(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】コミュニケーション支援装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 51/04 20220101AFI20240202BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240202BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20240202BHJP
【FI】
H04L51/04
G06F3/01 510
G06F3/0481
(21)【出願番号】P 2020196838
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2023-02-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.2019年12月1日-2019年12月5日(公開日:2019年12月3日) OzCHI2019-31st Australian Conference on Human-Computer-Interactionにて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 良輔
(72)【発明者】
【氏名】武川 直樹
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/230051(WO,A1)
【文献】特表2021-518004(JP,A)
【文献】特開2008-015585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 51/04
G06F 3/01
G06F 3/0481
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して行われる第1のユーザと第2のユーザとの間のコミュニケーションを支援するコミュニケーション支援装置であって、
センサから、前記第1のユーザの行動に係る検出データを取得する取得処理部と、
取得された前記検出データを、当該検出データに含まれる前記第1のユーザの行動に係るコンテキスト情報の情報価値が、予め設定される条件を満たす第1の検出データと、前記条件を満たさない第2の検出データとに分類する分類処理部と、
分類された前記第1の検出データから、前記第1のユーザの行動に係る複数の第1のコンテキスト情報を分解抽出する分解処理部と、
分類された前記第2の検出データをもとに、当該第2の検出データに含まれるコンテキスト情報から、前記第1のユーザの行動に係る第2のコンテキスト情報を類推する類推処理部と、
前記複数の第1のコンテキスト情報または前記第2のコンテキスト情報の前記情報価値を評価し、その評価結果に基づいて、断定的な表現を用いた第1の重み付きコンテキスト情報と、曖昧表現を用いた第2の重み付きコンテキスト情報とを選択的に生成する生成処理部と、
生成された前記第1の重み付きコンテキスト情報または前記第2の重み付きコンテキスト情報を、前記第2のユーザが閲覧可能な状態で提示する提示処理部と
を具備するコミュニケーション支援装置。
【請求項2】
前記生成処理部は、
前記第1のコンテキスト情報と前記第2のコンテキスト情報とのうちのいずれか一方が得られた場合には、得られた前記第1のコンテキスト情報または前記第2のコンテキスト情報の前記情報価値の評価結果に基づいて、前記第1の重み付きコンテキスト情報と、前記第2の重み付きコンテキスト情報とを選択的に生成する、
請求項1に記載のコミュニケーション支援装置。
【請求項3】
前記生成処理部は、
前記第1のコンテキスト情報および前記第2のコンテキスト情報の両方が得られた場合には、得られた前記第1のコンテキスト情報と前記第2のコンテキスト情報とが、前記第1のユーザの同一の行動に係る情報であるか否かを判断し、同一の行動に係る情報であれば、前記第1のコンテキスト情報と前記第2のコンテキスト情報とのうち前記情報価値が低い側を選択する処理部と、
選択された前記第1のコンテキスト情報または前記第2のコンテキスト情報の前記情報価値の評価結果に基づいて、前記第1の重み付きコンテキスト情報と、前記第2の重み付きコンテキスト情報とを選択的に生成する処理部と
を備える、請求項1に記載のコミュニケーション支援装置。
【請求項4】
前記生成処理部は、
前記複数の第1のコンテキスト情報の組合せから第3のコンテキスト情報を類推可能な場合には、当該第3のコンテキスト情報の前記情報価値の評価結果に基づいて、断定的な表現を用いた前記第1の重み付きコンテキスト情報と、曖昧表現を用いた前記第2の重み付きコンテキスト情報とを選択的に生成する、
請求項1に記載のコミュニケーション支援装置。
【請求項5】
前記生成処理部は、
前記第2のコンテキスト情報または前記第3のコンテキスト情報が得られるまでに行われた類推処理のステップ数に基づいて前記情報価値を評価する、請求項4に記載のコミュニケーション支援装置。
【請求項6】
ネットワークを介して行われる第1のユーザと第2のユーザとの間のコミュニケーションを支援する情報処理装置が実行するコミュニケーション支援方法であって、
センサから、前記第1のユーザの行動に係る検出データを取得する過程と、
取得された前記検出データを、当該検出データに含まれる前記第1のユーザの行動に係るコンテキスト情報の情報価値が、予め設定される条件を満たす第1の検出データと、前記条件を満たさない第2の検出データとに分類する過程と、
分類された前記第1の検出データをもとに、当該第2の検出データに含まれるコンテキスト情報から、前記第1のユーザの行動に係る複数の第1のコンテキスト情報を分解抽出する過程と、
分類された前記第2の検出データから、前記第1のユーザの行動に係る第2のコンテキスト情報を類推する過程と、
前記複数の第1のコンテキスト情報または前記第2のコンテキスト情報の前記情報価値を評価し、その評価結果に基づいて、断定的な表現を用いた第1の重み付きコンテキスト情報と、曖昧表現を用いた第2の重み付きコンテキスト情報とを選択的に生成する過程と、
生成された前記第1または第2の重み付きコンテキスト情報を、前記第2のユーザが閲覧可能な状態で提示する過程と
を具備するコミュニケーション支援方法。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載のコミュニケーション支援装置が具備する前記各処理部の処理を、前記コミュニケーション支援装置が備えるプロセッサに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、例えばチャットボットのようなエージェントを使用してユーザ間のコミュニケーションを支援する装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遠隔地にいるユーザ間のコミュニケーションツールとして、チャットが多く用いられている。しかし、チャットはいずれか一方のユーザが積極的に会話を開始しなければ、ユーザ間でのコミュニケーションは行われない。
【0003】
そこで、ユーザ間のコミュニケーションを促進するために、チャットにチャットボット等と呼ばれるエージェントを組合せる技術が提案されている。この技術は、例えば、エージェントが一方のユーザの行動を監視し、この行動の様子を実況するメッセージを生成して、チャット上に反映させるものである(例えば、非特許文献1を参照)。
【0004】
また、関連技術として、人の行動を支援するために、文化的な背景や個々のルーティンを考慮しながら人の行動の意図を深く理解する研究も行われている(例えば、非特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】佐藤晃佑、大島直樹、青木良輔、武川直樹、「センシングした調理行動をネタに離れて暮らす親子を雑談でむすぶ複数のチャットボット~自動化システムによる2週間のユーザテスト~」、HAI(Human-Agent Interaction)シンポジウム 2018,G-11
【文献】Genevieve Bell and Joseph Jofish Kaye, “Designing Technology for Domestic Spaces: A Kitchen Manifesto”, Gastronomica: The Journal of Critical Food Studies, 46-52, Vol.2 No.2, Spring 2002.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、非特許文献1には、エージェントが複数種類のセンサの検出データをもとにユーザの行動、例えば調理状況を判定し、それに対応するメッセージを生成してユーザ間のチャット上に反映させることまでは開示されているが、センサの検出データをもとに具体的にメッセージをどのように生成するかについては開示されていない。また、コミュニケーションを促進させる上で有効なメッセージとはどのようなものかについては、いまだ検討されていない。
【0007】
一方、非特許文献2には、人の調理行動を支援するために、文化的な背景や個々のルーティンを考慮しながら人の行動の意図を深く理解するための方向性が示されているものの、ユーザ間のコミュニケーションを促進する上で有効なメッセージとはどのようなものか、さらにメッセージをどのように生成するか、については言及されていない。
【0008】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、ユーザ間のコミュニケーションを促進させる上で有効なメッセージを生成するための技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためにこの発明に係る装置又は方法の一態様は、ネットワークを介して行われる第1のユーザと第2のユーザとの間のコミュニケーションを支援する際に、センサから前記第1のユーザの行動に係る検出データを取得し、取得された前記検出データを、先ず当該検出データに含まれる前記第1のユーザの行動に係るコンテキスト情報の情報価値が、予め設定される条件を満たす第1の検出データと、前記条件を満たさない第2の検出データとに分類する。次に、分類された前記第1の検出データから、前記第1のユーザの行動に係る複数の第1のコンテキスト情報を分解抽出すると共に、前記第2の検出データをもとに、当該検出データに含まれるコンテキスト情報から前記第1のユーザの行動に係る第2のコンテキスト情報を類推する。そして、前記複数の第1のコンテキスト情報または前記第2のコンテキスト情報の前記情報価値を評価し、その評価結果に基づいて、断定的な表現を用いた第1の重み付きコンテキスト情報と、曖昧表現を用いた第2の重み付きコンテキスト情報とを選択的に生成し、生成された前記第1または第2の重み付きコンテキスト情報を、前記第2のユーザが閲覧可能な状態に出力するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の一態様によれば、例えば、検出データから分解抽出または類推されるユーザの行動に係るコンテキスト情報の情報価値が評価され、その評価値が低い場合には、当該コンテキスト情報をもとに断定的な表現を用いた重み付きコンテキスト情報が生成され、一方評価値が高い場合には、当該コンテキスト情報をもとに曖昧表現を用いた重み付きコンテキスト情報が生成され、それぞれ例えばコミュニケーションツールにおいてユーザに提示される。このため、検出データから分解抽出または類推されるユーザの行動を表すコンテキスト情報を、その情報価値に応じて、断定的で正確な表現と、曖昧で興味を引きやすい表現とを使い分けて提示することが可能となり、これによりユーザに対し、提示情報の信頼性を担保しつつ、コミュニケーションのきっかけを効果的に与えることが可能となる。
【0011】
すなわちこの発明の一態様によれば、ユーザ間のコミュニケーションを促進する上で有効なメッセージを生成する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、この発明の一実施形態に係るコミュニケーション支援装置として機能するサーバ装置を備えるシステムの全体構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したサーバ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示したサーバ装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図2および
図3に示したサーバ装置により実行されるコミュニケーション支援処理の全体の処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図4に示した全体の処理手順のうちコンテキスト分類処理の処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図4に示した処理手順のうちコンテキスト分解処理の処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、
図4に示した処理手順のうちコンテキスト類推処理の処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図4に示した処理手順のうち重み付きコンテキスト生成処理の処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、コンテキストとその情報価値の高さとの関係の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、断定的な表現で表された重み付きコンテキストの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、曖昧な表現で表された重み付きコンテキストの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
【0014】
[一実施形態]
(構成例)
(1)システム
図1は、この発明の一実施形態に係るコミュニケーション支援装置として機能するサーバ装置を備えるシステムの全体構成図である。
【0015】
図1において、UT1,UT2はそれぞれユーザUS1,US2が所持するユーザ端末を示している。ユーザ端末UT1,UT2は、いずれも例えばスマートフォンまたはタブレット型端末等の携帯情報端末からなる。ユーザ端末UT1,UT2には、コミュニケーションツールがインストールされており、ユーザUS1,US2は上記コミュニケーションツールを用いることで、ネットワークNWを介して相互間で例えばチャットによるコミュニケーションを行えるようになっている。なお、ユーザ端末UT1,UT2としては、他にノート型のパーソナルコンピュータやウェアラブル型端末を使用することが可能である。
【0016】
ところで、ユーザUS1の住居内には、ユーザUS1の行動を検出するための複数のセンサデバイスが設置されている。この例では、調理器具STおよび照明器具LGにそれぞれその動作状態を検出するセンサSS1,SS2が設置され、また天井にカメラCMが設置されている。また住居内には、送受信装置TRが設けられている。送受信装置TRは、例えば無線ルータからなり、上記各センサSS1,SS2およびカメラCMから出力される検出データを、ネットワークNWを介してサーバ装置SVへ転送する。
【0017】
なお、センサSS1としては、例えば、調理器具STのつまみや図示しないナイフ、フライパン等のハンドル部分に取着されてその動きを検出する加速度センサ、調理器具STの温度を検出する温度センサ、音を検出するマイクロフォンが用いられ、またセンサSS2には照度センサが用いられる。
【0018】
(2)サーバ装置SV
図2および
図3は、それぞれサーバ装置SVのハードウェア構成およびソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
サーバ装置SVは、例えばサーバコンピュータまたはクラウドコンピュータからなり、中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)等のハードウェアプロセッサを有する制御部1を備える。制御部1には、バス5を介して、プログラム記憶部2およびデータ記憶部3を有する記憶ユニットと、通信インタフェース(通信I/F)4が接続されている。
【0020】
通信I/F4は、制御部1の制御の下、ネットワークNWにより定義される通信プロトコルを用いて、上記ユーザ端末UT1,UT2との間で各種情報の送受信を行う。
【0021】
プログラム記憶部2は、記憶媒体として例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリとを組み合わせて構成されたもので、OS(Operating System)等のミドルウェアに加えて、この発明の一実施形態に係る各種制御処理を実行するために必要なプログラムを格納する。
【0022】
データ記憶部3は、記憶媒体として例えば、HDDまたはSSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと組み合わせたもので、その記憶領域には検出データ記憶部31と、第1のコンテキスト記憶部32と、第2のコンテキスト記憶部33と、重み付きコンテキスト記憶部34が設けられている。
【0023】
検出データ記憶部31は、センサSS1,SS2およびカメラCMから送信された検出データを時系列で記憶するために使用される。検出データには、例えば、ユーザUS1の識別情報(ユーザID)、送信元のセンサの識別情報(センサID)および検出時刻が付与される。
【0024】
第1のコンテキスト記憶部32は、後述する制御部1により、分類後の検出データから分解抽出された第1のコンテキスト情報を記憶するために使用される。この第1のコンテキスト情報には、ユーザIDが付与される。
【0025】
第2のコンテキスト記憶部33は、後述する制御部1により、分類後の検出データに含まれるコンテキストから類推された第2のコンテキスト情報を記憶するために使用される。この第2のコンテキスト情報にも、ユーザIDが付与される。
【0026】
重み付きコンテキスト記憶部34は、後述する制御部1により生成された重み付きコンテキスト情報を、ユーザIDと対応付けた状態で記憶するために使用される。
【0027】
制御部1は、上記チャット等によるコミュニケーションを行うユーザUS1,US2に対するコミュニケーション支援を行う、例えばチャットボットまたはエージェントの機能を有する。そして、この機能を実現するための処理部として、検出データ取得処理部11と、コンテキスト分類処理部12と、コンテキスト分解処理部13と、コンテキスト類推処理部14と、重み付きコンテキスト生成処理部15と、メッセージ配信処理部16とを備えている。これらの処理部11~16は、何れも例えばプログラム記憶部2に格納されたプログラムを制御部1のハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0028】
検出データ取得処理部11は、例えばユーザUS1が調理を開始した場合に、ユーザUS1の住居の送受信装置TRから送信される各センサSS1,SS2およびカメラCMの検出データを、通信I/F4を介して受信して検出データ記憶部31に時系列で記憶させる処理を行う。
【0029】
コンテキスト分類処理部12は、上記検出データ記憶部31から検出データを一定時間分ずつ読み込み、当該検出データを、これに含まれるユーザUS1の行動に係るコンテキスト情報の情報価値に応じて、情報価値の高い第1の検出データと、情報価値の低い第2の検出データとに分類する処理を行う。
【0030】
ここで、コンテキストの情報価値とは、検出データを人が閲覧したときに、当該閲覧者が監視対象のユーザの行動や意図を類推可能な度合いを示すもので、情報価値が高ければ高いほど、閲覧者がユーザの行動に係る多くの情報を把握することができる。この実施形態では、コンテキスト分類処理部12は、コンテキストの情報価値をセンサの種別により判定し、検出データを価値の高い第1の検出データと低い第2の検出データに分類する。その処理の一例は動作例において述べる。
【0031】
コンテキスト分解処理部13は、上記コンテキスト分類処理部12により分類された価値の高い第1の検出データを取り込み、当該第1の検出データから情報価値の低い複数のローコンテキスト情報を分解抽出する処理を行う。またコンテキスト分解処理部13は、抽出された上記複数のローコンテキスト情報を組み合わせることで類推される、より情報価値の高いハイコンテキスト情報を生成する処理も行う。そしてコンテキスト分解処理部13は、上記分解抽出および類推された複数のローコンテキスト情報およびハイコンテキスト情報を、ユーザIDを付与した状態で第1のコンテキスト情報として第1のコンテキスト記憶部32に記憶させる。なお、上記コンテキスト分解抽出処理の一例は、動作例において述べる。
【0032】
コンテキスト類推処理部14は、上記コンテキスト分類処理部12により分類された価値の低い第2の検出データを取り込み、当該第2の検出データに含まれるローコンテキスト情報をもとに、より情報価値の高いハイコンテキスト情報を類推する処理を行う。そして、コンテキスト類推処理部14は、類推された上記ハイコンテキスト情報を、ユーザIDを付与した状態で、第2のコンテキスト情報として第2のコンテキスト記憶部33に記憶させる。なお、上記ハイコンテキスト情報の類推処理の一例は、動作例において述べる。
【0033】
重み付きコンテキスト生成処理部15は、上記第1のコンテキスト記憶部32または第2のコンテキスト記憶部33に新たなコンテキスト情報が記憶される毎に、この新たなコンテキスト情報を読み込む。そして、読み込まれた上記コンテキスト情報の情報価値を評価する。このとき、第1のコンテキスト記憶部32および第2のコンテキスト記憶部33の両方から新たなコンテキスト情報が読み込まれ、これらのコンテキストの内容がユーザUS1の同一行動に係るものだった場合には、それぞれのコンテキスト情報の情報価値を評価し、評価値が低い側のコンテキスト情報を選択する処理を行う。
【0034】
重み付きコンテキスト生成処理部15は、上記情報価値の評価結果に基づいて、評価値が低いコンテキスト情報については断定的な表現により重み付けした第1の重み付きコンテキスト情報を生成し、一方評価値が高いコンテキストについては曖昧な表現により重み付けした第2の重み付きコンテキスト情報を生成する。そして、生成された各重み付きコンテキスト情報を、ユーザIDを付与した状態で重み付きコンテキスト記憶部34に記憶させる処理を行う。
【0035】
メッセージ配信処理部16は、重み付きコンテキスト記憶部34に新たな重み付きコンテキスト情報が記憶されると、当該新たな重み付きコンテキスト情報を読み出す。そして、ユーザIDをもとに、対応するユーザUS1が使用するユーザ端末UT1とそのコミュニケーション相手となるユーザ端末UT2との間のコミュニケーションツール上に、上記重み付きコンテキスト情報を掲載する処理を行う。
【0036】
(動作例)
次に、以上のように構成されたサーバ装置SVにおいて行われる、コミュニケーション支援に係る一連の動作を説明する。
【0037】
なお、ここでは、例えば一人暮らしをしている大学生と母親とがチャットによりコミュニケーションをする場合に、サーバ装置SVがそのチャットボットまたはエージェント機能により、上記大学生と母親との間のコミュニケーションを支援する処理を実行する場合を例にとって説明する。
【0038】
図4は、サーバ装置SVの制御部1が実行するコミュニケーション支援処理の全体の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0039】
(1)検出データの取得
ユーザUS1が調理を行うためにキッチンの照明器具LGを点灯させると、この照明器具LGの点灯が例えば照度センサからなるセンサSS2により検出され、その検出データが送受信装置TRによりサーバ装置SVへ転送される。
【0040】
サーバ装置SVの制御部1は、ステップS1により調理の開始を監視している。この状態で、上記照明器具LGの点灯を表す検出データを受信すると、ユーザUS1が調理を開始したものと判断して、検出データ取得処理部11の制御の下、ステップS2において、以下のように検出データの取得処理を実行する。
【0041】
すなわち、ユーザUS1が、例えば調理器具STを点火し、つまみを操作して火力を設定すると、このつまみの操作が例えば加速度センサからなるセンサSS1により検出され、その検出データが送受信装置TRからサーバ装置SVへ送信される。また、ユーザUS1の調理の様子がカメラCMにより撮像され、その映像データが調理の様子を表す検出データとして送受信装置TRからサーバ装置SVへ送信される。なお、ユーザUS1が例えばナイフを持って材料を切ったり、フライパンを振った場合にも、その動作や音が加速度センサまたはマイクロフォン等により検出され、その検出データが送受信装置TRからサーバ装置SVへ送信される。
【0042】
これに対しサーバ装置SVの検出データ取得処理部11は、ステップS2において、上記ユーザUS1宅の送受信装置TRから送信された各検出データを通信I/F4を介して受信し、受信された各検出データを検出データ記憶部31に記憶させる。なお、このとき上記各検出データには、それぞれユーザID、センサIDおよび検出時刻が付与される。以後、検出データ取得処理部11は、ステップS7により調理の終了が検出されるまで、検出データの取得処理を継続する。
【0043】
なお、サービス対象のユーザが他にも存在する場合には、これらの他のユーザについても、同様に検出データ取得処理が実行される。
【0044】
(2)コンテキスト分類処理
上記検出データ記憶部31に新たな検出データが記憶されると、サーバ装置SVの制御部1は、コンテキスト分類処理部12の制御の下、ステップS3において以下のようにコンテキスト分類処理を実行する。
【0045】
図5は、上記コンテキスト分類処理部12による、コンテキスト分類処理の処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【0046】
すなわち、コンテキスト分類処理部12は、上記検出データ記憶部31に一定時間(例えば2分間)分の検出データが記憶されると、ステップS31において上記一定時間分の検出データを検出データ記憶部31から読み込む。次に、コンテキスト分類処理部12は、ステップS32により、読み込まれた上記検出データに付与されるセンサIDからセンサ種別を判定し、ステップS33において、上記センサ種別の判定結果に従い上記検出データを分類する。
【0047】
例えば、調理器具STの動作を表す検出データは、加速度センサにより得られたつまみの操作のみを表すデータであることから、上記調理器具STの動作を表す検出データは「コンテキスト価値の低い検出データ」に分類される。これに対し、カメラCMから出力された映像データはキッチンにおけるユーザUS1の調理の様子を撮像した、複数の情報を含む検出データであることから、上記カメラCMの映像データは「コンテキスト価値の高い検出データ」に分類される。
【0048】
なお、「コンテキスト価値の低い検出データ」には、他に例えば照度センサや温度センサ、振動センサの検出データが分類され、また「コンテキスト価値の高い検出データ」には、様々な器具の音やユーザUS1の声が含まれる音声データや、Webサイトから取得されるレシピの検索データ等が分類される。
【0049】
続いてコンテキスト分類処理部12は、ステップS34において上記分類された検出データのコンテキスト価値を判定し、その判定結果に従い、コンテキスト価値が高い検出データをコンテキスト分解処理部13に送り、コンテキスト価値が低い検出データをコンテキスト類推処理部14に送る。
【0050】
(3)コンテキスト分解処理
上記コンテキスト価値が高い検出データが送られると、コンテキスト分解処理部13は、ステップS4において以下のようにコンテキスト分解処理を実行する。
【0051】
図6は、上記コンテキスト分解処理部13による、コンテキスト分解処理の処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【0052】
すなわち、コンテキスト分解処理部13は、先ずステップS41により処理対象の上記検出データを取り込むと、この検出データから情報価値の低い複数のローコンテキストを分解抽出する。例えば、検出データが調理の様子を表す映像データであれば、例えば「調理器具STが使われている」、「ナイフが使われている」、「まな板の上に食材が乗っている」、「ユーザの手に食材が把持されている」、「フライパンが振られている」等、それぞれ情報価値の低いオブジェクトがローコンテキスト情報として分解抽出される。
【0053】
なお、上記オブジェクトの分解抽出処理は、例えば、調理に関係する各器具の基本画像パターンを予め記憶しておき、取得された映像データと上記基本画像パターンとをパターンマッチング処理することで実施可能である。
【0054】
コンテキスト分解処理部13は、続いてステップS43により、上記分解抽出された複数のローコンテキスト情報の各々により単独で、もしくは組合せにより、さらに情報価値の高いハイコンテキスト情報を類推可能か否かを判定する。そして、類推が可能な場合には、ステップS44においてハイコンテキスト情報を類推し、類推されたハイコンテキスト情報をユーザIDと対応付けて第1のコンテキスト記憶部32に記憶させる。
【0055】
例えば、この例では、「ナイフが使われている」と「まな板の上に食材が乗っている」との組合せから、「まな板の上で食材を切っている」というハイコンテキスト情報が類推され、また「ナイフが使われている」と「ユーザの手に食材が把持されている」との組合せから、「食材の皮むきが行われている」というハイコンテキスト情報が類推される。ハイコンテキスト情報の類推処理の一例は、後続のコンテキスト類推処理においても説明する。
【0056】
なお、ハイコンテキスト情報を類推できない場合には、上記複数のローコンテキスト情報がそのまま、或いは選択されて第1のコンテキスト記憶部32に記憶されてもよい。
【0057】
以上述べたステップS41~S44によるコンテキスト分解抽出処理は、ステップS45において、処理対象となるすべての検出データに対する処理が終了したと判定されるまで繰り返し実行される。
【0058】
(4)コンテキスト類推処理
一方、上記コンテキスト価値が低い検出データが送られると、コンテキスト類推処理部14は、ステップS5において以下のようにコンテキスト類推処理を実行する。
【0059】
図7は、上記コンテキスト類推処理部14による、コンテキスト類推処理の処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【0060】
すなわち、コンテキスト類推処理部14は、先ずステップS51により処理対象の上記検出データを取り込むと、ステップS52において、上記検出データから情報価値の低いローコンテキスト情報を抽出する。この処理により、例えば検出データが調理器具STのつまみの操作を表す加速度データの場合には、「調理器具STのつまみの操作量(操作角度)」を表す情報が、ローコンテキスト情報として抽出される。
【0061】
次にコンテキスト類推処理部14は、ステップS53において、抽出された上記ローコンテキスト情報をもとに、より情報価値の高いハイコンテキスト情報を類推する。そして、さらに情報価値の高いハイコンテキスト情報の類推が可能な場合には、ステップS54からステップS53に戻って、ハイコンテキスト情報の類推処理を繰り返し実行する。
【0062】
例えば、ローコンテキスト情報として、上記「調理器具STのつまみの操作量(操作角度)」を表す情報が抽出された場合には、当該情報に含まれる「調理器具STのつまみの操作」から先ず「調理器具(コンロ)STが使用されている」が類推され、続いて「つまみの操作角度」から「火力の強さ」が類推される。さらに、「火力の強さの遷移状態」から「使用用途(例えば茹でる、炒める、蒸す)」が類推される。
【0063】
以上の類推処理は、例えば、茹でる、炒める、蒸す等の調理の種類に対応付けて、火加減の遷移情報を予め記憶しておき、上記コンテキスト情報を上記火加減の遷移情報とパターンマッチングにより対照し、その類似度合いをもとに最も類似度が高い遷移パターンを特定することにより実現される。
【0064】
コンテキスト類推処理部14は、次にステップS55において、上記繰り返し類推処理により最終的に得られたハイコンテキスト情報を、第2のコンテキスト記憶部33にユーザIDと対応付けた状態で記憶させる。またコンテキスト類推処理部14は、ステップS56において、上記繰り返し類推処理が行われた場合の繰り返し数(類推ステップ数)を、上記ハイコンテキスト情報と対応付けて、第2のコンテキスト記憶部33に記憶させる。上記類推ステップ数は、コンテキスト情報の情報価値の評価指標として使用される。
【0065】
以上述べたステップS51~S56によるコンテキスト類推処理は、ステップS57において、処理対象となるすべての検出データに対する処理が終了したと判定されるまで繰り返し実行される。
【0066】
図9は、以上述べた類推処理により生成されるコンテキスト情報とその価値の高さとの関係の一例を示すものである。同図に示すように、「調理器具(コンロ)が使用されている」、「フライパンが使用されている」はセンサの検出データが示す状態そのものに近く、価値が低いローコンテキスト情報である。これらのローコンテキスト情報は、言い換えると曖昧度合いの低い明確な状態を表すコンテキスト情報であり、断定的な表現で提示することが望ましい。
【0067】
一方、上記ローコンテキスト情報から類推される「コンロが強火で維持されている」、「フライパンが揺すられている」は、より価値の高いコンテキスト情報であり、さらにこれらのコンテキスト情報から類推される「炒め物をしている」および「野菜炒めをつくっている」はより一層価値の高いハイコンテキスト情報となる。これらのハイコンテキスト情報は、類推処理を繰り返すことで生成される情報であるため曖昧度合いが高い情報であり、曖昧表現で提示することの望ましい。
【0068】
この実施形態のサーバ装置SVは、以上のような観点に着目して、ユーザにメッセージとして提示すべき重み付きコンテキスト情報を生成する。
【0069】
(5)重み付きコンテキスト情報の生成
上記第1または第2のコンテキスト記憶部32,33に新たなコンテキスト情報が記憶されると、サーバ装置SVの制御部1は、重み付きコンテキスト生成処理部15の制御の下、ステップS6において、以下のように重み付きコンテキスト情報の生成処理を実行する。
【0070】
図8は、上記重み付きコンテキスト生成処理部15による、重み付きコンテキスト生成処理の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0071】
すなわち、重み付きコンテキスト生成処理部15は、先ずステップ61において、上記第1および第2のコンテキスト記憶部32,33から、新たに記憶されたコンテキスト情報を読み込む。そして、ステップS62により、読み込まれた情報が第1のコンテキスト情報および第2のコンテキスト情報の一方か、或いは両方かを判定する。そして、第1のコンテキスト情報および第2のコンテキスト情報の一方が読み込まれた場合には、後述するステップS66に移行する。
【0072】
一方、上記判定の結果、第1および第2のコンテキスト情報が両方とも読み込まれた場合には、重み付きコンテキスト生成処理部15は、ステップS63において、第1および第2のコンテキスト情報を比較する。そして、この比較結果をもとに、第1のコンテキスト情報と第2のコンテキスト情報とがユーザUS1の同一行動に関するものであるか否かを、ステップS64で判定する。例えば、第1および第2のコンテキスト情報が共に調理器具STの動作に関するものであれば、このときの第1および第2のコンテキスト情報は、ユーザUS1の同一行動に関するものと判定する。
【0073】
続いて重み付きコンテキスト生成処理部15は、ステップS65において、第1のコンテキスト情報および第2のコンテキスト情報の各情報価値をもとに、情報価値が低い方を選択する。ここで、コンテキスト分解処理部13およびコンテキスト類推処理部14がそれぞれ上記第1および第2のコンテキスト情報を類推する際に実行した類推処理の繰り返し数(類推ステップ数)は、コンテキスト情報の情報価値の評価指標として用いることが可能である。従って、重み付きコンテキスト生成処理部15は、第1および第2のコンテキスト情報を類推したときの類推ステップ数を比較し、類推ステップ数が少ない方のコンテキスト情報を選択する。
【0074】
次に重み付きコンテキスト生成処理部15は、ステップS66において、評価値として、例えば上記コンテキスト情報の類推ステップ数を用い、これをしきい値と比較する。そして、この比較の結果、評価値がしきい値未満であればステップS67に移行し、上記コンテキスト情報を断定的な表現により重み付けしたコンテキスト情報を生成する。これに対し、評価値がしきい値以上であればステップS68に移行し、上記コンテキスト情報を曖昧表現により重み付けしたコンテキスト情報を生成する。
【0075】
ここで、上記断定的な表現としては、例えば「~だ」が用いられ、この文字と同趣旨の断定文字がコンテキスト情報の語尾に付加される。一方、曖昧表現としては、例えば「~だろう」、「~のような気がする」、「~みたいだね」が用いられ、これらの文字列がコンテキスト情報の語尾に付加される。
【0076】
なお、上記コンテキスト情報の情報価値の評価指標としては、例えばコンテキスト価値分布を定義し、このコンテンツ価値分布に従いコンテキスト情報に評価値を与え、この評価値をしきい値と比較するようにしてもよい。例えば、コンテキスト価値分布を0~1で表してこの範囲でコンテキスト情報に評価値を付与し、この評価値をしきい値=0.5と比較する。そして、評価値が0.5に満たない場合に「断定的な表現」を選択して重み付けコンテキスト情報を生成し、一方評価値が0.5以上の場合には「曖昧表現」を選択して重み付きコンテキスト情報を生成する。
【0077】
最後に重み付きコンテキスト生成処理部15は、上記各重み付け処理により生成された重み付きコンテキスト情報を、ステップS69によりユーザIDと対応付けて重み付きコンテキスト記憶部34に記憶させる。
【0078】
(6)メッセージの配信
サーバ装置SVの制御部1は、上記重み付きコンテキスト記憶部34に新たな重み付きコンテキスト情報が記憶されると、メッセージ配信処理部16の制御の下、ステップS7において、上記新たな重み付きコンテキスト情報を重み付きコンテキスト記憶部34から読み出す。そして、読み出された上記重み付きコンテキスト情報を、ユーザIDをもとに、対応するユーザUS1が使用するユーザ端末UT1とそのコミュニケーション相手となるユーザ端末UT2との間のコミュニケーションツール上に、掲載する。
【0079】
図10は、ローコンテキスト情報をもとに生成された重み付きコンテキスト情報のコミュニケーションツール上での提示例を示すものである。この例に示すようにローコンテキスト情報は「~よ」、「~いるね」等の「断定的な表現」を用いて提示される。
【0080】
一方、
図11はハイコンテキスト情報をもとに生成された重み付きコンテキスト情報のコミュニケーションツール上での提示例を示すものである。この例に示すようにハイコンテキスト情報は「~かな?」、「~ようだね」のような「曖昧な表現」を用いて提示される。
【0081】
(作用・効果)
以上述べたように一実施形態では、チャットボットやエージェント等と呼称されるコミュニケーション支援機能を備えるサーバ装置SVにおいて、センサから取得された検出データを、先ず当該検出データに含まれるユーザUS1の行動に係るコンテキスト情報の情報価値が高い検出データと、低い検出データとに分類する。次に、分類された上記価値の高い検出データから、上記ユーザUS1の行動に係る複数のローコンテキスト情報を分解抽出し、抽出された各ローコンテキスト情報から、より価値の高いコンテキスト情報を類推する。一方、上記価値の低い検出データからは、当該検出データに含まれるコンテキスト情報をもとに、より価値の高いコンテキスト情報を類推する。そして、類推された上記コンテキスト情報の情報価値を評価し、その評価値がしきい値より低いコンテキスト情報については断定的な表現を用い、評価値がしきい値以上のコンテキスト情報については曖昧表現を用いて、コミュニケーションツール上にユーザUS1,US2が閲覧可能な状態に提示するようにしている。
【0082】
従って、一実施形態によれば、価値の高い検出データから分解抽出されたのち類推されたユーザの行動を表す第1のコンテキスト情報、または価値の低い検出データからそのまま類推された第2のコンテキスト情報の情報価値に応じて、断定的で正確な表現と、曖昧で興味を引きやすい表現とを使い分けて提示することが可能となり、これによりチャット等のコミュニケーションツールを用いるユーザUS1,US2に対し、提示情報の信頼性を担保しつつ、コミュニケーションのきっかけを効果的に与えることが可能となる。
【0083】
また、第1のコンテキスト情報および第2のコンテキスト情報の両方が得られた場合には、これらのコンテキスト情報がユーザの同一の行動に係る情報であるか否かを判断し、同一の行動に係る情報であれば情報価値が低い側を選択し、その情報価値の評価結果に基づいて断定的または曖昧な表現を用いたコンテキスト情報を選択的に生成し、提示するようにしている。
【0084】
従って、ユーザUS1の同一の行動を表す複数のコンテキスト情報が同時に得られた場合には、そのうちの情報価値の低いコンテキスト情報をもとにメッセージが生成されて提示されることになり、ユーザUS1の行動をより正確に類推したメッセージを提示することができる。
【0085】
さらに、検出データから分解抽出された複数のローコンテキスト情報からユーザUS1の行動を類推する際に、複数のローコンテキスト情報の組合せをもとに類推することで、単一のローコンテキスト情報から類推する場合に比べ、ユーザUS1の行動をより正確に類推することが可能となり、これにより正確なメッセージを提示することが可能となる。
【0086】
[その他の実施形態]
前記一実施形態では、チャットボットまたはエージェントによるコミュニケーション支援機能をサーバ装置SVに備えた場合を例にとって説明したが、いずれかのユーザ端末に設けてもよい。その他、コミュニケーション支援装置の機能構成や処理手順と処理内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0087】
以上、この発明の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点においてこの発明の例示に過ぎない。この発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、この発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0088】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0089】
SV…サーバ装置
UT1,UT2…ユーザ端末
NW…ネットワーク
ST…調理器具
LG…照明器具
SS1,SS2…センサ
CM…カメラ
TR…送受信装置
1…制御部
2…プログラム記憶部
3…データ記憶部
4…通信I/F
5…バス
11…検出データ取得処理部
12…コンテキスト分類処理部
13…コンテキスト分解処理部
14…コンテキスト類推処理部
15…重み付きコンテキスト生成処理部
16…メッセージ配信処理部
31…検出データ記憶部
32…第1のコンテキスト記憶部
33…第2のコンテキスト記憶部
34…重み付きコンテキスト記憶部