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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】電磁石、及び磁場印加システム
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/20 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
H01F7/20 Z
H01F7/20 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023064126
(22)【出願日】2023-04-11
【審査請求日】2023-04-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】302042379
【氏名又は名称】株式会社東栄科学産業
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内海 良一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 茂行
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】小池 洋紀
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 直良
(72)【発明者】
【氏名】矢野 剛之
(72)【発明者】
【氏名】二ツ橋 直喜
(72)【発明者】
【氏名】佐久山 真一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 将友
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-081241(JP,A)
【文献】特公昭57-017832(JP,B1)
【文献】特開2010-212453(JP,A)
【文献】実開昭50-011255(JP,U)
【文献】特開平01-110493(JP,A)
【文献】特開平05-021197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/06、7/20、13/00
G01R 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Z軸方向に平行な中心軸と同軸の棒状部位を有し、前記棒状部位の先端がZ軸方向の第1側を向いている第1ヨークと、
前記第1ヨークの前記棒状部位の外周側に配置され且つ前記中心軸を中心とする筒状部位を有し、前記筒状部位の先端がZ軸方向の前記第1側を向いている第2ヨークと、
前記第1ヨークの前記棒状部位及び前記第2ヨークの前記筒状部位を包囲するコイルと、
前記第2ヨークの外周側に配置される環状の第3ヨークと、を備え、
前記第1ヨーク及び前記第2ヨークは、それぞれ独立してZ軸方向に沿った直線移動が可能に構成されており、
前記第1ヨーク及び前記第2ヨークは、第1位置及び第2位置を含む複数の位置に移動可能に構成されており、
前記第1ヨーク及び前記第2ヨークが前記第1位置にある状態において、前記第1ヨークの前記棒状部位の前記第1側の第1面と前記第2ヨークの前記筒状部位の前記第1側の第2面のZ軸方向に沿った離間距離が5mm以内であり、
前記第1ヨーク及び前記第2ヨークが前記第2位置にある状態において、前記第1面と前記第2面のZ軸方向に沿った離間距離が5mmよりも大きく、前記第1面は前記第2面よりも前記第1側に位置しており、
前記第1ヨーク及び前記第2ヨークが前記第1位置にある状態において、前記第2面と
前記第3ヨークの前記第1側の第3面のZ軸方向に沿った離間距離が5mm以内であり且
つ前記第1面と前記第3面のZ軸方向に沿った離間距離が5mm以内であり、
前記第1ヨーク及び前記第2ヨークが前記第2位置に位置する状態において、前記第2
ヨークと前記第3ヨークとが離間すると共に、前記第3ヨークが前記第1ヨークの前記棒
状部位の外周側であって前記第2面よりも前記第1側に位置する、電磁石。
【請求項2】
Z軸方向に平行な中心軸と同軸の棒状部位を有し、前記棒状部位の先端がZ軸方向の第1側を向いている第1ヨークと、
前記第1ヨークの前記棒状部位の外周側に配置され且つ前記中心軸を中心とする筒状部位を有し、前記筒状部位の先端がZ軸方向の前記第1側を向いている第2ヨークと、
前記第1ヨークの前記棒状部位及び前記第2ヨークの前記筒状部位を包囲するコイルと、
前記第2ヨークの外周側に配置される環状の第3ヨークと、を備え、
前記第1ヨーク及び前記第2ヨークは、それぞれ独立してZ軸方向に沿った直線移動が可能に構成されており
前記第1ヨーク及び前記第2ヨークは、第1位置を含む複数の位置に移動可能に構成されており、
前記第1ヨーク及び前記第2ヨークが前記第1位置にある状態において、前記第1ヨークの前記棒状部位の前記第1側の第1面が、前記第2ヨークの前記筒状部位の前記第1側の第2面および前記第3ヨークの前記第1側の第3面よりも前記第1側に位置し、前記第2ヨークと前記第3ヨークとが離間すると共に、前記第3ヨークが前記第1ヨークの前記棒状部位の外周側であって前記第2面よりも前記第1側に位置する、電磁石。
【請求項3】
前記第1ヨーク及び前記第2ヨークに磁気的に接続され、前記第1ヨークの前記棒状部位及び前記第2ヨークの前記筒状部位の外周側において、Z軸方向における前記第1側とは反対側である第2側から前記第1側へ延びるリターンヨークを更に備える、請求項に記載の電磁石。
【請求項4】
前記第1ヨーク及び前記第2ヨークに磁気的に接続され、前記第1ヨークの前記棒状部位及び前記第2ヨークの前記筒状部位の外周側において、Z軸方向における前記第1側とは反対側である第2側から前記第1側へ延びるリターンヨークを更に備える、請求項に記載の電磁石。
【請求項5】
前記第1ヨークを直線移動させるための第1駆動機構と、前記第1ヨークの位置を決定する第1位置決め機構と、前記第2ヨークを直線移動させるための第2駆動機構と、前記第2ヨークの位置を決定する第2位置決め機構と、を更に備える、請求項1~4のいずれかに記載の電磁石。
【請求項6】
請求項1~4のいずれかに記載の電磁石と、
前記コイルに電流を供給する電流供給部と、を備える、磁場印加システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電磁石、及び磁場印加システムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗測定装置、振動試料型磁力計、MRAM評価装置を始めとする各種磁気物性測定装置用電磁石、磁場中熱処理装置、着磁脱磁処理装置、磁歪測定装置等の電磁石を用いた処理装置など、磁気応用産業から半導体産業、さらには医療やバイオ分野と、磁場を使用する技術が多方面にわたって実用化されている。
【0003】
上記の分野においては、所望の方向に磁場を印加して被測定物の磁場中の特性を計測することや所望の磁場中に被処理物を配置して熱処理等を施すことによって被処理物の磁気特性を変化させること等のために、電磁石を使い電流制御や電磁石の回転等により所望の方向に磁場を印加することも行われている。
【0004】
例えば、特許文献1には、磁場印加領域を装置の鉛直方向(Z軸方向)の一方側のみとし、機械的動作の制約及び装置大型化を回避した電磁石が開示されている。特許文献1に記載の電磁石は、鉛直方向であるZ軸方向と、Z軸方向に直交する水平面におけるX軸方向及びY軸方向を含む任意方向の磁場が印加可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6473546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
磁場印加の用途の一例として、狭い範囲に強い磁場を印加する用途や、比較的広い範囲に均一な強さの磁場に印加する用途などの種々の用途が要求される。用途ごとに電磁石を用意する場合には、電磁石の数の増大や電磁石の切り替え機構などが必要となり、磁場印加システムのコスト増を招来し得る。
【0007】
本開示は、複数の磁場印加態様を実現可能な電磁石及び磁場印加システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の電磁石は、Z軸方向に平行な中心軸と同軸の棒状部位を有し、前記棒状部位の先端がZ軸方向の第1側を向いている第1ヨークと、前記第1ヨークの前記棒状部位の外周側に配置され且つ前記中心軸を中心とする筒状部位を有し、前記筒状部位の先端がZ軸方向の前記第1側を向いている第2ヨークと、前記第1ヨークの前記棒状部位及び前記第2ヨークの前記筒状部位を包囲するコイルと、を備え、前記第1ヨーク及び前記第2ヨークは、それぞれ独立してZ軸方向に沿った直線移動が可能に構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】磁場印加システムを構成する電磁石のヨークのみを示す模式的な平面図。
図2】第1ヨーク及び第2ヨークが第1位置に位置する状態における図1のA1-A1部位断面図。
図3】第1ヨーク及び第2ヨークが第2位置に位置する状態における図1のA1-A1部位断面図。
図4図2に示す均一広磁場モードにおける電磁石半分の磁束密度分布を示す図。
図5図4のシミュレーション結果を示す図。
図6図3に示す強磁場モードにおける電磁石半分の磁束密度分布を示す図。
図7図6のシミュレーション結果を示す図。
図8】第1ヨーク及び第2ヨークが第1位置に位置する状態の駆動機構を模式的に示す断面図。
図9】第1ヨーク及び第2ヨークが第2位置に位置する状態の駆動機構を模式的に示す断面図。
図10】無磁場モードにおける第1ヨーク及び第2ヨークの位置関係を示す断面図。
図11】変形例の第1ヨーク及び第2ヨークが第1位置に位置する状態における図1のA1-A1部位断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
<磁場印加システム>
図1は、磁場印加システムを構成する電磁石1のヨークのみを示す模式的な平面図である。図2は、第1ヨーク3及び第2ヨーク4が第1位置P1に位置する状態における図1のA1-A1部位断面図である。図3は、第1ヨーク3及び第2ヨーク4が第2位置P2に位置する状態における図1のA1-A1部位断面図である。磁場印加システムは、Z軸方向成分を有する磁場を印加対象物(非図示)に印加可能に構成されている。磁場印加システムは、図1及び図2に示すように、電磁石1と、電磁石1に電流を供給する電流供給部2と、を有する。Z軸方向は、発明の説明を容易にするために用いる。電磁石1の向きは使用方法に応じて異なるため、本開示の図面で示す方向(鉛直方向)に限定されない。図2及び図3において、中心軸C1上における印加対象物のターゲット部T1を図示している。
【0012】
<電磁石>
図1及び図2に示すように、電磁石1は、第1ヨーク3と、第2ヨーク4と、コイル6とを有する。
【0013】
第1ヨーク3は、軟質強磁性体で形成されており、Z軸方向に平行な中心軸C1と同軸の棒状部位30を有する。棒状部位30の先端がZ軸方向の第1側Z1を向いている。棒状部位30は、Z軸方向に平行な視線で見て円形状に形成されている。また、棒状部位30の先端はZ軸方向における第1側Z1と反対側である第2側Z2から第1側Z1に向かうにつれて径が細くなる先細り形状である。第1ヨーク3が後述する第2位置に位置する場合に、この先細り形状によって中心軸C1上に発現する磁場のZ軸方向成分を強くすることができる。
【0014】
第2ヨーク4は、軟質強磁性体で形成されており、中心軸C1を中心とする筒状部位40を有する。筒状部位40は、第1ヨーク3の棒状部位30の外周側RD1に配置されている。筒状部位40の先端がZ軸方向の第1側Z1を向いている。筒状部位40は、Z軸方向に平行な視線で見て円柱形状に形成されている。本明細書において「外周側RD1」は、中心軸C1を中心とする径方向外側を意味する。「内周側RD2」は、中心軸C1を中心とする径方向内側を意味する。
【0015】
コイル6は、第1ヨーク3の棒状部位30及び第2ヨーク4の筒状部位40を包囲する位置に巻き付けられている。この構造により、コイル6に電流を流せば、第1ヨーク3の棒状部位30及び第2ヨーク4の筒状部位40を通る磁束が発現する。コイル6は、複数(4つ)のユニットに分割され、各ユニットの間に冷却板が配置されている。複数のユニットそれぞれが1つのコイルであり、並列接続されているが、例示であり、ユニット数や接続形態はこれらに限定されない。
【0016】
電磁石1は、リターンヨーク7を更に備える。リターンヨーク7は、第1ヨーク3及び第2ヨーク4に磁気的に接続されており、第1ヨーク3の棒状部位30及び第2ヨーク4の筒状部位40の外周側RD1において、Z軸方向における第2側Z2から第1側Z1へ延びている。具体的には、リターンヨーク7は、第2ヨーク4に接触し且つ外周側へ延びる第1延在部70と、コイル6の外周側RD1において第1延在部70の径方向外側端部からZ軸方向の第1側Z1へ延びる第2延在部71と、第2延在部71のZ軸方向の第1側Z1の先端部に接続されるリング状のリターン先端部72と、を有する。
【0017】
電磁石1は、第3ヨーク5を更に備える。第3ヨーク5は、軟質強磁性体で形成されており、中心軸C1を中心とする環状であり、リターンヨーク7の内周側RD2においてリターンヨーク7から離間する位置に配置されている。
【0018】
図2及び図3に示すように、第1ヨーク3及び第2ヨーク4は、それぞれ独立してZ軸方向に沿った直線移動が可能に構成されている。第1ヨーク3及び第2ヨーク4の移動を可能にするための機構については後述する。
【0019】
第1ヨーク3及び第2ヨーク4は、図2に示す第1位置P1及び図3に示す第2位置P2を含む複数の位置に移動可能に構成されている。図2に示すように、第1ヨーク3及び第2ヨーク4が第1位置P1にある状態において、第1位置P1に位置する第1ヨーク3の棒状部位30の第1側Z1の第1面31は、第1位置P1に位置する第2ヨーク4の第1側Z1の第2面41と面一になる。これにより、第1ヨークの先端の磁極と第2ヨークの先端の磁極とを合わせた幅に応じた範囲(比較的広い範囲)にZ軸成分の大きさが均一な磁場を発生可能となる。これは、本明細書において均一広磁場モードと表現する。第1ヨーク3の棒状部位30の第1側Z1の第1面31と第2ヨーク4の第1側Z1の第2面41とを面一又はほぼ面一にすることで、第1ヨーク3の第1側Z1であって中心軸C1付近に発現する磁場のZ軸方向成分の大きさの均一化を図ることができる。面一又はほぼ面一でなければ、磁場のZ軸方向成分の大きさに偏りが発生するからである。ほぼ面一とは、第1ヨーク3の第1面31と第2ヨーク4の第2面41のZ軸方向に沿った離間距離が5mm以内にあることをいう。均一広磁場モードを適切に実現するためには、第1ヨーク3の第1面31と第2ヨーク4の第2面41とがほぼ面一であればよいが、さらに面一であることが好ましい。なお、均一広磁場モードにおいて磁場のZ軸方向成分の大きさは中心軸C1上が最大となり、中心軸C1から離れるほど磁場のZ軸方向成分の大きさが小さくなる。中心軸C1上の磁場のZ軸方向成分の最大値が基準となる。よって、磁場のZ軸方向成分の大きさの前記最大値に対する差が、前記最大値の10%の範囲内であれば均一であるとする。
【0020】
さらに、図2に示すように、第1ヨーク3及び第2ヨーク4が第1位置P1にある状態において、第2ヨーク4と第3ヨーク5とが接触すると共に第2ヨーク4の筒状部位40の第1側Z1の第2面41と第3ヨーク5の第1側Z1の第3面51とが面一になる。これにより、第1側Z1の面が面一である磁極の径方向の幅が第1ヨーク3及び第2ヨーク4を合わせた幅よりも、第3ヨーク5を含めた幅に広がるので、磁場のZ軸方向成分の大きさが均一となる第1範囲Ar1を第3ヨーク5が無い場合に比べて大きくすることが可能となる。この効果は、第1ヨーク3の第1面31と第2ヨーク4の第2面41と第3ヨーク5の第3面51とがほぼ面一となることでも発揮される。ほぼ面一とは、第1ヨーク3の第1面31と第2ヨーク4の第2面41のZ軸方向に沿った離間距離が5mm以内にあり且つ第1ヨーク3の第1面31と第3ヨーク5の第3面51のZ軸方向に沿った離間距離が5mm以内にあり且つ第2ヨーク4の第2面41と第3ヨーク5の第3面51のZ軸方向に沿った離間距離が5mm以内にあることをいう。上記の第3ヨーク5による磁場のZ軸方向成分の大きさが均一となる第1範囲Ar1を広げる効果は、上記ほぼ面一の条件を満たせば、第2ヨーク4と第3ヨーク5が非接触であっても発揮されるが、第2ヨーク4と第3ヨーク5が接触している方がより好ましい。
【0021】
図3に示すように、第2位置P2に位置する第1ヨーク3の棒状部位30の第1側Z1の面31は、第1位置P1に位置する場合(図2参照)よりも第1側Z1に移動して突出している。図3に示すように、第2位置P2に位置する第2ヨーク4の筒状部位40は、第1位置P1に位置する場合(図2参照)よりも第2側Z2へ移動している。さらに具体的には、第1ヨーク3及び第2ヨーク4が第1位置P1にある状態において、第1ヨーク3の第1面31と第2ヨーク4の第2面41のZ軸方向に沿った離間距離が5mmよりも大きく、第1ヨーク3の第1面31は第2ヨーク4の第2面41よりも第1側Z1に位置している。これにより、第1ヨーク3の先端の磁極の先である中心軸C1上のターゲット部T1に、第1位置P1で発生させる磁場よりもZ軸方向成分が強い磁場を発生可能となる。これは、本明細書において強磁場モードと表現する。
【0022】
さらに、第1ヨーク3及び第2ヨーク4が第2位置P2に位置する状態において、第2ヨーク4と第3ヨーク5とが離間すると共に、第3ヨーク5が第1ヨーク3の棒状部位30の先端部とリターンヨーク7の間に位置し、第3ヨーク5が第1ヨーク3及びリターンヨーク7の双方から離間する位置に配置されている。また、第3ヨーク5が第1ヨーク3の棒状部位の外周側であって第2ヨーク4の第2面41よりも第1側Z1に位置している。また、第3ヨーク5は第1ヨーク3の第1面31よりも第2側Z2に位置している。これにより、第3ヨーク5が、リターンヨーク7と第1ヨーク3の先端の間の磁束を案内し、リターンヨークの役割を持つので、中心軸C1上に発現する磁場のZ軸方向成分を強くすることが可能となる。
【0023】
<シミュレーション結果>
図4図7にシミュレーション結果を示す。シミュレーションで用いたモデルの寸法について、第1ヨーク3の棒状部位30の先端の面31の直径は30mmであり、棒状部位30全体の外径(直径)は50mmである。第2ヨーク4の筒状部位40の先端の面41の径方向RDの寸法は30mmである。第3ヨーク5の外径(直径)は200mmである。リターンヨーク7の内径(直径)は240mmである。コイル6に流す電流は10Aとしている。ヨークの材質はSS400に設定している。座標系は、Z軸座標とR軸座標を採用している。Z軸座標は、Z軸方向に沿った座標であり、図2に示す第1位置P1に位置する第1ヨーク3の先端面を原点0とし、第1側Z1をマイナスで表記している。R軸座標は、径方向RD(R軸方向)に沿った座標であり、中心軸C1が原点0とし、外周側RD1に向かってプラスとなる。図2に示すターゲット部T1の座標は(R:Z)=(0mm,-25mm)である。
【0024】
図4は、図2に示す均一広磁場モードにおける電磁石半分の磁束密度分布を示す図である。図5は、図4のシミュレーション結果を示す図であり、ターゲット部T1を通る径方向RDに平行な線上におけるZ軸方向成分の磁束密度Bz[T]を示している。図5に示すように、座標(R:Z)が(0mm,-25mm)から(60mm,-25mm)までの線上におけるZ軸方向成分の磁束密度Bzの絶対値の最大値が0.125[T]であり、絶対値の最小値が0.121[T]である。最大値0.125[T]の10%減少した磁束密度Bzは0.1125[T]であり、絶対値の最小値0.121[T]が、10%減少した値0.1125[T]よりも大きく、Z軸方向成分の磁束密度Bzが最大値0.125[T]から0.1125[T]までの範囲に収まっている。よって、図2に示す第1範囲Ar1(直径120mm)の範囲で、Z軸方向成分の均一磁場が発生可能である。
【0025】
図6は、図3に示す強磁場モードにおける電磁石半分の磁束密度分布を示す図である。図7は、図6のシミュレーション結果を示す図であり、ターゲット部T1を通る径方向RDに平行な線上におけるZ軸方向成分の磁束密度Bz[T]を示している。第1ヨーク3は、図2に示す第1位置P1から第1側Z1へ15mm移動する。第2位置P2に位置する第1ヨーク3の先端の面31から第1側Z1へ10mm先のところにターゲット部T1が位置している。第2ヨーク4は、第1位置P1から第2側Z2へ40mm移動する。図7に示すように、座標(R:Z)が(0mm,-25mm)での磁束密度Bzの絶対値が0.463[T]であり、R軸座標が増えるにつれて急激に減衰する。よって、強磁場モードは、中心軸C1付近の狭い範囲であるが、均一広磁場モードに比べて強い磁場を発生させることが可能となる。
【0026】
<駆動機構及び位置決め機構>
第1ヨーク3及び第2ヨーク4の直線移動を可能にするための機構について説明する。図8は、第1ヨーク3及び第2ヨーク4が第1位置P1に位置する状態の駆動機構を模式的に示す断面図である。図9は、第1ヨーク3及び第2ヨーク4が第2位置P2に位置する状態の駆動機構を模式的に示す断面図である。図8及び図9に示すように、電磁石1は、第1ヨーク3を直線移動させるための第1駆動機構80と、第1ヨーク3の位置を決定する第1位置決め機構81と、第2ヨーク4を直線移動させるための第2駆動機構90と、第2ヨーク4の位置を決定する第2位置決め機構91と、を有する。これらの機構(80,81,90,91)は、発生させる磁場に影響を与えないように非磁性体で形成されている。
【0027】
第1駆動機構80は、第1ヨーク3に接続される第1部材82と、第1部材82に形成された第1ネジ溝82xに噛み合う第2ネジ溝83xを有する第2部材83と、を有する。第1部材82は、第1側Z1の端部が第1ヨーク3にボルト等の締結具(非図示)で固定されている。第1部材82は、筒状に形成されており、内周面に第1ネジ溝82xが形成されている。第2部材83は、円盤部位と円盤部位の中心部から突出するボルト部とを有する。第2部材83のボルト部の外周に形成された第2ネジ溝83xが第1部材82の筒状部の内側の第1ネジ溝82xに噛み合った状態で第2部材83のボルト部が第1部材82の筒部に挿入されている。これにより、第1部材82のZ軸方向の位置を規定した状態で第2部材83が第1部材82を支持している。第2部材83は、第1ベアリング84によって中心軸C1を中心として回転可能に支持されている。第1ベアリング84はリターンヨーク7に関連付けられた非図示の支持部を足場として固定されている。第2部材83は歯車であって、円盤部位の外周部分の一部に第2部材83を回転させるための回転力を入力するための歯83yが形成されている。歯83yに噛み合う外部の歯車85から回転力が入力可能に構成されている。歯車85は、人が回すハンドル又はトルク制御型等のモータから回転力の伝達を受けて回転可能である。第1部材82の外周の一部には、Z軸方向に延びる溝が形成されており、筒状部位40に固定されたピン86が溝に挿入されている。これにより、第1部材82及び第1ヨーク3が回転することを禁止している。歯車85の回転に伴って第2部材83が回転すれば、ピン86で回転規制された第2部材83及び第1ヨーク3がZ軸方向に沿って上下に直線移動する。
【0028】
第1位置決め機構81は、第1ヨーク3の第1側Z1の限界位置を決定する第1規定部81aと、第1ヨーク3の第2側Z2の限界位置を決定する第2規定部81bと、を有する。第1規定部81aは、第1ヨーク3の先端部のテーパ面に接触することで、それ以上、第1ヨーク3が第1側Z1に移動できないようにするストッパである。第1規定部81aは、リターンヨーク7に固定される補強板(非図示)に固定されている。第2規定部81bは、第2部材83に設けられており、第1部材82が第2部材83に接触してそれ以上、第1部材82が第2側Z2に移動できないようにするストッパである。
【0029】
第2駆動機構90は、第2ヨーク4に接続される第3部材92と、第3部材92に形成された第3ネジ溝92xに噛み合う第4ネジ溝93xを有する第4部材93と、を有する。第3部材92は、第1側Z1の端部が第2ヨーク4にボルト等の締結具(非図示)で固定されている。第3部材92は、筒状に形成されており、内周面に第3ネジ溝92xが形成されている。第4部材93は、筒状に形成されており、外周面に第4ネジ溝93xが形成されている。第3部材92の第3ネジ溝92xと第4部材93の第4ネジ溝93xとが噛み合った状態で第4部材93が第3部材92の内部に挿入されている。これにより、第3部材92のZ軸方向の位置を規定した状態で第4部材93が第3部材92を支持している。第4部材93は、第2ベアリング94によって中心軸C1を中心として回転可能に支持されている。第2ベアリング94はリターンヨーク7に関連付けられた非図示の支持部を足場として固定されている。第4部材93は歯車であって、外周部分の一部に第4部材93を回転させるための回転力を入力するための歯93yが形成されている。歯93yに噛み合う外部の歯車95から回転力が入力可能に構成されている。歯車95は、人が回すハンドル又はトルク制御型等のモータから回転力の伝達を受けて回転可能である。なお、歯車95は、周方向の別の位置に配置されており、A1-A1断面図では現れないために二点鎖線で図示している。第2ヨーク4の外周の一部には、Z軸方向に延びる溝が形成されており、リターンヨーク7の一部に固定されたピン96が溝に挿入されている。これにより、第3部材92及び第2ヨーク4が回転することを禁止している。歯車95の回転に伴って第4部材93が回転すれば、ピン96で回転規制された第3部材92及び第2ヨーク4がZ軸方向に沿って上下に直線移動する。
【0030】
第2位置決め機構91は、第2ヨーク4の第1側Z1の限界位置を決定する第3規定部91aと、第2ヨーク4の第2側Z2の限界位置を決定する第4規定部91bと、を有する。第3規定部91aは、第2ヨーク4の先端部のテーパ面に接触することで、それ以上、第2ヨーク4が第1側Z1に移動できないようにするストッパであり、第3ヨーク5に設けられたテーパ面である。第4規定部91bは、第2部材83に設けられており、第3部材92が第2部材83に接触してそれ以上、第3部材92が第2側Z2に移動できないようにするストッパである。
【0031】
[1]
以上のように、本実施形態の電磁石1は、Z軸方向に平行な中心軸C1と同軸の棒状部位30を有し、棒状部位30の先端がZ軸方向の第1側Z1を向いている第1ヨーク3と、第1ヨーク3の棒状部位30の外周側RD1に配置され且つ中心軸C1を中心とする筒状部位40を有し、筒状部位40の先端がZ軸方向の第1側Z1を向いている第2ヨーク4と、第1ヨーク3の棒状部位30及び第2ヨーク4の筒状部位40を包囲するコイル6と、を備え、第1ヨーク3及び第2ヨーク4は、それぞれ独立してZ軸方向に沿った直線移動が可能に構成されている、としてもよい。
この構成によれば、第1ヨーク3及び第2ヨーク4は、それぞれ独立してZ軸方向に沿った直線移動が可能であるので、1つの電磁石で複数の磁場印加態様を実現可能となる。
【0032】
[2]
上記[1]に記載の電磁石1において、第1ヨーク3及び第2ヨーク4は、第1位置P1及び第2位置P2を含む複数の位置に移動可能に構成されており、第1ヨーク3及び第2ヨーク4が第1位置P1にある状態において、第1ヨーク3の棒状部位30の第1側Z1の第1面31と第2ヨーク4の筒状部位40の第1側Z1の第2面41のZ軸方向に沿った離間距離が5mm以内であり、第1ヨーク3及び第2ヨーク4が第2位置P2にある状態において、第1面31と第2面41のZ軸方向に沿った離間距離が5mmよりも大きく、第1面31は第2面41よりも第1側Z1に位置している、としてもよい。
このように、第1位置P1に位置する第1ヨーク3の棒状部位30の第1側Z1の面31と第1位置P1に位置する第2ヨーク4の筒状部位40の第1側Z1の面41とが面一又はほぼ面一になるので、第1ヨーク3の先端の磁極と第2ヨーク4の先端の磁極とを合わせた幅に応じた範囲(比較的広い範囲)にZ軸成分の大きさが均一な磁場を発生可能となる。これは、均一広磁場モードといえる。
第2位置P2では、第1位置P1に比べて第1ヨーク3を第1側Z1に移動させ且つ第2ヨーク4を第2側Z2に移動させ、第1面31と第2面41とが面一又はほぼ面一でなく、第1ヨーク3の第1面31が第2ヨーク4の第2面41よりも第1側に位置して突出しているので、第1ヨーク3の先端の磁極の先である中心軸C1上に均一広磁場モードで発生させる磁場よりも強い磁場を発生可能となる。これは、強磁場モードといえる。
このように、均一広磁場モードと強磁場モードとを第1ヨーク3及び第2ヨーク4を移動させるだけで、切替可能となり、2つの役割を担う電磁石を提供可能となる。
【0033】
[3]
上記[2]に記載の電磁石1において、第2ヨーク4の外周側に配置される環状の第3ヨーク5を備え、第1ヨーク3及び第2ヨーク4が第1位置P1にある状態において、第2面41と第3ヨーク5の第1側Z1の第3面51のZ軸方向に沿った離間距離が5mm以内であり且つ第1面と第3面のZ軸方向に沿った離間距離が5mm以内であり、第1ヨーク3及び第2ヨーク4が第2位置P2に位置する状態において、第2ヨーク4と第3ヨーク5とが離間すると共に、第3ヨーク5が第1ヨーク3の棒状部位30の外周側であって第2ヨーク4の筒状部位40の第1側Z1の面よりも第1側Z1に位置する、としてもよい。
このように、第1ヨーク3及び第2ヨーク4が第1位置P1にあり、第2ヨーク4の第2面41と第3ヨーク5の第3面51のZ軸方向に沿った離間距離が5mm以内であり且つ第1ヨークの第1面31と第3ヨーク5の第3面のZ軸方向に沿った離間距離が5mm以内である状態では、第1ヨーク3と第2ヨーク4と第5ヨークが接触又は近接して一体のヨークとなり、面一な磁極の幅を広げる機能を第3ヨーク5に持たせることが可能となる。さらに、第1ヨーク3及び第2ヨーク4が第2位置P2にある状態では、第1ヨーク3の先端と第1ヨークの基端との間の磁束を第3ヨーク5が案内するので、磁場を強くすることが可能となる。
【0034】
[4]
上記[2]に記載の電磁石1において、第1ヨーク3及び第2ヨーク4に磁気的に接続され、第1ヨーク3の棒状部位30及び第2ヨーク4の筒状部位40の外周側RD1において、Z軸方向における第1側Z1とは反対側である第2側Z2から第1側Z1へ延びるリターンヨーク7を更に備える、としてもよい。
この構成によれば、第1ヨーク3及び第2ヨーク4とリターンヨーク7とで閉磁路が形成されるので、磁場を強くすることが可能となる。
【0035】
[5]
上記[3]に記載の電磁石1において、第1ヨーク3及び第2ヨーク4に磁気的に接続され、第1ヨーク3の棒状部位30及び第2ヨーク4の筒状部位40の外周側RD1において、Z軸方向における第1側Z1とは反対側である第2側Z2から第1側Z1へ延び且つ前記第3ヨークから離間するリターンヨークを更に備える、としてもよい。
さらに、第2ヨーク4が第2位置P2にある状態では、リターンヨーク7と第1ヨークの先端との間の磁束を第3ヨーク5が案内するので、リターンヨークの役割を第3ヨークが持ち、磁場を強くすることが可能となる。
【0036】
[6]
上記[1]~[5]のいずれかに記載の電磁石1において、第1ヨーク3を直線移動させるための第1駆動機構80と、第1ヨーク3の位置を決定する第1位置決め機構81と、第2ヨーク4を直線移動させるための第2駆動機構90と、第2ヨーク4の位置を決定する第2位置決め機構91と、を更に備える、としてもよい。
1つの電磁石で複数の磁場印加態様を実現するうえで好ましい。
【0037】
[7]
磁場印加システムは、上記[1]~[6]のいずれかに記載の電磁石1と、コイル6に電流を供給する電流供給部2と、を備える、としてもよい。
【0038】
本開示は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。
【0039】
(A)上記実施形態では、第1ヨーク3及び第2ヨーク4は、図2に示す均一広磁場モードと図3に示す強磁場モードの2つの位置関係に移動可能であるが、これに限定されない。例えば、図10に示す無磁場モードの位置関係に移動可能にしてもよい。無磁場モードにおいては、第2ヨーク4が第2位置P2に移動し、第1ヨーク3が第1位置P1にある状態よりも第2側Z2の第3位置P3へ移動している状態である。図10では、第1ヨーク3及び第2ヨーク4の第1側Z1の面31,41が面一となっているが、面一である必要はない。ヨークはコイル6への電流を止めたとしても磁化しており、弱い磁場を発生し得る。そこで、無磁場モードのように第1ヨーク3及び第2ヨーク4をターゲット部T1から遠ざける方向の第2側Z2へ移動させることで、ターゲット部T1に残留磁場が影響を与えることを抑制又は防止可能となる。無磁場モードは待機モードともいえる。
【0040】
(B)上記実施形態では、第3ヨーク5が設けられているが、第3ヨーク5を省略することも可能である。また、図2及び図3に示す第2ヨーク4及び第3ヨーク5を一体化したヨークを第2ヨーク4としてもよい。
【0041】
(C)発生する磁場が弱くなるが、リターンヨーク7が無い電磁石にすることも可能である。
【0042】
(D)第1ヨーク3及び第2ヨーク4は、中心軸C1と平行な視線で見て円形状に形成されているが、これに限定されない。正方形等の四角形、正三角形でもよい。
【0043】
(E)上記実施形態では、第1ヨーク3が先細り形状であるが、これに限定されない。例えば、第1ヨーク3の筒状部位40の径が変わらなくてもよい。
【0044】
(F)図2及び図8に示す実施形態において、第1ヨーク3の第1面31と第2ヨーク4の第2面41と第3ヨーク5の第3面51とが面一であるが、これに限定されない。例えば、第1ヨーク3の第1面31と第2ヨーク4の第2面41のZ軸方向に沿った離間距離が5mm以内にあり且つ第1ヨーク3の第1面31と第3ヨーク5の第3面51のZ軸方向に沿った離間距離が5mm以内にあり且つ第2ヨーク4の第2面41と第3ヨーク5の第3面51のZ軸方向に沿った離間距離が5mm以内にあれば、第1面31と第2面41と第3面51とが面一でなくてもよい。一例として、図11に示すように、第1面31と第2面41のZ軸方向に沿った離間距離D1が5mmであり、第1面31が第2面41よりも第1側Z1に位置している。また、第2面41と第3面51のZ軸方向に沿った離間距離D2が2mmであり、第2面41が第3面51よりも第2側Z2に位置している。第1面31は第3面51よりも第1側Z1に位置しており、第1面31と第3面51のZ軸方向に沿った離間距離が3mmである。図11では、最も第1側Z1にある面が第1面31であり、第1面31の第2側Z2に第3面51が位置し、第3面51の第2側Z2に第2面41が位置しているが、これに限定されない。例えば、第1面31が第2面41よりも第2側Z2に位置してもよいし、第1面31が第2面41よりも第1側Z1に位置してもよい。第3面51についても同様であり、第3面51が第1面31又は第2面41よりも第1側Z1に位置してもよいし、第3面51が第1面31又は第2面41よりも第2側Z2に位置してもよい。このように、均一広磁場モードにおいては、Z軸方向における第1面31と第2面41と第3面51の並び順は任意に変更可能である。
【0045】
(G)上記実施形態では、第1ヨーク3、第2ヨーク4、第3ヨーク5が設けられているが、さらに第4ヨーク等の別のヨークを設けてもよい。これに伴って、第1駆動機構80、第1位置決め機構81、第2駆動機構90及び第2位置決め機構91以外に、別の駆動機構や位置決め機構を設けてもよい。
【0046】
(H)上記実施形態において、第1ヨーク3の先端及び第2ヨーク4の先端が先細り形状であり、第1ヨーク3の先細りのテーパ面のZ軸方向に対する角度と、第1ヨーク3の先細りのテーパ面のZ軸方向に対する第1角度と、第2ヨーク4の先細りのテーパ面のZ軸方向に対する第2角度とが同一であるが、これに限定されない。例えば、上記第1角度が上記第2角度よりも大きくてもよいし、上記第1角度が上記第2角度よりも小さくてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…電磁石
2…電流供給部
30…棒状部位
3…第1ヨーク
31…第1面
4…第2ヨーク
41…第2面
40…筒状部位
5…第3ヨーク
51…第3面
6…コイル
7…リターンヨーク
80…第1駆動機構
81…第1位置決め機構
90…第2駆動機構
91…第2位置決め機構
C1…中心軸
P1…第1位置
P2…第2位置
Z1…第1側
Z2…第2側
【要約】
【課題】複数の磁場印加態様を実現可能な電磁石及び磁場印加システムを提供する。
【解決手段】電磁石1は、Z軸方向に平行な中心軸C1と同軸の棒状部位30を有し、棒状部位30の先端がZ軸方向の第1側Z1を向いている第1ヨーク3と、第1ヨーク3の棒状部位30の外周側RD1に配置され且つ中心軸C1を中心とする筒状部位40を有し、筒状部位40の先端がZ軸方向の第1側Z1を向いている第2ヨーク4と、第1ヨーク3の棒状部位30及び第2ヨーク4の筒状部位40を包囲するコイル6と、を有する。第1ヨーク3及び第2ヨーク4は、それぞれ独立してZ軸方向に沿った直線移動が可能に構成されている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11