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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】動物用排泄物処理シート
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
A01K1/015 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020130901
(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公開番号】P2022027103
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】山下 真実
(72)【発明者】
【氏名】小松原 大介
(72)【発明者】
【氏名】大西 秀幸
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-029612(JP,A)
【文献】特開2013-247922(JP,A)
【文献】特開2012-130285(JP,A)
【文献】特開2017-093320(JP,A)
【文献】特開2015-023817(JP,A)
【文献】米国特許第07249570(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これらのシートの間に配置される吸収体と、を備えた、動物用排泄物処理シートであって、
平面視において、前記吸収体の存在する領域(A)における白度が85.5以上である、
動物用排泄物処理シート。
【請求項2】
平面視において、前記領域(A)と、前記吸収体の存在しない領域(B)との前記白度の差が、10以上である、請求項1に記載の動物用排泄物処理シート。
【請求項3】
前記領域(B)の存在する部分の白度が75以下である、請求項2に記載の動物用排泄物処理シート。
【請求項4】
前記吸収体が、
吸収コアと、
該吸収コアの少なくとも一方の表面に配置された、該吸収コアよりも密度が高い中間層と、
を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理シート。
【請求項5】
前記吸収コアの坪量が、15g/m~480g/mである、請求項4に記載の動物用排泄物処理シート。
【請求項6】
前記表面シートが、白度が60以上である部材を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理シート。
【請求項7】
前記領域(A)が、白度が85.5以上である領域(A1)と、前記領域(A1)よりも白度が高い領域(A2)とを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理シート。
【請求項8】
前記領域(A2)が、前記吸収体の長手方向の一対の辺又は前記吸収体の短手方向の一対の辺に存在する、請求項7に記載の動物用排泄物処理シート。
【請求項9】
前記領域(A2)を跨ぐ折り線を有する、請求項8に記載の動物用排泄物処理シート。
【請求項10】
白内障罹患動物に用いられる、請求項1~9のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物を飼育する際に用いられる動物用排泄物処理シートに関する。
【背景技術】
【0002】
犬などのペットが排泄した排泄物を処理するための動物用排泄物処理シートとして、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及びこれらのシートの間に位置する吸収体を備えた動物用排泄物処理シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ペットから排泄された排泄物に対して良好な隠蔽性を有する動物用排泄物処理シートも知られている。例えば、特許文献2には、表面シートと吸収体との間に有色シートを配置した動物用排泄物処理シートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-92940号公報
【文献】特開2012-130285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、ペットの健康対策の進歩に伴い、高齢のペットの割合が増加傾向にある。高齢のペットは、白内障等の疾患を患い、目が悪くなる場合がある。白内障等を患ったペットの目は、水晶体から網膜への光の透過量が少なく、物体の輪郭が掴みにくい。そのため、白度が低い動物用排泄物処理シートだと光が反射せず、正しい排泄位置が認識できないことによる排泄失敗の問題があった。
【0006】
また、ペットが正しい位置で排泄出来ない場合、ペットの飼い主がペットの尿量、尿の色、使用箇所等が確認しにくいため、ペットの健康状態を把握しにくいという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ペットが正しい排泄位置を把握でき、飼い主が尿量、尿の色、使用箇所等からペットの健康状態を把握できる動物用排泄物処理シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の態様を包含する。
【0009】
(1)本発明の一態様に係る動物用排泄物処理シートは、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これらのシートの間に配置される吸収体と、を備え、平面視において、前記吸収体の存在する領域(A)における白度が85.5以上である。
【0010】
本態様によれば、領域(A)における白度が85.5以上と高い。そのため、ペットが領域(A)を把握しやすいので、正しい位置で排泄する事が出来る。また、飼い主はペットの尿量、尿の色、使用箇所が把握できる。そのため、ペットの健康状態を把握しやすい。
【0011】
(2)上記(1)に記載の動物用排泄物処理シートは、平面視において、前記領域(A)と、前記吸収体の存在しない領域(B)との前記白度の差が、10以上であってもよい。
(3)上記(2)に記載の動物用排泄物処理シートにおいて、前記領域(B)の存在する部分の白度が75以下であってもよい。
【0012】
本態様によれば、領域(A)と領域(B)との白度の差が10以上あるので、領域(A)と領域(B)との色のコントラストが鮮明となりやすい。そのため、ペットが排泄するターゲットとなる吸収体を認識しやく、ペットはより精度高く正しい位置で排泄する事ができる。また、飼い主はペットの尿量、尿の色、使用箇所等をより把握しやすくなる。また、飼い主は排泄されていないシート周辺部を認識しやすく、周辺部を手で掴んで処理しやすい。
【0013】
(4)上記(1)~(3)のいずれかに記載の動物用排泄物処理シートは、前記吸収体が、吸収コアと、該吸収コアの少なくとも一方の表面に配置された、該吸収コアよりも密度が高い中間層と、を備えてもよい。
【0014】
本態様によれば、吸収体が吸収コアよりも密度が高い中間層を備えることにより、より吸収体が目立つ。そのため、ペットが排泄するターゲットとなる吸収体を認識しやく、ペットはより精度高く正しい位置で排泄する事ができる。また、飼い主はペットの尿量、尿の色、使用箇所等をより把握しやすくなる。
【0015】
(5)上記(4)に記載の動物用排泄物処理シートは、前記吸収コアの坪量が、15g/m~480g/mであってもよい。
【0016】
本態様によれば、前記領域(A)の白度をより高めやすい。そのため、ペットが排泄するターゲットとなる吸収体を認識しやく、ペットはより精度高く正しい位置で排泄する事ができる。また、飼い主はペットの尿量、尿の色、使用箇所等をより把握しやすくなる。また、飼い主は排泄されていないシート周辺部を認識しやすく、周辺部を手で掴んで処理しやすい。
【0017】
(6)上記(1)~(5)のいずれかに記載の動物用排泄物処理シートは、前記表面シートが、白度が60以上である部材を含んでもよい。
【0018】
本態様によれば、動物用排泄物処理シートの表面の光沢度が十分低いので、ペットが排泄するターゲットとなる吸収体を視覚的に認識しやすい。また、前記領域(A)の白度が目立ちやすいので、飼い主はペットの尿量、尿の色、使用箇所等をより把握しやすくなる。
【0019】
(7)上記(1)~(6)のいずれかに記載の動物用排泄物処理シートは、前記領域(A)が、白度が85.5以上である領域(A1)と、前記領域(A1)よりも白度が高い領域(A2)とを有してもよい。
【0020】
本態様によれば、領域(A1)と領域(A2)との色のコントラストが鮮明となりやすい。そのため、ペットが排泄するターゲットとなる吸収体を認識しやく、ペットはより精度高く正しい位置で排泄する事ができる。また、飼い主はペットの尿量、尿の色、使用箇所等をより把握しやすくなる。
【0021】
(8)上記(7)に記載の動物用排泄物処理シートは、前記領域(A2)が、前記吸収体の長手方向の一対の辺又は前記吸収体の短手方向の一対の辺に存在してもよい。
【0022】
本態様によれば、領域(A2)が吸収体の周縁部に存在するため、領域(A1)の輪郭部がより把握しやすい。そのため、ペットが排泄するターゲットとなる吸収体を認識しやく、ペットはより精度高く正しい位置で排泄する事ができる。また、飼い主はペットの尿量、尿の色、使用箇所等をより把握しやすくなる。
【0023】
(9)上記(8)に記載の動物用排泄物処理シートは、前記領域(A2)を跨ぐ折り線を有してもよい。
【0024】
本態様によれば、前記領域(A2)の折り線部分において明暗(境界)が強調されやすくなり、領域(A1)の輪郭部がより把握しやすい。そのため、ペットが排泄するターゲットとなる吸収体を認識しやく、ペットはより精度高く正しい位置で排泄する事ができる。また、飼い主はペットの尿量、尿の色、使用箇所等をより把握しやすくなる。
(10)上記(1)~(9)のいずれかに記載の動物用排泄物処理シートは、白内障罹患動物に用いられてもよい。
【0025】
本態様によれば、白内障を患って目が悪い動物でも、排泄するターゲット(吸収体)を認識しやすい。そのため、ペットが排泄するターゲットとなる吸収体を認識しやく、ペットは正しい位置で排泄する事ができる。また、飼い主はペットの尿量、尿の色、使用箇所等をより把握しやすくなる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ペットが正しい排泄位置を把握でき、飼い主が尿量、尿の色、使用箇所等からペットの健康状態を把握できる動物用排泄物処理シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る動物用排泄物処理シートの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る動物用排泄物処理シートの図1におけるII-II線に沿った断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る動物用排泄物処理シートの平面図である。
図4】実施例に係る動物用排泄物処理シートの断面模式図である。
図5】左から市販の動物用排泄物処理シートA、実施例1の動物用排泄物処理シート、市販の動物用排泄物処理シートBを(a)通常状態で観察した写真、(b)白内障体験ゴーグルで黄色がかった視界状態にして観察した写真、並びに(c)白内障体験ゴーグルで黄色がかった視界状態及びぼやけた視界状態にして観察した写真である。
図6】左から実施例1の動物用排泄物処理シート、市販の動物用排泄物処理シートA、市販の動物用排泄物処理シートBを(a)通常状態で観察した写真、(b)白内障体験ゴーグルで黄色がかった視界状態にして観察した写真、並びに(c)白内障体験ゴーグルで黄色がかった視界状態及びぼやけた視界状態にして観察した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の動物用排泄物処理シートの好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書においては、特に断りのない限り、「広げた状態で排泄物の供給面が上方を向くように、水平面上に置いた対象物(例えば、動物用排泄物処理シート、表面シート、吸収体等)を垂直方向の上方側から対象物の厚さ方向に見ること」を、単に「平面視」といい、さらに、当該平面視による図を「平面図」という。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る動物用排泄物処理シート1の斜視図であり、図2は、動物用排泄物処理シート1の図1におけるII-II線に沿った断面図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを有する、平面視にて矩形状のシートである。なお、本発明において、動物用排泄物処理シートの外形形状は、このような矩形状に限定されず、各種用途や意匠性等に応じて、正方形、多角形、円形、楕円形等の任意の形状を採用することができる。また、動物用排泄物処理シート1のサイズは、当該排泄物処理シートが適用される動物のサイズや種類等に応じて適宜設定することができ、例えば、適用される動物が犬の場合、長手方向Lの長さは、400mm~1200mm程度であり、幅方向Wの長さは、250mm~800mm程度である。
【0030】
動物用排泄物処理シート1は、図1に示すように、広げた状態でペット等の動物の飼育空間(例えば、室内等)の所定位置に載置されて、動物から排泄される尿などの排泄物を吸収・保持し、前記飼育空間を清潔な状態に保つために使用される。なお、動物用排泄物処理シート1は、前記飼育空間の床面又は地面に直接載置しても、所定のホルダーやトレイ、敷材等を介して載置してもよい。
【0031】
ここで、本発明の動物用排泄物処理シートが適用される「動物」は、ペット等として飼育され得る動物であれば特に制限されず、犬や猫、ハムスター等の哺乳類のほか、例えば、鳥類や爬虫類、両生類等の様々な動物を対象とすることができる。
【0032】
また、本発明おいて、動物用排泄物処理シートが吸収・保持する「排泄物」は、後述する吸収体に吸収・保持され得るものであれば特に制限されず、例えば、液状ないし低粘度の糞、尿、よだれ等の唾液、血液などの各種体液が挙げられる。
【0033】
本実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、図1及び図2に示すように、厚さ方向Tにおいて、動物から排泄された排泄物の供給面(以下、「第1面」という場合がある)を形成する液透過性の表面シート2と、前記排泄物の供給面とは反対側の面(以下、「第2面」という場合がある)であって前記動物用排泄物処理シート1の載置面(すなわち、動物用排泄物処理シートが載置される床面又は地面と対向する面)を形成する液不透過性の裏面シート4と、これらのシートの間に配置される吸液性の吸収体3と、を備えていて、前記表面シート2及び前記裏面シート4は、それぞれの周縁部において、ホットメルト型接着剤等の任意の接合手段により互いに接合されている。
【0034】
本発明の一実施形態に係る動物用排泄物処理シートの平面図である。図3に示すように、本実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、平面視において、吸収体3の存在する領域(A)における白度が85.5以上である。領域(A)の白度は、JIS Z 8715に準拠して白度計により測定することができる。例えば、平面視において吸収体3の中央部の白度を3~10個のサンプルについて測定し、その平均値を領域(A)の白度としてもよい。
【0035】
本実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、領域(A)における白度が85.5以上と高い。そのため、ペットが領域(A)を把握しやすいので、正しい位置で排泄する事が出来る。また、飼い主はペットの尿量、尿の色、使用箇所が把握できる。そのため、ペットの健康状態を把握しやすい。
【0036】
本実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、平面視において、前記領域(A)と、前記吸収体の存在しない領域(B)との前記白度の差が、好ましくは10以上であり、より好ましくは12以上であり、更に好ましくは14以上である。また、前記領域(B)の存在する部分の白度が75以下であることが好ましい。
領域(A)と領域(B)との白度の差が上記の好ましい範囲内であると、領域(A)と領域(B)との色のコントラストが鮮明となりやすい。
【0037】
本実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、前記領域(A)が、白度が85.5以上である領域(A1)と、前記領域(A1)よりも白度が高い領域(A2)とを有することが好ましい。
図3においては、領域(A2)が、吸収体3の短手方向の一対の辺に存在する例を示しているが、本実施形態はこれに限定されない。領域(A2)は、吸収体3の長手方向の一対の辺に存在してもよいし、領域(A1)の境界を示す位置に存在してもよい。
領域(A2)が吸収体の周縁部に存在すると、領域(A1)の輪郭部がより把握しやすい。そのため、ペットが排泄するターゲットとなる吸収体を認識しやく、ペットはより精度高く正しい位置で排泄する事ができる。また、飼い主はペットの尿量、尿の色、使用箇所等をより把握しやすくなる。
【0038】
なお、領域(A2)は、領域(A21)と、前記領域(A21)よりも白度が高い領域(A22)とを有してもよい(図4参照)。かかる場合、白度はの高さは、領域(A22)>領域(A21)>領域(A1)となる。
領域(A2)が吸収体の周縁部に存在する場合、領域(A21)が最端部に配置され、その内側(領域(A1)側)に領域(A22)が配置されていることが好ましい。各領域を上記配置とすることにより、ペットが領域(A2)端部において誤って尿漏れを起こす可能性を低減することができる。
【0039】
本実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、図3に示すように、領域(A2)を跨ぐ折り線を有してもよい。この場合、領域(A2)の折り線部分において明暗(境界)が強調されやすくなり、領域(A1)の輪郭部がより把握しやすい。そのため、ペットが排泄するターゲットとなる吸収体を認識しやく、ペットはより精度高く正しい位置で排泄する事ができる。また、飼い主はペットの尿量、尿の色、使用箇所等をより把握しやすくなる。
【0040】
本実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、前記領域(B)が、白度が65以下である領域(B1)と、前記領域(B1)よりも白度が高い領域(B2)とを有することが好ましい(図4参照)。
前記領域(B)が、前記領域(B1)と前記領域(B2)とを有する場合、より領域(A)が目立つようになりやすい。そのため、ペットが排泄するターゲットとなる吸収体を認識しやく、ペットはより精度高く正しい位置で排泄する事ができる。また、飼い主はペットの尿量、尿の色、使用箇所等をより把握しやすくなる。
【0041】
本実施形態に係る動物用排泄物処理シート1の厚さは、0.9mm~2.0mmが好ましく、0.95mm~1.9mmがより好ましい。
動物用排泄物処理シート1の厚さが上記の好ましい範囲の上限値以上であると、領域(A)の白度を高めやすい。一方、動物用排泄物処理シート1の厚さが上記の好ましい範囲の下限値以下であると、取り扱い性が良好となりやすい。
【0042】
本実施形態に係る動物用排泄物処理シート1の光沢度は、3.5以下であることが好ましく、3.2以下であることがより好ましい。
動物用排泄物処理シート1の光沢度が上記の好ましい範囲内であると、ペットが排泄するターゲットとなる吸収体を視覚的に認識しやすい。
【0043】
以下、本実施形態に係る動物用排泄物処理シート1を構成する各種部材について、更に詳細に説明する。
【0044】
表面シート2は、図1及び図2に示すように、動物用排泄物処理シート1の厚さ方向Tにおいて、動物の排泄物が供給される側に配置されていて、動物から排泄された排泄物を、当該排泄物の供給面から反対側の面へと移行させることのできる液透過性を有するシート状部材によって構成されている。このような表面シート2を構成する液透過性のシート状部材としては、当該シート状部材が、白色の繊維によって構成されていて且つ上述の特定要件を満たすものであれば、特に制限されず、例えば、エアースルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布等の任意の不織布を好適に用いることができる。なお、不織布は、界面活性剤により親水化処理が施されていてもよい。
なかでも、エアースルー不織布は、短い繊維が絡まって、透過しにくく乱反射しやすい。酸化チタンを配合しやいため、動物用排泄物処理シート1の白度を高める観点から好ましい。
【0045】
表面シート2は、白度が60以上である部材を含むことが好ましく、白度が61以上である部材を含むことがより好ましく、白度が62以上の部材を含むことが更に好ましい。
表面シート2が上記部材を含むことにより、ペットが排泄するターゲットとなる吸収体を視覚的に認識しやすい。また、前記領域(A)の白度が目立ちやすい。
【0046】
また、表面シート2を構成する白色の繊維は、当該繊維が白色を呈している限り特に制限されず、例えば、白色顔料や白色染料が添加された熱可塑性樹脂繊維、光を乱反射し得る表面構造又は結晶構造を有する熱可塑性樹脂繊維などを好適に用いることができる。
【0047】
そのような白色の繊維の中でも、上述の要件を満たす表面シートを形成しやすいという点から、表面シートを構成する白色の繊維は、白色顔料が添加された熱可塑性樹脂繊維であることが好ましい。
ここで、熱可塑性樹脂繊維に添加される白色顔料は、特に制限されず、例えば、酸化チタン(チタン白)、酸化亜鉛(亜鉛華)、硫酸バリウムと硫化亜鉛の混合物、塩基性炭酸鉛(鉛白)などが挙げられるが、屈折率の高さや生体に対する低毒性などの点から、前記白色顔料は、酸化チタンを用いることが好ましい。
白色顔料として酸化チタンを用いる場合、当該酸化チタンの熱可塑性樹脂繊維中の含有量は、特に制限されないものの、0.1~10質量%であることが好ましく、0.3~9質量%であることがより好ましく、5~8質量%であることが更に好ましい。
表面シートを構成する白色の繊維が、白色顔料の中でも特に高い屈折率を有する酸化チタンを上記の好ましい範囲内で含んでいると、上述の要件を満たす表面シートを容易且つ確実に得ることができるため、ペットが排泄するターゲットとなる吸収体を視覚的に認識しやすく、前記領域(A)の白度が目立ちやすい。
【0048】
また、熱可塑性樹脂繊維の種類は、特に制限されず、熱可塑性樹脂からなる繊維であれば特に制限されず、その熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)等のポリエステル系樹脂、6-ナイロン等のポリアミド系樹脂などの公知の樹脂が挙げられ、これらの樹脂は単独で使用しても、二種類以上の樹脂を併用してもよい。
このような熱可塑性樹脂からなる繊維の構造は、特に制限されず、例えば、芯鞘型繊維、サイド・バイ・サイド型繊維、島/海型繊維等の複合繊維;中空タイプの繊維;扁平、Y字形、C字形等の異形断面型繊維;潜在捲縮又は顕在捲縮の立体捲縮繊維;水流、熱、エンボス加工等の物理的負荷により分割する分割繊維などが挙げられ、これらの構造を有
する繊維は単独で使用しても、二種類以上の繊維を併用してもよい。
【0049】
このような熱可塑性樹脂繊維の中でも、ポリエステル(芯部)/ポリエチレン(鞘部)等の芯鞘型の熱可塑性樹脂繊維を用いることが好ましく、特に、上述の酸化チタンが、芯部のみに含有された芯鞘型の熱可塑性樹脂繊維を用いることが好ましい。
上述の酸化チタンが芯鞘型の熱可塑性樹脂繊維の芯部のみに含有されていると、当該繊維に入射した光が芯部に含まれている酸化チタンによって反射される際に、反射光が前記芯部の外表面を覆う鞘部において屈折して前記繊維から出射し、結果的に光をより多く乱反射させることができるため、酸化チタンの含有量が少なくても白色の度合いの強い繊維を得ることができる。
さらに、表面シートがこのような特定の芯鞘型の熱可塑性樹脂繊維(すなわち、芯部のみに酸化チタンが含有された芯鞘型の熱可塑性樹脂繊維)によって構成されていると、当該表面シートを製造する際に、鞘部の熱融着等による繊維同士の接合が酸化チタンによって阻害されにくくなるため、前記繊維同士をより確実に接合することができ、表面シートをより強度に優れたものとすることができる。その結果、表面シートは、構成する芯鞘型の熱可塑性樹脂繊維の芯部が動物の引っ掻き動作等による影響を受けにくくなるため、上述の酸化チタンによって奏される作用効果を、長時間に亘って更に持続的に発揮することができる。
【0050】
なお、上述の熱可塑性樹脂繊維の繊度は、特に制限されず、例えば、1.1~8.8dtexの範囲内の繊度が挙げられるが、不織布の強度や柔軟性、液透過性などの点から、1.5~4.6dtexの範囲内であることが好ましい。
さらに、上述の熱可塑性樹脂繊維は、例えば、界面活性剤や親水剤等を利用した処理(例えば、繊維内部への界面活性剤の練り込み、繊維表面への界面活性剤の塗布等)などの親水化処理が施されていてもよい。
【0051】
また、本実施形態に係る動物用排泄物処理シート1において、表面シート2は、ペットが領域(A)を把握しやすくする観点から、白色の繊維のみによって構成されていることが好ましいものの、本発明の効果を阻害しない範囲内において白色でない他の繊維や任意の添加剤を含んでいてもよい。
そのような他の繊維としては、上述の熱可塑性樹脂と同様の熱可塑性樹脂からなる繊維が挙げられ、その含有量は、表面シートを構成する全繊維の75質量%以下であることが好ましい。
また、任意の添加剤としては、例えば、香料や消臭剤、抗菌剤、殺菌剤などが挙げられる。なお、これらの添加剤は、二種類以上を併用してもよい。
【0052】
本実施形態において、表面シート2の厚みは、上述の特定要件を満たす限り特に制限されないが、0.5mm以上であることが好ましい。
なお、表面シートの厚みは、例えば、測定装置としてCOMPRESSION TESTER(カトーテック株式会社製、型式:KES-FB3 AUTO-A)を使用し、次のようにして測定することができる。表面シートの厚みを測定するに当たっては、表面シートからサンプリングした測定用試料を上述の測定装置に配置し、測定端子による前記測定用試料への圧力が0.5g/cmのときの厚みを測定する。表面シートの厚みは、N=10での測定値の平均値を採用する。
【0053】
本実施形態において、表面シート2の坪量は、特に制限されないが、20g/m以上であることが好ましく、22g/m~25g/mであることが特に好ましい。表面シートの坪量が上記の好ましい範囲内であると、領域(A)における白度を高めやすい。
【0054】
次に、本実施形態に係る動物用排泄物処理シート1の吸収体3について、詳細に説明する。
【0055】
吸収体3は、図2に示すように、表面シート2の排泄物の供給面とは反対側に配置されていて、前記表面シート2を透過した排泄物を吸収し、保持する吸収性部材である。表面シート2と吸収体3とは、ホットメルト型接着剤等の任意の接着剤によって接合されており、当該接着剤は、排泄物の透過を妨げない程度の坪量(例えば、0.1~10g/m2)及び塗工形態(例えば、スパイラル状、ドット状、ストライプ状等)で、表面シート2と吸収体3との間に配置されている。
【0056】
なお、本実施形態においては、吸収体3は、図1及び図3に示すように、平面視にて略矩形状の外形形状を有していて、動物用排泄物処理シート1の中央領域に配置されているが、本発明においては、このような態様に限定されず、吸収体は、矩形以外の任意の平面視形状を有していてもよく、また、動物用排泄物処理シートの中心から任意の方向に偏って配置されていてもよい。
【0057】
本実施形態において、吸収体3は、図2に示すように、表面シート側に位置する親水性の上部シート31と、裏面シート側に位置し且つ排泄物を吸収し保持するための吸収性材料によって形成された吸収コア32と、これら上部シート31及び吸収コア32を裏面シート側から被覆する、少なくとも1枚の液透過性シートからなるコアラップシート33と、によって構成されている。
【0058】
さらに、前記吸収コア32は、図2に示すように、表面シート側に位置し且つ前記吸収性材料としての吸収性ポリマー321aによって構成された第1吸収コア321と、裏面シート側に位置し且つ前記吸収性材料としての吸収性ポリマー322a及び吸水性繊維322bによって構成された第2吸収コア322と、によって構成されている。
【0059】
前記上部シート31は、白色のティッシュペーパー(例えば、針葉樹晒クラフトパルプを主原料として形成された、坪量が13.5g/mのティッシュペーパー等)によって構成され、吸収体3において、吸収コア32の表面シート側の表面を覆うように配置されて、前記吸収コア32の型崩れを防止するものである。
【0060】
本実施形態において、上部シート31は、吸収コア32よりも密度が高い中間層を形成する。これにより、吸収体3がより目立ち、ペットが排泄するターゲットとなる吸収体を認識しやく、ペットはより精度高く正しい位置で排泄する事ができる。また、飼い主はペットの尿量、尿の色、使用箇所等をより把握しやすくなる。
【0061】
なお、本実施形態において、上部シート31と吸収コア32とは、水スプレーによって接着されている。この水スプレーは、吸収体3を製造する際に、吸収コア32(具体的には、吸収性ポリマー321aからなる第1吸収コア321)の上面(すなわち、動物用排泄物処理シートにおける表面シート側の表面)に水を噴霧し、その上に前記上部シート31を貼り付けるという接着手段である。なお、この噴霧された水は、その後蒸発し、当該水の噴霧箇所は乾燥した状態となるので、上述の上部シート31と吸収コア32(具体的には、吸収性ポリマー321aからなる第1吸収コア321)は、直接的に接合された状態となる。上部シート31と吸収コア32とがこのような水スプレーによって接着されていると、上部シート31と吸収コア32との間に接着剤が介在せず、表面シート側から移行してきた尿などの排泄物を迅速に吸収コア32に吸収させることができるので、動物の排泄直後から消臭効果を発揮することができ、動物の飼い主等に対して快適な飼育環境を提供することができる。
【0062】
上部シートを構成するシート部材は、特に制限されず、上述のティッシュペーパーのほか、例えば、エアースルー不織布、スパンボンド不織布などの任意の不織布を用いることができる。
【0063】
以下、上述の実施形態に係る動物用排泄物処理シート1おける吸収コア32について、更に詳細に説明する。
【0064】
本実施形態において、吸収コア32は、上述のとおり、表面シート側に位置する第1吸収コア321と、裏面シート側に位置する第2吸収コア322と、によって構成されている。
さらに、第1吸収コア321は、図2に示すように、上述の上部シート31と第2吸収コア322との間において面状に分散した状態で存在する、粒状の吸収性ポリマー321aによって構成されていて、第2吸収コア322は、上述の第1吸収コア321とコアラップシート33との間に配置された、粒状の吸収性ポリマー322aと吸水性繊維322bとの混合物によって構成されている。
【0065】
第1吸収コア321を構成する吸収性ポリマー321aと、第2吸収コア322を構成する吸収性ポリマー322aは、同一の吸収性ポリマーであっても、異なる吸収性ポリマーであってもよい。本実施形態に用いられる吸収性ポリマーは、液体を吸収、保持することができるものであれば特に制限されず、例えば、ポリアクリル酸系、デンプン系、セルロース系等の任意の高吸水性ポリマーを採用することができる。この吸収性ポリマーの坪量は、特に制限されないが、液の吸収性と領域(A)の白度を高める等の観点から、第1吸収コア321を構成する吸収性ポリマー321aの坪量は、5g/m~170g/mの範囲内であることが好ましく、20g/m~135g/mがより好ましく、30g/m~105g/mが更に好ましい。また、第2吸収コア322に含まれる吸収性ポリマー322aの坪量は、0.5g/m~65g/mの範囲内であることが好ましく、5g/m~50g/mがより好ましく、5g/m~40g/mが更に好ましい。
【0066】
第2吸収コア322に含まれる吸水性繊維は、液体を吸収、保持することができるものであれば特に制限されず、例えば、パルプ(例えば、フラッフパルプ等)などのセルロース系吸水性繊維を用いることができる。
また、吸水性繊維の坪量は、特に制限されないが、液の吸収性の点から、10g/m~250g/mの範囲内であることが好ましく、30g/m~200g/mがより好ましく、45g/m~150g/mが更に好ましい。
【0067】
吸収コア32全体の坪量は、15g/m~480g/mが好ましく、55g/m~385g/mがより好ましく、80g/m~290g/mがさらに好ましい。
吸収コア32全体の坪量が上記の好ましい範囲内であると、領域(A)の白度を高めやすい。
【0068】
本実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、吸収体3に含まれる吸収コア32が上述のような第1吸収コア321及び第2吸収コア322によって構成されているため、表面シート2を透過した排泄物が、前記第2吸収コア322に含まれるパルプ等の吸水性繊維322bの親和力によって、前記第1吸収コア321の吸収性ポリマー321aの間を通過して前記第2吸収コア322に引き込まれやすくなっている。これにより、本実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、尿などの排泄物を迅速に吸収体3に吸収させることができるので、動物の飼い主等に対して快適な飼育環境を提供することができる。また、本実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、表面シート2と吸収体3との間に尿などの排泄物が残留しにくくなるため、当該動物用排泄物処理シート1を使用する動物の足や体毛等が濡れにくくなっている。
【0069】
さらに、吸収体3に含まれる吸収コア32が上述のような第1吸収コア321及び第2吸収コア322によって構成されていると、犬などの動物が本実施形態に係る動物用排泄物処理シート1の上に乗ったときに、動物の足から掛かる圧力によって前記第2吸収コア322に含まれる吸水性繊維322bの間に保持された排泄物が滲み出てきたとしても、この滲み出てきた排泄物を、前記第2吸収コア322に含まれる吸収性ポリマー322aと、表面シート2側に位置する第1吸収コア321の吸収性ポリマー321aとによって吸収することができるため、表面シート2の供給面に向けて排泄物が戻りにくくなる。これにより、動物の足が汚れたり、吸収体3から戻ってきた排泄物によって悪臭が発生したりすることを防ぐことができる。
【0070】
また、本実施形態に係る動物用排泄物処理シート1は、吸収体3が、第1吸収コア321の吸収性ポリマー321aと、第2吸収コア322に含まれる吸収性ポリマー322a及び吸水性繊維322bと、を吸収性材料として含んでいるため、吸収体全体として保水量が大きく、動物から排泄される排泄物を長時間に亘って確実に吸収・保持することができる。
【0071】
なお、上述の実施形態では、吸収体3に含まれる吸収コア32が上述のような第1吸収コア321及び第2吸収コア322によって構成されているが、本発明においては、このような構成に限定されず、吸収コアは、従来のように単一の吸収コアから構成されていてもよく、或いは、3個以上の複数の吸収コアから構成されていてもよい。
また、吸収コアを構成する吸収性材料も、上述の吸収性ポリマーや吸水性繊維に限定されず、当技術分野において従来から用いられている任意の吸収性材料を採用することができる。
【0072】
また、本実施形態において、コアラップシート33は、上述の上部シート31と同様のティッシュペーパー(例えば、針葉樹晒クラフトパルプを主原料として形成された、坪量が13.0g/m~13.5g/mのティッシュペーパー等)によって構成され、吸収体3において、上部シート31及び吸収コア32を裏面シート側から被覆するように配置されて、前記吸収コア32の型崩れや前記上部シート31の位置ズレ等を防止するものである。
【0073】
本実施形態において、コアラップシート33は、上部シート31及び吸収コア32を裏面シート側から被覆するように配置されることにより、吸収コア32よりも密度が高い中間層を形成する。上記構成により、領域(A)において、領域(A2)は領域(A1)の境界として認識しやすくなり、領域(A1)と領域(A2)との色のコントラストがより鮮明となりやすい。これにより、吸収体3がより目立ち、ペットが排泄するターゲットとなる吸収体を認識しやく、ペットはより精度高く正しい位置で排泄する事ができる。また、飼い主はペットの尿量、尿の色、使用箇所等をより把握しやすくなる。
【0074】
本実施形態において、コアラップシートは、液透過性を有し且つ吸収コアの型崩れ等を防止し得るものであれば特に制限されず、上述のティッシュペーパーのほか、例えば、エアースルー不織布、スパンボンド不織布などの任意の不織布を用いることができる。
【0075】
次に、本実施形態に係る動物用排泄物処理シート1に用いられる裏面シート4について、更に詳細に説明する。
【0076】
本実施形態において、裏面シート4は、図2に示すように、動物用排泄物処理シート1の厚さ方向Tにおいて、動物用排泄物処理シート1が載置される床面又は地面と対向するように配置されていて、動物から排泄された排泄物の漏洩を防ぐ液不透過性のシート部材によって構成されている。
このような裏面シート4を構成する液不透過性のシート部材は、特に制限されず、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の非通気性樹脂フィルム、該樹脂フィルムに不織布を貼り合わせた積層体、撥水性又は疎水性の不織布などを好適に用いることができる。
【0077】
上述の実施形態のような本発明の動物用排泄物処理シートは、例えば、次のようにして製造することができる。
(1)表面シートの製造
白色顔料(例えば、酸化チタン等)を所定の含有量で含有する、繊維(例えば、PET(芯部)/PE(鞘部)の芯鞘型複合繊維)をカーディング装置に供給し、該カーディング装置内において前記芯鞘型複合繊維を開繊して、ウェブを形成する。形成したウェブを更に搬送方向の下流側に搬送しながら、例えば、エアースルー方式の加熱装置に搬送し、該加熱装置内でウェブ内の繊維同士を交絡させることにより、表面シートとなる親水性の不織布を得る。
(2)吸収体の製造
上述の吸収性材料を含む略平板状の第2吸収コアを用意し、この第2吸収コアの一方の表面に所定量の吸収性ポリマーを均一に配置することにより第1吸収コアを形成し、当該第1吸収コア及び第2吸収コアの積層物からなる吸収コアを得る。さらに、この吸収コアの上面に上述の上部シートを貼り付けた後、当該上部シート及び吸収コアを任意のコアラップシートによって被覆することにより、吸収体を得る。
(3)動物用排泄物処理シートの製造
吸収体の上部シート側の一方の面に、例えば、ホットメルト型の接着剤を用いて、上述の表面シートの第2面を接合した後、吸収体の第2吸収コア側の他方の面に、例えば、ポリエチレン製の非通気シートを裏面シートとして配置し、前記表面シートと前記裏面シートの間に吸収体を挟んだ状態で、前記表面シートと前記裏面シートのそれぞれの周縁部を、ホットメルト型の接着剤によって接合することにより、上述の実施形態のような本発明の動物用排泄物処理シートを得ることができる。
【0078】
本発明の動物用排泄物処理シートは、上述の各実施形態や後述する実施例等に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組み合わせや変更等が可能である。例えば、本発明の更に別の実施形態では、動物用排泄物処理シートが、表面シートと吸収体との間、吸収体と裏面シートとの間又はそれら両方に、長手方向L及び/又は幅方向Wに液の拡散性を有する中間シートを備えていてもよい。動物用排泄物処理シートが、このような中間シートを備えていると、当該中間シートによって排泄物を長手方向L及び/又は幅方向Wに拡散させながら吸収体に吸収させることができるため、ペットが領域(A)を把握しやすいという効果に加えて、吸収効率に優れ、液戻りがしにくいなどの高い吸収性能を発揮することができる。
なお、本明細書において、「第1」、「第2」等の序数は、当該序数が付された事項を区別するためのものであり、各事項の順序や優先度、重要度等を意味するものではない。
【実施例
【0079】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0080】
(実施例1~4、比較例1~2)
表1に示す表面シート及び吸収体と、裏面シートとを公知の方法により接合し、動物用排泄物処理シートを得た。
【0081】
実施例1~4、比較例1~2で用いた表面シート及び得られた各動物用排泄物処理シートについて、白度、光沢度を以下の方法で評価した。また、得られた各動物用排泄物処理シートについて、厚みを以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0082】
(白度)
JIS Z 8715に準拠して白度を測定した。具体的には、Color meter ZE 6000(日本電色工業株式会社)のZERO-BOXを試料口にのせて「0-CAL」キーを押し、零校正を行った。標準白板を試料口にのせて「S-CAL」キーを押し、標準校正を行った測定方法が「反射測定」であることを確認し、試料口にサンプルをのせ、上から「試料押さえ」で押さえた上で「ENTER」キーを押し、測定を開始した。
1つのシートの吸収体中央部分を30mm×30mm(Sizeは測定機器及びサンプルに合わせて適宜修正できる)で切り抜いたサンプルを5つ作成し、そのサンプルについて測定し、その平均値を吸収体の存在する領域(A)における白度とした。また、各シートの周縁部の白度を5つのサンプルについて白度計を用いて測定し、その平均値を吸収体の存在しない領域(B)における白度とした。
【0083】
(光沢度)
光沢度は、Gloss Meter VG7000(日本電食工業株式会社製)を用いて測定した。具合的には、測定角度が60℃になっていることを確認した上で、ZERO-BOXを試料台にセットし、「0-CAL」キーを押して零校正を行った。標準板を試料台にセットし、「S-CAL」キーを押して、標準校正を行った。試料台にサンプルをセットし、「試料押さえ」でサンプルを押さえながら「START」キーを押し、測定を開始した。
【0084】
(厚み)
厚みは、PEACOCK 厚み測定器J-B 0.05mm(株式会社尾崎製作所製)を用いて測定した。上記の機器を用いて、シートの長手方向の吸収体上を5分割した点を測定し、平均値とした。
【0085】
【表1】
【0086】
表1中、表面シートの素材は以下の通りである。
AT22gsm:坪量22g/mのエアースルー不織布。
PB22gsm:22g/mの坪量ポイントボンド不織布。
【0087】
(実施例5)
表面シート(坪量22g/mのエアースルー不織布(酸化チタン含有量:6%))と、吸収コア及びコアラップシートからなる吸収体と、裏面シートとを公知の方法により接合し、動物用排泄物処理シートを得た。
【0088】
(実施例6)
表面シート(坪量22g/mのエアースルー不織布(酸化チタン含有量:6%))と、上部シート、吸収コア及びコアラップシートからなる吸収体と、裏面シートとを公知の方法により接合し、動物用排泄物処理シートを得た。
【0089】
(実施例7)
表面シート(坪量22g/mのエアースルー不織布(酸化チタン含有量:6%))と、上部シート及び吸収コアからなる吸収体と、裏面シートとを公知の方法により接合し、動物用排泄物処理シートを得た。
【0090】
実施例6の動物用排泄物処理シートについて、領域(B1)、領域(B2)、領域(A1)領域(A21)及び領域(A22)のそれぞれの白度を下記の方法により評価した。結果を表2に示す。
【0091】
(白度)
図4は、実施例6に係る動物用排泄物処理シートの断面模式図である。JIS Z 8715に準拠して、前記と同様の方法により、図4に示す領域(B1)、領域(B2)、領域(A1)、領域(A21)及び領域(A22)の白度を測定した。
【0092】
【表2】
【0093】
(白内障ゴーグルによる評価)
実施例1の動物用排泄物処理シート(白度:90.2)、市販の動物用排泄物処理シートA(白度:84.7)及び市販の動物用排泄物処理シートB(白度:73.68)について、白内障体験ゴーグルを用いて観察した。
白内障を患うと、青系波長の短い光が濁った状態の水晶体を通らなくなり、網膜に到達する光が赤や黄系の色だけになって、全体に黄色がかったような色になる。この状態を「視界状態A」とした。
また、白内障を患うと、視野は光を通す部分が減少するために霞がかかったようにぼやけてくる。この状態を「視界状態B」とした。
【0094】
図5は、左から市販の動物用排泄物処理シートA、実施例1の動物用排泄物処理シート、市販の動物用排泄物処理シートBを(a)通常状態で観察した写真、(b)視界状態Aで観察した写真、並びに(c)視界状態A及び視界状態Bで観察した写真である。
また、図6は、左から実施例1の動物用排泄物処理シート、市販の動物用排泄物処理シートA、市販の動物用排泄物処理シートBを(a)通常状態で観察した写真、(b)視界状態Aで観察した写真、並びに(c)視界状態A及び視界状態Bで観察した写真である。
図5及び6に示されるように、実施例1の動物用排泄物処理シートは、視界状態A、もしくは視界状態A及びBで観察しても、白度が高く視覚的に認識できることが確認された。
【符号の説明】
【0095】
1 動物用排泄物処理シート
2 表面シート
3 吸収体
31 上部シート
32 吸収コア
321 第1吸収コア
322 第2吸収コア
33 コアラップシート
4 裏面シート
5 折り線
図1
図2
図3
図4
図5
図6