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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】低糖質乾パスタ
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20240208BHJP
【FI】
A23L7/109 E
A23L7/109 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019048023
(22)【出願日】2019-03-15
(65)【公開番号】P2020146001
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 友彦
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/216706(WO,A1)
【文献】特開平10-313804(JP,A)
【文献】特開2016-002000(JP,A)
【文献】特開2002-191306(JP,A)
【文献】特開2016-220598(JP,A)
【文献】特開2002-335893(JP,A)
【文献】特開2005-253473(JP,A)
【文献】国際公開第2018/143090(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/049860(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/049859(WO,A1)
【文献】特許第6408732(JP,B1)
【文献】特開2017-023050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/109
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
難消化性澱粉、デュラム小麦由来のバイタルグルテン並びにデュラムセモリナ及び/またはデュラム小麦由来の小麦粉を含む粉原料(但し、α化澱粉及びα化穀粉からなる群から選択される1種以上のα化穀粉類を含有する穀粉組成物を除く)を使用した低糖質乾パスタ(但し、イヌリンを含むコーティング剤又は油脂及び油脂組成物からなる群から選択される1種以上の油剤が表面に付着している低糖質乾パスタを除く)であって、
粉原料に対し、
難消化性澱粉の量が30~60質量%であり、
デュラム小麦由来のバイタルグルテンの量が5~23質量%であり、
デュラムセモリナ及び/またはデュラム小麦由来の小麦粉の合計量が32~65質量%
である、前記低糖質乾パスタ。
【請求項2】
デュラム小麦由来のバイタルグルテンの量が10~23質量%である、請求項1に記載の低糖質乾パスタ。
【請求項3】
さらに増粘剤を含む、請求項1又は2に記載の低糖質乾パスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低糖質乾パスタに関する。
【背景技術】
【0002】
私たちが日常的に食べている米飯、パン、パスタの主成分は炭水化物(糖質)でありその過剰摂取は肥満、脂肪肝、糖尿病などの生活習慣病やメタボリックシンドロームを引き起こすことが知られている。
これらの病気の予防や改善には糖質の制限が有効と言われており、近年低糖質乾パスタが市場に登場している。現行品では、パスタに使用する糖質を多く含む小麦粉を難消化性澱粉などの食物繊維で置き換えている。この難消化性澱粉は水存在下で加熱してもα化されずに、消化されない食物繊維の状態で保持される特徴があり、この特徴により、糖質を減らすことが出来る。その一方でこの澱粉はα化されないため、低糖質乾パスタの場合、喫食時は粉っぽくボソボソと茹で足りないような食感を呈する。そのため、本来のパスタの品質を保持しているとは言えず、売り上げが伸び悩んでいる。
特許文献1では、難消化性澱粉、小麦蛋白及び増粘多糖類を10~100重量%の割合で含有する低糖質麺用ミックス粉により、カロリーをコントロールした低糖質麺類(生麺、茹で麺、蒸麺及び冷凍麺)が得られることが開示されている。
特許文献2では、難消化性澱粉と増粘多糖類を含む原料粉を生地とし、製麺した後にα化処理を施し、さらにカルシウムイオンを付与する製麺方法により得られた低糖質麺は、粘弾性のある良好な食感を有し、麺線の解れが良好で茹で溶けが非常に少ないことが開示されている。
特許文献3には、小麦粉含有製品の品質改良方法として、デュラム小麦蛋白濃縮物を使用することが開示されており、麺類において歯ごたえや弾力などの食感が改良され、色調が改善されることが開示されている。
さらに特許文献4では、所定量の穀粉、澱粉類及びデュラム小麦由来の小麦蛋白を含む麺類用穀粉組成物により、原料粉に澱粉を配合し、冷蔵ないし冷凍で保存・流通される麺類であっても粘弾性等の食感が良好で、かつ喫食時のホグレ性に優れる麺類が得られることが開示されている。
しかしながら、これらの方法は低糖質乾パスタに特有な、粉っぽい食感についての改善を目的とするものでは無く、その効果も不明である。
特許文献5には、食物繊維の補給源でありつつ低カロリーで、製麺性や食感も良好に保たれる麺類として、穀粉100重量%に対して60重量%以上のレジスタントスターチを含むレジスタントスターチ含有澱粉を10~80重量%含有させた麺類が記載されており、さらに該麺類に糊化開始温度を低下させる化工を施した加工澱粉を含有させることで、粉っぽい食感が改善し得ることも記載されている。しかしながら、その食感改善効果は十分とは言えず、さらなる改善が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-002000号公報
【文献】特開2017-012114号公報
【文献】特開2002-191306号公報
【文献】特許6408732号公報
【文献】特開平10-313804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、低糖質乾パスタ独特の粉っぽさが低減され、プリプリとした弾力とひきのある粘りのある食感を有する低糖質乾パスタを提供することを課題とする。ここでいう粉っぽさとは、低糖質の麺類の特徴である茹で足りないような、噛み込んだ際にもろく、口の中に粉が広がっていくような好ましくない食感である。乾パスタは生パスタに比べ茹で麺に芯が残るためこのような好ましくない食感を感じやすい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、難消化性澱粉、デュラム小麦由来のバイタルグルテン及び任意成分としてデュラムセモリナ及び/またはデュラム小麦由来の小麦粉を含む粉原料を使用した低糖質乾パスタであって、粉原料100質量部に対し、難消化性澱粉が30~60質量部であり、デュラム小麦由来のバイタルグルテンの量が5~23質量部である、低糖質乾パスタによって、低糖質乾パスタ独特の粉っぽさが低減され、プリプリとした弾力とひきのある粘りのある食感を有する低糖質乾パスタを提供することができることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]難消化性澱粉、デュラム小麦由来のバイタルグルテン及び任意成分としてデュラムセモリナ及び/またはデュラム小麦由来の小麦粉を含む粉原料を使用した低糖質乾パスタであって、粉原料100質量部に対し、難消化性澱粉が30~60質量部であり、デュラム小麦由来のバイタルグルテンの量が5~23質量部である、前記低糖質乾パスタ。
[2]さらに増粘剤を含む、前記[1]に記載の低糖質乾パスタ。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば低糖質乾パスタ独特の粉っぽさが低減され、プリプリとした弾力とひきのある粘りのある食感を有する低糖質乾パスタを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の低糖質乾パスタは、難消化性澱粉、デュラム小麦由来のバイタルグルテン及び任意成分としてデュラムセモリナ及び/またはデュラム小麦由来の小麦粉を含む粉原料を使用した低糖質乾パスタであって、粉原料100質量部に対し、難消化性澱粉が30~60質量部であり、デュラム小麦由来のバイタルグルテンの量が5~23質量部である。なお本発明において低糖質乾パスタとは、通常パスタは粉原料としてデュラムセモリナ100質量%を使用して製造するところ、その30質量%以上を難消化性澱粉で置換した乾パスタを意味する。このような低糖質乾パスタにおいて粉っぽさが顕著となる。
【0009】
本発明において、「粉原料」とは低糖質乾パスタを製造するための粉状の原料をいい、難消化性澱粉、デュラム小麦由来のバイタルグルテン及び任意成分としてデュラムセモリナ及び/またはデュラム小麦由来の小麦粉を含む。
【0010】
「難消化性澱粉」とは、ヒトの胃及び小腸では消化されにくく、大腸に届く澱粉、および、澱粉分解物の総称である。
難消化性澱粉は以下に示すようにRS1~RS4に分類されている。
RS1:雑穀のように、澱粉が物理的に硬い組織に囲まれていることで消化酵素が澱粉まで届かないタイプ(物理的に閉じ込められた澱粉)
RS2:十分に加熱されていない未糊化の澱粉、アミロースの極めて多い澱粉など、澱粉の粒子自体が消化されにくいタイプ(抵抗性澱粉粒)
RS3:澱粉を一度糊化(α化)した後、澱粉が再結晶して安定な構造(β化)をとるようになったタイプ(老化澱粉)
RS4:澱粉を高程度に化学修飾することで消化酵素が作用しにくくなったタイプ(変性澱粉)
【0011】
本発明に用いる難消化性澱粉は、小麦澱粉、コーンスターチ、米澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉等の生澱粉類を物理的及び/又は化学的に加工して得られる上記RS3及び/又はRS4に分類される難消化性澱粉であって、消化酵素により消化されない難消化性成分(食物繊維)の含量が少なくとも70質量%以上含まれるものをいう。
RS3に分類される難消化性澱粉としては、例えば湿熱処理、パーボイル加工、プルラナーゼ処理により得られるものが挙げられ、このような加工処理は、RS2に分類されるハイアミロース澱粉に対して好適に適用される。また、RS4に分類される難消化性澱粉としては、化学修飾により、エステル化やエーテル化による架橋を施したものなどが挙げられる。好ましくは澱粉類をリン酸架橋して得られる難消化性澱粉であり、これは上記RS4に区分される難消化性澱粉であって、澱粉類を高度にリン酸架橋処理して消化酵素が極めて作用し難くなっているものをいう。
【0012】
リン酸架橋処理された澱粉は、難消化性澱粉と易消化性である品質改良用加工澱粉に大別される。難消化性澱粉を評価するパラメーターには膨潤度、架橋度及び食物繊維含量(プロスキー法による)が使われる。架橋度が高くても食物繊維含量が極めて低いリン酸架橋澱粉もあるため、本願発明においては難消化性澱粉であるか否かは実質的に食物繊維含量で評価し、食物繊維含量が70質量%以上であるものを難消化性澱粉に分類する。なお、RS3及びRS4の難消化性澱粉の食物繊維含量は、プロスキー法、プロスキー変法、衛新第13号の酵素-HPLC法の何れによっても測定可能である。
【0013】
難消化性澱粉は公知の方法で製造することができるが、市販されているものを使用することもできる。原料とする澱粉には特に限定がない。市販されているものの好適な例として小麦澱粉を原料としたファイバージムRW(松谷化学社製)、タピオカ澱粉を原料としたパインスターチRT(松谷化学社製)、甘藷澱粉を原料とした松谷さつま(松谷化学社製)等が挙げられ、これらの食物繊維含量は70質量%以上である。
【0014】
本発明の低糖質乾パスタにおいて、粉原料100質量部に対し、難消化性澱粉が30~60質量部である。好ましくは30~50質量部、より好ましくは40~50質量部である。目標とする糖質低減率(%)により、粉原料の60質量%まで難消化性澱粉に置き換えることができる。60質量%を超えると押し出し成型が困難となる。
【0015】
本発明において、「デュラム小麦」としては品種や産地の限定無く使用することができる。このようなデュラム小麦の例としてカナダ産Transcend、Strongfield等、米国産Joppa、Divide等を挙げることが出来る。
本発明において、「バイタルグルテン」とは生のグルテンの活性を損なわないように乾燥し粉末状にしたグルテンであり、活性グルテンともいう。
一般にバイタルグルテンはいわゆる小麦蛋白濃縮物であり、小麦粉と水とを混捏し、グルテンが発達した粘弾性を有する生地を形成した後、生地中の澱粉等の可溶性成分を洗浄して除去し、小麦蛋白質の含有量を高めて粉末状にしたものであり、蛋白質含量は50~85質量%である。
本発明において、デュラム小麦由来のバイタルグルテンの製造方法は、一般に小麦粉からグルテンを採取する方法を適用できる。例えば、デュラム小麦粉100質量部に対して水55質量部を加え混捏し、形成された生地玉を20分間、30℃の湯浴中にて放置した後、水中にて水洗し、澱粉を洗い出して、デュラム小麦蛋白濃縮物を得、次いで、得られた生のデュラム小麦蛋白濃縮物を真空乾燥機にて乾燥後粉砕して粉末状とすることにより、蛋白質含量70質量%の乾燥されたデュラム小麦蛋白濃縮物(デュラムバイタルグルテン)を得ることができる。また、本発明においてデュラムバイタルグルテンは市販されるものを使用しても良い。
本発明の低糖質乾パスタにおいて、粉原料100質量部に対し、デュラム小麦由来のバイタルグルテンが5~23質量部である。好ましくは10~20質量部、より好ましくは10~15質量部である。デュラムバイタルグルテンが23質量部より多くなると生地の水和が不均一になり、通常の麺用ミキサーでは作製が困難となる。
【0016】
本発明の低糖質乾パスタは、さらにデュラムセモリナ及び/またはデュラム小麦由来の小麦粉を含むことができる。なお、本発明の低糖質乾パスタは穀粉としてデュラムセモリナ及び/またはデュラム小麦由来の小麦粉のみを含む。本発明において、「デュラムセモリナ」は、デュラム品種の硬質小麦を製粉して得られる、パスタ類の製造に使用する標準的な原料粉である。「セモリナ」とはデュラム小麦などの硬質小麦の製粉工程において得られる比較的粒度の粗い状態の胚乳の粉砕物を指し、一般に目開き約300μmの篩を抜けない程度の粗さのものをいう。また本発明において小麦粉はセモリナ粉よりも粒度が低いものを意味する。
【0017】
デュラムセモリナとデュラム小麦由来の小麦粉の合計量は、目標とする糖質低減(%)に応じて、適宜変化させることができる。本発明の低糖質乾パスタにおいて、粉原料100質量部に対し、デュラムセモリナとデュラム小麦由来の小麦粉の合計は好ましくは17~65質量部、より好ましくは20質量部を超え60質量%未満であり、更に好ましくは35~50質量部である。
【0018】
本発明の低糖質乾パスタは、さらに増粘剤を含むことができる。増粘剤を添加することでさらに生地性や食感を改善することができる。
「増粘剤」は増粘多糖類を意味し、グアガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グルコマンナン、ガラクトマンナン、カードラン、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸エステル、及びカラギーナンなどから、1種、もしくは複数種を選択して使用することができる。
本発明の低糖質乾パスタにおいて、粉原料100質量部に対し、増粘剤は好ましくは0~5質量部、より好ましくは0.05~1質量部である。
【0019】
本発明のパスタ類としては、スパゲッティ、スパゲッティーニ、フェデリーニ、カペッリーニ、リングイーネ、ブカティーニなどのロングパスタ、マカロニ、ペンネ、コンキリエ、ファルファッレ、フジッリなどのショートパスタが例としてあげられるがこれらに限定されない。
【0020】
本発明のパスタ類の製造は、難消化性澱粉、デュラム小麦由来のバイタルグルテン及び任意にデュラムセモリナ及び/またはデュラム小麦由来の小麦粉を上記所定量含む粉原料を使用する以外は常法に従って製造することが出来る。例えば、難消化性澱粉、デュラム小麦由来のバイタルグルテン及び任意にデュラムセモリナを含む粉原料に加水し混練して作製した生地を、真空ミキサーで脱気しつつ、成形機から高圧で押し出した後、切断し、調湿乾燥することにより製造することができる。
【0021】
本発明のパスタの製造方法において、パスタ類の麺帯の調製、麺線の切り出しや麺線の押出しはパスタ類の種類に応じた常法により行うことができる。例えば、押出し式機械製麺などにより行うことができる。パスタの乾燥についても常法により行うことが出来、例えば湿度60~80%、温度60~75℃で水分量13%以下まで乾燥させることができる。
【0022】
本発明のパスタ類の製造方法においては、パスタの種類などに応じて、食塩、澱粉、鶏卵粉、酒精、乳化油脂、乳粉末、水等、通常パスタの製造に用いる副原料を使用することができる。
【実施例
【0023】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0024】
<製造例1 低糖質乾パスタの製造>
(1)難消化性澱粉30質量部、デュラムバイタルグルテン(蛋白質含量70質量%*)23質量部、デュラムセモリナ47質量部と水40質量部をミキサーに投入し、2分間プレミキシング後、生地を掻き落とし、本ミキシングを10分間で混捏し、水和生地とした。
(2)真空押出機を用い、水和生地を真空ミキサーで約80kPaの真空度で脱気しつつ、約100barの圧力で金型(ダイス)から押し出した。
(3)押し出した生地を乾燥機で水分13.0%以下まで調湿乾燥させ、直径1.5mmの低糖質乾パスタとした。
* 蛋白質含量は、ケルダール法により窒素含量を測定し、窒素・蛋白質換算係数5.70を用いて算出した。
【0025】
<試験例 低糖質乾パスタの食感に与えるデュラムバイグルの影響>
難消化性澱粉、デュラムバイタルグルテン、普通系小麦由来のバイタルグルテン(蛋白質含量70質量%*)、加工澱粉及びデュラムセモリナの添加量を表1記載の添加量にした以外は製造例1に従って低糖質乾パスタを製造した。沸騰水中で、茹で歩留まりが230質量%になるように茹でた直後の低糖質乾パスタを、熟練パネラー10名により評価基準表に従って評価した。結果を表1に示した
なお、デュラムセモリナ100%の原料で常法により製造した通常パスタの評価を5点とし(対照例1)、従来技術として特許文献5(特開平10-313804号公報)に開示されている実施例6を参考に難消化性澱粉と加工澱粉を添加して製造した乾パスタの評価を3点とした(対照例2)。
* 蛋白質含量は、ケルダール法により窒素含量を測定し、窒素・蛋白質換算係数5.70を用いて算出した。
評価基準表
【0026】
【表1】
【0027】
比較例1と対照例4の比較より、難消化性澱粉が30質量%以上になると粉っぽさが許容できない水準となった。
対照例1と実施例1、4及び対照例2の比較より、本願所定量のデュラムバイタルグルテンを配合することにより、加工澱粉(ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉)を配合するよりも評価の高い食感を得ることができた。また加工澱粉を20質量部まで増やした対照例3では、粉っぽさやひきは改善したが弾力が下がる傾向がみられ、加工澱粉よりもデュラムバイタルグルテンを使用することの優位性を示した。
デュラムバイタルグルテンを5~23質量部添加した実施例1~6では弾力・ひきは良好であった。デュラムバイタルグルテンを添加しなかった比較例1では粉っぽさ・ひきは不適であった。
また、普通系小麦由来のバイタルグルテンを添加した比較例2~5においても、デュラムバイタルグルテンを添加した例に比べると評価は低かった。
なお、デュラムバイタルグルテンや普通系小麦由来バイタルグルテンが23質量部より多くなると生地の水和が不均一になり、通常の麺用ミキサーでは作製が困難であった。
また、難消化性澱粉が60質量部より多くなると(小麦蛋白の配合率によらず)生地の押し出し成型が困難であった。