定プローブ・カプラのコンタクトに試験測定プローブを接触させる処理を含んでいる。
【0024】
実施例16としては、実施例14又は15の方法があり、上記第1信号タップ導体は、上記DUTの上記目標トレースに直接的には接触していない(例えば、目標トレースが被覆されているか、又は、第1信号タップ導体が被覆されているので)。
【0025】
実施例17としては、実施例14から16のいずれかの方法があり、上記DUTの上記目標トレース中の電気信号の電気特性を推量するために、上記試験測定システムによって上記第1信号タップ導体からの上記電気信号を分析する処理を更に具えている。
【0026】
実施例18としては、実施例17の方法があり、上記電気信号を分析する処理が、上記第1信号タップ導体からの上記電気信号を上記DUTの上記目標トレース中の上記電気信号の上記電気特性と相関させる処理を含んでいる。
【0027】
実施例19としては、実施例14から18のいずれかの方法があり、このとき、上記第1信号タップ導体が、ある程度導電性のフィルムに覆われており、このある程度導電性のフィルムは、上記DUTの上記目標トレースに接触し、上記DUTの上記目標トレース中の上記電気信号に関する低周波数信号パスを生じる(提供する)。
【0028】
実施例20としては、実施例14から16のいずれかの方法があり、このとき、プローブ・カプラが、上記基板に沿って第4距離広がり、上記第1信号タップ導体と実質的に平行であり、上記第1信号タップ導体及び上記第1グラウンド・タップ導体の間に配置される第2信号タップ導体を更に具え、上記方法が、上記プローブ・カプラの上記第2信号タップ導体を上記DUTの第2目標トレースの一部分と実質的に平行に揃える処理と、上記試験測定システムによって上記第2信号タップ導体からの電気信号を捕捉する処理と、上記DUTの上記第2目標トレース中の電気信号の電気特性を推量するために、上記試験測定システムによって上記第2信号タップ導体からの上記電気信号を分析する処理とを更に具えている。
【0029】
本発明の実施形態の態様、特徴及び効果は、添付の図面を参照し、以下の実施形態の説明を読むことで明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による試験測定プローブ・カプラの上側又はプローブ側の部分を示す等角図である。
【
図2】
図2は、
図1の試験測定プローブ・カプラの底面側又はDUT側の部分を示す等角図である。
【
図3】
図3は、単純化した例示的なDUTの目標トレース上に配置された
図1のプローブ・カプラを示す等角図である。
【
図4】
図4は、
図3のようにアレンジされたDUT128及びプローブ・カプラ100の間の結合状態の例を示す。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態による試験測定プローブ・カプラの底面側又はDUT側の部分を示す等角図である。
【
図6】
図6は、単純化した例示的なDUTの1対の目標トレース上に配置された
図5のプローブ・カプラを示す等角図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態による試験測定プローブ・カプラの上側又はプローブ側の部分を示す等角図である。
【
図9】
図9は、例示的な試験測定装置に接続された例示的な試験測定プローブ・カプラを示す。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態による試験測定プローブ・カプラを利用する方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本願で説明するように、本発明の実施形態は、印刷回路基板(PCB)又はハイブリッド集積回路のような構造に沿って進む高速な信号を、例えば、プロービングすることによって、捕捉することを可能にするもので、このとき、物理的な接触や信号パスの切断などを必要としない。そうするために、本発明の実施形態には、プローブ・カプラが含まれ、これは、方向性カプラの対の片方として使用され、このとき、方向性カプラの対の他方がDUT中の目標のトレースとなる。加えて、本発明の実施形態としては、DUT中の目標トレース中の信号を、プローブ・カプラ中の信号に対して相関させるか又は校正する方法もある。
【0032】
図1は、本発明の実施形態による試験測定プローブ・カプラの上側又はプローブ側の部分を示す等角図である。
図2は、
図1の試験測定プローブ・カプラの底面側又はDUT側の部分を示す等角図である。
図1及び2に図示すように、プローブ・カプラ100には、基板101、第1信号タップ導体102、第1信号コンタクト103、第1グラウンド・タップ導体104、第1グラウンド・コンタクト105、第2グラウンド・タップ導体106及び第2グラウンド・コンタクト107があっても良い。プローブ・カプラ100は、後述のように、DUTの被測定トレース上に配置されるように構成される。
【0033】
基板101には、第1面108と、第1面108と対向する又は背中合わせの(反対側の)第2面109があっても良い。第1面108は、底面又はDUT側面としても良い一方、第2面109は、上面又はプローブ側面としても良い。基板101は、例えば、実質的に平面(planar)であっても良い。基板101は、例えば、セラミック厚膜構造体であっても良い。本願で使用されるように、「実質的に平面」とは、完璧な平面性を必要としないものの、大部分又は基本的に平面であることを意味する。
【0034】
第1信号タップ導体102は、基板101に沿った(例えば、基板101の第1面108に沿った)第1距離(長さ又は全長)110だけ広がっている(延びている)。図示のように、第1距離110は、第1信号タップ導体102の長手方向の基板101の長さであっても良い。第1信号タップ導体102は、絶縁フィルムで被覆されていても良いし、又は、ある程度導電性(100パーセント絶縁ではない)のフィルムで被覆されていても良い。第1信号タップ導体102は、PCB128の目標トレース122(
図3参照)で流れる信号のような、DUT中の関心のある信号に電気的又は電磁気的に結合されるよう構成される。第1信号コンタクト103は、基板101の第2面109上にあっても良く、第1信号タップ導体102に電気的に結合される。第1信号コンタクト103は、
図1に図示するように、信号コンタクト・プレートであっても良いが、他の構成を第1信号コンタクト103として使用しても良い。
【0035】
実施形態では、第1信号タップ導体102が、基板101の一方の端部(第1端部)付近まで延び、第1信号コンタクト103に物理的に接続される導電性端部キャップ111を形成しても良い。実施形態では、
図1に示されるように、第1信号タップ導体102が、基板101の第2端部(第2端部は、第1端部の反対側)付近まで延び、もう1つの第1信号コンタクト103に物理的に接続される、もう1つの導電性端部キャップ111を形成しても良い。実施形態では、ビア112(
図7及び8参照)が、基板101を通って延び、第1信号タップ導体102を第1信号コンタクト103に電気的に結合しても良い。
【0036】
第1グラウンド・タップ導体104は、基板101に沿って(例えば、基板101の第1面108に沿って)第2距離(長さ)113だけ広がっている。図示のように、第2距離113は、第1グラウンド・タップ導体104の長手方向の基板101の長さであっても良い。第1グラウンド・タップ導体104は、第1信号タップ導体102と実質的に平行であっても良く、第1信号タップ導体102から第1横方向114だけ離れて配置されても良い。この開示で使用されているように、「実質的に平行」とは、完全な平行度は必要としないものの、全ての点において、大部分は又は基本的に等距離を意味する。この構成の例が、
図2に示される。第1グラウンド・コンタクト105は、基板101の第2面109上にあっても良く、第1グラウンド・タップ導体104に電気的に結合される。第1グラウンド・タップ導体104は、PCB128のグラウンド面115(
図3参照)のようなDUTのグラウンドに結合するよう構成される。第1グラウンド・コンタクト105は、
図1に示すようなグラウンド・コンタクト面であるか又はグラウンド・コンタクト面を含んでも良し、他の構成を第1グラウンド・コンタクト105に用いても良い。
【0037】
実施形態では、第1グラウンド・タップ導体104は、基板101の一端部(第1端部)付近まで延び、第1グラウンド・コンタクト105に物理的に接続される導電性端部キャップ116を形成しても良い。実施形態では、
図1に示すように、第1グラウンド・タップ導体104は、基板101の第2端部(第2端部は、第1端部の反対側)付近まで延び、もう1つの第1グラウンド・コンタクト105に物理的に接続される、もう1つの導電性端部キャップ116を形成しても良い。実施形態では、ビア112(
図7及び8参照)が、基板101を通って延び、第1グラウンド・タップ導体104を第1グラウンド・コンタクト105に電気的に結合しても良い。
【0038】
第2グラウンド・タップ導体106は、基板101に沿って(例えば、基板101の第1面108に沿って)第3距離(長さ)117だけ広がっている。図示のように、第3距離117は、第2グラウンド・タップ導体106の長手方向の基板101の長さであっても良い。第2グラウンド・タップ導体106は、第1信号タップ導体102と実質的に平行であっても良く、第1信号タップ導体102から第2横方向118だけ離れて配置されても良い。第1信号タップ導体102の第2横方向118は、第1信号タップ導体102の第1横方向114と反対である。この構成の例が、
図2に示される。例えば、
図2に示されるように、第1横方向114は、第1信号タップ導体102の左側であっても良く、第2横方向118は、第1信号タップ導体102の右側であっても良い。「左」及び「右」は、便宜上、
図2で生じる見え方を基準にして使用されるものである。しかし、開示される技術は、実際の使用では、多数の方向付けがあり得る。
【0039】
第2グラウンド・コンタクト107は、基板101の第2面109上にあっても良く、第2グラウンド・タップ導体106に電気的に結合される。第2グラウンド・コンタクト107は、プローブ・カプラ100のグラウンドを、PCB128のグラウンド面115(
図3参照)のようなDUTのグラウンドに結合するよう構成される。第2グラウンド・コンタクト107は、
図1に示すようなグラウンド・コンタクト面を含んでも良いが、他の構成を第2グラウンド・コンタクト107に用いても良い。
【0040】
実施形態では、第2グラウンド・タップ導体106は、基板101の一端部(第1端部)付近まで延び、第2グラウンド・コンタクト107に物理的に接続される導電性端部キャップ119を形成しても良い。実施形態では、
図1に示すように、第2グラウンド・タップ導体106は、基板101の第2端部(第2端部は、第1端部の反対側)付近まで延び、もう1つの第2グラウンド・コンタクト107に物理的に接続される、もう1つの導電性端部キャップ119を形成しても良い。実施形態では、ビア112(
図7及び8参照)が、基板101を通って延び、第2グラウンド・タップ導体106を第2グラウンド・コンタクト107に電気的に結合しても良い。
【0041】
実施形態では、基板101が、チャンネル(Channel:電気的には信号伝送路であり、メカ的には溝又は凹部構造)120、例えば、基板101の第1面108中にチャンネル
120を有していても良い。1例が
図2に示されている。そのため、第1信号タップ導体102の第1距離110は、チャンネル120の範囲内となる。マイナスZ方向121(基板101の第1面108に垂直)のチャンネル120の深さは、第1信号タップ導体102のマイナスZ方向121における厚さよりも大きい。結果として、第1信号タップ導体102は、基板101の第1面108の表面より下へ凹んでいても良い。第1信号タップ導体102が基板101の第1面108の表面より下へ凹んでいる場合、この凹みは、
図3に示すように、DUTの目標のトレース122を収容するのに十分な深さとしても良い。別の実施形態では、チャンネル120内に第1信号タップ導体102を配置させるのではなく、代わりに、第1グラウンド・タップ導体104や第2グラウンド・タップ導体106の厚さを増加させたり、第1及び第2グラウンド・タップ導体104及び106を配置する基板部分の厚さを増加させて、目標トレース122の厚さよりも大きくすることによって、DUTの目標トレース122を第1信号タップ導体102の下に収容しても良い。
【0042】
図3は、単純化したDUT128の目標トレース122上に配置された
図1のプローブ・カプラ100を示す等角図である。図示のように、目標トレース122は、他の構成でも良いが、8ミル(約0.2ミリ・メータ)幅のトレースであっても良く、DUTのグラウンド面115より上に5ミル(約0.13ミリ・メータ)の高さがある(1ミル=1/1000インチ=0.0254mm)。例えば、グラウンド面115は、目標トレース122と平行で同一面上にある複数のグラウンド面から構成されても良い。目標トレース122は、また、フィルム(薄膜)又はポリアミド半田マスクのような半田マスク123で覆われていても良い。上述のように、DUT128は、PCB若しくはハイブリッド集積回路であるか、又は、PCB若しくはハイブリッド集積回路を含んでいても良い。
【0043】
図4は、
図3のようにアレンジされたDUT128及びプローブ・カプラ100の間の結合状態の例を示す。「dB(St(trace_T1,trace_T2))」と名付けられた曲線130は、DUT(つまり、PCB128)上にプローブ・カプラ100を配置した後のトレースの挿入損失である。「dB(St(signalPad_T1,trace_T2))」と名付けられた曲線131は、トレース・ポート2及びプローブ信号パッド・ポート1の間で結合されるエネルギーである。「dB(St(signalPad_T1,trace_T1))」と名付けられた曲線132は、トレース・ポート1及びプローブ信号パッド・ポート1の間で結合されるエネルギーである。
【0044】
図5は、本発明の実施形態による試験測定プローブ・カプラの底面側又はDUT側の部分を示す等角図である。
図6は、単純化したDUTの1対の目標トレース122及び129上に配置された
図5のプローブ・カプラを示す等角図である。
図5及び6のプローブ・カプラ500は、以下で説明することを除けば、
図1及び2のプローブ・カプラ100と同一である。よって、プローブ・カプラ500には、基板101、第1信号タップ導体102、第1信号コンタクト103、第1グラウンド・タップ導体104、第1グラウンド・コンタクト105、第2グラウンド・タップ導体106及び第2グラウンド・コンタクト107があっても良い。これらの夫々は、
図1及び2に関して上述されている。
図5及び6に示すように、プローブ・カプラ500には、更に、第2信号タップ導体124及び第2信号コンタクト125があっても良い。
【0045】
第2信号タップ導体124は、基板101に沿って(例えば、基板101の第1面108に沿って)第4距離(長さ)126だけ広がっている。図示のように、第4距離126は、第2信号タップ導体124の長手方向の基板101の長さであっても良い。第2信号タップ導体124は、第1信号タップ導体102と実質的に平行であっても良く、また、第1信号タップ導体102と第1グラウンド・タップ導体104の間に存在しても良い。第2信号タップ導体124は、絶縁フィルムで被覆されていても良いし、又は、ある程度導電性のフィルムで被覆されていても良い。第2信号タップ導体124は、PCB128の第2目標トレース129(
図6参照)で流れる信号のような、DUT中の関心のある第2信号に結合されるよう構成される。これに代えて、第1信号タップ導体102及び第2信号タップ導体124の両方が、目標トレース122及び129の両方で流す関心のある差動信号に結合されるように構成されても良い。第2信号コンタクト125は、基板101の第2面109上にあっても良く、第2信号タップ導体124に電気的に結合される。第2信号コンタクト125には、
図6に示すように、信号コンタクト面があっても良いが、第2信号コンタクト125として他の構成が用いられても良い。
【0046】
実施形態では、第2信号タップ導体124が、基板101の一方の端部(第1端部)付近まで延び、第2信号コンタクト125に物理的に接続される導電性端部キャップ127を形成しても良い。実施形態では、
図6に示されるように、第2信号タップ導体124が、基板101の第2端部(第2端部は、第1端部の反対側)付近まで延び、もう1つの第2信号コンタクト125に物理的に接続される、もう1つの導電性端部キャップ127を形成しても良い。実施形態では、ビア112(
図7及び8参照)が、基板101を通って延び、第2信号タップ導体124を第2信号コンタクト125に電気的に結合しても良い。
【0047】
よって、
図5及び6のプローブ・カプラ500は、DUT上の差動信号を測定したり、複数トレースを測定するのに利用できる。目標トレース122は、広い側がその対応する信号タップ導体(
図5及び6の例では、第1信号タップ導体102)と結合されており、この対が結合状態において支配的である。言い換えると、この対(第1信号タップ導体102及び目標トレース122)に由来する信号は、第2信号タップ導体124と第2目標トレース129との間の信号よりも、強力である。その他の反対トレース(
図6の例では、目標トレース129)のクロストーク結合は、測定できるか又は計算でき、そして、対称であると推定して、例えば、MIMO(multiple-input and multiple-output)補正係数を利用して、測定値から除去できる。
図5及び6に図示する例示的なプローブ・カプラ500は、グラウンド・信号・信号・グラウンド(GSSG:ground-signal-signal-ground)構成のDUTの複数の目標トレースに結合するように構成されるが、他の実施形態では、信号・グラウンド・グラウンド・信号(SGGS:signal-ground-ground-signal)構成、グラウンド・信号・グラウンド・信号・グラウンド(GSGSG:ground-signal-ground-signal-ground)構成、又は他の構成中の複数の目標トレースに結合するように構成されても良い。
【0048】
図7は、本発明の実施形態による試験測定プローブ・カプラの上側又はプローブ側の部分を示す等角図である。
図8は、
図7に示された線に沿った断面図である。
図1から3のプローブ・カプラ100に関して説明するが、
図7及び8の説明は、
図5及び6のプローブ・カプラ500にも等しく適用される。具体的には、
図1から6に示す端部キャップ111、116及び119に加えて又は代えて、基板101は、1つ以上のビア112を含んでいても良い。ビア112は、基板101を通って延び、第1信号タップ導体102、第1グラウンド・タップ導体104及び第2グラウンド・タップ導体106の1つ以上を、夫々対応する第1信号コンタクト103、第1グラウンド・コンタクト105及び第2グラウンド・コンタクト107に電気的に結合する。
【0049】
図7及び8は、1つの信号タップ導体を有する実施形態を示しているが、
図5及び6に示す第2信号タップ導体124のような、追加の信号タップ導体を有する実施形態が、同様に、基板101を通って延びる1つ以上のビア112を有し、第2信号タップ導体124を第2信号コンタクト125に電気的に結合しても良い。
【0050】
実施形態では、
図1から3のプローブ・カプラ100と、
図5及び6のプローブ・カプラ500は、プローブ装置によって接触される(プローブされる)ように構成されるか、又は、それ自身がプローブの一部分であっても良い。
【0051】
図9は、例示的な試験測定装置133に接続された例示的な試験測定プローブ・カプラ100を示す。プローブ・カプラ100は、プローブ・カプラ100の後ろから描かれている。
図9に示されるように、プローブ・カプラ100は、例えば、磁気クランプ134によってDUT128に取り付けられる。プローブ・カプラ100は、また、例えば、コネクタ135及びケーブル136によってDUT128に取り付けられる。
図9は、
図1から3のプローブ・カプラ100を描いているが、
図5及び6のプローブ・カプラ500も、同様に試験測定装置133に接続できる。
【0052】
図10は、本発明の実施形態による試験測定プローブ・カプラ100、500を利用する例示的な方法を示す。
図10に示されるように、プローブ・カプラ100、500を利用する方法1000には、次の処理を含んでいても良い。ステップ1001では、プローブ・カプラ100、500を配置して被試験デバイス(DUT)と接触させる。ステップ1002では、プローブ・カプラ100、500の第1信号タップ導体102を、DUTの目標トレース122と実質的に平行に揃える。ステップ1003では、試験測定装置によって、第1信号タップ導体102からの電気信号を捕捉する。ステップ1005では、試験測定装置によって、第1信号タップ導体102からの電気信号を分析し、DUTの目標トレース122中の電気信号の電気特性を推測(infer:推量、推定)する。電気特性は、例えば、電気信号の電圧、電流、周波数又はエネルギーの中の1つ以上であっても良い。
【0053】
第1信号タップ導体102が、目標トレース122と実質的に平行に揃っている場合、第1信号タップ導体102は、目標トレース122と直接的に接触していなくても良い。これは、例えば、目標トレース122が半田マスク123又は同様の被覆で覆われていることがあるためであったり、又は、目標トレース122と第1信号タップ導体102との間に隙間(ギャップ)があるためである。更には、本発明の実施形態としては、上述のように、第1信号タップ導体102が絶縁フィルムで被覆された実施形態もあり得るからである。
【0054】
第1信号タップ導体102からの電気信号を捕捉する処理1003には、プローブ・カプラ100、500の1つ以上のコンタクト(接触子)に試験測定プローブを接触させる処理を含んでいても良い。これらコンタクトは、例えば、上述の
図1から7で説明した第1信号コンタクト103、第2信号コンタクト125、第1グラウンド・コンタクト105及び第2グラウンド・コンタクト107であっても良い。
【0055】
この方法は、また、第1信号タップ導体102からの電気信号を捕捉する処理1003又は分析する処理1005の後に、DUTからプローブ・カプラ100、500を取り外す処理1006をオプションで含んでいても良い。即ち、DUTを非動作状態にして、DUTにダメージを与えることなくプローブ・カプラ100、500をDUTから取り外すか、又は、DUTの後ろ側にプローブ・カプラ100、500の一部を残したままとしても良い。
【0056】
この方法は、また、第1信号タップ導体102からの電気信号を、DUTの目標トレース122中の電気信号の電気特性に対して校正する処理1004をオプションで含んでいても良い。この校正処理1004は、例えば、以下の手法の1つ以上を利用しても良い。
【0057】
(a)DUT-プローブ対の電磁気的シミュレーション:材料の特性の知識と、3D又は2.5Dの電磁場解析ソフトウェア(electromagnetic field solver:非特許文献1参照)とを用いて、プローブ・カプラとDUTの目標トレースをシミュレーションする。
【0058】
(b)DUT-プローブ対の部分的測定:DUTにプローブ・カプラが設置された場合と設置されない場合の両方について、プローブ・カプラのスルー・パス(through path)及び反射パスの時間又は周波数領域測定により、結合状態を推量する。回路は線形なので、DUTトレースに結合されたトレースと比較して、このトレースに沿って伝搬されるエネルギーを求めるのに反射率測定手法(reflectometry techniques)を利用でき、また、位置的/相対的インピーダンス測定手法(positional/relative impedance measurement techniques)で、カプラ(coupler:結合)部分の自己容量及び相互容量並びに自己インダクタンス及び相互インダクタンスを規定できる。カプラのサイズ及び材料の境界条件(boundary condition)は、問題を解析的に解くのに利用できる。
【0059】
(c)DUT-プローブ対へ測定を移動する:DUTと材料的及びサイズ的に同じ校正用回路基板(これは、フィクスチャ(プローブ固定装置)も兼ねる)を使用する。校正用回路基板に複数の試験信号を印可し、試験測定装置でそれらの結果を測定し、それらの測定値に補正係数を適用する。次いで、プローブをDUTへと配置換えし、測定を繰り返す。
【0060】
他の校正手法も用いることができる。加えて、
図10に示す校正処理1004は、処理1003で電気信号を捕捉する度に毎回実行する必要はない。むしろ、校正処理1004は、連続する複数の信号捕捉処理の間に1回又は所定回数毎に1回周期的に実行しても良い。
【0061】
電気信号を分析する処理1005は、第1信号タップ導体102からの電気信号を、DUTの目標トレース122中の電気信号の電気特性と相関させる処理を含んでいても良い。この相関処理は、例えば、上述の校正手法を用いても良い。
【0062】
図1から3を参照すると、方法1000のプローブ・カプラ100、500には、第1面108及びこの第1面108の反対側の第2面109を有する基板101と、基板101の第1面108に沿って第1距離110だけ延びる第1信号タップ導体102と、基板101の第1面108に沿って第2距離113だけ延びる第1グラウンド・タップ導体104とがあっても良く、この第1グラウンド・タップ導体104は、第1信号タップ導体102と実質的に平行で、第1信号タップ導体102から第1横方向114だけ離れて配置される。これらの夫々は、上述したようなものである。
【0063】
方法1000のプローブ・カプラ100、500には、また、基板101の第1面108に沿って第3距離117だけ延びる第2グラウンド・タップ導体106があっても良く、この第2グラウンド・タップ導体106は、第1信号タップ導体102と実質的に平行で、第1信号タップ導体102から第2横方向118だけ離れて配置される。第1信号タップ導体102の第2横方向118は、第1信号タップ導体102の第1横方向114と反対の方向である。これらの夫々は、上述したようなものである。
【0064】
方法1000のプローブ・カプラ100、500には、更に、基板101の第1面108に沿って第4距離126だけ延びる第2信号タップ導体124があっても良く、この第2信号タップ導体124は、第1信号タップ導体102と実質的に平行で、第1信号タップ導体102と第1グラウンド・タップ導体104の間に配置される。これらの夫々は、上述したようなものである。こうした実施形態では、方法1000には、更に、プローブ・カプラ500の第2信号タップ導体124をDUTの第2目標トレース129に実質的に平行に揃える処理と、試験測定装置によって第2信号タップ導体124からの電気信号を捕捉する処理と、試験測定装置によって第2信号タップ導体124からの電気信号を分析し、DUTの第2目標トレース129中の電気信号の電気特性を推定する処理とがあっても良い。第1信号タップ導体102に関して上述のように、第2信号タップ導体124は、第2目標トレース129と接触していなくても良い。
【0065】
上述のように、第1信号タップ導体102及び第2信号タップ導体124の夫々は、絶縁フィルムで覆われているか、又は、ある程度導電性のフィルムで覆われていても良い。もし、ユーザが、例えば、DUTの目標トレース122中の電気信号の低周波数を取り出したいなら、このフィルムは、電気信号の直流(DC)及び低周波数(LF)成分を通過させて、DC/LF信号パスを生じるような適度に導電性のあるもので形成すると良い。これに代えて、第2信号パス(例えば、スプリット信号パス)を用いて、低周波数を取り出すようにしても良い。
【0066】
結果として、本発明の実施形態は、方向性カプラの対の一方として利用できるプローブ・カプラを提供することで、信号パスに物理的に接触したり、信号パスを切断することなく、印刷回路基板(PCB)、ハイブリッド集積回路又は同様の構造体から信号を捕捉することが可能になる。DUT中の目標トレースは、方向性カプラの対の他方として機能する。このようにして、本発明の実施形態をDUTに付加することで、所望の信号を捕捉でき、次いで、DUTにダメージを与えることなくDUTから取り外すか、又は、DUTの裏側のプローブ・カプラの一部を残したままとしても良い。次いで、プローブ・カプラは、別の信号を調べるために、DUTの別の目標トレースに直ちに適用できる。
【0067】
本発明の実施例は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本発明の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。一般に、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本発明の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0068】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含むことができる。
【0069】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Versatile Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は排除される。
【0070】
通信媒体は、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含むことができる。
【0071】
開示された主題の上述のバージョンは、記述したか又は当業者には明らかであろう多くの効果を有する。それでも、開示された装置、システム又は方法のすべてのバージョンにおいて、これらの効果又は特徴のすべてが要求されるわけではない。
【0072】
加えて、本願の記述は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例の状況において開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例の状況においても利用できる。
【0073】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
【0074】
更に、用語「を具える(comprises)」及びその文法的に等価なものは、本願において、他のコンポーネント(components)、機能(features)、ステップ、処理(processes)、工程(operations)がオプションで存在することを示すのに使用される。例えば、コンポーネントA、B及びC「を具える(comprising)」又は「何かが」コンポーネントA、B及びC「を具える(which comprises)」という条件は、コンポーネントA、B及びCだけを含んでも良いし、又は、コンポーネントA、B及びCと共に1つ以上の他のコンポーネントを含んでいても良い。
【0075】
また、「左」、「右」、「上(top)」、「下(bottom:底)」のような方向が、便宜上、図面で提供される図に関連して使用されている。しかし、開示技術は、実際の使用においては、多数の方向があり得る。よって、図面における上面上又は底面上という特性は、実際の使用においては、同じ向き又は方向ではないことがある。
【0076】
説明の都合上、本発明の具体的な実施例を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を除いて限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0077】
100 試験測定プローブ・カプラ
101 基板
102 第1信号タップ導体
103 第1信号コンタクト
104 第1グラウンド・タップ導体
105 第1グラウンド・コンタクト
106 第2グラウンド・タップ導体
107 第2グラウンド・コンタクト
108 基板の第1面(底面又はDUT側面)
109 基板の第2面(上面又はプローブ側面)
110 第1距離(長さ又は全長)
111 導電性端部キャップ
112 ビア(VIA)
113 第2距離(長さ又は全長)
114 第1横方向
115 PCBのグラウンド面
116 導電性端部キャップ
117 第3距離(長さ又は全長)
118 第2横方向
119 導電性端部キャップ
120 チャンネル
121 下向きで第1面108に垂直な方向(マイナスZ方向)
122 目標のトレース
123 フィルム又は半田マスク
124 第2信号タップ導体
125 第2信号コンタクト
126 第4距離(長さ又は全長)
127 導電性端部キャップ
128 印刷回路基板
129 第2目標トレース
133 試験測定装置
134 磁気クランプ
135 コネクタ
136 ケーブル
500 プローブ・カプラ