IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ギガフォトン株式会社の特許一覧

特許7428667機械学習方法、消耗品管理装置、及びコンピュータ可読媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】機械学習方法、消耗品管理装置、及びコンピュータ可読媒体
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/00 20060101AFI20240130BHJP
   H01S 3/104 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H01S3/00 G
H01S3/104
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020570296
(86)(22)【出願日】2019-02-07
(86)【国際出願番号】 JP2019004449
(87)【国際公開番号】W WO2020161865
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】300073919
【氏名又は名称】ギガフォトン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】阿部 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】峰岸 裕司
(72)【発明者】
【氏名】菊池 悟
(72)【発明者】
【氏名】若林 理
【審査官】大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-205528(JP,A)
【文献】特開2018-138327(JP,A)
【文献】特開2018-097723(JP,A)
【文献】国際公開第2018/105175(WO,A1)
【文献】特開2017-163036(JP,A)
【文献】国際公開第2014/038584(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/017562(WO,A1)
【文献】特開2013-217897(JP,A)
【文献】特表2010-519782(JP,A)
【文献】特開2002-043219(JP,A)
【文献】特開平10-275951(JP,A)
【文献】特開平08-320296(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0235663(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ装置の消耗品の劣化度を予測する処理をコンピュータに実行させる学習モデルを作成する機械学習方法であって、
前記消耗品の使用が開始されてから交換されるまでの期間中の異なる発振パルス数に対応して記録された前記消耗品の寿命に関連する前記発振パルス数以外のパラメータである寿命関連パラメータのログデータを含む第1の寿命関連情報を取得することと、
前記第1の寿命関連情報を前記発振パルス数に応じて、前記発振パルス数の増加によって劣化が進む前記消耗品の前記劣化度を表す複数段階のレベルに分割し、前記第1の寿命関連情報と前記劣化度を表す前記レベルとを対応付けた訓練データを作成することと、
前記訓練データを用いて機械学習を行うことにより、前記寿命関連パラメータのログデータから前記消耗品の劣化度を予測する前記学習モデルを作成することと、
前記作成された前記学習モデルを保存することと、
を含む機械学習方法。
【請求項2】
請求項1に記載の機械学習方法であって、
前記消耗品は、レーザチャンバであり、
前記レーザチャンバの前記第1の寿命関連情報に含まれる前記寿命関連パラメータは、電極劣化パラメータと、パルスエネルギ安定性パラメータと、ガス制御パラメータと、を含み、
前記電極劣化パラメータは、前記レーザチャンバ内のレーザガスを励起させる放電を発生させる放電電極の寿命に関係するパラメータであって、少なくとも放電回数を含み、
前記パルスエネルギ安定性パラメータは、前記レーザ装置から出力されるパルスレーザ光のパルスエネルギの安定性に関係するパラメータであって、少なくとも前記パルスエネルギのばらつきを含み、
前記ガス制御パラメータは、前記レーザチャンバ内の前記レーザガスの制御に関係するパラメータであって、少なくともレーザチャンバの圧力、又は、前記放電電極に印加される電圧となる充電コンデンサの充電電圧を含む、
機械学習方法。
【請求項3】
請求項2に記載の機械学習方法であって、
前記レーザチャンバの前記第1の寿命関連情報に含まれる前記寿命関連パラメータは、さらに、運転負荷パラメータを含み、
前記運転負荷パラメータは、前記レーザ装置の運転において前記レーザ装置にかかる負荷の大きさに関係するパラメータであって、少なくとも前記レーザ装置から出力される前記パルスレーザ光の平均出力、又は、バースト運転のデューティを含む、
機械学習方法。
【請求項4】
請求項2に記載の機械学習方法であって、
前記レーザチャンバの前記第1の寿命関連情報に含まれる前記寿命関連パラメータは、さらに、レーザ共振器の光学素子の劣化パラメータを含み、
前記レーザ共振器の光学素子の劣化パラメータは、前記光学素子の劣化に関係するパラメータであって、少なくとも前記光学素子の交換後のパルスエネルギの積算値を含む、
機械学習方法。
【請求項5】
請求項1に記載の機械学習方法であって、
前記消耗品は、モニタモジュールであり、
前記モニタモジュールの前記第1の寿命関連情報に含まれる前記寿命関連パラメータは、前記モニタモジュールの光学素子の劣化パラメータを含み、
前記モニタモジュールの光学素子の劣化パラメータは、前記光学素子の劣化に関係するパラメータであって、少なくとも前記モニタモジュールの交換後のパルスエネルギの積算値を含む、
機械学習方法。
【請求項6】
請求項1に記載の機械学習方法であって、
前記消耗品は、モニタモジュールであり、
前記モニタモジュールの前記第1の寿命関連情報に含まれる前記寿命関連パラメータは、前記モニタモジュールのイメージセンサの劣化パラメータを含み、
前記モニタモジュールのイメージセンサの劣化パラメータは、前記イメージセンサの劣化に関係するパラメータであって、少なくとも前記イメージセンサの検出光強度を含む、
機械学習方法。
【請求項7】
請求項1に記載の機械学習方法であって、
前記消耗品は、狭帯域化モジュールであり、
前記狭帯域化モジュールの前記第1の寿命関連情報に含まれる前記寿命関連パラメータは、前記狭帯域化モジュールの光学素子の劣化パラメータを含み、
前記狭帯域化モジュールの光学素子の劣化パラメータは、前記光学素子の劣化に関係するパラメータであって、少なくとも前記狭帯域化モジュールの交換後のパルスエネルギの積算値を含む、
機械学習方法。
【請求項8】
請求項7に記載の機械学習方法であって、
前記狭帯域化モジュールの前記第1の寿命関連情報に含まれる前記寿命関連パラメータは、さらに、波長アクチュエータの劣化パラメータを含み、
前記波長アクチュエータの劣化パラメータは、前記波長アクチュエータの劣化に関係するパラメータであって、少なくとも前記レーザ装置から出力されるパルスレーザ光の波長安定性を含む、
機械学習方法。
【請求項9】
請求項7に記載の機械学習方法であって、
前記狭帯域化モジュールの前記第1の寿命関連情報に含まれる前記寿命関連パラメータは、さらに、波面の劣化パラメータを含み、
前記波面の劣化パラメータは、前記レーザ装置から出力されるパルスレーザ光の波面の歪みに関係するパラメータであって、少なくとも前記レーザ装置から出力されるパルスレーザ光のスペクトル線幅を含む、
機械学習方法。
【請求項10】
請求項1に記載の機械学習方法であって、
前記第1の寿命関連情報は、前記消耗品のバージョンに対応して前記ログデータが前記バーョン毎に分類された情報であり、
前記作成された前記学習モデルは、前記消耗品のバーョンに対応した学習モデルとして保存される機械学習方法。
【請求項11】
請求項1に記載の機械学習方法であって、
前記学習モデルは、ニューラルネットワークモデルである機械学習方法。
【請求項12】
請求項1に記載の機械学習方法を実施することによって作成された前記学習モデルを保存しておく学習モデル保存部と、
前記レーザ装置における交換予定の消耗品についての寿命予測処理の要求信号を受信して、前記交換予定の消耗品に関する前記寿命関連パラメータの現在のログデータを含む第2の寿命関連情報を取得する情報取得部と、
前記交換予定の消耗品の前記学習モデルと前記第2の寿命関連情報とに基づいて、前記交換予定の消耗品の寿命と余寿命とを計算する寿命予測部と、
前記計算によって得られた前記交換予定の消耗品の寿命と余寿命との情報を外部装置に通知する情報出力部と、
を含む消耗品管理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の消耗品管理装置であって、さらに、
前記情報取得部は、前記レーザ装置の稼動予定データを受信し、
前記寿命予測部は、前記稼動予定データと前記余寿命とから推奨メインテナンス日を計算し、
前記情報出力部は、前記推奨メインテナンス日の情報を前記外部装置に通知する
消耗品管理装置。
【請求項14】
請求項13に記載の消耗品管理装置であって、さらに、
前記レーザ装置の制御パラメータを変更するレーザ制御パラメータ変更部を含み、
前記情報取得部は、前記レーザ装置における前記交換予定の消耗品のメインテナンス希望日の情報を受信し、
前記レーザ制御パラメータ変更部は、前記メインテナンス希望日から計算される発振パルス数と前記余寿命の発振パルス数とを比較し、前記余寿命の発振パルス数の方が小さい場合に前記メインテナンス希望日まで寿命延長可能なように前記レーザ装置の制御パラメータを変更し、前記変更された前記制御パラメータを前記レーザ装置に提供する
消耗品管理装置。
【請求項15】
請求項12に記載の消耗品管理装置であって、
前記学習モデルに前記第2の寿命関連情報が入力され、前記学習モデルから前記第2の寿命関連情報に対応する前記レベルの確からしさを示すスコアが得られ、
前記寿命予測部は、前記第2の寿命関連情報に含まれる現在の発振パルス数と前記スコアとを基に、前記交換予定の消耗品の寿命と余寿命とを計算する消耗品管理装置。
【請求項16】
請求項12に記載の消耗品管理装置であって、さらに、
前記消耗品の使用が開始されてから交換されるまでの期間中の異なる発振パルス数に対応して記録された前記消耗品に関連する前記発振パルス数以外のパラメータである寿命関連パラメータのログデータを含む第1の寿命関連情報を取得する情報取得部と、
前記第1の寿命関連情報を前記発振パルス数に応じて、前記発振パルス数の増加によって劣化が進む前記消耗品の劣化度を表す複数段階のレベルに分割し、前記第1の寿命関連情報と前記劣化度を表す前記レベルとを対応付けた訓練データを作成する訓練データ作成部と、
前記訓練データを用いて機械学習を行うことにより、前記寿命関連パラメータのログデータから前記消耗品の劣化度を予測する前記学習モデルを作成する学習モデル作成部と、
前記作成された前記学習モデルを保存する学習モデル保存部と、
を含む消耗品管理装置。
【請求項17】
プログラムが記録された非一過性のコンピュータ可読媒体であって、
前記プログラムは、プロセッサにより実行された場合に、前記プロセッサに、レーザ装置の消耗品の劣化度を予測する処理をコンピュータに実行させる学習モデルを作成する機械学習の機能を実現させるプログラムであり、
前記プロセッサに、前記消耗品の使用が開始されてから交換されるまでの期間中の異なる発振パルス数に対応して記録された前記消耗品の寿命に関連する前記発振パルス数以外のパラメータである寿命関連パラメータのログデータを含む第1の寿命関連情報を取得する機能と、
前記第1の寿命関連情報を前記発振パルス数に応じて、前記発振パルス数の増加によって劣化が進む前記消耗品の前記劣化度を表す複数段階のレベルに分割し、前記第1の寿命関連情報と前記レベルとを対応付けた訓練データを作成する機能と、
前記訓練データを用いて機械学習を行うことにより、前記寿命関連パラメータのログデータから前記消耗品の劣化度を予測する前記学習モデルを作成する機能と、
前記作成された前記学習モデルを保存する機能と、
を実現させるための命令を含む前記プログラムが記録された非一過性のコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
請求項17に記載のコンピュータ可読媒体に記録されたプログラムを実行することによって作成された前記学習モデルを保存する機能と、
前記レーザ装置における交換予定の消耗品についての寿命予測処理の要求信号を受信する機能と、
前記要求信号の受信に応じて、前記交換予定の消耗品に関する前記寿命関連パラメータの現在のログデータを含む第2の寿命関連情報を取得する機能と、
前記交換予定の消耗品の前記学習モデルと前記第2の寿命関連情報とに基づいて、前記交換予定の消耗品の寿命と余寿命とを計算する機能と、
前記計算によって得られた前記交換予定の消耗品の寿命と余寿命との情報を外部装置に通知する機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラムが記録された非一過性のコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
請求項18に記載のコンピュータ可読媒体であって、さらに、
前記プログラムは、
前記レーザ装置の稼動予定データを受信する機能と、
前記稼動予定データと前記余寿命とから推奨メインテナンス日を計算する機能と、
前記推奨メインテナンス日の情報を前記外部装置に通知する機能と、
をコンピュータに実現させる命令を含むコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
請求項19に記載のコンピュータ可読媒体であって、さらに、
前記プログラムは、
前記レーザ装置における前記交換予定の消耗品のメインテナンス希望日の情報を受信する機能と、
前記メインテナンス希望日から計算される発振パルス数と前記余寿命の発振パルス数とを比較し、前記余寿命の発振パルス数の方が小さい場合に前記メインテナンス希望日まで寿命延長可能なように前記レーザ装置の制御パラメータを変更する機能と、
前記変更された前記制御パラメータを前記レーザ装置に提供する機能と、
をコンピュータに実現させるための命令を含むコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機械学習方法、消耗品管理装置、及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の微細化、高集積化につれて、半導体露光装置においては解像力の向上が要請されている。半導体露光装置を以下、単に「露光装置」という。このため露光用光源から出力される光の短波長化が進められている。露光用光源には、従来の水銀ランプに代わってガスレーザ装置が用いられている。現在、露光用のガスレーザ装置としては、波長248nmの紫外線を出力するKrFエキシマレーザ装置ならびに、波長193nmの紫外線を出力するArFエキシマレーザ装置が用いられている。
【0003】
現在の露光技術としては、露光装置側の投影レンズとウエハ間の間隙を液体で満たして、当該間隙の屈折率を変えることによって、露光用光源の見かけの波長を短波長化する液浸露光が実用化されている。ArFエキシマレーザ装置を露光用光源として用いて液浸露光が行われた場合は、ウエハには等価における波長134nmの紫外光が照射される。この技術をArF液浸露光という。ArF液浸露光はArF液浸リソグラフィとも呼ばれる。
【0004】
KrF、ArFエキシマレーザ装置の自然発振におけるスペクトル線幅は約350~400pmと広いため、露光装置側の投影レンズによってウエハ上に縮小投影されるレーザ光(紫外線光)の色収差が発生して解像力が低下する。そこで色収差が無視できる程度となるまでガスレーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル線幅を狭帯域化する必要がある。スペクトル線幅はスペクトル幅とも呼ばれる。このためガスレーザ装置のレーザ共振器内には狭帯域化素子を有する狭帯域化部(Line Narrow Module)が設けられ、この狭帯域化部によりスペクトル幅の狭帯域化が実現されている。なお、狭帯域化素子はエタロンやグレーティング等であってもよい。このようにスペクトル幅が狭帯域化されたレーザ装置を狭帯域化レーザ装置という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-320296号公報
【文献】米国特許出願公開第2018/0246494号明細書
【文献】米国特許第6219367号明細書
【文献】米国特許第6697695号明細書
【概要】
【0006】
本開示の1つの観点に係る機械学習方法は、レーザ装置の消耗品の寿命を予測するための学習モデルを作成する機械学習方法であって、消耗品の使用が開始されてから交換されるまでの期間中の異なる発振パルス数に対応して記録された消耗品の寿命関連パラメータのデータを含む第1の寿命関連情報を取得することと、第1の寿命関連情報を発振パルス数に応じて消耗品の劣化度を表す複数段階のレベルに分割し、第1の寿命関連情報と劣化度を表すレベルとを対応付けた訓練データを作成することと、訓練データを用いて機械学習を行うことにより、寿命関連パラメータのデータから消耗品の劣化度を予測する学習モデルを作成することと、作成された学習モデルを保存することと、を含む機械学習方法である。
【0007】
本開示の他の1つの観点に係る消耗品管理装置は、本開示の1つの観点に係る機械学習方法を実施することによって作成された学習モデルを保存しておく学習モデル保存部と、レーザ装置における交換予定の消耗品についての寿命予測処理の要求信号を受信して、交換予定の消耗品に関する現在の第2の寿命関連情報を取得する情報取得部と、交換予定の消耗品の学習モデルと第2の寿命関連情報とに基づいて、交換予定の消耗品の寿命と余寿命とを計算する寿命予測部と、計算によって得られた交換予定の消耗品の寿命と余寿命との情報を外部装置に通知する情報出力部と、を含むレーザ装置の消耗品管理装置である。
【0008】
本開示の他の1つの観点に係るプログラムが記録された非一過性のコンピュータ可読媒体は、プロセッサにより実行された場合に、プロセッサに、レーザ装置の消耗品の寿命を予測するための学習モデルを作成する機械学習の機能を実現させるプログラムであり、プロセッサに、消耗品の使用が開始されてから交換されるまでの期間中の異なる発振パルス数に対応して記録された消耗品の寿命関連パラメータのデータを含む第1の寿命関連情報を取得する機能と、第1の寿命関連情報を発振パルス数に応じて消耗品の劣化度を表す複数段階のレベルに分割し、第1の寿命関連情報と劣化度を表すレベルとを対応付けた訓練データを作成する機能と、訓練データを用いて機械学習を行うことにより、寿命関連パラメータのデータから消耗品の劣化度を予測する学習モデルを作成する機能と、作成された学習モデルを保存する機能と、を実現させるための命令を含む前記プログラムが記録された非一過性のコンピュータ可読媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1図1は、例示的なレーザ装置の構成を概略的に示す図である。
図2図2は、半導体工場のレーザ管理システムの構成例を概略的に示す図である。
図3図3は、典型的なレーザチャンバのガス圧と発振パルス数の関係を表すグラフである。
図4図4は、実施形態1に係る半導体工場のレーザ管理システムの構成を示す図である。
図5図5は、消耗品管理サーバの機能を示すブロック図である。
図6図6は、データ取得部における処理内容の例を示すフローチャートである。
図7図7は、学習モデル作成部における処理内容の例を示すフローチャートである。
図8図8は、レーザチャンバの発振パルス数Npとガス圧Pの関係を示す寿命関連情報のデータの一例を示すグラフである。
図9図9は、図7のステップS48の処理内容の例を示すフローチャートである。
図10図10は、ニューラルネットワークモデルの例を示す模式図である。
図11図11は、学習モデルを作成する際のニューラルネットワークのモデルの例である。
図12図12は、消耗品の寿命予測部における処理内容の例を示すフローチャートである。
図13図13は、図12のステップS70の処理内容の例を示すフローチャートである。
図14図14は、作成した学習モデルを使用してレーザチャンバの寿命及び余寿命を計算する例を示すグラフである。
図15図15は、劣化度毎の確率Lv(1)~Lv(10)の例を示す図表である。
図16図16は、学習済みのニューラルネットワークモデルによって消耗品の寿命を予測する処理の例を示す図である。
図17図17は、データ出力部における処理内容の例を示すフローチャートである。
図18図18は、レーザチャンバの寿命関連情報の例を示す図表である。
図19図19は、レーザチャンバの寿命関連情報の例を示す図表である。
図20図20は、レーザチャンバの寿命関連情報の例を示す図表である。
図21図21は、モニタモジュールの寿命関連情報の例を示す図表である。
図22図22は、狭帯域化モジュールの寿命関連情報の例を示す図表である。
図23図23は、実施形態2に係る消耗品管理サーバの機能を示すブロック図である。
図24図24は、データ取得部における処理内容の例を示すフローチャートである。
図25図25は、消耗品の寿命予測部における処理内容の例を示すフローチャートである。
図26図26は、レーザ制御パラメータ変更部における処理内容の例を示すフローチャートである。
図27図27は、図26のステップS212に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。
図28図28は、寿命延命の発振パルス数とレーザ装置の制御パラメータの関係のグラフの概念図である。
図29図29は、データ出力部における処理内容の例を示すフローチャートである。
図30図30は、実施形態3に係るレーザ管理システムの構成例を示す図である。
図31図31は、ファイルAの各バーションのレーザチャンバの寿命関連ログデータの構成を示す概念図である。
図32図32は、各バージョンのレーザチャンバの学習モデルを保存したファイルAmの例を示す概念図である。
図33図33にファイルAnに含まれるログデータの例を示す図表である。
図34図34は、エタロン分光器を用いるスペクトル検出器の構成例を概略的に示す図である。
図35図35は、スペクトル波形と全エネルギの95%を含む幅の関係を示す図である。
図36図36は、レーザ装置がダブルチャンバシステムの構成の例を示す図である。
【実施形態】
【0010】
-目次-
1.用語の説明
2.レーザ装置の説明
2.1 構成
2.2 動作
2.3 レーザ装置の主要な消耗品のメインテナンス
2.4 その他
3.半導体工場のレーザ管理システムの例
3.1 構成
3.2 動作
4.課題
5.実施形態1
5.1 構成
5.2 動作
5.2.1 消耗品管理サーバにおける機械学習の動作の概要
5.2.2 消耗品管理サーバにおける消耗品の寿命予測の動作の概要
5.2.3 データ取得部の処理例
5.2.4 学習モデル作成部の処理例
5.2.5 レーザチャンバの寿命予測に用いる学習モデルの作成例
5.2.6 ニューラルネットワークモデルの例
5.2.7 ニューラルネットワークモデルの学習モード
5.2.8 消耗品の寿命予測部の処理例
5.2.9 学習モデルを使って消耗品の寿命を計算する処理の例
5.2.10 ニューラルネットワークモデルの寿命予測モード
5.2.11 その他
5.2.12 データ出力部の処理例
5.3 レーザチャンバの寿命関連情報
5.4 モニタモジュールの寿命関連情報の例
5.5 狭帯域化モジュールの寿命関連情報の例
5.6 作用・効果
5.7 その他
6.実施形態2
6.1 構成
6.2 動作
6.2.1 データ取得部の処理例
6.2.2 消耗品の寿命予測部の処理例
6.2.3 レーザ制御パラメータ変更部の処理例
6.2.4 データ出力部の処理例
6.3 作用・効果
7.実施形態3
7.1 構成
7.2 動作
7.2.1 学習モデルの作成と保存
7.2.2 予測寿命の推奨メインテナンス日の計算
7.3 作用・効果
7.4 その他
8.消耗品のバーションに応じた学習データの収集と学習モデルの作成
8.1 概要
8.2 作用・効果
8.3 その他
9.スペクトル検出器の例
10.レーザ装置の他の形態
10.1 構成
10.2 動作
10.3 マスターオシレータの動作
10.4 パワーオシレータの動作
10.5 消耗品の寿命予測の処理
11.変形例
12.プログラムを記録したコンピュータ可読媒体について
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
1.用語の説明
「消耗品」は、定期的なメインテナンスが必要になる部品やモジュールなどの物品を包括的に表す用語として用いる。交換部品及び交換モジュールは「消耗品」の概念に含まれる。モジュールは、部品の一形態と理解してもよい。本明細書では「消耗品」という用語を「交換モジュール又は交換部品」と同義に用いる場合がある。メインテナンスには、消耗品の交換が含まれる。「交換」の概念には、消耗品を新しいものに置き換えることの他、消耗品を洗浄するなどして部品の機能の維持及び/又は回復を図り、同じ消耗品を再配置することも含まれる。
【0012】
「バースト運転」とは、露光に合わせて狭帯域化したパルスレーザ光を連続して発振するバースト期間と、ステージの移動に合わせて発振休止する発振休止期間とを交互に繰り返す運転のことを意味する。
【0013】
2.レーザ装置の説明
2.1 構成
図1に、例示的なレーザ装置の構成を概略的に示す。レーザ装置10は、例えば、KrFエキシマレーザ装置であって、レーザ制御部90と、レーザチャンバ100と、インバータ102と、出力結合ミラー104と、狭帯域化モジュール(LNM:Line Narrow Module)106と、モニタモジュール108と、充電器110と、パルスパワーモジュール(PPM)112と、ガス供給装置114と、ガス排気装置116と、出射口シャッタ118と、を含む。
【0014】
レーザチャンバ100は、第1ウインドウ121と、第2ウインドウ122と、クロスフローファン(CFF)123と、CFF123を回転させるモータ124と、1対の電極125、126と、電気絶縁物127と、圧力センサ128と、図示しない熱交換器と、を含む。
【0015】
インバータ102は、モータ124の電源供給装置である。インバータ102は、モータ124に供給する電力の周波数を特定する指令信号をレーザ制御部90から受信する。
【0016】
PPM112は、レーザチャンバ100の電気絶縁物127中のフィードスルーを介して電極125と接続される。PPM112は、半導体スイッチ129と、いずれも図示しない、充電コンデンサと、パルストランスと、パルス圧縮回路と、を含む。
【0017】
出力結合ミラー104は部分反射ミラーであって、狭帯域化モジュール106と光共振器を構成するように配置される。レーザチャンバ100は、この光共振器の光路上に配置される。
【0018】
狭帯域化モジュール106は、第1プリズム131及び第2プリズム132を用いたビームエキスパンダと、回転ステージ134と、グレーティング136と、を含む。第1プリズム131及び第2プリズム132は、レーザチャンバ100の第2ウインドウ122から出射された光のビームをY軸方向に拡大し、グレーティング136に入射するように配置される。
【0019】
ここで、グレーティング136はレーザ光の入射角と回折角とが一致するようにリトロー配置される。第2プリズム132は、回転ステージ134が回転したときに、レーザ光のグレーティング136への入射角と回折角とが変化するように回転ステージ134上に配置される。
【0020】
モニタモジュール108は、第1ビームスプリッタ141及び第2ビームスプリッタ142と、パルスエネルギ検出器144と、スペクトル検出器146と、を含む。第1ビームスプリッタ141は、出力結合ミラー104から出力されたレーザ光の光路上に配置され、レーザ光の一部が反射されて第2ビームスプリッタ142に入射するように配置される。
【0021】
パルスエネルギ検出器144は、第2ビームスプリッタ142を透過したレーザ光が入射するように配置される。パルスエネルギ検出器144は、例えば、紫外線の光強度を計測するフォトダイオードであってもよい。第2ビームスプリッタ142は、レーザ光の一部が反射されてスペクトル検出器146に入射するように配置される。
【0022】
スペクトル検出器146は、例えば、エタロンによって生成された干渉縞をイメージセンサで計測するモニタエタロン計測装置である。生成された干渉縞に基づいて、レーザ光の中心波長とスペクトル線幅とが計測される。
【0023】
KrFエキシマレーザ装置の場合におけるガス供給装置114は、不活性なレーザガスの供給源である不活性ガス供給源152と、ハロゲンを含むレーザガスの供給源であるハロゲンガス供給源153の各々と配管を介して接続される。不活性なレーザガスとは、KrガスとNeガスの混合ガスである。ハロゲンを含むレーザガスとは、FガスとKrガスとNeガスの混合ガスである。ガス供給装置114は、レーザチャンバ100と配管を介して接続される。
【0024】
ガス供給装置114は、不活性なレーザガス又はハロゲンを含むレーザガスをそれぞれレーザチャンバ100に所定量供給するための、図示しない自動バルブ及びマスフローコントローラをそれぞれ含む。
【0025】
ガス排気装置116は、レーザチャンバ100と配管を介して接続される。ガス排気装置116は、ハロゲンを除去する図示しないハロゲンフィルタ及び排気ポンプを含み、ハロゲンを除去したレーザガスが外部に排気されるように構成される。
【0026】
出射口シャッタ118は、レーザ装置10から外部に出力されるレーザ光の光路上に配置される。
【0027】
出射口シャッタ118を介してレーザ装置10から出力されたレーザ光が露光装置14に入射するようにレーザ装置10が配置される。
【0028】
2.2 動作
レーザ装置10の動作について説明する。レーザ制御部90は、ガス排気装置116を介してレーザチャンバ100内にあるガスを排気した後、ガス供給装置114を介してレーザチャンバ100内に不活性なレーザガスとハロゲンを含むレーザガスとを所望のガス組成及び全ガス圧となるように充填する。
【0029】
レーザ制御部90は、インバータ102を介してモータ124を所定の回転数で回転させてCFF123を回転させる。これにより、電極125、126間にレーザガスが流れる。
【0030】
レーザ制御部90は、露光装置14の露光制御部50から目標パルスエネルギEtを受信し、パルスエネルギがEtとなるように充電電圧Vhvのデータを充電器110に送信する。
【0031】
充電器110は、PPM112の充電コンデンサが充電電圧Vhvとなるように充電する。露光装置14から発光トリガ信号Tr1が出力されると、発光トリガ信号Tr1に同期してレーザ制御部90からトリガ信号Tr2がPPM112の半導体スイッチ129に入力される。この半導体スイッチ129が動作するとPPM112の磁気圧縮回路によって電流パルスが圧縮され、高電圧が電極125、126間に印加される。その結果、電極125、126間で放電が発生し、放電空間においてレーザガスが励起される。
【0032】
放電空間の励起されたレーザガスが基底状態となるときに、エキシマ光が発生する。このエキシマ光は出力結合ミラー104と狭帯域化モジュール106との間を往復して増幅されることによって、レーザ発振する。その結果、出力結合ミラー104から狭帯域化されたパルスレーザ光が出力される。
【0033】
出力結合ミラー104から出力されたパルスレーザ光はモニタモジュール108に入射する。モニタモジュール108では第1ビームスプリッタ141によってレーザ光の一部がサンプルされ、第2ビームスプリッタ142に入射する。第2のビームスプリッタ142は入射したレーザ光の一部を透過してパルスエネルギ検出器144に入射し、他の一部を反射してスペクトル検出器146に入射させる。
【0034】
レーザ装置10から出力されるパルスレーザ光のパルスエネルギEがパルスエネルギ検出器144によって計測され、計測されたパルスエネルギEのデータがパルスエネルギ検出器144からレーザ制御部90に送信される。
【0035】
また、スペクトル検出器146によって中心波長λとスペクトル線幅Δλとが計測され、計測された中心波長λとスペクトル線幅Δλとのデータがスペクトル検出器146からレーザ制御部90に送信される。
【0036】
レーザ制御部90は、露光装置14から目標パルスエネルギEtと目標波長λtのデータを受信する。レーザ制御部90は、パルスエネルギ検出器144によって計測されたパルスエネルギEと目標パルスエネルギEtとを基に、パルスエネルギの制御を行う。パルスエネルギの制御は、パルスエネルギ検出器144によって計測されたパルスエネルギEと目標パルスエネルギの差ΔE=E-Etが0に近づくように充電電圧Vhvを制御することを含む。
【0037】
レーザ制御部90は、スペクトル検出器146によって計測された中心波長λと目標波長λtとを基に、波長の制御を行う。波長の制御は、スペクトル検出器146によって計測された中心波長λと目標波長λtとの差δλ=λ-λtが0に近づくように回転ステージ134の回転角を制御することを含む。
【0038】
以上のようにレーザ制御部90は、露光装置14から目標パルスエネルギEtと目標波長λtとを受信して、発光トリガ信号Tr1が入力される毎に、発光トリガ信号Tr1に同期してレーザ装置10にパルスレーザ光を出力させる。
【0039】
レーザ装置10は放電を繰り返すと、電極125、126が消耗し、レーザガス中のハロゲンガスが消費されると共に、不純物ガスが生成される。レーザチャンバ100内のハロゲンガス濃度の低下や不純物ガスの増加は、パルスレーザ光のパルスエネルギの低下やパルスエネルギの安定性に悪影響を及ぼす。レーザ制御部90は、これらの悪影響を抑制するために例えば、以下のガス制御を実行する。
【0040】
[1]ハロゲン注入制御
ハロゲン注入制御とは、レーザ発振中に、レーザチャンバ100内で主に放電によって消費された分のハロゲンガスを、レーザチャンバ100内のハロゲンガスよりも高い濃度にハロゲンを含むガスを注入することによってレーザチャンバ100に補充するガス制御である。
【0041】
[2]部分ガス交換制御
部分ガス交換制御とは、レーザ発振中に、レーザチャンバ100内の不純物ガスの濃度の増加を抑制するように、レーザチャンバ100内のレーザガスの一部を新しいレーザガスに交換するガス制御である。
【0042】
[3]ガス圧制御
ガス圧制御とは、レーザ装置10から出力されるパルスレーザ光のパルスエネルギの低下に対して、レーザチャンバ100内にレーザガスを注入してレーザガスのガス圧Pchを変化させることによって、パルスエネルギを制御するガス制御である。パルスエネルギの制御は、通常、充電電圧Vhvを制御することで行われるが、レーザ装置10から出力されるパルスレーザ光のパルスエネルギの低下を、充電電圧Vhvの制御範囲では補うことが不可能な場合に、ガス圧制御が実行される。
【0043】
レーザチャンバ100からレーザガスを排気する場合に、レーザ制御部90はガス排気装置116を制御する。レーザチャンバ100から排気されたレーザガスは図示しないハロゲンフィルタによってハロゲンガスが除去され、レーザ装置10の外部に排気される。
【0044】
レーザ制御部90は、発振パルス数、充電電圧Vhv、レーザチャンバ100内のガス圧Pch、レーザ光のパルスエネルギE、スペクトル線幅Δλ等の各パラメータのデータを、図示しないローカルネットワークを介してレーザ装置用管理システム206(図2参照)に送信する。
【0045】
2.3 レーザ装置の主要な消耗品のメインテナンス
フィールドサービスエンジニア(FSE)が行う主要な消耗品の交換作業は、レーザチャンバ100と、狭帯域化モジュール106と、モニタモジュール108との交換作業である。
【0046】
これらの主要な消耗品の交換時期は、一般的には、時間で管理するのではなく、レーザ装置10の発振パルス数で管理している。これらの主要な消耗品の交換作業には、3時間から10時間の交換時間を要することがある。これらの主要な消耗品の中で、交換時間が最も長い消耗品はレーザチャンバ100である。
【0047】
2.4 その他
図1に示す例では、レーザ装置10として、KrFエキシマレーザ装置の例を示したが、この例に限定されることなく、他のレーザ装置に適用してもよい。例えば、レーザ装置10は、ArFエキシマレーザ装置やXeClエキシマレーザ装置であってもよい。
【0048】
図1に示す例では、レーザ装置10のガス制御は、ハロゲン注入制御と、部分ガス交換制御と、ガス圧制御とを実施する場合を示したが、この例に限定されることなく、例えば、必ずしもガス圧制御を実施しなくてもよい。
【0049】
3.半導体工場のレーザ管理システムの例
3.1 構成
図2に、半導体工場のレーザ管理システムの構成例を概略的に示す。レーザ管理システム200は、複数のレーザ装置10と、レーザ装置用管理システム206と、半導体工場管理システム208と、を含む。
【0050】
レーザ装置用管理システム206及び半導体工場管理システム208の各々は、コンピュータを用いて構成される。レーザ装置用管理システム206及び半導体工場管理システム208の各々は、複数のコンピュータを用いて構成されるコンピュータシステムであってもよい。半導体工場管理システム208は、ネットワーク210を介して、レーザ装置用管理システム206と接続される。
【0051】
レーザ装置用管理システム206及び半導体工場管理システム208の各々は、コンピュータを用いて構成される。
【0052】
ネットワーク210は、有線若しくは無線又はこれらの組み合わせによる情報伝達が可能な通信回線である。ネットワーク210は、ワイドエリアネットワークであってもよいし、ローカルエリアネットワークであってもよい。
【0053】
複数のレーザ装置10の各々を識別するために、ここではレーザ装置識別符号#1,#2,・・・#k,・・・#wを用いる。wは半導体工場内のレーザ管理システム200に含まれるレーザ装置の数である。wは1以上の整数である。kは1以上w以下の範囲の整数である。以下、説明の便宜上、レーザ装置#kと表記する場合がある。なお、レーザ装置#1~#wは同一の装置構成であってもよいし、複数のレーザ装置#1~#wの一部又は全部は、互いに異なる形態であってもよい。
【0054】
レーザ装置#1~#wとレーザ装置用管理システム206との各々は、ローカルエリアネットワーク213に接続される。図2において、ローカルエリアネットワーク213を「LAN」と表示する。
【0055】
3.2 動作
レーザ装置用管理システム206は、それぞれのレーザ装置#1~#wの主要な消耗品の交換時期を、主にレーザ発振したパルス数(発振パルス数)Npで管理する。
【0056】
レーザ装置用管理システム206は、メインテナンスの管理情報を表示端末に表示してもよいし、ネットワーク210を介して半導体工場管理システム208に送信してもよい。
【0057】
レーザ装置用管理システム206によってレーザ装置#1~#wを管理する管理ラインは、それぞれの管理ラインが独立しており、各レーザ装置#1~#wから出力されたメインテナンス管理の情報に基づいて、半導体工場の管理者が各レーザ装置#1~#wの主要な消耗品の交換時期を決定する。
【0058】
図3に、典型的なレーザチャンバのガス圧と発振パルス数の関係を表すグラフを示す。エキシマレーザ装置は放電を繰り返すと、電極が消耗し、レーザガス中のハロゲンガスが消費されるとともに、不純物ガスが生成する。レーザチャンバ100内のハロゲンガス濃度の低下や不純物ガスの増加は、パルスレーザ光のパルスエネルギの低下やパルスエネルギ安定性に悪影響を及ぼす。
【0059】
そこで、エキシマレーザ装置の性能を維持するために、状況に応じて、ハロゲン注入制御、部分ガス交換制御、ガス圧制御、又は全ガス交換を行う。図3においてレーザチャンバ100の交換タイミングを上向き矢印で示す。レーザチャンバ100を交換した後の動作は次の通りである。
【0060】
[ステップ1]レーザチャンバ100を交換した直後のガス圧Pは、初期ガス圧Pchでレーザ性能が維持される。
【0061】
[ステップ2]レーザ発振を継続すると、放電電極の消耗や不純物ガスの発生により、レーザ性能を維持するために、ガス圧制御によってガス圧が上昇する。図3において太線で示すグラフは、このステップ2におけるガス圧の推移を表す。
【0062】
[ステップ3]しかし、やがてガス圧制御によっても、レーザ性能が維持できなくなると、レーザ発振を停止し、全ガス交換を行う。図3において全ガス交換のタイミングを下向き矢印で示す。
【0063】
[ステップ4]全ガス交換後に調整発振を行う。レーザ性能を回復させるために、ガス圧制御を行う。レーザ性能が回復したときのガス圧を「全ガス交換後の初期ガス圧」といい、Piniとする。
【0064】
[ステップ5]その後、ステップ2からステップ4を複数回繰り返す。全ガス交換後の初期ガス圧Piniは、発振パルス数の増加に伴い次第に大きくなっていく。図3におい細線で示すグラフは初期ガス圧Piniの推移を表す。
【0065】
[ステップ6]やがて、ガス圧Pが最大許容ガス圧Pmaxに到達したときにレーザチャンバ寿命Nchlifeとなる。
【0066】
図3に示す例では、簡単のためにレーザチャンバ100の寿命について、レーザ装置10の発振パルス数Npに対するガス圧の変化から寿命に到達するまでの経緯を説明した。しかし、他のレーザ性能、例えば、パルスエネルギ安定性、及びスペクトル線幅等の性能も満足する必要がある。したがって、単純には、レーザチャンバ100の寿命を予測することはできないことがある。
【0067】
4.課題
[課題1]レーザ装置の主要な消耗品の寿命を判断する指標の1つとして、発振パルス数が用いられる。消耗品毎に標準寿命としての発振パルス数の値が定められている場合がある。しかし、消耗品の個体差があるために、寿命に到達する発振パルス数は一定ではなく、ばらつきがある。消耗品の寿命が標準寿命より長い場合であっても、標準寿命の時期に、定期メインテナンスとして消耗品の交換を行う場合がある。また、消耗品の寿命が標準寿命より短い場合には、計画的な消耗品交換ができず、生産ラインを停止させることがある。
【0068】
[課題2]現状ではFSEが、図3のような発振パルス数に対するガス圧の推移とその他の寿命に関連するパラメータのログデータを見て、経験的に各レーザチャンバの寿命を予測して対応している。レーザチャンバに限らず、他の消耗品についても同様であり、消耗品毎に寿命に関連するパラメータのログデータからFSEが経験的に寿命を予測している。そのため、消耗品の寿命の予測及び消耗品の交換までの対応は、FSE個人の能力に依存する場合がある。
【0069】
5.実施形態1
5.1 構成
図4は、実施形態1に係る半導体工場のレーザ管理システム300の構成を示す図である。図2との相違点を説明する。図4に示す半導体工場のレーザ管理システム300は、図2のレーザ管理システム200の構成に、消耗品管理サーバ310を追加した構成となっている。消耗品管理サーバ310はネットワーク210を介して、レーザ装置用管理システム206及び半導体工場管理システム208と接続される。
【0070】
消耗品管理サーバ310は、レーザ装置用管理システム206及び半導体工場管理システム208の各々に対してデータや信号の送受信が可能な構成である。
【0071】
図5は、消耗品管理サーバ310の機能を示すブロック図である。消耗品管理サーバ310は、データ取得部320と、消耗品の寿命関連情報保存部330と、機械学習による学習モデル作成部340と、学習モデル保存部350と、消耗品の寿命予測部360と、データ出力部370と、を含む。
【0072】
消耗品の寿命関連情報は、ファイルA、ファイルB及びファイルCを含む。ファイルAは、レーザチャンバ100の寿命関連ログデータが保存されるファイルである。ファイルBは、モニタモジュール108の寿命関連ログデータが保存されるファイルである。ファイルCは、狭帯域化モジュール106の寿命関連のログデータが保存されるファイルである。
【0073】
消耗品の寿命関連情報保存部330は、ファイルAを記憶しておく記憶部332と、ファイルBを記憶しておく記憶部334と、ファイルCを記憶しておく記憶部336と、を含む。
【0074】
学習モデル作成部340は、機械学習によって学習モデルを作成する処理部である。消耗品の学習モデル保存部350は、学習モデル作成部340によって作成された学習モデルを保存する。消耗品の学習モデル保存部350は、ファイルAmを記憶しておく記憶部352と、ファイルBmを記憶しておく記憶部354と、ファイルCmを記憶しておく記憶部356と、を含む。
【0075】
ファイルAmは、レーザチャンバ100の寿命を予測する処理を行う第1学習モデルが保存されるファイルである。ファイルBmは、モニタモジュール108の寿命を予測する処理を行う第2学習モデルが保存されるファイルである。ファイルCmは、狭帯域化モジュール106の寿命を予測する処理を行う第3学習モデルが保存されるファイルである。
【0076】
記憶部332、334、336、352、354、356は、ハードディスク装置及び/又は半導体メモリ等の記憶デバイスを用いて構成される。記憶部332、334、336、352、354、356は、それぞれ別々の記憶装置を用いて構成されてもよいし、1つ又は複数の記憶装置における記憶領域の一部として構成されてもよい。
【0077】
本開示において、レーザ制御部90、露光制御部50、レーザ装置用管理システム206、半導体工場管理システム208、及び消耗品管理サーバ310の各々は、1台又は複数台のコンピュータのハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実現することが可能である。ソフトウェアはプログラムと同義である。
【0078】
コンピュータは、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを含んで構成され得る。プログラマブルコントローラはコンピュータの概念に含まれる。コンピュータはGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。コンピュータに含まれるCPUやGPUはプロセッサの一例である。
【0079】
また、レーザ制御部90、露光制御部50、レーザ装置用管理システム206、半導体工場管理システム208及び消耗品管理サーバ310などの各種の制御装置や処理装置の機能の一部又は全部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)に代表される集積回路を用いて実現してもよい。
【0080】
また、複数の制御装置や処理装置の機能を1台の装置で実現することも可能である。さらに本開示において、複数の制御装置や処理装置は、ローカルエリアネットワークやインターネット回線といった通信ネットワークを介して互いに接続されてもよい。分散コンピューティング環境において、プログラムユニットは、ローカル及びリモート両方のメモリストレージデバイスに保存されてもよい。
【0081】
5.2 動作
5.2.1 消耗品管理サーバにおける機械学習の動作の概要
図5に示す消耗品管理サーバ310は、レーザ装置10の消耗品の寿命を予測する処理に用いる学習モデルを作成するための機械学習を行う機能と、作成した学習モデルを用いて消耗品の寿命を予測する処理を行う機能と、を備える。消耗品管理サーバ310は本開示における「消耗品管理装置」の一例である。まず、消耗品管理サーバ310において消耗品の寿命の予測に用いる学習モデルを作成するための機械学習方法を説明する。
【0082】
データ取得部320は、各レーザ装置10で消耗品が交換された場合に、レーザ装置用管理システム206から、交換された消耗品の使用期間中の全期間にわたって発振パルス数と対応付けて継続的に記録された寿命関連パラメータの全データを含む寿命関連情報を取得する。データ取得部320は、レーザ装置用管理システム206から取得したデータを、消耗品の寿命関連情報保存部330に書き込む。
【0083】
データ取得部320は、交換された消耗品の種類に応じて書き込むファイルを特定してデータを書き込む。交換された消耗品がレーザチャンバ100である場合、データ取得部320はファイルAにレーザチャンバ100の寿命関連情報である寿命関連ログデータを書き込む。交換された消耗品がモニタモジュール108である場合、データ取得部320はファイルBにモニタモジュール108の寿命関連情報の寿命関連ログデータを書き込む。交換された消耗品が狭帯域化モジュール106である場合、データ取得部320はファイルCに狭帯域化モジュール106の寿命関連情報である寿命関連ログデータを書き込む。ファイルA、ファイルB、及びファイルCの各々に書き込まれるログデータは本開示における「第1の寿命関連情報」の一例である。データ取得部320は本開示における「情報取得部」の一例である。
【0084】
学習モデル作成部340は、消耗品の寿命関連情報保存部330に、交換された消耗品に関する新しい寿命関連情報のデータが保存されると、この新しく保存された寿命関連情報のデータを取得する。また、学習モデル作成部340は、交換された消耗品に対応した学習モデルを消耗品の学習モデル保存部350から呼び出す。
【0085】
例えば、交換された消耗品がレーザチャンバ100である場合、学習モデル作成部340はファイルAmを呼び出す。交換された消耗品がモニタモジュール108である場合、学習モデル作成部340はファイルBmを呼び出す。交換された消耗品が狭帯域化モジュール106である場合、学習モデル作成部340はファイルCmを呼び出す。
【0086】
学習モデル作成部340は、交換された消耗品の使用開始から交換までの期間中に記録された寿命関連パラメータのデータに基づいて機械学習を行い、新しい学習モデルを作成する。具体的な機械学習方法の内容については後述する。学習モデル作成部340によって作成された新しい学習モデルは、消耗品の学習モデル保存部350に保存される。機械学習の実施によって新しい学習モデルが作成されると、学習モデル保存部350のファイルが更新され、学習モデル保存部350に最新の学習モデルのファイルが書き込まれる。
【0087】
5.2.2 消耗品管理サーバにおける消耗品の寿命予測の動作の概要
次に、消耗品管理サーバ310における消耗品の寿命予測の動作を説明する。データ取得部320は、外部装置から交換予定の消耗品の寿命予測処理の要求信号を受信することができる。ここでの外部装置は、半導体工場管理システム208であってもよいし、図示しない端末装置などであってもよい。「交換予定の消耗品」とは、レーザ装置10に現在搭載されている使用中の消耗品であって、今後交換する予定が検討される候補対象の消耗品である。
【0088】
データ取得部320は交換予定の消耗品の寿命予測処理の要求を受けると、レーザ装置用管理システム206から、交換予定の消耗品の現在の寿命関連情報のデータと、1日当りの発振予定パルス数Ndayのデータと、を取得する。
【0089】
データ取得部320は、交換予定の消耗品の現在の寿命関連情報のデータと、1日当りの発振予定パルス数Ndayのデータとを、消耗品の寿命予測部360に送信する。
【0090】
消耗品の寿命予測部360は、交換予定の消耗品の現在の寿命関連情報のデータと、1日当りの発振予定パルス数Ndayのデータとを取得し、交換予定の消耗品に対応した学習モデルを消耗品の学習モデル保存部350から呼び出す。
【0091】
ここで、消耗品の寿命予測部360は、交換予定の消耗品の種類を特定して、消耗品の学習モデル保存部350から該当する消耗品のファイルを特定して読み込めばよい。例えば、交換予定の消耗品がレーザチャンバ100である場合、消耗品の寿命予測部360は消耗品の学習モデル保存部350からファイルAmを読み込む。交換予定の消耗品がモニタモジュール108である場合、消耗品の寿命予測部360は消耗品の学習モデル保存部350からファイルBmを読み込む。交換予定の消耗品が狭帯域化モジュール106である場合、消耗品の寿命予測部360は消耗品の学習モデル保存部350からファイルCmを読み込む。
【0092】
消耗品の寿命予測部360は、現在の寿命関連情報のデータに基づいて学習モデルを使用することによって消耗品の寿命を予測する。
【0093】
消耗品の寿命予測部360は、予測された交換予定の消耗品の寿命Nlifeと余命Nreの発振パルス数のデータと、推奨メインテナンス日Drecとを計算し、これらのデータをデータ出力部370に送信する。
【0094】
推奨メインテナンス日Drecは、例えば、次式を用いて計算することができる。
【0095】
Drec=Dpre+Nre/Nday
Dpre:消耗品の現在の寿命関連データの取得日
データ出力部370は、予測された交換予定の消耗品の寿命Nlifeと余命Nreの発振パルス数のデータと、推奨メインテナンス日Drecを表すデータを、ネットワーク210を介してレーザ装置用管理システム206に送信する。データ出力部370は本開示における「情報出力部」の一例である。
【0096】
レーザ装置用管理システム206は、予測された交換予定の消耗品の寿命Nlifeと余命Nreの発振パルス数と推奨メインテナンス日Drecの情報を半導体工場管理システム208やオペレータやフィールドサービスにディスプレーやメール等で通知してもよい。
【0097】
この通知は、レーザ装置の消耗品管理サーバ310からネットワーク210を介して、半導体工場管理システム208やオペレータやフィールドサービスにディスプレーやメール等で通知してもよい。
【0098】
5.2.3 データ取得部の処理例
図6は、データ取得部320における処理内容の例を示すフローチャートである。図6のフローチャートに示す処理及び動作は、例えば、データ取得部320として機能するプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0099】
ステップS12において、データ取得部320は消耗品が交換されたか否かを判定する。ステップS12の判定結果がYes判定である場合、データ取得部320はステップS14に進む。ステップS14及びステップS16は学習モデルを作成する場合の処理フローである。
【0100】
ステップS14において、データ取得部320は交換された消耗品の使用期間中の全寿命関連情報を受信する。すなわち、レーザ装置の消耗品の交換が行われると、データ取得部320はレーザ装置用管理システム206から、その交換された消耗品の使用期間中の全寿命関連情報を受信する。
【0101】
次に、ステップS16において、データ取得部320は交換された消耗品の使用期間中の全寿命関連情報を寿命関連情報保存部330に書き込む。すなわち、データ取得部320は、交換された消耗品に対応したファイルにデータを書き込む。ここでは、交換された消耗品はレーザチャンバ100、モニタモジュール108、又は狭帯域化モジュール106であり、データ取得部320は消耗品の種類に応じてファイルA、ファイルB、又はファイルCにデータを書き込む。
【0102】
ステップS16の後、データ取得部320はステップS30に進む。ステップS30において、データ取得部320は情報の受信を停止するか否かを判定する。ステップS30の判定結果がNo判定である場合、データ取得部320はステップS12に戻る。
【0103】
ステップS12の判定結果がNo判定である場合、データ取得部320はステップS20に進む。ステップS20において、データ取得部320は交換予定の消耗品の寿命を計算するか否かを判定する。例えば、図示しない入力装置からユーザによって、交換予定の消耗品についての寿命予測の要求が入力された場合に、ステップS20の判定結果がYes判定となる。
【0104】
ステップS20の判定結果がYes判定である場合、データ取得部320はステップS22に進む。ステップS22、ステップS24及びステップS26は交換予定の消耗品の予測寿命を計算する場合の処理フローである。消耗品の予測寿命を計算することは、消耗品の寿命を予測することを意味する。
【0105】
ステップS22において、データ取得部320はレーザ装置用管理システム206から交換予定の消耗品の現在の寿命関連情報を受信する。
【0106】
ステップS24において、データ取得部320はレーザ装置用管理システム206からレーザ装置の稼動関連情報を受信する。レーザ装置の稼動関連情報とは、1日当りの発振予定パルス数Ndayである。具体的には、過去の稼動データから把握される1日当りの発振予定パルス数であってよい。若しくは、半導体工場管理システム208から今後の稼動予定情報を取得して、1日当りの発振予定パルス数を計算してもよい。
【0107】
その後、ステップS26において、データ取得部320は消耗品の寿命予測部360に現在の寿命関連情報とレーザ装置の稼動関連情報を送信する。
【0108】
ステップS26の後、データ取得部320はステップS30に進む。また、ステップS20の判定結果がNo判定である場合、データ取得部320はステップS22~ステップS26をスキップしてステップS30に進む。
【0109】
ステップS30の判定結果がYes判定である場合、データ取得部320は図6のフローチャートを終了する。
【0110】
5.2.4 学習モデル作成部の処理例
図7は、学習モデル作成部340における処理内容の例を示すフローチャートである。図7のフローチャートに示す処理及び動作は、例えば、学習モデル作成部340として機能するプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0111】
ステップS42において、学習モデル作成部340は消耗品の寿命関連情報保存部330に新しいデータが書き込まれたか否かを判定する。ステップS42の判定結果がNo判定である場合、学習モデル作成部340はステップS42を繰り返す。ステップS42の判定結果がYes判定である場合、学習モデル作成部340はステップS44に進む。
【0112】
ステップS44において、学習モデル作成部340は交換された消耗品の使用期間中の全寿命関連情報を取得する。学習モデル作成部340は、交換された消耗品(レーザチャンバ100、モニタモジュール108、又は狭帯域化モジュール106)に対応したファイル(ファイルA、ファイルB、又はファイルC)に書き込まれたデータを取得する。
【0113】
ステップS46において、学習モデル作成部340は交換された消耗品の学習モデルを呼び出す。すなわち、学習モデル作成部340は、交換された消耗品に対応したファイル(ファイルAm、ファイルBm、又はファイルCm)に保存された学習モデルを呼び出す。
【0114】
ステップS48において、学習モデル作成部340は学習モデルの作成サブルーチンの処理を実行する。学習モデル作成部340は、交換された消耗品に対応した学習モデルと寿命関連情報とに基づいて機械学習を行い、新しい学習モデルを作成する。
【0115】
ステップS50において、学習モデル作成部340は新しく作成された学習モデルを消耗品の学習モデル保存部350に保存する。学習モデル作成部340は、新しく作成された学習モデルを交換された消耗品に対応したファイル(ファイルAm、ファイルBm、又はファイルCm)に保存する。次回からは、この新しい学習モデルを使用するように、学習モデル保存部350には最新の学習モデルが保存される。
【0116】
ステップS52において、学習モデル作成部340は学習モデルの作成を中止するか否かを判定する。ステップS52の判定結果がNo判定である場合、学習モデル作成部340はステップS42に戻り、ステップS42からステップS52を繰り返す。ステップS52の判定結果がYes判定である場合、学習モデル作成部340は図7のフローチャートを終了する。
【0117】
なお、図7のフローチャートにおいて、各消耗品の学習モデルを最初に作成するときは、学習モデル保存部350に保存されているそれぞれの初期の学習モデルのパラメータは、学習前の任意の値に設定されたものであってよい。後述する機械学習を実施することによって、学習モデルのパラメータが適切な値に変更され、消耗品の寿命予測の処理機能を獲得した学習モデルが作成されることになる。
【0118】
もちろん、初期の学習モデルは、予め本実施形態の機械学習方法と同様の方法を実施して重みのパラメータがある程度調整された暫定的な学習モデルであってもよい。
【0119】
5.2.5 レーザチャンバの寿命予測に用いる学習モデルの作成例
ここでは、レーザチャンバ100の寿命予測に用いる学習モデルの作成例を説明する。図8は、レーザチャンバ100の発振パルス数Npとガス圧Pの関係を示す寿命関連情報のデータの一例である。消耗品の使用開始から交換までの1サイクルの期間を消耗品毎の寿命とし、寿命の中で消耗品の劣化度を段階的に定義する。図8には、レーザチャンバ100の寿命までの発振パルス数から劣化度を定義した例を示す。ここでは寿命関連情報の一例としての発振パルス数の観点から10段階で劣化度を表すレベルを定義している。すなわち、図8に示す例では、レーザチャンバ100の使用開始から交換までの1サイクルの全期間の発振パルス数のログデータ(全寿命関連情報の一例)を10分割して劣化度1から劣化度10とし、発振パルス数と劣化度を対応付けたデータのセットを作成する。
【0120】
こうして作成された発振パルス数と劣化度を対応付けたデータは、機械学習のための訓練データとして用いられる。訓練データは学習用データと同義である。すなわち、寿命関連パラメータのデータが学習モデルへの入力データであり、劣化度を表すレベルがその入力に対する正解ラベル(教師データ)に相当する。学習モデル作成部340は、作成された教師ありデータを用いて機械学習を行い、発振パルス数の入力に対して劣化度の予測(寿命の予測)を出力する学習モデルを作成する。なお、ここでは、10段階の劣化度を定義する例を示しているが、劣化度の段階数は10段階に限らず、2以上の適宜の段階とすることができる。
【0121】
レーザチャンバ100に限らず、モニタモジュール108や狭帯域化モジュール106など他の消耗品についても同様に、消耗品毎にその消耗品の使用開始から交換までの1サイクルの全期間における寿命関連情報のデータを複数段階の劣化度のレベルに分割し、寿命関連パラメータのデータと劣化度を示すレベルとを対応付けた訓練データを作成する。
【0122】
そして、消耗品の種類毎に、それぞれの訓練データを用いて機械学習を行い、それぞれの学習モデルを作成する。
【0123】
図9は、図7のステップS48の処理内容の例を示すフローチャートである。すなわち、図9は、学習モデルの作成サブルーチンの例を示す。
【0124】
図9のステップS102において、学習モデル作成部340は交換された消耗品の使用期間中の全寿命関連情報を劣化度のレベルによってSmax段階に分割する。Smaxは、例えば、図8で例示したように、Smax=10であってよい。
【0125】
図9のステップS104において、学習モデル作成部340はSmax段階に分割された各段階の寿命関連情報のデータD(s)を作成する。ここでsは、劣化度のレベルを表す整数である。sは1からSmaxまでの値をとり得る。図8の例では、10段階に分割されたレーザチャンバ100の発振パルス数の各段階の寿命関連情報のデータD(s)を作成する。例えば、消耗品の各段階の発振パルス数の平均値におけるデータをD(s)としてもよい。
【0126】
次に、ステップS106において、学習モデル作成部340は劣化度のレベルを表す変数sの値を初期値の「1」に設定する。その後、ステップS108において、学習モデル作成部340はD(s)のデータを、図7のステップS46で呼び出した学習モデルに入力する。
【0127】
次に、図9のステップS110において、学習モデル作成部340は、データD(s)の入力に対する学習モデルの出力がレベルsとなるように学習モデルのパラメータを変更する。
【0128】
学習モデルは、例えば、ニューラルネットワークモデルであってよい。学習モデル作成部340は、教師ありデータを用いた機械学習によってこの学習モデルのパラメータを変更し、新しい学習モデルを作成する。
【0129】
ステップS112において、学習モデル作成部340は変数sがSmax以上であるか否かを判定する。ステップS112の判定結果がNo判定である場合、学習モデル作成部340はステップS114に進み、変数sの値をインクリメントしてステップS108に戻る。ステップS112の判定結果がYes判定である場合、学習モデル作成部340は図9のフローチャートを終了して、図7のフローチャートに復帰する。つまり、ステップS112の判定結果がYes判定になると、学習モデルは、今回の交換された消耗品の結果を反映した新しい学習モデルに更新される。
【0130】
学習モデル作成部340は本開示における「訓練データ作成部」及び「学習モデル作成部」の一例である。
【0131】
5.2.6 ニューラルネットワークモデルの例
図10は、ニューラルネットワークモデルの例を示す模式図である。図10において円はニューロンを表し、矢印の付いた直線は信号の流れを表す。図10の左から入力層402のニューロンN11、N12、N13、隠れ層404のニューロンN21、及び出力層406のニューロンN31である。層構造を有するニューラルネットワークの層番号をi、ニューロン番号をjとして、ニューロンNijから出力される信号の強さをXijとし、信号Xijと表記する。i層と(i+1)層との間のニューロン同士の結合の重みをWijとする。
【0132】
入力層402のニューロンN11、N12、N13は、それぞれ信号の強さがX11、X12、X13の信号を出力する。隠れ層404のニューロンN21は、入力される信号X11、X12、X13の重み付き信号和(W11×X11+W12×X12+W13×X13)が閾値よりも大きい場合に、信号X21を出力する。ここでの閾値をb21とすると、ニューロンN21はW11×X11+W12×X12+W13×X13-b21>0の場合に、信号X21を出力する。「-b21」をニューロンN21のバイアスという。
【0133】
ニューラルネットワークモデルのパラメータは、ニューロン間の結合の重みとバイアスを含む。
【0134】
5.2.7 ニューラルネットワークモデルの学習モード
図11は、学習モデルを作成する際のニューラルネットワークのモデルの例である。ニューラルネットワークモデル400は、入力層402と、隠れ層404と、出力層406と、を含む。
【0135】
入力層402はn個のニューロンN11~N1nを含み、それぞれのニューロンN11~N1nに、交換した消耗品の寿命関連情報の中で劣化度sの時のログデータが入力される。
【0136】
隠れ層404は、m個のニューロンN21~N2mを含み、隠れ層404におけるそれぞれの1個のニューロンに対して入力層402のニューロンN11~N1nから出力された信号が入力される。これらの入力信号それぞれに異なる重みのパラメータW1が設定可能である。ここで、重みのパラメータW1とは、隠れ層404の各ニューロンN21~N2mに入力される信号に対するそれぞれの重みをまとめて「重みのパラメータW1」と表記する。
【0137】
出力層406は、p個のニューロンN31~N3pを含み、出力層406のそれぞれの1個のニューロンに対して隠れ層404のニューロンN21~N2mから出力された信号が入力される。出力層406のニューロンの個数pは、劣化度のレベルの段階数(Smax)と同数であってよい。これらの入力信号それぞれに異なる重みのパラメータW2が設定可能である。ここで、重みのパラメータW2は、出力層406の各ニューロンN31~N3pに入力される信号に対するそれぞれの重みをまとめ「重みのパラメータW2」と表記する。
【0138】
出力層406のニューロンN31~N3pからは、劣化度Lv(1)~Lv(s)~Lv(Smax)の確率が出力される。ここでの劣化度の確率とは、各劣化度のレベルに該当する確からしさを示すスコアを意味する。
【0139】
劣化度sが1からSmaxのSmax段階に定義されている場合、交換した消耗品の寿命関連情報(ログデータ)D1(s)、D2(s)・・・Dn(s)を入力層402にそれぞれ入力する。
【0140】
それぞれの劣化度sの入力に対して、出力層406からの出力がLv(s)の確率は1に近づき、その他の劣化度の確率は0に近づく結果となるように、ニューロン間のそれぞれの重みとバイアスを調整する。
【0141】
以上のようにして、教師あり機械学習によって学習モデルが作成される。
【0142】
5.2.8 消耗品の寿命予測部の処理例
図12は、消耗品の寿命予測部360における処理内容の例を示すフローチャートである。図12のフローチャートに示す処理及び動作は、例えば、消耗品の寿命予測部360として機能するプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0143】
図12のステップS62において、消耗品の寿命予測部360は交換予定の消耗品の現在の寿命関連情報を受信したか否かを判定する。ステップS62の判定結果がNo判定である場合、消耗品の寿命予測部360はステップS62を繰り返す。ステップS62の判定結果がYes判定である場合、消耗品の寿命予測部360はステップS64に進む。
【0144】
ステップS64において、消耗品の寿命予測部360は交換予定の消耗品の現在の寿命関連情報を取得する。ステップS64にて取得する現在の寿命関連情報は本開示における「第2の寿命関連情報」の一例である。
【0145】
ステップS66において、消耗品の寿命予測部360はレーザ装置の稼動関連情報を取得する。次に、ステップS68において、消耗品の寿命予測部360は交換予定の消耗品の学習モデルを呼び出す。ここでは交換予定の消耗品(レーザチャンバ、モニタモジュール、又は狭帯域化モジュール)に対応したファイル(ファイルAm、ファイルBm、又はファイルCm)に保存された学習モデルを呼び出す。
【0146】
そして、ステップS70において、消耗品の寿命予測部360は学習モデルを使って寿命計算を行う。すなわち、消耗品の寿命予測部360は、交換予定の消耗品の現在の寿命関連情報に基づき、学習モデルを使って寿命と、余寿命と、推奨メインテナンス日と、を計算する。
【0147】
ステップS72において、消耗品の寿命予測部360は交換予定の消耗品の寿命と、余寿命と、推奨メインテナンス日のデータをデータ出力部370に送信する。
【0148】
ステップS74において、消耗品の寿命予測部360は消耗品の予測寿命の計算を中止するか否かを判定する。ステップS74の判定結果がNo判定である場合、消耗品の寿命予測部360はステップS62に戻り、ステップS62からステップS74を繰り返す。ステップS74の判定結果がYes判定である場合、消耗品の寿命予測部360は図12のフローチャートを終了する。
【0149】
図13は、学習モデルを使って寿命計算を行う処理のサブルーチンの例を示すフローチャートである。すなわち、図13は、図12のステップS70の処理内容の例を示すフローチャートである。
【0150】
図13のステップS132において、消耗品の寿命予測部360は交換予定の消耗品の現在の寿命関連情報を学習モデルに入力する。
【0151】
ステップS134において、消耗品の寿命予測部360は学習モデルから各劣化度Lv(1)~Lv(Smax)の確率を出力する。
【0152】
ステップS136において、消耗品の寿命予測部360は劣化度の確率分布から現在の消耗品の劣化度sを判定する。劣化度sの判定方法の第1例として、例えば、確率が一番高い劣化度を抽出してもよい。また劣化度sの判定方法の第2例として、劣化度の確率分布から近似曲線を求めて、一番高い確率分布の劣化度sを求めてもよい。この第2例の場合は劣化度sは整数ではなく、少数点以下の数値まで求める。この第2例の場合は第1例の場合に比べて一層高精度に、消耗品の寿命と余寿命を予測することができる。
【0153】
ステップS138において、消耗品の寿命予測部360はステップS136で求めた劣化度からさらに消耗品の寿命Nchesを計算する。消耗品の寿命Nchesは現在の発振パルス数Nchを用いて、Nches=Nch・Smax/sから計算される。なお、式中の「・」は乗算を表す。
【0154】
ステップS140において、消耗品の寿命予測部360はステップS136で求めた劣化度からさらに消耗品の余寿命Nchreを計算する。消耗品の余寿命Nchreは現在の発振パルス数Nchを用いて、Nchre=Nches-Nchから計算される。
【0155】
ステップS142において、消耗品の寿命予測部360は消耗品の推奨メインテナンス日Drecを計算する。推奨メインテナンス日Drecは、Drec=Dpre+Nchre/Ndayから計算される。
【0156】
ステップS142の後、消耗品の寿命予測部360は図13のフローチャートを終了し、図12のフローチャートに復帰する。
【0157】
5.2.9 学習モデルを使って消耗品の寿命を計算する処理の例
図14は、作成した学習モデルを使用してレーザチャンバ100の寿命及び余寿命を計算する例を示す。現在運転中のレーザチャンバ100の予測寿命を計算する場合に、消耗品の寿命予測部360は現在のレーザチャンバ100の寿命関連情報を取得する。ここでは、現在のレーザチャンバの発振パルス数Nchのデータを取得する。
【0158】
次に、作成された学習モデルに、現在のレーザチャンバ100の寿命関連情報を入力すると、複数段階の各劣化度である確率Lv(1)~Lv(10)が計算される。図15に、劣化度毎の確率Lv(1)~Lv(10)の例を示す。この例では劣化度7の確率Lv(7)が一番高いと判定される。
【0159】
そして、現在運転中のレーザチャンバ100の予測寿命Nchesは以下の式1で求められる。
【0160】
Nches=Nch・10/7 (式1)
余寿命Nchreは、以下の式2で求められる。
【0161】
Nchre=Nches-Nch=Nch・3/7 (式2)
5.2.10 ニューラルネットワークモデルの寿命予測モード
図16は、学習済みのニューラルネットワークモデル400によって消耗品の寿命を予測する処理の例である。ニューラルネットワークモデル400のネットワーク構造は、図11と同じ構成である。図16において、ニューロン間の重みパラメータW1及びW2は、図11で説明した学習モードによって適正化された値が設定されている。
【0162】
現在の消耗品について寿命予測を行う場合、現在の消耗品の寿命関連情報(ログデータ)D1,D2・・・Dnを入力層402にそれぞれ入力する。その結果、出力層406からの劣化度Lv(1)~Lv(Smax)のそれぞれの確率が出力される(図15参照)。
【0163】
5.2.11 その他
図11及び図16ではニューラルネットワークモデル400の隠れ層404が1層であるの場合の例を示したが、これに限定されることなく、隠れ層404が複数層あってもよい。
【0164】
本実施形態では、教師あり学習による機械学習の例を示したがこの例に限定されることなく、教師なし学習による機械学習を行ってもよい。例えば、入力データを次元削減して、それらのデータセットにある特徴を似たものどうしにクラスタリングすることができる。この結果を使って、何らかの基準を設けてそれを最適にするような出力の割り当てを行うことで、出力の予測を実現することできる。
【0165】
5.2.12 データ出力部の処理例
図17は、データ出力部370における処理内容の例を示すフローチャートである。図17のフローチャートに示す処理及び動作は、例えば、データ出力部370として機能するプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0166】
ステップS82において、データ出力部370は交換予定の消耗品の寿命データを受信したか否かを判定する。ステップS82の判定結果がNo判定である場合、データ出力部370はステップS82を繰り返す。ステップS82の判定結果がYes判定である場合、データ出力部370はステップS84に進む。
【0167】
ステップS84において、データ出力部370は交換予定の消耗品の寿命と、余寿命と、推奨メインテナンス日の各データを読み込む。
【0168】
ステップS86において、データ出力部370は交換予定の消耗品の寿命と、余寿命と、推奨メインテナンス日の各データを送信する。データの送信先は、レーザ装置用管理システム206及び/又は半導体工場管理システム208であってよい。また、データの送信先は、ネットワーク210に接続されている図示せぬ端末装置などであってもよい。
【0169】
ステップS88において、データ出力部370はデータの送信を中止するか否かを判定する。ステップS88の判定結果がNo判定である場合、データ出力部370はステップS82に戻り、ステップS82からステップS88を繰り返す。ステップS88の判定結果がYes判定である場合、データ出力部370は図17のフローチャートを終了する。
【0170】
5.3 レーザチャンバの寿命関連情報
図18から図20に、レーザチャンバ100の寿命関連情報の例を示す。レーザチャンバ100の寿命関連情報は、例えば、電極劣化パラメータと、パルスエネルギ安定性パラメータと、ガス制御パラメータと、運転負荷パラメータと、レーザ共振器の光学素子による劣化パラメータと、を含む。なお、図20に示す図表の「OC」の表記は出力結合ミラーを表す。
【0171】
これらの寿命関連のパラメータのうちで、レーザチャンバ100の寿命予測を精度よく行うために少なくとも必要な寿命関連パラメータは、電極劣化パラメータと、パルスエネルギ安定性パラメータと、ガス制御パラメータと、である。好ましくは、さらに、運転負荷パラメータを使用することによって、寿命予測の精度が改善する可能性がある。運転負荷が高い場合、レーザチャンバ100の寿命が短くなる場合があるためである。
【0172】
さらに、好ましくは、レーザ共振器の損失の指標となる狭帯域化モジュール106の劣化パラメータやレーザチャンバ100のウインドウの劣化パラメータを使用することによって、寿命予測の精度が一層改善する可能性がある。
【0173】
電極劣化パラメータは、少なくとも放電回数を含む。放電回数は、概ねレーザチャンバ100の交換後からの発振パルス数Npと等しい値である。電極劣化パラメータとして、好ましくは、投入エネルギの積算値をさらに追加してもよい。
【0174】
図1に示すようなシングルチャンバ方式のレーザ装置の場合、スペクトル線幅と放電幅の間に相関があるので、電極劣化パラメータの1つとしてスペクトル線幅を使用してもよい。
【0175】
パルスエネルギ安定性パラメータは、少なくともパルスエネルギのばらつき、を含む。さらに、パルスエネルギ安定性パラメータとして、パルスエネルギの積算値(露光量)のばらつきを追加してもよい。
【0176】
ガス制御パラメータについては、充電電圧が所定の範囲となるようにレーザチャンバ100のガス圧を制御する場合は、レーザチャンバ100の圧力と、全ガス交換して調整発振後のレーザチャンバ100の圧力と、を少なくとも含む。
【0177】
レーザチャンバ100の圧力が一定制御で、充電電圧を制御する場合は、ガス制御パラメータとして、レーザチャンバ100の充電電圧と、全ガス交換して調整発振後の充電電圧と、を少なくとも含む。好ましくは、レーザチャンバ100を交換してからのハロゲンを含むガスの注入量の積算値、又は、レーザガスの注入の積算値を追加してもよい。これにより、寿命予測精度が一層改善する可能性がある。
【0178】
また、好ましくは、単位発振パルス当りのハロゲンガスを含むガスの注入量、又は、レーザガスの注入量を追加してもよい。
【0179】
運転負荷パラメータは、レーザ装置10から出力されるレーザ光の平均出力、又は、目標パルスエネルギがほとんど変化しない場合は、バースト運転のデューティで代用してもよい。
【0180】
特に、露光運転中の運転負荷パラメータを使用するのがよい。半導体を作る工場では、メモリ素子を作成する場合には運転負荷が高く、ロジック関連の素子を作成する場合には運転負荷が低くなることがある。
【0181】
レーザ共振器の光学素子による劣化パラメータは、ウインドウの劣化パラメータと狭帯域化モジュール106の劣化パラメータと出力結合ミラー104の劣化パラメータと、を含み、それぞれの光学素子の交換後の発振パルス数を少なくとも含む。レーザ装置10から出力されるパルスレーザ光のパルスエネルギが大きく変わる場合は、2光吸収による光学素子の劣化のパラメータである、パルスエネルギの積算値やパルスエネルギの二乗の積算値を使用してもよい。
【0182】
5.4 モニタモジュールの寿命関連情報の例
図21は、モニタモジュール108の寿命関連情報の例を示す。モニタモジュール108の寿命は、光学素子の劣化と光センサの劣化とで決まることが多い。モニタモジュール108の寿命関連情報は、モニタモジュール108の中に配置された光学素子の劣化パラメータと、光センサの劣化パラメータと、の少なくとも1つを含む。
【0183】
モニタモジュール108の光学素子の劣化パラメータは、モニタモジュール108の交換後の発振パルス数を少なくとも含む。レーザ装置10から出力されるパルスレーザ光のパルスエネルギが大きく変わる場合は、2光吸収による光学素子の劣化のパラメータである、パルスエネルギの積算値やパルスエネルギの二乗の積算値を使用してもよい。
【0184】
光センサの劣化パラメータは、光センサとしてのイメージセンサの検出光強度と、スペクトル線幅と、パルスエネルギとその積算値と、を含む。
【0185】
モニタモジュール108の寿命予測を行うために少なくとも必要な劣化パラメータは、イメージセンサの検出光強度である。イメージセンサに入射する光強度は、スペクトル線幅と、パルスエネルギによって変化するので、補助的にスペクトル線幅とパルスエネルギの値を使用してもよい。パルスエネルギの積算値は、イメージセンサに露光される光量に近い値となるのでこの値を使用してもよい。
【0186】
[その他]
図21に示す例では、モニタモジュール108のパルスエネルギ検出器144に含まれる光センサは、例えば、フォトダイオードや焦電素子である。これらセンサの劣化も、モニタモジュール108を交換してからのパルスエネルギの積算値で評価可能となる。目標パルスエネルギが大きく変化しない場合は、モニタモジュール交換後の発振パルス数で代用できる。
【0187】
5.5 狭帯域化モジュールの寿命関連情報の例
図22は、狭帯域化モジュール106の寿命関連情報の例を示す。狭帯域化モジュール106の寿命は、光学素子の劣化と波長アクチュエータの劣化とで決まることが多い。狭帯域化モジュール106の寿命関連情報は、狭帯域化モジュール106の中に配置された光学素子(複数のプリズムとグレーティング)の劣化パラメータと、波長アクチュエータの劣化パラメータと、波面の劣化のパラメータと、の少なくとも1つを含む。
【0188】
狭帯域化モジュール106の寿命予測にとって少なくとも必要な劣化パラメータは、狭帯域化モジュール106の光学素子の劣化パラメータである。好ましくは、波長アクチュエータの劣化パラメータと、波面の劣化のパラメータを追加してもよい。
【0189】
狭帯域化モジュール106の光学素子の劣化パラメータは、狭帯域化モジュール106の交換後の発振パルス数を少なくとも含む。レーザ装置10から出力されるパルスレーザ光のパルスエネルギが大きく変わる場合は、2光吸収による光学素子の劣化のパラメータである、パルスエネルギの積算値やパルスエネルギの二乗の積算値を使用してもよい。
【0190】
波長アクチュエータの劣化パラメータは、波長安定性を含む。
【0191】
波長アクチュエータが劣化して動作が悪化すると、波長制御が不安定となるため、波長安定性を使用することによって、寿命を評価できる可能性がある。
【0192】
波面の劣化のパラメータは、スペクトル線幅を含む。レーザ装置から出力されるパルスレーザ光のスペクトル線幅は、狭帯域化モジュール106の波面が歪むことによって太くなるので、スペクトル線幅を使用することによって、寿命を評価できる可能性がある。例えば、プリズムに合成石英を使用している場合、コンパクションによって、プリズムの透過波面が歪みスペクトル線幅が太くなる場合がある。
【0193】
5.6 作用・効果
実施形態1に係る消耗品管理サーバ310によれば、レーザ装置10における交換予定の消耗品の各々に対して、その消耗品の寿命関連情報に基づいて、対応する学習モデルを使用することによって、交換予定の消耗品の各々の寿命を予測できる。
【0194】
また、実施形態1の構成によれば、交換予定の消耗品の寿命の予測結果に合わせた交換日程を予め計画することができる。その結果、標準寿命に合わせて消耗品を交換するのではなく、実際の使用状況に応じて予測された寿命に合わせて消耗品を交換できるので、以下の効果がある。
【0195】
[効果1]消耗品の寿命分を可能な限り有効に使用することができるため、コストが低減できる。
【0196】
[効果2]未計画な消耗品の交換による生産ラインの停止を抑制することができる。
【0197】
さらに、実施形態1の構成によれば、機械学習によって学習された学習モデルを用いて消耗品の予測寿命を計算するので、FSE等の属人的な要素が排除される。
【0198】
5.7 その他
実施形態1では、半導体工場の露光装置用KrFエキシマレーザの場合の例を示したが、これに限定されることなく、例えば、フラットパネルのアニール用エキシマレーザや加工用のエキシマレーザに適用してもよい。これらの場合は、狭帯域化モジュール106の代わりに、リアミラーが配置され、モニタモジュール108のスペクトル検出器146はなくてもよい。
【0199】
6.実施形態2
6.1 構成
図23は、実施形態2に係る消耗品管理サーバ312の機能を示すブロック図である。図5で説明した消耗品管理サーバ310に代えて、図23に示す消耗品管理サーバ312を適用してもよい。図23に示す消耗品管理サーバ312について、図5で説明した構成との相違点を説明する。
【0200】
図23に示す消耗品管理サーバ312は、図5のデータ取得部320と、消耗品の寿命予測部360と、データ出力部370とに代えて、データ取得部322と、消耗品の寿命予測部362と、データ出力部372と、を含む。また、消耗品管理サーバ312には、レーザ制御パラメータ変更部380が追加されている。
【0201】
データ取得部322は、データ取得部320と同様の機能を果たすことに加え、ネットワーク210を介してユーザの消耗品のメインテナンス希望日の情報を取得する。
【0202】
消耗品の寿命予測部362は、消耗品の寿命予測部360と同様の機能を果たすことに加え、寿命の予測結果をレーザ制御パラメータ変更部380に送る処理を行う。
【0203】
レーザ制御パラメータ変更部380は、消耗品の寿命予測部362からの予測結果に基づき、レーザ装置10の制御パラメータを変更する処理を行う。レーザ制御パラメータ変更部380は、メインテナンス希望日とレーザ装置10の稼動予定データを基に計算される発振パルス数と余寿命の発振パルス数とを比較して、余寿命の発振パルス数の方が小さい場合に、メインテナンス希望日まで消耗品の寿命延長可能なようにレーザ装置10の制御パラメータを変更する処理を行う。
【0204】
データ出力部372は、データ出力部370と同様の機能を果たすことに加え、レーザ制御パラメータ変更部380にて作成されたレーザ装置10の制御パラメータを、該当するレーザ装置10にネットワーク210を介して提供する機能を果たす。
【0205】
6.2 動作
6.2.1 データ取得部の処理例
図24は、データ取得部322における処理内容の例を示すフローチャートである。図24において、図6と共通するステップには同一のステップ番号を付し、重複する説明は省略する。図6との相違点を説明する。
【0206】
図24のフローチャートは、作成した学習モデルを用いて交換予定の消耗品の予測寿命を計算するフローにおいて、ステップS25とステップS27とが追加されている。
【0207】
ステップS24の後、データ取得部322はステップS25に進む。ステップS25において、データ取得部322は交換予定の消耗品についてのユーザのメインテナンス希望日の情報を取得する。ユーザは、図示しない端末装置などから所望のメインテナンス希望日を入力することができる。「メインテナンス希望日」は、消耗品の交換作業を含むメインテナンス作業の実施希望日を意味する。ステップS25の後、データ取得部322はステップS26に進む。
【0208】
ステップS26の後、データ取得部322は、ステップS27に進む。ステップS27において、データ取得部322は交換予定の消耗品についてのユーザのメインテナンス希望日の情報をレーザ制御パラメータ変更部380に送信する。ステップS27の後、データ取得部322はステップS30に進む。その他の処理内容は、図6のフローチャートと同様である。
【0209】
6.2.2 消耗品の寿命予測部の処理例
図25は、消耗品の寿命予測部362における処理内容の例を示すフローチャートである。図25において、図13と共通するステップには同一のステップ番号を付し、重複する説明は省略する。図13との相違点を説明する。
【0210】
図25のフローチャートは、ステップS72とステップS74の間にステップS73を含む。ステップS73において、消耗品の寿命予測部362は交換予定の消耗品の寿命と、余寿命と、推奨メインテナンス日と、レーザ装置の稼動関連情報と、をレーザ制御パラメータ変更部380に送信する。
【0211】
ステップS73の後、消耗品の寿命予測部362はステップS74に進む。その他の処理内容は、図13のフローチャートと同様である。
【0212】
6.2.3 レーザ制御パラメータ変更部の処理例
図26は、レーザ制御パラメータ変更部380における処理内容の例を示すフローチャートである。図26のフローチャートに示す処理及び動作は、例えば、レーザ制御パラメータ変更部380として機能するプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0213】
ステップS202において、レーザ制御パラメータ変更部380はユーザのメインテナンス希望日Duの情報を取得する。
【0214】
ステップS204において、レーザ制御パラメータ変更部380はレーザ装置の稼動予定情報を取得する。稼動予定情報は、例えば、1日当りにレーザ装置から出力される発信パルス数Ndayの情報であってよい。Ndayのデータは本開示における「稼動予定データ」の一例である。
【0215】
ステップS206において、レーザ制御パラメータ変更部380はユーザのメインテナンス希望日までの発振パルス数Nchuを計算する。Nchuは、次式によって計算することができる。
【0216】
Nchu=(Du-Dpre)・Nday
次に、ステップS208において、レーザ制御パラメータ変更部380は交換予定の消耗品の余寿命Nchreのデータを取得する。
【0217】
そして、ステップS210において、レーザ制御パラメータ変更部380はNchu>Nchreを満たすか否かを判定する。すなわち、レーザ制御パラメータ変更部380はユーザのメインテナンス希望日まで、交換予定の消耗品を延命させる必要があるか否かを判定する。
【0218】
ステップS210の判定結果がYes判定である場合、レーザ制御パラメータ変更部380はステップS212に進む。ステップS212において、レーザ制御パラメータ変更部380は寿命延命のためのレーザ装置の制御パラメータを計算する。ステップS212の処理内容の具体例は後述する(図27)。
【0219】
ステップS212の後、ステップS214において、レーザ制御パラメータ変更部380はステップS212で求めたレーザ装置の制御パラメータの変更データをデータ出力部372に送信する。
【0220】
その後、ステップS216において、レーザ制御パラメータ変更部380は寿命延命のためのレーザ制御パラメータの変更を中止するか否かを判定する。ステップS216の判定結果がNo判定である場合、レーザ制御パラメータ変更部380はステップS202に戻り、ステップS202からステップS216を繰り返す。ステップS216の判定結果がYes判定である場合、レーザ制御パラメータ変更部380は図26のフローチャートを終了する。また、ステップS210の判定結果がNo判定である場合、レーザ制御パラメータ変更部380はステップS212~ステップS214をスキップしてステップS216に進む。
【0221】
図27は、図26のステップS212に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。
【0222】
図27のステップS222において、レーザ制御パラメータ変更部380は寿命延命の発振パルス数Npexを計算する。Npexは、図26のステップS206で求めたNchuから余寿命Nchreを減算した値(Npex=Nchu-Nchre)であってよい。
【0223】
ステップS224において、レーザ制御パラメータ変更部380は寿命延命の発振パルス数Npexとレーザ装置10の制御パラメータとの関係データを呼び出す。そして、ステップS226において、レーザ制御パラメータ変更部380は呼び出した関係データを基に、寿命延命の発振パルス数Npexを満たすレーザ装置10の制御パラメータ値Ypを求める。
【0224】
次に、ステップS228において、レーザ制御パラメータ変更部380はステップS226にて求めた制御パラメータ値Ypが予め定められている上限値Ymaxを超えているか否かを判定する。
【0225】
ステップS228の判定結果がNo判定である場合、レーザ制御パラメータ変更部380はステップS230に進む。ステップS230において、レーザ制御パラメータ変更部380はレーザ装置10の制御パラメータの変更のフラグ(F=1)を立てる。フラグF=1は、寿命延命のためのレーザ装置10の制御パラメータの変更を実施することを表す。
【0226】
一方、ステップS228の判定結果がYes判定である場合、レーザ制御パラメータ変更部380はステップS232に進む。ステップS232において、レーザ制御パラメータ変更部380はレーザ装置10の制御パラメータの変更のフラグを下げる(F=0)。フラグF=0は、寿命延命のためのレーザ装置10の制御パラメータの変更を実施しない(不実施とする)ことを表す。
【0227】
ステップS230又はステップS232の後、レーザ制御パラメータ変更部380は図27のフローチャートを終了し、図26のフローチャートに復帰する。
【0228】
図28に、寿命延命の発振パルス数とレーザ装置の制御パラメータの関係のグラフの概念図を示す。図28の横軸は寿命延命の発振パルス数Npexを表し、縦軸は寿命延命のためのレーザ装置10の制御パラメータ値Yを表す。図28に示すグラフの関係は、予めレーザ装置メーカの工場内で計測して、関係データをメモリ等に記憶しておいてもよい。
【0229】
具体例としては、レーザチャンバ100の寿命の延命が可能なレーザ装置10の制御パラメータとしては、レーザガスの単位発振パルス数のレーザガスの消費量(交換量)がある。レーザガスの単位発振パルス数のレーザガスの消費量を増加させることによって延命可能となる。
【0230】
図28のように、現状の標準値Y0の単位発振パルス数のレーザガスの消費量を寿命延命の発振パルス数Npexからパラメータ変更するYpを求めて、レーザ装置10の制御パラメータをY0からYpに変更することで、寿命を延命することができる。
【0231】
しかし、単位発振パルス数当りのレーザガスの交換量Yを増加させても、無限に増加させることはできない。図28におけるYmaxは、例えば、単位発振パルス当りのレーザガスの交換量の最大値であって、寿命延命効果がほとんどなくなる値である。
【0232】
モニタモジュール108の寿命延命の例としては、例えば、スペクトル計測器に搭載されているイメージセンサからのアナログ信号の増幅器のゲインのパラメータを調節することで、延命してもよい。
【0233】
狭帯域化モジュール106の寿命延命の例としては、例えば、波長アクチュエータの劣化によってメインテナンスが必要な場合の寿命延命可能なパラメータとして、波長のフィードバックの制御パラメータの制御ゲインを変更してもよい。
【0234】
6.2.4 データ出力部の処理例
図29は、データ出力部372における処理内容の例を示すフローチャートである。図29において、図17と共通するステップには同一のステップ番号を付し、重複する説明は省略する。図17との相違点を説明する。図29のフローチャートは、ステップS86の後にステップS90~S98を含む。
【0235】
ステップS90において、データ出力部372はフラグFの値を確認し、制御パラメータの変更を実施するか否かを判定する。すなわち、データ出力部372は寿命延命のためのレーザ装置10の制御パラメータの変更のフラグがF=1であるか否かを判定する。ステップS90の判定結果がYes判定である場合、データ出力部372はステップS92に進む。
【0236】
ステップS92において、データ出力部372はレーザ装置10の制御パラメータの変更値を読み込む。図28で説明した例の場合、データ出力部372は、変更値としての制御パラメータ値Ypを読み込む。
【0237】
そして、ステップS94において、データ出力部372はレーザ装置用管理システム206を介してレーザ装置10に制御パラメータの変更値を送信する。ステップS94の後、データ出力部372はステップS98に進む。
【0238】
ステップS90の判定結果がNo判定である場合、データ出力部372はステップS96に進む。ステップS96において、データ出力部372はメインテナンス希望日まで寿命延命することは不可能であることをレーザ装置用管理システム206及び/又は半導体工場管理システム208に通知する。
【0239】
ステップS96の後、データ出力部372はステップS98に進む。ステップS98は、図17におけるステップS88と同様の処理である。ステップS98において、データ出力部372はデータの送信を中止するか否かを判定する。ステップS98の判定結果がNo判定である場合、データ出力部372はステップS82に戻る。
【0240】
ステップS98の判定結果がYes判定である場合、データ出力部372は図29のフローチャートを終了する。
【0241】
6.3 作用・効果
実施形態2は実施形態1と同様の効果が得られることに加え、ユーザが指定するメインテナンス希望日まで交換予定の消耗品の寿命を延命させることが可能になる。これにより、装置のダウンタイムを抑制することができる。
【0242】
7.実施形態3
7.1 構成
図30は、実施形態3に係るレーザ管理システムの構成例を示す図である。図30には、消耗品管理サーバ310がレーザ装置メーカに配置された場合の例を示す。消耗品管理サーバ310は、レーザ装置10が配置された半導体工場外のレーザ装置メーカの工場やレーザ装置メーカのサービス拠点に配置され、インターネット回線211に接続される。
【0243】
複数の半導体工場SF1、SF2、・・・SFZのレーザ管理システムもインターネット回線211で接続される。それぞれの半導体工場SF1、SF2、・・・SFZには図2と同様のレーザ管理システム200があり、ネットワーク210で接続される。
【0244】
レーザ装置メーカに配置された消耗品管理サーバ310は、各半導体工場のそれぞれのレーザ装置用管理システム206や半導体工場管理システム208とデータやコマンドの送受信が行える構成である。
【0245】
7.2 動作
7.2.1 学習モデルの作成と保存
図30に示す複数の半導体工場のうち、いずれかの半導体工場に配置されたレーザ装置10の消耗品のメインテナンス(交換)が行われた場合毎に、その半導体工場内に配置されたレーザ装置用管理システム206は、インターネット回線211を通じて、レーザ装置メーカに配置された消耗品管理サーバ310に全寿命間の消耗品のログデータを送信する。
【0246】
消耗品管理サーバ310は、図5と同様のステップで、学習モデルを作成し、学習モデルを保存する。
【0247】
7.2.2 予測寿命の推奨メインテナンス日の計算
各半導体工場のレーザ装置用管理システム206又は半導体工場管理システム208から、あるレーザ装置10の予測寿命と推奨メインテナンス日の計算の要求があった場合に、その半導体工場内に配置されたレーザ装置用管理システム206は、インターネット回線211を通じて、レーザ装置メーカ内に配置されたレーザ装置の消耗品管理サーバ310に消耗品のログデータを送信する。
【0248】
消耗品管理サーバ310は図5と同様のステップで以下の計算を行う。
【0249】
消耗品管理サーバ310はその消耗品に対応する学習モデルを呼び出し、消耗品の予測寿命発振パルス数を計算する。
【0250】
そして、余寿命の発振パルス数と、レーザ装置の稼動情報に基づいて推奨メインテナンス日を計算し、インターネット回線211を通じて、レーザ装置用管理システム206と半導体工場管理システム208にデータを送信する。
【0251】
7.3 作用・効果
実施形態3によれば、消耗品管理サーバ310は複数の半導体工場で収集された複数のレーザ装置の消耗品の寿命関連情報を取得できる。その結果、大量のデータを使用して、学習モデルを作成可能なため、寿命の予測精度が改善する。
【0252】
7.4 その他
この例では、消耗品管理サーバ310が学習データの収集と、学習モデルの作成と、学習モデルから消耗品の予測寿命発振パルス数、余寿命、推奨メインテナンス日の計算を行っているが、この例に限定されることはない。例えば、消耗品管理サーバ310が作成した学習モデルをレーザ装置用管理システム206に提供し、レーザ装置用管理システム206において予測寿命発振パルス数、余寿命、推奨メインテナンス日の計算を行ってもよい。
【0253】
すなわち、消耗品管理サーバ310が学習用データの収集と、学習モデルの作成と保存を行う。そして、レーザ装置用管理システム206は、あるレーザ装置のある消耗品の寿命の評価の要求があったときに、現在のレーザ装置の現在の消耗品の寿命関連情報を受信する。さらに、レーザ装置用管理システム206は、インターネット回線211を通じて、消耗品管理サーバ310からその消耗品の学習モデルを受信する。そして、レーザ装置用管理システム206は、受信した学習モデルから消耗品の予測寿命発振パルス数、余寿命、及び推奨メインテナンス日の計算を行ってもよい。
【0254】
8.消耗品のバーションに応じた学習データの収集と学習モデルの作成
8.1 概要
図31は、ファイルAの各バーションのレーザチャンバ100の寿命関連ログデータの構成を示す。例えば、技術開発の進展と共に、レーザチャンバ100の寿命が改善される。具体例としては、レーザチャンバ100の電極材料を変更した改造により、電極寿命が延びて、レーザチャンバ100の寿命が大きく改善される(例えば、寿命が20%以上改善される)場合がある。
【0255】
そこで、寿命の改善が見込まれる改造が行われた場合は、消耗品のバーションを変更し、寿命関連ログデータをバージョン毎に分類して別のファイルとして保存することが好ましい。
【0256】
ファイルAの中には、レーザチャンバ100のバージョン毎にログデータが保存される。ファイルA1はバージョンVer.A1のレーザチャンバ100の寿命関連ログデータのファイルである。ファイルA2はバージョンVer.A2のレーザチャンバ100の寿命関連ログデータのファイルである。以下、同様に、ファイルAnはバージョンVer.Anのレーザチャンバ100の寿命関連ログデータのファイルである。
【0257】
それぞれのファイルA1、A2、・・・An毎のログデータを用いて、バージョン毎に機械学習によって学習モデルを作成し、ファイルAmにそれぞれ図32のように保存する。
【0258】
図32は、各バージョンのレーザチャンバ100の学習モデルを保存したファイルAmの例を示す。ファイルAmの中には、レーザチャンバ100のバージョン毎に学習モデルが保存される。ファイルAm1はバージョンVer.A1のレーザチャンバ100の学習モデルを保存したファイルである。ファイルAm2はバージョンVer.A2のレーザチャンバ100の学習モデルを保存したファイルである。以下、同様に、ファイルAmnはバージョンVer.Anのレーザチャンバ100の学習モデルを保存したファイルである。
【0259】
図33にファイルAnの例を示す。このファイルAnには、レーザチャンバ100のハードウェアとソフトウェアのバーションが記載されており、このバーションにより、ファイルを分類して保存場所を特定する。ここで、ソフトウェアのバーションについては、レーザチャンバ100の場合は、パルスエネルギ制御やガス制御ソフト変更によってチャンバ寿命に改善がある場合に、バージョンを変更してもよい。
【0260】
8.2 作用・効果
図31から図33で説明したように、消耗品のハードウェア又はソフトウェアの変更によって消耗品の寿命が改善された場合においても、バージョン毎にデータを細かく分類して、バージョン毎に機械学習を行うことにより、それぞれのバージョンに適した学習モデルを作成することができる。こうして作成された学習モデルを用いて寿命予測を行うことにより、予測精度が改善する。
【0261】
8.3 その他
レーザチャンバ100の場合を例示したが、この例に限定されることなく、モニタモジュール108や狭帯域化モジュール106の場合にも適用してもよい。
【0262】
9.スペクトル検出器の例
図34は、エタロン分光器を用いるスペクトル検出器の構成例を概略的に示す図である。図34に示すエタロン分光器606Aは、エキシマレーザ光のスペクトルを計測するスペクトル検出器146に適用できる。エタロン分光器606Aは本開示における「分光器」の一例である。
【0263】
図34に示すように、エタロン分光器606Aは、拡散素子610と、エタロン612と、集光レンズ614と、イメージセンサ616とを備える。イメージセンサ616の例としては、1次元又は2次元のフォトダイオードアレイでもよい。
【0264】
レーザ光は、まず、拡散素子610に入射する。拡散素子610は、表面に多数の凹凸を有する透過型の光学素子であってよい。拡散素子610は、拡散素子610に入射したレーザ光を散乱光として透過させる。この散乱光はエタロン612に入射する。エタロン612は、所定の反射率を有する2枚の部分反射ミラーを含むエアギャップエタロンであってよい。このエアギャップエタロンにおいては、2枚の部分反射ミラーが、所定距離のエアギャップを有して対向し、スペーサを介して貼り合わせられた構成である。
【0265】
エタロン612に入射した光の入射角度θに応じて、2枚の部分反射ミラーの間で往復せずにエタロン612を透過する光と、2枚の部分反射ミラーの間で1回往復した後でエタロン612を透過する光と、の光路差が生じる。この光路差が波長の整数倍である場合に、エタロン612に入射した光は、高い透過率でエタロン612を透過する。
【0266】
エタロン612を透過した光は、集光レンズ614に入射する。集光レンズ614を透過したレーザ光は、集光レンズ614から集光レンズ614の焦点距離fに相当する位置に配置されたイメージセンサ616に入射する。すなわち、集光レンズ614によって集光された透過光は、集光レンズ614の焦点面上に干渉縞を形成する。
【0267】
イメージセンサ616は、集光レンズ614の焦点面に配置されている。イメージセンサ616は、集光レンズ614を透過した光を受光し、干渉縞を検出する。この干渉縞の半径の2乗は、レーザ光の波長と比例関係にある。そのため、検出した干渉縞からレーザ光全体のスペクトル線幅(スペクトルプロファイル)と中心波長とを検出する。
【0268】
スペクトル線幅と中心波長は、検出した干渉縞から図示せぬ情報処理装置によって求めてもよいし、レーザ制御部90で算出してもよい。
【0269】
干渉縞の半径rと波長λの関係は、次の(式3)で近似される。
【0270】
波長λ=λc+α・r (式3)
α:比例定数
r:干渉縞の半径、
λc:干渉縞の中央の光強度が最大となった時の波長
式3から、図35に示すように、光強度と波長との関係を示すスペクトル波形に変換した後、スペクトル線幅Δλを計算してもよい。スペクトル線幅Δλは、全エネルギの95%を含む幅(E95)であってよい。
【0271】
10.レーザ装置の他の形態
10.1 構成
図36は、レーザ装置がダブルチャンバシステムで構成される場合の例を示す。図1で説明したレーザ装置10に代えて、図36に示すレーザ装置710を適用してもよい。レーザ装置710は、ArFエキシマレーザ装置の例である。図36において、図1に示した構成と同一又は類似する要素には同一の参照符号を付す。
【0272】
レーザ装置710は、マスターオシレータ(MO)712と、ビームステアリングユニット714と、パワーオシレータ(PO)716と、光学パルスストレッチャ(OPS:Optical Pulse Stretcher)718と、モニタモジュール760と、出射口シャッタ118と、レーザ制御部90と、ガス供給装置114と、ガス排気装置116と、を含む。
【0273】
マスターオシレータ712は、レーザチャンバ100と、充電器110と、PPM112と、出力結合ミラー104と、狭帯域化モジュール106と、を含む。マスターオシレータ712の構成は図1のレーザ装置10と同様である。
【0274】
ビームステアリングユニット714は、高反射ミラー721、722と、エネルギモニタ730と、を含む。
【0275】
高反射ミラー721及び722は、マスターオシレータ712から出力されたパルスレーザ光が、エネルギモニタ730を介してパワーオシレータ716の光共振器に入射するように配置される。エネルギモニタ730は、高反射ミラー721と高反射ミラー722の光路上であって、マスターオシレータ712から出力されたパルスレーザ光のパルスエネルギを検出するように配置される。エネルギモニタ730は、ビームスプリッタ732と光強度検出器734を含む。光強度検出器734は、フォトダイオード又は焦電素子であってもよい。
【0276】
パワーオシレータ716は、マスターオシレータ712の構成と概ね同様の構成のレーザチャンバ800と、光共振器801と、充電器810と、を含む。なお、レーザチャンバ800は、マスターオシレータ712のレーザチャンバ100と比べて電極825、826の構成が異なる場合がある。
【0277】
光共振器801は、部分反射ミラー806と、出力結合ミラー804と、を含む。部分反射ミラー806の反射率は、例えば80%~90%である。出力結合ミラー804の反射率は例えば10%~20%である。レーザチャンバ800は、光共振器801の光路上に配置される。
【0278】
光学パルスストレッチャ718と、モニタモジュール760と、出射口シャッタ118とは、パワーオシレータ716から出力されたパルスレーザ光の光路上に配置される。
【0279】
光学パルスストレッチャ718は、パワーオシレータ716とモニタモジュール760との間の光路上に配置される。光学パルスストレッチャ718は、ビームスプリッタ740と、4つの凹面ミラー741、742、743、744と、を含む。
【0280】
4つの凹面ミラー741、742、743、744は、ビームスプリッタ740によって一部反射したレーザビームが再びビームスプリッタ740に転写結像して一部反射されるように配置される。
【0281】
モニタモジュール760は、光学パルスストレッチャ718と出射口シャッタ118との間の光路上に配置される。モニタモジュール760の構成は、図1のモニタモジュール108と同様の構成であってよい。
【0282】
ガス供給装置114は、レーザチャンバ100及びレーザチャンバ800に接続され、図示しないそれぞれのバルブによって、レーザチャンバ100及びレーザチャンバ800にそれぞれレーザガスを供給可能な構成である。ガス供給装置114は、ArガスとNeガスとを含む混合ガスボンベ852と接続される。混合ガスボンベ852は不活性ガス供給源に相当する。また、ガス供給装置114はハロゲンガスであるFガスとArガスとNeガスとを含む混合ガスボンベ853と接続される。混合ガスボンベ853はハロゲンガス供給源に相当する。
【0283】
ガス排気装置116は、レーザチャンバ100及びレーザチャンバ800に接続され、図示しないそれぞれのバルブによって、レーザチャンバ100及びレーザチャンバ800からそれぞれレーザガスを排気する構成である。
【0284】
レーザ制御部90は、半導体工場内の図示しないLANに接続され、レーザ装置用管理システム206とデータの送受信が行える構成である。
【0285】
10.2 動作
レーザ制御部90は、露光装置14の露光制御部50から発光トリガ信号Tr1を受信するとマスターオシレータ712をレーザ発振させる。これによって、スペクトル線幅が狭いパルスレーザ光がマスターオシレータ712から出力される。
【0286】
マスターオシレータ712から出力されたパルスレーザ光は、高反射ミラー721と、エネルギモニタ730と高反射ミラー722とを介して、パワーオシレータ716の光共振器801内にシード光として入射する。
【0287】
レーザ制御部90は、このシード光が光共振器801に入射するのと同期して、レーザチャンバ800の電極825、826間で放電するように、PPM812の半導体スイッチ829のONタイミングを制御する。
【0288】
シード光は、パワーオシレータ716の光共振器801内で増幅発振して、出力結合ミラー804からシード光のスペクトル波形に近いパルスレーザ光が増幅されて出力される。
【0289】
パワーオシレータ716によって増幅されたパルスレーザ光は、光学パルスストレッチャ718によって、パルス幅が伸張される。光学パルスストレッチャ718から出力されたパルスレーザ光は、モニタモジュール760によってパルスエネルギとスペクトル線幅が測定される。
【0290】
モニタモジュール760から出力されたパルスレーザ光は、出射口シャッタ118を介して露光装置14に入射する。
【0291】
10.3 マスターオシレータの動作
レーザ制御部90は、エネルギモニタ730によって検出されたパルスエネルギがパワーオシレータ716において増幅発振したパルスレーザ光のASE(Amplified Spontaneous Emission)が十分抑制可能な所定のパルスエネルギとなるように、充電器110の充電電圧を制御する。
【0292】
レーザ制御部90は、モニタモジュール760で計測された波長に基づいて、狭帯域化モジュール106の選択波長を制御する。マスターオシレータ712のガス制御は、図1と同様のガス圧制御、ハロゲン注入制御、及び部分ガス交換制御を行う。
【0293】
10.4 パワーオシレータの動作
レーザ制御部90は、パワーオシレータ716において増幅発振したパルスレーザ光のパルスエネルギが目標パルスエネルギEtとなるように、充電器810の充電電圧を制御する。
【0294】
パワーオシレータ716のガス制御は、図1と同様のガス圧制御、ハロゲン注入制御、及び部分ガス交換制御を行う。
【0295】
10.5 消耗品の寿命予測の処理
ダブルチャンバシステムのレーザ装置710における消耗品は、図1のシングルチャンバシステムのレーザ装置10に対して、レーザチャンバ800が追加される。このレーザチャンバ800の寿命関連情報は、図18から図20と同様のレーザチャンバの寿命関連情報を使用してもよい。
【0296】
ただし、マスターオシレータ712のレーザチャンバ100のパルスエネルギの項目は、エネルギモニタ730で検出されたパルスエネルギEmoに基づいて行う。一方、パワーオシレータ716のレーザチャンバ800のパルスエネルギの項目は、モニタモジュール760で検出されたパルスエネルギEに基づいて行う。
【0297】
さらに、ダブルチャンバシステムの消耗品としてビームステアリングユニット714と、光学パルスストレッチャ718と、を追加してもよい。
【0298】
ビームステアリングユニット714の高反射ミラー721及び高反射ミラー722の寿命関連情報は、少なくとも交換後の発振パルス数を使用すればよい。さらに好ましくは、エネルギモニタ730で検出されたパルスエネルギEmoに基づいて、Emoの積算値又はEmoの二乗の積算値を使用してもよい。
【0299】
ビームステアリングユニット714のエネルギモニタ730の寿命関連情報は、少なくとも交換後の発振パルス数を使用すればよい。さらに好ましくは、マスターオシレータ712で検出されたパルスエネルギEmoに基づいて、Emoの積算値を使用してもよい。
【0300】
光学パルスストレッチャ718のビームスプリッタ740と凹面ミラー741~744の寿命関連情報は、少なくとも交換後の発振パルス数を使用すればよい。さらに好ましくは、モニタモジュール760で検出されたパルスエネルギEに基づいて、Eの積算値又はEの二乗の積算値を使用してもよい。
【0301】
これらの消耗品の寿命関連情報は、レーザ制御部90から図示しないレーザ装置用管理システム206に送信される。
【0302】
[その他]
図36ではダブルチャンバシステムの例を示したが、この例に限定されることなく、マスターオシレータがエキシマレーザの増幅領域でパルスレーザ光を出力する固体レーザ装置であってもよい。
【0303】
11.変形例
実施形態1から実施形態3の各実施形態で説明した消耗品管理サーバ310、312における機械学習による学習モデルの作成機能と、作成した学習モデルを用いて消耗品の寿命予測の処理を行う機能とは、それぞれ別々の装置(サーバなど)で実現してもよい。
【0304】
12.プログラムを記録したコンピュータ可読媒体について
上述の各実施形態で説明した消耗品管理サーバ310、312として、コンピュータを機能させるための命令を含むプログラムを光ディスクや磁気ディスクその他のコンピュータ可読媒体(有体物たる非一過性の情報記憶媒体)に記録し、この情報記憶媒体を通じてプログラムを提供することが可能である。このプログラムをコンピュータに組み込み、プロセッサがプログラムの命令を実行することにより、コンピュータに消耗品管理サーバ310、312の機能を実現させることができる。
【0305】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図している。したがって、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0306】
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書、及び添付の特許請求の範囲に記載される不定冠詞「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。また、「A、B及びCの少なくとも1つ」という用語は、「A」「B」「C」「A+B」「A+C」「B+C」又は「A+B+C」と解釈されるべきである。さらに、それらと「A」「B」「C」以外のものとの組み合わせも含むと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36