(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】エッジ位置検出装置及びエッジ位置検出方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20240205BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
G01B11/00 C
H01L21/304 621E
(21)【出願番号】P 2020098382
(22)【出願日】2020-06-05
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【氏名又は名称】岡野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】小松 淳
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-033189(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0149940(US,A1)
【文献】特開2014-025859(JP,A)
【文献】特開2013-258423(JP,A)
【文献】特開2015-222796(JP,A)
【文献】特開2018-132389(JP,A)
【文献】特表2014-532185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
G01B 11/00-11/30
H01L 21/304、21/463
21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状の被加工物のエッジの位置を検出するエッジ位置検出装置であって、
該被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、
該チャックテーブル上に配置された光源を含み、該光源から該保持面へ進む進行方向に対して直交する線状に整形された線状のレーザービームを、該被加工物のエッジを横切る様に照射する照射ユニットと、該線状のレーザービームの照射領域の長手方向に沿って所定の間隔で配列され、該線状のレーザービームの反射光をそれぞれ受光する複数の光電変換素子を含む受光ユニットと、を有するレーザー変位計と、
該レーザー変位計と該チャックテーブルとを、該照射領域の該長手方向に沿って相対的に移動させる移動機構と、
プロセッサを有し、該受光ユニットで取得した受光量の変化の情報に基づいて、該被加工物のエッジの位置を算出する算出ユニットと、を備え
、
該チャックテーブルは、所定の回転軸の周りに回転可能であり、
該照射領域の該長手方向を該所定の回転軸に直交する所定の方向に沿って配置し、該保持面で保持された該被加工物に該線状のレーザービームを照射した状態で、該移動機構により該レーザー変位計と該チャックテーブルとを該長手方向に沿って相対移動速度Vで移動させ、該相対移動速度Vでの該レーザー変位計の移動時間Tの前後において、隣接する第1の光電変換素子と第2の光電変換素子のうち該第1の光電変換素子の受光量が変化せず、該第2の光電変換素子の受光量が変化した場合に、該算出ユニットは、該第2の光電変換素子の該移動時間Tだけ前の元の位置から、隣接する該第1の光電変換素子の位置へ、V・Tだけ離れた位置を算出することにより、該被加工物のエッジの位置を算出することを特徴とするエッジ位置検出装置。
【請求項2】
円盤状の被加工物のエッジの位置を検出するエッジ位置検出方法であって、
チャックテーブルの保持面で該被加工物の一面側を保持する保持段階と、
進行方向に対して直交する線状に整形された線状のレーザービームを、該一面とは反対側に位置する該被加工物の他面側へ、該被加工物のエッジを横切る様に照射して、該線状のレーザービームの照射領域の長手方向に沿って所定の間隔で配列され該線状のレーザービームの反射光をそれぞれ受光する複数の光電変換素子のうち第1の光電変換素子と該第1の光電変換素子に隣接する第2の光電変換素子とで反射光を検出する第1の検出段階と、
該被加工物のエッジを横切る様に該他面側へ該線状のレーザービームを照射した状態で、該線状のレーザービームと該チャックテーブルとを、該他面側に照射された該照射領域の該長手方向に沿って相対的に移動させることにより、該第2の光電変換素子において反射光の受光量が変化したことを検出する第2の検出段階と、
該第1の検出段階での検出タイミングから該第2の検出段階での検出タイミングまでの第1時間T
1と、該線状のレーザービーム及び該チャックテーブルの該長手方向の相対移動速度Vとの積から算出される距離V・T
1と、に基づいて、該第1の検出段階での該第2の光電変換素子の位置から該第1の光電変換素子の位置へ、V・T
1だけ離れた位置を算出することにより、該被加工物のエッジの位置を算出するエッジ位置算出段階と、を備えることを特徴とするエッジ位置検出方法。
【請求項3】
該チャックテーブルは、所定の回転軸の周りに回転可能であり、
該照射領域の該長手方向は、該所定の回転軸に直交する所定の方向に沿って配置されており、
該エッジ位置算出段階は、
該保持段階の後、該所定の回転軸の周りにおいて所定の回転速度V
R(度/秒)で該チャックテーブルの回転を開始する回転開始段階と、
該所定の間隔で直線上に配置された該第1の光電変換素子、該第2の光電変換素子、第3の光電変換素子及び第4の光電変換素子のうち、該第3の光電変換素子において反射光の受光量が変化したことを検出する第3の検出段階と、
該第4の光電変換素子において反射光の受光量が変化したことを検出する第4の検出段階と、を更に備え、
該エッジ位置算出段階は、
該第1の検出段階での該第2の光電変換素子の位置から該第1の光電変換素子の位置へ、V・T
1だけ離れた位置を算出することにより、該チャックテーブルがV
R・T
1だけ回転したときの該被加工物のエッジの第1の位置を算出する第1算出段階と、
該第2の検出段階での検出タイミングから該第3の検出段階での検出タイミングまでの第2時間T
2と、に基づいて、該第2の検出段階での該第3の光電変換素子の位置から該第2の光電変換素子の位置へ、V・T
2だけ離れた位置を算出することにより、該チャックテーブルがV
R・(T
1+T
2)だけ回転したときの該被加工物のエッジの第2の位置を算出する第2算出段階と、
該第3の検出段階での検出タイミングから該第4の検出段階での検出タイミングまでの第3時間T
3と、に基づいて、該第3の検出段階での該第4の光電変換素子の位置から該第3の光電変換素子の位置へ、V・T
3だけ離れた位置を算出することにより、該チャックテーブルがV
R・(T
1+T
2+T
3)だけ回転したときの該被加工物のエッジの第3の位置を算出する第3算出段階とを含むことを特徴とする請求項
2記載のエッジ位置検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円盤状の被加工物における外周部のエッジの位置を検出するエッジ位置検出装置及びエッジ位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハなどの板状の被加工物には、表面側及び裏面側の外周部分が面取りされているものがある。外周部分が面取りされた被加工物の裏面側を研削して、例えば、当初の厚さの半分程度の厚さまで薄化すると、被加工物の外周部には所謂ナイフエッジ(シャープエッジとも言う)が形成される。
【0003】
外周部にナイフエッジが形成されると、被加工物に割れ、欠け、破損等が生じやすくなる。そこで、割れ等を防ぐために、被加工物の表面側の外周部を切削等により除去した後(即ち、トリミングした後)、裏面側を研削して薄化する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
表面側の外周部をトリミングする際には、まず、被加工物の裏面側をチャックテーブルで保持した状態で、表面側の外周部のエッジの位置を検出する。そして、このエッジの位置を基準として切削を施す表面側の範囲を特定する。
【0005】
エッジの位置を検出するために、例えば、ラインセンサが使用される。ラインセンサは、線状のレーザービームを照射するレーザー照射ユニットと、線状のレーザービームの表面側からの反射光を受光する受光ユニットと、を備える。
【0006】
受光ユニットは、線状のレーザービームの長手方向に沿って所定の間隔で複数の光電変換素子が配置されたラインセンサを有しており、被加工物のエッジを横切る様に照射された線状のレーザービームの反射光を受光する。しかし、隣接する2つの光電変換素子の間の位置では反射光を受光できないので、エッジの位置の検出精度は、各光電変換素子が配置される間隔に依存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、受光ユニットが所定の間隔で配置された複数の光電変換素子を有する場合に、エッジの位置の検出精度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、円盤状の被加工物のエッジの位置を検出するエッジ位置検出装置であって、該被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブル上に配置された光源を含み、該光源から該保持面へ進む進行方向に対して直交する線状に整形された線状のレーザービームを、該被加工物のエッジを横切る様に照射する照射ユニットと、該線状のレーザービームの照射領域の長手方向に沿って所定の間隔で配列され、該線状のレーザービームの反射光をそれぞれ受光する複数の光電変換素子を含む受光ユニットと、を有するレーザー変位計と、該レーザー変位計と該チャックテーブルとを、該照射領域の該長手方向に沿って相対的に移動させる移動機構と、プロセッサを有し、該受光ユニットで取得した受光量の変化の情報に基づいて、該被加工物のエッジの位置を算出する算出ユニットと、を備え、該チャックテーブルは、所定の回転軸の周りに回転可能であり、該照射領域の該長手方向を該所定の回転軸に直交する所定の方向に沿って配置し、該保持面で保持された該被加工物に該線状のレーザービームを照射した状態で、該移動機構により該レーザー変位計と該チャックテーブルとを該長手方向に沿って相対移動速度Vで移動させ、該相対移動速度Vでの該レーザー変位計の移動時間Tの前後において、隣接する第1の光電変換素子と第2の光電変換素子のうち該第1の光電変換素子の受光量が変化せず、該第2の光電変換素子の受光量が変化した場合に、該算出ユニットは、該第2の光電変換素子の該移動時間Tだけ前の元の位置から、隣接する該第1の光電変換素子の位置へ、V・Tだけ離れた位置を算出することにより、該被加工物のエッジの位置を算出するエッジ位置検出装置が提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、円盤状の被加工物のエッジの位置を検出するエッジ位置検出方法であって、チャックテーブルの保持面で該被加工物の一面側を保持する保持段階と、進行方向に対して直交する線状に整形された線状のレーザービームを、該一面とは反対側に位置する該被加工物の他面側へ、該被加工物のエッジを横切る様に照射して、該線状のレーザービームの照射領域の長手方向に沿って所定の間隔で配列され該線状のレーザービームの反射光をそれぞれ受光する複数の光電変換素子のうち第1の光電変換素子と該第1の光電変換素子に隣接する第2の光電変換素子とで反射光を検出する第1の検出段階と、該被加工物のエッジを横切る様に該他面側へ該線状のレーザービームを照射した状態で、該線状のレーザービームと該チャックテーブルとを、該他面側に照射された該照射領域の該長手方向に沿って相対的に移動させることにより、該第2の光電変換素子において反射光の受光量が変化したことを検出する第2の検出段階と、該第1の検出段階での検出タイミングから該第2の検出段階での検出タイミングまでの第1時間T1と、該線状のレーザービーム及び該チャックテーブルの該長手方向の相対移動速度Vとの積から算出される距離V・T1と、に基づいて、該第1の検出段階での該第2の光電変換素子の位置から該第1の光電変換素子の位置へ、V・T1だけ離れた位置を算出することにより、該被加工物のエッジの位置を算出するエッジ位置算出段階と、を備えるエッジ位置検出方法が提供される。
【0012】
好ましくは、該チャックテーブルは、所定の回転軸の周りに回転可能であり、該照射領域の該長手方向は、該所定の回転軸に直交する所定の方向に沿って配置されており、該エッジ位置算出段階は、該保持段階の後、該所定の回転軸の周りにおいて所定の回転速度VR(度/秒)で該チャックテーブルの回転を開始する回転開始段階と、該所定の間隔で直線上に配置された該第1の光電変換素子、該第2の光電変換素子、第3の光電変換素子及び第4の光電変換素子のうち、該第3の光電変換素子において反射光の受光量が変化したことを検出する第3の検出段階と、該第4の光電変換素子において反射光の受光量が変化したことを検出する第4の検出段階と、を更に備え、該エッジ位置算出段階は、該第1の検出段階での該第2の光電変換素子の位置から該第1の光電変換素子の位置へ、V・T1だけ離れた位置を算出することにより、該チャックテーブルがVR・T1だけ回転したときの該被加工物のエッジの第1の位置を算出する第1算出段階と、該第2の検出段階での検出タイミングから該第3の検出段階での検出タイミングまでの第2時間T2と、に基づいて、該第2の検出段階での該第3の光電変換素子の位置から該第2の光電変換素子の位置へ、V・T2だけ離れた位置を算出することにより、該チャックテーブルがVR・(T1+T2)だけ回転したときの該被加工物のエッジの第2の位置を算出する第2算出段階と、該第3の検出段階での検出タイミングから該第4の検出段階での検出タイミングまでの第3時間T3と、に基づいて、該第3の検出段階での該第4の光電変換素子の位置から該第3の光電変換素子の位置へ、V・T3だけ離れた位置を算出することにより、該チャックテーブルがVR・(T1+T2+T3)だけ回転したときの該被加工物のエッジの第3の位置を算出する第3算出段階とを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様に係るエッジ位置検出装置は、チャックテーブルと、レーザー変位計とを備える。レーザー変位計は、進行方向に対して直交する線状に整形された線状のレーザービームを、被加工物のエッジを横切る様に照射する照射ユニットと、線状のレーザービームの照射領域の長手方向に沿って所定の間隔で配列され、線状のレーザービームの反射光をそれぞれ受光する複数の光電変換素子を含む受光ユニットと、を有する。
【0014】
エッジ位置検出装置は、レーザー変位計とチャックテーブルとを線状のレーザービームの照射領域の長手方向に沿って相対的に移動させる移動機構と、受光ユニットで取得した受光量の変化の情報に基づいて被加工物のエッジの位置を算出する算出ユニットと、を更に備える。
【0015】
移動機構でレーザービームを移動させながら上述の受光ユニットを用いてエッジの位置を特定することにより、隣接する光電変換素子の間に対応する位置においても、被加工物のエッジの位置を検出できる。つまり、ラインセンサを静止させてエッジの位置を検出する場合に比べて、被加工物のエッジの検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1(A)はエッジ位置検出装置の一部断面側面図であり、
図1(B)はエッジ位置検出装置の斜視図である。
【
図2】
図2(A)はレーザー変位計の構造の概略を説明する図であり、
図2(B)はレーザー変位計の底面図である。
【
図3】
図3(A)は時刻t
1でのレーザービームを示す図であり、
図3(B)は時刻t
1での各光電変換素子の出力電圧を示す図である。
【
図4】
図4(A)は時刻t
2でのレーザービームを示す図であり、
図4(B)は時刻t
2での各光電変換素子の出力電圧を示す図である。
【
図5】第1及び第2の光電変換素子の出力電圧の時間変化を示す図である。
【
図6】第1の実施形態に係るエッジ位置検出方法のフロー図である。
【
図7】
図7(A)は第1変形例を示す図であり、
図7(B)は第2変形例を示す図であり、
図7(C)は第3変形例を示す図である。
【
図8】
図8(A)は第1及び第2の光電変換素子の間に位置するエッジの第1の位置を示す図であり、
図8(B)は第2及び第3の光電変換素子の間に位置するエッジの第2の位置を示す図であり、
図8(C)は第3及び第4の光電変換素子の間に位置するエッジの第3の位置を示す図である。
【
図9】中心の座標を特定する方法を説明する図である。
【
図10】第3の実施形態に係るエッジ位置検出方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。
図1(A)は、エッジ位置検出装置2の一部断面側面図であり、
図1(B)は、エッジ位置検出装置2の斜視図である。
【0018】
なお、
図1(A)では、エッジ位置検出装置2の一部を機能ブロックで示しており、
図1(B)では、エッジ位置検出装置2の一部の要素を省略している。まず、検出対象となる被加工物11について説明する。
【0019】
本実施形態の被加工物11は、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウェーハであるが、被加工物11の材質、構造、大きさ等に、特に制限はない。被加工物11の表面(他面)11a側には、複数の分割予定ライン(不図示)が格子状に設定されており、複数の分割予定ラインで区画される各領域には、IC(Integrated Circuit)等のデバイス(不図示)が形成されている。
【0020】
表面11aと、表面11aとは反対側に位置する裏面(一面)11bと、の各外周部は、面取りされ、所謂ベベルが形成されている。表面11aと裏面11bとの中間に位置する外周部11cには、被加工物11の直径を規定するエッジ11dが存在する。
【0021】
エッジ11dは上面視で円形である。
図1(A)及び
図1(B)では、この円形の中心11eを表面11a上に示す。被加工物11は、その裏面11b側が円盤状のチャックテーブル4で保持される。チャックテーブル4は、金属で形成された円盤状の枠体6を有する。
【0022】
枠体6の上部には、円盤状の凹部6aが形成されている。この凹部6aの底部には、吸引路(不図示)が形成されている。吸引路の一端は、凹部6aの底面に露出しており、吸引路の他端は、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。
【0023】
凹部6aには、上面及び下面が略平坦な円盤状のポーラス板8が固定されている。吸引源を動作させると、ポーラス板8の上面には負圧が生じる。ポーラス板8の上面と、ポーラス板8の外周部に位置する枠体6の上面とは、被加工物11を吸引して保持する保持面8aとして機能する。
【0024】
チャックテーブル4の底部には、モーター等の回転駆動源(不図示)が連結されている。回転駆動源の出力軸10は、枠体6の底面の中央部に固定されている。出力軸10を回転させれば、エッジ位置検出装置2のZ軸方向(鉛直方向、高さ方向)に概ね平行な回転軸(所定の回転軸)10aの周りで、チャックテーブル4は回転する。
【0025】
このチャックテーブル4の上方には、レーザー変位計12が配置されている。レーザー変位計12は、保持面8aに照射された場合の照射領域12a(
図1(B)参照)の長手方向が、回転軸10aに直交する所定の方向Aに沿う様に、線状のレーザービームLAを保持面8aへ照射可能である。
【0026】
図2(A)は、レーザー変位計12の構造の概略を説明する図であり、
図2(B)は、レーザー変位計12の底面図である。レーザー変位計12は、半導体レーザー(レーザーダイオード)を含む光源14aを有する。
【0027】
光源14aから出射されたレーザービームは、パウエルレンズ(Powell lens)、ラインマンレンズ(Lineman lens)、シリンドリカルレンズ等のレーザーラインジェネレーター(以下では、単に、レンズ14b)に入射する。
【0028】
レンズ14bは、レンズ14bに入射するレーザービームを、このレーザービームの進行方向(光源14aから保持面8aへ進む方向)に対して直交する第1方向16に沿って所定の長さを有し、且つ、第1方向16に沿って略均一な出力を有する線状のレーザービームLAに整形する。
【0029】
つまり、第1方向16は、線状のレーザービームLAを保持面8aへ照射した場合の照射領域12aの長手方向に対応する。光源14a及びレンズ14bは、筐体14cに収容されており、光源14a、レンズ14b、筐体14c等は、レーザー照射ユニット14を構成する。
【0030】
筐体14cの底部には、長手部が第1方向16に沿う様に配置された矩形の開口14dが形成されている。開口14dから出射したレーザービームLAは、測定対象から反射(正反射)され、レーザー照射ユニット14に隣接する受光ユニット18へ入射する。
【0031】
受光ユニット18は、筐体14cに隣接して固定された筐体18aを有する。筐体18aには、集光レンズ18bが固定されている。集光レンズ18bは、一枚のレンズであってよく、エルノスター型のレンズの様に複数のレンズで構成されてもよい。集光レンズ18bで集光された光は、ラインセンサ18cに入射する。
【0032】
ラインセンサ18cは、レーザービームLAの照射領域12aの長手方向に沿ってそれぞれ所定の間隔18e(
図3(B)等参照)で配置された複数の光電変換素子18dを有する。本実施形態において、所定の間隔18eは10μmである。
【0033】
各光電変換素子18dは、フォトトランジスタ等のフォトセンサである。各光電変換素子18dは、所定のサンプリング周期(例えば、0.1s)毎に、測定対象から受光した反射光を光電変換し、受光量に応じた電圧信号を出力する(なお、本明細書では、秒をsと記載する場合がある。)。
【0034】
電圧信号(即ち、アナログ信号)は、アナログ-デジタルコンバータ(ADC:Analog-to-Digital Converter)等を有する所定の処理回路(不図示)でデジタル信号へ変換され、制御ユニット30(後述)で処理される。
【0035】
ここで、
図1(A)及び
図1(B)を参照し、エッジ位置検出装置2におけるレーザー変位計12の配置、動き等を説明する。レーザー変位計12は、表面11a側に照射された線状のレーザービームLAの照射領域12aにおける長手方向が、所定の方向Aと平行になる様に配置される。
【0036】
レーザー変位計12は、チャックテーブル4に対してレーザー変位計12を所定の方向Aに沿って相対的に移動させる移動機構20に連結されている。移動機構20は、エッジ位置検出装置2の基台(不図示)に対して固定された板状のベース部22を有する。
【0037】
ベース部22の一面には、所定の方向Aに平行な一対のガイドレール24が設けられている。なお、
図1(A)では、1つのガイドレール24を示す。一対のガイドレール24には、レーザー変位計12の筐体(即ち、筐体14c及び18a)の上部がスライド可能な態様で取り付けられている。
【0038】
レーザー変位計12の筐体の側面には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、ガイドレール24に略平行なボールネジ26が回転可能な態様で連結されている。ボールネジ26の一端部には軸受けが連結されており、ボールネジ26の他端部にはパルスモータ28が連結されている。
【0039】
パルスモータ28でボールネジ26を回転させれば、レーザー変位計12は、ガイドレール24に沿って移動する。例えば、レーザー変位計12は、チャックテーブル4に対して10μm/sの相対移動速度で移動する。
【0040】
レーザー変位計12及びパルスモータ28には、制御ユニット30が接続されている。制御ユニット30は、チャックテーブル4の吸引源及び回転駆動源、レーザー変位計12、パルスモータ28等の動作を制御する。
【0041】
制御ユニット30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ(処理装置)と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成されている。
【0042】
補助記憶装置には、所定のプログラムを含むソフトウェアが記憶されている。このソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御ユニット30の機能が実現される。補助記憶装置には、所定のプログラムが記憶されている。
【0043】
当該プログラムを処理装置で実行することにより、制御ユニット30の一部は、算出ユニット32として機能する。算出ユニット32は、各光電変換素子18dの初期位置、レーザー変位計12の移動速度及び移動時間、上述のデジタル信号等を利用して、被加工物11のエッジ11dの位置(XY座標)を算出する。
【0044】
なお、各光電変換素子18dの初期位置は、例えば、回転軸10aを原点(X0,Y0)として、算出ユニット32により予め把握される。また、レーザー変位計12の移動方向は、本実施形態では、所定の方向Aに一致する。
【0045】
ここで、エッジ位置検出装置2を用いてエッジ11dの位置を算出する概要を説明する。
図3(A)は、時刻t
1でのレーザービームLAを示す図である。レーザービームLAは、エッジ11dを横切る様に、所定の方向Aに沿って、保持面8aで保持された被加工物11の外周部11cに照射される。
【0046】
表面11aからの反射光の光量は、保持面8aからの反射光の光量よりも大きい。それゆえ、
図3(B)に示す様に、表面11aからの反射光を受光した光電変換素子18dの出力電圧はハイレベル(H)となり、保持面8aからの反射光を受光した光電変換素子18dの出力電圧はローレベル(L)となる。
【0047】
図3(B)は、時刻t
1での各光電変換素子18dの出力電圧を示す図である。
図3(B)において、第1の光電変換素子18d
1は表面11a上にあり、第1の光電変換素子18d
1に隣接する第2の光電変換素子18d
2は、枠体6の外周部の上面上にある。
【0048】
図3(B)において、エッジ11dは、2つの光電変換素子18d
1及び18d
2の間に位置すると言えるが、所定の間隔18eよりも高い精度でエッジ11dの位置を特定できない。つまり、
図3(B)の状況では、所定の間隔18eのどこにエッジ11dがあるのか特定できない。
【0049】
そこで、本実施形態では、レーザービームLAを照射した状態のまま、移動機構20により、チャックテーブル4に対してレーザー変位計12をレーザービームLAの長手方向に沿って相対移動速度Vで移動させる。
【0050】
図4(A)は、時刻t
1から時間が経過した(即ち、移動時間T後の)時刻t
2でのレーザービームLAを示す図である。
図4(A)では、レーザービームLA及びレーザー変位計12について、時刻t
2の場合を実線で示し、時刻t
1の場合を二点鎖線で示す。なお、移動時間Tは、サンプリング周期よりも大きいものとする。
【0051】
レーザー変位計12の移動と共に、受光ユニット18も所定の方向Aに沿って移動する。時刻t2で、第1の光電変換素子18d1の出力電圧が変化せず、第2の光電変換素子18d2の出力電圧が変化したとき、第2の光電変換素子18d2の位置がエッジ11dの位置に対応することになる。
【0052】
図4(B)は、時刻t
2での各光電変換素子18dの出力電圧を示す図である。なお、
図4(B)では、時刻t
2での各光電変換素子18dを実線で示し、時刻t
1での各光電変換素子18dを二点鎖線で示す。
【0053】
算出ユニット32は、時刻t1での第2の光電変換素子18d2の位置(即ち、時刻t2よりも移動時間Tだけ前の元の位置)から、第1の光電変換素子18d1の位置へ、V・Tだけ離れた位置Pの座標を算出する。これにより、時刻t2におけるエッジ11dの座標(即ち、位置)を算出する。
【0054】
図5は、
図4(B)にそれぞれ示す第1の光電変換素子18d
1及び第2の光電変換素子18d
2の出力電圧の時間変化を、より簡略化して示す図である。丸で囲んだ数字の1は第1の光電変換素子18d
1を意味し、丸で囲んだ数字の2は第2の光電変換素子18d
2を意味する。
【0055】
また、
図5において、数字の右に示すLは出力電圧がローレベルであることを意味し、同様に、Hは出力電圧がハイレベルであることを意味する。更に、破線の矢印は時刻t
1での反射光を、実線の矢印は時刻t
2での反射光をそれぞれ意味する。白抜きの矢印は、レーザー変位計12の移動方向を意味する。
【0056】
本実施形態では、レーザー変位計12を移動させることにより、隣接する2つの光電変換素子18dの間に対応する位置においても、被加工物11のエッジ11dの位置を検出できる。つまり、ラインセンサ18cを静止させてエッジ11dの位置を検出する場合に比べて、エッジ11dの検出精度を高めることができる。
【0057】
次に、エッジ位置検出装置2を用いて被加工物11のエッジ11dの位置を検出する、エッジ位置検出方法について説明する。
図6は、第1の実施形態に係るエッジ位置検出方法のフロー図である。
【0058】
まず、
図1(A)に示す様に、被加工物11の表面11aが上方に露出する様に、裏面11b側を保持面8aで保持する(保持段階S10)。このとき、表面11aの中心11eは、回転軸10a上又は回転軸10aの近傍に位置する。
【0059】
保持段階S10の後、エッジ11dを横切る様に表面11a側へ線状のレーザービームLAを照射した状態で、移動機構20により、レーザー変位計12とチャックテーブル4とを所定の方向Aに沿って相対移動速度Vで移動させる。このとき、
図5に示す様に、第1の光電変換素子18d
1が、第2の光電変換素子18d
2よりも先頭に位置する。
【0060】
時刻t1(検出タイミング)において、第1の光電変換素子18d1は表面11a上に位置し、第2の光電変換素子18d2は表面11a上になく、エッジ11dよりも外側に位置する。算出ユニット32は、各光電変換素子18dの受光量に対応する出力電圧を検出する(第1の検出段階S20)。
【0061】
S20(時刻t1)の後、第2の光電変換素子18d2が表面11a上に初めて位置する時刻t2(検出タイミング)で、第2の光電変換素子18d2の出力電圧はLからHに変化する。算出ユニット32は、時刻t2で第2の光電変換素子18d2の出力電圧が変化したことを検出する(第2の検出段階S30)。
【0062】
S30(時刻t2)の後、1つの光電変換素子18dの移動距離V・T(即ち、時刻t1から時刻t2までの移動時間T(第1時間T1)と、相対移動速度Vとの積)に基づいて、算出ユニット32がエッジ11dの位置を算出する(エッジ位置算出段階S40)。
【0063】
例えば、算出ユニット32は、時刻t1での第2の光電変換素子18d2の位置から、時刻t1での第1の光電変換素子18d1の位置へ、V・T(即ち、V・T1)だけ離れた座標(位置)を算出する。これにより、エッジ11dの位置を算出する。
【0064】
具体的な一例を挙げると、V=10μm/s、T=0.4sである場合、算出ユニット32は、時刻t1での第2の光電変換素子18d2の位置から、時刻t1での第1の光電変換素子18d1の位置へ、4μmだけ離れた座標(位置)を算出する。
【0065】
本実施形態では、この様に、レーザー変位計12を動かすことにより受光ユニット18で取得した受光量の変化の情報に基づいて、エッジ11dの位置を特定する。それゆえ、2つの光電変換素子18dの間に対応する位置においても、エッジ11dの位置を検出できる。
【0066】
なお、算出ユニット32は、所定の間隔18eをDとするとき、時刻t1での第1の光電変換素子18d1の位置から、時刻t1での第2の光電変換素子18d2の位置へ、(D-V・T)だけ離れた座標を算出することにより、エッジ11dの位置を算出してもよい。
【0067】
次に、第1実施形態の変形例について説明する。
図7(A)は、第1変形例を示す図である。第1変形例では、第1の実施形態とは逆方向にレーザー変位計12を移動させる。第1変形例では、時刻t
1での第1の光電変換素子18d
1及び第2の光電変換素子18d
2の出力電圧は共にHである。
【0068】
時刻t2での第1の光電変換素子18d1の出力電圧は相変らずHであるが、時刻t2での第2の光電変換素子18d2の出力電圧は、HからLに変化する。第1変形例でも、S10からS40を経て、エッジ11dの座標が算出される。
【0069】
図7(B)は、第2変形例を示す図である。第2変形例では、表面11aの中心11eに対して、第1の実施形態で算出したエッジ11dの座標とは反対側のエッジ11dの座標を算出する。
【0070】
第2変形例では、時刻t1での第1の光電変換素子18d1の出力電圧はLであり、時刻t1での第2の光電変換素子18d2の出力電圧はHである。また、時刻t2での第1の光電変換素子18d1の出力電圧は相変らずLであるが、時刻t2での第2の光電変換素子18d2の出力電圧は、HからLに変化する。
【0071】
図7(C)は、第3変形例を示す図である。第3変形例では、第2変形例とは逆方向にレーザー変位計12を移動させる。第3変形例では、時刻t
1での第1の光電変換素子18d
1及び第2の光電変換素子18d
2の出力電圧は共にLである。
【0072】
時刻t2での第1の光電変換素子18d1の出力電圧は相変らずLであるが、時刻t2での第2の光電変換素子18d2の出力電圧は、LからHに変化する。第2及び第3変形例においても、S10からS40を経て、エッジ11dの座標が算出される。
【0073】
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、所定の間隔18e=10μmであるが、相対移動速度Vを1000μm/sとし、サンプリング周期を1msとする。
【0074】
この場合、1秒間でレーザー変位計12は、所定の方向Aに沿って1000μm移動し、各光電変換素子18dについて1000個のデータ(出力電圧のH/L)を得る。それゆえ、1つの光電変換素子18dを用いて、1000μmの範囲において1000個のデータを得ることができる
【0075】
つまり、1つの光電変換素子18dの分解能は、1μm(=1000μm/1000)となる。なお、第1の実施形態では、相対移動速度V=10μm/s、サンプリング周期=0.1sであるので、1つの光電変換素子18dの分解能は、1μm(=10μm/10)である。
【0076】
しかし、第2の実施形態では、第1の実施形態に比べて、サンプリング周期を短くすることにより、相対移動速度Vを高くできる。つまり、第1の実施形態に比べて、レーザー変位計12の移動に要する時間を短縮できる。
【0077】
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、レーザー変位計12をチャックテーブル4に対して所定の方向Aに沿って相対的に移動させると共に、チャックテーブル4を回転軸10aの周りにおいて所定の回転速度VR(例えば、10rpm=60度/1秒)で回転させる。
【0078】
これにより、エッジ11dの複数の座標を検出する。エッジ11dの三点以上の座標を検出すれば、被加工物11の中心11eの座標(X
C,Y
C)を特定できる(
図9参照)。更に、回転軸10aの座標(X
0,Y
0)は既知であるので、座標(X
0,Y
0)から座標(X
C,Y
C)のずれを特定できる(
図9参照)。
【0079】
図8(A)から
図10を参照して、第3の実施形態でのエッジ位置検出方法を説明する。
図10は、第3の実施形態に係るエッジ位置検出方法のフロー図である。第3の実施形態では、保持段階S10の後、回転軸10aの周りにおいて所定の回転速度V
Rでチャックテーブル4の回転を開始する(回転開始段階S12)。
【0080】
そして、第1の検出段階S20(時刻t1)及び第2の検出段階S30(時刻t2)を順次行う。これにより、時刻t2で、第1の光電変換素子18d1と第2の光電変換素子18d2との間に位置するエッジ11dの座標に関する情報が得られる。
【0081】
第2の検出段階S30の後、第2の光電変換素子18d2に加えて、レーザービームLAの長手方向に沿って所定の間隔18eで直線上に配置された第3の光電変換素子18d3及び第4の光電変換素子18d4を利用して、更にエッジ11dの他の箇所を検出する。
【0082】
チャックテーブル4を回転速度VRで回転させながら、チャックテーブル4に対してレーザー変位計12を相対移動速度Vで移動させる。そして、第3の光電変換素子18d3の出力電圧がLからHに変化したことを検出する(第3の検出段階S32)。本実施形態では、S30(時刻t2)の後における、S32の検出タイミングを時刻t3とする。
【0083】
更に、チャックテーブル4を回転速度VRで回転させながら、チャックテーブル4に対してレーザー変位計12を相対移動速度Vで移動させる。そして、第4の光電変換素子18d4の出力電圧がLからHに変化したことを検出する(第4の検出段階S34)。本実施形態では、S32(時刻t3)の後における、S34の検出タイミングを時刻t4とする。
【0084】
第4の検出段階S34の後、算出ユニット32がエッジ11dの第1から第3の位置を算出する(エッジ位置算出段階S40)。エッジ位置算出段階S40は、エッジ11dの第1の位置(X1,Y1)を算出する第1算出段階S42を含む。
【0085】
第1算出段階S42において、算出ユニット32は、第1の検出段階S20(時刻t1)での第2の光電変換素子18d2の位置から、時刻t1での第1の光電変換素子18d1の位置へ、V・T1だけ離れた座標(位置)を算出する。なお、第1時間T1は、時刻t2と時刻t1との差(T1=t2-t1)である。
【0086】
図8(A)は、第1の光電変換素子18d
1及び第2の光電変換素子18d
2の間に位置するエッジ11dの第1の位置を示す図である。第1時間T
1は、例えば、0.4sである。この場合、チャックテーブル4が、V
R・T
1=(60度/1秒)・0.4s=24度だけ回転したときのエッジ11dの第1の位置(X
1,Y
1)(即ち、時刻t
2でのエッジ11dの座標)が算出される。
【0087】
エッジ位置算出段階S40は、更に、エッジ11dの第2の位置(X2,Y2)を算出する第2算出段階S44を含む。第2算出段階S44において、算出ユニット32は、第2の検出段階S30(時刻t2)での第3の光電変換素子18d3の位置から、時刻t2での第2の光電変換素子18d2の位置へ、V・T2だけ離れた座標(位置)を算出する。なお、第2時間T2は、時刻t3と時刻t2との差(T2=t3-t2)である。
【0088】
図8(B)は、第2の光電変換素子18d
2及び第3の光電変換素子18d
3(丸で囲んだ数字の3)の間に位置するエッジ11dの第2の位置を示す図である。第2時間T
2は、例えば、0.8sである。
【0089】
この場合、チャックテーブル4が初期位置からVR・(T1+T2)=(60度/1秒)・1.2s=72度だけ回転したときのエッジ11dの第2の位置(X2,Y2)(即ち、時刻t3でのエッジ11dの座標)が、算出される。
【0090】
エッジ位置算出段階S40は、更に、エッジ11dの第3の位置(X3,Y3)を算出する第3算出段階S46を含む。第3算出段階S46において、算出ユニット32は、第3の検出段階S32(時刻t3)での第4の光電変換素子18d4の位置から、時刻t3での第3の光電変換素子18d3の位置へ、V・T3だけ離れた座標(位置)を算出する。なお、第3時間T3は、時刻t4と時刻t3との差(T3=t4-t3)である。
【0091】
図8(C)は、第3の光電変換素子18d
3及び第4の光電変換素子18d
4(丸で囲んだ数字の4)の間に位置するエッジ11dの第3の位置を示す図である。第3時間T
3は、例えば、1.0sである。
【0092】
この場合、チャックテーブル4が初期位置からVR・(T1+T2+T3)=(60度/1秒)・2.2s=132度だけ回転したときのエッジ11dの第3の位置(X3,Y3)(即ち、時刻t4でのエッジ11dの座標)が、算出される。
【0093】
この様にして、
図9に示す様に、エッジ11dの異なる三点の座標が得られる。エッジ11dの三点以上の座標を利用すれば、中心11eの座標(X
C,Y
C)を特定できる。
図9は、中心11eの座標(X
C,Y
C)を特定する方法を説明する図である。
【0094】
エッジ位置算出段階S40の後、中心位置ずれ算出段階S50が行われる。S50では、例えば、(X1,Y1)及び(X2,Y2)を結ぶ線分の垂直二等分線Bと、(X2,Y2)及び(X3,Y3)を結ぶ線分の垂直二等分線Cと、の交点を算出することにより、中心11eの座標(XC,YC)を算出する。
【0095】
回転軸10aの座標(X0,Y0)は既知であるので、座標(X0,Y0)に対する中心11eの座標(XC,YC)のずれを特定できる。当該ずれは、例えば、エッジ位置検出の後に行われる表面11a側の外周部11cの除去(トリミング)工程で、切削ブレード(不図示)を切り込む位置を修正するために利用される。
【0096】
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。第1算出段階S42、第2算出段階S44及び第3算出段階S46は、必ずしもこの順番で算出しなくてもよい。また、第3の実施形態のエッジ位置検出方法では、4点以上の異なる座標に基づいて、中心11eの座標(XC,YC)を算出してもよい。
【符号の説明】
【0097】
2:エッジ位置検出装置
4:チャックテーブル
6:枠体、6a:凹部
8:ポーラス板、8a:保持面
10:出力軸、10a:回転軸
11:被加工物、11a:表面、11b:裏面
11c:外周部、11d:エッジ、11e:中心
12:レーザー変位計、12a:照射領域
14:レーザー照射ユニット、14a:光源、
14b:レンズ、14c:筐体、14d:開口
16:第1方向
18:受光ユニット、18a:筐体、18b:集光レンズ、
18c:ラインセンサ、18d:光電変換素子、18e:所定の間隔
20:移動機構、22:ベース部、24:ガイドレール
26:ボールネジ、28:パルスモータ
30:制御ユニット、32:算出ユニット
A:所定の方向
B,C:垂直二等分線
LA:レーザービーム
T:移動時間、V:相対移動速度、VR:回転速度