(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】止め輪、回転体装置、定着装置、画像形成装置、及び、製造方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240130BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
G03G15/20 505
G03G21/16 185
G03G21/16 147
(21)【出願番号】P 2019234982
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 陽平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直人
(72)【発明者】
【氏名】畔柳 雄太
(72)【発明者】
【氏名】桑原 延雄
(72)【発明者】
【氏名】本城 賢二
(72)【発明者】
【氏名】川田 哲平
(72)【発明者】
【氏名】永田 春樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 道治
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-200783(JP,U)
【文献】特開平09-276115(JP,A)
【文献】実開昭50-020041(JP,U)
【文献】特開2019-052724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体と、
前記回転体の軸部材の軸方向への変位を規制するための止め輪とを備えた回転体装置で
あって、
前記止め輪は、前記回転体の軸部材の軸方向に対して直交する方向から
前記軸部材の被装着部を挿入するために
前記止め輪本体の周方向の一部である挿入部が弾性変形により開口拡張可能であり、かつ、前記挿入部から挿入された前記被装着部を
前記止め輪本体の弾性変形復元力により
前記止め輪本体の対向する2つの内周部で挟持
し、
前記止め輪は、前記2つの内周部は、非使用時において、前記被装着部の曲率半径と略一致する曲率半径をもち、かつ、お互いの曲率中心がそれぞれ相手側の内周部に近い位置をと
り、
前記止め輪が装着される前記被装着部は、前記軸部材に形成された溝であり、
前記止め輪本体は、断面が略円形状を有する線状部材であり、
前記軸部材の軸方向における前記溝の2つの縁のうち、前記軸部材に対して前記軸方向
へ相対移動し得る被接触体が前記止め輪本体と接触する側とは反対側の縁の高さが、前記止め輪本体の半径以上であることを特徴とする回転体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の
回転体装置であって、
前記止め輪本体には、前記2つの内周部における前記挿入部側の各端部から
前記止め輪
本体の径方向外側に向かってお互いの間隔が広がる方向へ延びるガイド部が設けられ、
前記ガイド部は、前記挿入の方向に対して傾斜する方向に延びていることを特徴とする
回転体装置。
【請求項3】
回転体と、
前記回転体の軸部材の軸方向への変位を規制するための止め輪とを備えた回転体装置で
あって、
前記止め輪は、前記回転体の軸部材の軸方向に対して直交する方向から
前記軸部材の被装着部を挿入するために
前記止め輪本体の周方向の一部である挿入部が弾性変形により開口拡張可能であり、かつ、前記挿入部から挿入された前記被装着部を
前記止め輪本体の弾性変形復元力により
前記止め輪本体の対向する2つの内周部で挟持
し、
前記止め輪本体には、前記2つの内周部における前記挿入部側の各端部から
前記止め輪
本体の径方向外側に向かってお互いの間隔が広がる方向へ延びるガイド部が設けられ、
前記ガイド部は、前記挿入の方向に対して傾斜する方向に延びて
おり、
前記止め輪が装着される前記被装着部は、前記軸部材に形成された溝であり、
前記止め輪本体は、断面が略円形状を有する線状部材であり、
前記軸部材の軸方向における前記溝の2つの縁のうち、前記軸部材に対して前記軸方向
へ相対移動し得る被接触体が前記止め輪本体と接触する側とは反対側の縁の高さが、前記止め輪本体の半径以上であることを特徴とする回転体装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の
回転体装置において、
前記ガイド部は、前記被装着部への装着時に前記軸部材に接触する部分が曲面形状であ
ることを特徴とする
回転体装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の
回転体装置であって、
前記挿入部とは略反対側に位置する止め輪本体の部分には、取扱部が設けられ、
前記取扱部は、前記2つの内周部を含む仮想面に対して傾斜する方向に延びていること
を特徴とする
回転体装置。
【請求項6】
回転体と、
前記回転体の軸部材の軸方向への変位を規制するための止め輪とを備えた回転体装置で
あって、
前記止め輪は、前記回転体の軸部材の軸方向に対して直交する方向から
前記軸部材の被装着部を挿入するために止め輪本体の周方向の一部である挿入部が弾性変形により開口拡張可能であり、かつ、前記挿入部から挿入された前記被装着部を
前記止め輪本体の弾性変形復元力により
前記止め輪本体の対向する2つの内周部で挟持
し、
前記止め輪は、前記挿入部とは略反対側に位置する
前記止め輪本体の部分には、取扱部が設けられ、前記取扱部は、前記2つの内周部を含む仮想面に対して傾斜する方向に延びて
おり、
前記止め輪が装着される前記被装着部は、前記軸部材に形成された溝であり、
前記止め輪本体は、断面が略円形状を有する線状部材であり、
前記軸部材の軸方向における前記溝の2つの縁のうち、前記軸部材に対して前記軸方向
へ相対移動し得る被接触体が前記止め輪本体と接触する側とは反対側の縁の高さが、前記止め輪本体の半径以上であることを特徴とする回転体装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の
回転体装置において、
前記止め輪本体は、略同一の断面形状を有する金属製の線状部材で構成されていること
を特徴とする
回転体装置。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の回転体装置において、
前記軸部材に対して前記軸方向へ相対移動し得る前記被接触体は、転がり軸受であることを特徴とする回転体装置。
【請求項9】
2つの回転体により形成される定着ニップで画像を記録材上に定着させる定着装置であ
って、
前記回転体を備える回転体装置として、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の回転
体装置を用いることを特徴とする定着装置。
【請求項10】
回転体を備え、記録材上に画像を形成する画像形成装置であって、
前記回転体を備える回転体装置として、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の回転
体装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止め輪、回転体装置、定着装置、画像形成装置、及び、製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転体の軸部材の軸方向に対して直交する方向から該軸部材の被装着部を挿入するために止め輪本体の周方向の一部である挿入部が弾性変形により開口拡張可能であり、かつ、前記挿入部から挿入された前記被装着部を該止め輪本体の弾性変形復元力により該止め輪本体の対向する2つの内周部で挟持する止め輪が知られている。
【0003】
非特許文献1には、円柱状の軸部材の周面に形成された一定深さの溝部(被装着部)に装着される金属製のワイヤからなるスナップリテーナ(止め輪)が記載されている。この止め輪は、止め輪内部に軸部材の溝部を保持するための内部空間が、止め輪本体の対向する2つの内周部によって区画されている。また、この止め輪は、軸部材の軸方向に対して直交する方向から軸部材の溝部を当該内部空間内へ挿入するための開口部(挿入部)を備えている。この開口部は、非装着時(非使用時)において溝部の直径よりも狭く形成されている。前記非特許文献1に開示の止め輪は、軸部材の溝部を止め輪の開口部から挿入する際、止め輪本体を弾性変形させて開口部を拡張させ、止め輪の内部空間に軸部材の溝部が入り込むと、止め輪本体の弾性変形復元力により止め輪本体の2つの内周部によって軸部材の溝部を挟持する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の止め輪は、軸部材の被装着部への装着作業に改善の余地が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明は、回転体と、前記回転体の軸部材の軸方向
への変位を規制するための止め輪とを備えた回転体装置であって、
前記止め輪は、前記回転体の軸部材の軸方向に対して直交する方向から前記軸部材の被装着部を挿入するために前記止め輪本体の周方向の一部である挿入部が弾性変形により開口拡張可能であり、かつ、前記挿入部から挿入された前記被装着部を前記止め輪本体の弾性変形復元力により前記止め輪本体の対向する2つの内周部で挟持し、
前記止め輪は、前記2つの内周部は、非使用時において、前記被装着部の曲率半径と略一致する曲率半径をもち、かつ、お互いの曲率中心がそれぞれ相手側の内周部に近い位置をとり、
前記止め輪が装着される前記被装着部は、前記軸部材に形成された溝であり、
前記止め輪本体は、断面が略円形状を有する線状部材であり、
前記軸部材の軸方向における前記溝の2つの縁のうち、前記軸部材に対して前記軸方向
へ相対移動し得る被接触体が前記止め輪本体と接触する側とは反対側の縁の高さが、前記止め輪本体の半径以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、軸部材の被装着部に対する止め輪の装着作業が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の一例の概略構成図。
【
図2】同画像形成装置のタンデム型画像形成部の構成例を示す説明図。
【
図3】同画像形成装置における定着装置の構成を示す説明図。
【
図4】実施形態における止め輪が装着された定着ローラを定着ローラ軸の径方向から見たときの正面図。
【
図5】同止め輪が装着される定着ローラ軸を径方向から見たときの部分拡大図。
【
図6】(a)は、非装着時における止め輪を示す正面図。(b)は、非装着時における止め輪を示す側面図。
【
図8】実施形態の止め輪の突出部を作業者が指で把持して、止め輪を定着ローラ軸の径方向へ引き抜く様子を示す説明図。
【
図9】(a)は、非装着時において、定着ローラ軸の溝部を挟持する2つの内周部が同溝部の曲率半径よりも小さい曲率半径をもち、かつ、お互いの曲率中心が一致している止め輪の例を示す正面図。(b)は装着時における同止め輪を示す正面図。
【
図10】(a)は、定着ローラ軸の溝部の縁の高さが止め輪本体の半径未満となっている構成例を示す説明図。(b)は、定着ローラ軸の溝部の縁の高さが止め輪本体の半径以上となっている構成例を示す説明図。
【
図11】止め輪が装着された定着ローラ軸及び軸受を、定着ローラ軸の径方向から見たときの部分断面図。
【
図12】(a)は、非装着時における止め輪の寸法例を示す正面図。(b)は、非装着時における止め輪の寸法例を示す側面図。
【
図13】止め輪が装着される定着ローラ軸の寸法例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略構成図である。
本実施形態の画像形成装置1は、装置本体(プリンタ部)100と、その装置本体が載せられた記録材供給部である給紙テーブル200と、装置本体100上に取り付けられた画像読取装置としてのスキャナ300とを備える。更に、本実施形態の画像形成装置1は、スキャナ300の上に取り付けられた原稿自動搬送装置(ADF)400を備える。
【0009】
装置本体100は、その中央に、像担持体である無端状ベルトからなる中間転写体としての中間転写ベルト10が設けられている。中間転写ベルト10は、3つの支持回転体としての支持ローラ14,15,16に掛け渡されており、図中時計回り方向に回転移動する。これら3つの支持ローラのうち、第二支持ローラ15の図中左側には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置17が設けられている。また、3つの支持ローラのうち、第一支持ローラ14と第二支持ローラ15との間に張り渡したベルト部分には、画像形成手段であるタンデム画像形成部20が対向配置されている。
【0010】
タンデム画像形成部20は、
図1に示すように、前記ベルト部分のベルト移動方向に沿ってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成部18Y,18M,18C,18Kを並べて配置した構成になっている。本実施形態においては、第三支持ローラ16を駆動ローラとしている。また、タンデム画像形成部20の上方には、露光手段としての露光装置21が設けられている。
【0011】
中間転写ベルト10を間にしてタンデム画像形成部20の反対側には、第二の転写手段としての二次転写装置22が設けられている。二次転写装置22においては、2つのローラ231,232間に転写シート搬送部材としての無端状ベルトである二次転写ベルト24が掛け渡されている。二次転写ベルト24は、中間転写ベルト10を介して第三支持ローラ16に押し当てられるように設けられている。この二次転写装置22により、中間転写ベルト10上のトナー像が記録材としての転写シートSに転写される。なお、
図1に示すように、二次転写ベルト24の外周面をクリーニングするクリーニング装置170を設けてもよい。
【0012】
二次転写装置22の図中左方には、転写シートS上に転写されたトナー像を定着する定着装置25が設けられている。定着装置25は、加熱される無端状ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27が押し当てられた構成となっている。
【0013】
また、二次転写装置22には、トナー像を中間転写ベルト10から転写シートSに転写した後の転写シートSを定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備わっている。また、二次転写装置22及び定着装置25の下には、タンデム画像形成部20と平行に、転写シートSの両面に画像を記録すべく転写シートSを反転するシート反転装置28が設けられている。
【0014】
前記構成の画像形成装置1を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。その後、操作パネルのスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動する。
【0015】
一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300が駆動され、第一走行体33及び第二走行体34を走行させる。そして、第一走行体33で光源から光を発射するとともに、原稿面からの反射光をさらに反射して第二走行体34に向け、第二走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して画像読取センサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0016】
前記原稿読み取りと並行して、駆動源である駆動モータで駆動ローラ16を回転駆動させる。これにより、中間転写ベルト10が図中時計回り方向に移動するとともに、この移動に伴って残り2つの支持ローラ(従動ローラ)14,15が連れ回り回転する。
【0017】
また、前記原稿読み取り及び中間転写ベルト10の移動と同時に、個々の画像形成部18において像担持体としてのドラム状の感光体40Y,40M,40C,40Kを回転させる。そして、各感光体40Y,40M,40C,40K上に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別情報を用いてそれぞれ露光現像し、単色のトナー像(顕像)を形成する。
【0018】
前記中間転写ベルト10の支持ローラ14,15間のベルト部分を挟んで各感光体40Y,40M,40C,40Kに対向する位置には、一次転写手段としての一次転写ローラからなる一次転写装置62Y,62M,62C,62Kが設けられている。この一次転写装置62Y,62M,62C,62Kにより、各感光体40Y,40M,40C,40K上のトナー画像を中間転写ベルト10上に互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト10上に合成カラートナー像を形成する。
【0019】
前記画像形成動作に並行して、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つから転写シートSを繰り出す。そして、繰り出した転写シートSを、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して装置本体100内の給紙路に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上の転写シートSを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
【0020】
次に、中間転写ベルト10上の合成カラートナー像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写ベルト10と二次転写装置22との間に転写シートSを送り込み、二次転写装置22で転写して転写シートS上にカラートナー像を転写する。
【0021】
トナー像転写後の転写シートSは、二次転写ベルト24で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で定着ベルト26と加圧ローラ27とによって熱と圧力とを加えて転写トナー像を定着する。この定着の後、切換爪55で切り替えて排紙ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り替えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排紙ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0022】
なお、トナー像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、トナー像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【0023】
また、装置本体100は、中間転写ベルト10の外周面に形成されたトナー像の濃度を検知する画像濃度検知手段として、光学センサなどで構成された光学センサユニットであるトナー付着量センサ310を備えている。トナー付着量センサ310は、中間転写ベルト10上のトナー付着量を検知して画像の濃度ムラを検出するために中間転写ベルト10上のトナー像の濃度を検出する画像濃度検出手段として機能し、トナー像検知センサやトナー付着量検知センサとも呼ばれる。トナー付着量センサ310により、画像濃度ムラの補正制御に用いるために中間転写ベルト10の表面に形成される後述の補正制御用のテストパターンのトナー像の濃度を検知する。なお、中間転写ベルト10を間にしてトナー付着量センサ310に対向する位置には、
図1に示すように対向ローラ311を設けてもよい。
【0024】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置1のタンデム型画像形成部の構成例を示す説明図である。
なお、ここでは、K(黒)の画像形成部18Kについて説明するが、Y(イエロー)、M(マゼンタ)及びC(シアン)の各画像形成部18Y,18M,18Cも同様の構成をしている。
【0025】
画像形成部18Kは、例えば、
図2に示すように、ドラム状の感光体40Kの周りに、帯電手段としての帯電装置60K、電位センサ70K、現像手段としての現像装置61K、感光体クリーニング装置63K、除電装置などを備えている。
【0026】
画像形成動作時には、感光体40Kは、像担持体回転駆動手段としての駆動モータによって矢印A方向に回転駆動される。そして、感光体40Kは、その表面が帯電装置60Kによって一様帯電された後、前述のスキャナ300からの原稿等の画像信号に基づいて制御された露光装置21からの書込露光Lによって露光され、静電潜像が形成される。スキャナ300からの画像データに基づくカラー画像信号は、画像処理部で色変換処理などの画像処理が施され、K、Y、M、Cの各色の画像信号として露光装置21へ出力される。露光装置21は、画像処理部からのKの画像信号を光信号に変換し、この光信号に基づいて一様に帯電された感光体40Kの表面を走査して露光することで静電潜像を形成する。
【0027】
現像装置61Kの現像剤担持体としての現像ローラ61Kaには現像バイアスが印加されており、感光体40K上の静電潜像と、現像ローラ61Kaとの間に電位差である現像ポテンシャルが形成されている。この現像ポテンシャルにより現像ローラ61Ka上のトナーが現像ローラ61Kaから感光体40Kの静電潜像に転移することで、静電潜像が現像されてトナー像が形成される。また、現像装置61K内の現像剤搬送スクリュー61Kbが配設されている現像剤搬送部の底面部には、現像剤中のトナー濃度を検知することができるトナー濃度センサ312Kが設けられている。
【0028】
感光体40K上に形成されたKトナー像は、一次転写装置62Kによって中間転写ベルト10上に一次転写される。感光体40Kは、トナー像転写後に感光体クリーニング装置63Kによって残留トナーがクリーニングされ、除電装置により除電されて次の画像形成に備えられる。同様にして、画像形成部18Y,18M,18Cは、ドラム状の感光体40Y,40M,40Cの周りに、帯電装置、電位センサ、現像装置、感光体クリーニング装置、除電装置などを備えている。そして、感光体40Y,40M,40CにY、M、Cのトナー像を形成し、これらは中間転写ベルト10上に重ね合わせて一次転写される。
【0029】
前記構成の画像形成装置1において、露光装置21及び帯電装置60Y,60M,60C,60Kは、感光体40Y,40M,40C,40Kの表面に静電潜像を形成する潜像形成手段として機能する。また、露光装置21、帯電装置60Y,60M,60C,60K及び現像装置61Y,61M,61C,61Kは、感光体40Y,40M,40C,40Kの表面にトナー像を形成するトナー像形成手段として機能する。
【0030】
また、本実施形態の画像形成装置1は、感光体40Kの回転位置を検知できる回転位置検知手段としてのフォトインタラプタ71Kと、現像ローラ61Kaの回転位置を検出できる回転位置検出手段としてのフォトインタラプタ72Kとを備えている。フォトインタラプタ71K及びフォトインタラプタ72Kはそれぞれ、回転体である感光体40K及び現像ローラ61Kaの回転位置を光学的に検出するものである。このフォトインタラプタは、例えば、発光素子と受光素子とが互いに対向して配置されており、その間を、回転体の回転移動部に設けられた回転位置検出フィラーなどの被検出部が通過し光をさえぎることにより、回転体の回転位置を検出するものである。例えば、感光体40Kと一体で回転する回転位置検出フィラーの周囲に1か所の切れ込みを形成しておけば、感光体40Kが回転すると1周に1回ずつ光が受光部に届くため、感光体40Kの回転位置を検出することができる。なお、回転体である感光体40K及び現像ローラ61Kaの回転位置を検出する回転位置検出手段は、フォトインタラプタ以外のものを用いてもよい。
【0031】
図3は、本実施形態に係る画像形成装置1における定着装置の構成を示す説明図である。
本実施形態の定着装置25は、駆動回転体である定着ローラ26Aと従動回転体である加熱ローラ26Bとに掛け渡された定着ベルト26に、加圧回転体である加圧ローラ27が押し当てられた構成となっている。定着ベルト26は、定着フレームに固定された加熱ローラ引張りばねによって一定のテンションで架け渡されている。定着ベルトを挟んで定着ローラ26Aに加圧ローラ27が圧接されて定着ニップ部が形成される。定着ニップ部の転写シートSの排出側には、定着分離部材、加圧分離部材を備えていてもよい。
【0032】
定着ベルト26は、断面構造としては、例えば、ポリイミドなどの基材にシリコンゴム層などの弾性層を形成した2層構造のものを好適に使用できる。また、定着ローラ26Aには、例えば、金属の芯金にシリコンゴムを有したものを用いることができる。このシリコンゴムとしては、ウォームアップ時間の短縮を図るため、定着ベルト26の熱を吸収しにくいように、発泡のシリコンゴムを用いてもよい。加熱ローラ26Bには、例えば、ハロゲンヒータを用いた加熱手段により加熱されるものを用いることができる。
【0033】
加圧ローラ27には、例えば、アルミニウム又は鉄等の芯金の上にシリコンゴム等の弾性層が設けられた円筒形状のローラを用いることができる。加圧ローラ27は、加圧脱圧手段によって定着ベルト26側へ移動させて定着ニップを形成する状態と、定着ベルト26から離す方向に移動させて脱圧する状態とに切り替えることができる。
【0034】
定着装置25を稼働させる場合、例えば、定着ローラ26Aを
図3中時計回り方向に回転駆動させることにより定着ベルト26を回転させ、定着ベルト26に圧接している加圧ローラを連れ回り回転させる。駆動されるローラは、定着ローラ26Aに限らず、加熱ローラ26Bや加圧ローラ27であってもよい。
【0035】
定着装置25では、定着ベルト26及び加圧ローラ27が回転されている状態で、定着ベルト26の表面が加熱ローラ26Bにより所定の温度まで加熱される。そして、未定着トナーを担持した転写シートSが定着ニップ部を通過する際に、定着ニップ部における加圧及び加熱の作用により未定着トナーが転写シートS上に熱融着されて定着がなされる。その後、トナーが定着された転写シートSは定着ニップ部を通過するが、このときに転写シートSが定着ベルト26に巻き付いたまま出てくる場合には、分離爪などの定着分離部材により分離される。また、加圧ローラ27側に巻き付いて転写シートSが出てくる場合には、加圧分離爪などの加圧分離部材により分離される。
【0036】
次に、本発明の特徴部分である止め輪の実施形態について説明する。
本実施形態においては、定着装置25の定着ローラ26Aの軸部材に装着される止め輪を例に挙げて説明するが、定着装置25における他のローラ26B,27の軸部材に装着される止め輪にも同様に適用することができる。また、画像形成装置1の定着装置以外の回転体装置における回転体、例えば、感光体、中間転写ベルト10の支持ローラ14,15,16、二次転写ベルト24を支持するローラ231,232、給紙ローラ42,50、分離ローラ45,52、搬送ローラ47、レジストローラ49、排紙ローラ56、現像ローラなどの軸部材に装着される止め輪にも、また、給紙テーブル200、スキャナ300、ADF400における回転体の軸部材に装着される止め輪にも、適用することができる。また、画像形成装置以外の装置における回転体装置の回転体の軸部材に装着される止め輪にも、適用することができる。
【0037】
図4は、本実施形態における止め輪が装着された定着ローラ26Aを定着ローラ軸81の軸方向に対して直交する径方向から見たときの正面図である。
本実施形態における定着ローラ26Aの軸部材である定着ローラ軸81の両端は、それぞれ、定着装置25の定着フレーム25aに取り付けられている軸受82によって支持されている。各軸受82は、定着フレーム25aの軸方向外側面に接触するフランジ部82aをそれぞれ有し、このフランジ部82aが接触するように定着フレーム25aに取り付けられることで、各軸受82が定着ローラ軸81の軸方向内側へ変位することが規制される。また、この軸受82に支持される定着ローラ軸81には、各軸受82の軸方向外側面に接触するように各止め輪80が定着ローラ軸81に装着される。これにより、定着ローラ軸81は、止め輪80及び軸受82のフランジ部82aを介して定着フレーム25aに対して軸方向への変位が規制された状態になる。
【0038】
図5は、止め輪80が装着される定着ローラ軸81を径方向から見たときの部分拡大図である。
止め輪80が装着される定着ローラ軸81は、
図5に示すように、円柱状又は円筒状の部材であり、止め輪80が装着される被装着部が溝形状となっている。すなわち、本実施形態の止め輪80は、定着ローラ軸81の周面に形成された溝部81aに入り込むように装着される。
【0039】
図6(a)は、定着ローラ軸81に装着されていない非装着時における止め輪80を示す正面図であり、
図6(b)は、非装着時における止め輪80を示す側面図である。
図7は、定着ローラ軸81に装着された装着時における止め輪80を示す正面図である。
【0040】
本実施形態の止め輪80は、止め輪内部に定着ローラ軸81の溝部81aを保持するための内部空間が、止め輪本体の互いに対向する2つの内周部80a1,80a2によって区画されている。また、本実施形態の止め輪80には、定着ローラ軸81の径方向から定着ローラ軸81の溝部81aを当該内部空間内へ挿入するための挿入部である開口部80bが形成されている。この開口部80bは、非装着時(非使用時)において、溝部81aの直径よりも狭く形成されている。
【0041】
本実施形態の止め輪80は、定着ローラ軸81の溝部81aが止め輪80の開口部80bから挿入される際、止め輪本体を弾性変形させて開口部80bを拡張させることで、止め輪80の内部空間に定着ローラ軸81の溝部81aが入り込む。そして、止め輪80の内部空間に入り込んだ定着ローラ軸81の溝部81aは、
図7に示すように、止め輪本体の弾性変形復元力Fにより、止め輪本体の2つの内周部80a1,80a2によって定着ローラ軸81の溝部81aを挟持する。
【0042】
ここで、定着ローラ26Aに使用される止め輪としては、従来、金属製のプレス成型品が広く用いられている。このようなプレス成型品の止め輪は、定着ローラ26Aのスラスト荷重に対する軸方向への変位規制については十分な強度を持ち、止め輪80の保持性(定着ローラ軸81からの外れにくさ)が高い。しかしながら、プレス成型品の止め輪は、弾性変形復元力が大きいため、このような止め輪を定着ローラ軸81に装着するにあたっては、止め輪本体を弾性変形させて開口部を拡張させるために専用のプライヤを用いる必要があった。
【0043】
しかも、専用のプライヤを用いて開口部を拡張させた状態を維持しつつ止め輪80を定着ローラ軸81に装着するためには、定着ローラ軸81の軸方向側から止め輪を定着ローラ軸81に装着する必要がある。そのため、定着ローラ軸81の周辺部品と干渉して装着作業が困難となる場合があった。その結果、定着ローラ26Aの定期交換などのメンテナンス作業などが困難となる場合があった。
【0044】
これに対し、本実施形態の止め輪80は、止め輪本体が線状部材(線材)を加工して形成したもので、止め輪本体の弾性変形復元力は、プレス成型品の止め輪と比べて小さいものである。このような止め輪80であれば、止め輪80を定着ローラ軸81に装着するにあたっては、専用のプライヤを用いなくても、止め輪本体を弾性変形させて開口部を拡張させることが容易である。具体的には、止め輪80の開口部80bを定着ローラ軸81の溝部81aに当てて止め輪80を押し込むことで、定着ローラ軸81の溝部81aの周面(底面)に沿って開口部80bが拡張されていき、止め輪80の内部空間に定着ローラ軸81の溝部81aを入り込ませることができる。
【0045】
特に、本実施形態の止め輪80は、2つの内周部80a1,80a2における開口部80b側の各端部から止め輪本体の径方向外側に向かってお互いの間隔が広がる方向へ延びるガイド部80cが設けられている。このようなガイド部80cを設けたことで、止め輪80の開口部80bを定着ローラ軸81の溝部81aに当てて止め輪80を押し込む際、ガイド部80cが定着ローラ軸81の溝部81aの周面(底面)に沿って摺動するときに、その押し込み力が開口部80bの拡張力へと無理なく変換される。これにより、止め輪80を、よりスムーズに定着ローラ軸81の径方向から定着ローラ軸81の溝部81aへと装着することができる。
【0046】
また、本実施形態のガイド部80cは、
図6(a)に示すように、定着ローラ軸81の溝部81aへの装着時に定着ローラ軸81に接触する部分が曲面形状(R形状)となっている。これにより、よりスムーズに止め輪80を定着ローラ軸81の溝部81aへと装着することができる。また、この部分がエッジ等の角部になっていると、装着時あるいは取り外し時において、定着ローラ軸81(特に溝部81aの縁など)を傷つけやすいという不具合が発生するおそれがある。本実施形態のように曲面形状であれば、着脱を繰り返したとしても、定着ローラ軸81が傷つきにくく、傷による不具合が発生しにくい。
【0047】
また、本実施形態の止め輪80は、開口部80bから定着ローラ軸81の溝部81aが抜き出るように定着ローラ軸81の径方向へ引き抜くことで、定着ローラ軸81の溝部81aから取り外すことができる。このとき、本実施形態の止め輪80は、開口部80bとは反対側に位置する止め輪本体の部分に突出部80dが設けられている。このような突出部80dを備えることで、スラスト荷重が加わったときに軸方向へ変位しようとする軸受82を突出部80dで確実に引っ掛けて当該変位を規制することができる。
【0048】
また、このような突出部80dは、取扱部として機能し、
図8に示すように、作業者が指で突出部80dを把持して、止め輪80を定着ローラ軸81の径方向へ簡単に引き抜くことができる。なお、ラジオペンチなどの一般的な工具を使って、突出部80dを把持したり引っ掛けたりして、止め輪80を定着ローラ軸81の径方向へ引き抜いてもよい。
【0049】
本実施形態の止め輪80は、例えば、ステンレス鋼線のSUS304-WPB(φ1.2)を加工して作製することができる。止め輪80の止め輪本体(線材)の材質としては、これに限らず、SW-C、SWP-Bなどの鋼線などの他の材料のものも使用することができ、メッキ鋼線であっても良い。また、本実施形態の止め輪80は、定着装置25の定着ローラ軸81に装着される用途で使用されるため、高温環境下での使用を想定している関係で、耐熱性を有する金属製のものを例示しているが、用途によっては樹脂製などの他の材質のものであってもよい。
【0050】
また、本実施形態の止め輪80は、上述したように定着ローラ軸81の径方向から押し込むようにして装着でき、かつ、装着時には2つの内周部80a1,80a2によって十分な挟持力が得られるような弾性変形復元力を実現できるものである。このような止め輪80の製造方法としては、線状部材を曲げ加工等して作製する方法が簡易で安価な製造方法を提供できるが、これに限らず、止め輪本体の材質などに応じて製造方法は適宜選定される。したがって、本実施形態と同様の弾性変形復元力を実現できるのであれば、例えば、プレス成型によって止め輪を作製してもよい。
【0051】
また、本実施形態の止め輪80は、
図6(a)に示すように、止め輪本体の2つの内周部80a1,80a2が、非装着時(非使用時)において、定着ローラ軸81の溝部81aの曲率半径rと略一致する曲率半径r1,r2をもち、かつ、お互いの曲率中心O1,O2がそれぞれ相手側の内周部80a2,80a1に近い位置をとっている。
【0052】
仮に、
図9(a)に示すように、非装着時(非使用時)において、定着ローラ軸81の溝部81aを挟持する2つの内周部80a1’,80a2’が、溝部81aの曲率半径rよりも小さい曲率半径r1’,r2’をもち、かつ、お互いの曲率中心O1’,O2’が一致しているような止め輪80’であると、以下の不具合が生じる。
【0053】
すなわち、このような形状の止め輪80’の場合、止め輪80’が定着ローラ軸81の溝部81aに装着されたとき、
図9(b)に示すように、止め輪本体の各内周部80a1’,80a2’のそれぞれ2箇所で溝部81aに当接するようになる。この場合、各内周部80a1’,80a2’の残りの箇所では、
図9(b)の符号Eで示すように、溝部81aから浮いた状態になる。このような装着状態では、止め輪80’が定着ローラ軸81の溝部81aに正常に装着されたときのセット感が不十分となり、作業者が止め輪80’を装着したときに止め輪80’が定着ローラ軸81の溝部81aに正常に装着されたのかどうかをはっきりと確認することができず、止め輪80’が正常に装着されない事態が起きやすい。
【0054】
これに対し、本実施形態の止め輪80のような形状であれば、止め輪80が定着ローラ軸81の溝部81aに装着されたとき、止め輪本体の各内周部80a1,80a2の曲面が定着ローラ軸81の溝部81aの曲面に沿って当接する。そのため、
図7に示すように、溝部81aからの浮きを少ない状態とすることができ、止め輪80が定着ローラ軸81の溝部81aに正常に装着されたときの十分なセット感が得られる。その結果、作業者は、止め輪80を装着したときに止め輪80が定着ローラ軸81の溝部81aに正常に装着されたのかどうかをはっきりと確認しやすく、止め輪80が正常に装着されない事態が起きにくい。
【0055】
加えて、
図9に示した止め輪80’のように、各内周部80a1’,80a2’が溝部81aから浮いた状態になっていると、その浮いた部分が溝部81aの縁81b1(
図5参照)に対して斜めに当たって溝部81aの外に飛び出した状態となる。このような状態だと、スラスト荷重により軸受82から軸方向へ押される力を受けたとき、その斜めに当たっている部分が溝部81aの縁81b1に沿って摺動して、溝部81aに入り込んでいる止め輪本体の部分が縁81b1に乗り上げてしまい、止め輪80’が溝部81aから外れてしまうおそれがある。
【0056】
特に、本実施形態では、
図4に示すように、定着ローラ軸81への駆動伝達機構として、静音性を高めるためにハス歯ギヤ83を用いている。この場合、駆動トルクとハス歯の向きとの関係で、定着ローラ軸81には比較的大きなスラスト荷重が作用する。そのため、止め輪80’には比較的大きな軸方向の力が加わるため、止め輪80’は溝部81aから外れやすい。
【0057】
本実施形態の止め輪80のように、各内周部80a1,80a2の浮きが少ない場合には、溝部81aの縁81b1に対して斜めに当たるような状態にはならない。そのため、スラスト荷重により軸受82から軸方向へ押される力を受けても、溝部81aに入り込んでいる止め輪本体の部分が縁81b1に乗り上げにくく、止め輪80が溝部81aから外れにくい。
【0058】
また、本実施形態の止め輪80は、
図5に示すように、定着ローラ軸81の軸方向における溝部81aの2つの縁81b1,81b2のうち、被接触体である軸受82が止め輪本体と接触する側の縁81b2とは反対側の縁81b1の高さ(溝部81aの底面から縁81b1までの高さ)Hが、止め輪本体の半径R以上となっている。このような構成により、止め輪80がスラスト荷重により軸受82から軸方向へ押される力を受けても、溝部81aに入り込んでいる止め輪本体の部分が縁81b1に乗り上げにくく、止め輪80が溝部81aから外れにくい。その理由は以下のとおりである。
【0059】
図10(a)は、定着ローラ軸81の溝部81aの縁81b1の高さH’が止め輪本体の半径R未満となっている構成例を示す説明図である。
図10(a)に示す構成だと、定着ローラ軸81の溝部81aに入り込んでいる止め輪80の半分の高さよりも下側の周面に縁81b1が当接することになる。この場合、止め輪80がスラスト荷重により軸受82から軸方向へ押される力fを受けたとき、止め輪80は、
図10(a)に示すように、定着ローラ軸81の溝部81aの縁81b1から、径方向成分f1v’を含む力f1’を受けることになる。この径方向成分f1v’は、止め輪80が溝部81aから出る向きの力であることから、溝部81aに入り込んでいる止め輪本体の部分が縁81b1に乗り上げやすく、止め輪80が溝部81aから外れるおそれがある。
【0060】
図10(b)は、定着ローラ軸81の溝部81aの縁81b1の高さHが止め輪本体の半径R以上となっている構成例を示す説明図である。
図10(b)に示す構成だと、縁81b1が、定着ローラ軸81の溝部81aに入り込んでいる止め輪80の半分の高さ以上の位置に位置することになる。この場合、
図10(b)に示すように、定着ローラ軸81の溝部81aに入り込んでいる止め輪80は、溝部81aの内側壁面に当接することになる。その結果、止め輪80がスラスト荷重により軸受82から軸方向へ押される力fを受けたとき、止め輪80は、
図10(b)に示すように、定着ローラ軸81の溝部81aの縁81b1からは力を受けず、溝部81aの内側壁面から径方向成分f1v’を含まない力f1を受けることになる。したがって、止め輪80は、溝部81aから出る向きの力f1v’を受けないことから、溝部81aに入り込んでいる止め輪本体の部分が縁81b1に乗り上げにくく、止め輪80が溝部81aから外れにくい。
【0061】
また、本実施形態の止め輪80は、
図6(b)に示すように、止め輪本体に設けられる突出部80dが、止め輪本体の2つの内周部80a1,80a2を含む仮想面(
図6(a)及び
図7の紙面に平行な面)に対して傾斜する方向に延びている。このような形状であることで、
図11に示すように、止め輪80が定着ローラ軸81に装着されたとき、突出部80dが軸受82から逃げる方向へ突出し、突出部80dと軸受82との間に隙間ができる。これにより、止め輪80の挿脱時に、作業者が指やラジオペンチなどの一般的な工具で突出部80dを押し込んだり把持して引き抜いたりする取り扱いが容易になる。
【0062】
更に、本実施形態の軸受82は、内輪と外輪を備えた転がり軸受である玉軸受であり、内輪が定着ローラ軸81に取り付けられ、外輪が定着フレーム25aに取り付けられる。この場合、軸受82の内輪と定着ローラ軸81に装着された止め輪80とが一体回転することから、止め輪80は軸受82の外輪に対しては相対的に回転することになる。そのため、仮に、止め輪本体に設けられる突出部80dが傾斜しない形状であると、止め輪80が定着ローラ軸81に装着されたときに、突出部80dと軸受82とが接触し、定着ローラの回転駆動時に、止め輪80と軸受82の外輪とが摺動し得る。このような摺動が起きると、異音の発生、回転負荷の増大、止め輪80や軸受82の損傷などの不具合を引き起こす。
【0063】
これに対し、本実施形態の止め輪80は、
図11に示すように、定着ローラ軸81に装着されたときに突出部80dと軸受82の外輪との間に隙間ができ、両者が接触しない。そのため、定着ローラの回転駆動時に止め輪80の突出部80dと軸受82の外輪とが摺動することがなく、摺動による不具合を解決することができる。
【0064】
また、本実施形態のガイド部80cも、
図6(b)に示すように、止め輪本体の2つの内周部80a1,80a2を含む仮想面(
図6(a)及び
図7の紙面に平行な面)に対して傾斜する方向に延びている。このような形状であることで、止め輪80の開口部80bに定着ローラ軸81の溝部81aが挿入される際、その挿入の方向に対してガイド部80cが傾斜する方向に延びるものとなる。これにより、定着ローラ軸81の溝部81aに対して止め輪80の開口部80bが軸方向にズレている状態で挿入されても、止め輪80の押し込みによりガイド部80cが溝部81aの縁に当たりながら摺動し、当該ズレが是正され、開口部80bに定着ローラ軸81の溝部81aが挿入されるようになる。そのため、止め輪80の装着作業が容易になる。
【0065】
更に、ガイド部80cがこのように傾斜する方向に延びていることで、上述した突出部80dと同様、
図11に示すように、定着ローラ軸81に装着されたときにガイド部80cと軸受82の外輪との間に隙間ができ、両者が接触しない。そのため、定着ローラの回転駆動時に止め輪80と軸受82の外輪とが摺動することがなく、異音の発生、回転負荷の増大、止め輪80や軸受82の損傷などの不具合を解決することができる。
【0066】
以下、本実施形態における止め輪80及び定着ローラ軸81の寸法の一例を、
図12(a)及び(b)並びに
図13に示す。なお、この寸法に限られないことは言うまでもない。
止め輪80は、直径1mmの金属製ワイヤを曲げ加工したもので、
図12(a)に示すように、非装着時において、2つの内周部80a1,80a2の曲率半径r1,r2がいずれも9.5mmであり、お互いの曲率中心O1,O2は、止め輪80の中心位置よりもそれぞれ1mmずつ相手側の内周部80a2,80a1に近い位置をとっている。また、開口部80bの大きさは、非装着時において、7mmである。また、各ガイド部80cは、非装着時において、平面視で、止め輪80の対称軸Dに対して45°の角度をもって止め輪本体の径方向外側に向かってお互いの間隔が広がるように延びている。また、突出部80dは、略矩形状となるように形成され、対称軸Dに対して直交する横方向の内側寸法が5mmである。
【0067】
また、止め輪本体の2つの内周部80a1,80a2を含む仮想面(
図6(a)及び
図7の紙面に平行な面)に対して傾斜する方向に延びているガイド部80c及び突出部80dは、
図12(b)に示すように、当該仮想面からの突出量が2.5mmである。
【0068】
また、止め輪80が装着される定着ローラ軸81は、直径が20mmの円柱状部材であり、溝部81aの直径が19mm(溝部81aの半径r=9.5mm)である。
【0069】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する
[第1態様]
第1態様は、回転体(例えば定着ローラ26A)の軸部材(例えば定着ローラ軸81)の軸方向に対して直交する方向(例えば径方向)から該軸部材の被装着部(例えば溝部81a)を挿入するために止め輪本体の周方向の一部である挿入部(例えば開口部80b)が弾性変形により開口拡張可能であり、かつ、前記挿入部から挿入された前記被装着部を該止め輪本体の弾性変形復元力により該止め輪本体の対向する2つの内周部80a1,80a2で挟持する止め輪80であって、前記2つの内周部は、非使用時(例えば非装着時)において、前記被装着部の曲率半径rと略一致する曲率半径r1,r2をもち、かつ、お互いの曲率中心O1,O2がそれぞれ相手側の内周部に近い位置をとることを特徴とするものである。
従来の止め輪は、非使用時において、軸部材の被装着部を挟持する2つの内周部が、被装着部の曲率半径よりも小さく、かつ、お互いの曲率中心が一致する形状となっている。このような形状では、止め輪が軸部材の被装着部に装着されたとき、止め輪本体の各内周部のそれぞれ2箇所が軸部材の被装着部に当接し、残りの箇所は被装着部から浮いた状態になる。このような装着状態では、止め輪が軸部材の被装着部に正常に装着されたときのセット感が不十分となり、作業者が止め輪を軸部材の被装着部に正常に装着しない事態が起きやすい。
本態様においては、非使用時において、2つの内周部が、被装着部の曲率半径と略一致する曲率半径をもち、かつ、お互いの曲率中心がそれぞれ相手側の内周部に近い位置をとる。このような形状であれば、止め輪が軸部材の被装着部に装着されたとき、止め輪本体の各内周部の曲面が軸部材の被装着部の曲面に沿って当接するので、被装着部からの浮きを少ない状態とすることができる。その結果、止め輪が軸部材の被装着部に正常に装着されたときの十分なセット感が得られ、作業者が止め輪を軸部材の被装着部に正常に装着しない事態が起きにくくなる。
【0070】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記止め輪本体には、前記2つの内周部における前記挿入部側の各端部から該止め輪本体の径方向外側に向かってお互いの間隔が広がる方向へ延びるガイド部80c,80cが設けられ、前記ガイド部は、前記挿入の方向に対して傾斜する方向に延びていることを特徴とするものである。
本態様によれば、止め輪の装着部に軸部材の被装着部が挿入される際、軸部材の被装着部に対して止め輪の挿入部が軸方向にズレている状態で挿入されても、止め輪の押し込みによりガイド部が被装着部と接触して当該ズレが是正されるようにガイドされ、挿入部に軸部材の被装着部が挿入されるようになる。そのため、止め輪の装着作業が容易になる。
【0071】
[第3態様]
第3態様は、回転体(例えば定着ローラ26A)の軸部材(例えば定着ローラ軸81)の軸方向に対して直交する方向(例えば径方向)から該軸部材の被装着部(例えば溝部81a)を挿入するために止め輪本体の周方向の一部である挿入部(例えば開口部80b)が弾性変形により開口拡張可能であり、かつ、前記挿入部から挿入された前記被装着部を該止め輪本体の弾性変形復元力により該止め輪本体の対向する2つの内周部80a1,80a2で挟持する止め輪80であって、前記止め輪本体には、前記2つの内周部における前記挿入部側の各端部から該止め輪本体の径方向外側に向かってお互いの間隔が広がる方向へ延びるガイド部80c,80cが設けられ、前記ガイド部は、前記挿入の方向に対して傾斜する方向に延びていることを特徴とするものである。
本態様によれば、止め輪の装着部に軸部材の被装着部が挿入される際、軸部材の被装着部に対して止め輪の挿入部が軸方向にズレている状態で挿入されても、止め輪の押し込みによりガイド部が被装着部と接触して当該ズレが是正されるようにガイドされ、挿入部に軸部材の被装着部が挿入されるようになる。そのため、止め輪の装着作業が容易になる。
【0072】
[第4態様]
第4態様は、第2又は第3態様において、前記ガイド部は、前記被装着部への装着時に前記軸部材に接触する部分が曲面形状であることを特徴とするものである。
本態様によれば、よりスムーズに止め輪を軸部材の被装着部へと装着することができる。また、当該部分がエッジ等の角部になっていると、装着時あるいは取り外し時において、軸部材を傷つけやすいという不具合が発生するおそれがある。当該部分が曲面形状である本態様によれば、着脱を繰り返したとしても、軸部材が傷つきにくく、傷による不具合が発生しにくい。
【0073】
[第5態様]
第5態様は、第1乃至第4態様のいずれかにおいて、前記挿入部とは略反対側に位置する止め輪本体の部分には、取扱部(突出部80d)が設けられ、前記取扱部は、前記2つの内周部を含む仮想面に対して傾斜する方向に延びていることを特徴とするものである。
本態様によれば、止め輪が軸部材に装着されたとき、取扱部が被接触部から逃げる方向へ突出することができ、取扱部と被接触部との間に隙間ができる。これにより、止め輪の挿脱時に、作業者が指やラジオペンチなどの一般的な工具で取扱部を押し込んだり把持して引き抜いたりする取り扱いが容易になる。
【0074】
[第6態様]
第6態様は、回転体(例えば定着ローラ26A)の軸部材(例えば定着ローラ軸81)の軸方向に対して直交する方向(例えば径方向)から該軸部材の被装着部(例えば溝部81a)を挿入するために止め輪本体の周方向の一部である挿入部(例えば開口部80b)が弾性変形により開口拡張可能であり、かつ、前記挿入部から挿入された前記被装着部を該止め輪本体の弾性変形復元力により該止め輪本体の対向する2つの内周部80a1,80a2で挟持する止め輪80であって、前記挿入部とは略反対側に位置する止め輪本体の部分には、取扱部(突出部80d)が設けられ、前記取扱部は、前記2つの内周部を含む仮想面に対して傾斜する方向に延びていることを特徴とするものである。
本態様によれば、止め輪が軸部材に装着されたとき、取扱部が被接触部から逃げる方向へ突出することができ、取扱部と被接触部との間に隙間ができる。これにより、止め輪の挿脱時に、作業者が指やラジオペンチなどの一般的な工具で取扱部を押し込んだり把持して引き抜いたりする取り扱いが容易になる。
【0075】
[第7態様]
第7態様は、第1乃至第6態様のいずれかにおいて、前記止め輪本体は、略同一の断面形状を有する金属製の線状部材(例えばワイヤ)で構成されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、軸部材の径方向から押し込むようにして装着でき、かつ、装着時には2つの内周部によって十分な挟持力が得られるような弾性変形復元力を実現できる止め輪を提供できる。
【0076】
[第8態様]
第8態様は、回転体(例えば定着ローラ26A)と、前記回転体の軸部材(例えば定着ローラ軸81)の軸方向への変位を規制するための止め輪80とを備えた回転体装置であって、前記止め輪として、第1乃至第7態様のいずれかの止め輪を用いることを特徴とするものである。
本態様によれば、軸部材の被装着部に対する止め輪の装着作業が改善された回転体装置を実現することができる。
【0077】
[第9態様]
第9態様は、第8態様において、前記止め輪が装着される被装着部は、前記軸部材に形成された溝(例えば溝部81a)であることを特徴とするものである。
本態様によれば、止め輪の挟持力が比較的弱くても、止め輪によってスラスト荷重に対する軸方向への変位を規制する十分な強度を実現できる。
【0078】
[第10態様]
第10態様は、第9態様において、前記止め輪本体は、断面が略円形状を有する線状部材(例えばワイヤ)であり、前記軸部材の軸方向における前記溝の2つの縁81b1,81b2のうち、前記軸部材に対して該軸方向へ相対移動し得る被接触体(例えば軸受82)が前記止め輪本体と接触する側とは反対側の縁81b1の高さHが、該止め輪本体の半径R以上であることを特徴とするものである。
本態様によれば、上述したとおり、止め輪がスラスト荷重により被接触体から軸方向へ押される力を受けても、軸部材の溝に入り込んでいる止め輪本体の部分が当該縁に乗り上げにくく、止め輪が溝から外れにくい。
【0079】
[第11態様]
第11態様は、第8乃至第10態様のいずれかにおいて、前記軸部材に対して該軸方向へ相対移動し得る被接触体は、転がり軸受(例えば玉軸受)であり、前記止め輪として、第5又は第6態様の止め輪を用いることを特徴とするものである。
これによれば、止め輪が軸部材に装着されたときに、止め輪の取扱部と転がり軸受の外輪との間に隙間ができ、両者が接触しないようにすることができる。これにより、回転体の回転駆動時に止め輪の取扱部と軸受の外輪とが摺動することがなく、異音の発生、回転負荷の増大、止め輪や転がり軸受の損傷などの不具合を解決することができる。
【0080】
[第12態様]
第12態様は、2つの回転体により形成される定着ニップで画像を記録材上に定着させる定着装置25であって、前記回転体を備える回転体装置として、第8乃至第11態様のいずれかの回転体装置を用いることを特徴とするものである。
本態様によれば、軸部材の被装着部に対する止め輪の装着作業が改善された定着装置を実現することができる。
【0081】
[第13態様]
第13態様は、回転体を備え、記録材上に画像を形成する画像形成装置1であって、前記回転体を備える回転体装置として、第8乃至第11態様のいずれかの回転体装置を用いることを特徴とするものである。
本態様によれば、軸部材の被装着部に対する止め輪の装着作業が改善された画像形成装置を実現することができる。
【0082】
[第14態様]
第14態様は、回転体の軸部材の軸方向に対して直交する方向から該軸部材の被装着部を挿入するために止め輪本体の周方向の一部である挿入部が弾性変形により開口拡張可能であり、かつ、前記挿入部から挿入された前記被装着部を該止め輪本体の弾性変形復元力により該止め輪本体の対向する2つの内周部で挟持する止め輪を、線状部材を加工することによって製造する製造方法であって、前記2つの内周部が、非使用時において、前記被装着部の曲率半径と略一致する曲率半径をもち、かつ、お互いの曲率中心がそれぞれ相手側の内周部に近い位置をとるように、前記線状部材を加工することを特徴とするものである。
本態様によれば、作業者が止め輪を軸部材の被装着部に正常に装着しない事態が起きにくい止め輪を簡易に作製することができる。
【0083】
[第15態様]
第15態様は、回転体の軸部材の軸方向に対して直交する方向から該軸部材の被装着部を挿入するために止め輪本体の周方向の一部である挿入部が弾性変形により開口拡張可能であり、かつ、前記挿入部から挿入された前記被装着部を該止め輪本体の弾性変形復元力により該止め輪本体の対向する2つの内周部で挟持する止め輪を、線状部材を加工することによって製造する製造方法であって、前記線状部材の加工の際に、前記止め輪本体に、前記2つの内周部における前記挿入部側の各端部から該止め輪本体の径方向外側に向かってお互いの間隔が広がる方向へ延び、かつ、前記挿入の方向に対して傾斜する方向に延びるガイド部を形成することを特徴とするものである。
本態様によれば、作業者が止め輪を軸部材の被装着部に装着する装着作業が容易な止め輪を簡易に作製することができる。
【0084】
[第16態様]
第16態様は、回転体の軸部材の軸方向に対して直交する方向から該軸部材の被装着部を挿入するために止め輪本体の周方向の一部である挿入部が弾性変形により開口拡張可能であり、かつ、前記挿入部から挿入された前記被装着部を該止め輪本体の弾性変形復元力により該止め輪本体の対向する2つの内周部で挟持する止め輪を、線状部材を加工することによって製造する製造方法であって、前記線状部材の加工の際に、前記挿入部とは略反対側に位置する止め輪本体の部分に、前記2つの内周部を含む仮想面に対して傾斜する方向に延びる取扱部を形成することを特徴とするものである。
本態様によれば、止め輪の挿脱時に、作業者が指やラジオペンチなどの一般的な工具で取扱部を押し込んだり把持して引き抜いたりする取り扱いが容易な止め輪を簡易に作製することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 :画像形成装置
10 :中間転写ベルト
18 :画像形成部
20 :タンデム画像形成部
21 :露光装置
22 :二次転写装置
24 :二次転写ベルト
25 :定着装置
25a :定着フレーム
26 :定着ベルト
26A :定着ローラ
26B :加熱ローラ
27 :加圧ローラ
40 :感光体
60 :帯電装置
61 :現像装置
62 :一次転写装置
80,80’:止め輪
80a1,80a1’,80a2,80a2’:内周部
80b :開口部
80c :ガイド部
80d :突出部
81 :定着ローラ軸
81a :溝部
81b1,81b2:縁
82 :軸受
82a :フランジ部
83 :ハス歯ギヤ
100 :装置本体
300 :スキャナ
400 :原稿自動搬送装置(ADF)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【文献】スナップリテーナ(だるまピン)、[online]、大陽ステンレススプリング株式会社、[令和1年12月13日検索]、インターネット〈 URL:http://www.taiyo-sp.co.jp/lib/download/force-download.php?file=standard/catalog/snap_retainer.pdf〉