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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240201BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G03G21/00 530
G03G15/20 555
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020038227
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021140048
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】田中 智也
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-065019(JP,A)
【文献】特開2004-205595(JP,A)
【文献】特開2001-194980(JP,A)
【文献】特開2005-308768(JP,A)
【文献】特開2001-117415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート上にトナー像を定着する定着装置と、
前記定着装置に対向する作像部と、
前記定着装置と前記作像部とのうち少なくとも前記定着装置の周囲の空気を画像形成装置本体の外部に排出するとともに、前記作像部の近傍を冷却する排熱・冷却手段と、
前記作像部の近傍の温度を検知する温度検知手段と、
を備え、
印刷動作が開始されるのを待機している待機状態が所定時間以上続いたときに、前記定着装置への給電と、前記排熱・冷却手段による排熱及び冷却と、を停止するスリープモードを実行し、
前記待機状態から前記スリープモードに移行する前に前記温度検知手段によって検知した検知温度が所定値を超えている場合に、前記スリープモードを実行する前に、前記排熱・冷却手段による排熱及び冷却を継続しながら前記定着装置への給電を停止するプレスリープモードを実行可能にし、
前記プレスリープモードが実行されるときに、前記排熱・冷却手段による排熱・冷却能力が、前記待機状態における前記排熱・冷却手段の排熱・冷却能力よりも高くなるように、前記排熱・冷却手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
シート上にトナー像を定着する定着装置と、
前記定着装置に対向する作像部と、
前記定着装置と前記作像部とのうち少なくとも前記定着装置の周囲の空気を画像形成装置本体の外部に排出するとともに、前記作像部の近傍を冷却する排熱・冷却手段と、
前記作像部の近傍の温度を検知する温度検知手段と、
を備え、
印刷動作が開始されるのを待機している待機状態が所定時間以上続いたときに、前記定着装置への給電と、前記排熱・冷却手段による排熱及び冷却と、を停止するスリープモードを実行し、
前記待機状態から前記スリープモードに移行する前に前記温度検知手段によって検知した検知温度が所定値を超えている場合に、前記スリープモードを実行する前に、前記排熱・冷却手段による排熱及び冷却を継続しながら前記定着装置への給電を停止するプレスリープモードを実行可能にし、
印刷動作が終了したときに前記温度検知手段によって検知した検知温度が所定温度を超えている場合に、前記排熱・冷却手段による排熱能力及び冷却能力を前記待機状態のときのものよりも高くする過冷却モードを実行し、
前記プレスリープモードが実行されるときに、前記排熱・冷却手段による排熱能力及び冷却能力が、前記過冷却モードが実行されるときの前記排熱・冷却手段の排熱能力及び冷却能力よりも低くなるように、前記排熱・冷却手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
印刷動作が終了したときに前記温度検知手段によって検知した検知温度が所定温度を超えている場合に、前記排熱・冷却手段による排熱能力及び冷却能力を前記待機状態のときのものよりも高くする過冷却モードを実行し、
前記プレスリープモードが実行されるときに、前記排熱・冷却手段による排熱能力及び冷却能力が、前記過冷却モードが実行されるときの前記排熱・冷却手段の排熱能力及び冷却能力よりも低くなるように、前記排熱・冷却手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置の外部の外気温を検知する第2温度検知手段を備え、
前記プレスリープモードが実行される場合であって前記第2温度検知手段によって検知した検知温度が所定の外気温より高いときに、前記第2温度検知手段によって検知した検知温度が前記所定の外気温より低いときに比べて、前記排熱・冷却手段による排熱能力及び冷却能力が高くなるように制御することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
操作部の操作によって、前記プレスリープモードが実行されるときの、前記排熱・冷却手段による排熱能力及び冷却能力を調整可能であることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
操作部の操作によって、前記温度検知手段による検知温度が前記所定値を超えたときに前記プレスリープモードを実行するか否かを選択可能であることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記排熱・冷却手段は、1つ又は複数のファンを具備し、
前記排熱・冷却手段の前記ファンの回転数を調整することで、前記排熱・冷却手段の排熱能力及び冷却能力が変化することを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記プレスリープモードが実行された後に前記スリープモードが実行されることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記定着装置と前記作像部との間に断熱部を備え、
前記排熱・冷却手段は、前記断熱部を冷却することを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記断熱部は、前記定着装置と前記作像部とを隔絶するヒートパイプパネルと、前記ヒートパイプパネルに接続されたヒートシンクと、を具備し、
前記排熱・冷却手段は、前記ヒートシンクに外気を送風するファンを具備したことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、省エネルギー化を目的として、印刷動作が一定時間おこなわれないときに定着装置への給電を停止するスリープモードを実行する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、画像形成装置の内部が過昇温して異常画像などが生じる不具合を軽減するために、ファンによって外気を取り込んで装置内を冷却する技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
一方、特許文献3には、画像形成装置内で発生したオゾンを装置外に排出するためのファンの駆動速度を、温度センサで検知した機内温度によって調整する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像形成装置は、スリープモードに移行するときに、装置内が充分に冷却されていないことがあった。そのため、作像部の周囲温度が高くなって、作像部が熱的ダメージを受ける不具合や、その後におこなわれる印刷時に異常画像が発生してしまう不具合や、現像装置やクリーニング装置に収容されたトナーが固着する不具合、などが生じてしまっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、スリープモードに移行するときに装置内が充分に冷却されない不具合が軽減される、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における画像形成装置は、シート上にトナー像を定着する定着装置と、前記定着装置に対向する作像部と、前記定着装置と前記作像部とのうち少なくとも前記定着装置の周囲の空気を画像形成装置本体の外部に排出するとともに、前記作像部の近傍を冷却する排熱・冷却手段と、前記作像部の近傍の温度を検知する温度検知手段と、を備え、印刷動作が開始されるのを待機している待機状態が所定時間以上続いたときに、前記定着装置への給電と、前記排熱・冷却手段による排熱及び冷却と、を停止するスリープモードを実行し、前記待機状態から前記スリープモードに移行する前に前記温度検知手段によって検知した検知温度が所定値を超えている場合に、前記スリープモードを実行する前に、前記排熱・冷却手段による排熱及び冷却を継続しながら前記定着装置への給電を停止するプレスリープモードを実行可能にし、前記プレスリープモードが実行されるときに、前記排熱・冷却手段による排熱・冷却能力が、前記待機状態における前記排熱・冷却手段の排熱・冷却能力よりも高くなるように、前記排熱・冷却手段を制御するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スリープモードに移行するときに装置内が充分に冷却されない不具合が軽減される、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】定着装置と作像部と断熱部との位置関係を示す概略正面図である。
図3】定着装置と作像部と断熱部とを幅方向に示す概略側面図である。
図4】定着装置と排気ファンと示す斜視図である。
図5】定着装置と作像部と断熱部とを示す斜視図である。
図6】(A)プレスリープモードが実行されるときの温度センサの検知温度の変化の一例を示すグラフと、(B)比較例としての温度センサの検知温度の変化の一例を示すグラフと、である。
図7】スリープモードに移行するときの制御を示すフローチャートである。
図8】変形例1における、スリープモードに移行するときの制御を示すフローチャートである。
図9】変形例2の画像形成装置における、定着装置と作像部と断熱部とを幅方向に示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、図1にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1に示すように、画像形成装置100内の上方には、作像をおこなうための作像部10が設けられている。作像部10は、複数のプロセスカートリッジ1Y、1M、1C、1Kや、中間転写ベルト8や、書込み装置7など、作像プロセスに関わる種々の装置で構成されている。
また、画像形成装置100の外装部の上方正面には、操作部としての操作表示パネル95が設置されている。ユーザーやサービスマンなどの操作者は、操作表示パネル95の画面上に表示される操作ボタンや操作キーを手動操作して種々の指令をおこなって所望の印刷(画像形成動作)をおこなうことになる。
【0011】
詳しくは、画像形成装置100の上部には、原稿の画像情報を光学的に読み取るスキャナ13(原稿読取装置)が設置されている。
また、画像形成装置100の中央上方には、中間転写ベルト8が設置されている。また、中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応したプロセスカートリッジ1Y、1M、1C、1Kが並設されている。さらに、中間転写ベルト8は、その下方で2次転写ローラ15に圧接して、2次転写ニップを形成している。
【0012】
図1に示すように、ブラックに対応したプロセスカートリッジ1Kは、感光体ドラム2、帯電装置3、現像装置4、クリーニング装置5などが一体化されたユニットである。感光体ドラム2の周囲には、帯電装置3、現像装置4、クリーニング装置5、除電装置などが配置されている。
そして、感光体ドラム2で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)がおこなわれて、感光体ドラム2の表面にブラック画像が形成されることになる。
【0013】
なお、他の3つのプロセスカートリッジ1Y、1M、1Cも、ブラック用のプロセスカートリッジ1Kとほぼ同じように構成されていて、それぞれのトナー色に対応した画像がそれぞれの感光体ドラム2の表面に形成される。以下、主にブラックに対応したプロセスカートリッジ1Kを用いて作像プロセスの説明をおこない、他の3つのプロセスカートリッジ1Y、1M、1Cの説明を適宜に省略する。
【0014】
感光体ドラム2は、メインモータによって図1の反時計方向に回転駆動される。そして、帯電装置3の位置で、感光体ドラム2の表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム2の表面は、書込み装置7から発せられたレーザ光の照射位置に達して、この位置での幅方向(図1の紙面垂直方向であって、主走査方向である。)の露光走査によってブラックに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0015】
その後、感光体ドラム2の表面は、現像装置4との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、ブラックのトナー像が形成される(現像工程である。)。なお、現像装置4の内部には、現像工程をおこなうためのトナーが収容されている。
その後、感光体ドラム2の表面は、中間転写ベルト8及び1次転写ローラ6の対向位置に達して、この位置で感光体ドラム2の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト8の表面に1次転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム2上には、僅かながら未転写トナーが残留する。
【0016】
その後、感光体ドラム2の表面は、クリーニング装置5との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム2上に残留した未転写トナーがクリーニングブレードによってクリーニング装置5内に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム2の表面は、除電装置との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム2上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム2上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0017】
なお、上述した作像プロセスは、他のプロセスカートリッジ1Y、1M、1Cの感光体ドラム2の表面でも、ブラックのプロセスカートリッジ1Kと同様におこなわれる。
そして、それぞれのプロセスカートリッジ1Y、1M、1C、1Kの感光体ドラム2の表面に形成された各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写されることになる。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0018】
その後、各色のトナー像が重ねて1次転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ15との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ9が、2次転写ローラ15との間に中間転写ベルト8と2次転写ベルト16とを挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙等のシートP上に2次転写される(2次転写工程である。)。このとき、中間転写ベルト8には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残留する。
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング装置の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8の表面に付着した未転写トナーなどの付着物が除去される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の作像プロセス(転写プロセス)が終了する。
【0019】
ここで、図1を参照して、2次転写ニップの位置に搬送されるシートPは、画像形成装置100の下方に配設された給紙装置40から、給紙ローラ41やレジストローラ12等が配置された搬送経路を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙装置40には、用紙などのシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ41が図1の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPが搬送経路を経由してレジストローラ12のローラ間に向けて給送される。
【0020】
レジストローラ12に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ12のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ12が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0021】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写されたシートPは、搬送ベルト18によって定着装置20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ21及び加圧ローラ22による熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される(定着工程である。)。
その後、シートPは、排紙ローラ45によって画像形成装置1の外部へ排出されて、排紙トレイ46上にスタックされる。
こうして、画像形成装置100における、一連の画像形成プロセス(印刷動作)が完了する。
【0022】
なお、定着装置20は、主として、定着部材としての定着ローラ21、加圧部材としての加圧ローラ22、で構成される。
ここで、定着ローラ21は、図1の時計方向に回転する薄肉の円筒体であって、その円筒体の内部には棒状のヒータ(加熱手段)が固設されている。定着ローラ21は、芯金上に、弾性層、離型層が順次積層された多層構造体であって、加圧ローラ22に圧接してニップを形成する。
また、加圧ローラ22は、芯金上に弾性層が形成されたローラ部材であって、図1の反時計方向に回転する
そして、定着ローラ21と加圧ローラ22とのニップに、未定着のトナー像が担持されたシートPが送入されて、熱と圧力とによって、シートP上にトナー像が定着されることになる。
ここで、定着装置20は、電源部93(図3参照)からヒータへの給電によって定着ローラ21を積極的に加熱しているため、装置自体がかなり高温に達して、画像形成装置100の機内温度を上昇させる熱源となってしまう。
【0023】
以下、本実施の形態における画像形成装置100において、特徴的な構成・動作について詳述する。
先に図1を用いて説明したように、画像形成装置100には、シートP上にトナー像を定着する定着装置20と、作像プロセスをおこなうための作像部10と、が設けられている。
ここで、図1図3等に示すように、作像部10は、定着装置20に対して断熱部30を介して対向するように配置されている。すなわち、定着装置20と作像部10(プロセスカートリッジ1Y、1M、1C、1Kや、中間転写ベルト8や、書込み装置7など、作像プロセスに関わる種々の装置からなるものである。)とは、断熱部30で隔絶されている。
【0024】
また、図2図3図5等に示すように、本実施の形態における画像形成装置100には、断熱部30を冷却する冷却手段としての送風ファン33が設けられている。この送風ファン33は、作像部10の近傍を冷却する冷却手段として機能するものである。
詳しくは、断熱部30は、主として、定着装置20と作像部10とを隔絶するヒートパイプパネル31と、ヒートパイプパネル31に接続されたヒートシンク32と、で構成されており、定着装置20の近傍の空間と作像部10の近傍の空間とを仕切る仕切り部材の役目を果たしている。
また、冷却手段としての送風ファン33は、ヒートシンク32に外気を送風するファン(送風手段)であり、断熱部30(仕切り部材)となるヒートシンク32とヒートパイプパネル31とを冷却することで、作像部10の近傍を冷却している。
ヒートパイプパネル31は、パネルの内部にヒートパイプが内蔵されたものであって、そのヒートパイプにヒートシンク32が接続されている。そして、定着装置20で発生した熱は、断熱部30に移動して、その熱がヒートパイプパネル31(ヒートパイプ)を伝わって、ヒートシンク32へと運ばれる。そして、ヒートシンク32へ運ばれた熱(ヒートシンク32の熱)は、送風ファン33(駆動された状態のものである。)によって図3の白矢印方向に送られて、排気口82aから外部に排出されることになる。印刷中や、次の印刷の準備をしている待機中など、定着装置20が高温に保たれる状態においては、送風ファン33の駆動が続けられて、断熱部30における断熱効果を維持している。
なお、本実施の形態において、送風ファン33は、画像形成装置100の本体前側板81(操作表示パネル95などの操作をおこなう操作側(本体前側)で本体筐体の一部として機能する部材である。)に形成された吸気口81aの近傍に設置されている。
【0025】
また、図3図4に示すように、本実施の形態における画像形成装置100には、定着装置20と作像部10とのうち少なくとも定着装置20の周囲の空気を画像形成装置本体100の外部に排出する排熱手段としての排気ファン25が設けられている。
具体的に、本実施の形態では、定着装置20の周囲の空気を装置外に排出するための排気ファン25が設けられている。そして、定着装置20で生じた熱(定着装置20の周囲の熱気である。)が、排気ファン25(駆動された状態のものである。)によって、図3の矢印方向(又は、図4の白矢印方向)に吸気されて、排気口82bから外部に排出されることになる。
なお、本実施の形態において、排気ファン25は、画像形成装置100の本体後側板82(操作表示パネル95が設置された本体前側に対して逆側で本体筐体の一部として機能する部材である。)に形成された排気口82bの位置に設置されている。
【0026】
先に説明したように定着装置20は高温に達してしまうため、定着装置20で生じた熱を排熱するとともに、定着装置20と作像部10との間に断熱部30を設けることで、定着装置20で生じた熱によって作像部10が昇温してしまう不具合を軽減することができる。
さらに詳しくは、作像部10の温度が高くなると、作像部10が故障してしまう不具合や、異常画像が出力されてしまう不具合や、トナー固着が生じてしまう不具合などが発生する可能性がある。特に、本実施の形態における画像形成装置100は、小型化のため、定着装置20と作像部10とが近い位置に配設されているので、作像部10が定着装置20の熱の影響を受けやすい。
これに対して、本実施の形態では、定着装置20で生じた熱を積極的に排熱するとともに、定着装置20と作像部10との間に断熱部30を設けているため、そのような不具合が生じにくい。
【0027】
ここで、図3図5に示すように、画像形成装置100には、作像部10の近傍の温度(機内温度)を検知する温度検知手段としての温度センサ50(機内温度センサ)が、断熱部30に対して作像部10の側に設置されている。
すなわち、温度センサ50(温度検知手段)は、断熱部30を境界にした定着装置20側の空間と作像部10側の空間とのうち、後者の空間に設置されている。そのため、温度センサ50は、断熱部30によって定着装置20の熱の影響が減じられた状態で、作像部10の近傍の温度(作像部10の温度変化と相関のある温度)を検知することができる。
詳しくは、温度センサ50は、本体後側板82において作像部10の近傍に設置されている。そして、本実施の形態では、印刷中や待機中において、温度センサ50の検知温度が上昇すると、制御部90によって、排気ファン25や送風ファン33を駆動する制御や、排気ファン25や送風ファン33の回転数を大きくする制御をおこなっている。このように温度センサ50による検知温度に基づいて排気ファン25、送風ファン33を駆動制御することで、排気ファン25、送風ファン33が無駄に駆動されて騒音(ファン音)が生じる不具合を防止することができる。
また、本実施の形態では、印刷中において、温度センサ50の検知温度が所定の閾値を超えると、トナー固着などの不具合が生じる可能性があるものとして、その印刷動作を一時的に停止して、排気ファン25や送風ファン33を駆動する制御や、排気ファン25や送風ファン33の回転数を大きくする制御をおこなっている。以下、このような制御を、適宜に「冷却モード」と呼ぶ。)。
【0028】
なお、本実施の形態では、一連の印刷動作が終了したときに温度センサ50(温度検知手段)によって検知した検知温度が所定温度(例えば、40℃である。)を超えている場合に、排気ファン25(排熱手段)による排熱能力と、送風ファン33(冷却手段)による冷却能力とを、それぞれ待機状態(印刷動作が開始されるのを待機している状態である。)のときのものよりも高くする「過冷却モード」を実行している。
具体的に、本実施の形態では、排気ファン25と送風ファン33とのそれぞれのデューティ(稼働効率であって、本実施の形態では回転数である。)が、待機時には50%に設定され、過冷却モード時には100%に設定されている。すなわち、過冷却モード時における排気ファン25、送風ファン33の回転数は、待機時のものに比べて2倍大きくなるように設定している。
このように過冷却モードをおこなうことで、印刷終了後の作像部10の熱による不具合の発生を軽減することができる。
【0029】
ここで、本実施の形態では、作像部10による作像動作が停止された状態であって印刷動作が開始されるのを待機している待機状態が所定時間(例えば、60分である。)以上続いたときに、定着装置20への給電と、排気ファン25(排熱手段)による排熱と、送風ファン33(冷却手段)による冷却と、を停止する「スリープモード」を実行している。「スリープモード」では、「待機状態」と同様に、作像部10による作像動作を停止している。
具体的に、待機状態(待機中)では、印刷指示を受けたときにすぐに印刷を開始できるように、定着装置20の温度(ヒータ温度)が高い状態に保たれている。すなわち、待機中は、制御部90による電源部93の制御によって、定着装置20への給電が継続されて、ヒータがオンになっている。また、このとき、定着装置20の熱による不具合を防止するために、排気ファン25と送風ファン33とはそれぞれ駆動されている。
そして、このような待機状態において、印刷指示がない状態で所定時間が経過すると、省エネルギーのため、待機状態からスリープモードに移行する。「スリープモード」では、定着装置20への給電が停止されてヒータがオフになるとともに、排気ファン25と送風ファン33とのそれぞれの駆動も停止される。さらに、本実施の形態において、スリープモードでは、操作表示パネル95の表示画面もオフになるように制御される。
なお、本願明細書等では、操作表示パネル95の表示画面がオンしたまま、定着装置20が給電停止されるとともに、排気ファン25(排熱手段)と送風ファン33(冷却手段)とのそれぞれの駆動も停止される「定着オフモード」も、広義の意味で「スリープモード」に含まれるものと定義する。
【0030】
そして、本実施の形態では、待機状態からスリープモードに移行する前に温度センサ50(温度検知手段)によって検知した検知温度Tsが所定値TAを超えている場合(Ts>TA)に、スリープモードを実行する前に、排気ファン25(排熱手段)による排熱と送風ファン33(冷却手段)による冷却とを継続しながら定着装置20への給電を停止する「プレスリープモード」を実行可能にしている。この「プレスリープモード」でも、「待機状態」や「スリープモード」と同様に、作像部10による作像動作を停止している。
【0031】
詳しくは、プレスリープモードが実行されるときに、排気ファン25(排熱手段)による排熱能力(排熱効率)が、待機状態における排気ファン25の排熱能力よりも高くなるように、排気ファン25を制御している。排気ファン25(排熱手段のファン)の回転数を調整することで、排気ファン25の排熱能力が変化するので、プレスリープモード時には、待機時に比べて、排気ファン25の回転数が大きくなるように制御部90によって調整制御される。
同様に、プレスリープモードが実行されるときに、送風ファン33(冷却手段)による冷却能力(冷却効率)が、待機状態における送風ファン33の冷却能力よりも高くなるように、送風ファン33を制御している。送風ファン33(冷却手段のファン)の回転数を調整することで、送風ファン33の冷却能力が変化するので、プレスリープモード時には、待機時に比べて、送風ファン33の回転数が大きくなるように制御部90によって調整制御される。
さらに具体的に、本実施の形態では、排気ファン25と送風ファン33とのそれぞれのデューティが、待機時には50%に設定され、プレスリープモード時には80%に設定されている。
【0032】
このように待機状態からスリープモードに移行する前に、温度センサ50の検知温度が高いときに、プレスリープモードを実行することで、装置内が充分に冷却されない状態(作像部10の周囲温度が充分に低下しない状態)でスリープモードに移行する不具合が軽減される。そのため、作像部の周囲温度が高くなって、作像部が熱的ダメージを受ける不具合や、その後におこなわれる印刷時に異常画像が発生してしまう不具合や、現像装置やクリーニング装置に収容されたトナーが固着する不具合、なども生じにくくなる。
【0033】
以下、プレスリープモードを実行する技術的意義について、さらに詳しく説明する。
定着装置20は、電源部93からの給電を停止しても、すぐには冷えずに、その余熱によって周囲の温度が上昇してしまう。このような現象を「オーバーシュート」と呼ぶ。
先に説明したように、送風ファン33が駆動している間は、断熱部30による断熱効果が維持される。しかし、送風ファン33を駆動停止してしまうと、断熱部30による断熱効果が維持されなくなる。さらに、排気ファン25を駆動停止してしまうと、定着装置20の熱を排熱できなくなってしまう。そのため、図6(B)に示すように、待機状態からスリープモードに移行して、定着装置20への給電が停止されても、送風ファン33や排気ファン25も駆動停止されることで、オーバーシュートにより、スリープモード中も作像部10の近傍の温度が上昇してしまう。そして、図6(B)に示すように、そのようにオーバーシュートによって昇温した状態で、次の印刷が開始されてしまうと、作像部10への熱負荷が大きな状態となる。また、印刷開始される時点で機内の温度が高くなっているため、印刷動作を中断する「冷却モード」や、印刷終了後の「過冷却モード」が発動する温度まで機内温度が上がりやすくなってしまい、画像形成装置100の印刷の生産性が低下してしまうとともに、騒音(ファン音)が生じやすくなる。このような問題は、待機状態からスリープモードに移行したときに、暫く排気ファン25を駆動するような方策をとったとしても充分に解決することはできない。
【0034】
これに対して、本実施の形態では、スリープモードに移行する前に、機内温度Ts(作像部10の近傍の温度)を温度センサ50によって検知して、その検知温度Tsが所定値TA(例えば、38.5℃である。)を超える場合に、定着装置20への電源供給を停止した上で、排気ファン25(排熱手段)だけでなく、送風ファン33(冷却手段)の駆動も継続する「プレスリープモード」を実行している。そのため、プレスリープモードでは、排気ファン25による排熱に加えて、断熱部30による断熱効果が維持されて、図6(A)に示すように、その間にオーバーシュートが生じずに機内温度も低下していくことになる。そして、温度センサ50で検知される検知温度が所定値TC(所定値TAよりも低い「第2の所定値」であって、例えば、37.5℃である。)以下まで低下すると、プレスリープモードからスリープモードに移行する。すなわち、排気ファン25と送風ファン33との駆動を停止する。このとき、図6(A)に示すように、プレスリープモードにて機内温度を充分に低下させていため、スリープモードに移行してオーバーシュートが生じたとしても、そのオーバーシュート量(機内温度の上昇)は小さなものになる。
したがって、図6(A)に示すように、スリープモードから次の印刷が開始されても、プレスリープモードをおこなわなかった場合(図6(B)で説明した比較例である。)に比べて、印刷開始時の機内温度を低く保つことができる。そのため、作像部10への熱負荷が大きくならない。また、印刷開始される時点で機内の温度が低くなっているため、「冷却モード」や「過冷却モード」も発動されにくくなり、画像形成装置100の印刷の生産性が低下しにくくなるとともに、騒音(ファン音)も生じにくくなる。
【0035】
以下、図7のフローチャートを用いて、スリープモードに移行するときの制御について説明する。
図7に示すように、まず、待機状態の画像形成装置100において、待機状態が開始されてから所定時間が経過してスリープモードに移行する制御指令があると(ステップS1、S2)、一定間隔(例えば、1秒間隔である。)で温度センサ50による検知温度Tsの取得がおこなわれる(ステップS3)。そして、その検知温度Tsが所定値TAを超えていないかが判別される(ステップS4)。
その結果、検知温度Tsが所定値TAを超えていないものと判別された場合には、定着装置20への給電を停止するとともに、排気ファン25、送風ファン33の駆動(給電)を停止して、スリープモードに移行する(ステップS5~S7)。
これに対して、ステップS4で、検知温度Tsが所定値TAを超えているものと判別された場合には、そのままスリープモードに移行してしまうとオーバーシュートが生じてしまうことがあるものとして、定着装置20への給電を停止して、排気ファン25、送風ファン33の駆動(給電)は継続して、プレスリープモードに移行する(ステップS8、S9)。そして、プレスリープモードに移行した後に、再び一定間隔(例えば、1秒間隔である。)で温度センサ50による検知温度Tsの取得がおこなわれる(ステップS10)。そして、その検知温度Tsが所定値TC(<TA)を下回っているかが判別される(ステップS11)。
その結果、検知温度Tsが所定値TCを下回っているものと判別された場合には、機内を充分に冷却することができており、スリープモードに移行してオーバーシュートが生じたとしても、それによる不具合が生じないものとして、排気ファン25、送風ファン33の駆動(給電)を停止して、スリープモードに移行する(ステップS6、S7)。
これに対して、ステップS11で、検知温度Tsが所定値TCを下回っていないものと判別された場合には、依然として機内を充分に冷却することができておらず、そのままスリープモードに移行してしまうとオーバーシュートが生じる可能性あるものとして、排気ファン25、送風ファン33の駆動(給電)は継続してプレスリープモードを継続する(ステップS9~S11)。その後、検知温度Tsが所定値TCを下回るまでステップS9~S11を繰り返す。
【0036】
ここで、本実施の形態では、「プレスリープモード」が実行されるときに、排気ファン25(排熱手段)による排熱能力が、「過冷却モード」が実行されるときの排気ファン25の排熱能力よりも低くなるように、排気ファン25を制御している。
同様に、「プレスリープモード」が実行されるときに、送風ファン33(冷却手段)による冷却能力が、「過冷却モード」が実行されるときの送風ファン33の冷却能力よりも低くなるように、送風ファン33を制御している。
先に説明したように、過冷却モードは、印刷終了時の温度センサ50の検知温度Tsが高い場合に機内温度を低下させるためにおこなう制御であるので、短時間に効率的におこなう必要があり、排気ファン25と送風ファン33とのそれぞれのデューティが100%に設定されている。これに対して、プレスリープモードは、待機状態の後におこなわれる冷却動作・排気動作であって、過冷却モードが実行される場合に比べて機内温度が高くないことが多いため、騒音性を考慮して、排気ファン25と送風ファン33とのそれぞれのデューティが80%に設定されている。
【0037】
ここで、図3を参照して、画像形成装置100の外装部には、画像形成装置100の外部の外気温を検知する第2温度検知手段としての第2温度センサ51(機外温度センサ)が設けられている。
そして、プレスリープモードが実行される場合であって第2温度センサ51(第2温度検知手段)によって検知した検知温度が所定の外気温TBより高いときに、第2温度センサ51によって検知した検知温度が所定の外気温TBより低いときに比べて、排気ファン25(排熱手段)による排熱能力が高くなるように制御するとともに、送風ファン33(冷却手段)による冷却能力が高くなるように制御している。
詳しくは、プレスリープモードが実行される直前に、第2温度センサ51による検知温度Trが所定の外気温TB(例えば、30℃である。)を下回る場合(Tr<TB)には、排気ファン25と送風ファン33とのそれぞれのデューティ(回転数)を80%から60%に低下させている。
これは、外気温が低い場合には、外気温が高い場合に比べて、オーバーシュート量が同じであったとしても、機内温度の絶対値は低くなるため、排気ファン25、送風ファン33の回転数を落としても、機内温度は充分に低くなる。そのため、騒音や電力を無駄にすることなく、スリープモード時の機内温度を効率的に低下させることができる。
なお、本実施の形態では、第2温度センサ51による検知温度Trに基づいて、プレスリープモード時の排気ファン25、送風ファン33の回転数を2段階で調整したが、検知温度Trの大きさに応じて、3段階で回転数を調整することもできるし、連続的に回転数を調整することもできる。
【0038】
また、本実施の形態において、操作部としての操作表示パネル95の操作によって、プレスリープモードが実行されるときの、排気ファン25(排熱手段)による排熱能力と送風ファン33(冷却手段)による冷却能力とのうち、少なくとも一方を調整可能にすることもできる。
詳しくは、ユーザーやサービスマンなどの操作者は、操作表示パネル95の初期画面から調整画面に移行して、その調整画面でプレスリープモード時における排気ファン25の回転数を調整したり、送風ファン33の回転数を調整したりする。
これにより、機内が冷える時間と騒音とのどちらを優先するかを選択することが可能となる。なお、サービスマンが対応可能なモードで細かく回転数を変更できるように構成することもできるし、ユーザーが設定しやすい騒音低減モードなどいくつかのモードを準備することもできる。
【0039】
<変形例1>
変形例1では、操作部としての操作表示パネル95の操作によって、温度センサ50(温度検知手段)による検知温度Ts(機内温度)が所定値TAを超えたときにプレスリープモードを実行するか否かを選択可能に構成している。
詳しくは、ユーザーやサービスマンなどの操作者は、操作表示パネル95の初期画面から選択画面に移行して、その選択画面でプレスリープモードを実行する条件になったときに、そのままプレスリープモードをおこなうか、プレスリープモードをおこなわずにスリープモードに移行するか、を予め選択しておくことができる。
具体的な制御としては、図8のフローチャートに示すように、まず、図7のフローチャートと同様に、待機状態から温度センサ50による検知温度Tsの取得がおこなわれる(ステップS1~S3)。その後、操作者によってプレスリープモードの実行が選択されているかが判別される(ステップS12)。その結果、プレスリープモードの実行が選択されていない場合には、検知温度Tsに関わらず、定着装置20への給電を停止するとともに、排気ファン25、送風ファン33の駆動(給電)を停止して、スリープモードに移行する(ステップS5~S7)。
これに対して、ステップS12で、プレスリープモードの実行が選択されている場合には、図7のフローチャートと同様に、ステップS4以降のフローがおこなわれる。
このように、プレスリープモードの実行の可否を選択可能とすることで、省エネルギー性を優先するユーザーに対して使い勝手の良い装置となる。
【0040】
<変形例2>
図9に示すように、変形例2では、定着装置20で生じた熱を外部に排熱する排熱手段として、複数のファン25、26が設けられている。また、断熱部30を冷却する冷却手段として、複数のファン33、34が設けられている。
具体的に、排熱手段として、排気ファン25の他に、吸気ファン26が本体前側板81に設置されている。そして、吸気ファン26によって吸気口81bから外気を吸引して、排気ファン25によって排気口82bから外部に熱気を排出する通気経路が形成されることになる。そのため、排熱手段の排熱効率が向上することになる。
また、冷却手段として、送風ファン33の他に、排気ファン34が本体後側板82に設置されている。そして、送風ファン33によって吸気口81aから外気を吸引して、排気ファン34によって排気口82aから外部に空気を排出する通気経路が形成されることになる。そのため、冷却手段の冷却効率が向上することになる。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成装置100は、シートP上にトナー像を定着する定着装置20と、定着装置20に対向する作像部10と、定着装置20と作像部10とのうち少なくとも定着装置20の周囲の空気を画像形成装置本体100の外部に排出する排気ファン25(排熱手段)と、作像部10の近傍を冷却する送風ファン33(冷却手段)と、が設けられている。また、作像部10の近傍の温度Tsを検知する温度センサ50(温度検知手段)が設置されている。また、印刷動作が開始されるのを待機している待機状態が所定時間以上続いたときに、定着装置20への給電と、排気ファン25による排熱と、送風ファン33による冷却と、を停止するスリープモードを実行している。そして、待機状態からスリープモードに移行する前に温度センサ50によって検知した検知温度Tsが所定値TAを超えている場合に、スリープモードを実行する前に、排気ファン25による排熱と送風ファン33による冷却とのうち少なくとも一方を継続しながら定着装置20への給電を停止するプレスリープモードを実行可能に構成している。
これにより、スリープモードに移行するときに画像形成装置100内が充分に冷却されない不具合を軽減することができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、カラーの画像形成装置100に対して本発明を適用したが、モノクロの画像形成装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、排熱手段を、定着装置20の周囲の空気を画像形成装置本体100の外部に排出するものとして構成したが、作像部10の周囲の空気をも画像形成装置本体100の外部に排出するものとして構成することもできる。その場合、排熱手段として、定着装置20で生じた熱を装置外に排熱する排気ファン25の他に、作像部10の周囲の熱を装置外に排熱する排気ファンなどが新たに設けられることになる。現像装置4における現像ローラやドクターブレード、クリーニング装置5のクリーニングブレードなどの部材は、摺擦摩擦にともない熱が発生する。また、現像装置4における現像ローラや搬送スクリュなどの回転部材を支持する軸受も、その摺動負荷によって熱が発生する。作像部10用の排熱手段を設けることで、これらの熱によって生じる故障、異常画像、トナー固着などの不具合をさらに軽減することができる。
また、本実施の形態では、プレスリープモード時に排熱手段(排気ファン25)による排熱と、冷却手段(送風ファン33)による冷却と、をそれぞれ継続したが、プレスリープモード時に排熱手段による排熱のみを継続して、冷却手段による冷却は停止することもできるし、プレスリープモード時に冷却手段による冷却のみを継続して、排熱手段による排熱は停止することもできる。
また、本実施の形態では、断熱部30にヒートパイプパネル31を用いたが、断熱部はこれに限定されることなく、例えば、断熱部に空気層を用いることもできる。
また、本実施の形態では、作像部10の近傍を冷却する冷却手段として、断熱部30を冷却する送風ファン33を用いたが、作像部10の近傍を冷却する冷却手段は、これに限定されず種々の形態のもの(例えば、作像部10に直接的に空気を当てるファンなどである。)を用いることができる。
また、本実施の形態では、定着装置20に対して断熱部30を介して略上方に作像部10が配置された画像形成装置100に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されず、例えば、定着装置に対して断熱部を介して側方に作像部が配置された画像形成装置などに対しても、本発明を適用することができる。
そして、それらの場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0043】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0044】
なお、本願明細書等において、「作像部の近傍」とは、作像部に近い位置はもちろんのこと、作像部に接する位置や、作像部の内部も含まれるものと定義する。したがって、「作像部の近傍」には、感光体ドラムに近い位置又は接する位置、現像装置に近い位置又は接する位置、クリーニング装置に近い位置又は接する位置、プロセスカートリッジに近い位置又は接する位置、プロセスカートリッジの内部、なども含まれることになる。
また、上述した「近い位置」とは、対象物の温度変化が反映される位置、すなわち、対象物の温度が変化したときに温度の絶対値は異なるとしても同じように温度が変化する位置であるものと定義する。
【符号の説明】
【0045】
10 作像部(対向部)、
20 定着装置(熱源)、
25 排気ファン(排熱手段、ファン)、
30 断熱部、
31 ヒートパイプパネル、
32 ヒートシンク、
33 送風ファン(冷却手段、ファン)、
50 温度センサ(温度検知手段、機内温度センサ)、
51 第2温度センサ(第2温度検知手段、機外温度センサ)、
93 電源部、
95 操作表示パネル(操作部)、
100 画像形成装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【文献】特開2014-98737号公報
【文献】特許第5161539号公報
【文献】特開2014-160118号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9