(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】リソグラフィプロセスのサブフィールド制御及び関連する装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
(21)【出願番号】P 2022510910
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 EP2020072107
(87)【国際公開番号】W WO2021047833
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-04-14
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クリンカマー,ヤコブ,フレドリック,フリソ
(72)【発明者】
【氏名】アルティニ,ヴァレリオ
(72)【発明者】
【氏名】カトアウ,ハンス,エリック
(72)【発明者】
【氏名】テイセン,テオ,ヴィルヘルムス,マリア
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2003/093903(WO,A2)
【文献】国際公開第2007/007626(WO,A1)
【文献】特開2016-200818(JP,A)
【文献】特開2017-199031(JP,A)
【文献】特表2018-508049(JP,A)
【文献】国際公開第2019/110261(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンの像を基板に投影する際に使用されるリソグラフィ装置内のレンズのマニピュレータのための動的制御プロファイルを決定する方法であって、
前記投影された像の位置決めに関連付けられた位置パラメータの、前記基板の少なくとも一部にわたる空間的変動を得ることと、
前記位置パラメータの前記空間的変動を補正するように構成されたステージ制御プロファイルに関連付けられた動的ステージ位置誤差の予測される影響による像コントラストの低下の安定化又は緩和に基づいて、前記マニピュレータのための前記動的制御プロファイルを決定することであって、
少なくとも前記ステージ制御プロファイルに逆畳み込み方式を適用することを含み、前記逆畳み込み方式の構造は、スキャン方向における照明プロファイルの寸法に基づき、前記少なくともステージ制御プロファイルは、露光スリットによって定義される前記照明プロファイルと畳み込みされた、畳み込み制御プロファイルを含み、前記逆畳み込み方式は、前記畳み込みによって生じた誤差を最小化するために、前記畳み込み制御プロファイルを逆畳み込みし、前記マニピュレータのための前記動的制御プロファイルは、前記投影された像の幾何変形を前記投影中に動的に調整するように構成される、決定することと
を含
む、方法。
【請求項2】
前記位置パラメータは、前記基板に対して実施された測定から得られたアライメントデータ及び/又はオーバーレイデータに関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動的ステージ位置誤差は、前記ステージの制御中に生じた位置誤差の移動標準偏差として表現される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記幾何変形は、スキャン方向に平行な方向への拡大である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
パターンの像を基板に投影する際に使用されるリソグラフィ装置内のステージのためのステージ制御プロファイルを決定する方法であって、
前記投影された像の位置決めに関連付けられた位置パラメータの、前記基板の少なくとも一部にわたる空間的変動を得ることと、
前記位置パラメータの前記空間的変動と、前記位置パラメータの前記空間的変動を補正するように構成された前記ステージ制御プロファイルに関連付けられた動的ステージ位置誤差の予測される影響による像コントラストの低下を安定化させる又は緩和する際に使用される動的に制御可能なレンズマニピュレータの補正可能性とに基づいて、前記ステージのための前記制御プロファイルを決定することであって、
少なくとも前記ステージ制御プロファイルに逆畳み込み方式を適用することを含み、前記逆畳み込み方式の構造は、スキャン方向における照明プロファイルの寸法に基づき、前記少なくともステージ制御プロファイルは、露光スリットによって定義される前記照明プロファイルと畳み込みされた、畳み込み制御プロファイルを含み、前記逆畳み込み方式は、前記畳み込みによって生じた誤差を最小化するために、前記畳み込み制御プロファイルを逆畳み込みし、前記動的に制御可能なレンズマニピュレータは、前記投影された像の幾何変形を前記投影中に動的に調整するように構成される、決定することと
を含
む、方法。
【請求項6】
前記位置パラメータは、前記基板に対して実施された測定から得られたアライメントデータ及び/又はオーバーレイデータに関連付けられる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記動的ステージ位置誤差は、前記ステージの制御中に生じた位置誤差の移動標準偏差として表現される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記レンズマニピュレータの前記補正可能性は、スキャン方向に平行な方向に前記像に適用される動的に制御可能な拡大に関連付けられる、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
リソグラフィ装置を使用して露光フィールド上にパターンを露光するためのリソグラフィプロセスの制御のための共決定されたステージ制御及び動的レンズ制御を実施する方法であって、
1つ又は複数の空間的可変性能パラメータを補正するように構成されたステージ制御プロファイルと
、前記露光されたパターンのコントラストへの前記ステージ制御の影響を緩和する又は安定化させるための動的レンズ制御プロファイルとを共決定することであって、
少なくとも前記ステージ制御プロファイルに逆畳み込み方式を適用することを含み、前記逆畳み込み方式の構造は、スキャン方向における照明プロファイルの寸法に基づき、前記少なくともステージ制御プロファイルは、露光スリットによって定義される前記照明プロファイルと畳み込みされた、畳み込み制御プロファイルを含み、前記逆畳み込み方式は、前記畳み込みによって生じた誤差を最小化するために、前記畳み込み制御プロファイルを逆畳み込みし、前記動的レンズ制御プロファイルは、前記露光されたパターンの幾何変形を前記露光中に動的に調整するように構成される、共決定することを含
む、方法。
【請求項10】
前記共決定することは、前記1つ又は複数の性能パラメータへの前記動的レンズ制御プロファイルの影響を制限するために、前記動的レンズ制御プロファイルに制約を与えることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記動的レンズ制御プロファイルは、少なくとも1つ又は複数の可変リフレクタを制御するように動作可能である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記共決定された制御プロファイルは、サブフィールド制御のために決定される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
パターンの像を基板に投影する際に使用されるリソグラフィ装置内のレンズのマニピュレータのための動的制御プロファイルを決定するように動作可能なプログラム命令を含むコンピュータプログラム製品であって、
前記命令は、
前記投影された像の位置決めに関連付けられた位置パラメータの、前記基板の少なくとも一部にわたる空間的変動を得るように、且つ
前記位置パラメータの前記空間的変動を補正するように構成されたステージ制御プロファイルに関連付けられた動的ステージ位置誤差の予測される影響による像コントラストの低下の安定化又は緩和に基づいて、前記マニピュレータのための前記動的制御プロファイルであって、前記投影された像の幾何変形を前記投影中に動的に調整するように構成される前記マニピュレータのための前記動的制御プロファイルを決定するように
構成され、
前記命令は、
少なくとも前記ステージ制御プロファイルに逆畳み込み方式を適用するようにさらに構成され、前記逆畳み込み方式の構造は、スキャン方向における照明プロファイルの寸法に基づき、前記少なくともステージ制御プロファイルは、露光スリットによって定義される前記照明プロファイルと畳み込みされた、畳み込み制御プロファイルを含み、前記逆畳み込み方式は、前記畳み込みによって生じた誤差を最小化するために、前記畳み込み制御プロファイルを逆畳み込みする、
コンピュータプログラム製品。
【請求項14】
パターンの像を基板に投影する際に使用されるリソグラフィ装置内のステージのためのステージ制御プロファイルを決定するように動作可能なプログラム命令を含むコンピュータプログラム製品であって、
前記命令は、
前記投影された像の位置決めに関連付けられた位置パラメータの、前記基板の少なくとも一部にわたる空間的変動を得るように、且つ
前記位置パラメータの前記空間的変動と、前記位置パラメータの前記空間的変動を補正するように構成された前記ステージ制御プロファイルに関連付けられた動的ステージ位置誤差の予測される影響による像コントラストの低下を安定化させる又は緩和する際に使用される動的に制御可能なレンズマニピュレータであって、前記投影された像の幾何変形を前記投影中に動的に調整するように構成される前記動的に制御可能なレンズマニピュレータの補正可能性とに基づいて、前記ステージのための前記制御プロファイルを決定するように
構成され、
前記命令は、
少なくとも前記ステージ制御プロファイルに逆畳み込み方式を適用するようにさらに構成され、前記逆畳み込み方式の構造は、スキャン方向における照明プロファイルの寸法に基づき、前記少なくともステージ制御プロファイルは、露光スリットによって定義される前記照明プロファイルと畳み込みされた、畳み込み制御プロファイルを含み、前記逆畳み込み方式は、前記畳み込みによって生じた誤差を最小化するために、前記畳み込み制御プロファイルを逆畳み込みする、
コンピュータプログラム製品。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のコンピュータプログラム製品を含む非一時的なコンピュータプログラム記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2019年9月10日に出願された欧州特許出願公開第19196357.8号、及び2019年9月16日に出願された欧州特許出願公開第19197575.4号の優先権を主張するものであり、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、リソグラフィプロセスにおいて基板にパターンを付与し及び/又は上記パターンを測定するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、基板に、通常は基板のターゲット部分に所望のパターンを付加する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造で使用することができる。その際に、代替としてマスク又はレチクルとも称されるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層に形成される回路パターンを発生させることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)のターゲット部分(例えば、1つ又は複数のダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けられた放射感応性材料(レジスト)層への結像による。一般に、単一の基板は、連続的にパターン形成された、隣接したターゲット部分のネットワークを含む。既知のリソグラフィ装置は、ターゲット部分にパターン全体を1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)に平行又は逆平行に同期的にスキャンしながら、放射ビームによってパターンをこの方向にスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。パターンを基板上にインプリントすることによって、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0004】
[0004] リソグラフィプロセスを監視するために、パターン付き基板のパラメータが測定される。パラメータは、例えば、パターン付き基板内又は上に形成された連続する層間のオーバーレイ誤差と、現像された感光性レジストの臨界線幅(CD)とを含むことができる。この測定は、製品基板及び/又は専用のメトロロジターゲット上で実施することができる。走査電子顕微鏡及び種々の専用ツールの使用を含む、リソグラフィプロセスで形成される微細構造の測定を行うための種々の技術がある。専用検査ツールの高速で非侵襲的な形態は、放射ビームが基板表面上のターゲットに誘導され、散乱又は反射したビームの特性が測定されるスキャトロメータである。2つの主要なタイプのスキャトロメータが知られている。分光スキャトロメータは広帯域放射ビームを基板上に誘導し、特定の狭い角度範囲に散乱した放射のスペクトル(波長の関数としての強度)を測定する。角度分解スキャトロメータは単色放射ビームを使用し、散乱した放射の強度を角度の関数として測定する。
【0005】
[0005] 既知のスキャトロメータの例としては、米国特許出願公開第2006033921A1号及び米国特許出願公開第2010201963A1号で説明されているタイプの角度分解スキャトロメータが挙げられる。そのようなスキャトロメータによって使用されるターゲットは、比較的大きな、例えば、40μm×40μmの格子であり、測定ビームは格子よりも小さなスポットを生成する(すなわち、格子が満たされない)。再構成によるフィーチャ形状の測定に加えて、公開特許出願である米国特許出願公開第2006066855A1号で説明されているように、そのような装置を使用して、回折に基づくオーバーレイを測定することができる。回折次数の暗視野結像を使用する、回折に基づくオーバーレイメトロロジは、より小さなターゲットのオーバーレイの測定を可能にする。暗視野結像メトロロジの例は、国際公開第2009/078708号及び国際公開第2009/106279号に見出すことができ、これらの文献の全体が参照により本明細書に組み込まれる。本技術のさらなる発展形態は、公開特許出願である米国特許出願公開第20110027704A号、米国特許出願公開第20110043791A号、米国特許出願公開第2011102753A1号、米国特許出願公開第20120044470A号、米国特許出願公開第20120123581A号、米国特許出願公開第20130258310A号、米国特許出願公開第20130271740A号、及び国際公開第2013178422A1号で説明されている。これらのターゲットは、照明スポットよりも小さなものとすることができ、ウェーハ上の製品構造によって取り囲むことができる。複合格子ターゲットを使用して、複数の格子を1つの像で測定することができる。これらの出願すべての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
[0006] 現在、オーバーレイ誤差は、例えば、米国特許出願公開第2013230797A1号で説明されている補正モデルによって制御及び補正される。先進的プロセス制御技術は、近年導入されており、付与されるデバイスパターンと一緒に基板に適用されるメトロロジターゲットの測定を使用する。これらのターゲットは、スキャトロメータなどの高スループットの検査装置を使用してオーバーレイを測定することを可能にし、この測定は、次の基板をパターニングするときにリソグラフィ装置にフィードバックされる補正を生成するために使用することができる。先進的プロセス制御(APC)の例は、例えば、米国特許出願公開第2012008127A1号で説明されている。検査装置は、リソグラフィ装置とは別体であり得る。リソグラフィ装置内では、基板に対して行われるオーバーレイターゲットの測定に基づいてウェーハ補正モデルが従来の方式で適用され、測定は、すべてのパターニング動作の予備ステップとしてのものである。今日では、補正モデルは、ウェーハの非線形歪みを補正するために、高次モデルを含む。また、補正モデルは、他の測定値及び/又は算出された影響(パターニング動作中の熱変形など)を考慮に入れるように拡張することができる。
【0007】
[0007] 高次モデルの使用では、多くの効果を考慮に入れることが可能であり得るが、このようなモデルは、パターニング動作中にパターニングデバイス自体が対応するパラメータを制御しない場合に、使用が制限されることがある。さらに、先進的補正モデルでさえ、特定のオーバーレイ誤差を補正するのに十分でない又は補正するように最適化されないことがある。
【0008】
[0008] そのようなプロセス制御方法を改善することが望ましい。
【発明の概要】
【0009】
[0009] 本発明の第1の態様では、リソグラフィ装置を使用して露光フィールド上にパターンを露光するためのリソグラフィプロセスの制御に対する補正を決定するための方法が提供され、方法は、露光フィールドの少なくとも一部分にわたる性能パラメータの空間的変動を記述した空間プロファイルを得ることと、最低限のコントラスト品質を確保しつつ性能パラメータの誤差を最小化するために空間プロファイルのための制御プロファイルを共決定することであって、上記共決定された制御プロファイルは、リソグラフィ装置のステージ構成の制御のためのステージ制御プロファイルと、少なくとも基板平面に垂直な方向への拡大に対する補正を実施するように動作可能なリソグラフィ装置のレンズマニピュレータの制御のためのレンズマニピュレータ制御プロファイルとを少なくとも含む、共決定することとを含む。
【0010】
[0010] 本発明の第2の態様では、適切な装置で実行されたときに第1の態様の方法を実施するように動作可能なプログラム命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0011】
[0011] 本発明の第3の態様では、リソグラフィ装置が提供され、リソグラフィ装置は、放射ビームを提供するための照明システムと、パターニングデバイスを支持するための第1のステージであって、パターニングデバイスは、放射ビームの断面にパターンを付与する役割を果たす、第1のステージと、基板を保持するための第2のステージとを含むステージ構成と、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分に投影するための投影システムと、レンズマニピュレータ制御プロファイルに従ってパターン付き放射ビームに補正を加えるように構成されたレンズマニピュレータであって、レンズマニピュレータはフィールド面に近接して位置する、レンズマニピュレータと、第1の態様の方法を実施するように構成されたコントローラとを含む。
【0012】
[0012] 本発明の第4の態様では、リソグラフィ装置を使用して露光フィールド上にパターンを露光するためのリソグラフィプロセスの制御のための共決定されたステージ制御及び動的レンズ制御を実施する方法が提供され、方法は、1つ又は複数の空間的可変性能パラメータを補正するように構成されたステージ制御プロファイルと、上記1つ又は複数の性能パラメータへの影響を最小化してコントラストへの上記ステージ制御の影響を安定化させるための動的レンズ制御プロファイルとを共決定することを含む。
【0013】
[0013] 本発明の第5の態様では、パターンの像を基板に投影する際に使用されるリソグラフィ装置内のステージのためのステージ制御プロファイルを決定する方法が提供され、方法は、投影された像の位置決めに関連付けられた位置パラメータの、基板の少なくとも一部にわたる空間的変動を得ることと、位置パラメータの空間的変動と、位置パラメータの空間的変動を補正するように構成されたステージ制御プロファイルに関連付けられた動的ステージ位置誤差の予測される影響による像コントラストの低下を安定化させる又は緩和する際に使用されるレンズマニピュレータの補正可能性とに基づいて、ステージのための制御プロファイルを決定することとを含む。
【0014】
[0014] 本発明の第6の態様では、パターンの像を基板に投影する際に使用されるリソグラフィ装置内のレンズのマニピュレータのための動的制御プロファイルを決定する方法が提供され、方法は、投影された像の位置決めに関連付けられた位置パラメータの、基板の少なくとも一部にわたる空間的変動を得ることと、位置パラメータの空間的変動を補正するように構成されたステージ制御プロファイルに関連付けられた動的ステージ位置誤差の予測される影響による像コントラストの低下の所望の安定化及び緩和に基づいて、マニピュレータのための動的制御プロファイルを決定することとを含む。
【0015】
[0015] 本発明のさらなる態様、特徴及び利点、さらには、本発明の様々な実施形態の構造及び動作が、添付図面を参照して下記に詳細に説明される。なお、本発明は、本明細書で説明する特定の実施形態に限定されない。そのような実施形態は、例示のみを目的として本明細書に提示される。さらなる実施形態が、本明細書に記載された教示から当業者に明らかになるであろう。
【0016】
[0016] 本発明の実施形態が、例として、添付の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】リソグラフィ装置を半導体デバイス用の製造設備を形成する他の装置と共に示している。
【
図2】半導体製造を最適化するための3つの主要技術間の協力を表す、ホリスティックリソグラフィの概略図を示す。
【
図4】測定されたオーバーレイを示す、スキャン方向に沿ったフィールド位置に対するオーバーレイと、本発明の実施形態による方法によって決定された制御グリッドを使用してモデル化及び/又は実施されたフィット補正のグラフである。
【
図5】本発明の実施形態による方法で使用できる可変リフレクタを概略的に示す。
【
図6】本発明の実施形態による方法で使用できる、可変リフレクタを含むリソグラフィ装置の一部分を概略的に示す。
【
図7】従来の方法及び本発明の実施形態による方法に関する移動標準偏差MSDに対するオーバーレイ残差OVのプロットである。
【
図8】本発明の実施形態による方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0017] 本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明の実施形態を実施できる例示的環境を提示することは有益である。
【0019】
[0018]
図1は、リソグラフィ大量製造プロセスを実施する産業製造設備の一部として、リソグラフィ装置LAを200で示している。この例では、製造プロセスは、半導体ウェーハなどの基板上での半導体製品(集積回路)の製造に適している。当業者には、このプロセスの変形型で様々なタイプの基板を処理することで、多岐にわたる製品を製造できると分かるであろう。今日、大いに商業的価値がある半導体製品の製造は、単なる例として使用される。
【0020】
[0019] リソグラフィ装置(又は、略して「リソツール」200)内において、測定ステーションMEAは202で示され、露光ステーションEXPは204で示されている。制御ユニットLACUは206で示されている。この例では、各基板は、測定ステーションと、適用されるパターンを有する露光ステーションに滞在する。光学リソグラフィ装置では、例えば、調整された放射線及び投影システムを使用して、製品パターンをパターニングデバイスMAから基板に転写するために、投影システムが使用される。これは、放射線感応性レジスト材料の層にパターン像を形成することで行われる。
【0021】
[0020] 本明細書で使用される「投影システム」という用語は、露光放射を使用するのに適した、又は液浸液の使用若しくは真空の使用などの他の要素に適した、屈折式、反射式、反射屈折式、磁気式、電磁式、及び静電式光学系、又はそれらの任意の組み合わせを含む任意のタイプの投影システムを包含すると広く解釈すべきである。パターニングMAデバイスはマスク又はレチクルとすることができ、パターン又はレチクルは、パターニングデバイスによって透過又は反射される放射ビームにパターンを付与する。公知の動作モードとして、ステッピングモード及び走査モードがある。公知のように、投影システムは、基板及びパターニングデバイス用のサポート及び位置決めシステムと様々な方法で協同して、基板全体にわたる多数のターゲット部分に所望のパターンを付加することができる。プログラマブルパターニングデバイスは、固定パターンを有するレチクルの代わりに使用することができる。放射には、例えば、深紫外線(DUV)又は極紫外線(EUV)周波帯の電磁放射があり得る。本開示は、他のタイプのリソグラフィプロセス、例えば、電子ビームによる、例えば、インプリントリソグラフィ及びダイレクトライティングリソグラフィにも適用可能である。
【0022】
[0021] リソグラフィ装置制御ユニットLACUは、基板W及びレチクルMAを受け入れ、パターン形成処理を実施するために、様々なアクチュエータ及びセンサのすべての動作及び測定を制御する。LACUには、装置の動作に関連する所望の計算を実施する信号処理及びデータ処理能力もある。実際に、制御ユニットLACUは、それぞれがリアルタイムのデータ取得と、処理と、装置内のサブシステム又はコンポーネントの制御とを取り扱う多数のサブユニットからなるシステムとして具現化される。
【0023】
[0022] 基板は、様々な予備ステップが実施できるように、露光ステーションEXPでパターンが基板に付加される前に、測定ステーションMEAで処理される。予備ステップは、高さセンサを使用して、基板の面高さをマッピングすること、及びアライメントセンサを使用して、基板のアライメントマークの位置を測定することを含むことができる。アライメントマークは、通常、規則的な格子パターンに配置される。しかし、マークを形成する際の不正確さにより、さらに、基板の処理全体を通して発生する基板の変形により、マークは理想的な格子から外れる。このため、装置が、製品フィーチャをきわめて高い精度で正確な位置にプリントする場合に、基板の位置及び向きを測定することに加えて、実際上、アライメントセンサが、基板領域全体にわたって、多数のマークの位置を詳細に測定しなければならない。装置は、各基板テーブルが、制御ユニットLACUによって制御される位置決めシステムを備える、2つの基板テーブルを有するいわゆるデュアルステージタイプであり得る。一方の基板テーブルに載った1つの基板が、露光ステーションEXPで露光されている間、別の基板は、様々な予備ステップを実施できるように、測定ステーションMEAで他方の基板テーブルに載せることができる。したがって、アライメントマークの測定は非常に時間がかかり、2つの基板テーブルを設けることで、装置のスループットの大幅な向上が可能になる。基板テーブルが測定ステーションにあるとき及び露光ステーションにあるときに位置センサIFが基板テーブルの位置を測定できない場合には、両方のステーションにおいて基板テーブルの位置を追跡できるように第2の位置センサを設けることができる。リソグラフィ装置LAは、例えば、2つの基板テーブルと、2つのステーション(露光ステーション及び測定ステーション)であって、これらの間で基板テーブルを交換できる2つのステーションとを有するいわゆるデュアルステージタイプであり得る。
【0024】
[0023] 製造設備内で、装置200は、装置200でパターンを形成するために、感光性レジスト及び他の被覆を基板Wに塗布する被覆装置208も収容する「リソセル」又は「リソクラスタ」の一部を形成する。装置200の出力側には、露光されたパターンを現像して物理レジストパターンにするために、焼成装置210及び現像装置212が設けられている。これらの全装置間で、基板ハンドリングシステムは、基板の支持と、1つの装置から次の装置への基板の移送とを引き受ける。しばしば一括してトラックと称されるこれらの装置は、トラック制御ユニットの制御下にあり、トラック制御ユニットは、それ自体、監視制御システムSCSによって制御され、監視制御システムSCSはまた、リソグラフィ装置制御ユニットLACUを通してリソグラフィ装置を制御する。こうして、様々な装置は、スループット及び処理効率を最大限にするように動作することができる。監視制御システムSCSは、各パターン付き基板を形成するために実施されるステップの定義をより詳細に規定したレシピ情報Rを受け取る。
【0025】
[0024] パターンがリソセルにおいて付加され、現像されると、パターン付き基板220は、222、224、226などで示す他の処理装置に移送される。典型的な製造設備の様々な装置によって、様々な処理ステップが実施される。例として、この実施形態の装置222は、エッチングステーションであり、装置224は、エッチング後のアニールステップを行う。さらなる物理的及び/又は化学的処理ステップがさらなる装置226などに適用される。材料の堆積、表面材料特性の改質(酸化、ドーピング、イオン注入など)、化学機械研磨(CMP)などの様々なタイプの処理が、実際のデバイスを作製するために必要とされ得る。装置226は、実際上、1つ又は複数の装置で実施される一連の様々な処理ステップを表すことができる。別の例として、リソグラフィ装置によって配置された前駆体パターンに基づいて複数のより小さなフィーチャを生成するために、自己整合された複数のパターニングの実施のために、装置及び処理ステップを提供することができる。
【0026】
[0025] 公知のように、半導体デバイスの製造は、基板の層ごとに適切な材料及びパターンを用いてデバイス構造を構築するために、そのような処理を多数繰り返すことを必要とする。相応して、リソクラスタに到達した基板230は、新たに用意された基板とすることができるし、又は基板230は、このクラスタで、又は全く別の装置ですでに処理された基板とすることができる。同様に、必要とされる処理に応じて、基板232は、装置226から出ると、次のパターン形成処理のために同じリソクラスタに戻すことができるし、又はパターン形成処理のために、行き先を異なるクラスタにすることができるし、又はダイシング及びパッケージ化のために送られる完成品とすることができる。
【0027】
[0026] 製品構造の各層は、プロセスステップの異なるセットを必要とし、各層で使用される装置226は、タイプが完全に異なることがある。さらに、装置226によって適用される処理ステップが名目上同じである場合でさえ、大型設備において、様々な基板に対してステップ226を実施するために、並行して動作するいくつかの同一と考えられる機械があり得る。これらの機械間の構成又は欠点の小さな相違は、この小さな相違が、様々な基板に異なる形で影響を及ぼすことを意味し得る。エッチング(装置222)などの比較的各層に共通であるステップでさえ、名目上同一であるが、スループットを最大化するために並行して動作するいくつかのエッチング装置によって実施されることがある。実際上、さらに、様々な層は、エッチングされる材料の細部と、例えば、異方性エッチングなどの特別な要件とに応じて、様々なエッチングプロセス、例えば、化学エッチング、プラズマエッチングを必要とする。
【0028】
[0027] 上記のように、前の、及び/又は次のプロセスは、他のリソグラフィ装置で実施することができ、様々なタイプのリソグラフィ装置で実施することさえできる。例えば、解像度及びオーバーレイなどのパラメータに関して要求がきわめて厳しい一部の層は、デバイス製造プロセスにおいて、要求があまり厳しくない他の層よりも高度なリソグラフィツールで実施することができる。したがって、一部の層は、液浸タイプのリソグラフィツールで露光することができ、一方、他の層は、「ドライ」ツールで露光される。一部の層は、DUV波長で動作するツールで露光することができ、一方、他の層は、EUV波長の放射線を使用して露光される。
【0029】
[0028] リソグラフィ装置によって露光される基板が、正確且つ一貫的に露光されるために、露光された基板を検査して、基板層間のオーバーレイエラー、線厚さ、クリティカルディメンジョン(CD)などの特性を測定するのが望ましい。相応して、リソセルLCが配置された製造設備は、リソセルで処理された基板Wの一部又はすべてを受け入れるメトロロジシステムも含む。メトロロジの結果は、監視制御システムSCSに直接的に、又は間接的に供給される。エラーが検出されると、特に、同じバッチの他の基板をそれでも露光することができる程度にすぐに、且つ素早くメトロロジを行うことができる場合に、次の基板の露光を調整することができる。また、既に露光された基板は、歩留まりを向上させるために取り除かれて再加工されるか、又は廃棄される場合があり、それよって、欠陥があると思われる基板にさらなる処理を実施することを回避する。基板のいくつかのターゲット部分にのみ欠陥がある場合には、良好であるターゲット部分に対してのみさらなる露光を実施することができる。
【0030】
[0029] また、製造プロセスの所望の段階で製品のパラメータの測定を行うために提供されるメトロロジ装置240が
図1に示されている。最新のリソグラフィ製造設備のメトロロジ装置の一般的な例には、スキャトロメータ、例えば、暗視野スキャトロメータ、角度分解スキャトロメータ又は分光スキャトロメータがあり、このスキャトロメータは、装置222でエッチングを行う前に、現像された基板の特性を220で測定するのに使用することができる。メトロロジ装置240を使用して、例えば、オーバーレイ又はクリティカルディメンジョン(CD)などの重要な性能パラメータが、現像されたレジストにおいて、特定の精度要件を満たさないことを明らかにすることができる。エッチングステップの前に、現像されたレジストを剥がし、リソクラスタによって基板220を再処理する可能性が存在する。装置240からのメトロロジの結果242を使用して、監視制御システムSCS及び/又は制御ユニットLACU206が長期にわたる小調整を行うことで、リソクラスタでのパターン形成処理の高精度な性能を維持し、それにより、製品が仕様から外れて、再処理を必要とするリスクを最小限にすることができる。
【0031】
[0030] さらに、メトロロジ装置240及び/又は他のメトロロジ装置(図示せず)は、処理済み基板232、234及び投入基板230の特性を測定するのに使用することができる。メトロロジ装置は、オーバーレイ又はCDなどの重要なパラメータを決定するために、処理済み基板に対して使用することができる。
【0032】
[0031] 通常、リソグラフィ装置LAでのパターニングプロセスは、基板W上の構造の高精度の寸法決め及び配置を要求する処理における最も重要なステップの1つである。この高い精度を確保するために、
図2に概略的に示すように、3つのシステムを、いわゆる「ホリスティック」制御環境において組み合わせることができる。これらのシステムの1つは、メトロロジツールMET(第2のシステム)とコンピュータシステムCL(第3のシステム)とに(仮想的に)接続されるリソグラフィ装置LAである。そのような「ホリスティック」環境の鍵は、これらの3つのシステム間の協力を最適化して、プロセスウィンドウ全体を強化し、厳密な制御ループを提供し、リソグラフィ装置LAによって実施されるパターニングがプロセスウィンドウ内にとどまることを確実にする。プロセスウィンドウは、プロセスパラメータ(例えば、ドーズ量、焦点、オーバーレイ)の範囲を定義し、この範囲内で特定の製造プロセスが、定義された結果(例えば、機能的な半導体デバイス)を生成し、通常、この範囲内でリソグラフィプロセス又はパターニングプロセスのプロセスパラメータの変動が許容される。
【0033】
[0032] コンピュータシステムCLは、パターニングすべき設計レイアウト(の一部)を使用してどの解像度向上技術を使用すべきかを予測し、計算リソグラフィシミュレーション及び計算を実施してどのマスクレイアウト及びリソグラフィ装置設定が、(
図2では、第1のスケールSC1の二重矢印で示す)最大の全体的なパターニングプロセスのプロセスウィンドウを達成するかを決定することができる。通常、解像度向上技術は、リソグラフィ装置LAのパターニング可能性に適合するように用意される。コンピュータシステムCLまた、プロセスウィンドウ内の何れの箇所でリソグラフィ装置LAが現在動作しているかを(例えば、メトロロジツールMETからの入力を使用して)検出して、例えば、準最適な処理(
図2に第2のスケールSC2の「0」を指す矢印で示されている)に起因して欠陥が存在する可能性があるかどうかを予測するために使用することができる。
【0034】
[0033] メトロロジツールMETは、精度の高いシミュレーション及び予測を可能にするためにコンピュータシステムCLへの入力を提供することができるとともに、例えばリソグラフィ装置LAの較正ステータス(
図2に第3のスケールSC3の複数の矢印で示されている)において起こり得るドリフトを特定するためにリソグラフィ装置LAにフィードバックを提供することができる。
【0035】
[0034] 基板上へのパターンの再現の精度を向上させるために、種々の技術を使用することができる。基板上へのパターンの精度の高い再現は、ICの製造における唯一の懸念事項ではない。別の懸念事項は、デバイス製造業者又はデバイス製造プロセスが基板ごとにどれだけ多くの機能的デバイスを製造できるかを一般に測定する、歩留まりである。歩留まりを高めるに、種々の手法を用いることができる。そのような手法の1つは、デバイスの製造(例えば、スキャナなどのリソグラフィ装置を使用した基板上への設計レイアウトの一部分の結像)を、基板の処理中(例えばリソグラフィ装置を使用して基板上に設計レイアウトの一部分を結像する間)の処理パラメータの少なくとも1つパラメータの摂動に対して耐性の高いものにすることを目指す。オーバーラッププロセスウィンドウ(OPW)の概念は、この手法に有用なツールである。デバイス(例えば、IC)の製造は、結像前、結像後、又は結像中の基板測定、基板のロード又はアンロード、パターニングデバイスのロード又はアンロード、露光前の投影光学系下方へのダイの位置決め、1つのダイから別のダイへのステッピングなどの他のステップを含むことができる。さらに、パターニングデバイス上の種々のパターンは、異なるプロセスウィンドウ(すなわち、仕様内でパターンが生成される処理パラメータの空間)を有することができる。潜在的な系統的欠陥に関係するパターン仕様の例としては、ネッキング、ラインプルバック、ライン細線化、CD、エッジ配置、オーバーラップ、レジストの頂部欠損、レジストのアンダーカット及び/又はブリッジングのチェックが挙げられる。パターニングデバイス上のパターンのすべて又は一部(通常、特定の領域内のパターン)のプロセスウィンドウは、個々の各パターンのプロセスウィンドウの統合(例えば、オーバーラップ)によって得ることができる。したがって、これらのパターンのプロセスウィンドウは、オーバーラッププロセスウィンドウと呼ばれる。OPWの境界には、個々のパターンのいくつかのプロセスウィンドウの境界を含めることができる。換言すれば、これらの個々のパターンはOPWを制限する。これらの個々のパターンは、本明細書では交換可能に使用される、「ホットスポット」、「クリティカルフィーチャ」又は「プロセスウィンドウ制限パターン(PWLP)」と称することができる。リソグラフィプロセスを制御する際に、ホットスポットに注目することが可能であり、ホットスポットに注目することが通常は経済的である。ホットスポットに欠陥がなければ、すべてのパターンに欠陥がない可能性がある。処理パラメータの値がOPW外にある場合には、この処理パラメータの値がOPWに近いほど、又は、処理パラメータの値がOPW内にある場合には、この処理パラメータの値がOPWの境界から離れるほど、結像の摂動に対する耐性が高くなる。
【0036】
[0035]
図3は、処理パラメータ350の例示的なソースを示している。1つのソースは、リソグラフィ装置の放射源、投影光学系、基板ステージなどのパラメータ、トラックのパラメータなどの、処理装置のデータ310であり得る。別のソースは、基板高さマップ、焦点マップ、クリティカルディメンジョン均一性(CDU)マップなどの、種々の基板メトロロジツールからのデータ320であり得る。データ320は、適用可能な基板が、基板の再加工を妨げるステップ(例えば現像)を受ける前に得ることができる。別のソースは、1つ又は複数のパターニングデバイスメトロロジツール、パターニングデバイスCDUマップ、パターニングデバイス(例えば、マスク)薄膜スタックパラメータ変動などからのデータ330であり得る。さらに別のソースは、処理装置のオペレータからのデータ340であり得る。
【0037】
[0036] リソグラフィプロセスの制御は、通常、フィードバック又はフィードフォワードされた測定結果に基づき、その後、例えばフィールド間(基板全体のフィンガープリント)又はフィールド内(フィールド全体のフィンガープリント)モデルを使用してモデル化される。参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20180292761号は、先進的補正モデルを使用してサブフィールドレベルにおいてオーバーレイなどの性能パラメータを制御するための制御方法を説明している。サブフィールド制御を使用する別の制御方法は、同じく参照により本明細書に組み込まれる、欧州特許出願公開第3343294A1号で説明されている。各サブフィールドは、例えば、単一のダイ又はその機能領域に関係することができる。
【0038】
[0037] しかしながら、先進的補正モデルは、例えば、20~30個のパラメータを含むことができるが、現在使用されているリソグラフィ装置(「スキャナ」という用語は、簡潔にするために説明の全体にわたって使用される)は、パラメータの1つ又は複数に対応するアクチュエータを有さない可能性がある。よって、モデルのパラメータセット全体のサブセットのみをいつでも使用することができる。追加的に、先進的モデルが多くの測定を要求する場合、必要な測定を実施するのに必要な時間によってスループットが低下するので、すべての状況でこれらのモデルを使用することは望ましくない。
【0039】
[0038] オーバーレイ誤差の主な原因のいくつかは、以下を含むが、それらに限定されない。
スキャナ固有の誤差:これらは、基板の露光中に使用されるスキャナの種々のサブシステムから生じ、実質的にスキャナ固有のフィンガープリントを形成することがある。
プロセス誘起ウェーハ変形:基板上で実施される種々のプロセスによって、基板又はウェーハが変形することがある。
照明設定差:これらは、アパーチャの形状、レンズアクチュエータの位置決めなどの、照明システムの設定によって生じる。
加熱効果-加熱誘起効果は、基板の、特に異なるタイプのコンポーネント又は構造を種々のサブフィールドが含む基板の種々のサブフィールド間で異なる。
レチクル書き込み誤差:製造上の制限に起因してパターニングデバイスに既に誤差が存在することがある。
トポグラフィ変動:基板は、特にウェーハのエッジの周囲にトポグラフィ(高さ)変動を有することがある。
【0040】
[0039] (例えば、ダイレベル又は他の機能領域レベルでの)フィールドの個々のサブフィールドのオーバーレイ誤差のモデル化は、フィールド全体のオーバーレイ誤差のモデル化の代わりに実行することができ、又はフィールドの個々のサブフィールドのオーバーレイ誤差は、フィールド全体のモデル化に加えてモデル化することができる。後者は、より多くの処理時間を必要とするが、フィールドとフィールド内のサブフィールドの両方がモデル化されるので、特定のサブフィールドのみに関係する誤差源及びフィールド全体に関係する誤差源の補正を可能にする。当然ながら、フィールド全体と特定のサブフィールドのみをモデル化するなどの、他の組み合わせも可能である。
【0041】
[0040] 誤差が十分にモデル化されている場合でも、結果として得られる補正の作動が困難になる。いくつかの補正は、利用可能な制御パラメータ(制御ノブ)を使用しても効果的に作動させることができない。追加的に、他の補正が作動可能であり得るが、実際にそのようにすることは、望ましくない副作用をもたらすことがある。基本的に、動的制御制限及び動的制御感度に起因して、補正を実施するためにスキャナが実際に行うことができることには制限がある。
【0042】
[0041]
図4は、補正の作動が困難であるフィールド間オーバーレイフィンガープリントの具体例を図示している。
図4は、1つの露光フィールドにおけるスキャン方向Yに対するオーバーレイOV(y軸)のグラフを示している。各×印は、測定されたオーバーレイ値を表し、各点は、必要な対応する補償補正値である。フィットラインは、補正値(点)にフィットされる、(ほぼ理想的な)補正プロファイルである。オーバーレイフィンガープリントに示された鋸歯パターンがはっきりと表れており、各略線形セクションが単一のダイに対応する(グラフは、4つのダイ全体にわたるオーバーレイ測定値を表している)。補正プロファイルは、オーバーレイフィンガープリントに従う(したがって、オーバーレイフィンガープリントを補償する)。このようなフィンガープリントは、例えば、3D-NAND又はDRAMプロセスで使用されるような、大きなスタックによって誘起される大きな応力の結果として確認される。この応力自体は、ウェ-ハレベル(ウェ-ハの深刻な反りを生じさせる)とダイレベルの両方で現れる。ダイレベルでは、オーバーレイフィンガープリントは、各ダイ内の拡大を含む。露光フィールド内に複数のダイが存在するので、結果として得られるフィールドオーバーレイフィンガープリントは、(通常は数十nmのスケールで)示される鋸歯パターンを示す。デバイスの向きに応じて、パターンは、スリット方向(through-slit)又はスキャン方向(through-scan)の何れかである可能性がある。向きに関係なく、このオーバーレイパターンは、利用可能なモデル及びアクチュエータでは補正するのが難しい。また、鋸歯パターンとして現れるかかるオーバーレイ又はエッジ配置誤差(EPE)(例えば、
図4に図示するように、3D-NAND又はDRAMプロセスにおいてダイ内応力によって生じる)は、本明細書で説明する方法が対処することを目的とする全く例示的な特定の課題を提示していることに留意すべきであり、他のあらゆるより高次のオーバーレイ、EPE又は焦点フィンガープリント(例えば、高周波フィールド内フィンガープリントなど)を補正するためにかかる方法を使用できることが理解されるべきである。
【0043】
[0042]
図4に示すようにオーバーレイフィンガープリントを最適に補正するために、周期的プロファイルのピッチよりも小さい、例えば
図4の繰り返しの鋸歯プロファイルの1つの「鋸歯」よりも小さい空間的スケールでスキャナを調整できることが重要である。そのような個々の鋸歯領域は、通常、個々のダイ内のセル構造に関連付けられる。よって、スキャナへのインターフェースは、露光フィールド内の別々に制御可能な領域の定義を可能にすべきである。この概念は、サブフィールド制御インターフェースと称され、この例は、前述の欧州特許出願公開第3343294A1号に開示されている。例えば、第1のセルダイ/セル構造用に構成されたスキャナのウェーハステージのための制御プロファイルは、スキャン方向に沿ってさらに位置決めされた第2のセル/ダイ構造のための制御プロファイルとはほとんど独立に定義することができる。サブフィールド制御インフラストラクチャは、サブフィールド解像度で繰り返されるオーバーレイ(又は焦点)変動のより最適な補正を可能にする。さらに、異なるサブフィールド領域を独立に制御する能力によって、ダイ内及び/又はセル内オーバーレイ/焦点フィンガープリントのダイ間又はセル間の変動の緩和が可能となる。
【0044】
[0043] 通常、スキャナオーバーレイ制御は、動的ステージ位置制御を使用して、オーバーレイ誤差が最小化されるように構造(フィーチャ)の配置を調整する。原則として、これは、(例えば、次の層の適用に起因する応力の蓄積によって誘起されるような)予測されるオーバーレイ誤差フィンガープリントの事前補正によって及び/又は前の層のフィーチャと十分に整合するように次の層内のフィーチャの配置を調整することによって実施することができる。本文書との関連での動的制御は、対象となるステージアクチュエータ及び/又はレンズマニピュレータが、実際の露光動作中に、例えば基板上へのパターンの露光中に連続的に調整される、制御戦略を指す。
【0045】
[0044] スキャナオーバーレイ補正は、通常、投影レンズのステージコントローラ及び/又はレンズマニピュレータによって適用される(奇数収差制御は、フィーチャの配置を制御するために使用することができる)。しかしながら、既に述べたように、スキャナは、任意の所望のオーバーレイ補正プロファイルに完全に従うことはできない。この理由の1つは、ウェーハ(及びレチクル)ステージによって達成可能な速度及び加速度の制約によるものである。別の理由は、スキャナが、比較的大きな照明スポットで基板を露光することである(いわゆるスリット長さは、スキャン方向における光スポットのサイズを表し、全体が参照により本明細書に組み込まれる、欧州特許出願公開第19150960.3号を参照されたい)。光スポットの広がりは、所望のオーバーレイ補正が単にダイ/セル全体にわたる簡単なシフトではない状況で、スキャン露光中にダイ/セル内のフィーチャのある部分が常に準最適に位置決めされることを意味する。スキャン動作中の有効位置(オーバーレイ)補正のこの変動は、フィーチャの空間像のぼやけを効率的に生じさせ、このぼやけは、コントラストの損失につながる。この動的効果は、一般的に、移動標準偏差(MSD)と称される。ステージ位置決めへの制限は、通常、平均位置(オーバーレイ)誤差に関連付けられ、一般的に、移動平均(MA)誤差と称される。
【0046】
[0045] より具体的には、リソグラフィステージの誤差の移動平均(MA)誤差及び移動標準偏差(MSD)は、ダイ上の各点が露光される(換言すれば、光子を受け取る)時間間隔を含む臨界時間ウィンドウに関係する。この時間間隔の間のダイ上の点の平均位置誤差が大きい(換言すれば、MA誤差が大きい)場合、その影響は、露光された像のシフトであり、オーバーレイ誤差をもたらす。この時間間隔の間の位置誤差の標準偏差が大きい(換言すれば、MSD誤差が大きい)場合、像が不鮮明になり、フェージング誤差をもたらすことがある。小さなMA誤差を達成するために高周波サブフィールドプロファイルに正確に従った場合には、通常、コントラストを損なうMSD誤差が犠牲にされる。これにより、ある時点でMSDによる不利益が大きくなり過ぎるので、達成可能なオーバーレイ補正可能性の制限が定義される。
【0047】
[0046] 平均オーバーレイ誤差(MA)とMSDに起因するコントラスト損失との両方は、全体的なエッジ配置誤差(EPE)のバジェットに寄与するので、ウェーハ及び/又はレチクルステージのための特定の制御プロファイルを決定する際に注意深くバランスが保たれる必要がある。通常、より多くのMAを対象とする制御手法では、MSDによる影響が大きくなり、その一方で、MSDを対象とする制御戦略では、許容できないほど大きなMA誤差につながることがある。EPEは、グローバルクリティカルディメンジョン均一性(CDU)、ローカルCDU(例えば、ラインエッジ粗さLER/ライン幅粗さLWR)及びオーバーレイ誤差から生じる複合誤差である。フィーチャの相対的な位置決めに且つ任意の2つのフィーチャが意図せずに接触するか、意図せずに接触し損なうかどうかに影響を与えるのはこれらのパラメータの誤差であるので、歩留まりに最大の影響を及ぼすのはこれらのパラメータである。
【0048】
[0047] したがって、補正及び/又は制御プロファイルは、a)制御プロファイルに関連付けられたMSD特性が、フィーチャの結像品質を過度に劣化させず、且つb)制御プロファイルに関連付けられたMA特性が、オーバーレイを過度に劣化させないように、バランスが保たれるべきである。MAとMSDとのバランスを保つためのこの要件に対処する1つの方法は、最大許容MSD劣化を決定し、オーバーレイ/MA制御を最適化するときの制限又は制約としてこの最大許容MSD劣化を使用することである。
【0049】
[0048] 比較的新しい光学要素が、一部のスキャナにおいて利用可能になっている。この光学要素は、ハーフドームミラーと称されることもある、可変リフレクタ(又は1対のそのような可変リフレクタ)を含む。可変リフレクタは、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2008/134010号に開示されている。可変リフレクタを作動させて可変リフレクタに特定の構成を与えることによって、パターン付き放射ビーム(すなわち、レチクルによってパターン形成された)を特定の構成で反射することによってパターン付き放射ビームに補正プロファイルを加えることが可能である。可変リフレクタは、スキャナのフィールド面(例えば、投影光学系内)に近接して位置することができる。可変リフレクタから反射する放射の波面の形状は、可変リフレクタの変形によって調整することができる。波面は、オーバーレイ誤差などの、リソグラフィ誤差が低減されるように調整することができる。可変リフレクタは、有利には、多種多様な異なる放射源から生じるリソグラフィ誤差を低減することが可能である。可変リフレクタは、有利には、リソグラフィ装置のフィールド面全体にわたってリソグラフィ誤差を低減することが可能である。特に、可変リフレクタは、スリット内補正(スリット長さに沿った補正)を加える際のより大きな柔軟性をもたらし、それゆえ、ウェーハ上の特定の点を横切るようにスリットを移動させるのにかかる時間よりも短い所要時間での、(スキャン方向に沿って進むときの)拡大誤差などの、パターン付き放射ビームの幾何変形の非常に高速な操作をもたらす。このような拡大誤差自体は、鋸歯パターン又はその他として現れることがある。可変リフレクタ(又は同じ機能を有する他の任意のレンズマニピュレータ要素)によって、拡大以外の幾何変形、筒型収差、糸巻型収差、口ひげ型収差、色収差なども誘起されることがある。
【0050】
[0049]
図5は、本発明の実施形態による可変リフレクタ1を概略的に示している。
図5の例では、可変リフレクタ1は、作動要素2の略矩形アレイを含む。作動要素2のアレイは、任意の所望の形態をとることができ、例えば、作動要素2のアレイは、略円形であり得る。可変リフレクタ1は、
図5に示すものよりも多数又は少数の作動要素を含むことができる。可変リフレクタ1は、例えば、約50個の作動要素~約200個の作動要素を含むことができる。各作動要素は、可変リフレクタ1の異なる部分3を作動させるように構成することができる。
図5の例では、作動要素、及び作動要素の対応する部分3は、略正方形状である。作動要素及び可変リフレクタ1の部分3は、任意の所望の形状、例えば、略円形状、略矩形状などをとることができる。
図5の例では、可変リフレクタは略矩形である。可変リフレクタ1は、任意の所望の形状をとることができ、例えば、可変リフレクタ1は、略円形であり得る。可変リフレクタ1は、曲面又平面であり得る。可変リフレクタ1の表面積及び/又は作動要素2のアレイの表面積は、所望通りに選択することができる。例えば、可変リフレクタ1及び/又は作動要素2のアレイの表面積は、可変リフレクタ1が位置するリソグラフィ装置の投影システムに少なくとも部分的に依存し得る。
【0051】
[0050] 作動要素は、可変リフレクタ1の部分3が、可変リフレクタ1の表面に直交する方向に(すなわち、Z軸に沿って)移動するように、可変リフレクタ1の部分3を変形させるように構成することができる。作動要素は、作動要素が部分3に力を及ぼさない静止位置から、作動要素が部分3に力を及ぼす能動位置に、可変リフレクタ1の部分3を移動させるように構成される。作動要素は、その部分をz軸に沿って正のz方向への約50nm~負のz方向への約50nmの範囲にわたって移動させるように構成され、したがって、z軸に沿った約100nmの移動範囲を可能にすることができる。作動要素は、例えば、その部分をz軸に沿って約0.1nmの増分で移動させるように構成することができる。作動要素は、可変リフレクタ1の部分3をより大きな又は小さな範囲にわたってより大きな又は小さな増分だけ移動させるように構成することができる。理解されるように、作動要素が可変リフレクタ1を変形させることができる距離は、可変リフレクタ1の厚さ及び/又は可変リフレクタ1が形成される材料によって部分的に決定することができる。EUVリソグラフィ装置での使用に適した可変リフレクタは、UVリソグラフィ装置での使用に適した可変リフレクタよりも厚みがある場合がある。
【0052】
[0051] 作動要素は、例えば、圧電アクチュエータを含むことができる。圧電アクチュエータの変形を生じさせるために、圧電アクチュエータに電圧を印加することができる。圧電アクチュエータの変形によって、圧電アクチュエータが位置する可変リフレクタ1の部分3が変形することができる。圧電アクチュエータに大きな電圧を印加することによって、圧電アクチュエータのより大きな変形を生じ、それにより、圧電アクチュエータが位置する可変リフレクタ1の部分3のより大きな変形が生じることがある。
【0053】
[0052] 可変リフレクタ1の作動要素及び変形部分を作動させることによって、可変リフレクタ1から反射する放射の波面を調整することができる。可変リフレクタ1が可能にする波面の調整のスケールは、作動要素によって変形させることができる可変リフレクタ1の部分3の面積によって部分的に決定することができる。すなわち、より小さな作動要素を使用して可変リフレクタ1のより小さな部分を変形させることは、より大きな作動要素を使用して可変リフレクタ1のより大きな部分を変形させるよりも、可変リフレクタ1から反射する波面の微細な調整を可能にすることができる。1つの作動要素は、例えば、約25mm2~約500mm2の範囲の領域を有する可変リフレクタ1の部分3を作動させるように構成することができる。一般に、作動要素は、任意の所望の領域を有する可変リフレクタ1の部分3を作動させるように構成することができる。
【0054】
[0053] 波面は、オーバーレイ誤差及び/又は焦点誤差などの、リソグラフィ誤差が低減されるように調整することができる。リソグラフィ誤差を低減するために、最初にリソグラフィ誤差が決定される。リソグラフィ誤差は、直接測定(例えば検出器システムを使用すること)、間接測定(例えば、レジストにリソグラフィ露光を実施し、レジストを分析すること)及び/又は予測(例えば、コンピュータモデルにデータを入力し、コンピュータモデルを実行すること)によって決定することができる。例えば、リソグラフィ誤差に関係するデータを測定し、コンピュータモデルに入力することができる。コンピュータモデルは、リソグラフィ誤差を予測するために、データを受信し、そのデータを使用して計算を実施するように構成することができる。
【0055】
[0054] リソグラフィ誤差が決定された時点で、パターン付き放射ビームのための補正プロファイルを決定することができる。補正プロファイルは、補正プロファイルがパターン付き放射ビームに適用されたときにリソグラフィ誤差を低減するように構成される。補正プロファイルは、リソグラフィ誤差を低減するために必要とされる波面の修正を含むことができる。補正プロファイルは、作動要素を作動させて可変リフレクタ1の部分3を変形させることによって、パターン付き放射ビームに適用される。いくつかの部分3は変形しないことがある。異なる部分は、異なる量だけ及び/又は異なる方向に変形させることができる。変形させる部分及びそれらの部分に適用される変形の量は、補正プロファイルを受信して、パターン付き放射に補正プロファイルを適用するために必要な可変リフレクタ1の部分の変形を計算するように構成されたプロセッサによって決定することができる。
【0056】
[0055]
図6は、可変リフレクタ1を含むリソグラフィ装置の一部分を概略的に示している。
図6の例では、可変リフレクタ1は、
図1の投影システムPLなどの、リソグラフィ装置の投影システム内に位置する。投影システムPLは、ミラー、レンズなどの複数の他の光学要素(
図6には図示せず)を含むことができる。
【0057】
[0056] 可変リフレクタ1のサブアパーチャは、この領域を横切って、入射する放射が同じフィールド位置(すなわち、基板W上の同じ位置)に集束される、可変リフレクタ1の領域として定義することができる。可変リフレクタ1とフィールド面4との間の距離によって、可変リフレクタ1のサブアパーチャの重なりを部分的に決定することができる。可変リフレクタ1は、フィールド面4に近接して位置する。すなわち、可変リフレクタ1は、作動要素のアレイの中心におけるサブアパーチャが作動要素のアレイのエッジにおけるサブアパーチャと重ならないように、フィールド面4から距離をおいて位置する。可変リフレクタ1は、例えば、可変リフレクタ1のサブアパーチャが約50mmの直径を有するように構成することができる。可変リフレクタ1は、複数のフィールド面に近接することができる。
【0058】
[0057] 投影システムPLに入射するパターン付き放射ビームPBは、可変リフレクタ1に入射する前に、他の光学要素(
図6には図示せず)と相互作用することができる。放射PBは、可変リフレクタ1から反射し、リフレクタ5に入射する。放射PBは、リフレクタ5(任意選択で第2の可変ミラーを含むことができる)から反射し、次いで、投影システムPLから出射して基板テーブルWTによって保持された基板Wに入射する前に、投影システムPL内の他の光学要素と相互作用することができる。可変リフレクタ1の他の構成も可能である。可変リフレクタ1の作動は、パターン付き放射ビームPBの投影中に起こり得る。代替として、可変リフレクタ1の作動は、パターン付き放射ビームPBの投影前に起こり得、可変リフレクタ1の部分は、パターン付き放射ビームPBの投影中に新たな位置に保持することができる。可変リフレクタ1は、リソグラフィ誤差を補正するために、投影システムPL内に存在する他の光学要素マニピュレータと組み合わせて使用することができる。
【0059】
[0058] この可変リフレクタについてのさらなる詳細は、国際公開第2018/134010号に見出すことができる。
【0060】
[0059] 本明細書では、MSDなどの動的成分を能動的に小さくする制御戦略において、例えば高周波オーバーレイ制御が必要である場合に、可変リフレクタを使用することが提案されている。MSDを小さくすることによって、オーバーレイ補正の範囲がより広がり、より良好なオーバーレイ制御につながる(例えば、オーバーレイ誤差がより小さくなる)。
【0061】
[0060] 典型的なオーバーレイデータに基づく(高周波)制御に加えて、アライメントデータに基づくステージ及び/又はレンズマニピュレータ制御も本発明の範囲内にある。通常、オーバーレイデータは、高い空間分解能を有するステージ制御を可能にする密に測定された位置データ(基板に適用された少なくとも2つの層間の位置デルタ)を含む。しかしながら、基板全体にわたって分布するアライメントマークの測定に基づくアライメントデータもまた、密に測定されるので、かなり多くの動的ステージ位置誤差(又は誤差変動)を誘起する可能性が高いステージ制御プロファイルの使用にもつながる高い空間分解能でのステージ制御も可能にすることができる。よって、本文書に開示する実施形態は、オーバーレイ、アライメント、及び(焦点性能が関連する場合には)レベルセンサデータに関連付けられた位置データに基づく制御プロファイルの生成に等しく適用される。
【0062】
[0061] 提案された方法は、この可変リフレクタ又はハーフドームミラー要素の制御に関係する1つ又は複数の可変リフレクタ制御パラメータと共にリソグラフィ制御パラメータを(例えば、特にウェーハステージ/レチクルステージ制御に関係するステージ制御パラメータだけでなく、レンズ制御パラメータなどの他のパラメータも)共決定する(例えば、共最適化する)ことを含む。このように、MSDyのさらなる影響なしに、ステージのMA補正機能を向上させることができる。方法の出力は、ステージ及び可変リフレクタに送られるべき改善された軌道/プロファイルを含むことができる。
【0063】
[0062] 可変リフレクタは、一定の平均位置を維持しながら、総スキャン積分時間にわたる公称位置に対する結像フィーチャのY位置の平均(例えば、RMS)偏差を小さくするために、y方向への拡大などの、幾何変形の動的調整を最適化することによってMSDを小さくすることを達成することができる。ステージY制御は、(フィーチャ像の中心を能動的にシフトさせる)実際のMA制御に基づく実際のオーバーレイ又はアライメント補正を提供するために依然として必要である。
【0064】
[0063] 代替として、ステージ制御パラメータ(ステージ制御プロファイル)は、得られた位置パラメータ(オーバーレイ、アライメント又はレベリングデータに基づく)データの所要の補正と、位置を補正するための上記制御プロファイルの適用によるコントラストの低下を安定化させる又は緩和する際のレンズマニピュレータの補正可能性の知識とに基づいて決定することができる。
【0065】
[0064] 代替として、レンズマニピュレータ制御プロファイルは、例えば、位置パラメータデータが利用可能であり且つ予測されるステージ制御プロファイルを算出できるときに、ステージ制御プロファイルの知識に基づいて決定することができ、次いで、レンズマニピュレータ制御プロファイルは、ステージを制御する際にステージ制御プロファイルを使用したときに起きる動的ステージ位置誤差によって誘起されるような像コントラストの低下を緩和する又は安定化させるなどのために決定することができる。
【0066】
[0065] 新たな提案は、任意選択で、ウィナーベースの方法を含むことができる(ウィナーベースのフェージング制御方法は、参照により本明細書に組み込まれる、公開されたオランダ国特許出願第2021296A号で説明されている)。そのようなウィナーベースの方法は、補正プロファイルを決定するときに既知の有限スリット幅(スキャン方向におけるスリット寸法)を考慮に入れることを含む。これは、露光中の性能の向上をもたらす逆畳み込み補正プロファイルを決定するために、適切な方式を使用して、補正プロファイルからスリット幅の効果(例えば、スリット内の強度プロファイル)を逆畳み込みすることを含むことができる。これは、補正プロファイルを決定してスキャナアクチュエータの軌道を定義するときに、ウィナーフィルタベースのアルゴリズムを使用してフェージングの問題に対処することを含むことができる。これにより、MA性能、オーバーレイ性能、焦点性能、及びMSD性能が最適化され、したがって、結像性能が最適化される。また、提案された技術を特定用途のためのMAとMSDとのバランスの観点から柔軟性のあるものにすることもできる。
【0067】
[0066] フェージングは、スリット内の強度プロファイルとの畳み込みに関係する可能性がある。この問題は、必要な補正で注入されたノイズに対しても一般化することができる。ノイズの多い畳み込み補正プロファイルyが、ノイズnの注入を受けるノイズのない畳み込み補正プロファイルrを得るための、スリット強度プロファイルhで畳み込まれた入力された補正プロファイル又は設定値sを含む。(ノイズの多い)畳み込み補正プロファイルyとスリット強度プロファイルhのみが既知である。目的は、スリット強度プロファイルh及びノイズの多い畳み込み補正プロファイルyを考慮して、補正(又は「デスリット(deslitted)」)された補正プロファイル又は設定値
【数1】
と入力された補正プロファイルsとの差を最小化する(例えば、平均二乗誤差又はRMS誤差を最小化する)「デスリット」又は逆畳み込みプロファイルgを決定することによってスリットプロファイルを逆畳み込みすることである。(この場合のように)ノイズの多い畳み込み補正プロファイルyが利用可能な補正である場合、問題は、作動した場合にスリット畳み込み誤差を最小化するデスリットされた補正プロファイル
【数2】
を推定することにある。ノイズの存在下では、変数は確率変数であり、それゆえ、逆畳み込みプロファイルgの期待値は、
【数3】
であると考えることができる。
【0068】
[0067] この問題を解決するために、ウィナーフィルタを使用することができる。ウィナーフィルタは、観測されたノイズの多いプロセスから目的の信号を抽出するために信号処理で使用される手法である。ウィナーフィルタは、例えば、既知のローパスフィルタによってぼやけた像を復元するために使用することができる。ウィナーフィルタリングは、逆フィルタリングとノイズ平滑化との間での最適なトレードオフを実行する。これにより、変数の各々のフーリエ変換又はFFTを行うことによって周波数ドメインの問題が解決される。これにより、ここで畳み込みが乗算になるため、解が簡略化される。問題は次のようになる。
【数4】
これは、次のように解決される。
【数5】
ここで、S
PSD(f)は元の補正プロファイルsの平均パワースペクトル密度であり、N
PSD(f)はノイズnの平均パワースペクトル密度であり、上付き文字
*は複素共役を示す。したがって、ウィナーフィルタは、スキャナ内のアクチュエータのための逆畳み込みされ、補正された(デスリットされた)設定値
【数6】
を提供するために使用することができる。
【0069】
[0068] ノイズNPSD(f)項は、MAとMSDとの間での最適化を調整するために使用することができる。実施形態では、ノイズ項NPSDは、すべての周波数fにわたって単一の値(ホワイトノイズ)をとると想定することができる。ノイズ項NPSDの値が小さいほどMAが向上し、MSDが低下し、値が大きいほど逆のことが起こる。
【0070】
[0069] それゆえ、そのような手法では、スキャナは現時点では、ステージ制御によるスキャン中にオーバーレイ(例えば、dy)プロファイルに従う。フェージングは補正能力を制限し、ウィナーフィルタ法は、MAとMSDとのバランスを取り戻すことを目指す。これは、誘起されたMSD MSDyに対する予測されるオーバーレイ又はアライメント残差OVを示す、
図7の第1の曲線CV1によって図示されている。最大許容MSD MSDy
max(ユーザによって選択されるか又は他の方法で算出され得る)が示されており、この最大許容MSD MSDy
maxは、達成可能な最小オーバーレイ残差OV(最良のオーバーレイ)に、ひいては、スキャナがステージ作動を物理的に実施できる場合でさえ、ステージ作動の最大の可能性に効果的に制限を加える。換言すれば、ステージ補正を通じてMA及びオーバーレイ残差をさらに低減することが可能であり得るが、これは、MSDへのひいてはコントラスト及びEPEへの影響のため許容することができない。
【0071】
[0070] (例えば、同じウィナーフィルタ法を使用して)ステージと可変リフレクタとを共最適化することによって、誘起されたMSDの一部が、可変リフレクタによってスリット内で補償され、それにより、所与の最大許容MSD MSDy
maxに対するステージ作動によるより大きな補正可能性を実現する。これは、本明細書に開示するような共最適化方法についての曲線CV1の関係と同じ関係を説明している、
図7の第2の曲線CV2によって図示されている。共最適化方法と可変リフレクタを用いたスリット内補正との結果として、同じ最大許容MSD MSDy
maxについて、オーバーレイ残差が大幅に改善され、オーバーレイの大幅な改善ΔOVがもたらされる。
【0072】
[0071] 実施形態では、共最適化は、1セットの目的関数を最小化することを含むことができる。
【数7】
ここで、dyはオーバーレイdyプロファイルであり、
【数8】
はステージ作動マトリックスであり、
【数9】
はレンズ作動マトリックスであり、tはステージ軌道であり、lはレンズ軌道であり、Ωはスリットプロファイルである。
【0073】
[0072] レンズ作動マトリックス
【数10】
は、(他のレンズ要素と共に)可変リフレクタ作動マトリックスを含み、レンズ軌道lは、他のレンズ軌道に加えて可変リフレクタ軌道を含む。スリットプロファイルΩは一定である。
【0074】
[0073] これらの目的関数の第1の目的関数は、ステージ制御を用いたMAの最適化を記述する。これは、任意選択で、ウィナーフィルタ機構のリマインダとしてスリットプロファイルを含む。これらの目的関数の第2の目的関数は、二次形式のステージ誘起MSDを制御された状態に維持するために、レンズ要素、特に可変リフレクタの制御を記述する。これらの目的関数の第3の目的関数は、可変リフレクタの制御がスリット内のMAに関して最終的なオーバーレイに寄与しないことを明確化するために含まれる。このように、オーバーレイ(dy)プロファイルを補償するための第1の目的関数を用いたウィナーベースのステージ作動の有効利用。
【0075】
[0074] 連立方程式は、単一の大きなマトリックスシステム内で組み合わせることができるように、同時に最小化される必要がある(例えば、形式の最適化)。
【数11】
【0076】
[0075] コントラスト(MSD)の改善の程度は、可変リフレクタを使用して有効にされたスリット内制御の程度によって決まる。最も簡単な実施は、y軸並進(並進パラメータTy)制御のみを含むことができる。この実施の大幅な改善は、傾斜(拡大パラメータMagY)制御を含めることによって達成することができる。これ以外に、曲率パラメータ及び/又は高次(例えば、3次)スリット内制御によって継続的な改善を達成することができる。
【0077】
[0076]
図8は、各層に対する提案された手法を図示するフローチャートである。ステップ800では、ダイ内応力性能パラメータ(例えば、オーバーレイ)フィンガープリントが測定される。ステップ810では、最大許容MSDが層の特性に基づいて決定される(例えば、これは、通常、すべての層がMSDに対して異なる感度を有するので、層ごとに行うことができる)。ステップ800及び810の結果に基づいて、層を露光するために共最適化制御戦略が決定され820、共最適化は、少なくともステージ制御及び可変リフレクタ(ハーフドームミラー)の制御のために実施される。任意選択で、共最適化はまた、レンズ制御パラメータに関して最適化することも含むことができる。ステップ820の結果は、ステージ制御プロファイルと、可変リフレクタ制御プロファイルと、(任意選択で)レンズ制御プロファイルとを含む、制御プロファイル830になる。これらのプロファイル830は、シミュレーションベースのループSIMでフィードバックすることができる。最後に、ステップ840では、(例えば、メトロロジによって)実際の製品性能を検証し、実験ベースのループEXPでフィードバックすることができる。
【0078】
[0077] このようにして、所与のMSD制限に対するオーバーレイ(又は対象となる他のパラメータ)サブフィールド補正の補正範囲を広げることが可能である。そのような最適化は層ごとに実施することができる。
【0079】
[0078] 共最適化された補正プロファイルは、スキャナ内で、例えば、スキャナメトロロジ(アライメント/レベリングなど)又は他のメトロロジに基づいて、さらなる最適化を行い、露光中に実施される実際の補正プロファイルを決定することができる。
【0080】
[0079] さらなる実施形態では、共最適化ステップは、性能パラメータに影響を与える、ステージ/投影レンズ及び可変リフレクタ制御プロファイル以外の制御パラメータを考慮に入れる(例えば、共最適化する)ことができる。例えば、共最適化されたスキャナ制御プロファイルは、焦点、ドーズ量などに関してさらに最適化することができ、これらはすべてEPEにも影響を及ぼす。
【0081】
[0080] 上記の例のすべてにおいて、最適化は、既に開示されている性能パラメータ(オーバーレイ、EPEなど)の何れかに関して実施することができる。一実施形態では、性能パラメータ誤差は、次の層の適用によって誘起される応力に関連付けられ、共最適化は、予測される性能パラメータ残差に基づく。
【0082】
[0081] そのような手法は、改善されたオーバーレイ、したがって歩留まりをもたらすことを示すことができる。
【0083】
[0082] 上記の説明では、少なくとも1つの可変リフレクタを使用して拡大を補正するために波面補正を加えることを説明したが、可変リフレクタは、本明細書に開示される方法を達成する際に使用できる唯一のタイプのレンズマニピュレータであることを理解すべきである。本明細書における教示は、ズームレンズなどの、十分に高速なy拡大補正を達成することが可能な他の任意のタイプのレンズマニピュレータに拡大適用できることが認識されるべきであり、また、可変リフレクタについてのすべての言及は、他のレンズマニピュレータを包含するものと理解されるべきである。
【0084】
[0083] 物理的なレチクルの形態のパターニングデバイスについて説明してきたが、本出願における「パターニングデバイス」という用語は、例えばプログラマブルパターニングデバイスと併せて使用される、デジタル形式でパターンを伝えるデータ製品も含む。
【0085】
[0084] 本発明のさらなる実施形態は、以下の番号付き条項のリストに開示されている。
1.リソグラフィ装置を使用して露光フィールド上にパターンを露光するためのリソグラフィプロセスの制御に対する補正を決定するための方法であって、
上記露光フィールドの少なくとも一部分にわたる性能パラメータの空間的変動を記述した空間プロファイルを得ることと、
最低限のコントラスト品質を確保しつつ性能パラメータの誤差を最小化するために空間プロファイルのための制御プロファイルを共決定することであって、上記共決定された制御プロファイルは、上記リソグラフィ装置のステージ構成の制御のためのステージ制御プロファイルと、少なくとも上記基板平面に垂直な方向への拡大に対する補正を実施するように動作可能な上記リソグラフィ装置のレンズマニピュレータの制御のためのレンズマニピュレータ制御プロファイルとを少なくとも含む、共決定することと
を含む、方法。
2.上記レンズマニピュレータは、1つ又は複数の可変リフレクタを含む、条項1に記載の方法。
3.上記レンズマニピュレータは、上記リソグラフィ装置の像面に近接するパターン付き放射の波面を調整するように構成される、条項1又は2に記載の方法。
4.上記共最適化された制御プロファイルは、上記サブフィールド制御のために決定される、条項1~3の何れか一項に記載の方法。
5.上記方法は、上記露光フィールドの各サブフィールドのための上記共決定された制御プロファイルのそれぞれのセットを決定するために実施される、条項4に記載の方法。
6.上記共決定された制御プロファイルは、上記リソグラフィ装置内の投影レンズの制御のための投影レンズ制御プロファイルをさらに含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
7.最低限のコントラスト品質を確保することは、上記ステージ構成の制御において誤差の最大許容移動標準偏差を与えることを含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
8.制御プロファイルを共決定する上記ステップは、最低限のコントラスト品質を確保しつつ上記性能パラメータの誤差を最小化するために上記空間プロファイルのための共最適化された制御プロファイルを決定することを含み、上記共決定された制御プロファイルの各々は、共最適化された制御プロファイルを含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
9.上記共最適化は、上記ステージ制御プロファイルによるMAの移動平均最適化と、上記レンズマニピュレータ制御プロファイルによるレンズ最適化とを含む、条項8に記載の方法。
10.上記レンズ最適化は、二次形式のステージ誘起MSDを最小化することを目的とする、条項9に記載の方法。
11.上記共最適化は、上記レンズマニピュレータ制御プロファイルが上記リソグラフィ装置の露光スリット内のMAに寄与しないようにする関数を含む、条項9又は10に記載の方法。
12.少なくとも上記ステージ制御プロファイルに逆畳み込み方式を適用することを含み、上記逆畳み込み方式の構造は、上記スキャン方向における上記照明プロファイルの寸法に基づき、上記少なくともステージ制御プロファイルは、露光スリットによって定義される上記照明プロファイルと畳み込みされた、畳み込み制御プロファイルを含み、上記逆畳み込み方式は、上記畳み込みによって生じた誤差を最小化するために、上記畳み込み制御プロファイルを逆畳み込みする、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
13.上記逆畳み込み方式は、上記畳み込み制御プロファイル及び照明プロファイルをノイズの存在下で逆畳み込みするウィナー逆畳み込みフィルタを決定することを含む、条項12に記載の方法。
14.上記レンズマニピュレータ制御プロファイルは、拡大パラメータ制御を含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
15.上記レンズマニピュレータ制御プロファイルは、曲率パラメータ制御を含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
16.上記レンズマニピュレータ制御プロファイルは、高次スリット内制御を含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
19.上記性能パラメータは、オーバーレイを含むか又はオーバーレイに関係する、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
20.上記性能パラメータは、エッジ配置誤差を含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
21.上記ステージ構成は、基板の支持及び位置決めのための第1のステージと、パターニングデバイスの支持及び位置決めのための第2のステージとを含み、上記ステージ制御プロファイルは、上記第1のステージと上記第2のステージとの複合制御のための1つ又は複数のプロファイルを含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
22.上記空間プロファイルは、既知のダイ内応力フィンガープリントから導出される、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
23.上記共決定するステップは、共決定されたステージ制御プロファイル及びレンズマニピュレータ制御プロファイルを実施することを含み、上記ステージ制御プロファイルは、上記性能パラメータを補正するように構成され、上記レンズマニピュレータ制御プロファイルは、上記性能パラメータへの影響を最小化してコントラストへの上記ステージ制御の影響を安定化させるように構成される、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
24.リソグラフィ装置を使用して露光フィールド上にパターンを露光するためのリソグラフィプロセスの制御のための共決定されたステージ制御及び動的レンズ制御を実施する方法であって、
1つ又は複数の空間的可変性能パラメータを補正するように構成されたステージ制御プロファイルと、上記1つ又は複数の性能パラメータへの影響を最小化してコントラストへの上記ステージ制御の影響を安定化させるための動的レンズ制御プロファイルとを共決定すること
を含む、方法。
25.上記動的レンズ制御プロファイルは、少なくとも1つ又は複数の可変リフレクタを制御するように動作可能である、条項24に記載の方法。
26.上記共最適化された制御プロファイルに基づいてリソグラフィプロセスを実施することを含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
27.適切な装置で実行されたときに条項1~26の何れか一項に記載の方法を実施するように動作可能なプログラム命令を含むコンピュータプログラム。
28.条項27に記載のコンピュータプログラムを含む非一時的なコンピュータプログラム記憶媒体。
29.リソグラフィ装置であって、
放射ビームを提供するための照明システムと、
パターニングデバイスを支持するための第1のステージであって、上記パターニングデバイスは、上記放射ビームの断面にパターンを付与する役割を果たす、上記第1のステージと、基板を保持するための第2のステージとを含むステージ構成と、
上記パターン付き放射ビームを上記基板のターゲット部分に投影するための投影システムと、
レンズマニピュレータ制御プロファイルに従って上記パターン付き放射ビームに補正を加えるように構成されたレンズマニピュレータであって、上記レンズマニピュレータはフィールド面に近接して位置する、上記レンズマニピュレータと、
条項1~26の何れか一項に記載の方法を実施するように構成されたコントローラと
を含むリソグラフィ装置。
30.上記レンズマニピュレータは、上記補正を加えるために、上記パターン付き放射ビームを反射して、上記レンズマニピュレータ制御プロファイルに従って上記パターン付き放射ビームに波面調整を加えるように構成された、1つ又は複数の可変リフレクタを含む、条項29に記載のリソグラフィ装置。
31.パターンの像を基板に投影する際に使用されるリソグラフィ装置内のレンズのマニピュレータのための動的制御プロファイルを決定する方法であって、
上記投影された像の位置決めに関連付けられた位置パラメータの、上記基板の少なくとも一部にわたる空間的変動を得ることと、
上記位置パラメータの上記空間的変動を補正するように構成されたステージ制御プロファイルに関連付けられた動的ステージ位置誤差の予測される影響による像コントラストの低下の所望の安定化又は緩和に基づいて、上記マニピュレータのための上記動的制御プロファイルを決定することと
を含む、方法。
32.上記位置パラメータは、上記基板に対して実施された測定から得られたアライメントデータ及び/又はオーバーレイデータに関連付けられる、条項31に記載の方法。
33.上記動的ステージ位置誤差は、上記ステージの制御中に生じた位置誤差の移動標準偏差として表現される、条項31又は32に記載の方法。
34.上記マニピュレータのための上記動的制御プロファイルは、スキャン方向に平行な方向への拡大の動的制御を行うように構成される、条項31~33の何れか一項に記載の方法。
35.パターンの像を基板に投影する際に使用されるリソグラフィ装置内のステージのためのステージ制御プロファイルを決定する方法であって、
上記投影された像の位置決めに関連付けられた位置パラメータの、上記基板の少なくとも一部にわたる空間的変動を得ることと、
上記位置パラメータの上記空間的変動と、上記位置パラメータの上記空間的変動を補正するように構成された上記ステージ制御プロファイルに関連付けられた動的ステージ位置誤差の予測される影響による像コントラストの低下を安定化させる又は緩和する際に使用されるレンズマニピュレータの補正可能性とに基づいて、上記ステージのための上記制御プロファイルを決定することと
を含む、方法。
36.上記位置パラメータは、上記基板に対して実施された測定から得られたアライメントデータ及び/又はオーバーレイデータに関連付けられる、条項35に記載の方法。
37.上記動的ステージ位置誤差は、上記ステージの制御中に生じた位置誤差の移動標準偏差として表現される、条項35又は36に記載の方法。
38.上記レンズマニピュレータの上記補正可能性は、スキャン方向に平行な方向に上記像に適用される動的に制御可能な拡大に関連付けられる、条項35~37の何れか一項に記載の方法。
39.リソグラフィ装置を使用して露光フィールド上にパターンを露光するためのリソグラフィプロセスの制御のための共決定されたステージ制御及び動的レンズ制御を実施する方法であって、1つ又は複数の空間的可変性能パラメータを補正するように構成されたステージ制御プロファイルと、上記露光されたパターンのコントラストへの上記ステージ制御の影響を緩和する又は安定化させるための動的レンズ制御プロファイルとを共決定することを含む、方法。
40.上記共決定することは、上記1つ又は複数の性能パラメータへの上記動的レンズ制御プロファイルの影響を制限するために、上記動的レンズ制御プロファイルに制約を与えることを含む、条項39に記載の方法。
41.上記動的レンズ制御プロファイルは、少なくとも1つ又は複数の可変リフレクタを制御するように動作可能である、条項39又は40に記載の方法。
42.上記共決定された制御プロファイルは、サブフィールド制御のために決定される、条項39~41の何れか一項に記載の方法。
43.少なくとも上記ステージ制御プロファイルに逆畳み込み方式を適用することを含み、上記逆畳み込み方式の構造は、上記スキャン方向における上記照明プロファイルの寸法に基づき、上記少なくともステージ制御プロファイルは、露光スリットによって定義される上記照明プロファイルと畳み込みされた、畳み込み制御プロファイルを含み、上記逆畳み込み方式は、上記畳み込みによって生じた誤差を最小化するために、上記畳み込み制御プロファイルを逆畳み込みする、条項39~42の何れか一項に記載の方法。
44.適切な装置で実行されたときに条項31~43の何れか一項に記載の方法を実施するように動作可能なプログラム命令を含むコンピュータプログラム。
45.条項44に記載のコンピュータプログラムを含む非一時的なコンピュータプログラム記憶媒体。
46.パターンの像を基板に投影する際に使用されるリソグラフィ装置内のレンズのマニピュレータのための動的制御プロファイルを決定する方法であって、
上記投影された像の位置決めに関連付けられた位置パラメータの、上記基板の少なくとも一部にわたる空間的変動を得ることと
上記位置パラメータの上記空間的変動を補正するように構成されたステージ制御プロファイルに関連付けられた動的ステージ位置誤差の予測される影響による像コントラストの低下の所望の安定化又は緩和に基づいて、上記マニピュレータのための上記動的制御プロファイルを決定することであって、上記動的制御プロファイルは、上記投影された像の幾何変形を上記投影中に動的に調整するように構成される、上記決定することと
を含む、方法。
47.上記幾何変形は、スキャン方向に平行な方向への拡大である、条項46に記載の方法。
48.パターンの像を基板に投影する際に使用されるリソグラフィ装置内のステージのためのステージ制御プロファイルを決定する方法であって、
上記投影された像の位置決めに関連付けられた位置パラメータの、上記基板の少なくとも一部にわたる空間的変動を得ることと、
上記位置パラメータの上記空間的変動と、上記位置パラメータの上記空間的変動を補正するように構成された上記ステージ制御プロファイルに関連付けられた動的ステージ位置誤差の予測される影響による像コントラストの低下を安定化させる又は緩和する際に使用される動的に制御可能なレンズマニピュレータの補正可能性とに基づいて、上記ステージのための上記制御プロファイルを決定することであって、上記動的に制御可能なレンズマニピュレータは、上記投影された像の幾何変形を上記投影中に動的に調整するように構成される、上記決定することと
を含む、方法。
49.上記レンズマニピュレータの上記補正可能性は、スキャン方向に平行な方向に上記像に適用される動的に制御可能な拡大に関連付けられる、条項48に記載の方法。
50.リソグラフィ装置を使用して露光フィールド上にパターンを露光するためのリソグラフィプロセスの制御のための共決定されたステージ制御及び動的レンズ制御を実施する方法であって、1つ又は複数の空間的可変性能パラメータを補正するように構成されたステージ制御プロファイルと、上記露光されたパターンのコントラストへの上記ステージ制御の影響を緩和する又は安定化させるための動的レンズ制御プロファイルとを共決定することであって、上記動的レンズ制御プロファイルは、上記露光されたパターンの幾何変形を上記露光中に動的に調整するように構成される、上記共決定することを含む、方法。
【0086】
[0085] 光リソグラフィの文脈での本発明の実施形態の使用についての具体的な言及が上記でなされたが、本発明を他の用途、例えばインプリントリソグラフィで使用できることと、文脈が許す限り、本発明が光リソグラフィに限定されないことが認識されるであろう。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスのトポグラフィが、基板に形成されるパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層に押し付けることができ、レジストは、電磁放射、熱、圧力、又はそれらの組み合わせを加えることで硬化する。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残したままレジストから引き離される。
【0087】
[0086] リソグラフィ装置に関連して使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、(例えば、365、355、248、193、157、又は126nmの波長、或いはそれらの近辺の波長を有する)紫外(UV)線及び(例えば、5~20nmの範囲の波長を有する)極端紫外(EUV)線、さらには、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームを含むすべてのタイプの電磁放射線を包含する。
【0088】
[0087] 「レンズ」という用語は、状況が可能にする場合、屈折式、反射式、磁気式、電磁気式、及び静電式光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントの任意の一つ、又はそれらの組み合わせを指すことができる。
【0089】
[0088] 特定の実施形態の前述の説明は、本発明の一般的な性質を完全に明らかにするので、他者は、当業者の技能の範囲内の知識を適用することで、過度の実験を行うことなく、本発明の一般概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を容易に修正し、及び/又はそのような特定の実施形態を様々な用途に適合させることができる。したがって、そのような適合及び修正は、本明細書に提示した教示及びガイダンスに基づいて、開示した実施形態の等価物の趣旨及び範囲内であることを意図されている。当然のことながら、本明細書における専門語又は用語は、例を用いて説明するためのものであり、限定するものではなく、本明細書の用語又は専門語は、教示及びガイダンスに照らして、同業者によって解釈されるべきである。
【0090】
[0089] 本発明の広さ及び範囲は、上記の例示的な実施形態の何れかによって限定されるのではなくて、添付の特許請求の範囲及びその等価物によってのみ規定されるべきである。