(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】タンクおよびタンク構造体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
F17C 13/08 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
F17C13/08 301A
(21)【出願番号】P 2022059613
(22)【出願日】2022-03-31
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005902
【氏名又は名称】株式会社三井E&S
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】坂口 善樹
(72)【発明者】
【氏名】市村 欣也
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0057348(US,A1)
【文献】特開2012-087918(JP,A)
【文献】実開昭60-021097(JP,U)
【文献】登録実用新案第3213938(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第112066243(CN,A)
【文献】特開2013-142453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00-13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒形状の本体と、この本体の一端に形成される口金とを備えたタンクにおいて、
前記タンクの軸方向における両端近傍で予め定めた位置にそれぞれ
溶接により固定される接触部材を備えていて、
前記接触部材が、平面視で三つ以上の辺部を有する多角形状であり且つ中心部に前記本体が貫通する貫通孔を有することを特徴とするタンク。
【請求項2】
前記タンクの直径方向において前記本体の周面よりも、前記接触部材の前記辺部の方が外側となる構成を前記接触部材が有
していて、
前記本体は、平面視で周囲全体を複数の前記辺部により囲まれる状態となる請求項1に記載のタンク。
【請求項3】
前記接触部材が、平面視で三角形または正六角形に形成されている請求項1または2に記載のタンク。
【請求項4】
略円筒形状の本体とこの本体の一端に形成される口金とを備えたタンクを、複数組み合わせて構成されるタンク構造体において、
前記タンクが、前記タンクの軸方向における両端近傍で予め定めた位置にそれぞれ
溶接により固定される接触部材を備えていて、前記接触部材が平面視で三つ以上の辺部を有する多角形状であり且つ中心部に前記本体が貫通する貫通孔を有していて、
それぞれの前記本体に固定されている前記接触部材の前記辺部どうしが
溶接により固定されることを特徴とするタンク構造体。
【請求項5】
前記接触部材が、平面視で三角形または正六角形に形成されている請求項4に記載のタンク構造体。
【請求項6】
略円筒形状の本体とこの本体の一端に形成される口金とを備えたタンクを、複数組み合わせてタンク構造体を製造する製造方法において、
前記タンクが、前記タンクの軸方向における両端近傍で予め定めた位置にそれぞれ
溶接により固定される接触部材を予め備えていて、前記接触部材が平面視で三つ以上の辺部を有する多角形状であり且つ中心部に前記本体が貫通する貫通孔を有していて、
それぞれの前記本体に固定されている前記接触部材の前記辺部どうしを
溶接により固定することを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素ガスを貯留するタンクおよびタンク構造体およびその製造方法に関するものであり、詳しくは水素ガスを効率よく搬送できるタンクおよびタンク構造体およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素ガスを搬送するためのタンクが種々提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には枠体に複数のタンクを固定して搬送する構成が開示されている。
【0003】
複数のタンクは互いに間隔をあけた状態で枠体に固定されていた。そのため直方体状の枠体に対してタンクの収容効率が悪かった。水素ガスを効率よく搬送することが困難であった。タンクの収容効率を上げるために、タンクどうしを接近させることが考えられる。タンクどうしを接近させると、タンクどうしの接触によりタンクが摩耗したり破損したりする不具合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は水素ガスを効率よく搬送できるタンクおよびタンク構造体およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するためのタンクは、略円筒形状の本体と、この本体の一端に形成される口金とを備えたタンクにおいて、前記タンクの軸方向における両端近傍で予め定めた位置にそれぞれ溶接により固定される接触部材を備えていて、前記接触部材が、平面視で三つ以上の辺部を有する多角形状であり且つ中心部に前記本体が貫通する貫通孔を有することを特徴とする。
【0007】
上記の目的を達成するためのタンク構造体は、略円筒形状の本体とこの本体の一端に形成される口金とを備えたタンクを、複数組み合わせて構成されるタンク構造体において、前記タンクが、前記タンクの軸方向における両端近傍で予め定めた位置にそれぞれ溶接により固定される接触部材を備えていて、前記接触部材が平面視で三つ以上の辺部を有する多角形状であり且つ中心部に前記本体が貫通する貫通孔を有していて、それぞれの前記本体に固定されている前記接触部材の前記辺部どうしが溶接により固定されることを特徴とする。
【0008】
上記の目的を達成するためのタンク構造体の製造方法は、略円筒形状の本体とこの本体の一端に形成される口金とを備えたタンクを、複数組み合わせてタンク構造体を製造する製造方法において、前記タンクが、前記タンクの軸方向における両端近傍で予め定めた位置にそれぞれ溶接により固定される接触部材を予め備えていて、前記接触部材が平面視で三つ以上の辺部を有する多角形状であり且つ中心部に前記本体が貫通する貫通孔を有していて、それぞれの前記本体に固定されている前記接触部材の前記辺部どうしを溶接により固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タンクどうしを接近させると接触部材どうしが接触して、タンクの本体の外周面どうしが接触することがない。タンクの摩耗や破損を防止するには有利である。タンクの摩耗や破損の恐れがないため、タンクどうしを接近させた状態で搬送することが可能となる。水素ガスを効率よく搬送するには有利である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】タンク構造体の正面を例示する説明図である。
【
図6】タンク構造体の側面を例示する説明図である。
【
図7】コンテナにタンク構造体を配置した状態を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、タンクおよびタンク構造体およびその製造方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。図中ではタンクの軸方向を矢印y、この軸方向を直角に横断する幅方向を矢印x、上下方向を矢印zで示している。
【0012】
図1に例示するようにタンク1は、略円筒形状に形成される本体1aを備えている。本体1aは、円筒形状の胴部1bと、軸方向yにおいて胴部1bの両端に配置されていて曲面を有する閉止部1cとを有している。閉止部1cは鏡板と言われることもある。本体1aの一端、つまり一方の閉止部1cには口金2が形成されている。口金2を介して本体1aの内外を水素ガスが移動可能となっている。本体1aは例えば低合金鋼やアルミ合金などの金属で構成される。また本体1aはプラスチックで構成されてもよい。
【0013】
図2に例示するようにタンク1は、タンク1の軸方向yにおける両端近傍で予め定めた位置にそれぞれ固定される接触部材3を備えている。接触部材3は、本体1aの胴部1bに固定されることが望ましい。接触部材3は、本体1aの閉止部1cに固定されてもよい。接触部材3は、金属やプラスチックで構成される。接触部材3は、本体1aと同様に低合金鋼やアルミ合金で構成されてもよい。
【0014】
図3に例示するようにこの実施形態では、接触部材3は平面視で正六角形に形成されている。ここで平面視とはタンク1の軸方向yに見通す方向を言う。接触部材3は、正六角形を形成する六つの辺部3aを有している。辺部3aは、正六角形の外周を形成する辺を言う。接触部材3は、本体1aが貫通する一つの貫通孔3bを中心部に有している。この実施形態では貫通孔3bは正六角形に形成されている。この貫通孔3bは六つの辺部3aの内側に配置されていて、辺部3aには到達しない大きさおよび位置を有している。接触部材3は、本体1aに対して溶接により固定されている。そのため本体1aの外周面と接触部材3の貫通孔3bとの間には溶接部4が形成されている。本体1aへの接触部材3の固定方法は溶接に限定されない。本体1aの所定の位置に接触部材3を固定できれば、他の方法であってもよい。
【0015】
接触部材3の形状は正六角形に限定されない。接触部材3は、平面視で三つ以上の辺部3aを有する多角形状であればよい。接触部材3の形状は、例えば三角形状や四角形状であってもよい。接触部材3の有する複数の辺部3aの長さは、互いに等しくなる状態に限らず、互いに異なる状態であってもよい。
【0016】
図4に例示するように接触部材3の貫通孔3bは、円形に形成されてもよい。また接触部材3が例えば二つなど複数の部品で構成されてもよい。この実施形態では接触部材3は。上下方向zに二分割される構成を有している。この接触部材3の部品で上下方向zから本体1aを挟み込んで、ボルトなどの連結具5で接触部材3の部品どうしを連結して締め付けることで、本体1aに接触部材3が固定される。接触部材3を複数に分割する構成により、本体1aや接触部材3が溶接できない材料で構成される場合であっても、本体1aへの接触部材3の固定が容易になる。
図4では説明のため本体1aを図示していない。
【0017】
貫通孔3bの内周面にゴム等で構成される防振部材6が配置されてもよい。接触部材3から本体1aに振動が伝達されることを防振部材6により抑制できる。また防振部材6は本体1aに対して摩擦力が大きくなる部材で構成されることが望ましい。タンク1の軸方向yにおいて、接触部材3の位置がずれることを抑制できる。
【0018】
図2に例示するように本体1aが周面に配置される補強部材7を備えていてもよい。この実施形態では本体1aの胴部1bの外周面を覆う状態で補強部材7が配置されている。またタンク1の軸方向yにおいて補強部材7の両端よりも外側に接触部材3がそれぞれ固定されている。補強部材7は、例えば炭素繊維強化プラスチックやガラス繊維強化プラスチックなどの繊維強化プラスチックで構成できる。補強部材7は上記に限らず金属など他の材料で構成されてもよい。
図2では説明のため補強部材7に斜線を付している。
【0019】
補強部材7は必須の構成要件ではない。タンク1は、補強部材7を有さないいわゆるタイプ1と呼ばれるタンクで構成されてもよい。タンク1は、胴部1bに補強部材7を配置されたいわゆるタイプ2と呼ばれるタンクで構成されてもよい。タンク1が補強部材7を有する場合は、補強部材7の外周面を覆う状態で接触部材3が固定されてもよい。またタンク1の軸方向yにおいて、補強部材7よりタンク1の端部に近い位置であり補強部材7の配置されていない場所に接触部材3が固定されてもよい。
【0020】
タンク1を製造する際には、まず接触部材3の貫通孔3bに本体1aを貫通させる。タンク1の軸方向yにおける所定の位置で、接触部材3が本体1aの外周面に溶接等で固定される。接触部材3の固定方法は溶接に限定されない。
図4に例示する接触部材3の場合は連結具5による締め付けで、接触部材3が本体1aに固定される。タンク1の直径方向(幅方向xまたは上下方向zなど)において、接触部材3の辺部3aの方が本体1aの外周面よりも外側となる大きさおよび形状を接触部材3は有している。タンク1が補強部材7を有する場合は、接触部材3の辺部3aの方が補強部材7の外周面よりも外側となる大きさおよび形状を接触部材3は有している。
【0021】
本体1aに設置される接触部材3の数は二つが望ましく、三つ以上であってもよい。タンク1の軸方向yにおいて、接触部材3が固定される位置は適宜設定することができる。タンク1の軸方向yにおいて両端近傍にそれぞれ一つずつ接触部材3を配置することが望ましい。本体1aに複数の接触部材3を固定する場合は、タンク1の軸方向yに見通したときそれぞれの接触部材3の辺部3aの位置が重なる方向に固定することが望ましい。複数のタンク1を製造する際には、タンク1の軸方向yにおける接触部材3の位置は予め設定されていることが望ましい。つまり接触部材3が固定される位置はいずれのタンク1においても同一とすることが望ましい。
【0022】
タンク1は搬送時や保管時に接触部材3が地面等に接触する。本体1aの外周面が地面等に接触しないので、タンク1の摩耗や破損を回避するには有利である。
【0023】
複数のタンク1において接触部材3が同一の位置に固定されている場合、複数のタンク1どうしを接近させても接触部材3どうしが接触する。タンク1の本体1aの外周面どうしが接触することを回避できる。複数のタンク1を互いに接近させた状態で配置して搬送しても、タンク1の破損等が発生しない。大量のタンク1を搬送することが可能となるため、水素ガスを効率よく搬送するには有利である。
【0024】
図5および6に例示するようにタンク1を複数組み合わせてタンク構造体8を構成できる。この実施形態では中心に一つのタンク1と、幅方向xにおいて中心のタンク1の両側に配置される二つずつのタンク1とを組み合わせて、合計五つのタンク1でタンク構造体8が構成されている。接触部材3の辺部3aどうしが溶接で固定されている。接触部材3どうしの固定方法は溶接に限定されない。ボルトなど他の方法で接触部材3どうしを固定してもよい。
【0025】
接触部材3どうしを固定する構成により、タンク1の胴部1bなどの外周面どうしが互いに接触しない状態で、且つ複数のタンク1が密集する状態でタンク1どうしを固定できる。単位容積あたりのタンク1の配置数を増加できるため、水素ガスを効率よく搬送するには有利である。
【0026】
タンク1どうしが固定されているため、見かけ上一つの大型タンクとして取り扱うことが可能となる。
図7に例示するように例えば海上輸送用のコンテナ9にタンク構造体8を設置することで、複数のタンク1を容易に搬送することができる。この実施形態では軸方向yに二つのタンク構造体8を並べて、例えば40ftのコンテナ9に載置している。タンク構造体8は一つあたり18本のタンク1を備えている。
【0027】
複数のタンク1が一つのタンク構造体8として一体に構成されているため、フォークリフトやチェーンブロックを使用して、タンク構造体8を一体としてコンテナ9に積載したり、取り出したりすることができる。タンク1を一つずつコンテナ9に積載したり取り出したりする場合に比べて、タンク構造体8を一体として取り扱う方が作業効率を向上できる。タンク構造体8をフォークリフト等で持ち上げる際には、最下段の接触部材3に力をかけることが望ましい。本体1aの外周面等の劣化を抑制するには有利である。
【0028】
接触部材3がコンテナ9の床面や壁面や天面と接触するため、タンク1の本体1aの外周面や補強部材7が床面等と接触することを回避できる。本体1aの外周面を傷つけることなく、タンク構造体8をコンテナ9に設置できる。コンテナ9によるタンク1の大量搬送が可能となる。
図7では説明のためコンテナ9を破線で示している。
【0029】
図5および
図6に例示するようにタンク構造体8は、複数のタンク1の口金2に連結される配管10を備えていてもよい。タンク1の軸方向yに見通したときタンク構造体8の中心部に配置される統合部10aと、この統合部10aとそれぞれのタンク1の口金2とを連結する枝部10bとで、配管10は構成される。
図6に例示するようにこの実施形態では統合部10aは、タンク1の軸方向yに略平行となる配管で構成されている。配管10は高圧水素用ステンレス鋼のフレキシブル配管で構成することが望ましい。配管10は上記に限らず、銅管で構成されてもよい。統合部10aと枝部10bとが異なる材料で構成されてもよい。
図6では説明のため補強部材7に斜線を付している。
【0030】
タンク構造体8は、複数のタンク1が配管10により予め連結される構成を有しているため、タンク構造体8の配管10と水素ガスの供給先の配管との連結のみで水素ガスの供給を開始できる。タンク構造体8が配管10を備えていない場合は、複数のタンク1の口金2どうしを配管で連結する度に窒素置換等の作業が必要となる。
図6に例示する実施形態では一回の窒素置換の作業で、複数のタンク1から水素ガスの供給を開始できる。
【0031】
図5に例示するようにタンク1の軸方向yに見通したとき、統合部10aを中心に放射状に枝部10bが連結される構成となる。そのためそれぞれの枝部10bの長さを比較的短く構成できる。タンク構造体8の搬送時に振動等により配管10が破損することを抑制するには有利である。
【0032】
統合部10aは、タンク1の軸方向yに見通したときタンク構造体8の中心部に配置される構成に限定されない。タンク構造体8の中心部に統合部10aが配置される方が、複数の枝部10bの中で最長となる枝部10bの長さを短くできる。枝部10bが短いほど、タンク構造体8の搬送時に振動等により配管10が破損する可能性を低減できる。
【0033】
タンク構造体8において、配管10は必須の構成要件ではない。タンク構造体8の搬送が完了した後に、水素ガスの供給先で配管10がタンク構造体8に連結される構成であってもよい。
【0034】
図8に例示するように六つのタンク1を組み合わせてタンク構造体8を構成してもよい。この実施形態ではタンク1は、軸方向に見通した平面視で正三角形に形成される接触部材3を有している。この接触部材3は、正三角形を形成する三つの辺部3aを有している。接触部材3の辺部3aどうしが溶接で固定されている。複数の接触部材3は、平面視で正六角形となる状態に連結されている。
【0035】
タンク1の軸方向yに見通したときタンク構造体8の中心部に配置される統合部10aと、この統合部10aとそれぞれのタンク1の口金2とを連結する枝部10bとで構成される配管10を、タンク構造体8は有している。枝部10bは、統合部10aから放射状に連結されるため、それぞれの枝部10bの長さを比較的短く構成できる。配管10が振動等により破損する可能性を抑制できる。
【0036】
図9に例示するように平面視で三角形に形成される接触部材3を有するタンク1と、平面視で四角形に形成される接触部材3を有するタンク1とを組み合わせてタンク構造体8を構成してもよい。複数の接触部材3は、平面視で六角形となる状態に連結されている。
【0037】
形状の異なる接触部材3を組み合わせることで、幅方向xおよび上下方向zにおいて任意の大きさを有するタンク構造体8を構成することができる。また異なる直径を有するタンク1を組み合わせてタンク構造体8を構成することができる。そのため例えば海上輸送用のコンテナ9の大きさに合わせてタンク構造体8を構成できる。また例えばタンク構造体8が設置される場所の大きさや形状に合わせてタンク構造体8を構成できる。所定の容積においてタンク1を効率よく配置できるため、水素ガスを効率よく搬送したり貯留したりするには有利である。
【0038】
図10に例示するように接触部材3が複数の貫通孔3bを有する構成であってもよい。また平面視で貫通孔3bが辺部3aに到達する大きさや位置を有していてもよい。この実施形態では平面視で四角形に形成される接触部材3に四つの貫通孔3bが形成されている。四角形を構成する上方側の辺部3aに対して、四つの貫通孔3bは到達する形状を有している。貫通孔3bは上方を開放する形状を有している。つまり貫通孔3bにより辺部3aの少なくとも一部が分断される状態となる。
【0039】
接触部材3は、幅方向xの両端にガイド部材11を有していてもよい。ガイド部材11は平板状に形成されている。ガイド部材11は接触部材3の上端よりも上方に突出する状態で接触部材3に固定されている。この接触部材3は、四本のタンク1の軸方向yにおける両端近傍に一つずつ溶接等により固定される。
【0040】
図11に例示するようにタンク構造体8は、接触部材3に固定される四本のタンク1を上下方向zに重ねて構成される。下方側の接触部材3のガイド部材11に案内されて、上方側の接触部材3は重ねられる。四本のタンク1に固定される接触部材3をホイスト等で吊り上げることで、複数の接触部材3を上下方向zに重ねることができる。上下方向zに隣接する接触部材3どうしは例えばガイド部材11により互いに固定される。貫通孔3により切断された辺部3aは、上方に重ねられる接触部材3により閉じられる状態となる。タンク1の本体1aの外周面どうしが接触することを防止できる。この実施形態のタンク構造体8は、16本のタンク1を有している。このタンク構造体8は例えば20ftのコンテナに設置することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 タンク
1a 本体
1b 胴部
1c 閉止部
2 口金
3 接触部材
3a 辺部
3b 貫通孔
4 溶接部
5 連結具
6 防振部材
7 補強部材
8 タンク構造体
9 コンテナ
10 配管
10a 統合部
10b 枝部
11 ガイド部材
x 幅方向
y 軸方向
z 上下方向