(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】油脂配送管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/083 20240101AFI20240205BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
G06Q10/083
B65G61/00 542
(21)【出願番号】P 2020107084
(22)【出願日】2020-06-22
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武藤 則満
(72)【発明者】
【氏名】勢田 務
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-123887(JP,A)
【文献】特開2019-117595(JP,A)
【文献】特開2008-056394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G61/00
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクに貯留された油脂を配送用の車両を用いて配送先に配送するための油脂配送管理システムであって、
前記油脂の油種別に関する油種別情報、前記油脂の注文量に関する油脂量情報、前記油脂の注文日に関する注文日情報、および前記配送先に関する配送先情報を含む注文情報、前記タンクの使用状況および前記タンクの洗浄状況を含む前記タンクの管理状況に関するタンク管理情報、ならびに前記タンクに前記油脂を注入する場所となる配送元に関する配送元情報をそれぞれ管理する管理端末と、
前記車両の使用状況を含む前記車両の管理状況に関する車両管理情報、ならびに前記車両の管理および前記タンクの保管を行う配送センターに関する配送センター情報をそれぞれ管理する配送端末と、
前記管理端末および前記配送端末のそれぞれと通信ネットワークを介して接続された管理サーバと、を備え、
前記管理サーバは、
前記管理端末から送信される前記注文情報、前記タンク管理情報、および前記配送元情報と、前記配送端末から送信される前記車両管理情報および前記配送センター情報と、に基づいて作成される前記車両の配送スケジュールに関する情報を配送管理情報として記憶し、
前記配送先への前記油脂の配送の完了に関する配送完了情報を取得した場合、前記注文情報の中の未処理の注文に対して前記タンクを再利用することが可能であるか否かを判定し、
前記タンクを再利用することが可能であると判定された場合
、新たな
前記油脂の配送に係る前記配送元情報に基づいて前記配送管理情報を更新し、
前記タンクを再利用することが不可であると判定された場合、前記タンクを洗浄済みである洗浄済みタンクに積み替えるための配送センターに関する情報に基づいて前記配送管理情報を更新する
ことを特徴とする油脂配送管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の油脂配送管理システムであって、
前記管理サーバは、
前記タンクを再利用することが不可であると判定され、前記タンクを用いる必要のない一般貨物に関する情報を取得した場合、前記一般貨物を保管している配送センターに関する情報に基づいて前記配送管理情報を更新する
ことを特徴とする油脂配送管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクに貯留された油脂を配送用の車両を用いて配送先に配送するための油脂配送管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、荷物の配送業務を効率的に行うための配送システムの構築が求められており、例えば、特許文献1には、配送センターから出荷される荷物を積載する配送トラックを第1の配送トラックとし、配送業者の管理する地域の地区を巡回する配送トラックを第2の配送トラックとし、他の地区を巡回する配送トラックを第3のトラックとし、配送業者の異なる地域の地区を巡回する配送トラックを第4のトラックとして、第1~第4の配送トラック同士間で荷物の積み替えを順次繰り返し、顧客への荷物の配送の効率化を図るための配送システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配送を効率化することは、様々な荷物の配送において共通する課題である。例えば、油脂の配送業務に対して、特許文献1に記載の配送システムを適用することも想定される。しかし、油脂の配送においては、他の荷物とは異なる事情を考慮する必要がある。油脂などの液体を配送するときには、液体を保持可能な容器(タンク)に油脂を貯留して移動させるが、この場合には、タンクを搭載した配送車両を用いることになる。
【0005】
油脂を顧客へ配送および納品した配送車両に搭載されたタンクは、空になるが、次の配送業務に用いる場合には、空となったタンクを原則洗浄する必要がある。そのため、仮に、特許文献1の配送システムを油脂の配送に適用するならば、同種の油の積み替えに限定され、効率化を実現することは困難である。
【0006】
また、タンクの洗浄作業は、油脂で共洗いを行い、油の種類によってはさらに温水洗浄を行った上で、乾燥させるため、少なくとも1~2日間程度を要する。タンクの洗浄および乾燥が完了するまでは、当該タンクを搭載している配送車両を稼働させることができない。したがって、一旦、配送および納品をした後にすぐに次の配送などを行うことができる一般貨物の配送を想定した特許文献1のような配送システムを油脂の配送に適用するには課題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、油脂の配送において、配送車両を効率的に稼働させることが可能な油脂配送管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、タンクに貯留された油脂を配送用の車両を用いて配送先に配送するための油脂配送管理システムであって、前記油脂の油種別に関する油種別情報、前記油脂の注文量に関する油脂量情報、前記油脂の注文日に関する注文日情報、および前記配送先に関する配送先情報を含む注文情報、前記タンクの使用状況および前記タンクの洗浄状況を含む前記タンクの管理状況に関するタンク管理情報、ならびに前記タンクに前記油脂を注入する場所となる配送元に関する配送元情報をそれぞれ管理する管理端末と、前記車両の使用状況を含む前記車両の管理状況に関する車両管理情報、ならびに前記車両の管理および前記タンクの保管を行う配送センターに関する配送センター情報をそれぞれ管理する配送端末と、前記管理端末および前記配送端末のそれぞれと通信ネットワークを介して接続された管理サーバと、を備え、前記管理サーバは、前記管理端末から送信される前記注文情報、前記タンク管理情報、および前記配送元情報と、前記配送端末から送信される前記車両管理情報および前記配送センター情報と、に基づいて作成される前記車両の配送スケジュールに関する情報を配送管理情報として記憶し、前記配送先への前記油脂の配送の完了に関する配送完了情報を取得した場合、前記注文情報の中の未処理の注文に対して前記タンクを再利用することが可能であるか否かを判定し、前記タンクを再利用することが可能であると判定された場合、新たな前記油脂の配送に係る前記配送元情報に基づいて前記配送管理情報を更新し、前記タンクを再利用することが不可であると判定された場合、前記タンクを洗浄済みである洗浄済みタンクに積み替えるための配送センターに関する情報に基づいて前記配送管理情報を更新することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、油脂の配送において、配送車両を効率的に稼働させることができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る油脂配送管理システムの一構成例を示すシステム構成図である。
【
図2】第1実施形態に係る油脂配送管理システムが有する機能を示す機能ブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る油脂配送管理システムの処理のうち、前半の処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図4】第1実施形態に係る油脂配送管理システムの処理のうち、タンクを再利用することができる場合における後半の処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図5】第1実施形態に係る油脂配送管理システムの処理のうち、タンクを再利用することができない場合における後半の処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図6】第1実施形態に係る油脂配送管理システムの処理のうち、タンクを再利用することができない場合における後半の処理の他の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】第1実施形態に係る油脂配送管理システムによって管理される車両の動きの一例を説明する説明図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る油脂配送管理システムの一構成例を示すシステム構成図である。
【
図9】第2実施形態に係る油脂配送管理システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図10】第2実施形態に係る油脂配送管理システムによって管理されるα車両およびβ車両の動きの一例を説明する説明図である。
【
図11】管理サーバのハードウェア構成の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の各実施形態に係る油脂配送管理システムは、液体の油脂を着脱可能なタンクが搭載された配送用の車両を用いて配送先へ届けるためのシステムである。ここで、「油脂」とは、例えば、菜種油、大豆油、コーン油、パーム油、アマニ油などの植物油脂、牛脂、豚脂、鶏油などの動物油脂、および中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成油脂、ならびにこれらの油脂にエステル交換、水素添加、分別からなる群から選ばれる1または2以上の加工がなされた加工油脂などであって、揚げ物や焼き物などの調理向け用途、マヨネーズなどの加工向け用途、あるいはインクなどの工業向け用途として用いられる。
【0012】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る油脂配送管理システム1について、
図1~7を参照して説明する。
【0013】
(油脂配送管理システム1の全体構成)
まず、油脂配送管理システム1の全体構成について、
図1を参照して説明する。
【0014】
図1は、第1実施形態に係る油脂配送管理システム1の一構成例を示すシステム構成図である。
【0015】
油脂配送管理システム1は、例えば油脂を製造および油脂の注文に基づく配送の管理などの主体となる油脂メーカーの拠点の一つである管理センター内に設置されて注文状況や配送状況を確認することが可能な管理端末としての管理センター端末21と、同管理センター内または通信ネットワークNを介して通信可能な拠点に設置されて注文に対する具体的な情報処理を行う管理サーバ22と、油脂を貯留するタンク30の保管および配送用の車両40の管理などの主体となる配送センターに設置された配送端末としての配送センター端末23と、を備える。
【0016】
また、本実施形態では、車両40には、車載端末24と、タンク30の着脱状態を検出する着脱センサ25と、が備えられていて、車載端末24と着脱センサ25とは通信可能に接続されている。車載端末24には、例えば、携帯可能なタブレット式の入出力端末を用いてもよいし、予め車両40内に搭載された入出力端末であってもよい。また、着脱センサ25には、例えば、タンク30の着脱のタイミングで信号を出力することが可能なスイッチなどが用いられる。
【0017】
これらの油脂配送管理システム1を構成する管理センター端末21、管理サーバ22、および配送センター端末23、ならびに車両40側に設けられた車載端末24および着脱センサ25は、例えばインターネット回線などの通信ネットワークNを介して、直接的にまたは間接的に互いに情報通信可能に接続されている。
【0018】
(管理サーバ22のハードウェア構成)
ここで、管理サーバ22のハードウェア構成について、
図11を参照して説明する。
【0019】
図11は、管理サーバ22のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
【0020】
管理サーバ22は、一般的なコンピュータと同などの機能を備える情報処理機器であって、CPU(Central Processing Unit)2201、RAM(Random Access Memory)2202、ROM(Read Only Memory)2203、HDD(Hard Disk Drive)2204、およびI/F(Interface)2205が、共通バス2206を介してそれぞれ接続されている。
【0021】
また、I/F2205は、通信ネットワークNとの接続インターフェースであって、他の装置(配送センター端末23など)との情報通信を実現する通信モジュール2207、キーボードやマウスなどの入力デバイス2208、ユーザインタフェースを表示するディスプレイ2209などが接続されている。
【0022】
CPU2201は、演算手段であり、管理サーバ22の全体の動作を制御する。RAM2202は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU2201が画像情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM2203は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェアなどのプログラムが格納されている。HDD2204は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や後述する各種の情報処理を実行するための制御プログラムおよびアプリケーションプログラムなどが格納される。
【0023】
なお、HDD2204には、後述するデータベースも構築されるので、情報の格納および管理の機能を実現するものであれば、デバイスの種類は問わず、SSD(Solid State Drive)などで代用することも可能な構成である。
【0024】
I/F2205は、共通バス2206と各種のハードウェアやネットワークなどを接続し制御する。
【0025】
以上のハードウェア構成を備える管理サーバ22は、ROM2203に格納された制御用プログラムや、HDD2204などの記憶媒体からRAM2202にロードされた制御プログラムおよびアプリケーションプログラムをCPU2201が備える演算機能によって処理機能を実現する情報処理装置である。これら情報処理の実行によって、管理サーバ22の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、上述した構成を含むハードウェア資源との組み合わせによって、本実施形態に係る管理サーバ22の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0026】
なお、管理センター端末21や配送センター端末23も、管理サーバ22と同様のハードウェア構成を備えている。また、車載端末24も、管理サーバ22が備えるハードウェア構成と同様の構成を含み、さらに、位置を特定することができるGPS(Global Positioning System)に対応する構成を含むものである。これら各構成は、それぞれが備える記憶媒体に記憶されている制御プログラムおよびアプリケーションプログラムの実行によって、本実施形態に係る管理センター端末21、配送センター端末23、および車載端末24の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0027】
(油脂配送管理システム1の機能構成)
次に、油脂配送管理システム1の機能構成について、
図2を参照して説明する。
【0028】
図2は、第1実施形態に係る油脂配送管理システム1が有する機能を示す機能ブロック図である。
【0029】
管理センター端末21は、通信部210と、受信部211と、選定部212と、記憶部212Aと、送信部213と、表示部214と、を含む。
【0030】
受信部211は、油脂の油種別に関する油種別情報、油脂の注文量に関する油脂量情報、油脂の注文日に関する注文日情報、油脂の配送依頼者に関する配送依頼者情報としての顧客情報、および油脂の配送先の場所に関する配送先情報を含む注文情報、ならびにタンク30の使用状況およびタンク30の洗浄状況を含むタンクの管理状況に関するタンク管理情報を受信する。
【0031】
なお、受信部211は、管理センター端末21に直接的に入力されたデータを注文情報やタンク管理情報として受け付ける他、通信ネットワークNを介して遠隔地にある別の端末から管理センター端末21に送信されたデータを注文情報やタンク管理情報として受信する場合もある。
【0032】
「油種別情報」とは、例えば菜種油や牛脂といった油脂の種類に関する情報である。原則、ある種の油脂を配送した後のタンク30は、一旦洗浄作業を行って、配送した油脂を洗い落とした後でなければ、再び油脂を貯留させることはできない。しかしながら、例えば、前回の配送に係る油脂と次回の配送に係る油脂とが同種である場合、すなわち、配送した油脂の種別と次に配送対象となる油脂の種別とが同一であれば、配送に使用したタンク30の洗浄を省略して次の配送に再利用することが可能な場合もある。したがって、タンク30の洗浄作業が必要か否か、すなわちタンク30を再利用することが可能か否かを判断する際に、配送する油脂の種類に関する情報が必要となる。
【0033】
「顧客情報」とは、油脂の配送を依頼した配送依頼者としての顧客の名前や、発注された油脂の希望納期に関する情報である。「配送先情報」とは、例えば、顧客が管轄する具体的な店舗など、発注された油脂を実際に配送すべき配送先となる場所に関する情報である。
【0034】
また、受信部211は、注文情報の他に、油脂の配送完了に関する情報およびタンク30の再利用の可否に関する情報をそれぞれ受信する。これらの配送完了情報およびタンク再利用可否情報はいずれも、管理サーバ22から送信される。
【0035】
選定部212は、受信部211にて受信された注文情報に基づいて、記憶部212Aに記憶された工場データベースの中から、今回の注文に係る油脂をタンク30に注入することが可能な工場を選定する。
【0036】
本実施形態では、油脂を製造および管理するメーカーが、異なる数種類の油脂をそれぞれ製造および管理する工場を複数有し、これら複数の工場のそれぞれが油脂の配送元となり得るものとする。ただし、配送元は、特定のメーカーに限定されるものではなく、異なる複数のメーカーが管理する工場が配送元となることもある。配送元は、注文ごとに特定されるものである。なお、今回の注文に係る油脂を製造および管理する工場が複数ある場合には、選定部212が、顧客情報や配送先情報に基づいて最も適した工場を配送元として選定する。
【0037】
送信部213は、受信部211にて受信された注文情報および選定部212において選定された工場の場所に関する情報(例えば住所)を、確定した注文情報として管理サーバ22に送信する。また、送信部213は、受信部211にて受信されたタンク管理情報、および選定部212にて選定された工場に関する情報についても管理サーバ22に送信する。
【0038】
表示部214は、受信部211にて受信された注文情報、タンク管理情報、配送完了情報、タンク再利用可否情報、および選定部212にて選定された工場に関する情報をそれぞれ、管理センター端末21のモニタなどに表示させる。
【0039】
管理サーバ22は、通信部220と、受信部221と、DB更新部222と、DB記憶部222Aと、判定部223と、送信部224と、を含む。なお、「DB」とは、「データベース」の略であって、以下の説明において、「データベース」を「DB」とする場合がある。
【0040】
受信部221は、管理センター端末21から送信される注文情報、配送センター端末23から送信される照会結果に関する情報、車載端末24から送信される車両40の現在位置に関する情報、および着脱センサ25から送信されるタンク30の着脱状態に関する情報をそれぞれ受信する。なお、着脱センサ25は車載端末24を介して情報を送信してもよい。
【0041】
DB記憶部222Aには、注文DB、貨物DB、および配送管理DBがそれぞれ記憶されており、これら注文DB、貨物DB、および配送管理DBはいずれも、DB更新部222によって更新される。
【0042】
「注文DB」は、管理センター端末21から受信した注文情報に基づいて構築されるデータベースであり、管理サーバ22が、管理センター端末21から確定した注文情報を受信した場合や、車載端末24から配送完了に係る情報を受信した場合に更新される。
【0043】
「貨物DB」は、車両40が配送する貨物(タンク30に貯留された油脂を含む貨物全般)に関する情報に基づいて構築されるデータベースであり、管理サーバ22が、管理センター端末21から確定した注文情報を受信した場合に注文DBと共に更新される。
【0044】
「配送管理DB」は、注文状況、タンク30の管理状況、および車両40の管理状況に関する情報に基づき、車両の配送スケジュールに関する情報(配送管理情報)として構築されるデータベースであり、管理サーバ22が、管理センター端末21からタンク管理情報(タンク30の使用状況や洗浄状況)や確定した注文情報を受信した場合、配送センター端末23から車両40の使用状況(空き状況)に関する情報(車両管理情報)を受信した場合に更新される。
【0045】
「配送スケジュール」は、主に、管理センター端末21から送信される注文情報、タンク管理情報、および配送元情報と、配送センター端末23から送信される車両管理情報および配送センター情報と、車載端末24から送信される現在位置情報と、着脱センサ25からのタンク30の着脱情報と、に基づいて管理サーバ22内で作成される。
【0046】
なお、配送スケジュールの作成にあたっては、車載端末24から送信される現在位置情報および着脱センサ25からのタンク30の着脱情報は必須ではない。例えば、配送を終えた車両40が配送センターへ戻って納品完了に関する情報を配送センター端末23に入力し、その情報が管理サーバ22に送信されることで、管理サーバ22は車両40の配送完了に関する情報に基づいて配送スケジュールを作成することが可能である。
【0047】
判定部223は、車載端末24から送信される現在位置情報に基づいて、工場や配送先、配送センターといった目的地に車両40が到着したか否かを判定する。
【0048】
また、判定部223は、配送完了後に更新された注文DBから取得した未処理の注文情報に基づいて、使用済みのタンク30を次の配送でそのまま再利用することが可能であるか否かを判定する。この場合において、判定部223は、車載端末24から送信された現在位置情報に基づき車両40の現在位置から遠く離れていない配送先を次の配送先の候補と判定した上で、使用済みのタンク30の再利用可否を判定するとなお良い。
【0049】
送信部224は、判定部223にて判定された結果に基づいて、タンク再利用可否情報および配送完了情報を管理センター端末21に対して送信する。また、送信部224は、車両40に関する情報の照会に関する信号を配送センター端末23に対して送信する。さらに、送信部224は、車両40が向かうべき目的地(工場、配送先、および配送センター)を指示する信号を車載端末24に対して送信する。
【0050】
配送センター端末23は、通信部230と、受信部231と、検索部232と、送信部233と、表示部234と、を含む。
【0051】
受信部231は、管理サーバ22から送信される車両40に関する情報の照会に関する信号を受信する。検索部232は、受信部231にて受信された車両40の空き状況の問い合わせに関する情報に基づいて、管轄範囲内の各配送センターにおける車両40の使用状況を検索する。送信部233は、検索部232において検索された結果を管理サーバ22に対して送信する。表示部234は、各配送センターで保管されているタンク30および管理されている車両40の現在の状況を、配送センター端末23のモニタなどに表示させる。
【0052】
車載端末24は、通信部240と、受信部241と、GPS242と、送信部243と、表示部244と、を含む。
【0053】
受信部241は、管理サーバ22から送信される目的地に関する指示情報を受信する。GPS242は、車両40の現在位置を取得する。送信部243は、GPS242で取得された現在位置情報を管理サーバ22に対して送信する。また、送信部243は、着脱センサ25が発信する信号を管理サーバ22に対して送信する。表示部244は、受信部241で受信された目的地の場所に関する情報、GPS242で取得された現在位置、および目的地までの距離などを、車載端末24のモニタなどに表示させる。
【0054】
なお、車載端末24には、着脱センサ25とのインターフェース機能も備えられており、当該インターフェースを介して着脱センサ25からの信号を受け取り、上記のように送信部243を介して管理サーバ22に着脱センサ25からの信号を送信する。なお、着脱センサ25からの信号には、タンク30が、車両40に対して所定の態様で取り付けられているか、または取り外されているかを区別する情報が含まれる。
【0055】
管理センター端末21、管理サーバ22、配送センター端末23、および車載端末24に含まれる通信部210,220,230,240はいずれも、通信ネットワークNを介して相互に情報通信を行うためのインターフェースを含む機能を提供する。
【0056】
(油脂配送管理システム1における処理)
次に、油脂配送管理システム1において実行される処理の流れについて、
図3~6を参照して説明する。
【0057】
なお、以下の説明は、管理センター端末21および管理サーバ22の管理をする主体と配送センター端末23の管理をする主体とが、別の主体である状況として想定したものである。管理センター端末21および管理サーバ22の管理をする主体と配送センター端末23の管理をする主体とは、同一主体であっても構わない。また、管理センター端末21と管理サーバ22とは同一の拠点にあって同一のハードウェアによって機能を提供するように構成されてもよい。
【0058】
図3は、第1実施形態に係る油脂配送管理システム1の処理のうち、前半の処理の一例を示すシーケンス図である。
図4は、第1実施形態に係る油脂配送管理システム1の処理のうち、タンク30を再利用することができる場合における後半の処理の一例を示すシーケンス図である。
図5は、第1実施形態に係る油脂配送管理システム1の処理のうち、タンク30を再利用することができない場合における後半の処理の一例を示すシーケンス図である。
図6は、第1実施形態に係る油脂配送管理システム1の処理のうち、タンク30を再利用することができない場合における後半の処理の他の一例を示すシーケンス図である。
【0059】
図3に示すように、本実施形態に係る油脂配送管理システム1では、まず、管理センター端末21が、受信した注文情報に基づいて油脂を注入する工場を選定し、注文情報に工場選定に係る情報を関連付ける。これを「注文の確定」または「注文確定」と表記する。注文確定に係る信号、すなわち確定された注文に関する情報を管理サーバ22に送信する(ステップS201)。
【0060】
次に、管理サーバ22は、ステップS201において送信された情報に基づいて、注文DBおよび貨物DBをそれぞれ更新する(ステップS202,S203)。続いて、管理サーバ22は、空きの車両40に関する情報を配送センター端末23に照会する(ステップS204)。
【0061】
配送センター端末23は、ステップS204における管理サーバ22からの照会に対して、空きの車両40が管理されている配送センターを検索し、その結果を照会結果として管理サーバ22に対して送信する(ステップS205)。また、管理センター端末21は、タンク30の管理状況に関するタンク管理情報を管理サーバ22に対して送信する(ステップS205A)。
【0062】
管理サーバ22は、ステップS205において送信された照会結果およびステップS205Aにおいて送信されたタンク管理情報に基づいて、配送管理DBを更新する(ステップS206)。続いて、管理サーバ22は、ステップS205において検索された車両40の車載端末24に対し、移動先となる工場の住所情報を含む移動先情報を送信する(ステップS207)。
【0063】
車載端末24は、GPS242で取得された車両40の現在位置を管理サーバ22に対して送信する(ステップS208)。管理サーバ22は、この車両40の現在位置に係る情報とステップS207において送信した移動先情報とを比較する。この比較処理において、車両40の現在位置が移動先である工場に相当する位置に到達したと判定した場合に、管理サーバ22は、車載端末24に対し、向かうべき配送先の住所情報を含む配送先情報を送信する(ステップS209)。
【0064】
なお、ステップS208およびステップS209の処理が実行される途中において、車両40に搭載されているタンク30に対し、配送対象物である油脂が注入される。タンク30への油脂の注入が完了するころには、車載端末24に、ステップS209が実行されて配送先情報が送信される。その後は、ステップS208と同様に、GPS242で取得された車両40の現在位置が車載端末24から管理サーバ22に対して送信される(ステップS210)。
【0065】
管理サーバ22は、ステップS210において送信された車両40の現在位置に係る情報とステップS209において送信された配送先情報とを比較し、車両40の現在位置が配送先に相当する位置に到達したと判定した場合に、管理センター端末21に対し、ステップS201に係る注文の配送完了に関する情報を送信し(ステップS211)、注文DBに格納されている当該注文の状態を示す情報を「配送完了」へと更新する(ステップS212)。
【0066】
なお、ステップS211では、配送センター端末23から送信される納品完了に関する情報に基づいて、管理センター端末21に対してステップS201に係る注文の配送完了に関する情報を送信してもよい。以下、配送完了に関する情報を送信するステップについては同様である。
【0067】
続いて、管理サーバ22は、ステップS212において更新された注文DBの中から未処理の注文に関する情報を取得し(ステップS213)、未処理の注文において使用済みのタンク30を再利用することが可能であるか否かを判定し、その結果を管理センター端末21に対して送信する(ステップS214)。
【0068】
管理センター端末21は、ステップS214において送信された判定結果に基づいて、次の配送に係る注文を確定し、確定された注文に関する情報を管理サーバ22に送信する(ステップS215)。管理サーバ22は、ステップS215において送信された情報に基づいて、注文DBおよび貨物DBをそれぞれ更新する(ステップS216,S217)。
【0069】
図4に示すように、管理サーバ22において使用済みのタンク30をそのまま再利用することが可能であると判定された場合、すなわち、ステップS213において取得された未処理の注文の中に前回の配送に係る油脂と同種の油脂の注文があった場合、管理サーバ22は、配送管理DBを更新した上で(ステップS218)、車載端末24に対し、次に向かうべき工場を指示する(ステップS219)。したがって、車両40は、前回の注文に係る配送先から、次の注文に係る油脂を注入するための工場へ直接移動することになる。
【0070】
車載端末24は、ステップS208と同様に、GPS242で取得された車両40の現在位置を管理サーバ22に対して送信し(ステップS220)、管理サーバ22は、ステップS220において送信された車両40の現在位置が指示した工場の場所となった場合に、ステップS209と同様に、車載端末24に対し、次に向かうべき配送先を指示する(ステップS221)。
【0071】
そして、車載端末24は、ステップS220と同様に、GPS242で取得された車両40の現在位置を管理サーバ22に対して送信し(ステップS222)、管理サーバ22は、ステップS222において送信された車両40の現在位置が指示した配送先の場所となった場合に、管理センター端末21に対し、ステップS215に係る注文の配送完了に関する情報を送信する(ステップS223)。
【0072】
一方、
図5に示すように、管理サーバ22において使用済みのタンク30をそのまま再利用することは不可であると判定された場合(例えば、ステップS213において取得された未処理の注文の中に前回の配送に係る油脂と同種の油脂の注文がない場合や、ステップS213において取得された未処理の注文の中に前回の配送に係る油脂と同種の油脂の注文があってもタンク30を洗浄に回す必要がある場合など)、管理サーバ22は、洗浄済みのタンク30に関する情報を管理センター端末21に照会する(ステップS224)。
【0073】
管理センター端末21は、ステップS224における管理サーバ22からの照会に対して、洗浄済みの空きのタンク30が保管されている配送センターを検索し、その結果を照会結果として管理サーバ22に対して送信する(ステップS225)。
【0074】
管理サーバ22は、ステップS225において送信された照会結果に基づいて、配送管理DBを更新する(ステップS226)。続いて、管理サーバ22は、車載端末24に対し、洗浄済みタンク30が保管されている配送センターを移動先として指示する(ステップS227)。
【0075】
車載端末24は、GPS242で取得された車両40の現在位置を管理サーバ22に対して送信し(ステップS228)、この現在位置が移動先として指示された配送センターの場所に相当したとき、続いて、車両40からタンク30が取り外される。タンク30が車両40から取り外されると着脱センサ25から、使用済みタンク30の取り外しに関する信号が管理サーバ22に送信される(ステップS229)。
【0076】
続いて、車両40に洗浄済みタンク30が取り付けられる。その結果、着脱センサ25から洗浄済みタンク30の車両40への設置に関する信号が管理サーバ22に送信される(ステップS230)。これにより、管理サーバ22は、車両40において使用済みタンク30から洗浄済みタンク30への積み替えが完了した旨の情報を取得することができる。
【0077】
また、管理サーバ22は、使用済みタンク30の取り外しに関する信号の受信をトリガーとして、当該信号に係る使用済みタンク30に関して、再利用可能時期を管理するための処理を並列的に実行する。使用済みタンク30には、洗浄および乾燥を要する休止期間が設定される。そこで、管理サーバ22は、使用済みタンク30ごとに取り外しに関する信号の受信後の経過時間を監視して、経過時間が休止期間を超えたときに、再利用可能になったものとして管理する。
【0078】
そして、管理サーバ22は、車載端末24に対し、次に向かうべき工場を指示する(ステップS231)。この工場にて、例えば、前回の配送に係る油脂とは異なる種類の油脂が洗浄済みタンク30に注入される。
【0079】
車載端末24は、ステップS208と同様に、GPS242で取得された車両40の現在位置を管理サーバ22に対して送信し(ステップS232)、管理サーバ22は、ステップS232において送信された車両40の現在位置が指示した工場の場所となった場合に、ステップS209と同様に、車載端末24に対し、次に向かうべき配送先を指示する(ステップS233)。
【0080】
そして、車載端末24は、ステップS232と同様に、GPS242で取得された車両40の現在位置を管理サーバ22に対して送信し(ステップS234)、管理サーバ22は、ステップS234において送信された車両40の現在位置が指示した配送先の場所となった場合に、管理センター端末21に対し、ステップS215に係る注文の配送完了に関する情報を送信する(ステップS235)。
【0081】
なお、
図6に示すように、例えば、ステップS213において取得された未処理の注文の中にタンク30を用いた配送が必要となる注文がない(あるいは、車両40が移動可能なエリア内における油脂の注文がない)場合など、管理サーバ22において使用済みのタンク30をそのまま再利用することは不可であると判定された場合、管理サーバ22は、ステップS215において確定された注文に基づく一般貨物に関する情報を配送センター端末23から取得し(ステップS236)、貨物DBおよび配送管理DBを更新する(ステップS237,238)なお、「一般貨物」とは、タンク30に貯留して配送する必要のない貨物をいい、例えば、一斗缶に貯留された油脂や家庭向け販売用ボトルに入った食用油などの油脂も含む。
【0082】
続いて、管理サーバ22は、車載端末24に対し、確定された注文に係る一般貨物が管理されている配送センターを指示する(ステップS239)。車載端末24は、GPS242で取得された車両40の現在位置を管理サーバ22に対して送信し(ステップS240)、この現在位置が指示した配送センターの場所となると、続いて、着脱センサ25から、使用済みタンク30の取り外しに関する信号が管理サーバ22に送信される(ステップS241)。続いて、着脱センサ25は、一般貨物用のコンテナの車両40への設置に関する信号を管理サーバ22に送信する(ステップS242)。これにより、管理サーバ22は、車両40において使用済みタンク30から一般貨物用のコンテナへの積み替えが完了した旨の情報を取得することができる。
【0083】
そして、管理サーバ22は、車載端末24に対し、一般貨物用のコンテナに積み込まれた一般貨物の配送先を指示する(ステップS243)。車載端末24は、GPS242で取得された車両40の現在位置を管理サーバ22に対して送信し(ステップS244)、管理サーバ22は、ステップS244において送信されてきた車両40の現在位置が指示した配送先の場所となった場合に、管理センター端末21に対し、ステップS215に係る注文の配送完了に関する情報を送信する(ステップS245)。
【0084】
(車両40の動き)
次に、油脂配送管理システム1によって管理される車両40の動きの一例について、
図7を参照して説明する。
【0085】
図7は、第1実施形態に係る油脂配送管理システム1によって管理される車両40の動きの一例を説明する説明図である。
図7において、洗浄済みの空のタンク30を白抜きで、油脂が貯留されている状態のタンク30をハッチングで、使用済みの空のタンク30を砂地で、それぞれ示している。
【0086】
まず、X配送センターで管理されている車両40は、同じくX配送センターで管理されている洗浄済みの空のタンク30Xを搭載した状態で、初回の配送に係る配送元のA工場へ移動する。
【0087】
次に、A工場において洗浄済みの空のタンク30X内に油脂OXが注入され、油脂OXを積んだ車両40は、初回の配送に係る配送先であるP顧客へ移動する。そして、車両40は、P顧客において油脂OXを納品し、空になった使用済みのタンク30Xを積んだ状態で、P顧客の近くに位置するY配送センターへ移動する。
【0088】
車両40がY配送センターに到着すると、使用済みのタンク30Xは車両40から取り外されて洗浄作業に回され、新しい洗浄済みの空のタンク30Yに積み替えられる。新しいタンク30Yを搭載した車両40は、2回目の配送に係る配送元のB工場へ移動する。なお、B工場は、Y配送センターの近くに位置している。
【0089】
次に、B工場において洗浄済みの空のタンク30Y内に油脂OYが注入され、油脂OYを積んだ車両40は、2回目の配送に係る配送先であるQ顧客へ移動する。そして、車両40は、Q顧客において油脂OYを納品し、空になった使用済みのタンク30Yを積んだ状態で、Q顧客の近くに位置するZ配送センターへ移動する。
【0090】
車両40がZ配送センターに到着すると、使用済みのタンク30Yは車両40から取り外されて洗浄作業に回され、一般貨物用のコンテナに積み替えられる。一般貨物用のコンテナを搭載した車両40は、3回目の配送として一般貨物の配送を行う。
【0091】
このように、油脂配送管理システム1では、P顧客で油脂OXの納品を終えた車両40は、X配送センターへ戻らずに(
図7において×印で示す)P顧客の近くに位置するY配送センターへ向かい、Y配送センターにて使用済みタンク30Xから洗浄済みタンク30Yに積み替えられる。これにより、車両40は、次回の配送に係る注文が、P顧客へ納品した油脂OXと異なる種類の油脂OYであっても、いったんX配送センターへ戻って使用済みタンク30Xの洗浄作業を待つことなく、次回の配送業務を続けて行うことが可能となる。
【0092】
また、車両40がQ顧客での油脂OYの納品を終えた時点で、次回の油脂の配送要請がなく、他方で、車両40の現在位置の近くで一般貨物の配送要請がある場合には、車両40は、Y配送センターへ戻らずにQ顧客の近くに位置するZ配送センターへ向かい、Z配送センターにて使用済みタンク30Yから一般貨物用のコンテナに積み替えられる。すなわち、車両40は、タンク30を用いた油脂の配送業務がない場合には、一般貨物の配送業務にも対応することが可能となっている。
【0093】
油脂の配送では、原則、油脂を貯留するタンク30を洗浄する作業が発生し、タンク30が車両40と一体になっている場合には、車両40はタンク30の洗浄作業が終わるまで次の配送を行うことができない。しかしながら、タンク30を取り外すことが可能な車両40であって、かつ複数のタンク30を複数の配送センターで共有して使い回すことにより、タンク30の洗浄作業中に車両40を待機させることなく効率的に稼働させることができる。
【0094】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る油脂配送管理システム1Aについて、
図8~10を参照して説明する。
【0095】
図8は、第2実施形態に係る油脂配送管理システム1Aの一構成例を示すシステム構成図である。
図9は、第2実施形態に係る油脂配送管理システム1Aの処理の一例を示すシーケンス図である。
図10は、第2実施形態に係る油脂配送管理システム1Aによって管理されるα車両40Aおよびβ車両40Bの動きの一例を説明する説明図である。
図8~10において、第1実施形態に係る油脂配送管理システム1について説明したものと共通する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0096】
図8に示すように、本実施形態に係る油脂配送管理システム1Aは、管理センター端末21と、管理サーバ22と、配送センター端末23と、α車両40Aに搭載されたα車載端末24Aと、α車両40Aに対するタンク30Aの着脱状態を検出するα着脱センサ25Aと、β車両40Bに搭載されたβ車載端末24Bと、β車両40Bに対するタンク30Bの着脱状態を検出するβ着脱センサ25Bと、を備える。
【0097】
図10に示すように、例えば、α車両40Aは、予め割り当てられたαエリア内を運行する車両であり、β車両40Bは、予め割り当てられたβエリア内を運行する車両である。αエリアとβエリアとは異なる運行エリアであり、α車両40Aはβエリア内を運行することはできず、一方、β車両40Bはαエリア内を運行することはできないものとする。
【0098】
例えば、α車両40Aに対し、βエリア内を配送先とする注文情報に基づく配送処理を実行させないように、管理サーバ22がエリア情報を管理する。管理サーバ22は、当該エリア情報に基づいて配送可能な注文情報の割当を管理する。β車両40Bに対するαエリア内の配送処理についても同様である。なお、本実施形態では、二つの隣接エリアが関係する場合についての説明をするが、エリア数および位置関係はこれらに限定されるものではない。
【0099】
以上から、αエリア内を運行するα車両40AがP顧客への納品を終え、次の注文に係る油脂が前回の油脂と同種であってタンク30Aを再利用することができる場合であっても、次の配送先がβエリア内である場合には、α車両40Aは配送業務を行うことができない(
図10において×印で示す)。このように、配送用の車両40A,40Bをエリアごとに管理することで、運転手の長時間運転を回避することができる。
【0100】
このような場合、
図9に示すように、管理サーバ22は、配送センター端末23にβエリア内を運行可能なβ車両40Bに関する情報を照会する(ステップS246)。配送センター端末23は、ステップS246における照会に対して、運行していない空きのβ車両40Bが管理されている配送センターを検索し、その結果を照会結果として管理サーバ22に対して送信する(ステップS247)。
【0101】
管理サーバ22は、ステップS247にて送信された照会結果に基づいて、配送管理DBを更新する(ステップS248)。続いて、管理サーバ22は、α車両40Aのα車載端末24Aに対し、検索された配送センターを指示する(ステップS249)。
【0102】
α車載端末24Aは、GPS242で取得されたα車両40Aの現在位置を管理サーバ22に対して送信し(ステップS250)、この現在位置が指示した配送センターの場所となると、続いて、α車両40Aに取り付けられたα着脱センサ25A(
図9では、α着脱センサをSαで示す)から、使用済みタンク30Aの取り外しに関する信号が管理サーバ22に送信される(ステップS251)。続いて、β車両40Bに取り付けられたβ着脱センサ25B(
図9では、β着脱センサをSβで示す)は、α車両40Aから取り外された使用済みタンク30Aのβ車両40Bへの設置に関する信号を管理サーバ22に送信する(ステップS252)。これにより、管理サーバ22は、α車両40Aとβ車両40Bとの間で、使用済みタンク30Aの積み替えが行われた旨の情報を取得することができる。
【0103】
次に、管理サーバ22は、β車載端末24Bに対し、向かうべき工場を指示する(ステップS253)。この工場にて、α車両40Aが配送した油脂と同種の油脂が使用済みタンク30Aに注入される。
【0104】
β車載端末24Bは、GPS242で取得されたβ車両40Bの現在位置を管理サーバ22に対して送信し(ステップS254)、管理サーバ22は、ステップS254で送信されたβ車両40Bの現在位置が指示した工場の場所となった場合に、β車載端末24Bに対し、次に向かうべき配送先を指示する(ステップS255)。
【0105】
そして、β車載端末24Bは、GPS242で取得されたβ車両40Bの現在位置を管理サーバ22に対して送信し(ステップS256)、管理サーバ22は、ステップS256で送信されたβ車両40Bの現在位置が指示した配送先の場所となった場合に、管理センター端末21に対し、ステップS215に係る注文の配送完了に関する情報を送信する(ステップS257)。
【0106】
図10に示すように、X配送センターで管理されているα車両40Aは、αエリア内を運行する。α車両40Aは、P顧客への油脂の納品を終えると、P顧客の近くに位置し、かつβエリア内を運行するβ車両40Bが管理されているY配送センターへ移動する。
【0107】
α車両40AがY配送センターに到着すると、使用済みタンク30Xがα車両40Aから取り外されてβ車両40Bに積み替えられる。このとき、本実施形態では、α車両40Aには、Y配送センターが管理している洗浄済みの空のタンク30Yが設置される。これにより、α車両40Aは、X配送センターにいったん戻ることなく、次の配送に係る油脂を取りにA工場へ移動することが可能となる。
【0108】
使用済みタンク30Xが搭載されたβ車両40Bは、P顧客に納品した油脂と同種の油脂を注入すべくB工場へ移動する。油脂を積んだβ車両40Bは、配送先であるQ顧客で納品を終えた後、使用済みタンク30Xを搭載したままY配送センターへ戻るのではなく、Q顧客の近くに位置するZ配送センターへ移動する。
【0109】
そして、β車両40Bは、Z配送センターに到着すると、使用済みタンク30Xから洗浄済みの空のタンク30Zに積み替えられて、Y配送センターに戻る。使用済みタンク30Xは、Z配送センターにて洗浄作業に回される。
【0110】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、本実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、本実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。またさらに、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0111】
例えば、上記実施形態では、管理サーバ22は、車両40側(車載端末24や着脱センサ25,25A,25B)と直接的に信号の送受信を行うことで、車両40に対して指示を送ったり、車両40から報告(配送完了やタンク30の着脱状況)を受けたりしていたが、これに限らず、配送センター端末23を介した信号のやり取りであってもよい。したがって、油脂配送管理システム1,1Aは、少なくとも管理センター端末21と管理サーバ22と配送センター端末23とで構成されていればよく、車載端末24および着脱センサ25,25A,25Bは含まれていなくてもよい。
【0112】
また、例えば、管理センター端末21、管理サーバ22、および配送センター端末23の間で相互に送受信される各種データについて、人工知能(AI;Artificial Intelligence)を用いて管理および分析してもよい。
【0113】
また、例えば、顧客に納品する油脂の品質や、油脂の配送に関する情報(注文情報および車両管理情報の他、配送日時情報や配送業者情報などを含む)について、ブロックチェーン技術に用いられる分散台帳に記録してトレース管理を行ってもよい。
【0114】
また、例えば、顧客への油脂の納品に係る決済については、電子決済などを用いてもよい。
【0115】
また、例えば、顧客の設備内に設置される油脂用の貯留タンクに液面センサなどを取り付けて、貯留されている油脂量が閾値として予め設定された基準油脂量よりも少なくなった場合に、自動的に油脂配送管理システム1,1Aにて車両40を手配して新しい油脂を納品させることも可能である。
【符号の説明】
【0116】
1,1A:油脂配送管理システム
21:管理センター端末(管理端末)
22:管理サーバ
23:配送センター端末(配送端末)
30,30A,30B,30X,30Y:タンク
40,40A,40B:車両
N:通信ネットワーク