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特許7432819ハロゲン含有ポリマー、およびその製造法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】ハロゲン含有ポリマー、およびその製造法
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/38 20060101AFI20240209BHJP
【FI】
C08G65/38
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020039810
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2021138891
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】在田 知央
(72)【発明者】
【氏名】神原 武志
【審査官】谷合 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-077857(JP,A)
【文献】国際公開第2019/009430(WO,A2)
【文献】特公昭56-008809(JP,B2)
【文献】特開平10-182905(JP,A)
【文献】特開平10-168261(JP,A)
【文献】特開平04-239043(JP,A)
【文献】特開2020-200371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクタム化合物存在下、下記一般式(2)で示される化合物と、一般式(3)で示される化合物と、アルカリ金属塩化合物又はアルカリ土類金属塩化合物とを、反応させることを特徴とする、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有、標準ポリスチレン換算における重量平均分子量が15,000以上であるポリマーの製造方法
【化1】
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。)
【化2】
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキレン基、-S-、又は-SO -を示す。Xは、ハロゲン原子を示す。)
【化3】
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキレン基、-S-、又は-SO -を示す。)
【請求項2】
ポリマーの融点が、255℃以上である請求項1に記載の製造方法
【請求項3】
ポリマーの20重量%の重量減少温度が、10℃/分の昇温速度において、380℃以上である請求項1又は請求項2に記載の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃剤などに用いられるハロゲン含有ポリマーおよびその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
難燃剤は、樹脂中に混合させることで、樹脂に難燃性を賦与する添加剤として良く知られている。このうち、臭素を多量に含む化合物は、ハロゲン系難燃剤として古くから多くの樹脂に添加、使用されている。例えば、代表的な臭素系難燃剤の一つであるテトラブロモビスフェノールAは、世界で最も多く生産されるハロゲン系難燃剤として知られている。
【0003】
臭素系難燃剤については、環境面への配慮から、高分子量型の剤にシフトする傾向にある。
【0004】
例えば、テトラブロモビスフェノールAのエチレン架橋オリゴマーが報告されている(特許文献1~4)。
【0005】
当該オリゴマーは、分子量が1,000~5,000、融点が120(または150)℃~250℃と定義され、ポリスチレンや強化ポリエステルに対する難燃化に有用とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭51-117737号公報
【文献】特公昭56-8809号公報
【文献】特開昭53-128656号公報
【文献】特公昭62-1973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~4で報告されているオリゴマーについては、耐熱性が十分高いとは言えず、より耐熱性に優れる難燃材料が求められている。
【0008】
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐熱性に優れる、脂肪族系の炭化水素基で架橋された臭素化ビスフェノールのポリマーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ラクタム化合物存在下、臭素化ビスフェノール系化合物の両端に架橋剤を予め付加させたプレポリマー化合物と、臭素化ビスフェノール系化合物と、アルカリ金属塩化合物又はアルカリ土類金属塩化合物とを反応させるという製造方法を見出し、従来製法では合成できなかった高分子量のポリマーを得ることに成功した。更に、この製造方法で得たポリマーは従来公知のオリゴマーに比べて耐熱性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち本発明は、以下に示すハロゲン含有ポリマー、およびその製造方法である。
[1] 下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリマーであって、標準ポリスチレン換算における重量平均分子量が15,000以上であることを特徴とするポリマー。
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。)
[2] 融点が、255℃以上であることを特徴とする[1]に記載のポリマー。
[3] 20重量%の重量減少温度が、10℃/分の昇温速度において、380℃以上であることを特徴とする[1]乃至[2]のいずれかに記載のポリマー。
[4] ラクタム化合物の存在下、下記一般式(2)で示される化合物と、一般式(3)で示される化合物と、アルカリ金属塩化合物又はアルカリ土類金属塩化合物とを、反応させることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載されるポリマーの製造方法。
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。Xは、ハロゲン原子を示す。)
【0015】
【化3】
【0016】
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。)
【発明の効果】
【0017】
本発明のポリマーは、従来の製法で得られる、同種のユニットから構成される従来公知のオリゴマーよりも、分子量が高く、高い融点を有し、重量減少温度が高く、耐熱性に優れる。
【0018】
本発明のポリマーは、従来公知のオリゴマーと比べて耐熱性に優れるために、従来より高温での混練や成形が可能となり、難燃性樹脂の生産性を向上するという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をさらに詳しく述べる。
【0020】
本発明の化合物は、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリマーであって、標準ポリスチレン換算における重量平均分子量が15,000以上であることを特徴とする。
【0021】
【化4】
【0022】
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。)
本発明のポリマーの一形態として、次の一般式(1a)で表される構造を示すことができる。
【0023】
【化5】
【0024】
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。nは繰り返し数を表し、1以上の整数を表す。)
本発明のポリマーは、その製法上、ポリマーの末端基が、2-ハロエチル基又はフェノール性水酸基となるが、これらのいずれであってもよい。これらの末端基は、ともに反応性官能基であることから、当該末端部は、未反応性もしくは低反応性の官能基で封止することもできる。封止する方法としては、特に限定するものではないが、例えば4-ブロモフェノール、1,3,5-トリブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、塩化ベンジル、芳香核がハロゲンで置換されたハロゲン化ベンジルなどの化合物(2-ハロエチル基又はフェノール性水酸基と反応し得る化合物)とポリマーの末端基が2-ハロエチル基又はフェノール性水酸基である本発明のポリマーとを反応させる方法が挙げられる。このようにして末端基が未反応性もしくは低反応性の官能基で封止されたポリマーも本発明のポリマーに含まれる。
【0025】
Rで表される炭素数1~6のアルキレン基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチレン基、エチレン基、2,2-プロピレン基、2,2-ブチレン基、ヘキサジエン基、又は1,1-シクロヘキシレン基等が挙げられる。
【0026】
Rについては、耐熱性に優れる点で、メチレン基、2,2-プロピレン基、-S-、又は-SO-であることが好ましく、2,2-プロピレン基であることがより好ましい。
【0027】
本発明のポリマーは、標準ポリスチレン換算における重量平均分子量が15,000以上であることを特徴とし、耐熱性に優れる点で、標準ポリスチレン換算における重量平均分子量20,000以上のものがより好ましく、30,000以上のものがより好ましく、40,000以上のものがより好ましい。
【0028】
本発明のポリマーは、特に限定するものではないが、高耐熱性樹脂との相溶性が向上する点で、融点が255℃以上であることが好ましく、260℃以上であることがより好ましい。一般的に、分子は、高分子量になるほど融点が高くなる傾向が有り、本発明のポリマーは、従来公知のオリゴマーよりも高融点である。
【0029】
本発明のポリマーは、従来公知のオリゴマーと比較すると、重量減少温度が高いという特徴を示す。具体的には、本発明のポリマーは、耐熱性に優れる(熱分解性が低い)という点で、例えば10℃/分の昇温速度において、20%の重量減少に至る温度が、380℃以上であることが好ましく、390℃以上であることがより好ましい。
【0030】
このような本発明のポリマーの物性に基づいて、本発明のポリマーは、従来公知の難燃性オリゴマーでは困難であったポリアミド等の高耐熱性樹脂の難燃性を向上させることができるという、顕著異質な効果を奏する。また、本発明のポリマーは、着色開始温度が高いために、本発明のポリマーを配合した樹脂の外観や審美性を向上させることができるという効果を奏する。
【0031】
従って、本発明のポリマーは、250~350℃付近での温度において行われる樹脂の加工において、品質向上や生産性向上などの効果を奏することが期待できる。
【0032】
本発明のポリマーは、特に限定するものではないが、例えば、ラクタム化合物の存在下、下記一般式(2)で示される化合物と、一般式(3)で示される化合物と、アルカリ金属塩化合物又はアルカリ土類金属塩化合物とを、反応させることによって製造することができる。
【0033】
【化6】
【0034】
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。Xは、ハロゲン原子を示す。)
【0035】
【化7】
【0036】
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。)
一般式(2)及び(3)における炭素数1~6のアルキレン基の定義及び好ましい範囲については、一般式(1)における炭素数1~6のアルキレン基の定義及び好ましい範囲と同じである。
【0037】
本発明の製造方法において、一般式(2)で示される化合物は、臭素化ビスフェノール系化合物と過剰量の二ハロゲン化エタンとを、塩基の存在下で反応させることによって得ることができる。また、一般式(3)で示される化合物は、市販品の臭素化ビスフェノール系化合物をそのまま用いることもできるし、従来公知の製法に基づいて製造した臭素化ビスフェノール系化合物を用いることもできる。
【0038】
前記の臭素化ビスフェノール系化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、臭素化ビスフェノールA、又は臭素化ビスフェノールF等が挙げられる。これらのうち、耐熱性に優れるポリマーが得られる点で、臭素化ビスフェノールAが好ましい。
【0039】
前記の二ハロゲン化エタンとしては、特に限定するものではないが、例えば、1,2-ジクロロエタン、1-ブロモ-2-クロロエタン、又は1,2-ジブロモエタン等が挙げられる。これらのうち、耐熱性に優れるポリマーが得られる点で、1,2-ジクロロエタンが好ましい。
【0040】
前記のラクタム化合物については、カルボキシ基とアミノ基が脱水縮合した形をもって環をなしている化合物を表し、特に限定するものではないが、例えば、β-ラクタム化合物、γ-ラクタム化合物、δ-ラクタム化合物、又はε-ラクタム化合物等を例示することができ、より詳細には、2-アゼジチノン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、2-ピペリドン、N-メチル-2-ピペリドン、又はε-カプロラクタム等を挙げることができる。これらのうち、耐熱性に優れるポリマーが得られる点で、2-アゼジチノン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、又はN-ビニル-2-ピロリドンが好ましく、N-メチル-2-ピロリドンがより好ましい。
【0041】
前記のアルカリ金属塩化合物又はアルカリ土類金属塩化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、リチウム塩化合物、ナトリウム塩化合物、カリウム塩化物、セシウム塩化物、マグネシウム塩化合物、カルシウム塩化合物、又はバリウム塩化合物を挙げることができ、より詳細には、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素セシウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、又は水酸化バリウム等が挙げられる。これらのうち、耐熱性に優れるポリマーが得られる点で、ナトリウム塩化合物、又はカリウム塩化物が好ましく、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムが好ましい。
【0042】
Xで表されるハロゲン原子としては、特に限定するものではないが、例えば、塩素、臭素、又はヨウ素を挙げることができる。これらのうち、耐熱性に優れるポリマーが得られる点で、塩素が好ましい。
【0043】
なお、本発明の製造方法については、更に溶剤(上記のラクタム化合物を除く)の存在下で行ってもよい。当該溶剤については、原材料と反応しないものであれば特に限定するものではないが、例えば、非プロトン性の極性溶剤が挙げられる。
【0044】
非プロトン性の極性溶剤としては、特に限定するものではないが、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ピリジン、炭酸プロピレン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらのうち、高分子量のポリマーが得られるという点で、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシドが好ましい。
【0045】
本発明の製造方法において、反応の温度は、特に限定するものではないが、例えば70℃~180℃の間の範囲で行うことができる。
【0046】
本発明の製造方法については、減圧下、常圧下、加圧下のいずれの条件で行ってもよいが、耐熱性に優れるポリマーが得られる点で、常圧下、又は加圧下で行うことが好ましい。
【0047】
本発明の製造方法については、連続式で行うこともできるし、回分式(バッチ式)で行うこともできる。
【0048】
本発明の製造方法については、より高分子量のポリマーが得られる点で、非水系で重合反応を行うことが好ましい。非水系で重合反応を行う方法としては、特に限定するものではないが、例えば、脱水溶剤を用いる、脱水剤を用いて重合反応系中を脱水する、反応中に水を生成する原因となる原材料を用いないようにする等を挙げることができる。前記の脱水剤としては、特に限定するものではないが、例えば、モレキュラーシーブやゼオライトを挙げることができる。
【0049】
本発明の製造方法は、従来公知の製造方法と異なる原料及び手法を用いることと特徴とし、重合反応時の高温において架橋剤の揮散や気相への偏在を抑制することができ、更に重合反応中の生成物の溶解性が良い条件であるため、モノマーバランスが崩れにくく、従来公知の製造方法に比べて、高分子量のポリマーを安定して製造することができると考えられる。
【0050】
本発明のポリマーは、樹脂に混合することによって当該樹脂に難燃性を付与することが可能である。
【0051】
当該樹脂としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩ビ酢ビ、ポリウレタン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリウレア、ポリイミド、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリテトラフロロエチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、又はポリアイドイミド等が挙げられる。
【実施例
【0052】
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
<分子量分析方法>
実施例等で合成したポリマーサンプルについて、GPC装置(東ソー社製、HLC-8320GPC)に分子量測定用カラム(東ソー製、TSKgel SuperAW2500+3000+5000)を接続し、クロロホルム溶離液にて流速0.6mL/分、温度40℃、かつUV(254nm)による検出条件で測定を行った。さらに標準ポリスチレンを用いて、前記サンプルの標準ポリスチレン換算重量平均分子量を測定した。
<重量減少温度の測定>
TG-DTA測定器(ブルカー・エイエックスエス社製、TG-DTA2020SA)を用い、実施例等で合成したポリマーサンプルについて、TG分析を行った。測定条件は、サンプル10mgに対し、空気中、10℃/分の昇温速度とした。
<融点および着色開始温度の測定>
融点測定器(アズワン社製、ATM-01)を用い、実施例等で合成したポリマーサンプルについて、融点を測定した。これに併せて、昇温を続けた際の、着色開始温度を測定した。測定条件は、大気下にて昇温速度3℃/分とした。
【0053】
参考例1.テトラブロモビスフェノールAのビス(2-クロロエチル)エーテルの調製
撹拌器、コンデンサー、および滴下ロートを装着した2Lのガラス製セパラブルフラスコに、テトラブロモビスフェノールA 200g(0.368mol)、二塩化エタン 399g(4.70mol)、テトラブロモアンモニウムハイドロサルフェート 6.3g(18.5mmol)、および純水 250gを、この順序にて室温中加えてから窒素気流中で混合下に60℃まで昇温させた。23重量%の水酸化ナトリウム水溶液を同温にて20分間で滴下させた後、90℃にて24時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷させ反応液をメタノール中に注いだ。析出した固体をろ過、洗浄後に乾燥させ、白色固体を収率83%で得た。
【0054】
1H-NMR(ppm):1.64(s,6H)、3.95(m,4H)、4.32(m,4H)、7.35(s,4H)。
【0055】
実施例1.ポリマーの合成
300mLのガラス製ナス型フラスコに、参考例1で得たテトラブロモビスフェノールAのビス(2-クロロエチル)エーテル体 58.1g(84.8mmol)、テトラブロモビスフェノールA 47.2g(84.8mmol)、炭酸水素ナトリウム 17.2g(170mmol)、及びN-メチル-2-ピロリドン 108mLを加えてから、混合下に135℃まで昇温させた。同温度にて17時間撹拌後、室温まで放冷させた。次いで、反応溶液に水を加えた後、析出した固体をろ過、洗浄後に乾燥させて、白色固体(ポリマー)を収率98%で得た。得られたポリマーは、標準ポリスチレン換算重量平均分子量が40,000であった。
【0056】
実施例2.ポリマーの合成
実施例1において、N-メチル-2-ピロリドン 108mL用いる代わりに、N-メチル-2-ピロリドンを86mL用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、白色固体(ポリマー)を収率98%で得た。得られたポリマーは、標準ポリスチレン換算重量平均分子量が30,000であった。
【0057】
比較例1.オリゴマーの合成(従来法)
特許文献2(特公昭56-8809号公報)に記載の実施例14の方法に従ってオリゴマーを合成し、標準ポリスチレン換算重量平均分子量3,500のオリゴマーを収率78%で得た。
【0058】
比較例2.オリゴマーの合成(従来法)
反応時間を17時間で行う以外は、特許文献2(特公昭56-8809号公報)に記載の方法(実施例14)に従ってオリゴマーを合成し、標準ポリスチレン換算重量平均分子量5,000のオリゴマーを収率86%で得た。
【0059】
TG-DTA測定器(ブルカー・エイエックスエス社製、TG-DTA2020SA)を用いて実施例1、実施例2、比較例1、および比較例2で得られた各サンプル(ポリマー又はオリゴマー)について、TG分析を行った。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
融点測定器(アズワン社製、ATM-01)を用いて実施例1ポリマーおよび比較例1オリゴマーの各サンプルの融点、及び着色開始温度を測定した。結果を表2に示す。
【0062】
【表2】