(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】半導体プロセス装置及びそのプロセスチャンバ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/285 20060101AFI20240205BHJP
C23C 14/35 20060101ALI20240205BHJP
H01F 41/18 20060101ALI20240205BHJP
H10N 50/01 20230101ALI20240205BHJP
【FI】
H01L21/285 S
C23C14/35 Z
H01F41/18
H10N50/01
(21)【出願番号】P 2023523568
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 CN2021125196
(87)【国際公開番号】W WO2022083677
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-04-18
(31)【優先権主張番号】202011144983.8
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510182294
【氏名又は名称】北京北方華創微電子装備有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING NAURA MICROELECTRONICS EQUIPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.8 Wenchang Avenue Beijing Economic-Technological Development Area, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン シールー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ユージェ
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-525259(JP,A)
【文献】特開2005-008917(JP,A)
【文献】特開平08-181074(JP,A)
【文献】特開2002-190467(JP,A)
【文献】特開2013-082993(JP,A)
【文献】国際公開第2018/077090(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/011161(WO,A1)
【文献】米国特許第05308417(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/285
H01L 21/203
H01F 41/18
C23C 14/35
H10N 50/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体プロセス装置のプロセスチャンバであって、
チャンバ本体、台座及び磁束案内装置を備え、
前記台座は前記チャンバ本体内に設置され、ウェハを搬送するために用いられ、
前記磁束案内装置は磁性体構造及び軟磁性材質の磁束案内構造を備え、前記磁性体構造は前記台座の両側に、前記台座を囲むように設置され、前記台座付近に磁場を提供するためのものであり、前記磁束案内構造は前記台座内に設置され、前記台座の上面と所定距離を有し、前記磁性体構造の磁力線を湾曲した円弧状に制限して前記台座の上面に平行な磁力線として、前記磁場の強度を均一に分布させ且つ磁場方向の向きを一致させるように案内するためのものであることを特徴とする半導体プロセス装置のプロセスチャンバ。
【請求項2】
前記磁性体構造は固定ブラケット及び複数の磁気ポールを備え、前記固定ブラケットは前記台座の両側に、前記台座を取り囲むように設置され、
複数の前記磁気ポールは前記固定ブラケット上に均等に配置され、すべての前記磁気ポールのN極及びS極はいずれも同じ高さで第1方向に沿って設置され、前記第1方向は前記台座の径方向に平行であることを特徴とする請求項1に記載のプロセスチャンバ。
【請求項3】
前記磁束案内構造は磁束案内アセンブリ及び固定リングを備え、前記磁束案内アセンブリは前記固定リング内に設置され、前記固定リングは前記磁束案内アセンブリを前記台座内に固定するためのものであることを特徴とする請求項2に記載のプロセスチャンバ。
【請求項4】
前記磁束案内アセンブリは複数の第1磁束案内ストリップを備え、複数の前記第1磁束案内ストリップは前記固定リング内に均一間隔に配置され、且つ前記固定リングに接続され、複数の前記第1磁束案内ストリップはいずれも第2方向に沿って延在して設置され、前記第2方向は前記第1方向との間に所定の夾角を有し、又は、
前記磁束案内アセンブリは第2磁束案内ストリップ及び磁束案内リングを備え、複数の前記第2磁束案内ストリップは前記固定リングの径方向に沿って延在して設置され、且つ前記固定リングに接続され、複数の前記磁束案内リングは順次複数の前記第2磁束案内ストリップに外嵌され、且つ均一間隔に配置され、又は、
前記磁束案内アセンブリは前記固定リングの内側に設置された磁束案内ディスクを備え、前記磁束案内ディスクの外周縁と前記固定リングの内周縁とが接続されることを特徴とする請求項
3に記載のプロセスチャンバ。
【請求項5】
いずれか2つの隣接する前記第1磁束案内ストリップ間の間隔は4ミリメートル以上且つ8ミリメートル以下であり、前記所定の夾角は0度以上90度以下であることを特徴とする請求項4に記載のプロセスチャンバ。
【請求項6】
前記所定の夾角が90度であることを特徴とする請求項5に記載のプロセスチャンバ。
【請求項7】
前記磁気ポールの外表面に軟磁性材質の耐食層が被覆されることを特徴とする請求項2に記載のプロセスチャンバ。
【請求項8】
前記磁束案内構造は円盤形構造であり、前記磁束案内構造の直径と前記台座の直径との比は3分の2以上且つ1以下であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセスチャンバ。
【請求項9】
前記磁束案内構造の厚さが2ミリメートル以上且つ10ミリメートル以下であり、前記所定距離が2ミリメートル以上且つ5ミリメートル以下であることを特徴とする請求項8に記載のプロセスチャンバ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体プロセス装置のプロセスチャンバを備えることを特徴とする半導体プロセス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は半導体加工の技術分野に関し、具体的には、本願は半導体プロセス装置及びそのプロセスチャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、集積回路(integrated circuit)は超小型電子デバイス又は部材の一種である。一定のプロセスを用いて1つの回路に必要なトランジスタ、抵抗、キャパシタンス及びインダクタンスなどの素子及び配線を一体に互いに接続し、1枚又は複数枚の半導体ウェハ又は誘電体シートに製造してから1つのパイプシェル内にパッケージして、必要な回路機能を持つ超小型構造となる。電子デバイスは超小型化、高周波化、集積化、機能化方向へ発展するにつれて、配線により一体に互いに接続されるこれらのトランジスタ、抵抗、キャパシタンス及びインダクタンスなどの素子の電磁両立性問題はますます厳しくなる。高周波マイクロ波集積電子デバイスの使用過程において、電磁環境はますます複雑になり、素子の電磁両立性への要求はますます高くなり、耐電磁干渉は大いに注目をあびる問題となる。
【0003】
従来技術における特別な材料で製造された耐電磁干渉性を有する電子デバイスは将来に電磁両立性が発展する重要方向であり、例えば、高周波磁性薄膜を電子デバイス及びマイクロ波回路の近傍に応用すれば、高周波騒音信号を効果的に吸収抑制することが実現される。絶えず探索して実験することにより発見したこととしては、磁性体が磁化される際に1つの磁化容易方向及び1つの磁化困難方向が存在し、これは磁性体が磁性の面で異方性(即ち、物質の全部又は一部の化学、物理などの性質は方向の変化につれて変化し、異なる方向に相違の性質を呈する)であるためである。磁化容易方向において結晶磁気異方性がより低く、磁化困難方向において結晶磁気異方性がより高く、異方性場の方向が薄膜による電磁場の誘導に影響し、更に薄膜の騒音抑制効果に影響する。従って、高磁気異方性を有する高周波磁性薄膜を大規模製造することは非常に重要となる。
【0004】
従来技術において高周波磁性薄膜を製造する際に主にマグネトロンスパッタ技術を用いる。製造過程において、ウェハは誘導磁場を発生させるための磁石グループの中間位置に位置し、磁性薄膜の磁化容易方向を誘導するように該磁石グループがシートの膜面に平行する方向において誘導磁場を形成するとともに、シートに1種類の緩衝層又は複数種類の異なる緩衝層を堆積することにより磁気異方性を向上させる。次に、磁性薄膜の磁気異方性を良く維持することができるように磁性薄膜を熱処理する。例えば、NiFeCr/NiFe/Ta薄膜を製造するとき、磁石グループによる誘導磁場を利用して、ニッケル鉄(NiFe)薄膜の磁化容易方向を誘導するとともに、シートにタンタル(Ta)緩衝層及びニッケル鉄クロム(NiFeCr)緩衝層を堆積し、次に、タンタル(Ta)を緩衝層とするNi81Fe19/タンタル(Ta)薄膜及びニッケル鉄クロム(NiFeCr)を緩衝層とするNi81Fe19/タンタル(Ta)薄膜を熱処理し、350℃で熱処理してからNi81Fe19薄膜の磁気異方性を良く維持することができる。
【0005】
しかしながら、上記誘導磁場のウェハの上方での強度分布が均一ではないため、ウェハに堆積した薄膜の磁気異方性が比較的低く、且つ誘導磁場の磁力線のウェハの上方に位置する部分が円弧状を呈するため、ウェハに入射した磁性粒子の速度及びエネルギーが比較的高く、このため、薄膜結晶に欠陥が生じ、薄膜の内部応力が増加し、薄膜の結晶化品質が比較的悪い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来方式の欠点に対して、本願は半導体プロセス装置及びそのプロセスチャンバを提供し、従来技術における薄膜の品質及び磁気異方性が比較的悪いという技術的問題を解決することに用いられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様では、本願の実施例は半導体プロセス装置のプロセスチャンバを提供し、チャンバ本体、台座及び磁束案内装置を備え、
前記台座は前記チャンバ本体内に設置され、ウェハを搬送するための搬送面を備え、
前記磁束案内装置は磁性体構造及び軟磁性材質の磁束案内構造を備え、前記磁性体構造は前記台座の周りに周設され、前記台座の上方に磁場を提供するためのものであり、前記磁束案内構造は前記台座の搬送面の下方に設置され、前記台座の搬送面と所定距離を有し、前記磁場の前記台座の上方での強度を均一に分布させ及び対応する前記搬送面の異なる位置での磁力線方向を一致させるように前記磁場の前記台座の上方での磁力線分布を案内するためのものである。
【0008】
本願の一実施例では、前記磁束案内構造は磁束案内アセンブリを備え、前記磁束案内アセンブリは複数の第1磁束案内ストリップを備え、複数の前記第1磁束案内ストリップは前記搬送面に平行して対向する円形領域内に均一に配置され、いずれも前記搬送面に平行する第1方向に沿って延在して設置され、又は、
前記磁束案内アセンブリは複数の第2磁束案内ストリップ及び複数の磁束案内リングを備え、複数の前記第2磁束案内ストリップは前記円形領域内に配置され、前記円形領域の異なる径方向に沿って延在して設置され、且つ前記円形領域の中心に対して対称に配置され、複数の前記磁束案内リングはいずれも前記円形領域内に位置し、且つ複数の前記第2磁束案内ストリップと互いに重ね合わせられ、複数の前記磁束案内リングは円心がいずれも前記円形領域の中心と重なり、且つそれらの内径が異なって、前記円形領域の径方向に沿って等間隔で配置され、又は、
前記磁束案内アセンブリは前記搬送面に平行して対向設置される磁束案内ディスクを備える。
【0009】
本願の一実施例では、いずれか2つの隣接する前記第1磁束案内ストリップ間の間隔は4ミリメートル以上且つ8ミリメートル以下である。
【0010】
本願の一実施例では、前記円形領域の直径と前記搬送面の直径との比は3分の2以上且つ1以下である。
【0011】
本願の一実施例では、前記磁束案内構造は更に固定リングを備え、前記固定リングの内側に前記円形領域が限定形成され、前記固定リングは前記磁束案内アセンブリに接続され、前記磁束案内アセンブリを前記台座内に固定するためのものである。
【0012】
本願の一実施例では、前記磁性体構造は2組の磁性体群及び固定ブラケットを備え、前記固定ブラケットは前記2組の磁性体群を前記台座の周りに固定するためのものであり、
2組の前記磁性体群は前記搬送面の径方向に沿って前記台座の両側に対向設置され、各組の前記磁性体群がいずれも複数の磁気ポールを備え、複数の前記磁気ポールが前記搬送面の周方向に沿って円弧状に間隔を置いて配置され、2組の前記磁性体群におけるすべての前記磁気ポールのN極及びS極はいずれも同じ高さで第2方向に沿って設置され、前記第2方向が前記台座の径方向に平行して前記第1方向と所定の夾角をなし、且つ一方の組の前記磁性体群におけるすべての前記磁気ポールのN極が前記台座に接近し、他方の組の前記磁性体群におけるすべての前記磁気ポールのS極が前記台座に接近する。
【0013】
本願の一実施例では、前記所定の夾角が90度である。
【0014】
本願の一実施例では、前記磁気ポールの外表面に軟磁性材質の耐食層が被覆される。
【0015】
本願の一実施例では、前記磁束案内構造の厚さが2ミリメートル以上且つ10ミリメートル以下であり、前記所定距離が2ミリメートル以上且つ5ミリメートル以下である。
【0016】
第2態様では、本願の実施例は第1態様で提供されたような半導体プロセス装置のプロセスチャンバを備える半導体プロセス装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本願の実施例に係る技術案の有益な技術的効果は以下のとおりである。
【0018】
本願の実施例は台座の搬送面の下方に磁束案内構造を設置し、該磁束案内構造は磁性体構造による磁場の台座の上方での磁力線分布を案内するためのものであり、即ちヨークに類似する役割を果たすことができ、それにより磁力線を制限して、磁場の台座の上方での強度を均一に分布させ及び対応する搬送面の異なる位置での磁力線方向を一致させ、これにより、ウェハの各位置での薄膜の磁化困難容易軸が一致するように維持するだけでなく、更に薄膜の磁気異方性を著しく向上させることができ、且つ磁性粒子の入射エネルギーを低減して高エネルギー磁性粒子が薄膜に与えた結晶欠陥を減少させることができ、更に薄膜の内部応力を減少させて薄膜の結晶化品質を向上させる。また、上記磁束案内構造は薄膜の磁気異方性を著しく向上させることができるため、従来技術における緩衝層及びアニールプロセスを用いて薄膜の磁気異方性を向上させる必要がなく、それにより薄膜の結晶欠陥を効果的に低減することができ、これにより薄膜の品質を向上させる。
【0019】
本願の追加態様及び利点は以下の説明から部分的に与えられ、以下の説明から明らかになり、又は本願の実践により理解される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本願の上記及び/又は追加の態様及び利点は以下に図面を参照して実施例を説明することで明らかになり及び理解されやすくなる。
【
図1】
図1は本願の実施例に係るプロセスチャンバの断面構造模式図である。
【
図2】
図2は本願の実施例に係る磁束案内構造及び磁性体構造の平面模式図である。
【
図3】
図3は本願の実施例に係る他の磁束案内構造及び磁性体構造の平面模式図である。
【
図4】
図4は本願の実施例に係る別の磁束案内構造及び磁性体構造の平面模式図である。
【
図5】
図5は本願の実施例に係る台座の断面構造模式図である。
【
図6】
図6は従来技術におけるプロセスチャンバ内の磁場分布シミュレーション結果の模式図である。
【
図7】
図7は本願の実施例に係るプロセスチャンバ内の磁場分布シミュレーション結果の模式図である。
【
図8】
図8は従来技術におけるプロセスチャンバ内の磁場強度成分の変化の模式図である。
【
図9】
図9は本願の実施例に係るプロセスチャンバ内の磁場強度成分の変化の模式図である。
【
図10】
図10はウェハの上方の磁場がそれぞれウェハの下方に磁束案内構造を設置しない場合及び磁束案内構造を設置する場合の磁力線分布の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本願を詳しく説明し、本願の実施例の例は図面に示され、終始同様又は類似の番号は同様又は類似の部材、或いは同様又は類似の機能を有する部材を示す。また、既知技術の詳細な説明は示される本願の特徴にとって不必要なものである場合、省略する。以下に図面を参照して説明する実施例は例示的なものであって、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を制限するものと解釈されるべきではない。
【0022】
当業者であれば理解できるように、特に定義しない限り、本明細書に使用されるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、当業者の一般的な理解と同じ意味を有する。更に理解されるべきこととして、汎用辞書に定義された用語などは、従来技術の文脈における意味に一致する意味を有すると理解されるべきであり、且つ本明細書のように特定的に定義されるのではない限り、理想化された又は正式過ぎる意味で解釈されることがない。
【0023】
以下、具体的な実施例によって本願の技術案、及び本願の技術案が上記技術的問題をどのように解決するかについて詳しく説明する。
【0024】
図1は本願の実施例に係るプロセスチャンバの断面構造模式図である。
図1に示すように、本願の実施例は半導体プロセス装置のプロセスチャンバを提供し、チャンバ本体1、台座2及び磁束案内装置を備え、台座2はチャンバ本体1内に設置され、ウェハ100を搬送するための搬送面を備え、磁束案内装置は磁性体構造3及び軟磁性材質の磁束案内構造4を備え、磁性体構造3は台座2の周りに周設され、台座2の上方に磁場を提供するためのものであり、磁束案内構造4は台座2の搬送面の下方に設置され、台座2の搬送面と所定距離を有し、該磁場の台座2の上方での強度を均一に分布させ及び対応する搬送面の異なる位置での磁力線方向を一致させるように磁場の台座2の上方での磁力線分布を案内するためのものである。
【0025】
磁束案内構造4は軟磁性材質であるため、硬質磁性材料に比べて磁場に過度の影響を与えることがなく、これにより、磁性体構造3が誘導磁場の役割を正常に果たすことができる上で、磁束案内構造4は磁場の台座2の上方での磁力線分布を適切に案内することができ、磁性体構造3への影響が大きすぎて誘導磁場が故障することを回避することが確保され得る。それと同時に、軟磁性材質がN極及びS極を有しないため、軟磁性材質による磁力線方向は弧度を形成することがなく、これにより、誘導磁場の台座2の上方での磁力線がウェハの表面に略平行するように案内することができる。
【0026】
図1に示すように、プロセスチャンバは具体的にマグネトロンスパッタプロセス又は他のプロセス例えば物理気相成長又は化学成長プロセスを実行するためのものであってもよいが、本願の実施例はこれを制限しない。具体的には、台座2はチャンバ本体1内に設置され、例えば底部に接近する中間位置に位置し、ウェハ100を搬送するためのものである。
【0027】
磁束案内装置において、磁性体構造3は具体的にネオジウム鉄ボロン材質で製造されてもよいが、本願の実施例はこれに限定されるのではなく、磁性体構造3は硬質磁性材料で製造されればよい。磁性体構造3は台座2の周りに周設され、台座2の上方に磁場を提供するためのものであり、該磁場は磁性薄膜の磁化容易方向を誘導するように誘導磁場として使用されてもよい。
【0028】
磁束案内構造4はパーマロイ合金を用いてシート状構造に製造されたが、本願の実施例はこれに限定されるのではなく、磁束案内構造4は磁束案内性を有する軟磁性材質で製造されればよい。磁束案内構造4は台座2の搬送面の下方に設置され、台座2の搬送面と所定距離を有し、該磁場の台座2の上方での強度を均一に分布させ及び磁力線方向を一致させるように磁場の台座2の上方での磁力線分布を案内するためのものである。上記所定距離は磁場の台座2の上方での磁力線分布状況に応じて設定されてもよく、該磁場の台座2の上方での強度を均一に分布させ及び対応する搬送面の異なる位置での磁力線方向を一致させることができればよい。
【0029】
いくつかの選択可能な実施例では、磁束案内構造4の取付及び固定を容易にするために、上記磁束案内構造4は台座2の内部に設置されてもよい。
【0030】
上記磁束案内構造4は磁力線を制限するようにヨーク(magnet yoke)に類似する役割を果たすことができ、これにより、磁性体構造3による磁場の台座の上方での磁力線分布を変えることができる。
図10(a)に示すように、ウェハ100の下方に磁束案内構造4が設置されない場合、磁気ポール32のN極からS極までの磁力線は湾曲した円弧状を呈し、対応する台座2の搬送面の径方向における異なる位置での磁場方向は即ち円弧の異なる位置での法線方向であり、
図10(a)から分かるように、円弧上の異なる位置での法線方向が異なり、それにより対応する搬送面の異なる位置での磁力線方向も異なる。且つ、対応する台座2の搬送面の異なる位置での磁場強度分布も不均一であり、具体的に、対応する台座2の搬送面の中心領域の磁場強度が対応する台座2の搬送面のエッジ領域の磁場強度よりも小さい。
【0031】
磁性粒子がウェハ100の表面に堆積する過程において、磁場のウェハ100の上方での強度分布が不均一であるため、ウェハ100に堆積した薄膜の磁気異方性が比較的低く、且つ対応する搬送面の異なる位置での磁力線方向が異なるため、ウェハ100に入射した磁性粒子の速度及びエネルギーが比較的高く、このため、薄膜の結晶欠陥が生じ、薄膜の内部応力が増加し、薄膜の結晶化品質が比較的悪い。
【0032】
図10(b)に示すように、ウェハ100の下方に磁束案内構造4が設置される場合、磁束案内構造4は磁場の台座の上方での磁力線分布を効果的に案内して、ウェハ100の上方の磁力線方向を一致させることができ、
図10(b)から分かるように、ウェハ100の上方の磁力線方向はいずれもウェハ100の表面に略平行し、これにより、ウェハ100の異なる位置に堆積した磁性粒子がいずれも同じ水平方向における磁力を受けることができるようにし、磁性粒子に一定量の横方向運動過程を生じさせる。このように、ウェハ100に垂直に入射した磁性粒子の速度が大幅に弱まり、これにより、磁性粒子の入射エネルギーを低減し、高エネルギー磁性粒子が薄膜に与えた結晶欠陥を減少させ、更に薄膜の内部応力を減少させて薄膜の結晶化品質を向上させる。それと同時に、磁束案内構造4は更にウェハ100の上方の磁力線分布を均一にすることができ、これにより、台座の上方の磁場強度を均一に分布させることができ、更にウェハの各位置での薄膜の磁化困難容易軸が一致するように維持し、更に薄膜の磁気異方性を著しく向上させることができる。
【0033】
本願の実施例は台座の搬送面の下方に磁束案内構造を設置し、該磁束案内構造は磁性体構造による磁場の台座の上方での磁力線分布を案内するためのものであり、即ちヨークに類似する役割を果たすことができ、それにより磁力線を制限して、磁場の台座の上方での強度を均一に分布させ及び対応する搬送面の異なる位置での磁力線方向を一致させ、これにより、ウェハの各位置での薄膜の磁化困難容易軸が一致するように維持するだけでなく、更に薄膜の磁気異方性を著しく向上させることができ、且つ磁性粒子の入射エネルギーを低減して高エネルギー磁性粒子が薄膜に与えた結晶欠陥を減少させることができ、更に薄膜の内部応力を減少させて薄膜の結晶化品質を向上させる。また、上記磁束案内構造は薄膜の磁気異方性を著しく向上させることができるため、従来技術における緩衝層及びアニールプロセスを用いて薄膜の磁気異方性を向上させる必要がなく、それにより薄膜の結晶欠陥を効果的に低減することができ、これにより薄膜の品質を向上させる。
【0034】
本願の一実施例では、
図2に示すように、上記磁束案内構造4は磁束案内アセンブリを備え、該磁束案内アセンブリは複数の第1磁束案内ストリップ43を備え、複数の第1磁束案内ストリップ43は台座2の搬送面に平行して対向する円形領域内に均一に配置され、該円形領域が例えば搬送面と同心に設置され、複数の第1磁束案内ストリップ43はいずれも上記搬送面に平行する第1方向(即ち、
図2におけるX方向)に沿って延在して設置される。例えば、
図2に示すように、複数の第1磁束案内ストリップ43のX方向における長さがそれぞれ異なり、且つ複数の第1磁束案内ストリップ43の搬送面での正投影の輪郭が円形であり、それにより複数の第1磁束案内ストリップ43が上記円形領域内に均一に配置されるように確保し、これにより、磁場の台座の上方での強度を均一に分布させ及び対応する搬送面の異なる位置での磁力線方向を一致させることを実現する。選択肢として、いずれか2つの隣接する第1磁束案内ストリップ43間の間隔は4ミリメートル以上且つ8ミリメートル以下である。例えば、4ミリメートル、5ミリメートル、6ミリメートル、7ミリメートル又は8ミリメートルである。間隔を該数値範囲内に設定することにより、磁力線に対して十分に大きな制限力を発生させることが確保されるとともに、磁場の台座の上方での強度を均一に分布させ及び対応する搬送面の異なる位置での磁力線方向を一致させることが確保されることができる。当然ながら、本願の実施例はこれに限定されるのではなく、当業者は異なるプロセスニーズに応じて自分で調整設定することができる。
【0035】
本願の一実施例では、
図2に示すように、磁束案内構造4は更に固定リング42を備え、該固定リング42の内側に上記円形領域が限定形成され、固定リング42は上記磁束案内アセンブリに接続され、該磁束案内アセンブリを台座2内に固定するためのものである。具体的に、複数の第1磁束案内ストリップ43はいずれも固定リング42の内側に位置し、且つ各第1磁束案内ストリップ43の両端は固定リング42に固定接続され、固定接続方式は例えば接着、ボルト接続又は溶接などである。また、固定リング42はその取り外し及び取り替えを容易にするように、ボルト接続などのような取り外し可能な方式で台座2内に設置されてもよい。当然ながら、実際の応用では、更に上記固定リング42を設置せずに他のいかなる方式で磁束案内アセンブリを台座2内に固定してもよい。
【0036】
本願の一実施例では、固定リング42は更に軟磁性材質で製造されてもよく、例えば、固定リング42は比較的優れた磁束案内効果を実現するように第1磁束案内ストリップ43と同じ軟磁性材質で製造されてもよい。
【0037】
本願の一実施例では、上記円形領域の直径は台座2の搬送面の直径よりも小さくてもよく、例えば、上記円形領域の直径と台座2の搬送面の直径との比は3分の2以上且つ1以下である。円形領域の直径を該数値範囲内に設定することにより、磁場の台座の上方での強度を均一に分布させ及び対応する搬送面の異なる位置での磁力線方向を一致させることが確保される上で、磁束案内構造4全体の寸法を最適化することができ、それにより磁束案内構造4の取付に有利である。当然ながら、実際の応用では、具体的な必要に応じて、例えば、
図5に示すように、上記円形領域の直径が台座2の搬送面の直径と同じであるようにしてもよい。
【0038】
なお、固定リング42も軟磁性材質で製造される場合、固定リング42の外部リングの直径を台座2の搬送面の直径以下にしてもよい。
【0039】
本願の一実施例では、磁束案内構造4の厚さは2ミリメートル以上且つ10ミリメートル以下であり、上記所定距離は2ミリメートル以上且つ5ミリメートル以下である。しかしながら、本願の実施例はこれに限定されるのではなく、当業者は異なるプロセスニーズに応じて自分で調整設定することができる。
【0040】
本願の一実施例では、
図1及び
図2に示すように、磁性体構造3は2組の磁性体群及び固定ブラケット31を備え、固定ブラケット31は2組の磁性体群を台座2の周りに固定するためのものであり、
図2に示すように、2組の磁性体群は台座2の搬送面の径方向に沿って台座2の両側(例えば、
図2における左右両側)に対向設置され、各組の磁性体群はいずれも複数の磁気ポール32を備え、複数の磁気ポール32が上記搬送面の周方向に沿って円弧状に間隔を置いて配置され、2組の磁性体群におけるすべての磁気ポール32のN極及びS極はいずれも同じ高さで第2方向(即ち、
図2におけるY方向)に沿って設置され、該第2方向が台座2の径方向に平行して第1方向(即ち、
図2におけるX方向)と所定の夾角をなし、
図2における該所定の夾角が90°であり、当然ながら、実際の応用では、上記所定の夾角は0度以上且つ90度以下であってもよく、例えば0度、10度、30度、50度、60度又は80度である。且つ、一方の組の磁性体群(即ち、
図2における左側に位置する磁性体群)におけるすべての磁気ポール32のN極が台座2に接近し、他方の組の磁性体群(即ち、
図2における右側に位置する磁性体群)におけるすべての磁気ポール32のS極が台座2に接近する。
【0041】
複数の第1磁束案内ストリップ43はいずれも上記搬送面に平行する第1方向(即ち、
図2におけるX方向)に沿って延在して設置され、第2方向と所定の夾角をなし、これにより、本願の実施例は複数種類の異なるプロセスニーズを満足できるようにすることができ、それにより適用性及び適用範囲を大幅に向上させる。且つ、磁束案内構造4は上記設計を用いると、本願の実施例の構造を簡単にして実現しやすくするだけでなく、応用及びメンテナンスコストを効果的に削減することもできる。
【0042】
固定ブラケット31により2組の磁性体群をチャンバ本体1内に固定して台座2の周りに位置させることで、台座2の上表面の空間を大幅に節約して、本願の実施例を比較的大きな寸法のウェハ例えば12インチのウェハに適用させることができる一方、磁気ポール32と台座2との間に一定距離があるため、従来技術における磁気ポールは台座の温度の変化に起因して磁性が低下する問題の発生を回避することができ、これにより、磁性体構造3の耐用年数を大幅に延ばし、且つ上記磁気ポール32の配置方式は更に薄膜の均一性を向上させることに寄与する。
【0043】
本願のいくつかの他の実施例では、磁気ポール32の配置密度を変えることにより、ウェハの近傍の磁場強度及び磁場分布を調節する目的を実現することができ、それにより薄膜の磁気異方性を調節する効果を実現する。
【0044】
本願の一実施例では、磁気ポール32の上端は搬送面に置かれるウェハ100の上表面と同一平面にあってもよい。このように、磁力線がウェハ100の上方の近傍に分布できることが確保され得る。
【0045】
本願の一実施例では、磁気ポール32は円柱体、直方体などであってもよい。
【0046】
本願の一実施例では、固定ブラケット31は具体的に金属材質又は非金属材質で製造されてもよく、耐食性を有して磁気ポール32の磁性に影響しないものであればよい。固定ブラケット31は具体的にチャンバ本体1の側壁と台座2のカバーリング21との間に設置されてもよい。
【0047】
本願の一実施例では、固定ブラケット31は2つあり、2つの固定ブラケット31は台座2の両側に対向設置されてもよく、それぞれ2組の磁性体群を固定するためのものであるが、本願の実施例はこれに限定されるのではない。
【0048】
なお、本願の実施例は必ず固定ブラケット31を備えなければならないように限定されるのではなく、磁気ポール32は他の方式でチャンバ本体1内に設置されてもよく、例えば、磁気ポール32はチャンバ本体1の底壁に直接接着されてもよい。従って、本願の実施例はこれに限定されるのではなく、当業者は実際の状況に応じて自分で調整設定することができる。
【0049】
なお、本願の実施例は磁束案内構造4が必ず分離式構造でなければならないように限定されるのではなく、例えば、磁束案内構造4は一体成形の方式で製造されてもよい。従って、本願の実施例はこれに限定されるのではなく、当業者は実際の状況に応じて自分で調整設定することができる。
【0050】
本願の一実施例では、磁束案内構造4には台座2の支持ピンに対応する複数の貫通孔(図示せず)が開設され、該貫通孔は内径が支持ピンの外径よりも大きく、該支持ピンが通ることに供するためのものであり、台座2は支持ピンの昇降及びシートの搬送過程において機械干渉が生じることを回避し、これにより、本願の実施例の故障率を効果的に低減する。
【0051】
本願の他の実施例では、
図3に示すように、磁束案内アセンブリは更に複数の第2磁束案内ストリップ44及び複数の磁束案内リング45を備えてもよく、複数の第2磁束案内ストリップ44は台座2の搬送面に平行して対向する円形領域内に配置され、該円形領域の異なる径方向に沿って延在して設置され、且つ上記円形領域の中心に対して対称に配置され、複数の磁束案内リング45はいずれも上記円形領域内に位置し、複数の第2磁束案内ストリップ44と互いに重ね合わせられ、複数の磁束案内リング45は円心がいずれも上記円形領域の中心と重なり、それらの内径が異なり、且つ上記円形領域の径方向に沿って等間隔で配置される。例えば、
図3には4つの第2磁束案内ストリップ44を示し、それらがいずれも円形領域の異なる径方向に沿って延在して設置されて「米」字形に類似する構造を形成する。上記設計を用いると、該磁場の台座2の上方での強度を均一に分布させ及び磁力線方向を一致させるように、同様に磁場の台座2の上方での磁力線分布を案内することができ、且つ構造の設計が簡単且つ合理的であるため、更に応用及びメンテナンスコストを大幅に削減することができる。本実施例では、同様に固定リング42が設置され、その構造及び機能は
図2における固定リング42の構造及び機能と同様であり、ここで詳細な説明は省略する。
【0052】
本願の別の実施例では、
図4に示すように、磁束案内アセンブリは台座2の搬送面に平行して対向設置される磁束案内ディスク46を更に備えてもよい。これは同様に、該磁場の台座2の上方での強度を均一に分布させ及び磁力線方向を一致させるように磁場の台座2の上方での磁力線分布を案内することができるとともに、上記設計を用いると、加工製造難度を効果的に低減することができ、これにより、生産及び製造コストを効果的に削減する。本実施例では、同様に固定リング42が設置され、その構造及び機能は
図2における固定リング42の構造及び機能と同様であり、ここで詳細な説明は省略する。
【0053】
本願の一実施例では、各磁気ポール32の外表面に軟磁性材質の耐食層(図示せず)が被覆される。耐食層は具体的に軟磁性材質で製造され、例えばステンレス、珪素鋼又は低炭素鋼などの材質で製造されるが、本願の実施例はこれに限定されるのではない。上記設計を用いると、耐食層は磁気ポール32の磁性に影響せずに磁気ポール32の強度を大幅に向上させることができ、それにより磁気ポール32の脱着・保守を容易にし、また、耐食層は磁気ポール32が侵食されることを防止することができ、それにより磁気ポール32の耐用年数を大幅に延ばす。
【0054】
本願の実施例の技術案をより良く理解するために、以下に図面を参照しながら本願の原理及び有益な効果を説明する。
【0055】
従来技術及び本願の実施例をアナログシミュレーションすることにより、具体的なシミュレーション結果は
図6及び
図7を参照し、
図6には従来技術のシミュレーション結果を示し、
図7には本願の実施例のシミュレーション結果を示す。具体的には、
図6及び
図7に示されるのはいずれもウェハの上表面の上方から2ミリメートル離れる箇所での磁場分布状況であるが、小矢印で指す方向は該領域における磁場方向を示し、それぞれ
図6及び
図7から同じ領域即ち
図6及び
図7における楕円破線内の領域を選択し、2つの領域を比較することで分かるように、従来技術に比べて、本願の実施例におけるウェハの上方の近傍に位置する磁場強度の分布がより均一であり、磁力線方向がより一致する。
【0056】
図8及び
図9にはそれぞれ従来技術及び本願の実施例における磁場強度成分の変化の模式図を示す。
図8及び
図9に示すように、ウェハの上表面の上方から2ミリメートル離れる箇所での磁場強度の
図6及び
図7に示されるx方向及びy方向における成分はそれぞれ成分Bx及び成分Byであり、
図6及び
図7におけるそれぞれの2本の曲線はそれぞれ成分Bx及び成分Byのy=x(x=-105からx=105までの)線に沿う変化状況を示すためのものであり、縦座標が磁場強度を示し、横座標が距離を示す。
図8に示すように、従来技術における成分Bx及び成分Byはいずれもウェハの中心で最も弱く(x=0)、エッジで最も強く(x=+/-105)、且つ中心からエッジへ逓増し、変化範囲が比較的広く、このため、磁場分布の均一性が比較的低い。
図9に示すように、本願の実施例では、成分Bxであろうと、成分Byであろうと、ウェハの上表面から2ミリメートル離れる箇所でのエッジ及び中心が基本的に同じであり、磁場分布の均一性が比較的高い。
【0057】
同じ発明構想に基づいて、本願の実施例は上記各実施例に係る半導体プロセス装置のプロセスチャンバを備える半導体プロセス装置を提供する。
【0058】
本願の実施例を応用すると、少なくとも以下の有益な効果を実現することができる。
【0059】
本願の実施例は台座の搬送面の下方に磁束案内構造を設置し、該磁束案内構造は磁性体構造による磁場の台座の上方での磁力線分布を案内するためのものであり、即ちヨークに類似する役割を果たすことができ、それにより磁力線を制限して、磁場の台座の上方での強度を均一に分布させ及び対応する搬送面の異なる位置での磁力線方向を一致させ、これにより、ウェハの各位置での薄膜の磁化困難容易軸が一致するように維持するだけでなく、更に薄膜の磁気異方性を著しく向上させることができ、且つ磁性粒子の入射エネルギーを低減して高エネルギー磁性粒子が薄膜に与えた結晶欠陥を減少させることができ、更に薄膜の内部応力を減少させて薄膜の結晶化品質を向上させる。また、上記磁束案内構造は薄膜の磁気異方性を著しく向上させることができるため、従来技術における緩衝層及びアニールプロセスを用いて薄膜の磁気異方性を向上させる必要がなく、それにより薄膜の結晶欠陥を効果的に低減することができ、これにより薄膜の品質を向上させる。
【0060】
理解できるように、以上の実施形態は単に本発明の原理を説明するために用いた例示的な実施形態であるが、本発明を制限するものではない。当業者であれば、本発明の主旨及び本質を逸脱せずに、種々の変形及び改良を行うことができ、これらの変形及び改良も本発明の保護範囲として見なされる。
【0061】
本願の説明において、理解されるべきこととして、用語「中心」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などで示される方位又は位置関係は図面に基づいて示される方位又は位置関係であり、本発明を説明しやすくし及び説明を簡素化するためのものに過ぎず、指す装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されなければならないことを指示又は暗示するのではなく、従って、本発明を制限するものと理解されるべきではない。
【0062】
用語「第1」、「第2」は説明のためのものに過ぎず、相対重要性を指示又は暗示し、或いは指示される技術的特徴の数を暗示的に示すものと理解されるべきではない。これにより、「第1」、「第2」により限定される特徴は1つ以上の該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本発明の説明において、特に説明しない限り、「複数」の意味は2つ以上である。
【0063】
本願の説明において、説明すべきことは、特に明確に規定及び限定しない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」は広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続、又は一体接続であってもよく、直接連結、中間素子による間接連結、2つの素子の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。