(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H02N 11/00 20060101AFI20240129BHJP
【FI】
H02N11/00 A
(21)【出願番号】P 2020150032
(22)【出願日】2020-09-07
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】町田 洋弘
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-097457(JP,A)
【文献】特開2011-115036(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0047927(KR,A)
【文献】特開2019-085989(JP,A)
【文献】特開2016-208834(JP,A)
【文献】国際公開第2017/046996(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/129212(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/087451(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111416549(CN,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0303694(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
F28D 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を受光する受光部と、
前記受光部から熱を入力するとともに、ループ状の流路内に作動流体が封入されたループ型ヒートパイプと、
前記ループ型ヒートパイプの温度差を電力に変換する熱電変換素子と、を有し、
前記ループ型ヒートパイプは、平面視においてループ状の構造をなすループ構造を有しており、
前記ループ型ヒートパイプは、
前記受光部から入力される熱によって前記作動流体を気化させる蒸発器と、
前記作動流体を液化する凝縮器と、
前記蒸発器と前記凝縮器とを接続する液管と、
前記蒸発器と前記凝縮器とを接続する蒸気管と、を有し、
前記ループ型ヒートパイプは、第1外層金属層と、第2外層金属層と、前記第1外層金属層と前記第2外層金属層との間に設けられた中間金属層と、を有し、
前記熱電変換素子は、前記ループ構造の内側に配置されており、
前記ループ型ヒートパイプは、
前記蒸気管における前記第1外層金属層を含む前記蒸気管の厚さ方向の一部が前記ループ構造の内側に向かって延長され
て形成された高温側延長部と、
前記液管における前記第2外層金属層を含む前記液管の厚さ方向の一部が前記ループ構造の内側に向かって延長され
て形成された低温側延長部と、を有し、
前記熱電変換素子は、前記高温側延長部と前記低温側延長部との間に挟まれており、
前記高温側延長部は、前記熱電変換素子の第1面に接触され、
前記低温側延長部は、前記熱電変換素子の前記第1面とは反対側の第2面に接触される電子機器。
【請求項2】
前記受光部は、
前記太陽光を集光する集光部と、
前記集光部を介して前記太陽光を受光する蓄熱材と、を有する請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記熱電変換素子で生成された前記電力を充電するバッテリと、
前記電力を外部機器に供給する外部ポートと、を更に有する請求項1又は請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記中間金属層は、複数の金属層が積層された構造を有し、
前記高温側延長部は、前記
蒸気管における前記第1外層金属層と、前記
蒸気管における前記複数の金属層のうち一部の金属層とが延長されて形成されている請求項
1から請求項3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記低温側延長部の外面は、複数の凹部を有している請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記熱電変換素子は、前記ループ構造の内側において、前記高温側延長部の長さが前記低温側延長部の長さよりも短くなるように配置されている請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発熱源の熱を利用して発電する電子機器が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の電子機器では、ループ状の流路内に作動流体が封入されたループ型ヒートパイプによって発熱源の熱を熱電変換素子の一方の面に移動させて、熱電変換素子の一方の面を昇温させるとともに、作動流体を低温状態とした後に熱電変換素子の他方の面に移動させて熱電変換素子の他方の面を冷却させる。これにより、熱電変換素子の一方の面と他方の面との間に生じた温度差を利用して熱電変換素子で発電することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の電子機器では、発熱源としてCPU等の発熱部品を使用しており、その発熱部品を駆動させるための外部電源が必要である。このため、外部電源を確保できない場所では電子機器を利用できず、電子機器を利用できる場所に制約がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、太陽光を受光する受光部と、前記受光部から熱を入力するとともに、ループ状の流路内に作動流体が封入されたループ型ヒートパイプと、前記ループ型ヒートパイプの温度差を電力に変換する熱電変換素子と、を有し、前記ループ型ヒートパイプは、平面視においてループ状の構造をなすループ構造を有しており、前記ループ型ヒートパイプは、前記受光部から入力される熱によって前記作動流体を気化させる蒸発器と、前記作動流体を液化する凝縮器と、前記蒸発器と前記凝縮器とを接続する液管と、前記蒸発器と前記凝縮器とを接続する蒸気管と、を有し、前記ループ型ヒートパイプは、第1外層金属層と、第2外層金属層と、前記第1外層金属層と前記第2外層金属層との間に設けられた中間金属層と、を有し、前記熱電変換素子は、前記ループ構造の内側に配置されており、前記ループ型ヒートパイプは、前記蒸気管における前記第1外層金属層を含む前記蒸気管の厚さ方向の一部が前記ループ構造の内側に向かって延長されて形成された高温側延長部と、前記液管における前記第2外層金属層を含む前記液管の厚さ方向の一部が前記ループ構造の内側に向かって延長されて形成された低温側延長部と、を有し、前記熱電変換素子は、前記高温側延長部と前記低温側延長部との間に挟まれており、前記高温側延長部は、前記熱電変換素子の第1面に接触され、前記低温側延長部は、前記熱電変換素子の前記第1面とは反対側の第2面に接触される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一観点によれば、利用可能な場所を増加させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態の電子機器を示す概略構成図である。
【
図2】一実施形態の電子機器を示す概略平面図である。
【
図3】一実施形態の電子機器を示す概略平面図である。
【
図4】一実施形態の電子機器を示す概略平面図である。
【
図5】一実施形態のループ型ヒートパイプ及び熱電変換素子を示す概略断面図(
図3の5-5線断面図)である。
【
図6】変更例のループ型ヒートパイプ及び熱電変換素子を示す概略断面図である。
【
図7】変更例のループ型ヒートパイプ及び熱電変換素子を示す概略断面図である。
【
図8】変更例のループ型ヒートパイプ及び熱電変換素子を示す概略断面図である。
【
図9】変更例のループ型ヒートパイプ及び熱電変換素子を示す概略断面図である。
【
図10】変更例の電子機器を示す概略構成図である。
【
図11】変更例の電子機器を示す概略平面図である。
【
図12】変更例の電子機器を示す概略平面図である。
【
図13】変更例のループ型ヒートパイプ及び熱電変換素子を示す概略断面図(
図12の13-13線断面図)である。
【
図14】変更例のループ型ヒートパイプ及び熱電変換素子を示す概略断面図(
図12の14-14線断面図)である。
【
図15】変更例の電子機器を示す概略平面図である。
【
図16】変更例のループ型ヒートパイプ及び熱電変換素子を示す概略断面図(
図15の16-16線断面図)である。
【
図17】変更例のループ型ヒートパイプ及び熱電変換素子を示す概略断面図(
図15の17-17線断面図)である。
【
図18】変更例の電子機器を示す概略平面図である。
【
図19】変更例の電子機器を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを省略している。各図面には、相互に直交するX軸、Y軸及びZ軸が示されている。以下の説明では、便宜上、X軸に沿って延びる方向をX軸方向と称し、Y軸に沿って延びる方向をY軸方向と称し、Z軸に沿って延びる方向をZ軸方向と称する。なお、本明細書において、「平面視」とは、対象物をZ軸方向から見ることを言い、「平面形状」とは、対象物をZ軸方向から見た形状のことを言う。
【0009】
(電子機器10の全体構成)
図1に示すように、電子機器10は、例えば、太陽光を受光する受光部20と、受光部20から熱を入力するループ型ヒートパイプ30と、ループ型ヒートパイプ30の高温部と低温部との温度差を電力に変換する熱電変換素子50とを有している。受光部20は、例えば、太陽光を集光する集光レンズ21と、集光レンズ21を介して太陽光を受光する蓄熱材22とを有している。電子機器10は、例えば、熱電変換素子50に接続されたコントローラ60と、コントローラ60に接続されたバッテリ61と、バッテリ61に接続されたインバータ62と、インバータ62に接続された外部ポート63とを有している。電子機器10は、例えば、蓄熱材22とループ型ヒートパイプ30と熱電変換素子50とコントローラ60とバッテリ61とインバータ62とを内部に収容するケース70を有している。
【0010】
ここで、熱電変換素子50は、例えば、ゼーベック効果を利用した熱電変換素子である。熱電変換素子50では、例えば、熱電変換素子50の一方の面と他方の面との間に温度差が与えられると、それら一方の面と他方の面との間に電位差(起電力)が生じる。
【0011】
熱電変換素子50は、例えば、基板51と、基板51とZ軸方向において対向する基板52と、基板51と基板52との間に配置された複数の熱電素子53とを有している。ここで、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いに完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
【0012】
基板51は、例えば、平板状に形成されている。基板51は、例えば、XY平面に平行な矩形の平板状に形成されている。基板51は、例えば、熱電変換素子50のうちZ軸方向の上側に設けられている。基板51の上面(第1面)は、例えば、ループ型ヒートパイプ30の高温部に接続されている。基板51の下面には、例えば、所定パターンで配列された電極が設けられている。
【0013】
基板52は、例えば、平板状に形成されている。基板52は、例えば、XY平面に平行な矩形の平板状に形成されている。基板52は、例えば、熱電変換素子50のうちZ軸方向の下側に設けられている。基板52の下面(第2面)は、例えば、ループ型ヒートパイプ30の低温部に接続されている。基板52の上面には、例えば、所定パターンで配列された電極が設けられている。
【0014】
基板51,52は、例えば、セラミックス基板であってもよいし、樹脂基板であってもよい。なお、基板51,52の熱伝導率が高いほど、熱電変換素子50における発電効率が向上するため、基板51,52は高熱伝導率の材料で形成されていることが好ましい。本実施形態の基板51,52は、窒化アルミニウムにより形成されている。
【0015】
複数の熱電素子53は、例えば、複数対のP型熱電素子及びN型熱電素子からなり、基板51の下面と基板52の上面とによってZ軸方向に挟持されている。各熱電素子53は、熱電変換材料により形成されている。熱電変換材料としては、例えば、ビスマス・テルル系化合物、鉄・シリサイド系化合物、スクッテルダイト化合物などを用いることができる。
【0016】
複数の熱電素子53は、例えば、P型熱電素子とN型熱電素子とがX軸方向及びY軸方向の双方において交互に並ぶように互い違いに配置されている。隣接して対をなすP型熱電素子とN型熱電素子とは、基板51の下面に形成された電極又は基板52の上面に形成された電極により接続されている。また、熱電変換素子50では、例えば、全てのP型熱電素子及びN型熱電素子が基板51,52に形成された電極を介して直列に接続されている。
【0017】
各熱電素子53は、基板51と基板52との温度差に応じた電力を生成する。ここで、熱電変換素子50では、全ての熱電素子53が直列接続されているため、全ての熱電素子53で生成された電力を合計した電力が熱電変換素子50の総発電出力となる。
【0018】
(ケース70の構成)
ケース70は、箱状に形成されている。ケース70は、例えば、底壁部71と、底壁部71とZ軸方向において対向する上壁部72と、底壁部71と上壁部72との間に設けられた複数(ここでは、4つ)の側壁部73とを有している。ケース70は、例えば、底壁部71と上壁部72と複数の側壁部73とにより閉塞された構造を有している。
【0019】
図1及び
図2に示すように、上壁部72には、太陽光を取り込むための採光窓70Xが設けられている。採光窓70Xは、例えば、上壁部72の一部に設けられている。採光窓70Xは、例えば、上壁部72のX軸方向の中央部に設けられている。
図1に示すように、採光窓70Xは、上壁部72を厚さ方向(ここでは、Z軸方向)に貫通するように形成されている。
【0020】
(集光レンズ21の構成)
集光レンズ21は、ケース70に取り付けられている。集光レンズ21は、例えば、ケース70の上壁部72に保持されている。集光レンズ21は、例えば、採光窓70Xの内部に取り付けられている。集光レンズ21は、例えば、凸レンズである。集光レンズ21は、例えば、光軸がZ軸に平行な方向を向くように設けられている。集光レンズ21は、蓄熱材22とZ軸方向において重なる位置に設けられている。集光レンズ21は、蓄熱材22よりもZ軸方向の上方に設けられている。集光レンズ21は、例えば、蓄熱材22よりもXY平面における面積が大きく形成されている。集光レンズ21は、例えば、Z軸方向の下方に向けて透過した太陽光(二点鎖線参照)が蓄熱材22に集光されるように構成されている。このため、蓄熱材22に入射する太陽光は、ケース70の外部の太陽光よりも光束の密度が高くなる、つまり単位面積当たりの光エネルギーが高くなる。
【0021】
ここで、電子機器10は、例えば、上壁部72の上面が太陽光の照射を受けることができる場所に設置される。すると、電子機器10では、太陽光が集光レンズ21を透過してケース70の内部空間に進入される。このとき、電子機器10では、集光レンズ21に入射した太陽光の持つ光エネルギーが集光レンズ21によって凝縮され、その凝縮された光エネルギーが蓄熱材22に伝達される。
【0022】
(蓄熱材22の構成)
蓄熱材22は、例えば、集光レンズ21により集光された太陽光を受光する。蓄熱材22は、例えば、集光レンズ21を介して照射される太陽光により加熱されて蓄熱する。例えば、蓄熱材22は、太陽光の光エネルギーを熱エネルギーとして吸収する。蓄熱材22は、ループ型ヒートパイプ30に熱を入力する。蓄熱材22は、例えば、蓄熱した熱エネルギーをループ型ヒートパイプ30に伝達する。蓄熱材22の材料としては、例えば、パラフィン、シリコンゴムや低融点金属化合物等の熱容量の大きい材料を用いることができる。
【0023】
蓄熱材22は、例えば、円柱状又は角柱状に形成されている。蓄熱材22は、例えば、直方体状に形成されている。蓄熱材22は、太陽光が入射される上面と、上面とZ軸方向において反対側の下面と、上面と下面との間に設けられた複数(ここでは、4つ)の側面とを有している。蓄熱材22は、例えば、ループ型ヒートパイプ30に密着して固定されている。例えば、蓄熱材22の下面がループ型ヒートパイプ30の蒸発器31の上面に密着している。蓄熱材22は、例えば、上面に入射された太陽光により全体的に加熱され、下面全体から蒸発器31に熱を伝導する。これにより、集光レンズ21で集光された太陽光に基づく熱を蒸発器31に対して面で伝導することができるため、蓄熱材22から蒸発器31に対して安定して熱入力を行うことができる。なお、蓄熱材22の下面と蒸発器31の上面との間に、熱伝導部材(TIM:Thermal Interface Material)が介在されていてもよい。熱伝導部材は、蓄熱材22と蒸発器31の間の接触熱抵抗を低減し、蓄熱材22から蒸発器31への熱伝導をスムーズにする。
【0024】
(ループ型ヒートパイプ30の構成)
図3及び
図4に示すように、ループ型ヒートパイプ30は、蒸発器31と、蒸気管32と、凝縮器33と、液管34とを有している。蒸発器31と凝縮器33は、蒸気管32と液管34とにより接続されている。蒸発器31は、蓄熱材22から入力された熱により作動流体Cを気化させて蒸気Cvを生成する機能を有している。蒸発器31で生成された蒸気Cvは、蒸気管32を介して凝縮器33に送られる。凝縮器33は、作動流体Cの蒸気Cvを液化する機能を有している。液化した作動流体Cは、液管34を介して蒸発器31に送られる。蒸気管32及び液管34は、作動流体C又は蒸気Cvを流すループ状の流路35を形成する。ループ型ヒートパイプ30では、太陽光に基づく熱により作動流体Cを気化させる蒸発器31から蒸気管32へ高温の熱が移動し、その熱を放熱させる凝縮器33により温度低下した作動流体Cが液管34を通じて蒸発器31に流れる。これにより、
図4に示すように、蒸発器31と蒸気管32と凝縮器33の蒸気管32側の一部とが高温部(図中梨地模様参照)になるとともに、液管34が高温部よりも低温の低温部になる。このため、ループ型ヒートパイプ30では、蒸発器31、蒸気管32及び凝縮器33と、液管34との間で温度差が生じる。
【0025】
ここで、作動流体Cとしては、蒸気圧が高く、蒸発潜熱が大きい流体を使用することが好ましい。このような作動流体Cを用いることで、蒸発潜熱によって発熱部品を効率的に冷却できる。作動流体Cとしては、例えば、アンモニア、水、フロン、アルコール、アセトン等を用いることができる。
【0026】
図3に示すように、蒸気管32は、例えば、長尺状の管体に形成されている。液管34は、例えば、長尺状の管体に形成されている。本実施形態において、蒸気管32と液管34とは、例えば、長さ方向の寸法(つまり、長さ)が互いに同じである。なお、蒸気管32の長さと液管34の長さとは、互いに異なっていてもよい。例えば、液管34の長さに比べて蒸気管32の長さが短くてもよい。ここで、本明細書における蒸発器31、蒸気管32、凝縮器33及び液管34の「長さ方向」とは、各部材における作動流体C又は蒸気Cvが流れる方向(図中矢印参照)に一致する方向のことである。
【0027】
蒸発器31は、例えば、蒸発器31の長さ方向と平面視で直交する幅方向の両側に設けられた一対の管壁31wと、一対の管壁31wの間に設けられた流路31rとを有している。流路31rは、ループ状の流路35の一部である。蒸発器31の上面には、例えば、蓄熱材22が密着して固定されている。蒸発器31の平面形状は、例えば、蓄熱材22の平面形状よりも一回り大きく形成されている。ここで、蓄熱材22は、流路31rと平面視で重なるように設けられている。例えば、蓄熱材22は、流路31r全体と平面視で重なるように設けられている。
【0028】
蒸発器31には、例えば、多孔質体31tが設けられている。多孔質体31tは、例えば、櫛歯状に形成されている。蒸発器31内において、多孔質体31tが設けられていない領域は空間が形成されている。なお、多孔質体31tにおける櫛歯の数は、適宜決定することができる。
【0029】
蒸気管32は、例えば、蒸気管32の長さ方向と平面視で直交する幅方向の両側に設けられた一対の管壁32wと、一対の管壁32wの間に設けられた流路32rとを有している。流路32rは、蒸発器31の流路31rと連通している。流路32rは、ループ状の流路35の一部である。蒸発器31において発生した蒸気Cvは、蒸気管32を介して凝縮器33へと導かれる。
【0030】
凝縮器33は、例えば、放熱用に面積を大きくした放熱プレート33pと、放熱プレート33pの内部において蛇行した流路33rとを有している。流路33rは、蒸気管32の流路32rと連通している。流路33rは、ループ状の流路35の一部である。蒸気管32を介して導かれた蒸気Cvは、凝縮器33において液化する。
【0031】
液管34は、例えば、液管34の長さ方向と平面視で直交する幅方向の両側に設けられた一対の管壁34wと、一対の管壁34wの間に設けられた流路34rとを有している。流路34rは、凝縮器33の流路33rと連通するとともに、蒸発器31の流路31rと連通している。流路34rは、ループ状の流路35の一部である。凝縮器33で液化した作動流体Cは、液管34を通って蒸発器31に導かれる。
【0032】
液管34には、例えば、多孔質体34tが設けられている。多孔質体34tは、例えば、液管34の長さ方向に沿って凝縮器33から蒸発器31まで延びている。多孔質体34tは、その多孔質体34tに生じる毛細管力によって、凝縮器33で液化された作動流体Cを蒸発器31へと導く。
【0033】
このように、蒸発器31と蒸気管32と凝縮器33と液管34とは、ループ状の構造に形成されている。例えば、蒸発器31と蒸気管32と凝縮器33と液管34とは、平面視において、全体としてループ構造に形成されている。すなわち、ループ型ヒートパイプ30は、ループ構造を有しており、蒸発器31と蒸気管32と凝縮器33と液管34とによって囲まれた内側空間S1を有している。内側空間S1は、例えば、ループ型ヒートパイプ30をZ軸方向に貫通するように形成されている。蒸発器31と蒸気管32と凝縮器33と液管34とは、例えば、同一のXY平面上に形成されている。
【0034】
ループ型ヒートパイプ30は、例えば、熱電変換素子50の一方の面を昇温させる昇温部36と、熱電変換素子50の他方の面を冷却させる冷却部37とを有している。
昇温部36は、ループ型ヒートパイプ30の高温部に設けられている。昇温部36は、例えば、蒸気管32に設けられている。昇温部36は、例えば、蒸気管32からループ構造の内側空間S1に延長する高温側延長部36Aにより構成されている。高温側延長部36Aは、例えば、蒸気管32の一方の管壁32wから液管34に向かって延びるように形成されている。高温側延長部36Aは、例えば、蒸気管32の一方の管壁32wから内側空間S1のY軸方向における中心に向かって延びるように形成されている。高温側延長部36Aは、例えば、熱電変換素子50の基板51(
図1参照)の上面に接触されている。
【0035】
冷却部37は、ループ型ヒートパイプ30の低温部に設けられている。冷却部37は、例えば、液管34に設けられている。冷却部37は、例えば、液管34からループ構造の内側空間S1に延長する低温側延長部37Aにより構成されている。低温側延長部37Aは、例えば、液管34の一方の管壁34wから蒸気管32に向かって延びるように形成されている。低温側延長部37Aは、例えば、液管34の一方の管壁34wから内側空間S1のY軸方向における中心に向かって延びるように形成されている。低温側延長部37Aは、例えば、熱電変換素子50の基板52(
図1参照)の下面に接触されている。
【0036】
図5は、
図3の5-5線に沿うループ型ヒートパイプ30の蒸気管32、液管34、高温側延長部36A及び低温側延長部37Aと熱電変換素子50との断面を示している。この断面は、蒸気管32及び液管34において蒸気Cv及び作動流体Cがそれぞれ流れる方向(
図3で矢印で示す方向)と直交する面である。
【0037】
図5に示すように、蒸気管32及び液管34は、例えば、7層の金属層41,42,43,44,45,46,47を積層した構造を有している。換言すると、蒸気管32及び液管34は、一対の外層金属層となる金属層41,47の間に、中間金属層となる金属層42~46を積層した構造を有している。複数の金属層41~47は、例えば、Z軸方向に沿って積層されている。各金属層41~47は、例えば、熱伝導性に優れた銅(Cu)層である。複数の金属層41~47は、例えば、拡散接合、圧接、摩擦圧接や超音波接合等の固相接合により互いに直接接合されている。なお、
図5では、金属層41~47を判り易くするため、実線にて区別している。例えば、金属層41~47を拡散接合により一体化した場合、各金属層41~47の界面は消失していることがあり、境界は明確ではないことがある。ここで、固相接合とは、接合対象物同士を溶融させることなく固相(固体)状態のまま加熱して軟化させ、更に加熱して塑性変形を与えて接合する方法である。なお、金属層41~47は、銅層に限定されず、ステンレス層、アルミニウム層やマグネシウム合金層等から形成してもよい。また、積層した金属層41~47のうちの一部の金属層について、他の金属層と異なる材料が用いられてもよい。金属層41~47の各々の厚さは、例えば、50μm~200μm程度とすることができる。なお、金属層41~47のうちの一部の金属層を他の金属層と異なる厚さとしてもよく、また全ての金属層を互いに異なる厚さとしてもよい。
【0038】
(蒸気管32の構成)
本実施形態の蒸気管32は、積層された金属層41~47からなり、管壁32wと流路32rとを有している。なお、本実施形態において、金属層41~47のうち最外層となる金属層41,47には、孔や溝は形成されていない。これら金属層41,47は、蒸気管32の壁部(天井部や底部)として機能する。
【0039】
金属層42は、金属層41~47の積層方向(ここでは、Z軸方向)及び蒸気管32の長さ方向(ここでは、X軸方向)の双方と直交する蒸気管32の幅方向(ここでは、Y軸方向)の両端に設けられた一対の壁部42wと、一対の壁部42wの間に設けられた貫通孔42Xとを有している。貫通孔42Xは、金属層42を厚さ方向(ここでは、Z軸方向)に貫通するように形成されている。金属層43は、蒸気管32の幅方向の両端に設けられた一対の壁部43wと、一対の壁部43wの間に設けられた貫通孔43Xとを有している。貫通孔43Xは、金属層43を厚さ方向に貫通するように形成されている。金属層44は、蒸気管32の幅方向の両端に設けられた一対の壁部44wと、一対の壁部44wの間に設けられた貫通孔44Xとを有している。貫通孔44Xは、金属層44を厚さ方向に貫通するように形成されている。金属層45は、蒸気管32の幅方向の両端に設けられた一対の壁部45wと、一対の壁部45wの間に設けられた貫通孔45Xとを有している。貫通孔45Xは、金属層45を厚さ方向に貫通するように形成されている。金属層46は、蒸気管32の幅方向の両端に設けられた一対の壁部46wと、一対の壁部46wの間に設けられた貫通孔46Xとを有している。貫通孔46Xは、金属層46を厚さ方向に貫通するように形成されている。
【0040】
次に、各管壁32wの具体的な構造について説明する。
各管壁32wは、金属層41~47のうちの中間の金属層42~46がそれぞれ有する壁部42w~46wにより構成されている。各管壁32wは、複数の壁部42w~46wが順に積層されて構成されている。本実施形態の壁部42w~46wには、孔や溝は形成されていない。
【0041】
次に、流路32rの具体的な構造について説明する。
流路32rは、金属層41~47のうちの中間の金属層42~46がそれぞれ有する貫通孔42X~46Xにより構成されている。流路32rは、金属層42~46をそれぞれ厚さ方向に貫通する貫通孔42X~46Xにより構成されている。例えば、金属層42~46は、貫通孔42X~46Xが平面視で重なるように積層されている。これにより、貫通孔42X~46Xが互いに連通し、それら貫通孔42X~46Xにより流路32rが構成される。
【0042】
(液管34の構成)
本実施形態の液管34は、積層された金属層41~47からなり、管壁34wと流路34rと多孔質体34tとを有している。金属層41~47のうち最外層となる金属層41,47は、液管34の壁部(天井部や底部)として機能する。
【0043】
金属層42は、金属層41~47の積層方向及び液管34の長さ方向(ここでは、X軸方向)の双方と直交する液管34の幅方向(ここでは、Y軸方向)の両端に設けられた一対の壁部42uと、一対の壁部42uの間に設けられた貫通孔42Yとを有している。貫通孔42Yは、金属層42を厚さ方向に貫通するように形成されている。金属層43は、液管34の幅方向の両端に設けられた一対の壁部43uと、一対の壁部43uの間に設けられた貫通孔43Yとを有している。貫通孔43Yは、金属層43を厚さ方向に貫通するように形成されている。金属層44は、液管34の幅方向の両端に設けられた一対の壁部44uと、一対の壁部44uの間に設けられた貫通孔44Yとを有している。貫通孔44Yは、金属層44を厚さ方向に貫通するように形成されている。金属層45は、液管34の幅方向の両端に設けられた一対の壁部45uと、一対の壁部45uの間に設けられた貫通孔45Yとを有している。貫通孔45Yは、金属層45を厚さ方向に貫通するように形成されている。金属層46は、液管34の幅方向の両端に設けられた一対の壁部46uと、一対の壁部46uの間に設けられた貫通孔46Yとを有している。貫通孔46Yは、金属層46を厚さ方向に貫通するように形成されている。
【0044】
次に、各管壁34wの具体的な構造について説明する。
各管壁34wは、金属層41~47のうちの中間の金属層42~46がそれぞれ有する壁部42u~46uにより構成されている。各管壁34wは、複数の壁部42u~46uが順に積層されて構成されている。壁部42u~46uには、孔や溝が形成されていてもよい。
【0045】
多孔質体34tは、例えば、液管34の幅方向の両端の管壁34wと連続して一体に形成されている。すなわち、液管34には、一対の管壁34wと連続して一体に形成された一対の多孔質体34tが設けられている。なお、多孔質体34tは、各管壁34wと連続して一体に形成された構成に限らず、例えば、金属メッシュや、多孔質性の焼結金属や焼結セラミックなどでもよい。
【0046】
次に、流路34rの具体的な構造について説明する。
流路34rは、例えば、液管34の中央部に設けられている。具体的には、流路34rは、一対の多孔質体34tの間に設けられている。流路34rは、金属層41~47のうちの中間の金属層42~46がそれぞれ有する貫通孔42Y~46Yにより構成されている。流路34rは、金属層42~46をそれぞれ厚さ方向に貫通する貫通孔42Y~46Yにより構成されている。例えば、金属層42~46は、貫通孔42Y~46Yが平面視で重なるように積層されている。これにより、貫通孔42Y~46Yが互いに連通し、それら貫通孔42Y~46Yにより流路34rが構成される。なお、流路34rの位置は、これに限らない。例えば、多孔質体34tが液管34の中央部に設けられ、その多孔質体34tを挟んだ左右両側に流路34rを設けるようにしてもよい。
【0047】
図3に示す蒸発器31及び凝縮器33は、
図5に示す蒸気管32及び液管34と同様に、7層の金属層41~47を積層して形成される。すなわち、ループ型ヒートパイプ30は、7層の金属層41~47を積層して構成される。なお、金属層の積層数は、7層に限定されず、6層以下や8層以上とすることができる。また、蒸発器31に設けられた多孔質体31tは、液管34の多孔質体34tと同様に、管壁31wと連続して一体に形成された構成に限らず、例えば、金属メッシュや、多孔質性の焼結金属や焼結セラミックなどでもよい。
【0048】
(高温側延長部36Aの構成)
図5に示すように、高温側延長部36Aは、例えば、蒸気管32を構成する金属層41~47のうちZ軸方向の上方側に位置する外層金属層である金属層41(第1外層金属層)により構成されている。高温側延長部36Aは、例えば、蒸気管32を構成する金属層41が液管34に向かって延長するように形成されている。高温側延長部36Aは、例えば、一対の管壁32wのうち液管34に近い側に位置する管壁32wの外側面32Sから液管34に向かって金属層41が延長して形成されている。ここで、管壁32wの外側面32Sは、例えば、Y軸方向において、液管34の管壁34wと対向している。高温側延長部36Aは、例えば、管壁32wの外側面32Sからループ構造の内側空間S1に向かって延びている。高温側延長部36Aは、例えば、Y軸方向に沿って延びている。高温側延長部36Aは、例えば、Y軸方向において、低温側延長部37Aよりも短く形成されている。高温側延長部36Aは、熱電変換素子50の基板51の上面を覆うように形成されている。高温側延長部36Aは、例えば、基板51の上面全面を覆うように形成されている。高温側延長部36Aの平面形状は、例えば、基板51の平面形状よりも大きく形成されている。高温側延長部36Aの下面は、基板51の上面に接触している。高温側延長部36Aは、例えば、基板51の上面に熱を伝導する。ここで、高温側延長部36Aを構成する金属層41は、蒸気管32の流路32rに流れる作動流体C、具体的には蒸発器31により気化された蒸気Cv(
図3参照)によって高温に温められる。このため、高温側延長部36Aは、基板51を昇温させることができる。なお、高温側延長部36Aの下面と基板51の上面との間に、熱伝導部材が介在されていてもよい。
【0049】
(低温側延長部37Aの構成)
低温側延長部37Aは、例えば、液管34を構成する金属層41~47のうちZ軸方向の下方側に位置する外層金属層である金属層47(第2外層金属層)により構成されている。すなわち、低温側延長部37Aは、高温側延長部36Aを構成する金属層41とZ軸方向において反対側に位置する金属層47により構成されている。低温側延長部37Aは、例えば、液管34を構成する金属層47が蒸気管32に向かって延長するように形成されている。低温側延長部37Aは、例えば、一対の管壁34wのうち蒸気管32に近い側に位置する管壁34wの外側面34Sから蒸気管32に向かって金属層47が延長して形成されている。ここで、管壁34wの外側面34Sは、例えば、Y軸方向において、管壁32wの外側面32Sと対向している。低温側延長部37Aは、例えば、管壁34wの外側面34Sからループ構造の内側空間S1に向かって延びている。低温側延長部37Aは、例えば、Y軸方向に沿って延びている。低温側延長部37Aは、熱電変換素子50の基板52の下面を覆うように形成されている。低温側延長部37Aは、例えば、基板52の下面全面を覆うように形成されている。低温側延長部37Aの平面形状は、例えば、基板52の平面形状よりも大きく形成されている。低温側延長部37Aの上面は、基板52の下面に接触している。低温側延長部37Aは、例えば、基板52の下面に熱を伝導する。ここで、低温側延長部37Aを構成する金属層47は、液管34の流路34rに流れる作動流体C、具体的には凝縮器33により凝縮(冷却)された作動流体Cによって高温側延長部36Aよりも低温になる。このため、低温側延長部37Aは、基板52を冷却させることができる。なお、低温側延長部37Aの上面と基板52の下面との間に、熱伝導部材が介在されていてもよい。
【0050】
(熱電変換素子50の構成)
熱電変換素子50は、例えば、Z軸方向において、高温側延長部36Aと低温側延長部37Aとの間に挟まれるように設けられている。換言すると、高温側延長部36A及び低温側延長部37Aは、Z軸方向において、熱電変換素子50を中心として、熱電変換素子50の上下にそれぞれ配置されている。熱電変換素子50では、高温側延長部36Aにより基板51が昇温され、低温側延長部37Aにより基板52が冷却されることにより、基板51と基板52との間に温度差が生じる。熱電変換素子50では、基板51と基板52との間に温度差が生じると、それら基板51と基板52との間に電位差(起電力)が生じる。すなわち、熱電変換素子50は、基板51と基板52との間に生じた温度差を電力に変換する。熱電変換素子50は、生成した電力をコントローラ60(
図1参照)に出力する。
【0051】
熱電変換素子50は、例えば、ループ型ヒートパイプ30のループ構造の内側に配置されている。すなわち、熱電変換素子50は、内側空間S1内に配置されている。熱電変換素子50は、例えば、内側空間S1のY軸方向において、蒸気管32側に片寄って配置されている。例えば、熱電変換素子50は、蒸気管32と熱電変換素子50との間のY軸方向の距離が、液管34と熱電変換素子50との間のY軸方向の距離よりも短くなるように配置されている。例えば、熱電変換素子50は、内側空間S1のY軸方向において、高温側延長部36Aの長さが低温側延長部37Aの長さよりも短くなるように配置されている。なお、液管34と熱電変換素子50の間の距離や蒸気管32と熱電変換素子50の間の距離はこれに限らず、距離は適宜決定することができる。
【0052】
図1に示したコントローラ60は、熱電変換素子50から供給された電力をバッテリ61に充電する充電処理を制御する。コントローラ60は、例えば、熱電変換素子50から供給される電力量と、バッテリ61の蓄電量とを監視し、それら電力量及び蓄電量に基づいて充電制御を実行する。すなわち、コントローラ60は、熱電変換素子50の発電状態とバッテリ61の蓄電状態とを監視し、それら発電状態及び蓄電状態に基づいて充電制御を実行する。コントローラ60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)等により構成されている。
【0053】
バッテリ61は、熱電変換素子50からコントローラ60を通じて供給された電力を蓄電する。バッテリ61は、例えば、熱電変換素子50で生成された直流電力を蓄電する。バッテリ61は、例えば、蓄電した直流電力をインバータ62に出力する。バッテリ61は、例えば、再充電可能な直流電源である。バッテリ61としては、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池を用いることができる。
【0054】
インバータ62は、バッテリ61から供給される直流電力を交流電力に変換する。インバータ62は、変換した交流電力を外部ポート63に出力する。
外部ポート63には、例えば、電子機器10とは別の外部機器(図示略)が電気的に接続される。外部ポート63に外部機器が電気的に接続されると、その外部機器に交流電力を供給することができる。これにより、太陽光による熱入力に基づき電子機器10で発電された電力を外部機器に供給することができる。具体的には、電子機器10では、太陽光の照射によって生じる熱を熱源とし、その熱源からの熱入力に基づいてループ型ヒートパイプ30に生じる温度差を熱電変換素子50に付与することにより、その温度差に応じた電力が熱電変換素子50で生成される。そして、電子機器10は、熱電変換素子50で生成された電力に基づく交流電力を外部機器に供給することができる。ここで、電子機器10では、熱源として自然エネルギーである太陽光を利用しているため、熱源となる発熱部品を駆動するための外部電源を必要としない。
【0055】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)電子機器10は、太陽光を受光する受光部20と、受光部20から熱を入力するとともに、ループ状の流路35内に作動流体が封入されたループ型ヒートパイプ30と、ループ型ヒートパイプ30の温度差を電力に変換する熱電変換素子50とを有する。
【0056】
この構成によれば、ループ型ヒートパイプ30に熱入力する熱源として自然エネルギーである太陽光を利用しているため、従来技術のように熱源となる発熱部品を駆動するための外部電源を必要としない。このため、電子機器10では、外部電源が確保できない場合であっても、太陽光を受光することにより、ループ型ヒートパイプ30に熱を入力することができ、ループ型ヒートパイプ30に温度差を生じさせることができる。そして、電子機器10では、熱電変換素子50により、ループ型ヒートパイプ30における温度差に応じた電力を生成することができる。このため、外部電源を確保できない場所であっても、電子機器10を利用することができる。これにより、電子機器10を利用できる場所を増加させることができる。
【0057】
(2)受光部20を、太陽光を集光する集光レンズ21と、集光レンズ21を介して太陽光を受光する蓄熱材22とにより構成した。この構成によれば、集光レンズ21で集光された太陽光が蓄熱材22で蓄熱され、その蓄熱材22から蒸発器31に熱入力される。これにより、集光レンズ21で集光された太陽光に基づく熱を蒸発器31に対して面で伝導することができるため、蓄熱材22から蒸発器31に対して安定して熱入力を行うことができる。
【0058】
(3)ループ型ヒートパイプ30のループ構造の内側空間S1に熱電変換素子50を配置するようにした。この構成によれば、部品設置エリアとして通常利用されない内側空間S1に熱電変換素子50が設けられるため、未利用エリアを有効に活用することができ、電子機器10の大型化を抑制することができる。
【0059】
(4)ところで、従来の電子機器では、昇温部と冷却部との間の距離を確保するために、昇温部に接続された凝縮器を冷却部よりも上方に立ち上げてから冷却部に接続するようにしている。このため、従来の電子機器では、昇温部と冷却部とが並ぶ方向において薄型化することが難しいという問題がある。
【0060】
これに対し、本実施形態の電子機器10では、ループ型ヒートパイプ30が平面視においてループ状の構造をなすループ構造を有しており、そのループ構造の内側空間S1に熱電変換素子50が配置されている。また、蒸気管32を構成する金属層41を内側空間S1に向かって延長して高温側延長部36Aを形成し、液管34を構成する金属層42を内側空間S1に向かって延長して低温側延長部37Aを形成した。そして、高温側延長部36Aを熱電変換素子50の基板51の上面(第1面)に接触させ、低温側延長部37Aを熱電変換素子50の基板52の下面(第2面)に接触させるとともに、高温側延長部36Aと低温側延長部37Aとの間に熱電変換素子50を挟むようにした。これらにより、蒸気管32の天井部を構成する金属層41をXY平面上に延長することにより昇温部36を構成できるとともに、液管34の底部を構成する金属層47をXY平面上に延長することにより冷却部37を構成できる。このため、昇温部36(高温側延長部36A)と冷却部37(低温側延長部37A)とが並ぶZ軸方向において、ループ型ヒートパイプ30が大型化することを抑制できる。ひいては、電子機器10がZ軸方向に大型化することを抑制できる。
【0061】
(5)熱電変換素子50を、内側空間S1のY軸方向において、高温側延長部36Aの長さが低温側延長部37Aの長さよりも短くなるように配置した。この構成によれば、高温側延長部36Aの長さを短くできるため、高温側延長部36Aにおける放熱面積を小さくできる。このため、高温側延長部36Aによって基板51を効率的に高温化させることができる。また、低温側延長部37Aの長さを長くできるため、低温側延長部37Aにおける放熱面積を大きくできる。このため、低温側延長部37Aによって基板52を効率的に低温化させることができる。
【0062】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0063】
・
図6に示すように、低温側延長部37Aにパターン加工を施すようにしてもよい。例えば、低温側延長部37Aの外面(ここでは、下面)に複数の凹部37Xを形成するようにしてもよい。複数の凹部37Xは、例えば、Y軸方向に沿って間隔を空けて並んで設けられている。複数の凹部37Xは、例えば、X軸方向に沿って間隔を空けて並んで設けられている。また、各凹部37Xは、例えば、X軸方向に沿って延びるように溝状に形成されていてもよい。
【0064】
この構成によれば、低温側延長部37Aを構成する金属層47の体積を減少させることができるため、金属層47における材料固有の熱伝導率による熱伝導を低下させることができる。また、複数の凹部37Xを形成したことにより、低温側延長部37Aの表面積を増加させることができるため、放熱面積を増加させることができる。これにより、低温側延長部37Aをより低温化させやすくすることができるため、熱電変換素子50の基板52をより低温化させることができる。
【0065】
・
図6に示した変更例において、凹部37Xの数及び大きさは特に限定されない。
・
図7に示すように、高温側延長部36Aの金属層厚を、低温側延長部37Aの金属層厚よりも厚く形成するようにしてもよい。上記実施形態では、高温側延長部36Aを、外層金属層である金属層41のみによって構成するようにしたが、例えば、金属層41と中間金属層の一部とによって高温側延長部36Aを構成するようにしてもよい。本変更例では、金属層41と中間金属層の最上層に位置する金属層42とによって高温側延長部36Aが構成されている。本変更例の高温側延長部36Aは、蒸気管32を構成する金属層41,42が管壁32wの外側面32Sから液管34に向かって延長して形成されている。本変更例の高温側延長部36Aでは、金属層42の下面が基板51の上面に接触している。
【0066】
この構成によれば、高温側延長部36Aを構成する金属層41,42の体積を増加させることができるため、それら金属層41,42における材料固有の熱伝導率による熱伝導を増加させることができる。これにより、高温側延長部36Aをより高温化させやすくすることができるため、熱電変換素子50の基板51をより高温化させることができる。
【0067】
・
図7に示した変更例において、高温側延長部36Aを構成する金属層の層数は特に限定されない。例えば、高温側延長部36Aを、金属層41,42,43の3層で構成するようにしてもよい。
【0068】
・
図7に示した変更例では、高温側延長部36Aを構成する金属層41,42の層数を増加させることにより、高温側延長部36Aの金属層厚を低温側延長部37Aの金属層厚よりも厚く形成した。これに限らず、例えば、金属層41の厚さを、金属層47の厚さよりも厚く形成することにより、高温側延長部36Aの金属層厚を低温側延長部37Aの金属層厚よりも厚く形成するようにしてもよい。
【0069】
・上記実施形態では、蒸気管32を構成する金属層41を延長して高温側延長部36Aを形成するようにしたが、高温側延長部36Aの構造はこれに限定されない。
例えば
図8に示すように、蒸気管32の流路32rを延長して高温側延長部36Aを形成するようにしてもよい。本変更例の高温側延長部36Aは、外層金属層である金属層41と、中間金属層である金属層42,43と、それら金属層41,42,43によって形成された拡張流路32eとによって構成されている。高温側延長部36Aを構成する金属層41,43は、例えば、管壁32wの外側面32SからY軸方向に沿って液管34に向かって延長するように形成されている。高温側延長部36Aを構成する金属層42は、例えば、高温側延長部36Aの先端部に設けられた壁部42vを有している。図示は省略するが、高温側延長部36Aを構成する金属層42は、例えば、高温側延長部36AのX軸方向の両端に設けられ、管壁32wの外側面32SからY軸方向に沿って液管34に向かって延びる壁部を有している。拡張流路32eは、例えば、管壁32wの外側面32Sから液管34に向かって突出された金属層41,42,43により囲まれた空間によって構成されている。すなわち、金属層41,42,43のうち外側面32Sよりも液管34に向かって突出された部分は、拡張流路32eを区画する壁部を構成している。拡張流路32eは、流路32rと連通している。このため、拡張流路32eには、流路32rと同様に、蒸気Cv(
図3参照)が流れる。本変更例の高温側延長部36Aでは、金属層43の下面が基板51の上面に接触している。
【0070】
この構成によれば、高温側延長部36Aを構成する拡張流路32eに蒸気Cvが流れるため、潜熱によって基板51を高温化させることができる。これにより、基板51をより効率的に高温化させることができる。
【0071】
・上記実施形態では、高温側延長部36A及び低温側延長部37Aを、Y軸方向に平行に延びるように形成したが、これに限定されない。
例えば
図9に示すように、高温側延長部36Aを屈曲させるように形成してもよい。本変更例の高温側延長部36Aは、直線部38Aと、屈曲部38Bと、直線部38Cと、屈曲部38Dと、直線部38Eとを有している。直線部38Aは、管壁32wの外側面32SからY軸方向に沿って液管34に向かって直線状に延びるように形成されている。屈曲部38Bは、直線部38Aの端部から上方に向かって屈曲するように形成されている。直線部38Cは、屈曲部38Bから斜め上方に向かって直線状に延びるように形成されている。直線部38Cは、例えば、図中左斜め上方に向かって直線状に延びている。直線部38Cは、例えば、X軸方向とY軸方向とZ軸方向の全てと交差する方向に延びている。屈曲部38Dは、直線部38Cの端部からY軸方向に向かって屈曲するように形成されている。直線部38Eは、屈曲部38DからY軸方向に沿って液管34に向かって直線状に延びるように形成されている。本変更例の高温側延長部36Aでは、直線部38Eの下面が基板51の上面に接触している。
【0072】
同様に、低温側延長部37Aを屈曲させるように形成してもよい。本変更例の低温側延長部37Aは、直線部39Aと、屈曲部39Bと、直線部39Cと、屈曲部39Dと、直線部39Eとを有している。直線部39Aは、管壁34wの外側面34SからY軸方向に沿って蒸気管32に向かって直線状に延びるように形成されている。屈曲部39Bは、直線部39Aの端部から下方に向かって屈曲するように形成されている。直線部39Cは、屈曲部39Bから斜め下方に向かって直線状に延びるように形成されている。直線部39Cは、例えば、図中右斜め下方に向かって直線状に延びている。直線部39Cは、例えば、X軸方向とY軸方向とZ軸方向の全てと交差する方向に延びている。屈曲部39Dは、直線部39Cの端部からY軸方向に向かって屈曲するように形成されている。直線部39Eは、屈曲部39DからY軸方向に沿って蒸気管32に向かって直線状に延びるように形成されている。本変更例の低温側延長部37Aでは、直線部39Eの上面が基板52の下面に接触している。
【0073】
この構成によれば、高温側延長部36Aの直線部38Eと低温側延長部37Aの直線部39Eとの間のZ軸方向の高さを広く確保することができる。これにより、熱電変換素子50のZ軸方向の高さが金属層41,47間の高さよりも高くなる場合であっても、高温側延長部36Aと低温側延長部37Aとの間に熱電変換素子50を好適に配置することができる。
【0074】
・
図9に示した変更例では、高温側延長部36A及び低温側延長部37Aの両方を屈曲させるようにしたが、高温側延長部36A及び低温側延長部37Aの一方のみを屈曲させるようにしてもよい。
【0075】
・上記実施形態では、受光部20を、1つの集光レンズ21と1つの蓄熱材22とにより構成するようにしたが、これに限定されない。
例えば
図10に示すように、受光部20を、複数(ここでは、2つ)の集光レンズ21と複数(ここでは、2つ)の蓄熱材22とにより構成するようにしてもよい。この場合には、複数の集光レンズ21を、互いに異なる角度となるように設置することが好ましい。この構成によれば、互いに異なる角度で設置された複数の集光レンズ21によって太陽光を集光することができるため、太陽の位置による集光ばらつきを低減することができる。
【0076】
本変更例では、複数の集光レンズ21の各々に対して蓄熱材22が設けられている。各蓄熱材22は、各集光レンズ21と平面視で重なるように設けられている。各蓄熱材22は、各集光レンズ21により集光された太陽光(二点鎖線参照)を受光する。また、本変更例のループ型ヒートパイプ30は、複数の蓄熱材22に対応する複数(ここでは、2つ)の蒸発器31を有している。複数の蒸発器31の上面には、複数の蓄熱材22が個別に密着して固定されている。複数の蒸発器31は、例えば、X軸方向において互いに離れて設けられている。複数の蒸発器31は、例えば、X軸方向に沿って並んで設けられている。
【0077】
図11に示すように、本変更例のループ型ヒートパイプ30は、複数の蒸発器31と、複数の分岐蒸気管82と、蒸気管32と、凝縮器33と、液管34と、複数の分岐液管84とを有している。複数の蒸発器31は、複数の分岐蒸気管82に個別に接続されている。各分岐蒸気管82は、例えば、分岐蒸気管82の長さ方向と平面視で直交する幅方向の両側に設けられた一対の管壁82wと、一対の管壁82wの間に設けられた流路82rとを有している。複数の分岐蒸気管82は、1本の蒸気管32に接続されている。すなわち、複数の分岐蒸気管82は、1本の蒸気管32に合流している。各流路82rは、各蒸発器31の流路31rと連通するとともに、蒸気管32の流路32rと連通している。各流路82rは、ループ状の流路35の一部である。1本の液管34は、複数の分岐液管84に分岐している。複数の分岐液管84は、複数の蒸発器31に個別に接続されている。各分岐液管84は、例えば、分岐液管84の長さ方向と平面視で直交する幅方向の両側に設けられた一対の管壁84wと、一対の管壁84wの間に設けられた流路84rとを有している。各流路84rは、液管34の流路34rと連通するとともに、各蒸発器31の流路31rと連通している。各流路84rは、ループ状の流路35の一部である。
【0078】
・
図10及び
図11に示した変更例では、2つの集光レンズ21の各々に対応する2つの蓄熱材22を設けるようにした。これに限らず、例えば、複数の集光レンズ21に対して1つの蓄熱材22を設けるようにしてもよい。この場合には、複数の集光レンズ21により集光された太陽光が1つの蓄熱材22で受光される。この場合のループ型ヒートパイプ30は、1つの蓄熱材22に対応する1つの蒸発器31を有している。
【0079】
・上記実施形態では、ループ型ヒートパイプ30のループ構造の内側空間S1において、熱電変換素子50を、蒸気管32と熱電変換素子50との間のY軸方向の距離が、液管34と熱電変換素子50との間のY軸方向の距離よりも短くなるように配置した。しかし、これに限定されない。例えば、熱電変換素子50を、内側空間S1において、蒸気管32と熱電変換素子50との間のY軸方向の距離と、液管34と熱電変換素子50との間のY軸方向の距離とが等しくなるように配置してもよい。また、熱電変換素子50を、内側空間S1において、蒸気管32と熱電変換素子50との間のY軸方向の距離が、液管34と熱電変換素子50との間のY軸方向の距離よりも長くなるように配置してもよい。
【0080】
・上記実施形態では、熱電変換素子50の高温側の基板51と接続されるループ型ヒートパイプ30の高温部を蒸気管32に具体化した。例えば、上記実施形態では、蒸気管32から延長するように高温側延長部36Aを形成した。しかし、これに限定されない。
【0081】
・例えば
図12に示すように、高温側延長部36Aを、凝縮器33のうち蒸気管32側に位置する部分から内側空間S1に向かって延長するように形成してもよい。
図12及び
図13に示すように、本変更例の高温側延長部36Aは、凝縮器33からX軸方向に沿って延びるように形成されている。本変更例の高温側延長部36Aは、凝縮器33からX軸方向に沿って蒸発器31に向かって延びている。
図13に示すように、本変更例の高温側延長部36Aは、凝縮器33を構成する金属層41が凝縮器33から内側空間S1に向かって延びるように形成されている。高温側延長部36Aは、基板51の上面に接触している。本変更例では、熱電変換素子50の高温側の基板51と接続されるループ型ヒートパイプ30の高温部が凝縮器33となる。また、
図12に示すように、本変更例の低温側延長部37Aは、液管34からY軸方向に沿って延びるように形成されている。すなわち、本変更例の低温側延長部37Aは、平面視において、高温側延長部36Aの延びる方向(ここでは、X軸方向)と交差する方向に沿って延びている。そして、低温側延長部37Aと高温側延長部36Aとが平面視において交差する部分に、熱電変換素子50が設けられている。
図14に示すように、低温側延長部37Aは、基板52の下面に接触している。なお、本変更例の高温側延長部36Aは、蒸気管32とは離れて設けられており、蒸気管32と接続されていない。
【0082】
・例えば
図15に示すように、高温側延長部36Aを、蒸発器31から内側空間S1に向かって延長するように形成してもよい。
図15及び
図16に示すように、本変更例の高温側延長部36Aは、蒸発器31からX軸方向に沿って延びるように形成されている。本変更例の高温側延長部36Aは、蒸発器31からX軸方向に沿って凝縮器33に向かって延びている。
図16に示すように、本変更例の高温側延長部36Aは、蒸発器31を構成する金属層41が蒸発器31から内側空間S1に向かって延びるように形成されている。高温側延長部36Aは、基板51の上面に接触している。本変更例では、熱電変換素子50の高温側の基板51と接続されるループ型ヒートパイプ30の高温部が蒸発器31となる。また、
図15に示すように、本変更例の低温側延長部37Aは、液管34からY軸方向に沿って延びるように形成されている。すなわち、本変更例の低温側延長部37Aは、平面視において、高温側延長部36Aの延びる方向(ここでは、X軸方向)と交差する方向に沿って延びている。そして、低温側延長部37Aと高温側延長部36Aとが平面視において交差する部分に、熱電変換素子50が設けられている。
図17に示すように、低温側延長部37Aは、基板52の下面に接触している。なお、本変更例の高温側延長部36Aは、蒸気管32とは離れて設けられており、蒸気管32と接続されていない。
【0083】
・上記実施形態では、高温側延長部36A及び低温側延長部37Aを、ループ型ヒートパイプ30のループ構造の内側空間S1に向かって延長するように形成したが、これに限定されない。例えば、高温側延長部36A及び低温側延長部37Aを、ループ型ヒートパイプ30のループ構造の外側に向かって延長するように形成してもよい。この場合には、熱電変換素子50がループ型ヒートパイプ30のループ構造の外側に配置されることになる。
【0084】
・上記実施形態では、高温側延長部36Aを上方側の外層金属層である金属層41により構成し、低温側延長部37Aを下方側の外層金属層である金属層47により構成したが、これに限定されない。例えば、高温側延長部36Aを下方側の外層金属層である金属層47により構成し、低温側延長部37Aを上方側の外層金属層である金属層41により構成してもよい。
【0085】
・上記実施形態では、高温側延長部36Aを熱電変換素子50の基板51の上面(第1面)に接触させ、低温側延長部37Aを熱電変換素子50の基板52の下面(第2面)に接触させるようにしたが、これに限定されない。
【0086】
例えば
図18に示すように、高温側延長部36A及び低温側延長部37Aを省略してもよい。この場合に、例えば、熱電変換素子50の基板51の第1面を蒸気管32の管壁32wに直接接触させるようにし、熱電変換素子50の基板52の第2面を液管34の管壁34wに直接接触させるようにしてもよい。本変更例の熱電変換素子50では、複数の熱電素子53が基板51と基板52とによってY軸方向に挟持されている。本変更例の熱電変換素子50は、Y軸方向において、蒸気管32の管壁32wと液管34の管壁34wとの間に挟まれるように設けられている。本変更例の熱電変換素子50は、ループ構造の内側空間S1内に配置されている。
【0087】
・上記実施形態では、ループ型ヒートパイプ30の高温部を熱電変換素子50の基板51の上面(第1面)に接触させ、ループ型ヒートパイプ30の低温部を熱電変換素子50の基板52の下面(第2面)に接触させるようにしたが、これに限定されない。例えば、ループ型ヒートパイプ30の高温部を基板51の上面(第1面)に接触させ、基板52の下面(第2面)を大気接触面としてもよい。
【0088】
・上記実施形態のケース70の内部において、ループ型ヒートパイプ30、コントローラ60、バッテリ61及びインバータ62等の各部品間に断熱材や遮蔽板などを設けるようにしてもよい。
【0089】
・上記実施形態のケース70の内部の構成は特に限定されない。例えば、熱電変換素子50で生成された電力を所定の電圧に昇圧又は降圧するコンバータを設けるようにしてもよい。また、インバータ62を省略してもよい。
【0090】
・上記実施形態では、熱電変換素子50で生成した電力を、外部ポート63を通じて外部機器に供給するようにしたが、これに限定されない。例えば、熱電変換素子50で生成した電力を、ケース70の内部に設けられた電子部品等に供給するようにしてもよい。
【0091】
・上記実施形態における熱電変換素子50の構成は特に限定されない。例えば、基板51,52のサイズや熱電素子53の対数などは適宜変更可能である。また、熱電変換素子50を、熱電素子53の層が複数設けられた多層タイプに具体化してもよい。
【0092】
・上記実施形態では、太陽光を集光する集光部として集光レンズ21に具体化したが、これに限定されない。例えば、集光部として集光ミラーに具体化してもよい。
・上記実施形態における集光レンズ21を省略してもよい。この場合には、例えば、太陽光が採光窓70Xからケース70の内部に入射される。このとき、蓄熱材22は、採光窓70Xを介して太陽光を受光する。
【0093】
・上記実施形態における蓄熱材22を省略してもよい。この場合には、例えば、集光レンズ21により集光された太陽光が蒸発器31に直接照射される。この場合の蒸発器31は、太陽光を受光する受光部としても機能する。
【0094】
・上記実施形態では、ループ型ヒートパイプ30の蒸発器31に熱入力するための自然エネルギーとして太陽光を利用したが、これに限定されない。蒸発器31に熱入力するための自然エネルギーとして地熱エネルギーなどを利用してもよい。
【0095】
・例えば
図19に示すように、ループ型ヒートパイプ30の蒸発器31の上面に、発熱部品23を密着して固定するようにしてもよい。発熱部品としては、例えば、CPUなどを用いることができる。この場合には、発熱部品23が熱源となり、発熱部品23を駆動するための外部電源が必要となる。但し、高温側延長部36Aと低温側延長部37Aとの間に挟まれるように熱電変換素子50がループ構造の内側空間S1内に設けられているため、上記実施形態の(3),(4)と同様の作用効果を奏することができる。
【0096】
・
図19に示した変更例において、高温側延長部36Aと低温側延長部37Aとの間に、熱電変換素子50とは別の素子を設けるようにしてもよい。また、高温側延長部36Aと低温側延長部37Aとの間に熱電変換素子50等の素子を設けなくてもよい。この場合には、コントローラ60とバッテリ61とインバータ62と外部ポート63も省略される。この場合のループ型ヒートパイプ30は、発熱部品23を冷却する機能を有している。このとき、高温側延長部36A及び低温側延長部37Aが形成されているため、それら高温側延長部36A及び低温側延長部37Aにおいても発熱部品23で生じた熱を放熱することができる。
【符号の説明】
【0097】
10 電子機器
20 受光部
21 集光レンズ
22 蓄熱材
30 ループ型ヒートパイプ
31 蒸発器
32 蒸気管
33 凝縮器
34 液管
35 流路
36A 高温側延長部
37A 低温側延長部
37X 凹部
31r~34r 流路
32e 拡張流路
41 金属層
42~46 金属層
47 金属層
50 熱電変換素子
51 基板
52 基板
53 熱電素子
60 コントローラ
61 バッテリ
63 外部ポート
70 ケース
70X 採光窓
C 作動流体
Cv 蒸気