IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7433449OLED層の厚さ及びドーパント濃度のインライン監視
<>
  • 特許-OLED層の厚さ及びドーパント濃度のインライン監視 図1
  • 特許-OLED層の厚さ及びドーパント濃度のインライン監視 図2A
  • 特許-OLED層の厚さ及びドーパント濃度のインライン監視 図2B
  • 特許-OLED層の厚さ及びドーパント濃度のインライン監視 図3A
  • 特許-OLED層の厚さ及びドーパント濃度のインライン監視 図3B
  • 特許-OLED層の厚さ及びドーパント濃度のインライン監視 図3C
  • 特許-OLED層の厚さ及びドーパント濃度のインライン監視 図4
  • 特許-OLED層の厚さ及びドーパント濃度のインライン監視 図5
  • 特許-OLED層の厚さ及びドーパント濃度のインライン監視 図6
  • 特許-OLED層の厚さ及びドーパント濃度のインライン監視 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】OLED層の厚さ及びドーパント濃度のインライン監視
(51)【国際特許分類】
   H10K 71/10 20230101AFI20240209BHJP
   H10K 71/30 20230101ALI20240209BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20240209BHJP
   H10K 50/155 20230101ALI20240209BHJP
   H10K 50/165 20230101ALI20240209BHJP
   C23C 16/18 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
H10K71/10
H10K71/30
H10K50/12
H10K50/155
H10K50/165
C23C16/18
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022544705
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 US2021014010
(87)【国際公開番号】W WO2021150525
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】62/964,626
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】トゥン, イェイシン
(72)【発明者】
【氏名】クワク, ビョン スン
(72)【発明者】
【氏名】フィッサー, ロバート ヤン
(72)【発明者】
【氏名】バナッパナバル, ガンガダー
(72)【発明者】
【氏名】カブラ, ディネッシュ
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0355924(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0208698(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0029606(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0317021(US,A1)
【文献】特開2006-016660(JP,A)
【文献】特開2019-035969(JP,A)
【文献】特開2011-171280(JP,A)
【文献】特開2004-134154(JP,A)
【文献】MA, H. J. et al.,Development of Digital Holographic Microscopy on an All-Optical PhaseShifter,J. Korean Phys. Soc.,75,ドイツ,SPRINGER NATUER,2019年11月12日,685-692,https://doi.org/10.3938/jkps.75.685
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 71/10
H10K 71/30
H10K 50/12
H10K 50/155
H10K 50/165
C23C 16/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光ダイオード(OLED)堆積システムにおいて、
真空条件下で前記OLED堆積システム内にワークピースを配置するように構成されたワークピース輸送システムと、
各堆積チャンバが有機材料のそれぞれの層を前記ワークピース上に堆積するように構成された2つ又はそれ以上の堆積チャンバであって、前記ワークピース輸送システムによる前記2つ又はそれ以上の堆積チャンバのうちの第1の堆積チャンバと第2の堆積チャンバの間の前記ワークピースの搬送中は前記ワークピースの周囲で真空が保たれるように、前記2つ又はそれ以上の堆積チャンバが連結されている、2つ又はそれ以上の堆積チャンバと、
前記2つ又はそれ以上の堆積チャンバと相互接続された搬送チャンバであって、前記ワークピース輸送システムを介して前記2つ又はそれ以上の堆積チャンバから前記ワークピースを受け取る一方で、該搬送チャンバの内部で真空を維持し且つ前記ワークピースを保持するように構成された搬送チャンバと、
前記搬送チャンバ内の前記ワークピースの測定を実行するように配置された、1又は複数のセンサを有する計測システムであって、
前記搬送チャンバ内の前記ワークピースの表面に対して垂直な角度で入射する第1の物体光線を生成する第1の光源を含む、前記搬送チャンバ内の前記ワークピースの前記表面に対向して配置されるデジタルホログラフィック顕微鏡であって、前記搬送チャンバ内の前記ワークピースからの前記第1の物体光線の反射光を受けて、前記ワークピース上の層の厚さの測定値を生成するように配置されたデジタルホログラフィック顕微鏡と
前記搬送チャンバ内の前記ワークピース上の前記層にフォトルミネセンスを引き起こすための光線であって、前記搬送チャンバ内の前記ワークピースの前記表面に対して斜めの角度で入射する光線を生成するように配置された、第2の光源と
を含み、前記1又は複数のセンサの少なくとも1つが、前記搬送チャンバ内の前記ワークピース上の前記層からの発光を受けて前記ワークピース上の前記層のフォトルミネセンスの測定を実行するように配置されている、計測システムと、
有機発光ダイオード層スタックを形成するために、前記2つ又はそれ以上の堆積チャンバによる前記ワークピース上への有機材料の前記それぞれの層の連続堆積を制御する制御システムであって、
前記第1の堆積チャンバをして第1の有機材料の第1の層を前記ワークピース上に堆積させるように、
前記ワークピース輸送システムをして前記第1の堆積チャンバから前記搬送チャンバへ前記ワークピースを搬送させるように、
前記計測システムから前記厚さの測定値及び前記フォトルミネセンスの測定値を受信するように、
前記ワークピース輸送システムをして前記ワークピースを前記搬送チャンバから前記2つ又はそれ以上の堆積チャンバのうちの第2の堆積チャンバへ搬送させるように、
前記第2の堆積チャンバをして第2の有機材料の第2の層を前記ワークピース上の前記第1の層上に堆積させて、前記有機発光ダイオード層スタックの少なくとも一部分を構築させるように
構成された制御システムと
を備える、堆積システム。
【請求項2】
前記制御システムが、前記厚さの測定値と前記フォトルミネセンスの測定値から前記第1の層のドーピング濃度を決定するように構成されている、請求項1に記載の堆積システム。
【請求項3】
前記制御システムが、更に、
前記ドーピング濃度から、前記第1の堆積チャンバについての更新された処理パラメータ値を決定するように、且つ、
前記更新された処理パラメータ値に従って前記第1の堆積チャンバをして、前記第1の有機材料の第1の層を後続のワークピース上に堆積させるように
構成されている、請求項2に記載の堆積システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の堆積システムにおいて、
第2の搬送チャンと、
前記第2の搬送チャンバ内の前記ワークピースの測定を実行するように配置された、1又は複数のセンサを有する第2の計測システムであって、
前記第2の搬送チャンバ内の前記ワークピースの表面に対して垂直な角度で入射する第2の物体光線を生成する第3の光源を含む、前記第2の搬送チャンバ内の前記ワークピースの前記表面に対向して配置される第2のデジタルホログラフィック顕微鏡であって、前記第2の搬送チャンバ内の前記ワークピースからの前記第2の物体光線の反射光を受けて、前記ワークピース上の前記第2の層の第2の厚さの測定値を生成するように配置された第2のデジタルホログラフィック顕微鏡と
前記第2の搬送チャンバ内の前記ワークピース上の前記層にフォトルミネセンスを引き起こすための光線であって、前記第2の搬送チャンバ内の前記ワークピースの前記表面に対して斜めの角度で入射する光線を生成する第の光源と
を含み、前記1又は複数のセンサの少なくとも1つが、前記第2の搬送チャンバ内の前記ワークピース上の前記第2の層からの発光を受けて、前記ワークピース上の前記第2の層の第2のフォトルミネセンスの測定を実行するように配置されている、第2の計測システムと
を更に備える、堆積システム。
【請求項5】
前記制御システムが、
前記ワークピース輸送システムをして前記第2の堆積チャンバから前記第2の搬送チャンバへ前記ワークピースを搬送させるように、
前記第2の厚さの測定値及び前記第2のフォトルミネセンスの測定値から前記第2の層の第2のドーピング濃度を決定するように、
前記第2のドーピング濃度から、前記第2の堆積チャンバについての更新された第2の処理パラメータ値を決定するように、且つ
前記更新された第2の処理パラメータ値に従って前記第2の堆積チャンバをして、前記第2の有機材料の第2の層を後続のワークピース上に堆積させるように
構成されている、請求項4に記載の堆積システム。
【請求項6】
前記計測システムが、移動可能に配置され前記搬送チャンバ内で移動可能な計測ヘッドを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の堆積システム。
【請求項7】
前記搬送チャンバが、前記ワークピース輸送システムから前記ワークピースを受け入れる支持体であって、前記計測システムが前記厚さの測定値及び前記フォトルミネセンスの測定値を取得する間、前記ワークピースを静止状態に保持する支持体を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の堆積システム。
【請求項8】
有機発光ダイオード(OLED)堆積システムにおいて
真空条件下で前記OLED堆積システム内にワークピースを配置するように構成されたワークピース輸送システムと、
各堆積チャンバが有機材料のそれぞれの層を前記ワークピース上に堆積するように構成された2つ又はそれ以上の堆積チャンバであって、前記ワークピース輸送システムによる前記2つ又はそれ以上の堆積チャンバのうちの第1の堆積チャンバと第2の堆積チャンバの間の前記ワークピースの搬送中は前記ワークピースの周囲で真空が保たれるように、前記2つ又はそれ以上の堆積チャンバが連結されており、前記第1の堆積チャンバは、デバイス領域及び前記デバイス領域とは別の第1の試験領域において第1の層を堆積するように構成されており、前記第2の堆積チャンバは、前記デバイス領域において前記第1の層の上に、また、前記デバイス領域及び前記第1の試験領域とは別であり前記第1の層に重ならない第2の試験領域において、第2の層を堆積するように構成されている、2つ又はそれ以上の堆積チャンバと
前記2つ又はそれ以上の堆積チャンバと相互接続された搬送チャンバであって、前記ワークピース輸送システムを介して前記2つ又はそれ以上の堆積チャンバから前記ワークピースを受け取る一方で、該搬送チャンバの内部で真空を維持し且つ前記ワークピースを保持するように構成された搬送チャンバと、
計測システムであって、(a)前記搬送チャンバ内の前記ワークピースの表面に対して垂直な角度で入射する第1の物体光線を生成する第1の光源を含む、前記搬送チャンバ内の前記ワークピースの前記表面に対向して配置されるデジタルホログラフィック顕微鏡であって、前記搬送チャンバ内の前記ワークピースからの前記第1の物体光線の反射光を受けて、前記第1の試験領域の前記第1の層の第1の厚さの測定値及び前記第2の試験領域の前記第2の層の第2の厚さの測定値を生成するように配置されたデジタルホログラフィック顕微鏡、(b)前記搬送チャンバ内の前記ワークピース上の前記第1の層及び前記第2の層にフォトルミネセンスを引き起こすための光線であって、前記搬送チャンバ内の前記ワークピースの前記表面に対して斜めの角度で入射する光線を生成するように配置された、第2の光源、並びに(c)前記搬送チャンバ内の前記ワークピース上の前記第1の試験領域の前記第1の層及び前記第2の試験領域の前記第2の層からの発光を受けて、前記第1の試験領域の第1のフォトルミネセンスの測定値及び前記第2の試験領域の第2のフォトルミネセンスの測定値を生成するように配置された1又は複数のセンサを有する計測システムと、
有機発光ダイオード層スタックを形成するために、前記2つ又はそれ以上の堆積チャンバによる前記ワークピース上への有機材料の前記それぞれの層の連続堆積を制御する制御システムであって、
前記デバイス領域及び前記第1の試験領域において、前記2つ又はそれ以上の堆積チャンバのうちの前記第1の堆積チャンバをして第1の有機材料の前記第1の層を前記ワークピース上に堆積させるように、
前記ワークピース輸送システムをして前記第1の堆積チャンバから前記第2の堆積チャンバへ前記ワークピースを搬送させるように、
前記デバイス領域及び前記第2の試験領域において、前記第2の堆積チャンバをして第2の有機材料の前記第2の層を前記ワークピース上に堆積させて、前記デバイス領域において前記有機発光ダイオード層スタックの少なくとも一部分を構築させるように、
前記ワークピース輸送システムをして前記第2の堆積チャンバから前記搬送チャンバへ前記ワークピースを搬送させるように、
前記計測システムから、前記搬送チャンバ内の前記ワークピースの、前記第1の試験領域内の前記第1の層の前記第1の厚さの測定値及び前記第1のフォトルミネセンスの測定値と、前記ワークピース上の前記第2の試験領域内の前記第2の層の前記第2の厚さの測定値及び前記第2のフォトルミネセンスの測定値とを受信するように
構成されている制御システムと
を備える、堆積システム。
【請求項9】
前記制御システムが、前記第1の厚さの測定値及び前記第1のフォトルミネセンスの測定値から前記第1の層の第1のドーピング濃度を決定し、前記第2の厚さの測定値及び前記第2のフォトルミネセンスの測定値から前記第2の層の第2のドーピング濃度を決定するように構成されている、請求項に記載の堆積システム。
【請求項10】
前記制御システムが、更に、
前記第1のドーピング濃度から、前記第1の堆積チャンバについての更新された第の処理パラメータ値を決定し、前記更新された第1の処理パラメータ値に従って前記第1の堆積チャンバをして、前記第1の有機材料の第1の層を後続のワークピース上に堆積させるように、且つ
前記第2のドーピング濃度から、前記第2の堆積チャンバについての更新された第2の処理パラメータ値を決定し、前記更新された第2の処理パラメータ値に従って前記第2の堆積チャンバをして、前記第2の有機材料の第2の層を前記後続のワークピース上に堆積させるように
構成されている、請求項に記載の堆積システム。
【請求項11】
前記計測システムが、移動可能に配置され前記搬送チャンバ内で移動可能な計測ヘッドを含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の堆積システム。
【請求項12】
前記制御システムが、アクチュエータをして、前記第1の厚さの測定値及び前記第1のフォトルミネセンスの測定値を取得するために前記計測ヘッドを前記第1の試験領域と整列するように移動させ、前記第2の厚さの測定値及び前記第2のフォトルミネセンスの測定値を取得するために前記計測ヘッドを前記第2の試験領域と整列するように移動させるように構成されている、請求項11に記載の堆積システム。
【請求項13】
前記搬送チャンバが、前記ワークピース輸送システムから前記ワークピースを受け入れる支持体であって、前記計測システムが前記第1の厚さの測定値、前記第1のフォトルミネセンスの測定値、前記第2の厚さの測定値及び前記第2のフォトルミネセンスの測定値を取得する間、前記ワークピースを静止状態に保持する支持体を含む、請求項8から12のいずれか一項に記載の堆積システム。
【請求項14】
前記制御システムは、前記第1の試験領域には前記第1の有機材料の前記第1の層のみを堆積させて前記第2の有機材料の層は堆積させず、前記第2の試験領域には前記第2の有機材料の前記第2の層のみを堆積させて前記第1の有機材料の層は堆積させないように構成されている、請求項8から13のいずれか一項に記載の堆積システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機発光ダイオード(OLED)層のための層厚及びドーパント濃度のインライン監視に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED又は有機LED)は、有機EL(有機エレクトロルミネセンス)ダイオードとも呼ばれ、電流に反応して発光する有機化合物の膜で形成された発光層を含む発光ダイオード(LED)である。この有機層は2つの電極の間に位置しており、典型的には、これらの電極の少なくとも一方は透明である。OLEDは、テレビ画面;コンピュータモニタ;スマートウォッチ、スマートフォン、携帯型ゲーム機、PDA、ラップトップなどのポータブルシステムといったデバイスにおけるデジタルディスプレイを作成するために使用される。
【0003】
OLEDには、典型的には、複数の有機層、例えば電子注入層(EIL)、電子輸送層(ETL)、正孔阻止層(HBL)、発光層(EML)、電子阻止層(EBL)、正孔輸送層(HTL)、及び正孔注入層(HIL)が含まれる。いくつかの製造技術では、これらの複数の有機層は、複数の堆積チャンバを使用する連続堆積プロセスによって形成され、各チャンバは、基板上に特定のOLED層を堆積する。
【0004】
製造された基板が複数の堆積チャンバを完全に通過した後に測定されるエンドオブライン計測システムは、完成した基板を監視してOLEDデバイスが仕様を満たしていることを確認するために使用されている。このようなエンドオブライン方式には、光学イメージング及び/又はエリプソメトリ技術が利用されることがある。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、有機発光ダイオード(OLED)堆積システムは、真空条件下でOLED堆積システム内にワークピースを配置するように構成されたワークピース輸送システムと、2つ又はそれ以上の堆積チャンバと、2つ又はそれ以上の堆積チャンバと相互接続された搬送チャンバと、搬送チャンバ内のワークピースの測定を実行するように配置された、1又は複数のセンサを有する計測システムと、有機発光ダイオード層スタック(積層体)を形成するために、2つ又はそれ以上の堆積チャンバによる有機材料のそれぞれの層のワークピース上への連続堆積を制御する制御システムとを備える。各堆積チャンバは有機材料のそれぞれの層をワークピース上に堆積するように構成されており、2つ又はそれ以上の堆積チャンバは、ワークピース輸送システムによる2つ又はそれ以上の堆積チャンバのうちの第1の堆積チャンバと第2の堆積チャンバの間のワークピースの搬送中はワークピースの周囲で真空が保たれるように、連結されている。搬送チャンバは、ワークピース輸送システムを介して2つ又はそれ以上の堆積チャンバからワークピースを受け取る一方で、内部で真空を維持し且つワークピースを保持するように構成されている。制御システムは、第1の堆積チャンバをして第1の有機材料の第1の層をワークピース上に堆積させるように、ワークピース輸送システムをして第1の堆積チャンバから搬送チャンバへワークピースを搬送させるように、計測システムから搬送チャンバ内のワークピースの第1の複数の測定値を受信するように、ワークピース輸送システムをして搬送チャンバから第2の堆積チャンバへワークピースを搬送させるように、第2の堆積チャンバをして第2の有機材料の第2の層をワークピース上の第1の層上に堆積させて、有機発光ダイオード層スタックの少なくとも一部分を構築させるように構成されている。
【0006】
別の態様では、有機発光ダイオード(OLED)堆積システムは、真空条件下でOLED堆積システム内にワークピースを配置するように構成されたワークピース輸送システムと、2つ又はそれ以上の堆積チャンバと、2つ又はそれ以上の堆積チャンバと相互接続されており、ワークピース輸送システムを介して2つ又はそれ以上の堆積チャンバからワークピースを受け取る一方で、内部で真空を維持し且つワークピースを保持するように構成された搬送チャンバと、搬送チャンバ内のワークピースの測定を実行するように配置された、1又は複数のセンサを有する計測システムと、有機発光ダイオード層スタックを形成するために、2つ又はそれ以上の堆積チャンバによる有機材料のそれぞれ層のワークピース上への連続堆積を制御する制御システムとを備える。各堆積チャンバは有機材料のそれぞれの層をワークピース上に堆積するように構成されており、2つ又はそれ以上の堆積チャンバは、ワークピース輸送システムによる2つ又はそれ以上の堆積チャンバのうちの第1の堆積チャンバと第2の堆積チャンバの間のワークピースの搬送中はワークピースの周囲で真空が保たれるように、連結されている。計測システムは、第1の光線を生成する第1の光源と、搬送チャンバ内のワークピース上の層にフォトルミネセンスを引き起こすための第2の光線を生成する第2の光源とを含む。1又は複数のセンサのうちの少なくとも1つは、搬送チャンバ内のワークピースからの第1の光線の反射を受けて反射率の測定を実行し、反射率の測定からワークピース上の層の厚さの測定値を生成するように配置されている。1又は複数のセンサのうちの少なくとも1つは、搬送チャンバ内のワークピース上の層からの発光を受けて、ワークピース上の層のフォトルミネセンスの測定を実行するように配置されている。制御システムは、第1の堆積チャンバをして第1の有機材料の第1の層をワークピース上に堆積させるように、ワークピース輸送システムをして第1の堆積チャンバから搬送チャンバへワークピースを搬送させるように、計測システムから厚さの測定値及びフォトルミネセンスの測定値を受信するように、ワークピース輸送システムをして搬送チャンバから2つ又はそれ以上の堆積チャンバのうちの第2の堆積チャンバへワークピースを搬送させるように、第2の堆積チャンバをして第2の有機材料の第2の層をワークピース上の第1の層上に堆積させて、有機発光ダイオード層スタックの少なくとも一部分を構築させるように構成されている。
【0007】
別の態様では、コンピュータプログラム製品は、1又は複数のデータ処理装置に、第1の堆積チャンバをして第1の有機材料の第1の層をワークピース上に堆積させる命令;ワークピース輸送システムをして第1の堆積チャンバから搬送チャンバへワークピースを搬送させる命令;計測システムから搬送チャンバ内のワークピースの第1の複数の測定値を受信する命令;ワークピース輸送システムをして搬送チャンバから第2の堆積チャンバへワークピースを搬送させる命令;及び第2の堆積チャンバをして第2の有機材料の第2の層をワークピース上の第1の層上に堆積させて、有機発光ダイオード層スタックの少なくとも一部分を構築させる命令を有する。
【0008】
実装形態は、以下の特徴のうちの1又は複数を含み得る。本制御システムは、2つ又はそれ以上の堆積チャンバのうちの第3の堆積チャンバを含んでもよい。本制御システムは、更に、ワークピース輸送システムをしてワークピースを搬送チャンバから第3の堆積チャンバに搬送させるように、且つ、第3の堆積チャンバをしてワークピース上のデバイス領域内の第2の層上に第3の有機材料の第3の層を堆積させて、有機発光ダイオード層スタックの構築を継続させるように構成されてもよい。
【0009】
実装形態は、以下の考えられる利点のうちの1又は複数を含み得るが、これらに限定されない。OLEDドーピング濃度及び堆積速度のインライン処理監視制御を迅速に行うことができる。監視装置は、カスタマイズ可能で、生産ラインの1箇所又は複数箇所、例えば、一連の堆積ツールの間に位置する複数の搬送チャンバ内に組み込むことができる。迅速な分析とフィードバックは、確立されたタクトタイム(あるユニットの生産開始から次のユニットの生産開始までの平均時間)要件内に収まり得る。OLED堆積特性について、エンドオブライン前にフィードバックを取得すると、改善されたデバイス性能、より厳しい歩留まりと歩留まり向上、及び低減された製造コストをもたらすことができる。反射率測定-フォトルミネセンス複合法とデジタルホログラフィック顕微鏡-フォトルミネセンス複合法はいずれも、高い分解能と薄膜特性への感度を示し、他の方法、例えばエリプソメトリよりもモデル化が比較的容易で、且つ、フットプリントとチャンバ内のコンタミネーションを低減させるリモートセンシング用の光ファイバベースの実装に対応できる。反射率測定は高速で行われ、焦点オフセット及び傾斜のばらつきに対する耐性があるため、OLEDシステムの振動からの影響は最小化される。更に、これらのインライン測定を実行するために必要とされるハードウェアは、既存のハードウェアとの統合が比較的容易であるため、統合コストを削減できる。また、インライン測定は、真空条件下で被測定物の上に膜を堆積させることなしに、短時間で行うことが可能である。そのため、測定された材料特性は、堆積チャンバの状態を厳密に表すことができる。インライン測定は、エンドオブライン測定と密接に相関すると予想される。両測定は、互いに補完し合うことができる。
【0010】
特に定義しない限り、本明細書中で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明における使用のための方法及び材料が本明細書に記載されており、当技術分野で既知の他の適切な方法及び材料も使用することができる。材料、方法、及び例は単なる例示であって、限定を意図するものではない。
【0011】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】インライン処理監視制御システムを含む有機発光ダイオード(OLED)堆積システムの一例を示す概略図である。
図2A】インライン処理監視制御システムを含む搬送チャンバの一例を示す概略図である。
図2B】インライン処理監視制御システムを含む搬送チャンバの別の例を示す概略図である。
図3A】A-A軸上の計測装置アレイを示す概略図である。
図3B】A-A軸に沿った計測装置アレイの断面概略図を示す。
図3C】計測装置の二次元アレイを示す。
図4】試験領域を含むワークピースの一例の概略図を示す。
図5】インライン処理監視制御システムのためのフォトルミネセンス装置及び反射率測定の一例の概略図を示す。
図6】インライン処理監視制御システムのためのフォトルミネセンス装置及びデジタルホログラフィック顕微鏡装置の一例の概略図を示す。
図7】インライン処理監視制御システムの例示的なプロセスの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
様々な図面における類似した参照番号及び記号表示は、類似した要素を示している。
【0014】
堆積プロセスのばらつきは、ドーパント濃度と層厚のばらつきをもたらす可能性があり、その結果、デバイスの性能の問題、例えば低い歩留まり又はデバイス間の不均一性が生じる。エンドオブライン特性評価技術は、複数の堆積チャンバのうちの1つ又は複数又は全てに起因する堆積プロセスの問題を検出できる。しかし、OLED製造ラインにおける堆積プロセスの開始と、堆積した1つ又は複数又は全ての層のエンドオブライン計測による特性評価測定との間には、例えば15分から30分程度の大きな遅れが存在する。この遅れは、(1)層の数に依存する、基板がライン終端に到達するまでの時間と(2)測定自体に必要な時間の両方を含む。エンドオブライン測定を利用して処理監視を提供すると、OLED堆積システムへのフィードバックループが遅れて、生産ラインに沿って発生する異常な堆積プロセスに気付くことができる。OLED堆積のインライン監視制御は、バッチ処理における処理問題の発見、歩留り管理及び生産コストにとって重要であり、最適でない堆積プロセスを使用していくつかの(例えば1枚、3枚等)のパネルが処理される前に問題が発見される。言い換えれば、一連のウェハのかなりの部分又は全てが堆積システムを通して処理される前に、ほぼリアルタイムで問題を発見することである。また、光学イメージング及び/又はエリプソメトリ法をインラインで採用すると、OLED堆積システムの複数の堆積チャンバの振動に敏感になり、ドーパント濃度と層厚に関するプロセス情報の抽出が難しくなる。
【0015】
この特許出願の技術は、発光ダイオード生産ライン、例えば有機発光ダイオード(OLED)生産ラインにインラインフィードバックを提供するためのインライン処理監視制御システムを利用する。例えば、生産ライン内の複数のチャンバ内で複数の堆積プロセスの間又は全体的な製造プロセスの間に、測定を行うことができる。
【0016】
より具体的には、本技術は、OLED生産ラインの2つ又はそれ以上の堆積チャンバの間の搬送チャンバ内に位置するインライン計測ヘッドを利用する。計測ヘッドは、計測される1又は複数の堆積層を含むワークピースに対して位置決め可能な計測装置のアレイを含んでもよく、これにより、計測ヘッドの計測装置のアレイを使用してワークピースの特定の領域を測定することができる。計測装置は、測定された2つ又はそれ以上の堆積チャンバの膜厚と堆積した各膜のドーピング濃度によって、堆積速度に関するフィードバックを提供することができる。膜厚を測定するための計測装置は、反射率測定及び/若しくは透過特性評価装置(例えば光源、光部品、分光計等)又はデジタルホログラフィック顕微鏡装置(DHM)であり得る。決定された膜厚を、フォトルミネセンス特性評価装置(例えば光源、光部品、分光計等)により各膜に対して実行されるフォトルミネセンスの測定と組み合わせて使用して、堆積した膜についてのドーピング濃度情報を抽出することができる。搬送チャンバ内に位置する計測ヘッドは、透過率/反射率、DHM、及び/又はフォトルミネセンスの測定を実行するために必要なハードウェアの一部分又は全部を含み得る。あるいは、インライン処理監視制御システムの一部分を搬送チャンバの外部、例えば真空外(out of vacuum)に位置していてもよく、それにより真空封止型(in-vacuum)計測ヘッドは、真空の外側に位置するインライン処理監視制御システム(例えば分光計、センサ、干渉計、追加のカメラ、データ処理装置等)に信号(例えば、センサから収集されたデータ、サンプル表面から収集された電磁波等)を提供するように構成される。
【0017】
測定は、ワークピース上に位置する試験領域を使用してワークピース上の1又は複数の堆積層に対して行うことができ、各試験領域は、OLED生産ラインの特定の堆積チャンバによる単一の堆積層とすることができる。各試験領域は、例えば試験領域が上記特定の堆積チャンバ内の材料の堆積物に選択的にさらされるマスク堆積プロセスを用いて、上記特定の堆積チャンバ内の材料の堆積物に選択的にさらされ得る。
【0018】
インライン処理監視制御システム
図1は、インライン処理監視制御システム102を含む有機発光ダイオード(OLED)堆積システム100の一例の概略図である。OLED堆積システム100は、例えば、真空隔離ゲート弁を使用して一緒に接続された1又は複数の真空チャンバを含み得る。一般に、OLED堆積システム100は、クローズドな処理ラインとして配置される。ワークピース106は、該ラインの先端で堆積システム100にロードされる。ワークピース106は、堆積システム100から取り出されることなく、且つ堆積システム100の制御された(例えば真空)環境に維持されている間に、複数の処理チャンバを通って移動され、連続処理される。最後に、ワークピースは、ライン終端で堆積システム100からアンロードされる。1又は複数のロードロックチャンバ101は、例えばラインの先端及び終端でOLED堆積システム100に接続することができ、また、ワークピース106がシステム100内にロードされる/システム100から取り出されることを許容しながら外部環境からOLED堆積システム100の内部を分離するために使用することができる。システム100内の真空状態は、システム100と流体接触する1又は複数の真空ポンプ103によって維持され得る。例えば、堆積チャンバ内の圧力は動作中10E-6Torr未満に維持されてもよく、搬送チャンバ内とアクセスチャンバ内の圧力は、システム100の動作中10E-4~10E-5Torr未満に維持されてもよい。
【0019】
いくつかの実装形態では、例えば図1に示されるように、堆積システム100は処理ラインに沿って順に配置された複数のアクセスチャンバ118を含み、1又は複数の堆積チャンバ108(例えば一対のチャンバ108)は各アクセスチャンバ118に接続され、各アクセスチャンバ118を介してアクセス可能である。ただし、多くの他の構成も可能であり、例えば、堆積チャンバ自体は、ワークピースが堆積チャンバの一方の側に入り、堆積チャンバの別の側からアクセスチャンバ又は別の堆積チャンバに出るように、エンドツーエンドシーケンスで配置することも可能である。
【0020】
OLED堆積システム100は、ワークピース輸送システム104を含む。ワークピース輸送システム104は、真空条件下で、OLED堆積システム100内にワークピース106を配置するように構成されている。ワークピース輸送システム104は、ワークピース周囲の真空状態を維持しながら、複数の堆積チャンバ108間でワークピース106を移動させるように構成されていてもよい。
【0021】
いくつかの実装形態では、ワークピース輸送システム104は、レールシステム(例えば非接触磁気浮上システム)と、ワークピース106の周囲に真空を維持しつつワークピース106を操るための1又は複数の搬送アームとを含み、搬送アーム及びレールシステムの少なくとも一部分はシステム100内に位置している。例えば、ワークピース輸送システム104は、レール106に沿って移動可能であり、且つZ、R及びθに移動することができる回転ロボットアームを含み得る。
【0022】
あるいは、ワークピース輸送システム104は、複数のロボット(例えば、各アクセスチャンバ118内のロボット)を含むこともでき、各ロボットは、ライン又は搬送チャンバ110内の別のロボットとワークピース106の受け渡しを行うとともに、隣接する堆積チャンバ108からワークピース106を出し入れするように構成されている。
【0023】
ワークピース106は、OLED層スタックの製造に利用される様々な基板を含み得る。いくつかの実装形態では、ワークピース106は、ガラス基板から構成される。他の可能な基板としては、プラスチック、ホイルなどが挙げられるが、これらに限定されない。ワークピース106は、キャリア基板(例えばガラス、シリコン等)又はチャック(例えばモリブデン、セラミック又はステンレス鋼チャック)上に取り付けられた、1又は複数の基板(例えばプラスチック、ホイル等)を含み得る。ワークピース106は、寸法及び形状(例えば長方形、円形等)が異なることがある。各ワークピース106は、ワークピース106の表面上に配置された複数のOLED層スタックを受け入れることができる。システム100内のワークピース上のOLED層スタックの作製中に複数の試験領域を形成して、システム100に堆積プロセスフィードバックを提供することができる。例えば図4を参照して、試験領域の更なる説明を以下に示す。
【0024】
OLED堆積システム100は、複数の堆積チャンバ108を含む。各堆積チャンバ108は、OLEDデバイスを提供するOLED層スタックから有機材料の各層をワークピース106上に堆積するように構成されている。例えば、異なるチャンバを使用して、電子注入層(EIL)、電子輸送層(ETL)、正孔阻止層(HBL)、発光層(EML)、電子阻止層(EBL)、正孔輸送層(HTL)、及び正孔注入層(HIL)のうちの異なる層を堆積することができる。複数の堆積チャンバ108のそれぞれの有機材料を選択して、OLEDその他の有機系の発光又は吸収装置を形成することができる。各堆積チャンバは、各堆積チャンバ108を操作及び監視するためのポンプ、コントローラ、及び監視デバイスをそれぞれ含むように構成され得る。例えば複数のワークピースの並列処理を提供することによってシステムのスループットを増加させるために、複数の堆積チャンバ108を使用して、スタックから同じ層を堆積させることができる。
【0025】
複数の堆積チャンバ108(例えば15~30の堆積チャンバ108)は、OLEDを形成するための各連続層が隣接する堆積チャンバ108によって堆積されるように、システム100に対して配置され得る。
【0026】
いくつかの実装形態では、1又は複数の隔離弁及び/又はゲート弁を利用して、(例えば堆積プロセス中の)ある時点で、各堆積チャンバ108を各他の堆積チャンバ108及びシステム100から隔離することができる。特に、1又は複数の隔離弁及び/又はゲート弁を利用して、各堆積チャンバ108を隣接するアクセスチャンバ118から隔離することができる。
【0027】
複数の堆積チャンバ108の各々は、ワークピース輸送システム104による2つ又はそれ以上の堆積チャンバのうちの第1の堆積チャンバ108aと第2の堆積チャンバ108bの間のワークピースの搬送中はワークピース106の周囲で真空が維持されるように、連結されている。
【0028】
システム100は、2つ又はそれ以上の堆積チャンバ108と相互接続された1又は複数の搬送チャンバ110であって、ワークピース輸送システム104を介して2つ又はそれ以上の堆積チャンバ108からワークピース106を受け取る一方で、搬送チャンバ110内部で真空を維持し且つワークピース106を保持するように構成された1又は複数の搬送チャンバ110を更に含む。図1に示すように、搬送チャンバ110aは、堆積チャンバ108c、108dと堆積チャンバ108e、108fとの間のワークピース搬送点として機能し、例えばワークピース輸送システム104を用いて、堆積チャンバ108c~fから搬送チャンバ110aにワークピース106を搬送することができる。特に、搬送チャンバ110aは、アクセスチャンバ118aと118bとの間に位置していてもよく、ワークピースは、堆積チャンバ108a又は108bからアクセスチャンバ118aを通って搬送チャンバ110aに搬送され、その後、搬送チャンバ110aからアクセスチャンバ118bを通って堆積チャンバ108c又は108dに搬送される。
【0029】
いくつかの実装形態では、1又は複数の隔離弁及び/又はゲート弁を使用して、2つ又はそれ以上の堆積チャンバ108から搬送チャンバ110を隔離することができる。搬送チャンバ110は、搬送チャンバ110内の真空レベルを監視するために、真空ポンプ103及び真空監視デバイス(例えば真空ゲージ及びコントローラ)をそれぞれ含んでもよい。インライン処理制御システム102の少なくとも一部分は、図1に示すように、搬送チャンバ110内に位置していてもよい。
【0030】
インライン処理制御システム102は、ワークピース106が搬送チャンバ110内に位置している間、且つ真空条件下で、ワークピース106に対して1又は複数の測定を実行するように構成されている。更に、インライン処理制御システム102によって実行される1又は複数の測定は、OLED層スタックを形成するためのワークピース106上への一連の堆積中に、各堆積チャンバ108の堆積プロセス間で行うことができる。例えば、インライン処理制御システム102は、各堆積プロセス(例えば有機材料の層の各堆積)が堆積チャンバ108a~dによって行われた後、且つ堆積チャンバ108eによる堆積の前に、ワークピース106上で1又は複数の測定を実行するように構成されている。別の例では、インライン処理制御システム102は、堆積チャンバ108fによる堆積プロセス、例えば、ワークピース上への有機層の堆積の後及び堆積チャンバ108gによるワークピース106上への堆積プロセスの前に、ワークピース106に対して1又は複数の測定を実行するように構成されている。
【0031】
いくつかの実装形態では、インライン処理制御システム102は、複数の搬送チャンバ110(例えばチャンバ110a及び110b)内でワークピースに対して1又は複数の測定を実行するように構成されている。インライン処理制御システム102の少なくとも一部分は、真空条件下で搬送チャンバ110内に位置していてもよく、真空の外側に位置する1又は複数のデータ処理装置及び/又はコントローラとデータ通信していてもよい。
【0032】
いくつかの実装形態では、追加の光学及び測定デバイスは、真空の外側に位置していてもよく、例えば真空内の搬送チャンバ110内に位置する計測ヘッド112から信号を受信することができる。搬送チャンバ110内からの信号は、例えば、無線で、又は搬送チャンバ110の壁のポートを通って延びる通信回線を通して、インライン処理制御システム102に伝送され得る。いくつかの実装形態では、計測ヘッド112は、搬送チャンバ110の外側に位置し、搬送チャンバ110の壁に位置するビューポートを使用してワークピースのビューを有する。いくつかの実装形態では、計測ヘッド112のセンサは、搬送チャンバ110の外側に位置し、ワークピースから反射又は透過した光は、真空フィードスルーを使用してセンサに接続された光ファイバを通過する。
【0033】
インライン処理制御システム102は、少なくとも1つの計測ヘッド112から測定データを受信することができる。インライン処理制御システム102は、各複数の搬送チャンバ110に位置する複数の計測ヘッド112から計測データを受信することができ、且つ/又は複数のインライン処理制御システム102は、例えば1又は複数の計測ヘッド112とデータ通信しているデータ処理装置114を使用して、計測データを各計測ヘッド112からそれぞれ収集することができる。
【0034】
1又は複数の計測ヘッド112は、複数の特性評価装置、例えば特性評価装置のアレイを含むことができ、少なくとも部分的に搬送チャンバ110内に位置している。計測ヘッド112の構成の更なる詳細については、図3A及び3Bを参照して後述する。
【0035】
計測ヘッド112は、搬送チャンバ110内に保持されているワークピース106に対して位置決め可能である。計測ヘッド112は、例えば、ワークピース106の表面に対して複数の自由度(例えば先端/傾斜又は直線作動)を有するように、搬送チャンバ110内に取り付けることができる。計測ヘッド112は、例えば計測ヘッド112の対物レンズとワークピース106の表面との間の特定の距離を設定するために、ワークピース106の表面に対する計測ヘッド112の位置決めを支援するセンサを含んでもよい。
【0036】
各計測ヘッド112は、ワークピース106が搬送チャンバ110内に位置している間、ワークピースに対して複数の測定を実行するように構成されている。計測ヘッド112によって実行される異なる測定の更なる詳細については、図2A及び2Bを参照して後述する。
【0037】
いくつかの実装形態では、計測ヘッド112又は搬送チャンバ110は、ワークピース106の測定中にワークピース106及び計測ヘッド112の振動レベルを測定する振動センサを含んでもよい。ワークピース106に対する測定は、システム100の動作によるワークピースの振動誘起転移(vibration-induced displacement)よりも速い周波数範囲内で実行することができる。更に、ワークピース106の測定中のワークピース106及び計測ヘッド112の振動を考慮するために、平均化処理、正規化又は同様の後処理方法をこれらの測定値に適用することができる。
【0038】
システム100は、有機発光ダイオード層スタックを形成するために、複数の堆積チャンバ108、例えば2つ又はそれ以上の堆積チャンバ108による有機材料のそれぞれの層のワークピース106上への連続堆積を制御するように動作可能なコントローラ116を更に含む。コントローラ116はデータ通信可能であり、ワークピース106が各堆積チャンバ108に順番に連続移動されるように、システム100内のワークピース輸送システム104を使用してワークピース106の位置を調整するように動作可能であり得る。
【0039】
更に、コントローラ116は、インライン処理制御システム102からプロセスフィードバックデータを受け取るように構成されていてもよく、受け取ったプロセスフィードバックデータは、コントローラ116によって利用されて、OLED層スタックの製造のためのシステム100の動作に対する1又は複数の変更を決定することができる。プロセスフィードバックの更なる詳細については、図2A、2B及び7を参照して後述する。
【0040】
いくつかの実装形態では、計測ヘッド112は、搬送チャンバ110内のワークピース106に対して1又は複数の測定を実行するように構成されている。図2Aは、ワークピース106に対して測定を実行するように構成されているインライン処理監視制御システム102を含む搬送チャンバ200(例えば搬送チャンバ110)の一例の概略図である。
【0041】
インライン処理監視制御システム102は、搬送チャンバ200内に位置し、搬送チャンバ200内に位置するワークピース106に対して搬送チャンバ200内に位置決め可能な真空封止型計測ヘッド202(例えば計測ヘッド112)を含んでもよい。搬送チャンバにおいて、マウント204(例えば台座、プラットフォーム、リフトピンのセット、ばね等)でワークピース106を支持することができる。いくつかの実施形態では、ワークピースをマウント204にチャッキングすることができ、例えば、マウントは静電チャックにすることができる。
【0042】
いくつかの実装形態では、真空封止型計測ヘッド202は、真空封止型構成要素202a、202bからの光を自由空間を介してマウント204上のワークピース106に結合するための光部品を含む。真空封止型計測ヘッド202は、真空外構成要素210から真空フィードスルーを介して搬送チャンバ200に連結された1又は複数の光ファイバを含んでもよい。
【0043】
いくつかの実装形態では、真空封止型計測ヘッド202は、1又は複数の真空封止型構成要素、例えば、搬送チャンバ200に位置するワークピース106にフォトルミネセンス(PL)の測定を実行するための第1の真空封止型構成要素202a及び搬送チャンバ200内に位置するワークピース106に反射率測定を実行するための第2の真空封止型構成要素202bを含んでもよい。真空封止型計測ヘッド202の真空封止型構成要素202a、202bの各々は、例えば、特定の真空封止型構成要素202a、202bの特定の焦点距離又は異なる試験片の位置を考慮して、ワークピースに対して別々に位置決め可能である。真空封止型計測ヘッド202の各真空封止型構成要素202a、202bは、ワークピース106の表面207に入射する光信号206をそれぞれ提供し、例えば、計測ヘッド202内に位置する収集光学系及び/又は検出器を使用して、ワークピース106の表面207から反射信号208を収集することができる。反射率及びPLの測定を実行するための光部品の構成の更なる詳細については、図5を参照して後述する。
【0044】
いくつかの実装形態では、真空封止型計測ヘッド202は、搬送チャンバ200内のワークピース106に対して干渉法測定を実行するための第1の真空封止型構成要素202aと、搬送チャンバ200内のワークピース106に対してフォトルミネセンス(PL)の測定を実行するための第2の真空封止型構成要素202bとを含んでもよい。干渉法測定は、デジタルホログラフィー顕微鏡(DHM)法の一部として実行され得る。PL及びDHMの測定を実行するための光部品の構成の更なる詳細については、図6を参照して詳述する。
【0045】
真空封止型計測ヘッド202の各真空封止型構成要素202a、202bは、出力信号208aを真空外計測構成要素210に提供することができ、各出力信号208aは、異なる波長帯、異なる強度等とすることができる。真空外計測構成要素210は、それぞれ真空封止型構成要素202a、202bに対応する1又は複数の真空外構成要素、例えば真空外構成要素210a、210bを含み得る。例えば、第1の真空外構成要素210aは、分光器、光変調源など、真空外に位置するPL測定装置であって、PLの測定を実行するための真空封止型計測ヘッド202の真空封止型構成要素202aに対応するPLの測定装置を含んでもよい。
【0046】
インライン処理制御システム102の真空封止型計測ヘッド202及び真空外計測構成要素210の動作は、それぞれ真空封止型計測ヘッド202及び真空外計測構成要素210とデータ通信している計測制御ユニット(MCU)212によって制御することができる。いくつかの実装形態では、真空封止型構成要素202a、202b及び真空外構成要素210a、210bの各々は、MCU 212とデータ通信しており、且つ/又は、測定を実行し、各計測構成要素からデータを受信するように構成されたそれぞれのMCU212を有することが可能である。
【0047】
いくつかの実装形態では、MCU212は、各搬送チャンパ200(例えば、図1に示すような搬送チャンバ110a及び110b)に位置する複数の異なる計測構成要素の動作を制御することができる。
【0048】
MCU212は、更に、真空外計測構成要素210から測定データ214を収集するように構成されており、測定データ214は、例えば、PLデータ、反射率データ、DHM生成データ、透過率データ等を含む。MCU212に提供される測定データ214を分析して、ワークピース106上の堆積層の1又は複数の堆積特性の測定値216を取得することができる。測定値216は、今度は、後続のワークピースに対してシステム100の堆積チャンバ108の処理パラメータを調整するために利用することができる、すなわちフィードバックプロセスである。堆積特性は、例えば、1又は複数の堆積層のドーピング濃度、1又は複数の堆積層の層厚、1又は複数の堆積層の表面形態(例えば表面粗さ)などの、固有及び外因特性を含むことができる。MCU212による堆積特性の値の抽出については、図5及び6を参照して更に詳しく後述する。
【0049】
堆積特性の値216は、製造実行システム(MES)220に提供される。MES220は、特定の搬送チャンバ200について複数のMCU212から、又は複数の搬送チャンバ220から、堆積特性の測定データ214及び/又は値216を受信することができる。MES220は、堆積特性の測定値216を、堆積特性の所望の値218のセット、例えば、各層の所望のドーピング範囲、所望の層厚などと比較し、堆積特性の所望の値からの偏差を補償するために、処理パラメータについての1又は複数の調整値222を生成することができる。この調整された処理パラメータ222は、システム100の1又は複数の堆積チャンバ108に提供され得る。
【0050】
いくつかの実装形態では、堆積特性は、特定の堆積層のドーパント濃度及び層厚を含む。堆積特性の値216は、製造/堆積プロセスの製造パラメータを調整する際に使用されるクローズドループフィードバックシステムで製造システムに提供される。アルゴリズムを採用して、正規化されたドーピング濃度を入力として受け取り、出力として、例えば特性評価ステップ中に測定された膜の数に応じて、1又は複数の堆積チャンバ108に1又は複数の製造パラメータを提供することができる。
【0051】
いくつかの実装形態では、MES220は、堆積特性の値216から、1又は複数の堆積チャンバ108についての更新された処理情報を決定し、1又は複数の堆積チャンバ108に、更新された処理情報を提供するように構成されていてもよい。堆積特性の値216は、特定の堆積チャンバ108についての堆積速度データと、複数の堆積チャンバのうちの特定の堆積チャンバ108についてのドーピング濃度データとを含み得る。
【0052】
いくつかの実装形態では、搬送チャンバ内のワークピース106の測定値には、特定の堆積チャンバ内に堆積した層の厚さの測定値と、2つ又はそれ以上の堆積チャンバの該特定の堆積チャンバ108によって堆積した複数の層のうちの該所定の層のドーピング濃度とが含まれる。
【0053】
いくつかの実装形態では、二次処理制御データは、1又は複数の二次処理制御データユニット221によってMES220に提供され得る。二次処理制御データは、例えば、堆積層の厚さとドーパントレベル測定値とに相関するデバイス性能データとすることができる。デバイス性能データは、例えば、OLEDデバイスから収集された色座標データと発光データとを含むことができる。デバイス性能データを、システム100を使用して実行される厚さ及びドーパントレベル測定値と組み合わせて、適切なプロセス調整を決定することができる。
【0054】
いくつかの実装形態では、インライン処理制御システム102の真空封止型計測ヘッドは、搬送チャンバ110内のワークピース106に対して透過率ベースの測定を実行するように構成されている。図2Bは、インライン処理監視制御システム102を含む別の例示的な搬送チャンバ250の概略図である。
【0055】
図2Bに示されているように、インライン処理制御システム102は、ワークピース106の表面207の反対側に位置する真空封止型構成要素254、例えば検出器を備える。いくつかの実装形態では、ワークピースを透過する光信号を検出器254によって収集することができるように、検出器254は真空封止型ワークピースマウント204に取り付けられてもよい。
【0056】
いくつかの実装形態では、真空封止型構成要素254は、ワークピース106の表面207の反対側に位置する集光光学系及び分光計を含み、透過率測定を実行する。図2Bに示される例では、透過率測定は、1又は複数の堆積層からの透過光が検出器254に到達するのを防止するためのメタライズ層その他のバックコンタクト層を全く有していないワークピース106に対して実行される。検出器254から収集された光信号208は、例えば電気信号として、真空外計測構成要素210に戻すことができる。
【0057】
いくつかの実装形態では、計測ヘッド112は、反射率及び透過率データをそれぞれ取得するようにワークピース106に対して配置された複数の真空封止型計測ヘッド(例えば真空封止型構成要素202a、202b、254)を含む、透過率ベースの測定と反射率ベースの測定の組み合わせをワークピースに対して実行するように構成されている。
【0058】
いくつかの実装形態では、真空封止型計測ヘッド202、252は、搬送チャンバ112内のワークピース106に対して位置決め可能なアレイに配置することができる複数の計測装置、例えば光源、検出器、集光光学系等を含むことができる。図3A-3Cは、計測装置アレイ300の概略図である。図3Aに示されるように、計測装置アレイ300は、軸A-Aに対して整列する複数の計測装置302を含むことができる。軸A-Aに沿った計測装置アレイ300の断面を描いた図3Bを参照すると、計測装置アレイ300は、ワークピース304、例えばワークピース106に対して配置することができる。
【0059】
いくつかの実装形態では、計測装置アレイ300をワークピース304の表面305に対して配置して、各計測装置302が、ワークピース304上に位置するそれぞれの試験領域306を独立に測定して、複数の試験領域から同時に測定結果を入手できるようにすることができる。ワークピース上の試験領域及びレイアウトについての詳細な考察は、図4を参照して以下に提供される。
【0060】
いくつかの実装形態では、図3Aに示されるように、計測装置アレイ300は、特定の軸(例えばX軸)に沿って直線構成で配列された複数の計測装置302から構成され得る。直線アクチュエータは、ワークピース全体から測定値を収集するように、X軸に垂直な方向にワークピースを横切って、直線的に計測装置アレイ300を走査することができる。
【0061】
図3Cは計測装置302の二次元アレイを示し、計測装置アレイ320は、複数の軸に沿って配置された計測装置のパネルを含む。この計測装置302のアレイは、ワークピース全体から測定値を収集している間、静止状態のままにすることができる。
【0062】
図4は、試験領域を含むワークピースの一例の概略図である。ワークピース400(例えばワークピース106)は、システム100の各堆積チャンバ108によってワークピース400上に堆積した複数の試験領域402と、少なくとも1つのデバイス領域406とを含む。デバイス領域406は、ワークピース400上に堆積した複数の層、例えば、電子層(EIL)、電子輸送層(ETL)、正孔阻止層(HBL)、発光層(EML)、電子阻止層(EBL)、正孔輸送層(HTL)及び正孔注入層(HIL)の2つ又はそれ以上を含み、デバイス領域406内に1又は複数のOLEDデバイスを形成する。各試験領域402は、特定の堆積チャンバ108の性能に関連する堆積情報を提供することができる。デバイス領域406は試験領域402を更に含んでいてもよく、ワークピース400上の複数の堆積層に関する情報は、デバイス領域406上で実行される測定から抽出することができる。
【0063】
いくつかの実装形態では、ワークピース400上に堆積した複数の層は、各々、複数の堆積チャンバ(例えばシステム100の複数の堆積チャンバ108)のそれぞれの堆積チャンバによって順に堆積される。ワークピース400上の複数の堆積層のうちの各堆積層は、マスク(例えばハードマスク又はレジストマスク)を介して各堆積チャンバ108によって堆積される。マスクは、各層が同じデバイス領域406上に重なり合って堆積されるように、デバイス領域406に対して同一のパターンを有し得る。一方、異なる層用の異なるマスクは、異なる試験領域402を画定する異なる位置に開口部を有する。換言すれば、特定の堆積層のための試験領域402は、ワークピース400上に堆積した複数の層の各堆積層が異なる試験領域402を有するように、ワークピース400上の固有の位置にある。
【0064】
いくつかの実装形態では、特性評価測定は、予め指定されたプロセス測定特徴部、例えば層厚四角形(thickness squares)、基準特徴部、又は単一の堆積層で実行することができる。図4に示すように、試験領域402を特定の層の特性評価測定に利用することができ、各試験領域は、それぞれの堆積チャンバ108からの特定の堆積層に対応していてもよく、例えば、各試験領域は単層の厚さであり、特定の有機材料の堆積層で構成されている。
【0065】
各試験領域402は、デバイス領域406からの堆積層のサブセット(すなわち全堆積層よりも少ない)を含む。いくつかの実装形態では、試験領域402の一部又は全部は、各々、デバイス領域406からの堆積層のうちの厳密に1つを含む。いくつかの実装形態では、試験領域402の一部又は全部の各々は、複数の堆積チャンバ108のうちの厳密に1つに対応する堆積層を含む。計測ヘッド112(例えば計測装置アレイ300)を使用してワークピース400上の複数の試験領域402を走査することにより、インライン処理制御システム102は、複数の試験領域402に対して特性評価測定のセットを実行し、複数の堆積チャンバ108の各々について堆積情報を抽出することができる。
【0066】
各試験領域402は下層のワークピース400上に直接堆積した単一の層のみを含むため、比較的単純な光学モデルを使用することができ、したがって、計算負荷を軽減することができる。更に、下層の変動に起因する厚さの測定の不確かさが低減されるか又は排除される。
【0067】
いくつかの実装形態では、各試験領域402はワークピース400上に堆積した複数の層を含むことができ、デコンボリューション技術を使用して、特定の試験領域402の複数の堆積層上で行われる測定から堆積特性を抽出することができる。複数層のスタックの堆積特性を抽出するために、後続の層の堆積前に、複数の堆積層の各層の連続測定を実行することができる。
【0068】
いくつかの実装形態では、試験領域はアライメントハッシュ404とすることができ、アライメントハッシュ404は、堆積特性評価のための試験領域としてだけでなく、堆積プロセス中に堆積チャンバ108内で計測ヘッド112を位置合わせするため及び/又はワークピース400を位置合わせするためのアライメントマークとしても機能することができる。
【0069】
図2A及び2Bを参照して上述したように、インライン処理制御システムは、複数の堆積チャンバ108について堆積プロセスに関連する堆積特性を抽出するために、搬送チャンバ内のワークピースに対して複数の異なる特性評価測定を実行することができる。ここで図5を参照すると、いくつかの実施形態では、ワークピース108に対して実行される特性評価測定は、反射率の測定とフォトルミネセンスの測定とを含む。図5は、インライン処理監視制御システム用の反射率測定及びフォトルミネセンス装置の一例の概略図である。
【0070】
図5に描かれているように、ワークピース502(例えばワークピース106)は、搬送チャンバ500内に、例えばマウント204上に、位置する。真空封止型計測ヘッド504(例えば真空封止型計測ヘッド202)は、搬送チャンバ500内に位置していてもよく、ワークピース502に対して位置決め可能に構成されている。真空封止型計測ヘッド504上に位置する高さ/傾斜センサ506は、ヘッド504に対するワークピース502の位置及び/又は傾斜を決定することができる。ヘッド504は、ワークピース502の表面503に対して一定の高さ及び傾斜を維持するように配置され得る。支持体204及び/又はヘッド504は、所望の相対的な高さ及び傾斜を得るように相対運動を提供する1又は複数のアクチュエータに連結され得る。
【0071】
真空封止型計測ヘッド504は、例えば、一組の光部品を介して、1又は複数の光線508をワークピース502の表面503に向けるように更に構成され得る。いくつかの実装形態では、1又は複数の光線508は、1又は複数の自由空間光学系及び/又は光ファイバを使用して、ワークピースの表面503に向けることができる。複数の光線508は、例えば波長帯、光強度、パルス形状等を含む1又は複数の光学特性についてそれぞれ異なる値を有し得る。
【0072】
図5に示されるように、複数の真空外計測構成要素510a、510bは、真空封止型計測ヘッド504とデータ通信することができる。真空外計測構成要素510aは、集光光学系及び分光計512bと光源512a(例えばキセノン、水銀又はハロゲン化物の高エネルギー光源)とを含む、ワークピース502上で反射率の測定を実行するための複数の計測構成要素512を含む。例えば、パワー出力が30-500W以上のXeランプを使用することができる。いくつかの実装形態では、真空フィードスルーと組み合わせた1又は複数の光ファイバを利用して、真空内に位置する集光光学系によって収集された光を真空外計測構成要素510a、510bに伝送することができる。
【0073】
光源512aはワークピース502の表面503をプローブするための光線508を提供し、分光計512bは、ワークピース502からの反射光信号514を収集して処理するように構成されている。
【0074】
真空外計測構成要素510bは、光源516a、パワーメータ516b及びビームスプリッタ518などの、搬送チャンバ500内のワークピース502に対してフォトルミネセンス(PL)の測定を実行するための複数の計測構成要素516を含む。光源516aは、例えば、紫外線(UV)レーザ、ランプ又はLEDとすることができる。例えば、数μWから数mWの平均パワー出力を有する405nmのUVレーザを使用することができる。光源516aのパワー出力は、例えばフォトルミネセンス強度出力が光源516aへの暴露に時間依存する場合、フォトブリーチング効果レジームよりも低くなるように選択することができる。パワーメータ516bはビームエネルギーをサンプリングするために利用することができ、例えばフォトダイオードセンサを含むことができる。参照ビームをサンプリングするために、ビームスプリッタ518を利用して、光源516aのビームを分割することができる。
【0075】
光源512aからの光線508aはワークピース502の表面に垂直な軸に沿ってワークピース502上に向けることができるのに対し、光源516aからの光線508bは、ワークピース502の表面に対して斜めの角度の軸に沿ってワークピース502上に向けることが可能である。
【0076】
いくつかの実装形態では、真空外計測構成要素510は、例えば異なる振幅、位相、偏光などを有する2つの異なる光源508を真空封止型計測ヘッド504に提供するように構成された光変調ユニットを含むことができる。
【0077】
いくつかの実装形態では、ワークピース502上の堆積層の厚さは、真空封止型計測ヘッド504と真空外計測構成要素510aを用いて、分光計512aから変調ソース信号508及び反射信号514を収集することによって測定される。収集されたデータは、堆積層の厚さを決定するために分析され得る。例えば、コントローラは参照スペクトルのライブラリを記憶することができ、各参照スペクトルは関連する厚さ値を有する。測定されたスペクトルを参照スペクトルのライブラリと比較することができ、例えば差分二乗和のメトリックを使用して、測定されたスペクトルに最も適合する参照スペクトルを一致する参照スペクトルとして選択することができる。その後、一致する最良適合参照スペクトルに関連する厚さ値を、測定された厚さ値として使用することができる。
【0078】
いくつかの実装形態では、フォトルミネセンス(PL)の測定は、真空封止型計測ヘッド504と真空外計測構成要素510bとを用いて実行される。PLの測定値を上述の反射率の測定値と組み合わせて利用して、特定の堆積層におけるドーパントレベルを計算することができる。外因子であるドーパントレベルの計算には、データを固有の材料特性因子に変換するための正規化因子の決定が含まれる。考慮すべき外因子には、(1)分析領域(analysis volume)内の全材料(例えばワークピース上の1又は複数の目的の堆積層)の厚さ、(2)光源516aのレーザ強度、及び(3)分析領域に影響を与える作業距離の変化及び傾斜角度が含まれる。このように、理想的な分析システムは厚さを測定するものであり、これは、真空外計測ヘッド510aと真空封止型計測ヘッド504を用いる反射率測定装置によって行われる。レーザ強度(PL用励起源)は、(1)パワーメータ516bと(2)ワークピース502及びパワーメータ516bに向かう部分へのビームスプリッタ518の使用、並びに(3)パワーメータの読み取り値とワークピースとの間の較正係数によって決定することができる。作業距離変化及び傾斜角度は、測定センサ506と、ワークピース502の表面503に対する真空封止型計測ヘッド504の位置とによって補正され得る。
【0079】
いくつかの実装形態では、ビームスプリッタ518を利用して、光源516aからの光線508bの一部を分割して、それを測定対象のパワーメータ516bの方へ向ける。ワークピース502上の堆積層からのフォトルミネセンス信号509は、分光計、例えば分光計512a又は真空外測定構成要素510b内に位置する別の分光計(図示せず)にて収集される。測定されたPLデータは、例えば、信号強度対波長をプロットすることによって分析され、ガウス曲線がプロットに適合する。最大波長、最大強度及び半値全幅(FWHM)を求め、反射率測定を用いて決定した光源516aからの光線508bの強度及び堆積層の厚さに対して正規化する。正規化されたプロットは1又は複数の較正プロット又は「ゴールデンサンプル」(以下の図7を参照して更に詳細に説明する)と比較され、堆積層内のドーパントレベルが決定される。
【0080】
いくつかの実装形態では、PL及び反射率の測定を用いて抽出された厚さ及びドーパントレベルのデータは、プロセス因子調整を決定するために、また、1又は複数の調整されたプロセス因子を1又は複数の堆積チャンバ108に提供するために、MES220に送信される。更なる詳細は、以下の図7を参照して説明される。
【0081】
いくつかの実装形態では、堆積層の厚さを調整するためのプロセス因子調整は、所望の厚さを達成するために、静止堆積速度(例えば蒸発温度)、走査速度(例えば動的堆積速度)又はその両方を調節することを含む。所望のドーパントレベルを達成するためのプロセス因子調整は、例えば蒸発温度及び走査速度のような相対的堆積速度を調整することを含み得る。このようなシフト堆積速度(shift deposition rate)は総厚さに影響を及ぼす。このように、厚さとドーパントレベルの仕様の両方を満たすためには、2つの調整を相関させる必要があるであろう。
【0082】
図6は、インライン処理監視制御システムのためのデジタルホログラフィック顕微鏡(DHM)装置及びフォトルミネセンス(PL)装置の一例の概略図である。図6に描かれているように、ワークピース602(例えばワークピース106)は、搬送チャンバ600内に、例えばマウント204上に、位置する。真空封止型計測ヘッド604(例えば、真空封止型の1又は複数の構成要素を含む真空封止型計測ヘッド202)は、搬送チャンバ600内に位置していてもよく、図5を参照して真空封止型計測ヘッド504に関して説明したのと同様に、ワークピース602に対して位置決め可能であるように構成されている。
【0083】
加えて、DHM装置612aの構成要素の一部又は全部を搬送チャンバ600の内側に位置していてもよく、光源613からの参照ビームとサンプルビームを、光ファイバを介して搬送チャンバ600内に提供することができる。DHM装置612aは、既知の規格に従って干渉法測定を実行するために必要な構成要素を含む。DHM装置612aの構成要素には、光源613;マイケルソン干渉計を形成する光学系、例えばダイクロイックミラー622及びミラー621;並びに検出器615、例えばCCDカメラが含まれる。
【0084】
簡単に説明すると、ビームスプリッタ622aを用いて光源613からのビームを参照波面としての参照光線608bと物体光線608aとに分割することによって、干渉法測定を実行することができる。物体光線608aがワークピース602に供給され、ワークピース602の試験領域、例えば試験領域402を照射し、物体波面を形成する。反射された物体波面は顕微鏡対物レンズ620によって集められ、物体波面と参照波面は第2のビームスプリッタ622bによって結合されて干渉し、CCDカメラ615によって記録されるホログラフィック画像を作成する。CCD615にて干渉法による干渉縞を生成し、デジタル的に構成された画像を生成するという最終目標を有する他の可能な構成が可能である。反射された物体波面は、第3のビームスプリッタ622cを使用して追加的に分割し、分光計619で収集することができる。
【0085】
真空封止型計測ヘッド604上に位置する高さ/傾斜センサ606は、焦点深度情報、傾斜情報、空間深度情報を収集することができ、顕微鏡対物レンズ620及び/又はヘッド604に対するワークピース602の位置及び/又は傾斜を決定することができ、顕微鏡対物レンズ620及び/又はヘッド604は、ワークピース602の表面603に対して一定の高さ及び傾斜を維持するように配置することができる。DHMデバイス612a及び/又はヘッド604は、所望の相対的な高さ及び傾斜を得るように相対運動を提供する1又は複数のアクチュエータに連結され得る。
【0086】
真空封止型計測ヘッド604は、例えば、一組の光部品を介して、(例えば真空外計測ヘッド510bからの)1又は複数の光線をワークピース602の表面603に向けるように更に構成され得る。いくつかの実装形態では、1又は複数の光線は、1又は複数の自由空間光学系及び/又は光ファイバを使用して、ワークピースの表面603に向けることができる。複数の光線は各々、例えば波長帯、光強度、パルス形状等を含む1又は複数の光学特性についてそれぞれ異なる値を有し得る。
【0087】
図6に示されるように、1又は複数の真空外計測構成要素610a(例えばDHM制御ユニット617)は、1又は複数の真空封止型構成要素(例えばCCD615)とデータ通信することができる。
【0088】
DHM制御ユニット617は、CCD615によって取得されたホログラムデータを解析し、それを3Dトポグラフィ画像に変換することができる。DHM制御ユニット617は、高さ/傾斜センサ606によって取得された焦点オフセット及び傾斜を補正することができる。焦点深度と傾斜を補正することによって、DHM制御ユニット617は、ワークピース602上に堆積した層の厚さを抽出することができる。
【0089】
いくつかの実装形態では、1又は複数の光ファイバを真空フィードスルーと組み合わせて利用して、真空内の集光光学系位置によって収集された光を真空外計測構成要素610a、510bに伝送することができる。
【0090】
図5を参照した記述と同様に、真空外測定ヘッド510bは、搬送チャンバ600内のワークピース602上でフォトルミネセンス(PL)の測定を実行するための複数の計測構成要素516を含む。更に、図5を参照して上述したように、PL測定及び干渉法測定を用いて抽出された厚さ及びドーパントレベルのデータは、プロセス因子調整を決定し、1又は複数の調整されたプロセス因子を1又は複数の堆積チャンバ108に提供するために、MES220に送信される。更なる詳細は、以下の図7を参照して説明される。
【0091】
インライン処理監視制御システムのプロセス例
図1に戻って、搬送チャンバの少なくとも一部において、例えば各搬送チャンバ内で、ワークピースが測定される。いくつかの実装形態では、ワークピースは、ライン内の各チャンバ108(例えばチャンバ108a、チャンバ108b、チャンバ108c等)を通過する。この場合、少なくとも図1に示す構成では、ワークピースは、搬送チャンバ110に入り、ラインの開始時又は前回の測定時から複数の有機層を堆積させた後まで、測定されるであろう。しかし、これは必須ではない。例えば、ワークピースは、アクセスチャンバ118から、例えばチャンバ108b、チャンバ108d、チャンバ108f等、アクセス可能な各対の一方の堆積チャンバのみを通過することができる。別の例として、アクセスチャンバは、1つの堆積チャンバのみを有することができる。別の例として、アクセスチャンバを完全に除去することができ、堆積チャンバは、1又は複数の搬送チャンバへの直接アクセスを有することができる。例えば、ワークピースは、搬送チャンバから堆積チャンバの一方の側を通って堆積チャンバ内に移動され、その後、堆積チャンバの他方の側を通って別の搬送チャンバ内に移動され得る。これらの構成のいずれにおいても、ワークピースは、搬送チャンバ110に入り、ラインの開始時又は前回の測定時から、単一の有機層が堆積した後まで測定することができる。
【0092】
一般に、これらの測定値は、測定対象の1又は複数の層を堆積させた1又は複数の堆積チャンバの処理パラメータを制御するためのフィードバックとして使用される。例えば、第1の層がチャンバ108a内に堆積され、その後ワークピースが搬送チャンバ110へ輸送される場合、例えば目標の厚さを達成するため又は厚さの均一性を改善するために、これらの測定値を使用してチャンバ108aの処理パラメータを調整することができる。別の例として、第1の層がチャンバ108a内に堆積され、第2の層がチャンバ108b内に堆積され、その後ワークピースが搬送チャンバ110へ輸送される場合、これらの測定値を使用して、チャンバ108a及び108bの処理パラメータを調整することができる。
【0093】
図7は、ワークピース上に各層を連続堆積させるためのインライン処理監視制御システムの例示的なプロセスの流れ図である。第1のステップでは、第1の有機材料の第1の層が、システムの2つ又はそれ以上の堆積チャンバのうちの第1の堆積チャンバ内でワークピース上に堆積される(702)。層は、システム100の複数の堆積チャンバ108の堆積チャンバ(例えば堆積チャンバ108c)によって堆積され得る。
【0094】
ワークピース輸送システムによってワークピースが第1の堆積チャンバから搬送チャンバへ搬送され、計測ヘッド及び計測ヘッドとデータ通信しているデータ処理装置によって複数の測定値のうちの第1のセットがワークピースに対して実行される(704)。ワークピース輸送システム(例えばワークピース輸送システム104)は、ワークピース106を堆積チャンバ108cから搬送チャンバ110aへ搬送することができ、ここで真空封止型計測ヘッド112を含むインライン処理制御システム102によってワークピース106に対して第1の測定セットが実行され得る。
【0095】
いくつかの実装形態では、図2Aを参照しながら上で詳述したように、複数の測定値のうちの第1のセットがMCU212に提供され、その出力がMES220に提供される。その後、MES220は、調整された処理パラメータ222を利用する1又は複数の堆積チャンバ108によるワークピース106への次の堆積を行うように、1又は複数の特定の堆積チャンバ108(例えば堆積チャンバ108c)のコントローラ116に提供するために調整された処理パラメータ222を決定することができる。
【0096】
ワークピースは、ワークピース輸送システムによって、2つ又はそれ以上の堆積チャンバのうちの第2の堆積チャンバに搬送され、第2の有機材料の第2の層が第2の堆積チャンバ内のワークピース上に堆積される(706)。その後、ワークピース106は、ワークピース輸送システム104によって第2の堆積チャンバ(例えば堆積チャンバ108e)へ搬送され、そこで第2の層がワークピース106上に堆積され得る。
【0097】
いくつかの実装形態では、本プロセスは、ワークピース輸送システムによって、ワークピースを、第2の堆積チャンバから2つ又はそれ以上の堆積チャンバのうちの第3の堆積チャンバに搬送することと、第3の堆積チャンバ内のワークピース上に第3の有機材料の第3の層を堆積すること(708)とを更に含む。ワークピース106は、ワークピース輸送システム104によって、アクセスチャンバ118bを介して第3のチャンバ(例えばチャンバ108f)に再び搬送され、第3の堆積チャンバ108f内のワークピース106上に第3の層を堆積させることができる。
【0098】
いくつかの実装形態では、本プロセスは、ワークピース輸送システムによって第3の堆積チャンバから搬送チャンバへワークピースを搬送することと、計測ヘッド及び計測ヘッドとデータ通信しているデータ処理装置によってワークピースに対して複数の測定値のうちの第2のセットを実行すること(710)を更に含む。複数の測定値のうちの第2のセットは、ワークピース上に堆積した第2の堆積層及び第3の堆積層に関する情報を含み得る。ワークピース106は、ワークピース輸送システム104によって第3チャンバ108fから搬送チャンバ110bへ搬送することができ、ワークピース106が搬送チャンバ110b内に位置している間に、インライン処理制御システム102によって第2の測定セットが測定され得る。
【0099】
いくつかの実装形態では、図2Aを参照しながら上で詳述したように、複数の測定値のうちの第2のセットがMCU212に提供され、その出力がMES220に提供される。その後、MES220は、調整された処理パラメータ222を利用する1又は複数の堆積チャンバ108によるワークピース106への次の堆積を行うように、1又は複数の特定の堆積チャンバ108(例えば第2の堆積チャンバ108e及び第3の堆積チャンバ108f)のコントローラ116に提供するために調整された処理パラメータ222を決定することができる。
【0100】
いくつかの実装形態では、(例えばシステム100の可動部分からの)振動は、収集された複数の測定値を平均化することによって、又は収集されたデータを正規化することによって説明される。
【0101】
いくつかの実装形態では、堆積特性は、堆積層の固有のドーピングレベルを含む。堆積層の固有のドーピングレベルを抽出することは、固有ドーピングレベル情報を正規化するために、堆積層の(例えば、ワークピースの表面107に垂直方向の)厚さに関する情報を必要とし得る。堆積層の厚さ情報は、例えば、特定の堆積層のための試験領域に対して実行される反射率測定を用いて抽出されてもよい。別の例では、堆積層の厚さ情報は、特定の堆積層のための試験領域上で実行される干渉法測定を用いて、例えばDHM測定システムを使用して、抽出することができる。更に別の例では、堆積層の厚さ情報は、特定の堆積層のための試験領域に対して実行される透過率測定を用いて抽出することができる。
【0102】
いくつかの実装形態では、図5及び6に描かれているように、フォトルミネセンスの測定は、(例えばレーザ光源の)ビーム強度、堆積層の厚さ(ここで厚さは、上述の技術、例えば反射率測定、透過干渉法等のいずれかを用いて測定される)を含む様々な因子に対して正規化される場合、堆積層の固有のドーピングを抽出するために利用され得る。また、ワークピースの表面に対する真空封止型計測ヘッドの傾斜及び焦点深度は、例えば真空封止型計測ヘッドからの傾斜/高さ情報を用いて測定される。
【0103】
PLの測定値は、様々な有機材料の既知の固有のドーピングレベルのセットに合わせて較正され得る。一例として、既知の厚さ及びドーパントレベルを有するゴールデンサンプル比較を較正サンプルとして利用することができ、例えば、ゴールデンサンプルのPLの測定からの絶対強度が試験サンプルのPLの測定値と比較される。別の例として、較正チャートは、特定の有機材料についての既知のドーパントレベルを有するサンプルのセットを使用して生成することができる。較正チャートは、試験層の特定の既知の厚さに対するドーピングレベル対PLの測定強度のプロットを含むことができ、ここで、追加の点をプロットに沿って外挿することができる。
【0104】
いくつかの実装形態では、搬送チャンバは、特定の温度でワークピースの特性評価測定を実行するために、搬送チャンバ内のワークピースの温度を調整するように構成された温度制御測定装置を備える。温度制御測定装置は、ワークピースの温度を測定するための温度ゲージ(例えば高温計)、ワークピースの表面に接触する熱電対等を備えていてもよい。温度制御は、例えばコールドフィンガ、ペルチェクーラ等とすることができ、ワークピースのPLの測定中にワークピースの温度を特定の温度範囲に調節可能である。別の例では、温度制御測定装置を使用して、温度依存性の特性評価測定(例えば温度依存性のPLの測定)を搬送チャンバ内のワークピースに対して実行することができる。
【0105】
いくつかの実装形態では、特性評価測定は2つ又はそれ以上の堆積層に対して実行することができ、特性評価測定の結果は、測定データ、例えば、2つ又はそれ以上の堆積層を通して収集された透過率データからデコンボリューションすることができる。
【0106】
結論
本明細書に記載のシステムのコントローラ及び他のコンピューティングデバイス部分は、デジタル電子回路で、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア若しくはハードウェアで実装することができる。例えば、コントローラは、コンピュータプログラム製品(例えば非一時的コンピュータ可読記憶媒体)に記憶されているようなコンピュータプログラムを実行するプロセッサを含み得る。このようなコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション又はコードとも呼ばれる)は、コンパイルされた言語又は解釈された言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述することができ、スタンドアロンプログラムとして、又は演算環境での使用に適したモジュール、コンポーネント、サブルーチンその他のユニットとしてなど任意の形式で配備することができる。
【0107】
本書は特定の実装形態の詳細を多数包含しているが、これらはいかなる発明の範囲又は特許請求の範囲に対する制限として解釈されるべきではなく、特定の発明の特定の実施形態に固有の特徴の説明として解釈されるべきである。別々の実施形態の文脈で本書に記載されている特定の特徴は、1つの実施形態において組み合わせて実装することも可能である。逆に、1つの実施形態の文脈で説明されている様々な特徴は、複数の実施形態において別々に、又は任意の適切なサブコンビネーションで実装することもできる。更に、特徴は、特定のコンビネーションで動作するものとして上で説明され、またそのように特許請求の範囲において最初に記載されこともあるが、特許請求の範囲に記載のコンビネーションの1又は複数の特徴は、場合によっては、そのコンビネーションから除かれてもよく、その特許請求の範囲に記載のコンビネーションはサブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形の対象となることもある。
【0108】
多くの実装形態を説明してきた。それでも、様々な改変が行われ得ることを理解されたい。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7