(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】添加剤組成物、これを含有するポリオレフィン系樹脂組成物、ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法、およびその成形品
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20240207BHJP
C08L 23/00 20060101ALI20240207BHJP
C08K 5/52 20060101ALI20240207BHJP
C08K 5/053 20060101ALI20240207BHJP
C08K 5/098 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
C08L101/00
C08L23/00
C08K5/52
C08K5/053
C08K5/098
(21)【出願番号】P 2020532343
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 JP2019028320
(87)【国際公開番号】W WO2020022189
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2018140920
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】横山 亮
(72)【発明者】
【氏名】横田 悠里
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-246589(JP,A)
【文献】特開2009-120800(JP,A)
【文献】特開2015-201616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-[8-プロピル-2,6-ビス(4-プロピルフェニル)テトラヒドロ[1,3]ジオキシノ[5,4-d]-1,3-ジオキシン-4-イル]エタン-1,2-ジオール(A)および下記一般式(1)、
(一般式(1)中、R
1~R
4は、各々独立して炭素原子数1~6のアルキル基を表し、nは1
であり、M
1
はリチウムを表す。)で表される芳香族リン酸エステル金属塩(B)を含有する添加剤組成物であって、(A)と(B)との質量比が、(A)/(B)=10/90~90/10の範囲で
あることを特徴とする添加剤組成物。
【請求項2】
さらに、脂肪酸金属塩を含有し、前記脂肪酸金属塩が、下記一般式(2)、
(一般式(2)中、R
5は、直鎖または分岐状の炭素原子数12~20のアルキル基を表し、アルキル基は水酸基で置換されていてもよい。M
2は、m価の金属原子またはAl(OH)
3-mを表し、mは、1~3の整数を表す。)で表される化合物である請求項1記載の添加剤組成物。
【請求項3】
前記一般式(2)中、mが1であり、M
2がリチウムである請求項2記載の添加剤組成物。
【請求項4】
さらに、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、その他の酸化防止剤、ヒンダードアミン化合物、紫外線吸収剤、核剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、充填剤、ハイドロタルサイト類、帯電防止剤、顔料、染料から選ばれる1種以上の添加剤を含有する請求項1~3のうちいずれか一項記載の添加剤組成物。
【請求項5】
ポリオレフィン系樹脂と、添加剤組成物と、を含有するポリオレフィン系樹脂組成物であって、
前記添加剤組成物が、請求項1~4のうちいずれか一項記載の添加剤組成物であり、
前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する1-[8-プロピル-2,6-ビス(4-プロピルフェニル)テトラヒドロ[1,3]ジオキシノ[5,4-d]-1,3-ジオキシン-4-イル]エタン-1,2-ジオール(A)の含有量が0.001~0.8質量部であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~4のうちいずれか一項記載の添加剤組成物を準備する工程と、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、1-[8-プロピル-2,6-ビス(4-プロピルフェニル)テトラヒドロ[1,3]ジオキシノ[5,4-d]-1,3-ジオキシン-4-イル]エタン-1,2-ジオール(A)の含有量が0.001~0.8質量部となるように、前記添加剤組成物を配合する工程と、を含むことを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項5記載のポリオレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添加剤組成物、これを含有するポリオレフィン系樹脂組成物、ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法、およびその成形品に関し、詳しくは、粉体流動性に優れる結果、押出機へのフィード安定性に優れ、かつ成形品に優れた透明性および機械的特性を付与することができる添加剤組成物と、これを含有するポリオレフィン系樹脂組成物、ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法、およびその成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブテン-1等のポリオレフィン系樹脂は、安価で、成形加工性、衛生性、耐熱性、耐薬品性、力学的特性、低比重等の優れた性質により、建材、自動車材料、家電機・電子用材料、繊維材料、包装用資材、農業用資材、家電製品のハウジング材料、生活雑貨用品、医療器具、食品容器、飲料容器、フィルム、シートおよび構造部品等の各種成形体に広く利用されている。ポリオレフィン系樹脂は、透明化剤を添加することで優れた透明性を有する成形品を得ることができる。
【0003】
特に、1-[8-プロピル-2,6-ビス(4-プロピルフェニル)テトラヒドロ[1,3]ジオキシノ[5,4-d]-1,3-ジオキシン-4-イル]エタン-1,2-ジオールは、ポリオレフィンの透明性改良効果が顕著なノニトール系透明化剤として知られている。この化合物の市販品としては、例えば、ミリケン・アンド・カンパニー社の、Millad NX 8000,NX 8000J等が挙げられる。
【0004】
このような中、特許文献1では、プロピレン系重合体に対して「NX 8000J」を配合した成形品は、優れた透明性を示すことが開示されている。また、特許文献2では、コンデンサ用誘導体として、高温環境下でも高い耐電圧性と信頼性を維持できるコンデンサ用途に好適なポリプロピレンフィルムとして、「NX 8000」を使用したものが示されている。さらに、特許文献3において、1-[8-プロピル-2,6-ビス(4-プロピルフェニル)テトラヒドロ[1,3]ジオキシノ[5,4-d]-1,3-ジオキシン-4-イル]エタン-1,2-ジオールの構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-171884号公報
【文献】国際公開第2016/043172号
【文献】国際公開第2014/192813号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ノニトール系透明化剤は、ポリオレフィン系樹脂に対して優れた透明性改良効果を付与する一方で、粉体としての流動性に乏しいという問題を有している。具体的には、押出機のホッパー内におけるブロッキングによって、押出機へのノニトール系透明化剤の供給が不安定になり、不良品の発生が多くなる問題が生じている。
【0007】
そこで、本発明の目的は、粉体流動性に優れる結果、押出機へのフィード安定性に優れ、かつ成形品に優れた透明性および機械的特性を付与することができる添加剤組成物と、これを含有するポリオレフィン系樹脂組成物、ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法、およびその成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ノニトール系透明化剤に対して所定の芳香族リン酸エステル金属塩を組み合わせた添加剤組成物が、粉体流動性に優れ、かかる添加剤組成物を含有するポリオレフィン系樹脂組成物は、透明性と物性に優れた成形品を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の添加剤組成物は、1-[8-プロピル-2,6-ビス(4-プロピルフェニル)テトラヒドロ[1,3]ジオキシノ[5,4-d]-1,3-ジオキシン-4-イル]エタン-1,2-ジオール(A)および下記一般式(1)、
(一般式(1)中、R
1~R
4は、各々独立して炭素原子数1~6のアルキル基を表し、nは1または2の数を表し、nが1の場合、M
1は、アルカリ金属を表し、nが2の場合、M
1は、ヒドロキシアルミニウムを表す。)で表される芳香族リン酸エステル金属塩(B)を含有する添加剤組成物であって、(A)と(B)との質量比が、(A)/(B)=10/90~90/10の範囲であることを特徴とするものである。
【0010】
さらに、本発明の添加剤組成物は、さらに、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードアミン化合物、紫外線吸収剤、前記(A)および前記(B)とは異なる核剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、充填剤、ハイドロタルサイト類、脂肪酸金属塩、帯電防止剤、顔料、染料から選ばれる1種以上の添加剤を含有することが好ましい。また、本発明の添加剤組成物においては、前記脂肪酸金属塩が、下記一般式(2)、
(一般式(2)中、R
5は、直鎖または分岐状の炭素原子数12~20のアルキル基を表し、アルキル基は水酸基で置換されていてもよい。M
2は、m価の金属原子またはAl(OH)
3-mを表し、mは、1~3の整数を表す。)で表される化合物であることが好ましい。
【0011】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、1-[8-プロピル-2,6-ビス(4-プロピルフェニル)テトラヒドロ[1,3]ジオキシノ[5,4-d]-1,3-ジオキシン-4-イル]エタン-1,2-ジオール(A)の含有量が0.001~0.8質量部となるように、本発明の添加剤組成物が配合されてなることを特徴とするものである。
【0012】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法は、本発明の添加剤組成物を準備する工程と、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、1-[8-プロピル-2,6-ビス(4-プロピルフェニル)テトラヒドロ[1,3]ジオキシノ[5,4-d]-1,3-ジオキシン-4-イル]エタン-1,2-ジオール(A)の含有量が0.001~0.8質量部となるように、前記添加剤組成物を配合する工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の成形品は、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を用いてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、粉体流動性に優れる結果、押出機へのフィード安定性に優れ、かつ成形品に優れた透明性および機械的特性を付与することができる添加剤組成物と、これを含有するポリオレフィン系樹脂組成物、ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法、およびその成形品を提供することができる。本発明の添加剤組成物は、押出機へのフィード安定性に優れるため、混錬押出工程における生産性および品質の安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の添加剤組成物は、1-[8-プロピル-2,6-ビス(4-プロピルフェニル)テトラヒドロ[1,3]ジオキシノ[5,4-d]-1,3-ジオキシン-4-イル]エタン-1,2-ジオール(A)および一般式(1)で表される芳香族リン酸エステル金属塩(B)を含有する添加剤組成物であって、(A)と(B)の質量比が、(A)/(B)=10/90~90/10の範囲である。
【0016】
【0017】
ここで、一般式(1)中、R1~R4は、各々独立して炭素原子数1~6のアルキル基を表し、nは1または2の数を表し、nが1の場合、M1は、アルカリ金属を表し、nが2の場合、M1は、ヒドロキシアルミニウムを表す。
【0018】
本発明の添加剤組成物は、粉体流動性に優れる。その結果として、本発明の添加剤組成物は、押出機へのフィード安定性に優れたものとなる。さらに、本発明の添加剤組成物は、成形品に優れた透明性および機械的特性を付与することができる。
【0019】
一般式(1)中、R1~R4で表される炭素原子数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等が挙げられる。本発明の添加剤組成物においては、化合物の熱安定が優れるのでtert-ブチルが特に好ましい。
【0020】
また、一般式(1)中、M1で表されるアルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
【0021】
本発明の添加剤組成物に用いられる芳香族リン酸エステル金属塩(B)としては、以下の化合物が挙げられる。ただし、本発明の添加剤組成物はこれらの化合物によって限定されるものではない。
【0022】
【0023】
本発明の添加剤組成物においては、(B)成分は、一種または複数の化合物を組み合わせであってもよい。
【0024】
本発明の添加剤組成物において、(A)成分と(B)成分の質量比は、(A)/(B)=10/90~90/10の範囲内である。(A)/(B)が90/10より大きい場合、添加剤組成物の粉体流動性は十分なものとならない。また(A)/(B)が10/90より小さい場合、添加剤組成物は成形品に十分な透明性を付与することができない。粉体流動性にさらに優れた添加剤組成物を得る観点から、(A)/(B)=80/20~20/80であることが好ましく、70/30~30/70であることがより好ましい。
【0025】
本発明の添加剤組成物は、ポリオレフィン系樹脂に配合するための添加剤として好適に用いることができる。
【0026】
本発明の添加剤組成物においては、さらにフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードアミン化合物、紫外線吸収剤、前記(A)および前記(B)とは異なる核剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、充填剤、ハイドロタルサイト類、脂肪酸金属塩、帯電防止剤、顔料、染料等の添加剤を含有することが好ましい。これら添加剤の含有量の制限は特にないが、本発明の添加剤組成物をポリオレフィン系樹脂に配合したときに、これら添加剤がポリオレフィン系樹脂中で適度な濃度で存在するような量であることが好ましい。
【0027】
フェノール系酸化防止剤は、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、スチレン化フェノール、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-チオビス-(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2-メチル-4,6-ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノール、2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール)、イソオクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、2,2’-オキサミド-ビス[エチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2-エチルヘキシル-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-エチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンゼンプロパン酸およびC13-15アルキルのエステル、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、ヒンダードフェノールの重合物(ADEKA POLYMER ADDITIVES EUROPE SAS社製商品名「AO.OH.98」)、2,2’-メチレンビス[6-(1-メチルシクロヘキシル)-p-クレゾール]、2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート、6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルベンズ[d,f][1,3,2]-ジオキサホスフォビン、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[モノエチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート]カルシウム塩、5,7-ビス(1,1-ジメチルエチル)-3-ヒドロキシ-2(3H)-ベンゾフラノンとo-キシレンとの反応生成物、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール、DL-a-トコフェノール(ビタミンE)、2,6-ビス(α-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、ビス[3,3-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-フェニル)ブタン酸]グリコールエステル、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジフェニル-4-オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル-3,5-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、2-オクチルチオ-4,6-ジ(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-s-トリアジン、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ビス[3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’-ブチリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、ビス[2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-tert-ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-アクリロイルオキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェノール、3,9-ビス[2-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルヒドロシンナモイルオキシ)-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、ステアリル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、パルミチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ミリスチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ラウリル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド等の3-(3,5-ジアルキル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸誘導体等が挙げられる。フェノール系酸化防止剤を配合する場合の配合量は、添加剤組成物をポリオレフィン系樹脂に配合したときに、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する含有量が、0.001~5質量部、より好ましくは、0.03~3質量部になるように調整されることが好ましい。
【0028】
リン系酸化防止剤は、例えば、トリフェニルホスファイト、ジイソオクチルホスファイト、ヘプタキス(ジプロピレングリコール)トリホスファイト、トリイソデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジフェニルホスファイト、トリス(ジプロピレングリコール)ホスファイト、ジオレイルヒドロゲンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(トリデシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジノニルフェニルビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト、テトラフェニルジプロピルグリコールジホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2-tert-ブチル-4-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルチオ)-5-メチルフェニル〕ホスファイト、トリ(デシル)ホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールとステアリン酸カルシウム塩との混合物、アルキル(C10)ビスフェノールAホスファイト、テトラフェニル-テトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-n-ブチリデンビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10-ジハイドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、(1-メチル-1-プロペニル-3-イリデン)トリス(1,1-ジメチルエチル)-5-メチル-4,1-フェニレン)ヘキサトリデシルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-オクタデシルホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)フルオロホスファイト、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、トリス(2-〔(2,4,8,10-テトラキス-tert-ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ〕エチル)アミン、3,9-ビス(4-ノニルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスフェススピロ[5,5]ウンデカン、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル-2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールホスファイト、ポリ4,4’-イソプロピリデンジフェノールC12-15アルコールホスファイト、ビス(ジイソデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。リン系酸化防止剤を配合する場合の配合量は、添加剤組成物をポリオレフィン系樹脂に配合したときに、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する含有量が、0.001~10質量部、より好ましくは、0.01~0.5質量部になるように調整されることが好ましい。
【0029】
チオエーテル系酸化防止剤は、例えば、テトラキス[メチレン-3-(ラウリルチオ)プロピオネート]メタン、ビス(メチル-4-[3-n-アルキル(C12/C14)チオプロピオニルオキシ]5-tert-ブチルフェニル)スルファイド、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオネート、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ラウリル/ステアリルチオジプロピオネート、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、2,2’-チオビス(6-tert-ブチル-p-クレゾール)、ジステアリル-ジサルファイドが挙げられる。チオエーテル系酸化防止剤を配合する場合の配合量は、添加剤組成物をポリオレフィン系樹脂に配合したときに、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する含有量が、0.001~10質量部、より好ましくは、0.01~0.5質量部になるように調整されることが好ましい。
【0030】
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、5,5’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)等の2-ヒドロキシベンゾフェノン類;2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス(4-tert-オクチル-6-ベンゾトリアゾリルフェノール)、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-アクリロイルオキシエチル)-5-メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-ブチルフェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-tert-アミル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(2-メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2-エチル-2’-エトキシオキザニリド、2-エトキシ-4’-ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル-α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノール、2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、トリオクチル-2,2’,2”-((1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイル)トリス(3-ヒドロシキベンゼン-4-,1-ジイル)トリプロピオネート)、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、1,12-ビス[2-[4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-3-ヒドロキシフェノキシ]エチル]ドデカンジオエート等のトリアジン類;各種の金属塩、または金属キレート、特にニッケル、クロムの塩、またはキレート類等が挙げられる。紫外線吸収剤を配合する場合の配合量は、添加剤組成物をポリオレフィン系樹脂に配合したときに、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する含有量が、0.001~10質量部、より好ましくは、0.01~0.5質量部になるように調整されることが好ましい。
【0031】
ヒンダードアミン化合物は、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルステアレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)・ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-ブチル-2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノ-ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-モルホリノ-s-トリアジン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-tert-オクチルアミノ-s-トリアジン重縮合物、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8-12-テトラアザドデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕アミノウンデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕アミノウンデカン、ビス{4-(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル)ピペリジル}デカンジオナート、ビス{4-(2,2,6,6-テトラメチル-1-ウンデシルオキシ)ピペリジル)カーボナート等が挙げられる。ヒンダードアミン化合物を配合する場合の配合量は、添加剤組成物をポリオレフィン系樹脂に配合したときに、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する含有量が、0.001~10質量部、より好ましくは、0.01~0.5質量部になるように調整されることが好ましい。
【0032】
核剤(一般式(1)とは異なる化合物を含有するもの)としては、例えば、安息香酸ナトリウム、4-tert-ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウムおよび2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボキシレート等のカルボン酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p-エチルベンジリデン)ソルビトール、およびビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール等のポリオール誘導体、N,N’,N”-トリス[2-メチルシクロヘキシル]-1,2,3-プロパントリカルボキサミド、N,N’,N”-トリシクロヘキシル-1,3,5-ベンゼントリカルボキサミド、N,N’-ジシクロヘキシルナフタレンジカルボキサミド、1,3,5-トリ(ジメチルイソプロポイルアミノ)ベンゼン等のアミド化合物等を挙げることができる。核剤を配合する場合の配合量は、添加剤組成物をポリオレフィン系樹脂に配合したときに、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する含有量が、0.03~10質量部、より好ましくは、0.05~0.5質量部になるように調整されることが好ましい。
【0033】
難燃剤は、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル-2,6-ジキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、(1-メチルエチリデン)-4,1-フェニレンテトラフェニルジホスフェート、1,3-フェニレンテトラキス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフェート、株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブFP-500」、「アデカスタブFP-600」、「アデカスタブFP-800」の芳香族リン酸エステル、フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル、フェニルホスホン酸(1-ブテニル)等のホスホン酸エステル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド誘導体等のホスフィン酸エステル、ビス(2-アリルフェノキシ)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン等のホスファゼン化合物、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、ポリリン酸ピペラジン、リン含有ビニルベンジル化合物および赤リン等のリン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、1,2-ジブロモ-4-(1,2-ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレンおよび2,4,6-トリス(トリブロモフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、トリブロモフェニルマレイミド、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、テトラブロモビスフェノールA型ジメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、および、臭素化スチレン等の臭素系難燃剤等を挙げることができる。これら難燃剤はフッ素樹脂等のドリップ防止剤や多価アルコール、ハイドロタルサイト等の難燃助剤と併用することが好ましい。難燃剤を配合する場合の配合量は、添加剤組成物をポリオレフィン系樹脂に配合したときに、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する含有量が、1~100質量部、より好ましくは、10~70質量部になるように調整されることが好ましい。
【0034】
滑剤は、成形体表面に滑性を付与し、傷つき防止効果を高める目的で加えられる。滑剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド、ブチルステアレート、ステアリルアルコール、ステアリン酸モノグリセライド、ソルビタンモノパルミチテート、ソルビタンモノステアレート、マンニトール、ステアリン酸、硬化ひまし油、ステアリンサンアマイド、オレイン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。滑剤を配合する場合の配合量は、添加剤組成物をポリオレフィン系樹脂に配合したときに、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する含有量が、0.01~2質量部、より好ましくは、0.03~0.5質量部になるように調整されることが好ましい。
【0035】
ハイドロタルサイト類は、天然物や合成物として知られるマグネシウム、アルミニウム、水酸基、炭酸基および任意の結晶水からなる複合塩化合物であり、マグネシウムまたはアルミニウムの一部をアルカリ金属や亜鉛等他の金属で置換したものや水酸基、炭酸基を他のアニオン基で置換したものが挙げられ、具体的には、例えば、下記一般式(3)で表されるハイドロタルサイトの金属をアルカリ金属に置換したものが挙げられる。また、Al-Li系のハイドロタルサイト類としては、下記一般式(4)で表される化合物も用いることができる。
【0036】
【0037】
ここで、一般式(3)中、x1およびx2はそれぞれ下記式、
0≦x2/x1<10,2≦x1+x2≦20
で表される条件を満たす数を表し、pは0または正の数を表す。
【0038】
【0039】
ここで、一般式(4)中、Aq-は、q価のアニオンを表し、pは0または正の数を表す。
【0040】
また、ハイドロタルサイト類における炭酸アニオンは、一部を他のアニオンで置換したものでもよい。
【0041】
ハイドロタルサイト類は、結晶水を脱水したものであってもよく、ステアリン酸等の高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩等の高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩等の有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルまたはワックス等で被覆されたものであってもよい。
【0042】
ハイドロタルサイト類は、天然物であってもよく、また合成品であってもよい。これらの化合物の合成方法としては、特公昭46-2280号公報、特公昭50-30039号公報、特公昭51-29129号公報、特公平3-36839号公報、特開昭61-174270号公報、特開平5-179052号公報等に記載されている公知の方法が挙げられる。また、これらハイドロタルサイト類は、その結晶構造、結晶粒子等に制限されることなく使用することができる。ハイドロタルサイト類を配合する場合の配合量は、添加剤組成物をポリオレフィン系樹脂に配合したときに、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する含有量が、0.001~5質量部、より好ましくは、0.01~3質量部になるように調整されることが好ましい。
【0043】
脂肪酸金属塩に用いられる脂肪酸としては、例えば、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2-エチルヘキシル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、モンタン酸等の等の飽和脂肪酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸等の者不飽和脂肪酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸等のジ不飽和脂肪酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドエン酸、ドコサヘキサエン酸等の不飽和結合が3以上の不飽和脂肪酸が挙げられる。本発明の添加剤組成物においては、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸等の、炭素原子数12~20の脂肪酸がより好ましい。
【0044】
脂肪酸金属塩に用いられる金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、マグネシウム、アルミニウム等が挙げられ、水酸基を有する金属原子であってもよい。
【0045】
これらの脂肪酸金属塩の中でも、耐熱性や樹脂中の核剤の分散効果が得られる観点から、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
【0046】
【0047】
ここで、一般式(2)中、R5は、直鎖または分岐状の炭素原子数12~20のアルキル基を表し、アルキル基は水酸基で置換されていてもよい。M2は、m価の金属原子またはAl(OH)3-mを表し、mは、1~3の整数を表す。
【0048】
一般式(2)中、M2の具体例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、ヒドロキシアルミニウム、ジヒドロキシアルミニウム等が挙げられ、ナトリウム、リチウム、カリウムが特に好ましい。
【0049】
本発明の添加剤組成物においては、脂肪酸金属塩の含有量は、(B)成分に対して5~50質量%が好ましく、より好ましくは10~35質量%である。
【0050】
帯電防止剤は、例えば、脂肪酸第四級アンモニウムイオン塩、ポリアミン四級塩等のカチオン系帯電防止剤;高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールEO付加物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アニオン型のアルキルスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物リン酸エステル塩等のアニオン系帯電防止剤;多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリコールリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル等のノニオン系帯電防止剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性型アルキルベタイン、イミダゾリン型両性活性剤等の両性帯電防止剤、ポリエーテルエステルアミド等の高分子型帯電防止剤が挙げられる。これら帯電防止剤は単独で用いてもよく、また、2種類以上の帯電防止剤を組み合わせて用いてもよい。帯電防止剤を配合する場合の配合量は、添加剤組成物をポリオレフィン系樹脂に配合したときに、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する含有量が、0.03~2質量部、より好ましくは、0.1~0.8質量部になるように調整されることが好ましい。
【0051】
顔料は、市販の顔料を用いることもでき、例えば、ピグメントレッド1、2、3、9、10、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65、71;ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180、185;ピグメントグリーン7、10、36;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、29、56、60、61、62、64;ピグメントバイオレット1、15、19、23、27、29、30、32、37、40、50等が挙げられる。
【0052】
蛍光増白剤とは、太陽光や人工光の紫外線を吸収し、これを紫~青色の可視光線に変えて輻射する蛍光作用によって、成形体の白色度や青味を助長させる化合物である。蛍光増白剤としては、ベンゾオキサゾール系化合物C.I.Fluorescent Brightner184;クマリン系化合物C.I.Fluorescent Brightner52;ジアミノスチルベンジスルフォン酸系化合物C.I.Fluorescent Brightner24、85、71等が挙げられる。蛍光増白剤を用いる場合の配合量は、添加剤組成物をポリオレフィン系樹脂に配合したときに、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する含有量が、0.00001~0.1質量部、より好ましくは、0.00005~0.05質量部になるように調整されることが好ましい。
【0053】
染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料、スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられ、これらは複数を混合して用いてもよい。
【0054】
本発明の添加剤組成物を製造する方法は特に制限されるものではなく、例えば1-[8-プロピル-2,6-ビス(4-プロピルフェニル)テトラヒドロ[1,3]ジオキシノ[5,4-d]-1,3-ジオキシン-4-イル]エタン-1,2-ジオール(A)、芳香族リン酸エステル金属塩(B)および必要に応じてその他の添加剤を配合し、ヘンシェルミキサー等の公知の混合装置を用いてブレンドする方法等であればよい。また本発明の添加剤組成物は、上記の成分に加え高分子化合物、石油樹脂等のバインダーをさらに配合した後、バインダーが融解する温度に加熱しながら混合し、ペレット形状とする方法で製造されてもよい。この製造方法における加工条件、加工機器等については何ら限定されるものではなく、周知一般の加工条件、加工機器を使用することができる。この製造方法としては、具体的には例えばディスクペレッター法、押出法等が挙げられる。
【0055】
次に、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物について説明する。本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂に対し、本発明の添加剤組成物が配合されてなるものである。本発明のポリオレフィン系樹脂組成物において添加剤組成物は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、1-[8-プロピル-2,6-ビス(4-プロピルフェニル)テトラヒドロ[1,3]ジオキシノ[5,4-d]-1,3-ジオキシン-4-イル]エタン-1,2-ジオール(A)の含有量が0.001~0.8質量部となるように配合される。本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、成形品に優れた透明性および機械的特性を付与することができる。また本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、混練押出工程における生産性および品質の安定性が優れたものになる。
【0056】
上述したように、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物において添加剤組成物は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、1-[8-プロピル-2,6-ビス(4-プロピルフェニル)テトラヒドロ[1,3]ジオキシノ[5,4-d]-1,3-ジオキシン-4-イル]エタン-1,2-ジオール(A)の含有量が0.001~0.8質量部となるように配合される。(A)成分の含有量が0.001質量部未満となるように配合された場合、成形品に十分な透明性を付与することができない場合があり、(A)成分の含有量が0.8質量部を超えるように配合された場合、添加効果が得られず不経済である。添加剤組成物は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、(A)成分の含有量が0.01~0.5質量部となるように配合されることが好ましい。この場合、ポリオレフィン系樹脂組成物は、成形品にさらに優れた透明性および機械的特性を付与することができるものとなる。
【0057】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物に用いられるポリオレフィン系樹脂は、特に制限されない。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ステレオブロックポリプロピレン、ポリ-3-メチル-1-ブテン、ポリ-3-メチル-1-ペンテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン重合体、エチレン/プロピレンブロックまたはランダム共重合体、インパクトコポリマーポリプロピレン、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール樹脂(EVOH)等のα-オレフィン共重合体等が使用でき、ポリオレフィン系樹脂からなるエラストマーであってもよい。本発明のポリオレフィン系樹脂組成物においては、これら2種以上をブレンドして使用してもよく、ブロック共重合体を形成してブロックポリマー型として使用してもよく、樹脂がアロイ化されていてもよい。また、これらのオレフィン系樹脂の塩素化物であってもよい。
【0058】
ポリオレフィン系樹脂のエラストマーとしては、ハードセグメントとしてポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ソフトセグメントとしてエチレン-プロピレンゴム等のゴムを用いて、これらをブレンドすることにより得られるエラストマー、或いは動的架橋により得られるエラストマーが挙げられる。ハードセグメントとしては、例えば、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンブロックコポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー等から選ばれる少なくとも1種があげられる。ソフトセグメントとしては、エチレンープロピレン共重合体(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、酢酸ビニルホモポリマー等が挙げられる。これら2種以上をブレンドして使用してもよい。
【0059】
上記オレフィン系樹脂の製造方法は、チーグラー触媒、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒その他の各種重合触媒を助触媒、触媒の担体、連鎖移動剤を含め、また、気相重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合等の各種重合方法において、温度、圧力、濃度、流速や触媒残渣の除去等の各種重合条件等、包装資材に適した物性の樹脂が得られるものや包装資材の成形加工に適した物性の樹脂が得られるものを適宜選択して製造される。オレフィン系樹脂の数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、メルトフローレート、融点、融解ピーク温度、アイソタクチック、シンジオタクチック等の立体規則性、分岐の有無や程度、比重、各種溶媒への溶解成分の比率、Haze、グロス、衝撃強度、曲げ弾性率、オルゼン剛性、その他の特性および各特性値が特定の式を満足するか否かなどは所望する特性に応じて適宜選択することができる。
【0060】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、発明の効果を著しく損なわない範囲で、任意で公知の添加剤(例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、その他の酸化防止剤、ヒンダードアミン化合物、紫外線吸収剤、上記(A)および上記(B)とは異なる核剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、充填剤、ハイドロタルサイト類、脂肪酸金属塩、帯電防止剤、蛍光増白剤、顔料、染料等)等が配合されてもよい。その配合量は、上述のとおりである。
【0061】
次に、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法は、本発明の添加剤組成物を準備する工程と、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、1-[8-プロピル-2,6-ビス(4-プロピルフェニル)テトラヒドロ[1,3]ジオキシノ[5,4-d]-1,3-ジオキシン-4-イル]エタン-1,2-ジオール(A)の含有量が0.001~0.8質量部となるように、本発明の添加剤組成物を配合する工程と、を含む。
【0062】
本発明の製造方法によって製造されるポリオレフィン系樹脂組成物は、成形品に優れた透明性および機械的特性を付与することができるものになる。また本発明の製造方法によって製造されるポリオレフィン系樹脂組成物は、混練押出工程における生産性および品質の安定性が優れたものになる。
【0063】
本発明の添加剤組成物を準備する工程は、特に制限されるものではないが、例えば、上述の添加剤組成物の製造方法に従い、添加剤組成物を準備することができる。
【0064】
また、ポリオレフィン系樹脂に本発明の添加剤組成物を配合する方法としても、特に制限を受けず、一般に用いられる方法、例えば、ポリオレフィン系樹脂粉末若しくはペレットと、本発明の添加剤組成物をドライブレンドする方法、または、本発明の添加剤組成物を高濃度で含有するマスターバッチを作成し、これをポリオレフィン系樹脂に添加する方法等を用いることができる。
【0065】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、発明の効果を著しく損なわない範囲で、任意で公知の添加剤(例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、その他の酸化防止剤、ヒンダードアミン化合物、紫外線吸収剤、上記(A)および上記(B)とは異なる核剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、充填剤、ハイドロタルサイト類、脂肪酸金属塩、帯電防止剤、蛍光増白剤、顔料、染料等)が配合されてもよい。その配合量は、前述のとおりである。
【0066】
次に、本発明の成形品について説明する。本発明の成形品は、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を用いてなるものであり、透明性および機械的特性に優れている。
【0067】
本発明の成形品は、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を公知の成形方法を用いて成形することにより製造することができる。具体的な成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、真空成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、スラッシュ成形法、ディップ成形法、発泡成形法等が挙げられる。
【0068】
本発明の成形品の具体例としては、バンパー、ダッシュボード、インパネ等自動車材料、冷蔵庫、洗濯機、掃除機等のハウジング用途、食器、バケツ、入浴用品等の家庭用品、玩具等の雑貨品、タンク類等の貯蔵、保存用容器等の成形品や、フィルム、繊維等が挙げられる。
【実施例】
【0069】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
【0070】
〔実施例1-1~1-6、比較例1-1~1-4〕
<添加剤組成物の調製>
表1に記載の配合割合で(A)成分としてのノニトール系透明化剤、(B)成分としての芳香族リン酸エステル金属塩、ソルビトール系透明化剤および脂肪酸リチウム塩を配合し、ヘンシェルミキサーを用いて、羽回転速度:1000rpm×5minの条件でブレンドすることにより添加剤組成物を得た。なお表中の各成分の単位は質量部である。得られた添加剤組成物を用いて下記の評価を行った。
【0071】
<スパチュラ角の測定方法>
スパチュラ角とは、粉体層に対して一定の衝撃を加えた後、粉体層の凝集あるいは粉体層が崩壊した後の粉体層の稜線と水平面と角度を表す。スパチュラ角が小さいほど粉体流動性に優れる。具体的には、押出機の原料ホッパーや計量フィーダーにおける添加剤組成物の付着や凝集が改善されるほか、ブリッジ対策が容易になり、押出機の連続生産が安定してできるようになる。
【0072】
スパチュラ角は、株式会社セイシン企業製「マルチテスター MT-02」を用いて測定した。スパチュラを添加剤組成物の堆積層の底部に差し込み、スパチュラを静かに持ち上げ粉体層から取り出した。このときスパチュラの上に堆積した粉体の山の水平に対する角度を測定して安息角(°)とした。次に、スパチュラに軽く衝撃を与えた後、同じ要領で安息角(°)を求めた。これら二つの安息角の平均値をスパチュラ角(°)として添加剤組成物の粉体流動性の評価項目とした。これらの結果についてそれぞれ表1に併記する。
【0073】
【表1】
1)NX 8000:ノニトール系透明化剤,ミリケンアンドカンパニー社製商品名「ミラッド NX 8000J」
2)化合物1:リチウム-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート
3)脂肪酸リチウム塩:パルミチン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸を含む脂肪酸のリチウム塩
4)3988:ソルビトール系透明化剤,ミリケンアンドカンパニー社製商品名「ミラッッド3988」
【0074】
実施例1-1~1-6および比較例1-1~1-3より、ノニトール系透明化剤、芳香族リン酸エステル金属塩を単独で配合した添加剤組成物と比較して、ノニトール系透明化剤および芳香族リン酸エステル金属塩をブレンドした本発明の添加剤組成物は、スパチュラ角が抑制されており、粉体流動性が向上していることがわかった。一方、比較例1-4より、ノニトール系透明化剤をソルビトール系透明化剤に変更した添加剤組成物については、粉体流動性の向上が見られなかった。
【0075】
〔実施例2-1~2-4、比較例2-1~比較例2-2〕
ホモポリプロピレン(メルトフローレート 8g/10min;ISO規格1133準拠 2.16kg×230℃)100質量部に対し、フェノール系酸化防止剤(テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)0.05質量部、リン系酸化防止剤(トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト)0.1質量部、ステアリン酸カルシウム0.05質量部、および、表2記載の組成を有する添加剤組成物を配合し、ヘンシェルミキサーで、1000rpm×1min混合後、二軸押出機を用いて、230℃の押出温度で溶融混錬し、ペレットを造粒した。なお、表中の各成分の単位はすべて質量部である。得られたペレットは、60℃で8時間乾燥させた後、下記に記載の条件で曲げ弾性率、荷重たわみ温度(HDT)を測定した。結果を表2に併記する。
【0076】
〔実施例3-1~3-3、比較例3-1~比較例3-2〕
ホモポリプロピレン(メルトフローレート 8g/10min;ISO規格1133準拠 2.16kg×230℃)100質量部に対し、フェノール系酸化防止剤(テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)0.05質量部、リン系酸化防止剤(トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト)0.1質量部、ステアリン酸カルシウム0.05質量部、および、表3記載の組成を有する添加剤組成物を配合し、ヘンシェルミキサーで、1000rpm×1min混合後、二軸押出機を用いて、230℃の押出温度で溶融混錬し、ペレットを造粒した。なお、表中の各成分の単位はすべて質量部である。得られたペレットは、60℃で8時間乾燥させた後、下記に記載の条件で、Hazeを測定した。結果を表3に併記する。
【0077】
<曲げ弾性率>
上記ペレットを用い、射出成形機(EC100-2A;東芝機械株式会社製)にて、金型温度50℃、樹脂温度200℃の条件で射出成形し、寸法80mm×10mm×4mmの試験片を作製した。この試験片を23℃の恒温機で48時間以上静置した後、島津製作所株式会社製曲げ試験機「AG-IS」を用いて、ISO178に準拠し、曲げ弾性率(MPa)を測定した。
【0078】
<HDT(荷重たわみ温度)>
上記ペレットを用い、射出成形機(EC100-2A;東芝機械株式会社製)にて、金型温度50℃、樹脂温度200℃の条件で射出成形し、寸法80mm×10mm×4mmの試験片を作製した。この試験片を23℃の恒温機で48時間以上静置した後、ISO75(荷重0.45MPa)に準拠してHDT(℃)を測定した。
【0079】
<Haze>
上記ペレットを用い、射出成形機(EC100-2A;東芝機械株式会社製)にて、金型温度50℃、樹脂温度200℃の条件で射出成形し、寸法60mm×60mm×2mmの試験片を作製した。この試験片を23℃の恒温機で48時間以上静置した後、ヘイズ・ガード2〔BYK Additives&Instruments製〕にて、ISO14782に準拠してHaze(%)を測定した。
【0080】
【0081】
【0082】
表2の実施例2-1~2-4および比較例2-2並びに表3の実施例3-1~3-3および比較例3-2より、ノニトール系透明化剤が単独で配合されてなるポリオレフィン系樹脂組成物と比較して、ノニトール系透明化剤および芳香族リン酸エステル金属塩をブレンドした本発明の添加剤組成物が配合されてなる本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を成形して得られる成形品は、機械的特性および透明性に優れることがわかった。
【0083】
以上の結果より、本発明の添加剤組成物は粉体流動性に優れ、かつ成形品に優れた透明性および機械的特性を付与できるものであることが確認された。