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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】誘導結合プラズマソースの改善
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
H05H1/46 L
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022150932
(22)【出願日】2022-09-22
(62)【分割の表示】P 2020531430の分割
【原出願日】2018-07-10
(65)【公開番号】P2022180536
(43)【公開日】2022-12-06
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】15/727,998
(32)【優先日】2017-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ポウローズ ジョン
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-532087(JP,A)
【文献】特表2016-529652(JP,A)
【文献】特開2011-146721(JP,A)
【文献】特開2005-011799(JP,A)
【文献】特表2004-509429(JP,A)
【文献】米国特許第06076482(US,A)
【文献】国際公開第2008/129844(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための装置であって、
上部プレートと、
内側コイルと外側コイルを含むコイルであって、外側コイルが第1の平面に配置され、内側コイルは、
第1の平面内にあり、外側コイルに結合された内側コイルの第1のセグメントと、
第1のセグメントに直列に結合された第2のセグメントであって、第1のセグメントを第1の平面の外に延在させ、第1のセグメントによって外側コイルから分離された第2のセグメントを含むコイルと、
上部プレートに結合された内側支柱及び外側支柱であって、内側コイルが内側支柱によって支持され、外側コイルが外側支柱によって支持され、内側及び外側支柱は上部プレートから延在し、コイルを上部プレートから離れて支持する内側支柱及び外側支柱を備えた装置。
【請求項2】
第1のセグメントは水平平面配置で構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第2のセグメントは垂直螺旋配置で構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
第2のセグメントの垂直螺旋配置は内側コイルの中心に形成される円錐台構造を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
第2セグメントが第2セットのコイル部分を含み、第2セットのコイル部分の各々は、外側コイルから離れる方向に距離が増加するにつれて減少する巻径を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
内側コイルは垂直円筒配置で構成された第2のセグメントを有する、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
第2のセグメントは内側コイルの中心に形成される円錐台構造を有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
上部プレートがアルミニウム材料から製造される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
1つ以上の独立ガイドを備え、1つ以上の独立ガイドの各々は、隣接する1つおきの外側支柱の間に配置され、1つ以上の独立ガイドの各々は第1の平面で外側コイルを支持する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
上部プレートはこれを貫通する複数の通気口を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
内側コイルはコイル短絡部部分で外側コイルに接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
内側支柱及び外側支柱は電気絶縁材料で構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
基板を処理するための装置であって、
1つ以上の導体であって、1つ以上の導体の各々は、
第2のセグメントに直列に結合された第1のセグメントを含む内側コイルと、
内側コイルに直列に結合された外側コイルであって、第1の平面に配置され、第1のセグメントと同一平面上にあり、第1のセグメントから半径方向外側に第2の同心平面配列で構成される外側コイルと、
1つ以上の導体の内側コイルから外側コイルまで延在する短絡部であって、第2セグメントは第1平面に対して第1セグメントからある角度で延在し、第1セグメントによって外側コイルから分離される短絡部を備えた導体と、
1つ以上の導体の各々の内側コイルを支持する複数の内側支柱と、
1つ以上の導体の各々の外側コイルを支持する複数の外側支柱を備えた装置。
【請求項14】
複数の内側支柱は4つの内側支柱を含み、
複数の外側支柱は8つの外側支柱を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
1つ以上の導体は4つの導体を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
第2のセグメントは、減少する巻径を有する垂直螺旋配置で構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
第2のセグメントは垂直円筒配置で構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
第2のセグメントは内側コイルの中心に形成される円錐台構造を有する、請求項13に記載の装置。
【請求項19】
基板を処理するための装置であって、
1つ以上の導体であって、各々が短絡部によって外側コイルに直列に結合された内側コイルを備え、短絡部は1つ以上の導体の各々の内側コイルから各々の外側コイルに延在している導体であって、
外側コイル及び短絡部は、第1の平面に配置され、
内側コイルは第2のセグメントに直列に結合された第1のセグメントを含み、第1のセグメントは、第1の平面において第1の同心平面配置で構成され、
第2のセグメントは、下方の第1のセグメントから延在し、第1の平面に対して非平行であり、第1のセグメントによって外側コイルから分離されており、
第2のセグメントは垂直円筒配置で構成され、第2のセグメントは内側コイルの中心に形成される円錐台構造を有する導体と、
内側コイルに結合された1つ以上の内側支柱と、
外側コイルに結合された1つ以上の外側支柱を備える装置。
【請求項20】
第1のセグメントは、第1の平面に配置された少なくとも2つの同心コイルを含む、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
(分野)
本開示の諸実施形態は、概して、基板を処理するための誘導結合プラズマソースに関する。
【0002】
(関連技術の説明)
マイクロエレクトロニクス製造では、誘導結合プラズマ(ICP)処理チャンバが一般的である。そのような反応器では、ガス内のガス原子から電子を分離する傾向があるガス内の電界を使用することにより、ガス内にプラズマが形成され、イオン、自由電子、中性分子、ラジカルのプラズマを生成する。プラズマを形成するICP法では、電界は、処理チャンバの外側に配置された1つ以上のコイルを流れるAC電流(例えば、RF)によって生成され、それにより、隣接するチャンバガス容積内のガスに電流を誘導する。電力伝達効率(すなわち、ガスへ効果的に伝達されてプラズマを形成した、コイルの通過電力量)は、ICP処理の重要な要素である。ICPソースは通常、容量性と誘導性の両方でチャンバ内のガスに結合しているが、容量結合はあまり効率的ではなく、このような理由から、プラズマが開始又は「点火」された後は望ましくない。容量結合により、プラズマの点火と低電力設定での動作が可能になり、この低電力設定では、低密度プラズマ(Eモードプラズマ)が生成される。一度プラズマが確立すると、誘導結合によりプラズマは高密度へ移行し(Hモードプラズマ)、容量結合の影響が最小限に抑えられる。
【0003】
上記のICPソースが直面する問題の1つは、Eモードプラズマ及びHモードプラズマには種々の負荷インピーダンスがあり、RF整合ネットワークがこれらの負荷インピーダンスを調整しなければならないことである。電源とコイルの間でRF整合器を使用して、実効コイル回路インピーダンスをプラズマインピーダンスに「整合させる」。
【0004】
システムが2つのプラズマモードの間で切り替わると、プラズマが不安定になる。さらに、インピーダンスの低振幅振動は、特定のガス化学作用とウェハ型を使用する時に、不安定性を引き起こす可能性がある。プラズマインピーダンスの変化によって電源とコイル回路に加わる突然のインピーダンス変化により、プラズマへの出力電力が変化する。すると今度は、プラズマに供給される電力の変化により、プラズマインピーダンスが変化し、これにより、正のフィードバックループが生じて、プラズマコイルと電源電力結合回路内が不安定になる。
【概要】
【0005】
本開示は、概して、基板を処理するための装置に関する。一実施形態では、この装置は、コイル及びシールド部材に接続された遠隔場電力発生器を備える。シールド部材は、中心から外向きに延びる複数の半径方向スポークと、スポーク間の複数のスロットを含む。コイルは、内側コイル及び外側コイルを備えるように構成されてもよく、ここで、内側コイル及び外側コイルはそれぞれ、実質的に水平な部分を有している。
【0006】
さらなる諸実施形態では、この装置は、コイル及びシールド部材に接続された遠隔場電力発生器を備える。シールド部材は、繰り返しパターンで外径から内向きに延びる様々な長さの複数の半径方向スポークを含む。コイルを、内側コイル及び外側コイルを備えるように構成してもよく、ここで、内側コイル及び外側コイルはそれぞれ、実質的に水平な部分を有している。
【0007】
さらなる諸実施形態では、この装置は、コイル及びシールド部材に接続された遠隔場電力発生器を備える。シールド部材は、複数の半円形円弧状部材を備えており、これらの半円形円弧状部材は、半径方向部材から時計回りと反時計回りに交互配置で延在している。コイルを、内側コイル及び外側コイルを備えるように構成してもよく、ここで、内側コイル及び外側コイルはそれぞれ、実質的に水平な部分を有している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の上記の構成を詳細に理解することができるように、上記に簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、諸実施形態を参照して行う。そして、これら実施形態のいくつかは添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は例示的な実施形態を示しているに過ぎず、従ってこの範囲を制限していると解釈されるべきではなく、他の同等に有効な実施形態を含み得ることに留意すべきである。
図1】従来技術のICPシステムの典型的な断面の概略断面図である。
図2】一実施形態による誘導結合ソースの概略斜視図である。
図3図2の誘導結合ソースの概略断面図である。
図4】一実施形態のコイル配置の断面図である。
図5】一実施形態のコイル配置の断面図である。
図6】一実施形態のシールドの平面図である。
図7】一実施形態のシールドの平面図である。
図8】一実施形態のシールドの平面図である。
図9】誘導結合ソースの回路図である。
【0009】
理解を容易にするため、可能な場合には、同一の符号を使用して、これらの図面に共通の同一の要素を示す。ある実施形態の要素及び構成は、具体的な記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれ得る。
【詳細な説明】
【0010】
本開示は、概して、誘導結合プラズマソースを使用して基板を処理するための装置に関する。誘導結合プラズマソースは、電源、シールド部材、及び電源に接続されたコイルを利用する。ある種の諸実施形態では、コイルの配置には、水平渦巻きグループと垂直に延びる螺旋グループがある。ある種の諸実施形態によれば、シールド部材は、接地部材を利用してファラデーシールドとして機能する。本明細書の諸実施形態は、基板処理システム内のプラズマにおける寄生損失及び不安定性を低減する。
【0011】
図1は、典型的な処理チャンバ100の概略断面図である。諸実施形態は、プラズマを利用して基板を処理する任意の処理システムと共に実施され得ることが理解される。チャンバ100は、本体102と誘電体蓋104を備える。基板106は、本体102内の基板支持体108上に配置され得る。本明細書では、基板支持体には、RF整合ネットワーク114を介して電源112に接続された電極110が配置されている。ガス源128は、入口ポート130を介して処理チャンバ100に処理ガスを供給する。真空ポンプ134及び弁136は、処理チャンバ100内外へのガスの圧力及び外向きの流れを制御する。
【0012】
誘導結合ソース116は、蓋104に隣接してその上に配置される。誘導結合ソース116は、RF電源122に接続されたコイル118、120を備える。RF電源122はさらに、RF整合ネットワーク124に接続されている。コイル118、120を、別個に電力供給される独立したコイル、又は直列配置で接続された従属コイルとしてもよい。誘導結合ソース116は、本体102の処理領域内に遠隔場を生成する。この遠隔場は、そこに導入された処理ガスをイオン化して、その中にプラズマ132を形成する。共振回路126は、RF電源122とコイル118、120との間に配置され、各コイルに選択的に電力を分配して、プラズマ132の形成と維持の制御性、及びプラズマ132に曝された基板106の面全体でのプラズマの相対強度を高める。
【0013】
シールド138は、誘導結合ソース116と蓋104との間に配置されている。抵抗加熱素子(図示せず)がシールド138内に配置され、電源140に接続されている。抵抗加熱素子は熱を供給して、シールド138及び蓋104の温度を制御する。シールド138をファラデーシールドとして構成して、誘導結合ソース116により生成されるRF場の制御性を高める。
【0014】
図2は、一実施形態による誘導結合プラズマソース200の概略斜視図である。図2では、理解を容易にするために、ソース200は、チャンバ内にプラズマを形成するために使用される時の向きとは、上下逆に示されている。誘導結合プラズマソース200は、図1の誘導結合ソース116と同様であってもよく、上部プレート202を有する。上部プレート202を、アルミニウムなどの金属で製造してもよい。石英などの他の材料、又は誘電体セラミックなどの誘電材料も、上部プレート202の材料として使用し得る。上部プレート202は、それを貫通する複数の通気口(図示せず)を備える。通気口を、ファンユニット(図示せず)からの空気がコイルを通過してから開口部を通過するように構成して、誘導結合プラズマソース200を冷却する空気の流路を作り出してもよい。上部プレート202は、誘導結合プラズマソース200の構成要素の取り付け面として機能し、内側及び外側支柱212、214を備えて、処理チャンバ100の蓋104から離間した位置に相対的に固定してコイルを支持する。
【0015】
複数のコイル206(ここでは4つのコイル)が、内側及び外側支柱212、214によって上部プレート202に結合されている。コイル206の各々は、内側コイル部208(内側コイル部208a~d)及び外側コイル部210(外側コイル部210a~d)を備え、これらのコイル部は共にコイル短絡部211(コイル短絡部211a~d)によって互いに接続されている。内側コイル部208a~dは、複数(ここでは4つ)の内側支柱212によって支持され、外側コイル部210a~dは、複数(ここでは8個)の外側支柱214によって支持されている。本明細書の内側支柱212及び外側支柱214の各々は、電気絶縁体(例えば、デルリン(商標名)などのポリマー)で構成される。本明細書でさらに説明するように、支柱212、214は、上部プレート202に対するコイル部206、208の位置を支持及び固定する。また、本明細書の図2の構成では、各内側コイル部208a~dは、4つの内側支柱212のすべてによって支持されているが、各外側コイル部210a~dは、8つの外側支柱214のうちの7つのみによって支持され、各外側支柱は、少なくとも3つ、場合によっては4つの外側コイル部210a~dを支持していることに留意されたい。4つの独立ガイド216も用意されている。そのうちの1つが、ほぼ周方向の経路に沿って置かれた、1つおきの隣接する外側支柱214の間に配置される。独立ガイド216は、上側部材218と下側部材220を備える。上側部材218と下側部材220は、ねじ部品213などの留め具によって互いに連結されて、独立ガイド216を形成する。しかし、部材218、220を接合するのに適した任意の手段を利用してもよい。上側部材218は、上部プレート202に面して、ほぼ櫛形の外形を有し、下面から内部に延びる4つの凹部222a~dを備える。各凹部222は、外側コイル部210a~dをそれぞれ1つずつその中に受け入れる。凹部222a~dは、下側部材と協働して、各外側コイル部210の半径方向の位置を概ね固定し、異なる外側コイル部210を互いに電気的に絶縁する。さらに、各独立ガイド216は、2つの外側支柱214の間に円周方向に配置され、この配置位置は、コイル短絡部211(コイル短絡部211a~d)が各コイル206の内側コイル部208から外側コイル部210へ延びる位置である。それ故、独立ガイド216は、固定垂直支持を提供して、外側コイル部210a~dとコイル短絡部211a~dが出会う位置を垂直方向に揃える。ここで、独立ガイド216は、外側支柱214の周方向の経路の周りに90度離れて配置され、ここで、コイル短絡部211a~dの各々は、それぞれの内側コイル部208a~dと外側コイル部210a~dとの間に延在する。ある種の諸実施形態では、凹部222a~dは、下側部材220に、又は上側部材218と下側部材220の両方に形成されてもよい。独立ガイド216及び支柱212、210は、ポリマー又はセラミックなどの非導電性材料で構成される。
【0016】
図3は、図2の矢視断面A-Aに沿って見た誘導結合プラズマソース200の断面図である。ここで、コイルの部分と、A-A面の背後の内側及び外側支柱208、210は、説明の簡略化ために図示されていない。上部プレート202は、図の下端に示されている。外側コイル部210は、外側支柱214によって支持されている。内側コイル部208は、内側支柱212によって支持されている。任意の数及び構成のコイル206、並びにそれに合わせた内側コイル部208、外側コイル部210、及びコイル短絡部211を利用してもよいことが理解される。
【0017】
受座312が、ねじ部品213によって外側支柱214の各々に連結されている。しかし、ろう付け又は接着など、任意の手段を利用して支柱214と受座312を連結してもよい。受座312は、外側コイル210の巻線の一部を覆うように構成された1つ以上の凹部314を備える。1つの外側コイル部210が、各凹部314の内部に延在している。受座312は、支柱214と協働して、各外側コイル部の位置を垂直方向に固定し、異なる外側コイル部210を互いに電気的に絶縁する。さらなる諸実施形態において、凹部314は、支柱214に、又は受座312と支柱214の両方に形成されてもよい。受座312は、非導電性ポリマー又は非導電性セラミックなどの非導電性材料を含む。
【0018】
同様に、受座316が、ねじ部品213(影になって図示されている)によって各内側支柱212に連結されている。しかしながら、任意の手段を利用して受座316を支柱212に連結してもよい。凹部318は、受座316内に形成され、内側コイル部208a~dの各々を1つずつその中に受け入れるように構成される。受座316は、支柱212と協働して、内側コイル部208a~dを垂直方向に固定し、それらを互いに電気的に絶縁する。ある種の諸実施形態では、受座316は、水平部材及び垂直部材などの複数の部材を備えてもよい。さらなる諸実施形態では、凹部318は、支柱212に、又は支柱212と受座316の両方に形成されてもよい。
【0019】
リング320、322が、それぞれ内側支柱212及び外側支柱214に連結されている。内側リング320を、内側支柱212に連結することで、その外径が各内側支柱212の側面に当接し、こうして、内側支柱212が配置される周の直径を設定するのに役立つ。外側リング322は、ボルト円に沿って敷設された、ねじ部品326などの留め具によって外側支柱214と連結されている。こうして、外側支柱214をそこに連結することにより、外側支柱214が配置される周の直径を設定するのに役立つ。内側リング320及び外側リング322は、デルリン(登録商標)などのポリマー、又は他の絶縁材料、又はそれらの組み合わせで構成されてもよい。環状リングを形成するのに適した任意の材料を利用してもよい。内側リング320及び外側リング322は、それと連結する支柱212、214を補強するのに役立つ。リング320、322は、ボルト締め、ろう付け、又は接着などの任意の適切な手段によって支柱212、214に連結される。
【0020】
図4は、一実施形態による誘導結合ソースのコイル配置の概略図である。図2のコイル206などのコイル400は、内側コイル部402及び外側コイル部404を備える。外側コイル部402は、実質的に水平な面に沿った同心渦巻きとして構成される。内側コイル部402は、合わせて2つの面で構成される。内側コイル部402の各々の第1部分は、実質的に水平な面内に組重ねられた渦巻きとして延在している。内側コイル部402の各々の第2部分は、第1部分から上部プレート202の方向に実質的に直立する円筒面に沿って組重ねられて巻きつくように構成される。図4では、外側コイル404は、4つの外側コイル部を備える。内側コイル402は、4つの内側コイル部を備える。このように巻くコイル部に、他の数を利用してもよいことが理解される。さらに、コイル巻線のグループ(コイル部)は、単一の長さの導体として内側部と外側部の両方を含む、複数の単一連続巻線であってもよいことが理解される。ある種の諸実施形態では、内側コイル部402及び外側コイル部404を、同じ又は異なるRF電力発生器(図1の電源122など)に接続してもよい。同様に、内側と外側のコイル部402、404の接続部では、調整可能コンデンサなどのコンデンサを設け得る。ここでは、内側及び外側のコイル部は、それに並列に接続されている。
【0021】
図5は、一実施形態による誘導結合ソースのさらなる代表的な概略コイル配置である。このコイル500は、内側コイル部504と外側コイル部502とを備える。外側コイル部502は、実質的に水平な面内で組重ねられた同心渦巻きとして構成される。内側コイル部504は、2つの異なる幾何学的レイアウトに沿って構成される。内側コイル部504の第1部分は、実質的に水平な面に沿って渦巻き状に組重ねられている。内側コイル部504の第2部分は、軸中心の周りの想像上の円錐台表面に沿って上部プレート202の方向に延びている。内側コイル部504の水平な第1部分から離れて、軸中心に沿った距離Dが増加するにつれて、内側コイル部504の第2部分の巻き半径Rは減少する。したがって、内側コイル部504の円錐台は、内側コイル504の中心に形成される。
【0022】
このように巻くコイル部に、他の数を利用してもよいことが理解される。さらに、コイル巻線のグループ(コイル部)は、単一の長さの導体として内側部と外側部の両方を含む、複数の単一連続巻線であってもよいことが理解される。ある種の諸実施形態では、内側コイル部504及び外側コイル部502を、同じ又は異なるRF電力発生器(図1の電源122など)に接続してもよい。同様に、内側と外側のコイル部504、502の接続部では、調整可能コンデンサなどのコンデンサを設け得る。ここでは、内側と外側のコイル部がそれに並列に接続される。
【0023】
図4及び図5の実施形態は、図1の蓋104などの処理チャンバ蓋に隣接して配置され得る。このような構成では、蓋又は蓋に配置されたシールドの間の空隙が最小化されて、それにより、誘導結合ソースと処理チャンバ内のプラズマとの間の誘導結合を高める。図4及び図5の実施形態の水平コイルは、電力がコイルからプラズマに伝達されるフラックス領域を増加させる。フラックス領域が増加することで、より大きな電力分布により処理容積内のプラズマの均一性が向上し、誘導結合が高まる。誘導結合ソースとプラズマの間の誘導結合を高めることにより、RF整合ネットワークのインピーダンスの変動は低減し、それによって、寄生電力損失は低減し、プラズマの均一性はさらに向上する。
【0024】
図6~8は、ある種の諸実施形態による様々なシールドの平面図である。図1のシールド138のようなシールドが、誘導結合ソースと処理チャンバとの間に配置される。シールドはRF場に影響を与えて、処理チャンバ内のプラズマに変更を加える。シールドは通常、アルミニウムなどの金属材料で作られている。ある種の諸実施形態では、シールドを電気的に接地してファラデーシールドを形成してもよい。シールドは、電源に接続された加熱素子を備えることができ、それにより、蓋ヒーターとして同時に機能する。加熱素子を用いて、シールド及び処理チャンバの蓋の温度を制御してもよい。シールドは、電気的に接続されてシールドを形成するセグメント(4つ以上のセグメントなど)を備えてもよい。スロットのサイズや幅、貫通する間隙、シールドの厚さ、セグメントの数などのシールドの構成を、RFへの望ましい影響レベルに基づいて調整してもよい。
【0025】
図6は、一実施形態のシールドの平面図である。シールド600は、4つの同一のセグメント602a、602b、602c、602dで形成された円盤状の本体を備える。開口604がシールド600の中心に形成されている。間隙606が、隣接するシールドのセグメント602a~dの境界面に形成され、開口604からシールド600の幅にわたって半径方向に延びる。スポーク形状のスロット608が、開口604からシールド600の幅方向に部分的に、外側へ向かって半径方向に延びる。スロット610が、セグメント602a~dを通って延び、隣接するスポーク形状のスロット608の中間、並びにスポーク形状のスロット608及び隣接する間隙606の中間に配置される。スロット610は、スポーク形状のスロット608及び間隙606によって形成されるV形形状の区画(すなわち、シールドのセグメント602a~d内で半径方向の隆起(heave)対向する端部)内に含まれる。
【0026】
図7は、一実施形態のシールドの平面図である。シールド700は、シールド700の外周を画定する、概ね平坦な円形本体702を備える。様々な長さの複数のスポーク704a、704b、704c、704dが第1、第2、第3、及び第4の長さの繰り返しパターンで、シールド700の本体702の外周から半径方向内側に延びる。スポーク704aは、シールド700の外周から中心に向かって測定された第1長さを有する。スポーク704bは、スポーク704aの長さよりも短い、外周から中心に向かって測定された長さを有する。スポーク704cは、スポーク704bの長さよりも短い、外周からシールド本体702の中心に向かって測定された長さを有する。スポーク704dは、スポーク704cの長さよりも短い、シールド本体702の外周から中心に向かって測定された長さを有する。
【0027】
図8は、別の一実施形態のシールドの平面図である。シールド800は、半径方向部材804及び半円形の円弧状部材802a、802bを備える。半径方向部材804は、シールド600の中心806から半径方向に延びる。円弧状部材802aは、半径方向部材804から時計回り方向に、様々な曲率半径で延びている。円弧状部材802bは、半径方向部材804から反時計回り方向に、様々な曲率半径で半径方向部材804から延びている。円弧状部材802a、802bは、中心806から外向きに、交互に織り交ぜて又は入れ子になって構成されている。
【0028】
図9は、図1の整合ネットワーク124及び誘導結合ソース116のような典型的な整合ネットワーク及びソース回路の回路図である。図9では、電源112は整合回路114に接続されている。整合回路114は、分岐点920に接続された2つの足に可変コンデンサ902及び可変コンデンサ904を備える。コンデンサ904を備える足は、ソース回路900に接続されている。ソース回路900は、第1インダクタ910と、第2インダクタ912とを備え、この第1インダクタ910を、外側コイル部(例えば、図2及び図3の210a~dのうちの1つ)としてもよい。第2インダクタ912は、可変コンデンサ914に直列に接続されている。固定コンデンサ918が、第1インダクタ910と第2インダクタ912との間の回路に接続されている。インダクタ912を、内側コイル部(例えば、図2及び図3の208a~dのうちの1つ)としてもよい。インダクタ910、912は、チャンバ蓋104を介して処理チャンバ928に電力を誘導結合し、その中に配置されたプラズマと電磁的に連通する。プラズマは、第1インダクタ910に接続された第1インダクタンス922と、第2インダクタ912に接続された第2インダクタンス926と、抵抗924とを有する。
【0029】
図9の回路は、ソースと負荷の間の電力伝達を最大化するために、ソース電力インピーダンスを負荷のインピーダンスに「整合させる」ように機能する。さらに、可変コンデンサ902、904、914を利用することにより、電力を、内側コイルセグメント(インダクタ912)と外側コイルセグメント(インダクタ910)に対して個別に制御し得る。個々のコイルセグメントへの電力を制御することにより、処理チャンバ内で形成されるプラズマの均一性が向上する。ある種の諸実施形態では、内側コイル及び外側コイルへの電力は同相であってもよい。他の諸実施形態では、内側コイル及び外側コイルへの電力は位相がずれていてもよい。図9の回路を、上記の諸実施形態で実施してもよい。図9の回路を、インダクタへの電力の制御性が高まると有利になる任意のコイルソースで実施できることを、さらに理解すべきである。
【0030】
本明細書に記載される諸実施形態は、有益にもプラズマ処理システムにおいてより均一なプラズマ場を生成する。誘導結合を増加させ、容量結合を減少させることで、整合ネットワークによって整合されるインピーダンスの変動が小さくなり、これにより、プラズマへ伝達される電力の変動が減少する。さらに、システムの寄生損失を減らすことにより、電力伝達効率が向上する。
【0031】
上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他のさらなる実施形態を、その基本的な範囲から逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9