(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20240209BHJP
【FI】
G01N35/10 F
(21)【出願番号】P 2022538578
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 JP2021005309
(87)【国際公開番号】W WO2022018895
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2020124999
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡部 修吾
(72)【発明者】
【氏名】大草 武徳
【審査官】目黒 大地
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-271321(JP,A)
【文献】特開2005-241442(JP,A)
【文献】特開2012-167998(JP,A)
【文献】特開平05-126836(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0041414(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体または試薬を分注する分注ノズルと、
前記分注ノズルを洗浄するノズル洗浄槽を備える自動分析装置であって、
前記ノズル洗浄槽は、前記分注ノズルに洗浄水を噴射する噴射部と、前記分注ノズルが出入りする開口を有し、
前記開口は、前記ノズル洗浄槽の側面に、前記分注ノズルの水平面内での軌道に沿って設けられ、
前記ノズル洗浄槽は、前記噴射部が前記洗浄水を噴射する高さよりも高い位置に設けられ、前記軌道の両側を覆う屋根をさらに有し、
前記屋根の下面は、前記軌道に近い側が前記軌道から遠い側よりも高い傾斜面であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
検体または試薬を分注する分注ノズルと、
前記分注ノズルを洗浄するノズル洗浄槽を備える自動分析装置であって、
前記ノズル洗浄槽は、前記分注ノズルに洗浄水を噴射する噴射部と、前記分注ノズルが出入りする開口を有し、
前記開口は、前記ノズル洗浄槽の側面に、前記分注ノズルの水平面内での軌道に沿って設けられるとともに、前記軌道に沿って伸びる延伸部を有し、
前記延伸部の底面は、前記ノズル洗浄槽に向かって
下降する傾斜面であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
検体または試薬を分注する分注ノズルと、
前記分注ノズルを洗浄するノズル洗浄槽を備える自動分析装置であって、
前記ノズル洗浄槽は、前記分注ノズルに洗浄水を噴射する噴射部と、前記分注ノズルが出入りする開口を有し、
前記開口は、前記ノズル洗浄槽の側面に、前記分注ノズルの水平面内での軌道に沿って設けられるとともに、前記軌道に沿って伸びる延伸部を有し、
前記延伸部の幅は、前記ノズル洗浄槽の幅よりも狭いことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
検体または試薬を分注する分注ノズルと、
前記分注ノズルを洗浄するノズル洗浄槽を備える自動分析装置であって、
前記ノズル洗浄槽は、前記分注ノズルに洗浄水を噴射する噴射部と、前記分注ノズルが出入りする開口を有し、
前記開口は、前記ノズル洗浄槽の側面に、前記分注ノズルの水平面内での軌道に沿って設けられ、
前記噴射部は、前記軌道に直交する方向から前記洗浄水を前記軌道の方向に広げて噴射するとともに、前記分注ノズルが前記開口に近づくにつれて、前記洗浄水をより低い位置に噴射することを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記軌道は円弧形状であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記ノズル洗浄槽は、洗浄水が排出される排水管に向かって
下降する底部を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項
2に記載の自動分析装置であって、
前記ノズル洗浄槽は、洗浄水が排出される排水管に向かって
下降する底部を有することを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、血液や尿等の検体を試薬と反応させ、定量分析あるいは定性分析を自動的に実行する装置である。検体や試薬は、検体容器や試薬容器から分析用の反応容器へ分注ノズルによって分注される。分注ノズルは、検体用と試薬用とが設けられるものの、異なる検体や試薬に対して繰り返し使用されるので、分注する毎に洗浄水や圧縮空気の吹き付けによる洗浄・乾燥がなされ、清浄な状態に保たれる。ただし、洗浄後に圧縮空気を吹き付けるときに、分注ノズルに残存する洗浄水が自動分析装置内に飛散する場合がある。
【0003】
特許文献1には、洗浄水を飛散させることなく分注ノズルを洗浄・乾燥するために、洗浄水や圧縮空気の分注ノズルへの吹き付けを行う洗浄槽において、分注ノズルが通過する上部開口よりも洗浄水を排出する下部開口を広くした自動分析装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1では、洗浄・乾燥される分注ノズルを洗浄槽にて上下動させる必要がある。分注ノズルを上下動させるには、分注ノズルの移動方向を水平方向と鉛直方向の間で切り替える必要があり、洗浄・乾燥の工程に時間を要する。
【0006】
そこで、本発明は、分注ノズルを洗浄槽にて上下動させることなく洗浄できる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、検体または試薬を分注する分注ノズルと、前記分注ノズルを洗浄するノズル洗浄槽を備える自動分析装置であって、前記ノズル洗浄槽は、前記分注ノズルに洗浄水を噴射する噴射部と、前記分注ノズルが出入りする開口を有し、前記開口は、前記ノズル洗浄槽の側面に、前記分注ノズルの水平面内での軌道に沿って設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、分注ノズルを洗浄槽にて上下動させることなく洗浄できる自動分析装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に従って本発明に係る自動分析装置の好ましい実施例について説明する。自動分析装置は、検体と試薬を反応させた反応液を用いて検体を分析する装置であり、例えば生化学自動分析装置、免疫自動分析装置や遺伝子自動分析装置等が挙げられる。また臨床検査に用いられる質量分析装置や血液の凝固時間を測定する凝固分析装置等も含まれる。さらに、質量分析装置や凝固分析装置等と生化学自動分析装置、免疫自動分析装置等との複合システム、またはこれらを応用した自動分析システムにも本発明は適用できる。
【実施例1】
【0011】
図1を用いて、本実施例の自動分析装置の全体構成の一例を説明する。自動分析装置は、検体搬送部102、試薬保管庫104、検体分注部105、試薬分注部106、反応促進部107、測定部108、制御部113を備える。以下、各部について説明する。なお、鉛直方向をZ方向、水平面をXY面とする。
【0012】
検体搬送部102は、血液や尿等の検体が収容される検体容器101を検体吸引位置110まで搬送する。試薬保管庫104は、分析に使用される試薬を収容する試薬容器103を所定の温度範囲で保管する。
【0013】
検体分注部105は、検体吸引位置110に搬送された検体容器101から反応促進部107に配置された反応容器へ検体を分注する。なお、検体が分注される反応容器と、検体の分注時に使用される分注チップとは消耗品保管部111に保管され、消耗品搬送部112によって所定の位置に搬送される。
【0014】
試薬分注部106は、試薬保管庫104に保管される試薬容器103から反応促進部107に配置され検体が分注された反応容器へ試薬を分注する。試薬を分注した後、試薬分注部106は、ノズル洗浄槽114にて洗浄される。試薬分注部106の詳細については
図2及び
図3を用いて後述する。またノズル洗浄槽114の詳細については
図4A及び
図4Bを用いて後述する。なお試薬容器103の中の試薬が磁気ビーズ等を含む場合、試薬の分注に先立ち、先端に攪拌用のパドルを有する攪拌部115が試薬を撹拌する。攪拌部115は、試薬を撹拌した後、パドル洗浄槽116にて洗浄される。
【0015】
反応促進部107は、検体と試薬が分注された反応容器を所定の温度範囲に保つことにより、反応容器内の検体と試薬との反応を促進させ反応液を生成する。反応促進部107が円盤形状である場合、円盤の中心軸を回転軸として回転することにより、検体分注部105が検体を吐出する位置や試薬分注部106が試薬を吐出する位置へ反応容器を移動させる。反応液を収容する反応容器は、反応容器搬送部109によって反応促進部107から測定部108へ搬送される。
【0016】
測定部108は、反応容器搬送部109によって搬送された反応容器の中の反応液に対して光学的あるいは電気的な測定を行う。例えば反応液の吸光度や、試薬が添加された反応液に電圧を印加したときの発光量、反応液中の粒子数、反応液が電極膜に接触したときの電流値や電圧値の変動等が測定される。吸光度や発光量の測定には光電子増倍管や光度計等の測光器が、粒子数の計測にはCCDカメラ等の撮像素子が、電流値や電圧値の変動等の測定には電流計や電圧計がそれぞれ用いられる。
【0017】
制御部113は、自動分析装置が備える各部を制御する装置であり、例えばコンピュータによって構成される。制御部113には入出力装置が接続され、入力装置、例えばキーボードやマウス、タッチパネル等を介して分析に必要なデータが入力されたり、出力装置、例えば液晶ディスプレイやタッチパネル等に分析結果が出力されたりする。
【0018】
図2を用いて、試薬分注部106の一例について説明する。試薬分注部106は、駆動部208と、シャフト207、アーム209、分注ノズル210を備える。
【0019】
駆動部208は、モータ等の駆動源を有し、駆動部208に接続されるシャフト207をZ軸方向に昇降させたり、Z軸周りで回転させたりする。シャフト207は円柱形状の棒であって、上端にはアーム209の一端が接続される。アーム209はシャフト207と分注ノズル210とをつなぐ部材であり、一端にシャフト207が、他端に分注ノズル210が接続される。
【0020】
分注ノズル210は、試薬を吸引・吐出する細管である。分注ノズル210はアーム209を介してシャフト207に接続されるので、駆動部208によって昇降するシャフト207とともに上下動し、シャフト207の回転にともなって水平面であるXY面内で円弧軌道を描く。
【0021】
なおアーム209の中には、分注ノズル210の先端に接する液面を検知する液面センサ215が格納される。液面センサ215の検知信号に基づいて、分注ノズル210の上下動の停止位置が決められたり、試薬容器103の中の液量が計測されたりする。また分注ノズル210の先端の変位を抑制するため、アーム209の長さをより短くし剛性を高めることが望ましい。短いアーム209は、試薬分注部106の軽量化による動作の高速化とともに、動作時の専有スペースを縮小できる。
【0022】
図3を用いて、試薬分注部106の配置の一例について説明する。前述のように試薬分注部106の分注ノズル210は、駆動部208がシャフト207を回転させることによって、点線で示される円弧軌道であるノズル軌道205を描く。
【0023】
分注ノズル210はノズル軌道205において試薬を吸引・吐出するので、試薬が吸引される位置である試薬吸引口203a~203c及び試薬が吐出される位置である試薬吐出位置201にノズル軌道205が重なるように、試薬分注部106は配置される。また分注ノズル210の移動距離がより短くなるように、反応促進部107と試薬保管庫104の間に試薬分注部106が配置されることが望ましい。さらに、分注ノズル210が洗浄される位置であるノズル洗浄位置202がノズル軌道205に重なるように、ノズル洗浄槽114が配置される。分注ノズル210の移動距離がより短くなるように、ノズル洗浄槽114も反応促進部107と試薬保管庫104の間に配置されることが望ましい。
【0024】
図4A及び
図4Bを用いて、ノズル洗浄槽114の一例について説明する。ノズル洗浄槽114は、第一開口301と第二開口302及び第一噴射部303と第二噴射部304を有する。
【0025】
第一開口301と第二開口302は、分注ノズル210がノズル軌道205に沿って移動するときに、ノズル洗浄槽114に出入りする開口であって、ノズル洗浄槽114の側面に設けられる。分注ノズル210が出入りする開口である第一開口301と第二開口302は、分注ノズル210の水平面内での軌道であるノズル軌道205に沿って設けられる。
【0026】
第一噴射部303と第二噴射部304は、分注ノズル210の洗浄に用いられる洗浄水をノズル洗浄位置202に向けて噴射する。分注ノズル210を洗浄した洗浄水は、排水管306を介して自動分析装置の外へ排出される。第一噴射部303と第二噴射部304は互いに対向して配置されることが望ましい。第一噴射部303と第二噴射部304が対向配置されることにより、円筒形状である分注ノズル210の両側面に同時に洗浄水が噴射され、分注ノズル210の外壁全面が洗浄される。
【0027】
第一噴射部303と第二噴射部304は、洗浄水を常に噴射し続けていても良いし、分注ノズル210がノズル洗浄位置202に達したときに洗浄水を噴射しても良い。洗浄水が噴射し続けられる場合は、分注ノズル210がノズル洗浄位置202に停止せずとも洗浄がなされるので、洗浄工程をより短縮できる。分注ノズル210がノズル洗浄位置202に達したときに洗浄水が噴射される場合は、分注ノズル210をノズル洗浄位置202に停止させる必要はあるものの洗浄水を節約できる。
また第一噴射部303と第二噴射部304から噴射される洗浄水の水圧の差異は、より小さいことが望ましい。水圧の差異が著しく大きいと水圧が低い側に水滴が残留しやすくなるのに対し、水圧の差異がより小さければ洗浄後の分注ノズル210に残留する水滴を低減できる。そのため、分注ノズル210をノズル洗浄位置202にて停止させることなく洗浄する場合は、ノズル軌道205に直交する方向から洗浄水が噴射されることが望ましい。なお、残留する水滴をより低減するために、分注ノズル210の外表面に撥水処理が施されても良い。
【0028】
分注ノズル210に噴射された洗浄水は、ノズル洗浄槽114から飛散する場合ある。飛散した洗浄水には試薬等が含まれるので、飛散した水滴によって自動分析装置が汚染されると分析結果に悪影響を及ぼす。そこで、洗浄水の飛散を抑制するために、第一開口301や第二開口302の位置を第一噴射部303と第二噴射部304から遠ざけるための延伸部313や、ノズル軌道205の両側を覆う第一屋根309と第二屋根310が設けられても良い。
【0029】
図4A及び
図4Bを用いて、延伸部313について説明する。延伸部313は第一開口301を第一噴射部303と第二噴射部304から遠ざけるために、ノズル軌道205に沿って伸びる壁面である。延伸部313がノズル軌道205に沿って伸びることにより、洗浄水の噴射方向と直交する方向、すなわち
図4AにおけるX軸方向からの見込み幅Cを分注ノズル210が通過する開口の幅Bよりも狭くすることができる。見込み幅Cが開口の幅Bよりも狭くなることにより、ノズル洗浄位置202からX軸方向に直線的に飛散する水滴を抑制することができる。見込み幅Cはノズル軌道205の径が短くなるほど狭くなり、ノズル軌道205の径は、反応促進部107や試薬保管庫104、試薬分注部106の配置に依るので、三者の配置はノズル軌道205の径が短くなるように設定されることが望ましい。
【0030】
また延伸部313の底面314は、ノズル洗浄槽114に向かって傾斜する傾斜面であることが望ましい。底面314が傾斜面であることにより、延伸部313に飛散した水滴はノズル洗浄槽114に向かって流れ、排水管306を介して排出される。なお
図4A及び
図4Bに例示される延伸部313は、第一開口301の側だけでなく第二開口302の側に設けられても良い。
【0031】
さらに開口の幅Bに相当する延伸部313の幅は、ノズル洗浄槽114の幅、すなわちY方向の長さよりも狭いことが望ましい。延伸部313の幅がノズル洗浄槽114の幅よりも狭いことにより、洗浄水はノズル洗浄槽114の外へ飛散しにくくなる。
【0032】
図5Aを用いて、第一屋根309と第二屋根310の一例について説明する。第一屋根309と第二屋根310は、第一噴射部303と第二噴射部304が洗浄水305を噴射する高さよりも高い位置に設けられる。洗浄水305が噴射される高さよりも高い位置であってノズル軌道205の両側に第一屋根309と第二屋根310が設けられることによって、分注ノズル210に噴射された洗浄水305の飛散が抑制される。
【0033】
なお第一屋根309または第二屋根310から底部315までの距離Dはより長いことが望ましい。距離Dが長いほど、底部315から跳ね上がる水滴がノズル洗浄槽114の外へ飛散しにくくなる。また底部315は、排水管306に向かって傾斜することが望ましい。底部315が傾斜することによって、洗浄後の洗浄水は底部315に滞留せずに排水管306へ流れるので、底部315に滞留する洗浄水が跳ね上がらずに済む。
【0034】
図5Bを用いて、第一屋根309と第二屋根310の他の例について説明する。
図5Bに示される第一屋根309と第二屋根310の下面は、ノズル軌道205に近い側がノズル軌道205から遠い側よりも高い傾斜面である。第一屋根309と第二屋根310の下面に付着した水滴は、傾斜面に沿ってノズル洗浄槽114の内壁312の側へ流れるので、洗浄された分注ノズル210を汚さずに済む。
【0035】
なお、
図5A及び
図5Bに例示される第一屋根309と第二屋根310は、
図4Aに示されるようにノズル軌道205を覆うことなく設けられるので、分注ノズル210の水平移動を妨げない。またノズル洗浄槽114には、内壁洗浄部307とノズル退避部308がさらに設けられても良い。なお、内壁洗浄部307及びノズル退避部308は、仕切り壁311によって、第一噴射部303及び第二噴射部304から隔離されることが望ましい。仕切り壁311によって隔離されることにより、内壁洗浄部307及びノズル退避部308は飛散する水滴を避けて清浄な状態に保たれる。
【0036】
内壁洗浄部307は、分注ノズル210の内壁を洗浄するための試薬が湧き出す容器である。内壁洗浄部307では、湧き出た試薬に先端を浸漬させた分注ノズル210によって、規定量の試薬が吸引される。そして試薬を吸引した分注ノズル210が排水管306へ試薬を吐出することで分注ノズル210の内壁の洗浄が完了する。
【0037】
ノズル退避部308は、自動分析装置のメンテナンス時に分注ノズル210が格納される筒である。ノズル退避部308に分注ノズル210が格納されることにより、装置ユーザーやサービスマンが分注ノズル210に誤って接触し、分注ノズル210を破損させることを防止できる。
【0038】
図6A及び
図6Bを用いて、第一噴射部303と第二噴射部304の変形例について説明する。
図6A及び
図6Bに例示される第一噴射部303と第二噴射部304は、洗浄水をノズル軌道205の方向に広げて噴射する。具体的には、第一噴射部303と第二噴射部304は、複数の噴射口がノズル軌道205の方向、すなわち水平方向に並べられて構成されたり、鉛直方向の幅よりも水平方向の幅が広い形状の噴射口で構成されたりする。洗浄水がノズル軌道205の方向に広げられて噴射されることにより、水平方向に移動中の分注ノズル210をより効率的に洗浄することができる。なお分注ノズル210の両側面における水圧の差異をより小さくするため、ノズル軌道205に直交する方向から洗浄水が噴射されることが望ましい。
【0039】
また第一噴射部303と第二噴射部304は、分注ノズル210が第一開口301又は第二開口302に近づくにつれて、より低い位置に洗浄水を噴射するようにしても良い。具体的には、
図6Bに示されるように、第一開口301及び第二開口302から最も遠い位置である中央部における噴射口の位置が最高であり、第一開口301又は第二開口302に近づくにつれて噴射口の位置が下げられる。
図6Bに例示される噴射口の配置であれば、分注ノズル210が第一開口301から第二開口302へ移動する場合でも、逆方向に移動する場合でも、分注ノズル210が出口に近づくにつれて、洗浄水がより低い位置に噴射される。
【0040】
なお分注ノズル210の移動方向が第一開口301から第二開口302への一方向に限られるのであれば、第一開口301の側の噴射口の位置を最高にして、第二開口302に近づくにつれて噴射口の位置を下げても良い。また噴射口の位置の下げ方は、
図6Bに例示されるような直線的なものに限定されず、曲線的なもの、例えば上に凸な円弧形状を噴射口が描くようなものであっても良い。
【0041】
分注ノズル210が第一開口301又は第二開口302に近づくにつれて、洗浄水がより低い位置に噴射されることにより、水平方向に移動中の分注ノズル210をより効率的に洗浄できるとともに、分注ノズル210を乾燥させる時間を短縮できる。
【0042】
以上、本発明の実施例について説明した。本発明は上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形しても良い。また、上記実施例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、上記実施例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0043】
101:検体容器、102:検体搬送部、103:試薬容器、104:試薬保管庫、105:検体分注部、106:試薬分注部、107:反応促進部、108:測定部、109:反応容器搬送部、110:検体吸引位置、111:消耗品保管部、112:消耗品搬送部、113:制御部、114:ノズル洗浄槽、115:攪拌部、116:パドル洗浄槽、201:試薬吐出位置、202:ノズル洗浄位置、203a~203c:試薬吸引口、205:ノズル軌道、207:シャフト、208:駆動部、209:アーム、210:分注ノズル、215:液面センサ、301:第一開口、302:第二開口、303:第一噴射部、304:第二噴射部、305:洗浄水、306:排水管、307:内壁洗浄部、308:ノズル退避部、309:第一屋根、310:第二屋根、311:仕切り壁、312:内壁、313:延伸部、314:底面、315:底部