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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】質量分析装置およびこれを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/24 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
H01J49/24
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021536990
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(86)【国際出願番号】 JP2020028373
(87)【国際公開番号】W WO2021020260
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2019138005
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 博幸
(72)【発明者】
【氏名】橋本 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】菅原 佑香
(72)【発明者】
【氏名】田村 陸
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-142025(JP,A)
【文献】国際公開第2019/003374(WO,A1)
【文献】特開2001-021537(JP,A)
【文献】特開2003-132836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 40/00-49/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一真空室と、
大気と前記第一真空室とを連通させる第一連通孔と、
前記第一真空室から空気を排出する第一真空ポンプと、
大気圧に関連する大気圧関連値を取得する大気圧関連値取得手段と、
前記第一真空ポンプの実効排気速度を調節する調節手段と、
前記調節手段を制御する制御装置と、
を備える質量分析装置において、
前記制御装置は、前記大気圧関連値を取得し、前記大気圧関連値に応じて、前記第一真空室の圧力が所定の基準値になるように前記調節手段を制御することにより、大気圧が変化したときであっても、前記第一真空室の内部におけるイオンと中性分子との衝突頻度を維持し、
前記大気圧関連値は大気圧を表す値であることを特徴とする、
質量分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の質量分析装置において、
前記制御装置は、前記基準値を記憶し、前記基準値を参照して前記調節手段を制御することを特徴とする、質量分析装置。
【請求項3】
請求項1に記載の質量分析装置において、
前記大気圧関連値取得手段は気圧計であることを特徴とする、質量分析装置。
【請求項4】
請求項1に記載の質量分析装置において、
前記調節手段は、前記第一真空ポンプの回転数を制御することにより前記第一真空ポンプの実効排気速度を調節することを特徴とする、質量分析装置。
【請求項5】
請求項1に記載の質量分析装置において、
前記調節手段はガス供給源を備え、前記ガス供給源は、前記第一真空室に、または、前記第一真空ポンプに、または、前記第一真空室と前記第一真空ポンプとの間に、ガスを供給し、
前記調節手段は、前記ガス供給源から供給される前記ガスの流量を制御することにより、前記第一真空ポンプの実効排気速度を調節することを特徴とする、質量分析装置。
【請求項6】
請求項1に記載の質量分析装置において、
前記調節手段は、前記第一真空室と前記第一真空ポンプとの間に設けられる流量制御弁を備え、
前記調節手段は、前記流量制御弁の開口量を制御することにより、前記第一真空ポンプの実効排気速度を調節することを特徴とする、質量分析装置。
【請求項7】
請求項1に記載の質量分析装置において、
第二真空室と、
前記第二真空室と前記第一真空室とを連通させる第二連通孔と、
前記第二真空室から空気を排出する第二真空ポンプと、
をさらに備える、質量分析装置。
【請求項8】
第一真空室と、
大気と前記第一真空室とを連通させる第一連通孔と、
前記第一真空室から空気を排出する第一真空ポンプと、
大気圧に関連する大気圧関連値を取得する大気圧関連値取得手段と、
前記第一真空ポンプの実効排気速度を調節する調節手段と、
前記調節手段を制御する制御装置と、
を備える質量分析装置を制御する方法において、
前記制御装置が前記大気圧関連値を取得するステップと、
前記制御装置が、前記大気圧関連値に応じて、前記第一真空室の圧力が所定の基準値になるように前記調節手段を制御することにより、大気圧が変化したときであっても、前記第一真空室の内部におけるイオンと中性分子との衝突頻度を維持するステップと、
を備え、
前記大気圧関連値は大気圧を表す値であることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、質量分析装置およびこれを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析装置は、試料分子に電荷を付加してイオン化を行い、生成したイオンを電場または磁場により質量電荷比に応じて分離し、分離されたイオンの量を検出器にて電流値として計測する機器である。質量分析装置は高感度であり、また、他の分析装置に比べ、定量性および同定能力に優れている。近年、ライフサイエンス分野ではゲノム解析に代わるペプチド解析や代謝物解析が注目され、高感度で同定・定量能力の優れた質量分析装置の有効性が再評価されてきた。
【0003】
質量分析装置は、その原理から幾つかの種類が挙げられるが、現在主に使用される質量分析装置として、四重極形質量分析計(QMS: Quadrupole Mass Spectrometer)が挙げられる。
【0004】
四重極形質量分析計は、4本の円柱または双曲面をもったポールを電極とし、高周波電圧および直流電圧を印加することによって質量分離を行う質量分析装置である。高周波電圧を印加することにより、電極間に四重極電界を形成することで、擬似的な井戸型ポテンシャルを作り、イオンを電極間に収束させる。このとき、直流電圧を重畳すれば、特定の質量電荷比のイオンのみを透過させることができ、これを検出器に輸送することでそのイオンの量を測定することができる。
【0005】
透過するイオンの質量電荷比は、直流電圧と交流電圧との電圧比に応じて異なるので、電圧比を所定範囲内で掃引すれば、各種のイオンが質量電荷比に応じた順に検出器に到達し、マススペクトルを得ることができる。四重極形質量分析計は、シーケンシャルな測定が可能であり、かつ検出器のダイナミックレンジが広いため、定量性能が高い特長を持つ。
【0006】
質量分析装置では、電極に印加される電圧を制御し、それより形成される電界を変更することで、電荷をもったイオンが電気的に操作され、質量電荷比に応じた特定の軌道を描き、分離される。通常、四重極質量分析計の分析部は、中性分子との衝突によりイオンの運動が阻害されるのを低減するために、10-3パスカル程度の真空室に配置される。
【0007】
ただし、イオンを形成するイオン源が大気圧にあることから、複数の真空室を用いた差動排気により分析室の真空度を達成するのが効果的である。通常、差動排気は複数段(たとえば2段または3段)の真空室と真空ポンプで形成され、その内部にはイオンを輸送するイオンガイドが配置される。イオンガイドもまた電極であり、イオンを電気的に誘導し分析室に輸送する。イオンガイドには、たとえば多重極イオンガイドが使用され、平行板を配置したもの、ヘキサポール、オクタポール等を用いて構成される。イオンガイドが配置される真空室の圧力は数百パスカルから数パスカル程度であり、分子の平均自由程が小さいため、イオンは内部の中性分子と衝突しながら、電界により分析室へ輸送される。
【0008】
分析装置における真空度の制御を行う技術の例を開示する文献として、特許文献1~3が挙げられる。
【0009】
なお、このようなイオンガイドの弊害として、その電界が質量依存性および試料依存性を有すること挙げられる。質量分析装置で計測されるイオンの質量電荷比は、その試料に依存し質量が数十から数千[m/z]と幅広い。そのため、イオンに連通孔を透過させるために必要となる集束力や、衝突断面積によるイオンの減速度合いが質量により異なる。また、特定の試料では原子間の結合力が弱いため、イオンガイドで複数回中性分子と衝突することで結合が開裂し、構造を維持できない場合がある。これらの弊害を抑えるため、その試料に合わせた電界を作ると有効な場合がある。たとえば、電極に印加する電圧をそれぞれの試料に合わせ適正化し、その試料のイオンが最も透過する電圧に設定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2018-159682号公報
【文献】特開2013-37815号公報
【文献】特開2001-305118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の技術では、真空室の気圧を適切に維持するのが困難であるという課題があった。
【0012】
たとえば、イオンガイドが配置される差動排気の真空室は、外気圧の影響を受けやすい。通常1atmの大気圧は101.3kPaであるが、標高3000mの設置環境であれば外気圧は70.1kPaに変わるため、差動排気の真空室も同様にその圧力が0.5~0.7倍程度に低下する。
【0013】
真空室の気圧を適切に維持できずにイオンガイド周辺の真空度が変わる(たとえば気圧が低下する)ことは、中性分子との衝突頻度が変わる(たとえば減る)ことにつながり、必要とする集束力も変わることとなり、結果として感度低下等の弊害につながる。通常、このような真空室の圧力変動が発生した場合には、再度、各々の試料を質量分析計に導入し、電極電圧を最適化するという作業が必要であった。試料の数が増えるほど、その作業量は増加し、また、試料の組み合わせにもよっても作業量は増加する。また、試料が希少である場合にはこのような追加作業は望ましくない。
【0014】
この発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、真空室の気圧をより適切に維持できる質量分析装置およびこれを制御する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明に係る質量分析装置の一例は、第一真空室と、第一真空ポンプと、大気圧関連値取得手段と、第一真空ポンプの実効排気速度を調節する調節手段と、制御装置とを備え、制御装置は、大気圧関連値に応じて調節手段を制御することを特徴とする。
【0016】
また、この発明に係る質量分析装置を制御する方法の一例は、第一真空室と、第一真空ポンプと、大気圧関連値取得手段と、第一真空ポンプの実効排気速度を調節する調節手段と、制御装置とを備える質量分析装置を制御する方法において、制御装置が大気圧関連値を取得し、大気圧関連値に応じて調節手段を制御する。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2019-138005号の開示内容を包含する。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、質量分析装置において、真空室の気圧をより適切に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1に係る質量分析装置の概略構成例等を示す図。
図2】本発明の実施例2に係る質量分析装置の概略構成例を示す図。
図3】本発明の実施例3に係る質量分析装置の概略構成例を示す図。
図4】本発明の実施例4に係る質量分析装置の概略構成例を示す図。
図5】本発明の実施例5に係る質量分析装置の概略構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
[実施例1]
図1に、本発明の実施例1に係る質量分析装置100の概略構成例等を示す。とくに、図1(a)は概略構成例を表し、図1(b)は装置の制御方法例を表す。
【0021】
質量分析装置100は、質量分析計と呼ばれるものであってもよく、とくに、四重極形質量分析計として構成されてもよい。質量分析装置100は大気圧環境下に置かれ、2段の真空室を備えて差動排気を行う。差動排気における初段の真空室が第一真空室101であり、次段の真空室が第二真空室102である。真空室は3以上でも良い。また、単段である構成(たとえば第二真空室102を備えず、したがって差動排気を行わない構成)についてもとくに除外しない。
【0022】
質量分析装置100は、これらの真空室に関連してガスを通過させる連通孔を備える。連通孔はたとえば連通孔として形成され、たとえば直径が0.4~2.0mm程度または0.2~0.8mm程度である。第一連通孔103は大気と第一真空室101とを連通させ、第二連通孔104は第一真空室101と第二真空室102とを連通させる。大気と第二真空室102との間には連通孔は設けられない。
【0023】
また、質量分析装置100は真空ポンプを備える。本実施例では、真空ポンプは第一真空ポンプ106および第二真空ポンプ105を含む。第一真空ポンプ106は第一真空室101に接続され、第一真空室101から空気を排出する。これによって第一真空室101の圧力が低下し、大気圧未満となる。第二真空ポンプ105は第二真空室102に接続され、第二真空室102から空気を排出する。これによって第二真空室102の圧力が低下し、第一真空室101の圧力未満となる。
【0024】
質量分析動作を行う際の各真空室の圧力は、イオンガイド等の構成に応じて適宜決定可能であるが、本実施例では、第一真空室101の圧力を数百パスカル程度とし、第二真空室102の圧力を数パスカル程度とする。第二真空ポンプ105は、たとえばターボ分子ポンプにより構成すると、必要な高真空を実現することができる。
【0025】
本実施例では、第一真空ポンプ106は、第二真空ポンプ105に対するフォアポンプとしても機能する。このため、第一真空ポンプ106は粗きポンプとも呼ばれる。このような構成は、第二真空ポンプ105が大気圧から直接的に必要な真空まで圧力を下げることができない場合に有効である。
【0026】
次に、質量分析装置100の、分析に係る動作を説明する。本実施例では、はじめに第一真空ポンプ106を動作させ、第一真空室101および第二真空室102の圧力を数百パスカル程度まで下げる。その後、第二真空ポンプ105を動作させ、第二真空室102を数パスカル程度まで下げる。
【0027】
各真空室で所定の真空度が達成された後、質量分析計でのイオンの計測が可能となる。質量分析装置100は、イオン源107と、イオンガイド108と、電極109と、検出器110と、制御装置111とを備える。
【0028】
イオン源107は、直流電源を用いて数kVの電圧を印加することで試料をイオン化する。正または負に帯電したイオンは、第一連通孔103を通り、第一真空室101内に導入される。
【0029】
第一真空室101内にはイオンガイド108が配置され、イオンガイド108は、イオンを第二真空室102へ輸送する。イオンガイド108としては、たとえば多重極イオンガイドを用いることができる。多重極イオンガイドは、たとえば、平行板を配置したもの、ヘキサポール、オクタポール、等の構成とすることができる。イオンガイド108の電極に電圧を印加することにより、イオンを輸送する。輸送されるイオンは、第二連通孔104を通って第二真空室102内に導入される。
【0030】
第二真空室102内には、イオンガイド108の後段として、電極109が配置される。電極109は、たとえば線形四重極電界を作成するクワドロポールである。電極109は、直流電圧に高周波電圧を重畳して印加することにより、イオンを誘導する。電極109の後段には検出器110が配置されており、電極109によって誘導されるイオンの一部は検出器110に到達する。ここで、検出器110に到達するイオンの質量電荷比は、直流電圧と高周波電圧との電圧比に応じて異なるので、この電圧比を特定の値とすることにより、特定の質量電荷比を持つイオンのみを検出器110に到達させることができる。検出器110は、到達したイオンの電荷を電気信号に変換し、制御装置111に送信する。制御装置111は、この電気信号を受信して記憶し、デジタル信号への変換処理およびデータ演算処理を実行する。
【0031】
制御装置111は公知の構成を有するコンピュータとして構成され、プロセッサ等の演算手段と、半導体メモリ等の記憶手段とを備える。記憶手段にはプログラムが記憶されていてもよく、演算手段がこのプログラムを実行することにより、制御装置111が本明細書に記載される機能を実現してもよい。
【0032】
ここで、本実施例における各真空室の圧力形成について説明する。真空室の圧力は、真空室に入るガスの流入量Qinと、真空室から出てゆく(たとえば真空ポンプ等より排出される)ガスの流出量Qoutとに応じて決定される。流入量Qinは、流入元との連通孔におけるコンダクタンスCと、流入元の圧力すなわち大気圧Pとを用いて、数式1で表される。
in=P・C …数式1
なお、Pは、連通孔を挟む圧力の高い側の圧力であるということもできる。また、コンダクタンスCは流体の流れやすさを表し、連通孔の径および長さなどの形状と、内部を流れる流体の特性(粘性流、中間流、分子流)とに応じて決定される。
【0033】
また、流出量Qoutは、真空室の圧力Pと、真空室に接続される真空ポンプの実効排気速度Sとを用いて、数式2で表される。
out=P・S …数式2
【0034】
inとQoutとが等しくなることで真空室が恒常的な圧力に安定することから、安定時の真空室の圧力は数式3より予測できる。
・C=P・S …数式3
【0035】
さらに、流体が粘性流体である場合には、コンダクタンスCは数式4を用いて計算することができる。
C=π・D・(P-P)/(128・η・L) …数式4
ただしDは連通孔が円形である場合の直径であり、ηは粘性係数であり、Lは連通孔の長さである。
【0036】
本実施例の第一真空室101を例にとれば、Pが大気圧であり、Sが第一真空ポンプ106の排気速度であり、Cが第一連通孔103のコンダクタンスであることから、第一真空室101の圧力Pを予測することができる。
【0037】
さらに、本実施例では、質量分析装置100は、第一真空室101の圧力を計測する真空ゲージ112を備える。真空ゲージ112は、計測した圧力を表す信号を制御装置111に送信する。制御装置111はこの信号を受信し、圧力を表す情報を記憶する。
【0038】
さらに、質量分析装置100は、第一真空ポンプ106の実効排気速度を調節する調節手段を備え、制御装置111はこの調節手段を制御する。本実施例では、この調節は第一真空ポンプ106の回転数に対する調節であり、すなわち、制御装置111は、第一真空ポンプ106の回転数を制御することにより、第一真空ポンプ106の実効排気速度を調節する。調節手段の具体的な構造および配置は、当業者が適宜設計可能である。たとえば、制御装置111が所定の調節プログラムを実行することによって第一真空ポンプ106に回転数を指示する信号を送信してもよく、その場合には制御装置111が調節手段を構成すると考えることができる。または、第一真空ポンプ106がインバータ回路等の回転数制御機構を備えていてもよく、その場合には当該回転数制御機構が調節手段を構成すると考えることもできる。さらに、調節手段は一箇所にまとめて配置される必要はなく、制御装置111と第一真空ポンプ106とに分散して配置されてもよい。たとえば、調節手段は、制御装置111と、第一真空ポンプ106の回転数制御機構とを含んで構成されてもよい。
【0039】
また、質量分析装置100は、第二真空ポンプ105の実効排気速度を調節する調節手段をさらに備えてもよい。第二真空ポンプ105に係る調節手段も、第一真空ポンプ106に係る調節手段と同様に構成することが可能である。
【0040】
制御装置111は、第一真空ポンプ106および第二真空ポンプ105と通信ケーブルで接続されてもよい。調節手段による回転数の制御は、この通信ケーブルを介した通信を用いて実現されてもよい。また、制御装置は、第一真空ポンプ106および第二真空ポンプ105の動作状況の変化を記録してもよく、たとえば、各真空ポンプについて、動作開始時刻、動作停止時刻、所定時間間隔ごとの回転数、等を記録してもよい。
【0041】
次に、本実施例において、外気圧が変化した場合の、真空室の圧力調整原理について説明する。本実施例では、第一真空室101の圧力Pの圧力を、大気圧Pに対して無視できる程度(たとえばP<P/100)にまで低下させる必要があるものとする。このような場合には、上記数式4においてP-PをPと近似することができ、これによって数式5が得られる。
C=π・D・P/(128・η・L) …数式5
【0042】
ここで、π・D/(128・η・L)を定数kで置き換えると、C=k・Pが得られる。ただしkは第一連通孔103の形状(直径、長さ、等)および粘性係数に応じて決まる定数である。これを上記数式3に代入し、Pについて表すと、数式6が得られる。 P=k・P /S …数式6
このように、PはPの2乗に比例することとなる。
【0043】
ここで、たとえば大気圧が、本来想定されていた値の0.7倍に低下し、さらに第一真空ポンプ106の実効排気速度が変わらないと仮定すると、上記数式6より、第一真空室101の圧力は、本来想定されていた基準値の0.49倍に低下することになる。この場合、第一真空室101の圧力を本来の基準値に戻すためには、実効排気速度を、本来の基準実効排気速度の0.49倍にすればよい。
【0044】
一般的には、特定の大気圧下で、実効排気速度Sにおいて第一真空室101の圧力が基準値Pとなるように質量分析装置100が設計されている場合において、第一真空室101の圧力がP’となった場合には、調節後の実効排気速度S’について数式7を満たすように制御すればよい。
S’=S・P’/P …数式7
【0045】
次に、図1(b)のフローチャートを用いて、このような原理に基づく質量分析装置100の制御方法例を説明する。図1(b)に示す処理は、たとえば制御装置111によって実行される。まず制御装置111は、第一真空室101の圧力の基準値を記憶する(ステップS1)。たとえば質量分析装置100の使用者がこの基準値を決定して入力し、制御装置111がこの入力を受け付けて記憶する。使用者が基準値を決定するための方法は任意であるが、たとえば、特定の大気圧(たとえば101.3kPaであるが、これに限らない)下において、第一真空ポンプ106を実効排気速度Sで動作させ、圧力が平衡に達した状態での第一真空室101の圧力を、基準値として用いることができる。この際には、必要に応じて第二真空ポンプ105を動作させてもよい。
【0046】
この基準値は、上記のように特定の大気圧下での第一真空室101の圧力を実測して決めてもよいが、上記数式3に基づいて算出してもよい。典型的な大気圧下での実測であれば、標高や気象の影響を受けず、電極電圧パラメータを一定に保つことができる。
【0047】
図1(b)には示さないが、ステップS1の後に、質量分析装置100周辺の大気圧が変動する。たとえば、質量分析装置100が運搬され、標高がより高い地点に移動することにより大気圧が低下する。
【0048】
制御装置111は、真空ゲージ112から、第一真空室101の圧力を表す値を取得する(ステップS2)。このステップS2は、たとえば、第一真空ポンプ106を実効排気速度Sで動作させ、圧力が平衡に達した状態で実行される。この際には、必要に応じて第二真空ポンプ105を動作させてもよい。
【0049】
ここで、上述の原理によれば、第一真空ポンプ106の実効排気速度が一定であれば、第一真空室101の圧力は大気圧に応じて変動するので、第一真空室101の圧力は、大気圧(または大気圧の変化)を間接的に表しているということができる。言い換えると、真空ゲージ112から取得される値は、大気圧に関連する値(大気圧関連値)であるということができ、また、真空ゲージ112は、大気圧関連値取得手段を構成するということができる。大気圧関連値に基づき、たとえば所定の関数またはテーブル等を用いて、大気圧を算出または推定することが可能である。
【0050】
次に、制御装置111は、第一真空室101の圧力を表す値(大気圧関連値)に応じて、第一真空室101の圧力が基準値になるように調節手段を制御し、第一真空ポンプ106の回転数を制御する(ステップS3)。この制御はたとえば、記憶した基準値を参照し、上記数式7に従って行われる。すなわち、真空ゲージ112によって計測された圧力値と、変化前の基準値との比に基づき、第一真空ポンプ106の回転数を制御する。この結果、第一真空室101の圧力は基準値に回復する。
【0051】
このように、実施例1に係る質量分析装置100によれば、第一真空室101の圧力が補正されるので、圧力をより適切に維持することができる。
【0052】
とくに、第一真空室101の気圧を適切に維持するという課題を、真空ゲージ112によって計測された圧力値に応じて第一真空ポンプ106の回転数を制御することにより解決し、第一真空室101の気圧がより適切に維持されるという効果を得ることができる。また、大気圧を直接計測しなくても、真空ゲージ112による第一真空室101の圧力計測によって代用できるという効果を得ることができる。
【0053】
このため、たとえば第一真空室101内部におけるイオンと中性分子との衝突頻度を適切に維持することができ、イオンレンズの電圧パラメータ等を別途調整しなくても、安定した測定が可能になる。
【0054】
[実施例2]
実施例1では、第一真空ポンプの実効排気速度の調節を、第一真空ポンプの回転数を制御することによって実現した。実施例2は、この調節を、ガスを流入させることによって実現する構成としたものである。以下、実施例1との相違を説明する。
【0055】
図2に、本発明の実施例2に係る質量分析装置200の概略構成例を示す。質量分析装置200は、第一真空室201と、第二真空室202と、第一真空ポンプ203と、第二真空ポンプ204と、真空ゲージ205とを備える。これらの構成要素の構成および動作は、実施例1における同名の構成要素と同様である。
【0056】
また、質量分析装置200は、制御装置206を備える。制御装置206の構成および動作は、以下に説明する点を除き、実施例1の制御装置111と同様である。
【0057】
また、質量分析装置200は、ガス流量コントローラ207と、ガス供給源208とを備える。ガス供給源208は、第一真空ポンプ203に対してガスを供給する。ここで、ガスは、図2に示すように第一真空室201と第一真空ポンプ203との間に供給されてもよいし、第一真空室201に供給されてもよいし、第一真空ポンプ203に供給されてもよい。ガス流量コントローラ207は、ガス供給源208から供給されるガスの流量を制御する。
【0058】
本実施例における調節手段は、ガス流量コントローラ207およびガス供給源208を備えて構成される。ガス供給源208から第一真空ポンプ203に対してガスが供給されると、第一真空ポンプ203が第一真空室201からガスを排気する能力は低下することになるので、第一真空ポンプ203の実効排気速度が低下するといえる。このように、ガス流量コントローラ207は、ガス供給源208から供給されるガスの流量を制御することにより、第一真空ポンプ203の実効排気速度を調節する。
【0059】
ここで、本実施例での真空室の圧力形成について説明する。大気から真空室に入る流入量Qinは、通常、大気との連通孔におけるコンダクタンスCと、大気圧Pとを用いて表されるが、本実施例では、外部より導入されるガスの流入量Qextを導入し、真空室の圧力を補正する。流入量Qextは、ガス供給源によって供給されるガスの圧力Pextと、ガス流量コントローラによって設定される流量Sextとを用いて、数式8で表される。
ext=Pext・Sext …数式8
【0060】
また、本実施例において、真空室の圧力が平衡に達した状態では、ガスの流入出に関して数式9が成立する。
in+Qext=Qout …数式9
ただしQoutは、真空室から出てゆく(たとえば真空ポンプ等より排出される)ガスの流出量である。
【0061】
数式9に、数式1、2および8を代入すると、各流量が圧力によって表され、数式10が得られる。
・C+Pext・Sext=P・S …数式10
【0062】
数式10を、数式6と同様に真空室の圧力Pについて表すと、数式11となる。
=(k・P /S)+(Pext・Sext/S) …数式11
数式11では、Pext・Sext/Sの項が追加されているので、この項の値を変更することにより圧力Pの値を変更することができる。本実施例では第一真空ポンプ203の実効排気速度Sを一定とし、Pext・Sextの値を変化させる。Pext・Sextの値は、たとえば、ガス供給源208の圧力Pextまたはガス流量コントローラ207で設定される流量Sextを変化させることにより変更可能である。
【0063】
実施例2に係る質量分析装置200は、実施例1に係る図1(b)と同様の方法を用いて制御することができる。ただし、実施例2では、ステップS3において、制御装置206がPextまたはSext(あるいは双方)を変更し、ガス供給源208から供給されるガスの流量を制御する。この結果、第一真空室201の圧力は基準値に回復する。
【0064】
このように、実施例2に係る質量分析装置200によれば、第一真空室201の圧力が補正されるので、圧力をより適切に維持することができる。
【0065】
とくに、第一真空室201の気圧を適切に維持するという課題を、ガス供給源208から供給されるガスの流量を、真空ゲージ205によって計測された圧力値に応じて制御することにより解決し、第一真空室201の気圧がより適切に維持されるという効果を得ることができる。また、大気圧を直接計測しなくても、真空ゲージ205による第一真空室201の圧力計測によって代用できるという効果を得ることができる。
【0066】
[実施例3]
実施例3は、第一真空ポンプの実効排気速度の調節を、流量制御弁で配管コンダクタンスを低下させることにより実現する構成としたものである。以下、実施例1との相違を説明する。
【0067】
図3に、本発明の実施例3に係る質量分析装置300の概略構成例を示す。質量分析装置300は、第一真空室301と、第二真空室302と、第一真空ポンプ303と、第二真空ポンプ304と、真空ゲージ305とを備える。これらの構成要素の構成および動作は、実施例1における同名の構成要素と同様である。
【0068】
また、質量分析装置300は、制御装置306を備える。制御装置306の構成および動作は、以下に説明する点を除き、実施例1の制御装置111と同様である。
【0069】
また、質量分析装置300は、流量制御弁307を備える。流量制御弁307は、第一真空ポンプ303の真空配管に設けられ、図3の例では、第一真空室301と第一真空ポンプ303との間に配置されている。本実施例に係る調節手段は、この流量制御弁307を備えて構成される。
【0070】
ここで、本実施例での真空室の圧力形成について説明する。まず、真空配管のコンダクタンスを考慮すると、真空ポンプの実効排気速度Sは数式12により決定する。
1/S=(1/S)+(1/C) …数式12
ただし、Sは真空ポンプの真の排気速度であり、コンダクタンスを無限大とした理想条件下で真空ポンプが達成できる最大の排気速度である。Cは真空ポンプと真空室を接続する真空配管のコンダクタンスである。数式12より、真空ポンプの実効排気速度Sは、真空配管のコンダクタンスに応じて真の排気速度Sより低い値となる。
【0071】
本実施例では、流量制御弁307によって、真空配管に追加のコンダクタンスCを発生させる。本実施例での真空ポンプの実効排気速度Sは、数式13で表される。
1/S=(1/S)+(1/C)+(1/C) …数式13
【0072】
流量制御弁307によるコンダクタンスCは、たとえば開口量を変更することによって変化させることができる。流量制御弁307のコンダクタンスCを変更する(たとえば低下させる)ことにより、第一真空ポンプ303の実効排気速度Sを変更する(たとえば低下させる)ことができる。これは、数式6におけるSを変更することと同等であり、結果として真空室内の圧力Pを補正することができる。
【0073】
実施例3に係る質量分析装置300は、実施例1に係る図1(b)と同様の方法を用いて制御することができる。ただし、実施例3では、ステップS3において、流量制御弁307の開口量を制御することにより、第一真空ポンプ303の実効排気速度を調節する。この結果、第一真空室301の圧力は基準値に回復する。
【0074】
このように、実施例3に係る質量分析装置300によれば、第一真空室301の圧力が補正されるので、圧力をより適切に維持することができる。
【0075】
とくに、第一真空室301の気圧を適切に維持するという課題を、真空ゲージ205によって計測された圧力値に応じて流量制御弁307の開口量を制御することにより解決し、第一真空室301の気圧がより適切に維持されるという効果を得ることができる。また、大気圧を直接計測しなくても、真空ゲージ305による第一真空室301の圧力計測によって代用できるという効果を得ることができる。
【0076】
[実施例4]
実施例1~3では、大気圧に関連する値(大気圧関連値)として、第一真空室101の圧力を間接的に用いた。実施例4は、大気圧関連値として、より直接的に計測された大気圧を用いる構成としたものである。以下、実施例1との相違を説明する。
【0077】
図4に、本発明の実施例4に係る質量分析装置400の概略構成例を示す。質量分析装置400は、第一真空室401と、第二真空室402と、第一真空ポンプ403と、第二真空ポンプ404とを備える。これらの構成要素の構成および動作は、実施例1における同名の構成要素と同様である。
【0078】
また、質量分析装置400は、制御装置406を備える。制御装置406の構成および動作は、以下に説明する点を除き、実施例1の制御装置111と同様である。
【0079】
また、質量分析装置400は、気圧計405を備える。気圧計405は、大気圧を計測し、計測した大気圧を表す信号を制御装置406に送信する。制御装置406はこの信号を受信し、大気圧を表す情報を記憶する。本実施例では、大気圧を表す値(たとえば大気圧そのもの)が大気圧関連値であり、気圧計405が大気圧関連値取得手段である。
【0080】
数式1に示すとおり、真空室へのガスの流入量Qinは大気圧Pに比例する。そのため、大気圧が低下すると真空室内の圧力も数式6のように低下することになる。そこで、低下した大気圧に応じ、調節手段によって真空ポンプの実効排気速度を調節する。調節手段の構成は、たとえば実施例1~3のいずれかのものを用いることができる。
【0081】
一般的には、特定の基準大気圧P下で、実効排気速度Sにおいて第一真空室401の圧力が基準値となるように質量分析装置400が設計されている場合において、大気圧が変化してP’となった場合には、調節後の実効排気速度S’が数式14を満たすように制御すればよい。
S’=S・P /P …数式14
【0082】
このように、実施例4に係る質量分析装置400によれば、第一真空室401の圧力が補正されるので、圧力をより適切に維持することができる。
【0083】
とくに、第一真空室401の気圧を適切に維持するという課題を、気圧計405によって計測された大気圧に応じて第一真空ポンプ403の実効排気速度を調節することにより解決し、第一真空室401の気圧がより適切に維持されるという効果を得ることができる。また、大気圧を直接計測することにより、真空ゲージが不要となるという効果を得ることができる。
【0084】
[実施例5]
実施例1~4では、大気圧に関連する値(大気圧関連値)を計測して用いた。実施例5は、大気圧関連値を計測せず、外部から大気圧関連値を受信する構成としたものである。以下、実施例4との相違を説明する。
【0085】
図5に、本発明の実施例5に係る質量分析装置500の概略構成例を示す。質量分析装置500は、第一真空室501と、第二真空室502と、第一真空ポンプ503と、第二真空ポンプ504とを備える。これらの構成要素の構成および動作は、実施例4における同名の構成要素と同様である。
【0086】
また、質量分析装置500は、制御装置506を備える。制御装置506の構成および動作は、以下に説明する点を除き、実施例4の制御装置406と同様である。
【0087】
制御装置506は、外部データ505を取得し、記憶手段に記憶することができる。外部データ505は、大気圧に関連する値(大気圧関連値)であればどのようなデータであってもよいが、たとえば質量分析装置500が設置される場所での大気圧を表すデータとすることができる。このように、本実施例では、制御装置506が大気圧関連値取得手段である。
【0088】
外部データ505の入力方法は任意に設計可能であるが、たとえば制御装置506の入力インターフェイスを介して入力することができる。入力インターフェイスは、キーボードおよびマウス等の人間が操作する手段であってもよく、他のコンピュータとの通信を実現する通信ネットワーク(インターネット等)であってもよく、他の手段であってもよい。
【0089】
大気圧関連値を取得した後の質量分析装置500の動作は、実施例4の質量分析装置400と同様とすることができる。たとえば、実施例4と同様に、大気圧に応じ、調節手段によって真空ポンプの実効排気速度を調節する。調節手段の構成は、たとえば実施例1~3のいずれかのものを用いることができる。
【0090】
大気圧を表すデータとしては、様々な物理量を用いることができる。たとえば、大気圧の計測値であってもよい。または、質量分析装置500が設置されている場所の標高および気温を表すデータであってもよい。そのような場合には、大気圧を数式15により算出することができる。
=Patm{1-0.0065・h/(T+0.0065・h+273.15)}5.257 …数式15
ただしPは算出される大気圧であり、Patmは定数101325パスカルであり、hは標高(m)であり、Tは気温(℃)である。
【0091】
このように、実施例5に係る質量分析装置500によれば、第一真空室501の圧力が補正されるので、圧力をより適切に維持することができる。
【0092】
とくに、第一真空室501の気圧を適切に維持するという課題を、外部データ505に応じて第一真空ポンプ503の実効排気速度を調節することにより解決し、第一真空室501の気圧がより適切に維持されるという効果を得ることができる。また、外部データ505を利用することにより、気圧を計測するための構成(たとえば真空ゲージや気圧計)が不要になるという効果を得ることができる。
【0093】
上述の実施例1~5において、第一真空室の圧力の基準値は、分析対象物質の種類に応じて補正してもよい。
【0094】
実施例1~5において、ステップS2およびS3の実行タイミングは任意に設計可能である。たとえば、実施例1~3では、質量分析装置の据え付け作業時に実行してもよい。また、実施例4および5では、質量分析装置の据え付け作業時に実行してもよいし、逐次実行してもよいし、分析対象物質を変更する都度実行してもよい。
【符号の説明】
【0095】
100,200,300,400,500…質量分析装置
101,201,301,401,501…第一真空室
102,202,302,402,502…第二真空室
103…第一連通孔
104…第二連通孔
106…第一真空ポンプ(調節手段)、203,303,403,503…第一真空ポンプ
105,204,304,404,504…第二真空ポンプ
107…イオン源
108…イオンガイド
109…電極
110…検出器
111…制御装置(調節手段)、206,306,406…制御装置、506…制御装置(大気圧関連値取得手段)
112,205,305…真空ゲージ(大気圧関連値取得手段)
207…ガス流量コントローラ(調節手段)
208…ガス供給源(調節手段)
307…流量制御弁(調節手段)
405…気圧計(大気圧関連値取得手段)
505…外部データ(大気圧関連値)
S2…ステップ(大気圧関連値を取得するステップ)
S3…ステップ(調節手段を制御するステップ)
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5