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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】液体を吐出する装置および液体吐出方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240130BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B41J2/01 205
B41J2/01 207
B41J2/01 213
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/165 211
B41J2/165 501
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020028784
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021133514
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 祐弥
(72)【発明者】
【氏名】吉田 明仁
(72)【発明者】
【氏名】片平 静穂
(72)【発明者】
【氏名】横山 健治
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 茂
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
(72)【発明者】
【氏名】大宮 達也
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-104127(JP,A)
【文献】特開2007-160802(JP,A)
【文献】特開2010-089376(JP,A)
【文献】特開2009-012392(JP,A)
【文献】特開2012-166375(JP,A)
【文献】特開2000-343686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出対象に対して液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドによって複数回の印刷走査を行う液体を吐出する装置において、
前記複数のノズルから液体吐出が正常に行われない吐出不良ノズルの数及び位置を検出し、該検出結果に基づいて前記複数のノズルのうち正常な液体吐出が可能な正常吐出ノズルのみで構成される正常ノズル群の位置と正常吐出ノズル数を把握し、前記正常ノズル群のみで複数回の印刷走査を行うか、前記吐出不良ノズルを含む前記複数のノズルによって第1の印刷走査を行い、前記正常ノズル群の端部が前記吐出不良ノズルにより不良となった位置に合わせて第2の印刷走査を行うか、を選択する印刷制御部を備え
前記吐出対象が前記液体吐出ヘッドに対して搬送されるものであって、
前記液体吐出ヘッドに対し、前記吐出対象の先端が最初に到達する箇所を前記液体吐出ヘッドの先端とし、前記吐出対象の先端が最後に到達する箇所を前記液体吐出ヘッドの後端とし、
前記印刷制御部は、
前記液体吐出ヘッドの吐出不良ノズルが前記液体吐出ヘッド内の二箇所で検出され、かつ一方が前記液体吐出ヘッドの先端寄り、もう一方が前記液体吐出ヘッドの中央寄りに位置している場合、
未吐出領域の先端を、前記液体吐出ヘッドの中央寄りの吐出不良ノズルより1ドットだけ前記液体吐出ヘッドの先端寄りに合致するように前記吐出対象を搬送させ、
前記吐出不良ノズルによる吐出不良領域と合致するいずれかの正常吐出ノズルと、未吐出領域に相当する正常吐出ノズルのみを使用するように切り替えて印刷走査を行う、
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項2】
吐出対象に対して液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドによって複数回の印刷走査を行う液体を吐出する装置において、
前記複数のノズルから液体吐出が正常に行われない吐出不良ノズルの数及び位置を検出し、該検出結果に基づいて前記複数のノズルのうち正常な液体吐出が可能な正常吐出ノズルのみで構成される正常ノズル群の位置と正常吐出ノズル数を把握し、前記正常ノズル群のみで複数回の印刷走査を行うか、前記吐出不良ノズルを含む前記複数のノズルによって第1の印刷走査を行い、前記正常ノズル群の端部が前記吐出不良ノズルにより不良となった位置に合わせて第2の印刷走査を行うか、を選択する印刷制御部を備え、
前記吐出対象が前記液体吐出ヘッドに対して搬送されるものであって、
前記液体吐出ヘッドに対し、前記吐出対象の先端が最初に到達する箇所を前記液体吐出ヘッドの先端とし、前記吐出対象の先端が最後に到達する箇所を前記液体吐出ヘッドの後端とし、
前記印刷制御部は、
前記液体吐出ヘッドの吐出不良ノズルが前記液体吐出ヘッド内の二箇所で検出され、かつ一方が前記液体吐出ヘッドの後端寄り、もう一方が前記液体吐出ヘッドの中央寄りに位置している場合、
前記吐出不良ノズルによる吐出不良領域を、前記液体吐出ヘッドの後端に合致するよう前記吐出対象を搬送させ、
前記液体吐出ヘッドの後端の正常吐出ノズルと、未吐出領域に相当する正常吐出ノズルのみを使用するように切り替えて印刷走査を行う、
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項3】
前記吐出対象が前記液体吐出ヘッドに対して搬送されるものであって、
前記液体吐出ヘッドに対し、前記吐出対象の先端が最初に到達する箇所を前記液体吐出ヘッドの先端とし、前記吐出対象の先端が最後に到達する箇所を前記液体吐出ヘッドの後端とし、
前記印刷制御部は、
前記液体吐出ヘッドの吐出不良ノズルが前記液体吐出ヘッドの先端寄りにて検出され、液体吐出中に前記吐出不良ノズルによる吐出不良領域が発生した場合、
前記吐出不良領域を前記液体吐出ヘッドの後端に合致するように前記吐出対象を搬送させ、
前記液体吐出ヘッドの後端の正常吐出ノズルと、未吐出領域に相当する正常吐出ノズルとを使用するように切り替えて印刷走査を行う、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体を吐出する装置。
【請求項4】
前記吐出対象が前記液体吐出ヘッドに対して搬送されるものであって、
前記液体吐出ヘッドに対し、前記吐出対象の先端が最初に到達する箇所を前記液体吐出ヘッドの先端とし、前記吐出対象の先端が最後に到達する箇所を前記液体吐出ヘッドの後端とし、
前記印刷制御部は、
前記液体吐出ヘッドの吐出不良ノズルが前記液体吐出ヘッドの後端寄りまたは前記液体吐出ヘッドの中央にて検出された場合、
未吐出領域の先端を、前記液体吐出ヘッドの吐出不良ノズルより1ドットだけ前記液体吐出ヘッドの先端寄りに合致するように前記吐出対象を搬送させ、
前記液体吐出ヘッドの吐出不良ノズルより1ドットだけ前記液体吐出ヘッドの先端寄りのノズルから、前記液体吐出ヘッドの先端に至るまでの正常吐出ノズルのみを使用するように切り替えて印刷走査を行う、
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項5】
前記吐出対象が前記液体吐出ヘッドに対して搬送されるものであって、
前記液体吐出ヘッドに対し、前記吐出対象の先端が最初に到達する箇所を前記液体吐出ヘッドの先端とし、前記吐出対象の先端が最後に到達する箇所を前記液体吐出ヘッドの後端とし、
前記印刷制御部は、
前記液体吐出ヘッドの吐出不良ノズルが前記液体吐出ヘッド内の二箇所で検出され、かつそれぞれが前記液体吐出ヘッドの先端および前記液体吐出ヘッドの後端から同じ距離に位置しており、かつ前記液体吐出ヘッドの中央寄りに並んでいた場合、
未吐出領域の先端を、前記液体吐出ヘッドの先端側の吐出不良ノズルより1ドットだけ前記液体吐出ヘッドの先端寄りに合致するよう前記吐出対象を搬送させ、
前記液体吐出ヘッドの先端側の吐出不良ノズルより1ドットだけ前記液体吐出ヘッドの先端寄りのノズルから、前記液体吐出ヘッドの先端に至るまでの正常吐出ノズルのみを使用するように切り替えて印刷走査を行う、
ことを特徴とする請求項1ないしの何れか一項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項6】
前記吐出対象が前記液体吐出ヘッドに対して搬送されるものであって、
前記液体吐出ヘッドに対し、前記吐出対象の先端が最初に到達する箇所を前記液体吐出ヘッドの先端とし、前記吐出対象の先端が最後に到達する箇所を前記液体吐出ヘッドの後端とし、
前記印刷制御部は、
前記液体吐出ヘッドの前記吐出不良ノズルが前記液体吐出ヘッド内の二箇所で検出され、かつ当該二箇所の前記吐出不良ノズルが前記液体吐出ヘッド内を三等分するような等間隔で並んでいた場合、
未吐出領域の先端を、前記液体吐出ヘッドの先端側の吐出不良ノズルより1ドットだけ前記液体吐出ヘッドの先端寄りに合致するよう前記吐出対象を搬送させ、
前記液体吐出ヘッドの先端側の吐出不良ノズルより1ドットだけ前記液体吐出ヘッドの先端寄りのノズルから、前記液体吐出ヘッドの先端に至るまでの正常吐出ノズルのみを使用するように切り替えて印刷走査を行う、
ことを特徴とする請求項1ないしの何れか一項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項7】
前記吐出対象が前記液体吐出ヘッドに対して搬送されるものであって、
前記液体吐出ヘッドに対し、前記吐出対象の先端が最初に到達する箇所を前記液体吐出ヘッドの先端とし、前記吐出対象の先端が最後に到達する箇所を前記液体吐出ヘッドの後端とし、
前記印刷制御部は、
前記液体吐出ヘッドの吐出不良ノズルが前記液体吐出ヘッド内の二箇所で検出され、かつそれぞれが前記液体吐出ヘッドの先端および前記液体吐出ヘッドの後端から同じ距離に位置しており、かつ前記液体吐出ヘッドの外側寄りに並んでいた場合、
前記吐出不良ノズルによる吐出不良領域を、前記液体吐出ヘッドの後端側の前記吐出不良ノズルより1ドットだけ前記液体吐出ヘッドの後端寄りに合致するよう前記吐出対象を搬送させ、
前記液体吐出ヘッドの後端側の吐出不良ノズルより1ドットだけ前記液体吐出ヘッドの後端寄りのノズルと、未吐出領域に相当する正常吐出ノズルのみを使用するように切り替えて印刷走査を行う、
ことを特徴とする請求項1ないしの何れか一項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項8】
前記複数のノズルを吸引する維持回復手段を備え、
前記印刷制御部は、前記液体吐出ヘッドの吐出不良ノズルが前記液体吐出ヘッド内の三箇所以上で検出された場合、前記維持回復手段が前記複数のノズルを吸引して前記複数のノズルから前記液体を排出することである従来のメンテナンスを実施するように切り替える、
ことを特徴とする請求項1ないしの何れか一項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項9】
前記複数のノズルを吸引する維持回復手段を備え、
前記印刷制御部は、前記液体吐出ヘッドの吐出不良ノズルが前記液体吐出ヘッド内の二箇所以下で検出された場合、前記維持回復手段が前記複数のノズルを吸引して前記複数のノズルから前記液体を排出することである従来のメンテナンスを用いた方が当該印刷制御部による制御よりも完了予測所要時間が短い場合、前記従来のメンテナンスを実施するように切り替えて印刷走査を行う、
ことを特徴とする請求項1ないしの何れか一項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項10】
前記印刷制御部は、
前記吐出不良ノズルによる吐出不良領域の幅が細く、前記吐出対象の搬送機構の精度的に補修が困難な場合、
前記液体吐出ヘッドの吐出不良ノズルと隣接する正常吐出ノズルを不使用とする、
ことを特徴とする請求項ないしの何れか一項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項11】
前記印刷制御部は、
前記液体吐出ヘッドの空吐出を行うような制御がある場合、
不使用ノズルに対しては空吐出を行わないようにする、
ことを特徴とする請求項1ないしの何れか一項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項12】
吐出対象に対して液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドによって複数回の印刷走査を行う液体を吐出する装置における液体吐出方法であって、
前記複数のノズルから液体吐出が正常に行われない吐出不良ノズルの数及び位置を検出し、該検出結果に基づいて前記複数のノズルのうち正常な液体吐出が可能な正常吐出ノズルのみで構成される正常ノズル群の位置と正常吐出ノズル数を把握し、前記正常ノズル群のみで複数回の印刷走査を行うか、前記吐出不良ノズルを含む前記複数のノズルによって第1の印刷走査を行い、前記正常ノズル群の端部が前記吐出不良ノズルにより不良となった位置に合わせて第2の印刷走査を行うか、を選択する工程を含
前記吐出対象が前記液体吐出ヘッドに対して搬送されるものであって、
前記液体吐出ヘッドに対し、前記吐出対象の先端が最初に到達する箇所を前記液体吐出ヘッドの先端とし、前記吐出対象の先端が最後に到達する箇所を前記液体吐出ヘッドの後端とし、
前記選択する工程は、
前記液体吐出ヘッドの吐出不良ノズルが前記液体吐出ヘッド内の二箇所で検出され、かつ一方が前記液体吐出ヘッドの先端寄り、もう一方が前記液体吐出ヘッドの中央寄りに位置している場合、
未吐出領域の先端を、前記液体吐出ヘッドの中央寄りの吐出不良ノズルより1ドットだけ前記液体吐出ヘッドの先端寄りに合致するように前記吐出対象を搬送させ、
前記吐出不良ノズルによる吐出不良領域と合致するいずれかの正常吐出ノズルと、未吐出領域に相当する正常吐出ノズルのみを使用するように切り替えて印刷走査を行う、
ことを特徴とする液体吐出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する装置および液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吐出不良ノズルによって記録されなかった部分を補完する目的で、吐出不良ノズル以外の吐出可能ノズルを不記録部分(白スジ領域)と対応させて記録ヘッドの走査で記録を行う技術が開示されている。特許文献1に開示の技術によれば、スループットを大幅に落とすことなく、かつ記録ヘッドの一部の記録素子に大きな負荷をかけることなく、吐出不良ノズルの補完を行うことが可能となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示の技術によれば、吐出可能ノズルと不記録部分(白スジ領域)とを対応させることによる吐出不良ノズルの補完について、吐出不良ノズルの位置がどの位置にあるかなどに応じて最適な補完手順を選択し、選択された手順に従って吐出不良ノズルの補完を行うことはできない、という問題があった。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、不記録部分(白スジ領域)の精度の高い補完と新規記録とを効率よく並行して行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、吐出対象に対して液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドによって複数回の印刷走査を行う液体を吐出する装置において、前記複数のノズルから液体吐出が正常に行われない吐出不良ノズルの数及び位置を検出し、該検出結果に基づいて前記複数のノズルのうち正常な液体吐出が可能な正常吐出ノズルのみで構成される正常ノズル群の位置と正常吐出ノズル数を把握し、前記正常ノズル群のみで複数回の印刷走査を行うか、前記吐出不良ノズルを含む前記複数のノズルによって第1の印刷走査を行い、前記正常ノズル群の端部が前記吐出不良ノズルにより不良となった位置に合わせて第2の印刷走査を行うか、を選択する印刷制御部を備え、前記吐出対象が前記液体吐出ヘッドに対して搬送されるものであって、前記液体吐出ヘッドに対し、前記吐出対象の先端が最初に到達する箇所を前記液体吐出ヘッドの先端とし、前記吐出対象の先端が最後に到達する箇所を前記液体吐出ヘッドの後端とし、前記印刷制御部は、前記液体吐出ヘッドの吐出不良ノズルが前記液体吐出ヘッド内の二箇所で検出され、かつ一方が前記液体吐出ヘッドの先端寄り、もう一方が前記液体吐出ヘッドの中央寄りに位置している場合、未吐出領域の先端を、前記液体吐出ヘッドの中央寄りの吐出不良ノズルより1ドットだけ前記液体吐出ヘッドの先端寄りに合致するように前記吐出対象を搬送させ、前記吐出不良ノズルによる吐出不良領域と合致するいずれかの正常吐出ノズルと、未吐出領域に相当する正常吐出ノズルのみを使用するように切り替えて印刷走査を行う、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、不記録部分(白スジ領域)の精度の高い補完と新規記録とを効率よく並行して行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置の機構部の全体構成を側方から示す図である。
図2図2は、画像形成装置の機構部を上方から示す図である。
図3図3は、記録ヘッドの液室長手方向に沿う断面を示す図である。
図4図4は、記録ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面を示す図である。
図5図5は、画像形成装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図6図6は、記録ヘッド制御部と駆動波形生成回路と記録ヘッドドライバとの構成例を示すブロック図である。
図7図7は、駆動波形生成回路で生成出力する駆動波形の一例を示す図である。
図8図8は、画像処理部の構成例を示す機能ブロック図である。
図9図9は、不良ノズル補正処理の流れを示すフローチャートである。
図10図10は、パターン1およびパターン2において登場する位置の呼称の詳細を示す図である。
図11図11は、パターン3およびパターン4において登場する位置の呼称の詳細を示す図である。
図12図12は、パターン5およびパターン6において登場する位置の呼称の詳細を示す図である。
図13図13は、パターン1の条件による不良ノズル補正処理を示す図である。
図14図14は、パターン2の条件による不良ノズル補正処理を示す図である。
図15図15は、パターン3の条件による不良ノズル補正処理を示す図である。
図16図16は、パターン4の条件による不良ノズル補正処理を示す図である。
図17図17は、パターン5の条件による不良ノズル補正処理を示す図である。
図18図18は、パターン6の条件による不良ノズル補正処理を示す図である。
図19図19は、従来のメンテナンスによる不良ノズル補正処理を示す図である。
図20図20は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置のメイン制御基板で行われる動作切り替え処理の流れを示すフローチャートである。
図21図21は、第3の実施の形態にかかる不良ノズル補正処理を示す図である。
図22図22は、幅広の白スジ作成処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、液体を吐出する装置および液体吐出方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
ここで、図1は第1の実施の形態にかかる画像形成装置100の機構部の全体構成を側方から示す図、図2は画像形成装置100の機構部を上方から示す図である。本実施形態は、液体を吐出する装置として、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機である画像形成装置100を適用したものである。
【0010】
画像形成装置100は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド1と、ガイドレール2とで、キャリッジ3を主走査方向に摺動自在に保持する。キャリッジ3は、主走査モータ4で駆動プーリ71aと従動プーリ71bとの間に張架したタイミングベルト5を駆動することにより、図2の方向X(主走査方向)に移動走査する。
【0011】
キャリッジ3は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)を吐出する液体吐出ヘッドからなる4個の記録ヘッドユニット7y、7c、7m、7kを配列する。4個の記録ヘッドユニット7y、7c、7m、7kは、複数のインク吐出口が主走査方向と交差する方向に配列され、インク滴吐出方向が下方に向くように装着されている。但し、色を区別しないときは各記録ヘッドユニット7y、7c、7m、7kは「記録ヘッド7」という。
【0012】
尚、本実施形態の記録ヘッド7は、4色の有色インクを搭載しているが、これ以外の色を搭載することも可能である。例えば、記録ヘッド7は、定着性向上を目的とした処理液や、光沢付与を目的とした光沢付与液を搭載する。
【0013】
記録ヘッド7を構成する液体吐出ヘッドとしては、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータが挙げられる。また、液体吐出ヘッドは、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等を、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたもの等が使用できる。
【0014】
また、色毎に独立したヘッド構成に限るものではなく、複数の色の液滴を吐出する複数のノズルで構成されるノズル列を有する1又は複数の液体吐出ヘッドで構成することもできる。本実施形態では図2に示すようなシリアル型プリンタの構成としているが、用紙幅を包括するヘッドを各色備えたライン型プリンタであってもよい。
【0015】
また、図2に示すキャリッジ3は、記録ヘッド7に各色のインクを供給するための各色のサブタンク8を搭載する。このサブタンク8は、インク供給チューブ9を介して図示しないメインタンク(インクカートリッジ)からインクを補充供給される。
【0016】
画像形成装置100は、給紙カセット10等の用紙積載部(圧板)11上に積載した用紙12を給紙するための給紙部を備える。給紙部は、用紙積載部11から用紙12を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙ローラとも言う。)13に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド14を備える。分離パッド14は半月コロ(給紙ローラ)13側に付勢されている。
【0017】
搬送ベルト21は、給紙部から給紙された用紙12を静電吸着し、記録ヘッド7の下方側で搬送する。カウンタローラ22は、給紙部からガイド15を介して送られる用紙12を搬送ベルト21との間で挟んで搬送する。搬送ガイド23は、略鉛直上方に送られる用紙12を略90度方向転換させて搬送ベルト21上に倣わせる。押さえコロ25は、押さえ部材24で搬送ベルト21側に付勢されている。帯電ローラ26は、搬送ベルト21の表面を帯電させるための帯電手段である。
【0018】
ここで、搬送ベルト21は、無端状ベルトであり、搬送ローラ27とテンションローラ28との間に掛け渡される。搬送ローラ27は、副走査モータ31からタイミングベルト32及びタイミングローラ33を介して回転される。この回転により、搬送ベルト21は、図2のベルト搬送方向Y(副走査方向)に周回するように構成されている。
【0019】
尚、搬送ベルト21は、裏面側に、記録ヘッド7による画像形成領域に対応してガイド部材29を配置している。また、帯電ローラ26は、搬送ベルト21の表層に接触し、搬送ベルト21の回動に従動して回転するように配置されている。
【0020】
また、図2に示すように、スリット円板34が、搬送ローラ27の軸に取り付けられている。エンコーダセンサ35は、スリット円板34のスリットを検知する。これらのスリット円板34及びエンコーダセンサ35によってロータリーエンコーダ36が構成されている。
【0021】
さらに、画像形成装置100は、記録ヘッド7で記録された用紙12を排紙するための排紙部を備える。排紙部は、搬送ベルト21から用紙12を分離するための分離爪51と、排紙駆動ローラ52及び排紙ローラ53と、排紙される用紙12をストックする排紙トレイ54とを備えている。
【0022】
また、画像形成装置100は、背部に、両面給紙ユニットを着脱自在に備えている。この両面給紙ユニットは、搬送ベルト21の逆方向回転で戻される用紙12を取り込んで反転させて再度カウンタローラ22と搬送ベルト21との間に給紙する。
【0023】
さらに、図2に示すように、画像形成装置100は、キャリッジ3の走査方向の一方側の非印字領域に、記録ヘッド7のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構56を配置している。
【0024】
維持回復機56は、記録ヘッド7の各ノズル面をキャピングする各キャップ57と、ノズル面をワイピングするワイパーブレード58と、増粘したインクを排出するため記録に寄与しない液滴を吐出させるときの液滴を受ける空吐出受け59等を備える。
【0025】
画像形成装置100において、給紙部から用紙12が、1枚ずつ分離給紙される。略鉛直上方に給紙された用紙12は、ガイド15で案内され、搬送ベルト21とカウンタローラ22との間に挟まれて搬送される。画像形成装置100において、用紙12は、更に先端を搬送ガイド23で案内されて押さえコロ25で搬送ベルト21に押し付けられ、略90度搬送方向を転換される。
【0026】
このとき、画像形成装置100は、図示しない制御部によってACバイアス供給部から帯電ローラ26に対して交番電圧を印加し、搬送ベルト21の周回方向である副走査方向Yに、プラスとマイナスとが交互に所定の幅で繰り返されるパターンで帯電させる。この帯電した搬送ベルト21上に用紙12が給送されると、用紙12が搬送ベルト21に静電力で吸着され、搬送ベルト21の周回移動によって用紙12が副走査方向に搬送される。
【0027】
そこで、画像形成装置100は、キャリッジ3を往路及び復路方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド7を駆動することにより、停止している用紙12にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙12を所定量搬送後、次の行の記録を行なう。画像形成装置100は、記録終了信号又は用紙12の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙12を排紙トレイ54に排紙する。
【0028】
また、画像形成装置100は、両面印刷の場合には、表面(最初に印刷する面)の記録が終了したときに、搬送ベルト21を逆回転させる。画像形成装置100は、この逆回転で、記録済みの用紙12を両面給紙ユニット61内に送り込み、用紙12を反転させて(裏面が印刷面となる状態にして)再度カウンタローラ22と搬送ベルト21との間に給紙する。画像形成装置100は、タイミング制御を行い、前述したと同様に搬送ベルト21上に搬送して裏面に記録を行った後、排紙トレイ54に排紙する。
【0029】
また、画像形成装置100は、印字(記録)待機中には、キャリッジ3を維持回復機構56側に移動する。維持回復機構56は、キャップ57で記録ヘッド7のノズル面をキャッピングして、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。維持回復機構56は、キャップ57で記録ヘッド7をキャッピングした状態でノズルからインクを吸引し、増粘したインクや気泡を排出する回復動作を行う。維持回復機構56は、この回復動作によって記録ヘッド7のノズル面に付着したインクを清掃除去するために、ワイパーブレード58でワイピングを行なう。また、維持回復機構56は、記録開始前、記録途中等に記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行なう。これによって、画像形成装置100は、記録ヘッド7の安定した吐出性能を維持する。
【0030】
ここで、161は発光素子であり、162は受光素子である。発光素子161がノズルから吐出されるインクの液滴を照射し、受光素子162が受光することにより、不良ノズルの有無及び不良ノズルの位置を検知する。不良ノズルの検知方法は複数知られているため本実施形態では説明を省略する。
【0031】
次に、記録ヘッド7を構成している液体吐出ヘッドの一例について図3及び図4を参照して説明する。尚、図3は、記録ヘッド7の液室長手方向に沿う断面を示す図である。図4は、記録ヘッド7の液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面を示す図である。
【0032】
この液体吐出ヘッドは、流路板101と、振動板102と、ノズル板103、ノズル連通路105、液室(圧力室とも言う。)106、及びインク供給口109等が形成されている。
【0033】
流路板101は、例えば単結晶シリコン基板を異方性エッチングして形成したものである。液体吐出ヘッドは、流路板101の下面に接合した例えばニッケル電鋳で形成した振動板102と、流路板101の上面に接合したノズル板103とを接合して積層されている。液体吐出ヘッドには、液滴(インク滴)を吐出するノズル104が連通する流路であるノズル連通路105及び圧力発生室である液室106、液室106に流体抵抗部(供給路)107を通じてインクを供給するための共通液室108に連通するインク供給口109等が形成されている。
【0034】
また、液体吐出ヘッドは、振動板102を変形させて液室106内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての2列の積層型圧電素子121と、この圧電素子121を接合固定するベース基板122とを備えている。
【0035】
尚、液体吐出ヘッドは、圧電素子121の間には支柱部123を設けている。この支柱部123は圧電素子部材を分割加工することで圧電素子121と同時に形成した部分であるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
【0036】
また、液体吐出ヘッドは、圧電素子121には図示しない駆動回路(駆動IC:Integrated Circuit)を搭載したFPCケーブル126を接続している。
【0037】
振動板102の周縁部はフレーム部材130に接合されている。フレーム部材130には、圧電素子121及びベース基板122等で構成されるアクチュエータユニットを収納する貫通部131及び共通液室108となる凹部、この共通液室108に外部からインクを供給するためのインク供給穴132を形成している。このフレーム部材130は、例えばエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成している。
【0038】
ここで、流路板101は、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)等のアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路105、液室106となる凹部や穴部を形成したものである。しかし、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂などを用いることもできる。
【0039】
振動板102は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他、金属板や金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。液体吐出ヘッドは、振動板102に圧電素子121及び支柱部123を接着剤接合し、更にフレーム部材130を接着剤接合している。
【0040】
ノズル板103は各液室106に対応して直径10~30μmのノズル104を形成し、流路板101に接着剤接合している。このノズル板103は、金属部材からなるノズル形成部材の表面に所要の層を介して最表面に撥水層を形成したものである。
【0041】
圧電素子121は、圧電材料151と内部電極152とを交互に積層した積層型圧電素子(ここではPZT:チタン酸ジルコン酸鉛)である。この圧電素子121の交互に異なる端面に引き出された各内部電極152には個別電極(選択電極とも言う。)153及び共通電極154が接続されている。
【0042】
なお、本実施形態では、圧電素子121の圧電方向としてd33方向の変位を用いて液室106内インクを加圧する構成としているが、圧電素子121の圧電方向としてd31方向の変位を用いて液室106内インクを加圧する構成とすることもできる。また、1つの基板122に1列の圧電素子121が設けられる構造とすることもできる。
【0043】
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子121に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子121が収縮する。振動板102が下降して液室106の容積が膨張することで、液室106内にインクが流入する。その後、液体吐出ヘッドは、圧電素子121に印加する電圧を上げて圧電素子121を積層方向に伸長させ、振動板102をノズル104方向に変形させて液室106の容積/体積を収縮させることにより、液室106内のインクを加圧する。この結果、ノズル104からインクの滴が吐出(噴射)される。
【0044】
そして、液体吐出ヘッドは、圧電素子121に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板102が初期位置に復元し、液室106が膨張して負圧を発生させる。このとき、共通液室108から液室106内にインクが充填される。
【0045】
そこで、液体吐出ヘッドは、ノズル104のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
【0046】
なお、液体吐出ヘッドの駆動方法については上記の例(引き-押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ち等を行なうこともできる。
【0047】
次に、この画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。
【0048】
図5は、画像形成装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。図5に示すように、画像形成装置100は、メイン制御基板700と、ヘッド中継基板900と、画像処理基板800とを備える。
【0049】
メイン制御基板700は、印刷制御部として機能する。メイン制御基板700には、CPU(Central Processing Unit)701、FPGA(Field-Programmable Gate Array)702、RAM(Random Access Memory)703、ROM(Read Only Memory)704、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)705、モータドライバ706、駆動波形生成回路707などが実装されている。
【0050】
CPU701は、画像形成装置100の全体の制御を司る。例えば、CPU701は、RAM703を作業領域として利用して、ROM704に格納された各種の制御プログラムを実行し、画像形成装置100における各種動作を制御するための制御指令を出力する。この際CPU701は、FPGA702と通信しながら、FPGA702と協働して画像形成装置100における各種の動作制御を行う。
【0051】
本実施形態の画像形成装置100で実行される制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0052】
また、本実施形態の画像形成装置100で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の画像形成装置100で実行される制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0053】
FPGA702には、CPU制御部711、メモリ制御部712、I2C制御部713、センサ処理部714、モータ制御部715、および記録ヘッド制御部716が設けられている。
【0054】
CPU制御部711は、CPU701と通信を行う機能を持つ。メモリ制御部712は、RAM703やROM704にアクセスする機能を持つ。I2C制御部713は、NVRAM705と通信を行う機能を持つ。
【0055】
センサ処理部714は、各種センサ9000のセンサ信号の処理を行う。各種センサ9000は、画像形成装置100における各種の状態を検知するセンサの総称である。各種センサ9000には、上述したエンコーダセンサ35のほか、記録紙Pの通過を検知する用紙センサ、カバー部材の開放を検知するカバーセンサ、環境温度や湿度を検知する温湿度センサ、記録紙Pを固定するレバーの動作状態を検知する用紙固定レバー用センサ、カートリッジ7のインク残量を検知する残量検知センサなどが含まれる。
【0056】
なお、温湿度センサなどから出力されるアナログのセンサ信号は、例えばメイン制御基板700などに実装されるADコンバータによりデジタル信号に変換されてFPGA702に入力される。
【0057】
モータ制御部715は、各種モータ2000の制御を行う。各種モータ2000は、画像形成装置100が備えるモータの総称である。各種モータ2000には、キャリッジを動作させるための主走査モータ、記録紙Pを副走査方向に搬送するための副走査モータ、記録紙Pを給紙するための給紙モータ、維持機構15を動作させるための維持モータなどが含まれる。
【0058】
ここで、主走査モータ8の動作制御を例に挙げて、CPU701とFPGA702のモータ制御部715との連携による制御の具体例を説明する。
【0059】
まず、CPU701がモータ制御部715に対して、主走査モータ8の動作開始指示とともに、キャリッジ5の移動速度および移動距離を通知する。この指示を受けたモータ制御部715は、CPU701から通知された移動速度および移動指示の情報をもとに駆動プロファイルを生成し、センサ処理部714から供給されるエンコーダ値(エンコーダセンサ35のセンサ信号を処理して得られた値)との比較を行いながら、PWM指令値を算出してモータドライバ706に出力する。モータ制御部715は、所定の動作を終了するとCPU701に対して動作終了を通知する。
【0060】
なお、ここではモータ制御部715が駆動プロファイルを生成する例を説明したが、CPU701が駆動プロファイルを生成してモータ制御部715に指示する構成であってもよい。CPU701は、印字枚数のカウントや主走査モータ8のスキャン数のカウントなども行っている。
【0061】
記録ヘッド制御部716は、ROM704に格納されたヘッド駆動データ、吐出同期信号LINE、吐出タイミング信号CHANGEを駆動波形生成回路707に渡して、駆動波形生成回路707に共通駆動波形信号Vcomを生成させる。駆動波形生成回路707が生成した共通駆動波形信号Vcomは、ヘッド中継基板900に実装された後述の記録ヘッドドライバ210に入力される。
【0062】
次に、印刷制御部207及びヘッドドライバ208の一例について図6を参照して説明する。
【0063】
図6は、記録ヘッド制御部910と駆動波形生成回路707と記録ヘッドドライバ210との構成例を示すブロック図である。図6に示すように、記録ヘッド制御部910は、吐出のタイミングのトリガーとなるトリガー信号Trigを受信すると、駆動波形の生成のトリガーとなる吐出同期信号LINEを駆動波形生成回路707へ出力する。さらに、記録ヘッド制御部910は、吐出同期信号LINEからの遅延量に当たる吐出タイミング信号CHANGEを駆動波形生成回路707へ出力する。
【0064】
駆動波形生成回路707は、吐出同期信号LINEと、吐出タイミング信号CHANGEに基づいたタイミングで共通駆動波形Vcomを生成する。
【0065】
さらに、記録ヘッド制御部910は、画像処理基板800に設けられた後述の画像処理部810から画像処理後の画像データSD’を受け取る。記録ヘッド制御部910は、この画像デー他SD’を元に記録ヘッド7の各ノズルから吐出させるインク滴の大きさに応じて共通駆動波形信号Vcomの所定波形を選択するためのマスク制御信号MNを生成する。マスク制御信号MNは、吐出タイミング信号CHANGEに同期したタイミングの信号である。そして、記録ヘッド制御部910は、画像データSD’と、同期クロック信号SCKと、画像データのラッチを命令するラッチ信号LTと、生成したマスク制御信号MNとを、記録ヘッドドライバ210に転送する。
【0066】
記録ヘッドドライバ210は、図6に示すように、シフトレジスタ211、ラッチ回路212、階調デコーダ213、レベルシフタ214、およびアナログスイッチ215を備える。
【0067】
シフトレジスタ211は、記録ヘッド制御部910から転送される画像データSD’および同期クロック信号SCKを入力する。ラッチ回路212は、シフトレジスタ211の各レジスト値を、記録ヘッド制御部910から転送されるラッチ信号LTによってラッチする。
【0068】
階調デコーダ213は、ラッチ回路212でラッチした値(画像データSD’)とマスク制御信号MNとをデコードして結果を出力する。レベルシフタ214は、階調デコーダ213のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチ215が動作可能なレベルへとレベル変換する。
【0069】
アナログスイッチ215は、レベルシフタ214を介して与えられる階調デコーダ213の出力でオン/オフするスイッチである。このアナログスイッチ215は、記録ヘッド7が備える上述したノズルごとに設けられ、各ノズルに対応する圧電素子70の個別電極83に接続されている。また、アナログスイッチ215には、駆動波形生成回路707からの共通駆動波形信号Vcomが入力されている。また、上述したようにマスク制御信号MNのタイミングが共通駆動波形Vcomのタイミングと同期している。したがって、レベルシフタ214を介して与えられる階調デコーダ213の出力に応じて適切なタイミングでアナログスイッチ215のオン/オフが切り替えられることにより、共通駆動波形信号Vcomを構成する駆動波形の中から各ノズルに対応する圧電素子70に印加される波形が選択される。その結果、ノズルから吐出されるインク滴の大きさが制御される。
【0070】
ここで、図7は駆動波形生成回路707で生成出力する駆動波形の一例を示す図である。駆動波形生成回路707からは1印刷周期(1駆動周期)内に、図7に示すように、基準電位Veから立ち下がる波形要素と、立下り後の状態から立ち上がる波形要素等で公正される8個の駆動パルスP1~P8からなる駆動信号を生成して出力する。
【0071】
一方、記録ヘッドドライバ210は、記録ヘッド制御部910からのマスク信号MNによって使用する駆動パルスを選択する。
【0072】
ここで、駆動パルスの電位Vが基準電位Veから立ち下がる波形要素は、これによって圧電素子121が収縮して液室106の容積が膨張する引き込み波形要素である。また、立下り後の状態から立ち上がる波形要素は、これによって圧電素子121が伸長して液室106の容積が収縮する加圧波形要素である。
【0073】
図8は、画像処理部810の構成例を示す機能ブロック図である。
【0074】
画像処理部810は、受付けた画像データについて、階調処理、画像変換処理などを行い、記録ヘッド制御部716で処理可能な形式の画像データに変換する。そして、画像処理部8は、変換後の画像データを、記録ヘッド制御部716へ出力する。
【0075】
詳細には、画像処理部810は、インターフェイス41と、階調処理部42と、画像変換部43と、画像処理部RAM44と、を有する。
【0076】
インターフェイス41は、画像データの入力部であり、CPU701、およびFPGA702との通信インターフェイスである。階調処理部42は、受付けた多値の画像データに階調処理を行う。そして、階調処理部42は、階調処理を行った画像データを、画像処理部RAM44上に1バンド分以上保持する。1バンド分の画像データとは、記録ヘッド7が1度の主走査方向Xの走査で記録可能な最大の副走査方向の幅に相当する画像データを指す。
【0077】
画像変換部43は、画像処理部RAM44上の1バンド分の画像データについて、主走査方向Xへの1度の走査(1スキャン)で出力する画像単位で、画像データを変換する。画像変換部43は、インターフェイス41を介してCPU701から受付けた、印字順序、および印字幅(=1スキャンあたりの画像記録の副走査幅)の情報に従い、記録ヘッド7の構成に合わせて変換する。
【0078】
印字順序、印字幅は、記録媒体に対して1回の主走査で画像を形成する1パス印字でも良く、記録媒体の同一領域に対して同一のノズル群あるいは異なるノズル群によって複数回の主走査で画像を形成するマルチパス印字を用いても良い。また、主走査方向にヘッドを並べて、同一領域を異なるノズルで打ち分けても良い。これらの記録方法は適宜組み合わせて用いることができる。
【0079】
印字幅とは、記録ヘッド7の1度の主走査方向Xへの走査(1スキャン)で記録する画像の、副走査方向Yの幅を示す。本実施の形態では、印字幅は、CPU701が設定する。
【0080】
画像変換部43は、変換した画像データSD’を、インターフェイス41を介して画像記録部50へ出力する。
【0081】
画像処理部810の機能は、FPGAやASIC等のハードウェア機能として実行されても良いし、画像処理部810内部の記憶装置に記憶された画像処理プログラムによって実施されるものであっても良い。
【0082】
図9は、画像形成装置100のメイン制御基板700で行われる不良ノズル補正処理の流れを示すフローチャートである。より詳細には、図9は、吐出不良ノズルの数及び位置を踏まえて、パターン1からパターン6及び従来メンテナンスをそれぞれどのような条件で行うかを表したフローチャートである。
【0083】
図9に示すように、メイン制御基板700は、画像形成装置100内の発光素子161および受光素子162を用いて、色版毎の不良ノズルの有無および不良ノズルの位置情報を検出する。メイン制御基板700は、吐出不良ノズルが検出されなかった場合、処理を終了する(ステップS1のNo)。
【0084】
一方、吐出不良ノズルが検出された場合(ステップS1のYes)、メイン制御基板700は、吐出不良ノズルの行数を検出する(ステップS2)。
【0085】
メイン制御基板700は、吐出不良ノズルの行数が1行の場合であって(ステップS2/1行)、吐出不良ノズルの位置が記録ヘッド7の中央からヘッド先端7a寄りにある場合(ステップS3のYes)、パターン1の条件による不良ノズル補正処理を実行する(ステップS4)。
【0086】
メイン制御基板700は、吐出不良ノズルの行数が1行の場合であって(ステップS2/1行)、吐出不良ノズルの位置が記録ヘッド7の中央からヘッド先端7a寄りにない場合(ステップS3のNo)、パターン2の条件による不良ノズル補正処理を実行する(ステップS5)。
【0087】
ここで、図10は、パターン1およびパターン2において登場する位置の呼称の詳細を示す図である(AとBは距離)。
【0088】
一方、メイン制御基板700は、吐出不良ノズルの行数が2行の場合であって(ステップS2/2行)、一方の吐出不良ノズルの位置がヘッド先端7a寄りであり、他方の吐出不良ノズルの位置がヘッド中央寄りにある場合(ステップS6のYes)、パターン3の条件による不良ノズル補正処理を実行する(ステップS7)。
【0089】
メイン制御基板700は、吐出不良ノズルの行数が2行の場合であって(ステップS2/2行)、一方の吐出不良ノズルの位置がヘッド中央寄りであり、他方の吐出不良ノズルの位置がヘッド後端7b寄りにある場合(ステップS6のNo、ステップS8のYes)、パターン4の条件による不良ノズル補正処理を実行する(ステップS9)。
【0090】
ここで、図11は、パターン3およびパターン4において登場する位置の呼称の詳細を示す図である(CとDとEは距離)。
【0091】
メイン制御基板700は、吐出不良ノズルの行数が2行の場合であって(ステップS2/2行)、それぞれの吐出不良ノズルの位置がヘッド両端から同じ距離、かつ、ヘッド内側寄りにある、または、等間隔にある場合(ステップS6のNo、ステップS8のNo、ステップS10のYes)、パターン5の条件による不良ノズル補正処理を実行する(ステップS11)。ここで、等間隔にある場合とは、一方の吐出不良ノズルの位置からヘッド先端7aまでの距離と、ヘッド後端7bから他方の吐出不良ノズルの位置までの距離と、一方の吐出不良ノズルの位置から他方の吐出不良ノズルの位置までの距離と、が全て同じである場合のことをいう。
【0092】
そして、メイン制御基板700は、吐出不良ノズルの行数が2行の場合であって(ステップS2/2行)、それぞれの吐出不良ノズルの位置がヘッド両端から同じ距離、かつ、ヘッド外側寄りにある場合(ステップS6のNo、ステップS8のNo、ステップS10のNo)、パターン6の条件による不良ノズル補正処理を実行する(ステップS12)。
【0093】
ここで、図12は、パターン5およびパターン6において登場する位置の呼称の詳細を示す図である(CとDとEは距離)。
【0094】
一方、メイン制御基板700は、吐出不良ノズルの行数が3行以上の場合(ステップS2/3行以上)、従来のメンテナンスを行う(ステップS13)。
【0095】
[パターン1の条件による不良ノズル補正処理]
ここで、パターン1の条件による不良ノズル補正処理について説明する。
【0096】
図13は、パターン1の条件による不良ノズル補正処理を示す図である。図1(a)は、記録ヘッド7においてヘッド中央からヘッド先端7a寄りで吐出不良ノズル行71が検出された場合の、印刷動作開始後の一回目の記録媒体搬送を示す図である。
【0097】
図13(a)に示すように、吐出不良ノズルを含む吐出不良ノズル行71が印刷動作開始前に検出されたとする。メイン制御基板700は、印刷動作が開始されたら、用紙先端12aとヘッド後端7bとが横方向に合わさるように、用紙12を搬送方向Yへ搬送させる。
【0098】
図13(b)は、記録ヘッド7においてヘッド中央からヘッド先端7a寄りで吐出不良ノズル行71が検出された場合の、印刷動作開始後の一回目の1ライン印字動作終了時の図である。図7bに示すように、メイン制御基板700は、記録ヘッド7のノズルからインクを吐出させながらヘッド稼働方向(主走査方向)Xの往復動作を経て、1ライン印字を済ませる。この場合、正常吐出ノズル行72’によって印字された印字済領域12’’の中に、吐出不良ノズル行71の影響で白スジ80が生じる。
【0099】
図13(c)は、記録ヘッド7においてヘッド中央からヘッド先端7a寄りで吐出不良ノズル行71が検出された場合の、印刷動作開始後の二回目以降の記録媒体搬送の図である。図13(c)に示すように、メイン制御基板700は、一回目と異なり、白スジ80と、ヘッド後端7bが横方向に合わさるように用紙12を搬送方向Yへ搬送させる。この場合、ヘッド後端7bを合わせることで正常吐出ノズル行72’を多く使用することができる。この後、白スジ補修用ノズル行72’’が白スジ80を、正常吐出ノズル行72’が未印字領域12’を、それぞれ印字することになる。このとき、メイン制御基板700は、不使用ノズル行73からはインクを吐出させない。
【0100】
図13(d)は、記録ヘッド7においてヘッド中央からヘッド先端7a寄りで吐出不良ノズル行71が検出された場合の、印刷動作開始後の二回目以降の1ライン印字動作終了時の図である。図13(d)に示すように、メイン制御基板700は、白スジ80を白スジ補修用ノズル行72’’によって補修し、正常吐出ノズル行72’によって新規印字も実施する。このとき、吐出不良ノズル行71の影響で新たな白スジ80’が生じているが、以降も図13(c)と図13(d)の手順を繰り返していけば良い。つまり、メイン制御基板700は、正常吐出ノズル行72’と白スジ補修用ノズル行72’’のみを使用して最後まで印刷を行う。メイン制御基板700は、印刷終了間際に残る最後の白スジを、白スジ補修用ノズル行72’’からのみインクを吐出することで補修する。
【0101】
このようにパターン1の条件による不良ノズル補正処理によれば、ヘッド後端の正常吐出ノズルで印字不良領域を補修しつつ、未印字領域に対しても印字を行えるため、精度の高い補修と、生産性の高い印刷を並行して行うことができる。
【0102】
[パターン2の条件による不良ノズル補正処理]
ここで、パターン2の条件による不良ノズル補正処理について説明する。
【0103】
図14は、パターン2の条件による不良ノズル補正処理を示す図である。図14(a)は、記録ヘッド7においてヘッド中央からヘッド後端7b寄り、またはヘッド中央で吐出不良ノズル行71が検出された場合の、印刷動作開始後の一回目の記録媒体搬送の図(この例では前者)である。
【0104】
ヘッド後端7b寄りに吐出不良ノズル行71がある場合、パターン1の方法を取ると毎回の1ラインの印字領域が小さくなり、印刷スピードが低下してしまう。そこで、メイン制御基板700は、図14(a)に示すように、吐出不良ノズル行71がヘッド先端7aよりもヘッド後端7b寄りにあると判断した場合、印刷動作が開始されたら、用紙先端12aと、吐出不良ノズル行71より1ドットだけヘッド先端7a寄りのノズル行に合わさるように用紙12を搬送方向Yへ搬送させる。
【0105】
図14(b)は、記録ヘッド7においてヘッド中央からヘッド後端7b寄り、またはヘッド中央で吐出不良ノズル行71が検出された場合の、印刷動作開始後の一回目の1ライン印字動作終了時の図(この例では前者)である。図14(b)に示すように、メイン制御基板700は、記録ヘッド7のノズルからインクを吐出させながらヘッド稼働方向(主走査方向)Xの往復動作を経て1ライン印字を済ませる。この場合、正常吐出ノズル行72’の中に吐出不良ノズル行71が紛れていないため、印字された印字済領域12’’の中には白スジが生じない。
【0106】
図14(c)は、記録ヘッド7においてヘッド中央からヘッド後端7b寄り、またはヘッド中央で吐出不良ノズル行71が検出された場合の、印刷動作開始後の二回目以降の記録媒体搬送の図(この例では前者)である。図14(c)に示すように、メイン制御基板700は、一回目と異なり、印字済領域後端12’’aと、吐出不良ノズル行71より1ドットだけヘッド先端7a寄りのノズル行が横方向に合わさるように用紙12を搬送方向Yへ搬送させる。この後、メイン制御基板700は、正常吐出ノズル行72’により未印字領域12’を印字することになる。このとき、メイン制御基板700は、不使用ノズル行73からはインクを吐出させない。
【0107】
図14(d)は、記録ヘッド7においてヘッド中央からヘッド後端7b寄り、または中央で吐出不良ノズル行71が検出された場合の、印刷動作開始後の二回目以降の1ライン印字動作終了時の図(この例では前者)である。図14(d)に示すように、メイン制御基板700は、正常吐出ノズル行72’によって新規印字を実施することにより、白スジを生じない。メイン制御基板700は、以降も図14(c)と図14(d)の手順を繰り返す。つまり、メイン制御基板700は、正常吐出ノズル行72’のみを使用して最後まで印刷を行う。
【0108】
このようにパターン2の条件による不良ノズル補正処理によれば、吐出不良ノズルを使用しないため印字不良領域が生じず、かつ正常吐出ノズルも多く確保できるため、生産性も高いまま保つことができる。
【0109】
[パターン3の条件による不良ノズル補正処理]
ここで、パターン3の条件による不良ノズル補正処理について説明する。
【0110】
図15は、パターン3の条件による不良ノズル補正処理を示す図である。図15(a)は、記録ヘッド7において二箇所で吐出不良ノズル行71aと71bが検出され、かつ吐出不良ノズル行71aがヘッド先端7a寄りにある場合の、印刷動作開始後の一回目の記録媒体搬送の図である。図15(a)に示すように、メイン制御基板700は、吐出不良ノズル行が二箇所ある場合、パターン1およびパターン2とは異なる制御で用紙搬送および使用ノズルの切り替えを行う。メイン制御基板700は、吐出不良ノズル行71aがヘッド先端7a寄りにあると判断した場合、印刷動作が開始されたら、用紙先端12aと、吐出不良ノズル行71bより1ドットだけヘッド先端7a寄りのノズル行に合わさるように用紙12を搬送方向Yへ搬送させる。
【0111】
図15(b)は、記録ヘッド7において二箇所で吐出不良ノズル行71aと71bが検出され、かつ吐出不良ノズル行71aがヘッド先端7a寄りにある場合の、印刷動作開始後の一回目の1ライン印字動作終了時の図である。図15(b)に示すように、メイン制御基板700は、記録ヘッド7のノズルからインクを吐出しながらヘッド稼働方向(主走査方向)Xの往復動作を経て1ライン印字を済ませる。これにより、正常吐出ノズル行72’によって印字された印字済領域12’’の中に、吐出不良ノズル行71aの影響で白スジ80が生じる。
【0112】
図15(c)は、記録ヘッド7において二箇所で吐出不良ノズル行71aと71bが検出され、かつ吐出不良ノズル行71aがヘッド先端7a寄りにある場合の、印刷動作開始後の二回目以降の記録媒体搬送の図である。図15(c)に示すように、メイン制御基板700は、一回目と異なり、印字済領域後端12’’aと、吐出不良ノズル行71bから1ドットだけヘッド先端7a寄りのノズル行が横方向に合わさるように用紙12を搬送方向Yへ搬送させる。この後、メイン制御基板700は、白スジ補修用ノズル行72’’が白スジ80を、正常吐出ノズル行72’が未印字領域12’を、それぞれ印字することになる。このとき、メイン制御基板700は、不使用ノズル行73からはインクを吐出させない。
【0113】
図15(d)は、記録ヘッド7において二箇所で吐出不良ノズル行71aと71bが検出され、かつ吐出不良ノズル行71aがヘッド先端7a寄りにある場合の、印刷動作開始後の二回目以降の1ライン印字動作終了時の図である。図15(d)に示すように、メイン制御基板700は、白スジ80を白スジ補修用ノズル行72’’によって補修し、正常吐出ノズル行72’によって新規印字も実施する。このとき、吐出不良ノズル行71aの影響で新たな白スジ80’が生じているが、メイン制御基板700は、以降も図15(c)と図15(d)の手順を繰り返していけば良い。つまり、メイン制御基板700は、正常吐出ノズル行72’と白スジ補修用ノズル行72’’のみを使用して最後まで印刷を行う。メイン制御基板700は、印刷終了間際に残る最後の白スジを、白スジ補修用ノズル行72’’からのみインクを吐出することで補修する。
【0114】
このようにパターン3の条件による不良ノズル補正処理によれば、ヘッド後端の正常吐出ノズルで印字不良領域を補修しつつ、未印字領域に対しても印字を行えるため、精度の高い補修と、生産性の高い印刷を並行して行うことができる。
【0115】
[パターン4の条件による不良ノズル補正処理]
ここで、パターン4の条件による不良ノズル補正処理について説明する。
【0116】
図16は、パターン4の条件による不良ノズル補正処理を示す図である。図16(a)は、記録ヘッド7において二箇所で吐出不良ノズル行71aと71bが検出され、かつ吐出不良ノズル行71bがヘッド後端7b寄りにある場合の、印刷動作開始後の一回目の記録媒体搬送の図である。図16(a)に示すように、メイン制御基板700は、吐出不良ノズル行71bがヘッド後端7b寄りにあると判断した場合、印刷動作が開始されたら、用紙先端12aと、吐出不良ノズル行71bより1ドットだけヘッド先端7a寄りのノズル行に合わさるように用紙12を搬送方向Yへ搬送させる。
【0117】
図16(b)は、記録ヘッド7において二箇所で吐出不良ノズル行71aと71bが検出され、かつ吐出不良ノズル行71bがヘッド後端7b寄りにある場合の、印刷動作開始後の一回目の1ライン印字動作終了時の図である。図16(b)に示すように、メイン制御基板700は、記録ヘッド7のノズルからインクを吐出しながらヘッド稼働方向(主走査方向)Xの往復動作を経て1ライン印字を済ませる。この場合、正常吐出ノズル行72’によって印字された印字済領域12’’の中に、吐出不良ノズル行71aの影響で白スジ80が生じる。
【0118】
図16(c)は、記録ヘッド7において二箇所で吐出不良ノズル行71aと71bが検出され、かつ吐出不良ノズル行71bがヘッド後端7b寄りにある場合の、印刷動作開始後の二回目以降の記録媒体搬送の図である。ヘッド後端7b寄りに吐出不良ノズル行71bがある場合、図15(c)の方法を取ると毎回の1ラインの印字領域が小さくなり、印刷スピードが低下してしまう。そこで、図16(c)に示すように、メイン制御基板700は、吐出不良ノズル行71bがヘッド後端7b寄りにある場合、白スジ80と、ヘッド後端7bが横方向に合わさるように用紙12を搬送方向Yへ搬送させる。この後、メイン制御基板700は、白スジ補修用ノズル行72’’が白スジ80を、正常吐出ノズル行72’が未印字領域12’を、それぞれ印字することになる。このとき、メイン制御基板700は、不使用ノズル行73からはインクを吐出させない。
【0119】
図16(d)は、記録ヘッド7において二箇所で吐出不良ノズル行71aと71bが検出され、かつ吐出不良ノズル行71bがヘッド後端7b寄りにある場合の、印刷動作開始後の二回目以降の1ライン印字動作終了時の図である。図16(d)に示すように、メイン制御基板700は、白スジ80を白スジ補修用ノズル行72’’によって補修し、正常吐出ノズル行72’によって新規印字も実施する。このとき、吐出不良ノズル行71aの影響で新たな白スジ80’が生じているが、メイン制御基板700は、以降も図16(c)と図16(d)の手順を繰り返していけば良い。つまり、メイン制御基板700は、正常吐出ノズル行72’と白スジ補修用ノズル行72’’のみを使用して最後まで印刷を行う。メイン制御基板700は、印刷終了間際に残る最後の白スジを、白スジ補修用ノズル行72’’からのみインクを吐出することで補修する。
【0120】
このようにパターン4の条件による不良ノズル補正処理によれば、ヘッド後端の正常吐出ノズルで印字不良領域を補修しつつ、未印字領域に対しても印字を行えるため、精度の高い補修と、生産性の高い印刷を並行して行うことができる。
【0121】
[パターン5の条件による不良ノズル補正処理]
ここで、パターン5の条件による不良ノズル補正処理について説明する。
【0122】
図17は、パターン5の条件による不良ノズル補正処理を示す図である。図17(a)は、記録ヘッド7において二箇所で吐出不良ノズル行71aと71bが検出され、かつヘッド先端7aから吐出不良ノズル行71aまでの距離とヘッド後端7bから吐出不良ノズル行71bまでの距離とが等しく、かつ吐出不良ノズル行71aと71bがヘッドの内側寄りに並んでいる(図ではこちらを説明)か、または等間隔に並んでいる場合の、印刷動作開始後の一回目の記録媒体搬送の図である。ここで、等間隔とは、7bから71bまでの距離と、71bから71aまでの距離と、71aから7aまでの距離とが、全て同じである場合のことである。
【0123】
吐出不良ノズル行71aと71bがこのように並んでいる場合、パターン3およびパターン4の方法を取ると毎回の1ラインの印字領域が小さくなり、印刷スピードが低下してしまう。そこで、図17(a)に示すように、メイン制御基板700は、吐出不良ノズル行71aと71bがこのように並んでいると判断した場合、印刷動作が開始されたら、用紙先端12aと、吐出不良ノズル行71aより1ドットだけヘッド先端7a寄りのノズル行に合わさるように用紙12を搬送方向Yへ搬送させる。
【0124】
図17(b)は、記録ヘッド7において二箇所で吐出不良ノズル行71aと71bが検出され、かつヘッド先端7aから吐出不良ノズル行71aまでの距離とヘッド後端7bから吐出不良ノズル行71bまでの距離とが等しく、かつ吐出不良ノズル行71aと71bがヘッドの内側寄りに並んでいる(図ではこちらを説明)か、または等間隔に並んでいる場合の、印刷動作開始後の一回目の1ライン印字動作終了時の図である。図17(b)に示すように、メイン制御基板700は、記録ヘッド7がノズルからインクを吐出しながらヘッド稼働方向(主走査方向)Xの往復動作を経て1ライン印字を済ませる。この場合、正常吐出ノズル行72’の中に吐出不良ノズル行71が紛れていないため、印字された印字済領域12’’の中には白スジが生じない。
【0125】
図17(c)は、記録ヘッド7において二箇所で吐出不良ノズル行71aと71bが検出され、かつヘッド先端7aから吐出不良ノズル行71aまでの距離とヘッド後端7bから吐出不良ノズル行71bまでの距離とが等しく、かつ吐出不良ノズル行71aと71bがヘッドの内側寄りに並んでいる(図ではこちらを説明)か、または等間隔に並んでいる場合の、印刷動作開始後の二回目以降の記録媒体搬送の図である。図17(c)に示すように、メイン制御基板700は、一回目と異なり、印字済領域後端12’’aと、吐出不良ノズル行71より1ドットだけヘッド先端7a寄りのノズル行が横方向に合わさるように、用紙12を搬送方向Yへ搬送させる。この後、メイン制御基板700は、正常吐出ノズル行72’が未印字領域12’を印字する。このとき、メイン制御基板700は、不使用ノズル行7からはインクを吐出させない。
【0126】
図17(d)は、記録ヘッド7において二箇所で吐出不良ノズル行71aと71bが検出され、かつヘッド先端7aから吐出不良ノズル行71aまでの距離とヘッド後端7bから吐出不良ノズル行71bまでの距離とが等しく、かつ吐出不良ノズル行71aと71bがヘッドの内側寄りに並んでいる(図ではこちらを説明)か、または等間隔に並んでいる場合の、印刷動作開始後の二回目以降の1ライン印字動作終了時の図である。図17(d)に示すように、メイン制御基板700は、正常吐出ノズル行72’によって新規印字を実施する。これにより、白スジは生じない。以降も、メイン制御基板700は、図17(c)と図17(d)の手順を繰り返す。つまり、メイン制御基板700は、正常吐出ノズル行72’のみを使用して最後まで印刷を行う。
【0127】
このようにパターン5の条件による不良ノズル補正処理によれば、吐出不良ノズルを使用しないため印字不良領域が生じず、かつ正常吐出ノズルも多く確保できるため、生産性も高いまま保つことができる。
【0128】
なお、吐出不良ノズルがヘッド内の二箇所で検出され、かつ二箇所の吐出不良ノズルがヘッド内を三等分するような等間隔で並んでいた場合であっても、未印字領域の先端を、ヘッド先端側の吐出不良ノズルより1ドットだけヘッド先端寄りに合致するよう記録媒体を搬送させ、ヘッド先端側の吐出不良ノズルより1ドットだけヘッド先端寄りのノズルから、ヘッド先端に至るまでの正常吐出ノズルのみを使用するよう切り替える。
【0129】
このようにすることで、吐出不良ノズルを使用しないため印字不良領域が生じず、かつ正常吐出ノズルも多く確保できるため、生産性も高いまま保つことができる。
【0130】
[パターン6の条件による不良ノズル補正処理]
ここで、パターン6の条件による不良ノズル補正処理について説明する。
【0131】
図18は、パターン6の条件による不良ノズル補正処理を示す図である。図18(a)は、記録ヘッド7において二箇所で吐出不良ノズル行71aと71bが検出され、かつヘッド先端7aから吐出不良ノズル行71aまでの距離とヘッド後端7bから吐出不良ノズル行71bまでの距離とが等しく、かつ吐出不良ノズル行71aと71bがヘッドの外側寄りに並んでいる場合の、印刷動作開始後の一回目の記録媒体搬送の図である。吐出不良ノズル行71aと71bがこのように並んでいる場合、パターン5の方法を取ると毎回の1ラインの印字領域が小さくなり、印刷スピードが低下してしまう。そこで、図18(a)に示すように、メイン制御基板700は、吐出不良ノズル行71aと71bがこのように並んでいると判断した場合、印刷動作が開始されたら、用紙先端12aと、吐出不良ノズル行71bより1ドットだけヘッド先端7a寄りのノズル行に合わさるように用紙12を搬送方向Yへ搬送させる。
【0132】
図18(b)は、記録ヘッド7において二箇所で吐出不良ノズル行71aと71bが検出され、かつヘッド先端7aから吐出不良ノズル行71aまでの距離とヘッド後端7bから吐出不良ノズル行71bまでの距離とが等しく、かつ吐出不良ノズル行71aと71bがヘッドの外側寄りに並んでいる場合の、印刷動作開始後の一回目の1ライン印字動作終了時の図である。図18(b)に示すように、メイン制御基板700は、記録ヘッド7のノズルからインクを吐出させながらヘッド稼働方向(主走査方向)Xの往復動作を経て1ライン印字を済ませる。これにより、正常吐出ノズル行72’によって印字された印字済領域12’’の中に、吐出不良ノズル行71aの影響で白スジ80が生じる。
【0133】
図18(c)は、記録ヘッド7において二箇所で吐出不良ノズル行71aと71bが検出され、かつヘッド先端7aから吐出不良ノズル行71aまでの距離とヘッド後端7bから吐出不良ノズル行71bまでの距離とが等しく、かつ吐出不良ノズル行71aと71bがヘッドの外側寄りに並んでいる場合の、印刷動作開始後の二回目以降の記録媒体搬送の図である。吐出不良ノズル行71aと71bがヘッドの外側寄りに並んでいる場合、図17(c)の方法を取ると毎回の1ラインの印字領域が小さくなり、印刷スピードが低下してしまう。そこで、図18(c)に示すように、メイン制御基板700は、吐出不良ノズル行71aと71bがこのように並んでいると判断した場合、白スジ80と、吐出不良ノズル行71bより1ドットだけヘッド後端7b寄りのノズル行が横方向に合わさるように、用紙12を搬送方向Yへ搬送させる。この後、メイン制御基板700は、白スジ補修用ノズル行72’’により白スジ80を、正常吐出ノズル行72’により未印字領域12’を、それぞれ印字することになる。このとき、メイン制御基板700は、不使用ノズル行73からはインクを吐出させない。
【0134】
図18(d)は、記録ヘッド7において二箇所で吐出不良ノズル行71aと71bが検出され、かつヘッド先端7aから吐出不良ノズル行71aまでの距離とヘッド後端7bから吐出不良ノズル行71bまでの距離とが等しく、かつ吐出不良ノズル行71aと71bがヘッドの外側寄りに並んでいる場合の、印刷動作開始後の二回目以降の1ライン印字動作終了時の図である。図18(d)に示すように、メイン制御基板700は、白スジ80を白スジ補修用ノズル行72’’によって補修し、正常吐出ノズル行72’によって新規印字も実施する。このとき、吐出不良ノズル行71aの影響で新たな白スジ80’が生じているが、メイン制御基板700は、以降も図18(c)と図18(d)の手順を繰り返していけば良い。つまり、メイン制御基板700は、正常吐出ノズル行72’と白スジ補修用ノズル行72’’のみを使用して最後まで印刷を行う。メイン制御基板700は、印刷終了間際に残る最後の白スジを、白スジ補修用ノズル行72’’からのみインクを吐出することで補修する。
【0135】
このようにパターン6の条件による不良ノズル補正処理によれば、ヘッド後端の正常吐出ノズルで印字不良領域を補修しつつ、未印字領域に対しても印字を行えるため、精度の高い補修と、生産性の高い印刷を並行して行うことができる。
【0136】
[従来のメンテナンスによる不良ノズル補正処理]
ここで、従来のメンテナンスによる不良ノズル補正処理について説明する。
【0137】
図19は、従来のメンテナンスによる不良ノズル補正処理を示す図である。図19は、記録ヘッド7において三箇所以上で吐出不良ノズル行71aと71bと6cが検出された場合の、印刷動作開始後の1ライン印字動作終了時の図である。図19に示すように、白スジ80a・5b・5cのように三箇所以上で吐出不良ノズル行が検出された場合は、メイン制御基板700は、パターン1~パターン6の不良ノズル補正処理を用いず、従来のメンテナンスを用いて吐出不良ノズルをメンテナンスするよう動作を切り替える。
【0138】
このようにすることで、吐出不良ノズルが三箇所以上発生している場合、パターン1~パターン6は適用できないため、従来のメンテナンスを実施することで吐出不良ノズルを解消することができる。
【0139】
このように本実施形態によれば、吐出不良ノズルの位置と数に応じて、印刷速度を最速に保てる最も効果的な補完手順を選択し、ヘッド後端の正常吐出ノズルで印字不良領域を補修しつつ、未印字領域に対しても印字を行えるため、不記録部分(白スジ領域)の精度の高い補完と新規記録とを効率よく並行して行うことができる。
【0140】
なお、上述したパターン1~パターン6の制御だと、不使用ノズル行73が必ずある。記録ヘッド7が1往復して戻ってきた際に毎回空吐出を行うような画像形成装置100において、メイン制御基板700は、不使用ノズル行73に対しては1往復ごとの空吐出を行わないようにすることも使用者の任意で設定することが可能である。そうすることでインク消費を抑制することができる。
【0141】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0142】
第2の実施の形態は、パターン1~パターン6の制御と従来メンテナンスを用いた場合とで、両者の印刷完了予測所要時間を比較し、より短い方を選択してその動作に切り替えるようにした点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0143】
本実施形態では、吐出不良ノズル行が二箇所以下で検出された場合、第1の実施の形態で説明したパターン1~パターン6の制御による印刷完了予測所要時間と、従来のメンテナンスを用いた場合の印刷完了予測所要時間とを比較し、後者の方が短い場合は、従来のメンテナンスを用いて吐出不良ノズルをメンテナンスするよう動作を切り替える。
【0144】
より詳細には、画像形成装置100のメイン制御基板700は、従来のメンテナンス時間と、1ラインの印字所要時間と、使用ノズル行数と、パターン1~パターン6の制御による使用ノズル行数と、記録媒体(用紙12)のサイズと、印字完了までのスキャン回数と、は印刷開始前から分かるデータなので、これらを用いて印刷完了予測所要時間の算出は可能である。
【0145】
ここで、図20は第2の実施の形態にかかる画像形成装置100のメイン制御基板700で行われる動作切り替え処理の流れを示すフローチャートである。図20に示すように、吐出不良ノズル行71を検出すると、メイン制御基板700は、従来のメンテナンス時間と、1ラインの印字所要時間と、使用ノズル行数と、パターン1~パターン6の制御による使用ノズル行数と、記録媒体(用紙12)のサイズと、印字完了までのスキャン回数と、を取得する(ステップS21)。
【0146】
次いで、メイン制御基板700は、ステップS21で取得したデータを用いて、従来のメンテナンスを用いた場合と、パターン1~パターン6の制御を用いた場合とで、両者の印刷完了予測所要時間を算出する(ステップS22)。
【0147】
次いで、メイン制御基板700は、パターン1~パターン6の制御を用いた方が印刷完了予測所要時間が短いかを判定する(ステップS23)。
【0148】
メイン制御基板700は、パターン1~パターン6の制御を用いた方が印刷完了予測所要時間が短いと判定すると(ステップS23のYes)、ステップS24に進み、パターン1~パターン6の制御を利用するものとする。
【0149】
一方、メイン制御基板700は、パターン1~パターン6の制御を用いた方が印刷完了予測所要時間が長いと判定すると(ステップS23のNo)、ステップS25に進み、従来のメンテナンスを利用するものとする。
【0150】
このように本実施形態によれば、より効率が良い手法によって、吐出不良ノズルによる影響を解消することができる。
【0151】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0152】
第3の実施の形態は、記憶媒体(用紙12)の搬送機構の精度に合わせて意図的に白スジを幅広く作るようにした点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第3の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0153】
図21は,第3の実施の形態にかかる不良ノズル補正処理を示す図である。図21(a)は、吐出不良ノズル行71に隣接するノズル行も不使用ノズル行とし、意図的に白スジ80の幅を広く作った場合の、印刷動作開始後の一回目の1ライン印字動作終了時の図である。図21(b)は、その白スジ80を白スジ補修用ノズル行72’’で補修しようとする図である。1ドット分の幅しかない白スジが発生する場合、精度の低い記録媒体(用紙12)の搬送機構では的確にそれを補修できない可能性がある。その場合はこのように、あえて記憶媒体(用紙12)の搬送機構の精度に合わせて意図的に白スジを広く作り、補修しやすいようにする。
【0154】
ここで、図22は画像形成装置100のメイン制御基板700で行われる幅広の白スジ作成処理の流れを示すフローチャートである。図22に示すように、1ドット分の吐出不良ノズル行71を検出すると、メイン制御基板700は、記憶媒体(用紙12)の搬送機構が、精度的に1ドット単位での搬送ができないかを判定する(ステップS31)。
【0155】
メイン制御基板700は、記憶媒体(用紙12)の搬送機構が、精度的に1ドット単位での搬送ができないと判定すると(ステップS31のYes)、ステップS32に進み、吐出不良ノズル行71に隣接する正常吐出ノズル行を、不使用ノズル行に切り替える。
【0156】
一方、メイン制御基板700は、記憶媒体(用紙12)の搬送機構が、精度的に1ドット単位での搬送ができると判定すると(ステップS31のNo)、何もせずに処理を終了する。
【0157】
このように本実施形態によれば、意図的に印字不良領域を広めに作ることで、精度の低い記録媒体(用紙12)の搬送機構であっても、パターン1~パターン6の制御を適用することができる。
【0158】
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0159】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0160】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0161】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0162】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0163】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0164】
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0165】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0166】
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0167】
なお、本実施の形態の画像形成装置100は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機のほか、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0168】
7 液体吐出ヘッド
100 液体を吐出する装置
700 印刷制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0169】
【文献】特開2007-160802号公報
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