(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】洗浄装置及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240213BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
H01L21/304 622Q
H01L21/304 643A
H01L21/304 643C
H01L21/304 648A
H01L21/68 B
(21)【出願番号】P 2020027093
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【氏名又は名称】岡野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】中塚 敦
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-250601(JP,A)
【文献】特開2018-086693(JP,A)
【文献】特開2000-208593(JP,A)
【文献】特開2013-122995(JP,A)
【文献】特開2000-040684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引力を生じる
円形の保持面を有し、該保持面で板状の被加工物を保持する保持パッドと、
該保持面の外周縁より外側の領域に配置される噴射口を有し、該保持面が向く方向に洗浄用の流体を噴射するノズルと、
該保持面の外周縁に沿って配置され水幕を形成する内側噴射口と、
該保持パッドと該ノズルとに接続されるアームと、
該アームに連結される動力源を有し、該アームを動かすことによって該保持パッドと該ノズルとを該保持面に対して平行な方向及び該保持面に対して垂直な方向に移動させる移動機構と、を含
み、
該内側噴射口の一部は、該保持面と該ノズルの該噴射口との間の領域に配置される洗浄装置。
【請求項2】
該保持面と該ノズルの該噴射口とを囲むように配置され水幕を形成する外側噴射口を更に含む請求項
1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
吸引力を生じる
円形の保持面を有し、該保持面で板状の被加工物を保持する保持パッドと、
該保持面の外周縁より外側の領域に配置される噴射口を有し、該保持面が向く方向に洗浄用の流体を噴射するノズルと、
該保持面と該ノズルの該噴射口とを囲むように配置され水幕を形成する外側噴射口と、
該保持パッドと該ノズルとに接続されるアームと、
該アームに連結される動力源を有し、該アームを動かすことによって該保持パッドと該ノズルとを該保持面に対して平行な方向及び該保持面に対して垂直な方向に移動させる移動機構と、を含む洗浄装置。
【請求項4】
吸引力を生じる
円形の保持面を有し、該保持面で板状の被加工物を保持する保持パッドと、
該保持面の外周縁より外側の領域に配置される噴射口を有し、該保持面が向く方向に洗浄用の流体を噴射するノズルと、
該保持面の外周縁より外側の領域において該ノズルの該噴射口を囲むように配置され水幕を形成する外側噴射口と、
該保持パッドと該ノズルとに接続されるアームと、
該アームに連結される動力源を有し、該アームを動かすことによって該保持パッドと該ノズルとを該保持面に対して平行な方向及び該保持面に対して垂直な方向に移動させる移動機構と、を含む洗浄装置。
【請求項5】
吸引力を生じる
環状の保持面を有し、該保持面で板状の被加工物を保持する保持パッドと、
該保持面の内周縁より内側の領域に配置される噴射口を有し、該保持面が向く方向に洗浄用の流体を噴射するノズルと、
該保持パッドと該ノズルとに接続されるアームと、
該アームに連結される動力源を有し、該アームを動かすことによって該保持パッドと該ノズルとを該保持面に対して平行な方向及び該保持面に対して垂直な方向に移動させる移動機構と、を含む洗浄装置。
【請求項6】
該保持面の該内周縁に沿って配置され水幕を形成する内側噴射口を更に含み、
該内側噴射口は、該保持面と該ノズルの該噴射口との間の領域に配置される請求項
5に記載の洗浄装置。
【請求項7】
該ノズルは、気体と液体とを混合して噴射する請求項1から請求項
6のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項8】
該ノズルの該噴射口は、該保持面よりも、該保持面が向く方向とは反対側の領域に配置されることを特徴とする請求項1から請求項
7のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項9】
吸引力を生じる
円形の保持面を有し、該保持面で板状の被加工物を保持する保持パッドと、
該保持面の外周縁より外側の領域に配置される噴射口を有し、該保持面が向く方向に洗浄用の流体を噴射するノズルと、を含む洗浄装置の該ノズルの該噴射口から洗浄用の流体の噴射を開始する噴射開始ステップと、
該被加工物を保持したテーブルの回転を開始させる回転開始ステップと、
該ノズルを、該テーブルに保持された該被加工物の上方を横切るように該保持パッドとともに移動させる移動ステップと、を含
み、
該移動ステップでは、該保持面の外周縁に沿って配置される内側噴射口、該保持面と該ノズルの該噴射口とを囲むように配置される外側噴射口、又は該保持面の外周縁より外側の領域において該ノズルの該噴射口を囲むように配置される外側噴射口により水幕を形成しながら、該ノズルを移動させる洗浄方法。
【請求項10】
吸引力を生じる
環状の保持面を有し、該保持面で板状の被加工物を保持する保持パッドと、
該保持面の内周縁より内側の領域に配置される噴射口を有し、該保持面が向く方向に洗浄用の流体を噴射するノズルと、を含む洗浄装置の該ノズルの該噴射口から洗浄用の流体の噴射を開始する噴射開始ステップと、
該被加工物を保持したテーブルの回転を開始させる回転開始ステップと、
該ノズルを、該テーブルに保持された該被加工物の上方を横切るように該保持パッドとともに移動させる移動ステップと、を含む洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状の被加工物を洗浄する際に用いられる洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小型で軽量なデバイスチップを実現するために、集積回路等のデバイスが表面側に設けられたウェーハを薄く加工する機会が増えている。例えば、ウェーハの表面をチャックテーブルで保持し、このチャックテーブルと砥石工具とを互いに回転させた上で、純水等の液体(研削液)を供給しながらウェーハの裏面に砥石工具を押し当てれば、ウェーハを研削して薄くできる。
【0003】
上述のような方法で研削されたウェーハの裏面(被研削面)には、研削の際に発生する屑(研削屑)が付着し易い。屑が付着した状態のウェーハをチャックテーブルから取り外して搬送すると、ウェーハが乾燥し、屑はウェーハに固着する。固着した屑の除去は難しいので、ウェーハをチャックテーブルから取り外すことなく裏面を洗浄できる洗浄装置を研削装置に組み込むことがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような洗浄装置は、ウェーハに対して洗浄用の流体を供給するノズルの他に、ノズルを移動させるための複雑な移動機構等を備えている。よって、この洗浄装置を研削装置に組み込むと、研削装置が大型化するという問題があった。また、洗浄装置を組み込む際に、研削装置の大掛かりな改修が必要になることも多かった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、加工装置への組み込みに適した洗浄装置及びこの洗浄装置を用いた洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、吸引力を生じる円形の保持面を有し、該保持面で板状の被加工物を保持する保持パッドと、該保持面の外周縁より外側の領域に配置される噴射口を有し、該保持面が向く方向に洗浄用の流体を噴射するノズルと、該保持面の外周縁に沿って配置され水幕を形成する内側噴射口と、該保持パッドと該ノズルとに接続されるアームと、該アームに連結される動力源を有し、該アームを動かすことによって該保持パッドと該ノズルとを該保持面に対して平行な方向及び該保持面に対して垂直な方向に移動させる移動機構と、を含み、該内側噴射口の一部は、該保持面と該ノズルの該噴射口との間の領域に配置される洗浄装置が提供される。この態様において、該保持面と該ノズルの該噴射口とを囲むように配置され水幕を形成する外側噴射口を更に含んでも良い。
【0008】
本発明の別の一態様によれば、吸引力を生じる円形の保持面を有し、該保持面で板状の被加工物を保持する保持パッドと、該保持面の外周縁より外側の領域に配置される噴射口を有し、該保持面が向く方向に洗浄用の流体を噴射するノズルと、該保持面と該ノズルの該噴射口とを囲むように配置され水幕を形成する外側噴射口と、該保持パッドと該ノズルとに接続されるアームと、該アームに連結される動力源を有し、該アームを動かすことによって該保持パッドと該ノズルとを該保持面に対して平行な方向及び該保持面に対して垂直な方向に移動させる移動機構と、を含む洗浄装置が提供される。
【0009】
本発明の更に別の一態様によれば、吸引力を生じる円形の保持面を有し、該保持面で板状の被加工物を保持する保持パッドと、該保持面の外周縁より外側の領域に配置される噴射口を有し、該保持面が向く方向に洗浄用の流体を噴射するノズルと、該保持面の外周縁より外側の領域において該ノズルの該噴射口を囲むように配置され水幕を形成する外側噴射口と、該保持パッドと該ノズルとに接続されるアームと、該アームに連結される動力源を有し、該アームを動かすことによって該保持パッドと該ノズルとを該保持面に対して平行な方向及び該保持面に対して垂直な方向に移動させる移動機構と、を含む洗浄装置が提供される。
【0010】
本発明の更に別の一態様によれば、吸引力を生じる環状の保持面を有し、該保持面で板状の被加工物を保持する保持パッドと、該保持面の内周縁より内側の領域に配置される噴射口を有し、該保持面が向く方向に洗浄用の流体を噴射するノズルと、該保持パッドと該ノズルとに接続されるアームと、該アームに連結される動力源を有し、該アームを動かすことによって該保持パッドと該ノズルとを該保持面に対して平行な方向及び該保持面に対して垂直な方向に移動させる移動機構と、を含む洗浄装置が提供される。この態様において、該保持面の該内周縁に沿って配置され水幕を形成する内側噴射口を更に含み、該内側噴射口は、該保持面と該ノズルの該噴射口との間の領域に配置されても良い。また、本発明の各態様において、該ノズルは、気体と液体とを混合して噴射することがある。また、該ノズルの該噴射口は、該保持面よりも、該保持面が向く方向とは反対側の領域に配置されることがある。
【0011】
本発明の更に別の一態様によれば、吸引力を生じる円形の保持面を有し、該保持面で板状の被加工物を保持する保持パッドと、該保持面の外周縁より外側の領域に配置される噴射口を有し、該保持面が向く方向に洗浄用の流体を噴射するノズルと、を含む洗浄装置の該ノズルの該噴射口から洗浄用の流体の噴射を開始する噴射開始ステップと、該被加工物を保持したテーブルの回転を開始させる回転開始ステップと、該ノズルを、該テーブルに保持された該被加工物の上方を横切るように該保持パッドとともに移動させる移動ステップと、を含み、該移動ステップでは、該保持面の外周縁に沿って配置される内側噴射口、該保持面と該ノズルの該噴射口とを囲むように配置される外側噴射口、又は該保持面の外周縁より外側の領域において該ノズルの該噴射口を囲むように配置される外側噴射口により水幕を形成しながら、該ノズルを移動させる洗浄方法が提供される。本発明の更に別の一態様によれば、吸引力を生じる環状の保持面を有し、該保持面で板状の被加工物を保持する保持パッドと、該保持面の内周縁より内側の領域に配置される噴射口を有し、該保持面が向く方向に洗浄用の流体を噴射するノズルと、を含む洗浄装置の該ノズルの該噴射口から洗浄用の流体の噴射を開始する噴射開始ステップと、該被加工物を保持したテーブルの回転を開始させる回転開始ステップと、該ノズルを、該テーブルに保持された該被加工物の上方を横切るように該保持パッドとともに移動させる移動ステップと、を含む洗浄方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様にかかる洗浄装置は、洗浄用の流体を噴射するノズルの他に、板状の被加工物を保持する保持パッドと、保持パッドとノズルとに接続されるアームと、アームを動かすことによって保持パッドとノズルとを移動させる移動機構と、を含むので、この洗浄装置を搬送装置としても使用できる。
【0013】
つまり、この洗浄装置は、被加工物を搬送するための搬送装置としても機能するので、搬送装置から独立した構造の洗浄装置を設ける場合に比べて、加工装置を大型化させずに済む。また、既存の搬送装置を置き換えるだけで良いので、加工装置の大掛かりな改修も不要になる。このように、本発明の一態様によれば、加工装置への組み込みに適した洗浄装置を提供できる。また、本発明の別の一態様によれば、この洗浄装置を用いた洗浄方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、研削装置(加工装置)の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2(A)は、被加工物の構成例を模式的に示す斜視図であり、
図2(B)は、被加工物に保護部材が貼付される様子を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、洗浄ユニット(洗浄装置)の構成例を模式的に示す側面図である。
【
図4】
図4は、洗浄ユニット(洗浄装置)の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5(A)は、洗浄ユニット(洗浄装置)で被加工物が洗浄される様子を示す平面図であり、
図5(B)は、洗浄ユニット(洗浄装置)で被加工物が洗浄される様子を示す側面図である。
【
図6】
図6は、第1変形例にかかる洗浄ユニット(洗浄装置)の構成例を模式的に示す側面図である。
【
図7】
図7は、第2変形例にかかる洗浄ユニット(洗浄装置)の構成例を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態にかかる洗浄ユニット(洗浄装置)が組み込まれる研削装置(加工装置)2の構成例を模式的に示す斜視図である。なお、以下の説明で用いるX軸方向(前後方向)、Y軸方向(左右方向)、及びZ軸方向(鉛直方向)は、互いに垂直である。
【0016】
図1に示すように、研削装置2は、この研削装置2を構成する各種の構造を支持する基台4を備えている。基台4の上面前端側には、開口4aが形成されており、この開口4a内には、板状の被加工物11(
図2(A)等参照)を搬送するための搬送機構6が設けられている。
【0017】
図2(A)は、被加工物11の構成例を模式的に示す斜視図である。被加工物11は、例えば、シリコン(Si)等の半導体でなる円盤状のウェーハである。この被加工物11の表面11a側は、互いに交差する複数の分割予定ライン(ストリート)13で複数の小領域に区画されており、各小領域には、IC(Integrated Circuit)等のデバイス15が形成されている。
【0018】
なお、本実施形態では、シリコン等の半導体でなる円盤状のウェーハを被加工物11としているが、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる基板を被加工物11として用いることもできる。同様に、デバイス15の種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。被加工物11には、デバイス15が形成されていなくても良い。
【0019】
被加工物11の表面11a側には、例えば、保護部材が貼付される。
図2(B)は、被加工物11に保護部材21が貼付される様子を模式的に示す斜視図である。保護部材21は、代表的には、被加工物11と概ね同等の直径を持つ円形のテープ(フィルム)、樹脂基板、被加工物11と同種又は異種のウェーハ等であり、その表面21a側には、被加工物11に対する接着力を示す接着層が設けられている。
【0020】
そのため、
図2(B)に示すように、この表面21a側を被加工物11の表面11a側に密着させることで、保護部材21は被加工物11に貼付される。被加工物11の表面11a側に保護部材21を貼付することで、表面11aとは反対の裏面11b側を研削する際に、被加工物11に加わる衝撃を緩和して、表面11a側のデバイス15等を保護できる。ただし、被加工物11には、保護部材21が貼付されなくても良い。
【0021】
図1に示すように、開口4aの前方には、複数の被加工物11を収容できるカセット8a、8bが載せられるカセットテーブル10a、10bが設けられている。開口4aの斜め後方には、被加工物11の位置を調整するための位置調整機構12が設けられている。この位置調整機構12は、例えば、円盤状のテーブルと、複数のピンと、を備え、テーブルの径方向に沿って複数のピンが移動することで、カセット8aから搬送機構6によって搬出されテーブルに載せられた被加工物11の中心を所定の位置に合わせる。
【0022】
位置調整機構12に隣接する位置には、被加工物11を保持して後方に搬送する搬送機構14が設けられている。搬送機構14は、被加工物11の上面(裏面11b)側を吸着して保持する保持パッドと、保持パッドに接続されたアームと、を備え、このアームを動かして保持パッドを移動させることで、位置調整機構12で位置が調整された被加工物11を後方に搬送する。搬送機構14の後方には、ターンテーブル16が設けられている。
【0023】
ターンテーブル16は、モーター等の回転駆動源(不図示)に連結されており、Z軸方向に対して概ね平行な回転軸の周りに回転する。ターンテーブル16の上面には、被加工物11を保持するための3個のチャックテーブル18が概ね等しい角度の間隔で設けられている。なお、ターンテーブル16上に設けられるチャックテーブル18の数等に制限はない。
【0024】
搬送機構14は、保持パッドで保持した被加工物11を、搬送機構14に隣接する搬入搬出位置に配置されたチャックテーブル18へと搬入する。ターンテーブル16は、例えば、
図1の矢印で示す向きに回転し、各チャックテーブル18を、搬入搬出位置、粗研削位置(第1加工位置)、仕上げ研削位置(第2加工位置)の順に移動させる。
【0025】
各チャックテーブル18は、モーター等の回転駆動源(不図示)に連結されており、Z軸方向に対して概ね平行な回転軸の周りに回転する。各チャックテーブル18の上面の一部は、例えば、多孔質材によって構成されており、被加工物11に貼付された保護部材21の裏面21b側を吸引して保持する保持面18aになる。
【0026】
この保持面18aは、チャックテーブル18の内部に形成された吸引路(不図示)等を介して真空ポンプ等の吸引源(不図示)に接続されている。チャックテーブル18に搬入された被加工物11は、保持面18aに作用する吸引源の負圧で下面(表面11a、保護部材21)側を保持される。
【0027】
粗研削位置及び仕上げ研削位置の後方(ターンテーブル16の後方)には、それぞれ、柱状の支持構造20が設けられている。各支持構造20の前面側には、Z軸移動機構22が設けられている。各Z軸移動機構22は、Z軸方向に概ね平行な一対のガイドレール24を備えており、ガイドレール24には、移動プレート26がスライドできる態様で取り付けられている。
【0028】
各移動プレート26の後面側(裏面側)には、ボールねじを構成するナット(不図示)が固定されており、このナットには、ガイドレール24に対して概ね平行なねじ軸28が回転できる態様でねじ込まれている。ねじ軸28の一端部には、モーター30が連結されている。モーター30によってねじ軸28を回転させることで、移動プレート26はガイドレール24に沿ってZ軸方向に移動する。
【0029】
各移動プレート26の前面(表面)には、固定具32が設けられている。各固定具32には、被加工物11を研削(加工)するための研削ユニット(加工ユニット)34が支持されている。各研削ユニット34は、固定具32に固定されるスピンドルハウジング36を備えている。
【0030】
各スピンドルハウジング36には、Z軸方向に対して概ね平行な回転軸となるスピンドル38が回転できる態様で収容されている。各スピンドル38の下端部は、スピンドルハウジング36の下端面から露出している。このスピンドル38の下端部には、円盤状のマウント40が固定されている。
【0031】
粗研削位置側のマウント40の下面には、粗研削用の研削ホイール(砥石工具)42aが装着され、仕上げ研削位置側のマウント40の下面には、仕上げ研削用の研削ホイール(砥石工具)42bが装着される。粗研削用の研削ホイール42aは、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属でマウント40と概ね同径に形成されたホイール基台を備えている。このホイール基台の下面には、粗研削に適した砥粒を含む複数の研削砥石が固定されている。
【0032】
同様に、仕上げ研削用の研削ホイール42bは、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属でマウント40と概ね同径に形成されたホイール基台を備えている。このホイール基台の下面には、仕上げ研削に適した砥粒を含む複数の研削砥石が固定されている。なお、仕上げ研削用の研削砥石には、一般に、粗研削用の研削砥石に含まれる砥粒よりも粒径が小さい砥粒が含まれる。
【0033】
各研削ホイール42a、42bの傍には、被加工物11と研削砥石とが接触する部分(加工点)に純水等の液体(研削液)を供給できる液体供給用ノズル(不図示)が配置されている。また、各研削ホイール42a、42bの傍には、研削中の被加工物11の厚さを測定するための接触式又は非接触式の厚さ測定器(不図示)が配置されている。なお、液体供給用ノズルの代わりに、又は、液体供給用ノズルとともに、液体の供給に使用される液体供給口を各研削ホイール42a、42bに設けても良い。
【0034】
各チャックテーブル18に保持された被加工物11は、この2組の研削ユニット34で研削される。具体的には、粗研削位置のチャックテーブル18に保持された被加工物11は、粗研削位置側の研削ユニット34で研削され、仕上げ研削位置のチャックテーブル18に保持された被加工物11は、仕上げ研削位置側の研削ユニット34で研削される。
【0035】
搬入搬出位置の前方、且つ、搬送機構14の側方の位置には、チャックテーブル18に保持された研削後の被加工物11を洗浄する洗浄ユニット(第1洗浄ユニット、洗浄装置)50が設けられている。なお、この洗浄ユニット50は、被加工物11を搬送する搬送機構(搬送装置)としての機能を併せ備えている。
【0036】
図3は、洗浄ユニット50の構成例を模式的に示す側面図であり、
図4は、洗浄ユニット50の構成例を模式的に示す斜視図である。なお、
図4では、洗浄ユニット50の一部の構成要素が省略されている。また、
図3及び
図4において視認できない洗浄ユニット50の構造等を部分的に破線で示している。
【0037】
図3に示すように、洗浄ユニット50は、基台4の内部に配置される移動機構52を備えている。この移動機構52は、Z軸方向に対して概ね平行な一対のガイドレール54を備えており、ガイドレール54には、移動部56がスライドできる態様で取り付けられている。
【0038】
移動部56のガイドレール54側には、ボールねじを構成するナット(不図示)が設けられており、このナットには、ガイドレール54に対して概ね平行なねじ軸58が回転できる態様でねじ込まれている。ねじ軸58の一端部には、モーター(動力源)60が連結されている。このモーター60によってねじ軸58を回転させることで、移動部56はガイドレール54に沿ってZ軸方向に移動する。
【0039】
移動部56のガイドレール54とは反対側には、モーター(駆動源)62が固定されている。モーター62の回転軸には、Z軸方向に対して概ね平行な方向に長いロッド64の下端部が接続されている。また、ロッド64の上端部には、Z軸方向に対して概ね垂直な方向に長いアーム66の基端部が接続されている。モーター62によってロッド64を回転させることで、アーム66の先端部は、Z軸方向に対して概ね垂直な面内でアーム66の基端部を中心に回転する。
【0040】
アーム66の先端部には、概ね平坦な下面を有するリング状の支持部材68が、アーム66に対して着脱できる態様で接続されている。支持部材68の下面は、Z軸方向に対して概ね垂直に配置され、この支持部材68の下面側には、伸縮性を持つコイルばね等の複数の連結具70を介して、円盤状のプレート72の上面側が連結される。
【0041】
図3に示すように、プレート72の下面の中央部には、プレート72よりも直径の小さい円盤状の保持パッド74の上面側が固定されている。保持パッド74の下面側には、例えば、多孔質材で概ね平坦に形成され被加工物11よりも小さな直径を持つ円形の保持面74aが設けられている。この保持面74aは、Z軸方向に対して概ね垂直に配置され、被加工物11を保持するための吸引力を生じる。
【0042】
具体的には、保持面74aは、保持パッド74の上部に接続される吸引路(不図示)等を介して真空ポンプ等の吸引源(不図示)に接続されている。そのため、保持面74aを被加工物11の上面(裏面11b)側に密着させた状態で、この保持面74aに吸引源の負圧を作用させれば、被加工物11を保持パッド74で吸引して保持できる。
【0043】
なお、プレート72及び保持パッド74は、上述のように、伸縮性のある連結具70を介して支持部材68に連結されている。よって、保持パッド74の保持面74aに対して被加工物11の上面が平行ではない状態で保持面74aを被加工物11に接触させると、連結具70が適切に縮み、被加工物11の上面に合わせて保持パッド74が傾く。これにより、保持面74aの全体を被加工物11の上面に密着させて、保持パッド74で被加工物11を確実に保持できる。
【0044】
プレート72の外周側の領域(平面視で保持パッド74に重ならない領域)には、洗浄用の流体を噴射できるノズル76が設けられている。このノズル76は、洗浄用の流体の供給に使用される配管(不図示)に接続されている。また、ノズル76の下端には、下方(保持面74aが向く方向)に向けて開口する噴射口76aが形成されており、配管を通じて供給される洗浄用の流体は、この噴射口76aから噴射される。
【0045】
すなわち、ノズル76の噴射口76aは、保持パッド74が備える保持面74aの外周縁より外側の領域に配置されており、ノズル76は、下方(保持面74aが向く方向)に向けて洗浄用の流体を噴射する。ノズル76から噴射される洗浄用の流体としては、例えば、水等の液体の他に、水等の液体とエアー等の気体とを混合した混合流体(2流体)が用いられる。
【0046】
なお、本実施形態の洗浄ユニット50では、ノズル76の噴射口76aが、保持パッド74の保持面74aよりも上方(保持面74aが向く方向とは反対側)の領域に配置されている。そのため、保持パッド74によって被加工物11を保持する際に、ノズル76が被加工物11に干渉することはない。ただし、ノズル76の位置は、被加工物11の位置との関係で任意に調整され得る。
【0047】
図4に示すように、プレート72には、保持パッド74の外周縁(保持面74aの外周縁)に沿う内側噴射口72aが配置されている。この内側噴射口72aは、下方に向けて開口しており、水等の液体の供給に使用される配管(不図示)に接続される。内側噴射口72aは、代表的には、保持パッド74の外周縁の全体に沿って環状に配列される複数の噴射口の集合体である。ただし、環状に形成された1個の噴射口を内側噴射口72aとしても良い。
【0048】
内側噴射口72aは、上述のように、保持パッド74の外周縁の全体に沿って配置されるので、内側噴射口72aの少なくとも一部は、保持パッド74の保持面74aとノズル76の噴射口76aとの間の領域に配置されることになる。この内側噴射口72aから下方に噴射される液体により、いわゆるウォーターカーテン(水幕)が形成され、保持面74aの外周縁に対して径方向で内側の空間と外側の空間とを隔てることができる。
【0049】
また、プレート72には、保持パッド74(保持面74a)とノズル76との双方を囲むように、プレート72の外周縁に沿う外側噴射口72bが配置されている。この外側噴射口72bも、下方に向けて開口しており、水等の液体の供給に使用される配管(不図示)に接続される。
【0050】
外側噴射口72bは、代表的には、プレート72の外周縁の全体に沿って環状に配列される複数の噴射口の集合体である。ただし、環状に形成された1個の噴射口を外側噴射口72bとしても良い。この外側噴射口72bから下方に噴射される液体により、ウォーターカーテン(水幕)が形成され、プレート72の外周縁に対して径方向で内側の空間と外側の空間とを隔てることができる。
【0051】
この洗浄ユニット50では、アーム66に連結されたモーター60でアーム66を動かすことにより、アーム66に接続された保持パッド74とノズル76とを、保持パッド74の保持面74aに対して概ね垂直な方向に移動させることができる。また、アーム66に連結されたモーター62でアーム66を動かすことにより、アーム66に接続された保持パッド74とノズル76とを、保持パッド74の保持面74aに対して概ね平行な方向に移動させることができる。
【0052】
洗浄ユニット50に隣接する位置には、搬入搬出位置に配置されたチャックテーブル18から洗浄ユニット50で搬出される被加工物11を更に洗浄する洗浄ユニット(第2洗浄ユニット)80が設けられている。洗浄ユニット80は、例えば、被加工物11を保持した状態で回転するスピンナーテーブルと、スピンナーテーブルによって保持された被加工物11に洗浄用の流体を噴射するノズルと、を備えている。この洗浄ユニット80で洗浄された被加工物11は、搬送機構6で搬送され、例えば、カセット8bに搬入される。
【0053】
研削装置2の各構成要素には、制御ユニット(不図示)が接続されている。制御ユニットは、被加工物11を適切に研削できるように、各構成要素の動作等を制御する。この制御ユニットは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成されている。補助記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御ユニットの機能が実現される。
【0054】
次に、上述した研削装置2の洗浄ユニット50を用いて行われる洗浄方法について説明する。
図5(A)は、洗浄ユニット50で被加工物11が洗浄される様子を示す平面図であり、
図5(B)は、洗浄ユニット50で被加工物11が洗浄される様子を示す側面図である。なお、
図5(B)では、説明の便宜上、一部の構成要素をその断面で表している。
【0055】
図5(A)及び
図5(B)に示すように、本実施形態の洗浄方法では、まず、ノズル76の噴射口76aから洗浄用の流体82の噴射を開始する(噴射開始ステップ)。また、研削後の被加工物11を保持したチャックテーブル18の回転を開始させる(回転開始ステップ)。
【0056】
なお、本実施形態では、水とエアーとを混合した混合流体を洗浄用の流体として用い、搬入搬出位置に配置されたチャックテーブル18を回転させる。併せて、内側噴射口72aと外側噴射口72bとから液体を噴射し、保持パッド74に対して同心円状のウォーターカーテン(水幕)84aとウォーターカーテン(水幕)84bとを形成する(ウォーターカーテン形成ステップ)。
【0057】
内側噴射口72aによるウォーターカーテン84aによって、被加工物11に吹き付けられ汚れた洗浄用の流体が保持パッド74の保持面74aに付着するのを防止できる。また、外側噴射口72bによるウォーターカーテン84bによって、被加工物11に吹き付けられ汚れた洗浄用の流体が研削装置2の他の領域に飛散するのを防止できる。なお、保持パッド74の保持面74aからエアー等の気体を噴射させて、汚れた洗浄用の流体から保持面74aを保護することもできる。
【0058】
次に、チャックテーブル18に保持された被加工物11の上方の空間を横切るように、ノズル76、内側噴射口72a、及び外側噴射口72b(以下、ノズル76等)を、保持パッド74とともに移動させる(移動ステップ)。すなわち、モーター60でアーム66を動かし、ノズル76等のZ軸方向の位置を調整した上で、モーター62でアーム66を動かし、ノズル76等をZ軸方向に対して概ね垂直な方向に移動させる。
【0059】
これにより、被加工物11の上面(裏面11b)側を洗浄し、研削の際に発生した屑(研削屑)等を被加工物11の上面側から除去できる。なお、本実施形態では、ノズル76等が円弧状の軌跡を描きながら往復するように、モーター62の回転を制御する。被加工物11の上面側の洗浄が完了した後には、保持パッド74で被加工物11の上面側を保持して、チャックテーブル18から被加工物11を搬出すれば良い(搬出ステップ)。
【0060】
以上のように、本実施形態にかかる洗浄ユニット(第1洗浄ユニット、洗浄装置)50は、洗浄用の流体を噴射するノズル76の他に、板状の被加工物11を保持する保持パッド74と、保持パッド74とノズル76とに接続されるアーム66と、アーム66を動かすことによって保持パッド74とノズル76とを移動させる移動機構52と、を含むので、この洗浄ユニット50を搬送機構(搬送装置)としても使用できる。
【0061】
つまり、この洗浄ユニット50は、被加工物11を搬送するための搬送機構としても機能するので、搬送機構から独立した構造の洗浄ユニットを設ける場合に比べて、研削装置(加工装置)2を大型化させずに済む。また、従来型の搬送機構を置き換えるだけで良いので、研削装置2の大掛かりな改修も不要になる。このように、本実施形態によれば、研削装置2への組み込みに適した洗浄ユニット50を提供できる。また、本実施形態によれば、この洗浄ユニット50を用いた洗浄方法を提供できる。
【0062】
なお、本発明は、上述した実施形態の記載に制限されず種々変更して実施可能である。例えば、上述した実施形態の洗浄ユニット(洗浄装置)50は、ノズル76の他に、内側噴射口72aや外側噴射口72bを備えているが、内側噴射口72aや外側噴射口72bは省略されても良い。
【0063】
また、上述した実施形態では、加工装置の例として、搬送機構(搬送装置)として機能する洗浄ユニット(洗浄装置)50が組み込まれた研削装置2を示したが、研磨装置や切削装置等の他の加工装置に対して本発明の洗浄ユニット(洗浄装置)を組み込むこともできる。
【0064】
すなわち、被加工物11を保持するチャックテーブルや、研磨パッドが装着されるスピンドルを備えた研削ユニット(加工ユニット)等を含む研磨装置(加工装置)に対して、本発明の洗浄ユニット(洗浄装置)を組み込むことができる。また、被加工物11を保持するチャックテーブルや、切削ブレードが装着されるスピンドルを備えた切削ユニット(加工ユニット)等を含む切削装置(加工装置)に対して、本発明の洗浄ユニット(洗浄装置)を組み込むことができる。
【0065】
また、上述した実施形態では、洗浄ユニット(洗浄装置)50の一態様について説明したが、他の態様の洗浄ユニット(洗浄装置)を研削装置等の加工装置に組み込むこともできる。
図6は、第1変形例にかかる洗浄ユニット(洗浄装置)150の構成例を模式的に示す側面図であり、
図7は、第2変形例にかかる洗浄ユニット(洗浄装置)250の構成例を模式的に示す側面図である。
【0066】
なお、
図6及び
図7では、説明の便宜上、一部の構成要素をその断面で表している。また、
図6に表れない洗浄ユニット150の構成要素や、
図7に表れない洗浄ユニット250の構成要素は、上述した実施形態にかかる洗浄ユニット50の構成要素と同様である。よって、その詳細な説明を省略する。
【0067】
図6に示すように、第1変形例にかかる洗浄ユニット150は、アーム(不図示)の先端部に接続されるリング状の支持部材168を備えている。支持部材168の下面は、Z軸方向に対して概ね垂直に配置され、この支持部材168の下面側には、伸縮性を持つコイルばね等の複数の連結具170を介して、円盤状のプレート172の上面側が連結される。
【0068】
プレート172の下面には、プレート172と同程度の直径を持つ円盤状の保持パッド174の上面側が固定されている。保持パッド174の下面側には、例えば、多孔質材で概ね平坦に形成され被加工物11よりも小さな直径を持つ円形の保持面174aが設けられている。この保持面174aは、Z軸方向に対して概ね垂直に配置され、被加工物11を保持するための吸引力を生じる。
【0069】
具体的には、保持面174aは、保持パッド174の上部に接続される吸引路(不図示)等を介して真空ポンプ等の吸引源(不図示)に接続されている。そのため、保持面174aを被加工物11の上面(裏面11b)側に密着させた状態で、この保持面174aに吸引源の負圧を作用させれば、被加工物11を保持パッド174で吸引して保持できる。
【0070】
平面視でプレート172及び保持パッド174に重ならない領域には、洗浄用の流体を噴射できるノズル176が設けられている。このノズル176は、洗浄用の流体の供給に使用される配管(不図示)に接続されている。また、ノズル176の下端には、下方(保持面174aが向く方向)に向けて開口する噴射口176aが形成されており、配管を通じて供給される洗浄用の流体は、この噴射口176aから噴射される。
【0071】
すなわち、ノズル176の噴射口176aは、保持パッド174が備える保持面174aの外周縁より外側の領域に配置されており、ノズル176は、下方(保持面174aが向く方向)に向けて洗浄用の流体を噴射する。ノズル176から噴射される洗浄用の流体としては、例えば、水等の液体の他に、水等の液体とエアー等の気体とを混合した混合流体(2流体)が用いられる。
【0072】
ノズル176の噴射口176aよりも上方の位置には、このノズル176を囲む円盤状のプレート178が固定されている。また、プレート178には、その外周縁に沿う外側噴射口178aが配置されている。外側噴射口178aは、下方に向けて開口しており、水等の液体の供給に使用される配管(不図示)に接続される。外側噴射口178aは、代表的には、プレート178の外周縁の全体に沿って環状に配列される複数の噴射口の集合体である。ただし、環状に形成された1個の噴射口を外側噴射口178aとしても良い。
【0073】
外側噴射口178aは、上述のように、保持面174aの外周縁より外側の領域でノズル176の噴射口176aを囲むように配置されるので、外側噴射口178aの少なくとも一部は、保持面174aと噴射口176aとの間の領域に配置されることになる。この外側噴射口178aから下方に噴射される液体により、いわゆるウォーターカーテン(水幕)が形成され、ノズル176の噴射口176aが配置される内側の空間と、保持パッド174等が配置される外側の空間とを隔てることができる。なお、この第1変形例にかかる洗浄ユニット150の外側噴射口178aは、省略されても良い。
【0074】
図7に示すように、第2変形例にかかる洗浄ユニット250は、アーム(不図示)の先端部に接続されるリング状の支持部材268を備えている。支持部材268の下面は、Z軸方向に対して概ね垂直に配置され、この支持部材268の下面側には、伸縮性を持つコイルばね等の複数の連結具270を介して、円盤状のプレート272の上面側が連結される。
【0075】
プレート272の下面には、プレート272と同程度の外径(直径)を持つ円環状の保持パッド274の上面側が固定されている。保持パッド274の下面側には、例えば、多孔質材で概ね平坦に形成され被加工物11よりも小さな外径(直径)を持つ円環状の保持面274aが設けられている。この保持面274aは、Z軸方向に対して概ね垂直に配置され、被加工物11を保持するための吸引力を生じる。
【0076】
具体的には、保持面274aは、保持パッド274の上部に接続される吸引路(不図示)等を介して真空ポンプ等の吸引源(不図示)に接続されている。そのため、保持面274aを被加工物11の上面(裏面11b)側に密着させた状態で、この保持面274aに吸引源の負圧を作用させれば、被加工物11を保持パッド274で吸引して保持できる。
【0077】
保持パッド274の内周縁274bより内側の領域(保持面274aの内周縁より内側の領域)には、洗浄用の流体を噴射できるノズル276が設けられている。このノズル276は、洗浄用の流体の供給に使用される配管(不図示)に接続されている。また、ノズル276の下端には、下方(保持面274aが向く方向)に向けて開口する噴射口276aが形成されており、配管を通じて供給される洗浄用の流体は、この噴射口276aから噴射される。
【0078】
すなわち、ノズル276の噴射口276aは、保持パッド274が備える保持面274aの内周縁より内側の領域に配置されており、ノズル276は、下方(保持面274aが向く方向)に向けて洗浄用の流体を噴射する。ノズル276から噴射される洗浄用の流体としては、例えば、水等の液体の他に、水等の液体とエアー等の気体とを混合した混合流体(2流体)が用いられる。
【0079】
プレート272には、保持パッド274の内周縁274b(保持面274aの内周縁)に沿う内側噴射口272aが配置されている。この内側噴射口272aは、下方に向けて開口しており、水等の液体の供給に使用される配管(不図示)に接続される。内側噴射口272aは、代表的には、保持パッド274の内周縁274bの全体に沿って環状に配列される複数の噴射口の集合体である。ただし、環状に形成された1個の噴射口を内側噴射口272aとしても良い。
【0080】
内側噴射口272aは、上述のように、保持面274aの内周縁より内側の領域でノズル276の噴射口276aを囲むように配置されるので、この内側噴射口272aは、保持面274aと噴射口276aとの間の領域に配置されることになる。内側噴射口272aから下方に噴射される液体により、いわゆるウォーターカーテン(水幕)が形成され、ノズル276の噴射口276aが配置される内側の空間と、保持パッド274等が配置される外側の空間とを隔てることができる。なお、この第2変形例にかかる洗浄ユニット250の内側噴射口272aは、省略されても良い。
【0081】
その他、上述した実施形態及び変形例にかかる構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0082】
2 :研削装置(加工装置)
4 :基台
4a :開口
6 :搬送機構
8a :カセット
8b :カセット
10a :カセットテーブル
10b :カセットテーブル
12 :位置調整機構
14 :搬送機構
16 :ターンテーブル
18 :チャックテーブル
18a :保持面
20 :支持構造
22 :Z軸移動機構
24 :ガイドレール
26 :移動プレート
28 :ねじ軸
30 :モーター
32 :固定具
34 :研削ユニット(加工ユニット)
36 :スピンドルハウジング
38 :スピンドル
40 :マウント
42a :研削ホイール
42b :研削ホイール
50 :洗浄ユニット(第1洗浄ユニット、洗浄装置)
52 :移動機構
54 :ガイドレール
56 :移動部
58 :ねじ軸
60 :モーター(動力源)
62 :モーター(動力源)
64 :ロッド
66 :アーム
68 :支持部材
70 :連結具
72 :プレート
72a :内側噴射口
72b :外側噴射口
74 :保持パッド
74a :保持面
76 :ノズル
76a :噴射口
80 :洗浄ユニット(第2洗浄ユニット)
82 :流体
84a :ウォーターカーテン(水幕)
84b :ウォーターカーテン(水幕)
150 :洗浄ユニット(洗浄装置)
168 :支持部材
170 :連結具
172 :プレート
174 :保持パッド
174a :保持面
176 :ノズル
176a :噴射口
178 :プレート
178a :外側噴射口
250 :洗浄ユニット(洗浄装置)
268 :支持部材
270 :連結具
272 :プレート
272a :内側噴射口
274 :保持パッド
274a :保持面
274b :内周縁
276 :ノズル
276a :噴射口
11 :被加工物
11a :表面
11b :裏面
13 :分割予定ライン(ストリート)
15 :デバイス
21 :保護部材
21a :表面
21b :裏面