(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】光学的表面欠陥物質特性評価のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/956 20060101AFI20240129BHJP
【FI】
G01N21/956 A
(21)【出願番号】P 2022500771
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(86)【国際出願番号】 US2020041088
(87)【国際公開番号】W WO2021007262
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-27
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュ ジーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハーラー クルト
(72)【発明者】
【氏名】レオン ジェン-クエン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルターズ クリスチャン
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-515782(JP,A)
【文献】特表2019-502928(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0088469(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0188188(US,A1)
【文献】米国特許第6462807(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
G01B 11/00-G01B 11/30
H01L 21/64-H01L 21/66
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料上の欠陥へ向けられる第1の場合の照明光と第2の場合の照明光とを生成するように構成された照明源と、
前記第1の場合の照明光に応答して前記欠陥から第1の量の集光された光と、前記第2の場合の照明光に応答して前記欠陥から第2の量の集光された光とを集めるように構成された集光対物レンズと、
前記第1の場合において第1の構成に配置され、前記第2の場合において第2の構成に配置される1つ以上のマスク素子であり、前記集光対物レンズの瞳平面、前記集光対物レンズの前記瞳平面に共役な瞳平面、またはこれらのいずれかの組み合わせの位置またはその近くに位置する、1つ以上のマスク素子と、
前記試料の表面に共役な視野平面の位置またはその近くに位置する感光性表面を有する撮像検出器と、
1つ以上のプロセッサと、
を備えるシステムであって、
前記第1および第2の量の集光された光が前記集光対物レンズの集光瞳内の暗視野散乱光を含み、
前記第1の構成における前記1つ以上のマスク素子が、前記集光瞳内の少なくとも2つの空間的に別個の領域からの前記第1の量の集光された光の一部を透過し、前記第2の構成における前記1つ以上のマスク素子が、前記集光瞳内の少なくとも2つの空間的に別個の領域からの前記第2の量の集光された光の一部を透過し、前記第2の構成の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうち少なくとも1つが、前記第1の構成の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうちの少なくとも1つとは異なり、
前記撮像検出器が、前記視野平面の位置またはその近くにおいて前記第1の量の集光された光のうちの前記透過された部分によって形成された第1の干渉パターンと、前記視野平面の位置またはその近くにおいて前記第2の量の集光された光のうちの前記透過された部分によって形成された第2の干渉パターンとを検出するように構成され、
前記1つ以上のプロセッサが、
前記第1および第2の干渉パターンを示す出力信号を受け取り、
前記第1および第2の干渉パターンにもとづき前記欠陥を分類する、
システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記第1の干渉パターンが、前記第1の構成の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうちの第1の領域から前記透過された光と、前記第1の構成の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうちの第2の領域から前記透過された光との第1の位相差を示し、前記第2の干渉パターンが、前記第2の構成の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうちの第1の領域から前記透過された光と、前記第2の構成の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうちの第2の領域から前記透過された光との第2の位相差を示す、
システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記欠陥を前記分類することが、前記第1および第2の干渉パターンに基づいて前記欠陥の物質組成を決定することを含むことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、前記集光瞳内の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうち
の第1の領域と前記集光瞳内の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうち
の第2の領域との間の空間的分離が、開口数をNAとして0.1から0.9までのNAの範囲にわたることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、前記集光瞳内の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうち
の第1の領域および前記集光瞳内の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうち
の第2の領域が、前記集光瞳の中心に対して対称的に位置することを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、前記集光瞳内の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうち
の第1の領域における前記第1の構成の前記1つ以上のマスク素子によって形成された第1のアパーチャ開口部のサイズが、開口数をNAとして0.01NAから0.3NAまでの範囲内であり、前記集光瞳内の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうち
の第2の領域における前記第1の構成の前記1つ以上のマスク素子によって形成された第2のアパーチャ開口部のサイズが、0.01NAから0.3NAまでの範囲内であることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムであって、前記第1のアパーチャ開口部の前記サイズが、前記第2のアパーチャ開口部の前記サイズとは異なることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項6に記載のシステムであって、
前記第1のアパーチャ開口部が前記1つ以上のマスク素子により形成された前記第1の領域の位置またはその近くの前記第1の構成の前記1つ以上のマスク素子によって選択された前記透過光の光学経路内に配置された減光フィルタ
をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、
前記1つ以上のマスク素子のうちの第1のマスク素子に結合された第1のアクチュエータであり、前記1つ以上のプロセッサに通信可能に結合され、前記1つ以上のプロセッサから前記第1のアクチュエータへ伝達される第1の制御コマンドに応答して第1の所望の位置へ前記第1のマスク素子を動かす、第1のアクチュエータ
をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムであって、
前記1つ以上のマスク素子のうちの第2のマスク素子に結合された第2のアクチュエータであり、前記1つ以上のプロセッサに通信可能に結合され、前記1つ以上のプロセッサから前記第2のアクチュエータへ伝達される第2の制御コマンドに応答して第2の所望の位置へ前記第2のマスク素子を動かす、第2のアクチュエータ
をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、前記集光対物レンズが、開口数をNAとして少なくとも0.1NAから0.99NAまでの範囲にわたるNAを有することを特徴とするシステム。
【請求項12】
試料上の欠陥へ向けられる第1の場合の照明光と第2の場合の照明光とを生成するステップと、
前記第1の場合の照明光に応答して前記試料から第1の量の集光された光を集めるステップと、
前記第2の場合の照明光に応答して前記試料から第2の量の集光された光を集めるステップと、
前記第1の量の集光された光の一部を透過するステップと、
前記第2の量の集光された光の一部を透過するステップと、
前記試料の表面に共役な視野平面の位置またはその近くに前記第1の量の集光された光の前記透過された部分によって形成された第1の干渉パターンを検出するステップと、
前記試料の前記表面に共役な視野平面の位置またはその近くに前記第2の量の集光された光の前記透過された部分によって形成された第2の干渉パターンを検出するステップと、
前記第1および第2の干渉パターンにもとづき前記欠陥を分類するステップと、
を含む方法であって、
前記第1および第2の量の集光された光が集光対物レンズの集光瞳内の暗視野散乱光を含み、
前記第1の量の集光された光の前記一部が、前記集光瞳内の少なくとも2つの空間的に別個の領域から第1の構成における1つ以上のマスク素子によって選択され、
前記第2の量の集光された光の前記一部が、前記集光瞳内の少なくとも2つの空間的に別個の領域から第2の構成における1つ以上のマスク素子によって選択され、
前記第2の構成の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうち少なくとも1つが、前記第1の構成の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうちの少なくとも1つとは異なり、
前記1つ以上のマスク素子が前記集光対物レンズの瞳平面、前記集光対物レンズの前記瞳平面に共役な瞳平面、またはこれらのいずれかの組み合わせの位置またはその近くに位置する、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記欠陥を分類するステップが、前記第1および第2の干渉パターンに基づいて前記欠陥の物質組成を決定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、前記第1の干渉パターンが、前記第1の構成の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうちの第1の領域から前記透過された光と、前記第1の構成の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうちの第2の領域から前記透過された光との第1の位相差を示し、前記第2の干渉パターンが、前記第2の構成の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうちの第1の領域から前記透過された光と、前記第2の構成の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうちの第2の領域から前記透過された光との第2の位相差を示す、ことを特徴とする方法。
【請求項15】
試料上の欠陥へ向けられる第1の場合の照明光と第2の場合の照明光とを生成するように構成された照明源と、
前記第1の場合の照明光に応答して前記欠陥から第1の量の集光された光と、前記第2の場合の照明光に応答して前記欠陥から第2の量の集光された光とを集めるように構成された集光対物レンズと、
前記第1の場合において第1の構成に配置され、前記第2の場合において第2の構成に配置される1つ以上のマスク素子であり、前記集光対物レンズの瞳平面、前記集光対物レンズの前記瞳平面に共役な瞳平面、またはこれらのいずれかの組み合わせの位置またはその近くに位置する、1つ以上のマスク素子と、
前記試料の表面に共役な視野平面の位置またはその近くに位置する感光性表面を有する撮像検出器と、
命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体と、
を備えるシステムであって、
前記第1および第2の量の集光された光が前記集光対物レンズの集光瞳内の暗視野散乱光を含み、
前記第1の構成における前記1つ以上のマスク素子が、前記集光瞳内の少なくとも2つの空間的に別個の領域からの前記第1の量の集光された光の一部を透過し、前記第2の構成における前記1つ以上のマスク素子が、前記集光瞳内の少なくとも2つの空間的に別個の領域からの前記第2の量の集光された光の一部を透過し、前記第2の構成の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうち少なくとも1つが、前記第1の構成の前記少なくとも2つの空間的に別個の領域のうちの少なくとも1つとは異なり、
前記撮像検出器が、前記視野平面の位置またはその近くにおいて前記第1の量の集光された光のうちの前記透過された部分によって形成された第1の干渉パターンと、前記視野平面の位置またはその近くにおいて前記第2の量の集光された光のうちの前記透過された部分によって形成された第2の干渉パターンとを検出するように構成され、
命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体が、1つ以上のプロセッサによって前記命令が実行されるときに、前記1つ以上のプロセッサに、
前記第1および第2の干渉パターンを示す出力信号を受け取らせ、
前記第1および第2の干渉パターンにもとづき前記欠陥を分類させる、
ことを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記載する実施形態は、表面検査のためのシステムに関し、特に半導体ウェハ検査モダリティに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
特許に関する本出願は、2019年7月9日出願の米国特許仮出願番号第62/871,872号、名称「光学顕微鏡を使用する欠陥物質特性評価の方法(Method Of Defect Material Characterization Using Optical Microscope)」から米国特許法第119条の下に優先権を主張し、その主題は、その全体を本願に引用して援用される。
【0003】
ロジックデバイスおよびメモリデバイスなどの半導体デバイスは、基板またはウェハに適用される一連の処理ステップによって典型的には製造される。半導体デバイスの様々な機能および多層構造レベルが、これらの処理ステップにより形成される。例えば、中でもリソグラフィは、半導体ウェハ上にパターンを生成することを含む1つの半導体製造プロセスである。半導体製造プロセスのさらなる例は、化学機械研磨、エッチング、堆積、およびイオン注入を含むが、これらに限定されない。多数の半導体デバイスを一枚の半導体ウェハ上に製造することができ、次いで個々の半導体デバイスへと分離することができる。
【0004】
半導体製造環境は、ウェハの汚染を最小にするように注意深く制御される。望まれない物質粒子は、製造プロセスを妨害するか、製造したデバイスの性能を劣化させるか、またはその両方である。半導体設計ルールが進化し続けるので、基板の均一性および清浄度についての必要条件が、厳しくされ続けている。欠陥の許容可能な数および最大の許容可能な粒子サイズは、製造中のデバイスのサイズとともに拡大縮小する。
【0005】
一般に、検査システムは、生産プロセスにおける任意の点のところにある試料上のすべてのタイプの欠陥を検出する。いくつかの例では、検査システムは、処理する前に基板上の欠陥の位置を決めるために一般に利用されて、基板が製造を続けることに適していることを確実にする、または生産する前にウェハ上の欠陥サイトを特定する。1つのそのような検査システムは、望ましくない粒子に対してウェハ表面を照明し検査する光学表面検査システムである。光学表面検査システムは、典型的には、欠陥の位置を決定し、各々の検査したウェハ上に位置する欠陥のマップを生成する高スループットシステムである。
【0006】
加えて、物質のタイプ、構造的な特性、等によって欠陥を分類することが多くの場合に望ましい。典型的には、別個の欠陥レビュー機器が、欠陥分類タスクを実行するために利用される。いくつかの例では、欠陥は、光学検査機器により位置を決定される。検査されたウェハおよび欠陥位置のマップは、欠陥レビュー機器へ転送される。欠陥レビュー機器は、光学検査システムによって特定された欠陥位置のうちの1つ以上の詳細な解析を実行して、各々の位置の欠陥を分類する。
【0007】
欠陥は、物質組成によって多くの場合に分類される。1つの例では、欠陥物質組成の知識は、ウェハの欠陥粒子を取り除くために作業員が適切な洗浄手順を決定することを可能にする。もう1つの例では、欠陥物質組成の知識は、ウェハ汚染の源を示し、したがって作業員がさらなるウェハ汚染を阻止する措置を講じることを可能にする。
【0008】
従前の欠陥分類機器および技術は、小さな粒子サイズ、スループット、または両方に対する感度に限界がある。例えば、エネルギー分散型X線分光分析(EDX)は、いくつかの物質に関して高感度の欠陥物質解析能力を与えるが、無機化合物または有機粒子などの他の物質に関してはそうではない。加えて、EDXは、半導体製造施設においてコスト効率の良い欠陥分類にとって不十分なスループットに悩まされている。
【0009】
スループットを大きくするために、欠陥の位置を検出するために利用した同じ光学検査機器を用いて少なくともいくつかの欠陥分類タスクを実行することが望ましい。特に、光学検査機器を用いて欠陥組成分析を実行することは、EDXまたは二次イオン質量分析(SIMS)技術を利用する旧来の分析機器と比較して著しい利益を持ち込む。光学検査機器を用いて欠陥分類を実行することは、欠陥分類用の別の機器へウェハおよび欠陥マップを移動させる必要性を取り除く。加えて、欠陥分類結果は、光学検査機器から直ぐに利用可能である。典型的な半導体デバイス製造プロセスでは、これが数時間から数分へとターンアラウンドタイムを削減する。加えて、光学検査機器を用いた欠陥分類は、非破壊である;分析は、試料を破壊せずに、試料から物質を除去せずに、等で実行される。
【0010】
ZhaoらによるがKLA社に譲渡された米国特許出願公開第2018/0188188号は、高いスループットで小さな粒子サイズに対して十分な感度で欠陥を検出し分類する様々な光学検査システムを記載し、その内容は、その全体が本願に引用により援用される。特に、Zhaoは、欠陥を分類するために位相シフト位相コントラスト画像処理技術を利用する光学検査システムを記載する。位相シフト位相コントラスト技術は、正反射光と散乱光との間の相対的な位相シフトを導入するために光学システムの集光瞳平面のところでの正反射光と散乱光との空間的分離を必要とする。この空間的分離を達成するために、照明ビームの分布は、対物レンズの瞳平面内の選択された場所に制限される。これが、照明源によりウェハに与えられるフォトンの数を制限し、延いては、光学検査システムの感度を制限する。
【0011】
半導体設計ルールが進化し続けるので、表面検査システムにより検出されなければならない最小粒子サイズは、サイズが小さくなり続ける。加えて、欠陥を検出するために利用した同じ光学機器を用いて検出した欠陥を分類することが望ましい。製造されるフィーチャのサイズの着実な減少および欠陥を同時に検出し分類する要望が、検査システムの感度およびスループットに関する難題を提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許出願公開第2018/0188188号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
光学表面検査システムに対する改善が、より大きな感度およびスループットでウェハ表面上の照明スポットの検査経路内の欠陥を検出し分類するために望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
試料からの暗視野スキャッタリングの位相に基づいて欠陥を検出し分類するための方法およびシステムが本願において説明される。いくつかの実施形態では、スループットは、同じ光学システムを用いて欠陥を検出することおよび分類すること、すなわち、同じ光学機器により実行される欠陥検査および欠陥レビューによって大きくなる。他の実施形態では、光学検査および光学レビュー機器は、本願において説明する技術を組み込むことによって充実される。
【0015】
1つの態様では、欠陥は、集光瞳内の少なくとも2つの空間的に別個の場所から集められた散乱光の測定される相対的な位相に基づいて分類される。特に、欠陥分類は、所定の照明角に関する散乱光の測定される相対的な位相に基づく。このように、本願において説明する技術は、ただ単に検査システムの集光光学系に実装され、結果として単純でコスト効率の良い光学検査/欠陥レビューシステムをもたらす。散乱光は、集光瞳内の少なくとも2つの空間的に別個の場所から集められ、一方で残りの光が遮られる。これらの条件下では、明確な干渉パターンが、検出器の感光性表面で結像面のところに形成される。あるとすれば、瞳平面のところの2つの空間的に別個の場所を透過する光同士の間の位相差は、結像面内の干渉縞の位置から決定される。測定される位相差は、測定した試料の物質組成を示す。
【0016】
さらなる態様では、測定された位相差と試料に関係する位相差の既知の値との間の差異が、補正値として決定される。いくつかの実施形態では、測定中の物質は、既知の物質特性および位相応答を有する既知の物質である。これらの実施形態では、検査システムにより測定された位相差と既知の位相差との間の差異は、測定システム内の系統的誤差、例えば、光学収差、測定電子機器誤差、等を示す。補正値は、メモリに記憶される。システムによって実行される位相差のその後の測定値は、位相差の測定において存在する系統的誤差を補償するために記憶した補正値によって補正される。
【0017】
もう1つの態様では、位相差情報が、高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムを使用して検出した画像内に存在する干渉パターンから抽出される。FFTアルゴリズムは、優れたノイズ除去を提供し、計算処理的に効率的である。他の実施例では、測定した干渉パターンへの測定の物理モデルの反復フィッティングが、瞳平面内の2つの異なる場所から散乱された光同士の間の位相差を決定するために利用される。
【0018】
もう1つの態様では、検査システムは、集光瞳内の異なるプログラム可能な場所のところで瞳をサンプリングするように構成されたプログラマブル瞳アパーチャ機構を含む。このようにして、瞳平面内の各々のサンプリング位置の場所が各々の位相差測定に対して制御される。
【0019】
前述のものは、要約であり、したがって必要に応じて、詳細の単純化、一般化および省略を含み、その結果として、当業者は、要約が単に例示でありそして何ら限定していないことを認識するだろう。本願において説明されるデバイスおよび/またはプロセスの他の態様、独創的な特徴、および利点は、本願において述べられる非限定的な詳細な説明において明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】集光瞳内の別個の場所のところで試料から集められた散乱光同士の間の位相差を測定するように構成された検査システムの1つの実施形態を例示する単純化した図である。
【
図2】照明ビームにより照明されたウェハ110を例示する単純化した図である。
【
図3】アパーチャを通って透過した光を除き、すべてを集めたNAで光を遮るマスクを例示する図である。
【
図4】物質から散乱された光と集光瞳内の異なる場所においてアパーチャを通って透過した光との干渉により生成される結像面のところでの干渉パターンのシミュレーションのプロットの図である。
【
図5】
図4に描かれた物質とは異なる物質から散乱された光と
図4に描かれた同じアパーチャを通って透過した光との干渉により生成される結像面のところでの干渉パターンのシミュレーションのプロットである。
【
図6】
図4および
図5に描かれた物質とは異なる物質から散乱された光と
図4に描かれた同じアパーチャを通って透過した光との干渉により生成された結像面のところでの干渉パターンのシミュレーションのプロットである。
【
図7】1つの実施形態においてx-方向に瞳の中心に対して対称的に設置された瞳アパーチャを例示する図である。
【
図8】もう1つの実施形態においてx-方向に瞳の中心に対して対称的に設置された瞳アパーチャを例示する図である。
【
図9】1つの実施形態においてy-方向に瞳の中心に対して対称的に設置された瞳アパーチャを例示する図である。
【
図10】もう1つの実施形態においてy-方向に瞳の中心に対して対称的に設置された瞳アパーチャを例示する図である。
【
図11】1つの実施形態においてプログラマブル瞳マスク機構を例示する単純化した図である。
【
図12】もう1つの実施形態においてプログラマブル瞳マスク機構を例示する単純化した図である。
【
図13】集光瞳内の別個の場所のところで試料から集められた散乱光同士の間の位相差を測定するために有用な例示的な方法200のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
背景例および実施形態の実施例が添付の図面に図示されている本発明のいくつかの実施形態をここで詳細に参照する。
【0022】
試料からの暗視野散乱の位相に基づいて欠陥を検出し分類するための方法およびシステムが本願において説明される。いくつかの実施形態では、ナノメートル規模の欠陥粒子が、本願において説明する方法およびシステムにより検出され分類される。本願において提示する欠陥を検出し分類するための方法およびシステムは、非破壊でありそして光学検査機器、欠陥レビュー機器、または統合型光学検査/欠陥レビュー機器へと統合されることが可能である。いくつかの実施形態では、スループットは、同じ光学システムを用いて欠陥を検出し分類すること、すなわち、同じ光学機器によって実行される欠陥検査および欠陥レビューによって大きくなる、他の実施形態では、光学検査および光学レビュー機器は、本願において説明する技術を組み込むことによって増強される。
【0023】
一般に、欠陥からの光散乱は、欠陥の多くの特性に依存する。例えば、欠陥形状およびサイズなどの幾何学的特性は、屈折率n、および消衰係数kにより記述される複素屈折率などの物質特性に加えて、光散乱に影響を及ぼす。nおよびkなどの物質パラメータの値は、物質組成を表す。しかしながら、nおよびkなどの物質パラメータを、単純な散乱光強度測定から直接決定できない、その理由は、これらが光強度測定における幾何学的特性から実効的に分離できないためである。
【0024】
1つの態様では、欠陥は、集光瞳内の少なくとも2つの空間的に別個の場所から集められる散乱光の測定される相対的な位相に基づいて分類される。特に、欠陥分類は、所定の照明角度に対する散乱光の測定される相対的な位相に基づく。このように、本願において説明する技術は、ただ単に検査システムの集光光学系に実装され、結果として簡単でコスト効率の良い光学検査/欠陥レビューシステムをもたらす。
【0025】
1つの実施例では、欠陥粒子は、瞳平面内の異なる場所のところでの散乱光の測定される相対的な位相に基づいて、high-K金属またはlow-K、透明誘電体物質のいずれかとして分類される。
【0026】
いくつかの実施例では、nおよびkなどの欠陥の物質特性の値は、欠陥から散乱される光の位相に基づいて決定される。特に、物質特性は、瞳平面内の異なる場所における散乱光の測定される位相差に基づいて決定される。これらの実施例では、欠陥は、欠陥の決定される物質特性に基づいて分類される。
【0027】
図1は、本願において説明するような検査および分類機能を有する表面検査システム100の1つの実施形態の単純化した模式図である。表面検査システム100は、非限定的な例として提供される。一般に、本願において説明するような欠陥の画像を形成するためにセンサ上の散乱光を撮像する任意の光学顕微鏡または検査システムが、本願において説明する検査および分類機能の実装形態にとって適している。このような光学顕微鏡または検査サブシステムを、ベンチトップ分析機器の一部としてまたは欠陥検査用、欠陥レビュー用、または両方のための自動化されたシステムの一部として実装することができる。
【0028】
単純化のために、システムのいくつかの光学部品が省略されている。例として、折り畳み式鏡、偏光子、ビーム形成光学系、追加の光源、追加の集光器、および追加の検出器もまた含むことができる。すべてのこのような変形形態は、本願において説明する本発明の範囲内である。本願において説明する検査システムを、パターンを形成していないウェハ、同様にパターンを形成したウェハを検査するために使用することができる。
【0029】
図1に図示したように、照明源101は、ウェハ110の方に向けられる照明光102のビームを生成する。
図1に描かれた実施形態では、集光光学系103は、測定スポット104の全面にわたりウェハ110上へと照明光102を焦光する。しかしながら、一般に、任意の好適な照明光学素子が、所望の測定スポットサイズの全面にわたりウェハ110上へと照明光102を与えるために利用されることがある。いくつかの実施形態では、1つ以上のビーム成形素子が、所望のビームプロファイルを形成するために照明光学経路(すなわち、照明源101とウェハ110との間の光学経路)内に含まれる。例示的なビームプロファイルは、ガウス分布ビーム形状、リングビーム形状、フラットトップビーム形状、等を含む。典型的な測定スポットサイズは、1マイクロメートル程度に小さい長さから500マイクロメートル程度に大きい長さまでを有する測定スポットを横切る最大広がりの寸法により特徴付けられる測定スポットを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、1つ以上の偏光子素子が、所望の方式で照明光を偏光させるために照明光学経路内に設置される。例示的な偏光は、直線偏光、楕円偏光、円偏光、または偏光なしを含む。
【0031】
図1に描かれたように、照明102は、照明サブシステムによってある斜角でウェハ110の表面に行われる。しかしながら、一般に、照明サブシステムを、垂直な入射角で試料へ光のビームを向けるように構成することができる。典型的な入射角は、ゼロ度(垂直入射)から垂直入射から80度までの範囲である。いくつかの実施形態では、システム100を、斜角および垂直入射角などの異なる入射角で試料へ光の多数のビームを向けるように構成することができる。光の多数のビームを、実質的に同時にまたは順次に試料へ向けることができる。
【0032】
照明源101は、例として、レーザ、ダイオードレーザ、ヘリウムネオンレーザ、アルゴンレーザ、固体レーザ、ダイオード励起固体(DPSS)レーザ、キセノンアーク灯、ガス放電灯、およびLEDアレイ、または白熱灯を含むことができる。光源を、ほぼ単色光または広帯域光を発するように構成することができる。いくつかの実施形態では、照明サブシステムは、ある時間にわたり試料へ比較的狭い波長帯域を有する光(例えば、ほぼ単色光または約20nm未満、約10nm未満、約5nm未満、またはそれどころか約2nm未満の波長範囲を有する光)を向けるように構成される。そのため、光源が広帯域光源である場合には、照明サブシステムはまた、試料へ向けられる光の波長を制限できる1つ以上の分光フィルタも含むことができる。1つ以上の分光フィルタを、バンドパスフィルタおよび/またはエッジフィルタおよび/またはノッチフィルタとすることができる。いくつかの実施例では、ウェハ110上に入射する光の波長は、赤外から極紫外までの範囲に及ぶ波長の任意のサブセットを含む。一般に、照明源101は、光学波長範囲内の光のいずれかの所望の波長または波長の範囲の放射光を発する。
【0033】
図1に描かれた実施形態では、照明源101は、計算システム140から受け取るコマンド信号134に従って照明光102のビームの光パワーを制御するように構成される。1つの実施形態では、照明源101は、表面検査スキャン中に照明パワーを絶えず調節する。
【0034】
図1に図示した実施形態では、ウェハ位置決めシステム125は、測定スポット104下でウェハ110を動かす。ウェハ位置決めシステム125は、ウェハチャック109、動きコントローラ123、回転ステージ121および並進移動ステージ122を含む。ウェハ110は、ウェハチャック109の上に支持される。
図2に図示したように、ウェハ110は、その幾何学的中心150を回転ステージ121の回転軸にほぼ位置合わせされた状態で設置される。このようにして、回転ステージ121は、容認できる許容誤差内の指定された角速度ω、でそれ自体の幾何学的中心の周りにウェハ110をスピンさせる。加えて、並進移動ステージ122は、指定された速度V
T、で回転ステージ121の回転軸にほぼ垂直な方向にウェハ110を並進移動させる。動きコントローラ123は、回転ステージ121によるウェハ110のスピニングと並進移動ステージ122によるウェハ110の並進移動とを調和させて、検査システム100内でのウェハ110の所望のスキャニング運動を実現する。
【0035】
例示的な動作シナリオでは、検査は、測定スポット104がウェハ110の幾何学的中心150のところに位置を決められることで始まり、次いでウェハ110が回転され、そして次いで、測定スポット104がウェハ110の外周部に達する(すなわち、Rがウェハ110の半径に等しくなるとき)まで並進移動される。回転ステージ121および並進移動ステージ122の調和した動きのために、測定スポット104によって照明された点の軌跡は、ウェハ110の表面上で渦巻き経路をたどる。ウェハ110の表面上の渦巻き経路は、検査軌道127(その全体を図示せず)と呼ばれる。例示的な検査軌道127の一部分が、TRACK
iとして
図2に図示される。
図2に図示したように、測定スポット104は、ウェハ110の幾何学的中心から距離、R、に位置し、そして欠陥粒子126が測定スポット104に近付いている。いくつかの実施形態では、検査システム100は、粒子の最大の大きさの寸法に沿って50ナノメートル程度まで小さい欠陥粒子の位置を決めることが可能である。いくつかの実施形態では、検査システム100は、粒子の最大の大きさの寸法に沿って10ナノメートル程度まで小さい欠陥粒子の位置を決めることが可能である。
【0036】
図1に描かれたように、検査システム100は、集光光学サブシステムの1つ以上のウェハ結像面(例えば、結像面119)上へと測定スポット104において集光角の範囲全体にわたりウェハ110から散乱されるおよび/または反射される光111を撮像するために利用される撮像集光対物レンズ112を含む。対物レンズ112は、暗視野散乱光を集めるように構成される。いくつかの実施形態では、対物レンズ112は、0.1から0.99の開口数(NA)で散乱された光を捕らえる。
【0037】
集光対物レンズ112の特定の、名目上の向きが
図1に図示されているとはいえ、ウェハ表面に対する集光対物レンズの向きを、例えば、入射角および/またはウェハのトポグラフィック特性に応じて適切に配置することができることが理解される。
【0038】
いくつかの実施形態では、集光光学経路(すなわち、ウェハ110と検出器120との間の光学経路)は、所望の偏光を有する光を選択するために1つ以上の偏光子光学素子113を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の偏光子素子113は、単純な偏光子を含む。いくつかの他の実施形態では、1つ以上の偏光子素子113は、偏光子と組み合わせられた位相板を含む。これらの実施形態のうちのいくつかでは、位相板は、散乱光の偏光を変えるように設計される。
【0039】
いくつかの実施形態では、集光光学経路は、1つ以上の中継された瞳平面(例えば、瞳平面106)を形成するために1つ以上の瞳リレー光学系(例えば、瞳リレー光学系115)を含む。このことは、本願において説明するように瞳の特定の領域から集められる光の量を制御するために1つ以上の光調節素子(例えば、マスク素子)用の集光瞳平面への容易なアクセスを可能にすることが望ましいことがある。あるいは、1つの瞳平面のところでまたは近くで本願において説明するような瞳の特定の領域から集められる光の量を制御するすべての光調節素子(例えば、マスク素子)を設置することが望ましいことがある。
図1に描かれたように、集光光学経路は、2つの瞳平面(例えば、瞳平面105および106)を含み、そして瞳マスク114および116が、それぞれ瞳平面105および106のところに設置される。
【0040】
図1に描かれた実施形態では、光学素子117は、結像面119の上へと集めた光111を焦光し、結像面119では、画像が検出器120により検出される。
【0041】
撮像検出器120は、一般に、検出した視野内のウェハ110の検出した画像を示す電気信号へと検出した光を変換するように機能する。一般に、撮像検出器120は、本分野で既知の実質的に任意の光検出器を含むことができる。しかしながら、特定の検出器を、検出器の所望の性能特性、検査しようとする試料のタイプ、および照明の構成に基づいて本発明の1つ以上の実施形態内での使用のために選択することができる。一般に検出器120は、フレームモードまたはスキャニングモードで画像情報を取り込む。スキャニングモードでは、画像は、ウェハ110が動いている間に集められる。検査のために利用可能な光の量が比較的少ない場合には、時間遅延積分(TDI)カメラなどの効率向上検出器を、システムの信号対雑音比およびスループットを高めるために利用することができる。もう1つの実施例では、信号積分が、位相測定のために十分なSNRを達成するために利用される。利用可能な信号に依存して、積分時間を、数ナノ秒から1秒まで選択することができる。長時間の積分時間のマイナス面は、長い測定時間、および機械振動、等などの環境外乱への敏感さである。電荷結合デバイス(CCD)カメラ、フォトダイオードのアレイ、光電管および光電子増倍管(PMT)、または検出器の前にスキャン可能なアパーチャを有する個別のPMT/フォトダイオードなどの他の検出器を、検査のために利用可能な光の量および実行される検査のタイプに応じて使用できる。
【0042】
撮像検出器120を、明視野、暗視野、および共焦点などの様々な撮像モードで実装できる。明視野、暗視野、および位相コントラストなどの様々な撮像モードを、異なるアパーチャまたはフーリエフィルタを使用することにより実施できる。本願に引用して援用されている米国特許第7,295,303号および第7,130,039号は、これらの撮像モードをさらに詳細に記載している。描かれた実施例では、検出器120は、大きな画角で集められた散乱光を撮像することにより暗視野画像を生成する。もう1つの実施例では、入射スポット104に一致するピンホールを、共焦点画像を生成するために検出器(例えば、検出器120)の前に置くことができる。本願に引用して援用されている米国特許第6,208,411号は、これらの撮像モードをさらに詳細に記載している。加えて、表面検査システム100の様々な態様が、米国特許第6,271,916号および米国特許第6,201,601号に記載されており、両者とも、本願に引用して援用されている。
【0043】
さらなる態様では、計算システム140は、検出した信号131の変化に基づいてスキャン経路内の欠陥の場所を決定するように構成される。加えて、計算システム140は、本願において説明するように欠陥の物質特性に基づいて欠陥を分類するように構成される。
【0044】
1つの態様では、散乱した光が、集光瞳内の少なくとも2つの空間的に別個の場所から集められ、一方で残りの光が遮られる。これらの条件下で、明確な干渉パターンが、検出器の感光性表面において結像面のところに形成される。もしあるならば、瞳平面のところの2つの空間的に別個の場所を通って透過した光同士の間の位相差が、撮像面内の干渉縞の位置から決定される。測定された位相差は、測定した試料の物質組成を示している。
【0045】
さらなる態様では、測定された位相差と試料に関連する位相差の既知の値との間の差異が、補正値として計算システム140により決定される。いくつかの実施形態では、測定中の(すなわち、測定スポット104内部の)物質は、既知の物質特性および位相応答を有する既知の物質である。これらの実施形態では、検査システム(例えば、検査システム100)により測定される位相差と既知の位相差との間の差異は、測定システム内の系統的誤差、例えば、光収差、測定電子機器誤差、等を示している。補正値は、メモリ(例えば、メモリ142)に記憶される。システムによって実行される位相差のその後の測定値は、位相差の測定において存在する系統的誤差を補償するために記憶した補正値によって補正される。補正値は、校正測定を実行するために利用されるマスク配置(すなわち、校正測定中にサンプリングされる瞳内の特定の場所)を使用する検査システムにより実行される測定に対しても有効である。追加の校正測定を、サンプリング場所の各々のセットについての補正係数を決定するために本願において説明したような異なるマスク配置に対して行うことができる。
【0046】
図1に描かれたように、マスク114は、瞳平面106のところに設置される。あるいは、マスク114を、瞳平面105のところに設置することができる。マスクが一方の瞳平面またはもう一方に設置されるかどうかは、設計の好みの問題であり、そしてすべての代替形態が、この特許文書の範囲内であると考えられる。
図3は、マスク114の実例を描いている。
図3に描かれたように、マスク114は、アパーチャ151および152を通って透過される光を除き、すべてを集めたNAで光を遮る。
図3に描かれた実施形態では、アパーチャ151の中心は、0.358NA
xおよび0.0NA
y(ウェハのところで21度の入射角に対応する)のところに設置される。アパーチャ151の半径は、瞳153の半径の1/12である。アパーチャ152の中心は、0.788NA
xおよび0.0NA
y(ウェハのところで52度の入射角に対応する)のところに設置される。アパーチャ152の半径は、瞳153の半径の1/12である。すべてのアパーチャが単一の瞳平面のところにまたは異なる瞳平面のところに設置されるかどうかは、設計の好みの問題であり、そしてすべての代替形態が、この特許文書の範囲内であると考えられる。
【0047】
図4は、アパーチャ151と152とを通って透過した光の干渉によって生成された検出器120の感光性表面のところの結像面における干渉パターンのシミュレーションのプロット160を描いている。この実施例では、検出器120は、70マイクロメートル四方のピクセルの973x973アレイを含み、そして照明光は、266ナノメートルの波長を有する。
図4は、測定スポットの中心のところの結像面の拡大した図を図示している。
図4に図示されたように、干渉縞は、画像の中心位置、すなわち、(X,Y)=(0,0)のところに中心を置く。このように、この実施例では、試料物質から集められそしてアパーチャ151を通って透過する散乱光は、試料物質から集められそしてアパーチャ152を通って透過する散乱光と同じ位相、すなわちゼロ位相差、を有する。
【0048】
図5は、
図4とは異なる物質からの、アパーチャ151と152とを通って透過した光の干渉によって生成された検出器120の感光性表面のところの結像面における干渉パターンのもう1つのシミュレーションのプロット161を描いている。
図5は、測定スポットの中心のところの結像面の拡大した図を図示する。
図5に図示したように、干渉縞は、画像の中心位置、すなわち、(X,Y)=(0,0)のところに中心を置いていない。このように、この実施例では、試料物質から集められそしてアパーチャ151を通って透過した散乱光は、試料物質から集められそしてアパーチャ152を通って透過した散乱光とは異なる位相を有する。この実施例では、位相差は、角度φ
A、により特徴付けられる。
【0049】
図6は、
図4とは異なるもう1つの物質からの、アパーチャ151と152とを通って透過した光の干渉によって生成された検出器120の感光性表面のところの結像面における干渉パターンのもう1つのシミュレーションのプロット162を描いている。
図6は、測定スポットの中心のところの結像面の拡大した図を図示する。
図6に図示したように、干渉縞は、画像の中心位置、すなわち、(X,Y)=(0,0)のところに中心を置いていない。このように、この実施例では、試料物質から集められそしてアパーチャ151を通って透過した散乱光は、試料物質から集められそしてアパーチャ152を通って透過した散乱光とは異なる位相を有する。この実施例では、位相差は、角度、φ
B、により特徴付けられる。
【0050】
図5および
図6に描かれたように、各々の測定した物質は、試料物質から集められそしてアパーチャ151を通って透過した散乱光と、試料物質から集められそしてアパーチャ152を通って透過した散乱光との間で位相差を示す。最も重要なことには、各々の物質に関係する位相差は、劇的に異なる。例えば、
図5および
図6に描かれたように、φ
Aとφ
Bとの間の差異によって特徴付けられる位相差の違いは、干渉縞の空間的周期のほぼ0.6倍(すなわち、ほぼ200度)である。結果として、2つの異なる物質に対応する位相差、すなわち、瞳平面内の2つの異なる場所同士の間の相対的な位相、の値は、物質同士の間の光学的特性(例えば、nおよびk値)の違いを表す。
【0051】
アパーチャ151および152の具体的な場所およびサイズが、非限定的な例として与えられる。一般に、多くの異なるアパーチャサイズおよび場所を、この特許文書の範囲内で考えることができる。例えば、瞳平面内の各々のアパーチャを、0.01NAから0.3NAまでの範囲内のサイズにすることができる。
【0052】
一般に、特定のマスクジオメトリを使用して測定される位相差の値は、測定した試料の物質組成を一義的に同定しないが、いくつかのケースではあり得る。高い信頼度で物質を識別するために、位相差の値を、いくつかの異なるマスクジオメトリを使用して測定することができる、すなわち、瞳平面内の異なる場所の多数の組に関係する位相差を測定する。異なるマスクジオメトリの数が十分に多い場合には、瞳平面内の位相のマップを、異なるマスクジオメトリの各々に関係して測定される干渉縞から導き出すことができる。この位相マップは、次いで、測定した試料の物質特性、例えば、nおよびk、を一義的に特定するために使用される。1つの実施例では、物質パラメータ、例えば、nおよびk、の値は、物質の物理モデルではフローティングであり、反復フィッティング法が、測定した位相マップにベストフィットする物質パラメータの値を推定するために利用される。
【0053】
有用な物質特性評価情報を、わずか2つの異なるマスクジオメトリを用いた試料の位相差測定値から導き出すことができることを、本発明者は発見した。いくつかの実施例では、2つの異なるマスクジオメトリを用いた欠陥粒子の位相差測定値が、90%よりも高い精度で金属(非常に大きなk値)または非金属(非常に小さいまたはゼロのk値)として測定した粒子を分類するために十分である。
【0054】
もう1つの態様では、計算システム140は、検出器120により検出された画像131に存在する干渉パターンから位相差情報を抽出するように構成される。いくつかの実施例では、高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムが、測定された干渉パターンに基づいて瞳平面内の2つの異なる場所から散乱された光同士の間の位相差を決定するために利用される。FFTアルゴリズムは、優れたノイズ除去を提供し、そして計算処理的に効率的である。他の実施例では、測定された干渉パターンへの測定の物理モデルの反復フィッティングが、瞳平面内の2つの異なる場所から散乱された光同士の間の位相差を決定するために利用される。この実施例では、位相差を表す1つ以上のパラメータは、物理モデルではフローティングであり、値は、反復方式で推定される。
【0055】
いくつかの実施形態では、瞳平面内に設置されたアパーチャの場所が、異なる物質に対して測定される位相差同士の間のコントラストを高めるように最適化される。例えば、瞳平面内のアパーチャ同士の間の間隔が大き過ぎる場合には、測定される位相差は、多くの異なる物質に対して同じように見えるだろう。しかしながら、瞳平面内のアパーチャ同士の間の間隔が小さ過ぎる場合には、測定される位相差の値は、低い信号対雑音比に悩まされるだろう。多くの実施例では、アパーチャ同士の間の間隔は、対象の各々の物質に関係する位相マップの知識により情報を与えられる。例えば、位相差の大きな遷移がNAの特定の範囲にわたり生じることが知られている場合には、アパーチャの間隔は、遷移が生じることが知られているNAの範囲にちょうど広がるように選択される。いくつかの実施例では、瞳平面内のアパーチャ同士の間の空間的な隔たりは、0.1から0.9までのNAの範囲に広がる。
【0056】
他の実施形態では、アパーチャの場所は、検査機器の焦点オフセット(すなわち、焦点誤差)により引き起こされる測定誤差を最小化するように選択される。本願において説明するような集光瞳内の位相差による物質の特性評価は、焦点オフセットに対して比較的鈍感である。しかしながら、焦点オフセットに対する位相差の測定の感度は、異なるアパーチャの場所に正に依存する。いくつかの実施例では、アパーチャは、焦点オフセットに対する測定感度を最小化するために瞳の中心に対して対称的に設置される。
図7および
図8は、x-方向に瞳の中心に対して対称的であるアパーチャ151および152の異なる場所を描いている。
図9および
図10は、y-方向に瞳の中心に対して対称的であるアパーチャ151および152の異なる場所を描いている。
【0057】
いくつかの実施形態では、瞳平面内に設置されたアパーチャのサイズは、異なる物質について測定した位相差同士の間のコントラストを高めるためおよび特に100ナノメートルよりも小さい粒子に関してデータ収集のために必要な時間を最小にするための両方で最適化される。アパーチャサイズが小さ過ぎる場合には、非常にわずかな光しか透過されない。これは、十分な信号対雑音比を実現するために長い取得時間にわたる信号積分を必要とする。しかしながら、アパーチャサイズが大き過ぎる場合には、瞳の余りにも多くからの光が測定されるという理由で、異なる物質に関係する位相差を識別することが困難になる。いくつかの実施形態では、アパーチャサイズは、0.01NAから0.3NAまでの範囲内である。
【0058】
瞳平面内の2つの異なる場所同士の間の位相差の計算が本願において前に論じられているが、一般に、位相差を、2つよりも多くの場所(例えば、3つ以上の場所)の間で計算することができる。2つよりも多くの場所の間で位相差を推定することは、取得時間を短縮するが、計算的にもっと複雑な位相の決定を必要とする。
【0059】
瞳平面内の異なる場所に関係して測定される位相差に基づく物質特性の特性評価は、瞳平面内の散乱光の位相の不均一性に依存する。しかしながら、加えて、瞳平面内で散乱している光の強度もまた、非常に不均一であり得る。強度差が十分に大きい場合には、干渉縞のコントラストは著しく低下し、そして位相測定の分解能が影響を受ける。いくつかの実施形態では、この制限が、一方のアパーチャからの透過光をもう一方のアパーチャと比較して減衰させることによって克服される。いくつかの実施形態では、減光フィルタ、小さなアパーチャサイズ、または両者の組み合わせが、一方のアパーチャを通る透過光の強度をもう一方のアパーチャと比較して減衰させるために利用される。
図1は、アパーチャ152に広がるがアパーチャ151には広がらない瞳平面106のところの減光フィルタ118を描いている。このようにして、検出器120に達するアパーチャ152を通って透過される光の強度は、検出器120に達するアパーチャ151を通って透過される光の強度と比較して減衰される。
【0060】
本願において前に説明したように、いくつかの実施例では、瞳内のサンプリング位置の2つ以上の異なる場所が、欠陥を分類するために要求される。加えて、瞳内の最適なサンプリング場所は、考えている物質に依存して変わる。
【0061】
もう1つの態様では、検査システムは、計算システム140の制御下で異なる場所のところで瞳をサンプリングするように構成されたプログラマブル瞳アパーチャ機構を含む。このようにして、計算システム140は、各々の位相差測定に関して瞳平面内の各々のサンプリング位置の場所を制御する。
【0062】
図11は、1つの実施形態におけるプログラマブル瞳マスク機構170を描いている。
図1に描かれたように、プログラマブル瞳マスク機構170は、マスク素子171およびマスク素子172を含む。マスク素子171は、瞳内で集められた光を遮る光学素子171Aおよび171Bを含む。光学素子171Aおよび171Bは、互いに対して固定され、そして瞳内部でそれら自体の位置に固定される。光学素子171Aおよび171Bは、空間的に分離され、直線の光学的に透明なスリット171Cを露にする。マスク素子172は、瞳内で集められた光を遮るV字形の光学素子172Aおよび172Bを含む。光学素子172Aおよび172Bは、互いに対して固定され、そして空間的に分離されてV字形の光学的に透明なスリット172Cを露にする。マスク素子172は、瞳を横切ってx-方向に移動可能である。加えて、マスク素子172は、アクチュエータ174に結合される。アクチュエータ174は、計算システム、例えば、計算システム140に通信可能に結合される。1つの実施例では、計算システム140は、制御コマンド175をアクチュエータ174に伝達して、瞳内のマスク素子172の所望の位置を指示する。これに応答して、アクチュエータ174は、マスク素子172を瞳内の所望の位置へ並進移動する。
【0063】
図11に描かれたように、x-方向のマスク素子172の動きは、瞳内のアパーチャ開口部173Aと173Bとの間の分離距離を変え、アパーチャ開口部を通って光が検出器120へ透過される。
図11に描かれた実施形態では、アパーチャ開口部173Aおよび173Bは、x-軸に関して対称的であり、y-方向のアパーチャ開口部173Aおよび173Bの間の距離は、マスク素子172のx-位置により決められる。1つの実施形態では、マスク素子171は、
図1に描かれた検査システム100の瞳平面105のところに設置され、そしてマスク素子172が瞳平面106のところに設置される。
【0064】
図12は、1つの実施形態におけるプログラマブル瞳マスク機構180を描いている。
図12に描かれたように、プログラマブル瞳マスク機構180は、瞳内に集められた光を遮る光学素子181A~Dを含んでいるマスク素子181および瞳内に集められた光を遮る光学素子182A~Dを含んでいるマスク素子182を含む。光学素子181A~Dは、互いに対して固定され、そして光学素子182A~Dは、互いに対して固定される。光学素子181A~Dは、空間的に分離され、それぞれ、x-方向およびy-方向に整列された直線の光学的に透明なスリットを露にする。同様に、光学素子182A~Dは、空間的に分離され、それぞれ、x-方向およびy-方向に整列された直線の光学的に透明なスリットを露にする。
【0065】
マスク素子181は、瞳を横切ってx-方向に移動可能である。加えて、マスク素子181は、アクチュエータ184Bに結合される。アクチュエータ184Bは、計算システム、例えば、計算システム140に通信可能に結合される。1つの実施例では、計算システム140は、制御コマンド185Bをアクチュエータ184Bに伝達して、瞳内のマスク素子181の所望の位置を指示する。これに応答して、アクチュエータ184Bは、マスク素子181を瞳内の所望の位置へ並進移動する。同様に、マスク素子182は、瞳を横切ってy-方向に移動可能である。加えて、マスク素子182は、アクチュエータ184Aに結合される。アクチュエータ184Aは、計算システム、例えば、計算システム140に通信可能に結合される。1つの実施例では、計算システム140は、制御コマンド185Aをアクチュエータ184Aに伝達して、瞳内のマスク素子182の所望の位置を指示する。これに応答して、アクチュエータ184Aは、マスク素子182を瞳内の所望の位置へ並進移動する。
【0066】
図12に描かれたように、x-方向のマスク素子181の動きは、アパーチャ開口部183Aの場所を移動させずにx-方向にアパーチャ開口部183Bの場所を変える。同様に、y-方向のマスク素子182の動きは、アパーチャ開口部183Aの場所を移動させずにy-方向にアパーチャ開口部183Bの場所を変える。このようにして、瞳内の多数の異なる場所と瞳内の固定点との間の位相差測定は、各々の測定同士の間にマスク素子181、182または両方の位置を調節することによって行われる。1つの実施形態では、マスク素子181は、
図1に描かれた検査システム100の瞳平面105のところに設置され、そしてマスク素子182が瞳平面106のところに設置される。
【0067】
いくつかの他の実施形態では、プログラマブル瞳マスク機構は、いくつかの異なるマスク素子を含み、各々が固定されたアパーチャパターンを有する。プログラマブル瞳マスク機構は、アクチュエータサブシステム(例えば、直線並進移動ステージ、回転ステージ、等)を含み、所望のマスク素子を瞳平面内の所望の場所に選択的に設置する。1つの実施例では、計算システム140は、制御コマンド信号をアクチュエータサブシステムへ伝達する。これに応答して、アクチュエータサブシステムは、制御コマンド信号に従って光学システムの集光瞳平面内の所望の場所に所望のマスク素子を設置する。
【0068】
一般に、計算システム140は、各々の検出器から得られる電気信号を使用してウェハの特徴点、欠陥、または光散乱特性を検出するように構成される。計算システム140は、本技術において既知のいずれかの適切なプロセッサを含むことができる。加えて、計算システム140を、本技術において既知のいずれかの適切な欠陥検出アルゴリズムまたは方法を使用するように構成することができる。例えば、計算システム140は、試料上の欠陥を検出するために、ダイ-データベース比較アルゴリズムまたは二値化アルゴリズムを使用できる。
【0069】
加えて、検査システム100は、操作員からの入力を受け入れるために有用な周辺デバイス(例えば、キーボード、マウス、タッチスクリーン、等)および操作員へ出力を表示するために有用な周辺デバイス(例えば、ディスプレイモニタ)を含むことができる。操作員からの入力コマンドを、集光瞳内部のサンプリング場所を調節するために計算システム140により使用できる。得られたサンプリング場所を、ディスプレイモニタ上で操作員へグラフィカルに提示することができる。
【0070】
検査システム100は、プロセッサ141およびある量のコンピュータ可読メモリ142を含む。プロセッサ141およびメモリ142は、バス143を介して通信できる。メモリ142は、プログラムコードを記憶するある量のメモリ144を含み、プログラムコードは、プロセッサ141によって実行されたときに、本願において説明した欠陥検出および分類機能をプロセッサ141に実行させる。
【0071】
図13は、欠陥を分類するために有用な例示的な方法200のフローチャートを図示している。いくつかの非限定的な実施例では、
図1を参照して説明した検査システム100は、方法200を実施するように構成される。しかしながら、一般に、方法200の実施は、本願において説明した具体的な実施形態により限定されない。
【0072】
ブロック201では、第1の量の照明光が、照明源によって発生され、そして試料の表面上の測定スポットへ向けられる。
【0073】
ブロック202では、第1の量の集光された光が、第1の量の照明光に応答して試料の表面上の測定スポットから集められる。第1の量の集光された光は、集光対物レンズの集光瞳内の暗視野散乱光を含む。
【0074】
ブロック203では、第1の量の集光された光のうちの第1の部分が、遮られる。
【0075】
ブロック204では、第1の量の集光された光のうちの第2の部分を、透過する。第1の量の集光された光のうちの第2の部分が、第1の構成の1つ以上のマスク素子により選択される。第1の量の集光された光は、集光瞳内の少なくとも2つの空間的に別個の場所から選択される。
【0076】
ブロック205では、第1の量の集光された光のうちの第2の部分により形成された第1の干渉パターンが、試料の表面に共役な視野平面のところでまたは近くで検出される。
【0077】
ブロック206では、少なくとも2つの空間的に別個の場所のうちの第1の場所から第1の構成の1つ以上のマスク素子により選択される透過光と少なくとも2つの空間的に別個の場所のうちの第2の場所から第1の構成の1つ以上のマスク素子により選択される透過光との間の第1の位相差が、第1の干渉パターンから決定される。
【0078】
様々な実施形態が、試料を検査するために使用することができる検査システムまたは機器について本願において説明される。「試料」という用語は、ウェハ、レチクル、または欠陥、特徴もしくは本技術において既知の他の情報(例えば、ヘイズの量もしくは膜特性)について検査されることがある任意の他のサンプルを呼ぶように本願では使用される。
【0079】
本願において使用したように、「ウェハ」という用語は、半導体材料または非半導体材料から形成された基板を一般に呼ぶ。例は、単結晶シリコン、ガリウムヒ素、およびインジウムリンを含むが、これらに限定されない。このような基板は、半導体製造施設において普通に見つけられるおよび/または処理されることがある。いくつかのケースでは、ウェハは、基板だけ(すなわち、ベアウェハ)を含むことがある。あるいは、ウェハは、基板上に形成した異なる材料の1つ以上の層を含むことがある。ウェハ上に形成された1つ以上の層は、「パターンを形成され」ていても「パターンを形成されていなく」てもよい。例えば、ウェハは、繰り返し可能なパターン特徴を有する複数のダイを含むことができる。
【0080】
「レチクル」は、レチクル製造プロセスのいずれかの段階にあるレチクル、または半導体製造施設における使用のためにリリースされることもリリースされないこともある完成したレチクルであってもよい。レチクルまたは「マスク」は、基板上に形成されそしてパターンに形成された実質的に不透明な領域を有する実質的に透明な基板として一般に定義される。基板は、例えば、石英などのガラス材料を含むことができる。レチクルを、リソグラフィプロセスの露光ステップ中にレジストで覆ったウェハの上方に配置することができ、その結果、レチクル上のパターンをレジストに転写することができる。
【0081】
1つ以上の例示的な実施形態では、説明した機能を、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらのいずれかの組み合わせで実装することができる。ソフトウェアで実装される場合には、機能を、コンピュータ可読媒体上に記憶することができる、またはコンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令またはコードとして伝送することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体、および1つの場所からもう1つへのコンピュータプログラムの伝送を容易にする任意の媒体を含め通信媒体の両方を含む。記憶媒体を、汎用コンピュータまたは専用コンピュータによりアクセスされ得るいずれかの利用可能な媒体とすることができる。例として、そして限定ではなく、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気ストレージデバイス、あるいは命令もしくはデータ構造の形態で所望のプログラムコード手段を搬送するもしくは記憶するために使用することができそして汎用コンピュータもしくは専用コンピュータ、または汎用プロセッサもしくは専用プロセッサによってアクセスされ得るいずれかの他の媒体を含むことができる。また、任意の接続が、コンピュータ可読媒体と適正に名付けられる。例えば、ソフトウェアが、ウェブサイト、サーバ、または同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイステッドペア、ディジタル加入者回線(DSL)、もしくは赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術を使用して他の遠隔ソースから伝送される場合には、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイステッドペア、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術は、媒体の定義に含まれる。ディスク(disk)およびディスク(disc)は、本願において使用するように、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、ディジタルヴァーサタイルディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスクおよびブルーレイ(登録商標)ディスクを含み、ここでは、ディスク(disk)は通常磁気的にデータを再生し、一方でディスク(disc)はレーザを用いて光学的にデータを再生する。上記の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるはずである。
【0082】
ある種の具体的な実施形態が教育的な目的で上に説明されているとはいえ、この特許文書の教示は、汎用的な適用性を有し、そして上に記載された具体的な実施形態に限定されない。1つの実施例では、検出器120を、ファイバアレイにより置き換えることができる。1つの実施例では、検査システム100は、1つ以上の光源(図示せず)を含むことができる。光源を、別なふうにまたは同じに構成することができる。例えば、光源を、同じまたは異なる時刻に同じまたは異なる入射角で同じまたは異なる照明エリアのところのウェハに向けることができる異なる特性を有する光を生成するように構成することができる。光源を、本願において説明した実施形態のうちのいずれかに従って構成することができる。加えて、光源のうちの1つを、本願において説明した実施形態のうちのいずれかに従って構成することができ、そしてもう1つの光源を、本技術において既知のいずれかの他の光源とすることができる。いくつかの実施形態では、検査システムは、同時に1つよりも多くの照明エリアにわたってウェハを照明できる。多数の照明エリアは、空間的に重なることがある。多数の照明エリアは、空間的に別個であってもよい。いくつかの実施形態では、検査システムは、異なる時刻において1つよりも多くの照明エリアにわたってウェハを照明できる。異なる照明エリアは、時間的に重なることがある(すなわち、ある期間にわたって同時に照明される)。異なる照明エリアは、時間的に別個であってもよい。一般に、照明エリアの数は、任意であり、各々の照明エリアは、等しいまたは異なるサイズ、向き、および入射角のものであってもよい。さらにもう1つの実施例では、検査システム100を、ウェハ110のいずれの動きとも独立にスキャンする1つ以上の照明エリアを有するスキャニングスポットシステムとすることができる。いくつかの実施形態では、照明エリアは、スキャン線に沿って繰り返しパターンでスキャンされる。スキャン線は、ウェハ110のスキャン運動と連携しても連携しなくてもよい。本願において提示したように、ウェハ位置決めシステム125は、調整された回転運動および並進移動運動によってウェハ110の動きを生じさせ、さらにもう1つの実施例では、ウェハ位置決めシステム125は、2つの並進移動運動を調整することによってウェハ110の動きを生じさせることができる。例の動きに関して、ウェハ位置決めシステム125は、2つの直交する直線軸に沿った動き(例えば、X-Yの動き)を生じさせることがある。このような実施形態では、スキャンピッチを、いずれかの動きの軸に沿った隣接する並進移動スキャン同士の間の距離として規定することができる。このような実施形態では、検査システムは、照明源およびウェハ位置決めシステムを含む。照明源は、照明エリアの全体にわたってウェハの表面へある量の放射光を供給する。ウェハ位置決めシステムは、スキャンピッチにより特徴付けられるスキャニング運動(例えば、一方向への前後のスキャニングおよび直交方向へのスキャンピッチに等しい量だけのステッピング)でウェハを動かす。
【0083】
したがって、説明した実施形態の様々な特徴の様々な変形形態、適応形態、および組み合わせを、特許請求の範囲に記述されるような本発明の範囲から逸脱せずに実行できる。