IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社カワノラボの特許一覧 ▶ 国立大学法人 名古屋工業大学の特許一覧

<>
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図1
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図2
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図3
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図4
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図5
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図6
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図7
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図8
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図9
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図10
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図11
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図12
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図13
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図14
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図15
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図16
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図17
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図18
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図19
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図20
  • 特許-分析装置、分析方法、及び粒子分離装置 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】分析装置、分析方法、及び粒子分離装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/1409 20240101AFI20240207BHJP
   G01N 27/76 20060101ALI20240207BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20240207BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20240207BHJP
   G01N 15/14 20240101ALI20240207BHJP
   G01N 15/13 20240101ALI20240207BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240207BHJP
   C12M 1/26 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
G01N15/14 A
G01N27/76
G01N33/50 T
G01N33/48 M
G01N15/14 C
G01N15/12 B
C12M1/34 B
C12M1/26
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020087660
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021181939
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-05-02
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和1年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業「電磁泳動法による政界初のプランクトン及び関連微粒子迅速評価装置の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515295968
【氏名又は名称】株式会社カワノラボ
(73)【特許権者】
【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】河野 誠
(72)【発明者】
【氏名】飯國 良規
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/069260(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/105721(WO,A1)
【文献】特開2000-105218(JP,A)
【文献】国際公開第2011/155489(WO,A1)
【文献】特開2011-185839(JP,A)
【文献】特開2005-017214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/14
G01N 27/76
G01N 33/50
G01N 33/48
G01N 15/12
C12M 1/34
C12M 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の流通方向に溶媒が流れる流路を有するマイクロ流路デバイスと、
前記流路を流れる前記溶媒に電流を流す電流生成部と、
前記溶媒に分散している粒子のうち、強磁性又は常磁性の粒子である第1粒子を、前記流路を形成する壁面側へ磁気泳動させて前記壁面に吸着させるとともに、前記溶媒に分散している粒子のうち、反磁性の粒子である第2粒子を、前記流通方向に対して直交する第1方向へ前記電流と共に電磁泳動させる磁場を、前記流路に形成する第1分離磁場形成部と、
前記第1方向とは反対の方向である第2方向へ前記電流と共に前記第2粒子を電磁泳動させる磁場を、前記流通方向において前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域よりも下流側の領域である分離領域に形成する第2分離磁場形成部と、
前記溶媒に含まれる粒子の情報を取得する情報取得部と
を備える、分析装置。
【請求項2】
前記第1分離磁場形成部は、
前記流路に磁場を発生させる分離磁場発生源と、
前記分離磁場発生源が前記流路に発生させる磁場の強度を第1強度と第2強度との間で調整する磁場強度調整部と
を有し、
前記第1強度は、前記第1粒子を前記壁面に吸着させるとともに、前記第2粒子を前記第1方向へ前記電流と共に電磁泳動させる強度であり、
前記第2強度は、前記第1粒子の前記壁面への吸着が解除される強度であり、
前記第1粒子は、前記壁面への吸着が解除されると、前記分離領域へ移動し、
前記第2分離磁場形成部が前記分離領域に形成する磁場は、前記第1粒子を前記第2方向へ前記電流と共に電磁泳動させる、請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記情報取得部は、
前記流通方向において前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域よりも下流側の領域で前記第2粒子を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記第2粒子の濃度を演算する演算部と
を有する、請求項1又は請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域において、磁気泳動する前記第1粒子の動きを検出し、
前記演算部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記第1粒子の体積磁化率を演算する、請求項3に記載の分析装置。
【請求項5】
前記情報取得部は、
前記流通方向において前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域よりも下流側の領域で前記第1粒子を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記第1粒子の濃度を演算する演算部と
を有する、請求項2に記載の分析装置。
【請求項6】
所定の流通方向に溶媒が流れる流路を有するマイクロ流路デバイスと、
前記流路を流れる前記溶媒に電流を流す電流生成部と、
前記溶媒に分散している粒子のうち、強磁性又は常磁性の粒子である第1粒子を、前記流路を形成する壁面側へ磁気泳動させて前記壁面に吸着させる磁場を、前記流路に形成する第1分離磁場形成部と、
前記溶媒に分散している粒子のうち、反磁性の粒子である第2粒子を、前記流通方向に対して直交する第1方向へ前記電流と共に電磁泳動させる磁場を、前記流通方向において前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域よりも下流側の領域である片側寄せ領域に形成する片側寄せ磁場形成部と、
前記第1方向とは反対の方向である第2方向へ前記電流と共に前記第2粒子を電磁泳動させる磁場を、前記流通方向において前記片側寄せ領域よりも下流側の領域である分離領域に形成する第2分離磁場形成部と、
前記溶媒に含まれる粒子の情報を取得する情報取得部と
を備える、分析装置。
【請求項7】
前記第1分離磁場形成部は、
前記流路に磁場を発生させる分離磁場発生源と、
前記分離磁場発生源が前記流路に発生させる磁場の強度を第1強度と第2強度との間で調整する磁場強度調整部と
を有し、
前記第1強度は、前記第1粒子を前記壁面に吸着させる強度であり、
前記第2強度は、前記第1粒子の前記壁面への吸着が解除される強度であり、
前記第1粒子は、前記壁面への吸着が解除されると、前記流通方向の下流側へ移動し、
前記第2分離磁場形成部が前記分離領域に形成する磁場は、前記第1粒子を前記第2方向へ前記電流と共に電磁泳動させる、請求項6に記載の分析装置。
【請求項8】
前記情報取得部は、
前記流通方向において前記片側寄せ領域よりも下流側の領域で前記第2粒子を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記第2粒子の濃度を演算する演算部と
を有する、請求項6又は請求項7に記載の分析装置。
【請求項9】
前記検出部は、前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域において前記第1粒子を検出し、
前記演算部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記第1粒子の濃度を演算する、請求項8に記載の分析装置。
【請求項10】
前記検出部は、前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域において、磁気泳動する前記第1粒子の動きを検出し、
前記演算部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記第1粒子の体積磁化率を演算する、請求項9に記載の分析装置。
【請求項11】
前記情報取得部は、
前記流通方向において前記片側寄せ領域よりも下流側の領域で前記第1粒子を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記第1粒子の濃度を演算する演算部と
を有する、請求項7に記載の分析装置。
【請求項12】
前記情報取得部は、
前記流路において電磁泳動する粒子の動きを検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記粒子の表面電気伝導度を演算する演算部と
を有する、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項13】
前記検出部は、前記溶媒に含まれる粒子を撮像する撮像部を含み、
前記演算部は、前記撮像部の撮像結果に基づいて前記粒子の情報を取得する、請求項3から請求項5、及び請求項8から請求項12のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項14】
前記検出部は、前記流通方向において前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域よりも下流側の領域で、前記溶媒に含まれる粒子の通過に応じて波形が変動する電気信号を生成するセンサーを含み、
前記演算部は、前記電気信号に基づいて前記粒子の情報を取得する、請求項3又は請求項5に記載の分析装置。
【請求項15】
前記検出部は、前記流通方向において前記片側寄せ領域よりも下流側の領域で、前記溶媒に含まれる粒子の通過に応じて波形が変動する電気信号を生成するセンサーを含み、
前記演算部は、前記電気信号に基づいて前記粒子の情報を取得する、請求項8又は請求項11に記載の分析装置。
【請求項16】
前記流路の前記第2方向における幅は、特定の粒子の粒子径の2倍以上である、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項17】
前記流路は、前記流通方向において前記分離領域よりも下流側に複数の分岐流路を有する、請求項1から請求項16いずれか1項に記載の分析装置。
【請求項18】
前記第1粒子は、金属成分を含有する金属成分含有粒子を含み、
前記第2粒子は、微生物を含む、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項19】
前記第2粒子は、微生物の代謝物を更に含む、請求項18に記載の分析装置。
【請求項20】
流路に送液された溶媒に分散している粒子のうち、強磁性又は常磁性の粒子である第1粒子を、前記流路を形成する壁面側へ磁気泳動させて前記壁面に吸着させるとともに、前記溶媒に分散している粒子のうち、反磁性の粒子である第2粒子を、前記溶媒が前記流路を流れる方向に対して直交する第1方向へ電磁泳動させる工程と、
前記第1方向とは反対の方向である第2方向へ前記第2粒子を電磁泳動させる工程と、
前記第2粒子の情報を取得する工程と
を含む、分析方法。
【請求項21】
流路に送液された溶媒に分散している粒子のうち、強磁性又は常磁性の粒子である第1粒子を、前記流路を形成する壁面側へ磁気泳動させて前記壁面に吸着させる工程と、
前記溶媒に分散している粒子のうち、反磁性の粒子である第2粒子を、前記溶媒が前記流路を流れる方向に対して直交する第1方向へ電磁泳動させる工程と、
前記第1方向とは反対の方向である第2方向へ前記第2粒子を電磁泳動させる工程と、
前記第2粒子の情報を取得する工程と
を含む、分析方法。
【請求項22】
所定の流通方向に溶媒が流れる流路を有するマイクロ流路デバイスと、
前記流路を流れる前記溶媒に電流を流す電流生成部と、
前記溶媒に分散している粒子のうち、強磁性又は常磁性の粒子である第1粒子を、前記流路を形成する壁面側へ磁気泳動させて前記壁面に吸着させるとともに、前記溶媒に分散している粒子のうち、反磁性の粒子である第2粒子を、前記流通方向に対して直交する第1方向へ前記電流と共に電磁泳動させる磁場を、前記流路に形成する第1分離磁場形成部と、
前記第1方向とは反対の方向である第2方向へ前記電流と共に前記第2粒子を電磁泳動させる磁場を、前記流通方向において前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域よりも下流側の領域である分離領域に形成する第2分離磁場形成部と
を備える、粒子分離装置。
【請求項23】
所定の流通方向に溶媒が流れる流路を有するマイクロ流路デバイスと、
前記流路を流れる前記溶媒に電流を流す電流生成部と、
前記溶媒に分散している粒子のうち、強磁性又は常磁性の粒子である第1粒子を、前記流路を形成する壁面側へ磁気泳動させて前記壁面に吸着させる磁場を、前記流路に形成する第1分離磁場形成部と、
前記溶媒に分散している粒子のうち、反磁性の粒子である第2粒子を、前記流通方向に対して直交する第1方向へ前記電流と共に電磁泳動させる磁場を、前記流通方向において前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域よりも下流側の領域である片側寄せ領域に形成する片側寄せ磁場形成部と、
前記第1方向とは反対の方向である第2方向へ前記電流と共に前記第2粒子を電磁泳動させる磁場を、前記流通方向において前記片側寄せ領域よりも下流側の領域である分離領域に形成する第2分離磁場形成部と
を備える、粒子分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置、及び分析方法、並びにそれらに用いることができる粒子分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
赤潮の発生により、魚や貝類の死滅、海苔などの海藻の成長鈍化や色落ちなどの水産業への被害が発生することがある。特に、沿岸養殖や海面養殖などの養殖業では、甚大な被害を受けることがある。赤潮は、植物性プランクトンの異常増殖に起因して発生する。植物性プランクトンは、主に河川から海に流れ込む窒素やリン、鉄などを栄養分として増殖する。
【0003】
沿岸養殖や海面養殖などの養殖業では、赤潮によって養殖魚の魚類が死滅してしまうことを防止するため、「餌止め」、「粘土の散布」、「生け簀の移動」などの対策を取ることがある。
【0004】
例えば、海面養殖に用いられる網生け簀内で養殖魚の魚類が赤潮によって死滅してしまうことを防止する手段として、浮沈式の養殖用生け簀が知られている(例えば、特許文献1参照。)。浮沈式の養殖用生け簀は、海中の適当な深さに設置することができる。したがって、網生け簀内で養殖している魚類への赤潮被害を低減させることができる。浮沈式の養殖用生け簀は、必要に応じて海面に浮上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-76号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、養殖生け簀は、浮沈させる作業に手間がかかる。そのため、赤潮を発見した後、対策までに時間がかかり、対策が間に合わない可能性がある。したがって、赤潮対策のための時間を十分に得られるように、赤潮の発生を予測する手段が求められている。例えば、赤潮の発生前に植物性プランクトンの増殖を確認できれば、赤潮の発生を予測することができる。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、植物性プランクトンのような反磁性の粒子の情報をより容易にサンプルから取得できる分析装置、及び分析方法、並びに、それらに用いることができる粒子分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面によれば、分析装置は、マイクロ流路デバイスと、電流生成部と、第1分離磁場形成部と、第2分離磁場形成部と、情報取得部とを備える。前記マイクロ流路デバイスは、所定の流通方向に溶媒が流れる流路を有する。前記電流生成部は、前記流路を流れる前記溶媒に電流を流す。前記第1分離磁場形成部は、前記溶媒に分散している粒子のうち、強磁性又は常磁性の粒子である第1粒子を、前記流路を形成する壁面側へ磁気泳動させて前記壁面に吸着させるとともに、前記溶媒に分散している粒子のうち、反磁性の粒子である第2粒子を、前記流通方向に対して直交する第1方向へ前記電流と共に電磁泳動させる磁場を、前記流路に形成する。前記第2分離磁場形成部は、前記第1方向とは反対の方向である第2方向へ前記電流と共に前記第2粒子を電磁泳動させる磁場を、前記流通方向において前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域よりも下流側の領域である分離領域に形成する。前記情報取得部は、前記溶媒に含まれる粒子の情報を取得する。
【0009】
ある実施形態において、前記第1分離磁場形成部は、分離磁場発生源と、磁場強度調整部とを有する。前記分離磁場発生源は、前記流路に磁場を発生させる。前記磁場強度調整部は、前記分離磁場発生源が前記流路に発生させる磁場の強度を第1強度と第2強度との間で調整する。前記第1強度は、前記第1粒子を前記壁面に吸着させるとともに、前記第2粒子を前記第1方向へ前記電流と共に電磁泳動させる強度である。前記第2強度は、前記第1粒子の前記壁面への吸着が解除される強度である。前記第1粒子は、前記壁面への吸着が解除されると、前記分離領域へ移動する。前記第2分離磁場形成部が前記分離領域に形成する磁場は、前記第1粒子を前記第2方向へ前記電流と共に電磁泳動させる。
【0010】
ある実施形態において、前記情報取得部は、検出部と、演算部とを有する。前記検出部は、前記流通方向において前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域よりも下流側の領域で前記第2粒子を検出する。前記演算部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記第2粒子の濃度を演算する。
【0011】
ある実施形態では、前記検出部は、前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域において、磁気泳動する前記第1粒子の動きを検出する。前記演算部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記第1粒子の体積磁化率を演算する。
【0012】
ある実施形態において、前記情報取得部は、検出部と、演算部とを有する。前記検出部は、前記流通方向において前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域よりも下流側の領域で前記第1粒子を検出する。前記演算部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記第1粒子の濃度を演算する。
【0013】
本発明の別の局面によれば、分析装置は、マイクロ流路デバイスと、電流生成部と、第1分離磁場形成部と、片側寄せ磁場形成部と、第2分離磁場形成部と、情報取得部とを備える。前記マイクロ流路デバイスは、所定の流通方向に溶媒が流れる流路を有する。前記電流生成部は、前記流路を流れる前記溶媒に電流を流す。前記第1分離磁場形成部は、前記溶媒に分散している粒子のうち、強磁性又は常磁性の粒子である第1粒子を、前記流路を形成する壁面側へ磁気泳動させて前記壁面に吸着させる磁場を、前記流路に形成する。前記片側寄せ磁場形成部は、前記溶媒に分散している粒子のうち、反磁性の粒子である第2粒子を、前記流通方向に対して直交する第1方向へ前記電流と共に電磁泳動させる磁場を、前記流通方向において前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域よりも下流側の領域である片側寄せ領域に形成する。前記第2分離磁場形成部は、前記第1方向とは反対の方向である第2方向へ前記電流と共に前記第2粒子を電磁泳動させる磁場を、前記流通方向において前記片側寄せ領域よりも下流側の領域である分離領域に形成する。前記情報取得部は、前記溶媒に含まれる粒子の情報を取得する。
【0014】
ある実施形態において、前記第1分離磁場形成部は、分離磁場発生源と、磁場強度調整部とを有する。前記分離磁場発生源は、前記流路に磁場を発生させる。前記磁場強度調整部は、前記分離磁場発生源が前記流路に発生させる磁場の強度を第1強度と第2強度との間で調整する。前記第1強度は、前記第1粒子を前記壁面に吸着させる強度である。前記第2強度は、前記第1粒子の前記壁面への吸着が解除される強度である。前記第1粒子は、前記壁面への吸着が解除されると、前記流通方向の下流側へ移動する。前記第2分離磁場形成部が前記分離領域に形成する磁場は、前記第1粒子を前記第2方向へ前記電流と共に電磁泳動させる。
【0015】
ある実施形態において、前記情報取得部は、検出部と、演算部とを有する。前記検出部は、前記流通方向において前記片側寄せ領域よりも下流側の領域で前記第2粒子を検出する。前記演算部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記第2粒子の濃度を演算する。
【0016】
ある実施形態において、前記検出部は、前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域において前記第1粒子を検出し、前記演算部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記第1粒子の濃度を演算する。
【0017】
ある実施形態において、前記検出部は、前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域において、磁気泳動する前記第1粒子の動きを検出し、前記演算部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記第1粒子の体積磁化率を演算する。
【0018】
ある実施形態において、前記情報取得部は、検出部と、演算部とを有する。前記検出部は、前記流通方向において前記片側寄せ領域よりも下流側の領域で前記第1粒子を検出する。前記演算部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記第1粒子の濃度を演算する。
【0019】
ある実施形態において、前記情報取得部は、検出部と、演算部とを有する。前記検出部は、前記流路において電磁泳動する粒子の動きを検出する。前記演算部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記粒子の表面電気伝導度を演算する。
【0020】
ある実施形態において、前記検出部は、撮像部を含む。前記撮像部は、前記溶媒に含まれる粒子を撮像する。前記演算部は、前記撮像部の撮像結果に基づいて前記粒子の情報を取得する。
【0021】
ある実施形態において、前記検出部は、センサーを含む。前記センサーは、前記流通方向において前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域よりも下流側の領域で、前記溶媒に含まれる粒子の通過に応じて波形が変動する電気信号を生成する。前記演算部は、前記電気信号に基づいて前記粒子の情報を取得する。
【0022】
ある実施形態において、前記検出部は、センサーを含む。前記センサーは、前記流通方向において前記片側寄せ領域よりも下流側の領域で、前記溶媒に含まれる粒子の通過に応じて波形が変動する電気信号を生成する。前記演算部は、前記電気信号に基づいて前記粒子の情報を取得する。
【0023】
ある実施形態において、前記流路の前記第2方向における幅は、特定の粒子の粒子径の2倍以上である。
【0024】
ある実施形態において、前記流路は、前記流通方向において前記分離領域よりも下流側に複数の分岐流路を有する。
【0025】
ある実施形態において、前記第1粒子は、金属成分を含有する金属成分含有粒子を含む。
【0026】
ある実施形態において、前記第2粒子は、微生物を含む。
【0027】
ある実施形態において、前記第2粒子は、微生物の代謝物を更に含む。
【0028】
本発明の更に別の局面によれば、分析方法は、流路に送液された溶媒に分散している粒子のうち、強磁性又は常磁性の粒子である第1粒子を、前記流路を形成する壁面側へ磁気泳動させて前記壁面に吸着させるとともに、前記溶媒に分散している粒子のうち、反磁性の粒子である第2粒子を、前記溶媒が前記流路を流れる方向に対して直交する第1方向へ電磁泳動させる工程を含む。分析方法は、前記第1方向とは反対の方向である第2方向へ前記第2粒子を電磁泳動させる工程を含む。分析方法は、前記第2粒子の情報を取得する工程を含む。
【0029】
本発明の更に別の局面によれば、分析方法は、流路に送液された溶媒に分散している粒子のうち、強磁性又は常磁性の粒子である第1粒子を、前記流路を形成する壁面側へ磁気泳動させて前記壁面に吸着させる工程を含む。分析方法は、前記溶媒に分散している粒子のうち、反磁性の粒子である第2粒子を、前記溶媒が前記流路を流れる方向に対して直交する第1方向へ電磁泳動させる工程を含む。分析方法は、前記第1方向とは反対の方向である第2方向へ前記第2粒子を電磁泳動させる工程を含む。分析方法は、前記第2粒子の情報を取得する工程を含む。
【0030】
本発明の更に別の局面によれば、粒子分離装置は、マイクロ流路デバイスと、電流生成部と、第1分離磁場形成部と、第2分離磁場形成部とを備える。前記マイクロ流路デバイスは、所定の流通方向に溶媒が流れる流路を有する。前記電流生成部は、前記流路を流れる前記溶媒に電流を流す。前記第1分離磁場形成部は、前記溶媒に分散している粒子のうち、強磁性又は常磁性の粒子である第1粒子を、前記流路を形成する壁面側へ磁気泳動させて前記壁面に吸着させるとともに、前記溶媒に分散している粒子のうち、反磁性の粒子である第2粒子を、前記流通方向に対して直交する第1方向へ前記電流と共に電磁泳動させる磁場を、前記流路に形成する。前記第2分離磁場形成部は、前記第1方向とは反対の方向である第2方向へ前記電流と共に前記第2粒子を電磁泳動させる磁場を、前記流通方向において前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域よりも下流側の領域である分離領域に形成する。
【0031】
本発明の更に別の局面によれば、粒子分離装置は、マイクロ流路デバイスと、電流生成部と、第1分離磁場形成部と、片側寄せ磁場形成部と、第2分離磁場形成部とを備える。前記マイクロ流路デバイスは、所定の流通方向に溶媒が流れる流路を有する。前記電流生成部は、前記流路を流れる前記溶媒に電流を流す。前記第1分離磁場形成部は、前記溶媒に分散している粒子のうち、強磁性又は常磁性の粒子である第1粒子を、前記流路を形成する壁面側へ磁気泳動させて前記壁面に吸着させる磁場を、前記流路に形成する。前記片側寄せ磁場形成部は、前記溶媒に分散している粒子のうち、反磁性の粒子である第2粒子を、前記流通方向に対して直交する第1方向へ前記電流と共に電磁泳動させる磁場を、前記流通方向において前記第1分離磁場形成部が磁場を形成する領域よりも下流側の領域である片側寄せ領域に形成する。前記第2分離磁場形成部は、前記第1方向とは反対の方向である第2方向へ前記電流と共に前記第2粒子を電磁泳動させる磁場を、前記流通方向において前記片側寄せ領域よりも下流側の領域である分離領域に形成する。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る分析装置、分析方法、及び粒子分離装置によれば、植物性プランクトンのような反磁性の粒子の情報をより容易にサンプルから取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施形態1に係る分析装置を示す模式図である。
図2】(a)は、マイクロ流路デバイスを示す正面図である。(b)は、流路の一部を拡大して示す正面図である。(c)は、流路本体部の近傍を拡大して示す側面図である。
図3】(a)及び(b)は、第1粒子の動きを示す側面図である。
図4】第2粒子の動きを示す正面図である。
図5】第2粒子の動きを示す正面図である。
図6】第1分離磁場形成部及び第2分離磁場形成部を示す側面図である。
図7】(a)及び(b)は、第1分離領域における第1粒子の動きを示す側面図である。
図8】本発明の実施形態1に係る分析装置の構成の一例を示す図である。
図9】第1電極ユニットの構成を示す断面図である。
図10】本発明の実施形態1に係る分析方法の一例を示すフローチャートである。
図11】(a)は、本発明の実施形態1に係る分析装置の第1変形例を示す図である。(b)は、第1分離領域における第1粒子の動きを示す側面図である。
図12】本発明の実施形態1に係る分析装置の第2変形例を示す図である。
図13】本発明の実施形態2に係る分析装置を示す模式図である。
図14】(a)は、流路本体部の近傍を拡大して示す正面図である。(b)は、第1粒子及び第2粒子の動きを示す正面図である。
図15】片側寄せ磁場形成部及び第2分離磁場形成部を示す側面図である。
図16】第1分離磁場形成部を示す正面図である。
図17】検出部を示す図である。
図18】本発明の実施形態2に係る分析方法の一例を示すフローチャートである。
図19】流路本体部の変形例を示す図である。
図20】本発明の実施形態2に係る分析方法の他例を示すフローチャートである。
図21】(a)は、本発明の他の実施形態に係る分析装置を示す図である。(b)は、本発明の他の実施形態に係る分析装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面(図1図21)を参照して本発明に係る分析装置、分析方法、及び粒子分離装置の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0035】
[実施形態1]
以下、図1図12を参照して本発明の実施形態1を説明する。まず、図1を参照して本実施形態の分析装置100を説明する。図1は、本実施形態の分析装置100を示す模式図である。分析装置100は、サンプルSの溶媒mに分散している粒子pの情報を取得する。
【0036】
以下、分析装置100の構成を説明する。図1に示すように、分析装置100は、粒子分離装置200と、粒子情報取得部300とを備える。粒子分離装置200は、サンプルSの溶媒mに分散している粒子pを、第1粒子p1と、第2粒子p2とに分離する。粒子分離装置200は、更に、サンプルSの溶媒mに分散している第2粒子p2を、それぞれのサイズや種類に応じて分離させる。本実施形態の粒子分離装置200は、更に、サンプルSの溶媒mに分散している第1粒子p1を、それぞれのサイズや種類に応じて分離させる。粒子情報取得部300は、サンプルSに含まれる粒子pの情報を取得する。
【0037】
サンプルSは、例えば、河川水、又は海水である。第1粒子p1は、強磁性又は常磁性の粒子である。第2粒子p2は、反磁性の粒子である。第1粒子p1は、例えば、金属成分を含有する金属成分含有粒子を含む。第2粒子p2は、例えば、微生物と、窒素成分を含有する窒素成分含有粒子と、微生物の代謝物とを含む。金属成分含有粒子は、コロイド状であってもよい。金属成分は、例えば、錯体又は金属イオンである。金属成分は、例えば、鉄成分、リン成分、カリウム成分、及びカルシウム成分を含む。錯体は、例えば、フルボ酸鉄、酸化鉄、水酸化鉄、及びオキシ水酸化鉄を含む。微生物は、例えば植物性プランクトンである。微生物の代謝物は、例えば、エクソソームである。
【0038】
粒子情報取得部300は、第2粒子p2の情報を取得する。詳しくは、粒子情報取得部300は、第2粒子p2の情報として、第2粒子p2の濃度を取得する。粒子情報取得部300は、第2粒子p2の情報として、第2粒子p2の半径又は直径の情報、第2粒子p2の粒度分布の情報、及び第2粒子p2の界面動電現象に影響を与える物性の情報のうちの少なくとも1つを更に取得してもよい。なお、界面動電現象は、粒子表面の電荷状態や粒子近傍の電荷状態によって粒子が運動する現象を示し、界面動電現象に影響を与える粒子の物性は、粒子表面の電荷状態の評価対象となる物性を含む。例えば、粒子情報取得部300は、第2粒子p2の界面動電現象に影響を与える物性の情報として、第2粒子p2のゼータ電位及び表面電気伝導度のうちの少なくとも一方を取得してもよい。
【0039】
本実施形態において、粒子情報取得部300は、第1粒子p1の情報を更に取得する。詳しくは、粒子情報取得部300は、第1粒子p1の情報として、第1粒子p1の濃度を取得する。粒子情報取得部300は、第1粒子p1の情報として、第1粒子p1の半径又は直径の情報、第1粒子p1の粒度分布の情報、第1粒子p1の界面動電現象に影響を与える物性の情報、及び第1粒子p1の体積磁化率の情報のうちの少なくとも1つを更に取得してもよい。
【0040】
続いて、図1を参照して粒子分離装置200を更に説明する。図1に示すように、粒子分離装置200は、マイクロ流路デバイス210と、第1分離磁場形成部230と、第2分離磁場形成部250と、電流生成部270とを備える。
【0041】
マイクロ流路デバイス210は、サンプルSの溶媒mが所定の流通方向Dに沿って流れる流路1を有する。サンプルS(溶媒m)は、流路1に送液される。具体的には、サンプルS(溶媒m)は、流通方向Dにおける流路1の上流端1aから下流端1bに向かって流れるように、流路1に送液される。粒子pは、溶媒mの流れを駆動力として、流通方向Dに沿って流れる。具体的には、粒子pは、流路1の上流端1aから下流端1bに向かって流れる。なお、マイクロ流路デバイス210の材質は、可視光あるいはレーザー光を透過できる材質であれば特に限定されない。例えば、マイクロ流路デバイス210は、ガラス製あるいはプラスチック製である。
【0042】
電流生成部270は、溶媒mに電流Iを流す。第1分離磁場形成部230は、流通方向Dにおいて第2分離磁場形成部250よりも上流側に配置されて、流路1に磁場を形成する。第2分離磁場形成部250は、流通方向Dにおいて第1分離磁場形成部230よりも下流側に配置されて、流路1に磁場を形成する。
【0043】
電流生成部270は、定電流電源271と、第1電極272と、第2電極273とを有する。第1電極272の一端は、流路1の上流端1aに配置される。第2電極273の一端は、流路1の下流端1bに配置される。定電流電源271は、第1電極272から第2電極273へ溶媒mを介して定電流(電流I)が流れるように、第1電極272と第2電極273との間に電位差を発生させる。この結果、溶媒mに電流Iが流れる。詳しくは、流路1の上流端1aから下流端1bに向かって電流Iが流れる。
【0044】
第1分離磁場形成部230は、第1状態と第2状態との間で遷移することができる。第1分離磁場形成部230は、第1状態において、第1粒子p1を磁気泳動させるとともに、第2粒子p2を第1電磁泳動方向D11(図4参照)へ電流Iと共に電磁泳動させる磁場を流路1に形成する。以下、第1分離磁場形成部230が形成する磁場を、「第1分離磁場」と記載する場合がある。なお、第1電磁泳動方向D11は、流通方向Dに直交する方向である。
【0045】
第1状態における第1分離磁場の強度は、以下で説明する第1条件及び第22条件を満たす強度に調整されている。第1条件は、第1粒子p1が、流路1を形成する壁面のうちの1つの壁面まで磁気泳動して、その壁面に吸着するという条件である。以下、流路1を形成する壁面を、「流路1の壁面」と記載する場合がある。第2条件は、第2粒子p2が、流路1の壁面のうちの1つの壁面際まで電磁泳動して、その壁面際に集められるという条件である。したがって、第1粒子p1は、第1分離磁場によって、流路1の壁面に固定される。一方、第2粒子p2は、第1分離磁場と電流Iとによって、流路1の壁面際に集められつつ、流通方向Dの下流側へ移動する。よって、第2粒子p2は、流路1の壁面際に沿って、流通方向Dの下流側へ移動する。なお、本実施形態において、第1粒子p1が吸着する壁面は、第2粒子p2が集められる壁面とは異なる壁面である。
【0046】
第1分離磁場形成部230は、第2状態において、第1粒子p1の壁面への吸着を解除させる磁場を流路1に形成する。より詳しくは、第2状態における第1分離磁場は、第1粒子p1の壁面への吸着を解除し、第1粒子p1を第1電磁泳動方向D11(図4参照)へ電流Iと共に電磁泳動させる。したがって、第1粒子p1は、流路1の壁面への吸着が解除された後、第1分離磁場と電流Iとによって、流路1の壁面際に集められつつ、流通方向Dの下流側へ移動する。よって、第1粒子p1は、流路1の壁面際に沿って、流通方向Dの下流側へ移動する。
【0047】
第2分離磁場形成部250は、第1状態と第2状態との間で遷移することができる。第2分離磁場形成部250は、第1状態において、第2粒子p2を第2電磁泳動方向D12(図4参照)へ電流Iと共に電磁泳動させる磁場を流路1に形成する。以下、第2分離磁場形成部250が形成する磁場を、「第2分離磁場」と記載する場合がある。なお、第2電磁泳動方向D12は、第1電磁泳動方向D11と反対の方向である。第2分離磁場形成部250は、第2状態において、第1粒子p1を第2電磁泳動方向D12(図4参照)へ電流Iと共に電磁泳動させる磁場を流路1に形成する。
【0048】
ここで、第2粒子p2の動きの概要を説明する。第2粒子p2は、第1分離磁場と電流Iとによって流路1の壁面際に集められた後、流路1の壁面際に沿って、第2分離磁場が形成されている領域まで移動する。第2粒子p2は、第2分離磁場が形成されている領域に到達すると、第2分離磁場と電流Iとによって、流路1の壁面際から第2電磁泳動方向D12に電磁泳動する。
【0049】
第2分離磁場が形成されている領域において第2粒子p2が第2電磁泳動方向D12に移動する移動量(泳動距離)は、第2粒子p2の半径及び表面電気伝導度に依存する。したがって、第2電磁泳動方向D12における第2粒子p2の位置は、第2粒子p2のサイズや種類によって異なる。
【0050】
詳しくは、第2粒子p2の電磁泳動速度が、第2粒子p2の半径及び表面電気伝導度に依存する。具体的には、半径が大きいほど、電磁泳動速度は速くなり、表面電気伝導度が小さいほど、電磁泳動速度は速くなる。したがって、第2粒子p2の電磁泳動速度は、第2粒子p2のサイズや種類によって異なる。この結果、第2粒子p2の泳動距離が、第2粒子p2のサイズや種類によって変化する。
【0051】
続いて、第1粒子p1の動きの概略を説明する。第1粒子p1は、まず、第1分離磁場によって、流路1の壁面に吸着される。その後、流路1の壁面への吸着が解除されると、第1粒子p1は、第1分離磁場と電流Iとによって流路1の壁面際に集められつつ、流通方向Dの下流側へ移動する。その後の第1粒子p1の動きは、第2粒子p2と同様であるため、その説明は割愛する。
【0052】
粒子分離装置200によれば、第1粒子p1を磁気泳動させて、流路1の壁面に吸着させることができる。したがって、第1粒子p1と第2粒子p2とを分離することができる。また、粒子分離装置200によれば、第2粒子p2を電磁泳動させて、それぞれのサイズや種類に応じた位置へ移動させることができる。したがって、第2粒子p2を、それぞれのサイズや種類によって分離することができる。
【0053】
更に、粒子分離装置200によれば、溶媒mに分散している第2粒子p2を流路1の壁面際に集めた後に、それぞれのサイズや種類に応じた位置へ第2粒子p2を移動させることができる。したがって、第2粒子p2の位置に、それぞれのサイズや種類の違いを反映させることができる。本実施形態では、更に、溶媒mに分散している第1粒子p1を流路1の壁面際に集めた後に、それぞれのサイズや種類に応じた位置へ第1粒子p1を移動させることができる。したがって、第1粒子p1の位置に、それぞれのサイズや種類の違いを反映させることができる。
【0054】
続いて、図1を参照して粒子情報取得部300を更に説明する。図1に示すように、粒子情報取得部300は、検出部400と、情報処理部500とを有する。検出部400は、サンプルSに含まれる粒子pを検出する。情報処理部500は、検出部400の検出結果に基づいて粒子pの情報を取得する。情報処理部500は、演算部の一例である。
【0055】
具体的には、検出部400は、流路1のうち、第2分離磁場が形成される領域において、第2粒子p2を個々に検出する。本実施形態では、検出部400は更に、流路1のうち、第2分離磁場が形成される領域において、第1粒子p1を個々に検出する。
【0056】
情報処理部500は、検出部400の検出結果に基づいて、第2粒子p2の数を計数する。そして、サンプルS(溶媒m)の容量(L)と、第2粒子p2の計数結果とに基づいて、第2粒子p2の濃度を演算する。本実施形態では、情報処理部500は更に、検出部400の検出結果に基づいて、第1粒子p1の数を計数する。そして、サンプルS(溶媒m)の容量(L)と、第1粒子p1の計数結果とに基づいて、第1粒子p1の濃度を演算する。
【0057】
詳しくは、情報処理部500は、入力部501と、記憶部502と、処理部503と、表示部504とを備える。
【0058】
入力部501は、キーボード、マウス又はタッチセンサーのような入力装置を含む。作業者は、入力部501を操作して、処理部503に各種のデータを入力することができる。作業者は、例えば、入力部501を操作して、サンプルS(溶媒m)の容量(L)を示すデータを入力する。
【0059】
記憶部502は、プログラム及び設定情報などを記憶する。記憶部502は、例えば、ストレージデバイス及び半導体メモリーによって構成され得る。ストレージデバイスは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)である。記憶部502は、半導体メモリーとして、例えば、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を有する。記憶部502は、例えば、第1粒子p1の濃度及び第2粒子p2の濃度を算出するためのプログラムを記憶している。
【0060】
処理部503は、記憶部502に記憶されたプログラムを実行することによって、数値計算や情報処理、機器制御のような様々な処理を行う。処理部503は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はマイクロコンピュータのようなプロセッサーによって構成される。あるいは、処理部503は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のような集積回路によって構成される。集積回路は、論理回路を有する。処理部503は、プロセッサー及び集積回路によって構成されてもよい。例えば、処理部503は、記憶部502に記憶されたプログラムを実行することによって、第1粒子p1の濃度及び第2粒子p2の濃度を算出する。
【0061】
表示部504は、各種情報を表示する。例えば、表示部504は、第1粒子p1の濃度を示す情報と、第2粒子p2の濃度を示す情報とを表示する。表示部504は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのようなディスプレイを含む。
【0062】
続いて、図2(a)~図2(c)を参照して、流路1を更に説明する。図2(a)は、マイクロ流路デバイス210を示す正面図である。図2(a)に示すように、流路1はY字状であり、1つの上流端1aと、2つの下流端1bとを有する。上流端1aは流路1の入口であり、2つの下流端1bはそれぞれ、流路1の出口である。
【0063】
具体的には、流路1は、流路本体部10と、第1分岐流路30と、第2分岐流路50とを有する。流路本体部10は、流通方向Dに沿って直線状に延びる。流路本体部10の長さLは、例えば40mmである。流通方向Dにおける流路本体部10の上流端が、流路1の上流端1aに対応する。流通方向Dにおける流路本体部10の下流端10bは、流路本体部10の出口である。流通方向Dにおける第1分岐流路30及び第2分岐流路50のそれぞれの上流端は、流路本体部10の下流端10bに接続する。つまり、流路1は、流路本体部10の下流端10bから、2つの流路に分岐する。
【0064】
第1分岐流路30は、流路本体部10の下流端10bから流通方向Dの下流側に向かって、流通方向Dに交差する方向に直線状に延びる。流通方向Dにおける第1分岐流路30の下流端1b1は、流路1の2つの下流端1bのうちの一方を構成する。
【0065】
第2分岐流路50は、流路本体部10の下流端10bから流通方向Dの下流側に向かって直線状に延びる。詳しくは、第2分岐流路50は、流通方向Dと交差するとともに、第1分岐流路30が延びる方向とも交差する方向に延びる。より具体的には、第1分岐流路30と第2分岐流路50とは線対称である。流通方向Dにおける第2分岐流路50の下流端1b2は、流路1の2つの下流端1bのうちの他方を構成する。なお、本実施形態では、電流生成部270の第2電極273の一端は、第2分岐流路50の下流端1b2に配置される。
【0066】
続いて、図2(b)及び図2(c)を参照して流路1を更に説明する。図2(b)は、流路1の一部を拡大して示す正面図である。詳しくは、図2(b)は、流路本体部10、第1分岐流路30、及び第2分岐流路50のそれぞれの一部を拡大して示す。図2(b)は更に、第1分離磁場形成部230及び第2分離磁場形成部250を示す。図2(c)は、流路本体部10の近傍を拡大して示す側面図である。
【0067】
まず、図2(b)及び図2(c)を参照して、流路本体部10を説明する。図2(b)に示すように、流路本体部10は、第1側壁面11と、第2側壁面12とを有する。また、図2(c)に示すように、流路本体部10は、底壁面13と、天井壁面14とを有する。
【0068】
第1側壁面11及び第2側壁面12は、流通方向Dに直交する方向において互いに対向し、流通方向Dに沿って直線状に延びる。同様に、底壁面13及び天井壁面14は、流通方向Dに直交する方向において互いに対向し、流通方向Dに沿って直線状に延びる。流路本体部10は、第1側壁面11、第2側壁面12、底壁面13、及び天井壁面14によって構成される。具体的には、第1側壁面11、第2側壁面12、底壁面13、及び天井壁面14によって囲まれた空間が、流路本体部10である。
【0069】
なお、流路本体部10を正面から見たときの流路本体部10の横幅W1は、例えば、96μmである(図2(b))。横幅W1は、第1側壁面11と第2側壁面12との間の距離を示す。流路本体部10を側方から見たときの流路本体部10の縦幅H(高さ、又は深さ)は、例えば、38μmである(図2(c))。縦幅Hは、底壁面13と天井壁面14との間の距離を示す。横幅W1は、特定の粒子の粒子径の2倍以上であってもよい。特定の粒子は、例えば、植物性プランクトンである。
【0070】
続いて、図2(b)及び図2(c)を参照して第1分離磁場形成部230及び第2分離磁場形成部250について説明する。図2(b)及び図2(c)に示すように、第1分離磁場形成部230は、第1分離磁場発生源231を含む。また、第2分離磁場形成部250は、第2分離磁場発生源251を含む。
【0071】
第1分離磁場発生源231は、流路1に第1分離磁場を発生させる。同様に、第2分離磁場発生源251は、流路1に第2分離磁場を発生させる。本実施形態において、第1分離磁場発生源231及び第2分離磁場発生源251は、磁石である。以下、第1分離磁場発生源231を「第1分離磁石231」と記載する場合がある。同様に、第2分離磁場発生源251を「第2分離磁石251」と記載する場合がある。
【0072】
第2分離磁石251は、流通方向Dにおいて第1分離磁石231の下流側に配置される。第1分離磁石231及び第2分離磁石251は、流路本体部10に近接して配置される。本実施形態において、第1分離磁石231及び第2分離磁石251は、流路本体部10の底壁面13に近接して配置される。
【0073】
続いて、図3(a)及び図3(b)を参照して第1粒子p1の動きを説明する。図3(a)及び図3(b)は、第1粒子p1の動きを示す側面図である。詳しくは、図3(a)及び図3(b)は、流路本体部10の近傍を拡大して示す。
【0074】
まず、図3(a)を参照して、第1分離磁場について説明する。図3(a)に示すように、流路1(流路本体部10)のうち、第1分離磁石231に近接する領域A1に、第1分離磁場が形成される。以下、流路1(流路本体部10)のうち、第1分離磁場が形成される領域A1を、「第1分離領域A1」と記載する場合がある。
【0075】
続いて、第1分離領域A1における第1粒子p1の動きを説明する。第1粒子p1が第1分離領域A1まで流れてくると、第1分離磁場に基づく磁気力が第1粒子p1に作用する。詳しくは、第1粒子p1を第1分離磁石231側に引き寄せる磁気力が第1粒子p1に作用する。この結果、図3(a)及び図3(b)に示すように、第1粒子p1は、第1分離磁石231に近づく方向である吸引方向D1へ磁気泳動して、磁気力により、底壁面13に吸着される。
【0076】
続いて、図4及び図5を参照して第2粒子p2の動きを説明する。図4及び図5は、第2粒子p2の動きを示す正面図である。詳しくは、図4及び図5は、流路1の一部を拡大して示す。
【0077】
まず図4を参照して、第1分離領域A1における第2粒子p2の電磁泳動を説明する。図4に示すように、第2粒子p2は、第1分離領域A1において第1電磁泳動方向D11へ電磁泳動する。本実施形態において、第1電磁泳動方向D11は、第1側壁面11へ向かう方向である。したがって、第1分離領域A1において、溶媒mに分散している第2粒子p2が第1側壁面11際に集まる。
【0078】
続いて、図4を参照して第2分離磁場について説明する。図4に示すように、流路1(流路本体部10)のうち、第2分離磁石251に近接する領域A2に、第2分離磁場が形成される。以下、流路1(流路本体部10)のうち、第2分離磁場が形成される領域A2を、「第2分離領域A2」と記載する場合がある。第2分離領域A2は、流通方向Dにおいて第1分離領域A1よりも下流側の領域である。
【0079】
続いて図4を参照して、第2分離領域A2における第2粒子p2の電磁泳動を説明する。図4に示すように、第1分離磁石231及び第2分離磁石251は互いに極性が異なる。この結果、第1分離領域A1と第2分離領域A2とでは、粒子pが電磁泳動する方向が反対となる。具体的には、第2粒子p2は、第2分離領域A2において第2電磁泳動方向D12へ電磁泳動する。本実施形態において、第2電磁泳動方向D12は、第2側壁面12へ向かう方向である。
【0080】
続いて、図5を参照して第2粒子p2の動きを説明する。図5に示すように、第1分離領域A1において、第2粒子p2は、第1電磁泳動方向D11へ移動しつつ、溶媒mの流れによって流通方向Dの下流側へ移動する。したがって、第2粒子p2は、第1側壁面11に向かって斜めに移動する。一方、第2分離領域A2において、第2粒子p2は、第2電磁泳動方向D12へ移動しつつ、溶媒mの流れによって流通方向Dの下流側へ移動する。つまり、第2粒子p2は、第1側壁面11際から第2側壁面12に向かって斜めに移動する。
【0081】
第2粒子p2は、第2分離領域A2を通過した後、溶媒mの流れによって流通方向Dに沿って移動する。つまり、流路本体部10の下流端10bに向かって移動する。その結果、第2粒子p2は、第1分岐流路30と第2分岐流路50とのうちの一方に流入する。
【0082】
既に説明したように、第1側壁面11際から第2電磁泳動方向D12へ第2粒子p2が電磁泳動する距離は、第2粒子p2のサイズや種類によって異なる。また、図5に示すように、第1分岐流路30の上流端と第2分岐流路50の上流端とは、第2電磁泳動方向D12に沿って並んで配置される。したがって、第2粒子p2が第1分岐流路30と第2分岐流路50とのうちのいずれに流入するかは、第2粒子p2のサイズや種類によって決定される。
【0083】
続いて、図6を参照して第1分離磁場形成部230及び第2分離磁場形成部250を更に説明する。図6は、第1分離磁場形成部230及び第2分離磁場形成部250を示す側面図である。
【0084】
まず、第1分離磁場形成部230について説明する。図6に示すように、第1分離磁場形成部230は、第1分離磁場強度調整部232を更に有する。第1分離磁場強度調整部232は、第1分離磁場の強度を調整する。具体的には、第1分離磁場強度調整部232は、第1分離磁場の強度を第1強度と第2強度との間で調整する。
【0085】
本実施形態において、第1分離磁場強度調整部232は、第1分離磁石231の位置を変位させる移動機構を含む。例えば、第1分離磁場強度調整部232は、移動機構として、1軸ステージ、2軸ステージ、又は3軸ステージを含む。ここで、1軸ステージ、2軸ステージ、及び3軸ステージは、例えばマイクロステージである。マイクロステージは、1μm単位でステージの位置を変位させることができるステージである。
【0086】
具体的には、第1分離磁場強度調整部232の移動機構は、離接方向D13に沿って第1分離磁石231を移動させる。離接方向D13は、流通方向Dに直交する方向である。詳しくは、離接方向D13は、第1方向と第2方向とを含む。離接方向D13の第1方向は、流路本体部10の底壁面13から第1分離磁石231を離す方向である。離接方向D13の第2方向は、流路本体部10の底壁面13へ第1分離磁石231を近づける方向である。第1分離磁石231が底壁面13から離れるほど、第1分離磁場の強度は弱くなる。第1分離磁石231が底壁面13に近づくほど、第1分離磁場の強度は強くなる。したがって、第1分離磁場強度調整部232の移動機構が離接方向D13に沿って第1分離磁石231の位置を変位させることにより、第1分離磁場の強度を調整することができる。
【0087】
続いて、第1分離磁場の第1強度について説明する。第1分離磁場の第1強度は、第1粒子p1を底壁面13に吸着させるとともに、第2粒子p2を第1電磁泳動方向D11へ電流Iと共に電磁泳動させる強度である。詳しくは、第1分離磁場の第1強度は、図1を参照して説明した第1条件及び第2条件を満たす強度である。
【0088】
続いて、第1分離磁場の第2強度について説明する。第1分離磁場の強度は、第1分離磁石231が底壁面13から離れることにより、第1強度から第2強度に遷移する。
【0089】
第1分離磁場の第2強度は、第1粒子p1の底壁面13への吸着を解除させる強度である。詳しくは、第1分離磁場の第2強度は、第1粒子p1の底壁面13への吸着が解除されるとともに、第1分離磁場と電流Iとによって第1粒子p1が第1電磁泳動方向D11へ電磁泳動する強度である。つまり、第1分離磁場の第2強度は、第1粒子p1の泳動が電磁泳動に支配される強度である。
【0090】
続いて、第2分離磁場形成部250について説明する。図6に示すように、第2分離磁場形成部250は、第2分離磁場強度調整部252を更に有する。第2分離磁場強度調整部252は、第2分離磁場の強度を調整する。具体的には、第2分離磁場強度調整部252は、第2分離磁場の強度を第1強度と第2強度との間で調整する。
【0091】
本実施形態において、第2分離磁場強度調整部252は、第2分離磁石251の位置を変位させる移動機構を含む。例えば、第2分離磁場強度調整部252は、移動機構として、1軸ステージ、2軸ステージ、又は3軸ステージを含む。
【0092】
具体的には、第2分離磁場強度調整部252の移動機構は、離接方向D13に沿って第2分離磁石251を移動させる。第2分離磁石251が底壁面13から離れるほど、第2分離磁場の強度は弱くなる。第2分離磁石251が底壁面13に近づくほど、第2分離磁場の強度は強くなる。したがって、第2分離磁場強度調整部252の移動機構が離接方向D13に沿って第2分離磁石251の位置を変位させることにより、第2分離磁場の強度を調整することができる。
【0093】
続いて、第2分離磁場の第1強度及び第2強度について説明する。第2分離磁場の第1強度は、第2粒子p2を第2電磁泳動方向D12へ電流Iと共に電磁泳動させる強度である。第2分離磁場の強度は、第2分離磁石251が底壁面13から離れることにより、第1強度から第2強度に遷移する。
【0094】
第2分離磁場の第2強度は、第1粒子p1を第2電磁泳動方向D12へ電流Iと共に電磁泳動させる強度である。つまり、第2分離磁場の第2強度は、第1粒子p1の泳動が電磁泳動に支配される強度である。
【0095】
なお、第1分離磁場強度調整部232は、分析対象に応じて第1分離磁場の強度を調整(較正)する作業にも用いられる。同様に、第2分離磁場強度調整部252は、分析対象に応じて第2分離磁場の強度を調整(較正)する作業にも用いられる。
【0096】
続いて図7(a)及び図7(b)を参照して、第1分離領域A1における第1粒子p1の動きを説明する。図7(a)及び図7(b)は、第1分離領域A1における第1粒子p1の動きを示す側面図である。
【0097】
図7(a)に示すように、第1分離磁場の強度が第1強度である場合、第1粒子p1は、底壁面13に吸着して、底壁面13に固定される。図7(b)に示すように、第1分離磁石231が底壁面13から離れて、第1分離磁場の強度が第1強度から第2強度に遷移すると、第1粒子p1の底壁面13への吸着が解除される。その結果、第1粒子p1は、溶媒mの流れによって流通方向Dの下流側へ移動する。また、図6を参照して説明したように、第1分離磁場の強度が第1強度から第2強度に遷移すると、第1粒子p1は、第1分離磁場と電流Iとによって第1電磁泳動方向D11へ電磁泳動する。
【0098】
第1粒子p1は、底壁面13への吸着が解除された後、図4及び図5を参照して説明した第2粒子p2と同様に移動する。その結果、第1粒子p1は、第1分岐流路30と第2分岐流路50とのうちの一方に流入する。第1粒子p1が第1分岐流路30と第2分岐流路50とのうちのいずれに流入するかは、第2粒子p2と同様に、第1粒子p1のサイズや種類によって決定される。
【0099】
続いて、図8を参照して本実施形態の分析装置100を更に説明する。図8は、本実施形態の分析装置100の構成の一例を示す図である。図8に示すように、粒子分離装置200は、マイクロシリンジ601と、第1採集ビン602と、第2採集ビン603と、第1流通部材701~第5流通部材705とを更に備えてもよい。また、電流生成部270は、第1電極ユニット280aと、第2電極ユニット280bとを更に有してもよい。
【0100】
マイクロシリンジ601は、マイクロ流路デバイス210の流路1にサンプルSを送液する送液部材の一例である。第1採集ビン602及び第2採集ビン603は、流路1を流通した後のサンプルSを回収するサンプル回収部材の一例である。第1流通部材701~第5流通部材705は、サンプルSが流通する管状部材である。例えば、第1流通部材701~第5流通部材705は、PEEKチューブである。第1電極ユニット280a及び第2電極ユニット280bは、第1電極272及び第2電極273を支持して、サンプルSの溶媒mに第1電極272及び第2電極273を接触させる。
【0101】
第1流通部材701は、マイクロシリンジ601と第1電極ユニット280aとを連通させる。マイクロシリンジ601から送液されたサンプルSは、第1流通部材701を介して、第1電極ユニット280aに流入する。第1電極ユニット280aは、サンプルSが流通する流路を内部に有する。
【0102】
第2流通部材702は、第1電極ユニット280aと流路1とを連通させる。第1電極ユニット280aから流出したサンプルSは、第2流通部材702を介して、流路1の上流端1a(入口)に流入する。
【0103】
第3流通部材703は、流路1と第2電極ユニット280bとを連通させる。詳しくは、第3流通部材703の一端は、第1分岐流路30の下流端1b1に接続する。流路1を流通したサンプルSの一部は、第1分岐流路30の下流端1b1(出口)から、第3流通部材703を介して、第2電極ユニット280bに流入する。第2電極ユニット280bは、第1電極ユニット280aと同様に、サンプルSが流通する流路を内部に有する。
【0104】
第4流通部材704は、第2電極ユニット280bと第1採集ビン602とを連通させる。第2電極ユニット280bから流出したサンプルSは、第4流通部材704を介して、第1採集ビン602に採集される。その結果、第1採集ビン602に、第1分岐流路30に流入した第1粒子p1及び第2粒子p2が採集される。
【0105】
第5流通部材705は、流路1と第2採集ビン603とを連通させる。詳しくは、第5流通部材705の一端は、第2分岐流路50の下流端1b2に接続する。流路1を流通したサンプルSの残りは、第2分岐流路50の下流端1b2(出口)から、第5流通部材705を介して、第2採集ビン603に採集される。その結果、第2採集ビン603に、第2分岐流路50に流入した第1粒子p1及び第2粒子p2が採集される。
【0106】
続いて、図8を参照して検出部400及び情報処理部500を説明する。図8に示すように、検出部400は、拡大部401及び撮像部402を有してもよい。流路1を流れる粒子pは、拡大部401によって適当な倍率で拡大されて、撮像部402で撮像される。撮像部402の撮像結果(撮像部402が撮像した像)から、粒子pの位置を特定できる。例えば、拡大部401は対物レンズを含み、撮像部402は電荷結合素子(Charge Coupled Device:CCD)を含む。あるいは、撮像部402の各画素は、フォトダイオード又は光電子倍増管で構成されてもよい。撮像部402は、例えば、所定の時間間隔ごとに撮像を行う。
【0107】
情報処理部500(処理部503)は、撮像部402の撮像結果から、第2粒子p2の数をカウントする。詳しくは、撮像部402は、第2分離領域A2又は、第2分離領域A2よりも下流の領域を撮像する。情報処理部500(処理部503)は、撮像部402が撮像した画像を画像処理することにより、粒子pを特定して、粒子pの数を計数する。なお、情報処理部500として、例えばパーソナルコンピューターのような汎用コンピューターが用いられてもよい。
【0108】
本実施形態では、サンプルSが流路1に導入されると、第1粒子p1が第1分離領域A1で固定される。したがって、情報処理部500(処理部503)は、第2粒子p2の数を計数することができる。また、第2粒子p2の計数開始から十分時間が経過した後に、第1粒子p1の底壁面13への吸着を解除することにより、情報処理部500(処理部503)は、第1粒子p1の数を計数することができる。
【0109】
情報処理部500(処理部503)は、第2粒子p2の数を計数した後、第2粒子p2の計数結果と、サンプルS(溶媒m)の容量(L)とに基づいて、第2粒子p2の濃度を演算する。同様に、情報処理部500(処理部503)は、第1粒子p1の数を計数した後、第1粒子p1の計数結果と、サンプルS(溶媒m)の容量(L)とに基づいて、第1粒子p1の濃度を演算する。
【0110】
なお、情報処理部500(処理部503)は、撮像部402が撮像した画像を画像処理して、第2粒子p2の個々の粒子径を測定してもよい。例えば、情報処理部500(処理部503)は、以下の処理を実行する。即ち、まず、撮像部402によって撮像された画像をモノクロ化し、その輝度を数値化する。次に、輝度値の微分値をしきい値と比較して第2粒子p2の境界を設定する。次に、設定した境界から第2粒子p2の面積を検出し、その面積に対応する円の半径から粒子径を算出する。あるいは、第2粒子p2の中心を規定し、第2粒子p2の中心を通過する複数の直線を引き、各直線において第2粒子p2の境界と交わる2つの点の間の距離の平均を算出する。同様に、情報処理部500(処理部503)は、撮像部402が撮像した画像を画像処理して、第1粒子p1の個々の粒子径を測定してもよい。
【0111】
情報処理部500(処理部503)は、第2粒子p2の個々の粒子径に基づいて、第2粒子p2の粒度分布を測定してもよい。例えば、情報処理部500(処理部503)は、流路本体部10の下流端10bにおける各第2粒子p2の位置と粒子径との関係を示す粒度分布を測定してもよい。同様に、情報処理部500(処理部503)は、第1粒子p1の個々の粒子径に基づいて、第1粒子p1の粒度分布を測定してもよい。
【0112】
また、情報処理部500(処理部503)は、撮像部402が撮像した画像を画像処理することにより、第2分離領域A2において各第2粒子p2が電磁泳動した距離をそれぞれ測定してもよい。情報処理部500(処理部503)は、更に、撮像部402の撮像結果から、第2分離領域A2における各第2粒子p2の位置の時間的な変化を測定し、各第2粒子p2の位置の時間的な変化から各第2粒子p2の電磁泳動速度を測定してもよい。同様に、情報処理部500(処理部503)は、撮像部402が撮像した画像を画像処理して、第1粒子p1の電磁泳動距離や電磁泳動速度を測定してもよい。
【0113】
また、情報処理部500(処理部503)は、各第2粒子p2の粒子径を示す情報と、各第2粒子p2の電磁泳動速度を示す情報とに基づいて、各第2粒子p2の表面電気伝導度を測定してもよい。例えば、情報処理部500(処理部503)は、以下の式(1)に基づいて、第2粒子p2の表面電気伝導度を算出する。
【数1】
【0114】
上記式(1)において、vは電磁泳動速度、σpは第2粒子p2の表面電気伝導度、σfは溶媒mの電気伝導度、iは電流Iの電流値、Bは第2分離磁場の磁束密度、rは第2粒子p2の半径、Sは流路本体部10の断面積、ηは溶媒mの粘度をそれぞれ示す。なお、溶媒mの電気伝導度σf、第2分離磁場の磁束密度B、及び溶媒mの粘度ηは、測定値である。分析者は、入力部501を操作して、溶媒mの電気伝導度σf、第2分離磁場の磁束密度B、及び溶媒mの粘度ηを記憶部502に予め記憶させる。流路本体部10の断面積S、及び電流Iの電流値iも、分析者が入力部501を操作して記憶部502に予め記憶させる。
【0115】
情報処理部500(処理部503)は、第2粒子p2の表面電気伝導度と同様に、各第1粒子p1の粒子径を示す情報と、各第1粒子p1の電磁泳動速度を示す情報とに基づいて、各第1粒子p1の表面電気伝導度を測定してもよい。
【0116】
続いて、図9を参照して第1電極ユニット280aの構成を説明する。図9は、第1電極ユニット280aの構成を示す断面図である。図9に示すように、第1電極ユニット280aは、筐体281と、半透膜284とを有する。また、第1電極ユニット280aは、流路282と、電極収容空間283とを有する。
【0117】
流路282は、筐体281の内側に設けられる。流路282の上流端には第1流通部材701が接続し、流路282の下流端には第2流通部材702が接続する。第1流通部材701から流路282の上流端に送液されたサンプルSは、流路282を流通し、流路282の下流端から第2流通部材702に流入する。
【0118】
電極収容空間283及び半透膜284は、筐体281の内側に設けられる。具体的には、電極収容空間283は、半透膜284を介して流路282に隣り合う位置に設けられる。電極収容空間283の上端は開放されており、第1電極272が電極収容空間283の上端から電極収容空間283の内部に挿入される。流路282に流入したサンプルSの溶媒mは、半透膜284を通過して電極収容空間283に流入する。この結果、第1電極272と溶媒mとが接触する。一方、粒子pは、半透膜284を通過しない。したがって、第1電極272付近への粒子pの流入や、第1電極272への粒子pの付着及び接触を回避することができる。
【0119】
図9を参照して説明したように、第1電極ユニット280aにより、第1電極272付近への粒子pの流入や、第1電極272への粒子pの付着及び接触を回避しつつ、溶媒mを第1電極272に接触させることができる。なお、第2電極ユニット280bの構成は、第1電極ユニット280aと同様であるため、その説明は割愛する。
【0120】
続いて、図10を参照して本実施形態の分析方法を説明する。図10は、本実施形態の分析方法の一例を示すフローチャートである。図10に示す分析方法は、サンプルSを流路1に送液することにより開始する。
【0121】
まず、サンプルSが流路1に送液されると、第1分離領域A1において、第1粒子p1が流路1の壁面(流路本体部10の底壁面13)に吸着する一方で、第2粒子p2が、流路1の片側(流路本体部10の第1側壁面11際)に寄せ集められる(ステップS1)。流路1の片側に寄せ集められた第2粒子p2は、第2分離領域A2へ移動する。
【0122】
第2粒子p2は、第2分離領域A2において、それぞれのサイズや種類に応じて分離される(ステップS2)。詳しくは、第2粒子p2は、それぞれのサイズや種類に応じた電磁泳動速度で第2電磁泳動方向D12へ電磁泳動する。
【0123】
粒子情報取得部300は、第2粒子p2の情報を取得する(ステップS3)。具体的には、検出部400が第2粒子p2を第2分離領域A2において検出し、情報処理部500(処理部503)が、検出部400の検出結果に基づいて、第2粒子p2の情報を取得する。例えば、検出部400は、第2分離領域A2における第2粒子p2の挙動を検出してもよい。情報処理部500(処理部503)は、第2粒子p2の情報として、第2粒子p2の濃度を測定する。あるいは、情報処理部500(処理部503)は、第2粒子p2の情報として、第2粒子p2の半径又は直径、第2粒子p2の粒度分布、及び第2粒子p2の界面動電現象に影響を与える物性のうちの少なくとも1つを更に測定してもよい。
【0124】
粒子情報取得部300が第2粒子p2の情報を取得した後、第2分離磁場の強度が第1強度から第2強度に調整される(ステップS4)。具体的には、第2分離磁場強度調整部252の移動機構が、第2分離磁石251を底壁面13から離れる方向に移動させる。既に説明したように、第2分離磁場の第2強度は、第1粒子p1を第2電磁泳動方向D12へ電流Iと共に電磁泳動させる強度である。
【0125】
第2分離磁場の強度が第1強度から第2強度に調整された後、第1粒子p1の吸着が解除される(ステップS5)。具体的には、第1分離磁場強度調整部232の移動機構が、第1分離磁石231を底壁面13から離れる方向に移動させる。既に説明したように、第1分離磁場の第2強度は、第1粒子p1の底壁面13への吸着を解除させる強度である。第1粒子p1は、底壁面13への吸着が解除されると、第1電磁泳動方向D11へ電磁泳動して、流路1の片側(流路本体部10の第1側壁面11際)に寄せ集められる。流路1の片側に寄せ集められた第1粒子p1は、溶媒mの流れを駆動力として、第2分離領域A2へ移動する。
【0126】
第1粒子p1は、第2分離領域A2において、それぞれのサイズや種類に応じて分離される(ステップS6)。詳しくは、第1粒子p1は、それぞれのサイズや種類に応じた電磁泳動速度で第2電磁泳動方向D12へ電磁泳動する。
【0127】
粒子情報取得部300は、第1粒子p1の情報を取得する(ステップS7)。その結果、図10に示す処理が終了する。具体的には、検出部400が第1粒子p1を第2分離領域A2において検出し、情報処理部500(処理部503)が、検出部400の検出結果に基づいて、第1粒子p1の情報を取得する。例えば、検出部400は、第2分離領域A2における第1粒子p1の挙動を検出してもよい。情報処理部500(処理部503)は、第1粒子p1の情報として、第1粒子p1の濃度を測定する。あるいは、情報処理部500(処理部503)は、第1粒子p1の情報として、第1粒子p1の半径又は直径、第1粒子p1の粒度分布、及び第1粒子p1の界面動電現象に影響を与える物性のうちの少なくとも1つを更に測定してもよい。
【0128】
続いて、図11(a)及び図11(b)を参照して分析装置100の第1変形例を説明する。図11(a)は、本実施形態に係る分析装置100の第1変形例を示す図である。図11(a)に示すように、分析装置100は、検出部400Bを更に備えてもよい。検出部400Bは、第1分離領域A1において第1粒子p1を検出する。例えば、検出部400Bは、図8を参照して説明した検出部400と同様に、拡大部401と撮像部402とを有してもよい。撮像部402は、例えば、所定の時間間隔ごとに撮像を行う。
【0129】
図11(b)は、第1分離領域A1における第1粒子p1の動きを示す側面図である。図11(b)に示すように、第1分離領域A1において、第1粒子p1は、吸引方向D1へ移動しつつ、流通方向Dへ移動する。したがって、撮像部402が所定の時間間隔毎に撮像を行うことにより、第1粒子p1の動きを測定することができる。
【0130】
第1変形例において、情報処理部500(処理部503)は、検出部400Bの撮像部402が撮像した画像を画像処理して、第1粒子p1の個々の粒子径を測定してもよい。また、検出部400Bは、第1粒子p1の動きを検出してもよい。具体的には、撮像部402が所定の時間間隔毎に撮像を行うことにより、第1粒子p1の動きを検出することができる。情報処理部500(処理部503)は、検出部400Bの撮像部402が撮像した画像から、第1分離領域A1における各第1粒子p1の位置の時間的な変化を測定し、各第1粒子p1の位置の時間的な変化から各第1粒子p1の磁気泳動速度を測定してもよい。
【0131】
また、情報処理部500(処理部503)は、各第1粒子p1の粒子径を示す情報と、各第1粒子p1の磁気泳動速度を示す情報とに基づいて、各第1粒子p1の体積磁化率を測定してもよい。例えば、情報処理部500(処理部503)は、以下の式(2)に基づいて、第1粒子p1の体積磁化率を算出する。
v={2(χs-χm)r2/9ημo}B(dB/dx) (2)
【0132】
上記式(2)において、vは第1粒子p1の磁気泳動速度、χsは第1粒子p1の体積磁化率、χmは溶媒mの体積磁化率、rは第1粒子p1の半径、ηは溶媒mの粘性率、μoは真空の透磁率、Bは第1分離磁場の磁束密度、dB/dxは第1分離磁場の磁場勾配(磁束密度の勾配)をそれぞれ示す。なお、溶媒mの体積磁化率χm、溶媒mの粘性率η、第1分離磁場の磁束密度B、及び第1分離磁場の磁場勾配dB/dxは、測定値である。分析者は、入力部501を操作して、溶媒mの体積磁化率χm、溶媒mの粘性率η、第1分離磁場の磁束密度B、及び第1分離磁場の磁場勾配dB/dxを記憶部502に記憶させる。真空の透磁率μoも、分析者が入力部501を操作して記憶部502に予め記憶させる。
【0133】
続いて、図12を参照して分析装置100の第2変形例を説明する。図12は、本実施形態に係る分析装置100の第2変形例を示す図である。図11(a)及び図11(b)を参照して説明した第1変形例では、分析装置100は、検出部400(図8)と、検出部400Bとを備えたが、分析装置100は、図12に示すように、1つの検出部400を移動させる機構を備えてもよい。
【0134】
第2変形例では、検出部400は、第1分離領域A1において粒子pを検出する位置と、第2分離領域A2において粒子pを検出する位置との間で移動する。検出部400を移動させる機構を分析装置100に設けることにより、第1変形例と同様に、第1分離領域A1において第1粒子p1を検出することができる。
【0135】
以上、図1図12を参照して本発明の実施形態1を説明した。本実施形態によれば、第1粒子p1が第2粒子p2から分離して、流路1の壁面に固定されるため、第2粒子p2の情報を取得することが容易になる。したがって、植物性プランクトンや、植物性プランクトンの餌となる窒素成分を含有する粒子のような反磁性の粒子の情報をより容易にサンプルから取得することができる。また、エクソソームのような植物性プランクトンの代謝物の情報をより容易にサンプルから取得することができる。
【0136】
更に、本実施形態によれば、第2粒子p2がそれぞれのサイズや種類に応じて分離されるため、第2粒子p2の情報を取得することが容易になる。また、本実施形態では、流路1の壁面への第1粒子p1の吸着を解除することができため、第1粒子p1の情報を取得することができる。したがって、植物性プランクトンの餌となる鉄成分等を含有する粒子の情報をより容易にサンプルから取得することができる。
【0137】
本実施形態の分析装置100、粒子分離装置200、及び分析方法は、赤潮発生の予兆を発見し、赤潮発生を早期に予測するための手段として用いることができる。具体的には、本実施形態によれば、赤潮が観察できない状況においても、赤潮発生の原因となる植物性プランクトン等の微生物の増殖をモニタリングすることができる。更に、植物性プランクトン等が増殖するために必要となる窒素やリン、鉄、カリウム、カルシウムなどの栄養分をモニタリングすることができる。また、植物性プランクトン等の微生物から発生する代謝物をモニタリングすることができる。したがって、赤潮の発生を事前に予測することができるようになり、時間的余裕をもって赤潮発生源から避難させる、餌を止めるといった対策を打てるようになる。よって、赤潮による水産業への被害を容易に低減あるいは防止することができる。
【0138】
なお、本実施形態において、粒子情報取得部300は第1粒子p1の情報を取得したが、粒子情報取得部300は第1粒子p1の情報を取得しなくてもよい。この場合、第1粒子p1の壁面への吸着を解除するための構成や処理は省略されてもよい。
【0139】
[実施形態2]
続いて図13図20を参照して本発明の実施形態2について説明する。但し、実施形態1と異なる事項を説明し、実施形態1と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態2は、粒子分離装置200が第1分離磁場形成部230Bと、片側寄せ磁場形成部240と、第2分離磁場形成部250とを備える点で実施形態1と異なる。
【0140】
まず、図13を参照して本実施形態の分析装置100を説明する。図13は、本実施形態の分析装置100を示す模式図である。図13に示すように、粒子分離装置200は、第1分離磁場形成部230Bと、片側寄せ磁場形成部240と、第2分離磁場形成部250とを備える。
【0141】
第1分離磁場形成部230Bは、流通方向Dにおいて片側寄せ磁場形成部240よりも上流側に配置されて、流路1に磁場を形成する。片側寄せ磁場形成部240は、流通方向Dにおいて第2分離磁場形成部250よりも上流側に配置されて、流路1に磁場を形成する。第2分離磁場形成部250は、流通方向Dにおいて片側寄せ磁場形成部240よりも下流側に配置されて、流路1に磁場を形成する。
【0142】
第1分離磁場形成部230Bは、第1粒子p1を磁気泳動させる磁場を流路1に形成する。詳しくは、第1分離磁場形成部230Bが形成する磁場の強度は、第1粒子p1を磁気泳動させる一方で、第2粒子p2に電磁泳動をさせない強度である。あるいは、第1分離磁場形成部230Bが形成する磁場の強度は、第1粒子p1を磁気泳動させる一方で、第2粒子p2の電磁泳動速度を極めて遅くする強度である。以下、第1分離磁場形成部230Bが形成する磁場を、「第1分離磁場」と記載する場合がある。
【0143】
片側寄せ磁場形成部240は、第2粒子p2を第1電磁泳動方向D11(図14(b)参照)へ電流Iと共に電磁泳動させる磁場を流路1に形成する。なお、以下の説明において、片側寄せ磁場形成部240が形成する磁場を、「片側寄せ磁場」と記載する場合がある。
【0144】
第2分離磁場形成部250は、第2粒子p2を第2電磁泳動方向D12(図14(b)参照)へ電流Iと共に電磁泳動させる磁場を流路1に形成する。以下、第2分離磁場形成部250が形成する磁場を、「第2分離磁場」と記載する場合がある。
【0145】
続いて、図14(a)を参照して流路1を説明する。図14(a)は、流路本体部10の近傍を拡大して示す正面図である。図14(a)に示すように、流路本体部10は、第1幅狭部21と、第1幅広部22と、第2幅狭部23と、第2幅広部24とを有する。第1幅狭部21、第1幅広部22、第2幅狭部23、及び第2幅広部24は、流通方向Dにおいてこの順に連接する。
【0146】
第1幅広部22及び第2幅広部24は、第2側壁面12から第1側壁面11までの幅が第1幅狭部21及び第2幅狭部23と比べて広い。この結果、流路本体部10は、第2側壁面12から第1側壁面11までの幅が流通方向Dに沿って変化する。具体的には、第2側壁面12は流通方向Dに沿って直線状に延びる。一方、第1側壁面11は、第1幅狭部21及び第2幅狭部23において流通方向Dに沿って直線状に延び、第1幅狭部21と第2幅狭部23との間(第1幅広部22)で台形状となって第2側壁面12から離れる。また、第1側壁面11は、第2幅広部24において第2側壁面12から離れて、流通方向Dに沿って直線状に延びる。
【0147】
続いて、図14(a)を参照して第1分離磁場形成部230B、片側寄せ磁場形成部240及び第2分離磁場形成部250について説明する。図14(a)に示すように、第1分離磁場形成部230Bは、第1分離磁場発生源231Bを含む。同様に、片側寄せ磁場形成部240は片側寄せ磁場発生源241を含み、第2分離磁場形成部250は第2分離磁場発生源251を含む。
【0148】
第1分離磁場発生源231Bは、流路1に第1分離磁場を発生させる。同様に、片側寄せ磁場発生源241は、流路1に片側寄せ磁場を発生させる。第2分離磁場発生源251は、流路1に第2分離磁場を発生させる。本実施形態において、第1分離磁場発生源231B、片側寄せ磁場発生源241、及び第2分離磁場発生源251は、磁石である。以下、第1分離磁場発生源231Bを「第1分離磁石231B」と記載する場合がある。同様に、片側寄せ磁場発生源241を「片側寄せ磁石241」と記載する場合がある。また、第2分離磁場発生源251を「第2分離磁石251」と記載する場合がある。
【0149】
片側寄せ磁石241は、流通方向Dにおいて第1分離磁石231Bの下流側に配置される。第2分離磁石251は、流通方向Dにおいて片側寄せ磁石241の下流側に配置される。第1分離磁石231B、片側寄せ磁石241、及び第2分離磁石251は、流路本体部10に近接して配置される。より詳しくは、第1分離磁石231Bは、第1幅広部22に近接して配置される。片側寄せ磁石241は、第2幅狭部23に近接して配置される。また、片側寄せ磁石241は、第2幅広部24の上流側の領域に対して近接して配置される。第2分離磁石251は、第2幅広部24に近接して配置される。本実施形態において、第1分離磁石231Bは、流路本体部10の第1側壁面11に近接して配置される。片側寄せ磁石241及び第2分離磁石251は、流路本体部10の底壁面13に近接して配置される。
【0150】
続いて、図14(b)を参照して第1粒子p1及び第2粒子p2の動きを説明する。図14(b)は、第1粒子p1及び第2粒子p2の動きを示す正面図である。
【0151】
まず、第1粒子p1の動きについて説明する。図14(b)に示すように、第1幅狭部21において、第1粒子p1は、流通方向Dの下流側へ移動する。このとき、第1粒子p1は、第1側壁面11と第2側壁面12との間で分散している。
【0152】
第1粒子p1が第1幅広部22まで流れてくると、第1分離磁場に基づく磁気力が第1粒子p1に作用する。詳しくは、第1粒子p1を第1分離磁石231B側に引き寄せる磁気力が第1粒子p1に作用する。本実施形態では、第1粒子p1を第1側壁面11側に引き寄せる磁気力が第1粒子p1に作用する。この結果、図14(b)に示すように、第1粒子p1は、第1幅広部22において第1側壁面11側に磁気泳動して、磁気力により、第1側壁面11に吸着される。
【0153】
なお、第1分離磁場は、流路1(流路本体部10)のうち、第1分離磁石231Bに近接する領域A11に形成される。以下、流路1(流路本体部10)のうち、第1分離磁場が形成される領域A11を、「第1分離領域A11」と記載する場合がある。
【0154】
続いて、第2粒子p2の動きについて説明する。図14(b)に示すように、第1幅狭部21において、第2粒子p2は、流通方向Dの下流側へ移動する。このとき、第2粒子p2は、第1側壁面11と第2側壁面12との間で分散している。
【0155】
第2粒子p2は、第1幅広部22に流入したとき、第2側壁面12側の領域に位置している。第2粒子p2は、第1幅広部22において、第2側壁面12側の領域を流通方向Dの下流側へ移動する。この結果、第2粒子p2は、分散した状態で第2幅狭部23に流入する。
【0156】
第2粒子p2は、第2幅狭部23において、片側寄せ磁場と電流Iとによって第1電磁泳動方向D11へ電磁泳動する。本実施形態において、第1電磁泳動方向D11は、第1側壁面11へ向かう方向である。したがって、第2幅狭部23において、第2粒子p2は、第1側壁面11際に寄せ集められつつ、流通方向Dの下流側へ移動して、第2幅広部24へ流入する。
【0157】
第2幅広部24の上流側の領域において、第2粒子p2は、片側寄せ磁場と電流Iとによって第1電磁泳動方向D11へ電磁泳動する。したがって、第2粒子p2は、第2幅広部24の上流側の領域において、第1側壁面11際に寄せ集められる。また、第2粒子p2は、溶媒mの流れを駆動力として、流通方向Dの下流側へ移動する。この結果、第2粒子p2は、第1側壁面11際に沿って流通方向Dの下流側へ移動する。
【0158】
第2粒子p2は、第2分離磁場が形成される領域A13まで移動すると、実施形態1で説明したように、第2分離磁場と電流Iとによって、第2電磁泳動方向D12へ電磁泳動する。また、第2粒子p2は、溶媒mの流れを駆動力として、流通方向Dの下流側へ移動する。本実施形態において、第2電磁泳動方向D12は、第2側壁面12へ向かう方向である。したがって、第2粒子p2は、第1側壁面11際から第2側壁面12に向かって斜めに移動する。
【0159】
なお、片側寄せ磁場は、流路1(流路本体部10)のうち、片側寄せ磁石241に近接する領域A12に形成される。具体的には、片側寄せ磁場は、第2幅狭部23と、第2幅広部24の上流側の領域とに形成される。以下、流路1(流路本体部10)のうち、片側寄せ磁場が形成される領域A12を、「片側寄せ領域A12」と記載する場合がある。
【0160】
また、第2分離磁場は、流路1(流路本体部10)のうち、第2分離磁石251に近接する領域A13に形成される。具体的には、第2分離磁場は、第2幅広部24において、片側寄せ領域A12よりも下流側に形成される。以下、流路1(流路本体部10)のうち、第2分離磁場が形成される領域A13を、「第2分離領域A13」と記載する場合がある。
【0161】
続いて、図15を参照して片側寄せ磁場形成部240及び第2分離磁場形成部250について説明する。図15は、片側寄せ磁場形成部240及び第2分離磁場形成部250を示す側面図である。
【0162】
図15に示すように、片側寄せ磁場形成部240は、片側寄せ磁場強度調整部242を更に有する。片側寄せ磁場強度調整部242は、片側寄せ磁場の強度を調整する。
【0163】
本実施形態において、片側寄せ磁場強度調整部242は、片側寄せ磁石241の位置を変位させる移動機構を含む。例えば、片側寄せ磁場強度調整部242は、移動機構として、1軸ステージ、2軸ステージ、又は3軸ステージを含む。
【0164】
具体的には、片側寄せ磁場強度調整部242の移動機構は、第1離接方向D14に沿って片側寄せ磁石241を移動させる。第1離接方向D14は、流通方向Dに直交する方向である。詳しくは、第1離接方向D14は、第1方向と第2方向とを含む。第1離接方向D14の第1方向は、流路本体部10の底壁面13から片側寄せ磁石241を離す方向である。第1離接方向D14の第2方向は、流路本体部10の底壁面13へ片側寄せ磁石241を近づける方向である。片側寄せ磁石241が底壁面13から離れるほど、片側寄せ磁場の強度は弱くなる。片側寄せ磁石241が底壁面13に近づくほど、片側寄せ磁場の強度は強くなる。したがって、片側寄せ磁場強度調整部242の移動機構が第1離接方向D14に沿って片側寄せ磁石241の位置を変位させることにより、片側寄せ磁場の強度を調整することができる。
【0165】
続いて、第2分離磁場形成部250について説明する。図15に示すように、第2分離磁場形成部250は、実施形態1と同様に、第2分離磁場強度調整部252を更に有する。第2分離磁場強度調整部252については、実施形態1で既に説明しているため、ここでの説明は割愛する。
【0166】
なお、片側寄せ磁場強度調整部242は、分析対象に応じて片側寄せ磁場の強度を調整(較正)する作業に用いられる。同様に、第2分離磁場強度調整部252は、分析対象に応じて第2分離磁場の強度を調整(較正)する作業に用いられる。
【0167】
続いて、図16を参照して第1分離磁場形成部230Bを更に説明する。図16は、第1分離磁場形成部230Bを示す正面図である。図16に示すように、第1分離磁場形成部230Bは、第1分離磁場強度調整部232Bを更に有する。第1分離磁場強度調整部232Bは、第1分離磁場の強度を調整する。
【0168】
本実施形態において、第1分離磁場強度調整部232Bは、第1分離磁石231Bの位置を変位させる移動機構を含む。例えば、第1分離磁場強度調整部232Bは、移動機構として、1軸ステージ、2軸ステージ、又は3軸ステージを含む。
【0169】
具体的には、第1分離磁場強度調整部232Bの移動機構は、第2離接方向D15に沿って第1分離磁石231Bを移動させる。第2離接方向D15は、流通方向Dに直交する方向である。詳しくは、第2離接方向D15は、第1方向と第2方向とを含む。第2離接方向D15の第1方向は、流路本体部10の第1側壁面11から第1分離磁石231Bを離す方向である。第2離接方向D15の第2方向は、流路本体部10の第1側壁面11へ第1分離磁石231Bを近づける方向である。第1分離磁石231Bが第1側壁面11から離れるほど、第1分離磁場の強度は弱くなる。第1分離磁石231Bが第1側壁面11に近づくほど、第1分離磁場の強度は強くなる。したがって、第1分離磁場強度調整部232Bの移動機構が第2離接方向D15に沿って第1分離磁石231Bの位置を変位させることにより、第1分離磁場の強度を調整することができる。
【0170】
なお、第1分離磁場強度調整部232Bは、分析対象に応じて第1分離磁場の強度を調整(較正)する作業に用いられる。
【0171】
続いて、図17を参照して検出部400について説明する。図17は、検出部400を示す図である。図17に示すように、本実施形態の分析装置100は、第1検出部400Aと、第2検出部400Bとを備える。
【0172】
第1検出部400Aは、第2分離領域A13において第2粒子p2を検出する。例えば、第1検出部400Aは、図8を参照して説明した検出部400と同様に、拡大部401と撮像部402とを有してもよい。撮像部402は、例えば、所定の時間間隔ごとに撮像を行う。
【0173】
第2検出部400Bは、第1分離領域A1において第1粒子p1を検出する。例えば、第2検出部400Bは、図8を参照して説明した検出部400と同様に、拡大部401と撮像部402とを有してもよい。撮像部402は、例えば、所定の時間間隔ごとに撮像を行う。
【0174】
続いて、図18を参照して本実施形態の分析方法を説明する。図18は、本実施形態の分析方法の一例を示すフローチャートである。図18に示す分析方法は、サンプルSを流路1に送液することにより開始する。
【0175】
まず、サンプルSが流路1に送液されると、第1分離領域A11において、第1粒子p1が流路1の壁面(第1幅広部22の第1側壁面11)に吸着する一方で、第2粒子p2が、第2幅狭部23へ移動する(ステップS11)。
【0176】
第1粒子p1が流路1の壁面に吸着すると、粒子情報取得部300が、第1粒子p1の情報を取得する(ステップS12)。具体的には、第2検出部400Bが第1粒子p1を第1分離領域A11において検出し、情報処理部500(処理部503)が、第2検出部400Bの検出結果に基づいて、第1粒子p1の情報を取得する。例えば、第2検出部400Bは、第1分離領域A11における第1粒子p1の挙動を検出してもよい。情報処理部500(処理部503)は、第1粒子p1の情報として、第1粒子p1の濃度を測定する。あるいは、情報処理部500(処理部503)は、第1粒子p1の情報として、第1粒子p1の半径又は直径を更に取得してもよいし、第1粒子p1の半径又は直径と、第1粒子p1の体積磁化率とを更に測定してもよい。
【0177】
第2粒子p2は、片側寄せ領域A12において、流路1の片側(流路本体部10の第1側壁面11際)に寄せ集められる(ステップS13)。流路1の片側に寄せ集められた第2粒子p2は、第2分離領域A13へ移動する。
【0178】
第2粒子p2は、第2分離領域A13において、それぞれのサイズや種類に応じて分離される(ステップS14)。詳しくは、第2粒子p2は、それぞれのサイズや種類に応じた電磁泳動速度で第2電磁泳動方向D12へ電磁泳動する。
【0179】
粒子情報取得部300は、第2粒子p2の情報を取得する(ステップS15)。その結果、図18に示す処理が終了する。具体的には、第1検出部400Aが第2粒子p2を第2分離領域A13において検出し、情報処理部500(処理部503)が、第1検出部400Aの検出結果に基づいて、第2粒子p2の情報を取得する。例えば、第1検出部400Aは、第2分離領域A13における第2粒子p2の挙動を検出してもよい。情報処理部500(処理部503)は、第2粒子p2の情報として、第2粒子p2の濃度を測定する。あるいは、情報処理部500(処理部503)は、第2粒子p2の情報として、第2粒子p2の半径又は直径、第2粒子p2の粒度分布、及び第2粒子p2の界面動電現象に影響を与える物性のうちの少なくとも1つを更に測定してもよい。
【0180】
なお、本実施形態において、流路本体部10は、第2側壁面12から第1側壁面11までの幅が流通方向Dに沿って変化したが、流路本体部10は、図19に示すように、流通方向Dに沿って直線状に延びてもよい。図19は、流路本体部10の変形例を示す図である。この場合、図16を参照して説明した第1分離磁場強度調整部232Bは、第1分離磁場の強度を第1強度と第2強度との間で調整する。また、図15を参照して説明した片側寄せ磁場強度調整部242は、片側寄せ磁場の強度を第1強度と第2強度との間で調整し、第2分離磁場強度調整部252は、第2分離磁場の強度を第1強度と第2強度との間で調整する。
【0181】
第1分離磁場の第1強度は、第1粒子p1を第1側壁面11に吸着させるとともに、第2粒子p2を、溶媒mの流れを駆動力として流通方向Dの下流側へ移動させる強度である。第1分離磁場の第2強度は、第1粒子p1の第1側壁面11への吸着を解除させて、第1粒子p1を、溶媒mの流れを駆動力として流通方向Dの下流側へ移動させる強度である。
【0182】
片側寄せ磁場の第1強度は、第2粒子p2を第1電磁泳動方向D11へ電流Iと共に電磁泳動させる強度である。片側寄せ磁場の第2強度は、第1粒子p1を第1電磁泳動方向D11へ電流Iと共に電磁泳動させる強度である。つまり、片側寄せ磁場の第2強度は、第1粒子p1の泳動が電磁泳動に支配される強度である。
【0183】
なお、第2分離磁場の第1強度及び第2強度については、実施形態1で説明しているため、ここでの説明は割愛する。
【0184】
続いて、図20を参照して本実施形態の分析方法の他例を説明する。図20は、本実施形態の分析方法の他例を示すフローチャートである。図20に示す分析方法は、サンプルSを流路1に送液することにより開始する。
【0185】
サンプルSが流路1に送液されると、第1分離領域A11において、第1粒子p1が流路1の壁面(第1幅広部22の第1側壁面11)に吸着する一方で、第2粒子p2が、第2幅狭部23へ移動する(ステップS11)。
【0186】
第1粒子p1が流路1の壁面に吸着すると、粒子情報取得部300が、第1粒子p1の情報を取得する(ステップS12)。具体的には、第2検出部400Bが第1粒子p1を第1分離領域A11において検出し、情報処理部500(処理部503)が、第2検出部400Bの検出結果に基づいて、第1粒子p1の半径又は直径を取得する。あるいは、情報処理部500(処理部503)が、第1粒子p1の半径又は直径と、第1粒子p1の体積磁化率とを測定する。
【0187】
第2粒子p2は、片側寄せ領域A12において、流路1の片側(流路本体部10の第1側壁面11際)に寄せ集められる(ステップS13)。流路1の片側に寄せ集められた第2粒子p2は、第2分離領域A13へ移動する。
【0188】
第2粒子p2は、第2分離領域A13において、それぞれのサイズや種類に応じて分離される(ステップS14)。詳しくは、第2粒子p2は、それぞれのサイズや種類に応じた電磁泳動速度で第2電磁泳動方向D12へ電磁泳動する。
【0189】
粒子情報取得部300は、図18を参照して説明したステップS15と同様に、第2粒子p2の情報を取得する(ステップS15)。
【0190】
粒子情報取得部300が第2粒子p2の情報を取得した後、片側寄せ磁場の強度が第1強度から第2強度に調整されるとともに、第2分離磁場の強度が第1強度から第2強度に調整される(ステップS16)。具体的には、片側寄せ磁場強度調整部242の移動機構が、片側寄せ磁石241を底壁面13から離れる方向に移動させる。また、第2分離磁場強度調整部252の移動機構が、第2分離磁石251を底壁面13から離れる方向に移動させる。
【0191】
片側寄せ磁場の強度が第1強度から第2強度に調整されるともに、第2分離磁場の強度が第1強度から第2強度に調整された後、第1粒子p1の吸着が解除される(ステップS17)。具体的には、第1分離磁場強度調整部232Bの移動機構が、第1分離磁石231Bを第1側壁面11から離れる方向に移動させる。本実施形態では、第1粒子p1は第1側壁面11に吸着される。したがって、第1粒子p1は、吸着が解除された後、溶媒mの流れを駆動力として、第1側壁面11際に沿って流通方向Dの下流側へ移動する。
【0192】
第1粒子p1は、片側寄せ領域A12を通過する際にも、第1側壁面11際に沿って第2分離領域A13へ移動する。第1粒子p1は、第2分離領域A2において、それぞれのサイズや種類に応じて分離される(ステップS18)。粒子情報取得部300は、第1粒子p1の情報を取得する(ステップS19)。その結果、図20に示す処理が終了する。なお、ステップS18及びステップS19の各処理は、図10を参照して説明したステップS6及びステップS7の各処理と同様であるため、詳しい説明は割愛する。
【0193】
以上、図13図20を参照して本発明の実施形態2を説明した。本実施形態によれば、実施形態1と同様に、第2粒子p2の情報を取得することが容易になる。したがって、植物性プランクトンや、植物性プランクトンの餌となる窒素成分を含有する粒子のような反磁性の粒子の情報をより容易にサンプルから取得することができる。また、エクソソームのような植物性プランクトンの代謝物の情報をより容易にサンプルから取得することができる。
【0194】
更に、本実施形態によれば、実施形態1と同様に、第1粒子p1の情報を取得することができる。したがって、植物性プランクトンの餌となる鉄成分等を含有する粒子の情報をより容易にサンプルから取得することができる。
【0195】
また、本実施形態の分析装置100、粒子分離装置200、及び分析方法は、実施形態1の分析装置100、粒子分離装置200、及び分析方法と同様に、赤潮発生の予兆を発見し、赤潮発生を早期に予測する手段として用いることができる。
【0196】
なお、本実施形態において、分析装置100は、2つの検出部(第1検出部400A及び第2検出部400B)を備えたが、検出部は1つであってもよい。例えば、撮像部402が、第1分離領域A11及び第2分離領域A13を同時に撮像できる場合、検出部は1つであってもよい。あるいは、分析装置100が、検出部400を移動させる機構を備える場合、検出部は1つであってもよい。
【0197】
また、本実施形態において、粒子情報取得部300は第1粒子p1の情報を取得したが、粒子情報取得部300は第1粒子p1の情報を取得しなくてもよい。この場合、第1粒子p1の壁面への吸着を解除するための構成や処理は省略されてもよい。
【0198】
以上、図面(図1図20)を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0199】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0200】
例えば、図1図20を参照して説明した実施形態では、流路1は流通方向Dの下流側で2つの流路に分岐したが、流路1は流通方向Dの下流側で3つ以上の流路に分岐してもよい。換言すると、流路1は、3つ以上の出口を有してもよい。
【0201】
また、図1図20を参照して説明した実施形態では、磁石を用いて磁場を発生させる構成を説明したが、電磁石を用いて磁場を発生させてもよい。この場合、磁場の強度は、電磁石を流れる電流の電流値を制御して調整することができる。
【0202】
また、図1図20を参照して説明した実施形態では、流路1にサンプルSを送液する部材としてマイクロシリンジ601を例示したが、流路1にサンプルSを送液する部材は、マイクロシリンジ601に限定されない。流路1にサンプルSを送液する部材は、例えば、マイクロポンプ、又はオートサンプラーであってもよい。
【0203】
また、図1図20を参照して説明した実施形態では、撮像部402が粒子pを撮像する構成を説明したが、粒子pを検出する構成は、撮像部402を用いた構成に限定されない。例えば、光センサーを用いて粒子pを検出してもよい。以下、図21(a)を参照して本発明の他の実施形態を説明する。
【0204】
図21(a)は、本発明の他の実施形態に係る分析装置100を示す図である。図21(a)に示す分析装置100は、検出部400の構成が、図1図20を参照して説明した実施形態と異なる。
【0205】
具体的には、図21(a)に示すように、検出部400は、第1レーザー光源410aと、第2レーザー光源410bと、第1光センサー411aと、第2光センサー411bとを有してもよい。
【0206】
第1レーザー光源410a及び第2レーザー光源410bは、第1分離領域A1、又は片側寄せ領域A12よりも下流側の領域で、サンプルSに向けてレーザー光Laを出射する。
【0207】
第1光センサー411aは、第1レーザー光源410aからレーザー光Laが照射される領域を粒子pが通過することに応じて波形が変動する電気信号を情報処理部500に出力する。具体的には、第1光センサー411aは、粒子pから反射光Lrを受光したことに応じて信号レベルが変化する電気信号を情報処理部500に出力する。
【0208】
同様に、第2光センサー411bは、第2レーザー光源410bからレーザー光Laが照射される領域を粒子pが通過することに応じて波形が変動する電気信号を情報処理部500に出力する。具体的には、第2光センサー411bは、粒子pから反射光Lrを受光したことに応じて信号レベルが変化する電気信号を情報処理部500に出力する。
【0209】
図21(a)に示す分析装置100では、第1レーザー光源410aは、第1分岐流路30に向けてレーザー光Laを出射する。第1光センサー411aは、第1分岐流路30を流れる粒子pからの反射光Lrを受光するように配置される。第2レーザー光源410bは、第2分岐流路50に向けてレーザー光Laを出射する。第2光センサー411bは、第2分岐流路50を流れる粒子pからの反射光Lrを受光するように配置される。
【0210】
図21(a)に示す分析装置100によれば、情報処理部500(処理部503)は、第1光センサー411aから出力された電気信号に基づいて、第1分岐流路30を流れる粒子pの数を計数することができる。したがって、情報処理部500(処理部503)は、第1採集ビン602に採集された粒子pの濃度を算出することができる。同様に、情報処理部500(処理部503)は、第2採集ビン603に採集された粒子pの濃度を算出することができる。
【0211】
続いて、図21(b)を参照して本発明の他の実施形態の変形例を説明する。図21(b)は、本発明の他の実施形態に係る分析装置100の変形例を示す図である。
【0212】
図21(b)に示すように、第1光センサー411aは、第1分岐流路30を透過したレーザー光Laを受光するように配置されてもよい。同様に、第2光センサー411bは、第2分岐流路50を透過したレーザー光Laを受光するように配置されてもよい。
【0213】
図21(b)に示す分析装置100によっても、図21(a)に示す分析装置100と同様に、情報処理部500(処理部503)は、第1光センサー411aから出力された電気信号に基づいて、第1分岐流路30を流れる粒子pの数を計数することができる。したがって、情報処理部500(処理部503)は、第1採集ビン602に採集された粒子pの濃度を算出することができる。同様に、情報処理部500(処理部503)は、第2採集ビン603に採集された粒子pの濃度を算出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0214】
本発明は、赤潮の発生を予測する分野に有用である。
【符号の説明】
【0215】
1 :流路
10 :流路本体部
11 :第1側壁面
12 :第2側壁面
13 :底壁面
30 :第1分岐流路
50 :第2分岐流路
100 :分析装置
200 :粒子分離装置
210 :マイクロ流路デバイス
230 :第1分離磁場形成部
230B :第1分離磁場形成部
231 :第1分離磁場発生源
231B :第1分離磁場発生源
232 :第1分離磁場強度調整部
232B :第1分離磁場強度調整部
240 :片側寄せ磁場形成部
241 :片側寄せ磁場発生源
242 :片側寄せ磁場強度調整部
250 :第2分離磁場形成部
251 :第2分離磁場発生源
252 :第2分離磁場強度調整部
270 :電流生成部
300 :粒子情報取得部
400 :検出部
400A :第1検出部
400B :第2検出部
400B :検出部
402 :撮像部
411a :第1光センサー
411b :第2光センサー
500 :情報処理部
A1 :第1分離領域
A11 :第1分離領域
A12 :片側寄せ領域
A13 :第2分離領域
A2 :第2分離領域
D :流通方向
D11 :第1電磁泳動方向
D12 :第2電磁泳動方向
I :電流
S :サンプル
m :溶媒
p :粒子
p1 :第1粒子
p2 :第2粒子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21