(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】配線基板、半導体装置及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240205BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
H05K3/46 E
H05K3/46 B
H05K3/46 K
H05K3/46 N
H01L23/12 N
H01L23/12 501B
(21)【出願番号】P 2018105409
(22)【出願日】2018-05-31
【審査請求日】2021-02-03
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】荒井 貴志
【合議体】
【審判長】山澤 宏
【審判官】岩間 直純
【審判官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0260317(US,A1)
【文献】特開2016-029697(JP,A)
【文献】特開2016-127222(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0141059(US,A1)
【文献】特開2009-253147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K3/46
H01L23/12
H05K3/18
H05K3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層と、
前記配線層を被覆し、前記配線層の上面の一部を露出する開口部を有する絶縁層と、
前記開口部の内面及び前記絶縁層の上面を連続して被覆するシード層と、
電解銅めっき層からなり、前記シード層よりも内側の前記開口部を充填する金属層と、
電解銅めっき層からなり、前記絶縁層の上面に形成された前記シード層上及び前記金属層の上面に形成された金属ポストと、
前記金属ポストの上面全面を被覆する上面部と、前記金属ポストの側面全面を被覆する側面部とを有しており、前記シード層の外側面を露出するように形成された外装めっき層と、を有し、
前記シード層の外側面は、前記側面部の外側面よりも前記金属ポストの内側に後退しており、
前記側面部の下端の一部が前記シード層と接触しているとともに、前記側面部の下端の他部が前記シード層から露出している配線基板。
【請求項2】
前記側面部は、前記上面部よりも薄く形成されている請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記側面部と前記上面部とは異なる層構造を有している請求項1
又は請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記側面部は、第1めっき層のみからなる単層構造を有し、
前記上面部は、前記第1めっき層と、前記第1めっき層とは異なる金属からなる第2めっき層とが積層された積層構造を有している請求項
3に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第1めっき層は、ニッケル又はニッケル合金からなるめっき層であり、
前記第2めっき層は、金又は金合金からなるめっき層を含む請求項
4に記載の配線基板。
【請求項6】
前記上面部の外周部には、前記側面部の外側面よりも外側に突出する突出部が形成されている請求項
1~5のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項7】
前記突出部の側面には段差部が形成されている請求項
6に記載の配線基板。
【請求項8】
前記開口部に露出する前記配線層の上面に形成され、前記開口部の下部を充填するように形成された無電解めっき金属層からなる拡散防止層を有し、
前記シード層は、前記拡散防止層の上面と前記開口部の内側面と前記絶縁層の上面とを連続して被覆するように形成されている請求項1~7のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の配線基板と、
前記金属ポストに接続された半導体素子と、
を有する半導体装置。
【請求項10】
配線層を被覆する絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層に、前記配線層の上面の一部を露出する開口部を形成する工程と、
前記開口部の内面全面及び前記絶縁層の上面全面を連続して被覆するシード層を形成する工程と、
前記シード層上に、開口パターンを有するレジスト層を形成する工程と、
電解銅めっき法により、前記開口部を充填する金属層を形成するとともに、前記開口パターン内に金属ポストを形成する工程と、
前記レジスト層へのプラズマエッチングにより、前記金属ポストの側面と前記開口パターンの内側面との間に隙間を形成する工程と、
電解めっき法により、前記金属ポストの上面全面を被覆する上面部と、前記隙間を充填して前記金属ポストの側面全面を被覆する側面部とを有する外装めっき層を形成する工程と、
前記レジスト層を除去する工程と、
前記外装めっき層をマスクにして前記シード層をエッチング除去する工程と、を有し、
前記シード層をエッチング除去する工程では、前記シード層の外側面を、前記側面部の外側面よりも前記金属ポストの内側に後退させ、前記側面部の下端の一部を前記シード層に接触させるとともに前記側面部の下端の他部を前記シード層から露出させる配線基板の製造方法。
【請求項11】
前記外装めっき層を形成する工程では、前記側面部が前記上面部よりも薄く形成される請求項10に記載の配線基板の製造方法。
【請求項12】
前記外装めっき層を形成する工程は、
電解めっき法により、前記隙間を充填して前記金属ポストの側面全面を被覆するとともに、前記金属ポストの上面全面を被覆する第1めっき層を形成する工程と、
電解めっき法により、前記第1めっき層とは異なる金属からなり、前記第1めっき層の上面全面を被覆する第2めっき層を形成する工程と、を有する請求項10
又は請求項11に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、半導体装置及び配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の電子部品を実装するための配線基板は、様々な形状・構造のものが提案されている。近年は、半導体素子の高集積化及び高機能化に伴い、半導体素子が実装される配線基板においても配線の微細化の要求が高まっている。そこで、配線パターンの形成されたベース基板上に絶縁層を形成し、その絶縁層から露出する配線パターン上に金属ポスト(柱状の接続端子)を形成した配線基板が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-225632号公報
【文献】特開2010-129996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、金属ポストが銅からなる場合には、金属ポストの表面が外部に露出していると、金属ポストの表面が酸化しやすい。金属ポストが酸化すると、配線基板に実装される半導体素子等の電子部品の接続端子と金属ポストとの接続信頼性が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、配線層と、前記配線層を被覆し、前記配線層の上面の一部を露出する開口部を有する絶縁層と、前記開口部の内面及び前記絶縁層の上面を連続して被覆するシード層と、電解銅めっき層からなり、前記シード層よりも内側の前記開口部を充填する金属層と、電解銅めっき層からなり、前記絶縁層の上面に形成された前記シード層上及び前記金属層の上面に形成された金属ポストと、前記金属ポストの上面全面を被覆する上面部と、前記金属ポストの側面全面を被覆する側面部とを有しており、前記シード層の外側面を露出するように形成された外装めっき層と、を有し、前記シード層の外側面は、前記側面部の外側面よりも前記金属ポストの内側に後退しており、前記側面部の下端の一部が前記シード層と接触しているとともに、前記側面部の下端の他部が前記シード層から露出している。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一観点によれば、電子部品との接続信頼性を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(a)は、第1実施形態の配線基板を示す概略断面図、(b)は、(a)に示した配線基板の一部を拡大した拡大断面図。
【
図2】第1実施形態の半導体装置を示す概略断面図。
【
図3】(a),(b)は、第1実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図。
【
図4】(a),(b)は、第1実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図。
【
図5】(a),(b)は、第1実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図。
【
図6】(a),(b)は、第1実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図。
【
図7】(a),(b)は、第1実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図。
【
図9】第2実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図。
【
図10】(a),(b)は、第2実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図。
【
図11】第3実施形態の配線基板を示す拡大断面図。
【
図12】第3実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図。
【
図13】(a),(b)は、第3実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図。
【
図14】第3実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図。
【
図15】第4実施形態の配線基板を示す拡大断面図。
【
図16】(a),(b)は、第4実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図。
【
図17】(a),(b)は、第4実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図。
【
図19】(a),(b)は、参考例の配線基板の製造方法を示す概略断面図。
【
図20】(a),(b)は、参考例の配線基板の製造方法を示す概略断面図。
【
図21】(a),(b)は、参考例の配線基板の製造方法を示す概略断面図。
【
図22】(a),(b)は、参考例の半導体装置の製造方法を示す概略断面図。
【
図23】参考例の配線基板の製造方法を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して各実施形態を説明する。なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。
【0009】
(参考例)
まず、各実施形態を説明するのに先立ち、参考例の配線基板の製造方法について説明する。
【0010】
図19(a)に示すように、上面21Aと下面21Bとを有するコア基板21を準備し、ドリル加工等によりコア基板21に貫通孔21Xを形成する。コア基板21としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシ基板を用いることができる。
【0011】
次いで、貫通孔21Xの内部にめっきを施して貫通電極22を形成することで両面を導通させた後、例えばサブトラクティブ法によりコア基板21の上面21A及び下面21Bにそれぞれ配線23,24を形成する。次に、コア基板21の上面21A及び下面21Bにそれぞれ絶縁層25,26を樹脂フィルムの真空ラミネートにより形成し、加熱して硬化させる。なお、ペースト状又は液状の樹脂の塗布により絶縁層25,26を形成してもよい。続いて、絶縁層25,26にそれぞれ貫通孔を形成し、必要であればデスミア処理した後、例えばセミアディティブ法により絶縁層26,25上に配線層30,40をそれぞれ形成する。その後、絶縁層26の下面に絶縁層31と配線層32とを積層するとともに、絶縁層25の上面に絶縁層41と配線層42とを積層する。
【0012】
ここで、最下層の配線層32は、複数の配線23,24と複数の配線層30,40と貫通電極22を介して、最上層の配線層42と電気的に接続される。
次に、
図19(b)に示す工程では、絶縁層41の上面に、配線層42の上面の一部を露出させるための開口部43Xを有するソルダーレジスト層43を形成する。同様に、絶縁層31の下面に、最下層の配線層32の下面の一部を外部接続用パッドP1として露出させるための開口部33Xを有するソルダーレジスト層33を形成する。
【0013】
続いて、
図20(a)に示す工程では、無電解めっき法により、ソルダーレジスト層33,43の開口部33X,43Xからそれぞれ露出されている配線層32,42の表面に拡散防止層34,60を形成する。
【0014】
次いで、
図20(b)に示す工程では、開口部33Xの内面全面とソルダーレジスト層33の下面全面とを被覆するシード層35を形成する。同様に、開口部43Xの内面全面とソルダーレジスト層43の上面全面とを被覆するシード層65を形成する。これらシード層35,65は、例えば、無電解銅めっき法により形成することができる。
【0015】
次に、
図21(a)に示す工程では、シード層65,35上にそれぞれドライフィルムレジストを貼付してめっきレジスト層200,201を形成する。その後、めっきレジスト層200を露光及び現像することにより、開口部43Xと連通する開口パターン200Xをめっきレジスト層200に形成する。なお、めっきレジスト層201は、パターニングを行わずに、シード層35の下面全面を覆った状態のままとする。
【0016】
続いて、
図21(b)に示す工程では、シード層65を給電層とする電解銅めっき法により、開口パターン200Xから露出しているシード層65上に電解銅めっき層からなる金属ポスト70を形成する。
【0017】
次いで、電解めっき法により、金属ポスト70の上面に表面処理層210を形成する。表面処理層210は、金属ポスト70を構成する銅とは異なる金属からなる電解めっき金属層である。例えば、表面処理層210は、金属ポスト70の上面に、ニッケル(Ni)層、パラジウム(Pd)層、金(Au)層がこの順に積層された積層構造を有している。
【0018】
次に、めっきレジスト層200,201を剥離する。これにより、
図22(a)に示すように、金属ポスト70の側面及び表面処理層210の側面が外部に露出される。
続いて、
図22(b)に示す工程では、硫酸過水をエッチング液として使用しながら、各ソルダーレジスト層33,43上及び開口部33X内の余分なシード層35,65をウェットエッチングにより除去し、金属ポスト70の下のみにシード層65を残す。このウェットエッチングの際に、金属ポスト70がエッチング液に晒されるのと同時に、そのエッチング液に金属ポスト70とは異種金属からなる表面処理層210も晒される。このとき、金属ポスト70と表面処理層210の各々のイオン化傾向が異なることに起因して、金属ポスト70とその金属ポスト70に電気的に接続されている表面処理層210との間にガルバニック腐食が生じる。
【0019】
ガルバニック腐食は、イオン化傾向の異なる二つの金属を電解液中に入れたときに両金属によって局部電池が形成され、イオン化傾向が大きい方の金属が腐食する現象である。この例では、例えば表面処理層210を構成するAu層よりも金属ポスト70(銅層)の方がイオン化傾向が大きいため、エッチング液中において金属ポスト70が側面から過剰にエッチングされ、金属ポスト70の側面が大きく後退してしまう。
【0020】
以上の製造工程により、参考例における配線基板220を製造することができる。
次に、
図23に示す工程では、配線基板220の表面処理層210上に、半導体素子91の接続端子92をフリップチップ接合する。例えば、配線基板220に半導体素子91を押圧しながら、半導体素子91の接続端子92を、はんだ層93を介して表面処理層210及び金属ポスト70に接続する。また、必要に応じて、外部接続用パッドP1上に形成された拡散防止層34上に外部接続端子96を形成する。
【0021】
以上説明した参考例における配線基板220の製造方法では、
図22(b)に示した工程でシード層35,65をウェットエッチングにより除去する際に、ガルバニック腐食によって金属ポスト70の側面が過剰にエッチングされてしまう。すると、金属ポスト70の強度が弱くなり、
図23に示した工程で半導体素子91を搭載するときの圧力で金属ポスト70が折れ曲がったり、最悪の場合には
図22(b)に示した工程で金属ポスト70が消失してしまい、配線基板220と半導体素子91との接続信頼性が低下するという問題がある。
【0022】
以下に、配線基板と半導体素子との接続信頼性を高めることが可能な実施形態について説明する。
(第1実施形態)
以下、
図1~
図7に従って第1実施形態を説明する。
【0023】
まず、配線基板10の構造について説明する。
図1(a)に示すように、配線基板10は、配線基板10の厚さ方向の中心付近に設けられた基板本体20を有している。基板本体20は、コア基板21と、コア基板21を厚さ方向に貫通する貫通孔21Xに充填された貫通電極22と、コア基板21の上面21A及び下面21Bにそれぞれ積層され、貫通電極22を介して互いに電気的に接続された配線23,24とを有している。また、基板本体20は、配線23を被覆するようにコア基板21の上面21Aに形成された絶縁層25と、配線24を被覆するようにコア基板21の下面21Bに形成された絶縁層26とを有している。
【0024】
ここで、コア基板21の材料としては、例えば、ガラス、アラミド、LCP(Liquid Crystal Polymer)繊維の織布や不織布などの補強材に、エポキシ系やポリイミド系の熱硬化性樹脂を含浸させた補強材入りの絶縁性樹脂を用いることができる。貫通電極22及び配線23,24の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金を用いることができる。絶縁層25,26の材料としては、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの有機樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。
【0025】
絶縁層26の下面には、配線層30が積層されている。配線層30は、絶縁層26を厚さ方向に貫通するビア配線と、そのビア配線を介して配線24と電気的に接続され、絶縁層26の下面に積層された配線パターンとを有している。
【0026】
絶縁層26の下面には、配線層30を被覆するように絶縁層31が積層されている。絶縁層31の下面には、配線層32が積層されている。配線層32は、絶縁層31を厚さ方向に貫通するビア配線と、そのビア配線を介して配線層30と電気的に接続され、絶縁層31の下面に積層された配線パターンとを有している。
【0027】
絶縁層31の下面には、配線層32を被覆するソルダーレジスト層33が積層されている。ソルダーレジスト層33の材料としては、例えば、フェノール樹脂やエポキシ樹脂等の感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層33は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有していてもよい。また、ソルダーレジスト層33の材料としては、感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂に限らず、例えば、絶縁層25,26と同じ絶縁性樹脂を用いてもよい。ソルダーレジスト層33には、配線層32の下面の一部を外部接続用パッドP1として露出させるための複数の開口部33Xが形成されている。
【0028】
外部接続用パッドP1上には、拡散防止層34が形成されている。拡散防止層34としては、例えば、外部接続用パッドP1上に、ニッケル(Ni)層とパラジウム(Pd)層と金(Au)層とをこの順番で積層した金属層を用いることができる。拡散防止層34の他の例としては、Au層、Ni層/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。これらNi層、Pd層、Au層としては、例えば、無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき金属層)を用いることができる。また、Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、Pd層はPd又はPd合金からなる金属層、Au層はAu又はAu合金からなる金属層である。なお、外部接続用パッドP1上に形成された拡散防止層34を、外部接続端子としてもよい。
【0029】
絶縁層25の上面には、配線層40が積層されている。配線層40は、絶縁層25を厚さ方向に貫通するビア配線と、そのビア配線を介して配線23と電気的に接続され、絶縁層25の上面に積層された配線パターンとを有している。
【0030】
絶縁層25の上面には、配線層40を被覆するように絶縁層41が積層されている。絶縁層41の上面には、配線層42が積層されている。配線層42は、絶縁層41を厚さ方向に貫通するビア配線と、そのビア配線を介して配線層40と電気的に接続され、絶縁層41の上面に積層された配線パターンとを有している。
【0031】
絶縁層41の上面には、配線層42を被覆するソルダーレジスト層43が積層されている。ソルダーレジスト層43の材料としては、例えば、フェノール樹脂やエポキシ樹脂等の感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層43は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有していてもよい。また、ソルダーレジスト層43の材料としては、感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂に限らず、例えば、絶縁層25,26と同じ絶縁性樹脂を用いてもよい。
【0032】
ソルダーレジスト層43には、所要の箇所に、当該ソルダーレジスト層43を厚さ方向に貫通して配線層42の上面の一部を露出する開口部43Xが形成されている。ここで、開口部43Xは、
図1(a)において下側(コア基板21側)から上側に向かうに連れて径が大きくなるテーパ状に形成されている。例えば、開口部43Xは、上側の開口端の開口径が下側の開口端の開口径よりも大径となる略逆円錐台形状に形成されている。
【0033】
ソルダーレジスト層43の上面43Aには、配線層50が積層されている。配線層50は、開口部43X内に形成されたビア配線51と、ソルダーレジスト層43の上面43Aから上方に突出する接続端子52とを有している。
【0034】
ビア配線51は、例えば、開口部43Xに充填されている。このため、ビア配線51は、開口部43Xと同様の形状に形成されている。接続端子52は、ソルダーレジスト層43の上面43Aから上方に延びるように形成された柱状の接続端子(金属ポスト)である。接続端子52は、電子部品と電気的に接続するための電子部品搭載用のパッドとして機能する。
【0035】
接続端子52の上面及び側面には、外装めっき層80が形成されている。外装めっき層80は、接続端子52の上面全面と接続端子52の側面とを連続して被覆するように形成されている。接続端子52及び外装めっき層80は、配線層42、配線層40、配線23、貫通電極22、配線24及び配線層30を介して、配線層32と電気的に接続されている。
【0036】
次に、
図1(b)に従って、配線層50及び外装めっき層80の構造について詳述する。
配線層50は、開口部43Xから露出する配線層42の上面に形成された拡散防止層60を有している。拡散防止層60は、例えば、開口部43Xから露出する配線層42の上面に形成されており、開口部43Xの下部を充填するように形成されている。拡散防止層60は、開口部43Xから露出する配線層42の上面に、Ni層61とPd層62とAu層63とがこの順番で積層された構造を有している。拡散防止層60としては、Au層、Ni層/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを用いることもできる。これらNi層61、Pd層62及びAu層63としては、例えば、無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき金属層)を用いることができる。また、Ni層61はNi又はNi合金からなる金属層、Pd層62はPd又はPd合金からなる金属層、Au層63はAu又はAu合金からなる金属層である。
【0037】
Ni層61は、例えば、配線層42等に含まれるCuがPd層62やAu層63に拡散するのを防止する拡散防止機能を有している。Pd層62やAu層63は、配線層42を構成する金属(ここでは、Cu)よりも酸化し難い金属(ここでは、PdやAu)から構成されており、配線層42の酸化を防止する酸化防止機能を有している。
【0038】
配線層50は、開口部43Xの内面とソルダーレジスト層43の上面43Aとを連続的に被覆するシード層65を有している。本例のシード層65は、拡散防止層60の上面(具体的には、Au層63の上面)と、拡散防止層60から露出する開口部43Xの内側面と、ソルダーレジスト層43の上面43Aとを連続的に被覆するように形成されている。シード層65の材料としては、例えば、CuやCu合金を用いることができる。シード層65としては、例えば、無電解めっき法(例えば、無電解銅めっき法)により形成された無電解めっき金属層(例えば、無電解銅めっき層)を用いることができる。
【0039】
配線層50は、シード層65よりも内側の開口部43Xを充填する金属層66を有している。金属層66の材料としては、CuやCu合金を用いることができる。金属層66としては、電解銅めっき法により形成された電解銅めっき層を用いることができる。
【0040】
以上説明した拡散防止層60と開口部43X内に形成されたシード層65と金属層66とによって、配線層50のビア配線51が構成されている。
配線層50は、ソルダーレジスト層43の上面43Aに形成されたシード層65上及びビア配線51(金属層66)上に形成された金属ポスト70を有している。金属ポスト70は、例えば、金属層66と一体に形成されている。金属ポスト70は、例えば、円柱状に形成されている。金属ポスト70の平面形状は、例えば、金属層66の平面形状よりも大きく形成されている。例えば、金属ポスト70は、金属層66の上面の直径よりも大径に形成されている。
【0041】
金属ポスト70の材料としては、CuやCu合金を用いることができる。金属ポスト70としては、電解銅めっき法により形成された電解銅めっき層を用いることができる。金属ポスト70の高さは、例えば、5~30μm程度とすることができる。金属ポスト70の直径は、例えば、20~120μm程度とすることができる。金属ポスト70のピッチは、例えば、30~200μm程度とすることができる。
【0042】
ここで、ソルダーレジスト層43の上面43Aに形成されたシード層65の外側面65Aは、金属ポスト70の下面のうち金属層66よりも外側に突出した部分における下面全面を被覆するように形成されている。例えば、ソルダーレジスト層43の上面43Aに形成されたシード層65の外側面65Aは、金属ポスト70の側面よりも外側に突出するように形成されている。
【0043】
以上説明した金属ポスト70とソルダーレジスト層43の上面43Aに形成されたシード層65とによって、配線層50の接続端子52が構成されている。
外装めっき層80は、金属ポスト70の上面全面及び側面全面を被覆するとともに、シード層65の外側面65Aを露出するように形成されている。外装めっき層80は、金属ポスト70の上面全面を被覆する上面部81と、金属ポスト70の側面全面を被覆する側面部82とを有している。側面部82は、上面部81よりも薄く形成されている。
【0044】
上面部81は、金属ポスト70の上面から、めっき層83とめっき層84とめっき層85とがこの順番で積層された積層構造(ここでは、3層構造)を有している。側面部82は、金属ポスト70の側面から、めっき層83とめっき層84とめっき層85とがこの順番で積層された積層構造(ここでは、3層構造)を有している。本例の外装めっき層80では、上面部81及び側面部82が共に、めっき層83とめっき層84とめっき層85とが積層された積層構造を有している。これらめっき層83,84,85としては、例えば、電解めっき法により形成された金属層(電解めっき金属層)を用いることができる。
【0045】
めっき層83は、金属ポスト70の側面全面及び上面全面を連続して被覆するように形成されている。めっき層83は、例えば、金属ポスト70等に含まれるCuがめっき層84やめっき層85に拡散するのを防止する拡散防止機能を有している。めっき層83は、拡散防止効果、接続端子52(金属ポスト50)の腐食を防止する耐腐食性効果、及びめっき層84やシード層65との密着性などの特性を考慮して、材料組成や厚さが設定される。めっき層83の材料としては、例えば、Ni、コバルト(Co)や銀(Ag)を含む金属材料を用いることができる。本例のめっき層83の材料としては、Ni又はNi合金を用いている。
【0046】
めっき層84は、めっき層83の表面全面を被覆するように形成されている。めっき層84は、金属ポスト70の酸化を防止する酸化防止機能を有している。めっき層84の材料としては、例えば、金属ポスト70を構成する金属(Cu)よりも酸化し難い金属を用いることができる。例えば、めっき層84の材料としては、PdやPd合金を用いることができる。
【0047】
めっき層85は、めっき層84の表面全面を被覆するように形成されている。めっき層85は、金属ポスト70の酸化を防止する酸化防止機能を有している。めっき層85の材料としては、例えば、金属ポスト70を構成する金属(Cu)よりも酸化し難い金属を用いることができる。例えば、めっき層85の材料としては、AuやAu合金を用いることができる。
【0048】
めっき層83とめっき層84とめっき層85とを合わせた厚さは、側面部82を構成する部分が、上面部81を構成する部分よりも薄く形成されている。詳述すると、めっき層83は、例えば、上面部81を構成する部分の厚さと、側面部82を構成する部分の厚さが同じ厚さに形成されている。めっき層84は、例えば、上面部81を構成する部分の厚さと、側面部82を構成する部分の厚さが同じ厚さに形成されている。めっき層85は、例えば、側面部82を構成する部分の厚さが、上面部81を構成する部分の厚さよりも薄く形成されている。めっき層83の厚さは、例えば、1~10μm程度とすることができる。めっき層84の厚さは、例えば、0.1~0.5μm程度とすることができる。側面部82を構成するめっき層85の厚さは、例えば、0.1~0.3μm程度とすることができる。上面部81を構成するめっき層85の厚さは、例えば、0.3~0.5μm程度とすることができる。
【0049】
側面部82の下面は、ソルダーレジスト層43の上面43Aから離間するように形成されている。具体的には、側面部82の下面は、ソルダーレジスト層43の上面43Aからシード層65の厚さ分だけ離間して形成されている。側面部82の下面の少なくとも一部は、シード層65の上面に接してシード層65の上面に形成されている。本例の側面部82の外側面(めっき層85の外側面)は、例えば、シード層65の外側面65Aと略面一に形成されている。本例の側面部82は、その下面全面がシード層65の上面に接してシード層65の上面に形成されている。換言すると、本例のシード層65は、側面部82を構成するめっき層83,84,85の下面全面を被覆するように形成されている。
【0050】
なお、本実施形態では、外装めっき層80として、金属ポスト70の表面から、ニッケル層(Ni層)であるめっき層83と、パラジウム層(Pd層)であるめっき層84と、金層(Au層)であるめっき層85とを順に積層しためっき層を採用した。これに限らず、外装めっき層80として、例えば、金属ポスト70の表面から、Ni層とAu層とを順に積層しためっき層、Ni層とPd層と銀(Ag)層とを順に積層しためっき層、Ni層とPd層とAg層とAu層とを順に積層しためっき層、Ag層とAu層とを順に積層しためっき層を採用することができる。また、外装めっき層80として、例えば、Ag層やAu層からなる単層構造のめっき層を採用することもできる。
【0051】
次に、
図2に従って、半導体装置90の構造について説明する。
半導体装置90は、配線基板10と、1つ又は複数(ここでは、1つ)の半導体素子91と、アンダーフィル材95と、外部接続端子96とを有している。
【0052】
半導体素子91は、配線基板10にフリップチップ実装されている。すなわち、半導体素子91の回路形成面(ここでは、下面)に配設された接続端子92を、はんだ層93を介して配線基板10の外装めっき層80に接合することにより、半導体素子91は、接続端子92及びはんだ層93を介して外装めっき層80及び配線層50と電気的に接続されている。
【0053】
ここで、半導体素子91としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)チップやGPU(Graphics Processing Unit)チップなどのロジックチップを用いることができる。また、半導体素子91としては、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ、SRAM(Static Random Access Memory)チップやフラッシュメモリチップなどのメモリチップを用いることができる。なお、配線基板10に複数の半導体素子91を搭載する場合には、ロジックチップとメモリチップとを組み合わせて配線基板10に搭載するようにしてもよい。
【0054】
接続端子92としては、例えば、金属ポストを用いることができる。この接続端子92は、半導体素子91の回路形成面から下方に延びる柱状の接続端子である。本例の接続端子92は、例えば、円柱状に形成されている。接続端子92の材料としては、例えば、CuやCu合金を用いることができる。なお、接続端子92としては、金属ポストの他に、例えば金バンプを用いることもできる。
【0055】
はんだ層93としては、例えば、鉛フリーはんだのはんだめっきを用いることができる。はんだめっきの材料としては、例えば、Sn-Ag系、Sn-Cu系、Sn-Ag-Cu系、Sn-Bi系の鉛フリーはんだを用いることができる。
【0056】
アンダーフィル材95は、配線基板10と半導体素子91との隙間を充填するように設けられている。アンダーフィル材95の材料としては、例えば、エポキシ樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0057】
外部接続端子96は、配線基板10の外部接続用パッドP1上に形成された拡散防止層34上に形成されている。この外部接続端子96は、例えば、図示しないマザーボード等の実装基板に設けられたパッドと電気的に接続される接続端子である。外部接続端子96としては、例えば、はんだボールやリードピンを用いることができる。本実施形態では、外部接続端子96として、はんだボールを用いている。
【0058】
次に、配線基板10の製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、最終的に配線基板10の各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
図3(a)に示すように、まず、
図1(a)に示したソルダーレジスト層43、配線層50及び外装めっき層80が形成される前段階の配線基板10を準備する。この配線基板10は、公知の製造方法により製造することが可能であるため、その概略について
図3(a)を参照しながら説明する。
【0059】
まず、コア基板21の所要箇所に貫通孔21Xを形成し、その貫通孔21X内にめっきを施して貫通電極22を形成することで両面を導通させた後、例えばサブトラクティブ法により配線23,24を形成する。次に、コア基板21の上面21A及び下面21Bにそれぞれ絶縁層25,26を樹脂フィルムの真空ラミネートにより形成し、加熱して硬化させる。なお、ペースト状又は液状の樹脂の塗布と加熱により絶縁層25,26を形成してもよい。続いて、絶縁層25,26にそれぞれ貫通孔を形成し、必要であればデスミア処理した後、例えばセミアディティブ法により配線層30,40を形成する。次いで、絶縁層25,26と同様に、絶縁層26の下面及び絶縁層25の上面にそれぞれ絶縁層31,41を形成する。その後、絶縁層31,41にそれぞれ貫通孔を形成し、必要であればデスミア処理した後、例えばセミアディティブ法により配線層32,42を形成する。
【0060】
次に、
図3(b)に示す工程では、絶縁層31の下面に、配線層32の下面の一部を外部接続用パッドP1として露出させるための開口部33Xを有するソルダーレジスト層33を形成する。同様に、絶縁層41の上面に、配線層42の上面の一部を露出させるための開口部43Xを有するソルダーレジスト層43を形成する。これらソルダーレジスト層33,43は、例えば、感光性のソルダーレジストフィルムをラミネートし、又は液状のソルダーレジストを塗布し、当該レジストをフォトリソグラフィ法によりパターニングすることにより形成することができる。
【0061】
続いて、
図4(a)に示す工程では、ソルダーレジスト層43の開口部43Xから露出する配線層42の上面に拡散防止層60を形成する。また、ソルダーレジスト層33の開口部33Xから露出する配線層32の下面(つまり、外部接続用パッドP1)に拡散防止層34を形成する。拡散防止層60は、配線層42の上面に、Ni層61とPd層62とAu層63とをこの順番で積層することで形成される。同様に、拡散防止層34は、外部接続用パッドP1上に、Ni層61とPd層62とAu層63とをこの順番で積層することで形成される。拡散防止層34,60は、例えば、無電解めっき法により形成することができる。
【0062】
Ni層61は、例えば、硫酸ニッケル、カルボン酸塩、次亜リン酸ナトリウム及び硫黄化合物を混合しためっき液を用いた無電解めっき法により形成することができる。Pd層62は、例えば、ジクロロテトラアンミンパラジウム、アミノカルボン酸、アミン化合物、次亜リン酸ナトリウム及び無機塩化物を混合しためっき液を用いた無電解めっき法により形成することができる。Au層63は、例えば、シアン化金カリウム、シアン化カリウム、アミノカルボン酸塩、アミン化合物、リン酸塩、スルホン酸塩及びホルムアルデヒドを混合しためっき液を用いた無電解めっき法により形成することができる。
【0063】
次いで、
図4(b)に示す工程では、拡散防止層60の上面全面と、拡散防止層60から露出する開口部43Xの内側面全面と、ソルダーレジスト層43の上面43A全面とを連続して被覆するシード層65を形成する。また、拡散防止層34の下面全面と、拡散防止層34から露出する開口部33Xの内側面全面と、ソルダーレジスト層33の下面全面とを連続して被覆するシード層35を形成する。これらシード層35,65は、例えば、硫酸銅、水酸化ナトリウム、カルボン酸塩、硫酸ニッケル及びホルムアルデヒドを混合しためっき液を用いた無電解銅めっき法により形成することができる。
【0064】
次に、
図5(a)に示す工程では、ソルダーレジスト層43の上面43Aに形成されたシード層65上に、所定の箇所に開口パターン100Xを有するレジスト層100を形成する。開口パターン100Xは、接続端子52(
図1(a)参照)の形成領域に対応する部分のシード層65を露出するように形成される。レジスト層100の材料としては、例えば、次工程のめっき処理に対して耐めっき性がある材料を用いることができる。例えば、レジスト層100の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えば、ノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば、感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、シード層65の上面にドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムをフォトリソグラフィ法によりパターニングして開口パターン100Xを有するレジスト層100を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層100を形成することができる。
【0065】
また、ソルダーレジスト層33の下面に形成されたシード層35上に、そのシード層35の下面全面を覆うレジスト層101を形成する。レジスト層101の材料としては、レジスト層100と同様の材料を用いることができる。レジスト層101は、例えば、シード層35の下面にドライフィルムを熱圧着によりラミネートして形成することができる。
【0066】
続いて、
図5(b)に示す工程では、レジスト層100,101をめっきマスクとして、シード層65の上面に、そのシード層65をめっき給電層に利用する電解めっき法を施す。具体的には、レジスト層100の開口パターン100Xから露出されたシード層65の上面に電解めっき法(ここでは、電解銅めっき法)を施すことにより、シード層65の上面に金属層66及び金属ポスト70を形成する。なお、電解めっき法におけるめっき液としては、例えば、硫酸に硫酸銅を溶解してなる溶液を用いることができる。
【0067】
次いで、
図6(a)に示す工程では、レジスト層100を上面側及び開口パターン100Xの内側面側から薄化する。具体的には、金属ポスト70及びシード層65(Cu層)に対して選択的にレジスト層100をエッチングしてレジスト層100を薄化する。金属ポスト70に対して選択的にレジスト層100が薄化されると、金属ポスト70の側面と開口パターン100Xの内側面との間に隙間100Sが形成される。隙間100Sは、シード層65の上面を露出するように形成される。換言すると、本工程では、金属ポスト70の側面と開口パターン100Xの内側面との間にシード層65の上面を露出する隙間100Sが形成されるように、レジスト層100を薄化する。例えば、四フッ化炭素(CF
4)等のエッチングガスを用いたドライエッチング(プラズマエッチング)により、金属ポスト70及びシード層65に対して選択的にレジスト層100をエッチング除去する。このようなプラズマエッチングは、隙間に対する浸透性が高いため、少ないエッチング量で金属ポスト70の下部まで隙間100Sを形成することができる。このプラズマエッチングでは、金属ポスト70及びシード層65がエッチングストッパ層として機能する。なお、本実施形態では、薄化後のレジスト層100の上面は、金属ポスト70の上面よりも上方に位置するように形成されている。
【0068】
次に、
図6(b)に示す工程では、隙間100Sにより外部に露出された金属ポスト70の側面全面と金属ポスト70の上面全面とを被覆する外装めっき層80を形成する。外装めっき層80は、金属ポスト70の側面及び上面に、めっき層83とめっき層84とめっき層85とをこの順番で積層することで形成される。外装めっき層80は、隙間100Sを充填するように形成される。外装めっき層80(めっき層83,84,85)は、例えば、シード層65を給電層とする電解めっき法により形成することができる。この電解めっき法では、金属ポスト70の上面及び側面と、隙間100Sから露出されたシード層65の上面との双方からめっき皮膜が析出される。なお、このめっき皮膜は、電解めっき法によるものであるため、レジスト層100上には析出されない。
【0069】
めっき層83(Ni層)は、例えば、硫酸ニッケル、ホウ酸、塩化ニッケル等を混合しためっき液を用いた電解Niめっき法により形成することができる。ここでは、めっき層83は、金属ポスト70の側面全面と上面全面とを連続して被覆するように形成される。本例では、金属ポスト70の側面を被覆する部分のめっき層83と、金属ポスト70の上面を被覆する部分のめっき層83とは同じ膜厚に形成される。
【0070】
めっき層84(Pd層)は、例えば、ジクロロテトラアンミンパラジウム及びリン酸ニ水素アンモニウム等を混合しためっき液を用いた電解Pdめっき法により形成することができる。ここでは、めっき層84は、めっき層83の外側面全面と上面全面とを連続して被覆するように形成される。本例では、めっき層83の外側面を被覆する部分のめっき層84と、めっき層83の上面を被覆する部分のめっき層84とは同じ膜厚に形成される。
【0071】
めっき層85(Au層)は、例えば、シアン化カリウム及び酢酸タリウム等を混合しためっき液を用いた電解Auめっき法により形成することができる。ここでは、めっき層85は、めっき層84の外側面全面と上面全面とを連続して被覆するように形成される。本例では、めっき層85の形成によって、隙間100Sがめっき層83,84,85により充填される。隙間100Sがめっき層83,84,85により充填された後は、めっき層84の外側面を被覆する部分のめっき層85の膜厚はそれ以上厚くならない。本例では、隙間100Sがめっき層83,84,85により充填された後も、電解Auめっき法によるめっき皮膜の析出が継続される。このため、めっき層84の上面を被覆する部分のめっき層85の厚さが、めっき層84の外側面を被覆する部分のめっき層85の厚さよりも厚くなる。
【0072】
次に、
図7(a)に示す工程では、
図6(b)に示したレジスト層100,101をアルカリ性の剥離液(例えば、有機アミン系剥離液、苛性ソーダ、アセトンやエタノールなど)により除去する。これにより、外装めっき層80の側面部82が外部に露出されるとともに、シード層35,65が外部に露出される。
【0073】
続いて、
図7(b)に示す工程では、外装めっき層80をエッチングマスクとして、不要なシード層35,65をエッチングにより除去する。シード層35,65が無電解銅めっき層である場合には、例えば、硫酸過水系のエッチング液を用いたウェットエッチングにより不要なシード層35,65を除去する。これにより、金属ポスト70の下のみにシード層65が残る。本工程により、ソルダーレジスト層43の開口部43X内に、拡散防止層60とシード層65と金属層66とからなるビア配線51が形成される。また、ソルダーレジスト層43の上面43Aに形成されたシード層65と金属ポスト70とからなる接続端子52が形成される。さらに、拡散防止層34の下面が外部に露出されるとともに、ソルダーレジスト層33の下面が外部に露出される。
【0074】
本工程では、金属ポスト70の側面全面及び上面全面(つまり、表面全面)が外装めっき層80によって被覆されている。このため、外装めっき層80の最表層のめっき層85(Au層)がエッチング液に晒された際に、そのエッチング液に金属ポスト70が晒されることがない。したがって、金属ポスト70と外装めっき層80との間でガルバニック腐食が発生することを抑制できる。また、シード層35が除去された後には、拡散防止層34が外部に露出され、配線層32(Cu層)が外部に露出されない。このため、拡散防止層34の最表層(ここでは、最下層)のAu層63(
図4(a)参照)がエッチング液に晒されることになる。すなわち、シード層35(
図7(a)参照)が除去された後には、めっき層85と同種の金属からなるAu層63がエッチング液に晒される一方、配線層32がエッチング液に晒されることがない。したがって、配線層32と外装めっき層80との間でガルバニック腐食が発生することを抑制できる。
【0075】
以上説明した製造工程により、
図1(a)に示した配線基板10を製造することができる。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0076】
(1)電解銅めっき層からなる金属ポスト70の側面全面及び上面全面を被覆するように外装めっき層80を形成するようにした。これにより、金属ポスト70の表面が外部に露出されないため、金属ポスト70の表面が酸化することを好適に抑制できる。この結果、酸化による金属ポストの抵抗上昇を抑制できるため、半導体素子91の接続端子92と配線基板10の金属ポスト70との電気的接続信頼性を向上させることができる。
【0077】
また、従来技術のように金属ポスト70の側面が外部に露出している場合に、金属ポスト70の側面が酸化すると、金属ポスト70とアンダーフィル材95との密着性が低下する。この結果、半導体素子91の接続端子92と配線基板10の金属ポスト70との接続信頼性が低下するという問題が発生する。これに対し、本実施形態では、金属ポスト70の表面全面に外装めっき層80を形成することで、金属ポスト70の酸化を抑制しているため、金属ポスト70(外装めっき層80)とアンダーフィル材95との密着性が低下することを好適に抑制できる。これにより、半導体素子91の接続端子92と配線基板10の金属ポスト70との接続信頼性を向上させることができる。
【0078】
(2)さらに、金属ポスト70の側面全面及び上面全面が外装めっき層80によって被覆されているため、シード層65をウェットエッチングにより除去する際に、エッチング液に金属ポスト70が晒されることを抑制できる。すなわち、外装めっき層80が晒されるエッチング液に金属ポスト70が晒されることを抑制できる。このため、金属ポスト70と外装めっき層80との間でガルバニック腐食が発生することを抑制できる。したがって、ガルバニック腐食に起因して金属ポスト70が過剰にエッチングされることを好適に抑制することができる。この結果、半導体素子91の接続端子92と配線基板10の金属ポスト70との接続信頼性を向上させることができる。
【0079】
(3)外装めっき層80の側面部82を、外装めっき層80の上面部81よりも薄く形成するようにした。これにより、金属ポスト70が狭ピッチ化された場合であっても、隣り合う金属ポスト70(外装めっき層80)同士が短絡することを抑制できる。また、側面部82を薄くしつつも、はんだ層93と接合される上面部81を厚く形成できるため、はんだ層93と金属ポスト70(外装めっき層80)との接続信頼性を向上させることができる。ひいては、半導体素子91の接続端子92と配線基板10の金属ポスト70との接続信頼性を向上させることができる。
【0080】
(4)最上層の配線層50とは反対側に形成された最下層の配線層32が有する外部接続用パッドP1上に拡散防止層34を形成した。拡散防止層34を、ソルダーレジスト層33の開口部33Xから露出する配線層32の下面全面を被覆するように形成した。これにより、シード層35をウェットエッチングにより除去する際に、外装めっき層80が晒されるエッチング液に配線層32が晒されることを抑制できる。このため、配線層32と外装めっき層80との間でガルバニック腐食が発生することを抑制できる。
【0081】
(第2実施形態)
以下、
図8~
図10に従って第2実施形態を説明する。この実施形態の配線基板10は、外装めっき層の構造が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。先の
図1~
図7に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0082】
図8に示すように、金属ポスト70の上面全面及び側面全面を被覆するように外装めっき層80Aが形成されている。外装めっき層80Aは、シード層65の外側面65Aを露出するように形成されている。外装めっき層80Aは、金属ポスト70の上面全面を被覆する上面部81Aと、金属ポスト70の側面全面を被覆する側面部82Aとを有している。側面部82Aは、上面部81Aよりも薄く形成されている。
【0083】
上面部81Aと側面部82Aとは層構造が互いに異なる。詳述すると、側面部82Aは、金属ポスト70の側面全面を被覆するように形成されためっき層83のみからなる単層構造を有している。一方、上面部81Aは、金属ポスト70の上面から、めっき層83とめっき層84とめっき層85とがこの順番で積層された積層構造(ここでは、3層構造)を有している。
【0084】
めっき層83は、金属ポスト70の側面全面及び上面全面を連続して被覆するように形成されている。めっき層83は、例えば、側面部82Aを構成する部分の厚さが、上面部81Aを構成する部分の厚さよりも薄く形成されている。側面部82Aを構成するめっき層83の厚さは、例えば、1~4μm程度とすることができる。上面部81Aを構成するめっき層83の厚さは、例えば、2~6μm程度とすることができる。
【0085】
めっき層84は、めっき層83の上面全面を被覆するように形成されている。めっき層84は、めっき層83の外側面全面を露出するように形成されている。めっき層84の外側面は、例えば、めっき層83の外側面と面一になるように形成されている。めっき層84の厚さは、例えば、0.1~0.5μm程度とすることができる。
【0086】
めっき層85は、めっき層84の上面全面を被覆するように形成されている。めっき層85は、めっき層83,84の外側面全面を露出するように形成されている。めっき層85の外側面は、例えば、めっき層83,84の外側面と面一になるように形成されている。めっき層85の厚さは、例えば、0.1~0.3μm程度とすることができる。
【0087】
側面部82Aの下面は、シード層65の上面に接してシード層65の上面に形成されている。本例では、側面部82Aの下面全面がシード層65の上面に接している。
次に、本実施形態の配線基板10の製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、最終的に配線基板10の各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
【0088】
まず、
図3(a)~
図6(a)に示した工程を実施することにより、
図9に示した構造体を得る。
図9に示した構造体では、レジスト層100の開口パターン100Xの内側面と金属ポスト70の側面との間に隙間100Sが形成されている。このとき、隙間100Sの大きさは、後工程で形成されるめっき層83の膜厚に合わせて設定されている。
【0089】
次に、
図10(a)に示す工程では、隙間100Sにより外部に露出された金属ポスト70の側面全面と金属ポスト70の上面全面とを被覆する外装めっき層80Aを形成する。まず、電解めっき法(例えば、電解Niめっき法)により、金属ポスト70の側面全面と上面全面とを連続して被覆するめっき層83を形成する。めっき層83は、隙間100Sを充填するように形成される。隙間100Sがめっき層83によって充填された後は、金属ポスト70の側面を被覆する部分のめっき層83の膜厚はそれ以上厚くならない。本例では、隙間100Sがめっき層83により充填された後も、電解Niめっき法によるめっき皮膜の析出が継続される。このため、金属ポスト70の上面を被覆する部分のめっき層83の厚さが、金属ポスト70の側面を被覆する部分のめっき層83の厚さよりも厚くなる。続いて、電解めっき法(例えば、電解Pdめっき法)により、めっき層83の上面全面を被覆するようにめっき層84を形成する。次いで、電解めっき法(例えば、電解Auめっき法)により、めっき層84の上面全面を被覆するようにめっき層85を形成する。これらめっき層84,85の形成の際には、隙間100Sがめっき層83により既に充填されているため、めっき層83の上面のみにめっき皮膜が析出される。
【0090】
続いて、
図10(b)に示す工程では、
図7(a)に示した工程と同様に、
図10(a)に示したレジスト層100,101をアルカリ性の剥離液により除去する。次いで、
図7(b)に示した工程と同様に、外装めっき層80Aをエッチングマスクとして、不要なシード層35,65をウェットエッチングにより除去する。
【0091】
以上説明した製造工程により、本実施形態の配線基板10を製造することができる。
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態の(1)~(4)の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏することができる。
【0092】
(5)外装めっき層80Aの上面部81Aと側面部82Aとを互いに異なる層構造に形成した。これにより、上面部81Aに要求される特性と、側面部82Aに要求される特性とに合わせて、上面部81A及び側面部82Aの層構造を個別に設定することができる。
【0093】
(6)はんだ層93と合金層を形成しやすいAu層であるめっき層85を金属ポスト70の上面側のみに形成するようにした。これにより、金属ポスト70の側面側にはんだ層93が回り込むことを抑制できる。このため、金属ポスト70が狭ピッチ化された場合であっても、隣り合う金属ポスト70(外装めっき層80A)同士がはんだ層93により短絡することを好適に抑制できる。
【0094】
(第3実施形態)
以下、
図11~
図14に従って第3実施形態を説明する。この実施形態の配線基板10は、外装めっき層の構造が上記第1及び第2実施形態と異なっている。以下、第2実施形態との相違点を中心に説明する。先の
図1~
図10に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0095】
図11に示すように、金属ポスト70の上面全面及び側面全面を被覆するように外装めっき層80Bが形成されている。外装めっき層80Bは、シード層65の外側面65Aを露出するように形成されている。外装めっき層80Bは、金属ポスト70の上面全面を被覆する上面部81Bと、金属ポスト70の側面全面を被覆する側面部82Bとを有している。側面部82Bは、上面部81Bよりも薄く形成されている。
【0096】
上面部81Bは、金属ポスト70の上面から、めっき層83とめっき層84とめっき層85とがこの順番で積層された積層構造(ここでは、3層構造)を有している。側面部82Bは、金属ポスト70の側面全面を被覆するように形成されためっき層83のみからなる単層構造を有している。
【0097】
上面部81Bは、側面部82Bの外側面よりも外側に突出する突出部86を有している。突出部86は、上面部81Bの外周部の全周に亘って形成されている。突出部86の下面は、上面部81Bの外周部の全周に亘って金属ポスト70及び側面部82Bから露出されている。この突出部86を有する上面部81Bの平面形状(外形寸法)は、側面部82Bの平面形状(外形寸法)よりも一回り大きく形成されている。換言すると、上面部81Bの外周部は、側面部82Bの外側面から外側に張り出し、上面部81Bの下面が側面部82Bから露出する構造、いわゆるオーバーハング構造に形成されている。
【0098】
めっき層83は、金属ポスト70の側面全面及び上面全面を連続して被覆するように形成されている。めっき層83は、側面部82Bを構成する部分のめっき層83の外側面よりも外側に突出するように形成された突出部83Tを有している。めっき層83は、例えば、側面部82Bを構成する部分の厚さが、上面部81Bを構成する部分の厚さよりも薄く形成されている。
【0099】
めっき層84は、めっき層83の上面全面を被覆するとともに、めっき層83の突出部83Tの側面全面を被覆するように形成されている。めっき層84は、側面部82Bの外側面全面を露出するように形成されている。めっき層84は、突出部83Tの下面全面を露出するように形成されている。
【0100】
めっき層85は、めっき層84の上面全面及び側面全面を連続して被覆するように形成されている。めっき層85は、側面部82Bの外側面全面を露出するように形成されている。めっき層85は、突出部83Tの下面全面を露出するとともに、めっき層84の下面全面を露出するように形成されている。
【0101】
突出部86は、めっき層83の突出部83Tと、その突出部83Tの上面及び側面を被覆するめっき層84,85とによって構成されている。この突出部86では、突出部83Tの下面と、突出部83Tの側面を被覆するめっき層84,85の下面とが略面一に形成されている。
【0102】
次に、本実施形態の配線基板10の製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、最終的に配線基板10の各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
【0103】
まず、
図3(a)~
図5(b)に示した工程を実施することにより、
図12に示した構造体を得る。
図12に示した構造体では、レジスト層100の開口パターン100X内に金属ポスト70が形成されている。このとき、レジスト層100の厚さは、例えば
図5(b)に示したレジスト層100の厚さよりも薄くなるように設定されている。
【0104】
次に、
図13(a)に示す工程では、
図6(a)に示した工程と同様に、金属ポスト70及びシード層65(Cu層)に対して選択的にレジスト層100をエッチングしてレジスト層100を薄化する。これにより、金属ポスト70の側面と開口パターン100Xの内側面との間に隙間100Sが形成される。このとき、隙間100Sの大きさは、後工程で形成されるめっき層83の膜厚に合わせて設定されている。また、薄化後のレジスト層100の上面100Aが金属ポスト70の上面と同一平面上に形成される。換言すると、本工程では、所望の大きさの隙間100Sが形成されるように、且つレジスト層100の上面100Aが金属ポスト70の上面と同一平面上に位置されるように、レジスト層100を薄化する。なお、薄化前のレジスト層100の厚さは、隙間100Sの大きさに基づいて設定されるレジスト層100の薄化量を考慮して、薄化後にその上面100Aが金属ポスト70の上面と同一平面上に位置されるように設定される。
【0105】
続いて、
図13(b)に示す工程では、隙間100Sにより外部に露出された金属ポスト70の側面全面と金属ポスト70の上面全面とを被覆する外装めっき層80Bを形成する。
【0106】
まず、電解めっき法(例えば、電解Niめっき法)により、金属ポスト70の側面全面と上面全面とを連続して被覆するめっき層83を形成する。めっき層83は、隙間100Sを充填するように形成される。本例では、隙間100Sがめっき層83により充填された後も、電解Niめっき法によるめっき皮膜の析出が継続される。すると、隙間100Sに充填されためっき層83及び金属ポスト70の上面を被覆するめっき層83から等方向にめっき皮膜が析出されるため、レジスト層100の上面100Aにもめっき層83(つまり、突出部83T)が形成される。なお、突出部83Tは、レジスト層100の上面100Aに密着していない。
【0107】
続いて、電解めっき法(例えば、電解Pdめっき法)により、めっき層83の表面のうちレジスト層100から露出された部分の表面全面を被覆するようにめっき層84を形成する。次いで、電解めっき法(例えば、電解Auめっき法)により、めっき層84の表面のうちレジスト層100から露出された部分の表面全面を被覆するようにめっき層85を形成する。
【0108】
次いで、
図14に示す工程では、
図7(a)に示した工程と同様に、
図13(b)に示したレジスト層100,101をアルカリ性の剥離液により除去する。次いで、
図7(b)に示した工程と同様に、外装めっき層80Bをエッチングマスクとして、不要なシード層35,65をウェットエッチングにより除去する。
【0109】
以上説明した製造工程により、本実施形態の配線基板10を製造することができる。
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態の(1)~(4)及び第2実施形態の(5),(6)の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏することができる。
【0110】
(7)外装めっき層80Bの上面部81Bに、側面部82Bの外側面よりも外側に突出する突出部86を形成するようにした。これにより、上面部81Bの平面形状を、側面部82Bの平面形状よりも大きく形成することができるため、はんだ層93との接合面積を増大させることができる。したがって、はんだ層93と外装めっき層80B(金属ポスト70)との接続信頼性を向上させることができる。ひいては、半導体素子91の接続端子92と配線基板10の金属ポスト70との接続信頼性を向上させることができる。
【0111】
(第4実施形態)
以下、
図15~
図17に従って第4実施形態を説明する。この実施形態の配線基板10は、外装めっき層の構造が上記第1~第3実施形態と異なっている。以下、第3実施形態との相違点を中心に説明する。先の
図1~
図14に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0112】
図15に示すように、金属ポスト70の上面全面及び側面全面を被覆するように外装めっき層80Cが形成されている。外装めっき層80Cは、シード層65の外側面65Aを露出するように形成されている。外装めっき層80Cは、金属ポスト70の上面全面を被覆する上面部81Cと、金属ポスト70の側面全面を被覆する側面部82Cとを有している。側面部82Cは、上面部81Cよりも薄く形成されている。
【0113】
上面部81Cは、金属ポスト70の上面から、めっき層83とめっき層84とめっき層85とがこの順番で積層された積層構造(ここでは、3層構造)を有している。側面部82Cは、金属ポスト70の側面全面を被覆するように形成されためっき層83のみからなる単層構造を有している。
【0114】
上面部81Cは、側面部82Cの外側面よりも外側に突出する突出部86を有している。本例の突出部86の下面は、金属ポスト70の上面よりも低い位置に形成されている。
めっき層83は、金属ポスト70の側面全面及び上面全面を連続して被覆するように形成されている。めっき層83は、側面部82Cを構成する部分のめっき層83の外側面よりも外側に突出するように形成された突出部83Tを有している。本例の突出部83Tは、側面部82Cを構成するめっき層83の外側面から連続して外側に広がるように形成された大径部83Aと、その大径部83Aの上面に形成され、大径部83Aよりも小径に形成された小径部83Bとを有している。突出部83Tの側面には、大径部83Aの側面と、大径部83Aの上面と、小径部83Bの側面と、小径部83Bの上面とによって階段状の段差部87が形成されている。なお、小径部83Bの平面形状(外形寸法)は、側面部82Cの平面形状(外形寸法)よりも大きく形成されている。
【0115】
めっき層84は、めっき層83の上面全面を被覆するように形成されている。めっき層84は、めっき層83の突出部83Tにおける段差部87の表面全面を被覆するように形成されている。めっき層84は、突出部83Tの下面全面を露出するように形成されている。
【0116】
めっき層85は、めっき層84の上面全面及び側面全面を連続して被覆するように形成され、めっき層84の下面全面及び突出部83Tの下面全面を露出するように形成されている。
【0117】
突出部86は、めっき層83の突出部83Tと、その突出部83Tにおける段差部87の上面及び側面を被覆するめっき層84,85とによって構成されている。この突出部86の側面には、突出部83Tの段差部87と同様に、階段状の段差部88が形成されている。突出部86では、突出部83Tの下面と、大径部83Aの側面を被覆するめっき層84,85の下面とが略面一に形成されている。
【0118】
次に、本実施形態の配線基板10の製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、最終的に配線基板10の各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
【0119】
まず、
図3(a)~
図5(b)に示した工程を実施することにより、
図16(a)に示した構造体を得る。
図16(a)に示した構造体では、レジスト層100の開口パターン100X内に金属ポスト70が形成されている。このとき、レジスト層100の厚さは、例えば
図5(b)に示したレジスト層100の厚さよりも薄くなるように設定されている。例えば、本例のレジスト層100の厚さは、金属ポスト70の厚さと略同じ厚さに設定されている。
【0120】
次に、
図16(b)に示す工程では、
図6(a)に示した工程と同様に、金属ポスト70及びシード層65(Cu層)に対して選択的にレジスト層100をエッチングしてレジスト層100を薄化する。これにより、金属ポスト70の側面と開口パターン100Xの内側面との間に隙間100Sが形成される。このとき、隙間100Sの大きさは、後工程で形成されるめっき層83の膜厚に合わせて設定されている。また、薄化後のレジスト層100の上面100Aが金属ポスト70の上面よりも低い位置に形成される。換言すると、本工程では、所望の大きさの隙間100Sが形成されるように、且つレジスト層100の上面100Aが金属ポスト70の上面よりも低い位置に形成されるように、レジスト層100を薄化する。なお、薄化前のレジスト層100の厚さは、隙間100Sの大きさに基づいて設定されるレジスト層100の薄化量を考慮して、薄化後にその上面100Aが金属ポスト70の上面よりも低い位置に形成されるように設定される。
【0121】
続いて、
図17(a)に示す工程では、隙間100Sにより外部に露出された金属ポスト70の側面全面と金属ポスト70の上面全面とを被覆する外装めっき層80Cを形成する。
【0122】
まず、電解めっき法(例えば、電解Niめっき法)により、金属ポスト70の側面全面と上面全面とを連続して被覆するめっき層83を形成する。めっき層83は、隙間100Sを充填するように形成される。本例では、隙間100Sがめっき層83により充填された後も、電解Niめっき法によるめっき皮膜の析出が継続される。すると、隙間100Sに充填されためっき層83及び金属ポスト70の上面を被覆するめっき層83から等方向にめっき皮膜が析出されるため、レジスト層100の上面100Aにもめっき層83(つまり、突出部83T)が形成される。このとき、レジスト層100の上面100Aと金属ポスト70の上面との間に段差があるため、突出部83Tにも段差部87が形成される。なお、突出部83Tは、レジスト層100の上面100Aに密着していない。
【0123】
続いて、電解めっき法(例えば、電解Pdめっき法)により、めっき層83の表面のうちレジスト層100から露出された部分の表面全面を被覆するようにめっき層84を形成する。次いで、電解めっき法(例えば、電解Auめっき法)により、めっき層84の表面のうちレジスト層100から露出された部分の表面全面を被覆するようにめっき層85を形成する。
【0124】
次いで、
図17(b)に示す工程では、
図7(a)に示した工程と同様に、
図17(a)に示したレジスト層100,101をアルカリ性の剥離液により除去する。次いで、
図7(b)に示した工程と同様に、外装めっき層80Cをエッチングマスクとして、不要なシード層35,65をウェットエッチングにより除去する。
【0125】
以上説明した製造工程により、本実施形態の配線基板10を製造することができる。
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態の(1)~(4)と第2実施形態の(5),(6)と第3実施形態の(7)との作用効果に加えて、以下の作用効果を奏することができる。
【0126】
(8)外装めっき層80Cの上面部81Cに、側面部82Cの外側面よりも外側に突出する突出部86を形成するようにした。突出部86の側面に段差部88を形成するようにした。これにより、例えばはんだ層93を段差部88の側面(具体的には、小径部83Bの側面を被覆するめっき層85の側面)にも接合させることができるため、外装めっき層80Cとはんだ層93との接合面積を増大させることができる。したがって、はんだ層93と外装めっき層80C(金属ポスト70)との接続信頼性を向上させることができる。ひいては、半導体素子91の接続端子92と配線基板10の金属ポスト70との接続信頼性を向上させることができる。
【0127】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0128】
・上記第4実施形態では、外装めっき層80Cの突出部86の側面に階段状の段差部88を形成するようにした。これに限らず、例えば、突出部86の側面を円弧状に湾曲した湾曲面に形成するようにしてもよい。
【0129】
・上記第2~第4実施形態では、外装めっき層80A,80B,80Cの上面部81A,81B,81Cの積層構造として、金属ポスト70の上面から、Ni層であるめっき層83と、Pd層であるめっき層84と、Au層であるめっき層85とを順に積層した積層構造を採用したが、これに限定されない。例えば、上面部81A,81B,81Cの積層構造として、金属ポスト70の上面から、Ni層とAu層とを順に積層した積層構造、Ni層とPd層とAg層とを順に積層した積層構造、Ni層とPd層とAg層とAu層とを順に積層した積層構造を採用してもよい。
【0130】
・上記第2~第4実施形態では、外装めっき層80A,80B,80Cの側面部82A,82B,82Cとして、金属ポスト70の側面全面を被覆するように形成されためっき層83のみからなる単層構造を採用したが、これに限定されない。例えば、側面部82A,82B,82Cとして、複数のめっき層が積層された積層構造を採用してもよい。このような側面部82A,82B,82Cの積層構造としては、例えば、金属ポスト70の側面から、Ni層とPd層とを順に積層した積層構造、Ni層とPd層とAg層とを順に積層した積層構造を挙げることができる。
【0131】
側面部82Aの積層構造としてNi層とPd層とを順に積層した積層構造を採用した場合には、上面部81Aの積層構造として、例えば、Ni層とPd層とAu層とを順に積層した積層構造を採用することができる。また、側面部82Aの積層構造としてNi層とPd層とAg層とを順に積層した積層構造を採用した場合には、上面部81Aの積層構造として、例えば、Ni層とPd層とAg層とAu層とを順に積層した積層構造を採用することができる。これらの場合には、Au層が上面部81Aのみに形成されることになる。
【0132】
・上記各実施形態では、シード層65の外側面65Aを、外装めっき層80,80A,80B,80Cの側面部82,82A,82B,82Cの外側面と面一になるように形成したが、これに限定されない。
【0133】
例えば
図18に示すように、シード層65の外側面65Aを、外装めっき層80の側面部82の外側面よりも金属ポスト70の内側に後退するように形成してもよい。この場合には、外装めっき層80の下面の一部がシード層65から露出される。但し、この場合であっても、シード層65は、金属ポスト70の下面を露出させないように、金属ポスト70の下面全面を被覆するように形成されている。この構成によれば、シード層65が外装めっき層80の側面部82の外側面よりも外側に突出することを確実に防止できる。このため、金属ポスト70が狭ピッチ化された場合であっても、隣り合う金属ポスト70(外装めっき層80)同士が短絡することを好適に抑制できる。
【0134】
なお、上記第2~第4実施形態におけるシード層65も同様に変更することができる。
・上記各実施形態における拡散防止層60を省略してもよい。この場合には、例えば、シード層65が、開口部43Xの内面全面(具体的には、開口部43Xに露出する配線層42の上面全面と、開口部43Xの内側面全面)と、ソルダーレジスト層43の上面43Aとを連続して被覆するように形成される。
【0135】
・上記各実施形態における拡散防止層34を省略してもよい。この場合には、例えば、ソルダーレジスト層33の開口部33Xから露出する配線層32の下面(つまり、外部接続用パッドP1)に外部接続端子96が形成される。
【0136】
・上記各実施形態では、シード層35,65を無電解めっき法(例えば、無電解銅めっき法)により形成するようにしたが、これに限定されない。例えば、シード層35,65を、スパッタ法や蒸着法などにより形成するようにしてもよい。
【0137】
・上記各実施形態では、シード層35,65を単層構造のシード層に具体化したが、シード層35,65を積層構造(例えば、2層構造)のシード層に具体化してもよい。2層構造のシード層35,65としては、例えば、チタン(Ti)層とCu層とを順に積層した構造を有するシード層を挙げることができる。
【0138】
・上記各実施形態の配線基板10に、半導体素子91の代わりに、チップコンデンサ、チップ抵抗やチップインダクタ等のチップ部品や水晶振動子などの半導体チップ91以外の電子部品を実装するようにしてもよい。
【0139】
・上記各実施形態の配線基板10において、配線層32,42よりも内層の構造については特に限定されない。すなわち、配線基板10は、少なくとも、配線層32,42が基板内部を通じて相互に電気的に接続された構造を有していれば十分であるため、配線層32,42の内層の構造については特に限定されない。例えば、コア基板21の構造及び材質は特に限定されない。また、コア基板21上に形成される下層配線(例えば、配線23,24)とその下層配線を覆う絶縁層(例えば、絶縁層25,26)の層数についても特に限定されない。また、基板本体20の上面及び下面に積層される配線層及び絶縁層の層数についても特に限定されない。あるいは、配線基板10を、コア基板21を有するコア付きビルドアップ基板に代えて、コア基板21を含まないコアレス基板としてもよい。
【符号の説明】
【0140】
10 配線基板
42 配線層
43 ソルダーレジスト層(絶縁層)
50 配線層
51 ビア配線
52 接続端子
60 拡散防止層
65 シード層
70 金属ポスト
80,80A,80B,80C 外装めっき層
81,81A,81B,81C 上面部
82,82A,82B,82C 側面部
83 めっき層(第1めっき層)
84,85 めっき層(第2めっき層)
86 突出部
88 段差部
90 半導体装置
91 半導体素子
100 レジスト層
100S 隙間
100X 開口パターン