(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】トナー、トナー収容容器、現像剤、現像剤収容容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及びトナーの製造方法
(51)【国際特許分類】
G03G 9/097 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
G03G9/097 374
G03G9/097 375
G03G9/097 371
(21)【出願番号】P 2020003439
(22)【出願日】2020-01-14
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2019038313
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】石井 雅之
(72)【発明者】
【氏名】花谷 愼也
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-215603(JP,A)
【文献】特開2007-058035(JP,A)
【文献】特表2005-534967(JP,A)
【文献】特開2005-174466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂と離型剤を含むトナー母体粒子に無機粒子を
外添したトナーであって、
前記無機粒子がベーマイト及び擬ベーマイトの少なくともいずれか、並びに
疎水性シリカを含むことを特徴とするトナー。
【請求項2】
トナー母体粒子を有し、
前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトの少なくともいずれかの含有量は、前記トナー母体粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下である請求項
1に記載のトナー。
【請求項3】
前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトの少なくともいずれかが、ケイ素含有ベーマイト及びケイ素含有擬ベーマイトの少なくともいずれかである請求項1から
2のいずれかに記載のトナー。
【請求項4】
前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトの平均粒子径が、5nm以上135nm以下である請求項1から
3のいずれかに記載のトナー。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれかに記載のトナーを収容したことを特徴とするトナー収容容器。
【請求項6】
請求項1から
4のいずれかに記載のトナーからなることを特徴とする現像剤。
【請求項7】
請求項1から
4のいずれかに記載のトナーと、キャリアとを含むことを特徴とする現像剤。
【請求項8】
請求項
6から
7のいずれかに記載の現像剤を収容したことを特徴とする現像剤収容容器。
【請求項9】
静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像剤で現像を用いて現像して可視像を形成する現像手段とを有し、画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、
前記現像剤が請求項
6から
7のいずれかに記載の現像剤であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記静電潜像を現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記現像剤が請求項
6から
7のいずれかに記載の現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
無機粒子を含有するトナーの製造方法であって、
前記無機粒子がベーマイト及び擬ベーマイトの少なくともいずれか、並びにシリカを含み、
前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトが、アルミニウムアルコキシドの加水分解生成物である
ことを特徴とするトナー
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー、トナー収容容器、現像剤、現像剤収容容器、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トナーの無機粒子としては、平均一次粒径が数nm~数十nmの粒子が用いられており、帯電性の付与、流動性の付与、疎水性の付与などの観点から疎水化処理されたシリカが使用されている。また、温湿度環境条件下での帯電性の維持、保持帯電量の変動抑制などの観点から、疎水化処理された酸化チタンが使用されている。
【0003】
近年、酸化チタンの代替材料に対する要求が高まっており、例えば、アルミナ、ゾルゲルシリカ、チタン酸ストロンチウム、水酸化アルミニウムなどについて検討が行われている。また、水酸化アルミニウムを用いることができるトナーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、帯電安定性を有し、画像粒状性及び画像鮮鋭性を有する高品質な画像を形成できるトナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段としての本発明のトナーは、無機粒子と、シリカとを含有するトナーであって、前記無機粒子が、ベーマイト及び擬ベーマイトの少なくともいずれか、並びにシリカを含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、帯電安定性を有し、画像粒状性及び画像鮮鋭性を有する高品質な画像を形成できるトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明のプロセスカートリッジを有する画像形成装置の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略説明図である。
【
図3】
図3は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略説明図である。
【
図4】
図4は、本発明の画像形成装置のタンデム型カラー画像形成装置を用いた一例を示す概略説明図である。
【
図5】
図5は、
図4の画像形成ユニットの一例を示す拡大図である。
【
図6】
図6は、本発明の現像剤の帯電量分布曲線を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(トナー)
本発明のトナーは、無機粒子を含有するトナーであって、前記無機粒子が、ベーマイト及び擬ベーマイトの少なくともいずれか、並びにシリカを含み、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0009】
従来技術のトナーは、水酸化アルミニウムと、シリカを含み、水酸化アルミニウムとしてベーマイトを用いることができるが、ベーマイトが最も好ましいこと、及び、無機粒子を含有するトナーであって、前記無機粒子が、ベーマイト及び擬ベーマイトの少なくともいずれか、並びにシリカを含むことによって、帯電安定性を有し、画像粒状性及び画像鮮鋭性を有する高品質な画像を形成できるトナーを提供することができることについては、開示されていない。
【0010】
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、水酸化アルミニウムは電気抵抗の低さから酸化チタンの代替材料としての可能性があることを知見した。水酸化アルミニウムには、非晶質、ベーマイト晶、擬ベーマイト晶、ギブサイト晶、バイヤライト晶、ダイアスポア晶などの多種多様な各種結晶系、混晶系が存在するが、擬ベーマイトが従来の酸化チタン等の無機粒子と同様に環境下での逆帯電粒子の発生を抑制し、環境条件による獲得帯電量の違いを抑制し、帯電量分布を先鋭化する効果を有する。また、擬ベーマイトは硬度が低いことから、電子写真現像方式で用いられる感光体表面を傷付けるおそれが少なく、長期間に亘る画像品質維持機能を満たすことを見出した。
したがって、本発明のトナーは、無機粒子を含有するトナーであって、
前記無機粒子がベーマイト及び擬ベーマイトの少なくともいずれか、並びにシリカを含むことにより、帯電量、環境での帯電特性を調整でき、優れた帯電安定性を有し、オフセット印刷画像と同レベルの画像粒状性及び画像鮮鋭性を有する高品質な画像を形成でき、従来の酸化チタンが担っていた機能と同等以上の機能を付与することができる。
【0011】
本発明のトナーは、無機粒子を含有し、トナー母体粒子を有することが好ましい。
【0012】
<無機粒子>
前記無機粒子は、ベーマイト及び擬ベーマイトの少なくともいずれか、並びにシリカを含み、更に必要に応じて、その他の粒子を含む。
【0013】
<<ベーマイト及び擬ベーマイト>>
前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトは、アルミニウムアルコキシドの加水分解生成物である。
前記ベーマイトは、水酸化アルミニウムから水が1分子脱水したものであり、α型(三方晶系)の酸化アルミニウム一水和物である。
前記擬ベーマイトは、前記ベーマイトより、水分を多く含んでおり、両者はX線回析で区別することが可能である。
前記アルミニウムアルコキシドの加水分解生成物としては、例えば、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。前記加水分解生成物は、アルミニウムアルコキシドの少なくとも一部が加水分解されていればよく、アルミニウムアルコキシドの全部が加水分解されていてもよい。
【0014】
前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトは、粒子状であることが好ましい。前記粒子の形状としては、例えば、球状、針状、球状粒子が数個合一して得られる非球形状などが挙げられる。
前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトの平均粒子径(メジアン径)は、5nm以上135nm以下が好ましく、8nm以上120nm以下がより好ましい。
前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトのメジアン径の測定は、外添後、トナー表面にベーマイト又は擬ベーマイトが付着した状態で、走査型電子顕微鏡SU8200シリーズ(株式会社日立ハイテクノロジーズ社)を用いて、加速電圧5k∨、倍率5万倍で画像撮影を行い、得られた画像を画像処理ソフトA像君(旭化成エンジニアリング株式会社製)で二値化した。得られた画像におけるベーマイト又は擬ベーマイトの任意の1000個から、その面積に相当する真円の直径を算出し、メジアン径を算出した。
メジアン径が5nm以上135nm以下である前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトを含有することにより、帯電量、流動性、凝集度などの変化が少なく、画像品質の劣化(例えば、転写不良、地汚れ画像の発生など)を抑制することができる。また、メジアン径が5nm以上135nm以下である擬ベーマイトを含有するトナーを用いると、画像品質の安定した画像形成を行うことができる。
【0015】
前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトの含有量は、トナー母体粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、0.5質量部以上2.0質量部以下がより好ましい。
前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトの含有量が0.5質量部以上であると、環境下での獲得帯電量の差を減少することができる。また、前記含有量が1.0質量部以下であると添加量に伴う帯電の低下を抑制しながら、環境帯電量の差を抑制することができる。
【0016】
前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトの製造方法としては、例えば、アルミニウム化合物とアルコールとを反応させてアルミニウムアルコキシドを合成し、合成されたアルミニウムアルコキシドを加水分解した後、乾燥させる方法などが挙げられる。
【0017】
前記アルミニウム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、酸化アルミニウムなどが挙げられる。
【0018】
前記アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、n-ヘキシルアルコール、n-オクチルアルコール、1-ドデカノール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、2-デシルアルコール、2-ヘキシルアルコール、フェニルプロパノール、フェニルペンタノールなどが挙げられる。
【0019】
前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトは、例えば、X線回折によるピーク位置、赤外線吸収スペクトルによる吸収帯を確認することで分析することができる。
【0020】
前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトは、帯電性及び疎水性の点から、ケイ素化合物によって処理されたケイ素含有ベーマイト及びケイ素含有擬ベーマイトであることが好ましい。
【0021】
-ケイ素含有ベーマイト及びケイ素含有擬ベーマイト-
前記ケイ素含有ベーマイト及び前記ケイ素含有擬ベーマイトとしては、例えば、ケイ素化合物によって表面処理されたベーマイト及び擬ベーマイトなどが挙げられる。ケイ素化合物としては、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0022】
シランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類、γ-アミノプロピルトルエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン等のシランカップリング剤、ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、N,N’-ビス(トリメチルシリル)ウレア、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ジメチルトリメチルシリルアミン、ヘキサメチルジシラザン、サイクリックシラザンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ヘキサメチルジシラザンが好ましい。
【0023】
シリコーンオイルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、α-メチルスチレン変性シリコーンオイル、ポリジメチルシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルトリメチコン、メチルシロキサン、メチルフェニルシロキサンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリジメチルシロキサンが好ましい。
【0024】
<<シリカ>>
前記シリカとしては、例えば、疎水化処理された疎水性シリカが挙げられる。
前記疎水性シリカとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケイ素化合物で処理されたものが挙げられる。ケイ素化合物としては、例えば、前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトの表面処理に用いられるものが挙げられる。
【0025】
<<その他の粒子>>
前記その他の粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ハイドロタルサイト等の層状複水酸化物、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズなどの粒子が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
<トナー母体粒子>
前記トナー母体粒子としては、樹脂及び着色剤を含有することが好ましく、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
【0027】
<<樹脂>>
樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリ(p-クロロスチレン)、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単独重合体、ポリエステル、スチレン-p-クロロスチレン共重合体、スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン-α-クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエステル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂との組み合せが好ましい。
【0028】
-ポリエステル樹脂-
ポリエステル樹脂は、多価ヒドロキシ化合物と多塩基酸との縮重合によって得られる樹脂である。
多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等の2つのヒドロキシル基を含有する脂環式化合物;ビスフェノールA等の2価フェノール化合物などが挙げられる。なお、多価ヒドロキシ化合物には、ヒドロキシル基を3個以上含む化合物も含まれる。
【0029】
多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸等の2価カルボン酸;1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸等の3価以上の多価カルボン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
ポリエステル樹脂は、上記モノマー原料以外に、アミド成分を形成するモノマーを含有することができる。
アミド成分を形成するモノマーとしては、例えば、エチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン;6-アミノカプロン酸、ε-カプロラクタム等のアミノカルボン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、耐熱保存性の点から、55℃以上が好ましく、57℃以上がより好ましい。
【0031】
-結晶性ポリエステル樹脂-
結晶性ポリエステル樹脂は、アルコール成分と酸成分の反応により得られ、少なくとも融点を有するポリエステル樹脂である。
アルコール成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数2以上12以下の飽和脂肪族ジオール化合物などが挙げられる。
前記炭素数2以上12以下の飽和脂肪族ジオール化合物としては、例えば、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、又はこれらの誘導体などが挙げられる。
【0032】
酸成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数2以上12以下のジカルボン酸などが挙げられる。
前記炭素数2以上12以下のジカルボン酸としては、例えば、飽和ジカルボン酸であってもよいし、不飽和ジカルボン酸であってもよい。
前記炭素数2以上12以下のジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、1,4-ブタン二酸、1,6-ヘキサン二酸、1、8-オクタン二酸、1,10-デカン二酸、1,12-ドデカン二酸、これらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
結晶性ポリエステル樹脂を用いることにより、例えば、定着時の離型性機能を劣化させることなく維持したまま、トナー母体粒子を有するトナー表面に存在するワックスによるキャリアや帯電部材への汚染問題を抑制し、良好な結果が得られる。
【0034】
前記結晶性ポリエステルの含有量は、トナー母体粒子100質量部に対して1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。前記含有量が、1質量部未満であると、低温定着効果が十分に得られないことがあり、30質量部を超えると、トナー最表面に存在する結晶性ポリエステル量が多すぎるために感光体、その他部材の汚染により画像品質が低下したり、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。また、トナーの表面性状が悪化し、キャリアを汚染し長期に渡り十分な帯電性を維持することができず、更に、環境安定性を阻害する恐れもある。
【0035】
なお、前記樹脂(トナーバインダー)として、例えば、前記未変性ポリエステルと変性ポリエステル(エステル結合及び該エステル結合以外の結合単位を含むポリエステル)を配合したもの、前記未変性ポリエステルと結晶性ポリエステルを配合したもの、前記変性ポリエステルと未変性ポリエステルと結晶性ポリエステルを配合したものなど任意に選択できる。これらの配合においては、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、低温定着性が両立されるように配慮することが重要である。本発明において変性ポリエステルとして、ウレア変性ポリエステルを共存させることにより、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0036】
<<着色剤>>
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、p-クロロ-o-ニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロムバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー母体粒子100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下が好ましく、3質量部以上10質量部以下がより好ましい。
【0037】
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。マスターバッチに用いる樹脂としては特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の単独重合体、スチレン系共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
<<その他の成分>>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、離型剤、帯電制御剤などが挙げられる。
【0039】
-離型剤-
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ワックス類などが挙げられる。
ワックス類としては、例えば、カルボニル基を有するワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基を有するワックスが好ましい。
【0040】
カルボニル基を有するワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトンなどが挙げられる。これらの中でも、ポリアルカン酸エステルが好ましい。
ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレートなどが挙げられる。
ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、マレイン酸ジステアリルなどが挙げられる。
ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミドなどが挙げられる。
ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミドなどが挙げられる。
ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトンなどが挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワックス、サゾールワックスなどが挙げられる。
【0041】
離型剤の融点は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、45℃以上120℃以下が好ましい。融点が45℃以上であると、離型剤が耐熱保存性に悪影響を与えることがない。また、融点が120℃以下であると、低温での定着時にコールドオフセットが起こりにくくなる。
【0042】
離型剤の溶融粘度は、離型剤の融点より20℃高い温度での測定値としては、5cps以上1000cps以下が好ましく、10cps以上100cps以下がより好ましい。溶融粘度が5cps以上であると、離型性が向上する。溶融粘度が1000cpsを以下であると、耐ホットオフセット性、低温定着性が向上する。
母体粒子(着色粒子)中の離型剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%以上40質量%以下が好ましく、3質量%以上30質量%以下がより好ましい。含有量が40質量%以下であると、トナーの流動性が向上する。
【0043】
-帯電制御剤-
帯電制御剤としては、特に制限はなく、感光体に帯電される電荷の正負に応じて、正又は負の帯電制御剤を適宜選択して用いることができる。
負の帯電制御剤としては、例えば、電子供与性の官能基を有する樹脂又は化合物、アゾ染料、有機酸の金属錯体などを用いることができる。具体的には、ボントロン(品番:S-31、S-32、S-34、S-36、S-37、S-39、S-40、S-44、E-81、E-82、E-84、E-86、E-88、A、1-A、2-A、3-A)(以上、オリエント化学工業社製)、カヤチャージ(品番:N-1、N-2)、カヤセットブラック(品番:T-2、004)(以上、日本化薬社製)、アイゼンスピロンブラック(T-37、T-77、T-95、TRH、TNS-2)(以上、保土谷化学工業社製)、FCA-1001-N、FCA-1001-NB、FCA-1001-NZ(以上、藤倉化成社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
正の帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料等の塩基性化合物、4級アンモニウム塩等のカチオン性化合物、高級脂肪酸の金属塩などを用いることができる。具体的には、ボントロン(品番:N-01、N-02、N-03、N-04、N-05、N-07、N-09、N-10、N-11、N-13、P-51、P-52、AFP-B)(以上、オリエント化学工業社製)、TP-302、TP-415、TP-4040(以上、保土谷化学工業社製)、コピーブルーPR、コピーチャージ(品番:PX-VP-435、NX-VP-434)(以上、ヘキスト社製)、FCA(品番:201、201-B-1、201-B-2、201-B-3、201-PB、201-PZ、301)(以上、藤倉化成社製)、PLZ(品番:1001、2001、6001、7001)(以上、四国化成工業社製)等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
帯電制御剤の添加量は、樹脂の種類、分散方法を含めた着色粒子の製造方法によって決定されるものであり、一義的に限定されるものではないが、樹脂の総量に対して0.05質量部以上1.0質量部以下が好ましい。添加量が1.0質量部以下であると、トナーの帯電性が適切であり、帯電制御剤の効果が向上し、現像剤の流動性が向上したり、画像濃度が向上したりすることがある。また、添加量が0.05質量部以上であると、帯電立ち上り性や帯電量が十分であり、トナー画像への影響を抑えることができる。
【0045】
<トナーの製造方法>
本発明のトナーの製造方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法などが挙げられる。
【0046】
粉砕法としては、トナー母体粒子を構成するトナー材料を混合し、混合物を得る。その後、得られた混合物を、溶融混練機を用いて溶融混練し、混練物を得る。
溶融混練機としては、一軸又は二軸の連続混練機、ロールミルによるバッチ式混練機などであり、例えば、KTK型二軸押出機(神戸製鋼所製)、TEM型押出機(東芝機械株式会社製)、二軸押出機(ケイシーケイ社製)、PCM型二軸押出機(池貝鉄工所製)、コニーダー(ブス社製)などが挙げられる。
溶融混練は、樹脂の分子鎖が切断されないように、適正な条件(溶融混練温度など)で行うことが好ましい。溶融混練温度は、樹脂の軟化点より高過ぎると切断が激しくなることがあり、低過ぎると溶融混練が進まないことがある。
次に、溶融混練で得られた混練物を粉砕し、粉砕物を得る。混練物を粉砕する際には、混練物を粗粉砕した後に、微粉砕することが好ましい。
混練物の粉砕方法としては、例えば、ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕する方法、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕する方法、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方法などが挙げられる。
更に、粉砕された粉砕物を分級して、粒径を所定の範囲内に調整する。
分級としては、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離などにより、微粒子を取り除く方法が挙げられる。更に、250メッシュ以上の篩を用いて、粗大粒子及び凝集粒子を除去することにより、トナー母体粒子が得られる。
【0047】
乳化法としては、トナー材料液(油相)を水系媒体(水相)中で乳化又は分散させてトナー母体粒子を得る。具体的には、樹脂又は樹脂前駆体と、着色剤と、必要により離型剤を含むトナー材料を有機溶媒に溶解又は分散させてトナー材料液(油相)を調製する工程と、油相を水系媒体(水相)中で乳化又は分散させた後、脱溶剤する工程とを経てトナー母体粒子を得る。
【0048】
トナー母体粒子の体積平均粒子径(Dv)としては、3.0μm以上6.0μm以下が好ましい。前記体積平均粒子径(Dv)が、3.0μmであると、一成分現像剤を用いる場合では、現像ローラやブレードなどの部材へのトナーの融着を防ぐことができ、二成分現像剤を用いる場合では、キャリア表面へのトナーの融着によるキャリアの帯電能力の低下を防ぐことができる。また、前記体積平均粒子径(Dv)が6.0μm以下であると、高解像度で高画質の画像を得ることができる。
トナー母体粒子の個数平均粒子径(Dn)に対する、トナー母体粒子の体積平均粒子径(Dv)の比(Dv/Dn)は、1.05以上1.25以下が好ましい。前記比(Dv/Dn)が、1.25以下であると、高解像度で高画質の画像を得ることができる。また、前記比(Dv/Dn)が、1.05以上であると、トナーの帯電性及びクリーニング性が良好となる。
【0049】
(トナー収容容器)
本発明のトナー収容容器とは、トナーを収容した容器をいう。
本発明のトナー収容容器を、画像形成装置に装着して画像形成することで、優れた帯電安定性を有し、オフセット印刷画像と同レベルの画像粒状性及び画像鮮鋭性を有する高品質な画像を実現できる前記トナーの特徴を活かした画像形成を行うことができる。
【0050】
(現像剤)
本発明の現像剤は、本発明のトナー単独からなる一成分現像剤、又は本発明のトナーとキャリアからなる二成分現像剤のいずれであってもよいが、情報処理速度の向上に対応した高速プリンターなどに使用する場合には、寿命などの点から二成分現像剤を用いることが好ましい。
本発明のトナーを一成分現像剤として用いる場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレードなどの部材へのトナーの融着がなく、現像器の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
また、本発明のトナーを二成分現像剤として用いる場合、トナーの収支が行われても、トナー粒径の変動が少なく、現像器の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性が得られる。
【0051】
<キャリア>
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層とを有することが好ましい。
芯材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、のマンガン-ストロンチウム(Mn-Sr)系材料(50emu/g以上90emu/g以下)、マンガン-マグネシウム(Mn-Mg)系材料、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト等の高磁化材料(75emu/g以上120emu/g以下)、銅-亜鉛(Cu-Zn)系等の弱磁化材料(30emu/g以上80emu/g以下)などが挙げられる。これらは、一種又は二種以上を混合して使用することができる。
画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75emu/g以上120emu/g以下)などの高磁化材料が好ましい。
穂立ち状態となっているトナーの感光体への当たりを弱くすることができ、高画質化に有利である点では、銅-亜鉛(Cu-Zn)系などの弱磁化材料(30emu/g以上80emu/g以下)が好ましい。
【0052】
芯材の重量平均粒子径は、10μm以上200μm以下が好ましく、40μm以上100μm以下が更に好ましい。重量平均粒子径が10μm以上であると、キャリアの微粉成分が少なくなることで、1粒子当たりの磁化が高くなり、キャリアの飛散を防ぐことができる。重量平均粒子径が200μm以下であると、比表面積増加することでトナーの飛散を防ぐことができ、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現性が良好となる。
【0053】
樹脂層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンとアクリル単量体の共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ素化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アミノ系樹脂としては、例えば、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
ポリビニル系樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどが挙げられる。
ポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン-アクリル共重合体などが挙げられる。
ハロゲン化オレフィン樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0054】
樹脂層には、必要に応じて、導電粉などを添加してもよい。
導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛などが挙げられる。導電粉の平均粒子径は、1μm以下が好ましい。平均粒子径が1μm以下であると、電気抵抗の制御が容易となる。
樹脂層の含有量は、キャリアに対して、0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。含有量が0.01質量%以上であると、芯材の表面に均一に樹脂層を形成することができる。また、含有量が5.0質量%以下であると、前記樹脂層の厚さが適正であり、キャリア同士の造粒を防ぐことができる。
樹脂層の形成方法としては、例えば、シリコーン樹脂などを溶剤に溶解させて塗布液を調製した後、塗布液を芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼き付けを行うことにより形成することができる。
溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、酢酸ブチルなどが挙げられる。
塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法などが挙げられる。
焼き付けの方法としては、外部加熱方式及び内部加熱方式のいずれであってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロ波を用いる方法などが挙げられる。
【0055】
二成分現像剤における、本発明のトナーとキャリアの混合割合は、キャリア100質量部に対して、トナー1質量部以上10質量部以下が好ましい。
【0056】
(現像剤収容容器)
現像剤収容容器は、本発明の現像剤を容器中に収容してなる容器のことをいう。
ここで、現像剤収容容器の態様としては、例えば、現像器、プロセスカートリッジなどが挙げられる。
現像器は、現像剤を収容し現像する手段を有するものをいう。
【0057】
本発明の現像剤収容容器は、前記容器に収容された本発明の現像剤を用いて電子写真法による画像形成を行うことで、優れたクリーニング性、画像品質、及び耐久性を有する高品質画像が形成される。
【0058】
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に担持された静電潜像を、現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
前記現像手段としては、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を収容する現像剤収容容器と、該現像剤収容容器内に収容されたトナー乃至現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材などを有していてもよい。
本発明のプロセスカートリッジは、各種画像形成装置に着脱可能に備えさせることができ、後述する本発明の画像形成装置に着脱可能に備えさせるのが好ましい。
本発明のプロセスカートリッジは、利便性に優れ、また、本発明の前記トナーを用いることで、優れたクリーニング性、画像品質性、及び耐久性を兼ね備え、高品質画像が形成できる。
【0059】
本発明のトナーは、プロセスカートリッジを有する画像形成装置に装填して画像形成を行う場合も優れた効果を奏する。即ち、本発明のトナーを用いることにより、画質の優れたプロセスカートリッジを提供することができる。
【0060】
ここで、
図1は、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である、この
図1のプロセスカートリッジ1は、感光体2と、帯電手段3と、現像手段4と、クリーニング手段5とを有する。
【0061】
プロセスカートリッジを有する画像形成装置において、感光体2が所定の周速度で回転駆動される。
感光体2は回転過程において、帯電手段3によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段からの画像露光光を受け、こうして感光体2の周面に静電潜像が順次形成され、形成された静電潜像は、次いで、現像手段4によりトナーで現像され、現像されたトナー像は、給紙部から感光体と転写手段との間に感光体の回転と同期されて給送された記録媒体に、転写手段により順次転写されていく。
像転写を受けた記録媒体は感光体表面から分離されて定着手段へ導入されて像定着され、複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。
転写後の感光体の表面は、クリーニング手段5によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に除電された後、繰り返し画像形成に使用される。
【0062】
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明における画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、本発明の現像剤を用いて、該静電潜像を現像して可視像を形成する現像工程と、該可視像を記録媒体上に転写する転写工程と、該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着工程とを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程などを含む。
【0063】
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、本発明の現像剤を用いて、該静電潜像を現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体上に転写する転写手段と、該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着手段とを有する。更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有する。
【0064】
<静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段>
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(「電子写真感光体」、「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)などが挙げられる。これらの中でも、より高精細な画像が得られる点で、有機感光体(OPC)が好ましい。
【0065】
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電手段(帯電器)と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光手段(露光器)とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、等が挙げられる。
前記帯電器としては、静電潜像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
また、前記帯電器が、静電潜像担持体にギャップテープを介して非接触に近接配置された帯電ローラであり、該帯電ローラに直流並びに交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、等の各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0066】
<現像工程及び現像手段>
前記現像工程は、前記静電潜像を、前記トナーを用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナーを用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、前記トナーを収容し、前記静電潜像に該トナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適であり、トナー入り容器を備えた現像器等がより好ましい。
前記現像器は、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナーを摩擦撹拌させて帯電させる撹拌器と、回転可能なマグネットローラとを有するもの等が好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合撹拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
【0067】
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器などが挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
【0068】
<定着工程及び定着手段>
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色の現像剤に対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色の現像剤に対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せなどが挙げられる。
前記定着装置が、発熱体を具備する加熱体と、該加熱体と接触するフィルムと、該フィルムを介して前記加熱体と圧接する加圧部材とを有し、前記フィルムと前記加圧部材の間に未定着画像を形成させた記録媒体を通過させて加熱定着する手段であることが好ましい。前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃以上200℃以下が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0069】
<その他の工程及びその他の手段>
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0070】
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナなどが好適に挙げられる。
【0071】
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段などが挙げられる。
【0072】
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、各工程は制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0073】
ここで、
図2に、本発明の画像形成装置の一例を示す。画像形成装置100Aは、感光体ドラム10と、帯電ローラ20と、露光装置と、現像装置40と、中間転写ベルト50と、クリーニングブレードを有するクリーニング装置60と、除電ランプ70とを備える。
中間転写ベルト50は、内側に配置されている3個のローラ51で張架されている無端ベルトであり、
図2中、矢印方向に移動することができる。3個のローラ51の一部は、中間転写ベルト50に転写バイアス(一次転写バイアス)を印加することが可能な転写バイアスローラとしても機能する。また、中間転写ベルト50の近傍に、クリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。更に、転写紙95にトナー像を転写するための転写バイアス(二次転写バイアス)を印加することが可能な転写ローラ80が中間転写ベルト50と対向して配置されている。
また、中間転写ベルト50の周囲には、中間転写ベルト50に転写されたトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電装置58が、中間転写ベルト50の回転方向に対して、感光体ドラム10と中間転写ベルト50の接触部と、中間転写ベルト50と転写紙95の接触部との間に配置されている。
【0074】
現像装置40は、現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cから構成されている。なお、各色の現像ユニット45は、現像剤収容部42、現像剤供給ローラ43及び現像ローラ(現像剤担持体)44を備える。また、現像ベルト41は、複数のベルトローラで張架されている無端ベルトであり、
図2中、矢印方向に移動することができる。更に、現像ベルト41の一部が感光体ドラム10と接触している。
【0075】
次に、画像形成装置100Aを用いて画像を形成する方法について説明する。まず、帯電ローラ20を用いて、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させた後、露光装置(不図示)を用いて、感光体ドラム10に露光光Lを露光し、静電潜像を形成する。次に、感光体ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40から供給されたトナーで現像してトナー像を形成する。更に、感光体ドラム10上に形成されたトナー像が、ローラ51から印加された転写バイアスにより、中間転写ベルト50上に転写(一次転写)された後、転写ローラ80から印加された転写バイアスにより、転写紙95上に転写(二次転写)される。一方、トナー像が中間転写ベルト50に転写された感光体ドラム10は、表面に残留したトナーがクリーニング装置60により除去された後、除電ランプ70により除電される。
【0076】
図3に、本発明で用いられる画像形成装置の第二の例を示す。画像形成装置100Bは、現像ベルト41を設けずに、感光体ドラム10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されている以外は、画像形成装置100Aと同様の構成を有する。
図4に、本発明で用いられる画像形成装置の第三の例を示す。画像形成装置100Cは、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備える。
【0077】
複写装置本体150の中央部に設けられている中間転写ベルト50は、3個のローラ14、15及び16に張架されている無端ベルトであり、
図4中、矢印方向に移動することができる。ローラ15の近傍には、トナー像が記録紙に転写された中間転写ベルト50上に残留したトナーを除去するためのクリーニングブレードを有するクリーニング装置17が配置されている。ローラ14及び15により張架された中間転写ベルト50に対向すると共に、搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、及びブラックの画像形成ユニット120Y、120C、120M及び120Kが並置されている。
【0078】
また、画像形成ユニット120の近傍には、露光装置21が配置されている。更に、中間転写ベルト50の画像形成ユニット120が配置されている側とは反対側には、二次転写ベルト24が配置されている。なお、二次転写ベルト24は、一対のローラ23に張架されている無端ベルトであり、二次転写ベルト24上を搬送される記録紙と中間転写ベルト50は、ローラ16と23の間で接触することができる。
また、二次転写ベルト24の近傍には、一対のローラに張架されている無端ベルトである定着ベルト26と、定着ベルト26に押圧されて配置された加圧ローラ27とを備える定着装置25が配置されている。なお、二次転写ベルト24及び定着装置25の近傍に、記録紙の両面に画像を形成する場合に、記録紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
【0079】
次に、画像形成装置100Cを用いて、フルカラー画像を形成する方法について説明する。まず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に、カラー原稿をセットするか、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に、カラー原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。スタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした場合は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした場合は、直ちに、スキャナ300が駆動し、光源を備える第1走行体33及びミラーを備える第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33から照射された光の原稿面からの反射光を第2走行体34で反射した後、結像レンズ35を介して、読み取りセンサ36で受光することにより、原稿が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報が得られる。
【0080】
各色の画像情報は、各色の画像形成ユニット120に伝達され、各色のトナー像が形成される。各色の画像形成ユニット120は、
図5に示すように、それぞれ、感光体ドラム10と、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電ローラ160と、各色の画像情報に基づいて、感光体ドラム10に露光光Lを露光し、各色の静電潜像を形成する露光装置と、静電潜像を各色の現像剤で現像して各色のトナー像を形成する現像装置61と、トナー像を中間転写ベルト50上に転写させるための転写ローラ62と、クリーニングブレードを有するクリーニング装置63と、除電ランプ64とを備える。各色の画像形成ユニット120で形成された各色のトナー像は、ローラ14、15及び16に張架されて移動する中間転写ベルト50上に順次転写(一次転写)され、重ね合わされて複合トナー像が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の一つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の一つから記録紙を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写装置本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラを回転して手差しトレイ54上の記録紙を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。
【0081】
なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、記録紙の紙粉を除去するためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。次に、中間転写ベルト50上に形成された複合トナー像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させることにより、中間転写ベルト50と二次転写ベルト24との間に記録紙を送出させ、複合トナー像を記録紙上に転写(二次転写)する。なお、複合トナー像を転写した中間転写ベルト50上に残留したトナーは、クリーニング装置17により除去される。
複合トナー像が転写された記録紙は、二次転写ベルト24により搬送された後、定着装置25により複合トナー像が定着される。次に、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。あるいは、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、シート反転装置28により反転され、裏面にも同様にして画像が形成された後、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。
【0082】
本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、優れた帯電安定性を有し、オフセット印刷画像と同レベルの画像粒状性及び画像鮮鋭性を有する高品質な画像を形成できる本発明のトナーを用いているので、高画質な画像を長期にわたって形成することができる。
【実施例】
【0083】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0084】
(擬ベーマイトの調製例)
金属アルミニウムとアルコールとの反応からアルミニウムアルコキシドを合成し、これを加水分解して擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物を得た。この際、製造条件を変えることによって、平均粒子径(メジアン径)の異なる擬ベーマイトA(8nm)、B(120nm)、C(5nm)、D(135nm)を得た。
【0085】
(無機粒子の調製例1)
-擬ベーマイトAAの調製-
擬ベーマイトAをポリジメチルシロキサンで表面処理し、擬ベーマイトAAを得た。
【0086】
(無機粒子の調製例2)
-擬べーマイトABの調製-
無機粒子の調製例1において、擬ベーマイトAを擬ベーマイトBに変更し、擬ベーマイトBをヘキサメチルジシラザンで表面処理した以外は、無機粒子の調製例1と同様にして、擬ベーマイトABを得た。
【0087】
(無機粒子の調製例3)
-擬べーマイトACの調製-
擬ベーマイトAを擬ベーマイトCに変更した以外は、無機粒子の調製例1と同様にして、擬ベーマイトACを得た。
【0088】
(無機粒子の調製例4)
-擬べーマイトADの調製-
擬ベーマイトAを擬ベーマイトDに変更し、擬ベーマイトBをヘキサメチルジシラザンで表面処理した以外は、無機粒子の調製例1と同様にして、擬ベーマイトADを得た。
【0089】
(無定形水酸化アルミニウムの調製例)
-無定形水酸化アルミニウムAの調製-
塩化アルミニウム水溶液に水酸化ナトリウム溶液を添加した。pH8で沈殿を生成させ母液中で24時間熟成し、無定形水酸化アルミニウムAを得た。
【0090】
(無機粒子の調製例5)
-無定形水酸化アルミニウムBAの調製-
無定形水酸化アルミニウムAをポリジメチルシロキサンで表面処理し、無定形水酸化アルミニウムBAを得た。なお、無定形水酸化アルミニウムは、結晶相が無定形であり、ベーマイト及び擬ベーマイトと異なる。
【0091】
(バイヤライトの調製例)
-バイヤライトBの調製-
塩化アルミニウム水溶液に水酸化ナトリウム溶液を添加した。pH11で沈殿を生成させ母液中で24時間熟成し、バイヤライトBを得た。
【0092】
(無機粒子の調製例6)
-バイヤライトBBの調製-
バイヤライトBをポリジメチルシロキサンで表面処理し、バイヤライトBBを得た。
なお、バイヤライトは、β型(六方晶系)の三水和アルミニウム酸化物であり、ベーマイト及び擬ベーマイトとは、結晶相及び水和物の数の点で異なる。
【0093】
(ハイドラルジライトの調製例)
-ハイドラルジライトCの調製-
塩化アルミニウム水溶液に水酸化ナトリウム溶液を添加した。pH12で沈殿を生成させ母液中で24時間熟成し、ハイドラルジライトCを得た。
【0094】
(無機粒子の調製例7)
-ハイドラルジライトBCの調製-
ハイドラルジライトCをヘキサメチルジシラザンで表面処理し、ハイドラルジライトBCを得た。
なお、ハイドラルジライトは、α型(三方晶系)の三水和アルミニウム酸化物であり、ベーマイト及び擬ベーマイトとは、水和物の数の点で異なる。
【0095】
(結晶性ポリエステルの製造例)
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱伝対を備えた容量5Lの4つ口フラスコに、1,10-デカン二酸2,300g、1,8-オクタンジオール2,530g、及びハイドロキノン4.9gを入れ、180℃で10時間反応させた後、200℃で3時間反応させ、さらに8.3kPaにて2時間反応させた。その後、DSC測定の接点法によって測定し、ガラス転移温度(Tg)は65℃、融点ピーク温度は70℃、重量平均分子量(Mw)は10,000、数平均分子量(Mn)は3,000、Mw/Mnは3.3の結晶性ポリエステル樹脂Aを得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂Aを、結晶解析X線回折装置を用いて解析したところ、回折ピーク20°<2θ<25°の範囲に得られたピークのうち最もピーク強度が大きいピークのピーク半値幅は0.5であった。
【0096】
(非晶質ポリエステル樹脂の製造例1)
温度計、撹拌器及びコンデンサーを備えた容量5Lの4つ口フラスコに、フマル酸18.4質量部、無水トリメリット酸10.5質量部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド 2.2mol付加)34.2質量部、及びビスフェノールAのプロピオンオキサイド付加物(プロピオンオキサイド 2.2mol付加)36.8質量部を入れ(合計4,000g)、フラスコをマントルヒーターにセットし、ジブチルスズオキシド4質量部を添加し、220℃で8時間反応させた。その後8.3kPaで所定の軟化点に達するまで反応させ、非晶質ポリエステル樹脂B-H1を得た。
【0097】
(非晶質ポリエステル樹脂の製造例2)
温度計、撹拌器及びコンデンサーを備えた容量5Lの4つ口フラスコに、フマル酸16.9質量部、テレフタル酸10.4質量部、及びビスフェノールAのプロピオンオキサイド付加物(プロピオンオキサイド 2.2mol付加)72.7質量部を入れ(合計4,000g)、フラスコをマントルヒーターにセットし、ジブチルスズオキシド4質量部を添加し、220℃で8時間反応させた。その後8.3kPaで所定の軟化点に達するまで反応させ、非晶質ポリエステル樹脂B-L1を得た。
表1に非晶質ポリエステル樹脂B-H1及びB-L1の物性値を示す。
【0098】
【0099】
(実施例1)
[トナー処方]
・結晶性ポリエステル樹脂A :20質量部
・非晶質ポリエステル樹脂B-H1 :20質量部
・非晶質ポリエステル樹脂B-L1 :60質量部
・サリチル酸Zr塩(TN-105:保土ヶ谷化学株式会社製): 1質量部
・脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス(Tg:83℃) : 7質量部
・カーボンブラック(#44:三菱化学株式会社製): :13質量部
【0100】
上記トナー処方をヘンシェルミキサーにて撹拌混合した後、ロールミルで125℃~130℃の温度で40分間加熱溶融し、室温(25℃)まで冷却した後、得られた混練物をジェットミルで粉砕分級し、体積平均粒子径が7.0μmでありかつ5μm以下の粒子が35個数%の粒径分布を有するトナー母体粒子Aを得た。
【0101】
-混合工程-
次に、トナー母体粒子Aを100質量部に対して、シリカ(H2000、ワッカー社製、体積平均粒子径:12nm、ヘキサメチルジシラザン処理)1.5質量部を添加し、ヘンシェルミキサーを用い、撹拌翼の回転速度が35m/秒で混合した。その後、擬ベーマイトAAを1質量部加え、ヘンシェルミキサーを用い、撹拌翼の回転速度が35m/秒で混合し、トナーX1を得た。
【0102】
(実施例2)
実施例1の混合工程における、ヘンシェルミキサーの撹拌翼の回転速度を35m/秒から55m/秒に変更し、擬べーマイトAAを擬ベーマイトABに代えた以外は、実施例1と同様にして、トナーX2を得た。
【0103】
(実施例3)
実施例1において、シリカ(H2000、ワッカー社製)を、シリカ(NY50、日本アエロジル社製、体積平均粒子径:25nm、ポリジメチルシロキサン処理)に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナーX3を得た。
【0104】
(実施例4)
実施例2において、シリカ(H2000、ワッカー社製)を、シリカ(RY300、日本アエロジル社製、体積平均粒子径:10nm、ポリジメチルシロキサン処理)に代えた以外は、実施例2と同様にして、トナーX4を得た。
【0105】
(実施例5)
実施例1において、擬べーマイトAAを、擬ベーマイトACに代えた以外は、実施例1と同様にして、トナーX5を得た。
【0106】
(実施例6)
実施例4において、擬べーマイトABを、擬ベーマイトADに代えた以外は、実施例4と同様にして、トナーX6を得た。
【0107】
(比較例1)
実施例1において、擬べーマイトAAを、無定形水酸化アルミニウムBAに代えた以外は、実施例1と同様にして、トナーY1を得た。
【0108】
(比較例2)
実施例1において、擬べーマイトAAを、バイヤライトBBに代えた以外は、実施例1と同様にして、トナーY2を得た。
【0109】
(比較例3)
実施例1において、擬べーマイトAAを、ハイドラルジライトBCに代えた以外は、実施例1と同様にして、トナーY3を得た。
【0110】
(キャリアの製造例1)
シリコーン樹脂溶液(信越化学工業株式会社製)200質量部、及びカーボンブラック(キャボット社製)3質量部をトルエン中で分散させたコート液を、流動層式スプレー法で、フェライトコア材2500質量部に対して塗布し、コア材の表面を被覆した。その後、300℃の電気炉で2時間焼成することによりキャリアを得た。キャリアの体積平均粒子径(Dv)は、30μm以上60μm以下であるものを使用した。
【0111】
(現像剤の作製)
実施例1から6及び比較例1から3で得られた各トナー7質量部と前記キャリア93質量部を混合撹拌し、トナー濃度7質量%の現像剤X1からX6及び現像剤Y1からY3を得た。
【0112】
<画像形成>
実施例1から6の現像剤X1からX6、及び比較例1から3の現像剤Y1からY3を用いて、画像形成装置、デジタルフルカラー複写機(imagioColor2800、株式会社リコー製)を用いて、画像形成を行った。
次に、以下のようにして、帯電安定性、画像品質、画像粒状性及び画像鮮鋭性、並びに耐熱保存性について評価した。結果を表2~表3に示した。
【0113】
<帯電安定性>
作製した各現像剤について、ブローオフ帯電量測定装置(装置名:TB-200、東芝ケミカル株式会社製)、及びE-SAPRT(Model EST-II、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、調製した静電荷像現像剤の帯電量分布曲線を得た(
図6参照)。
得られた帯電量分布曲線のピーク値Qcの粒子の個数Nを算出し(Qc、N)、N/2と帯電量分布曲線との交点を(Qn、N/2)、(Qp、N/2)とした(Qn<Qp)。得られたQn、Qc、Qbから、下記式(1)及び式(2)を用いて、Wa及びWbを算出した。
Wa=|(Qn-Qc)/Qc|×100・・・式(1)
Wb=|(Qp-Qc)/Qc|×100・・・式(2)
Wa及びWbの値を用いて、下記評価基準に基づき、現像剤の帯電安定性を評価した。
[帯電安定性の評価基準]
○:Wa及びWbが20以下
△:Waが20以下及びWbが20以上、又はWaが20以上及びWbが20以下
×:Wa及びWbが20以上
【0114】
<画像品質>
各現像剤を用いて、通紙後の画像品質(具体的には、転写不良、地汚れ画像の発生)を評価した。
転写不良については、デジタルフルカラー複写機(Imagio Neo C600改造機、株式会社リコー製)で5,000枚の通紙を行った。その後、黒ベタ画像を通紙させて、その画像の転写不良レベルを目視で判断した。
地汚れ画像については、デジタルフルカラー複写機(Imagio Neo C600改造機、株式会社リコー製)で5,000枚の通紙を行った。その後、白紙画像を現像中に停止させ、現像後の感光体上の現像剤をスコッチテープ(住友スリーエム株式会社製)で転写した。転写したスコッチテープと、未転写のスコッチテープの画像濃度をスペクトロデンシトメーター(商品名:X-Rite938、X-Rite社製)で測定して定量評価し、その差が0.30未満のものを良好、0.30以上のものを不良とした。
転写不良と地汚れ画像の2つを総合した画像品質について、以下の基準で評価した。
[評価基準]
○:画像品質が良好
△:画像品質が良好ではないが、許容なもの
×:画像品質が不良
【0115】
<画像粒状性及び鮮鋭性>
各現像剤を用いて、デジタルフルカラー複写機(imagioColor2800、株式会社リコー製)で、単色の写真画像の出力を行い、画像粒状性、鮮鋭性の度合を目視にて評価した。
[画像粒状性及び鮮鋭性の評価基準]
◎:オフセット印刷画像と同等に良好
○:オフセット印刷画像より劣るが、良好
△:オフセット印刷画像より悪い
×:従来の電子写真画像と同等
【0116】
<耐熱保存性>
耐熱保存性は、針入度試験器(日科エンジニアリング株式会社製)を用いて測定した。
具体的には、各トナーを10g計量し、温度20℃~25℃、40~60%RHの環境下で30mlのガラス容器(スクリューバイアル)に入れ、蓋を閉めた。トナーを入れたガラス容器を100回タッピングした後、温度を50℃にセットした恒温槽に24時間放置した。その後、針入度試験器で針入度を測定し、下記の評価基準により耐熱保存性を評価した。針入度の値が大きいほど、耐熱保存性に優れる。
〔評価基準〕
◎:針入度が30mm以上
○:針入度が25mm以上30mm未満
△:針入度が20mm以上25mm未満
×:針入度が20mm未満
【0117】
【0118】
【0119】
表2~表3の結果から、実施例1~6のトナーは、いずれも、比較例1~3に比べて、帯電安定性、画像品質、画像粒状性、画像鮮鋭性、及び耐熱保存性に優れていることが分かった。
【0120】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 無機粒子を含有するトナーであって、
前記無機粒子が、ベーマイト及び擬ベーマイトの少なくともいずれか、並びにシリカを含むことを特徴とするトナーである。
<2> 前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトが、アルミニウムアルコキシドの加水分解生成物である前記<1>に記載のトナーである。
<3> トナー母体粒子を有し、
前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトの少なくともいずれかの含有量は、前記トナー母体粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーである。
<4> 前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトの少なくともいずれかが、ケイ素含有ベーマイト及びケイ素含有擬ベーマイトの少なくともいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーである。
<5> 前記ベーマイト及び前記擬ベーマイトの平均粒子径が、5nm以上135nm以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載のトナーである。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーを収容したことを特徴とするトナー収容容器である。
<7> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーからなることを特徴とする現像剤である。
<8> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーと、キャリアとを含むことを特徴とする現像剤である。
<9> 前記<7>から<8>のいずれかに記載の現像剤を収容したことを特徴とする現像剤収容容器である。
<10> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像剤で現像を用いて現像して可視像を形成する現像手段とを有し、画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、
前記現像剤が前記<7>から<8>のいずれかに記載の現像剤であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
<11> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記静電潜像を現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記現像剤が前記<7>から<8>のいずれかに記載の現像剤であることを特徴とする画像形成装置である。
【0121】
前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナー、前記<6>に記載のトナー収容容器、前記<7>から<8>のいずれかに記載の現像剤、前記<9>に記載の現像剤収容容器、前記<10>に記載のプロセスカートリッジ、前記<11>に記載の画像形成装置によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0122】
1 プロセスカートリッジ
2 感光体
3 帯電手段
4 現像手段
5 クリーニング手段
10 静電潜像担持体(感光体ドラム)
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
25 定着装置
40 現像装置
61 現像装置
95 転写紙
100A、100B、100C 画像形成装置
120 画像形成ユニット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0123】