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特許7428040繊維集束剤、繊維材料、成形材料、及び成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】繊維集束剤、繊維材料、成形材料、及び成形品
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/564 20060101AFI20240130BHJP
   D06M 15/53 20060101ALI20240130BHJP
   C08G 18/58 20060101ALI20240130BHJP
   D06M 13/165 20060101ALI20240130BHJP
   D06M 101/40 20060101ALN20240130BHJP
【FI】
D06M15/564
D06M15/53
C08G18/58
D06M13/165
D06M101:40
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020054255
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021155858
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】長尾 憲治
【審査官】印出 亮太
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-196711(JP,A)
【文献】特開2016-160567(JP,A)
【文献】特開2017-014628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M 13/00 - 15/00
C08G 18/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコキシポリオキシアルキレン構造及びエポキシ基を有するウレタン樹脂(A)と、下記一般式(1)で表される化合物(B)と、水性媒体(C)とを含有する繊維集束剤であって、前記ウレタン樹脂(A)が、エポキシ当量600~860g/当量の水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)、及びエポキシ当量900~2100g/当量の水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(a2)を必須原料とすることを特徴とする繊維集束剤。
【化1】
(式中、Rは炭素原子数が1~40の炭化水素基又は水素原子であり、Xは-O-、又は-COO-であり、Aはエチレン基以外のアルキレン基であり、Eはエチレン基である。また、mは0~200の整数であり、nは1~350の整数である。さらに、Aを含む繰り返し単位及びEを含む繰り返し単位は、ランダム状又はブロック状に配置されているものである。)
【請求項2】
前記ウレタン樹脂(A)の原料中の前記エポキシ樹脂(a1)と前記エポキシ樹脂(a2)の質量比(a1/a2)が、20/80~95/5である請求項1記載の繊維集束剤。
【請求項3】
前記化合物(B)が、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体である請求項1又は2記載の繊維集束剤。
【請求項4】
前記ウレタン樹脂(A)中のアルコキシポリオキシアルキレン構造が20~60質量%である請求項1~3いずれか1記載の繊維集束剤。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項記載の繊維集束剤によって集束されたことを特徴とする繊維材料。
【請求項6】
請求項5記載の繊維材料及び熱硬化性樹脂を含有することを特徴とする成形材料。
【請求項7】
請求項6記載の成形材料の硬化物であることを特徴とする成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維集束剤、繊維材料、成形材料、及び成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維やガラス繊維は熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等のマトリックス樹脂の補強材として用いられ、ガラス繊維や炭素繊維とマトリックス樹脂とから得られる繊維強化プラスチックは、高強度で優れた耐久性の求められる自動車部材や航空機部材として使用されている。
【0003】
前記強化プラスチックに使用する炭素繊維やガラス繊維としては、通常、生産加工性を付与する観点から、繊維集束剤によって概ね数千~数万程度に集束された繊維材料を使用することが多く、種々の集束剤が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この繊維集束剤は、アルコキシポリオキシアルキレン構造とエポキシ基とを有するウレタン樹脂を含有し、特定のハンセン溶解度パラメータを有するものであるが、炭素繊維の生産ラインにおいて長時間負荷のかかる場合、集束性が経時的に低下し、炭素繊維自体から多くの毛羽が発生する生産上の問題点を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-196711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、成形品に優れた強度を付与可能な繊維束の製造に使用可能で、繊維の集束性に優れた繊維集束剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、前記課題を解決すべく検討した結果、特定構造を有するウレタン樹脂、特定構造を有する化合物、及び水性媒体を含有する繊維集束剤を使用することによって、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、アルコキシポリオキシアルキレン構造及びエポキシ基を有するウレタン樹脂(A)と、下記一般式(1)で表される化合物(B)と、水性媒体(C)とを含有する繊維集束剤であって、前記ウレタン樹脂(A)が、エポキシ当量600~860g/当量の水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)、及びエポキシ当量860~2100g/当量の水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(a2)を必須原料とすることを特徴とする繊維集束に関するものである。
【0008】
【化1】
(式中、Rは炭素原子数が1~40の炭化水素基又は水素原子であり、Xは-O-、又は-COO-であり、Aはエチレン基以外のアルキレン基であり、Eはエチレン基である。また、mは0~200の整数であり、nは1~350の整数である。さらに、Aを含む繰り返し単位及びEを含む繰り返し単位は、ランダム状又はブロック状に配置されているものである。)
【発明の効果】
【0009】
本発明の繊維集束剤は、成形品に優れた強度を付与可能な繊維束の製造に使用可能で、かつ、繊維の集束性に優れることから、ガラス繊維や炭素繊維の集束剤(サイジング剤)に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の繊維集束剤は、アルコキシポリオキシアルキレン構造及びエポキシ基を有するウレタン樹脂(A)と、下記一般式(1)で表される化合物(B)と、水性媒体(C)とを含有する繊維集束剤であって、前記ウレタン樹脂(A)が、エポキシ当量600~860g/当量の水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びエポキシ当量900~2100g/当量の水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂を必須原料とするものである。
【0011】
【化2】
(式中、Rは炭素原子数が1~40の炭化水素基又は水素原子であり、Xは-O-、又は-COO-であり、Aはエチレン基以外のアルキレン基であり、Eはエチレン基である。また、mは0~200の整数であり、nは1~350の整数である。さらに、Aを含む繰り返し単位及びEを含む繰り返し単位は、ランダム状又はブロック状に配置されているものである。)
【0012】
前記ウレタン樹脂(A)について説明する。前記ウレタン樹脂(A)は、アルコキシポリオキシアルキレン構造とエポキシ基とを有するが、アルコキシポリオキシアルキレン構造とは、ポリオキシアルキレン鎖の片末端がアルコキシ基で封鎖された構造である。
【0013】
前記ポリオキシアルキレン鎖としては、例えば、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシブチレン鎖等が挙げられ、これらがブロック状又はランダム状に配置されたものも含まれる。
【0014】
前記ポリオキシアルキレン鎖の末端を封鎖するアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
【0015】
前記アルコキシポリオキシアルキレン構造は、水分散性がより向上することから、その構造中に、オキシエチレン単位による構造を40質量%以上有するものであることが好ましい。
【0016】
また、前記アルコキシポリオキシアルキレン構造は、水分散性がより向上することから、300~7,000の数平均分子量を有するものであることが好ましい。
【0017】
前記アルコキシポリオキシアルキレン構造は、水分散性がより向上することから、前記ウレタン樹脂(A)中に、3~60質量%の範囲で存在することが好ましく、10~55質量%の範囲で存在することがより好ましい。
【0018】
前記ウレタン樹脂(A)の有するエポキシ基は、前記ウレタン樹脂(A)のエポキシ当量が2000~8000g/当量となる範囲で存在することが、集束性及び成形品の強度がより向上することから好ましい。
【0019】
前記ウレタン樹脂(A)は、エポキシ当量600~860g/当量の水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)、及びエポキシ当量900~2100g/当量の水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(a2)を必須原料とすることで、繊維集束性及び得られる成形品の層間せん断強度が優れたものとなるが、必要に応じてその他のエポキシ樹脂を使用することもできる。
【0020】
前記ウレタン樹脂(A)の原料中の前記エポキシ樹脂(a1)と前記エポキシ樹脂(a2)の質量比(a1/a2)は、集束性及び成形品の層間せん断強度がより向上することから、20/80~95/5が好ましく、30/70~90/10がより好ましい。
【0021】
前記ウレタン樹脂(A)は、例えば、無溶剤下または有機溶剤の存在下で、エポキシ樹脂(a1)、エポキシ樹脂(a2)、ポリイソシアネート(a3)、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル(a4)、必要に応じて、前記エポキシ樹脂(a1)及び(a2)以外のポリオール(a5)並びに鎖伸長剤(a6)を、従来知られた方法で反応させることによって製造することができる。具体的には、安全性を考慮し、50~120℃の反応温度で、1~15時間反応させることが好ましい。
【0022】
前記ポリイソシアネート(a3)としては、例えば、1,3-及び1,4-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-2,4-フェニレンジイソシアネート(2,4-TDI)、1-メチル-2,6-フェニレンジイソシアネート(2,6-TDI)、1-メチル-2,5-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-2,6-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-3,5-フェニレンジイソシアネート、1-エチル-2,4-フェニレンジイソシアネート、1-イソプロピル-2,4-フェニレンジイソシアネート、1,3-ジメチル-2,4-フェニレンジイソシアネート、1,3-ジメチル-4,6-フェニレンジイソシアネート、1,4-ジメチル-2,5-フェニレンジイソシアネート、ジエチルベンゼンジイソシアネート、ジイソプロピルベンゼンジイソシアネート、1-メチル-3,5-ジエチルベンゼンジイソシアネート、3-メチル-1,5-ジエチルベンゼン-2,4-ジイソシアネート、1,3,5-トリエチルベンゼン-2,4-ジイソシアネート、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、1-メチル-ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、ナフタレン-2,6-ジイソシアネート、ナフタレン-2,7-ジイソシアネート、1,1-ジナフチル-2,2’-ジイソシアネート、ビフェニル-2,4’-ジイソシアネート、ビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3-3’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,2’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4-ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;1,3-シクロペンチレンジイソシアネート、1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;及びこれらの3量体等を使用することができる。
【0023】
前記ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル(a4)は、下記一般式(2)で表されるものである。
【0024】
【化3】
(式中、Rはアルキル基であり、Rはアルキレン基であり、nは1以上の整数である。)
【0025】
前記ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル(a4)としては、保存安定性がより向上することから、上記一般式(2)中のRがメチル基やエチル基やプロピル基やブチル基であるものが好ましく、メチル基であるものがより好ましい。
【0026】
また、上記一般式(2)中のRは保存安定性及び繊維集束性がより向上することから、エチレン基やプロピレン基であるものが好ましく、エチレン基であるものがより好ましい。
【0027】
上記一般式(2)中のnは、保存安定性、繊維集束性、得られる成形品の強度がより向上することから、5~150の整数であるものが好ましく、5~100の整数であるものがより好ましい。
【0028】
また、前記ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル(a4)としては、保存安定性がより向上することから、水酸基価が10~200の範囲であるものが好ましく、15~200の範囲であるものがより好ましい。
【0029】
前記ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル(a4)としては、保存安定性及び繊維集束性がより向上することから、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルを使用することがより好ましく、ポリオキシエチレンモノメチルエーテルを使用することが特に好ましい。
【0030】
前記ポリオール(a5)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、アクリル共重合体に水酸基を導入したアクリルポリオール、分子内に水酸基を有するブタジエンの共重合体であるポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、エチレン-酢酸ビニル共重合体の部分鹸化物などを使用することができる。
【0031】
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素原子を2以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。
【0032】
また、前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるものや、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものを使用することができる。
【0033】
また、前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるポリエステルポリオールや、ε-カプロラクトンやγ-ブチロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステルや、これらの共重合ポリエステルなどを使用することができる。
【0034】
前記ポリエーテルポリオール、前記ポリカーボネートポリオール、前記脂肪族ポリエステルポリオールとしては、数平均分子量が300~4,000のものを使用することが好ましく、500~2,000のものを使用することがより好ましい。
【0035】
前記鎖伸長剤(a6)としては、ポリアミンや、その他活性水素原子を有する化合物等を使用することができる。
【0036】
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン等のジアミン類;N-ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N-ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N-ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N-エチルアミノエチルアミン、N-メチルアミノプロピルアミン;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン;ヒドラジン、N,N’-ジメチルヒドラジン、1,6-ヘキサメチレンビスヒドラジン;コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド;β-セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3-セミカルバジドプロピルカルバジン酸エステル、セミカルバジド-3-セミカルバジドメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサンを使用することができる。
【0037】
前記その他活性水素を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール化合物;ビスフェノールA、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール化合物、及び水等を使用することができる。
【0038】
前記鎖伸長剤(a6)は、例えば、ポリアミンが有するアミノ基と過剰のイソシアネート基との当量比が、1.9以下(当量比)となる範囲で使用することが好ましく、0.3~1.0(当量比)の範囲で使用することがより好ましい。
【0039】
前記ウレタン化反応は、無触媒下で行うこともできるが、公知の触媒、例えば、オクチル酸第一錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫ジフタレート、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジアセチルアセテート、ジブチル錫ジバーサテート等の錫化合物、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネート等のチタネート化合物、その他、3級アミン化合物、4級アンモニウム塩等を使用してもよい。
【0040】
前記化合物(B)は、下記一般式(1)で表されるものである。
【0041】
【化4】
(式中、Rは炭素原子数が1~40の炭化水素基又は水素原子であり、Xは-O-、又は-COO-であり、Aはエチレン基以外のアルキレン基であり、Eはエチレン基である。また、mは0~200の整数であり、nは1~350の整数である。さらに、Aを含む繰り返し単位及びEを含む繰り返し単位は、ランダム状又はブロック状に配置されているものである。)
【0042】
前記化合物(B)としては、乳化性がより向上することから、上記一般式(1)中のAがプロピレン基であるものが好ましい。
【0043】
前記化合物(B)としては、乳化性がより向上することから、上記一般式(1)中のmが0~100の整数であるものが好ましい。
【0044】
前記化合物(B)としては、乳化性がより向上することから、上記一般式(1)中のnが10~300の整数であるものが好ましい。
【0045】
前記化合物(B)としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンクミルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンナフチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、得られる成形品の強度がより向上することから、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体が好ましく、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体がより好ましい。これらの化合物(B)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0046】
前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンエイコシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体のヘキシルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体のオクチルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体のノニルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体のラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体のステアリルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体のエイコシルエーテル等のポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体のアルキルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、乳化性が向上することから、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のアルキル基の炭素原子数が8~18のものが特に好ましい。これらのポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0047】
前記ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル等のスチレン付加モル数が1~3のポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、スチレン付加モル数が1~3のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体のスチリルフェニルエーテルなどが挙げられるが、乳化性が向上することから、スチレン付加モル数が1~3のポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルが好ましい。これらのポリオキシアルキレンスチリルエーテルは、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0048】
ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体としては、乳化性が向上することから、平均分子量が1,000~30,000の範囲のものが好ましく、5,000~20,000の範囲のものがより好ましい。また、ポリオキシエチレンの含有量は40~90質量%の範囲のものが好ましく、50~80質量%の範囲のものがより好ましい。
【0049】
前記水性媒体(C)としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール化合物;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル化合物;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム化合物、などが挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、又は、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
【0050】
また、本発明の繊維集束剤は、前記ウレタン樹脂(A)、前記化合物(B)、及び前記水性媒体(C)を含有するものであるが、前記ウレタン樹脂(A)及び前記化合物(B)が、水性媒体(C)中に分散された水分散体であること好ましい。
【0051】
本発明の繊維集束剤は、例えば、前記ウレタン樹脂(A)と前記化合物(B)とを混合、撹拌し、次いで、それらの混合物と前記水性媒体(C)とを混合し、必要に応じて脱溶剤することによって得ることができる。
【0052】
本発明の繊維集束剤の固形物中の前記ウレタン樹脂(A)の質量比率は、繊維集束性、及び得られる成形品の強度がより向上することから、1~70質量%の範囲であることが好ましく、2~60質量%の範囲であることがより好ましい。
【0053】
本発明の繊維集束剤の固形物中の前記化合物(B)の質量比率は、繊維集束性、及び得られる成形品の強度がより向上することから、1~30質量%の範囲であることが好ましく、3~20質量%の範囲であることがより好ましく、3~15質量%の範囲であることが特に好ましい。
【0054】
本発明の繊維集束剤中の前記水性媒体(C)の質量比率は、保存安定性及び塗工作業性がより向上することから、20~98質量%の範囲であることが好ましく、30~90質量%の範囲であることがより好ましい。
【0055】
本発明の繊維集束剤中の固形分の質量比率は、保存安定性及び塗工作業性がより向上することから、2~80質量%の範囲であることが好ましく、10~70質量%の範囲であることがより好ましい。
【0056】
また、本発明の繊維集束剤は、必要に応じてシランカップリング剤、硬化触媒、潤滑剤、充填剤、チキソ付与剤、粘着付与剤、ワックス、熱安定剤、耐光安定剤、蛍光増白剤、発泡剤等の添加剤、pH調整剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、分散安定剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、耐熱性付与剤、無機充填剤、有機充填剤、可塑剤、補強剤、触媒、抗菌剤、防カビ剤、防錆剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、顔料、染料、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、中空発泡体、結晶水含有化合物、難燃剤、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、整泡剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤、顔料分散剤、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤を併用することができる。
【0057】
特に、本発明の繊維集束剤を、ガラス繊維の集束剤に使用する場合には、前記ガラス繊維に対する集束剤の接着強さをより一層向上するうえでシランカップリング剤を組み合わせ使用することが好ましい。
【0058】
前記シランカップリング剤としては、例えば、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-ヒドロキシルエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2-ヒドロキシルエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(2-ヒドロキシルエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(2-ヒドロキシルエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシランまたはγ-(N,N-ジ-2-ヒドロキシルエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシランまたはγ-(N-フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトフェニルトリメトキシシラン等を使用することができる。
【0059】
前記シランカップリング剤は、前記ウレタン樹脂(A)及び前記化合物(B)の合計100質量部に対して1~30質量部の範囲で使用することが好ましい。
【0060】
また、本発明の繊維集束剤は、例えば、酢ビ系、エチレン酢ビ系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系等のエマルジョン;スチレン-ブタジエン系、アクリロニトリル-ブタジエン系、アクリル-ブタジエン系等のラテックス、更には、ポバールやセルロース等の水溶性樹脂等と組み合わせ使用することもできる。
【0061】
本発明の繊維集束剤は、例えばガラス繊維や炭素繊維等の糸切れや毛羽立ち等を防止することを目的として、複数の繊維の集束や表面処理に使用できる。
【0062】
本発明の繊維集束剤を用いて処理可能な繊維材料としては、例えばガラス繊維や炭素繊維、シリコンカーバイド繊維、パルプ、麻、綿、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、ポリイミド、あるいはケブラー、ノーメックス等のアラミド等からなるポリアミド繊維等が挙げられる。これらの中でもガラス繊維や炭素繊維は、高強度であることから使用することが好ましい。
【0063】
前記繊維集束剤を用いて処理可能なガラス繊維としては、例えば含アルカリガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス等を原料にして得られたものを使用することができるが、特に、経時劣化も少なく機械的特性が安定している無アルカリガラス(Eガラス)を使用することが好ましい。
【0064】
また、前記繊維集束剤を用いて処理可能な炭素繊維としては、一般にポリアクリロニトリル系、ピッチ系等の炭素繊維を使用することができる。なかでも、前記炭素繊維としては、優れた強度を付与する観点から、ポリアクリロニトリル系の炭素繊維を使用することが好ましい。
【0065】
また、前記炭素繊維としては、より一層優れた強度等を付与する観点から、0.5~20μmの単糸径を有するものを使用することが好ましく、2~15μmのものを使用することがより好ましい。
【0066】
前記炭素繊維としては、例えば撚糸、紡糸、紡績加工、不織加工したものを使用することができる。また、前記炭素繊維としてはフィラメント、ヤーン、ロービング、ストランド、チョップドストランド、フェルト、ニードルパンチ、クロス、ロービングクロス、ミルドファイバー等のものを使用することができる。
【0067】
前記ガラス繊維や炭素繊維を、本発明の繊維集束剤を用いて集束化し、前記ガラス繊維束や炭素繊維束の表面に、皮膜を形成する方法としては、例えば、繊維集束剤をキスコーター法、ローラー法、浸漬法、スプレー法、刷毛などその他公知の方法で、繊維表面に繊維集束剤を均一に塗布する方法が挙げられる。前記繊維集束剤が溶媒として水性媒体や有機溶剤を含む場合には、前記塗布後に加熱ローラーや熱風、熱板等を用いて、加熱乾燥することが好ましい。
【0068】
前記繊維材料の表面に形成された皮膜の付着量は、集束化され表面処理の施された繊維束の全質量に対して0.1~5質量%であることが好ましく、0.3~1.5質量%であることがより好ましい。
【0069】
前記方法で得られた集束化され表面処理の施された繊維材料、特にガラス繊維や炭素繊維は、後述するマトリックス樹脂(D)等と組み合わせ使用することによって、高強度な成形品を製造するための成形材料に使用することができる。
【0070】
特に、本発明の繊維集束剤によって表面処理の施された繊維材料は、マトリックス樹脂(D)と組み合わせ使用し成形品等を形成した際に、前記繊維とマトリックス樹脂(D)との界面の密着性を著しく向上できるため、成形品の強度を向上することが可能である。
【0071】
前記マトリックス樹脂(D)としては、例えば熱硬化性樹脂(D1)または熱可塑性樹脂(D2)を使用することができる。前記熱硬化性樹脂(D1)としてはフェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂等を使用することができる。前記熱可塑性樹脂(D2)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、6-ナイロン、6,6-ナイロン等のポリアミド樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリアセタール、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン等を使用することができる。
【0072】
本発明の繊維集束剤を用いて集束化等された繊維は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、6-ナイロン、6,6-ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトンのマトリックス樹脂と組み合わせ使用することが、高強度な成形品を得る上でより好ましい。
【0073】
前記表面処理の施された繊維材料と前記マトリックス樹脂(D)と、必要に応じて重合性単量体等とを含む成形材料としては、例えばプリプレグやシートモールディングコンパウンド(SMC)等が挙げられる。
【0074】
前記プリプレグは、例えば前記マトリックス樹脂(D1)を離型紙上に塗布し、その塗布面に表面処理の施された繊維材料を載置し、必要に応じてローラー等を用いて押圧含浸することによって製造することができる。
【0075】
前記プリプレグを製造する際には、前記マトリックス樹脂(D1)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂や、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を使用することが好ましい。
【0076】
また、前記シートモールディングコンパウンドは、例えば前記マトリックス樹脂(D1)と、スチレン等の重合性不飽和単量体との混合物を、前記表面処理の施された繊維材料に十分含浸し、シート状に加工等することによって製造することができる。前記シートモールディングコンパウンドを製造する際には、前記マトリックス樹脂(D1)として、不飽和ポリエステル樹脂や、ビニルエステル樹脂を使用することが好ましい。
【0077】
前記成形材料の硬化は、例えば加圧または常圧下、加熱または光照射によってラジカル重合させることによって進行する。かかる場合には、公知の熱硬化剤や光硬化剤等を組み合わせ使用することができる。
【0078】
また、前記成形材料としては、例えば前記熱可塑性樹脂(D2)と前記表面処理の施された繊維材料とを加熱下で混練等したものが挙げられる。かかる成形材料は、例えば射出成形法等による二次加工に使用することができる。
【0079】
また、前記熱可塑性樹脂(D2)によるプリプレグは、例えば表面処理の施された繊維材料をシート状に載置し、溶融した前記熱可塑性樹脂(D2)を含浸することによって製造することができる。
【0080】
前記熱可塑性樹脂(D2)によるプリプレグは、例えば1枚以上積層し、次いで加圧または常圧下、加熱し成形すること等による二次加工に使用することができる。
【0081】
前記成形材料を用いて得られた成形品は、高強度であることから、例えば自動車部材や航空機部材、産業用部材等に使用することができる。
【実施例
【0082】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。なお、エポキシ当量は、JIS K7236-2001に準拠して測定し、固形分値として表記したものであり、平均分子量は、下記のGPC測定条件で測定したものである。
【0083】
[GPC測定条件]
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度4mg/mLのテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の単分散ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0084】
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
【0085】
(実施例1:繊維集束剤(1)の製造)
温度計、撹拌装置、還流冷却管、滴下装置を備えた4ツ口フラスコに、ポリエチレングリコール(エチレンオキサイド付加モル数12)124質量部、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数12)45質量部、メチルエチルケトン165質量部を加えて溶解し、次いで、ジフェニルメタンジイソシアネート(東ソー株式会社製「ミリオネートMT」)100質量部を加え、80℃で2時間反応させた。
次いで、水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン3050」、エポキシ当量:800g/当量)100質量部、及び水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン7050」、エポキシ当量:2000g/当量)を14質量部加え、更に反応を進めた。赤外線吸収スペクトルにより、反応液中のイソシアネート基の消失を確認し、メトキシポリオキシエチレン構造とエポキシ基とを有するウレタン樹脂溶液(固形分70質量%、エポキシ当量:3,200g/当量(固形分値))を得た。なお、このウレタン樹脂の重量平均分子量は、13,800、アルコキシポリオキシアルキレン構造の含有量は31質量%であった。
これにポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数55;以下、「化合物(B-1)」と略記する。)40質量部を加えよく攪拌した。次いで、イオン交換水1200質量部を30分かけて滴下し、更に15分間攪拌混合した。この水分散物を減圧蒸留により濃縮して、固形分30質量%の繊維集束剤(1)を得た。
【0086】
(実施例2:繊維集束剤(2)の製造)
温度計、撹拌装置、還流冷却管、滴下装置を備えた4ツ口フラスコに、ポリエチレングリコール(エチレンオキサイド付加モル数12)124質量部、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数12)45質量部、メチルエチルケトン160質量部を加えて溶解し、ジフェニルメタンジイソシアネート(東ソー株式会社製「ミリオネートMT」)100質量部を加え、80℃で2時間反応させた。
次いで、水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン3050」、エポキシ当量:800g/当量)32質量部、及び水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロンHM-091」、エポキシ当量:2000g/当量)を70質量部加え、更に反応を進めた。赤外線吸収スペクトルにより、反応液中のイソシアネート基の消失を確認し、メトキシポリオキシエチレン構造とエポキシ基とを有するウレタン樹脂溶液(固形分70質量%、エポキシ当量:7,400g/当量(固形分値))を得た。なお、このウレタン樹脂の重量平均分子量は、22,800、アルコキシポリオキシアルキレン構造の含有量は32質量%であった。
これに化合物(B-1)40質量部を加えよく攪拌した。次いで、イオン交換水1150質量部を30分かけて滴下し、更に15分間攪拌混合した。この水分散物を減圧蒸留により濃縮して、固形分30質量%の繊維集束剤(2)を得た。
【0087】
(実施例3:繊維集束剤(3)の製造)
温度計、撹拌装置、還流冷却管、滴下装置を備えた4ツ口フラスコに、ポリエチレングリコール(エチレンオキサイド付加モル数12)124質量部、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数12)45質量部、メチルエチルケトン165質量部を加えて溶解し、次いで、ジフェニルメタンジイソシアネート(東ソー株式会社製「ミリオネートMT」)100質量部を加え、80℃で2時間反応させた。
次いで、水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン4050」、エポキシ当量:944g/当量)61質量部、及び水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「JPR1002」、エポキシ当量:650g/当量)58質量部を加え、更に反応を進めた。赤外線吸収スペクトルにより、反応液中のイソシアネート基の消失を確認し、メトキシポリオキシエチレン構造とエポキシ基とを有するウレタン樹脂溶液(固形分70質量%、エポキシ当量:2,650g/当量(固形分値))を得た。なお、このウレタン樹脂の重量平均分子量は、13,800、アルコキシポリオキシアルキレン構造の含有量は32質量%であった。
これにポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体(エチレンオキサイド付加モル数270、プロピレンオキサイド付加モル数50、平均分子量15,000;以下、「化合物(B-2)」と略記する。)40質量部を加えよく攪拌した。次いで、イオン交換水1200質量部を30分かけて滴下し、更に15分間攪拌混合した。この水分散物を減圧蒸留により濃縮して、固形分30質量%の繊維集束剤(3)を得た。
【0088】
(実施例4:繊維集束剤(4)の製造)
温度計、撹拌装置、還流冷却管、滴下装置を備えた4ツ口フラスコに、ポリエチレングリコール(エチレンオキサイド付加モル数12)124質量部、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数22)84質量部、メチルエチルケトン188質量部を加えて溶解し、次いで、m-キシリレンジイソシアネート(三井化学株式会社製「タケネート500」)80質量部を加え、80℃で2時間反応させた。
次いで、水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン4050」、エポキシ当量:944g/当量)47質量部、及び水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン3050」、エポキシ当量:800g/当量)70質量部を加え、更に反応を進めた。赤外線吸収スペクトルにより、反応液中のイソシアネート基の消失を確認し、メトキシポリオキシエチレン構造とエポキシ基とを有するウレタン樹脂溶液(固形分70質量%、エポキシ当量:2,900g/当量(固形分値))を得た。なお、このウレタン樹脂の重量平均分子量は、13,900、アルコキシポリオキシアルキレン構造の含有量は38質量%であった。
これにポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数27;以下、「化合物(B-3)」と略記する。)40質量部を加えよく攪拌した。次いで、イオン交換水1250質量部を30分かけて滴下し、更に15分間攪拌混合した。この水分散物を減圧蒸留により濃縮して、固形分30質量%の繊維集束剤(4)を得た。
【0089】
(実施例5:繊維集束剤(5)の製造)
温度計、撹拌装置、還流冷却管、滴下装置を備えた4ツ口フラスコに、ポリエチレングリコール(エチレンオキサイド付加モル数22)124質量部、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数22)83質量部、メチルエチルケトン190質量部を加えて溶解し、次いで、トリレンジイソシアネート(三井化学株式会社製「コスモネートT-80」)75質量部を加え、80℃で2時間反応させた。
次いで、水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン3050」、エポキシ当量:800g/当量)100質量部、及び水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン7050」、エポキシ当量:2000g/当量)を14質量部加え、更に反応を進めた。赤外線吸収スペクトルにより、反応液中のイソシアネート基の消失を確認し、メトキシポリオキシエチレン構造とエポキシ基とを有するウレタン樹脂溶液(固形分70質量%、エポキシ当量:3,250g/当量(固形分値))を得た。なお、このウレタン樹脂の重量平均分子量は、14,500、アルコキシポリオキシアルキレン構造の含有量は40質量%であった。
これに化合物(B-3)40質量部を加えよく攪拌した。次いで、イオン交換水1200質量部を30分かけて滴下し、更に15分間攪拌混合した。この水分散物を減圧蒸留により濃縮して、固形分30質量%の繊維集束剤(5)を得た。
【0090】
(実施例6:繊維集束剤(6)の製造)
温度計、撹拌装置、還流冷却管、滴下装置を備えた4ツ口フラスコに、ポリエチレングリコール(エチレンオキサイド付加モル数12)124質量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノブチルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数17、プロピレンオキサイド付加モル数17)45質量部、メチルエチルケトン165質量部を加えて溶解し、次いで、ジフェニルメタンジイソシアネート(東ソー株式会社製「ミリオネートMT」)100質量部を加え、80℃で2時間反応させた。
次いで、水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン3050」、エポキシ当量:800g/当量)100質量部、及び水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン7050」、エポキシ当量:2000g/当量)を14質量部加え、更に反応を進めた。赤外線吸収スペクトルにより、反応液中のイソシアネート基の消失を確認し、ブトキシポリオキシエチレンポリオキシプロピレン構造とエポキシ基とを有するウレタン樹脂溶液(固形分70質量%、エポキシ当量:3250g/当量(固形分値))を得た。なお、このウレタン樹脂の重量平均分子量は、13,900、アルコキシポリオキシアルキレン構造の含有量は30質量%であった。
これに化合物(B-3)40質量部を加えよく攪拌した。次いで、イオン交換水1200質量部を30分かけて滴下し、更に15分間攪拌混合した。この水分散物を減圧蒸留により濃縮して、固形分30質量%の繊維集束剤(6)を得た。
【0091】
(実施例7:繊維集束剤(7)の製造)
温度計、撹拌装置、還流冷却管、滴下装置を備えた4ツ口フラスコに、ポリエチレングリコール(エチレンオキサイド付加モル数12)124質量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノブチルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数17、プロピレンオキサイド付加モル数17)45質量部、メチルエチルケトン157質量部を加えて溶解し、次いで、m-キシリレンジイソシアネート(三井化学株式会社製「タケネート500」)78質量部を加え、80℃で2時間反応させた。
次いで、水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン3050」、エポキシ当量:800g/当量)100質量部、及び水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン7050」、エポキシ当量:2000g/当量)を14質量部加え、更に反応を進めた。赤外線吸収スペクトルにより、反応液中のイソシアネート基の消失を確認し、ブトキシポリオキシエチレンポリオキシプロピレン構造とエポキシ基とを有するウレタン樹脂溶液(固形分70質量%、エポキシ当量:2970g/当量(固形分値))を得た。なお、このウレタン樹脂の重量平均分子量は、13,400、アルコキシポリオキシアルキレン構造の含有量は33質量%であった。
これに化合物(B-3)36質量部を加えよく攪拌した。次いで、イオン交換水1100質量部を30分かけて滴下し、更に15分間攪拌混合した。この水分散物を減圧蒸留により濃縮して、固形分30質量%の繊維集束剤(7)を得た。
【0092】
(実施例8:繊維集束剤(8)の製造)
温度計、撹拌装置、還流冷却管、滴下装置を備えた4ツ口フラスコに、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノブチルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数17、プロピレンオキサイド付加モル数17)124質量部、メチルエチルケトン113質量部を加えて溶解し、次いで、ジフェニルメタンジイソシアネート(東ソー株式会社製「ミリオネートMT」)60質量部を加え、80℃で2時間反応させた。
次いで、水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン3050」、エポキシ当量:800g/当量)71質量部、及び水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン7050」、エポキシ当量:2000g/当量)を9質量部加え、更に反応を進めた。赤外線吸収スペクトルにより、反応液中のイソシアネート基の消失を確認し、ブトキシポリオキシエチレンポリオキシプロピレン構造とエポキシ基とを有するウレタン樹脂溶液(固形分70質量%、エポキシ当量:3075g/当量(固形分値))を得た。なお、このウレタン樹脂の重量平均分子量は、13,450、アルコキシポリオキシアルキレン構造の含有量は34質量%であった。
これに化合物(B-3)28質量部を加えよく攪拌した。次いで、イオン交換水810質量部を30分かけて滴下し、更に15分間攪拌混合した。この水分散物を減圧蒸留により濃縮して、固形分30質量%の繊維集束剤(8)を得た。
【0093】
(実施例9:繊維集束剤(9)の製造)
温度計、撹拌装置、還流冷却管、滴下装置を備えた4ツ口フラスコに、ポリエチレングリコール(エチレンオキサイド付加モル数12)124質量部、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数90)330質量部、メチルエチルケトン290質量部を加えて溶解し、次いで、ジフェニルメタンジイソシアネート(東ソー株式会社製「ミリオネートMT」)103質量部を加え、80℃で2時間反応させた。
次いで、水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン3050」、エポキシ当量:800g/当量)100質量部、及び水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン7050」、エポキシ当量:2000g/当量)を14質量部加え、更に反応を進めた。赤外線吸収スペクトルにより、反応液中のイソシアネート基の消失を確認し、メトキシポリオキシエチレン構造とエポキシ基とを有するウレタン樹脂溶液(固形分70質量%、エポキシ当量:5550g/当量分値))を得た。なお、このウレタン樹脂の重量平均分子量は、18,800、アルコキシポリオキシアルキレン構造の含有量は53質量%であった。
これに化合物(B-2)68質量部を加えよく攪拌した。次いで、イオン交換水2050質量部を30分かけて滴下し、更に15分間攪拌混合した。この水分散物を減圧蒸留により濃縮して、固形分30質量%の繊維集束剤(9)を得た。
【0094】
(実施例10:繊維集束剤(10)の製造)
温度計、撹拌装置、還流冷却管、滴下装置を備えた4ツ口フラスコに、ポリエチレングリコール(エチレンオキサイド付加モル数12)124質量部、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数12)45質量部、メチルエチルケトン165質量部を加えて溶解し、次いで、ジフェニルメタンジイソシアネート(東ソー株式会社製「ミリオネートMT」)100質量部を加え、80℃で2時間反応させた。
次いで、水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン3050」、エポキシ当量:800g/当量)100質量部、及び水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン7050」、エポキシ当量:2000g/当量)を14質量部加え、更に反応を進めた。赤外線吸収スペクトルにより、反応液中のイソシアネート基の消失を確認し、メトキシポリオキシエチレン構造とエポキシ基とを有するウレタン樹脂溶液(固形分70質量%、エポキシ当量:3,200g/当量(固形分値))を得た。なお、このウレタン樹脂の重量平均分子量は、14,900、アルコキシポリオキシアルキレン構造の含有量は31質量%であった。
これに化合物(B-2)40質量部を加えよく攪拌した。次いで、イオン交換水1200質量部を30分かけて滴下し、更に15分間攪拌混合した。この水分散物を減圧蒸留により濃縮して、固形分30質量%の繊維集束剤(10)を得た。
【0095】
(比較例1:繊維集束剤(R1)の製造)
温度計、撹拌装置、還流冷却管、滴下装置を備えた4ツ口フラスコに、ポリエチレングリコール(エチレンオキサイド付加モル数12)124質量部、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数12)45質量部、メチルエチルケトン180質量部を加えて溶解し、次いで、ジフェニルメタンジイソシアネート(東ソー株式会社製「ミリオネートMT」)100質量部を加え、80℃で2時間反応させた。
次いで、水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン4050」、エポキシ当量:944g/当量)115質量部を加え、更に反応を進めた。赤外線吸収スペクトルにより、反応液中のイソシアネート基の消失を確認し、メトキシポリオキシエチレン構造とエポキシ基とを有するウレタン樹脂溶液(固形分70質量%、エポキシ当量:3,200g/当量(固形分値))を得た。なお、このウレタン樹脂の重量平均分子量は、14,500、アルコキシポリオキシアルキレン構造の含有量は31質量%であった。
これに化合物(B-1)40質量部を加えよく攪拌した。次いで、イオン交換水1300質量部を30分かけて滴下し、更に15分間攪拌混合した。この水分散物を減圧蒸留により濃縮して、固形分30質量%の繊維集束剤(R1)を得た。
【0096】
(比較例2:繊維集束剤(R2)の製造)
温度計、撹拌装置、還流冷却管、滴下装置を備えた4ツ口フラスコに、ポリエチレングリコール(エチレンオキサイド付加モル数12)124質量部、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数12)45質量部、メチルエチルケトン160質量部を加えて溶解し、次いで、ジフェニルメタンジイソシアネート(東ソー株式会社製「ミリオネートMT」)100質量部を加え、80℃で2時間反応させた。
次いで、水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン7050」、エポキシ当量:2,000g/当量)150質量部を加え、更に反応を進めた。赤外線吸収スペクトルにより、反応液中のイソシアネート基の消失を確認し、メトキシポリオキシエチレン構造とエポキシ基とを有するウレタン樹脂溶液(固形分70質量%、エポキシ当量:7,400g/当量(固形分値))を得た。なお、このウレタン樹脂の重量平均分子量は、25,300、アルコキシポリオキシアルキレン構造の含有量は32質量%であった。であった。
これに化合物(B-1)40質量部を加えよく攪拌した。次いで、イオン交換水1,300質量部を30分かけて滴下し、更に15分間攪拌混合した。この水分散物を減圧蒸留により濃縮して、固形分30質量%の繊維集束剤(R2)を得た。
【0097】
(比較例3:繊維集束剤(R3)の製造)
温度計、撹拌装置、還流冷却管、滴下装置を備えた4ツ口フラスコに、ポリエチレングリコール(エチレンオキサイド付加モル数12)124質量部、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数12)45質量部、メチルエチルケトン180質量部を加えて溶解し、次いで、ジフェニルメタンジイソシアネート(東ソー株式会社製「ミリオネートMT」)100質量部を加え、80℃で2時間反応させた。
次いで、水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン3050」、エポキシ当量:800g/当量)120質量部を加え、更に反応を進めた。赤外線吸収スペクトルにより、反応液中のイソシアネート基の消失を確認し、メトキシポリオキシエチレン構造とエポキシ基とを有するウレタン樹脂溶液(固形分70質量%、エポキシ当量:2,600g/当量(固形分値))を得た。なお、このウレタン樹脂の重量平均分子量は、13,900、アルコキシポリオキシアルキレン構造の含有量は30質量%であった。
これに化合物(B-1)40質量部を加えよく攪拌した。次いで、イオン交換水1200質量部を30分かけて滴下し、更に15分間攪拌混合した。この水分散物を減圧蒸留により濃縮して、固形分30質量%の繊維集束剤(R3)を得た。
【0098】
(実施例11:繊維集束剤(1)の評価)
【0099】
[炭素繊維の集束剤処理]
ポリアクリロニトリル系炭素繊維(直径7μm/6000本)のノーサイズ糸を束ね、繊維集束剤(1)をイオン交換水で不揮発分5質量%に希釈したものを浸漬法で含浸し、ローラーで絞ることで有効成分の付着量を1質量%に調整し、次いで、150℃で30分間熱処理することによって、繊維集束剤(1)によって表面処理の施された炭素繊維束(1)を得た。
【0100】
[繊維集束性の評価]
TM式摩擦抱合力試験機TM-200(大栄科学精機製作所製)を用い、ジグザグに配置した鏡面クロムメッキステンレス針3本を介して200gの張力で、炭素繊維束(1)を2000回擦過させ(往復運動速度500回/分)、炭素繊維束(1)の毛羽立ちの状態を下記の基準で目視判定した。
【0101】
◎:擦過前と同じく毛羽発生が全く見られなかった。
○:数本の毛羽は見られたものの、実用上問題ないレベルであった。
△:毛羽立ちが確認でき、糸切れも若干見られた。
×:毛羽立ち及び単糸の糸切れが非常に多く確認できた。
【0102】
[成形品の作成]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン850」)50質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン1050」)20質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン673」)30質量部に、ジシアンジアミド4質量部及びN-(3,4-ジクロロフェニル)-N’,N’-ジメチルウレア4質量部を調合し離型紙上に塗布した。塗布した樹脂フィルム上に前記で得た炭素繊維束(1)を等間隔で一方向に引き揃え並べた後、加熱してエポキシ樹脂を含浸し、炭素繊維含有率が60質量%のプリプレグを作成した。作成したプリプレグを積層し、150℃加圧下で1時間、続いて140℃で4時間処理することによって成形品(1)を作成した。
【0103】
[成形品の層間せん断強度の評価]
成形品(1)の厚さ2.5mm、幅6.0mmの試験板について、ASTM D-2344に準拠した方法で層間せん断強度を測定した。また、同様の試験板を蒸留水中で72時間煮沸処理した後のものについても、同様に層間せん断強度を測定した。
【0104】
(実施例12~20:繊維集束剤(2)~(10)の評価)
繊維集束剤(1)に代えて、繊維集束剤(2)~(10)を用いた以外は、実施例11と同様にして、各評価を行った。
【0105】
(比較例4~6:繊維集束剤(R1)~(R3)の評価)
繊維集束剤(1)に代えて、繊維集束剤(R1)~(R3)を用いた以外は、実施例11と同様にして、各評価を行った。
【0106】
上記の実施例11~20及び比較例4~6の評価結果を表1及び表2に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
本発明の繊維集束剤である実施例1~10は、繊維集束性に優れ、これを用いて得られる成形品は層間せん断強度に優れることが確認された(実施例11~20)。
【0110】
一方、比較例1及び2は、ウレタン樹脂(A)の原料として、エポキシ当量600~860g/当量の水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いなかった例であるが、繊維集束性が不十分であることが確認された(比較例4及び5)。
【0111】
また、比較例3は、ウレタン樹脂(A)の原料として、エポキシ当量900~2100g/当量の水酸基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いなかった例であるが、繊維集束性が不十分であることが確認された(比較例6)。