(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】フォトマスク検査における焦点マップ生成のための広帯域光干渉法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/956 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
G01N21/956 A
(21)【出願番号】P 2022521148
(86)(22)【出願日】2020-10-11
(86)【国際出願番号】 US2020055173
(87)【国際公開番号】W WO2021072343
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-09-05
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シ ルイ-ファン
(72)【発明者】
【氏名】スクヴォルツォフ ドミトリー
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/156442(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0090172(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0137869(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0019206(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0088849(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0273242(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
G01B 11/00-G01B 11/30
H01L 21/64-H01L 21/66
G03F 1/00-G03F 1/92
G03F 7/00-G03F 7/42
G03F 9/00-G03F 9/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
広帯域光干渉法を使用してフォトマスクの表面上の高さを測定するステップであって、前記高さが前記フォトマスクのパターン化領域の高さを含む、測定するステップと、
前記フォトマスクの前記表面の前記測定された高さから焦点マップを作成するステップであって、前記パターン化領域に対するフィルファクタに基づいて前記パターン化領域の前記測定された高さを調整するステップを含む、焦点マップを作成するステップと、
前記焦点マップを使用して前記フォトマスクの欠陥を検査するステップと
を含
み、
前記フォトマスクのための設計のデータベースに基づいて前記フィルファクタを計算するステップをさらに含み、
前記測定された高さを調整するステップが、
測定された高さとフィルファクタの間の所定の対応関係を使用して、前記フィルファクタに基づいて前記パターン化領域の測定されたそれぞれの高さに対する高さ補正値を決定するステップと、
前記測定されたそれぞれの高さに前記高さ補正値を適用するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記測定するステップが、前記広帯域光干渉法を使用して前記フォトマスクのための高さ画像を生成するステップを含み、
前記調整するステップが、前記パターン化領域の前記測定された高さをオフセットさせるために、前記フィルファクタに基づいて前記高さ画像を調整するステップを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記広帯域光干渉法が可視光を使用し、
前記フォトマスクの欠陥を検査するステップが紫外光を使用して実施される
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記紫外光が13.5nm光であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、前記紫外光が193nm光であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記広帯域光干渉法がMirau干渉法であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記広帯域光干渉法がMichelson干渉法であることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記広帯域光干渉法に基づいて前記パターン化領域の反射率を決定するステップであって、前記広帯域光干渉法が、複数の波長帯域のそれぞれの波長帯域を使用して実施され
る、反射率を決定するステップと、
前記複数の波長帯域に対する反射率とフィルファクタの間の所定の対応関係を使用して、前記反射率に基づいて前記フィルファクタを決定するステップと
をさらに含み、前記測定された高さを調整するステップが、
測定された高さとフィルファクタの間の所定の対応関係を使用して、前記フィルファクタに基づいて前記パターン化領域の測定されたそれぞれの高さに対する高さ補正値を決定するステップと、
前記測定されたそれぞれの高さに前記高さ補正値を適用するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記複数の波長帯域が第1の色および第2の色を含み、
前記所定の対応関係が、前記第1の色に対する反射率とフィルファクタとの間の第1の対応関係、および前記第2の色に対する反射率とフィルファクタとの間の第2の対応関係を含み、
前記第1の対応関係および前記第2の対応関係がいずれも1対1ではない
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
フォトマスク検査システムであって、
広帯域光干渉計と、
フォトマスク検査光学系と、
1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサが実行するための1つ以上のプログラムを記憶するメモリと
を備え、前記1つ以上のプログラムが、
前記広帯域光干渉計を使用してフォトマスクの表面上の高さを測定するための命令であって、前記高さが前記フォトマスクのパターン化領域の高さを含む、命令と、
前記フォトマスクの前記表面の前記測定された高さから焦点マップを作成するための命令であって、前記パターン化領域に対するフィルファクタに基づいて前記パターン化領域の前記測定された高さを調整する命令を含む、焦点マップを作成するための命令と、
前記焦点マップを使用して、前記フォトマスク検査光学系を使用して前記フォトマスクの欠陥を検査するための命令と
を含
み、
前記1つ以上のプログラムが、前記フォトマスクのための設計のデータベースに基づいて前記フィルファクタを計算するための命令をさらに含み、
前記測定された高さを調整するための前記命令が、
測定された高さとフィルファクタの間の所定の対応関係を使用して、前記フィルファクタに基づいて前記パターン化領域の測定されたそれぞれの高さに対する高さ補正値を決定するための命令と、
前記測定されたそれぞれの高さに前記高さ補正値を適用するための命令と
を含むことを特徴とするフォトマスク検査システム。
【請求項11】
請求項10に記載のフォトマスク検査システムであって、
前記高さを測定するための前記命令が、前記広帯域光干渉計を使用して前記フォトマスクのための高さ画像を生成するための命令を含み、
前記測定された高さを調整するための前記命令が、前記パターン化領域の前記測定された高さをオフセットさせるために、前記フィルファクタに基づいて前記高さ画像を調整するための命令を含む
ことを特徴とするフォトマスク検査システム。
【請求項12】
請求項10に記載のフォトマスク検査システムであって、
前記広帯域光干渉計が可視光干渉計であり、
前記フォトマスク検査光学系が13.5nm光学系を備える
ことを特徴とするフォトマスク検査システム。
【請求項13】
請求項10に記載のフォトマスク検査システムであって、
前記広帯域光干渉計が可視光干渉計であり、
前記フォトマスク検査光学系が193nm光学系を備える
ことを特徴とするフォトマスク検査システム。
【請求項14】
請求項10に記載のフォトマスク検査システムであって、前記広帯域光干渉計がMirau干渉計であることを特徴とするフォトマスク検査システム。
【請求項15】
請求項10に記載のフォトマスク検査システムであって、前記広帯域光干渉計がMichelson干渉計であることを特徴とするフォトマスク検査システム。
【請求項16】
請求項10に記載のフォトマスク検査システムであって、
前記1つ以上のプログラムが、
広帯域光干渉法に基づいて前記パターン化領域の反射率を決定するための命令であって、前記広帯域光干渉法が、複数の波長帯域のそれぞれの波長帯域を使用して実施された広帯域光干渉法のそれぞれの事例を含む、反射率を決定するための命令と、
前記複数の波長帯域に対する反射率とフィルファクタの間の所定の対応関係を使用して、前記反射率に基づいて前記フィルファクタを決定するための命令と
をさらに含み、前記測定された高さを調整するための前記命令が、
測定された高さとフィルファクタの間の所定の対応関係を使用して、前記フィルファクタに基づいて前記パターン化領域の測定されたそれぞれの高さに対する高さ補正値を決定するための命令と、
前記測定されたそれぞれの高さに前記高さ補正値を適用するための命令と
を含むことを特徴とするフォトマスク検査システム。
【請求項17】
請求項16に記載のフォトマスク検査システムであって、
前記複数の波長帯域が第1の色および第2の色を含み、
前記所定の対応関係が、前記第1の色に対する反射率とフィルファクタの間の第1の対応関係、および前記第2の色に対する反射率とフィルファクタの間の第2の対応関係を含み、
前記第1の対応関係および前記第2の対応関係がいずれも1対1ではない
ことを特徴とするフォトマスク検査システム。
【請求項18】
広帯域光干渉計およびフォトマスク検査光学系をさらに備えるフォトマスク検査システムの1つ以上のプロセッサが実行するための1つ以上のプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記1つ以上のプログラムが、
広帯域光干渉法を使用してフォトマスクの表面上の高さを測定するための命令であって、前記高さが前記フォトマスクのパターン化領域の高さを含む、高さを測定するための命令と、
前記フォトマスクの前記表面の前記測定された高さから焦点マップを作成するための命令であって、前記パターン化領域に対するフィルファクタに基づいて前記パターン化領域の前記測定された高さを調整する命令を含む、焦点マップを作成するための命令と、
前記焦点マップを使用して、前記フォトマスク検査光学系を使用して前記フォトマスクの欠陥を検査するための命令と
を含
み、
前記1つ以上のプログラムが、前記フォトマスクのための設計のデータベースに基づいて前記フィルファクタを計算するための命令をさらに含み、
前記測定された高さを調整するための前記命令が、
測定された高さとフィルファクタの間の所定の対応関係を使用して、前記フィルファクタに基づいて前記パターン化領域の測定されたそれぞれの高さに対する高さ補正値を決定するための命令と、
前記測定されたそれぞれの高さに前記高さ補正値を適用するための命令と
を含むことを特徴とする非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はフォトマスク(すなわちレチクル)検査に関し、より詳細にはフォトマスク検査のための焦点マッピングに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照によって組み込まれる、2019年10月11日に出願した米国仮特許出願第62/914,350号の優先権を主張するものである。
【0003】
フォトマスク検査中におけるフォトマスクと画像化光学系との間の焦点距離の制御は、欠陥検査感度および再現性のために重要である。焦点距離制御は極紫外線(EUV)フォトマスクの検査のためにとりわけ重要である。さらに、異なる欠陥は異なるスルー-フォーカス挙動を示し得る。
【0004】
焦点変動を制御するために、検査に先立ってフォトマスクの形状がマッピングされる。焦点マッピングと呼ばれるこのプロセスは、検査中、焦点距離を制御するために追跡される軌道を提供する焦点マップを作成する。検査中、画像化光学系が軌道を追跡するよう、例えばサーボ制御システムを使用して画像化光学系を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2014/0002826号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら近代のフォトマスク(例えばEUVフォトマスク)の焦点マッピングは重大な課題をもたらしている。従来の焦点マッピングプロセスは、フォトマスク上の非パターン化領域における候補位置を使用している。近代のフォトマスク上の小さいパターン特徴および高いパターン密度は、適切な非パターン化候補位置の発見を困難にしている。また、高いパターン密度と関連する三次元電磁効果は、フォトマスク上のパターン化領域に対して測定される焦点オフセットが不正確になり、延いては焦点マップおよび軌道が不正確になる原因になっている。
【0007】
したがって正確で、かつ、速やかな焦点マッピング技法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの実施形態では、方法は、広帯域光干渉法を使用してフォトマスクの表面上の高さを測定するステップを含む。高さはフォトマスクのパターン化領域の高さを含む。方法は、フォトマスクの表面の測定された高さから焦点マップを作成するステップを同じく含む。焦点マップを作成するステップは、パターン化領域に対するフィルファクタに基づいてパターン化領域の測定された高さを調整するステップを含む。方法は、焦点マップを使用してフォトマスクの欠陥を検査するステップをさらに含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、フォトマスク検査システムは、広帯域光干渉計、フォトマスク検査光学系、1つ以上のプロセッサ、および1つ以上のプロセッサが実行するための1つ以上のプログラムを記憶するメモリを含む。1つ以上のプログラムは、広帯域光干渉計を使用してフォトマスクの表面上の高さを測定するための命令を含む。高さはフォトマスクのパターン化領域の高さを含む。1つ以上のプログラムは、フォトマスクの表面の測定された高さから焦点マップを作成するための命令を同じく含む。焦点マップを作成するための命令は、パターン化領域に対するフィルファクタに基づいてパターン化領域の測定された高さを調整するための命令を含む。1つ以上のプログラムは、焦点マップを使用して、フォトマスク検査光学系を使用してフォトマスクの欠陥を検査するための命令をさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、広帯域光干渉計およびフォトマスク検査光学系をさらに含むフォトマスク検査システムの1つ以上のプロセッサが実行するための1つ以上のプログラムを記憶する。1つ以上のプログラムは、広帯域光干渉法を使用してフォトマスクの表面上の高さを測定するための命令を含む。高さはフォトマスクのパターン化領域の高さを含む。1つ以上のプログラムは、フォトマスクの表面の測定された高さから焦点マップを作成するための命令を同じく含む。焦点マップを作成するための命令は、パターン化領域に対するフィルファクタに基づいてパターン化領域の測定された高さを調整するための命令を含む。1つ以上のプログラムは、焦点マップを使用して、フォトマスク検査光学系を使用してフォトマスクの欠陥を検査するための命令をさらに含む。
【0011】
説明されている様々な実施態様をより良好に理解するためには、以下の図面と共に以下の詳細な説明を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】いくつかの実施形態による、フォトマスクを画像化してフォトマスクの表面のそれぞれの領域の高さを決定するために使用される広帯域光干渉計を示す図である。
【
図2】フォトマスクの表面のパターン化領域の側断面図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、広帯域光干渉計からの光のスポットによって照明された、フォトマスクの表面のパターンの平面図である。
【
図4】フォトマスクの表面の多層材料および吸収体材料に対する、測定された反射率分散曲線を示すグラフである。
【
図5】いくつかの実施形態による、計算された高さ補正曲線を示すグラフである。
【
図6A】いくつかの実施形態による、フォトマスクの高さ画像の平面図、および対応する、フォトマスクの断面輪郭における高さを示す曲線を示すグラフである。
【
図6B】いくつかの実施形態による、高さ画像平面図および対応する
図6Aの断面輪郭曲線を、フォトマスクのパターン化領域の断面に対する焦点マップ軌道と共に示す図である。
【
図7】いくつかの実施形態による、平均反射率振幅対異なる波長帯域に対するフィルファクタの曲線を示すグラフである。
【
図8】いくつかの実施形態による、フォトマスクを検査するための方法を示すフローチャートである。
【
図9】いくつかの実施形態によるフォトマスク検査システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
同様の参照符号は、図面および明細書全体を通して対応する部品を表している。
【0014】
以下、様々な実施形態が詳細に参照され、その例は添付の図面に示されている。以下の詳細な説明では、説明されている様々な実施形態についての完全な理解を提供するために多数の特定の詳細が示されている。しかしながら、説明されている様々な実施形態は、これらの特定の詳細がなくても実践することができることは当業者には明らかであろう。他の事例では、周知の方法、手順、構成要素、回路およびネットワークは、実施形態の態様を不必要に曖昧にしないために詳細に説明されていない。
【0015】
図1は、いくつかの実施形態による、フォトマスク120を画像化して(すなわちフォトマスク120のための干渉図形を生成して)フォトマスク120の表面のそれぞれの領域の高さを決定するために使用される広帯域光干渉計100を示したものである。フォトマスク120をパターン化して、曲げると、フォトマスク120の表面の異なる領域が異なる高さを有することになる。広帯域光干渉計100は低開口数(NA)を有している。例えば広帯域光干渉計100のNAは0.15未満である(例えば0.10または0.075に等しい)。広帯域光干渉計100はMirau干渉法を実施する。別法としては、別のタイプの広帯域光干渉計(例えばMichelson干渉計)を使用してフォトマスク120を画像化することも可能である。
【0016】
広帯域光干渉計100は広帯域光源102を含む。広帯域光を使用することにより、縞を零化する目的で光の時間干渉性を小さくする。いくつかの実施形態では、広帯域光源102は可視光を提供する。いくつかの実施形態では、広帯域光源102によって提供される光の波長帯域(例えば色)を調整することができる。例えば広帯域光源102中の発光ダイオード(LED)および/またはフィルタを変えて波長帯域を変更することができる。別の例では、広帯域光干渉計100は、光路の中に多重化することができる複数の広帯域光源102を有することができ、これらの複数の広帯域光源102の各々は異なる波長帯域を提供する。
【0017】
集光レンズ104は、広帯域光源102からの光を対物レンズ112の上に集束させ、対物レンズ112は、
図1の例ではMirau型対物レンズである。ビームスプリッタ110は、光路中の集光レンズ104と対物レンズ112の間に置かれ、広帯域光源102からの光を対物レンズ112の上に反射する。対物レンズ112は、レンズ114、ミラー116およびビームスプリッタ118を直列に含む。ビームスプリッタ118は、広帯域光源102からの光の一部を使用してフォトマスク120の表面を照明し、その一方で、ミラー116と共に、広帯域光源102からの光の別の部分を反射する。反射した部分は、広帯域光干渉計100のための参照光として働く。対物レンズ112はフォトマスク120からの光を集める。干渉する、集められた光および参照光は、レンズ114によって平行化され、また、ビームスプリッタ110を介してチューブレンズ108に伝送され、チューブレンズ108はそれらをカメラ106(例えばデジタルカメラ)上に集束させる。
【0018】
カメラ106の中で作成される画像(すなわち干渉図形)は、フォトマスクから集められた光と参照光の間の干渉によってもたらされる干渉効果を含む。干渉効果は、フォトマスク120の上方の対物レンズ112の高さの関数として変化する。フォトマスク120の上方の対物レンズ112の高さは調整が可能である。例えば対物レンズ112は、対物レンズ112をz軸に沿って上下に移動させる(すなわちz高さを調整する)ことができるz走査ステージの上に存在していてもよい。また、z高さは、z走査ステージを使用してフォトマスクを対物レンズの下方を移動させることによって調整することも可能である。フォトマスク120の上方の異なる高さ(すなわちz値)の対物レンズ112を使用して、フォトマスク120の複数の画像(すなわち干渉図形)を得ることができ、また、フォトマスク120の表面のそれぞれの領域の高さは、干渉図形解析(例えば知られている3、4または5ステップ干渉図形ベース解析アルゴリズム)を使用して画像を比較することによって決定することができる。
【0019】
しかしながらフォトマスクの表面のパターン化領域に対して測定された高さは、三次元電磁効果のために不正確であることがあり、したがってその高さを直接使用して欠陥検査のための焦点マップを作成することはできない。例えば広帯域光源102(これは拡張空間非干渉性光源である)に対して、NA=0.10、中心波長500nmを仮定すると、広帯域光干渉計100が解像することができる最小ピッチはλ/(2
*NA)=2.5umである。この値は、近代のディープサブミクロン半導体デバイスのためのフォトマスク上のパターンに対するピッチをはるかに上回っている。このピッチ限界未満では、広帯域光干渉計100は、フォトマスク120からのゼロ次回折光のみが参照光と干渉することになるよう、特徴を解像することなく、フォトマスク120上の稠密パターンの平均効果を観察する。この効果は不正確な高さ測定をもたらす。測定される高さの誤差は、フォトマスク120上のパターン化領域に対するフィルファクタ(例えば
図2の吸収体材料204によって覆われていない面積百分率として定義される)の関数として変化する。以下の考察は、不正確な高さ測定に適用する補正値を決定し、欠陥検査の焦点マップに使用することができる高さ値を得るための技法を説明している。補正値はフィルファクタに基づいて決定することができる。いくつかの実施形態では、得られる、焦点マップのための高さ値は、実質的にパターンに依存せず、すなわち、それらはフィルファクタ補正に依存するが、パターンの詳細には依存しない。
【0020】
図2は、フォトマスク120の表面のパターン化領域200の側断面図である。パターン化領域200の一部は、紫外光(例えば極紫外光)を吸収する吸収体材料(Ab)204によって覆われている。吸収体材料204は多層材料(ML)202の上方に置かれている。パターン化領域200の残りの部分は、多層材料202が露出されるよう、吸収体材料204によって覆われていない。多層材料202は光を(不完全に)反射する。
【0021】
いくつかの実施形態では、フォトマスク120はEUV(例えば13.5nm)フォトリソグラフィのためのものである。吸収体材料204はEUV(例えば13.5nm)光を吸収し、また、多層材料202はEUV(例えば13.5nm)光を部分的に反射する。多層材料202は、基板(例えばブランクフォトマスク)の上方にモリブデン(Mo)とケイ素(Si)の交互層を含み、キャップ層がMoとSiのその交互層を覆っている。キャップ層はルテニウム(Ru)またはホウ素(B)であってもよい。隣接するMo層およびSi層の個々の対はMoSi二分子層と呼ばれる。Mo層の厚さは2.8nmであってもよく、Si層の厚さは4.2nmであってもよく、また、キャップ層の厚さは2.5nmであってもよい。多層材料202中のMoSi二分子層の数は40以上または35以上であってもよい。吸収体材料204はタンタル窒化ホウ素(TaBN)層を含み、タンタル酸化ホウ素(TaBO)キャップ層をそのTaBN層の上方に有している。TaBOキャップ層は2nmの厚さを有している。TaBN層310の厚さは70~80nmであってもよい。これらは、吸収体材料および吸収体材料の下方にある材料(すなわち下方にある、吸収体材料がない部分が露出される材料)のそれぞれの単なる例にすぎない。いくつかの実施形態によれば、他の吸収体材料および/または下方にある材料を同じく使用することができる。
【0022】
図3は、いくつかの実施形態による、広帯域光干渉計(
図1)からの光のスポット306によって照明された、フォトマスク120の表面のパターン300の平面図である。パターン300は、多層材料202が露出される領域、および吸収体材料204が多層材料202を覆っている領域を含む。パターン300は周期的である。しかしながら本明細書において説明されている焦点マッピング技法には周期的パターンは不要であり、また、この技法は、非周期的(例えばランダム)パターンを有するフォトマスクのために使用することも可能である。
【0023】
パターン化領域200(
図2)などのパターン化領域、あるいはパターン300(
図3)中の領域は、吸収体材料204によって覆われていない領域200の小部分に等しいフィルファクタaを有している(すなわちaは露出した多層材料202に対するフィルファクタである)。
図2に示されているように、
【数1】
は吸収体材料204(この材料は、
【数2】
が非ゼロとなるように、完全な吸収体ではない)から反射した電界であり、また、
【数3】
は多層材料202(この材料は完全な反射体ではない)から反射した電界である。パターン化領域200で回折したゼロ次光は、
【数4】
【数5】
の波長依存位相因子は、
【数6】
【0024】
w(λ)が広帯域光源102(
図1)からの光のスペクトルであり、λは光の波長帯域全体にわたって展開すると仮定すると、測定される高さ(すなわち広帯域光干渉法によって得られる、実際の高さとは異なる有効高さ)は、
【数7】
式3では、4πは、フォトマスク120の表面で反射した光の二重通過を考慮している。ゼロ次回折光を操作すると、次の式が得られる。
【数8】
上式でtは吸収体材料204の高さ(すなわち厚さ)であり、Φ
0は、多層材料202からの光の反射と吸収体材料204からの光の反射の間の急な位相変化の差である。
【0025】
吸収体材料204および多層材料202は、適切なフォトリソグラフィ波長(例えばEUVフォトリソグラフィの場合、13.5nm)でそれぞれ光を吸収し、反射するように選択される。しかしながら吸収体材料204および多層材料202は分散的であり、また、それらの反射率は波長の関数として変化する。
図4は、多層材料202および吸収体材料204に対する、測定された反射率分散曲線402および404(すなわち反射率対波長を示す曲線)を示すグラフ400である。
図4の例では、多層材料202および吸収体材料204は13.5nmフォトリソグラフィのためのものである。多層材料202は上で説明したMoSi二分子層を含む。吸収体材料204は、上で説明した、TaBOキャップ層を有するTaBNを含む。
【0026】
図5は、いくつかの実施形態による、計算された高さ補正曲線を示すグラフ500である。この高さ補正曲線は、フィルファクタa(すなわちML 202フィルファクタ)に対する、広帯域光干渉法を使用して測定されたフォトマスク高さに適用されるべき高さ補正値を示している。高さ補正曲線は式3および式4に従って計算され、多層材料202で反射した光の位相変化の関数として変化する。
図5は、-20°の位相変化に対する第1の曲線502、ゼロ度位相変化に対する第2の曲線504、および+20°の位相変化に対する第3の曲線506を示している。実際の位相変化はオフラインで測定することができ(例えば校正フォトマスクを使用して)、また、それに応じて実際の位相変化に対する高さ補正曲線が計算される。
図5の例では、高さ補正値は負として定義され、検査光学系(例えば
図9のフォトマスク検査光学系934)の焦点を吸収体材料204の頂部に合わせるための軌道を与える焦点マップを提供するために、広帯域光干渉法を使用して測定されたフォトマスク高さから控除することができる。高さ補正値は、別法として正として定義し、測定されたフォトマスク高さに加えることも可能である。さらに他の例では、高さ補正値は、測定されたフォトマスク高さが掛算または割算される補正係数であってもよい。高さ補正値を適用することにより、検査光学系の焦点を吸収体材料204の頂部、多層材料202の頂部(すなわち吸収体材料204の底部)、またはこれらの2つの表面の間の任意の所定の表面に合わせるための軌道を与える焦点マップを作成することができる。
【0027】
図6Aは、いくつかの実施形態による、フォトマスク120の高さ画像の平面図、および対応する、フォトマスク120の断面輪郭608における高さを示す曲線を示したものである。高さ画像は、広帯域光干渉法を実施して(例えば
図1の広帯域光干渉計100を使用して)、対物レンズ(例えば
図1の対物レンズ112)をフォトマスク120の上方の複数のそれぞれの高さ(すなわちz位置)で使用して干渉図形を生成し、また、その干渉図形を解析して、測定された高さを決定することによって生成される。
図6Aの例では、フォトマスク120は、多層材料202が吸収体材料204によって覆われている非パターン化領域602、吸収体材料204がなく、多層材料202が露出されている領域604(例えばターゲット領域)、および多層材料202の一部が吸収体材料202によって覆われているパターン化領域606を含む。パターン化を無視すると、フォトマスク120全体の高さの変化は、主としてフォトマスク120の湾曲によるものである。例えば非パターン化領域602における高さの変化は主として湾曲によるものである。領域604の個々の面の高さ(すなわちz成分)は吸収体材料204の高さ(すなわち厚さ)に対応する。吸収体材料204はパターン化領域606の個々の点に存在するか、あるいは存在しないかのいずれかであるため、パターン化領域606における高さも同様に吸収体材料204の高さ(すなわち厚さ)に等しい量だけステップアップおよびステップダウンすることになる。しかしながら広帯域光干渉法は、パターン化領域606における特徴を解像することはできない(例えばパターン化ピッチが解像限界未満であるため)。したがってパターン化領域606で測定された高さは不正確な中間値を含む。したがって広帯域光干渉法によって測定された未処理の高さは、焦点マッピングのためには使用することはできない。高さ補正値(例えば
図5の高さ補正値)が未処理の高さに適用されると、補正された高さを焦点マッピングのために使用することができる。
図6Bでは、輪郭608のためにパターン化領域606に高さ補正値を適用することにより、焦点マップ中のパターン化領域606を介して、輪郭608の断面に対して使用することができる軌道610が得られる。焦点マップにより、欠陥検査の間、検査光学系(例えば
図9のフォトマスク検査光学系934)の焦点を吸収体材料204の頂部に合わせることができる。
【0028】
高さ補正曲線(例えば
図5の曲線のうちの1つ)から高さ補正値を得るために、それぞれのフォトマスク領域に対するフィルファクタが最初に決定される。いくつかの実施形態では(例えばダイ-データベース検査の場合)、フォトマスクのための設計のデータベースを利用することができ、また、フィルファクタがデータベースから決定される(例えば
図8の方法800のステップ806の場合のように)。
【0029】
(例えばダイ-ダイ検査のための)(例えばフォトマスクのための設計のデータベースを利用することができない)他の実施形態では、フィルファクタは平均反射率に基づいて決定することができる。対物レンズ(またはフォトマスク)の個々のz位置(すなわちz高さ)は全く異なる位相指数iに対応する。対物レンズを異なるz位置にして干渉図形を作成することは、位相指数iずつステッピングすることに対応し、干渉図形強度は、
Ii=a+bcos(Φi+Δ) (5)
であり、上式でΔは関心対象のサンプル(すなわちフォトマスク領域)に対する位相(すなわち高さ)であり、係数aおよびbは、参照表面からの反射光および広帯域光干渉計の中のサンプル(すなわちフォトマスク)表面に関連付けられる。係数aおよびbは、干渉図形の知られている解析を介して得ることができる。aおよびbが得られると、参照表面反射率γγと試験表面反射率γt(すなわちサンプル表面反射率であって、これはフォトマスク表面の領域の反射率である)の比率|γγ/γt|が、この場合も知られている干渉解析を介して演繹される。参照表面反射率γγは広帯域光干渉計の既知の特性であり、また、試験表面反射率γtの振幅(すなわち大きさ)はそれに応じて決定される。
【0030】
図7は、いくつかの実施形態による、平均反射率振幅対異なる波長帯域に対するフィルファクタa(すなわち対多層材料202フィルファクタ)の曲線を示すグラフ700である。グラフ700の曲線は計算されたものであり、したがって予言的である。曲線は、吸収体材料204の反射率に対する多層材料202の反射率の比率が1.17(すなわちR
ML/R
Ab=1.17)である第1の波長帯域に対する第1の曲線702、および吸収体材料204の反射率に対する多層材料202の反射率の比率が0.89(すなわちR
ML/R
Ab=0.89)である第2の波長帯域に対する第2の曲線704を含む。曲線702および704は、多層材料202での反射によるゼロ度位相変化(例えば
図5の曲線504の場合のように)を仮定して計算されている。同様の曲線を他の位相変化に対して計算することができる。
【0031】
曲線702および704が示しているように、単一の波長帯域に対する反射率は単一のフィルファクタを特定せず、反射率とフィルファクタの間の相関は1対1ではない。曲線702および704では、反射率とフィルファクタの間の相関は1対2である(すなわちそれぞれの反射率値は2つのフィルファクタに対応している)。しかしながら複数(例えば2つ)の異なる波長帯域(例えば色)を一緒に使用して、測定された反射率に対する固有のフィルファクタを決定することも可能である。例えば広帯域光干渉計100は、2つの異なる波長帯域の各々を使用して干渉図形を生成するように構成することができる(例えば広帯域光源102の中のLEDを変えることによって、広帯域光源102の中のフィルタを変えることによって、あるいは複数の広帯域光源102を多重化することによって)。結果として得られた反射率データが与えられると、曲線702および704を使用して、それぞれのフォトマスク領域に対して固有フィルファクタを識別することができる。
【0032】
図8は、いくつかの実施形態による、フォトマスクを検査するための方法800を示すフローチャートである。方法800は、広帯域光干渉計(例えば
図1の広帯域光干渉計100)を含むフォトマスク検査ツール(例えば
図9のフォトマスク検査システム900)によって実施することができる。方法800では、広帯域光干渉法を使用して(例えばMirau干渉法またはMichelson干渉法を使用して)、フォトマスク(例えば
図1のフォトマスク120)の表面上の高さが測定される(802)。高さは、フォトマスクのパターン化領域(例えば
図2~
図3の多層材料202の上方に置かれた吸収体材料204を使用してパターン化された領域)の高さを含む。いくつかの実施形態では、広帯域光干渉法は可視光を使用している。いくつかの実施形態では、広帯域光干渉法を使用してフォトマスクのための高さ画像(例えば
図6A~
図6Bに示されているような)が生成される(804)。高さ画像は、フォトマスク全体またはフォトマスクの一部の測定された高さを含むことができる。例えば高さ画像は、フォトマスクの断面(例えば
図6A~
図6Bの輪郭608)の測定された高さを含むことができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、パターン化領域に対するフィルファクタ(例えば多層材料202に対するフィルファクタa)がフォトマスクのための設計のデータベースに基づいて計算される(806)。例えばデータベースはgdsファイルであるか、あるいはgdsファイルに提供された設計データを含む。データベース内の設計データは、吸収体材料(例えば
図2の吸収体材料204)がフォトマスク上のどこに存在し、どこに存在しないかを特定し、したがってフィルファクタを計算することができる。フィルファクタのこの計算は、例えばダイ-データベース検査のために実施され、このダイ-データベース検査では、ステップ820における後続する欠陥検査は、データベースにおける設計の模擬検査の結果に対するフォトマスクの検査結果の比較を含む。
【0034】
フィルファクタ(例えば多層材料202に対するフィルファクタa)は、別法として、フォトマスク設計のデータベースを使用することなく決定することも可能である。いくつかの実施形態では、パターン化領域の反射率(例えば平均反射率)が広帯域光干渉法に基づいて決定される(808)(例えば式5に従って)。広帯域光干渉法は、複数の波長帯域(例えば2つの波長帯域)のそれぞれの波長帯域(例えば色)を使用して実施された広帯域光干渉法のそれぞれの事例を含み、また、反射率はそれぞれの波長帯域毎に決定される。上記複数の波長帯域に対する反射率とフィルファクタの間の所定の対応関係(例えば1対1ではない対応関係)を使用して、反射率に基づいてフィルファクタが決定される(810)。例えばフィルファクタは、
図7に示されている対応関係のような対応関係を使用して決定される。上記複数の波長帯域は第1の色および第2の色を含むことができる。上記所定の対応関係は、第1の色に対する反射率とフィルファクタの間の第1の対応関係、および第2の色に対する反射率とフィルファクタの間の第2の対応関係を含むことができ、第1の対応関係および第2の対応関係はいずれも1対1ではない。反射率に基づくフィルファクタのこの決定は、例えばダイ-ダイ検査のために実施され、このダイ-ダイ検査では、ステップ820における後続する欠陥検査は、参照フォトマスクダイ領域の検査結果に対するフォトマスク上のダイ領域の検査結果の比較を含む。
【0035】
フォトマスクの表面の測定された高さから焦点マップが作成される(812)。焦点マップの作成は、パターン化領域に対するフィルファクタに基づいてパターン化領域の測定された高さを調整することを含む。いくつかの実施形態では、パターン化領域の測定された高さ(例えば
図6A~
図6Bの輪郭608に対する断面などのフォトマスクの断面における測定された高さを含む)をオフセットさせるために、フィルファクタに基づいて高さ画像が調整される(814)。測定された高さとフィルファクタの間の所定の対応関係を使用して(例えば
図5に示されている対応関係のような対応関係を使用して)、フィルファクタに基づいてパターン化領域の測定されたそれぞれの高さに対する高さ補正値を決定することができる(816)。測定されたそれぞれの高さに高さ補正値を適用することができる(818)(例えば
図6Bの軌道610を作成するために)。結果として得られる焦点マップは実質的にパターンに非依存であり得る(例えばステップ820におけるフォトマスク検査のために使用される光が吸収体材料204の頂部、多層材料202の頂部、またはこれらの2つの表面の間の任意の所定の表面に集束するよう)。
【0036】
焦点マップを使用してフォトマスクの欠陥が検査される(820)(すなわち焦点マップに従ってフォトマスクを検査するために使用される光をフォトマスク検査光学系が集束させる)。いくつかの実施形態では、フォトマスクを検査するために紫外(UV)光が使用される(822)。例えば極紫外(EUV)(例えば13.5nm)光または遠紫外(DUV)(例えば193nm)光が使用される。EUVは、波長の範囲が124nmから10nmまでの光を表す、広く知られ、よく理解されている技術用語である。DUVは、波長の範囲が280nmから100nmまでの光を表す、広く知られ、よく理解されている技術用語である。
【0037】
図9は、いくつかの実施形態によるフォトマスク検査システムのブロック図である。フォトマスク検査システム900は、フォトマスク上の高さを測定するための(例えば
図6A~
図6Bの高さ画像などの高さ画像を創出するために使用される干渉図形を生成するために)広帯域光干渉計(BLI)932(例えば
図1の広帯域光干渉計1001)を含む光学系930、およびフォトマスクの欠陥を検査するためのフォトマスク検査光学系934を有している。いくつかの実施形態では、広帯域光干渉計932は可視波長帯域を使用している。広帯域光干渉計932によって使用される波長帯域は可変であってもよい(例えば異なる光源を多重化し、フィルタを使用し、あるいはLEDを変えることによって)。例えば広帯域光干渉計932は、複数の可視波長帯域を使用するように構成することができる。いくつかの実施形態では、フォトマスク検査光学系934は紫外線光学系を含み、対応する紫外光を使用して欠陥が検査される。例えばフォトマスク検査光学系934は、EUV光学系(例えば13.5nm光のための)またはDUV光学系(例えば193nm光のための)を含むことができる。
【0038】
フォトマスク検査システム900は、1つ以上のプロセッサ902(例えばCPU)、任意選択のユーザインタフェース906、メモリ910、およびこれらの構成要素および光学系930(および図には示されていない、フォトマスク取扱いロボット工学などのフォトマスク検査システム900の他の構成要素)を相互接続する1つ以上の通信バス904を有するコンピュータシステムを同じく含む。ユーザインタフェース906は、ディスプレイ907および1つ以上の入力デバイス908(例えばキーボード、マウス、ディスプレイ907の接触感応表面、等々)を含むことができる。ディスプレイは、高さ画像、焦点マップおよび欠陥検査データを示すことができ、また、フォトマスク検査システム900の状態(例えば
図8の方法800の状態)を報告することができる。
【0039】
メモリ910は揮発性および/または不揮発性メモリを含む。メモリ910(例えばメモリ910内の不揮発性メモリ)は非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。メモリ910は、任意選択で、プロセッサ902から遠隔で配置された1つ以上の記憶デバイス、および/またはフォトマスク検査システム900のコンピュータシステムに取外し可能に挿入される非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。いくつかの実施形態では、メモリ910(例えばメモリ910の非一時的コンピュータ可読記憶媒体)は、様々な基本システムサービスを取り扱うための手順、およびハードウェア依存タスクを実施するための手順を含むオペレーティングシステム912、広帯域光干渉計932を制御するための広帯域光干渉法(BLI)モジュール914、焦点マップ作成モジュール916、フォトマスク検査光学系934を使用してフォトマスク欠陥検査を制御するための欠陥検査モジュール918、およびモジュール914、916および/または918の結果を報告するための報告モジュール920などのモジュールおよびデータ、またはそれらのサブセットあるいはスーパセットを記憶する。メモリ910(例えばメモリ910の非一時的コンピュータ可読記憶媒体)は、方法800(
図8)のすべてまたは一部を実施するための命令を含む。メモリ910に記憶されているモジュールの各々は、本明細書において説明されている1つ以上の機能を実施するための一組の命令に対応している。個々のモジュールを個々のソフトウェアプログラムとして実現する必要はない。モジュールおよびモジュールの様々なサブセットは組み合わせることができ、さもなければ配置し直すことができる。いくつかの実施形態では、メモリ910は、上で識別したモジュールおよび/またはデータ構造のサブセットまたはスーパセットを記憶する。
【0040】
図9は、構造的略図としてよりも、フォトマスク検査システム900に存在させることができる様々な特徴についての機能的説明として意図されている。例えばフォトマスク検査システム900のコンピュータシステムの機能性は、複数のデバイスの間で分割することができる。メモリ910に記憶されているモジュールの一部は、別法として、1つ以上のネットワークを介してフォトマスク検査システム900と通信結合された1つ以上の他のコンピュータシステムに記憶することも可能である。
【0041】
説明を目的とした以上の説明は、特定の実施形態を参照してなされている。しかしながら上記の例証的考察には、網羅的であること、あるいは特許請求の範囲を開示されている厳密な形態に限定することは意図されていない。上記の教示に鑑みて多くの変形および変更が可能である。実施形態は、特許請求の範囲の基礎をなしている原理およびそれらの実際的な応用を最も良好に説明し、それにより他の当業者による、企図された特定の使用に適しているものとして様々な変形を加えた実施形態の最良の使用を可能にするために選択されている。