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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】エッチング改善
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/305 20060101AFI20240206BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
H01J37/305 A
G02B5/18
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022547193
(86)(22)【出願日】2021-01-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 US2021013086
(87)【国際公開番号】W WO2021158338
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】62/971,811
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー ティマーマン タイセン, ラトガー
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンズ, モーガン
(72)【発明者】
【氏名】ペプロスキー, モーリス エマーソン
(72)【発明者】
【氏名】オルソン, ジョセフ シー.
(72)【発明者】
【氏名】ソルディ, トーマス ジェームズ
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/231576(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0111294(US,A1)
【文献】特開昭61-245452(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0035539(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0258008(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
G02B 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の期間中に、第1の基板の第1の平面にわたって配置された第1の材料をイオンビームに露光して、前記第1の材料に第1の複数の構造体を形成することであって、前記イオンビームが、前記第1の基板の面法線に対してイオンビーム角度θで前記第1の材料に方向付けられ、
前記第1の基板が、前記第1の期間中において、前記イオンビームと、前記第1の複数の構造体の第1のベクトルとの間の回転角度が第1の回転角度φとなるように位置付けされ、
前記第1のベクトルが、前記第1の複数の構造体が前記第1の平面にわたって延在する方向に対して直角をなし、
前記第1の期間中に、前記第1の材料が第1の方向に沿って漸次的に前記イオンビームに露光され、
前記第1の材料の前記イオンビームへの露光を前記第1の方向に沿って変動させることにより、前記第1の方向において前記第1の複数の構造体間に深さの変動が生じる、第1の複数の構造体を形成することと、
第2の期間中に、配置された前記第1の材料を前記イオンビームに露光して、前記第1の複数の構造体の少なくとも一部の深さを修正することであって、
前記基板が、前記第2の期間中において、前記イオンビームと、前記第1の複数の構造体の前記第1のベクトルとの間の回転角度が第2の回転角度φとなるように位置付けされ、
前記第2の回転角度φが、第1の回転角度φの負の角である、前記第1の複数の構造体の少なくとも一部の深さを修正することと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の複数の構造体が、前記第1の基板の面法線に対して第1の傾斜角度θ’を有するように形成され、
前記第1の回転角度φが、式φ=cos-1(tan(θ’)/tan(θ))によって選択され、
前記第1の複数の構造体の前記第1の傾斜角度θ’を維持しながら、
前記第2の期間中に、前記第1の複数の構造体の深さが修正される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記イオンビームを生成するために使用されるデューティサイクルが、前記第1の材料の種々のセクションに対して変動させられることにより、前記第1の材料が前記第1の方向に沿って漸次的に前記イオンビームに露光されるときに、前記第1の複数の構造体間に前記深さの変動が生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記イオンビームへの露光時間が、前記第1の材料の種々のセクションに対して変動させられることにより、前記第1の材料が前記第1の方向に沿って漸次的に前記イオンビームに露光されるときに、前記第1の複数の構造体間に前記深さの変動が生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記イオンビームを生成するために使用される電力が、前記第1の材料の種々のセクションに対して変動させられることにより、前記第1の材料が前記第1の方向に沿って漸次的に前記イオンビームに露光されるときに、前記第1の複数の構造体間に前記深さの変動が生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の基板が、前記第1の回転角度φで基板支持体上に位置付けされる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記基板支持体から前記第1の基板を取り外すことと、
前記基板支持体上に第2の基板を位置付けすることと、
前記第2の基板の第2の平面にわたって配置された第2の材料を前記イオンビームに露光して、前記第2の材料に第2の複数の構造体を形成することであって、前記イオンビームが、前記イオンビーム角度θで前記第2の材料に方向付けられる、前記第2の材料に第2の複数の構造体を形成することと
をさらに含み、
前記第2の基板が、前記イオンビームと、前記第2の複数の構造体の第2のベクトルとの間の回転角度が第3の回転角度φとなるように位置付けされ、
前記第2のベクトルが、前記第2の複数の構造体が前記第2の平面にわたって延在する方向に対して直角をなし、
前記第2の基板を前記第3の回転角度φに位置付けすることは、前記基板支持体を、前記第1の複数の構造体が前記第1の基板上に形成されたときの前記基板支持体の向きに対して回転させることを含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の材料が、前記第1の方向に沿って漸次的に前記イオンビームに露光され、
前記第2の材料の前記イオンビームへの露光が、前記第1の方向に沿って変動させられることにより、前記第1の方向において前記第2の複数の構造体間に深さの変動が生じる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記イオンビームを生成するために使用されるデューティサイクルが、前記第2の材料の種々のセクションに対して変動させられることにより、前記第2の材料が前記第1の方向に沿って漸次的に前記イオンビームに露光されるときに、前記第2の複数の構造体に前記深さの変動が生じる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の複数の構造体が、前記第2の基板の面法線に対して第2の傾斜角度θ’を有するように形成され、
前記第3の回転角度φが、式φ=cos-1(tan(θ’)/tan(θ))によって選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
第1の期間中に、基板の第1の平面にわたって配置された第1の材料をイオンビームに露光して、前記第1の材料に第1の複数の構造体を形成することであって、前記イオンビームが、前記基板の面法線に対してイオンビーム角度θで前記第1の材料に方向付けられ、前記基板が、前記第1の期間中において、前記イオンビームと、前記第1の複数の構造体の第1のベクトルとの間の回転角度が第1の回転角度φとなるように位置付けされ、前記第1のベクトルが、前記第1の複数の構造体が前記第1の平面にわたって延在する方向に対して直角をなす、前記第1の材料に第1の複数の構造体を形成することと、
第2の期間中、配置された前記第1の材料を前記イオンビームに露光して、前記第1の複数の構造体の少なくとも一部の深さを修正することと
を含み、
前記基板が、前記第2の期間中において、前記イオンビームと、前記第1の複数の構造体の前記第1のベクトルとの間の回転角度が第2の回転角度φとなるように位置付けされ、
前記第2の回転角度φが、前記第1の回転角度φの負の角である、方法。
【請求項12】
前記第1の期間中に、前記第1の材料の第1のセクションが前記イオンビームに露光され、
前記第2の期間中に、前記第1の材料の第2のセクションが前記イオンビームに露光され、
前記第2のセクションが、前記第1の期間中に前記イオンビームに露光されなかった少なくとも一部を含み、
前記第1のセクション及び前記第2のセクションが、共通の部分を共有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の期間中に、前記第1の材料が第1の方向に沿って漸次的に前記イオンビームに露光され、
前記第1の期間中に、前記第1の材料の前記イオンビームへの露光が、前記第1の方向に沿って変動させられることにより、前記第1の方向において前記第1の複数の構造体間に深さの変動が生じる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の期間中に、前記第1の材料が、前記第1の方向に沿って漸次的に前記イオンビームに露光され、
前記第2の期間中に、前記第1の材料の前記イオンビームへの露光が、前記第1の方向に沿って変動させられることにより、前記第1の方向において前記第1の複数の構造体間に修正された深さの変動が生じる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の複数の構造体が、前記第1の期間中に、前記基板の面法線に対して第1の傾斜角度θ’を有するように形成され、
前記第1の回転角度φが、式φ=cos-1(tan(θ’)/tan(θ))によって選択され、
前記第1の複数の構造体を露光することは、前記第1の複数の構造体の前記第1の傾斜角度θ’を維持しながら、前記第2の期間中に、前記第1の複数の構造体の少なくとも一部の深さを修正する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記イオンビームを生成するために使用されるデューティサイクルが、前記第1の期間中に第1のプロファイルに従って変動させられ、
前記イオンビームを生成するために使用される前記デューティサイクルが、前記第2の期間中に第2のプロファイルに従って変動させられる、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
第1の期間中に、基板の第1の平面にわたって配置された第1の材料をイオンビームに露光して、前記第1の材料に第1の複数の構造体を形成することであって、前記イオンビームが、前記基板の面法線に対してイオンビーム角度θで前記第1の材料に方向付けられ、
前記基板が、前記第1の期間中において、前記イオンビームと、前記第1の複数の構造体の第1のベクトルとの間の回転角度が第1の回転角度φとなるように位置付けされ、
前記第1のベクトルが、前記第1の複数の構造体が前記第1の平面にわたって延在する方向に対して直角をなし、
前記第1の複数の構造体が、前記第1の期間中に、前記基板の面法線に対して第1の傾斜角度θ’を有するように形成され、
前記第1の回転角度φが、式φ=cos-1(tan(θ’)/tan(θ))によって選択される、前記第1の材料に第1の複数の構造体を形成することと、
第2の期間中に、前記第1の材料を前記イオンビームに露光して、前記第1の複数の構造体の少なくとも一部の深さを修正することであって、前記基板が、前記第2の期間中において、前記イオンビームと、前記第1の複数の構造体の前記第1のベクトルとの間の回転角度が第2の回転角度φとなるように位置付けられる、前記第1の複数の構造体の少なくとも一部の深さを修正することと
を含み、
前記第2の回転角度φが、前記第1の回転角度φの負の角であり、
前記イオンビームを生成するために使用されるデューティサイクルが、前記第1の期間中に第1のプロファイルに従って変動させられ、
前記イオンビームを生成するために使用される前記デューティサイクルが、前記第2の期間中に第2のプロファイルに従って変動させられる、方法。
【請求項18】
前記第1の期間中に、前記第1の材料の第1のセクションが前記イオンビームに露光され、
前記第2の期間中に、前記第1の材料の第2のセクションが前記イオンビームに露光され、
前記第2のセクションが、前記第1の期間中に前記イオンビームに露光されなかった少なくとも一部を含み、
前記第1のセクション及び前記第2のセクションが、共通の部分を共有する、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、傾斜エッチングツールに関する。より具体的には、本明細書に記載される実施形態は、光学デバイスの構造体を形成するために、傾斜エッチングツールを使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]基板上に1つ又は複数の格子のフィンなどの種々の傾斜角度を有する構造体を形成するためには、傾斜エッチングシステムを使用することができる。傾斜エッチングシステムの一例として、イオンビーム源を収容するイオンビームチャンバが挙げられる。イオンビーム源は、リボンビーム、スポットビーム、又はフル基板サイズビームなどのイオンビームを生成するように構成される。イオンビームチャンバは、基板の面法線に対して一定の角度でイオンビームを方向付け、特定の傾斜角度を有する構造体を生成するように構成される。イオンビームによって生成されるべき構造体の傾斜角度の変更には、イオンビームチャンバのハードウェアを実質的に再構成することが必要とされる。
【0003】
[0003]光学デバイスは、種々の傾斜角度を有する種々の構造体を含み得る。したがって、種々の傾斜角度を有する種々の構造体を含む1つの光学デバイスを形成するためには、実質的なハードウェアの再構成が必要である。さらに、以前に製造された光学デバイスとは異なる傾斜角度を有する構造体を有する光学デバイスを製造することは、似たような問題に直面する。
【0004】
[0004]基板の表面にわたって種々の深さを有する種々の構造体を含む光学デバイスを形成することは、従来、時間のかかる複雑なプロセスで行われており、このプロセスを用いて製造されるどんなデバイスにも相当なコストが加わる可能性がある。
【0005】
[0005]したがって、単一の基板にわたって種々の深さ又は種々の深さ及び種々の傾斜角度を有する構造体を含む光学デバイスを形成するために、かつ連続する複数の基板に種々の深さ又は種々の深さ及び種々の傾斜角度を有する構造体を含む光学デバイスを形成するためには、改善された方法及び関連する機器が必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本開示の実施形態は、概して、傾斜エッチングツールに関する。一実施形態では、方法が提供される。当該方法は、第1の基板の第1の平面にわたって配置された第1の材料をイオンビームに露光して、第1の材料に第1の複数の構造体を形成することを含み、イオンビームは、第1の基板の面法線に対してイオンビーム角度θで第1の材料に方向付けられ、第1の基板は、イオンビームと、第1の複数の構造体の第1のベクトルとの間の回転角度が第1の回転角度φとなるように位置付けされ、第1のベクトルは、第1の複数の構造体が第1の平面にわたって延在する方向に対して直角をなし、第1の材料は、第1の方向に沿って漸次的にイオンビームに露光され、第1の材料のイオンビームへの露光が、第1の方向に沿って変動させられることにより、第1の方向において第1の複数の構造体間に深さの変動が生じる。
【0007】
[0007]別の実施形態では、方法が提供される。当該方法は、第1の期間中に基板の第1の平面にわたって配置された第1の材料をイオンビームに露光して、第1の材料に第1の複数の構造体を形成することであって、イオンビームが、基板の面法線に対してイオンビーム角度θで第1の材料に方向付けられ、基板が、第1の期間中において、イオンビームと、第1の複数の構造体の第1のベクトルとの間の回転角度が第1の回転角度φとなるように位置付けされ、第1のベクトルが、第1の複数の構造体が第1の平面にわたって延在する方向に対して直角をなす、第1の複数の構造体を形成することと、第2の期間中、配置された第1の材料をイオンビームに露光することとを含み、基板は、第2の期間中において、イオンビームと、第1の複数の構造体の第1のベクトルとの間の回転角度が第2の回転角度φとなるように位置付けされる。
【0008】
[0008]別の実施形態では、方法が提供される。当該方法は、第1の期間中に基板の第1の平面にわたって配置された第1の材料をイオンビームに露光して、第1の材料に第1の複数の構造体を形成することであって、イオンビームが、基板の面法線に対してイオンビーム角度θで第1の材料に方向付けられ、基板が、第1の期間中において、イオンビームと、第1の複数の構造体の第1のベクトルとの間の回転角度が第1の回転角度φとなるように位置付けされ、第1のベクトルが、第1の複数の構造体が第1の平面にわたって延在する方向に対して直角をなし、第1の複数の構造体が、第1の期間中に、基板の面法線に対して第1の傾斜角度θ’を有するように形成され、第1の回転角度φが、式φ=cos-1(tan(θ’)/tan(θ))によって選択される、第1の複数の構造体を形成することと、第2の期間中、配置された第1の材料をイオンビームに露光することであって、基板が、第2の期間中において、イオンビームと、第1の複数の構造体の第1のベクトルとの間の回転角度が第2の回転角度φとなるように位置付けされ、第2の回転角度φが、第1の回転角度φの負の角であり、イオンビームを生成するために使用されるデューティサイクルが、第1の期間中に第1のプロファイルに従って変動させられ、イオンビームを生成するために使用されるデューティサイクルが、第2の期間中に第2のプロファイルに従って変動させられる、第1の材料をイオンビームに露光することとを含む。
【0009】
[0009]本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって得ることができる。そのうちの幾つかの実施形態は添付の図面で例示されている。しかし、添付図面は、例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容し得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る、光学デバイスの斜視正面図である。
図2A】一実施形態に係る、傾斜エッチングシステムの側面概略断面図である。
図2B】一実施形態に係る、図2Aに示される傾斜エッチングシステムの上面概略断面図である。
図3】一実施形態に係る、基板の一部の概略斜視図である。
図4】一実施形態に係る、等価な傾斜角度θ’の式の結果のグラフである。
図5】一実施形態に係る、構造体の第1の部分及び構造体の第2の部分を有する基板の概略上面図である。
図6】一実施形態に係る、回転角度φ、回転角度φ、及びイオンビーム角度θのための連立方程式の結果を示すグラフである。
図7】一実施形態に係る、種々の傾斜角度を有する構造体を形成する方法のフロー図である。
図8】一実施形態に係る、単一パスで種々の傾斜角度を有する構造体の部分を形成する方法のフロー図である。
図9A】一実施形態に係る、1つの次元で構造体間の深さが変動する構造体を含むデバイスの輪郭プロットの上面図である。
図9B】一実施形態に係る、図9Aの輪郭プロットで示される深さ変動を発生させるために、デバイスにわたるデューティサイクルプロファイルに従って、イオンビームのデューティサイクルがZ方向にどのように変動し得るかというプロットを示す。
図9C】一実施形態に係る、図9Aに示されるデバイスの部分的側面断面図である。
図10】一実施形態に係る、図9Aから9Cに示される構造体を形成する方法のプロセスフロー図である。
図11A】一実施形態に係る、複数の次元で構造体間の深さが変動する構造体を含むデバイスの輪郭プロットの上面図である。
図11B】一実施形態に係る、デバイスが第1の回転角度で位置付けされたときに、デバイスの第1の材料をイオンビームに露光することによって引き起こされる構造体間の深さの変動を示す、デバイスの輪郭プロットの上面図である。
図11C】一実施形態に係る、デバイスが第2の回転角度で位置付けされたときに、デバイスの第1の材料をイオンビームに露光することによって引き起こされる構造体間の深さの変動を示す、デバイスの輪郭プロットの上面図である。
図11D】一実施形態に係る、図11B及び図11Cの輪郭プロットに示される構造体間の深さ変動を発生させるために、デバイスにわたってイオンビームのデューティサイクルがどのように変動し得るかというプロットを示す。
図12】一実施形態に係る、図11Aに示されるデバイスを形成する方法のプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0028]理解を容易にするために、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記述がなくても、他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられる。
【0012】
[0029]本明細書に記載された実施形態は、単一の基板にわたって種々の深さ又は種々の深さ及び種々の傾斜角度を有する構造体を形成する方法、及び連続する複数の基板に種々の深さ又は種々の深さ及び種々の傾斜角度を有する構造体を含む光学デバイスを形成する方法に関する。以下では、光デバイス(例えば、導波路コンバイナの1つ又は複数の格子)を形成するために1つ又は複数のエッチングを実行することに関して大まかに説明されるが、以下の開示を1つ又は複数のエッチングが使用される任意のプロセスに適用することができる。例えば、以下の開示は、1つ又は複数の特定された傾斜角度及び/又は1つ又は複数の特定された深さを有するように構造体が形成される任意のエッチングに適用することが可能である。
【0013】
[0030]図1は、一実施形態に係る、光学デバイス100の斜視正面図である。光学デバイス100の例としては、平坦な光学デバイス及び導波路(例えば、導波路コンバイナ)が挙げられるが、これらに限定しない。光学デバイス100は、1つ又は複数の格子を含む。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、光学デバイス100は、入力格子102、中間格子104、及び出力格子106を含む。格子102、104、106の各々は、対応する構造体108、110、112(例えば、フィン)を含む。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、構造体108、110、112、及び構造体間の深さは、サブミクロンの限界寸法(例えば、ナノサイズの限界寸法)を含む。
【0014】
[0031]図2Aは、カリフォルニア州サンタクララに所在するApplied Materials, Inc.から入手可能なVarian VIISta(登録商標)システムなどの傾斜エッチングシステム200の側面概略断面図であり、図2Bは上面概略断面図である。以下に記載される傾斜エッチングシステム200は、例示的な傾斜エッチングシステムであり、基板上に本明細書に記載された構造体を形成するために、他の傾斜エッチングシステム(他の製造業者からの傾斜エッチングシステムを含む)を使用してもよく、又は変更してもよいことを理解されたい。
【0015】
[0032]図2A及び2Bは、プラテン206上に配置されたデバイス205を示す。デバイス205は、基板210、基板210の上に配置されたエッチング停止層211、エッチング停止層211の上の第1の平面(YZ面)にわたって配置された格子材料212、及び格子材料212の上に配置されたハードマスク213を含む。傾斜エッチングシステム200によって、傾斜角度を有する構造体(例えば、フィン)から格子材料212がエッチングされる。一実施形態では、格子材料212は、基板210上に配置されたエッチング停止層211上に配置され、パターニングされたハードマスク213は、格子材料212上に配置される。一実施形態では、格子材料212の1つ又は複数の材料は、形成されるべきそれぞれの構造体の傾斜角度θ’及び基板210の屈折率に基づいて選択される。幾つかの実施形態では、格子材料212は、オキシ炭化ケイ素(SiOC)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化バナジウム(IV)(VOx)、酸化アルミニウム(Al)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、五酸化タンタル(Ta)、窒化ケイ素(Si)、窒化チタン(TiN)、及び/又は二酸化ジルコニウム(ZrO)含有材料のうちの1つ又は複数を含む。格子材料212は、約1.5から約2.65の屈折率を有し得る。格子材料212について以上で提供された実施例は、デバイス205などの光学デバイスが形成されているときに使用される材料に適用される。より一般的には、格子材料212(「第1の材料」とも呼ばれる)は、以上に列挙された材料に限定されず、任意のエッチング可能な材料であり得る。例えば、本明細書の冒頭で述べたように、本開示の内容は光学デバイス205などの光学デバイスの形成に関連する用途に限定されず、したがって、第1の材料という用語の使用は、より一般的には、ハードマスク層などの別の材料に比べて、(例えば、イオンビームによって)優先的にエッチングできる材料のことを指す。
【0016】
[0033]幾つかの実施形態では、パターニングされたハードマスク213は、デバイス205が形成された後に除去される非透明ハードマスクである。例えば、非透明ハードマスクは、クロム(Cr)又は銀(Ag)などの反射材料を含み得る。別の実施形態では、パターニングされたハードマスク213は、透明ハードマスクである。一実施形態では、エッチング停止層211は、デバイス205が形成された後に除去される非透明エッチング停止層である。別の実施形態では、エッチング停止層211は、透明エッチング停止層である。
【0017】
[0034]傾斜エッチングシステム200は、イオンビーム源204を収容するイオンビームチャンバ202を含む。イオンビーム源は、リボンビーム、スポットビーム、又はフル基板サイズビームなどのイオンビーム216を生成するように構成されている。イオンビームチャンバ202は、以下に記載されるように基板210が傾けられる前に、基板210の面法線218に対して第1のイオンビーム角度αでイオンビーム216を方向付けるように構成されている。第1のイオンビーム角度αを変更するには、イオンビームチャンバ202のハードウェアの再構成が必要である。基板210は、第1のアクチュエータ208に連結されたプラテン206上に保持される。第1のアクチュエータ208は、y方向及び/又はz方向に沿った走査運動でプラテン206を動かすように構成されている。一実施形態では、第1のアクチュエータ208は、基板210がイオンビームチャンバ202のx軸に対して傾斜角度βで位置付けされる(例えば、Y軸の周りを回転する)ように、プラテン206を傾けるようにさらに構成されている。幾つかの実施形態では、第1のアクチュエータ208は、y軸及び/又はz軸に対してプラテン206を傾けるようにさらに構成され得る。
【0018】
[0035]第1のイオンビーム角度α及び傾斜角度βは、基板210が傾いた後、基板210の面法線218に対して第2のイオンビーム角度θを生じさせる。面法線218に対して傾斜角度θ’を有する構造体を形成するために、イオンビーム源204は、イオンビーム216を生成し、イオンビームチャンバ202は、そのイオンビーム216を第1のイオンビーム角度αで基板210に方向付ける。イオンビーム216が第2のイオンビーム角度θで格子材料212に接触し、格子材料212をエッチングして、格子材料212の所望の部分に傾斜角度θ’を有する構造体を形成するように、第1のアクチュエータ208はプラテン206を位置付けする。
【0019】
[0036]従来では、構造体の隣接する部分の傾斜角度θ’と異なる傾斜角度θ’を有する構造体の部分を形成するか、又は連続する基板上に異なる傾斜角度θ’を有する構造体を形成するためには、第1のイオンビーム角度αが変更されるか、傾斜角度βが変更されるか、かつ/又は複数の傾斜エッチングシステムが使用される。第1のイオンビーム角度αを変更するようにイオンビームチャンバ202のハードウェアを再構成することは、複雑であり、時間がかかる。イオンビーム角度θを修正するために傾斜角度βを調整すると、イオンビーム216が様々なエネルギーレベルで格子材料212に接触するので、基板210の部分にわたって非均一な構造体の深さが生じる。例えば、イオンビームチャンバ202のより近くに位置付けされた部分は、イオンビームチャンバ202からより遠くに位置付けされた隣接部分の構造体よりも深さが深い構造体を有する。複数の傾斜エッチングシステムを使用することにより、製造時間が増加し、複数のチャンバが必要となるためコストが増大する。イオンビームチャンバ202の再構成、イオンビーム角θの修正のための傾斜角度βの調整、及び複数の傾斜エッチングシステムの使用を避けるために、傾斜エッチングシステム200は、基板210をプラテン206のx軸の周りを回転させて、構造体の傾斜角度θを制御するために、プラテン206に連結された第2のアクチュエータ220を含む。
【0020】
[0037]図3は、一実施形態に係る、基板302の部分300の概略斜視図である。イオンビーム216の傾斜角度β及び第1のイオンビーム角度αが固定されることにより、基板302の面法線306に対するイオンビーム角θが基板302にわたって一定となる。第1のイオンビーム角度αは、約0°と約90°との間であり、傾斜角度βは、約0°と約30°との間である。得られる第2のイオンビーム角度θは、約0°と約90°との間である。第2のイオンビーム角度θは、好ましくは約25°から約75°である。なぜなら、約0°に近い又は約90°に近いイオンビーム角度θは、約0°又は約90°の傾斜角度θ’を有する構造体304をもたらすことになり、その結果構造体304が傾斜しないからである。基板302がプラテン206のx軸の周りを回転した結果、イオンビーム216と構造体304の格子ベクトル308との間に回転角度φが生じる。イオンビームチャンバ202を再構成することなく、傾斜角度βを調整してイオンビーム角度θを修正することなく、複数の傾斜エッチングシステムを使用することなく、傾斜角度θ’を制御するために回転角度φが選択される。第2のイオンビーム角度θに対して結果として得られる傾斜角度θ’を求めるために、次の等価な傾斜角度θ’の式が実行される:sin(θ’)=sin(θ)/sqrt(1+tan(φ)cos(θ))及びtan(θ)=tan(θ)cos(φ)。φについて解くと、回転角度φは、cos-1(tan(θ’)/tan(θ))である。例えば、イオンビーム角度θが45°であり、所望の傾斜角度θ’が22.5°である場合、回転角度φは、cos-1(tan(22.5)/tan(45))=65.53であり、約65.53°である。図4は、回転角度φの関数としての、5°、22.5°、45°、67.5°、及び85°のイオンビーム角度θについての等価な傾斜角度θ’の式を示すグラフである。
【0021】
[0038]格子ベクトル308は、より一般的には第1のベクトルと呼ぶこともできる。上述のように、本開示は、光学デバイス205などの光学デバイスの形成に関連する用途に限定されず、したがって、第1のベクトルという用語の使用は、より一般的には、エッチングされる材料(例えば、格子材料212)が配置される平面にわたって第1の複数の構造体が延在する方向に対して直角をなすベクトルのことを指す。例えば、格子材料(第1の材料とも呼ばれる)は、YZ面(第1の平面とも呼ばれる)にわたって配置され、格子ベクトル308(第1のベクトルとも呼ばれる)は、構造体304がYZ面に延在する方向に対して直角をなす。図2A及び図3を参照すると、構造体304は、Z方向に実質的に近い方向に離間され、構造体は、Y方向に実質的に近い方向に延在する。
【0022】
[0039]一実施形態では、傾斜角度θ’を有する構造体304は、以上の図2A及び図2Bに示される傾斜エッチングシステム200を用いて形成することができる。別の実施形態では、傾斜角度θ’を有する構造体304は、フルウエハ型、没入型、又は格子型エッチングシステムとしても知られるイオンビームエッチングシステムを用いて形成することができる。このイオンビームエッチングシステムは、イオンビームチャンバ202内に収容されたイオンビーム源204を有する。イオンビーム源204は、約0°の第1のイオンビーム角度αで基板302の表面の幾何学的形状に対応する幾何学的形状を有するイオンビーム216を生成する。イオンビームエッチングシステムのプラテン206は、イオンビーム216が約25°から約75°のイオンビーム角度θで基板302に接触するように、基板210を傾斜角度βで位置付けするように構成されている。本明細書に記載されるように傾斜角度θ’を制御するために、回転角度φが選択される。
【0023】
[0040]図5は、一実施形態に係る、構造体506の第1の部分502及び構造体508の第2の部分504を有する基板500の概略上面図である。一実施形態では、部分502、504は、第1の格子502及び第2の格子504であり得、構造体506、508は、それぞれの格子502、504の対応するフィン506、508であり得る。構造体506、508は、以上の図2A及び図2Bに示される傾斜エッチングシステム200を使用して形成することができる。図5は、図2A及び図2Bで以上に示され、図5に示された傾斜エッチングシステム200に関連して説明される。イオンビーム216の傾斜角度β及び第1のイオンビーム角度αが固定されることにより、イオンビーム216が様々な部分502、504に方向付けられるときに、基板500の面法線に対するイオンビーム角度θが一定になる。第1のイオンビーム角度αは、約0°と約90°との間であり、傾斜角度βは、約0°と約30°との間である。得られる第2のイオンビーム角度θは、約0°と約90°との間である。第2のイオンビーム角度θは、好ましくは約25°と約75°との間である。なぜなら、約0°に近い又は約90°に近いイオンビーム角度θは、約0°又は約90°の傾斜角度を有する構造体をもたらすことになり、その結果構造体506、508が傾斜しないからである。
【0024】
[0041]それぞれの部分502、504の構造体506、508を形成するために、基板500をプラテン206のx軸の周りで回転させることができ、その結果、構造体506を形成するための、イオンビーム216と構造体506の格子ベクトル510との間の回転角度φ、及び構造体508を形成するための、イオンビーム216と構造体508の格子ベクトル512との間の回転角度φが生じる。ハードマスクのパターンは、エッチングが実行された後に構造体が基板にわたって延在する方向を決定するので、特定の領域におけるハードマスクのパターンを使用して、その領域に対する格子ベクトルを決定することができる。例えば、格子ベクトル510(第1のベクトルとも呼ばれる)は、構造体506がYZ面(第1の平面とも呼ばれる)にわたって延在する方向に対して実質的に直角をなす。同様に、例えば、格子ベクトル512(第2のベクトルとも呼ばれる)は、構造体508がYZ面(第1の平面とも呼ばれる)にわたって延在する方向に対して実質的に直角をなす。
【0025】
[0042]第1の部分502及び第2の部分504がイオンビーム216の経路内に位置付けされるように、イオンビームチャンバ202を横断する単一パスの走査運動によりプラテン206を動かすことによって、傾斜角度θ’を有する構造体506を形成するように回転角度φが選択され、傾斜角度θ’を有する構造体508を形成するように回転角度φが選択される。イオンビームチャンバ202を横断するプラテン206の単一パスで構造体(例えば、構造体506、508)の2つ以上の部分を形成するために、以下の連立方程式が実行される。
θ=arctan(tan(θ’)/cos(φ1))
θ=arctan(tan(θ’)/cos(φ2))
Δφ=φ-φ
【0026】
[0043]一実施形態では、傾斜角度θ’、傾斜角度θ’、及びΔφは既知である。回転角度φ、回転角度φ、及びイオンビーム角θの連立方程式を解くことにより、イオンビームチャンバ202を横切るプラテン206の単一パスで、傾斜角度θ’を有する構造体506、及び傾斜角度θ’を有する構造体508を形成することが可能となる。
【0027】
[0044]図6は、回転角度φ、回転角度φ、イオンビームアングルθの連立方程式の結果のグラフである。40°の傾斜角度θ’を有する構造体506、及び45°のΔφで20°の傾斜角度θ’を有する構造体508を形成するために、21.1°の回転角度φ及び66.1°の回転角度φが、イオンビームチャンバ202を横切るプラテン206の単一パスで、第1の部分502及び第2の部分504を形成することになる。したがって、イオンビームチャンバ202を再構成することなく、傾斜角度βを調整してイオンビーム角度θを修正することなく、かつ複数の傾斜エッチングシステムを使用することなく、傾斜角度θ’を有する構造体506及び傾斜角度θ’を有する構造体508が、イオンビームチャンバ202を横切るプラテン206の単一パスで形成される。さらに、連立方程式を拡大して、様々な傾斜角度θ’を有する構造体(例えば、格子)の3つ以上の部分を形成することができる。別の実施形態では、イオンビーム角度θ、傾斜角度θ’、傾斜角度θ’、及びΔφが既知であり、回転角度φ及び回転角度φについて連立方程式が解かれる。
【0028】
[0045]図7は、種々の傾斜角度を有する構造体を形成するための方法700のフロー図である。一実施形態では、方法700は、以上の図2A及び図2Bに示される傾斜エッチングシステム200によって実施される。図2A図2B、及び図7を参照して、方法700が説明される。傾斜エッチングシステム200は、イオンビームチャンバ202内に収容された、リボンビーム又はスポットビームなどのイオンビーム216を生成するイオンビーム源204を含む。イオンビームチャンバ202は、基板210の面法線218に対して第1のイオンビーム角度αでイオンビーム216を方向付けるように構成されている。プラテン206に連結された第1のアクチュエータ208は、基板210がイオンビームチャンバ202の軸に対して傾斜角度βに位置付けされるように、走査運動で基板210を動かし、プラテン206を傾けるように構成されている。第1のアクチュエータ208は、y方向及び/又はz方向に沿った走査運動でプラテン206を動かすように構成されている。第1のイオンビーム角度α及び傾斜角度βは、面法線218に対して第2のイオンビーム角度θを生じさせる。
【0029】
[0046]工程701では、上部に格子材料212が配置された第1の基板の第1の部分が、イオンビーム216の経路内に配置される。イオンビーム216は、第1の基板の面法線218に対してイオンビーム角度θで格子材料212に接触し、格子材料212において1つ又は複数の第1の構造体を形成する。第1の基板は、プラテン206上に保持される。プラテン206は、第1の基板の第1の部分をイオンビーム216の経路内に位置付けし、第1の基板をプラテン206の軸の周りで回転させるように構成されており、結果的に、イオンビーム216と1つ又は複数の第1の構造体の格子ベクトル(例えば、格子ベクトル308)との間に第1の回転角度φが生じる。基板の面法線218に対して第1の傾斜角度θ’を有する1つ又は複数の第1の構造体が結果として生じるように、第1の回転角度φが選択される。第1の回転角度φは、上述したように、φ=cos-1(tan(θ’)/tan(θ))の回転角度φ式により選択される。一実施形態では、第1の部分は、図1に示される光学デバイス100の入力格子102に対応し得る。
【0030】
[0047]イオンビームチャンバ202を再構成して第1のイオンビーム角度αを変更することなく、傾斜角度βを調整してイオンビーム角度θを変更することなく、又は複数の傾斜エッチングシステムを使用することなく、第1の傾斜角度θ’とは異なる第2の傾斜角度θ’で第1の基板の第2の部分に1つ又は複数の第2の構造体を形成するために、第1の基板が、プラテン206に連結された第2のアクチュエータ220によってプラテン206の軸の周りで回転させられている間、第1のイオンビーム角度α及び傾斜角度βは一定のままである。
【0031】
[0048]工程702では、上部に格子材料212が配置された第1の基板の第2の部分が、イオンビーム216の経路内に位置付けされる。イオンビーム216は、第1の基板の面法線218に対してイオンビーム角度θで格子材料212に接触し、格子材料212において1つ又は複数の第2の構造体を形成する。第1の基板がプラテン206の軸の周りを回転している状態で、第2の部分がイオンビーム216の経路内に位置付けされた結果、イオンビーム216と1つ又は複数の第2の構造体の格子ベクトル(例えば、格子ベクトル308)との間に第2の回転角度φが生じる。基板の面法線218に対して第2の傾斜角度θ’を有する1つ又は複数の第2の構造体が結果として生じるように、第2の回転角度φが選択される。第2の回転角度φは、上述したように、φ=cos-1(tan(θ’)/tan(θ))の回転角度φ式により選択される。一実施形態では、第2の部分は、図1に示される光学デバイス100の中間格子104に対応し得る。
【0032】
[0049]工程703では、上部に格子材料212が配置された第1の基板の第3の部分が、イオンビーム216の経路内に位置付けされる。イオンビーム216は、第1の基板の面法線218に対してイオンビーム角度θで格子材料212に接触し、格子材料212において1つ又は複数の第3の構造体を形成する。第1の基板がプラテン206の軸の周りを回転している状態で、第3の部分がイオンビーム216の経路内に位置付けされた結果、イオンビーム216と1つ又は複数の第3の構造体の格子ベクトル(例えば、格子ベクトル308)との間に第3の回転角度φが生じる。基板の面法線218に対して第3の傾斜角度θ’を有する1つ又は複数の第3の構造体が結果として生じるように、第3の回転角度φが選択される。第3の回転角度φは、φ=cos-1(tan(θ’)/tan(θ))の回転角度φ式により選択される。一実施形態では、第3の部分は、図1に示される光学デバイス100の出力格子106に対応し得る。
【0033】
[0050]工程704では、第1の基板が取り外され、第2の基板がプラテン206上に保持される。工程705では、工程701から703を繰り返して、第2の基板に、第1の傾斜角度θ’を有する1つ又は複数の第1の構造体、第1の傾斜角度θ’とは異なる第2の傾斜角度’を有する1つ又は複数の第2の構造体、並びに第1の傾斜角度θ’及び第2の傾斜角度’とは異なる第3の傾斜角度θ’を有する1つ又は複数の第3の構造体を形成する。
【0034】
[0051]図8は、一実施形態に係る、種々の傾斜角度を有する構造体の部分を形成するための方法800のフロー図である。一実施形態では、方法800は、以上の図2A及び図2Bに示される傾斜エッチングシステム200によって実施される。図2A図2B図5、及び図8を参照して、方法800が説明される。工程801では、上部に格子材料212が配置された基板500の第1の部分502及び第2の部分504が、イオンビームチャンバ202を横切るプラテン206の単一パスで、イオンビーム216の経路内に位置付けされる。イオンビーム216は、基板500の面法線218に対してイオンビーム角度θで格子材料212に接触し、格子材料212において1つ又は複数の構造体506及び1つ又は複数の構造体508を形成する。基板500がプラテン206の軸の周りを回転する状態で、基板500は、第1の部分502及び第2の部分504をイオンビーム216の経路内に位置付けするように構成されたプラテン206上に保持され、その結果、イオンビーム216と1つ又は複数の構造体506の格子ベクトル510との間の回転角度φ、及びイオンビーム216と1つ又は複数の構造体508の格子ベクトル512との間の回転角度φが生じる。基板の面法線218に対して傾斜角度θ’を有する1つ又は複数の構造体506が結果として生じるように、回転角度φが選択される。基板の面法線218に対して傾斜角度θ’を有する1つ又は複数の構造体508が結果として生じるように、回転角度φが選択される。回転角度φ及び回転角度φは、連立方程式を解くことによって選択される。
θ=arctan(tan(θ’)/cos(φ))
θ=arctan(tan(θ’)/cos(φ))
Δφ=φ-φ
【0035】
[0052]一実施形態では、傾斜角度θ’、傾斜角度θ’、及びΔφは既知である。回転角度φ、回転角度φ、及びイオンビーム角度θの連立方程式を解くことにより、イオンビームチャンバ202を横切るプラテン206の単一パスで、傾斜角度θ’を有する構造体506、及び傾斜角度θ’を有する構造体508を形成することが可能となる。別の実施形態では、イオンビーム角度θ、傾斜角度θ’、傾斜角度θ’、及びΔφが既知であり、回転角度φ及び回転角度φについて連立方程式が解かれる。したがって、イオンビームチャンバ202を再構成することなく、傾斜角度βを調整してイオンビーム角度θを修正することなく、かつ複数の傾斜エッチングシステムを使用することなく、傾斜角度θ’を有する構造体506及び傾斜角度θ’を有する構造体508が、イオンビームチャンバ202を横切るプラテン206の単一パスで形成される。さらに、連立方程式を拡大して、格子の3つ以上の部分を形成することができる。方法800は、後続の基板に対して繰り返されてもよい。
【0036】
[0053]傾斜エッチングシステムを使用して、単一の基板上に種々の傾斜角度を有する構造体(例えば、格子のフィン)を連続的に形成する方法、及び連続する基板上に種々の傾斜角度を有する構造体(例えば、格子のフィン)を形成する方法が上述されている。イオンビームチャンバを再構成せず、又は傾斜角度βを調整してイオンビーム角度θを修正せず、又は複数の傾斜エッチングシステムを使用せずに形成された構造体について、傾斜角度θ’を制御するために1つ又は複数の回転角度φを選択することは、図2A及び図2Bに示される傾斜エッチングシステム200などの単一の傾斜エッチングシステムが、種々の傾斜角度θ’を有する構造体を有する光学デバイス(例えば、導波路コンバイナ)、及び種々の構造体を含む種々の光学デバイス(例えば、種々の導波路コンバイナ)を製作することを可能とする。
【0037】
[0054]傾斜エッチングシステム200又は同様のシステムを使用して、図2A図2B図3に示される構造体の特徴以外の特徴を有する構造体を製作することもできる。例えば、図2Aに示される構造体は、デバイスにわたる(例えば、YZ面における)構造体間の領域がX方向において同じ深さを有するように形成される。幾つかの用途では、X方向における構造体間の深さをデバイスにわたって1つ又は複数の方向(すなわち、YZ面)に変動させることができる。構造体間の深さの変動は、例えば、1つ又は複数の格子、例えば、導波路コンバイナで使用される格子のセットを介して結合される光の割合を制御するために使用され得る。格子の構造体間の深さが浅いほど、格子を介した光の結合が弱くなり、格子の構造体間の深さが深いほど、格子を介した光の結合が強くなる。格子のセットを介して結合される光の割合を制御することは、例えば拡張現実デバイスによって、導波路コンバイナのユーザに最終的に表示される画像の制御を改善する。
【0038】
[0055]デバイスにわたって1つ又は複数の寸法が変化する、構造体間に深さを有する構造体(例えば、格子のフィン)を製作することには、以前は以下に記載されるプロセスよりも実質的により複雑なプロセスを使用することが必要とされた。以下では、1つの次元で構造体間の深さが変動する構造体を含むデバイス(図9Aから図9C、及び図10を参照)、及び複数の次元で構造体間の深さが変動する構造体を含むデバイス(図11Aから図11D、及び図12を参照)を形成するためのプロセスの実施形態が説明される。構造体間の深さが可変である構造体を含む、以下で説明されるこれらのデバイスは、例えば図2Aを参照して以上で説明した傾斜エッチングシステム200によって形成することができる。
【0039】
[0056]図9Aは、一実施形態に係る、1つの次元で構造体間の深さが変動する構造体を含むデバイス900の輪郭プロット940の上面図である。1つの次元(例えば、図9AのZ)において構造体間の深さが変動する構造体を含むデバイスとは、深さ変動の方向の説明に使用できる単一の次元(例えば、図9AのZ)が存在し、かつこの単一の次元(例えば、図9AのZ)に対して直角をなす深さが変動する次元(例えば、図9AのX及びY)が存在しないデバイスを意味する。
【0040】
[0057]図9Aでは、デバイス900は第1の回転角度φで回転する。デバイス900は、上述の傾斜エッチングシステム200によって形成することができる。デバイス900は、構造体間の深さがZ方向に沿って変動する複数の構造体(例えば、1つ又は複数の格子のフィン)を含む。以上で説明され、以下にさらに詳しく説明されるように、構造体の傾斜角度θ’は、第1の回転角度φによって部分的に決定することができる。深さシェーディング図930は、輪郭プロット940によって示されるように、構造体間の深さがデバイス900にわたってどのように変化するかを示す。深さ図930を参照すると、輪郭プロット940は、構造体間の深さが、Z方向の中央の第1のセクション911の最大の深さから、Z方向両側の上位セクション912~917と下位セクション912~917の減少する深さまで変動することを示す。例えば、第1のセクション911から上位の第7のセクション917まで、構造体間の深さが各セクションで減少する(すなわち、浅くなる)。同様に、第1のセクション911から最下位の第7のセクション917まで、構造体間の深さが各セクションで減少する。図9Aに示される輪郭プロット940は、各セクションにおいて一定の陰影を有する別々の異なる深さを有するセクションを示すが、セクションの深さは、隣接するセクション間で、及びセクション内で徐々に変化し得る。例えば、上位の第2のセクション912の深さは、上位の第3のセクション913の減少した深さに向かって徐々に減少し得、上位の第3のセクション913の深さは、上位の第4のセクション914の深さに向かって徐々に減少し得る、等々である。幾つかの実施形態では、イオンビーム216は、Z方向に移動して、図9Aに示される構造体間の深さ変動を発生させることができる。他の実施形態では、デバイス900はZ方向に移動して、デバイス900の種々のセクションをイオンビーム216に露光することができる。
【0041】
[0058]デバイス900は、材料が除去されない2つのセクション920、920をさらに含む。幾つかの実施形態では、セクション920、920は、傾斜エッチングシステム200のイオンビーム216に露光されない。他の実施形態では、イオンビーム216によって著しく影響されないハードマスク又は他の材料によってセクション920、920を覆うことができる。他の実施形態では、イオンビーム216によって修正されないセクションがより多く又はより少なくあってもよい。
【0042】
[0059]図9Bは、一実施形態に係る、図9Aの輪郭プロット940で示される深さ変動を発生させるために、デバイス900にわたるデューティサイクルプロファイル951に従って、イオンビーム216のデューティサイクルがZ方向にどのように変動し得るかというプロット950を示す。例えば、デューティサイクルプロファイル951は、イオンビーム216のデューティサイクルが、-100Z位置における約0.1の低デューティサイクルから、ゼロZ位置におけるピークの約0.8の高デューティサイクルまで徐々に増加して、次いで、+100Z位置における約0.1の低デューティサイクルまで徐々に減少し得ることを示す。デューティサイクルプロファイル951は、デューティサイクルがガウス分布と同様に修正されているように示されているが、他の方法を使用して、デバイス900にわたってデューティサイクルを変動させ、デバイスにわたって種々の深度プロファイルを発生させることができる。さらに、他の方法を使用して、デバイス900にわたって深さを修正することができる。例えば、他の実施形態では、イオンビーム216がデバイス900の種々の部分に集束される時間は、一定のデューティサイクルを使用しながらも方向に変動させることができる。さらに他の実施形態では、イオンビーム216を生成するために印加される電力(例えば、電圧及び/又は電流)をZ方向に変化させて、図9Aに示す深さ変動をZ方向に発生させることができる。
【0043】
[0060]図9Cは、一実施形態に係る、図9Aに示されるデバイス900の部分的側面断面図である。デバイス900が上述のデバイス205とは異なる構造体を含むことを除いて、デバイス900は、図2A及び図2Bに示されるデバイス205と類似する。デバイス900は、基板210、エッチング停止層211、格子材料212、及びハードマスク213を含む。基板は、プラテン206上に配置される。トレンチ905が、基板210の上に配置された格子材料212に形成される。構造体906(例えば、フィン)が、トレンチ905間に配置される。エッチング停止層211が、格子材料212と基板210との間に配置される。ハードマスク213が、格子材料212の上に配置される。
【0044】
[0061]デバイス900において、トレンチ905(すなわち、構造体906間の領域)がZ方向に変動する深さを有する。例えば、図示のように、トレンチ905の深さ及び構造体906の対応する高さは、ページの左から右へZ方向に増加する。例えば、第2のトレンチ905は第1のトレンチ905よりも大きな深さを有し、第2の構造体906は、第1の構造体906よりも大きな高さを有する。幾つかの実施形態では、トレンチ905の深さ及び構造体906の高さは、Z方向に各格子で変動し得る。例えば、図示のように、トレンチ905の深さは、第1のトレンチ905から第5のトレンチ905まで、トレンチ905ごとに徐々に増加する。同様に、構造体906の高さは、第1の構造体906から第5の構造体906まで、構造体906ごとに徐々に増加する。Z方向における種々のトレンチ905の深さと構造体906の高さの増大は、格子材料212の種々の部分がZ方向にイオンビーム216に露光されるにつれて、イオンビーム216のデューティサイクルを増大させることによって引き起こされ得る。
【0045】
[0062]トレンチ905は、それぞれ傾斜角度θ’で整列させられる。幾つかの実施形態では、トレンチ905は、それぞれ、傾斜角度θ’と整列した、第1の表面901と、隣り合う構造体906の対向する第2の表面902とによって形成される。他の実施形態では、トレンチ905は、それぞれ、傾斜角度θ’と実質的に(例えば、傾斜角度θ’の約5度以内で又は傾斜角度θ’の約1度以内で)整列した、第1の表面901と、隣り合う構造体906の対向する第2の表面902とによって形成される。表面901及び表面902の角度が互いに異なる実施形態では、傾斜角度θ’は、表面901と表面902の角度間の平均であってもよい。傾斜角度θ’は、約0°から約90°、例えば、約15°から約75°を有する値であり得る。構造体が傾斜角度θ’に従って整列又は実質的に整列する実施形態では、構造体は、傾斜角度θ’を有するように形成されるものとして説明することができる。
【0046】
[0063]トレンチ905及び対応する構造体906の傾斜角度θ’は、デバイス900がデバイス900の軸(すなわち、デバイス900の中心を通ってX方向に延びる軸)の周りを回転角度φ図9A)まで回転する位置に基板210を配置した状態で、傾斜エッチングシステム200(図2A)のイオンビーム216を第2のイオンビーム角度θに方向付けることによって形成することができる。図9Aにおいてデバイス900が位置付けされる回転角度φは、式φ=cos-1(tan(θ’)/tan(θ))(以下、「回転角度式」と呼ぶ)によって選択することができる。図2Aを参照して以上で説明したように、第2のイオンビーム角度θは、基板210の面法線218に対する第1のイオンビーム角度α、及びイオンビームチャンバ202のx軸に対する傾斜角度βに基づく。第1のイオンビーム角度α及び/又は傾斜角度βの調整は、上述のような問題を引き起こす可能性があるので、代わりに回転角度(例えば、回転角度φ)を調整することで、種々の傾斜角度を有する構造体(例えば、構造体906)を生成するときにこれらの角度の調整を避けることができる。したがって、第2のイオンビーム角度θ及び所望の傾斜角度θ’の値を回転角度式に入力することによって、所与の傾斜角度θ’を有する構成を生成するために使用される回転角度φを解くことができる。
【0047】
[0064]回転角度φは、イオンビーム216(図2Aを参照)と、図3に示される構造体304の格子ベクトル308などの格子ベクトルとの間の角度である。格子ベクトルは、例えば、図3のYZ面において、構造体が延在する方向に対して直角をなし得る。例えば、図3Aの格子ベクトル308は、構造体304がYZ面において延在する方向に対して直角をなす。さらに、格子ベクトルは構造体が延在する方向と同じ平面にあってもよい。例えば、格子ベクトル308は、構造体304が延在する方向と同じ平面(すなわち、基板の上面に平行な平面)にある。したがって、所与の第2のイオンビーム角度θ及び所望の傾斜角度θ’から決定される回転角度φは、格子又はイオンビーム216によって形成される他の構造体の格子ベクトルに対して基板をどのように回転させるかを決定する。構造体906などの構造体を形成するためにエッチングを実行する前に、基板の所与の部分の格子ベクトルを決定するためにハードマスクのパターンを使用することができる。
【0048】
[0065]幾つかの実施形態では、格子ベクトルは、ノッチ907と整列し得る(図9A参照)。これらの実施形態では、基板をノッチ907に対して回転角度φだけ回転させることができる。他の実施形態では、格子ベクトルがノッチ907からオフセットされる。これらの実施形態では、回転角度式から求められた回転角度と共にこのオフセットを考慮して、所望の傾斜角度θ’を有する構造体を形成するために基板をどれだけ多く回転させるべきかを決定する。
【0049】
[0066]図10は、一実施形態に係る、図9Aから図9Cに示されるトレンチ905及び構造体906(第1の複数の構造体)を形成するための方法1000のプロセスフロー図である。方法1000は、図2A図3図9Aから図9C、及び図10を参照して説明される。
【0050】
[0067]ブロック1002では、デバイス900は、回転角度φで、プラテン206上の及び/又はプラテン206に対するイオンビーム216の経路内に配置される。図9Aから図9Cを参照して上述したように、回転角度φは、回転角度式から求めることができる。幾つかの実施形態では、ノッチ907又は別の特徴を使用して、デバイス900を回転角度φで位置決めされるように整列させることができる。
【0051】
[0068]ブロック1004では、基板210が、イオンビーム216と格子ベクトル(例えば、格子ベクトル308)(第1のベクトルとも呼ばれる)との間の回転角度が回転角度φとなるように位置付けされたときに、格子材料212及び対応する構造体906においてトレンチ905を形成するため、イオンビーム216が、基板210の面法線218に対して第2のイオンビーム角度θで、YZ面(第1の平面)にわたって配置された格子材料212(第1の材料)を露光するように印加される。格子ベクトル(例えば、格子ベクトル308)(第1のベクトル)は、第1の複数の構造体がYZ面(第1の平面)にわたって延在する方向に対して直角をなす。トレンチ905及び構造体906は、基板210の面法線218に対して傾斜角度θ’を有するように形成される。一実施形態では、図9Aに示されるように、最初にイオンビーム216を最下位の第7のセクション917に方向付けることができ、例えば、-100Z位置と整列させられる。
【0052】
[0069]ブロック1006では、イオンビーム216は、デバイス900の種々の部分において漸次的に方向付けられ得る。例えば、イオンビーム216を、デバイス900の下位セクション917~912の格子材料212(第1の材料)に漸次的に露光することができ、次いで、中央の第1のセクション911、次いで、上位セクション912~917に露光することができる。構造体906、及び図9Aに示す輪郭プロット940に従って深さが変動する構造体906間のトレンチ905を生成するために、イオンビーム216のデューティサイクルを、図9Bのデューティサイクルプロファイル951に示すように変動させることができる。幾つかの実施形態では、イオンビーム216は、デューティサイクルプロファイル951に従って変動するデューティサイクルで、静止したプラテン206上に配置され得るデバイス900にわたってZ方向に走査され得る。他の実施形態では、デバイス900は、Z方向に移動させて、種々のセクションをイオンビーム216に露光させることができる。
【0053】
[0070]上述のように、図9Aに示される輪郭プロット940は、別々の異なる深さを有するセクション(例えば、911及び9121)を示すが、セクションにおける構造体906間の深さは、図9Bのデューティサイクルプロファイル951に示されるようにデューティサイクルが徐々に変化することにつれて、隣接するセクション間及びセクション内において徐々に変化し得る。さらに上述のように、イオンビーム216のデューティサイクルを変動させること、構造体906間のトレンチ905の深さをZ方向に変動させる1つの方法にすぎない。例えば、他の実施形態では、構造体間の深さがZ方向に変動する構造体を形成するために一定のデューティサイクルを使用しながら、イオンビーム216がデバイス900の種々のセクションに集束する時間をZ方向に変動させることが可能である。さらに他の実施形態では、イオンビーム216を生成するために印加される電力(例えば、電圧及び/又は電流)をZ方向に変化させて、図9Aに示す深さ変動をZ方向に発生させることができる。
【0054】
[0071]ブロック1006の後、方法1000を繰り返して、同じ構造体又は異なる構造体、例えば、種々の傾斜角度を有する構造体及び/又は異なる深さ変動プロファイルを有する構造体間のトレンチを有する追加の基板を処理することができる。構造体が異なる傾斜角度で形成されたように別の基板を処理するために、新しい傾斜角度(θ’)に基づいて、回転角度式から新しい回転角度(φ)を求めることができ、新しく求められた回転角度(φ)を使用して、方法1000を繰り返して、ブロック1002において新しい基板を位置決めすることができる。例えば、第1の基板を基板支持体から取り外し、第2の基板を基板支持体上に配置することができる。第2の基板が基板支持体上に位置付けされたとき、第2の基板は、YZ面(第2の平面とも呼ばれる)にわたって格子材料(第2の材料とも呼ばれる)が配置され得る。第2の基板は、イオンビームと、イオンビーム216によって第2の基板上に形成される第2の複数の構造体の格子ベクトル(第2のベクトル)との間の回転角度が第2の回転角度φとなるように位置決めされ得る。第2のベクトルは、形成される第2の複数の構造体が第2の平面にわたって延在する方向に対して直角をなす。次いで、上述のブロック1004及び1006を繰り返すにつれて、第2の基板上の格子材料(第2の材料)をイオンビームに露光することができる。
【0055】
[0072]同じ傾斜角度で構造体を形成しつつ、構造体間のトレンチの深さプロファイルが異なる別の基板を処理するために、ブロック1004及び1006において、デューティサイクル又は他の処理パラメータ(例えば、露光時間、イオンビーム216を生成するために印加される電力)を修正して、特定された深さプロファイルを生成することができる一方で、ブロック1002に関連して以上で説明され、図9Aに示すように、基板を回転角度φで同じ位置に配置することができる。さらに、ブロック1002の修正バージョンをブロック1004、1006の修正バージョンと組み合わせて別の基板を処理し、ブロック1002~1006を最初に実施したときの第1の基板に形成された構造体及びトレンチと比較して、異なる傾斜角度を有する構造体と、異なる深さプロファイルを有する構造体間のトレンチとを有するデバイスを生成することができる。
【0056】
[0073]方法1000を、単一の基板の隔離された領域で実行かつ繰り返し、単一の基板上に種々の傾斜角度及び種々の深さプロファイルを有する種々の構造体を形成することができる。例えば、図7及び図10を参照すると、方法1000を、工程701で実行し、工程702で再び実行し、工程703で再び実行することができる。工程701~703は、種々の傾斜角度で構造体を生成するために使用されるよう以上で説明されている。したがって、工程701~703のそれぞれにおいて方法1000を単一の基板の隔離された領域で実行することにより、(1)ブロック701では、第1の複数の構造体間の深さが第1の深さプロファイルに従って変動する、第1の傾斜角度θ’で延在する第1の複数の構造体、(2)ブロック702では、第2の複数の構造体間の深さが第2の深さプロファイルに従って変動する、第2の傾斜角度θ’で延在する第2の複数の構造体、及び(3)ブロック703では、第3の複数の構造体間の深さが第3の深さプロファイルに従って変動する、第3の傾斜角度θ’で延在する第3の複数の構造体を形成することができる。
【0057】
[0074]幾つかの実施形態では、複数の次元において構造体間の深さが変動する構造体を有するデバイスを形成することができる。複数の次元で構造体間の深さが変動する構造体を有するデバイスは、例えば、導波路コンバイナの1つ又は複数の格子を形成するために構造体が使用される場合に、デバイスを介して結合される光に対する制御を向上させることができる。デバイス(例えば、導波路コンバイナ)を介した光結合の制御をこのように向上させることにより、例えば、導波路コンバイナを含む拡張現実デバイスのユーザに向けて導波路コンバイナから出力される画像の品質をさらに改善することができる。図11Aから図11D、及び図12では、デバイス及び関連する方法の一実施形態を説明しており、ここで形成されたデバイスは、複数の次元で深さプロファイルが変動する構造体間のトレンチを有する構造体を含む。
【0058】
[0075]図11Aは、一実施形態に係る、複数の次元で構造体間の深さが変動する構造体(例えば、1つ又は複数の格子のフィン)を含むデバイス1101の輪郭プロット1140の上面図である。デバイス1101は、YZ面にわたって延在し、X方向の深さを有する構造体間のトレンチを含むことができ、トレンチの深さはY方向及びZ方向にわたって変動する。デバイス1101の種々の位置における構造体間のトレンチの深さは、深さ図930を参照して判断することができる。深さ図930は、構造体間のトレンチの相対的深さが、デバイス1101の輪郭プロット1140においてどのように変化するかを示している。
【0059】
[0076]本明細書で用いられる場合、複数の次元で構造体間の深さが変動する構造体を含むデバイスとは、深さ変動の方向を説明するために使用可能な単一の次元であって、その単一の次元に対して直角をなす深さが変動する次元がないような単一の次元が、存在しないデバイスのことを意味している。例えば、図11Aを参照すると、それに沿って深さが変動する次元であって、やはり深さ変動が生じる直角な次元もないような次元は、存在しない。さらに、少なくとも幾つかの実施形態では、複数の次元で構造体間の深さが変動する構造体を含むデバイスとは、図11Aに示されるように、中心点Cを含むデバイスを意味してもよく、中心点Cの周りの360°を包含する方向に深さが変動する。
【0060】
[0077]別々に示されておらず、必須なことでもないが、デバイス1101の構造体は、図9Cを参照して以上で説明された構造体906と同様の形状(例えば、同じ傾斜角度θ’)を有し得る。さらに、デバイス1101の他の特徴は、上述のデバイス900の対応する特徴と同一であり得る。例えば、図9Cを参照すると、デバイス1101は、基板210の上に配置された格子材料212であって、基板210と格子材料212との間にエッチング停止層211が配置されている、格子材料212、及び格子材料212の上に配置されたハードマスク層213をさらに含み得る。デバイス1101は、図2Aを参照して以上で説明された傾斜エッチングシステム200によって形成することができる。
【0061】
[0078]デバイス1101は、(1)デバイス1101の格子材料212を第1の回転角度φ図11B)でイオンビーム216に露光し(図2A)、次いで、(2)デバイス1101の格子材料212を第2の回転角度φ図11C)でイオンビーム216に露光することによって、構造体間の深さが複数の方向に変動する構造体を有するように形成することができる。
【0062】
[0079]図11Bは、一実施形態に係る、デバイス1101が第1の回転角度φで配置されたときに、デバイス1101の格子材料212をイオンビーム216(図2A)に露光することによって生じた構造体間の深さの変動を示す、デバイス1101の輪郭プロット940の上面図である。輪郭プロット940は、図9Aと同じ輪郭プロットである。
【0063】
[0080]図11Cは、一実施形態に係る、デバイス1101が第2の回転角度φで配置されたときに、デバイス1101の格子材料212をイオンビーム216(図2A)に露光することによって生じた構造体間の深さの変動を示す、デバイス1101の輪郭プロット1240の上面図である。図11B及び図11Cの輪郭プロット940、1240は、それぞれ、以前に露光されていない格子材料212をイオンビーム216に露光することによって生じる深さ変動を示す。したがって、図11B及び図11Cの輪郭プロット940、1240は、それぞれ、単一の露光から生じるデバイス1101の構造体間の深さ変動(例えば、トレンチの深さ)の結果を示すので、デバイス1101の深さ変動に対するこれらの別々の露光の個々の効果をより容易に理解することができる。図11Aは、図11Bの輪郭プロット940に従って構造体間に深さを有する構造体を生成する露光と、図11Cの輪郭プロット1240に従って構造体間に深さを有する構造体を生成する露光との組み合わせから生じるデバイス1101の構造体間の深さ変動の結果を示す。この組み合わされた露光プロセスにより、複数の次元(すなわち、Y方向及びZ方向)において構造体間の深さが変動する構造体がもたらされる。この組み合わされた露光プロセスは、図12のプロセスフロー図を参照してより詳細に説明される。
【0064】
[0081]図11Dは、一実施形態に係る、図11B及び図11Cの輪郭プロット940、1240に示される構造体間の深さ変動を発生させるために、デバイスにわたるイオンビームのデューティサイクルがどのように変動し得るかを示すプロットである。図11Bの輪郭プロット940に従って構造体間に深さ変動を有する構造体を生成するために、イオンビーム216のデューティサイクルは、図9Bで前に示されたデューティサイクルプロファイル951に従って、デバイス1101にわたって図11BのZ方向に変動し得る。輪郭プロット940及びデューティサイクルプロファイル951に従って深さ変動を発生させることに関連するさらなる詳細は、図9A及び図9Bを参照して以上で説明されており、ここでは繰り返さない。
【0065】
[0082]図11Cの輪郭プロット1240に従って構造体間に深さ変動を有する構造体を生成するために、イオンビーム216のデューティサイクルは、デューティサイクルプロファイル1151に従って、デバイス1101にわたって図11CのZ方向に変動し得る。デューティサイクルプロファイル1151は、イオンビーム216のデューティサイクルが、概して、-100Z位置における約0.1の低デューティサイクルから、+100Z位置における約0.8の高デューティサイクルまでどのように徐々に増大し得るかを示す。イオンビーム216のデューティサイクルは、デューティサイクルプロファイル1151に沿って線形の勾配又は実質的に線形の勾配で増加し得る。図11Cの輪郭プロット1240に示されるように、構造体間の深さ(例えば、トレンチの深さ)は、デューティサイクルがZ方向に増大するにつれて増大する。例えば、輪郭プロット1240は、構造体間の深さが第1のセクション121から第7のセクション121まで徐々に増大する、7つのセクション121~121を示す。
【0066】
[0083]図11Cに示される輪郭プロット1240は、別々の異なる深さを有するセクションを示すが、セクション1211~1217の深さは、図11Dのデューティサイクルプロファイル1151に示されるようにデューティサイクルが徐々に変化するにつれて、隣接するセクション間及びセクション内において徐々に変化し得る。さらに、以上で説明したように、イオンビーム216のデューティサイクルを変動させることは、構造体間の深さを変動させる1つの方法にすぎない。例えば、他の実施形態では、構造体間の深さが変動する構造体を形成するために一定のデューティサイクルを使用しながら、イオンビーム216がデバイス1101の種々の部分に集束する時間を変動させることが可能である。さらに他の実施形態では、イオンビーム216を生成するために印加される電力(例えば、電圧及び/又は電流)を変動させて、図11Cの輪郭図1240に示される深さ変動を発生させることが可能である。
【0067】
[0084]図12は、一実施形態に係る、図11Aに示されるデバイス1101を形成するための方法1200のプロセスフロー図である。方法1200は、図2A図3図10図11Aから図11D、及び図12を参照して説明される。
【0068】
[0085]方法1200は、図10を参照して以上で説明された方法1000を実行することによって開始する。方法1000は方法1200の開始時に繰り返されるが、幾つかの相違点に留意する価値がある。方法1000はデバイス900で実行されるが、方法1200はデバイス1101で実行される。明瞭性のために、方法1000がどのように方法1200の一部としてデバイス1101で実行されるかを明確にするために、ここで方法1000の工程を繰り返す。
【0069】
[0086]ブロック1002では、デバイス1101は、第1の回転角度φで、プラテン206上のイオンビーム216(図2A)の経路内に位置付けされる。第1の回転角度φは、第2のイオンビーム角度θ(図2A参照)及びデバイス1101に形成される構造体の所望の傾斜角度θ’(例えば、図9C参照)に基づいて、回転角度式[φ=cos-1(tan(θ’)/tan(θ)]から求めることができる。幾つかの実施形態では、ノッチ907を使用して、デバイス1101を整列させて第1の回転角度φで位置決めすることができる。
【0070】
[0087]ブロック1004では、第1の期間の開始時に、デバイス1101が、イオンビーム216と格子ベクトル(例えば、格子ベクトル308)(第1のベクトルとも呼ばれる)との間の回転角度が第1の回転角度φとなるように配置されたときに、イオンビーム216を印加して、YZ面(第1の平面)にわたって配置された格子材料212(第1の材料)を、基板210の面法線218に対して第2のイオンビーム角θでイオンビーム216に露光し、格子材料212(第1の材料)において構造体を形成する。格子ベクトル(例えば、格子ベクトル308)(第1のベクトル)は、第1の複数の構造体がYZ面(第1の平面)にわたって延在する方向に対して直角をなす。これらの構造体は、デバイス1101の面法線218に対して傾斜角度θ’を有するように形成される。必須ではないが、図示の第1の回転角度φは、図9Aに関連して以上で説明された回転角度φと同じである。したがって、ブロック1002でデバイス1101に形成された構造体1002の傾斜角度θ’は、図9Cに示す構造体906の傾斜角度θ’と同じ角度を有するように形成される。一実施形態では、図11Bに示されるように、イオンビーム216を最初に最下位の第7のセクション917に方向付けることができ、例えば、-100Z位置と整列させられる。
【0071】
[0088]ブロック1006では、イオンビーム216は、デバイス1101の種々の部分において漸次的に方向付けられ得る。例えば、イオンビーム216を、デバイス900の下位セクション917~912の格子材料に漸次的に露光することができ、次いで、中央の第1のセクション911、次いで、上位セクション912~917に露光することができる。イオンビーム216のデューティサイクルを、図11Dのデューティサイクルプロファイル951に示すように変動させて、図11Bに示される輪郭プロット940に従って構造体間の深さが変動する構造体を生成することができる。幾つかの実施形態では、イオンビーム216は、デューティサイクルプロファイル951に従って変動するデューティサイクルで、静止したプラテン206上に配置され得るデバイス1101にわたってZ方向に走査され得る。他の実施形態では、デバイス1101は、Z方向に移動させて、種々のセクションをイオンビーム216に露光させることができる。
【0072】
[0089]ブロック1208では、デバイス1101は、第2の期間中に、イオンビーム216と、構造体の格子ベクトル(第1のベクトル)との間の回転角度が第2の回転角度φとなるようにプラテン206上に位置付けされる。第2の回転角度φは、第1の回転角度φの負の角であり得る。第2の回転角度φは、第1の回転角度φと一致するものとして説明することもできる。幾つかの実施形態では、格子ベクトル(例えば、図3の格子ベクトル308を参照)は、ノッチ907と整列し得る(図9Aを参照)。ノッチ907が格子ベクトルと整列したこれらの実施形態では、デバイス1101は、方法1200のブロック1002の間、ノッチ907に対して第1の回転角度φで位置付けされ、次いで、ブロック1208では、第1の回転角度φの負の角(すなわち、第2の回転角度φ)で位置付けされ得る。例えば、図11B及び図11Cを参照すると、方法1200のブロック1002では、デバイス1101は、+55°で位置付けされ得、ブロック1208では、デバイス1101は-55°で位置付けされ得る。第1の回転角度φの負の角である第2の回転角度φでデバイス1101を位置決めすることにより、デバイス1101が第1の回転角度φで位置決めされたときに生成された構造体と同じ傾斜角度θ’を有する構造体がデバイス1101に生成される。
【0073】
[0090]ブロック1210では、第2の期間の開始時に、デバイス1101が第2の回転角度φで位置付けされたときに、イオンビーム216を印加して、格子材料212を、基板210の面法線218に対して第2のイオンビーム角度θでイオンビーム216に露光し、格子材料212において構造体を形成する。これらの構造体は、デバイス1101の面法線218に対して傾斜角度θ’を有するように形成される。一実施形態では、図11Cに示されるように、イオンビーム216を最初に第1のセクション1211に方向付けることができ、例えば、-100Z位置と整列させられる。
【0074】
[0091]ブロック1212では、イオンビーム216は、デバイス1101の種々の部分において漸次的に方向付けられ得る。例えば、イオンビーム216は、セクション1211~1217の格子材料に漸次的に露光され得、第1のセクション1211で始まり、第7のセクション1217で終わる。幾つかの実施形態では、イオンビーム216は、デューティサイクルプロファイル1151に従って変動するデューティサイクルで、静止したプラテン206上に配置され得るデバイス1101にわたってZ方向に走査され得る。他の実施形態では、デバイス1101は、Z方向に移動させて、種々のセクションをイオンビーム216に露光させることができる。
【0075】
[0092]イオンビーム216のデューティサイクルを、図11Dのデューティサイクルプロファイル1151に示すように変動させて、図11Cに示される輪郭プロット1240に従って構造体間の深さが変動する構造体を生成することができる。上述のように、輪郭プロット1240は、前に露光されていない格子材料上の構造体間の深さを示すことに留意されたい。さらに、図11Aの輪郭プロット1140は、第1のデューティサイクルプロファイル951に従った第1の露光(すなわち、方法1200のブロック1002~1006)と、第2のデューティサイクルプロファイル1151に従った第2の露光(すなわち、方法1200のブロック1208~1212)との組み合わせから生じる構造体間の深さを示す。
【0076】
[0093]図11B及び図11Cに示されるように、格子材料212を-100Z位置から+100Z位置へと露光すると、格子材料212の幾つかの部分を2回露光しながら、格子材料212の他の部分を1回のみ露光することになる。例えば、格子材料212の中央部分1181(図11A)は、図11Bに示されるようにデバイスが第1の回転角度φで位置付けされたときにイオンビーム216に露光され、格子材料212の中央部分1181(図11A)は、図11Cに示されるようにデバイス1101が第2の回転角度φで位置付けされたときにイオンビーム216に露光される。逆に、格子材料212の第1の部分1191(図11A)は、図11Bに示されるようにデバイスが第1の回転角度φで位置付けされたときにイオンビーム216に露光されるが、格子材料212の第1の部分1191(図11A)は、図11Cに示されるようにデバイス1101が第2の回転角度φで位置付けされたときにイオンビーム216に露光されない。同様に、格子材料212の第2の部分1192(図11A)は、図11Bに示されるようにデバイスが第1の回転角度φで位置付けされたときにイオンビーム216に露光されないが、格子材料212の第2の部分1192(図11A)は、図11Cに示されるようにデバイス1101が第2の回転角度φで位置付けされたときにイオンビーム216に露光される。単一露光のみ又は二重露光のみを使用するプロセスに比べて、二重露光領域(例えば、中央部分1181)と単一露光領域(例えば、部分1191、1192)との間でイオンビーム216への格子材料212の露光を変動させることにより、方法1200によって生成される構造体の深さプロファイルに対するさらなる制御が可能となる。
【0077】
[0094]方法1200は、第1の露光のための第1のデューティサイクルプロファイル951(すなわち、方法1200のブロック1002~1006)、及び第2の露光のための第2のデューティサイクルプロファイル1151(すなわち、方法1200のブロック1208~1212)を使用するものとして説明された。しかしながら、デューティサイクルが格子材料の部分にわたって一定である場合でも、第1の回転角度φ及び第2の回転角度φなどの2つの回転角度で2回の露光を用いることにより利点をさらに得ることができる。例えば、イオンビーム216の同じデューティサイクルが2回の露光のために中央部分1181に使用された場合、構造体の側壁(例えば、1つ又は複数の格子のフィン)の粗さが低減され得る(すなわち、より滑らかになり得る)。例えば、図9Cを参照すると、第1の表面901及び第2の表面902の粗さは、同じデューティサイクルで、例えば、上述の第1の回転角度φ及び第2の回転角度φで2回の露光を行うことによって改善することができる。同じデューティサイクルでのこの二重露光プロセスは、構造体間に深さの変動が必要とされないときにも利点をもたらすことができる。例えば、第1の回転角度φでの第1の露光が格子材料212をエッチング停止層211まで除去した場合(図2A)、第2の回転角度φ(すなわち、第1の回転角度φの負の角)での第2の露光は、構造体間の深さに影響を与えずに、構造体の側壁の粗さを改善することができる。
【0078】
[0095]以上の記載は、本開示の実施例を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施例及びさらなる実施例を考案してもよい。本開示の範囲は、次の特許請求の範囲によって決定される。

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12