(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】基板検出装置、基板検出方法、及び基板処理ユニット
(51)【国際特許分類】
H01L 21/67 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
H01L21/68 L
(21)【出願番号】P 2020098471
(22)【出願日】2020-06-05
【審査請求日】2023-05-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316011226
【氏名又は名称】AIメカテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】稲尾 吉浩
(72)【発明者】
【氏名】泉 剛士
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-282675(JP,A)
【文献】特開2002-164411(JP,A)
【文献】特開2013-69965(JP,A)
【文献】特開2003-92339(JP,A)
【文献】特開2006-294642(JP,A)
【文献】特開2000-294617(JP,A)
【文献】特開平9-22452(JP,A)
【文献】米国特許第06013920(US,A)
【文献】米国特許第06452201(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板が上下方向に並べて収納される収納容器を載置する載置部と、
前記載置部に対して相対的に昇降するセンサ保持部と、
前記載置部と前記センサ保持部とを相対的に昇降させる昇降駆動部と、
上下方向と交差する方向に離間して前記センサ保持部に配置され、前記収納容器に収容された前記基板の端部の異なる部分をそれぞれ検出する複数のセンサと、
前記昇降駆動部を駆動させて前記載置部と前記センサ保持部とを相対的に昇降させつつ前記複数のセンサによる前記基板の端部の検出結果から前記収納容器内の基板情報を取得する制御部と、を備え
、
前記センサ保持部は、四角形状の枠体と、前記複数のセンサにおける水平方向又はほぼ水平方向の位置を維持するための維持部材と、前記枠体から垂下する一対の被ガイド部材と、を備え、
前記一対の被ガイド部材は、それぞれ昇降可能にガイドされており、
前記維持部材は、前記一対の被ガイド部材に固定されることにより前記枠体に保持される、基板検出装置。
【請求項2】
前記複数のセンサは、水平方向又はほぼ水平方向に離間して前記センサ保持部に配置される、請求項1に記載の基板検出装置。
【請求項3】
前記センサは、光学式の反射型センサである、請求項1
又は請求項
2に記載の基板検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記載置部と前記センサ保持部との相対位置と、前記センサの検出結果とに基づいて、前記収納容器内における前記基板の位置を取得する、請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の基板検出装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記収納容器内における前記基板の位置と、予め取得している前記基板の標準位置とのずれから、前記基板の反り及び前記基板の傾きの一方又は双方を取得する、請求項
4に記載の基板検出装置。
【請求項6】
前記基板は、角形基板である、請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の基板検出装置。
【請求項7】
載置部に載置された収納容器において上下方向に並べて収納される複数の基板を検出する方法であって、
前記載置部と、
センサ保持部に保持された複数のセンサが上下方向と交差する方向に離間して配置されたセンサ保持部とを相対的に昇降させることと、
前記複数のセンサにより前記収納容器に収容された前記基板の端部の異なる部分をそれぞれ検出することと、
前記複数のセンサによる前記基板の端部の検出結果から前記収納容器内の基板情報を取得することと、を含
み、
前記センサ保持部は、四角形状の枠体と、前記複数のセンサにおける水平方向又はほぼ水平方向の位置を維持するための維持部材と、前記枠体から垂下する一対の被ガイド部材と、を備え、
前記一対の被ガイド部材は、それぞれ昇降可能にガイドされており、
前記維持部材は、前記一対の被ガイド部材に固定されることにより前記枠体に保持される、基板検出方法。
【請求項8】
請求項1から請求項
6のいずれか一項に記載の基板検出装置と、
前記基板を処理する基板処理装置と、
前記基板検出装置と前記基板処理装置との間において前記基板を搬送する搬送装置と、を備える、基板処理ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板検出装置、基板検出方法、及び基板処理ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
収納容器において上下方向に並べて収納された基板を検出して、収納容器内の基板情報を取得する基板検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の基板検出装置は、収納容器に収容された円形の基板を検出する。この検出装置は、投光部と受光部とで構成されたセンサを用いて、円形の基板の一部を水平方向に挟むことにより基板を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の基板検出装置は、円形の基板を検出する構成を有しているため、基板が矩形状の角形基板である場合は、投光部と受光部との間隔を広くする必要がある。例えば、収納容器に収容された角形基板を検出するためには、収納容器内に投光部及び受光部を挿入するためのスペースが必要となり、収納容器の大型化を招く結果となる。また、収納容器が規格化されていない場合は、投光部及び受光部を挿入するスペースがない収納容器が用いられる可能性があり、収納容器内に収容された角形基板の基板情報を取得できない事態が生じる。
【0005】
本発明は、収納容器の形状が規格化されていない場合、又は基板の形状が角形基板である場合のいずれであっても基板の検出を可能として、基板情報を容易に取得することが可能な基板検出装置、及び基板検出方法、さらにはこの基板検出装置を備える基板処理ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様では、複数の基板が上下方向に並べて収納される収納容器を載置する載置部と、載置部に対して相対的に昇降するセンサ保持部と、載置部とセンサ保持部とを相対的に昇降させる昇降駆動部と、上下方向と交差する方向に離間してセンサ保持部に配置され、収納容器に収容された基板の端部の異なる部分をそれぞれ検出する複数のセンサと、昇降駆動部を駆動させて載置部とセンサ保持部とを相対的に昇降させつつ複数のセンサによる基板の端部の検出結果から収納容器内の基板情報を取得する制御部と、を備え、センサ保持部は、四角形状の枠体と、複数のセンサにおける水平方向又はほぼ水平方向の位置を維持するための維持部材と、枠体から垂下する一対の被ガイド部材と、を備え、一対の被ガイド部材は、それぞれ昇降可能にガイドされており、維持部材は、一対の被ガイド部材に固定されることにより枠体に保持される、基板検出装置が提供される。
また、本発明の態様では、複数の基板が上下方向に並べて収納される収納容器を載置する載置部と、載置部に対して相対的に昇降するセンサ保持部と、載置部とセンサ保持部とを相対的に昇降させる昇降駆動部と、上下方向と交差する方向に離間してセンサ保持部に配置され、収納容器に収容された基板の端部の異なる部分をそれぞれ検出する複数のセンサと、昇降駆動部を駆動させて載置部とセンサ保持部とを相対的に昇降させつつ複数のセンサによる基板の端部の検出結果から収納容器内の基板情報を取得する制御部と、を備える、基板検出装置が提供される。
【0007】
本発明の態様では、載置部に載置された収納容器において上下方向に並べて収納される複数の基板を検出する方法であって、載置部と、センサ保持部に保持された複数のセンサが上下方向と交差する方向に離間して配置されたセンサ保持部とを相対的に昇降させることと、複数のセンサにより収納容器に収容された基板の端部の異なる部分をそれぞれ検出することと、複数のセンサによる基板の端部の検出結果から収納容器内の基板情報を取得することと、を含み、センサ保持部は、四角形状の枠体と、複数のセンサにおける水平方向又はほぼ水平方向の位置を維持するための維持部材と、枠体から垂下する一対の被ガイド部材と、を備え、一対の被ガイド部材は、それぞれ昇降可能にガイドされており、維持部材は、一対の被ガイド部材に固定されることにより枠体に保持される、基板検出方法が提供される。
また、本発明の態様では、載置部に載置された収納容器において上下方向に並べて収納される複数の基板を検出する方法であって、載置部と、複数のセンサが上下方向と交差する方向に離間して配置されたセンサ保持部とを相対的に昇降させることと、複数のセンサにより収納容器に収容された基板の端部の異なる部分をそれぞれ検出することと、複数のセンサによる基板の端部の検出結果から収納容器内の基板情報を取得することと、を含む、基板検出方法が提供される。
【0008】
また、本発明の態様では、上述の基板検出装置と、基板を処理する基板処理装置と、基板検出装置と基板処理装置との間において基板を搬送する搬送装置と、を備える、基板処理ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、収納容器の形状が規格化されていない場合、又は基板の形状が角形基板の場合のいずれであっても基板を検出可能とすることにより、収納容器に収容された基板の基板情報を容易に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る基板検出装置の一例を示す正面図である。
【
図3】
図1に示す基板検出装置の要部の斜視図である。
【
図4】基板検出装置の要部の一部が上昇した場合を示す斜視図である。
【
図5】基板の端部を検出する場合の一例を示す図である。
【
図6】基板の検出結果により作成される基板情報のデータの一例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る基板検出方法の一例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る基板検出方法の一例を示すフローチャートである。
【
図9】基板の反りを検出する場合の一例を示す図である。
【
図10】基板の検出結果により作成される基板情報のデータの他の例を示す図である。
【
図11】実施形態に係る基板検出方法の他の例を示すフローチャートである。
【
図12】基板の傾きを検出する場合の一例を示す図である。
【
図13】基板の検出結果により作成される基板情報のデータの他の例を示す図である。
【
図14】実施形態に係る基板処理ユニットの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこの実施形態に限定されない。また、図面においては実施形態の各構成をわかりやすくするために、一部を大きく又は強調して、あるいは一部を簡略化して表しており、実際の構造又は形状、縮尺等が異なっている場合がある。各図においては、XYZ直交座標系を用いて図中の方向を説明する場合がある。XYZ直交座標系においては、鉛直方向をZ方向とし、水平方向をX方向及びY方向とする。また、各方向においては、矢印の指す向きを+方向、+側(例えば、+X方向、+X側)と称し、矢印の指す向きとは反対を-方向、-側(例えば、-X方向、-X側)と称する。
【0012】
<基板検出装置>
実施形態に係る基板検出装置1について説明する。
図1は、実施形態に係る基板検出装置1の一例を示す正面図である。
図2は、
図1に示す基板検出装置1の側面図である。
図1及び
図2に示すように、基板検出装置1は、載置部3と、センサ保持部4と、昇降駆動部Mと、複数のセンサSe1、Se2と、制御部Cと、を備えている。
【0013】
載置部3は、基板W(角形基板)が収納された収納容器2を載置するための載置台である。載置部3は、例えば、平面視で四角形状の板状の天板31と、天板31を床面等の設置面G(以下、「設置面G」という)に支持する支柱32と、載置部3の正面側(-Y側)に正面側の一部を覆うように設けられた板状部材33と、を備えている。収納容器2は、天板31の上面に載置される。なお、天板31は、収納容器2が載置された際に、収納容器2を位置決めするための位置決め部材(例えば、位置決めピンなど)が設けられてもよい。また、天板31は、板状の部材に限定されず、例えば、棒状の部材が組み合わされたフレーム状であってもよい。
【0014】
支柱32は、例えば、棒状の部材が用いられ、天板31の下面の四隅からそれぞれ垂下して設けられている。板状部材33は、載置部3の正面側の全面覆うように設けられてもよい。板状部材33は、例えば、天板31に又は支柱32の一部に固定される。板状部材33の裏面側には、後述するセンサ保持部4の被ガイド部材43をガイドするガイド34が設けられている。載置部3は、収納容器2を載置した際に収納容器2の載置状態を維持できる強度を有している。
【0015】
収納容器2は、平面視で四角形状の板状の底部21と、平面視で四角形状の板状の上部23と、上部23を底部21に支持する複数の支持体22と、基板Wを支持する複数の基板支持部24と、基板Wを出し入れするための四角形状の基板収納口25と、を備えている。底部21及び上部23は、板状であることに限定されず、例えば、棒状の部材が組み合わされたフレーム状であってもよい。支持体22は、例えば、棒状の部材が用いられ、底部21の各辺から上方(+Z側)に延びて複数設けられている。また、支持体22は、棒状であることに限定されず板状であってもよい。支持体22は、収納容器2の背面側及び左右両側面側を覆うような形態であってもよい。
【0016】
基板支持部24は、支持体22から収納容器2の内側に向かって水平方向に延びて設けられている。複数の基板支持部24は、正面視及び側面視において、それぞれの高さに揃えて配置されている。つまり、複数の基板支持部24は、それぞれの高さにおいて、X方向及びY方向に並んだ状態となっている。基板支持部24は、基板Wの端部の裏面側(下面側)に接触して基板Wを支持する。基板支持部24が、それぞれの高さにおいてX方向及びY方向に並ぶことにより、基板Wを水平方向又はほぼ水平方向に支持することができる。
【0017】
基板Wは、それぞれの高さにおいて基板支持部24により支持され、収納容器2において上下方向(Z方向)に並べて収納される。なお、収納容器2おける基板Wの収納枚数は、任意に設定可能である。収納容器2の大きさは、収納する基板Wの大きさ、形状、枚数によって設定される。また、収納容器2の大きさは、規格化されて設定される場合がある。収納容器2は、基板支持部24によって区画される複数の収納領域R(保管領域、スロット)を備えている。1枚の基板Wは、1つの収納領域Rに収納される。1つの収納領域Rは、上下に並ぶ2つの基板支持部24の間(又は、上部23と最上段の基板支持部24との間)と、対向する支持体22の間とにより規定される。
【0018】
収納領域Rは、例えば、搬送装置に備えるフォーク等が基板Wを掬って出し入れすることが可能な上下方向の寸法に設定される。本実施形態では、最下段の収納領域Rを収納領域R1とし、収納領域Rから上方向に順次収納領域R2、R3、R4、・・・として区別して示している。なお、本実施形態において、複数の収納領域R1、R2、R3、R4、・・・を総称するときは、収納領域Rと称する場合がある。
【0019】
基板収納口25は、収納容器2の正面側において四角形状に開口している。基板収納口25の大きさは、収納する基板Wの大きさ、形状によって適宜設定される。なお、図示した収納容器2は、基板収納口25を常時開放している形態であるが、例えば、収納容器2の基板収納口25を開閉するための蓋部又はシャッタ等が設けられる形態であってもよい。なお、蓋部又はシャッタ等を備える収納容器2が用いられる場合、基板検出装置1は、例えば、収納容器2の蓋部又はシャッタ等を開閉させる開閉装置を備えていてもよい。
【0020】
図3は、
図1に示す基板検出装置1の要部の斜視図であり、
図4は、
図1に示す基板検出装置1の要部の一部が上昇した場合の斜視図である。
図3及び
図4に示すように、基板検出装置1は、センサ保持部4とガイド部5とを備える。センサ保持部4は、2つの(複数の)センサSe1、Se2を保持し、昇降駆動部M(
図1及び
図2参照)を駆動することにより、ガイド部5にガイドされて昇降する。センサ保持部4は、枠体41と、維持部材42と、一対の被ガイド部材43と、シャフト44と、を備える。
【0021】
ガイド部5は、床面等の設置面G(
図1又は
図2参照)に固定して設けられ、センサ保持部4を昇降可能に保持する。ガイド部5は、L字形状を有する板状体を有し設置面Gに固定されて上方(+Z方向)に延びている。ガイド部5の上方に延びる部分は板状であり、その-Y側の面において、図示しないガイド機構によりシャフト44を昇降可能に支持している。また、ガイド部5の+Y側の面には背板が設けられており、ガイド部5の剛性を高めている。ガイド部5は、シャフト44をガイドしつつ、シャフト44を介して枠体41、維持部材42、及び被ガイド部材43を支持する。すなわち、ガイド部5は、センサ保持部4を設置面Gに対して昇降可能に支持する。
【0022】
センサ保持部4の枠体41は、板状の枠体上部41Aと、板状の枠体下部41Bと、枠体上部41Aの両端とそれに対応する枠体下部41Bの両端とを連結する棒状部材41C、41Dと、により四角形状(矩形状)に形成されている。枠体41を複数の部材で四角形状に構成することにより、センサ保持部4の剛性を高めることができる。
【0023】
維持部材42は、2つのセンサSe1、Se2を水平方向又はほぼ水平方向(以下、「水平方向等」という)に並べるように維持している。維持部材42は、水平方向に延びる板状であって、センサSe1、Se2をそれぞれ固定するための図示しない固定具(例えばブラケット等)を備えている。維持部材42の中央部分は、シャフト44の上部に取り付けられている。維持部材42の水平方向等における端部のそれぞれは、一対の被ガイド部材43に取り付けられている。
【0024】
被ガイド部材43は、維持部材42を保持する。被ガイド部材43は、角形の棒状の部材であり、枠体上部41Aの下面から垂下して一対設けられている。一対の被ガイド部材43は、X方向に離間して設けられている。維持部材42は、一対の被ガイド部材43に固定されることにより、水平方向に保持される。一対の被ガイド部材43は、ガイド34(
図1参照)にそれぞれガイドされて昇降可能である。一対の被ガイド部材43がガイド34にガイドされることにより、センサ保持部4を精度よく昇降させることができる。
【0025】
シャフト44は、上下方向に延びる板状の部材であり、ガイド部5の-Y側の面に沿って配置され、ガイド部5の図示しないガイド機構にガイドされて昇降可能である。シャフト44の上部には、維持部材42が固定されている。ガイド部5のガイド機構としては、例えば、シャフト44のY方向における両側面にそれぞれ上下方向の一対の溝部が設けられ、この一対の溝部に嵌り込む凸部がガイド部5に設けられる構成が挙げられる。シャフト44が昇降することにより、枠体41及び維持部材42も昇降する。シャフト44は、昇降駆動部M(
図1又は
図2参照)の駆動力により昇降する。すなわち、センサ保持部4は、昇降駆動部Mの駆動力により昇降する。
【0026】
昇降駆動部Mは、制御部Cの指令により駆動し、例えば、電動モータを用いたラックアンドピニオン機構又はボールねじ機構が用いられる。電動モータとしてサーボモータが用いられることにより、制御部Cは、サーボモータの駆動信号からシャフト44の昇降量(又は高さ位置)を取得することができる。また、昇降駆動部Mは、ガイド部5に対するシャフト44の昇降量(高さ位置)を取得するエンコーダを備えてもよい。この場合、制御部Cは、エンコーダの出力からシャフト44の昇降量(又は高さ位置)を取得することができる。なお、昇降駆動部Mの電動モータは、ガイド部5に設けられてもよいし、シャフト44に設けられてもよい。なお、昇降駆動部Mは、油圧シリンダ等の油圧装置が用いられてもよい。
【0027】
センサSe1、Se2は、収納容器2に収容された基板Wの端部の異なる部分をそれぞれ検出する。センサSe1、Se2は、図示しない固定具により水平方向等に離間して維持部材42に並んで固定される。なお、センサSe1、Se2は、上下方向と交差する方向に並ぶのであれば、並ぶ方向が水平方向等であることに限定されず、水平方向等から傾いてもよい。2つのセンサSe1、Se2は、X方向において距離d3(
図12参照)の間隔で離間して固定されている。距離d3は、基板WのX方向における長さより短い。また、2つのセンサSe1、Se2は、Y方向から見て、基板支持部24よりも内側となるように配置されている(
図12参照)。この配置により、センサSe1、Se2が基板支持部24を検出することを回避できる。
【0028】
センサSe1、Se2は、維持部材42に固定されることにより、水平方向等に並んだ状態が維持される。また、センサ保持部4が四角形状の枠体41を有しているので剛性が高められており、センサ保持部4が昇降しても、センサSe1、Se2の互いの位置関係が容易に変動しないようにしている。本実施形態では、2つのセンサSe1、Se2が用いられる形態を示しているが、3台以上のセンサが用いられる形態であってもよい。3台以上のセンサが用いられる場合、例えば、複数のセンサが水平方向等に一列に並ぶ形態であってもよいし、2つのセンサが水平方向等に並び、残りのセンサが水平方向等から外れて配置される形態であってもよい。
【0029】
センサSe1、Se2は、例えば、光学式の反射型センサであり、測長センサ等が用いられる。
図5は、センサSe1により基板Wの端部Pを検出する場合の一例を示す図である。
図5に示すように、センサSe1は、それぞれ投光部Se1A及び受光部Se1Bを有している。センサSe1は、投光部Se1Aより出射した検出用の光が基板Wの端部Pに当たって反射した反射光を受光部Se1Bにより受光することで、基板Wを検出する。また、センサSe1として測長センサが用いられることにより、基準位置(例えばセンサSe1の位置)から基板Wの端部PまでのY方向の距離を計測することができる。なお、センサSe2は、センサSe1と同様の構成であり、上記したセンサSe1の説明がそのまま適用される。
【0030】
センサSe1、Se2は、昇降駆動部Mを駆動してセンサ保持部4を昇降させることにより、
図4に示すように、センサ保持部4とともに昇降する。センサSe1、Se2は、センサ保持部4の昇降により、収納容器2の基板収納口25側を昇降する。すなわち、センサSe1、Se2が収納容器2の基板収納口25側(正面側)を昇降することにより、センサSe1、Se2と収納容器2の各収納領域Rとが相対的に昇降し、各収納領域Rに収納されている基板WをセンサSe1、Se2により順次検出することができる。なお、センサSe1、Se2は、収納容器2(載置部3)に対して上昇時に基板Wの検出を行ってもよいし、収納容器2に対して下降時に基板Wの検出を行ってもよい。
【0031】
また、投光部Se1Aより出射する検出用の光のスポット径が小さいセンサSe1、Se2(例えば測長センサ)を用いることにより、基板Wが薄い基板(例えば厚さ:0.1~2mm程度)であっても、基板Wの端部Pを検出することができる。また、検出用の光のスポット径を小さくすることにより、基板Wの厚さを計測することが可能となる。例えば、スポット径の小さな光が基板Wの下端に当たったときのセンサSe1の高さと、光が基板Wの上端から外れたときのセンサSe1の高さとの差から、基板Wの厚さを検出することが可能である。
【0032】
センサSe1、Se2の出力は、制御部Cに入力される。なお、センサSe1、Se2として光学式の反射型センサが用いられることに限定されない。例えば、基板Wの端部Pを検出可能な任意のセンサ(例えば、静電容量センサ等)が用いられてもよい。また、複数のセンサSe1、Se2は、同種のセンサが用いられることに限定されず、異なるセンサが用いられてもよい。
【0033】
本実施形態では、昇降駆動部Mの駆動力により、載置部3に対してセンサ保持部4を昇降させる構成を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。載置部3とセンサ保持部4とを相対的に昇降させる任意の構成が適用可能である。例えば、センサ保持部4(センサSe1、Se2)が上下方向に固定され、載置部3(収納容器2)がセンサ保持部4に対して昇降する構成であってもよいし、センサ保持部4及び載置部3の双方が昇降する構成であってもよい。載置部3が昇降する構成の場合、基板検出装置1は、載置部3の昇降装置を備えていてもよい。
【0034】
制御部Cは、基板検出装置1を統括的に制御する。制御部Cは、センサSe1、Se2及び昇降駆動部Mを制御する。制御部Cは、昇降駆動部Mを駆動させることにより、載置部3に対してセンサ保持部4を相対的に昇降させる。また、制御部Cは、センサ保持部4の昇降に同期させて、センサSe1、Se2を駆動させる。制御部Cは、昇降駆動部Mの駆動量(又は駆動信号)を取得しつつ、センサSe1、Se2から出力される信号から基板Wの基板情報を取得する。すなわち、収納容器2とセンサSe1、Se2とを上下方向に昇降(上昇又は下降)させながら、センサSe1、Se2により各収納領域Rに収納されている基板Wを検出する。
【0035】
制御部Cは、記憶部Eを備えている。制御部Cは、取得した基板情報を記憶部Eに記憶させる。また、制御部Cは、センサSe1、Se2が基板Wの端部Pを検出したときの昇降駆動部Mの駆動量を参照し、予め各収納領域Rに基板Wを収納したときの標準位置と比較する。標準位置は、例えば、収納領域R1、R2、R3、R4、・・・Rnのそれぞれに基板Wを収納した際(基板Wを基板支持部24に載置した際)に、設置面Gから基板Wの高さで管理されている。例えば、標準位置は、収納領域R1の場合は高さH1Rである。同様に、収納領域R2、R3、R4、・・・、Rnの各標準位置は、高さH2R、H3R、H4R、・・・、HnRである。高さH2R、H3R、H4R、・・・、HnRについては、図示を省略している。これら高さH1RからHnRは、例えば、予め計測されて、記憶部Eに記憶されている。なお、標準位置は、反り等の変形がない基板Wに基づいて計測されている。
【0036】
制御部Cは、センサSe1、Se2が基板Wの端部Pを検出したときの昇降駆動部Mの駆動量からセンサSe1、Se2の高さを算出し、その高さが各収納領域Rの標準位置の高さH1R等と比較する。センサSe1、Se2の高さは、載置部3とセンサ保持部4との相対位置の一例である。センサSe1、Se2の高さと高さH1R等との差が誤差範囲(予め設定された許容範囲)であれば、制御部Cは、その収納領域Rに基板Wがあると判定する。制御部Cは、このような判定をセンサSe1、Se2が上昇して(下降して)収納領域R1から最上段の収納領域に至るまで(最上段の収納領域から収納領域R1に至るまで)繰り返す。制御部Cは、基板情報として各収納領域Rにおける基板Wの有無の情報を取得する。
【0037】
図6は、基板Wの検出結果により制御部Cによって作成される基板情報のデータの一例を示す図である。
図6に示すように、記憶部Eに記憶される基板情報としては、右列の欄に収納領域Rを示すデータが格納され、左列の欄に各収納領域Rにおける基板Wの有無を示すデータが格納されている。例えば、
図1及び
図2に示す例における基板情報は、収納領域R1、R3、及びR4に基板Wが「有」を示し、収納領域R2に基板Wが「無」を示している。基板情報は、基板Wの有無だけでなく、基板Wの反り、基板Wの傾きなどが加えられてもよい。なお、基板Wの反り、基板Wの傾きに関する説明については後述する。
【0038】
<基板検出方法>
次に、実施形態に係る基板検出方法について説明する。
図7は、実施形態に係る基板検出方法の一例を示す図である。実施形態に係る基板検出方法は、例えば、上記した基板検出装置1が用いられる。実施形態に係る基板検出方法は、載置部3に載置された収納容器2において上下方向に並べて収納される複数の基板Wを検出する方法であって、載置部3と、センサSe1、Se2が配置されたセンサ保持部4とを相対的に昇降させることと、センサSe1、Se2により収納容器2に収容された基板Wの端部Pの異なる部分をそれぞれ検出することと、センサSe1、Se2による基板Wの端部Pの検出結果から収納容器2内の基板情報を取得することと、を含む。
【0039】
制御部Cは、昇降駆動部Mを駆動して、センサ保持部4を上昇させる。センサ保持部4の上昇に伴い、センサ保持部4に保持されているセンサSe1、Se2も上昇する。なお、センサSe1、Se2は、初期位置として載置部3の天板31よりも下方に位置している(
図1参照)。また、制御部Cは、昇降駆動部Mの駆動とともに、センサSe1、Se2を駆動させる。センサSe1、Se2は、制御部Cからの指令により、それぞれの投光部Se1A等から検出用の光を出射する。なお、
図7では、センサSe2の記載を省略している。
【0040】
センサSe1が高さH1に達した際、投光部Se1Aから出射した光が基板Wの端部で反射されて受光部Se1Bに入射する。センサSe1は、受光部Se1Bにより受光したことを示す信号を制御部Cに送る。制御部Cは、センサSe1から受光した信号を受けると、信号を受けたタイミングでそのときの昇降駆動部Mの駆動量からセンサSe1の高さH1を算出する。制御部Cは、この高さH1がどの収納領域Rに対応するか、を判断する。制御部Cは、例えば、記憶部Eに記憶されている各収納領域Rの標準位置の高さH1R等(
図5参照)を参照して、どの収納領域Rに対応するかを判断する。そして、制御部Cは、特定の収納領域Rに基板Wが存在すると判定する。
【0041】
このような制御部Cの動作がセンサSe1の上昇に伴って繰り返される。
図7では、高さH1に対応する収納領域R1に基板W1があり、高さH2に対応する収納領域R2に基板Wがなく、高さH3に対応する収納領域R3に基板W2があり、高さH4に対応する収納領域R4に基板W3があることを示している。制御部Cは、高さH1から高さH4に対応する収納領域R1からR4のそれぞれについて、
図5に示すような、収納容器2における基板Wの有無に関する基板情報(マッピングデータ)を作成する。すなわち、制御部Cは、センサSe1、Se2の検出結果に基づいて、収納容器2内における基板Wの位置を取得する。制御部Cは、作成した基板情報を記憶部Eに記憶させる。また、制御部Cは、記憶部Eに記憶された基板情報を、他の基板処理装置、又は基板Wを搬送する搬送装置等に供給してもよい。
【0042】
本実施形態では、2つセンサSe1、Se2を用いて基板Wの端部において異なる部分を検出している。従って、2つセンサSe1、Se2を用いることにより、基板Wを確実に検出することができる。また、2つセンサSe1、Se2により検出することで、検出結果の冗長性を確保することができる。また、2つセンサSe1、Se2のうち一方をメインの検出に用い、他方をサブの検出に用いる形態であってもよい。また、上記したように、制御部Cは、投光部Se1Aより出射する検出用の光のスポット径が小さい場合、基板Wの厚さの算出し、その結果を基板情報に追加してもよい。また、センサSe1、Se2が測長センサである場合、制御部Cは、各基板WのY方向の位置に関する情報をセンサSe1、Se2から取得し、基板WのY方向の位置を基板情報に追加してもよい。
【0043】
また、本実施形態では、センサSe1、Se2による検出結果を用いて基板Wの反りを検出することができる。
図8は、実施形態に係る基板検出方法の一例を示すフローチャートである。
図9は、基板Wの反りを検出する場合の一例を示す図である。
図8では、上記した実施形態に係る基板検出方法を含めて、基板Wの反りを検出する場合について説明している。まず、上記したように、制御部Cは、昇降駆動部Mを駆動させつつ、センサSe1、Se2を駆動させる。次に、制御部Cは、センサSe1、Se2が基板Wを検出したか否かを判断する(ステップS1)。
【0044】
ステップS1において、制御部Cは、センサSe1、Se2の受光部Se1Bが受光したことを示す情報を受け取り、この情報に基づいて基板Wを検出したか否かを判断する。制御部Cは、昇降駆動部Mの駆動量を取得しており、センサSe1、Se2がどの高さにあるかを認識している。従って、ステップS1において基板Wを検出しない場合(ステップS1のNO)、制御部Cは、基板情報として、センサSe1、Se2の高さに対応する収納領域Rには基板Wがないと設定する(ステップS2)。次に、制御部Cは、センサSe1、Se2が最上部に達したか否かを判断する(ステップS3)。
【0045】
センサSe1、Se2が最上部に達した場合(ステップS3のYES)、制御部Cは、一連の処理を終了する。また、センサSe1、Se2が最上部に達していない場合(ステップS3のNO)、制御部Cは、ステップS1に戻り、センサSe1、Se2が基板Wを検出したか否かを判断する。
【0046】
ステップS1においてセンサSe1、Se2が基板Wを検出した場合(ステップS1のYES)、制御部Cは、基板情報として、センサSe1、Se2の高さに対応する収納領域Rに基板Wがあると設定する(ステップS4)。制御部Cは、特定の収納領域R(例えば収納領域R1)に基板Wがあることを示す情報を記憶部Eに記憶させる。次に、制御部Cは、基板Wを検出したときのセンサSe1、Se2の高さHと、記憶部Eに記憶されている標準位置とを比較する。例えば、制御部Cは、収納領域R1に基板Wがある場合、センサSe1、Se2の高さH1と、標準位置の高さH1Rとを比較する。
【0047】
制御部Cは、センサSe1、Se2の高さHと、標準位置の高さH1Rとのずれが許容範囲であるか否かを判断する(ステップS5)。許容範囲は、予めオペレータ等により設定され、記憶部Eに記憶されている。
図9に示すように、収納領域R1に収容された基板W1に反りがある場合、基板Wの端部Qは、反りがない場合の位置から距離d1だけ上方にずれている。センサSe1、Se2は、上方にずれた端部Qを検出する。その高さH1は、標準位置の高さH1Rから距離d1ずれている場合がある。ステップS5において、制御部Cは、ずれた距離d1が許容範囲か否かを判断する。なお、
図9では、センサSe1について示しているが、センサSe2についても同様に高さH1において受光した信号を制御部Cに出力している。
【0048】
ずれが許容範囲を超える場合(ステップS6のNO)、制御部Cは、基板情報として、特定の収納領域Rに収納された基板Wに反りがあることを示す情報を設定する(ステップS7)。また、ずれが許容範囲である場合(ステップS6のYES)、制御部Cは、基板情報として、特定の収納領域Rに収納された基板Wに反りがないことを示す情報を設定する(ステップS8)。制御部Cは、基板Wに反りがあることを示す情報、又は基板Wに反りがないことを示す情報を記憶部Eに記憶させる。制御部Cは、ステップS7において基板Wに反りがあると設定した後、又はステップS8において基板Wに反りがないと設定した後、ステップS3によりセンサSe1、Se2が最上部に達したか否かが判断され、最上部に達したときは一連の処理を終了し、最上部に達していないときはステップS1に戻ってそれぞれの処理を実行させる。
【0049】
図10は、基板Wの検出結果により作成される基板情報のデータの他の例を示す図である。
図10は、上記したステップS7又はステップS8によって設定された情報(基板Wの反りに関する情報)を含んでいる。また、
図10に示す基板情報のデータは、
図6に示す基板情報のデータに対して基板Wの反りに関する情報が追加されている。
図10に示すように、制御部Cは、収納領域R1、R2、R3、R4、・・・のそれぞれについて、基板Wの有無に加えて、その基板Wが反っているか否かに関する情報を追加する。
【0050】
図10に示す基板情報のデータでは、収納領域R1に収納された基板W1には反りがあることを示す情報が追加されている。また、収納領域R3に収納された基板W2には反りがないことを示す情報が追加されている。また、収納領域R4に収納された基板W3には反りがないことを示す情報が追加されている。なお、収納領域R2には基板Wが収納されていないので、基板Wの反りに関する情報は示されていない。
【0051】
このように、基板情報として基板Wの反りに関する情報が追加されることにより、各収納領域Rに収納されている基板Wの詳細を管理することができる。従って、例えば、制御部Cがこの基板情報を基板Wの搬送装置に供給することにより、搬送装置は、搬送対象となる基板Wが反っていることを認識でき、その結果、搬送中止、又は異なる搬送方法の選択等を実行することができる。
【0052】
また、本実施形態では、センサSe1、Se2による検出結果を用いて基板Wの傾きを検出することができる。
図11は、実施形態に係る基板検出方法の他の例を示すフローチャートである。
図12は、基板Wの傾きを検出する場合の一例を示す図である。なお、
図11に示すフローチャートにおいて、
図8に示すフローチャートと同様の処理については同一の符号を付してその説明を省略又は簡略化する。
図8に示すように、制御部Cは、ステップS4により収納領域Rに基板Wがあると設定した後、センサSe1、Se2により検出した基板Wのそれぞれの高さHが異なるか否かを判断する(ステップS9)。すなわち、制御部Cは、センサSe1により検出した基板Wの高さHと、センサSe2により検出した基板Wの高さHとが異なるか否かを判断する。
【0053】
図12では、基板W2が傾いて収納されている場合の一例を示している。
図12に示すように、基板W2は、-X側の端部が収納領域R2の基板支持部24に支持され、かつ+X側の端部が収納領域R3の基板支持部24に支持されており、基板W2に傾き(角度θ)が生じた状態となっている。センサSe1、Se2は、X方向に距離d3離れて保持されたまま上昇するので、まず、センサSe2が基板W2を検出し、その後、センサSe1、Se2が距離d2上昇したときに、センサSe1が基板W2を検出する。センサSe1、Se2は、検出した結果を制御部Cに異なるタイミングで出力する。
【0054】
制御部Cは、昇降駆動部Mの駆動量から、センサSe1が基板W2を検出したときの高さH21を算出し、センサSe2が基板W2を検出したときの高さH22を算出する。制御部Cは、ステップS9において、算出した高さH21と高さH22とを比較して、異なるか否かを判断する。制御部Cは、
図12に示すように、基板W2が傾いている場合は高さH21と高さH22とが異なっていると判断する。高さH21と高さH22とが異なっている場合(ステップS9のYES)、制御部Cは、高さH21と高さH22とのずれが許容範囲か否かを判断する(ステップS10)。なお、高さH21と高さH22とが異なっていない場合(ステップS9のNO)、制御部Cは、ステップS3以降の処理を実行させる。
【0055】
ステップS10において、制御部Cは、高さH21と高さH22とのずれ(距離d2)が、記憶部Eに記憶されている許容範囲内であるか否かを判断する。この許容範囲は、例えば、オペレータ等により予め記憶部Eに記憶されており、1つの収納領域Rに基板Wが適切に載置されている場合における誤差範囲等に基づいて設定される。制御部Cは、高さH21及び高さH22のいずれか一方(予め取得している基板Wの標準位置)と、いずれか他方とのずれが許容範囲内であるか否かを判断する。なお、ステップS10において、制御部Cは、高さH21と高さH22とのずれが許容範囲内であるか否かを判断することに代えて、基板W2の傾きの角度θが許容範囲内であるか否かを判断してもよい。基板W2の傾きの角度θを算出する方法については後述する。
【0056】
高さのずれが許容範囲を超える場合(ステップS10のNO)、制御部Cは、基板情報として、特定の収納領域Rに収納された基板Wに傾きがあることを示す情報を設定する(ステップS11)。また、高さのずれが許容範囲内である場合(ステップS10のYES)、制御部Cは、基板情報として、特定の収納領域Rに収納された基板Wに傾きがないことを示す情報を設定する(ステップS12)。制御部Cは、基板Wに傾きがあることを示す情報、又は基板Wに傾きがないことを示す情報を記憶部Eに記憶させる。制御部Cは、ステップS11において基板Wに傾きがあると設定した後、又はステップS12において基板Wに傾きがないと設定した後、ステップS3によりセンサSe1、Se2が最上部に達したか否かが判断され、最上部に達したときは一連の処理を終了し、最上部に達していないときはステップS1に戻ってそれぞれの処理を実行させる。
【0057】
図13は、基板Wの検出結果により作成される基板情報のデータの他の例を示す図である。
図13は、上記したステップS11又はステップS12によって設定された情報(基板Wの傾きに関する情報)を含んでいる。また、
図13に示す基板情報のデータは、
図6に示す基板情報のデータに対して基板Wの傾きに関する情報が追加されている。
図13に示すように、制御部Cは、収納領域R1、R2、R3、R4、・・・のそれぞれについて、基板Wの有無に加えて、その基板Wが傾いているか否かに関する情報を追加する。なお、
図12に示すように、基板W2が収納領域R2、R3に渡って傾いて収納されているため、
図13に示す基板情報のデータでは、収納領域R2、R3のそれぞれで基板Wがあることを示す情報が示されている。
【0058】
図13に示す基板情報のデータでは、収納領域R1に収納された基板W1には傾きがないことを示す情報が追加されている。また、収納領域R2に収納された基板W2には傾きがあることを示す情報が追加されている。また、収納領域R3に収納された基板W2には傾きがあることを示す情報が追加されている。また、収納領域R4に収納された基板W3には傾きがないことを示す情報が追加されている。なお、収納領域R2、R3は同一の基板W2であるため、基板情報として、収納領域R2、R3のいずれか一方において基板W2が傾いていることを示す情報が設定されてもよい。
【0059】
このように、基板情報として基板Wの傾きに関する情報が追加されることにより、各収納領域Rに収納されている基板Wの詳細を管理することができる。従って、例えば、制御部Cがこの基板情報を基板Wの搬送装置に供給することにより、搬送装置は、搬送対象となる基板Wが傾いていることを認識でき、その結果、搬送中止、又は異なる搬送方法の選択等を実行することができる。
【0060】
なお、基板情報として、基板Wの傾きの有無を示す情報が設定されることに限定されない。例えば、基板Wの傾きの有無を示す情報に加えて、又は基板Wの傾きの有無を示す情報に代えて、基板Wの傾きの角度θを示す情報が設定されてもよい。
図12に示すように、センサSe1、Se2のX方向における間隔は、距離d3である。センサSe1、Se2は上記したように維持部材42に固定されているので、距離d3は変動しない。また、センサSe1が基板W2を検出したときの高さは、高さH21であり、センサSe2が基板W2を検出したときの高さは、高さH22である。この高さH21と高さH22との差は、距離d2である。制御部Cは、これら距離d2と距離d3とから、
tanθ=d2/d3
により、角度θを算出する。制御部Cは、上記のように、算出した角度θを、基板Wの傾きの有無を示す情報に加えて、又は基板Wの傾きの有無を示す情報に代えて、基板情報として設定してもよい。
【0061】
<基板処理ユニット>
図14は、実施形態に係る基板処理ユニットUの一例を示す図である。
図14に示すように、本実施形態に係る基板処理ユニットUは、基板Wを処理する複数の基板処理装置を含む。基板処理ユニットUは、基板処理装置として、カセットステーションCS1、CS2と、反転装置FP1、FP2と、ドライクリーニング装置DUと、剥離装置STと、レーザ照射装置LAと、アルカリ洗浄装置LCと、洗浄装置CCと、搬送装置TR1、TR2と、を有している。基板処理ユニットUにより処理される基板Wは、例えば、ガラス板等の支持体に接着層及び分離層を介して電子部品等が貼り付けられて形成されている。
【0062】
基板処理ユニットUにおいて、+Y側には-X方向に向かって、カセットステーションCS1、CS2と、反転装置FP1、FP2と、ドライクリーニング装置DUと、がこの順番で配置されている。基板処理ユニットUにおいて、-Y側には-X方向に向かって、剥離装置STと、レーザ照射装置LAと、搬送装置TR2と、アルカリ洗浄装置LCと、洗浄装置CCと、がこの順番で配置されている。+Y側のカセットステーションCS1等と、-Y側の剥離装置ST等とは、Y方向に間隔が設けられており、この間隔に搬送装置TR1が配置されている。
【0063】
カセットステーションCS1は、本実施形態に係る基板検出装置1を備えている。カセットステーションCS1は、基板Wを収納容器2から基板処理ユニットU内に払い出すために用いられる。カセットステーションCS2は、収納容器2を載置可能な載置台を備えており、基板処理ユニットUにより処理された基板Wを収納容器2に収納するために用いられる。なお、カセットステーションCS2は、カセットステーションCS1と同様に基板検出装置1を備えてもよい。
【0064】
反転装置FP1、FP2は、それぞれ基板Wの反転を行う。反転装置FP1、FP2は、レーザ照射装置LAにより基板Wにレーザ光を照射するために基板Wを反転させる。なお、2台の反転装置FP1、FP2を用いることにより、基板Wの反転処理を効率よく行うことができる。また、反転装置FP1、FP2は、いずれか1台であってもよい。反転装置FP1、FP2は、基板Wを位置決めするアライメント装置が含まれてもよい。レーザ照射装置LAは、基板Wにレーザ光を照射する。レーザ照射装置LAは、例えば、基板Wの支持体側からレーザ光を照射して、基板Wの分離層を変質させる。分離層が変質した基板Wは、支持体と電子部品等とに分離可能な状態となる。すなわち、基板Wは、支持体から電子部品等を剥離することが可能となる。
【0065】
剥離装置STは、基板Wから支持体を剥離する。剥離装置STは、例えば、分離層が変質した状態の基板Wが固定台に固定され、吸着装置により支持体を吸着して持ち上げることで、基板Wから支持体を剥離する。アルカリ洗浄装置LCは、基板Wをアルカリ洗浄剤により洗浄する。アルカリ洗浄剤は、公知のアルカリ洗浄剤が用いられる。アルカリ洗浄剤は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、直鎖状アルキルアミン、分岐鎖アルキルアミン、環式アミン、水酸化第四級アンモニウム化合物等が挙げられる。また、アルカリ洗浄剤に含まれる添加剤としては、非イオン界面活性剤、キレート剤、及びアニオン性界面活性剤等が挙げられる。アルカリ洗浄装置LCは、支持体を剥離した基板Wに付着している接着層を溶解して除去する。なお、剥離装置STは、基板Wから剥離した支持体を回収する支持体搬送装置を備えてもよい。
【0066】
洗浄装置CCは、洗浄カップを用いて基板Wを洗浄する。洗浄装置CCは、例えば、基板Wに液体を供給して、支持体を剥離した基板Wに付着している接着層、分離層を除去する。洗浄に用いられる液体は、例えば、炭化水素系有機溶剤、含窒素系有機溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、水(純水)等が挙げられる。ドライクリーニング装置DUは、基板Wをドライクリーニングする。なお、洗浄装置CC、アルカリ洗浄装置LCに代えて、基板Wに付着している接着層、分離層を除去可能なプラズマ洗浄装置が用いられてもよい。ドライクリーニング装置DUは、例えば、基板Wにドライエア、窒素ガス等のガスを供給して基板Wに付着している液体を除去する。ドライクリーニング装置DUは、例えば、基板Wを乾燥させる。
【0067】
搬送装置TR1、TR2は、各装置間において基板Wを搬送する。搬送装置TR1、TR2は、例えば、基板Wを保持可能なアームを備えた搬送ロボットである。搬送装置TR1は、
図14に示すように、X方向に移動可能である。搬送装置TR2は、搬送装置TR1と同様にX方向に移動可能であってもよいし、レーザ照射装置LAとアルカリ洗浄装置LCとの間に固定して配置されてもよい。搬送装置TR1、TR2は、双方を同時に稼働させてもよいし、いずれか一方を稼働させてもよい。
【0068】
次に、基板処理ユニットUにおいて、搬送装置TR1により基板Wを搬送する一例について説明する。搬送装置TR1は、カセットステーションCS1(基板検出装置1)の収納容器2から基板Wを払い出す。続いて、搬送装置TR1は、払い出した基板Wを、反転装置FP又は反転装置FP2に搬送する。続いて、搬送装置TR1は、反転装置FP1等によって反転された基板Wをレーザ照射装置LAに搬送する。続いて、搬送装置TR1は、レーザ照射装置LAによってレーザ光が照射された基板Wを、剥離装置STに搬送する。続いて、搬送装置TR1は、剥離装置STによって支持体を剥離した基板Wをアルカリ洗浄装置LCに搬送する。続いて、搬送装置TR1は、アルカリ洗浄が終わった基板Wを洗浄装置CCに搬送する。続いて、搬送装置TR1は、洗浄された基板Wをドライクリーニング装置DUに搬送する。搬送装置TR1は、乾燥された基板WをカセットステーションCS2の収納容器2に収納する。
【0069】
なお、1台の搬送装置TR1により基板Wを搬送することに限定されない。2台の搬送装置TR1、TR2により基板Wが搬送されてもよい。例えば、特定の装置間においては搬送装置TR2により基板Wを搬送させ、特定の装置間以外は搬送装置TR1により基板Wを搬送させてもよい。また、搬送装置TR1をメインとして用い、搬送装置TR2をサブ(又は補助)として用いてもよい。また、基板処理ユニットUは、1台の搬送装置TR1を備える構成であってもよいし、3台の搬送装置TR1(TR2)を備える構成であってもよい
【0070】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、基板Wの反りの検出方法と基板Wの傾きの検出方法を別々に説明したが、基板Wの反りと傾きとの双方を検出する形態であってもよい。この場合、基板情報として、収納領域Rごとに基板Wの有無、基板Wの反り、及び基板Wの傾きが設定されてもよい。また、基板情報として、基板WのY方向の位置、及び基板Wの厚さの一方又は双方が加えられてもよい。
【0071】
また、上記した実施形態では、センサ保持部4が枠体41、維持部材42、被ガイド部材43、及びシャフト44により構成される形態を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。例えば、センサ保持部4は、維持部材42及びシャフト44により構成される形態であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1・・・基板検出装置 2・・・収納容器 3・・・載置部 4・・・センサ保持部 5・・・ガイド部 42・・・維持部材 C・・・制御部 M・・・昇降駆動部 R、R1、R2、R3、R4・・・収納領域 Se1、Se2・・・センサ W、W1、W2、W3・・・基板 U・・・基板処理ユニット