(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】化学機械研磨の温度制御
(51)【国際特許分類】
B24B 37/015 20120101AFI20240209BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20240209BHJP
B24B 49/04 20060101ALI20240209BHJP
B24B 37/30 20120101ALI20240209BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20240209BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
B24B37/015
B24B49/10
B24B49/04 Z
B24B37/30 Z
B24B37/10
H01L21/304 622R
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023034275
(22)【出願日】2023-03-07
(62)【分割の表示】P 2022007142の分割
【原出願日】2018-11-13
【審査請求日】2023-04-05
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ハオション
(72)【発明者】
【氏名】サウンダララジャン, ハリ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, イェン-チュー
(72)【発明者】
【氏名】タン, チエンショー
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ショウ-サン
(72)【発明者】
【氏名】シェン, シーハル
(72)【発明者】
【氏名】関根 健人
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-353681(JP,A)
【文献】特表2017-506438(JP,A)
【文献】特表2012-525715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/015
B24B 49/10
B24B 49/04
B24B 37/30
B24B 37/10
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械研磨システムであって、
研磨パッドを保持するための支持体と、
研磨プロセス中に基板を前記研磨パッドに対して保持するためのキャリアヘッドと、
前記基板上の層の厚さを表す信号を生成するように構成されたインシトゥモニタシステムと、
前記研磨プロセスの温度をモニタするためのセンサと、
前記研磨プロセスの前記温度を制御するための温度制御システムと、
前記インシトゥモニタシステムおよび前記温度制御システムに接続されたコントローラと
であって、前記温度制御システムに、前記信号に応じて前記研磨プロセスの前記温度を変更させるように構成されたコントローラと
を備え、前記コントローラが、前記厚さの変化にわたって連続的である、前記基板上の前記層の前記厚さの関数として、研磨プロセスの所望の温度を示すデータを記憶するように構成され、且つ前記コントローラが、前記センサからの測定温度を受け取り、前記研磨プロセスの前記温度を前記所望の温度へと制御するように構成されている、化学機械研磨システム。
【請求項2】
前記温度制御システムが、熱を前記研磨パッドの上に方向付けるための赤外線ヒータ、前記支持体またはキャリアヘッド内の抵抗加熱器、前記支持体またはキャリアヘッド内の熱電ヒータまたはクーラ、研磨液が前記研磨パッドに供給される前に、前記研磨液と熱を交換するように構成された熱交換器、または前記支持体の中に流体通路を有する熱交換器のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記信号の値が、前記層の前記厚さに比例する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラが、前記温度制御システムに、閾値を超える前記信号の前記値に応じて、前記研磨プロセスの前記温度を変更させるように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記閾値を超える前記信号の前記値が、前記層の残りの厚さが閾値の厚さを下回ったことを示し、前記コントローラが、前記閾値の厚さを下回る前記層の前記残りの厚さに応じて、前記温度を低下させるように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記データが、前記所望の温度を前記層の前記厚さに関係づけるルックアップテーブルを示す、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記データが、前記所望の温度を前記層の前記厚さに関係づける多項式関数を示す、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
化学機械研磨の方法であって、
研磨パッドに対して基板を保持することと、
前記基板の研磨プロセス中にインシトゥモニタシステムで前記基板上の層の厚さをモニタし、前記層の厚さに依存する信号を生成することと、
前記研磨プロセスの温度をモニタすることと、
前記厚さの変化にわたって連続的である、前記基板上の前記層の前記厚さの関数として、前記研磨プロセスの所望の温度を示すデータを記憶することと、
温度制御システムに、前記研磨プロセスの温度を前記所望の温度に制御させることと
を含む、化学機械研磨の方法。
【請求項9】
前記温度制御システムに、前記研磨プロセスの温度を制御させることが、熱を赤外線ヒータから前記研磨パッドの上に方向付けること、支持体またはキャリアヘッドを抵抗加熱器で加熱すること、前記支持体またはキャリアヘッドを熱電ヒータまたはクーラで加熱または冷却すること、研磨液が前記研磨パッドに供給される前に、熱交換器内で熱を前記研磨液と交換すること、または前記支持体の中に流体通路を有する熱交換器内で熱を交換することのうちの1つまたは複数を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記信号の値が、前記層の前記厚さに比例する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記温度制御システムに、閾値を超える前記信号の前記値に応じて、前記研磨プロセスの前記温度を変更させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記閾値を超える前記信号の前記値が、前記層の残りの厚さが閾値の厚さを下回ったことを示し、前記閾値の厚さを下回る前記層の前記残りの厚さに応じて、前記温度を低下させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記データが、前記所望の温度を前記層の前記厚さに関係づけるルックアップテーブルを示す、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記データが、前記所望の温度を前記層の前記厚さに関係づける多項式関数を示す、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学機械研磨(CMP)の温度制御のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、典型的には、導電層、半導体層、または絶縁層などの様々な層を順次堆積させることによって、シリコンウエハなどの基板上に形成される。層が堆積された後、層の上部にフォトレジストコーティングを塗布することができる。コーティング上に光画像を集束させることによって動作するフォトリソグラフィ装置を使用して、コーティングの一部を除去し、回路機構特徴が形成されるべきエリア上にフォトレジストコーティングを残すことができる。次に、基板をエッチングして、層のコーティングされていない部分を除去し、所望の回路機構特徴を残すことができる。
【0003】
一連の層が順次堆積され、エッチングされるにつれて、基板の外側または最上面は、ますます非平面になる傾向がある。この非平面の表面は、集積回路製造プロセスのフォトリソグラフィ段階において問題を提起する。例えば、フォトリソグラフィ装置を使用してフォトレジスト層上に光画像を集束させる能力は、非平面の表面のピークと谷との間の最大高さ差が装置の焦点深度を超える場合、損なわれる可能性がある。従って、基板表面を周期的に平坦化する必要がある。
【0004】
化学機械研磨(CMP)は平坦化の1つの受け入れられている方法である。化学機械研磨は、典型的には、化学反応剤を含有するスラリ中で基板を機械的に研磨することを含む。研磨中、基板は、典型的には、キャリアヘッドによって研磨パッドに対して保持される。研磨パッドは、回転することがある。キャリアヘッドはまた、研磨パッドに対して基板を回転させ移動させることがある。キャリアヘッドと研磨パッドとの間の運動の結果として、化学溶液または化学スラリを含み得る化学薬品は、化学機械研磨によって非平面の基板表面を平坦化する。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、化学機械研磨システムは、研磨パッドを保持するための支持体と、研磨プロセス中に研磨パッドに対して基板を保持するためのキャリアヘッドと、基板上の材料の量に依存する信号を生成するように構成されたインシトゥモニタシステムと、研磨プロセスの温度を制御するための温度制御システムと、インシトゥモニタシステムおよび温度制御システムに接続されたコントローラとを含む。コントローラは、温度制御システムに、信号に応じて研磨プロセスの温度を変更させるように構成される。
【0006】
実施態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0007】
温度制御システムは、熱を研磨パッドの上に方向付けるための赤外線ヒータと、支持体またはキャリアヘッド内の抵抗加熱器と、支持体またはキャリアヘッド内の熱電ヒータまたはクーラと、研磨液が研磨パッドに供給される前に研磨液と熱を交換するように構成された熱交換器と、または支持体の中に流体通路を有する熱交換器とを含み得る。
【0008】
インシトゥモニタシステムは、研磨プロセス中に下層の露出を検出するように構成されてもよく、コントローラは、下層の露出を検出することに応じて、研磨プロセスの温度を変化させるように構成されてもよい。この関数は、基板の下層の露出の変化の際に不連続であるステップ関数であってもよい。
【0009】
インシトゥモニタシステムは、層の厚さまたは研磨プロセス中に除去された量を表す値を有する信号を生成するように構成されてもよく、コントローラは、信号に応じて研磨プロセスの温度を変更するように構成されてもよい。信号の値は、層の厚さまたは除去された量に比例することがある。関数は、基板の層の厚さの連続関数であってもよい。コントローラは、温度制御システムに、閾値を超える信号の値に応じて、研磨プロセスの温度を変化させる、例えば、上昇または低下させるように構成されてもよい。閾値を超える信号の値は、層の残りの厚さが閾値の厚さを下回ったことを示すことがあり、コントローラは、閾値の厚さを下回る層の残りの厚さに応じて、例えば、少なくとも10℃ほど、温度を低下させるように構成されてもよい。コントローラは、ターゲット研磨特性を達成するのに十分な量だけ温度を調整するように構成されてもよい。
【0010】
センサは、研磨プロセスの温度をモニタしてもよく、コントローラは、センサから信号を受信してもよく、コントローラは、センサから測定された温度を所望の温度まで操作するための温度制御システムの閉ループ制御を含んでもよい。
【0011】
インシトゥモニタシステムは、光学モニタシステム、渦電流モニタシステム、摩擦センサ、モータ電流またはモータトルクモニタシステム、または温度センサを含んでもよい。
【0012】
別の態様では、化学機械研磨の方法は、研磨パッドに対して基板を保持することと、基板の研磨中にインシトゥモニタシステムで基板の上の材料の量をモニタし、材料の量を示す信号を生成することと、温度制御システムに、信号に応じて研磨プロセスの温度を変更させることとを含む。
【0013】
実施態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0014】
温度制御システムに温度を変更させることは、赤外線ヒータからの熱を研磨パッド上に方向付けること、研磨パッドを支持するプラテン内の抵抗加熱器に電力を供給すること、研磨液を加熱すること、またはすすぎ液を加熱することのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0015】
データは、基板の厚さの関数として研磨プロセスの所望の温度を示すように記憶されてもよい。インシトゥモニタシステムは、研磨プロセス中に下層の露出を検出するように構成されてもよく、その関数は、基板の下層の露出によってトリガされるステップ関数であってもよい。インシトゥモニタシステムは、研磨プロセス中に研磨されている層の厚さを表す値を生成してもよく、その関数は、層の厚さの連続関数であってもよい。
【0016】
本明細書に記載の化学機械研磨装置の潜在的な利点は、研磨動作中に基板上の材料のディッシングおよび浸食を制御または制限することができることである。ディッシングと浸食の量は、1つの研磨動作から次の研磨動作までより一貫性を高めることができ、ウエハ間の不均一性(WTWNU)を減少させることができる。研磨工程の再現性を向上させることができる。スループットは、バルク研磨動作中に維持または増加させることができる。
【0017】
1つ以上の実施形態の詳細を、添付の図面および以下の説明で明らかにする。他の態様、特徴、および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】化学機械研磨システムの主要構成要素のブロック図である。
【
図2】
図1の研磨システムのような研磨システムを制御するための工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
種々の図面における類似の参照記号は、類似の要素を示す。
【0020】
CMPプロセスの全体的な効率は、研磨される材料ならびに研磨プロセスの温度、例えば、研磨パッドの表面における温度および/または研磨液の温度および/またはウエハの温度に依存し得る。いくつかの研磨プロセス、例えば、金属のバルク研磨の場合、より高い温度は、より高い研磨速度を提供することができ、したがって、より高いスループットを提供することが望ましい。いかなる特定の理論にも限定されないが、これは、より高い温度が化学物質の反応性を増加させるためであり得る。
【0021】
一方、いくつかの研磨プロセス、例えば、下層、例えば、バリア、ライナ、または酸化物層が露出されるプロセスの場合、より低い温度は、トポグラフィ、例えば、ディッシングまたは浸食、および/または研磨均一性を改善することができる。そのようなプロセスの例には、金属洗浄、バリア層除去、および過剰研磨が含まれる。この場合も、特定の理論に限定されるものではないが、これは、より低い温度が研磨プロセスにおけるより低い選択性をもたらすためであり得る。
【0022】
しかし、基板上の材料の量を示す信号に応じてCMPプロセスの温度を変調することによって、浸食およびディッシングなどのCMP効果を制御または軽減しつつ、スループットを維持または増加させることができる。
【0023】
図1を参照すると、化学機械研磨(CMP)装置10は、研磨パッド14を支持するためのプラテン12を含む。プラテン12がモータ20の駆動軸18の端部に装着され、研磨動作中にプラテン12を回転させる。プラテン12は、熱伝導性材料、例えばアルミニウムで作られ得る。
【0024】
典型的には、研磨パッド14は、プラテン12に接着剤で取り付けられる。研磨パッド14は、例えば、従来の研磨パッド、固定砥粒研磨パッド等とすることができる。従来のパッドの例は、IC1000パッド(デラウェア州ニューアークのRodel社)である。研磨パッド14は、研磨面34を提供する。
【0025】
キャリアヘッド36は、プラテン12に面しており、研磨動作中に基板16を保持する。キャリアヘッド36は、典型的には、第2のモータ40の駆動軸38の端部に装着され、研磨中にキャリアヘッド36を回転させることができ、同時にプラテン12も回転する。種々の実施態様は、例えば、並進モータをさらに含むことができ、キャリアヘッド36が回転している間に、キャリアヘッド36を研磨パッド14の研磨面34の上を横方向に移動させることができる。
【0026】
キャリアヘッド36は、支持アセンブリ、例えばピストンのような支持アセンブリ42を含むことができる。支持アセンブリ42は、環状の保持リング43によって取り囲むことができる。支持アセンブリ42は、保持リング43内の中心開放領域の内側に、可撓性膜のような基板受容面を有する。支持アセンブリ42の後ろにある加圧可能なチャンバ44が、支持アセンブリ42の基板受容面の位置を制御する。チャンバ44内の圧力を調整することによって、基板16が研磨パッド14に押し付けられる圧力を制御することができる。より具体的には、チャンバ44内の圧力の増加により、支持アセンブリ42が、より大きな力で基板16を研磨パッド14に押しつけ、チャンバ44内の圧力の低下により、その力が低下する。
【0027】
研磨システムは、研磨液供給システムを含む。例えば、ポンプは、供給リザーバ60から研磨液供給チューブ58、例えばパイプまたは可撓性チューブを通して、研磨パッド14の表面に、研磨液を方向付けることができる。いくつかの実施態様では、研磨パッド14は研磨材を含み、研磨液56は、典型的には、研磨プロセスを助ける水と化学物質との混合物である。いくつかの実施態様では、研磨パッド14は研磨材を含まず、研磨液56は、化学混合物中に研磨材を含むことができ、例えば、研磨液はスラリとすることができる。いくつかの実施態様では、研磨パッド14および研磨液56の両方が、研磨材を含むことができる。
【0028】
研磨システムはまた、すすぎ液、例えば脱イオン水72をタンク74から研磨パッド14の表面34に供給する供給チューブ70のようなパッドすすぎシステムを含むことができる。
【0029】
化学機械研磨装置10はまた、インシトゥ(その場)モニタシステム66、例えば、渦電流モニタシステムまたは研磨面34の下に位置する光学モニタシステムを含む。他の可能性は、基板と研磨パッドとの間の摩擦を検出するための摩擦モニタシステム、モータ20および/または40によって使用されるトルクまたは電流をモニタするためのモータトルクまたはモータ電流モニタシステム、研磨液の化学的性質をモニタする化学センサ、または研磨プロセスの温度、例えば研磨パッド14および/または研磨液および/またはウエハ16の温度、例えば以下で検討する熱電対162または赤外線カメラ164などの温度、をモニタするための温度センサを含む。インシトゥモニタシステム66は、基板上の材料の量に依存する(したがって、その材料の量を示す)信号を生成するように構成される。
【0030】
基板16上の材料の量は、バイナリ値(すなわち、材料が存在するかまたは存在しないかのいずれか)として表すことができる。例えば、摩擦モニタシステム、モータトルクまたはモータ電流モニタシステム、または渦電流モニタシステム若しくは温度モニタシステムからの信号の突然の変化は、下層の露出を示し、研磨されていた上にある材料が現在存在しないことを示し得る。
【0031】
信号はまた、材料の厚さを表す値、例えば材料の厚さに比例する値とすることができ、または、例えば、特徴のディッシングおよび/または浸食のために、除去されもしくは損失した材料の量を表す値、例えばその材料の量に比例する値としてもよい。例えば、渦電流モニタシステムまたは光学モニタシステムからの測定値は、実際の厚さ測定値に、または厚さに比例した値に、または研磨動作を通じての進行を表す値に変換することができる。概して、信号は、厚さとともに単調に変化し得る。
【0032】
化学機械研磨装置10は、研磨プロセスの温度を制御するための温度制御システム100を含む。温度制御システム100は、以下でより詳細に説明するように、インシトゥモニタシステム66から信号を受信し、インシトゥモニタシステム66の出力に応じて温度を制御するように研磨システムの様々な構成要素を制御する、例えばプログラムされたコンピュータまたは専用プロセッサなどのコントローラ102を含む。
【0033】
いくつかの実施態様では、温度制御システム100は、プラテン12の温度を制御し、次に、研磨パッド14および基板16の温度を制御する。
【0034】
例えば、プラテン12は、その内部に、冷却剤または加熱流体を動作中に循環させることができる流体循環チャネル110のアレイを含むことができる。ポンプ112は、予備タンク114から入口チューブ116aを介してチャネル110に流体を方向付け、および/または循環チャネル110から流体を引き出し、出口チューブ116bを通して予備タンク114に流体を戻す。入口チューブ116aおよび出口チューブ116bは、駆動軸18内のチャネルに連結することができ、次に、回転カップリング19によって循環チャネル110に連結される。
【0035】
予備タンク114を取り囲む加熱および/または冷却要素118は、循環システムを通って流れる流体を、例えば所定の温度まで加熱および/または冷却することができ、これにより研磨動作中にプラテン12の温度を制御する。例えば、加熱要素は、抵抗電気加熱器、赤外線ランプ、または予備タンク114における交換ジャケットまたはコイルを通して加熱された流体を方向付ける熱交換システムなどを含むことができる。冷却要素は、予備タンク114の交換ジャケットまたはコイル、ペルチェヒートポンプ等を通して冷却された流体を方向付ける熱交換システムを含むことができる。
【0036】
代替的にはまたは追加的には、温度制御システム100は、プラテン12内に埋め込まれた抵抗加熱器120または熱電冷却器、例えばペルチェヒートポンプを含むことができる。電源122は、プラテン温度を制御するために、プラテン12内の抵抗加熱器120または熱電冷却器に電力を調整可能に送ることができる。電力は、回転カップリング19を介して駆動軸18を通ってルート決めすることができる。
【0037】
代替的にまたは追加的には、温度制御システム100は、基板の温度を調整するためにキャリアヘッド内に要素を含むことができる。例えば、流体循環チャネルは、キャリアヘッドを通過することができ、熱いまたは冷たい液体は、キャリアヘッドを加熱および/または冷却するために、チャネルを通ってポンピングすることができる。別の例として、抵抗加熱器または熱電冷却器、例えば、ペルチェヒートポンプを、キャリアヘッド、例えば、可撓性膜に埋め込むことができる。電力または流体は、駆動軸38を通してルート決めすることができる。
【0038】
いくつかの実施態様では、温度制御システム100は、研磨パッド14、ひいては研磨液56および基板16を直接加熱または冷却するための加熱または冷却要素を含む。例えば、研磨パッド14を加熱するために、赤外線ヒータ130、例えば赤外線ランプを用いることができる。赤外線ヒータ130をプラテン12の上に配置して、赤外線光132を研磨パッド14上に方向付けることができる。
【0039】
いくつかの実施態様では、温度制御システム100は、研磨パッド14の表面に研磨液を供給する前に、研磨液56の温度を制御する。例えば、加熱/冷却要素140は、リザーバ60を取り囲むか、またはリザーバ60内に配置することができ、研磨液が研磨パッド14に供給される前に、研磨液を、例えば、所望の温度まで加熱および/または冷却するために使用することができる。
【0040】
いくつかの実施態様では、温度制御システム100は、すすぎ液の温度を制御する。例えば、温度制御システム100は、すすぎ液が研磨パッド14に供給される前に、すすぎ液の加熱および/または冷却を行う、加熱および/または冷却要素150を含むことができる。加熱および/または冷却要素150は、タンク74を取り囲むことができ、および/またはタンク74内に位置付けることができる。
【0041】
温度を制御するために液体がプラテンに供給される実施態様では、液体がプラテンに供給される前に、液体の温度を感知するためにセンサを使用することができる。加えて、温度制御システム100は、流体の温度を安定させるためのフィードバックシステムを含むことができる。
【0042】
例えば、熱センサ119は、予備タンク114内に、または予備タンク114に隣接して配置されて、冷却剤または加熱流体の温度をモニタすることができる。温度制御システム100は、センサ119から信号を受け取り、加熱/冷却要素118の動作を調整して、流体を、コントローラ102から受け取った所望の温度と一致する温度にするか、またはその温度に維持するコントローラ111を含むことができる。代替的には、これらの動作は、コントローラ102によって直接実行することもできるだろう。
【0043】
別の例として、熱センサ142を予備タンク60内または予備タンク60に隣接して配置することができる。温度制御システム100は、研磨液の温度をモニタするためにセンサ142から信号を受信するコントローラ144を含むことができる。コントローラ144は、加熱/冷却要素140の動作を調整して、研磨液を、コントローラ102から受け取った所望の温度と一致する温度にするか、その温度で維持する。
【0044】
別の例として、熱センサ152を予備タンク74内にまたは予備タンク74に隣接して配置することができる。温度制御システム100は、すすぎ液の温度をモニタするためにセンサ152から信号を受信するコントローラ154を含むことができる。コントローラ154は、加熱/冷却要素150に連結され、加熱/冷却要素150の動作を調整して、すすぎ液をもたらし、またはコントローラ102から受け取った所望の温度と一致する温度にすすぎ液を維持する。
【0045】
さらに、コントローラ102は、研磨プロセスの温度を示す測定値を受け取ることができる。特に、センサは、研磨パッド14上の研磨液56の温度、および/または研磨パッド14の温度および/または基板16の温度をモニタするように配置することができる。例えば、センサは、研磨パッド14の温度を測定するためにプラテン12内に埋め込まれるかまたはプラテン12の上に配置される熱電対160、または基板16の温度を測定するためにキャリアヘッド36内の熱電対162を含むことができる。別の例として、センサは、研磨パッド14および/または研磨パッド14上の研磨液56の温度をモニタするために、プラテン上に配置された赤外線カメラ164を含むことができる。
【0046】
研磨の間、キャリアヘッド36は、基板16を研磨面34に対して保持し、一方、モータ20はプラテン12を回転させ、モータ40はキャリアヘッド36を回転させる。研磨液供給チューブ58は、水と化学物質との混合物を研磨面34に供給する。研磨後、破片および過剰な研磨液を、供給チューブ70からのすすぎ液、例えば水によってパッド表面からすすぐことができる。
【0047】
本質的に部分的に化学的である研磨プロセスの間、研磨速度および研磨均一性は、温度に依存する可能性がある。より具体的には、研磨速度は、温度が上昇するにつれて増加する傾向にあるが、研磨の不均一性およびトポグラフィの不均一性、例えば、ディッシングおよび/または浸食は、温度が上昇するにつれて減少する傾向にある。
【0048】
温度制御システム100は、基板上の材料の量を示すインシトゥモニタシステム66からの信号に基づいて、プロセス温度を制御するように構成される。これは、増大した研磨速度、減少した不均一性、および制御された表面トポグラフィ、例えば、ディッシングおよび/または浸食の両方の利点を提供することができる。
【0049】
特に、温度制御システム100は、
図2に示す動作を実行するように構成することができる。
図2を参照すると、温度制御システム100、例えば、コントローラ102は、信号(ひいては基板16上の材料の量)の関数として、研磨プロセスのための所望の温度を示すデータを記憶する(ステップ202)。このデータは、種々のフォーマット、例えば、ルックアップテーブルまたは多項式関数で記憶することができる。いくつかの実施態様では、例えば、温度が下層の露出時に変化する場合、材料の量は、単に層の有無として示される。この場合、関数は、ステップ関数、例えば、層の有無に応じたバイナリ出力とすることができる。いくつかの実施態様では、例えば、研磨が進行するにつれて温度が低下する場合、材料の量は、厚さとして、または除去された量として示される。この場合、関数は、厚さの連続関数とすることができる。このデータは、研磨前に設定することができる。
【0050】
研磨の間、温度制御システム100は、基板16上の材料の量に依存する信号を受け取る(ステップ204)。例えば、温度制御システム100は、基板16上の材料の量を示すインシトゥモニタシステム66からの信号を受け取ることができる。上述したように、材料の量は、層の有無を単に示すバイナリ信号によって、または厚さ値として、すなわち、例えば除去される材料の厚さまたは量に比例する値代表値として示すことができる。
【0051】
材料の量が単に層の有無として示される場合、コントローラ102は、センサ66からの信号に基づいて基板16の下層の露出を検出し、それに応じて所望の温度Tdを調整する(ステップ206a)。
【0052】
材料の量が厚さとして示される場合には、コントローラ102は、インシトゥモニタシステム66からの信号から研磨されている基板16の層の厚さを決定し、測定された厚さに基づいて所望の温度を決定する(ステップ206b)。
【0053】
コントローラ102は、研磨プロセスの温度、例えば、基板16の温度、研磨パッド、または研磨パッド上の研磨液を検出する(ステップ208)。温度は、熱電対160または赤外線カメラ164のようなセンサによって測定することができる。
【0054】
コントローラ102は、所望の温度に一致するように研磨プロセスの温度を調整する(ステップ210)。研磨プロセスの温度が所望の温度より低い場合、コントローラ102は温度を上昇させる。代替的には、基板16の温度が所望の温度よりも高い場合、コントローラ102は温度を低下させる。
【0055】
概して、温度の変化は、ターゲット研磨特性、例えば、あるレベルのディッシング、浸食、残留物除去、材料損失、研磨速度、厚さ、WIWNUなどを達成するのに十分である。
【0056】
浸食およびディッシングのような望ましくない副作用は、温度を制御することによって制限できると考えられる。いくつかの実施態様では、改善されたトポグラフィを達成するために、下層が露出されるか、または研磨されている層が閾値の厚さ未満に低下するときに、温度を少なくとも10℃ほど低下させることができる。
【0057】
より均一で反復可能な研磨速度を達成し、浸食およびディッシングのような副作用を低減するために、CMPにおける温度は、特に平坦化を改善するターゲット温度に向かって、以下のように1つまたは複数の方法で、制御することができる。
【0058】
図1に戻ると、温度制御システム100は、流体循環チャネル110を通って循環する流体の温度を制御することによって、研磨プロセスの温度を制御することができる。プラテン12は熱伝導性材料で作られているので、チャネル110内の流体の温度は、研磨パッド14の温度に直接的かつ迅速に影響する可能性がある。
【0059】
温度制御システム100は、プラテン温度を制御すために、電源122によりプラテン12内の抵抗加熱器120に供給される熱電力を調整することによって、研磨温度を制御することができる。
【0060】
温度制御システム100は、電源134によりプラテン12上で赤外線加熱要素130に供給される電力の量を制御することによって、研磨プロセスの温度を制御することができる。
【0061】
温度制御システム100は、研磨面34に供給される液体の温度を制御することによって、研磨プロセスの温度を制御することができる。プラテン12の温度が上述のように制御される場合であっても、プラテンの熱伝導率に応じて、このプロセスは、研磨面34の温度の制御を必要とされるほど提供しない場合がある。追加の温度制御は、制御された温度の液体を研磨面34に供給することを含むことができる。
【0062】
例えば、コントローラ102は、液体供給チューブ58を通して供給される研磨流体56を制御することができる。コントローラ102はターゲット温度を設定することができ、コントローラ144は次に加熱/冷却要素140に供給される電力を調整して、研磨流体56の温度を、例えばターゲット温度に制御することができる。
【0063】
別の例として、コントローラ102は、すすぎ液72を制御することができる。コントローラ102は、加熱/冷却要素150に供給される電力を調整して、すすぎ液の温度を、例えばターゲット温度に制御することができる。
【0064】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。例えば、研磨面34の温度を変調するために冷却剤をプラテン12に供給することができるシステムでは、プラテン12は、上述したアルミニウムの他に、任意の適切な熱伝導性材料で作ることができる。加えて、基板16上の材料の量を測定するための他の既知の技術、例えば、プラテン12に設置されたまたは研磨パッドに埋め込まれた光学センサが提供される。さらに、研磨面に供給される研磨液または水の温度は、記載された位置以外の供給システム内の位置に配置された加熱要素または冷却要素によって制御することができる。さらに、液体は、各チューブ内の液体の温度を制御する独立した温度コントローラを用いて、複数の供給チューブを通して研磨面に供給されてもよい。
【0065】
マルチステップの金属研磨プロセス、例えば銅研磨は、温度制御は含まないが、研磨ステップを停止するためにインシトゥモニタを使用して、第1の研磨パッド14を備るえた第1のプラテン12で銅層のバルク研磨が実行される、第1の研磨ステップと、バリア層が露出されおよび/または除去され、上述した温度制御手順を使用する、第2の研磨ステップとを含むことができる。
【0066】
本明細書に記載のシステムのコントローラ102および他のコンピューティングデバイス部品は、デジタル電子回路、またはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアで実装することができる。例えば、コントローラは、コンピュータプログラム製品に記憶されたコンピュータプログラムを、例えば、非一時的機械可読記憶媒体で実行するためのプロセッサを含むことができる。こうしたコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーションまたはコードとしても知られている)は、コンパイルまたは翻訳された言語を含むプログラミング言語の任意の形式で書くことができ、かつ独立型プログラムとして、またはモジュール、構成要素、サブルーチン、若しくは計算環境で使用するのに適している他のユニットとして配置することを含め、任意の形式で配置することができる。
【0067】
本発明の多くの実施形態を記載してきた。それにもかかわらず、本発明の本質および範囲から逸脱することなく、様々な修正が行われる可能性があることが理解されるだろう。