(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20240205BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20240205BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20240205BHJP
B23K 26/03 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
H01L21/78 F
H01L21/78 B
B24B27/06 M
B24B49/12
B23K26/03
(21)【出願番号】P 2020016992
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【氏名又は名称】岡野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 芳昌
(72)【発明者】
【氏名】久保 敦嗣
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-087141(JP,A)
【文献】特開2013-258237(JP,A)
【文献】特開2005-085973(JP,A)
【文献】特開2009-088304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B24B 27/06
B24B 49/12
B23K 26/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面と該一面とは反対側に位置する他面とを含み、該一面から該他面まで透明材で形成されている所定の領域を有する板状の保持部材を含むチャックテーブルと、
表面側に所定のパターンを有する被加工物の該表面側が該チャックテーブルの該一面で保持され、且つ、該被加工物の裏面側が上方に露出した状態で、該被加工物を加工する加工ユニットと、
第1の撮像素子を有し、該チャックテーブルの上方に設けられ、該裏面側の正像を取得する第1の撮像ユニットと、
第2の撮像素子を有し、該チャックテーブルの下方に設けられ、該第1の撮像ユニットで撮像する領域と該被加工物の厚さ方向で対応する領域において該表面側の正像を取得する第2の撮像ユニットと、
該第1の撮像ユニットで取得された該裏面側の画像と該第2の撮像ユニットで取得された該表面側の画像との少なくともいずれかを表示する表示装置と、
画像処理を実行するプログラムが記憶された記憶装置と、該プログラムに従って画像を処理するプロセッサとを有し、該裏面側の正像と該表面側の正像との向きが一致する様に、該裏面側の正像及び該表面側の正像のいずれかを画像処理して所定方向で反転させた状態で該表示装置に表示させる制御部と、を備え
、
該制御部は、該裏面側の画像と、該表面側の画像とを、該表示装置に共に表示させることを特徴とする加工装置。
【請求項2】
一面と該一面とは反対側に位置する他面とを含み、該一面から該他面まで透明材で形成されている所定の領域を有する板状の保持部材を含むチャックテーブルと、
表面側に所定のパターンを有する被加工物の該表面側が該チャックテーブルの該一面で保持され、且つ、該被加工物の裏面側が上方に露出した状態で、該被加工物を加工する加工ユニットと、
第1の撮像素子を有し、該チャックテーブルの上方に設けられ、該裏面側の正像を取得する第1の撮像ユニットと、
第3の撮像素子を有し、該チャックテーブルの下方に設けられ、該第1の撮像ユニットで撮像する領域と該被加工物の厚さ方向で対応する領域において該表面側の鏡像を取得する第3の撮像ユニットと、
該第1の撮像ユニットで取得された該裏面側の画像と該第3の撮像ユニットで取得された該表面側の画像との少なくともいずれかを表示する表示装置と、
を備えることを特徴とする加工装置。
【請求項3】
画像処理を実行するプログラムが記憶された記憶装置と、該プログラムに従って画像を処理するプロセッサとを有する制御部を更に備え、
該制御部は、該裏面側の正像と該表面側の鏡像との向きが一致する様に、該裏面側の正像及び該表面側の鏡像の両方を画像処理して所定方向で反転させた状態で該表示装置に表示させることを特徴とする請求項2に記載の加工装置。
【請求項4】
一面と該一面とは反対側に位置する他面とを含み、該一面から該他面まで透明材で形成されている所定の領域を有する板状の保持部材を含むチャックテーブルと、
表面側に所定のパターンを有する被加工物の該表面側が該チャックテーブルの該一面で保持され、且つ、該被加工物の裏面側が上方に露出した状態で、該被加工物を加工する加工ユニットと、
第4の撮像素子を有し、該チャックテーブルの上方に設けられ、該裏面側の鏡像を取得する第4の撮像ユニットと、
第2の撮像素子を有し、該チャックテーブルの下方に設けられ、該第4の撮像ユニットで撮像する領域と該被加工物の厚さ方向で対応する領域において該表面側の正像を取得する第2の撮像ユニットと、
該第4の撮像ユニットで取得された該裏面側の画像と該第2の撮像ユニットで取得された該表面側の画像との少なくともいずれかを表示する表示装置と、
を備えることを特徴とする加工装置。
【請求項5】
画像処理を実行するプログラムが記憶された記憶装置と、該プログラムに従って画像を処理するプロセッサとを有する制御部を更に備え、
該制御部は、該裏面側の鏡像と該表面側の正像との向きが一致する様に、該裏面側の鏡像及び該表面側の正像の両方を画像処理して所定方向で反転させた状態で該表示装置に表示させることを特徴とする請求項4に記載の加工装置。
【請求項6】
一面と該一面とは反対側に位置する他面とを含み、該一面から該他面まで透明材で形成されている所定の領域を有する板状の保持部材を含むチャックテーブルと、
表面側に所定のパターンを有する被加工物の該表面側が該チャックテーブルの該一面で保持され、且つ、該被加工物の裏面側が上方に露出した状態で、該被加工物を加工する加工ユニットと、
第4の撮像素子を有し、該チャックテーブルの上方に設けられ、該裏面側の鏡像を取得する第4の撮像ユニットと、
第3の撮像素子を有し、該チャックテーブルの下方に設けられ、該第4の撮像ユニットで撮像する領域と該被加工物の厚さ方向で対応する領域において該表面側の鏡像を取得する第3の撮像ユニットと、
該第4の撮像ユニットで取得された該裏面側の画像と該第3の撮像ユニットで取得された該表面側の画像との少なくともいずれかを表示する表示装置と、
画像処理を実行するプログラムが記憶された記憶装置と、該プログラムに従って画像を処理するプロセッサとを有し、該裏面側の鏡像と該表面側の鏡像との向きが一致する様に、該裏面側の鏡像及び該表面側の鏡像のいずれかを画像処理して所定方向で反転させた状態で該表示装置に表示させる制御部と、を備えることを特徴とする加工装置。
【請求項7】
該表示装置には、該裏面側の画像と共に、該表面側の画像が表示されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の加工装置。
【請求項8】
該加工ユニットは、
スピンドルを有し、且つ、該スピンドルの一端に切削ブレードが装着される切削ユニットである、又は、
レーザービームを発生させるレーザー発振器と、該レーザー発振器から出射された該レーザービームを集光させる集光レンズとを有するレーザー照射ユニットであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面側に所定のパターンが形成された被加工物の当該表面側を保持した状態で、被加工物の裏面側を加工する加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される半導体デバイスチップは、例えば、シリコン等の半導体材料で形成された円盤状のウェーハ(被加工物)を加工することで製造される。被加工物の表面側には複数の分割予定ラインが設定されており、複数の分割予定ラインで区画された各領域には、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等のデバイスが形成されている。
【0003】
被加工物からデバイスチップを製造するためには、例えば、被加工物の裏面側を研削することにより被加工物を所定の厚さに薄化した後、被加工物を各分割予定ラインに沿って切削することにより、被加工物をデバイス単位に分割してデバイスチップを製造する。
【0004】
被加工物を切削する切削工程では、スピンドルの一端に切削ブレードが装着された切削ユニットと、被加工物を吸引して保持するチャックテーブルとを備える切削装置が使用される。通常の切削工程では、まず、被加工物の表面側を上向きにし、被加工物の裏面側をチャックテーブルで吸引して保持する。
【0005】
裏面側を保持した後、チャックテーブルの上方に設けられている第1のカメラで被加工物の表面側を撮像することによりアライメントを行う。第1のカメラは、被写体を可視光で撮像するためのCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子を有する。
【0006】
第1のカメラで、アライメントマーク等が形成されている被加工物の表面側を撮像した結果に基づいて、被加工物の位置補正等のアライメントを行う。アライメント後に、各分割予定ラインに沿って切削ブレードで被加工物を切削する。
【0007】
しかし、近年、デバイスの多様化に伴い、被加工物の裏面側から被加工物を切削する場合がある(例えば、特許文献1参照)。この場合、被加工物の表面側は下向きに配置されてチャックテーブルで保持されるので、チャックテーブルの上方に設けられている第1のカメラで被加工物の裏面側を撮像しても、アライメントマーク等は撮像できない。
【0008】
そこで、可視光に対して透明な材料で形成されたチャックテーブルと、チャックテーブルの下方に配置された可視光用の第2のカメラとを備える切削装置が開発された(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
第2のカメラを用いれば、被加工物の表面側をチャックテーブルで保持した状態で、チャックテーブルの下方から被加工物の表面側を撮像できる。それゆえ、被加工物の裏面側を上向きにし、被加工物の表面側をチャックテーブルで保持した場合でも、表面側を観察できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2006-140341号公報
【文献】特開2010-87141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、第2のカメラで取得された表面側の画像と、第1のカメラで取得された裏面側の画像とを液晶ディスプレイ等の表示装置にそのまま表示させる場合、表面側の画像は、裏面側の画像と比較して左右又は上下で反転した状態で表示される。
【0012】
その結果、例えば、表面側の画像における左方向が、裏面側の画像における右方向に対応することになる。それゆえ、作業者にとっては、表面側と裏面側との対応関係を把握することが容易ではなく、このことが作業者の負担となる。
【0013】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、チャックテーブルの下方から被加工物を撮像した画像を表示装置に表示し、作業者が表示された当該画像を見ながら作業をする場合に、作業者の負担を低減可能な加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によれば、一面と該一面とは反対側に位置する他面とを含み、該一面から該他面まで透明材で形成されている所定の領域を有する板状の保持部材を含むチャックテーブルと、表面側に所定のパターンを有する被加工物の該表面側が該チャックテーブルの該一面で保持され、且つ、該被加工物の裏面側が上方に露出した状態で、該被加工物を加工する加工ユニットと、第1の撮像素子を有し、該チャックテーブルの上方に設けられ、該裏面側の正像を取得する第1の撮像ユニットと、第2の撮像素子を有し、該チャックテーブルの下方に設けられ、該第1の撮像ユニットで撮像する領域と該被加工物の厚さ方向で対応する領域において該表面側の正像を取得する第2の撮像ユニットと、該第1の撮像ユニットで取得された該裏面側の画像と該第2の撮像ユニットで取得された該表面側の画像との少なくともいずれかを表示する表示装置と、画像処理を実行するプログラムが記憶された記憶装置と、該プログラムに従って画像を処理するプロセッサとを有し、該裏面側の正像と該表面側の正像との向きが一致する様に、該裏面側の正像及び該表面側の正像のいずれかを画像処理して所定方向で反転させた状態で該表示装置に表示させる制御部と、を備え、該制御部は、該裏面側の画像と、該表面側の画像とを、該表示装置に共に表示させる加工装置が提供される。
【0015】
本発明の他の態様によれば、一面と該一面とは反対側に位置する他面とを含み、該一面から該他面まで透明材で形成されている所定の領域を有する板状の保持部材を含むチャックテーブルと、表面側に所定のパターンを有する被加工物の該表面側が該チャックテーブルの該一面で保持され、且つ、該被加工物の裏面側が上方に露出した状態で、該被加工物を加工する加工ユニットと、第1の撮像素子を有し、該チャックテーブルの上方に設けられ、該裏面側の正像を取得する第1の撮像ユニットと、第3の撮像素子を有し、該チャックテーブルの下方に設けられ、該第1の撮像ユニットで撮像する領域と該被加工物の厚さ方向で対応する領域において該表面側の鏡像を取得する第3の撮像ユニットと、該第1の撮像ユニットで取得された該裏面側の画像と該第3の撮像ユニットで取得された該表面側の画像との少なくともいずれかを表示する表示装置と、を備える加工装置が提供される。
【0016】
好ましくは、加工装置は、画像処理を実行するプログラムが記憶された記憶装置と、該プログラムに従って画像を処理するプロセッサとを有する制御部を更に備え、該制御部は、該裏面側の正像と該表面側の鏡像との向きが一致する様に、該裏面側の正像及び該表面側の鏡像の両方を画像処理して所定方向で反転させた状態で該表示装置に表示させる。
【0017】
本発明の他の態様によれば、一面と該一面とは反対側に位置する他面とを含み、該一面から該他面まで透明材で形成されている所定の領域を有する板状の保持部材を含むチャックテーブルと、表面側に所定のパターンを有する被加工物の該表面側が該チャックテーブルの該一面で保持され、且つ、該被加工物の裏面側が上方に露出した状態で、該被加工物を加工する加工ユニットと、第4の撮像素子を有し、該チャックテーブルの上方に設けられ、該裏面側の鏡像を取得する第4の撮像ユニットと、第2の撮像素子を有し、該チャックテーブルの下方に設けられ、該第4の撮像ユニットで撮像する領域と該被加工物の厚さ方向で対応する領域において該表面側の正像を取得する第2の撮像ユニットと、該第4の撮像ユニットで取得された該裏面側の画像と該第2の撮像ユニットで取得された該表面側の画像との少なくともいずれかを表示する表示装置と、を備える加工装置が提供される。
【0018】
好ましくは、加工装置は、画像処理を実行するプログラムが記憶された記憶装置と、該プログラムに従って画像を処理するプロセッサとを有する制御部を更に備え、該制御部は、該裏面側の鏡像と該表面側の正像との向きが一致する様に、該裏面側の鏡像及び該表面側の正像の両方を画像処理して所定方向で反転させた状態で該表示装置に表示させる。
【0019】
本発明の他の態様によれば、一面と該一面とは反対側に位置する他面とを含み、該一面から該他面まで透明材で形成されている所定の領域を有する板状の保持部材を含むチャックテーブルと、表面側に所定のパターンを有する被加工物の該表面側が該チャックテーブルの該一面で保持され、且つ、該被加工物の裏面側が上方に露出した状態で、該被加工物を加工する加工ユニットと、第4の撮像素子を有し、該チャックテーブルの上方に設けられ、該裏面側の鏡像を取得する第4の撮像ユニットと、第3の撮像素子を有し、該チャックテーブルの下方に設けられ、該第4の撮像ユニットで撮像する領域と該被加工物の厚さ方向で対応する領域において該表面側の鏡像を取得する第3の撮像ユニットと、該第4の撮像ユニットで取得された該裏面側の画像と該第3の撮像ユニットで取得された該表面側の画像との少なくともいずれかを表示する表示装置と、画像処理を実行するプログラムが記憶された記憶装置と、該プログラムに従って画像を処理するプロセッサとを有し、該裏面側の鏡像と該表面側の鏡像との向きが一致する様に、該裏面側の鏡像及び該表面側の鏡像のいずれかを画像処理して所定方向で反転させた状態で該表示装置に表示させる制御部と、を備える加工装置が提供される。
【0020】
好ましくは、該表示装置には、該裏面側の画像と共に、該表面側の画像が表示される。
【0021】
また、好ましくは、該加工ユニットは、スピンドルを有し、且つ、該スピンドルの一端に切削ブレードが装着される切削ユニットである、又は、レーザービームを発生させるレーザー発振器と、該レーザー発振器から出射された該レーザービームを集光させる集光レンズとを有するレーザー照射ユニットである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様に係る加工装置のチャックテーブルは、一面から他面まで透明材で形成されている所定の領域を有する。チャックテーブルの上方には、裏面側の正像を取得する第1の撮像ユニットが設けられている。また、チャックテーブルの下方には、第1の撮像ユニットで撮像する領域と被加工物の厚さ方向で対応する領域において表面側の正像を取得する第2の撮像ユニットが設けられている。
【0023】
加工装置は、表示装置と、制御部とを更に備える。表示装置は、第1の撮像ユニットで取得された裏面側の画像と第2の撮像ユニットで取得された表面側の画像との少なくともいずれかを表示する。
【0024】
制御部は、裏面側の正像と表面側の正像との向きが一致する様に、裏面側の正像及び表面側の正像のいずれかを画像処理して所定方向で反転させた状態で表示装置に表示させる。これにより、作業者は表面側と裏面側との対応関係を把握することが容易となるので、作業者の負担が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図4】チャックテーブル等の一部断面側面図である。
【
図7】
図7(A)は表面側の画像の一例であり、
図7(B)は所定方向で反転された表面側の画像の一例である。
【
図8】
図8(A)は表面側の画像と裏面側の画像との表示方法の一例であり、
図8(B)は表面側の画像と裏面側の画像との表示方法の他の例である。
【
図11】第1の変形例に係る下方撮像ユニット等を示す図である。
【
図12】第2の変形例に係る上方撮像ユニット等を示す図である。
【
図13】第3の変形例に係る下方撮像ユニット、上方撮像ユニット等を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る切削装置2の斜視図である。なお、
図1では、構成要素の一部を機能ブロック図で示す。また、以下の説明に用いられるX軸方向(加工送り方向)、Y軸方向(割り出し送り方向)及びZ軸方向(鉛直方向、切り込み送り方向)は、互いに垂直である。
【0027】
切削装置(加工装置)2は、各構成要素を支持する基台4を備える。基台4の前方(+Y方向)の角部には、開口4aが形成されており、この開口4a内には、カセットエレベータ(不図示)が設けられている。カセットエレベータの上面には、複数の被加工物11(
図2参照)を収容するためのカセット6が載せられる。
【0028】
被加工物11は、例えば、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウェーハである。但し、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる基板等を被加工物11として用いることもできる。
【0029】
図2に示す様に、被加工物11の表面11a側は、互いに交差する複数の分割予定ライン(ストリート)13によって複数の領域に区画されている。表面11a側の各領域には、IC(Integrated Circuit)等のデバイス15、アライメントマーク(
図7(A)のマーク98)等が形成されている。但し、デバイス15の種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。被加工物11には、デバイス15が形成されていなくてもよい。
【0030】
被加工物11の表面11a側には、被加工物11よりも大径のテープ(ダイシングテープ)17が貼り付けられている。テープ17は、可視光を透過する透明材で形成されている。テープ17は、例えば、基材層と、粘着層(糊層)との積層構造を有する。
【0031】
基材層は、例えば、ポリオレフィン(PO)等で形成されている。粘着層は、例えば、紫外線(UV)硬化型のアクリル樹脂等の粘着性樹脂で形成されている。このテープ17の粘着層側が被加工物11の表面11a側に貼り付けられる。
【0032】
テープ17の外周部分には、金属で形成された環状のフレーム19が固定される。この様に、被加工物11は、テープ17を介してフレーム19で支持された被加工物ユニット21の状態でカセット6に収容される。
図2は、被加工物ユニット21の斜視図である。
【0033】
図1に示す様に、開口4aの後方(-Y方向)には、X軸方向に長い開口4bが形成されている。開口4bには、円盤状のチャックテーブル10が配置されている。なお、チャックテーブル10の外周部には、円周方向に沿って離散的に吸引口が形成された円環状のフレーム吸引板(不図示)が設けられる。
【0034】
ここで、
図3から
図5を参照して、チャックテーブル10等について更に詳しく説明する。
図3は、チャックテーブル10等の斜視図であり、
図4は、チャックテーブル10等の一部断面側面図である。但し、
図4では、便宜上、ハッチングを省略している。
図5は、
図4の領域Aの拡大図である。
図5では、構成要素の一部を機能ブロック図で示す。
【0035】
チャックテーブル10は、円盤状(板状)の保持部材12を有する。保持部材12は、概ね平坦な一面12aと、当該一面12aとは反対側に位置する他面12b(
図5参照)とを含む。保持部材12は、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス等の可視光を透過する透明材で形成されている。
【0036】
保持部材12の内部には、複数の流路が形成されている。本実施形態の保持部材12の内部には、保持部材12をZ軸方向から見た場合に、円盤の中心軸を横切る様に直線状の第1吸引路12c1が形成されている。また、XY平面方向において第1吸引路12c1と直交する態様で、直線状の第2吸引路12c2が形成されている。
【0037】
第1吸引路12c1及び第2吸引路12c2は、円盤の中心軸に位置する交点12c3で交わっており、互いに接続している。一面12aの外周部には、円周方向において互いに離れる様に、複数の開口部12dが形成されている。各開口部12dは、他面12bには達しない一面12aから所定の深さまで形成されている。
【0038】
第1吸引路12c1の両端部と、第2吸引路12c2の両端部とには、それぞれ開口部12dが形成されている。各開口部12dは、保持部材12の外周部の所定の深さに形成されている外周吸引路12eにより円周方向で接続されている。
【0039】
開口部12dの外周側には径方向に延びる吸引路12fが形成されており、吸引路12fには、エジェクタ等の吸引源14が接続されている(
図5参照)。吸引源14を動作させて負圧を発生させると、開口部12dには負圧が発生する。それゆえ、一面12aは、被加工物ユニット21(被加工物11)を吸引して保持する保持面として機能する。
【0040】
ところで、第1吸引路12c1、第2吸引路12c2、開口部12d、外周吸引路12e、吸引路12f等の保持部材12の流路では、入射した光の一部が散乱又は反射される。それゆえ、保持部材12の流路は、一面12a又は他面12bから見た場合に、可視光に対して完全に透明ではなく、透光性を有する場合や不透明である場合がある。
【0041】
しかし、保持部材12の流路を除く所定の領域は、一面12aから他面12bまで透明である。具体的には、第1吸引路12c1及び第2吸引路12c2により4分割され、且つ、保持部材12の径方向において外周吸引路12eよりも内側に位置する領域は、一面12aから他面12bまで透明である。
【0042】
保持部材12の外周には、ステンレス等の金属材料で形成された円筒状の枠体16が設けられている。枠体16の上部には開口部16aが形成されており(
図5参照)、保持部材12は、この開口部16aを塞ぐ様に配置されている。
【0043】
枠体16は、
図3及び
図4に示す様に、X軸移動テーブル18に支持されている。X軸移動テーブル18は、Z軸方向から見た形状が長方形である底板18aを含む。底板18aの前方(+Y方向)の一端には、Y軸方向から見た形状が長方形である側板18bの下端が接続されている。
【0044】
側板18bの上端には、Z軸方向から見た形状が底板18aと同じ長方形である天板18cの前方の一端が接続されている。底板18aと天板18cとの間には、後方(-Y方向)の一端及びX軸方向の両端が開放された空間18dが形成されている。
【0045】
底板18aの下方(-Z方向)には、底板18aがスライド可能な態様で、X軸方向に概ね平行な一対のX軸ガイドレール20が設けられている。一対のX軸ガイドレール20は、静止基台(不図示)の上面に固定されている。
【0046】
X軸ガイドレール20に隣接する位置には、X軸移動テーブル18のX軸方向の位置を検出する際に使用されるX軸リニアスケール20aが設けられている。また、X軸移動テーブル18の下面側には読み取りヘッド(不図示)が設けられている。
【0047】
X軸移動テーブル18の移動時には、X軸リニアスケール20aの目盛りを読み取りヘッドで検出することにより、X軸移動テーブル18のX軸方向の位置(座標)や、X軸方向の移動量が算出される。
【0048】
X軸移動テーブル18の底板18aの下面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、X軸ガイドレール20に概ね平行なX軸ボールネジ22が回転可能な態様で連結されている。
【0049】
X軸ボールネジ22の一端部には、X軸パルスモーター24が連結されている。X軸パルスモーター24でX軸ボールネジ22を回転させれば、X軸移動テーブル18は、X軸ガイドレール20に沿ってX軸方向に移動する。X軸ガイドレール20、X軸ボールネジ22、X軸パルスモーター24等は、X軸移動テーブル18を移動させるX軸移動機構26を構成する。
【0050】
X軸移動テーブル18の天板18cの上面側には、枠体16が、Z軸方向に概ね平行な回転軸の周りに回転できる態様で、天板18cに支持されている。枠体16は、円筒状の側面であるプーリー部16bを含む。プーリー部16bは、枠体16がX軸移動テーブル18で支持された場合に、天板18cよりも上方に位置する。
【0051】
X軸移動テーブル18の側板18bには、モーター等の回転駆動源30が設けられている。回転駆動源30の回転軸には、プーリー30aが設けられている。プーリー30a及びプーリー部16bには、1つの回転無端ベルト(ベルト28)が掛けられている。
【0052】
回転駆動源30を動作させてプーリー30aを回転させると、ベルト28を介して伝達される力によって、枠体16は、Z軸方向に概ね平行な回転軸の周りに回転する。プーリー30aの回転を制御することで、回転軸の周りで任意の角度だけチャックテーブル10を回転できる。
【0053】
X軸移動機構26のX軸方向の延長線上には、Y軸移動機構32が設けられている。Y軸移動機構32は、Y軸方向に概ね平行な一対のY軸ガイドレール34を備える。一対のY軸ガイドレール34は、静止基台(不図示)の上面に固定されている。
【0054】
Y軸ガイドレール34上には、Y軸移動テーブル36がスライド可能に取り付けられている。Y軸移動テーブル36の下面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレール34に概ね平行なY軸ボールネジ38が回転可能な態様で連結されている。
【0055】
Y軸ボールネジ38の一端部には、Y軸パルスモーター40が連結されている。Y軸パルスモーター40でY軸ボールネジ38を回転させれば、Y軸移動テーブル36は、Y軸ガイドレール34に沿ってY軸方向に移動する。
【0056】
Y軸ガイドレール34に隣接する位置には、Y軸移動テーブル36のY軸方向の位置を検出する際に使用されるY軸リニアスケール(不図示)が設けられている。また、Y軸移動テーブル36の下面側には読み取りヘッド(不図示)が設けられている。
【0057】
Y軸移動テーブル36の移動時には、Y軸リニアスケールの目盛りを読み取りヘッドで検出することにより、Y軸移動テーブル36のY軸方向の位置(座標)や、Y軸方向の移動量が算出される。
【0058】
Y軸移動テーブル36の上面には、Z軸移動機構42が設けられている。
図6は、Z軸移動機構42等の拡大斜視図である。Z軸移動機構42は、Y軸移動テーブル36の上面に固定された支持構造42aを有する。
【0059】
支持構造42aのX軸移動テーブル18側の側面には、Z軸方向に概ね平行な一対のZ軸ガイドレール44が固定されている。Z軸ガイドレール44には、Z軸移動プレート46がスライド可能に取り付けられている。
【0060】
Z軸移動プレート46の側面のZ軸ガイドレール44には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸ガイドレール44に概ね平行なZ軸ボールネジ48が回転可能な態様で連結されている。
【0061】
Z軸ボールネジ48の一端部には、Z軸パルスモーター50が連結されている。Z軸パルスモーター50でZ軸ボールネジ48を回転させれば、Z軸移動プレート46は、Z軸ガイドレール44に沿ってZ軸方向に移動する。
【0062】
Z軸ガイドレール44に隣接する位置には、Z軸リニアスケール(不図示)が設けられており、Z軸移動プレート46のZ軸ガイドレール44側には、読み取りヘッド(不図示)が設けられている。Z軸移動プレート46の移動時には、Z軸リニアスケールの目盛りを読み取りヘッドで検出することにより、Z軸移動プレート46のZ軸方向の位置(座標)等が算出される。
【0063】
Z軸移動プレート46には、X軸方向に長い支持アーム52を介して下方撮像ユニット(第2の撮像ユニット)54が固定されている。本実施形態の下方撮像ユニット54は、低倍率カメラ56と、高倍率カメラ58とを含む。
【0064】
低倍率カメラ56及び高倍率カメラ58の各々は、レンズ等の所定の光学系と、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子(第2の撮像素子)とを有する。
【0065】
下方撮像ユニット54は、チャックテーブル10よりも下方に配置されており、各レンズの光軸が保持部材12の他面12bに略垂直となる態様で、他面12bに対向して設けられている。
【0066】
低倍率カメラ56の側方には、上方に位置する被写体(例えば、被加工物11)に対して可視光を照射する照明装置56aが設けられている。同様に、高倍率カメラ58の側方にも、照明装置58aが設けられている。
【0067】
下方撮像ユニット54で被加工物11を撮像する場合には、X軸移動テーブル18をY軸移動テーブル36側に移動させて、空間18dに下方撮像ユニット54を配置する。そして、保持部材12の一面12a側に配置される被加工物11を下方から撮像する。
【0068】
この様にして、表面11a側の正像(即ち、実際に見たままの画像)を取得できる。なお、下方撮像ユニット54は、必ずしも、低倍率カメラ56及び高倍率カメラ58の2つのカメラを有さなくてもよい。下方撮像ユニット54は、所定の倍率のカメラを1つだけ有してもよい。
【0069】
ここで、
図1に戻り、切削装置2の他の構成要素について説明する。X軸移動テーブル18の天板18cよりも+X方向及び-X方向には、開口4bを覆う態様で伸縮自在な蛇腹状の防塵防滴カバーが取り付けられている。
【0070】
開口4bの上方には、開口4bを跨ぐ様に門型の支持構造4cが設けられている。支持構造4cの側面のうち開口4a側に位置する一側面には、2つの加工ユニット移動機構(割り出し送りユニット、切り込み送りユニット)60が設けられている。
【0071】
各加工ユニット移動機構60は、支持構造4cの一側面に固定され且つY軸方向に概ね平行な一対のY軸ガイドレール62を共有している。Y軸ガイドレール62には、2つのY軸移動プレート64が互いに独立にスライド可能な態様で取り付けられている。
【0072】
Y軸移動プレート64の支持構造4c側に位置する一面には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレール62に概ね平行なY軸ボールネジ66が回転可能な態様で連結されている。なお、各Y軸移動プレート64のナット部は、異なるY軸ボールネジ66に連結されている。
【0073】
各Y軸ボールネジ66の一端部には、Y軸パルスモーター68が連結されている。Y軸パルスモーター68でY軸ボールネジ66を回転させれば、Y軸移動プレート64は、Y軸ガイドレール62に沿ってY軸方向に移動する。
【0074】
各Y軸移動プレート64の支持構造4cとは反対側に位置する他面には、Z軸方向に概ね平行な一対のZ軸ガイドレール72がそれぞれ設けられている。Z軸ガイドレール72には、Z軸移動プレート70がスライド可能に取り付けられている。
【0075】
Z軸移動プレート70の支持構造4c側に位置する一面には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸ガイドレール72に平行なZ軸ボールネジ74が回転可能な態様で連結されている。
【0076】
Z軸ボールネジ74の一端部には、Z軸パルスモーター76が連結されている。Z軸パルスモーター76でZ軸ボールネジ74を回転させれば、Z軸移動プレート70は、Z軸ガイドレール72に沿ってZ軸方向に移動する。
【0077】
Z軸移動プレート70の下部には、切削ユニット(加工ユニット)78が設けられている。切削ユニット78は、筒状のスピンドルハウジング80を備えている。スピンドルハウジング80内には、円柱状のスピンドル82a(
図9参照)の一部が回転可能な態様で収容されている。
【0078】
スピンドル82aの一端には、スピンドル82aを回転させるサーボモーター等の回転駆動機構(不図示)が連結されている。また、スピンドル82aの他端には、円環状の切り刃を有する切削ブレード82bが装着されている。
【0079】
Z軸移動プレート70の下部には、切削ユニット78に隣接する態様で、上方撮像ユニット(第1の撮像ユニット)84が連結されている。上方撮像ユニット84は、レンズ等の所定の光学系と、撮像素子(第1の撮像素子)とを有する。
【0080】
上方撮像ユニット84は、チャックテーブル10の上方に位置しており、レンズの光軸が保持部材12の一面12aに略垂直となる態様で、一面12aに対向して設けられている。上方撮像ユニット84は、一面12aで表面11a側が保持された被加工物11の裏面11bを撮像する。この様にして、裏面11b側の正像を取得できる。
【0081】
開口4bに対して開口4aと反対側の位置には、開口4dが設けられている。開口4d内には、切削後の被加工物11等を洗浄するための洗浄ユニット86が設けられている。洗浄ユニット86は、被加工物11を吸引保持する洗浄テーブル88と、洗浄テーブル88に対向するように噴射口が配置されたノズル90とを含む。
【0082】
基台4上には、不図示の筐体が設けられており、筐体の前方の側面には、入力部と、表示部とを兼ねるタッチパネル(表示装置)92が設けられている。タッチパネル92には、下方撮像ユニット54及び上方撮像ユニット84の少なくともいずれかで撮像された画像、加工条件、GUI(Graphical User Interface)等が表示される。
【0083】
なお、入力部と表示部とは分離されてもよい。この場合、タッチパネル92に代えて、ビデオモニター、コンピュータースクリーン等の表示装置と、ユーザーインターフェースとなるキーボード、マウス等の入力装置とが、例えば、筐体の前方の側面設けられる。
【0084】
切削装置2は、吸引源14、X軸移動機構26、回転駆動源30、Y軸移動機構32、Z軸移動機構42、下方撮像ユニット54、加工ユニット移動機構60、上方撮像ユニット84、切削ユニット78、タッチパネル92等を制御する制御部94を備える。
【0085】
制御部94は、例えば、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ等の処理装置と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成されている。
【0086】
補助記憶装置には、所定のプログラムを含むソフトウェアが記憶されている。このソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御部94の機能が実現される。なお、補助記憶装置の一部は、制御部94に所定の画像処理を実行させるプログラムを記憶した記憶装置96として機能する。
【0087】
記憶装置96には、画像を所定方向に対して反転させる画像処理を行うプログラムが記憶されている。画像処理により、表面11a側の画像は、例えばX軸方向に反転(左右反転)する。画像をX軸方向で反転させるアルゴリズムの一例を簡単に説明する。
【0088】
画像の四隅の座標が(x1,y1)、(x1,y2)、(x2,y1)、(x2,y2)である場合を考える。この場合、(x1,y1)の画素における画素値と(x2,y1)の画素における画素値とを、((x1+x2)/2,y1)に対して入れ替える。
【0089】
(x1+x2)/2を通るY軸に平行な直線に対して、同様の作業を他の座標の画素に対しても行うことで、画像をX軸方向に対して反転できる。なお、この例に限定されず、画像を所定方向で反転させる他のアルゴリズムが採用されてもよい。
【0090】
また、記憶装置96には、パターンマッチング等の画像処理を行うプログラムが記憶されている。当該プログラムは既知であり、当該プログラムを利用して、表面11a側の画像から表面11a側に形成されている所定のパターンが抽出される。
【0091】
所定のパターンは、例えば、分割予定ライン13、デバイス15、マーク98、及び、回路100(
図7(A)等参照)の輪郭である。なお、マーク98は、アライメントマーク、キーパターン、ターゲットパターン等と称される場合もある。
【0092】
図7(A)は、表面11a側の画像の一例である。下方撮像ユニット54で取得された表面11a側の正像と、上方撮像ユニット84で取得された裏面11b側の正像とをタッチパネル92にそのまま表示させる場合、
図7(A)に示す表面11a側の正像は、裏面11b側の正像と比較してX軸方向で反転している。
【0093】
その結果、例えば、表面11a側の画像における左方向が、裏面11b側の画像における右方向に対応するので、作業者にとっては、表面11a側と裏面11b側との対応関係を把握することが容易ではない。このことが、切削装置2を操作する作業者の負担となる。
【0094】
本実施形態では、裏面11b側の正像と表面11a側の正像との向きが一致する様に、制御部94が、表面11a側の正像を画像処理し、当該正像をX軸方向(所定方向)に対して反転させた状態(即ち、鏡像の状態)でタッチパネル92に表示させる。
【0095】
図7(B)は、裏面11b側の画像の向きと一致する様に、所定方向で反転された表面11a側の画像の一例である。
図7(B)は、
図7(A)の鏡像である。表面11a側の正像は、
図7(B)に示す様に鏡像の状態でタッチパネル92に表示される。
【0096】
これにより、作業者は、裏面11b(上面)から被加工物11を透かして表面11a(下面)を見ているかのように、表面11a側を見ることができる。従って、表面11a側と裏面11b側との対応関係を把握することが容易となり、作業者の負担が低減される。
【0097】
表面11a側の画像と、裏面11b側の画像とは選択的にタッチパネル92に表示されてよく、表面11a側の画像は、裏面11b側の画像と共にタッチパネル92に表示されてもよい。
【0098】
例えば、裏面11b側に形成された切削溝(カーフ)を含む領域の画像23bと、被加工物11の厚さ方向で裏面11b側の当該領域に対応する表面11a側の領域の画像23aとが、同時にタッチパネル92に表示される。
【0099】
なお、チャックテーブル10に対する上方撮像ユニット84と下方撮像ユニット54の位置との各位置は、制御部94により把握されてる。それゆえ、チャックテーブル10の一面12aで保持された被加工物11において、裏面11b側の所定の領域と、当該領域に対応する表面11a側の領域とは、特定され得る。
【0100】
図8(A)は、タッチパネル92に各々表示される表面11a側の鏡像の画像23aと裏面11b側の正像の画像23bとの表示方法の一例である。画像23a及び画像23bを共に表示させることで、画像23aと画像23bとが択一的に表示される場合に比べて、カーフチェックが行い易くなる。
【0101】
なお、画像23a及び画像23bは、必ずしも
図8(A)の様に並べて表示されなくてもよい。
図8(B)は、表面11a側の画像23aと裏面11b側の画像23bとの表示方法の他の例である。
【0102】
図8(B)に示す様に、表面11a側の画像23aの一部に、裏面11b側の画像23bを表示してもよい。勿論、画像23a及び画像23bを作業者が同時に観察できれば、他の表示方法が採用されてもよい。
【0103】
また、表面11a側の鏡像の画像を画像23aとし、表面11a側の正像の画像を画像23bとして、画像23a及び画像23bを
図8(A)の様にタッチパネル92に表示させてもよい。なお、これに代えて、表面11a側の正像の画像を画像23aとし、表面11a側の鏡像の画像を画像23bとしてもよい。
【0104】
次に、
図9、
図10等を用いて、被加工物11の加工方法について説明する。まず、裏面11b側が上方に露出する態様で被加工物ユニット21をチャックテーブル10の一面12aに載置する(載置工程(S10))。
【0105】
載置工程(S10)後、吸引源14を動作させ、テープ17を介して被加工物11の表面11a側を一面12aで保持し、フレーム19をフレーム吸引板(不図示)で保持する(保持工程(S20))。保持工程(S20)後、ティーチ工程(S30)を行う。
【0106】
ティーチ工程(S30)では、例えば、下方撮像ユニット54を用いて表面11a側の正像を撮像し、この正像を鏡像に変換した画像をタッチパネル92にリアルタイムで表示させた状態で、作業者が、表面11a側のマーク98を探索する。
【0107】
所望のマーク98が発見された後、当該マーク98を含む表面11a側の画像を下方撮像ユニット54で取得する。マーク98の形状、座標等は、パターンマッチングのテンプレートとして、例えば記憶装置96に記憶される。
【0108】
また、マーク98と分割予定ライン13の中心線との距離、及び、Y軸方向において隣接する2つの分割予定ライン13の距離(ストリートピッチ)が記憶装置96に記憶される。なお、記憶される各座標は、上述の交点12c3を原点とするXY座標である。
【0109】
ティーチ工程(S30)後、被加工物11のアライメントを行う(アライメント工程(S40))。アライメント工程(S40)でも、作業者は、下方撮像ユニット54で取得された表面11a側の正像が鏡像に変換された画像をタッチパネル92にリアルタイムで表示させた状態で、作業を行う。
【0110】
アライメント工程(S40)では、まず、X軸方向に沿う1つの分割予定ライン13における互いに離れた複数箇所で、下方撮像ユニット54(例えば、低倍率カメラ56)を用いて表面11a側の画像を取得する。
【0111】
そして、複数箇所で取得された表面11a側の画像において、パターンマッチング等の所定の処理によりテンプレートとして記憶されたマーク98と同一のパターンを検出する。検出されたマーク98と同一のパターンに基づいて、保持部材12の中心軸周りにおける分割予定ライン13のθ方向のズレを特定する。
【0112】
その後、回転駆動源30を動作させて、ベルト28を所定量だけ回転させることで、保持部材12のθ方向のズレを補正する。これにより、分割予定ライン13をX軸方向と略平行に位置付ける。なお、アライメント工程(S40)では、θ方向の補正以外の所定の処理、操作等が行われてもよい。
【0113】
アライメント工程(S40)後、被加工物11を切削(加工)する(切削工程(S50))。
図9は、切削工程(S50)を示す図である。切削工程(S50)では、まず、高速で回転している切削ブレード82bを分割予定ライン13の延長線上に位置付ける。
【0114】
このとき、切削ブレード82bの下端を、被加工物11の表面11aと裏面11bとの間に位置付ける。そして、X軸移動機構26でチャックテーブル10と切削ブレード82bとをX軸方向に沿って相対的に移動させる。
【0115】
これにより、被加工物11の厚さ方向において裏面11b側から、表面11aに達しない所定の深さまで、被加工物11は切削ブレード82bにより部分的に切削(加工)され(即ち、ハーフカットされ)、分割予定ライン13に沿って切削溝11cが形成される。
【0116】
なお、切削工程(S50)での切削は、ハーフカットに限定されない。切削工程(S50)では、裏面11bから表面11aまで切断するように被加工物11を切削(即ち、フルカット)してもよい。
【0117】
X軸方向に平行な1つの分割予定ライン13に沿って被加工物11を切削した後、切削ユニット78を割り出し送りすることにより、Y軸方向に隣接する分割予定ライン13の延長線上に切削ブレード82bを位置付ける。そして、同様に、分割予定ライン13に沿って被加工物11を切削する。
【0118】
この様にして、第1の方向に平行な全ての分割予定ライン13に沿って被加工物11を切削した後、回転駆動源30を動作させて、チャックテーブル10を90度回転させる。そして、第1の方向と直交する第2の方向をX軸方向と平行に位置付け、第2の方向に平行な全ての分割予定ライン13に沿って被加工物11を切削する。
【0119】
切削工程(S50)の後、カーフチェック工程を行う(S60)。
図10は、カーフチェック工程(S60)を示す図である。カーフチェック工程(S60)では、切削溝11cを含む裏面11b側の領域と、当該領域に対して被加工物11の厚さ方向で互いに対応する表面11a側の領域とを撮像する。
【0120】
そして、裏面11b側の正像を画像23bとして、表面11a側の鏡像を画像23aとしてタッチパネル92に表示させる。これにより、表面11a側と裏面11b側との対応関係を把握することが容易となるので、カーフチェック時の作業者の負担が低減される。
【0121】
ところで、本実施形態では、表面11a側の正像を画像処理して鏡像を作成したが、裏面11b側の正像を画像処理して鏡像を作成してもよい。この場合、表面11a側の正像が画像23aとして、裏面11b側の鏡像が23bとしてタッチパネル92に表示される。
【0122】
次に、第1の変形例について説明する。第1の変形例では、上方撮像ユニット84が裏面11b側の正像を取得し、下方撮像ユニット54(第3の撮像ユニット)が表面11a側の鏡像を取得する。
【0123】
そして、制御部94は、裏面11b側及び表面11a側の画像に対して反転処理を施すこと無く、両者をタッチパネル92に表示させる。
図11は、第1の変形例に係る下方撮像ユニット54等を示す図である。
【0124】
なお、
図11では、便宜上、側板18bを省略している。第1の変形例に係る下方撮像ユニット54では、支持アーム52の長手方向の両端の間に、レンズ、撮像素子(第3の撮像素子)等を各々有する低倍率カメラ56及び高倍率カメラ58が配置されている。
【0125】
低倍率カメラ56及び高倍率カメラ58の各々のレンズの光軸は、X軸方向に略平行に配置されている。なお、各カメラには照明装置56a、58aが設けられているが、図示を省略する。
【0126】
支持アーム52の先端部には、XZ平面でX軸に対して45度傾斜した鏡面54aを有し、表面11a側からの反射光を低倍率カメラ56及び高倍率カメラ58に導くミラーユニット54bが配置されている。
【0127】
ミラーユニット54bによって鏡に映された表面11a側を各カメラが撮像することにより、下方撮像ユニット54は、X軸方向に対して反転された表面11a側の画像(即ち、鏡像)を取得できる。そして、表面11a側の鏡像と、裏面11b側の正像とがそのままタッチパネル92に表示される。
【0128】
これにより、作業者は、裏面11bから被加工物11を透かして表面11aを見ているかのように、表面11a側を見ることができるので、表面11a側と裏面11b側との対応関係を把握することが容易となる。それゆえ、作業者の負担が低減される。
【0129】
なお、ミラーユニット54bは、低倍率カメラ56及び高倍率カメラ58の各々において、レンズと撮像素子との間に設けられてもよい。この場合、各レンズは、レンズの光軸がZ軸方向に沿う様に配置される(
図10参照)。
【0130】
ところで、第1の変形例において、制御部94を用いて画像処理を実行してもよい。例えば、制御部94は、裏面11b側の正像と表面11a側の鏡像との向きが一致する様に、裏面11b側の正像及び表面11a側の鏡像の両方を画像処理して所定方向で反転させた状態でタッチパネル92に表示させる。
【0131】
これにより、作業者は、表面11aから被加工物11を透かして裏面11bを見ているかのように、裏面11b側を見ることができるので、表面11a側と裏面11b側との対応関係を把握することが容易となる。それゆえ、作業者の負担が低減される。
【0132】
次に、第2の変形例について説明する。第2の変形例では、上方撮像ユニット84(第4の撮像ユニット)が裏面11b側の鏡像を取得し、下方撮像ユニット54(第2の撮像ユニット)が表面11a側の正像を取得する。
【0133】
そして、制御部94は、裏面11b側及び表面11a側の画像に対して反転処理を施すこと無く、両者をタッチパネル92に表示させる。
図12は、第2の変形例に係る上方撮像ユニット84等を示す図である。なお、
図12では、便宜上、側板18bを省略している。
【0134】
第2の変形例に係る上方撮像ユニット84では、支持アーム84aの長手方向の両端の間に、レンズ、撮像素子(第4の撮像素子)等を有するカメラ84bが配置されている。カメラ84bのレンズの光軸は、X軸方向に略平行に配置されている。
【0135】
支持アーム84aの先端部には、XZ平面でX軸に対して45度傾斜した鏡面84cを有し、裏面11b側からの反射光をカメラ84bに導くミラーユニット84dが配置されている。
【0136】
カメラ84bがミラーユニット84dによって鏡に映された裏面11b側を撮像することにより、上方撮像ユニット84は、X軸方向に対して反転された裏面11b側の画像(即ち、鏡像)を取得できる。
【0137】
そして、裏面11b側の鏡像と、表面11a側の正像とがそのままタッチパネル92に表示される。作業者は、表面11aから被加工物11を透かして裏面11bを見ているかのように、裏面11b側を見ることができるので、表面11a側と裏面11b側との対応関係を把握することが容易となる。それゆえ、作業者の負担が低減される。
【0138】
なお、ミラーユニット54bは、カメラ84bのレンズと撮像素子との間に設けられてもよい。この場合、レンズは、レンズの光軸がZ軸方向に沿う様に配置される(
図10参照)。
【0139】
第2の変形例においても、制御部94を用いて画像処理を実行してもよい。例えば、制御部94は、裏面11b側の鏡像と表面11a側の正像との向きが一致する様に、裏面11b側の鏡像及び表面11a側の正像の両方を画像処理して所定方向で反転させた状態でタッチパネル92に表示させる。
【0140】
これにより、作業者は、裏面11bから被加工物11を透かして表面11aを見ているかのように、表面11a側を見ることができるので、表面11a側と裏面11b側との対応関係を把握することが容易となる。それゆえ、作業者の負担が低減される。
【0141】
次に、第3の変形例について説明する。第3の変形例では、上方撮像ユニット84(第4の撮像ユニット)が裏面11b側の鏡像を取得し、下方撮像ユニット54(第3の撮像ユニット)も表面11a側の鏡像を取得する。
【0142】
そして、制御部94は、裏面11b側及び表面11a側の画像のいずれかに対して反転処理を施した上で、両者をタッチパネル92に表示させる。
図13は、第3の変形例に係る下方撮像ユニット54、上方撮像ユニット84等を示す図である。なお、
図13では、便宜上、側板18bを省略している。
【0143】
第3の変形例に係る下方撮像ユニット54は、第1の変形例と同じであり、第3の変形例に係る上方撮像ユニット84は、第2の変形例と同じである。裏面11b側の鏡像及び表面11a側の鏡像のいずれかは、画像処理されて所定方向で反転された状態でタッチパネル92に表示される。
【0144】
例えば、下方撮像ユニット54で取得された表面11a側の鏡像と、上方撮像ユニット84で取得された裏面11b側の鏡像を画像処理によりX軸方向で反転させた裏面11b側の正像とがタッチパネル92に表示される。
【0145】
また、例えば、下方撮像ユニット54で取得された表面11a側の鏡像を画像処理によりX軸方向で反転させた表面11a側の正像と、上方撮像ユニット84で取得された裏面11b側の鏡像とがタッチパネル92に表示される。
【0146】
つまり、裏面11b側の画像と表面11a側の画像とは、向きが一致する様にタッチパネル92に表示される。これにより、作業者は、表面11a側と裏面11b側との対応関係を把握することが容易となる。それゆえ、作業者の負担が低減される。
【0147】
なお、第1及び第2の変形例と同様に、ミラーユニット54b、84dは、レンズと撮像素子との間に設けられてもよい。この場合、各レンズは、レンズの光軸がZ軸方向に沿う様に配置される(
図10参照)。
【0148】
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、切削装置2に代えてレーザー加工装置(加工装置)104を用いて、被加工物11を加工する。但し、上述の載置工程(S10)からアライメント工程(S40)は、第1の実施形態と同様に行われる。
【0149】
図14は、第2の実施形態に係るレーザー加工装置104の斜視図である。なお、第1の実施形態に係る切削装置2と同じ構成要素には同じ符号を付す。以下では、切削装置2との差異を主として説明する。
【0150】
レーザー加工装置104では、静止基台106に下方撮像ユニット54が固定されている。なお、下方撮像ユニット54は、X軸方向又はY軸方向に移動可能な態様で設けられてもよい。
【0151】
静止基台106上には、X軸移動テーブル18が配置されている。X軸移動テーブル18は、X軸移動テーブル18の側板18bとは反対側に位置する領域から下方撮像ユニット54が空間18d内に進入できるように、配置されている。
【0152】
X軸移動テーブル18は、1対のX軸ガイドレール20上にスライド可能な態様で設けられている。1対のX軸ガイドレール20は、Y軸移動テーブル108上に固定されている。
【0153】
X軸移動テーブル18の底板18aの下面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、X軸ガイドレール20に概ね平行なX軸ボールネジ22が回転可能な態様で連結されている。
【0154】
X軸ボールネジ22の一端部には、X軸パルスモーター24が連結されている。X軸パルスモーター24でX軸ボールネジ22を回転させれば、X軸移動テーブル18は、X軸ガイドレール20に沿ってX軸方向に移動する。
【0155】
X軸移動テーブル18を支持するY軸移動テーブル108は、静止基台106の上面に固定された一対のY軸ガイドレール110上に、スライド可能に取り付けられている。Y軸ガイドレール110に隣接する位置には、Y軸移動テーブル108のY軸方向の位置を検出する際に使用されるY軸スケール110aが設けられている。
【0156】
Y軸移動テーブル108の下面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレール110に概ね平行なY軸ボールネジ112が回転可能な態様で連結されている。Y軸ボールネジ112の一端部には、Y軸パルスモーター114が連結されている。
【0157】
Y軸パルスモーター114でY軸ボールネジ112を回転させれば、Y軸移動テーブル108は、Y軸ガイドレール110に沿ってY軸方向に移動する。Y軸ガイドレール110、Y軸ボールネジ112、Y軸パルスモーター114等は、Y軸移動テーブル108を移動させるY軸移動機構116を構成する。
【0158】
下方撮像ユニット54に隣接する位置には、静止基台106の上面から上方に突出する態様でコラム118が設けられている。コラム118には、X軸方向に略平行な長手部を有するケーシング120が設けられている。
【0159】
ケーシング120には、レーザー照射ユニット122の少なくとも一部が設けられている。レーザー照射ユニット122は、被加工物11に吸収される波長、又は、被加工物11を透過する波長を有するパルス状のレーザービームを発生させるレーザー発振器122a等を有する。
【0160】
レーザー照射ユニット122のX軸方向の先端部には、集光レンズ124aを含む照射ヘッド124が設けられている。レーザー発振器122aから出射されたレーザービームは、集光レンズ124aにより集光され、照射ヘッド124から下方に照射される。
【0161】
図14では、照射ヘッド124から下方に照射されるレーザービームLを破線矢印で示す。なお、ケーシング120の先端部において、照射ヘッド124に隣接する位置には、上述の上方撮像ユニット84が設けられている。
【0162】
第2の実施形態の制御部94は、第1の実施形態と同様に、表面11a側の正像がX軸方向に対して反転された鏡像と、裏面11b側の正像とをタッチパネル92に表示させる。これにより、表面11a側と裏面11b側との対応関係を把握することが容易となるので、作業者の負担が低減される。
【0163】
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。例えば、レーザー加工装置104においても第1から第3の変形例を適用できる。
【0164】
ところで、上述の実施形態及び変形例では、表面11a側の画像をX軸方向で反転させる場合を説明したが、XZ平面でX軸に対して45度傾斜した鏡面加工装置の構成次第では、Y軸方向(所定方向)で反転させてもよい。なお、ミラーユニット54b、84dは、鏡面54a、84cに代えて、カメラとは別途に設けられ鏡像を生成可能なレンズ等の他の代替物を有してもよい。
【符号の説明】
【0165】
2:切削装置
4:基台
4a,4b,4d:開口
4c:支持構造
6:カセット
10:チャックテーブル
11:被加工物
11a:表面
11b:裏面
11c:切削溝
12:保持部材
12a:一面
12b:他面
12c1:第1吸引路
12c2:第2吸引路
12c3:交点
12d:開口部
12e:外周吸引路
12f:吸引路
13:分割予定ライン
14:吸引源
15:デバイス
16:枠体
16a:開口部
16b:プーリー部
17:テープ
18:X軸移動テーブル
18a:底板
18b:側板
18c:天板
18d:空間
19:フレーム
20:X軸ガイドレール
20a:X軸リニアスケール
21:被加工物ユニット
22:X軸ボールネジ
23a,23b:画像
24:X軸パルスモーター
26:X軸移動機構
28:ベルト
30:回転駆動源
30a:プーリー
32:Y軸移動機構
34:Y軸ガイドレール
36:Y軸移動テーブル
38:Y軸ボールネジ
40:Y軸パルスモーター
42:Z軸移動機構
42a:支持構造
44:Z軸ガイドレール
46:Z軸移動プレート
48:Z軸ボールネジ
50:Z軸パルスモーター
52:支持アーム
54:下方撮像ユニット
54a:鏡面
54b:ミラーユニット
56:低倍率カメラ
56a:照明装置
58:高倍率カメラ
58a:照明装置
60:加工ユニット移動機構
62:Y軸ガイドレール
64:Y軸移動プレート
66:Y軸ボールネジ
68:Y軸パルスモーター
70:Z軸移動プレート
72:Z軸ガイドレール
74:Z軸ボールネジ
76:Z軸パルスモーター
78:切削ユニット
80:スピンドルハウジング
82a:スピンドル
82b:切削ブレード
84:上方撮像ユニット
84a:支持アーム
84b:カメラ
84c:鏡面
84d:ミラーユニット
86:洗浄ユニット
88:洗浄テーブル
90:ノズル
92:タッチパネル
94:制御部
96:記憶装置
98:マーク
100:回路
104:レーザー加工装置
106:静止基台
108:Y軸移動テーブル
110:Y軸ガイドレール
110a:Y軸スケール
112:Y軸ボールネジ
114:Y軸パルスモーター
116:Y軸移動機構
118:コラム
120:ケーシング
122:レーザー照射ユニット
122a:レーザー発振器
124:照射ヘッド
124a:集光レンズ
A:領域
L:レーザービーム