(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】ペットフード製品
(51)【国際特許分類】
A23K 40/10 20160101AFI20240207BHJP
A23K 50/42 20160101ALI20240207BHJP
【FI】
A23K40/10
A23K50/42
(21)【出願番号】P 2023103976
(22)【出願日】2023-06-26
【審査請求日】2023-11-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100214215
【氏名又は名称】▲高▼梨 航
(72)【発明者】
【氏名】沖 智美
(72)【発明者】
【氏名】石川 新
(72)【発明者】
【氏名】澤田 和香
(72)【発明者】
【氏名】井上 一典
(72)【発明者】
【氏名】池崎 遊馬
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-157352(JP,A)
【文献】特表2022-545237(JP,A)
【文献】特開2023-066828(JP,A)
【文献】特開2022-104620(JP,A)
【文献】特開2017-079670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00 - 50/90
A23B 4/00 - 9/34
A23C 1/00 - 23/00
A23D 7/00 - 9/06
A23F 3/00 - 5/50
A23G 1/00 - 9/52
A23J 1/00 - 7/00
A23L 2/00 - 35/00
A23N 1/00 - 17/02
A23P 10/00 - 30/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の組成であり、同一の形態のペットフード粒を少なくとも10個以上有するペットフード製品であって、
以下の試験条件で10個の前記ペットフード粒を一定の圧縮速度で圧縮したときの破断力を測定した際に、破断強度の最大ピーク以外に、前記最大ピークの1/2以上のピークが複数存在するペットフード粒を50%以上有する、ペットフード製品。
<試験条件>
・圧縮試験機(テクスチャーアナライザー、型番:EZ-SX、島津製作所社製)
・プランジャー:直径10mmの犬歯状のプランジャー
・プラットフォーム:平皿(内径26.5mm×深さ4mm)
・圧縮速度:60mm/分
・プランジャーの最下点:4.0mm(圧縮距離)
・測定温度:25℃
・破断検出開始点:0.035%(0.14N)
・試験力:フルスケール500N
・ピークの感度:0.5%(2.5N)
【請求項2】
前記ペットフード粒は、第1方向に前記ペットフード粒を投影した第1面の算術平均面粗さSa1が14μm未満であり、前記第1方向以外の方向に前記ペットフード粒を投影した面の算術平均面粗さSa2が14μm以上である、請求項1に記載のペットフード製品。
【請求項3】
10個の前記ペットフード粒の硬さを測定した場合、硬さの平均が30N以下である、請求項1又は2に記載のペットフード製品。
【請求項4】
前記第1方向に直交する第2方向に前記ペットフード粒を投影した面を底面とした際の前記ペットフード粒の高さは、前記第1方向の前記ペットフード粒の長さよりも長い、請求項2に記載のペットフード製品。
【請求項5】
10個の前記ペットフード粒の前記高さを測定した場合、前記高さの平均が10mm以上である、請求項4に記載のペットフード製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットフード製品に関する。
【背景技術】
【0002】
ペットフードは、給与目的を機会で分けると主食と間食に分けられる。主食としてのペットフードは「総合栄養食」と言い、当該ペットフードと水を与えていれば必要とされる栄養素が摂取できるように作られる。
一方、「間食」は、ペットのしつけや運動、ご褒美として与えるなど限られた量を与えることが意図されているペットフードである。
目的別による分類は、「総合栄養食」「間食」「療法食」、そのいずれにも該当しない「その他の目的食」に分かれる。
【0003】
また、水分量による分類としては、水分量が10%程度であるドライフード、15~35%程度であるソフトフード、及び水分量が80%程度であるウエットフードに大別される。これらのうち、ドライタイプのペットフードは、取り扱い易さ、保存性の良さなどの点から、近年その需要がますます増加している。
【0004】
近年、特にイヌ・ネコ用のペットフードにおいて、嗜好性を向上させる観点から、外径及び厚みが小さいペットフードが主流となっている。
外径及び厚みが小さいペットフードは、食べやすいことから、嗜好性が高いと考えられていたが、ペットフードの外径及び厚みが小さいと、ペットが噛まずに丸のみしてしまい、食べ過ぎ、喉つまりなど健康面での懸念があった。
【0005】
ペットの早食いを防止する方法として、特許文献1には、ペットの早食いの防止、肥満の予防に考慮した蓋を有するペット用食器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されたペット用食器のように、ペットの早食いの防止するための食器は存在するが、ペットの早食いを防止できるようなペットフードは開発されていない。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ペットがペットフードを噛んで食べることを誘導でき、早食いを防止することができるペットフード製品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意検討を行った。
その結果、ペットフードの破断強度を制御することで、ペットがペットフードを噛んで食べることを誘導できることを見出した。より具体的には、本発明は以下のものを採用する。
【0010】
本発明は以下の態様を有する。
[1]同一の組成であり、同一の形態のペットフード粒を少なくとも10個以上有するペットフード製品であって、以下の試験条件で10個の前記ペットフード粒を一定の圧縮速度で圧縮したときの破断力を測定した際に、破断強度の最大ピーク以外に、前記最大ピークの1/2以上のピークが複数存在するペットフード粒を50%以上有する、ペットフード製品。
<試験条件>
・圧縮試験機(テクスチャーアナライザー、型番:EZ-SX、島津製作所社製)
・プランジャー:直径10mmの犬歯状のプランジャー
・プラットフォーム:平皿(内径26.5mm×深さ4mm)
・圧縮速度:60mm/分
・プランジャーの最下点:4.0mm(圧縮距離)
・測定温度:25℃
・破断検出開始点:0.035%(0.14N)
・試験力:フルスケール500N
・ピークの感度:0.5%(2.5N)
[2]前記ペットフード粒は、第1方向に前記ペットフード粒を投影した第1面の算術平均面粗さSa1が14μm未満であり、前記第1方向以外の方向に前記ペットフード粒を投影した面の算術平均面粗さSa2が14μm以上である、[1]に記載のペットフード製品。
[3]10個の前記ペットフード粒の硬さを測定した場合、硬さの平均が30N以下である、[1]又は[2]に記載のペットフード製品。
[4]前記第1方向に直交する第2方向に前記ペットフード粒を投影した面を底面とした際の前記ペットフード粒の高さは、前記第1方向の前記ペットフード粒の長さよりも長い、[2]に記載のペットフード製品。
[5]10個の前記ペットフード粒の前記高さを測定した場合、前記高さの平均が10mm以上である、[4]に記載のペットフード製品。
[6]同一の構成であり、同一の形態のペットフード粒を少なくとも10個以上有するペットフード製品であって、以下の試験条件で10個の前記ペットフード粒を一定の圧縮速度で圧縮したときの破断力をした際に、7mm×7mm網状に残る欠片の総重量が、測定前の重量の90%以上であるペットフード粒を70%以上有する、ペットフード製品。
<試験条件>
・圧縮試験機(テクスチャーアナライザー、型番:EZ-SX、島津製作所社製)
・プランジャー:直径10mmの犬歯状のプランジャー
・プラットフォーム:平皿(内径26.5mm×深さ4mm)
・圧縮速度:60mm/分
・プランジャーの最下点:4.0mm(圧縮距離)
・測定温度:25℃
・破断検出開始点:0.035%(0.14N)
・試験力:フルスケール500N
・ピークの感度:0.5%(2.5N)
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ペットがペットフード製品を噛んで食べることを誘導でき、早食いを防止することができるペットフード製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】破断力測定を行う際に用いたプランジャーを示す模式図である。
【
図2】本発明の第1の態様に係るペットフード製品におけるペットフード粒を示す模式図である。
【
図3】本発明の第1の態様に係るペットフード製品におけるペットフード粒を各方から投影した面を示す模式図である。
【
図4】実施例のペットフード製品におけるペットフード粒の破断強度の測定結果を示すグラフである。
【
図5】比較例のペットフード製品におけるペットフード粒の破断強度の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、「ペット」とは人に飼育されている動物をいう。より狭義の意味では、ペットは飼い主に愛玩される動物である。また、「ペットフード」とは、ペット用の飼料をいう。本発明にかかるペットフードを「動物用飼料」又は「動物の餌」として販売することが可能である。
【0014】
本明細書において「嗜好性」とは、ペットに好まれて食されるか否かの指標であり、食感、食味、におい等に起因する。
【0015】
本明細書において、水分含有量の値は常圧加熱乾燥法で得られる値である。
常圧加熱乾燥法は、被測定物を粉砕機にかけて1mmの篩を通過するように粉砕し、これを分析試料とし、分析試料2~5gを正確に量ってアルミニウム製秤量皿に入れ、135℃で2時間分析試料を乾燥し、デシケーター中で放冷後、分析試料の重さを正確に量って、乾燥前後の分析試料の重量差から水分含有量を求める。
より具体的には、被測定物を粉砕機にかけて1mmの篩を通過するように粉砕し、これを分析試料とする。アルミ秤量缶の質量(W1グラム)を恒量値として予め測定する。このアルミ秤量缶に分析試料を入れて質量(W2グラム)を秤量する。つぎに強制循環式の温風乾燥器を使用して、135℃で2時間分析試料を乾燥させる。乾燥雰囲気中(シリカゲルデシケーター中)で分析試料を放冷した後、質量(W3グラム)を秤量する。得られた各質量から下記式を用いて分析試料の水分含有量を求める。
分析試料の水分含有量(単位:質量%)=(W2-W3)÷(W2-W1)×100
水分含有量は、最終製品を製造日から30日以内に開封した直後に測定した値、又はこれと同等の条件で測定した値とする。
【0016】
本明細書において、ペットフード粒の硬さは以下の方法で得られる値である。
平皿(内径26.5mm×深さ4mm)の上に、測定対象のペットフード粒を1つ置き、該ペットフード粒の中心部を真上から垂直にプランジャーを一定速度で押し付けながら応力を測定する。応力のピーク値(最大値)を破断応力の値として読み取る。上記圧縮試験機で測定される破断応力(単位:kgw)の数値に9.8を掛け算する(乗じる)ことによって、破断硬さの数値単位をニュートン(N)に変換できる。
<試験条件>
・圧縮試験機(テクスチャーアナライザー、型番:EZ-SX、島津製作所社製)
・プランジャー:直径10mmの犬歯状のプランジャー
・プラットフォーム:平皿(内径26.5mm×深さ4mm)
・圧縮速度:60mm/分
・プランジャーの最下点:4.0mm(圧縮距離)
・測定温度:25℃
・破断検出開始点:0.035%(0.14N)
・試験力:フルスケール500N
・ピークの感度:0.5%(2.5N)
【0017】
本明細書において、算術平均面粗さSaは、非接触三次元形状測定機VR-3200(キーエンス社製、ネスティングインデックス0.25mmのLフィルター使用)を用いペットフード粒の表面観察(拡大倍率40倍、観察視野面積:19~20mm2)を実施し、ペットフード粒の表面について、算術平均粗さSaを算出する。
【0018】
(第1実施形態のペットフード製品)
本実施形態に係るペットフード製品は、同一の組成であり、同一の形態のペットフード粒を少なくとも10個以上有する。
【0019】
本実施形態に係るペットフード製品は、総合栄養食であることが好ましい。
「総合栄養食」とは、ペットフードのうち、犬又は猫に毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフードと水だけで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養素的にバランスのとれた製品である。総合栄養食の基準としては、例えば、AAFCO(Association of American Feed Control Officials)の定めた基準を用いることが挙げられる。
なお、本明細書において、「総合栄養食」は、成長段階は問わず、「幼犬・幼猫期/成長期またはグロース」「成犬期・成猫期/維持期またはメンテナンス」「妊娠期・授乳期」のいずれかの段階の基準を満たすものでもよく、これらの3段階全てを満たす「全成長段階」又は「オールステージ用」であってもよい。
【0020】
本実施形態に係るペットフードの各パラメーター(破断強度、厚み、短径、硬さ等)は、ペットフード粒の1粒の値ではなく、同一の条件で製造された、同一の組成及び形態である複数のペットフード粒の10粒の値の平均値を意味する。
例えば、パッケージされたドライタイプのペットフード製品に内包された複数のペットフード粒のうち、任意で取り出した10粒の値の平均値を意味する。
したがって、該平均値が各パラメーターを満たす場合は、本実施形態に係るペットフード製品となる。
【0021】
本実施形態に係るペットフード製品は、以下の試験条件で10個のペットフード粒を一定の圧縮速度で圧縮したときの破断力を測定した際に、破断強度の最大ピーク以外に、前記最大ピークの1/2以上のピークが複数存在するペットフード粒を50%以上有する。当該パラメーターは、ペットフードを製造する際の膨化時間、ペットフードの形状等を適宜調整することで制御することができる。
【0022】
<試験条件>
・圧縮試験機(テクスチャーアナライザー、型番:EZ-SX、島津製作所社製)
・プランジャー:直径10mmの犬歯状のプランジャー
・プラットフォーム:平皿(内径26.5mm×深さ4mm)
・圧縮速度:60mm/分
・プランジャーの最下点:4.0mm(圧縮距離)
・測定温度:25℃
・破断検出開始点:0.035%(0.14N)
・試験力:フルスケール500N
・ピークの感度:0.5%(2.5N)
【0023】
直径10mmの犬歯状のプランジャーは、より具体的には、
図1に示すように直径10mmで、高さ19mmの円柱状の連結部Aと、高さ7.2mmの円錐状の押圧部Bとを有する。
【0024】
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒は、上記試験条件で10個の前記ペットフード粒を一定の圧縮速度で圧縮したときの破断力を測定した際に、破断強度の最大ピーク以外に、前記最大ピークの1/2以上のピークが複数存在するペットフード粒を50%以上有し、60%以上有することが好ましく、70%以上有することがより好ましく、80%以上有することがさらに好ましい。
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒は、破断強度の最大ピーク以外に、前記最大ピークの1/2以上のピークが複数存在するペットフード粒を50%以上有することで、ペットフード粒が完全に砕かれるまで噛む力が継続的に必要であり、ペットが当該ペットフード粒を、何度も噛むことを誘導でき、早食いを防止できる。
【0025】
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒は、上記試験条件で10個の前記ペットフード粒を一定の圧縮速度で圧縮したときの破断力をした際に、7mm×7mm網状に残る欠片の総重量が、測定前の重量の90%以上であるペットフード粒を70%以上有することが好ましく、80%以上有することがより好ましく、90%以上有することがさらに好ましい。
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒は、破断力測定を行った際に、7mm×7mm網状に残る欠片の総重量が、測定前の重量の90%以上であるペットフード粒を70%以上有することで、ペットが一度ペットフードを噛んだ後も大きい粒の塊が残りやすいため、何度も噛むことを誘導でき、早食いを防止できる。
【0026】
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒は、第1方向に前記ペットフード粒を投影した第1面の算術平均面粗さSa1が14μm未満であり、前記第1方向以外の方向に前記ペットフード粒を投影した面の算術平均面粗さSa2が14μm以上であることが好ましい。すなわち、本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒は、表面粗さの異なる面を有することが好ましい。
ペットフード粒は、表面粗さの異なる面を有することで、ペットが複数の食感を楽しめるため、嗜好性がより向上する。
【0027】
また、本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒は、前記第1方向に直交する第2方向に前記ペットフード粒を投影した面を底面とした際の前記ペットフード粒の高さは、前記第1方向の前記ペットフード粒の長さよりも長いことが好ましい。すなわち、表面が粗くない面がより厚いペットフード粒であることが好ましい。
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒は、前記第1方向に直交する第2方向に前記ペットフード粒を投影した面を底面とした際の前記ペットフード粒の高さが前記第1方向の前記ペットフード粒の長さよりも長いことで、ペットが表面が粗くない面から噛みはじめることを誘導でき、嗜好性がより向上する。
【0028】
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒の高さ(厚み)は、前記第1方向の前記ペットフード粒の長さ(長径)よりも、1.10倍長いことが好ましく、1.13倍長いことがより好ましく、1.15倍長いことがさらに好ましい。
【0029】
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒の第1面の算術平均面粗さSa1は14μm未満であることが好ましく、13μm以下であることがより好ましく、12μm以下であることがさらに好ましい。
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒の第1方向以外の方向に前記ペットフード粒を投影した面の算術平均面粗さSa2は14μm以上であることが好ましく、16μm以上であることがより好ましく、18μm以上であることがさらに好ましい。
【0030】
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒の硬さを測定した場合、硬さの平均が30N以下であることが好ましく、29N以下であることがより好ましく、28N以下であることがさらに好ましい。
ペットフード粒の硬さが上記の好ましい値以下であれば、ペットフードが噛み砕きやすくなり、嗜好性がより向上する。
【0031】
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒は、前記高さが10mm以上であることが好ましく、10.5mm以上であることがより好ましく、11mm以上であることがさらに好ましい。
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒は、前記高さが10mm以上であることで、ペットがペットフード粒を噛んで食べることを誘導でき、早食いをより防止することができる。
【0032】
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒は、前記高さが10mm以上のペットフード粒を50%以上有することが好ましい。
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒は、前記高さが10mm以上のペットフード粒を50%以上有することで、ペットがペットフード粒を噛んで食べることを誘導でき、早食いをより防止することができる
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒は、前記高さが10mm以上のペットフード粒を50%以上有することが好ましく、60%以上有することがより好ましく、70%以上有することがさらに好ましい。
【0033】
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒の長径又は直径は、5mm以上が好ましく、7mm以上がより好ましく、9mm以上であることがさらに好ましい。
また、本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒の長径又は直径は、13mm以下が好ましく、12mm以下がより好ましく、11mm以下であることがさらに好ましい。
例えば、本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒の長径又は直径は、5mm以上13mm以下が好ましく、7mm以上12mm以下がより好ましく、9mm以上11mm以下であることがさらに好ましい。
【0034】
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒の短径は、4mm以上が好ましく、6mm以上がより好ましく、8mm以上であることがさらに好ましい。
また、本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒の短径は、11mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、9mm以下であることがさらに好ましい。
例えば、本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒の短径は、4mm以上11mm以下が好ましく、6mm以上10mm以下がより好ましく、8mm以上9mm以下であることがさらに好ましい。
【0035】
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒の形状は、ペットが食するのに好適な形状であればよく、特に限定されない。
例えば球状、楕円体状(碁石状)、ペレット状、円柱状、多角柱状、六面体状(板状)、クローバー状、ハート状、星状、十字状等あらゆる形状が適用可能である。その中でも、本発明の効果をより得やすくなる観点から、円柱状であることが好ましい。
【0036】
≪原料≫
本実施形態に係るペットフード製品の原料としては、ペットフードの製造において公知の粉体原料、及び液体原料を用いることができる。
粉体原料として、具体的には、穀類(トウモロコシ、小麦、小麦粉、小麦ふすま、米、パン粉、大麦、燕麦、ライ麦等)、いも類(さつまいも、馬鈴薯等)、豆類(丸大豆等)、デンプン類(小麦デンプン、トウモロコシデンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、甘藷デンプン、サゴデンプン、加工デンプン等)、植物性タンパク質類(コーングルテンミール、小麦タンパク質、豆類タンパク質、米タンパク質、イモ類タンパク質等)、肉類(牛、豚、羊、鹿、ウサギ等の畜肉や獣肉;鶏、七面鳥、ウズラ、家禽等の鳥肉;ミール(チキンミール、豚ミール、牛ミール、これらの混合ミール)等)、魚介類(まぐろ、かつお、あじ等の魚類;えび、かに等の甲殻類;たこ、いか等の軟体動物;ほたて、さざえ等の貝類;フィッシュエキス類;鰹節、ミール(フィッシュミール)等)、野菜類、種実類、きのこ類、卵類、糖類、乳類、添加物(ビタミン、ミネラル、アミノ酸、フレーバー原料、パウダー状嗜好性向上剤、繊維、着色剤、リン酸塩、pH調整剤、調味料、酸化防止剤、トレハロースなど)等が挙げられる。
【0037】
ミールとは、肉類又は魚介類を圧縮させ細かく砕いた粉体を意味する。
パウダー状嗜好性向上剤として、より具体的には、動物原料エキス、植物原料エキス、酵母エキス、酵母の乾燥物等が挙げられる。
液体原料(半固形原料も含む)として、具体的には、水、油脂(鶏油(チキンオイル)、豚脂(ラード)、牛脂(タロー)、乳性脂肪、魚油等の動物性油脂;オリーブ油、カカオ油、パーム油、パーム核油、ココナッツ油、ヤシ油、つばき油等の植物性油脂)、液体嗜好性向上剤、液糖、保湿剤、保存料、乳化剤、香料、着色剤等が挙げられる。
【0038】
本実施形態に係るペットフード製品(ドライタイプ)の配合例を以下に示す。
穀類40~70%、肉類5~30%、魚介類1~15%、豆類1~15%、繊維類1~10%、ビタミン・ミネラル・アミノ酸類1~5%、動物性油脂1~10%(これらの合計で100%)。
【0039】
(第2実施形態のペットフード製品)
本実施形態に係るペットフード製品は、同一の組成であり、同一の形態のペットフード粒を少なくとも10個以上有する。
【0040】
本実施形態に係るペットフード製品は、以下の試験条件で10個の前記ペットフード粒を一定の圧縮速度で圧縮したときの破断力をした際に、7mm×7mm網状に残る欠片の総重量が、測定前の重量の90%以上であるペットフード粒を70%以上有する。
<試験条件>
・圧縮試験機(テクスチャーアナライザー、型番:EZ-SX、島津製作所社製)
・プランジャー:直径10mmの犬歯状のプランジャー
・プラットフォーム:平皿(内径26.5mm×深さ4mm)
・圧縮速度:60mm/分
・プランジャーの最下点:4.0mm(圧縮距離)
・測定温度:25℃
・破断検出開始点:0.035%(0.14N)
・試験力:フルスケール500N
・ピークの感度:0.5%(2.5N)
【0041】
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒は、上記試験条件で10個の前記ペットフード粒を一定の圧縮速度で圧縮したときの破断力をした際に、7mm×7mm網状に残る欠片の総重量が、測定前の重量の90%以上であるペットフード粒を70%以上有し、80%以上有することが好ましく、90%以上有することがより好ましい。
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒は、破断力測定を行った際に、7mm×7mm網状に残る欠片の総重量が、測定前の重量の90%以上であるペットフード粒を70%以上有することで、ペットが一度ペットフードを噛んだ後も大きい粒の塊が残りやすいため、何度も噛むことを誘導でき、早食いを防止できる。
【0042】
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒は、上記試験条件で10個の前記ペットフード粒を一定の圧縮速度で圧縮したときの破断力を測定した際に、破断強度の最大ピーク以外に、前記最大ピークの1/2以上のピークが複数存在するペットフード粒を50%以上有することが好ましく、60%以上有することがより好ましく、70%以上有することがさらに好ましく、80%以上有することが特に好ましい。
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒は、破断強度の最大ピーク以外に、前記最大ピークの1/2以上のピークが複数存在するペットフード粒を50%以上有することで、ペットフード粒が完全に砕かれるまで噛む力が継続的に必要であり、ペットが当該ペットフード粒を、何度も噛むことを誘導でき、早食いを防止できる。
【0043】
本実施形態に係るペットフード製品におけるペットフード粒の好ましい態様は、上述した第1実施形態のペットフード製品と同様である。
【0044】
(第1の態様に係るペットフード製品におけるペットフード粒)
以下本実施形態に係るペットフード製品の具体的な態様として、第1の態様に係るペットフード製品におけるペットフード粒を、図面を用いて詳細に説明する。
【0045】
以下の説明では、必要に応じてX、Y、Zの直交座標系を用いて説明する。この場合、Z方向は、高さ方向(重力方向)を示している。Z方向に直交する2方向がX方向及びY方向である。図中矢印側をプラス(+)側とし、矢印とは反対側をマイナス(-)側として説明する。例えば、+Z側は、高さ方向の上方に相当し、-Z側は高さ方向の下方に相当する。
【0046】
図2に示すペットフード粒D10において、第1方向の+X側にペットフード粒D10を投影した面が、第1面D1である。また、第1方向の-X側にペットフード粒D10を投影した面が、第4面D4である。
ペットフード粒D10において、第1方向に直交する第2方向のうち+Z側にペットフード粒D10を投影した面が、第5面D5である。また、第1方向に直交する第2方向のうちB側-Z側にペットフード粒D10を投影した面が、第6面D6である。
ペットフード粒D10において、第1方向に直交する第3方向のうち+Y側にペットフード粒D10を投影した面が、第2面D2である。また、第1方向に直交する第2方向のうち-Y側にペットフード粒D10を投影した面が、第3面D3である。
【0047】
図3は、各方向にペットフード粒D10を投影した面、すなわち、第1面D1~第6面D6を示す図である。
ペットフード粒D10は、第1面D1~第4面D4の算術平均面粗さSa1が14μm未満の面であり、第5面D5及び第6面D6算術平均面粗さSa2が14μm以上の面である。
【0048】
ペットフード粒D10の好ましいパラメーター及び原料については、それぞれ上述の通りである。
【実施例】
【0049】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0050】
(総合栄養食ペットフードの製造)
(実施例1)
表1に示す配合で、実施例1のペットフード製品におけるペットフード粒の原料を混合した。得られた原料混合物をエクストルーダーに投入し、混練しながら加熱処理を施してデンプン成分をアルファ化し、エクストルーダーの出口で粒状に押出造粒し、0.04秒膨化させた後に、切断して、粒を得た(膨化時間:0.04秒)。得られた粒を、乾燥機を用いて、乾燥処理を行い、同一の組成であり、同一の形態のペットフード粒を少なくとも10個以上有する実施例1のペットフード製品を製造した。
なお、実施例1のペットフード製品におけるペットフード粒の形態は
図3に示すペットフード粒D10と同一である。
実施例1のペットフード製品における無作為に選択した10個のペットフード粒の長径、短径、及び厚みをノギスで計測し、平均値を求めた結果、長径9.5mm、短径8.5mm、及び厚み11mmであった。
また、実施例1のペットフード製品における無作為に選択した10個のペットフード粒を20cmの高さから直径11cmの1Lカップに自由落下させて、カップをすりきった際に入る重量を用いて測定した嵩比重の平均値を求めた結果、当該ペットフード粒の嵩比重の平均は、285.5(g/L)であった。
また、実施例1のペットフード製品における無作為に選択した10個のペットフード粒の算術平均面粗さを非接触三次元形状測定機VR-3200(キーエンス社製、ネスティングインデックス0.25mmのLフィルター使用)を用いて、ペットフード粒の表面観察(拡大倍率40倍、観察視野面積:19~20mm
2)を実施し、ペットフード粒の表面について、算術平均粗さSaの平均値を求めた結果、当該ペットフード粒の第1面D1~第4面D4の算術平均面粗さSa1は、13.1μmであった。また、第5面D5及び第6面D6の算術平均面粗さの平均は、19.6μmであった。
【0051】
(比較例1)
表1に示す配合(実施例1と同一の配合)で、比較例1のペットフード製品におけるペットフード粒の原料を混合した。得られた原料混合物をエクストルーダーに投入し、混練しながら加熱処理を施してデンプン成分をアルファ化し、エクストルーダーの出口で粒状に押出造粒すると同時に切断して、粒を得た(膨化時間:0秒)。得られた粒を乾燥機を用いて、乾燥処理を行い、同一の組成であり、同一の形態のペットフード粒を少なくとも10個以上有する比較例1のペットフード製品を製造した。
比較例1のペットフード製品における無作為に選択した10個のペットフード粒の長径、短径、及び厚みをノギスで計測し、平均値を求めた結果、長径9.0mm、短径9.0mm、及び厚み5mmであった。
また、比較例1のペットフード製品における無作為に選択した10個のペットフード粒を20cmの高さから直径11cmの1Lカップに自由落下させて、カップをすりきった際に入る重量を用いて測定した嵩比重の平均値を求めた結果、当該ペットフード粒の嵩比重の平均は、370.0(g/L)であった。
【0052】
【0053】
[最大ピークの1/2以上のピークの数]
実施例1及び比較例1のペットフード製品における無作為に選択した10個のペットフード粒について、以下の試験条件でペットフード粒を一定の圧縮速度で圧縮したときの破断力をそれぞれ測定し、破断強度の最大ピーク以外の最大ピークの1/2以上のピークの数をそれぞれ検出した。
具体的には、平皿(内径26.5mm×深さ4mm)の上に、測定対象のペットフード粒を1つ置き、該ペットフード粒の中心部を真上から垂直にプランジャーを一定速度で押し付けながら測定を行った。その結果を表2及び3に示す。
また、実施例1のフード粒の測定結果のグラフを
図4に示す。
また、比較例1のフード粒の測定結果のグラフを
図5に示す。
<試験条件>
・圧縮試験機(テクスチャーアナライザー、型番:EZ-SX、島津製作所社製)
・プランジャー:直径10mmの犬歯状のプランジャー
・プラットフォーム:平皿(内径26.5mm×深さ4mm)
・圧縮速度:60mm/分
・プランジャーの最下点:4.0mm(圧縮距離)
・測定温度:25℃
・破断検出開始点:0.035%(0.14N)
・試験力:フルスケール500N
・ピークの感度:0.5%(2.5N)
【0054】
[硬さ]
上記[最大ピークの1/2以上のピークの数]と同様の方法で、実施例1及び比較例1のペットフード製品における無作為に選択した10個のペットフード粒の破断強度の最大ピークをそれぞれ測定した。破断強度の最大ピーク値(単位:kgw)に9.8を乗じることによって、単位をニュートン(N)に変換した。その結果を表2及び3に示す。
【0055】
[ストローク]
上記[最大ピークの1/2以上のピークの数]と同様の方法で、実施例1及び比較例1のペットフード製品における無作為に選択した10個のペットフード粒の破断強度の最大ピークとなるまでにかかる距離(ペットフード粒にプランジャーが接触して、ペットフード粒が割れるまでの距離)を測定した。その結果を表2及び3に示す。
【0056】
[もろさ]
上記[最大ピークの1/2以上のピークの数]と同様の方法で、実施例1及び比較例1のペットフード製品における無作為に選択した10個のペットフード粒の破断強度の最大ピークと隣り合うピークまでの最小値との差(凸点-凹点)を測定した。その結果を表2及び3に示す。
【0057】
【0058】
【0059】
表3及び4に示す通り、実施例のペットフード製品におけるペットフード粒は、破断強度の最大ピーク以外に、前記最大ピークの1/2以上のピークが複数存在した。
したがって、ペットフード粒が完全に砕かれるまで噛む力が継続的に必要であることが分かる。
【0060】
[7mm×7mm網状に残るペットフード粒の欠片の総重量]
上記[最大ピークの1/2以上のピークの数]と同様の方法で、破断力の測定を行った際に、7mm×7mm網状に残る欠片の総重量と、測定前のペットフード粒の重量と、測定前のペットフード粒の重量に対する7mm×7mm網状に残る欠片の総重量の割合(欠片の総重量/測定前のペットフード粒の重量)とを算出した。その結果を表4及び5に示す。
【0061】
【0062】
【0063】
表4及び5に示す通り、実施例のペットフード製品におけるペットフード粒は、破断力の測定後に、7mm×7mm網状に残る欠片の割合が高かった。
したがって、ペットがペットフード粒を噛んだ際に、大きい欠片が残りやすいことが分かる。
【0064】
[早食い防止効果の評価]
実施例1のペットフード製品、及び、比較例1のペットフード製品を犬に与え、食事に食いついてから完食するまでの時間を測定した。また犬が食事する様子をビデオで撮影し、1粒噛む回数の平均値を測定した。その結果を表6に示す。
【0065】
【0066】
表6に示す通り、実施例のペットフード製品は、比較例のペットフード製品に比べて、咀嚼回数を増やすことができ、食事のペースを落とせることが確認できた。
【符号の説明】
【0067】
D10・・・ペットフード粒
【要約】
【課題】ペットがペットフードを噛んで食べることを誘導でき、早食いを防止することができるペットフード製品の提供。
【解決手段】同一の組成であり、同一の形態のペットフード粒を少なくとも10個以上有するペットフード製品であって、以下の試験条件で10個の前記ペットフード粒を一定の圧縮速度で圧縮したときの破断力を測定した際に、破断強度の最大ピーク以外に、前記最大ピークの1/2以上のピークが複数存在するペットフード粒を50%以上有する、ペットフード製品。
【選択図】なし