(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】複数の荷電粒子ビームを使用する装置
(51)【国際特許分類】
H01J 37/141 20060101AFI20240129BHJP
H01J 37/145 20060101ALI20240129BHJP
H01J 37/147 20060101ALI20240129BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
H01J37/141 Z
H01J37/145
H01J37/147 B
H01J37/28 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022151436
(22)【出願日】2022-09-22
(62)【分割の表示】P 2021150383の分割
【原出願日】2017-12-22
【審査請求日】2022-10-21
(32)【優先日】2016-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】レン,ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シュエドン
(72)【発明者】
【氏名】フー,シュエラン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ゾンウェイ
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-106467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームを集束させるための集束力を有する可動回転防止レンズであって、
第1の磁界を生成し、前記可動回転防止レンズの光軸と位置合わせされるように構成された第1の磁気レンズと、
第2の磁界を生成し、前記光軸と位置合わせされるように構成された第2の磁気レンズと、
第3の磁界を生成し、前記光軸と位置合わせされるように構成された第3の磁気レンズと、を備え、
前記可動回転防止レンズの集束力及び主平面は、前記第1の磁界、前記第2の磁界及び/又は前記第3の磁界を変化させることによって調整可能であり、
前記第1の磁界、前記第2の磁界及び前記第3の磁界のうちの2つは、前記光軸上で反対の方向を有
し、
前記第1の磁気レンズ、前記第2の磁気レンズ及び前記第3の磁気レンズは、それらの前記光軸上の位置が相互に異なるように配置されている、可動回転防止レンズ。
【請求項2】
前記集束力及び前記主平面は、前記荷電粒子ビームの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持しながら調整可能である、請求項1に記載の可動回転防止レンズ。
【請求項3】
前記回転角度は、ゼロである、請求項2に記載の可動回転防止レンズ。
【請求項4】
荷電粒子ビームを集束させるための集束力を有する可動回転防止レンズであって、
前記可動回転防止レンズの光軸と位置合わせされるように構成された回転防止レンズと、
前記光軸と位置合わせされるように構成された
静電レンズと、を備え、
前記可動回転防止レンズの集束力及び主平面は、前記回転防止レンズの集束力及び/又は前記
静電レンズの集束力を変化させることによって調整可能であり、
前記主平面は、前記荷電粒子ビームを生成する供給源に対して調整可能である、可動回転防止レンズ。
【請求項5】
前記集束力及び前記主平面は、前記荷電粒子ビームの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持しながら調整可能である、請求項4に記載の可動回転防止レンズ。
【請求項6】
前記回転角度は、ゼロである、請求項5に記載の可動回転防止レンズ。
【請求項7】
荷電粒子ビームを集束させるための集束力を有する可動回転防止レンズであって、
前記可動回転防止レンズの光軸と位置合わせされるように構成された第1の回転防止レンズと、
前記光軸と位置合わせされるように構成された第2の回転防止レンズと、を備え、
前記可動回転防止レンズの集束力及び主平面は、前記第1の回転防止レンズの集束力及び/又は前記第2の回転防止レンズの集束力を変化させることによって調整可能であ
り、
前記第2の回転防止レンズは、静電レンズである、可動回転防止レンズ。
【請求項8】
前記可動回転防止レンズの前記集束力及び前記主平面は、前記荷電粒子ビームの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持しながら調整可能である、請求項
7に記載の可動回転防止レンズ。
【請求項9】
前記回転角度は、ゼロである、請求項
8に記載の可動回転防止レンズ。
【請求項10】
荷電粒子ビームを集束させるための可動回転防止レンズを構成するための方法であって、
前記可動回転防止レンズの光軸と位置合わせされた第1の磁気レンズによって第1の磁界を生成することと、
前記光軸と位置合わせされた第2の磁気レンズによって第2の磁界を生成することと、
前記光軸と位置合わせされた第3の磁気レンズによって第3の磁界を生成することと、
前記第1の磁界、前記第2の磁界及び/又は前記第3の磁界によって前記可動回転防止レンズの集束力を生成することであって、前記第1の磁界、前記第2の磁界及び前記第3の磁界のうちの2つが、前記光軸上で反対の方向を有することと、を含
み、
前記第1の磁気レンズ、前記第2の磁気レンズ及び前記第3の磁気レンズは、それらの前記光軸上の位置が相互に異なるように配置されている、方法。
【請求項11】
前記荷電粒子ビームの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持しながら前記第1の磁界、前記第2の磁界及び/又は前記第3の磁界を調整することによって、前記集束力を変更し、前記可動回転防止レンズの主平面を移動することをさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
荷電粒子ビームを集束させるための可動回転防止レンズを構成するための方法をマルチビーム装置に実行させるために、前記マルチビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令セットを格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
第1の磁界を生成するように第1の磁気レンズに指示することであって、前記第1の磁気レンズが、前記可動回転防止レンズの光軸と位置合わせされることと、
第2の磁界を生成するように第2の磁気レンズに指示することであって、前記第2の磁気レンズが、前記光軸と位置合わせされることと、
第3の磁界を生成するように第3の磁気レンズに指示することであって、前記第3の磁気レンズが、前記光軸と位置合わせされることと、を含み、
前記第1の磁界、前記第2の磁界及び/又は前記第3の磁界が、前記可動回転防止レンズの集束力を生成し、
前記第1の磁界、前記第2の磁界及び前記第3の磁界のうちの2つが、前記光軸上で反対の方向を有
し、
前記第1の磁気レンズ、前記第2の磁気レンズ及び前記第3の磁気レンズは、それらの前記光軸上の位置が相互に異なるように配置されている、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記マルチビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令セットが、前記集束力を変更し、前記可動回転防止レンズの主平面を移動するために、前記荷電粒子ビームの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持しながら前記第1の磁界、前記第2の磁及び/又は前記第3の磁界を調整することを前記マルチビーム装置にさらに実行させる、請求項
12に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、2016年12月30日に出願された米国特許出願第62/440,493号の優先権を主張し、同特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書で提供される実施形態は、複数の荷電粒子ビームを用いた荷電粒子装置を開示し、より具体的には、サンプルを観察又は検査するために複数の荷電粒子ビームを利用する装置を開示する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体ICチップを製造する際、パターン欠陥及び/又は招かれざる粒子(残留物)は必然的に製作プロセスの間にウェーハ及び/又はマスク上に現れ、それにより、歩留まりが大幅に低減される。例えば、招かれざる粒子は、ますます高度化するICチップの性能に対する要件を満たすために取り入れられてきたさらに小さなクリティカルフィーチャディメンションを有するパターンにとって、非常に厄介である。それに従って、回折効果に起因して、光ビームを用いた従来の歩留まり管理ツールが次第に役に立たなくなり、電子ビームがより短い波長を有し(光子ビームと比べて)、それにより、優れた空間分解能を提供することができるため、電子ビームを用いた歩留まり管理ツールがより頻繁に採用されている。
【0004】
[0004] 現在、電子ビームを用いた歩留まり管理ツールは、単一の電子ビームを用いた走査型電子顕微鏡(SEM)の原理を採用しており、それにより、より高い分解能を提供することができるが、大量生産に適したスループットを提供することができない。単一の電子ビームのより高い電流を使用してスループットを増大させることができるが、優れた空間分解能は、ビーム電流によって増大するクーロン効果によって根本的に悪化する。
【0005】
[0005] スループットの限界を突破するため、一解決法は、大電流を有する単一の電子ビームを使用する代わりに、各々が小電流を有する多数の電子ビームを使用することである。多数の電子ビームは、観察又は検査中のサンプルの表面上に多数のプローブスポットを形成する。多数のプローブスポットは、サンプル表面上の大きな観察エリア内の多数の小さな走査領域を同時に走査することができる。各プローブスポットの電子は、それらが着地するサンプル表面から二次電子を生成し、二次電子は、二次電子ビームを形成する。
【0006】
[0006] 二次電子は、低速二次電子(エネルギー≦50eV)及び後方散乱電子(電子の着地エネルギーに近いエネルギー)を含む。多数の小さな走査領域からの二次電子ビームは、多数の電子検出器によって同時に収集することができる。その結果、小さな走査領域のすべてを含む大きな観察エリアの像は、単一のビームでの走査よりはるかに速く得ることができる。
【0007】
[0007] 多数の電子ビームは、多数の電子源又は単一の電子源の何れかから得ることができる。前者の場合は、多数の電子ビームは、通常、集束され、多数のコラム内の多数の小さな走査領域をそれぞれ走査し、各走査領域からの二次電子は、対応するコラム内の1つの電子検出器によって検出される。従って、装置は、一般に、マルチコラム装置と呼ばれる。サンプル表面上では、ビーム間隔又はピッチは、数ミリメートル~数十ミリメートル程度である。
【0008】
[0008] 後者の場合は、供給源変換ユニットは、事実上、単一の電子源から多数のサブ供給源を形成する。供給源変換ユニットは、多数のビーム制限開口を有する1つのビームレット制限(又はビームレット形成)メカニズムと、多数の電子光学要素を有する1つの像形成メカニズムと、を含む。単一の電子源によって生成された一次電子ビームは、多数のビーム制限開口によって、多数のサブビーム又はビームレットに分割され、多数の電子光学要素は、単一の電子源の多数の並列像(虚像又は実像)をそれぞれ形成するために、多数のビームレットに影響を及ぼす。各像は、1つの対応するビームレットを放出する1つのサブ供給源として取り入れることができる。より高いスループットを得るためにより多くのビームレットを利用可能にするため、供給源変換ユニットのビームレット間隔は、できる限り小さく構成され、典型的には、マイクロメートルレベルである。
【0009】
[0009] 単一のコラム内では、一次投影結像系は、多数の並列像をサンプル表面に投影し、表面上に多数のプローブスポットを形成するために使用することができる。共通の偏向走査ユニットは、多数の小さな走査領域にわたる多数のプローブスポットを走査するように多数のビームレットを偏向させるために使用することができ、1つのビームレットによって形成された各プローブスポットは、それぞれの小さな走査領域にわたって走査する。多数の小さな走査領域から生成された二次電子ビームは、ビームセパレータによって二次投影結像系に誘導され、次いで、電子検出デバイスの多数の検出要素によって検出されるように、二次投影結像系によって集束され、1つの小さな走査領域から生成された各二次電子ビームは、電子検出デバイスの1つの検出要素によって検出される。多数の検出要素は、並置された多数の電子検出器又は1つの電子検出器の多数の画素であり得る。従って、装置は、一般に、マルチビーム装置と呼ばれる。
【0010】
[0010] ビームレット制限メカニズムは、通常、多数のスルーホールを有する導電性プレートであり、多数のスルーホールは、多数のビーム制限開口を構成する。像形成メカニズムの場合、各電子光学要素は、多数の並列実像のうちの1つを形成するために1つのビームレットを集束させる静電マイクロレンズでも、多数の並列虚像のうちの1つを形成するために1つのビームレットを偏向させる静電マイクロ偏向器でもあり得る。クーロン効果は、実像と関連付けられたより高い電流密度により、1つの虚像の方が1つの実像より弱い。
【0011】
[0011] 供給源変換ユニットの上方の空間におけるクーロン効果を低減するため、複数のビームレット形成アパーチャを有するビームレット事前形成メカニズムは、できる限り早く一次電子ビームを調節するために、単一の電子源の近くに置くことができる。一次電子ビーム中のほとんどの電子(ただし、多数のプローブスポットを形成するために使用されるものではない)は、複数のビームレット形成アパーチャを通過することはできない。多数のプローブスポットの電流は、単一の電子源と供給源変換ユニットとの間の集光レンズの集束力を調整することによって変更することができる。通常、集光レンズは、磁気レンズであり、多数のビームレットは、集光レンズの光軸の周りを回転する。回転角度は、集束力によって変化する。回転角度の変動は、ビームレット事前形成メカニズムとビームレット制限メカニズムとの間の多数のビームレットの不一致をもたらし得、それにより、多数のプローブスポットの電流間の差が増大する。電流差は、サンプルの観察又は検査に対するスループットを悪化させる。
【発明の概要】
【0012】
[0012] 本開示の実施形態は、様々な結像条件(例えば、プローブスポットの電流及びビームレットの着地エネルギー)においてサンプルを観察又は検査するための高分解能及び高スループットを有するマルチビーム装置を提供する。実施形態は、クーロン効果を低減するために、ビームレット事前形成メカニズムと、回転防止集光レンズ又は可動回転防止集光レンズと、を使用し、それにより、サンプルの像の空間分解能を向上させる。集光レンズは、その電流を変更する際に、多数のプローブスポットの電流の均一性を保持することができる。その結果、マルチビーム装置は、半導体製造業においてウェーハ/マスク上の欠陥を検査及び/又は再調査するための歩留まり管理ツールとして適している。
【0013】
[0013] いくつかの実施形態では、荷電粒子ビームを集束させるための集束力を有する回転防止レンズが提供される。回転防止レンズは、第1の磁気レンズを含み、第1の磁気レンズは、第1の磁界を生成し、回転防止レンズの光軸と位置合わせされるように構成される。また、回転防止レンズは、第2の磁気レンズも含み、第2の磁気レンズは、第2の磁界を生成し、光軸と位置合わせされるように構成される。回転防止レンズの集束力は、第1の磁界及び第2の磁界を変化させることによって調整可能であり、第1の磁界及び第2の磁界は、光軸上で反対の方向を有する。
【0014】
[0014] いくつかの実施形態では、荷電粒子ビームを集束させるための集束力を有する回転防止レンズが提供される。回転防止レンズは、磁気レンズを含み、磁気レンズは、磁界を生成し、回転防止レンズの光軸と位置合わせされるように構成される。また、回転防止レンズは、静電レンズも含み、静電レンズは、静電界を生成し、光軸と位置合わせされるように構成される。磁界と静電界とは、少なくとも部分的に重複し、回転防止レンズの集束力は、磁界及び/又は静電界を変化させることによって調整可能である。
【0015】
[0015] いくつかの実施形態では、荷電粒子ビームを集束させるための集束力を有する可動回転防止レンズが提供される。可動回転防止レンズは、第1の磁気レンズを含み、第1の磁気レンズは、第1の磁界を生成し、可動回転防止レンズの光軸と位置合わせされるように構成される。また、可動回転防止レンズは、第2の磁気レンズも含み、第2の磁気レンズは、第2の磁界を生成し、光軸と位置合わせされるように構成される。また、可動回転防止レンズは、第3の磁気レンズも含み、第3の磁気レンズは、第3の磁界を生成し、光軸と位置合わせされるように構成される。可動回転防止レンズの集束力及び主平面は、第1の磁界、第2の磁界及び/又は第3の磁界を変化させることによって調整可能であり、第1の磁界、第2の磁界及び第3の磁界のうちの2つは、光軸上で反対の方向を有する。
【0016】
[0016] いくつかの実施形態では、荷電粒子ビームを集束させるための集束力を有する可動回転防止レンズが開示される。可動回転防止レンズは、可動回転防止レンズの光軸と位置合わせされるように構成された回転防止レンズを含む。また、可動回転防止レンズは、光軸と位置合わせされるように構成されたレンズも含む。可動回転防止レンズの集束力及び主平面は、回転防止レンズの集束力及び/又はレンズの集束力を変化させることによって調整可能であり、主平面は、荷電粒子ビームを生成する供給源に対して調整可能である。
【0017】
[0017] いくつかの実施形態では、荷電粒子ビームを集束させるための集束力を有する可動回転防止レンズが開示される。可動回転防止レンズは、可動回転防止レンズの光軸と位置合わせされるように構成された第1の回転防止レンズを含む。また、可動回転防止レンズは、光軸と位置合わせされるように構成された第2の回転防止レンズも含む。可動回転防止レンズの集束力及び主平面は、第1の回転防止レンズの集束力及び/又は第2の回転防止レンズの集束力を変化させることによって調整可能である。
【0018】
[0018] いくつかの実施形態では、サンプルを観察するためのマルチビーム装置が開示される。マルチビーム装置は、一次電子ビームを生成するように構成された電子源と、一次電子ビームを集束させるように構成された集光レンズであって、回転防止レンズ又は可動回転防止レンズのうちの1つである集光レンズと、を含む。マルチビーム装置は、一次電子ビームの多数のビームレットによって電子源の多数の像を形成するように構成された供給源変換ユニットと、多数のビームレットを表面上に集束させ、表面上に多数のプローブスポットを形成するように構成された対物レンズと、サンプルから多数のプローブスポットによって生成された多数の二次ビームを検出するように構成された多数の検出要素を有する電子検出デバイスと、をさらに含む。マルチビーム装置は、ビームレット事前形成メカニズムをさらに含み得、ビームレット事前形成メカニズムは、電子源と集光レンズとの間にあり、複数のビームレット形成アパーチャを含む。集光レンズは、多数のプローブスポットのプローブ電流を変更する際に多数のビームレットの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持するために使用される。
【0019】
[0019] いくつかの実施形態では、荷電粒子ビームを集束させるための回転防止レンズを構成するための方法が提供される。方法は、回転防止レンズの光軸と位置合わせされた第1の磁気レンズによって第1の磁界を生成することを含む。また、方法は、これが光軸と位置合わせされた第2の磁気レンズによって第2の磁界を生成することも含む。方法は、第1の磁界及び第2の磁界によって回転防止レンズの集束力を生成することをさらに含む。第1の磁界及び第2の磁界は、光軸上で反対の方向を有する。
【0020】
[0020] いくつかの実施形態では、荷電粒子ビームを集束させるための回転防止レンズを構成するための方法が提供される。方法は、磁気レンズによって磁界を生成することと、静電レンズによって静電界を生成することと、を含む。方法は、磁界及び/又は静電界によって回転防止レンズの集束力を生成することをさらに含み、磁界と静電界とは、少なくとも部分的に重複する。
【0021】
[0021] いくつかの実施形態では、荷電粒子ビームを集束させるための可動回転防止レンズを構成するための方法が提供される。方法は、可動回転防止レンズの光軸と位置合わせされた第1の磁気レンズによって第1の磁界を生成することと、光軸と位置合わせされた第2の磁気レンズによって第2の磁界を生成することと、光軸と位置合わせされた第3の磁気レンズによって第3の磁界を生成することとを含む。方法は、第1の磁界、第2の磁界及び/又は第3の磁界によって可動回転防止レンズの集束力を生成することをさらに含み、第1の磁界、第2の磁界及び第3の磁界のうちの2つは、光軸上で反対の方向を有する。
【0022】
[0022] いくつかの実施形態では、サンプルを観察するためのマルチビーム装置を構成するための方法が提供される。方法は、電子源と集光レンズとの間に位置付けられたビームレット事前形成メカニズムによって、電子源からの一次電子ビームを複数のビームレットに調節することと、供給源変換ユニットによって、複数のビームレットを使用して電子源の多数の像を形成することと、を含む。方法は、多数の像をサンプルに投影することによって、サンプル上に多数のプローブスポットを形成することと、多数のプローブスポットのプローブ電流を変更する際に複数のビームレットの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持するように集光レンズを調整することと、をさらに含み、集光レンズは、回転防止レンズ又は可動回転防止レンズのうちの1つである。
【0023】
[0023] いくつかの実施形態では、非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。非一時的なコンピュータ可読媒体は、荷電粒子ビームを集束させるための回転防止レンズを構成するための方法をマルチビーム装置に実行させるために、マルチビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令セットを格納する。方法は、第1の磁界を生成するように第1の磁気レンズに指示することであって、第1の磁気レンズが、回転防止レンズの光軸と位置合わせされることと、第2の磁界を生成するように第2の磁気レンズに指示することであって、第2の磁気レンズが、光軸と位置合わせされることと、を含む。第1の磁界及び第2の磁界は、回転防止レンズの集束力を生成し、光軸上で反対の方向を有する。
【0024】
[0024] いくつかの実施形態では、非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。非一時的なコンピュータ可読媒体は、荷電粒子ビームを集束させるための回転防止レンズを構成するための方法をマルチビーム装置に実行させるために、マルチビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令セットを格納する。方法は、磁界を生成するように磁気レンズに指示することと、静電界を生成するように静電レンズに指示することと、を含む。磁界及び/又は静電界は、回転防止レンズの集束力を生成する。その上、磁界と静電界とは、少なくとも部分的に重複する。
【0025】
[0025] いくつかの実施形態では、非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。非一時的なコンピュータ可読媒体は、荷電粒子ビームを集束させるための可動回転防止レンズを構成するための方法をマルチビーム装置に実行させるために、マルチビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令セットを格納する。方法は、第1の磁界を生成するように第1の磁気レンズに指示することであって、第1の磁気レンズが、可動回転防止レンズの光軸と位置合わせされることと、第2の磁界を生成するように第2の磁気レンズに指示することであって、第2の磁気レンズが、光軸と位置合わせされることと、第3の磁界を生成するように第3の磁気レンズに指示することであって、第3の磁気レンズが、光軸と位置合わせされることと、を含む。第1の磁界、第2の磁界及び/又は第3の磁界は、可動回転防止レンズの集束力を生成する。その上、第1の磁界、第2の磁界及び第3の磁界のうちの2つは、光軸上で反対の方向を有する。
【0026】
[0026] 本発明の他の利点は、添付の図面と併せて取り入れられる以下の説明から明らかになるであろう。添付の図面では、例示及び例として、本発明のある特定の実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】[0027]マルチビーム装置の例示的な構成を示す概略図である。
【
図1B】[0027]マルチビーム装置の例示的な構成を示す概略図である。
【
図2A】[0028]
図1A及び1Bのビームレット事前形成メカニズムのXY平面における断面図であり、一次電子ビーム及び3つのビームレットの例示的なスポットを示す。
【
図2B】[0029]
図1A及び1Bのビームレット制限メカニズムのXY平面における断面図であり、3つのビームレットの例示的なスポット及び3つのビーム制限開口を示す。
【
図2C】[0029]
図1A及び1Bのビームレット制限メカニズムのXY平面における断面図であり、3つのビームレットの例示的なスポット及び3つのビーム制限開口を示す。
【
図2D】[0029]
図1A及び1Bのビームレット制限メカニズムのXY平面における断面図であり、3つのビームレットの例示的なスポット及び3つのビーム制限開口を示す。
【
図2E】[0029]
図1A及び1Bのビームレット制限メカニズムのXY平面における断面図であり、3つのビームレットの例示的なスポット及び3つのビーム制限開口を示す。
【
図3A】[0030]本開示の実施形態と一致する、回転防止レンズの例示的な構成を示す概略図である。
【
図3B】[0030]本開示の実施形態と一致する、回転防止レンズの例示的な構成を示す概略図である。
【
図3C】[0031]本開示の実施形態と一致する、
図3Aの例示的な磁界分布を示す概略図である。
【
図3D】[0031]本開示の実施形態と一致する、
図3Aの例示的な磁界分布を示す概略図である。
【
図4A】[0032]本開示の実施形態と一致する、回転防止レンズの例示的な構成を示す概略図である。
【
図4B】[0032]本開示の実施形態と一致する、回転防止レンズの例示的な構成を示す概略図である。
【
図4C】[0032]本開示の実施形態と一致する、回転防止レンズの例示的な構成を示す概略図である。
【
図5A】[0033]本開示の実施形態と一致する、可動回転防止レンズの例示的な構成を示す概略図である。
【
図5B】[0034]本開示の実施形態と一致する、
図5Aの例示的な磁界分布を示す概略図である。
【
図5C】[0034]本開示の実施形態と一致する、
図5Aの例示的な磁界分布を示す概略図である。
【
図5D】[0034]本開示の実施形態と一致する、
図5Aの例示的な磁界分布を示す概略図である。
【
図6A】[0035]本開示の実施形態と一致する、可動回転防止レンズの例示的な構成を示す概略図である。
【
図6B】[0035]本開示の実施形態と一致する、可動回転防止レンズの例示的な構成を示す概略図である。
【
図7A】[0036]本開示の実施形態と一致する、可動回転防止レンズの例示的な構成を示す概略図である。
【
図7B】[0036]本開示の実施形態と一致する、可動回転防止レンズの例示的な構成を示す概略図である。
【
図8A】[0037]本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置の例示的な構成を示す概略図である。
【
図8B】[0038]本開示の実施形態と一致する、
図8Aのビームレット事前形成メカニズムの例示的な構成を示す。
【
図8C】[0038]本開示の実施形態と一致する、
図8Aのビームレット事前形成メカニズムの例示的な構成を示す。
【
図9A】[0039]本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置及びビームパスの例示的な構成を示す概略図である。
【
図9B】[0040]本開示の実施形態と一致する、
図9A及び9Cのビームレット事前形成メカニズムの例示的な構成を示す概略図である。
【
図9C】[0039]本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置及びビームパスの例示的な構成を示す概略図である。
【
図10】[0041]本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置の例示的な構成を示す概略図である。
【
図11A】[0042]本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置及びビームパスの例示的な構成を示す概略図である。
【
図11B】[0043]本開示の実施形態と一致する、
図11A及び11Cのビームレット事前形成メカニズムの例示的な構成を示す概略図である。
【
図11C】[0042]本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置及びビームパスの例示的な構成を示す概略図である。
【
図12A】[0044]本開示の実施形態と一致する、ビームレット事前形成メカニズムの例示的な構成を示す概略図である。
【
図12B】[0044]本開示の実施形態と一致する、ビームレット事前形成メカニズムの例示的な構成を示す概略図である。
【
図13】[0045]本開示の実施形態と一致する、
図12Aのビームレット事前形成メカニズムを有するマルチビーム装置の例示的な構成を示す概略図である。
【
図14】[0046]本開示の実施形態と一致する、
図12Aのビームレット事前形成メカニズムを有するマルチビーム装置の例示的な構成を示す概略図である。
【
図15A】[0047]本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置の例示的な構成を示す概略図である。
【
図15B】[0048]本開示の実施形態と一致する、
図15Aのサンプル表面上のビームレットの走査パスを示す概略図である。
【
図15C】[0049]本開示の実施形態と一致する、
図15Aの電子検出デバイスの検出要素上の二次ビームの走査パスを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[0050] ここでは、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例は、添付の図面に示されている。以下の説明は、添付の図面を参照し、別段の表現がない限り、異なる図面における同じ番号は、同じ又は同様の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明において記載される実装形態は、本発明と一致するすべての実装形態を表すわけではない。代わりに、それらの実装形態は、添付の請求項において記述されるように、本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例である。
【0029】
[0051] 図面では、コンポーネントの相対寸法は、明確にするために拡大され得る。以下の図面の説明内では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様のコンポーネント又はエンティティを指し、個々の実施形態に関する違いのみを説明する。
【0030】
[0052] 保護の範囲を制限することなく、実施形態の説明及び図面はすべて例示的に電子ビームと見なされる。しかし、実施形態は、開示される実施形態を特定の荷電粒子に限定するためには使用されない。
【0031】
[0053] 本出願の実施形態は、多数の荷電粒子ビームを用いたマルチビーム装置又は荷電粒子装置に関連する。より具体的には、本出願の実施形態は、サンプル表面上の観察エリアの多数の走査領域の像を同時に取得するために多数の荷電粒子ビームを採用する装置に関連する。装置は、半導体製造業において高分解能及び高スループットでウェーハ/マスク上の欠陥を検査及び/又は再調査するために使用することができる。
【0032】
[0054] さらに、本出願の実施形態は、マルチビーム装置におけるクーロン効果を低減し、従って、観察又は検査中のサンプルの複数の小さな走査領域の像の空間分解能を向上するためのビームレット事前形成メカニズム及び回転防止集光レンズ又は可動回転防止集光レンズに関連する。マルチビーム装置では、複数のビームレット形成アパーチャを有するビームレット事前形成メカニズムは、単一の電子源からの一次電子ビームを複数のビームレットに調節する。回転防止集光レンズ又は可動回転防止集光レンズは、供給源変換ユニットに入射するように複数のビームレットを集束させ、供給源変換ユニットは、複数のビームレットによって単一の電子源の複数の並列像を形成する。並列像は、サンプル表面に投影され(対物レンズを介して)、表面上に複数のプローブスポットを形成する。複数のビームレットは、偏向走査ユニット及び供給源変換ユニットの少なくとも1つによって、小さな走査領域にわたって複数のプローブスポットをそれぞれ走査するように偏向させることができる。プローブスポットの電流は、供給源変換ユニットによって制限し、回転防止集光レンズを調整することによって変化させることも、ビームレット事前形成メカニズムによって制限し、ビームレット形成アパーチャのサイズを変更することによって変化させることもできる。供給源変換ユニットは、その軸外収差を補償することによって、プローブスポットのサイズ及びプローブスポット間のサイズの違いを低減することができる。
【0033】
[0055] その上、開示される実施形態は、ビームレット事前形成メカニズム、回転防止集光レンズ、可動回転防止集光レンズ及び対応するマルチビーム装置の構成を提供する。例示の目的のため、ほとんどの実施形態において3つのビームレットが示されているが、ビームレットの実際の数は任意であり得る。偏向走査ユニット、ビームセパレータ、二次投影結像系、電子検出デバイス及びそれらの任意の組合せは、マルチビーム装置に組み込むことができ、実施形態の説明において示さないか、又は場合によって言及する。
【0034】
[0056] 本開示の実施形態によれば、X、Y及びZ軸は、デカルト座標である。マルチビーム装置の主光軸は、Z軸上にあり、単一の電子源からの一次電子ビームは、Z軸に沿って移動する。
【0035】
[0057] 光軸がZ軸上にある磁気レンズを電子ビームが通過する際、磁気レンズの集束力1/f及び光軸の周りの電子ビームの回転角度θは、その磁界によって決定され、式(1)及び(2)によって計算することができる。
【数1】
ここでは、変数e、m及びVは、電子の電荷、質量及びエネルギーであり、B(z)は、Z軸上の磁界であり、z1及びz2は、Z軸に沿った電子ビームの開始及び終了位置である。従って、回転角度θは、基本的に、磁気レンズの集束力1/fによって変化する。式(1)及び(2)によれば、回転角度θは、軸上磁界B(z)の極性に関連するが、集束力1/fは、そうではない。従って、極性がZ軸に沿って同じでない場合は、集束力1/fは、回転角度に影響を及ぼすことなく変更することができ、対応するレンズは、回転防止レンズ(ARL)である。
【0036】
[0058] ここでは、
図1Aを参照し、
図1Aは、従来のマルチビーム装置100Aの例示的な構成を示す概略図である。マルチビーム装置100Aは、電子源101、ビームレット事前形成メカニズム172、集光レンズ110、供給源変換ユニット120及び対物レンズ131を含む。ビームレット事前形成メカニズム172のビームレット形成アパーチャ172_1、172_2、172_3は、電子源101に近い場所且つ供給源変換ユニット120のはるか上方の場所において、電子源101によって生成された一次電子ビーム102を3つのビームレット102_1、102_2、102_3に調節する(102_2、102_3は、装置100Aの主光軸100_1上にない軸外ビームレットである)。集光レンズ110は、供給源変換ユニット120に入射するように3つのビームレット102_1~102_3を集束させる。供給源変換ユニット120は、3つの屈曲前マイクロ偏向器123_1、123_2、123_3を有する1つのビームレット屈曲前メカニズム123と、3つのビーム制限開口121_1~121_3を有する1つのビームレット制限メカニズム121と、3つの像形成マイクロ偏向器122-1_1、122-1_2、122-1_3を有する1つの像形成メカニズム122とを含む。3つの屈曲前マイクロ偏向器123_1~123_3は、3つのビーム制限開口121_1~121_3に垂直に入射するように3つのビームレット102_1~102_3をそれぞれ偏向させる。ビーム制限開口121_1、121_2、121_3は、3つのビームレット102_1~102_3の残留周辺電子の進行を妨げ、従って、その電流を制限する。3つの像形成マイクロ偏向器122-1_1~122-1_3は、3つのビームレット102_1~102_3を主光軸100_1に向けて偏向させ、電子源101の3つの虚像を形成する。対物レンズ131は、3つのビームレット102_1~102_3をサンプル8の表面7に集束させる(すなわち、3つの虚像を表面7に投影する)。3つのビームレット102_1~102_3によって表面7上に形成された3つの像は、表面上に3つのプローブスポット102_1S、102_2S、102_3Sを形成する。像形成マイクロ偏向器122-1_1~122-1_3によるビームレット102_1~102_3の偏向角度は、対物レンズ131による3つのプローブスポット102_1S~102_3Sの軸外収差を低減するように調整され、結果的に、偏向された3つのビームレットは、対物レンズ131の前焦点を通過するか、又は前焦点に近づく。
【0037】
[0059] 電流は、集光レンズ110の集束力を調整することによって変化させることができる。しかし、ビームレット102_1~102_3の位置は、電流が変化すると、ビーム制限開口121_1~121_3に関して変化する。従って、ビームレット形成アパーチャから来る1つのビームレットとその対応するビーム制限開口との不一致が起こり得る。集光レンズ110は、静電、磁気又は電磁複合レンズであるように構成することができる。磁気集光レンズは、静電レンズと比較すると、より小さな収差を有する。静電集光レンズの場合は、不一致は、
図2Cに示されるように、半径方向に沿ってのみ起こり、半径方向は、主光軸100_1に垂直な方向である。磁気又は電磁複合レンズの場合は、ビームレット102_1~102_3の回転角度が変化するため、不一致は、
図2Eに示されるように、半径方向と回転方向の両方に沿って起こる。
【0038】
[0060] いくつかの実施形態では、集光レンズ110は、磁気のものであるように構成され、ビームレット事前形成メカニズム172を通過してある回転角度でビームレット制限メカニズム121に着地する軸外ビームレット102_2、102_3をもたらし得る。回転角度は、集光レンズ110の集束力によって変化する。ビーム制限開口121_2、121_3をビームレット102_2、102_3で完全に埋め尽くすことは、ビームレット形成アパーチャ172_2、172_3のサイズを拡大することによって達成することができる。ビームレット形成アパーチャのサイズを拡大することにより、より多くの未使用の電子が導入され、従って、ビームレット事前形成メカニズム172と供給源変換ユニット120との間の空間においてクーロン効果が増大し得る。小さな走査領域の像の空間分解能は悪化する。また、ビーム制限開口121_2、121_3をビームレット102_2、102_3で完全に埋め尽くすことは、集光レンズ110の集束力を変更する際に回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持することによっても達成することができる。この解決法は、集光レンズ110として回転防止レンズを使用する。
【0039】
[0061] ここでは、
図1Bを参照し、
図1Bは、マルチビーム装置200Aの別の例示的な構成を示す概略図である。マルチビーム装置200Aは、電子源101、ビームレット事前形成メカニズム172、可動集光レンズ210、供給源変換ユニット220及び対物レンズ131を含む。電子源101によって生成された一次電子ビーム102は、ビームレット事前形成メカニズム172の3つのビームレット形成アパーチャ172_1、172_2、172_3によって、3つのビームレット102_1、102_2、102_3に調節される。可動集光レンズ210は、供給源変換ユニット220に垂直に入射するように3つのビームレット102_1~102_3を集束させる。供給源変換ユニット220は、3つのビーム制限開口121_1~121_3を有する1つのビームレット制限メカニズム121と、3つの像形成マイクロ偏向器122-1_1、122-1_2、122-1_3を有する1つの像形成メカニズム122-1と、を含む。ビーム制限開口121_1、121_2、121_3は、3つのビームレット102_1~102_3の残留周辺電子の進行を妨げ、従って、その電流を制限する。3つの像形成マイクロ偏向器122-1_1~122-1_3は、3つのビームレット102_1~102_3を主光軸200_1に向けて偏向させ、電子源101の3つの虚像を形成する。対物レンズ131は、3つのビームレット102_1~102_3をサンプル8の表面7に集束させる(すなわち、3つの虚像を表面7に投影する)。3つのビームレット102_1~102_3によって表面7上に形成された3つの像は、表面上に3つのプローブスポット102_1S、102_2S、102_3Sを形成する。像形成マイクロ偏向器122-1_1~122-1_3によるビームレット102_1~102_3の偏向角度は、対物レンズ131による3つのプローブスポット102_1S~102_3Sの軸外収差を低減するように調整され、結果的に、偏向された3つのビームレットは、対物レンズ131の前焦点を通過するか、又は前焦点に近づく。
【0040】
[0062] 可動集光レンズ210は、その第1の原理平面210_2の位置が移動可能であるように構成される。ビームレット102_1~102_3の電流は、供給源変換ユニット120に垂直に入射するようにビームレット102_1~102_3を保持しながら、可動集光レンズ210の集束力と第1の主平面210_2の位置の両方を調整することによって変化させることができる。しかし、ビームレット102_1~102_3の位置は、電流が変化すると、ビーム制限開口121_1~121_3に関して変化する。ビームレット形成アパーチャから来る1つのビームレットとその対応するビーム制限開口との不一致が起こり得る。可動集光レンズ210は、静電、磁気又は電磁複合レンズであるように構成することができる。上記で言及されるように、不一致は、静電集光レンズの場合は、半径方向(主光軸200_1に垂直な)に沿ってのみ起こるか、或いは、磁気又は電磁複合集光レンズの場合は、半径方向と回転方向の両方に沿って起こる。
【0041】
[0063] いくつかの実施形態では、可動集光レンズ210は、磁気のものであるように構成され、ビームレット事前形成メカニズム172を通過してある回転角度でビームレット制限メカニズム121に着地する軸外ビームレット102_2、102_3をもたらし得る。回転角度は、可動集光レンズ210の集束力及び第1の主平面の位置によって変化する。ビーム制限開口121_2、121_3をビームレット102_2、102_3で完全に埋め尽くすことは、ビームレット形成アパーチャ172_2、172_3のサイズを拡大することによって達成することができる。ビームレット形成アパーチャのサイズを拡大することにより、より多くの未使用の電子が導入され、従って、ビームレット事前形成メカニズム172と供給源変換ユニット120との間の空間においてクーロン効果が増大し得る。従って、小さな走査領域の像の空間分解能は悪化する。また、ビーム制限開口121_2、121_3をビームレット102_2、102_3で完全に埋め尽くすことは、可動集光レンズ210の集束力及び第1の主平面の位置を変更する際に回転角度を変更しないまま保持することによっても達成することができる。この解決法は、可動集光レンズ210として、可動の第1の主平面を有する回転防止レンズ(すなわち、可動回転防止レンズ(MARL))を使用する。
【0042】
[0064] ここでは、
図2A~2Eを参照する。
図2Aは、
図1A及び1Bのビームレット事前形成メカニズム172のXY平面における断面図であり、一次電子ビーム及び3つのビームレットの例示的なスポットを示す。
図2B~2Eはそれぞれ、
図1A及び1Bのビームレット制限メカニズム121のXY平面における断面図であり、3つのビームレットの例示的なスポット及び3つのビーム制限開口を示す。
【0043】
[0065]
図2Aでは、一次電子ビーム102は、ビームレット事前形成メカニズム172に照射され、ビームレット事前形成メカニズム172では、ビームレット形成アパーチャ172_1~172_3は、X軸に沿って配置される。
図1Aの集光レンズ110又は
図1Bの可動集光レンズ210が静電のものである場合は、ビームレット102_1~102_3は、
図2B及び
図2Cに示されるように、X軸に沿ってビームレット制限メカニズム121に入射し得る。3つのビームレット102_1~102_3は、
図2Cの方が
図2Bより強く集束している。それに従って、3つのビームレット102_1~102_3の電流は、
図2Cの方が
図2Bより大きい。
図1Aの集光レンズ110又は
図1Bの可動集光レンズ210が磁気又は電磁複合のものである場合は、ビームレット102_1~102_3は、
図2D及び
図2Eに示されるように、対応する集光レンズの光軸の周りのある回転角度でビームレット制限メカニズム121に入射する。ビームレット102_1~102_3は、
図2Eの方が
図2Dより強く集束している。それに従って、ビームレット102_1~102_3は、
図2Eの方が
図2Dより大きな電流及び大きな回転角度でビームレット制限メカニズム121に入射する。
図2Eでは、2つのエッジビームレット102_2、102_3は、ビーム制限開口121_2、121_3から部分的に外れて回転しており、ビーム制限開口121_1~121_3が同じ半径サイズを有する場合は、ビーム制限開口121_2、121_3を通過した後のそれらの電流は、中央のビームレット102_1の電流とは異なり得る。
【0044】
[0066] 回転防止レンズは、通過する電子ビームの回転角度に影響を及ぼすことなく変更することができる集束力を有する。
図1Aの集光レンズ110が回転防止レンズである場合は、
図2Eの不一致を排除することができる。回転防止レンズは、2つの磁気レンズによって又は1つの磁気レンズ及び1つの静電レンズによって形成することができる。電子ビームに対し、回転防止レンズの中のレンズの励磁を適切に調整することにより、電子ビームの回転角度に影響を及ぼすことなく、その集束力を変化させることができる。
【0045】
[0067] ここでは、
図3A及び3Bを参照し、
図3A及び3Bは、各々が、本開示の実施形態と一致する、2つの磁気レンズを含む回転防止レンズの例示的な構成を示す概略図である。その一方で、
図3C及び3Dも参照し、
図3C及び3Dは、本開示の実施形態と一致する、
図3A及び3Bの例示的な磁界分布を示す概略図である。
【0046】
[0068]
図3Aでは、回転防止レンズARL-1の2つの単一の磁気レンズARL-1-1、ARL-1-2は、その光軸ARL-1_1(Z軸上の)と位置合わせされるように構成される。磁気レンズARL-1-1、ARL-1-2は、磁界を生成するように励磁され、光軸ARL-1_1上の磁界B
ARL-1-1(z)、B
ARL-1-2(z)の分布は、
図3C又は
図3Dに示されるように、極性が反対である。軸上磁界B
ARL-1-1(z)、B
ARL-1-2(z)は、適切な比率に基づいて調整することができる。それに従って、回転防止レンズARL-1を通過する電子ビームの全体的な回転角度に影響を及ぼすことなく、その集束力を調整することができる。
【0047】
[0069] いくつかの実施形態では、共通の磁気回路を部分的に共有するために2つの単一の磁気レンズを接続できることが理解されている。例えば、
図3Bに示されるように、回転防止レンズARL-2の2つの磁気レンズARL-2-1、ARL-2-2は、それらの間で共通の磁気回路を部分的に共有するように構成される。
【0048】
[0070] また、
図3Aは、回転防止レンズARL-1が、
図1Aに示される集光レンズ110などのマルチビーム装置の集光レンズとして使用される場合に、どのように機能するかも示す。例えば、
図3Cに示されるように、磁界B
ARL-1-1(z)、B
ARL-1-2(z)が、分布は同じであるが、極性は反対であるように設定されると、一次電子ビーム102は、
図3Aの実線のように集束される。単一の電子源101が、磁界B
ARL-1-1(z)、B
ARL-1-2(z)の総和である全軸上磁界B(z)にさらされない場合は、回転防止レンズARL-1を出た後の一次電子ビーム102の全体的な回転角度はゼロである。
図3Dに示されるように、B
ARL-1-1(z)、B
ARL-1-2(z)が等しく増大する際は、一次電子ビーム102の集束力は増大し(例えば、
図3Aの破線によって示されるように)、回転防止レンズARL-1を出た後の一次電子ビーム102の回転角度は依然としてゼロである。単一の電子源101が全軸上磁界B(z)にさらされる場合は、
図3Cに関する回転角度はゼロではない。B
ARL-1-1(z)、B
ARL-1-2(z)は、集束力を増大しながら回転角度を変更しないまま保持するために、適切な比率で増大することができる。
【0049】
[0071] ここでは、
図4A、4B及び4Cを参照し、
図4A、4B及び4Cは、各々が、本開示の実施形態と一致する、静電レンズ及び磁気レンズを含む回転防止レンズの例示的な構成を示す概略図である。
図4Aでは、回転防止レンズARL-3は、3つの電極ARL-3-1_e1、ARL-3-1_e2、ARL-3-1_e3によって形成された静電レンズARL-3-1と、磁気レンズARL-3-2とを含む。静電レンズARL-3-1の静電界及び磁気レンズARL-3-2の磁界は、互いに部分的に重複するように構成される。それに従って、磁界を通過する電子ビームのエネルギーは、静電界によって変化し、その回転角度は、磁界と静電界の両方に依存する。従って、適切な比率で磁界及び静電界を変化させることにより、回転防止レンズARL-3を出た後の電子ビームの回転角度に影響を及ぼすことなく、回転防止レンズARL-3の集束力を変更することができる。
【0050】
[0072]
図4Bでは、回転防止レンズARL-4は、3つの電極ARL-4-1_e1、ARL-4-1_e2、ARL-4-1_e3によって形成された静電レンズARL-4-1と、磁気レンズARL-4-2と、を含む。静電レンズARL-4-1の静電界及び磁気レンズARL-4-2の磁界は、互いに完全に重複するように構成され、従って、回転角度を変更しないまま保持することをより効率的に実現することができる。
【0051】
[0073]
図4Cでは、回転防止レンズARL-5は、静電レンズARL-5-1と、磁気レンズARL-5-2と、を含む。静電レンズARL-5-1は、2つの端部の電極ARL-5-1_e1、ARL-5-1_e3と、それらの電極間に位置する中央の電極ARL-5-1_e2と、によって形成される。また、2つの端部の電極ARL-5-1_e1、ARL-5-1_e3は、磁気レンズARL-5-2の2つの磁極片でもある。従って、構成は、よりコンパクト且つシンプルである。
【0052】
[0074] 可動回転防止レンズは、可動の第1の主平面を有する。電子ビームに対し、可動回転防止レンズの第1の主平面の位置及び集束力は、電子ビームの回転角度に影響を及ぼすことなく変更することができる。
図1Bの可動集光レンズ210が可動回転防止レンズである場合は、
図2Eの不一致を排除することができる。可動回転防止レンズは、3つの磁気レンズによって、1つの回転防止レンズ及び1つの従来のレンズ(静電若しくは磁気)によって又は2つの回転防止レンズによって形成することができる。電子ビームに対し、可動回転防止レンズの中のレンズの励磁を適切に調整することにより、電子ビームの回転角度に影響を及ぼすことなく、その第1の主平面及び集束力を同時に変化させることができる。
【0053】
[0075] ここでは、
図5Aを参照し、
図5Aは、本開示の実施形態と一致する、3つの磁気レンズを含む可動回転防止レンズの例示的な構成を示す概略図である。その一方で、
図5B、5C及び5Dも参照し、
図5B、5C及び5Dはそれぞれ、本開示の実施形態と一致する、
図5Aの例示的な磁界分布を示す概略図である。
図5Aでは、可動回転防止レンズMARL-1の3つの単一の磁気レンズMARL-1-1、MARL-1-2、MARL-1-3は、その光軸MARL-1_1(Z軸上の)と位置合わせされる。単一の磁気レンズMARL-1-1~MARL-1-3のうちの2つ又はすべては、接続して、共通の磁気回路を部分的に共有するように構成することができる。磁気レンズMARL-1-1~MARL-1-3は、磁界を生成するように励磁され、磁界の軸上分布(光軸MARL-1_1上のフィールド)は、B
MARL-1-1(z)、B
MARL-1-2(z)、B
MARL-1-3(z)である。軸上磁界B
MARL-1-1(z)、B
MARL-1-2(z)、B
MARL-1-3(z)のうちの2つは、
図5B~5Dに示されるように、極性が反対である。磁気レンズMARL-1-1~MARL-1-3の励磁は、軸上磁界B
MARL-1-1(z)、B
MARL-1-2(z)、B
MARL-1-3(z)の総和である全軸上磁界の分布が変化するように設定され、その結果、第1の主平面が移動し、可動回転防止レンズMARL-1の集束力が調整される。全軸上磁界の分布内では、その極性は、全体的な回転角度を変更しないまま保持するために、Z軸に沿った方向とZ軸とは反対の方向との間で交互に変化する。
【0054】
[0076] また、
図5Aは、可動回転防止レンズが、
図1Bの可動集光レンズ210のようなマルチビーム装置の可動集光レンズとして使用される場合に、どのように機能するかも示す。例えば、
図5Bに示されるように、磁界B
MARL-1-1(z)、B
MARL-1-2(z)が、分布は同じであるが、極性は反対であるように、且つ、磁界B
MARL-1-3(z)がゼロに等しくなるように、軸上磁気レンズMARL-1-1~MARL-1-3の励磁が設定されると、第1の主平面は、単一の電子源101に近い
図5Aの平面P1-3にある。単一の電子源101からの一次電子ビーム102は、平面P1-3で平行になり、可動集光レンズMARL-1を出た後、ビーム幅102W_P1-3を有する。単一の電子源101が全軸上磁界にさらされない場合は、可動集光レンズMARL-1を出た後の一次電子ビーム102の回転角度はゼロである。
図5Cに示されるように、軸上磁界B
MARL-1-1(z)、B
MARL-1-2(z)、B
MARL-1-3(z)を調整するために磁気レンズの励磁を変更することにより、第1の主平面は、
図5Aに示されるように、単一の電子源101から離れるように平面P1-1まで移動する。一次電子ビーム102は、平面P1-1で平行になり、増大したビーム幅102W_P1-1を有し、ビーム幅が102W_P1-3の時と同じ回転角度を有する。
図5Dに示されるように、軸上磁界B
MARL-1-1(z)、B
MARL-1-2(z)、B
MARL-1-3(z)を調整するために磁気レンズの励磁をさらに変更することにより、第1の主平面は、
図5Aに示されるように、単一の電子源101からさらに離れるように平面P1-2まで移動する。一次電子ビーム102は、平面P1-2で平行になり、さらに増大したビーム幅102W_P1-2を有し、ビーム幅が102W_P1-3又は102W_P1-1の時と同じ回転角度を有する。第1の主平面は、平面P1-3と平面P1-2との間を移動するように構成することができ、従って、一次電子ビーム102は、平行にして、変更されたビーム幅及び未変更の回転角度で出ることができる。
【0055】
[0077] ここでは、
図6Aを参照し、
図6Aは、本開示の実施形態と一致する、1つの回転防止レンズ及び従来の静電レンズを有する可動回転防止レンズの例示的な構成を示す概略図である。可動回転防止レンズMARL-2の回転防止レンズMARL-2-1及び静電レンズMARL-2-2は、その光軸MARL-2_1と位置合わせされる。回転防止レンズMARL-2-1は、
図3Aの回転防止レンズARL-1と同様に、2つの磁気レンズMARL-2-1-1、MARL-2-1-2を含む。静電レンズMARL-2-2は、3つの電極MARL-2-2_e1、MARL-2-2_e2、MARL-2-2_e3を含む。可動回転防止レンズMARL-2の第1の主平面は、静電レンズMARL-2-2がオフであること及び回転防止レンズMARL-2-1がオンであることに応答して、2つの単一の磁気レンズMARL-2-1-1とMARL-2-1-2との間の平面P2-3に位置するように構成することができる。また、第1の主平面は、回転防止レンズMARL-2-1がオフであること及び静電レンズMARL-2-2がオンであることに応答して、2つの端部の電極MARL-2-2_e3とMARL-2-2_e1との間の中央の電極MARL-2-2_e2に近い平面P2-2に位置するように構成することもできる。回転防止レンズMARL-2-1と静電レンズMARL-2-2との集束力比を調整することにより、第1の主平面は、平面P2-3とP2-2との間を移動するように構成することができる。回転防止レンズMARL-2-1は、第1の主平面を移動させながら、回転角度を変更しないままで特定の値に等しくなるように保持することができる。静電レンズMARL-2-2は、回転機能を有さない。従って、特定の値がゼロではない場合は、静電レンズMARL-2-2は、回転防止レンズMARL-2-1と共に機能する必要がある。その結果、第1の主平面の移動範囲が低減する。
【0056】
[0078] ここでは、
図6Bを参照し、
図6Bは、本開示の実施形態と一致する、1つの回転防止レンズ及び従来の磁気レンズを有する可動回転防止レンズの例示的な構成を示す概略図である。可動回転防止レンズMARL-3の回転防止レンズMARL-3-1及び磁気レンズMARL-3-2は、その光軸MARL-3_1と位置合わせされる。回転防止レンズMARL-3-1は、
図4Cの回転防止レンズARL-5と同様に、1つの静電レンズMARL-3-1-1及び1つの磁気レンズMARL-3-1-2を含む。
【0057】
[0079] 可動回転防止レンズMARL-3の第1の主平面は、磁気レンズMARL-3-2がオフであること及び回転防止レンズMARL-3-1がオンであることに応答して、回転防止レンズMARL-3-1の電極MARL-3-1_e2と交差する平面P3-3に位置するように構成することができる。また、第1の主平面は、回転防止レンズMARL-3-1がオフであること及び磁気レンズMARL-3-2がオンであることに応答して、磁気レンズMARL-3-2の2つの磁極片間の平面P3-2に位置するように構成することもできる。回転防止レンズMARL-3-1と磁気レンズMARL-3-2との集束力比を調整することにより、第1の主平面は、平面P3-3とP3-2との間を移動するように構成することができる。回転防止レンズMARL-3-1による回転角度は、第1の主平面を移動させながら、可動回転防止レンズMARL-3による全体的な回転角度を変更しないまま保持するために、磁気レンズMARL-3-2による回転角度に対して調整することができる。
【0058】
[0080] ここでは、
図7A及び7Bを参照し、
図7A及び7Bは、各々が、本開示の実施形態と一致する、2つの回転防止レンズを有する可動回転防止レンズの例示的な構成を示す概略図である。
図7Aでは、可動回転防止レンズMARL-4の2つの回転防止レンズMARL-4-1、MARL-4-2は、その光軸MARL-4_1と位置合わせされる。回転防止レンズMARL-4-1は、磁気レンズMARL-4-1-1、MARL-4-1-2を含む。回転防止レンズMARL-4-2は、磁気レンズMARL-4-2-1、MARL-4-2-2を含む。回転防止レンズMARL-4-1、MARL-4-2は両方とも、
図3Aの回転防止レンズARL-1と同様である。可動回転防止レンズMARL-4の第1の主平面は、回転防止レンズMARL-4-1がオンであること及び回転防止レンズMARL-4-2がオフであることに応答して、磁気レンズMARL-4-1-1とMARL-4-1-2との間の平面P4-3に位置するように構成することができる。また、第1の主平面は、回転防止レンズMARL-4-1がオフであること及び回転防止レンズMARL-4-2がオンであることに応答して、磁気レンズMARL-4-2-1とMARL-4-2-2との間の平面P4-2に位置するように構成することもできる。回転防止レンズMARL-4-1とMARL-4-2との集束力比を調整することにより、第1の主平面は、平面P4-3とP4-2との間を移動するように構成することができる。回転防止レンズMARL-4-1、MARL-4-2の各々による回転角度は、全体的な回転角度を排除するためにゼロに調整することも、第1の主平面を移動させながら、全体的な回転角度を変更しないまま保持するように設定することもできる。
【0059】
[0081]
図7Bでは、可動回転防止レンズMARL-5の回転防止レンズMARL-5-1、MARL-5-2は、その光軸MARL-5_1と位置合わせされる。回転防止レンズMARL-5-1は、
図3Aの回転防止レンズARL-1と同様に、磁気レンズMARL5-1-1、MARL-5-1-2を含む。回転防止レンズMARL-5-2は、
図4Cの回転防止レンズARL-5と同様に、静電レンズMARL-5-2-1及び磁気レンズMARL-5-2-2を含む。可動回転防止レンズMARL-5の第1の主平面は、回転防止レンズMARL-5-1がオンであること及び回転防止レンズMARL-5-2がオフであることに応答して、回転防止レンズMARL-5-1内の平面P5-3に位置することができる。また、第1の主平面は、回転防止レンズMARL-5-1がオフであること及び回転防止レンズMARL-5-2がオンであることに応答して、回転防止レンズMARL-5-2の電極MARL-5-2-1_e2と交差する平面P5-2に位置することもできる。回転防止レンズMARL-5-1とMARL-5-2との集束力比を調整することにより、第1の主平面は、平面P5-3とP5-2との間を移動するように構成することができる。回転防止レンズMARL-5-2による回転角度は、通常は、ゼロに等しいものではない(磁気レンズMARL-5-2-2がオフである場合にのみ、ゼロに等しい)。回転防止レンズMARL-5-1による回転角度は、第1の主平面を移動させながら、全体的な回転角度を変更しないまま保持するために、回転防止レンズMARL-5-2に応答して相応に調整することができる。言い換えれば、回転防止レンズMARL-5-1による回転角度は、回転防止レンズMARL-5-2がオフである際はゼロではあり得ず、回転防止レンズMARL-5-2がオンである際はゼロであり得る。それに従って、平面P5-3は、磁気レンズMARL-5-1-1、MARL-5-1-2のうちの1つに近い。平面P5-3を磁気レンズMARL-5-1-1の近くに置くことが好ましいが、その理由は、この配置により、平面P5-3とP5-2との間の利用可能な範囲を拡大することができるためである。
【0060】
[0082]
図1Aなどの、多数のビームレットの電流を変化させるための集光レンズと、クーロン効果を低減するためのビームレット事前形成メカニズムと、を使用するマルチビーム装置では、上記で説明される回転防止レンズによって集光レンズが回転防止集光レンズになるように構成される場合は、クーロン効果をさらに低減することができる。回転防止集光レンズは、その電流を変化させる際に多数のビームレットの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持することができ、従って、多数のビームレットと対応するビーム制限開口との間の不一致を取り除くことができる。それに従って、ビームラー事前形成メカニズムのビームレット形成アパーチャのサイズは、不一致をカバーするために拡大する必要はなく、従って、より多くの未使用の電子の進行を妨げることができる。
【0061】
[0083] ここでは、
図8Aを参照し、
図8Aは、本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置300Aの例示的な構成を示す概略図である。電子源101によって生成された一次電子ビーム102は、ビームレット事前形成メカニズム172の3つのビームレット形成アパーチャ172_1、172_2、172_3によって、3つのビームレット102_1、102_2、102_3に調節される。回転防止集光レンズ110ARは、供給源変換ユニット320に入射するようにビームレット102_1~102_3を集束させる。
【0062】
[0084] 供給源変換ユニット320は、3つの屈曲前マイクロ偏向器123_1、123_2、123_3を有するビームレット屈曲前メカニズム123と、3つのビーム制限開口121_1~121_3を有するビームレット制限メカニズム121と、3つのマイクロ補償器322-2_1、322-2_2、322-2_3を有するビームレット補償メカニズム322-2と、3つの像形成マイクロ偏向器322-1_1、322-1_2、322-1_3を有する1つの像形成メカニズム322-1と、を含む。
【0063】
[0085] 3つの屈曲前マイクロ偏向器123_1~123_3は、3つのビーム制限開口121_1~121_3に垂直に入射するように3つのビームレット102_1~102_3をそれぞれ偏向させる。ビーム制限開口121_1~121_3は、3つのビームレット102_1~102_3の残留周辺電子の進行を妨げ、従って、その電流を制限する。3つのビームレット102_1~102_3は、その光軸に沿って3つのマイクロ補償器322-2_1~322-2_3にそれぞれ入射する。次いで、3つのビームレット102_1~102_3は、その光軸に沿って3つの像形成マイクロ偏向器322-1_1~322-1_3にそれぞれ入る。像形成マイクロ偏向器322-1_1~322-1_3は、ビームレット102_1~102_3を装置300Aの主光軸300_1に向けて偏向させ、電子源101の3つの虚像を形成する。
【0064】
[0086] 対物レンズ131は、観察又は検査中のサンプル8の表面7に3つの偏向されたビームレット102_1~102_3を集束させる(すなわち、3つの虚像を表面7に投影する)。ビームレット102_1~102_3によって表面7上に形成された3つの像は、表面上に3つのプローブスポット102_1S、102_2S、102_3Sを形成する。偏向されたビームレット102_1~102_3の偏向角度は、対物レンズ131による3つのプローブスポット102_1S~102_3Sの軸外収差を低減するように調整され、結果的に、3つの偏向されたビームレットは、対物レンズ131の前焦点を通過するか、又は前焦点に近づく。マイクロ補償器322-2_1~322-2_3は、残留フィールド曲率及びプローブスポット102_1S~102_3Sの非点収差を補償するように調整される。像形成メカニズム322-1は、収差補償のための補助マイクロ補償器をさらに含み得、補助マイクロ補償器は、ビームレット補償メカニズム322-2と共に機能する。
【0065】
[0087] ここでは、
図8B及び8Cを参照し、
図8B及び8Cは、本開示の実施形態と一致する、
図8Aのビームレット事前形成メカニズム172のXY平面の断面図である。回転防止集光レンズ110ARの集束力を調整することにより、プローブスポット102_1S~102_3Sのプローブ電流を変更することができる。
図8Bは、集束力の2つの設定に対する3つのビームレット102_1~102_3のサイズ及び位置を示す。集束力は、第2の設定の方が第1の設定より強い。第1の設定の場合、小さな円マーク102_1~102_3内の電子のみが3つのビーム制限開口121_1~121_3を通過することができる。第2の設定の場合、大きな円マーク102_1~102_3内の電子のみが3つのビーム制限開口121_1~121_3を通過することができる。従って、3つのプローブスポット102_1S~102_3Sのプローブ電流は、第2の設定の方が第1の設定より大きい。回転防止集光レンズ110ARは、2つの設定に対してビームレット102_1~102_3の回転角度を変更しないまま保持するため、ビームレット102_1~102_3の円マークは、半径方向にのみ移動する。
【0066】
[0088] ビームレット形成アパーチャ172_1~172_3の形状及びサイズは、集束力が2つの設定(最大集束力、最小集束力)の範囲内で調整される際にビームレット102_1~102_3の円マークがカバーするエリアをカバーするように構成される。各ビームレット形成アパーチャの形状は、そのサイズをできる限り小さくするように構成することができ、その結果、クーロン効果を相応に低減することができる。
図8Bでは、ビームレット形成アパーチャ172_1~172_3は、その形状が丸く、中央のビームレット形成アパーチャ172_1は、エッジビームレット形成アパーチャ172_2、172_3より小さい。ビームレット形成アパーチャの形状は、
図8Cに示されるものなど、
図8Bの集束力の同じ設定に対して異なり得る。
図8Cでは、中央のビームレット形成アパーチャ172_1は丸く、左エッジのビームレット形成アパーチャ172_2は多角形であり、右エッジのビームレット形成アパーチャ172_3は楕円形の形状である。同じ原理によれば、ビームレット形成アパーチャのサイズ及び形状は、任意であり得る。実施形態で開示されるビームレット形成アパーチャのサイズ及び形状は、単なる例示を目的としており、制限されない。
【0067】
[0089] ここでは、
図9Aを参照し、
図9Aは、本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置400Aの例示的な構成を示す概略図である。この実施形態では、ビームレット事前形成メカニズム472のビームレット形成アパーチャ472_1、472_2、472_3は、一次電子ビーム102を3つのビームレット102_1~102_3に分割し、その一方で、ビームレットの電流を制限するためのビーム制限アパーチャとして機能する。それに従って、
図8Aと比べると、未使用のすべての電子の進行がかなり早くに妨げられており、従って、クーロン効果がさらに大幅に低減される。ビームレット形成アパーチャ472_1~472_3のエッジに衝突するビームレット102_1~102_3の電子は、そこから散乱電子を生成し得る。これらの散乱電子は、ビームレット102_1~102_3の正常なパスから外れ、ビームレット102_1~102_3によって生成される像の背景雑音になる。供給源変換ユニット420では、ビームレット制限メカニズム421のビーム制限開口421_1、421_2、421_3は、散乱電子の進行を妨げるコントラストアパーチャとして機能する。また、ビームレット制限メカニズム421は、ビームレット補償メカニズム322-2と像形成メカニズム322-1との間に位置することもできる。
【0068】
[0090] 3つのプローブスポット102_1S~102_3Sのプローブ電流は、ビームレット形成アパーチャ472_1~472_3のサイズを変更することによって変化させることができる。サイズを変更するため、可動ビームレット事前形成メカニズム472は、移動可能であるように及び2つ以上のアパーチャグループを有するように構成することができる。あるグループのアパーチャのサイズは、別のグループのアパーチャのサイズとは異なり得る。ビームレット事前形成メカニズム472は、ビームレット形成アパーチャとして動作するように1つのアパーチャグループのアパーチャを設定するように移動させることができる。
【0069】
[0091] ここでは、
図9Bを参照し、
図9Bは、本開示の実施形態と一致する、
図9Aの可動ビームレット事前形成メカニズム472の例示的な構成を示す概略図である。
図9Bでは、可動ビームレット事前形成メカニズム472は、2つのアパーチャグループを有する。グループ472-1のアパーチャ472_1-1、472_2-1、472_3-1のサイズ及び間隔は、グループ472-2のアパーチャ472_1-2、472_2-2、472_3-2のものより小さくなるように構成される。従って、グループ472-1によって提供されるプローブ電流は、グループ472-2より小さい。
【0070】
[0092] グループ472-1が選択されると、ビームレット事前形成メカニズム472は、アパーチャ472_1-1~472_3-1が一次電子ビーム102をビームレット102_1~102_3に分割することができるように移動される。ビームレット102_1~102_3の対応するパスは、
図9Aに示されている。グループ472-2が選択されると、ビームレット事前形成メカニズム472は、アパーチャ472_1-2~472_3-2が一次電子ビーム102をビームレット102_1~102_3に分割することができるように移動される。ビームレット102_1~102_3の対応するパスは、
図9Cに示されている。
【0071】
[0093]
図9Cのビームレット102_1~102_3は、ビームレット屈曲前メカニズム123の屈曲前マイクロ偏向器123_1~123_3に入るように、
図9Aより強く集束される。回転防止集光レンズ110ARは、異なるアパーチャグループが使用される際は、ビームレット102_1~102_3の回転角度を変更しないまま保持する。従って、アパーチャグループを並列に置くことができ、アパーチャグループを変更する際に、ビームレット事前形成メカニズム472は回転する必要はない。非回転は、ビームレット事前形成メカニズム472の構造を簡略化する。
【0072】
[0094]
図1Bなどの、多数のビームレットの電流を変化させるための可動集光レンズと、クーロン効果を低減するためのビームレット事前形成メカニズムと、を使用するマルチビーム装置では、上記で説明される可動回転防止レンズによって可動集光レンズが可動回転防止集光レンズになるように構成される場合は、クーロン効果をさらに低減することができる。可動回転防止集光レンズは、その電流を変化させる際に多数のビームレットの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持することができ、従って、多数のビームレットと対応するビーム制限開口との間の不一致を取り除くことができる。多数のビームレットの回転角度は、変更が6°以下の場合は、実質的に変更しないものとして見ることができる。それに従って、ビームレット事前形成メカニズムのビームレット形成アパーチャのサイズは、不一致をカバーするために拡大する必要はなく、従って、より多くの未使用の電子の進行を妨げることができる。
【0073】
[0095] ここでは、
図10を参照し、
図10は、本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置500Aの例示的な構成を示す概略図である。これらの実施形態では、電子源101によって生成された一次電子ビーム102は、ビームレット事前形成メカニズム172の3つのビームレット形成アパーチャ172_1、172_2、172_3によって、3つのビームレット102_1、102_2、102_3に調節される。可動回転防止集光レンズ210ARは、供給源変換ユニット520に垂直に入射するようにビームレット102_1~102_3を集束させる。
【0074】
[0096] 供給源変換ユニット520は、3つのビーム制限開口121_1~121_3を有するビームレット制限メカニズム121と、3つのマイクロ補償器322-2_1、322-2_2、322-2_3を有するビームレット補償メカニズム322-2と、3つの像形成マイクロ偏向器322-1_1、322-1_2、322-1_3を有する像形成メカニズム322-1と、を含む。ビーム制限開口121_1~121_3は、3つのビームレット102_1~102_3の残留周辺電子の進行を妨げ、従って、その電流を制限する。3つのビームレット102_1~102_3は、その光軸に沿って3つのマイクロ補償器322-2_1~322-2_3にそれぞれ入射する。次いで、3つのビームレット102_1~102_3は、その光軸に沿って3つの像形成マイクロ偏向器322-1_1~322-1_3にそれぞれ入る。像形成マイクロ偏向器322-1_1~322-1_3は、ビームレット102_1~102_3を装置500の主光軸500_1に向けて偏向させ、電子源101の3つの虚像を形成する。
【0075】
[0097] 対物レンズ131は、観察中のサンプル8の表面7に3つの偏向されたビームレット102_1~102_3を集束させる(すなわち、3つの虚像を表面7に投影する)。ビームレット102_1~102_3によって表面7上に形成された像は、表面上に3つのプローブスポット102_1S、102_2S、102_3Sを形成する。
【0076】
[0098] 偏向されたビームレット102_1~102_3の偏向角度は、対物レンズ131による3つのプローブスポット102_1S~102_3Sの軸外収差を低減するように調整され、結果的に、3つの偏向されたビームレットは、対物レンズ131の前焦点を通過するか、又は前焦点に近づく。マイクロ補償器322-2_1~322-2_3は、残留フィールド曲率及びプローブスポット102_1S~102_3Sの非点収差を補償するように調整される。像形成メカニズム322-1は、収差補償のための補助マイクロ補償器をさらに含み得、補助マイクロ補償器は、ビームレット補償メカニズム322-2と共に機能する。
【0077】
[0099] 可動回転防止集光レンズ210ARの集束力を調整し、それに従って、その第1の主平面210AR_2の位置を移動することにより、供給源変換ユニット520に垂直に入射するようにビームレット102_1~102_3を保持しながら、変更しない又は実質的に変更しない回転角度を有した状態で、プローブスポット102_1S~102_3Sのプローブ電流を変更することができる。また、
図8Bを使用して、集束力及び第1の主平面210AR_2の2つの例示的な設定に対するビームレット事前形成メカニズム172における3つのビームレット102_1~102_3のサイズ及び位置を示すことができる。第2の設定における集束力は、第1の設定より強く、第2の設定における第1の主平面の位置は、第1の設定より電子源101に近い。第1の設定の場合、小さな円マーク102_1~102_3内の電子のみが3つのビーム制限開口121_1~121_3を通過することができる。第2の設定の場合、大きな円マーク102_1~102_3内の電子のみが3つのビーム制限開口121_1~121_3を通過することができる。従って、3つのプローブスポット102_1S~102_3Sのプローブ電流は、第2の設定の方が第1の設定より大きい。回転防止集光レンズ210ARは、2つの設定に対してビームレット102_1~102_3の回転角度を変更しないまま保持することができるため、ビームレット102_1~102_3の円マークは、半径方向にのみ移動する。
【0078】
[00100] ビームレット形成アパーチャ172_1~172_3の形状及びサイズは、可動回転防止集光レンズ210ARが2つの設定の範囲内で調整される際にビームレット102_1~102_3の円マークがカバーするエリアをカバーするように構成される。各ビームレット形成アパーチャの形状は、そのサイズを低減するように構成することができ、その結果、クーロン効果を相応に低減することができる。クーロン効果を相応にできる限り低減するために、各ビームレット形成アパーチャのサイズをできる限り低減できることが理解されている。従って、ビームレット形成アパーチャの形状は、互いに同じものでも(例えば、
図8Bに示されるように)、異なるものでも(例えば、
図8Cに示されるように)よい。ビームレット形成アパーチャ172_1~172_3は、円形、楕円形、多角形又は他の任意の形状で構成することができる。
【0079】
[00101] ここでは、
図11Aを参照し、
図11Aは、本開示の実施形態と一致する、マルチビーム装置600Aの例示的な構成を示す概略図である。この実施形態では、ビームレット事前形成メカニズム672のビームレット形成アパーチャ672_1、672_2、672_3は、一次電子ビーム102を3つのビームレット102_1~102_3に分割し、その一方で、ビームレットの電流を制限するためのビーム制限アパーチャとして機能する。それに従って、
図10と比べると、未使用のすべての電子の進行がかなり早くに妨げられており、従って、クーロン効果がさらに大幅に低減される。ビームレット形成アパーチャ672_1~672_3のエッジに衝突するビームレット102_1~102_3の電子は、そこから散乱電子を生成し得る。これらの散乱電子は、ビームレット102_1~102_3の正常なパスから外れ、ビームレット102_1~102_3によって生成される像の背景雑音になる。供給源変換ユニット620では、ビームレット制限メカニズム621のビーム制限開口621_1、621_2、621_3は、散乱電子の進行を妨げるコントラストアパーチャとして機能する。また、ビームレット制限メカニズム621は、ビームレット補償メカニズム322-2と像形成メカニズム322-1との間に位置することもできる。
【0080】
[00102] 3つのプローブスポット102_1S~102_3Sのプローブ電流は、ビームレット形成アパーチャ672_1~672_3のサイズを変更することによって変化させることができる。サイズを変更するため、ビームレット事前形成メカニズム672は、移動可能であるように及び2つ以上のアパーチャグループを有するように構成することができる。あるグループのアパーチャのサイズは、別のグループのアパーチャのサイズとは異なり得る。ビームレット事前形成メカニズム672は、ビームレット形成アパーチャとして動作するように1つのアパーチャグループのアパーチャを設定するように移動させることができる。
【0081】
[00103] ここでは、
図11Bを参照し、
図11Bは、本開示の実施形態と一致する、
図11Aの可動ビームレット事前形成メカニズム672の例示的な構成を示す概略図である。
図11Bでは、可動ビームレット事前形成メカニズム672は、2つのアパーチャグループを有する。グループ672-1のアパーチャ672_1-1、672_2-1、672_3-1のサイズ及び間隔は、グループ672-2のアパーチャ672_1-2、672_2-2、672_3-2のものより小さくなるように構成される。グループ672-1によって提供されるプローブ電流は、グループ672-2より小さい。グループ672-1が選択されると、ビームレット事前形成メカニズム672は、アパーチャ672_1-1~672_3-1が一次電子ビーム102をビームレット102_1~102_3に分割することができるように移動される。ビームレット102_1~102_3の対応するパスは、
図11Aに示されている。グループ672-2が選択されると、ビームレット事前形成メカニズム672は、アパーチャ672_1-2~672_3-2が一次電子ビーム102をビームレット102_1~102_3に分割することができるように移動される。ビームレット102_1~102_3の対応するパスは、
図11Cに示されている。
【0082】
[00104]
図11Cのビームレット102_1~102_3は、
図11Aより強く且つ早く集束される。可動回転防止レンズ210ARは、異なるアパーチャグループが使用される際は、回転角度を変更しないまま保持する。従って、アパーチャグループを並列に置くことができ、アパーチャグループを変更する際に、ビームレット事前形成メカニズム672は回転する必要はない。非回転は、ビームレット事前形成メカニズム672の構造を簡略化する。
【0083】
[00105] マルチビーム装置の場合、より高いスループットを得るには、より多くのビームレットが必要である。より多くのビームレットを利用可能にするため、供給源変換ユニットのビームレット間隔は、できる限り小さく構成される。マルチビーム装置の場合、より多くの種類のサンプルの観察又は検査を実現するには、プローブスポットの電流のより大きな変動範囲が必要である。結果的に、
図8Aの実施形態300A及び
図10の実施形態500Aなどのマルチビーム装置のプローブ電流の特定の変動範囲に対し、ビームレット間隔がある程度まで小さい場合は、ビームレット事前形成メカニズム172のいくつかのビームレット形成アパーチャは、
図12A及び12Bに示されるように、部分的に重複し得る。部分的に重複するビームレット形成アパーチャは、1つの組み合わされたビームレット形成アパーチャであるように構成することができる。供給源変換ユニットの2つの隣接するビーム制限開口を通過するビームレットは、この組み合わされたビームレット形成アパーチャを共に通過することができる。
【0084】
[00106] ここでは、
図12A及び12Bを参照し、
図12A及び12Bは、本開示の実施形態と一致する、ビームレット事前形成メカニズム(例えば、
図8Aのビームレット事前形成メカニズム172)のXY平面における断面図である。
図12Aは、5つのビームレット102_1、102_2、102_3、102_4、102_5を有する例を示す。ビームレット102_1~102_5の小さな円マークは、小さなプローブ電流を有するビームレット102_1~102_5に相当し、ビームレット102_1~102_5の大きな円マークは、大きなプローブ電流を有するビームレット102_1~102_5に相当する。ビームレット102_2、102_4は、組み合わされたビームレット形成アパーチャ172_2+4を通過し、ビームレット102_3、102_5は、組み合わされたビームレット形成アパーチャ172_3+5を通過する。同様に、組み合わされたビームレット形成アパーチャは、未使用の電子の進行をできる限り妨げるために、異なる形状及びサイズに構成することができる。例えば、組み合わされたビームレット形成アパーチャ172_2+4は、楕円形であり、組み合わされたビームレット形成アパーチャ172_3+5は、多角形である。
図12Bは、25のビームレットを有する例を示す。ビームレット事前形成メカニズム172は、4つの組み合わされたビームレット形成アパーチャ及び17の単一のビームレット形成アパーチャを有する。
【0085】
[00107] ここでは、
図13及び14を参照し、
図13及び14は、各々が、本開示の実施形態と一致する、
図12Aのビームレット事前形成メカニズムを有するマルチビーム装置の例示的な構成を示す概略図である。
図13のマルチビーム装置310Aの構成は、
図8Aのマルチビーム装置300Aの構成と同様である。
図13のマルチビーム装置310Aでは、5つのビームレット102_1、102_2、102_3、102_4、102_5がある。ビームレット事前形成メカニズム172は、3つのビームレット形成アパーチャ172_1、172_2+4、172_3+5を有し、ビームレット形成アパーチャ172_2+4、172_3+5は、組み合わされたビームレット形成アパーチャである。中央のビームレット102_1は、中央のビームレット形成アパーチャ172_1を通過し、左側の2つのビームレット102_2、102_4は、左側のビームレット形成アパーチャ172_2+4を通過し、右側の2つのビームレット102_3、102_5は、右側のビームレット形成アパーチャ172_3+5を通過する。
【0086】
[00108]
図14のマルチビーム装置510Aの構成は、
図10Aのマルチビーム装置500Aの構成と同様である。
図14のマルチビーム装置510Aの構成では、5つのビームレット102_1、102_2、102_3、102_4、102_5がある。ビームレット事前形成メカニズム172は、3つのビームレット形成アパーチャ172_1、172_2+4、172_3+5を有し、ビームレット形成アパーチャ172_2+4、172_3+5は、組み合わされたビームレット形成アパーチャである。中央のビームレット102_1は、中央のビームレット形成アパーチャ172_1を通過し、左側の2つのビームレット102_2、102_4は、左側のビームレット形成アパーチャ172_2+4を通過し、右側の2つのビームレット102_3、102_5は、右側のビームレット形成アパーチャ172_3+5を通過する。
【0087】
[00109]
図1Aに戻ると、従来の装置に対する多数のプローブスポット102_1S~102_3Sは、多数の小さな走査領域を走査するための共通の偏向走査ユニットによって偏向される。従って、すべてのビームレットの走査特徴(走査方向、走査範囲及び走査速度など)は同じである。しかし、観察又は検査中のいくつかのサンプルに対し、異なる小さな走査領域におけるパターン特徴は、非常に異なるものであり得る。多数のプローブスポットによって生成される像のより良い像コントラストを得るため、ビームレットのうちのいくつか、又はすべての走査特徴は、異なる必要があり、小さな走査領域の各々におけるパターン特徴に従って個別に設定する方が良い。上記で言及される1つの供給源変換ユニットの各像形成マイクロ偏向器は、個々の偏向走査を実行することができる。
【0088】
[00110] ここでは、
図15A~15Cを参照し、
図15A~15Cは、本開示の実施形態と一致する、個々の偏向走査を伴うマルチビーム装置700Aの例示的な構成を示す概略図である。
図15Aのマルチビーム装置700Aの構成は、
図1Aのマルチビーム装置100Aとのいくつかの類似性を有するが、マルチビーム装置700Aは、供給源変換ユニット720の像形成メカニズム722をさらに含む。
図15Aでは、像形成メカニズム722の各像形成マイクロ偏向器722_1、722_2、722_3は、電子源101の虚像を形成するためにビームレット102_1、102_2、102_3のうちの1つを偏向させることができ、それに加えて、小さな走査領域にわたって対応するプローブスポットを走査するために1つのビームレットを動的に偏向させることができる。
図15Bは、プローブスポット102_1S、102_2S、102_3Sの例示的な走査パスを示す。プローブスポット102_1Sは、破線の輪郭を有する領域A1をX軸方向とY軸方向との間の方向に走査し、プローブスポット102_2Sは、破線の輪郭を有する領域A2をX軸方向に走査し、プローブスポット102_3Sは、線の輪郭を有する領域A3をY軸方向に走査する。
【0089】
[00111]
図15Aでは、走査領域A1、A2、A3からプローブスポット102_1S~102_3Sによって二次ビーム又は信号ビーム102_1se、102_2se、102_3seが生成される。ビームセパレータ160は、二次投影結像系150に入るように二次ビーム102_1se~102_3seを偏向させる。二次投影結像系150は、電子検出デバイス140Mの検出要素140_1、140_2、140_3によって検出されるように二次ビーム102_1se~102_3seを集束させる。
図15Cは、検出要素140_1、140_2、140_3上の二次ビーム102_1se~102_3seの例示的な走査パスを示す。各二次ビームの走査パスが対応する検出要素を越える場合は、電子検出デバイス140Mの前に置かれた反走査偏向ユニット(
図15Aには図示せず)を使用して、検出要素140_1~140_3上の二次ビームの動きを少なくとも部分的に止めることができる。
【0090】
[00112] 以下の条項を使用して実施形態をさらに説明することができる。
1.荷電粒子ビームを集束させるための集束力を有する回転防止レンズであって、
第1の磁界を生成し、回転防止レンズの光軸と位置合わせされるように構成された第1の磁気レンズと、
第2の磁界を生成し、光軸と位置合わせされるように構成された第2の磁気レンズと、を含み、
回転防止レンズの集束力が、第1の磁界及び第2の磁界を変化させることによって調整可能であり、第1の磁界及び第2の磁界が、光軸上で反対の方向を有する、回転防止レンズ。
2.集束力が、荷電粒子ビームの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持しながら調整可能である、条項1に記載の回転防止レンズ。
3.回転角度がゼロである、条項2に記載の回転防止レンズ。
4.荷電粒子ビームを集束させるための集束力を有する回転防止レンズであって、
磁界を生成し、回転防止レンズの光軸と位置合わせされるように構成された磁気レンズと、
静電界を生成し、光軸と位置合わせされるように構成された静電レンズと、を含み、
磁界と静電界とが、少なくとも部分的に重複し、回転防止レンズの集束力が、磁界及び/又は静電界を変化させることによって調整可能である、回転防止レンズ。
5.集束力が、荷電粒子ビームの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持しながら調整可能である、条項5に記載の回転防止レンズ。
6.回転角度がゼロである、条項5に記載の回転防止レンズ。
7.荷電粒子ビームを集束させるための集束力を有する可動回転防止レンズであって、
第1の磁界を生成し、可動回転防止レンズの光軸と位置合わせされるように構成された第1の磁気レンズと、
第2の磁界を生成し、光軸と位置合わせされるように構成された第2の磁気レンズと、
第3の磁界を生成し、光軸と位置合わせされるように構成された第3の磁気レンズと、を含み、
可動回転防止レンズの集束力及び主平面が、第1の磁界、第2の磁界及び/又は第3の磁界を変化させることによって調整可能であり、第1の磁界、第2の磁界及び第3の磁界のうちの2つが、光軸上で反対の方向を有する、可動回転防止レンズ。
8.集束力及び主平面が、荷電粒子ビームの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持しながら調整可能である、条項7に記載の可動回転防止レンズ。
9.回転角度がゼロである、条項8に記載の可動回転防止レンズ。
10.荷電粒子ビームを集束させるための集束力を有する可動回転防止レンズであって、
可動回転防止レンズの光軸と位置合わせされるように構成された回転防止レンズと、
光軸と位置合わせされるように構成されたレンズと、を含み、
可動回転防止レンズの集束力及び主平面が、回転防止レンズの集束力及び/又はレンズの集束力を変化させることによって調整可能であり、主平面が、荷電粒子ビームを生成する供給源に対して調整可能である、可動回転防止レンズ。
11.集束力及び主平面が、荷電粒子ビームの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持しながら調整可能である、条項10に記載の可動回転防止レンズ。
12.回転角度がゼロである、条項11に記載の可動回転防止レンズ。
13.レンズが静電レンズである、条項10に記載の可動回転防止レンズ。
14.レンズが磁気レンズである、条項10に記載の可動回転防止レンズ。
15.荷電粒子ビームを集束させるための集束力を有する可動回転防止レンズであって、
可動回転防止レンズの光軸と位置合わせされるように構成された第1の回転防止レンズと、
光軸と位置合わせされるように構成された第2の回転防止レンズと、を含み、
可動回転防止レンズの集束力及び主平面が、第1の回転防止レンズの集束力及び/又は第2の回転防止レンズの集束力を変化させることによって調整可能である、可動回転防止レンズ。
16.可動回転防止レンズの集束力及び主平面が、荷電粒子ビームの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持しながら調整可能である、条項15に記載の可動回転防止レンズ。
17.回転角度がゼロである、条項16に記載の可動回転防止レンズ。
18.サンプルを観察するためのマルチビーム装置であって、
一次電子ビームを生成するように構成された電子源と、
一次電子ビームを集束させるように構成された集光レンズであって、回転防止レンズ又は可動回転防止レンズのうちの1つである集光レンズと、
一次電子ビームの多数のビームレットによって電子源の多数の像を形成するように構成された供給源変換ユニットと、
多数のビームレットを表面上に集束させ、表面上に多数のプローブスポットを形成するように構成された対物レンズと、
サンプルから多数のプローブスポットによって生成された多数の二次ビームを検出するように構成された多数の検出要素を有する電子検出デバイスと、
を含む、マルチビーム装置。
19.電子源と集光レンズとの間にあり、複数のビームレット形成アパーチャを含むビームレット事前形成メカニズムをさらに含む、条項18に記載のマルチビーム装置。
20.複数のビームレット形成アパーチャが、一次電子ビームを複数のビームレットに調節するように構成される、条項19に記載のマルチビーム装置。
21.集光レンズが、複数の回転角度で供給源変換ユニットに入射するように複数のビームレットを集束させるように構成される、条項20に記載のマルチビーム装置。
22.複数の回転角度が、多数のプローブスポットのプローブ電流を変化させる際に、変更しないまま又は実質的に変更しないままである、条項21に記載のマルチビーム装置。
23.複数のビームレットが、多数のビームレットを構成する、条項20~22の何れか一項に記載のマルチビーム装置。
24.プローブ電流が、複数のビームレット形成アパーチャのサイズを変化させることによって変更することができる、条項19~23の何れか一項に記載のマルチビーム装置。
25.供給源変換ユニットが、複数のビームレットを多数のビームレットに調節するように構成された多数のビーム制限開口を含む、条項20、23又は24に記載のマルチビーム装置。
26.プローブ電流が、集光レンズの集束力を調整することによって変更することができる、条項18~25の何れか一項に記載のマルチビーム装置。
27.複数のビームレット形成アパーチャが、多数のプローブスポット内にはない電子の進行を妨げるように構成される、条項19~26の何れか一項に記載のマルチビーム装置。
28.供給源変換ユニットが、多数の像を形成するために多数のビームレットを偏向させるように構成された像形成メカニズムを含む、条項18~27の何れか一項に記載のマルチビーム装置。
29.像形成メカニズムが、多数の像を形成するために多数のビームレットを偏向させるように構成された多数の電子光学要素を含む、条項28に記載のマルチビーム装置。
30.多数のビームレットの偏向角度が、多数のプローブスポットの収差を低減するために個別に設定される、条項28又は29に記載のマルチビーム装置。
31.多数の電子光学要素が、多数のプローブスポットの軸外収差を補償するように構成される、条項29に記載のマルチビーム装置。
32.供給源変換ユニットが、多数のプローブスポットの軸外収差を補償するように構成されたビームレット補償メカニズムを含む、条項18~31の何れか一項に記載のマルチビーム装置。
33.多数の電子光学要素及びビームレット補償メカニズムが共に、多数のプローブスポットの収差を補償する、条項32に記載のマルチビーム装置。
34.供給源変換ユニットの下方に位置付けられた偏向走査ユニットをさらに含む、条項29に記載のマルチビーム装置。
35.偏向走査ユニットが、多数のプローブスポットを走査するために多数のビームレットを偏向させるように構成される、条項34に記載のマルチビーム装置。
36.多数の電子光学要素が、多数のプローブスポットを走査するために多数のビームレットを偏向させるように構成される、条項34又は35に記載のマルチビーム装置。
37.偏向走査ユニット及び多数の電子光学要素が共に、多数のプローブスポットを走査するために多数のビームレットを偏向させるように構成される、条項34又は35に記載のマルチビーム装置。
38.多数の電子光学要素が、多数のプローブスポットを走査するために多数のビームレットを偏向させるように構成される、条項29に記載のマルチビーム装置。
39.多数のプローブスポットの1つ又は複数が、1つ又は複数の走査特徴において異なり得る、条項36~38の何れか一項に記載のマルチビーム装置。
40.走査特徴の1つが、走査方向を含む、条項39に記載のマルチビーム装置。
41.走査特徴の1つが、走査サイズを含む、条項39に記載のマルチビーム装置。
42.走査特徴の1つが、走査速度を含む、条項39に記載のマルチビーム装置。
43.電子検出デバイスの前に置かれ、多数の二次ビームを多数の検出要素の方に偏向させるように構成された反走査偏向ユニットをさらに含む、条項36~39の何れか一項に記載のマルチビーム装置。
44.荷電粒子ビームを集束させるための回転防止レンズを構成するための方法であって、
回転防止レンズの光軸と位置合わせされた第1の磁気レンズによって第1の磁界を生成することと、
これが光軸と位置合わせされた第2の磁気レンズによって第2の磁界を生成することと、
第1の磁界及び第2の磁界によって回転防止レンズの集束力を生成することであって、第1の磁界及び第2の磁界が、光軸上で反対の方向を有することと、
を含む、方法。
45.荷電粒子ビームの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持しながら第1の磁界及び第2の磁界を調整することによって集束力を変更することをさらに含む、条項44に記載の方法。
46.荷電粒子ビームを集束させるための回転防止レンズを構成するための方法であって、
磁気レンズによって磁界を生成することと、
静電レンズによって静電界を生成することと、
磁界及び/又は静電界によって回転防止レンズの集束力を生成することであって、磁界と静電界とが、少なくとも部分的に重複することと、
を含む、方法。
47.荷電粒子ビームの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持しながら磁界及び/又は静電界を調整することによって集束力を変更することをさらに含む、条項46に記載の方法。
48.荷電粒子ビームを集束させるための可動回転防止レンズを構成するための方法であって、
可動回転防止レンズの光軸と位置合わせされた第1の磁気レンズによって第1の磁界を生成することと、
光軸と位置合わせされた第2の磁気レンズによって第2の磁界を生成することと、
光軸と位置合わせされた第3の磁気レンズによって第3の磁界を生成することと、
第1の磁界、第2の磁界及び/又は第3の磁界によって可動回転防止レンズの集束力を生成することであって、第1の磁界、第2の磁界及び第3の磁界のうちの2つが、光軸上で反対の方向を有することと、
を含む、方法。
49.荷電粒子ビームの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持しながら第1の磁界、第2の磁界及び/又は第3の磁界を調整することによって、集束力を変更し、可動回転防止レンズの主平面を移動することをさらに含む、条項48に記載の方法。
50.サンプルを観察するためのマルチビーム装置を構成するための方法であって、
電子源と集光レンズとの間に位置付けられたビームレット事前形成メカニズムによって、電子源からの一次電子ビームを複数のビームレットに調節することと、
供給源変換ユニットによって、複数のビームレットを使用して電子源の多数の像を形成することと、
多数の像をサンプルに投影することによって、サンプル上に多数のプローブスポットを形成することと、
多数のプローブスポットのプローブ電流を変更する際に複数のビームレットの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持するように集光レンズを調整することであって、集光レンズが、回転防止レンズ又は可動回転防止レンズのうちの1つであることと、
を含む、方法。
51.サンプル上の多数のプローブスポットを走査するように供給源変換ユニットを調整することをさらに含む、条項50に記載の方法。
52.荷電粒子ビームを集束させるための回転防止レンズを構成するための方法をマルチビーム装置に実行させるために、マルチビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令セットを格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、方法が、
第1の磁界を生成するように第1の磁気レンズに指示することであって、第1の磁気レンズが、回転防止レンズの光軸と位置合わせされることと、
第2の磁界を生成するように第2の磁気レンズに指示することであって、第2の磁気レンズが、光軸と位置合わせされることと、を含み、
第1の磁界及び第2の磁界が、回転防止レンズの集束力を生成し、
第1の磁界及び第2の磁界が、光軸上で反対の方向を有する、非一時的なコンピュータ可読媒体。
53.マルチビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令セットが、
集束力を調整するために、荷電粒子ビームの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持しながら第1の磁界及び第2の磁界を調整することをマルチビーム装置にさらに実行させる、条項52に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
54.荷電粒子ビームを集束させるための回転防止レンズを構成するための方法をマルチビーム装置に実行させるために、マルチビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令セットを格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、方法が、
磁界を生成するように磁気レンズに指示することと、
静電界を生成するように静電レンズに指示することと、を含み、
磁界及び/又は静電界が、回転防止レンズの集束力を生成し、
磁界と静電界とが、少なくとも部分的に重複する、非一時的なコンピュータ可読媒体。
55.マルチビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令セットが、をマルチビーム装置にさらに実行させる、条項54に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
56.集束力を変更するために、荷電粒子ビームの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持しながら磁界及び/又は静電界を調整すること。
57.荷電粒子ビームを集束させるための可動回転防止レンズを構成するための方法をマルチビーム装置に実行させるために、マルチビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令セットを格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、方法が、
第1の磁界を生成するように第1の磁気レンズに指示することであって、第1の磁気レンズが、可動回転防止レンズの光軸と位置合わせされることと、
第2の磁界を生成するように第2の磁気レンズに指示することであって、第2の磁気レンズが、光軸と位置合わせされることと、
第3の磁界を生成するように第3の磁気レンズに指示することであって、第3の磁気レンズが、光軸と位置合わせされることと、を含み、
第1の磁界、第2の磁界及び/又は第3の磁界が、可動回転防止レンズの集束力を生成し、
第1の磁界、第2の磁界及び第3の磁界のうちの2つが、光軸上で反対の方向を有する、非一時的なコンピュータ可読媒体。
58.マルチビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令セットが、
集束力を変更し、可動回転防止レンズの主平面を移動するために、荷電粒子ビームの回転角度を変更しないまま又は実質的に変更しないまま保持しながら第1の磁界、第2の磁界及び/又は第3の磁界を調整することをマルチビーム装置にさらに実行させる、条項57に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0091】
[00113] マルチビーム装置のコントローラは、上記で説明される機能性を制御するためにソフトウェアを使用できることが理解されている。例えば、コントローラは、適切なフィールド(例えば、磁界又は静電界)を生成するために、前述のレンズに命令を送信することができる。ソフトウェアは、非一時的なコンピュータ可読媒体上に格納することができる。非一時的な媒体の共通の形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、他の任意の磁気データ記憶媒体、CD-ROM、他の任意の光データ記憶媒体、ホールのパターンを有する任意の物理的な媒体、RAM、PROM、EPROM、フラッシュEPROM、他の任意のフラッシュメモリ、NVRAM、キャッシュ、レジスタ、他の任意のメモリチップ又はカートリッジ、及び、それらのネットワーク接続バージョンを含む。
【0092】
[00114] 本発明は、その好ましい実施形態に関連して説明してきたが、以下で特許請求されるような本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の変更及び変形を行うことができることを理解されたい。