(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】オキサゾリジンを含有する湿気硬化性ポリウレタン組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 18/32 20060101AFI20240206BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20240206BHJP
C08K 5/1535 20060101ALI20240206BHJP
C08K 5/3415 20060101ALI20240206BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20240206BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20240206BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20240206BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20240206BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
C08G18/32 096
C08G18/10
C08G18/32 053
C08K5/1535
C08K5/3415
C08L75/04
C09D7/63
C09D175/04
C09J175/04
C09K3/10 D
(21)【出願番号】P 2021532103
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2019084940
(87)【国際公開番号】W WO2020126841
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-11-18
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100116975
【氏名又は名称】礒山 朝美
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス クラマー
(72)【発明者】
【氏名】ウルス ブルックハルト
【審査官】宮内 弘剛
(56)【参考文献】
【文献】特公昭48-020639(JP,B1)
【文献】米国特許第03743626(US,A)
【文献】特開2004-107370(JP,A)
【文献】特開2010-024285(JP,A)
【文献】特表2016-510354(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0353770(US,A1)
【文献】特開昭51-116852(JP,A)
【文献】特表2011-506733(JP,A)
【文献】特表2020-524203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
C08K
C08L
CAplus/REGISTRY(STN)
C09D 7/63
C09D 175/04
C09J 175/04
C09K 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種のポリオールと、少なくとも一種のジイソシアネートとの反応から得られる、イソシアネート基を含有する少なくとも一種のポリマー、及び
少なくとも一種の下記式(I)のオキサゾリジン
を含むポリウレタン組成物:
【化1】
[式中、
R
1は、1~8個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアリールアルキル基であり、
R
2は、H又はメチルであり、
Gは、
フェニル、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、及び4-メトキシフェニルからなる群から選択される芳香族基である]。
【請求項2】
Gは、フェニルである、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項3】
イソシアネート基を含有する前記ポリマーが、0.5重量%~5重量%の範囲のNCO値を有することを特徴とする、請求項1
又は2に記載のポリウレタン組成物。
【請求項4】
前記ジイソシアネートが、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、ペルヒドロ(ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート)、トリレン2,4-ジイソシアネート、又はトリレン2,6-ジイソシアネートとこれらの混合物、及びジフェニルメタン2,4’-ジイソシアネート及び/又はジフェニルメタン2,2’-ジイソシアネートの画分を任意選択で伴うジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1
~3のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項5】
前記ポリオールが、少なくとも一種のトリオールを含有することを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項6】
R
1が、メチル、エチル、n-ブチル、又はベンジルであることを特徴とする、請求項1~
5のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項7】
オキサゾリジン基のイソシアネート基に対する数比が、0.2~0.45の範囲であることを特徴とする、請求項1~
6のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項8】
少なくとも一種の下記式のアルジミンがさらに存在することを特徴とする、請求項1~
7のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物:
【化4】
式中、yは2又は3であり、Aは2~25個の炭素原子を有する有機基であり、かつBは3~30個の炭素原子を有する有機基である。
【請求項9】
オキサゾリジン基のイソシアネート基に対する数比が、0.1~0.3の範囲であり、オキサゾリジン基とアルジミン基とを加えた合計のイソシアネート基に対する数比が、0.3~0.8の範囲であることを特徴とする、請求項
8に記載のポリウレタン組成物。
【請求項10】
充填剤、可塑剤、ジイソシアネートオリゴマー、触媒、及び安定剤からなる群から選択される少なくとも一種のさらなる構成成分が存在することを特徴とする、請求項1~
9のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項11】
一成分湿気硬化性組成物であることを特徴とする、請求項1~
10のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項12】
以下の工程を含む、結合及び/又はシーリングの方法:
(i)請求項1~
11のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物を、
- 第1の基材に適用し、かつ前記組成物のオープンタイム内で前記組成物と少なくとも一種の第2の基材とを接触させること、又は
- 第1及び第2の基材に適用し、かつ前記組成物のオープンタイム内で前記2つの基材を接合すること、又は
- 少なくとも2つの基材の間に適用すること、
(ii)湿気と接触させることによって前記組成物を硬化させること。
【請求項13】
以下の工程を含む、コーティング及び/又はシーリングの方法:
(i)請求項1~
11のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物を少なくとも一種の基材に適用すること、
(ii)湿気と接触させることによって前記組成物を硬化させること。
【請求項14】
請求項
12又は
13に記載の方法から得られる物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿気硬化性ポリウレタン組成物、及び弾性接着剤、シーリング剤又はコーティングとしてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
湿気又は水とのイソシアネート基の反応によって架橋し、硬化してエラストマーを与えるポリウレタン組成物は特に、建設業及び製造業において、例えば、アセンブリーにおける構成要素の結合、寄木の結合、接合箇所の充填又は屋根のシーリングのための、接着剤、シーリング剤及びコーティングにおいて使用される。それらの良好な接着及び弾性によって、それらは、例えば、振動又は温度の変化によって引き起こされる基材上に作用する力を穏やかに減衰させることができる。特に、厚い層中及び/又は大きな面積に亘る適用の場合、例えば、接続継手、又は大きな寸法公差を有する大きな構成要素の結合、又は熱可塑性構成要素の場合、エラストマーが高度に伸展性であり、あまり硬直でなく、すなわち、低い弾性率を有することが重要である。これは、特に、張力に対して低い抵抗性を有する基材、例えば、コンクリート又はモルタルの場合、接合箇所又は基材のエッジへと伝達された力はさもないと高くなりすぎ、構成要素の反り、接着剤破損又は基材破裂をもたらすからである。野外における適用の場合、埋められる基材ギャップ又は接合箇所は低温条件下で膨張し、エラストマーは冷却するにつれ同時に硬直化するため、温度の日内及び年内の変動によってこの問題は悪化する。
【0003】
このような用途のための適切なエラストマーは、低い弾性率とカップリングした非常に高い弾性的伸展性を有する、軟質弾性特性を有するものである。このようなエラストマーは、特に、長鎖ポリマー及び低い全体的含量のイソシアネート基を含む組成物で得られる。しかし、このような組成物は、特に、湿気を導入し得る多量の充填剤及び可塑剤を含有するとき、低い保存安定性のものであることが多く、これらは著明な表面粘着性を示し、これは適用の後長い間継続し、汚染及び低減した耐候性をもたらす。硬化の過程でブリスター形成を低減させるために使用されることが多い潜在型硬化剤でさえ、限定された問題軽減のみをここでもたらす。それは、これらが典型的にはいくらかの硬直を生じさせ、それは軟質弾性特性のために不利であるからである。これらの硬化剤の多くは、イソシアネート基の未熟な架橋反応を引き起こすという点で保存安定性をさらにまた低減させる。
【0004】
従来技術は、脂肪族アルデヒド又はケトンに由来するモノオキサゾリジン、及びポリウレタン組成物のための水分捕捉剤又はデシカントとしてのそれらの使用について開示している。市販の例には、N-ブチルアミノエタノール及び2-エチルヘキサナールをベースとする3-ブチル-2-(3-ヘプチル)-1,3-オキサゾリジン、例えば、Incozol2(Incorezから)、又はN-エチルアミノエタノール及びメチルイソアミルケトンをベースとする3-エチル-2-メチル-2-(3-メチルブチル)-1,3-オキサゾリジン、例えば、Zoldine(登録商標)MS-Plus(Angus Chemicalから)が含まれる。このようなデシカントは少量で使用され、充填剤及び可塑剤によって組成物中に導入された水を取り除く。しかし、多くのポリウレタン組成物、特に芳香族に由来する非常に反応性のイソシアネート基及び/又は立体障害のないジイソシアネートを含有するものにおいてそれらの保存安定性は不適切である。
【0005】
また公知であるのは、一成分型ポリウレタン中の潜在型硬化剤として使用されるビスオキサゾリジンである。しかし、これらは単に限定された保存安定性のものであり、これらは硬化して、あまり高くない伸展性の比較的硬直なエラストマーを与える。
【0006】
米国特許第6,255,433号明細書は、ポリオール、モノオール及びヒドロキシ官能性オキサゾリジンの混合物に由来する、イソシアネート基を含有するポリマーを含む低い弾性率の一成分型シーリング剤について開示している。しかし、イソシアネート基を含有し、且つペンダントオキサゾリジン基を有するこのようなポリマーは、高い粘度のものであり、あまり貯蔵安定ではない。それと共に配合されたシーリング剤は、かなりの量のキシレンを含有し、これは、それらの保存安定性を改善させるが、匂い及びVOC排出の理由のために望ましくない。さらに、モノオールが、ポリマーの調製において含まれる。これは弾性率を低下させるが、非常に粘着性のある表面をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、優れた保存安定性を有し、且つブリスターを伴わずに急速及び大規模に硬化し、低い表面粘着性、非常に高い伸展性及び非常に低い弾性率を有するエラストマーを与える、湿気硬化性ポリウレタン組成物を提供することは、本発明の1つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載されているようなポリウレタン組成物によって達成されることが驚いたことに見出された。これは、イソシアネート基を含有するポリマー、及びモノオキサゾリジンである式(I)のオキサゾリジンを含む。式(I)のオキサゾリジンは、非常に反応性のジイソシアネートの場合でさえ、非常に良好な保存安定性と、十分な量が使用されるとき、大部分はブリスターを伴わない硬化とを可能にし、驚いたことに実質的に粘着性がない表面を有する著しく軟質の弾性材料がもたらされる。式(I)のオキサゾリジンから放出されるN-置換アミノアルコールは、イソシアネート基に関して二官能性であり、硬いセグメントを形成し、これは僅かな程度まで分離し、その理由のために、より多量のオキサゾリジンを使用する場合、比較的可塑性及び粘着性のある材料が予想される。オキサゾリジンは、保存安定性が欠けているため、その他の場合は、特に、イソホロンジイソシアネートをベースとする遅反応性の組成物中に主に使用されていることを考えれば、また驚くべきであるのは、非常に反応性のイソシアネート基と一緒での良好な保存安定性である。特に驚くべきであるのは、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートをベースとする組成物中での良好な保存安定性であり、ここで、従来技術から公知であるオキサゾリジンは、保存安定性がないか若しくは非常に限定された保存安定性しか有していない。
【0009】
本発明のポリウレタン組成物は、著しく軟質の弾性特性を有する弾性接着剤、シーリング剤又はコーティングを可能とし、これは、良好な保存安定性を有し、急速に硬化し、短時間の後でさえ粘着性がなく、すなわち、それらの表面粘着性を失う。その結果、これらは短時間の後でさえ、例えば、建設ダスト、花粉又は昆虫による汚染から、及び風化の影響から保護され、したがって、審美的に満足がいき、長寿命である。高い伸展性とカップリングしたそれらの低い弾性率によって、これらはたとえ強い力でも減衰させ、したがって、力を基材へと穏やかに伝達することができ、これらの結果として、構成要素の反り、基材破裂又は接着剤破損は存在しない。このような製品は、厚い層における又は大きな面積に亘る適用のために、特に、高い許容範囲を埋めなければならない接合箇所又は結合について有利に使用可能である。
【0010】
本発明のさらなる態様は、さらなる独立請求項の対象である。本発明の特に好ましい実施形態は、従属請求項の対象である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、
少なくとも一種のポリオールと、少なくとも一種のジイソシアネートとの反応から得られる、イソシアネート基を含有する少なくとも一種のポリマー、及び
少なくとも一種の下記式(I)のオキサゾリジン
を含むポリウレタン組成物を提供する:
【化1】
[式中、
R
1は、1~8個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアリールアルキル基であり、
R
2は、H又はメチルであり、
Gは、フラニル、チオフェニル、ピリジニル、インデニル、インダニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、及び下記式の基からなる群から選択される芳香族基であり、
【化2】
式中、
R
3は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ニトロ、シアノ、フェニル、フェノキシ、(C
1~C
5)-アルキル、又は(C
1~C
5)-アルコキシであり、
nは、0、1、2又は3である]。
【0012】
nが2又は3である場合、基R3は、同一又は異なる基であり得る。
【0013】
「芳香族」基は、芳香族炭素原子を介して特定の分子に結合しているものを指す。
【0014】
「NCO含量」は、重量%でのイソシアネート基の含量を指す。
【0015】
「芳香族」イソシアネート基は、芳香族炭素原子へと直接結合しているものを指す。芳香族イソシアネート基を有するイソシアネートは、「芳香族イソシアネート」と対応して称される。
【0016】
「脂肪族」イソシアネート基は、脂肪族又は脂環式の炭素原子に直接結合しているものを指す。もっぱら脂肪族イソシアネート基を有するイソシアネートは、「脂肪族イソシアネート」と対応して称される。
【0017】
「ポリ」で始まる物質名、例えば、ポリオール又はポリイソシアネートは、1分子当たりそれらの名前に現れる2個若しくはそれより多い官能基を形式的に含有する物質を指す。
【0018】
「分子量」は、分子又は分子残基のモル質量(g/molでの)を指す。「平均分子量」は、オリゴマー又はポリマー分子又は分子残基の多分散混合物の数平均分子量(Mn)を指す。これは標準物質としてポリスチレンに対するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。
【0019】
物質又は組成物は、貯蔵の結果としてその使用に関与するような程度までその適用特性若しくは使用特性における変化を伴わずに、適切な容器において室温にて長期間に亘り、典型的には、少なくとも3か月から6か月若しくはそれ超までに亘り貯蔵することができるとき、「貯蔵安定」又は「貯蔵性」と称される。
【0020】
当文献における式における破線は、いずれの場合にも、置換基及び関連する分子の基の間の結合を表す。
【0021】
「室温」は、23℃の温度を指す。
【0022】
イソシアネート基を含有するポリマーは好ましくは、0.5重量%~5重量%、好ましくは、0.75重量%~3.2重量%、特に、1重量%~2.5重量%の範囲のNCO含量を有する。このようなポリマーは、特に長鎖ポリマーであり、それによって得られるエラストマーの高い伸展性を可能とする。しかし、低いNCO含量によって、これはまた、保存安定性に関して特に高い標準を達成する。
【0023】
イソシアネート基を含有するポリマーは好ましくは、2,000~20,000g/mol、特に、4,000~15,000g/molの範囲の平均分子量Mnを有する。
【0024】
イソシアネート基を含有するポリマーは好ましくは、低いジイソシアネートモノマー含量、より好ましくは、2重量%未満、特に、1重量%未満を有する。
【0025】
イソシアネート基を含有するポリマーは、特に、少なくとも1種のポリオールと化学量論量を超える少なくとも1種のジイソシアネートとの反応から得られる。反応は好ましくは、湿気を排除して20~160℃、特に、40~140℃の範囲の温度にて、任意選択で適切な触媒の存在下で行われる。
【0026】
NCO/OH比は好ましくは、1.3/1~10/1の範囲である。OH基の反応の後、反応混合物中に残存するジイソシアネートモノマーは、特に、蒸留によって除去することができる。
【0027】
過剰なジイソシアネートモノマーが蒸留によって除去される場合、反応物中のNCO/OH比は好ましくは、3/1~7/1の範囲内であり、イソシアネート基を含有する結果として生じたポリマーは、蒸留の後で、好ましくは、0.5重量%以下、より好ましくは、0.3重量%以下のジイソシアネートモノマーを含有する。ジイソシアネートモノマーは特に、減圧下での短経路蒸留によって除去される。
【0028】
過剰なジイソシアネートモノマーがポリマーから除去されない場合、反応物中のNCO/OH比は好ましくは、1.3/1~2.5/1の範囲である。
【0029】
ポリマーは、可塑剤又は溶媒のさらなる使用によって任意選択で調製され、この場合、使用される可塑剤又は溶媒は、イソシアネートに対して反応性の任意の基を含有しない。
【0030】
ジイソシアネートは、好ましくは、市販の脂肪族、脂環式又は芳香族のジイソシアネート、例えば特に、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(ジイソシアン酸イソホロン又はIPDI)、ペルヒドロ(ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート)(H12MDI)、シクロヘキサン1,3-若しくは1,4-ジイソシアネート、1,3-若しくは1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m-若しくはp-キシリレンジイソシアネート(XDI)、トリレン2,4-ジイソシアネート、又はトリレン2,6-ジイソシアネート(TDI)とのこれらの混合物、ジフェニルメタン2,4’-及び/若しくは2,2’-ジイソシアネートの画分を任意選択で伴うジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)又はナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)である。
【0031】
ジイソシアネートは好ましくは、HDI、H12MDI、TDI及びMDIからなる群から選択される。これらのジイソシアネートは、容易に得ることができ、特に反応性である。しかし、これらはまた、保存安定性に関して特に高い標準を達成する。
【0032】
これらの中で、HDI、H12MDI又はMDIが好ましい。これらのジイソシアネートは、特に、粘着性がない表面を可能とする。
【0033】
特に好ましいジイソシアネートは、MDI、特に、少なくとも97%のジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート異性体及び3%以下の他の異性体を含有する4,4’-MDIである。これは、特に急速な硬化を伴うポリウレタン組成物を可能とする。しかし、これはまた、良好な貯蔵安定性及び低い弾性率の達成において非常に特に高い標準を達成する。
【0034】
適切なポリオールは、市販のポリオール又はこれらの混合物、特に、
- ポリエーテルポリオール、特に、ポリオキシアルキレンジオール及び/又はポリオキシアルキレントリオール、特に、エチレンオキシド又は1,2-プロピレンオキシド又は1,2-若しくは2,3-ブチレンオキシド又はオキセタン又はテトラヒドロフラン又はこれらの混合物の重合生成物であり、ここで、これらは、2個若しくは3個の活性水素原子を有するスターター分子、特に、水、アンモニア、又は複数のOH若しくはNH基を有する化合物のようなスターター分子、例えば、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-若しくは-1,3-ジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、異性体のジプロピレングリコール又はトリプロピレングリコール、異性体のブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、シクロヘキサン-1,3-若しくは-1,4-ジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール又はアニリン、又は上記の化合物の混合物の助けで重合し得る。同様に適切であるのは、その中に分散したポリマー粒子を有するポリエーテルポリオール、特に、スチレン/アクリロニトリル(SAN)粒子又はポリ尿素又はポリヒドラゾジカーボンアミド(PHD)粒子を有するものである。
【0035】
好ましいポリエーテルポリオールは、ポリオキシプロピレンジオール若しくはポリオキシプロピレントリオール、又はいわゆる、エチレンオキシド末端(EOキャップされた若しくはEO先端の)ポリオキシプロピレンジオール若しくはトリオールである。後者は、混合ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンポリオールであり、これは特に、ポリオキシプロピレンジオール若しくはトリオールが、ポリプロポキシル化反応の結果、エチレンオキシドによってさらにアルコキシル化され、したがって、第一級ヒドロキシル基を有するという点で得られる。
【0036】
好ましいポリエーテルポリオールは、0.02meq/g未満、特に、0.01meq/g未満の不飽和のレベルを有する。
- 公知のプロセス、特に、ヒドロキシカルボン酸若しくはラクトンの重縮合、又は脂肪族及び/若しくは芳香族ポリカルボン酸と二価若しくは多価アルコールとの重縮合によって調製される、オリゴエステロールとまた称されるポリエステルポリオール。
- ポリカーボネートポリオール。
- ポリエーテルポリエステルポリオール。
- ポリアクリレート又はポリメタクリレートポリオール。
- ポリヒドロキシ官能性脂肪若しくは油、例えば、天然油脂、特に、ヒマシ油、又は天然油脂の化学修飾によって得られるポリオール-オレオケミカルポリオールと称される。
- オリゴヒドロカルボノールとまた称されるポリ炭化水素ポリオール、例えば、特に、ポリヒドロキシ官能性ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン;ポリヒドロキシ官能性エチレン/プロピレン、エチレン/ブチレン又はエチレン/プロピレン/ジエンコポリマー(例えば、Kraton Polymersによって生産されているような);特に、またアニオン重合から調製することができる、ジエン、特に、1,3-ブタジエンのポリヒドロキシ官能性ポリマー;ジエン、例えば、1,3-ブタジエン、又はジエン混合物及びビニルモノマー、例えば、スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、イソブチレン又はイソプレンのポリヒドロキシ官能性コポリマー、特に、エポキシド又はアミノアルコール及びカルボキシル末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーから調製することができる、特に、ポリヒドロキシ官能性アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(例えば、Emerald Performance MaterialsからのHypro(登録商標)CTBN若しくはCTBNX若しくはETBN名で市販されている);又はジエンの水素化ポリヒドロキシ官能性ポリマー若しくはコポリマー。
【0037】
また特に、適切であるのは、ポリオールの混合物である。
【0038】
ポリエーテルポリオール、特に、ポリオキシアルキレンジオール又はトリオールが好ましい。
【0039】
末端オキシエチレン基を任意選択で有するポリオキシプロピレンジオール又はトリオールが特に好ましい。
【0040】
1,000~20,000g/mol、好ましくは、2,000~15,000g/molの範囲の平均分子量Mnを有するポリオールが好ましい。
【0041】
1.6~3の範囲の平均OH官能基を有するポリオールが好ましい。
【0042】
好ましいポリオールは、特に軟質及び安定なエラストマーを可能とする。
【0043】
イソシアネート基を含有するポリマーの調製において、ある割合の二官能性若しくは多官能性アルコール、特に、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,3-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサン-1,6-ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン-1,3-若しくは-1,4-ジメタノール、エトキシ化ビスフェノールA、プロポキシル化ビスフェノールA、シクロヘキサンジオール、又は記述したアルコールのアルコキシル化誘導体、又は記述したアルコールの混合物を含むこともまた可能である。
【0044】
好ましい実施形態において、ポリオールは、少なくとも1種のトリオールを含有する。これによって、イソシアネート基を含有し、且つ特に高いNCO官能基を有するポリマーが可能となり、これによって、式(I)のオキサゾリジンによる特定の粘着性がない表面が得られる。使用されるポリオールは、好ましくは、1種若しくは複数のジオール及び1種若しくは複数のトリオールの混合物である。
【0045】
本発明のこの実施形態は、特に、組成物が2個超の官能基を有する任意のさらなる反応性構成成分、例えば、ジイソシアネートオリゴマー又はトリアルジミンを含まないとき、有利である。
【0046】
本発明のポリウレタン組成物は、少なくとも1種の式(I)のオキサゾリジンを含む。
【0047】
好ましくは、R1は、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、2-エチルヘキシル、又はベンジルである。これらのオキサゾリジンは、特に容易に得ることができる。
【0048】
より好ましくは、R1は、メチル、エチル、n-ブチル又はベンジルである。
【0049】
最も好ましくは、R1は、ブチルである。これによって、良好な保存安定性、急速な硬化及び軟質弾性特性の特に魅力的な組合せを有するポリウレタン組成物を得られる。
【0050】
好ましくは、R2は、Hである。
【0051】
好ましくは、Gは、フラン-2-イル、1,3-ベンゾジオキソール-5-イル、1-ナフチル、又は式
【化3】
の基である。
【0052】
好ましくは、R3は、(C1~C4)-アルキル又は(C1~C4)-アルコキシ、特に、メチル又はメトキシである。
【0053】
より好ましくは、Gは、式
【化4】
の基である。このようなオキサゾリジンは、式(Ia)
【化5】
を有し、
式中、R
1、R
2、R
3及びnは、既に示した定義を有する。
【0054】
好ましくは、nは、0又は1又は2、特に、0又は1である。
【0055】
最も好ましくは、Gは、フェニル、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、4-イソプロピルフェニル又は4-メトキシフェニル、特に、フェニルである。
【0056】
より好ましくは、式(I)のオキサゾリジンは、
【化6】
からなる群から選択される。
【0057】
好ましい式(I)のオキサゾリジンは、容易に得ることができ、室温にて液体及び低粘度であり、反応性イソシアネート基と一緒に良好な保存安定性を有し、急速な硬化を可能とする。
【0058】
式(I)のオキサゾリジンは好ましくは、縮合反応において、水の除去を伴って、少なくとも1種の式(II)のアミノアルコールと少なくとも1種の式(III)のアルデヒドとの反応から得られ、
【化7】
式中、R
1、R
2、及びGは、既に示した定義を有する。
【0059】
アルデヒドは、ここで、NH基に関して少なくとも化学量論的に使用される。
【0060】
式(II)のアミノアルコールを式(III)のアルデヒドと合わせ、反応混合物を得て、任意選択で加熱及び/又は減圧を加えながら、組合せの間又は後に適切な方法によって、縮合の水並びに存在する任意の溶媒及び/又は過剰なアルデヒドを反応混合物から除去するというような方法で反応を行うことが好ましい。
【0061】
適切な式(II)のアミノアルコールは、特に、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-n-プロピルエタノールアミン、N-イソプロピルエタノールアミン、N-n-ブチルエタノールアミン、N-イソブチルエタノールアミン、N-2-ブチルエタノールアミン、N-tert-ブチルエタノールアミン、N-n-ヘキシルエタノールアミン、N-イソヘキシルエタノールアミン、N-(2-エチルヘキシル)エタノールアミン、N-シクロヘキシルエタノールアミン又はN-ベンジルエタノールアミン、特に、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-n-ブチルエタノールアミン又はN-ベンジルエタノールアミンである。N-n-ブチルエタノールアミンが特に好ましい。
【0062】
式(III)の適切なアルデヒドは、特に、フラン-2-カルバルデヒド(フルフラール)、フラン-3-カルバルデヒド、チオフェン-2-カルバルデヒド、チオフェン-3-カルバルデヒド、ピリジン-2-カルバルデヒド、ピリジン-3-カルバルデヒド(ニコチンアルデヒド)、ピリジン-4-カルバルデヒド(イソニコチンアルデヒド)、1H-インデン-4-カルバルデヒド、1H-インデン-5-カルバルデヒド、1H-インデン-6-カルバルデヒド、1H-インデン-7-カルバルデヒド、4-インダンカルバルデヒド、5-インダンカルバルデヒド、1,3-ベンゾジオキソール-4-カルバルデヒド、1,3-ベンゾジオキソール-5-カルバルデヒド、1,4-ベンゾジオキサン-5-カルバルデヒド、1,4-ベンゾジオキサン-6-カルバルデヒド、1-ナフトアルデヒド、2-ナフトアルデヒド、5,6,7,8-テトラヒドロ-1-ナフトアルデヒド、5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフトアルデヒド、9-アントラセンカルバルデヒド、ベンズアルデヒド、2-フルオロベンズアルデヒド、3-フルオロベンズアルデヒド、4-フルオロベンズアルデヒド、2-クロロベンズアルデヒド、3-クロロベンズアルデヒド、4-クロロベンズアルデヒド、2,4-ジクロロベンズアルデヒド、3,4-ジクロロベンズアルデヒド、3,5-ジクロロベンズアルデヒド、2-ブロモベンズアルデヒド、3-ブロモベンズアルデヒド、4-ブロモベンズアルデヒド、2-ニトロベンズアルデヒド、3-ニトロベンズアルデヒド、4-ニトロベンズアルデヒド、2,4-ジニトロベンズアルデヒド、3,5-ジニトロベンズアルデヒド、2-シアノベンズアルデヒド、4-シアノベンズアルデヒド、4-フェニルベンズアルデヒド(ビフェニル-4-カルバルデヒド)、3-フェノキシベンズアルデヒド、4-フェノキシベンズアルデヒド、2-メチルベンズアルデヒド(o-トルアルデヒド)、3-メチルベンズアルデヒド(m-トルアルデヒド)、4-メチルベンズアルデヒド(p-トルアルデヒド)、2,4-ジメチルベンズアルデヒド、2,5-ジメチルベンズアルデヒド、2,4,6-トリメチルベンズアルデヒド(メシチルアルデヒド)、4-エチルベンズアルデヒド、4-イソプロピルベンズアルデヒド(クミンアルデヒド)、4-tert-ブチルベンズアルデヒド、2-メトキシベンズアルデヒド(o-アニスアルデヒド)、3-メトキシベンズアルデヒド(m-アニスアルデヒド)、4-メトキシベンズアルデヒド(アニスアルデヒド)、2,3-ジメトキシベンズアルデヒド、2,4-ジメトキシベンズアルデヒド、2,5-ジメトキシベンズアルデヒド、3,4-ジメトキシベンズアルデヒド(ベラトルムアルデヒド)、3,5-ジメトキシベンズアルデヒド、2,4,6-トリメチルベンズアルデヒド、2,4,5-トリメトキシベンズアルデヒド(アサロンアルデヒド)、2,4,6-トリメトキシベンズアルデヒド、3,4,5-トリメトキシベンズアルデヒド、2-エトキシベンズアルデヒド、4-エトキシベンズアルデヒド又は4-ブトキシベンズアルデヒドである。
【0063】
フラン-2-カルバルデヒド、1,3-ベンゾジオキソール-5-カルバルデヒド、1-ナフトアルデヒド、ベンズアルデヒド、2-メチルベンズアルデヒド、3-メチルベンズアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、4-イソプロピルベンズアルデヒド又は4-メトキシベンズアルデヒドが好ましい。
【0064】
ベンズアルデヒドが特に好ましい。
【0065】
加水分解によって、式(I)のオキサゾリジンは、式(II)の親アミノアルコール及び式(III)のアルデヒドを放出する。アミノアルコールは、存在するイソシアネート基とここで反応し、アミノ基の反応は存在するヒドロキシル基及び水の反応より非常により速い。
【0066】
本発明のポリウレタン組成物において、オキサゾリジン基のイソシアネート基に対する数比は、好ましくは、0.1~0.5の範囲である。
【0067】
オキサゾリジン基のイソシアネート基に対する数比は、より好ましくは、0.2~0.45の範囲である。この範囲において、式(I)のオキサゾリジンは、デシカントとしてだけでなく、また潜在型硬化剤としても作用する。これは、概してブリスターを伴わない硬化、及び著しく軟質の弾性特性を可能とする。
【0068】
本発明の好ましい実施形態において、本発明のポリウレタン組成物は、式(I)のオキサゾリジンに加えて、少なくとも1種の式
【化8】
のアルジミンを含み、式中、yは、2又は3であり、Aは、2~25個の炭素原子を有する有機基であり、かつBは、3~30個の炭素原子、特に、4~23個の炭素原子を有する有機基である。
【0069】
式
【化9】
のアルジミンは好ましくは、式(IV)又は(V)のアルジミン
【化10】
であり、
式中、
R
4は、H、又は1~17個の炭素原子を有するアルキル基、特に、1~11個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基であり、
G、A及びyは、既に示した定義を有する。
【0070】
Aは、好ましくは、環状構成要素を任意選択で有するアルキレン基、又は5~15個の炭素原子を有する二価若しくは三価のポリオキシアルキレン基、特に、1,6-ヘキシレン、170~300g/molの範囲の平均分子量を有する(1,5,5-トリメチルシクロヘキサン-1-イル)メタン-1,3若しくはα,ω-ポリオキシプロピレン、又は330~500g/molの範囲の平均分子量を有するトリメチロールプロパン開始トリス(ω-ポリオキシプロピレン)である。
【0071】
好ましくは、Gは、フェニル、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、4-イソプロピルフェニル又は4-メトキシフェニル、特に、フェニルである。
【0072】
好ましくは、R4は、メチル又はラウリルである。
【0073】
式
【化11】
のアルジミンは特に、縮合の水の除去を伴って、式A-(NH
2)
yのアミンと式O=CHBのアルデヒドとの反応によって得られる。
【0074】
好ましいアミンA-(NH2)yは、脂肪族若しくは脂環式の第一級ジアミン若しくはトリアミン、特に、ヘキサメチレン-1,6-ジアミン、イソホロンジアミン、200~350g/molの範囲の平均分子量を有するα,ω-ポリオキシプロピレンジアミン、特に、Jeffamine(登録商標)D-230(Huntsman Corp.から)、又はトリメチロールプロパン開始トリス(ω-ポリオキシプロピレンアミン)、特に、Jeffamine(登録商標)T-403(Huntsman Corp.から)である。
【0075】
式O=CHBの好ましいアルデヒドは、ベンズアルデヒド、2-メチルベンズアルデヒド、3-メチルベンズアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、4-イソプロピルベンズアルデヒド、4-メトキシベンズアルデヒド、又はカルボン酸のアルドールエステル、特に、2,2-ジメチル-3-アセトキシプロパナール又は2,2-ジメチル-3-ラウロキシルオキシプロパナールである。
【0076】
本発明のポリウレタン組成物が、少なくとも1種の式
【化12】
のアルジミンを含む場合、オキサゾリジン基のイソシアネート基に対する数比は、好ましくは、0.1~0.3の範囲であり、オキサゾリジン基とアルジミン基とを加えた合計のイソシアネート基に対する数比は、好ましくは、0.3~0.8の範囲である。
【0077】
式(I)のオキサゾリジン及びアルジミンの組合せは、非常に急速な硬化を伴う非常に貯蔵安定の軟質弾性組成物を可能とする。
【0078】
ポリウレタン組成物は、好ましくは、特に、充填剤、可塑剤、ジイソシアネートオリゴマー、触媒及び安定剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる構成成分を含む。
【0079】
適切な充填剤は特に、脂肪酸、特に、ステアリン酸で、任意選択でコーティングされている粉末状若しくは沈降炭酸カルシウム、バライト、石英粉、石英砂、ドロマイト、珪灰石、焼成カオリン、シート状ケイ酸塩、例えば、雲母若しくはタルク、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、熱分解プロセスからの微粉化シリカを含めたシリカ、セメント、ギプス、フライアッシュ、産業的に生産されたカーボンブラック、黒鉛、例えば、アルミニウム、銅、鉄、銀若しくは鋼の金属粉末、PVC粉末又は中空ビーズである。
【0080】
脂肪酸、特に、ステアリン酸で、任意選択でコーティングされている炭酸カルシウム、焼成カオリン、微粉化シリカ又は産業的に生産されたカーボンブラックが好ましい。
【0081】
適切な可塑剤は、特に、カルボキシルエステル、例えば、フタレート、特に、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)又はジ(2-プロピルヘプチル)フタレート(DPHP)、水素化フタレート又はシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート、特に、水素化フタル酸ジイソノニル又はジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート(DINCH)、テレフタレート、特に、ビス(2-エチルヘキシル)テレフタレート(DOTP)又はジイソノニルテレフタレート(DINT)、水素化テレフタレート又はシクロヘキサン-1,4-ジカルボキシレート、特に、水素化ビス(2-エチルヘキシル)テレフタレート又はビス(2-エチルヘキシル)シクロヘキサン-1,4-ジカルボキシレート、又は水素化ジイソノニルテレフタレート又はジイソノニルシクロヘキサン-1,4-ジカルボキシレート、イソフタレート、トリメリテート、アジペート、特に、アジピン酸ジオクチル、アゼレート、セバケート、ベンゾエート、グリコールエーテル、グリコールエステル、ポリエーテル構造を有する可塑剤、特に、アセテート基の形態でブロックされたヒドロキシル基を有するポリプロピレンオキシドモノオール、ジオール若しくはトリオール、有機リン酸エステル若しくはスルホン酸エステル、ポリブテン、ポリイソブテン、又は天然脂肪若しくは油、特に、エポキシド化ダイズ油若しくは亜麻仁油に由来する可塑剤である。
【0082】
好ましい可塑剤は、フタレート、又はポリエーテル構造を有する可塑剤である。
【0083】
適切なジイソシアネートオリゴマーは、特に、HDIビウレット、例えば、Desmodur(登録商標)N100若しくはN3200(Covestro AGから)、Tolonate(登録商標)HDB若しくはHDB-LV(Vencorexから)又はDuranate(登録商標)24A-100(旭化成から);HDIイソシアヌレート、例えば、Desmodur(登録商標)N3300、N3600若しくはN3790BA(全てCovestroから)、Tolonate(登録商標)HDT、HDT-LV若しくはHDT-LV2(Vencorexから)、Duranate(登録商標)TPA-100若しくはTHA-100(旭化成から)又はCoronate(登録商標)HX(Tosoh Corp.から);HDIウレトジオン、例えば、Desmodur(登録商標)N3400(Covestroから);HDIイミノオキサジアジンジオン、例えば、Desmodur(登録商標)XP2410(Covestroから);HDIアロファネート、例えば、Desmodur(登録商標)VP LS2102(Covestroから);IPDIイソシアヌレート、例えば、Desmodur(登録商標)Z4470(Covestroから)のような溶液中、若しくはVestanat(登録商標)T1890/100(Evonik Industriesから)のような固体形態;TDIオリゴマー、例えば、Desmodur(登録商標)IL(Covestroから);又はTDI/HDIをベースとする混合イソシアヌレート、例えば、Desmodur(登録商標)HL(Covestroから)である。
【0084】
イソシアネート基の反応の加速のために適した触媒は、特に、有機スズ(IV)化合物、例えば、特に、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジメチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート又はジオクチルスズジアセチルアセトネート、特に、アルコキシド、カルボキシレート、1,3-ジケトネート、オキシネート、1,3-ケトエステレート及び1,3-ケトアミデートから選択される配位子を有するビスマス(III)若しくはジルコニウム(IV)の錯体、又は第三級アミノ基を含有する化合物、例えば、特に、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)である。
【0085】
オキサゾリジン又は存在する任意のさらなる潜在型硬化剤の加水分解の加速のために適した触媒は、特に、有機酸、特に、カルボン酸、例えば、2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ネオデカン酸、安息香酸、サリチル酸又は2-ニトロ安息香酸、有機カルボン酸無水物、例えば、フタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物若しくはメチルヘキサヒドロフタル酸無水物、カルボン酸、有機スルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸若しくは4-ドデシルベンゼンスルホン酸のシリルエステル、スルホン酸エステル、他の有機酸若しくは無機酸、又は上記の酸及びエステルの混合物である。カルボン酸、特に、芳香族カルボン酸、例えば、安息香酸、2-ニトロ安息香酸又は特に、サリチル酸が特に好ましい。
【0086】
また特に、適切なのは、異なる触媒の組合せである。
【0087】
適切な安定剤は、特に、酸化、熱、光又は紫外線に対する安定剤、特に、二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール基を有する化合物(例えば、商品名Irganox(登録商標)(BASFから)で公知のもの)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン基を有する化合物(HALS(ヒンダードアミン光安定剤)と称される、例えば、商品名Tinuvin(登録商標)(BASFから)で公知のもの)、又はリン含有化合物(例えば、商品名Irgafos(登録商標)(BASFから)で公知のもの)である。
【0088】
ポリウレタン組成物は、さらなる添加剤、特に
- 無機若しくは有機顔料、特に、二酸化チタン、酸化クロム又は酸化鉄;
- 繊維、特に、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、ポリマー繊維、例えば、ポリアミド繊維若しくはポリエチレン繊維、又は天然繊維、例えば、ウール、セルロース、ヘンプ若しくはサイザル;
- ナノ充填剤、例えば、グラフェン又はカーボンナノチューブ;
- 染料;
- さらなる潜在型硬化剤、特に、さらなるオキサゾリジン、アルジミン、ケチミン又はエナミン;
- さらなるイソシアネート、特に、MDIの室温液体形態、特に、カルボジイミド化若しくはウレトンイミン形成若しくはポリオールとの付加体形成によって液化した4,4’-MDI、又はMDIモノマーとMDIホモログとの混合物(ポリマーMDI若しくはPMDI);
- さらなるデシカント、特に、分子篩粉末、酸化カルシウム、高度に反応性のイソシアネート、例えば、p-トシルイソシアネート、又はオルトギ酸エステル;
- 接着促進剤、特に、オルガノアルコキシシラン、特に、エポキシシラン、例えば、特に、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン若しくは3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロシラン、アンヒドリドシラン、カルバマトシラン、アルキルシラン若しくはイミノシラン、又はこれらのシランのオリゴマー形態、又はチタネート;
- イソシアネート基の反応を促進するさらなる触媒;
- レオロジーモディファイヤー、特に、増粘剤、特に、シート状ケイ酸塩、例えば、ベントナイト、ヒマシ油の誘導体、水添ヒマシ油、ポリアミド、ポリアミドワックス、ポリウレタン、尿素化合物、ヒュームドシリカ、セルロースエーテル又は疎水的に修飾したポリオキシエチレン;
- 溶媒、特に、アセトン、酢酸メチル、tert-ブチルアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、エチル3-エトキシプロピオネート、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、アセタール、例えば、プロピラール、ブチラール、2-エチルヘキシラール、ジオキソラン、グリセロールホルマール又は2,5,7,10-テトラオキサウンデカン(TOU)、トルエン、キシレン、ヘプタン、オクタン、ナフサ、ホワイトスピリット、石油エーテル又はガソリン、特に、Solvesso(商標)グレード(ExxonMobil Chemical Co.から)、及び炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、ブチロラクトン、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、p-クロロベンゾトリフルオリド又はベンゾトリフルオリド;
- 天然樹脂、脂肪若しくは油、例えば、ロジン、セラック、亜麻仁油、ヒマシ油又はダイズ油;
- 非反応性ポリマー、特に、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニル又は(メタ)アクリル酸アルキルを含む群からの不飽和モノマーのホモ若しくはコポリマー、特に、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン、エチレン/酢酸ビニルコポリマー(EVA)又はアタクチックポリ-α-オレフィン(APAO);
- 難燃性物質、特に、既に記述した水酸化アルミニウム若しくは水酸化マグネシウム充填剤、及びまた特に、有機リン酸エステル、例えば、特に、リン酸トリエチル、リン酸トリクレシル、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニルクレシル、イソデシルジフェニルホスフェート、トリス(1,3-ジクロロ-2-プロピル)ホスフェート、トリス(2-クロロエチル)ホスフェート、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(クロロイソプロピル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、イソプロピル化リン酸トリフェニル、異なる程度のイソプロピル化のモノ、ビス若しくはトリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、レソルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)又はポリリン酸アンモニウム;
- 添加物、特に、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、脱泡剤、さらなる安定剤又は殺生物剤;
或いは湿気硬化性ポリウレタン組成物中で通例使用されるさらなる物質
を含有し得る。
【0089】
特定の物質は、それらを組成物中へと混合する前に、化学的又は物理的に乾燥させることが賢明であり得る。
【0090】
好ましくは、本発明のポリウレタン組成物は、殆ど溶媒を含有しない。これは特に、10重量%未満、好ましくは、5重量%未満、より好ましくは、2.5重量%未満の溶媒を含有する。
【0091】
本発明のポリウレタン組成物は、好ましくは、
- 10重量%~50重量%のポリマーであって、少なくとも1種のポリオールと、HDI、H12MDI、TDI及びMDIからなる群から選択される少なくとも1種のジイソシアネートとの反応から得られる、イソシアネート基を含有し、且つ0.5重量%~5重量%の範囲のNCO含量を有するポリマー、
- 0.1重量%~5重量%の式(I)のオキサゾリジン、
- 20重量%~60重量%の充填剤、
- 10重量%~40重量%の可塑剤、及び
任意選択で、さらなる構成成分、特に、アルジミン、ジイソシアネートオリゴマー、触媒又は安定剤
を含有する。
【0092】
ポリウレタン組成物は、特に、湿気を排除して生成され、周囲温度にて湿密容器において貯蔵される。適切な湿密容器は、特に、任意選択でコーティングされている金属及び/又はプラスチックからなり、特に、ドラム、輸送ボックス、ホボック、バケツ、キャニスター、缶、バッグ、チューブ状バッグ、カートリッジ又はチューブである。
【0093】
ポリウレタン組成物は、一成分組成物の形態、又は多成分組成物、特に、二成分組成物の形態であり得る。
【0094】
「一成分」組成物と称される組成物は、組成物の全ての構成成分が同じ容器中にあるものであり、これは、それ自体が貯蔵安定であり、湿気で硬化性である。
【0095】
「二成分」組成物と称される組成物は、組成物の構成成分が、別々の容器中に貯蔵される2つの異なる成分中にあり、組成物の適用の直前又は間まで互いに混合されないものである。
【0096】
ポリウレタン組成物は好ましくは、一成分湿気硬化性組成物である。適切なパッケージング及び貯蔵を考えれば、これは典型的には数か月に亘り、1年まで又はそれを超えて貯蔵安定性を有する。
【0097】
硬化によって、イソシアネート基は、湿気の影響下で、式(I)のオキサゾリジンから放出されるアミノ基及びヒドロキシル基と、及び存在する任意の他の潜在型硬化剤と反応する。イソシアネート基、特に、放出される反応性基に対して過剰なイソシアネート基のいくらかは、湿気の影響下で互いに反応する。組成物の硬化をもたらすイソシアネート基のこれらの反応全体はまた架橋と称される。
【0098】
ポリウレタン組成物の硬化のために必要とされる湿気は好ましくは、空気からの拡散によって適用された組成物中に入る(大気中の水分)。このプロセスにおいて、硬化した組成物の固体層(スキン)が組成物の表面上で形成され、これは空気と接触する。硬化は拡散の方向で外側から内向きに継続し、スキンはますます厚くなって、最終的に適用(塗布)された組成物全体を取り囲む。湿気はまた、組成物が適用された1つ若しくは複数の基材から付加的若しくは全体的に組成物中に入り得、且つ/或いは適用時に組成物中に混合されるか、又は適用後に、例えば、塗装若しくは噴霧によって組成物と接触する促進剤構成要素に由来し得る。
【0099】
ポリウレタン組成物は好ましくは、周囲温度にて、特に、約-10~50℃の範囲、好ましくは、-5~45℃、特に、0~40℃の範囲で適用(塗布)される。
【0100】
組成物は好ましくは、周囲温度にて同様に硬化する。
【0101】
硬化によって、硬化された組成物が得られる。
【0102】
ポリウレタン組成物は、急速な硬化とカップリングした比較的長いオープンタイムを有する。
【0103】
「オープンタイム」は、硬化プロセスが開始した後に組成物を加工又は再加工することができる期間を指す。
【0104】
スキンの形成までの時間(スキン時間)は、オープンタイムの尺度である。
【0105】
硬化によって、式(III)のアルデヒド及び恐らくさらなるアルデヒドが放出される。そのサイズによって、これは多かれ少なかれ揮発性であり、硬化した組成物から蒸発するか、又は硬化した組成物中に残存し得る。
【0106】
ポリウレタン組成物は好ましくは、接着剤又はシーリング剤又はコーティングとして使用され、ここで、接着剤又はシーリング剤又はコーティングは特に、軟質弾性である。
【0107】
接着剤及び/又はシーリング剤として、組成物は、特に、建設業及び製造業において、又は動力乗物の構造物において、特に、寄木の結合、キャビティシーリング、又は接合箇所、シーム若しくはキャビティのシーリングのための、特に、建設における接合箇所、例えば、構成要素の間の伸縮継手若しくは接続継手のための、接着及びシーリング用途に特に適している。軟質弾性特性を有するシーリング剤は、特に、建てられた構造における伸縮継手のシーリングに特に適している。
【0108】
コーティングとして、組成物は、特に、いわゆる、屋根、特に、平屋根若しくは僅かに傾斜した屋根領域又は庭園のシーリングのための塗膜として、又は水シーリングのための建物内部において、例えば、濡れた槽若しくはキッチンにおけるタイル若しくはセラミックスラブ下、又はシームシールとして、床又は壁の保護に適している。
【0109】
これはまた、例えば、漏れている屋根膜又は他の弾性シールのシール又はコーティングとして修復の目的のために使用することができる。
【0110】
ポリウレタン組成物は、特に、接着剤又はシーリング剤としての使用のために高い降伏点を伴うペースト状の粘稠性を有するような方法で配合し得る。このような組成物は、スパチュラによって、又は加圧下で適切な道具を用いて、例えば、チューブ、カートリッジガン若しくはドラムポンプ若しくは塗布(適用)ロボットを用いて適用することができ、ここで、組成物は任意選択で、本質的に円形又は三角形の断面積を有するビーズの形態で排出される。適用された組成物の層厚さは、特に、0.5~50mm、好ましくは、1~30mmの範囲である。
【0111】
ポリウレタン組成物はまた、特に、シーリング化合物又はコーティングとしての使用のために、液体及び「セルフレベリング」であるか、又は僅かにのみチキソトロピーであるように配合することができる。このような組成物は、注ぎ出すことによって又はスパチュラによって適用することができる。コーティングとして、これは次いで、例えば、ロール、ドクターブレード、ノッチこて又はゴムスクイジーを用いて、ある領域上に望ましい層厚さを得るように分布させることができる。1つの作業において、典型的には、0.5~5mm、特に、1~3mmの範囲の層厚さが適用される。
【0112】
組成物で結合又はシール又はコーティングすることができる適切な基材は、特に、
- ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、セメントスクリード、繊維セメント、特に、繊維セメントボード、れんが、タイル、石膏、特に、石膏ボード、又は天然石、例えば、花崗岩若しくは大理石;
- PCC(ポリマー変性セメントモルタル)又はECC(エポキシ樹脂変性セメントモルタル)をベースとする修復又はレベリング化合物;
- 表面仕上げ金属又は合金、例えば、亜鉛めっき金属若しくはクロムめっき金属を含めた金属又は合金、例えば、アルミニウム、銅、鉄、鋼、非鉄金属;
- アスファルト又はビチューメン;
- 革、織物、紙、木、樹脂、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂若しくはエポキシ樹脂によって結合した木質材料、樹脂/織物複合材料、又はポリマー複合材料と称されるさらなる材料;
- いずれの場合にも、未処理、又は例えば、プラズマ、コロナ若しくは火炎を用いて表面処理された、プラスチック、例えば、剛性及び可撓性のPVC、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、PMMA、ABS、SAN、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、PUR、POM、TPO、PE、PP、EPM又はEPDM;
- 繊維強化プラスチック、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFP)及びシート成形化合物(SMC);
- 特に、EPS、XPS、PUR、PIR、ロックウール、グラスウール又は発砲ガラスでできている絶縁フォーム;
- コーティング若しくは塗装された基材、特に、塗装されたタイル、コーティングされたコンクリート、粉体コーティングされた金属若しくは合金又は塗装された金属シート;
- 塗料又はニス、特に、自動車のトップコート
である。
【0113】
必要に応じて、基材は、特に、物理的及び/若しくは化学的クリーニング方法又は活性剤若しくはプライマーの適用によって、適用の前に事前処理することができる。
【0114】
2つの同一又は2つの異なる基材を結合及び/又はシールすることが可能である。
【0115】
本発明はさらに、以下の工程を含む、結合及び/又はシーリングの方法を提供する:
(i)記載したポリウレタン組成物を
- 第1の基材に適用し、組成物のオープンタイム内で組成物と少なくとも一種の第2の基材とを接触させること、又は
- 第1及び第2の基材に適用し、組成物のオープンタイム内で2つの基材を接合すること、又は
- 少なくとも2つの基材の間に適用すること、
(ii)湿気と接触させることによって上記組成物を硬化させること。
【0116】
本発明はさらに、以下の工程を含む、コーティング及び/又はシーリングの方法を提供する:
(i)記載したポリウレタン組成物を少なくとも一種の基材に適用すること、
(ii)湿気と接触させることによって上記組成物を硬化させること。
【0117】
二成分若しくは多成分組成物の場合、構成成分は、いずれの場合にも、工程(i)の前に混合される。
【0118】
本発明はさらに、結合及び/若しくはシーリングの方法又はコーティング及び/若しくはシーリングの方法から得られる物品を提供する。これは、記載されたポリウレタン組成物で結合、シール又はコーティングされている。
【0119】
物品は、特に、地面の上若しくは下の建てられた構造若しくはその部分、特に、橋、屋根、階段、床若しくはファサード、又はその設置可能な構成要素であるか、或いは工業用品若しくは消費財、特に、窓、屋内電気器具若しくは交通機関、又はその設置可能な構成要素である。
【0120】
本発明のポリウレタン組成物は、有利な特性を有する。これは湿気を排除して貯蔵安定である。これは、適用の後の特定の期間に亘り、再加工可能であるのに十分に長いオープンタイムを有する。硬化はブリスターを伴わずに急速に、確実に及び大規模に進行し、そのため、気候的に好ましくない条件、例えば、高い空気湿度及び/若しくは高温下でさえ、又は水性促進剤構成要素の使用を伴って、組成物は制限を伴わずに使用することができる。形成された硬化された表面は、驚いたことに短時間の後でも粘着性がなく、これは著しく軟質の弾性材料について達成することが困難であり、特に、建設現場における使用の場合、非常に貴重である。硬化によって、低い弾性率とカップリングした非常に高い弾性的伸展性を有する軟質弾性材料がもたらされる。
【実施例】
【0121】
記載した本発明を明らかにすることを意図する実施例を、本明細書の下記で提示する。本発明は当然ながらこれらの記載した実施例に限定されない。
【0122】
「標準的な気候条件」(「SCC」)は、23±1℃の温度及び50±5%の相対的空気湿度を指す。
【0123】
他に記述しない限り、使用した化学薬品は、Sigma-Aldrich Chemie GmbHからであった。
【0124】
オキサゾリジンの調製:
アミン値(ブロックされたアミノ基を含めた)は、滴定を用いて決定した(クリスタルバイオレットに対して酢酸中の0.1NのHClO4による)。
【0125】
粘度は、サーモスタットで調節したRheotec RC30コーンプレート粘度計で測定した(コーン直径20mm、コーン角度1°、コーンチップ-プレート距離0.05mm、粘度<7mPa・sについて剪断速度150s-1、7~100mPa・sの粘度について剪断速度100s-1、粘度>0.1Pa・sについて剪断速度10s-1)。
【0126】
赤外スペクトル(FT-IR)は、ダイヤモンド結晶を有する水平ATR測定ユニットを備えたThermo ScientificからのNicolet iS5FT-IR機器上の無希釈フィルムとして測定した。吸収バンドは、波数(cm-1)で報告する。
【0127】
オキサゾリジン Ox-1:3-メチル-2-フェニル-1,3-オキサゾリジン
水分離器(Dean-Stark装置)を有する丸底フラスコ中の26.29gのN-メチルエタノールアミンの最初の投入に、37.88gのベンズアルデヒド、65mlのシクロヘキサン及び1.25gのサリチル酸を加え、全ての水が分離するまで反応混合物を還流させながら120℃にて沸騰させた。それに続いて、反応混合物を冷却し、濾過し、揮発性構成物質をロータリーエバポレーター上で80℃にて減圧下で除去した。得られたものは、20℃にて5.6mPa・sの粘度、333mg KOH/gのアミン値及び163.2g/eqの計算されたオキサゾリジン当量を有する黄色がかった液体であった。
FT-IR:3030、2974、2947、2885、2843、2792、2709、1702、1595、1491、1456、1419、1380、1339、1308、1292、1249、1220、1205、1160、1101、1052、1036、1026、975、956、922、887、860、843、754、698。
【0128】
オキサゾリジン Ox-2:3-エチル-2-フェニル-1,3-オキサゾリジン
31.20gのN-エチルエタノールアミンを、オキサゾリジンOx-1について記載したように、37.88gのベンズアルデヒドと反応させた。得られたものは、20℃にて6.1mPa・sの粘度、308mg KOH/gのアミン値及び177.3g/eqの計算されたオキサゾリジン当量を有する黄色がかった液体であった。
【0129】
オキサゾリジン Ox-3:3-ブチル-2-フェニル-1,3-オキサゾリジン
41.02gのN-n-ブチルエタノールアミンを、オキサゾリジンOx-1について記載したように、37.88gのベンズアルデヒドと反応させた。得られたものは、20℃にて8.6mPa・sの粘度、267mg KOH/gのアミン値及び205.3g/eqの計算されたオキサゾリジン当量を有する黄色がかった液体であった。
FT-IR:2955、2931、2872、2801、2714、1704、1593、1492、1456、1377、1342、1307、1292、1248、1215、1203、1178、1152、1086、1063、956、924、912、844、756、736、695。
【0130】
オキサゾリジン Ox-4:3-ベンジル-2-フェニル-1,3-オキサゾリジン
52.92gのN-ベンジルエタノールアミンを、オキサゾリジンOx-1について記載したように、37.88gのベンズアルデヒドと反応させた。得られたものは、20℃にて71mPa・sの粘度、230mg KOH/gのアミン値及び239.3g/eqの計算されたオキサゾリジン当量を有する黄色がかった液体であった。
FT-IR:3061、3028、2942、2884、2801、2713、1952、1882、1811、1703、1604、1586、1494、1454、1385、1371、1340、1307、1292、1252、1215、1203、1161、1127、1101、1056、1025、1001、957、922、912、889、847、757、737、696。
【0131】
オキサゾリジン Ox-5:2,3-ジフェニル-1,3-オキサゾリジン
48.01gのN-フェニルエタノールアミン(アニリン-エタノール)を、オキサゾリジンOx-1について記載したように、37.88gのベンズアルデヒドと反応させた。得られたものは、250mg KOH/gのアミン値及び225.3g/eqの計算されたオキサゾリジン当量を有する黄色がかった液体であったが、これは室温にて徐々に結晶化した。
【0132】
オキサゾリジン Ox-6:ビスオキサゾリジン(1,6-ビス((2-(2-フェニル-1,3-オキサゾリジン-3-イル)エトキシ)カルボニルアミノ)ヘキサン)
63.09gのジエタノールアミンを、オキサゾリジンOx-1について記載したように、37.88gのベンズアルデヒドと反応させることによって、3-(2-ヒドロキシエチル)-2-フェニル-1,3-オキサゾリジンを最初に調製した。288.2mg KOH/gのアミン値を有する暗い黄色の液体を得た。
【0133】
得られた37.80gの生成物を、窒素雰囲気下にて丸底フラスコ中に最初に投入し、加熱した。80℃にて、8.33gのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートを滴下で添加し、次いで、IR分光法によってイソシアネート基がもはや検出可能でなくなるまで混合物を80℃にて撹拌した。得られたものは、黄色の材料であったが、これは、室温にて固体であり、181.4mg KOH/gのアミン値及び279g/eqの計算されたオキサゾリジン当量、及び60℃にて584Pa・sの粘度を有した。
【0134】
Incozol 2(Incorezから):227.4g/eqの計算されたオキサゾリジン当量を有するN-ブチルエタノールアミン及び2-エチルヘキサナールをベースとする3-ブチル-2-(3-ヘプチル)-1,3-オキサゾリジン。
【0135】
オキサゾリジン Ox-1~Ox-4は、式(I)のオキサゾリジンである。オキサゾリジン Ox-5、Ox-6及びIncozol 2は、式(I)に準拠せず、比較としての役割を果たす。
【0136】
イソシアネート基を含有するポリマーの調製:
ポリマーP1:
1300gのポリオキシプロピレンジオール(Acclaim(登録商標)4200、Covestroから;OH数28.5mg KOH/g)、2600gのポリオキシプロピレントリオール(Caradol(登録商標)MD34-02、Shellから;OH数35.0mg KOH/g)、600gのジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(Desmodur(登録商標)44MC L、Covestroから)及び500gのフタル酸ジイソデシルを、80℃にて反応させ、2.1重量%の含量の遊離イソシアネート基を有するNCO-末端ポリウレタンポリマーを得た。
【0137】
ポリウレタン組成物の生成:
組成物Z1~Z14:
各組成物について、表1~3において特定した成分を、湿気を排除して3000rpmにて1分間遠心ミキサー(SpeedMixer(商標)DAC150、FlackTek Inc.)を用いて特定した量で(重量部で)混合し、湿気を排除して貯蔵した。各組成物を、下記のように試験した。
【0138】
保存安定性の尺度として、上記のように、生成の翌日(1d RT)、及び密閉した容器中室温にて7日間の貯蔵の後(7d RT)、及び空気循環オーブンにおける密閉した容器中60℃にて7日間の貯蔵の後(7d60℃)、粘度を決定した。
【0139】
オープンタイムのために決定した尺度は、スキン時間であった。この目的のために、標準的な気候条件下で数グラムの組成物をカード紙に約2mmの層厚さで適用し、組成物の表面を穏やかに軽くたたくために使用したLDPEピペット上にもはや残渣が残らなくなるまでの最初の期間を決定した。
【0140】
機械的特性の決定のために、各組成物を2つのワックスコーティングした転写紙の間でプレスし、厚さ2mmのフィルムを得て、標準的な気候条件下で7日間貯蔵した。ワックス紙を取り除いた後、30mmのバー長さ及び4mmのバー幅を有する75mmの長さのいくつかのダンベルでフィルムを型抜きし、これらを引張強度(破断力)、破断伸び、弾性率25%(0.5~25%の伸長での)及び弾性率100%(0.5~100%の伸長での)について200mm/分のひずみ速度でDIN EN53504によって試験した。
【0141】
ショアA硬度は、DIN53505によって標準的な気候条件下で7日間硬化させた試験検体上で決定した。
【0142】
ショア硬度のために精製された試験検体の外観を、指で軽くたたくことによってブリスター及び表面粘着性の存在に関してアセスメントした。ここで、「粘着性がない」又は「(粘着性がない)」によって意味することは、フィルムが全体的又は実質的に表面粘着性を伴わなかったことである。
【0143】
結果は、表1~3において報告する。
【0144】
「(参照)」と標識された組成物は、比較例である。
【0145】
増粘剤は、真空ミキサーにおいて300gのフタル酸ジイソデシル及び48gのジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(Desmodur(登録商標)44MC L、Covestroから)の最初の投入を穏やかに加熱し、次いで、激しく撹拌しながら27gのモノブチルアミンをゆっくりと滴下で添加することによって前もって生成した。結果として生じたペーストを、冷却しながらさらに1時間減圧下で撹拌した。
【0146】
撹拌しながら丸底フラスコ中で窒素雰囲気下にて13.93gの3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(Vestamin(登録商標)IPD、Evonik Industriesから)を50.00gの2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールの最初の投入に加え、次いで、揮発性構成物質を80℃及び10ミリバールの減圧にて除去することによってアルジミン-1を調製した。20℃にて0.2Pa・sの粘度及び153.0mg KOH/gのアミン値を有する淡黄色で無臭の液体を得た。
【0147】
【0148】
【0149】
【表3】
<態様1>
少なくとも一種のポリオールと、少なくとも一種のジイソシアネートとの反応から得られる、イソシアネート基を含有する少なくとも一種のポリマー、及び
少なくとも一種の下記式(I)のオキサゾリジン
を含むポリウレタン組成物:
【化1】
[式中、
R
1
は、1~8個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアリールアルキル基であり、
R
2
は、H又はメチルであり、
Gは、フラニル、チオフェニル、ピリジニル、インデニル、インダニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、及び下記式の基からなる群から選択される芳香族基であり、
【化2】
式中、
R
3
は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ニトロ、シアノ、フェニル、フェノキシ、(C
1
~C
5
)-アルキル、又は(C
1
~C
5
)-アルコキシであり、
nは、0、1、2又は3である]。
<態様2>
イソシアネート基を含有する前記ポリマーが、0.5重量%~5重量%の範囲のNCO値を有することを特徴とする、態様1に記載のポリウレタン組成物。
<態様3>
前記ジイソシアネートが、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、ペルヒドロ(ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート)、トリレン2,4-ジイソシアネート、又はトリレン2,6-ジイソシアネートとこれらの混合物、及びジフェニルメタン2,4’-ジイソシアネート及び/又はジフェニルメタン2,2’-ジイソシアネートの画分を任意選択で伴うジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートからなる群から選択されることを特徴とする、態様1又は2に記載のポリウレタン組成物。
<態様4>
前記ポリオールが、少なくとも一種のトリオールを含有することを特徴とする、態様1~3のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
<態様5>
R
1
が、メチル、エチル、n-ブチル、又はベンジルであることを特徴とする、態様1~4のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
<態様6>
Gが、フラン-2-イル、1,3-ベンゾジオキソール-5-イル、1-ナフチル、又は下記式の基であることを特徴とする、態様1~5のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物:
【化3】
<態様7>
Gが、フェニル、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、又は4-メトキシフェニルであることを特徴とする、態様1~6のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
<態様8>
オキサゾリジン基のイソシアネート基に対する数比が、0.2~0.45の範囲であることを特徴とする、態様1~7のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
<態様9>
少なくとも一種の下記式のアルジミンがさらに存在することを特徴とする、態様1~8のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物:
【化4】
式中、yは2又は3であり、Aは2~25個の炭素原子を有する有機基であり、かつBは3~30個の炭素原子を有する有機基である。
<態様10>
オキサゾリジン基のイソシアネート基に対する数比が、0.1~0.3の範囲であり、オキサゾリジン基とアルジミン基とを加えた合計のイソシアネート基に対する数比が、0.3~0.8の範囲であることを特徴とする、態様9に記載のポリウレタン組成物。
<態様11>
充填剤、可塑剤、ジイソシアネートオリゴマー、触媒、及び安定剤からなる群から選択される少なくとも一種のさらなる構成成分が存在することを特徴とする、態様1~10のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
<態様12>
一成分湿気硬化性組成物であることを特徴とする、態様1~11のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
<態様13>
以下の工程を含む、結合及び/又はシーリングの方法:
(i)態様1~12のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物を、
- 第1の基材に適用し、かつ前記組成物のオープンタイム内で前記組成物と少なくとも一種の第2の基材とを接触させること、又は
- 第1及び第2の基材に適用し、かつ前記組成物のオープンタイム内で前記2つの基材を接合すること、又は
- 少なくとも2つの基材の間に適用すること、
(ii)湿気と接触させることによって前記組成物を硬化させること。
<態様14>
以下の工程を含む、コーティング及び/又はシーリングの方法:
(i)態様1~12のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物を少なくとも一種の基材に適用すること、
(ii)湿気と接触させることによって前記組成物を硬化させること。
<態様15>
態様13又は14に記載の方法から得られる物品。