(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】風味付与剤
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20240213BHJP
A23L 27/20 20160101ALI20240213BHJP
A23L 7/113 20160101ALN20240213BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23L27/20 D
A23L7/113
(21)【出願番号】P 2018227990
(22)【出願日】2018-12-05
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 由美子
(72)【発明者】
【氏名】内藤 厚憲
【審査官】堂畑 厚志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/110493(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/020598(WO,A1)
【文献】特開2000-139378(JP,A)
【文献】米国特許第03829582(US,A)
【文献】特開2015-188434(JP,A)
【文献】特開平08-131116(JP,A)
【文献】特開平05-255690(JP,A)
【文献】特開2014-187947(JP,A)
【文献】特開平03-087160(JP,A)
【文献】特開2003-327993(JP,A)
【文献】HUI-ER WANG et.al,QUALITY OF WHITE BREAD MADE FROM LACTIC ACID BACTERIA-ENRICHED DOUGH,Journal of Food Processing and Preservation,2012年,36,553-559
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00
A23L 27/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物を原料とする即席食品に対する風味付与剤であって、2,4-デカジエナール及びメチオナールを含有し、前記穀物を水と共に加熱した際に生じる茹で、炊き又は蒸しの加熱調理をした際の風味を付与する風味付与剤。
【請求項2】
さらに、2-アセチル-1-ピロリン、2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジン、2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン及び2-アセチルチアゾールからなる群から選択される少なくとも一種以上の化合物を含有する請求項1に記載の風味付与剤。
【請求項3】
穀物を原料とする即席食品であって、2,4-デカジエナール及びメチオナールを含有させることによって、前記穀物を水と共に加熱した際に生じる茹で、炊き又は蒸しの加熱調理をした際の風味が付与された即席食品。
【請求項4】
穀物を原料とする即席食品
に対して、2,4-デカジエナール及びメチオナールを含有させることを特徴とする、前記穀物を水と共に加熱した際に生じる茹で、炊き又は蒸しの加熱調理をした際の風味を付与する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の食品に添加して当該食品に対して、風味を付与することができる風味付与剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加工食品をはじめとする各種食品においては、特定の風味を付与又は増強するために香料等の風味付与剤が使用される場合がある。この場合、当該風味付与剤は当該付与される食品に使用されている原料に関係する場合が多い。このような加工食品等の食品に対してその風味を付与又は増強するための風味付与剤は種々のタイプが開示されている。
例えば、以下の先行技術文献1であると、畜肉エキスの風味を改善することを目的としている。また、先行技術文献2であると、トリュフの風味を付与することが可能なトリュフ風味付与剤に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-130057
【文献】特開2018-154716
【0004】
一方、食品が呈する風味については上記以外にも様々な種類・タイプがある。このような風味の中で特に、“穀物を水と共に加熱した際に生じる茹で、炊き又は蒸し等の加熱調理をした際の風味(調理感)”を付与する風味付与剤についても食品業界において求められていた。
しかし、このような風味を付与する風味付与剤に関する先行特許技術文献はほとんど存在しない。その一方、加工食品等に対して穀物を水分と共に加熱した際に生じる調理感を付与・増強させることができれば、一層、加工食品の分野の発展に寄与することが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の発明者らは“穀物を水と共に加熱した際に生じる茹で、炊き又は蒸し等の加熱調理をした際の風味(調理感)”呈する風味付与剤を開発することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、種々の香料を用いて実験を繰り返し実施した。発明者の鋭意研究の結果、2,4-デカジエナール及びメチオナールの組み合わせにおいて、前記の風味を付与する効果を見出し本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本願第一の発明は、
“2,4-デカジエナール及びメチオナールを含有する風味付与剤。”である。
【0007】
次に、本発明においては、さらに、2-アセチル-1-ピロリン、2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジン、2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン及び2-アセチルチアゾールから選択される少なくとも一種類以上の化合物を含有させることで一層の風味付与が可能であることを見出した。
すなわち、本願第二の発明は、
“さらに、2-アセチル-1-ピロリン、2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジン、
2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン及び2-アセチルチアゾールからなる群から選択される少なくとも一種以上の化合物を含有する請求項1に記載の風味付与剤。“、である。
【0008】
次に、本出願人は、上記の風味付与剤を含有する食品についても意図している。
すなわち、本願第三の発明は、
“請求項1又は2に記載の風味付与剤を含有する食品。”、である。
【0009】
特に、本願の風味付与剤は、即席食品に好適に利用することができる。
すなわち、本願第四の発明は、
“前記食品が即席食品である請求項3に記載の食品”、である。
【0010】
さらに、上記即席食品については、即席麺又はカップライスに好適に利用することができる。
すなわち、本願第五の発明は、
“前記即席食品が即席麺又はカップライスである請求項4に記載の食品。”、である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の風味付与剤を利用することで、加工食品を始めとする各種食品に“穀物を水とともに加熱調理(茹で、炊き等)をした際の風味(調理感)”を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施の形態に準じて詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
【0013】
─本発明の目的とする風味─
本発明により得られる風味は、穀物類を水等ともに加熱した際に生じる風味を対象とする。本発明の有効成分は以下の物質である。
【0014】
《1》本発明の風味付与剤の有効成分
─2,4-デカジエナール(2,4-decadienal)─
本発明でいう2,4-デカジエナール(2,4-decadienal)(CAS 2363-88-4)とは、以下の構造式を有する。
【0015】
【0016】
2,4-デカジエナールはバターや、調理された牛肉や魚等で見出される芳香化合物である。本発明の2,4-デカジエナール(2,4-decadienal)については、市販のものを入手することができ食品用香料化合物として使用することができる。食品用香料化合物は、食品衛生法施行規則 別表第一で指定され、着香を目的として使用される食品添加物として指定されている。2,4-デカジエナール(2,4-decadienal)は、これらのうち、類又は誘導体として指定されている18項目の香料(いわゆる18類)に該当すると判断された具体的品目に含まれている。
本2,4-デカジエナール(2,4-decadienal)については上記のように市販のタイプを購入することができる。また、食品等から抽出(蒸留等)により、その香気成分を抽出したものを用いることもできる。
【0017】
─メチオナール(methional)─
本発明でいうメチオナール(methional)(CAS 3268-49-3)とは、以下の構造式を有する。
【0018】
【0019】
メチオナール(methional)はメチオニンの分解物である。本化合物は、ポテトチップ等のポテト系統のスナックであるポテトチップに見出される芳香化合物である。また、紅茶や緑茶にも存在する。
本発明のメチオナール(methional)については、市販のものを入手することができ食品用香料化合物として使用することができる。食品用香料化合物は、食品衛生法施行規則 別表第一で指定され、着香を目的として使用される食品添加物として指定されている。メチオナール(methional)は、これらのうち、類又は誘導体として指定されている18項目の香料(いわゆる18類)に該当すると判断された具体的品目に含まれている。
本メチオナール(methional)については上記のように市販のタイプを購入することができる。また、食品等から抽出(蒸留等)により、その香気成分を抽出したものを用いることもできる。
【0020】
─2-アセチル-1-ピロリン(2-acetyl-1-pyrroline)─
本発明でいう2-アセチル-1-ピロリン(2-acetyl-1-pyrroline)(CAS99583-29-6)とは、以下の構造式を有する。
【0021】
【0022】
2-アセチル-1-ピロリン(2-acetyl-1-pyrroline)は、白パン、ジャスミンライス等に見出される芳香化合物である。バターを含むポップコーン様の香気を有するといわれている。本発明の2-アセチル-1-ピロリン(2-acetyl-1-pyrroline)については、市販のものを入手することができ食品用香料化合物として使用することができる。食品用香料化合物は、食品衛生法施行規則 別表第一で指定され、着香を目的として使用される食品添加物として指定されている。2-アセチル-1-ピロリン(2-acetyl-1-pyrroline)は、これらのうち、類又は誘導体として指定されている18項目の香料(いわゆる18類)に該当すると判断された具体的品目に含まれている。
本2-アセチル-1-ピロリン(2-acetyl-1-pyrroline)については上記のように市販のタイプを購入することができる。また、食品等から抽出(蒸留等)により、その香気成分を抽出したものを用いることもできる。
【0023】
─2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジン(2-acetyl-1,4,5,6-tetrahydropyridine)─
本発明でいう2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジン
(2-acetyl-1,4,5,6-tetrahydropyridine)(CAS25343-57-1)とは、以下の構造式を有し、パンの香気の一成分である香気化合物である。
【0024】
【0025】
本発明の2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジン
(2-acetyl-1,4,5,6-tetrahydropyridine)については、市販のものを入手することができ食品用香料化合物として使用することができる。食品用香料化合物は、食品衛生法施行規則 別表第一で指定され、着香を目的として使用される食品添加物として指定されている。
は、これらのうち、類又は誘導体として指定されている18項目の香料(いわゆる18類)に該当すると判断された具体的品目に含まれている。
本2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジン(2-acetyl-1,4,5,6-tetrahydropyridine)については上記のように市販のタイプを購入することができる。また、食品等から抽出(蒸留等)により、その香気成分を抽出したものを用いることもできる。
【0026】
─2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン(2-acetyl-3,4,5,6-tetrahydropyridine)─
本発明でいう2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン
(2-acetyl-3,4,5,6-tetrahydropyridine) (CAS27300-27-2)とは、以下の構造式を有し、加熱されたパン臭の香気を呈する芳香化合物である。
【0027】
【0028】
本発明の2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン
(2-acetyl-3,4,5,6-tetrahydropyridine)
については、市販のものを入手することができ食品用香料化合物として使用することができる。食品用香料化合物は、食品衛生法施行規則 別表第一で指定され、着香を目的として使用される食品添加物として指定されている。
これらのうち、類又は誘導体として指定されている18項目の香料(いわゆる18類)に該当すると判断された具体的品目に含まれている。
【0029】
本2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン(2-acetyl-3,4,5,6-tetrahydropyridine)については上記のように市販のタイプを購入することができる。また、食品等から抽出(蒸留等)により、その香気成分を抽出したものを用いることもできる。
尚、上述の2-アセチル-1-ピロリン、2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジン及び
2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジンのすべてを含有する風味付与剤を得ることを目的として、プロリン、穀粉、糖類、アルカリ剤、水及び食用油を加熱することによって、香料含有素材の製造する方法が有効である。
【0030】
より具体的には、プロリン、糖類(フルクトース)、小麦粉、アルカリ剤を水に混合・懸濁して、パーム油を入れた後、オートクレープを140℃で10分処理を行う。これによって2-アセチル-1-ピロリン、2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジン及び2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジンを含む香料含有素材を調製することができる。
【0031】
さらに、本発明の2,4-デカジエナール及びメチオナールを含有する風味付与剤において、他の香料等の風味付与・増強成分を利用してもよいことは勿論である。
例えば、2-アセチルチアゾールが挙げられる。2-アセチルチアゾール(CAS24295-03-2)とは、以下の構造を有する。
【0032】
【0033】
2-アセチルチアゾールは、ウイスキー等のアルコール飲料に見られる香気化合物である。また、アスパラガスや調理されたジャガイモ等に存在する。
本発明の2-アセチルチアゾールについては、市販のものを入手することができ食品用香料化合物として使用することができる。食品用香料化合物は、食品衛生法施行規則 別表第一で指定され、着香を目的として使用される食品添加物として指定されている。
【0034】
これらのうち、類又は誘導体として指定されている18項目の香料(いわゆる18類)に該当すると判断された具体的品目に含まれている。本2-アセチルチアゾールについては上記のように市販のタイプを購入することができる。また、食品等から抽出(蒸留等)により、その香気成分を抽出したものを用いることもできる。
その他、公知の香料やエキス等を適宜使用することができる。種々の目的や他の風味の付与を目的に種々の香料等の風味付与剤を使用することが可能である。
【0035】
《2》本発明の風味付与剤の有効成分の配合
本発明においては、2,4-デカジエナール及びメチオナールを必須の構成成分としているが、当該有効成分について、2,4-デカジエナール:メチオナールの割合が10:1~
105:1の重量比が好ましい。さらに好ましくは、102:1~104:1の重量比が好ましい。最も好ましくは40:1~4000:1の重量比である。
【0036】
さらに、実際の食品に添加する場合においては、当該2,4-デカジエナールについては、当該添加する食品重量に対して、10-4ppm~1ppmが好ましく、より好ましくは
10-3ppm~8×10-1ppmである。最も好ましくは2×10-2ppm~10-1pm程度の範囲である。
また、メチオナールについては、当該添加する食品重量に対して、10-7ppm~
10-3ppmが好ましく、より好ましくは10-6ppm~10-4ppmである。
【0037】
また、例えば、2,4-デカジエナール及びメチオナールについて、2,4-デカジエナールを200ppm、メチオナールを0.2ppm程度の濃度として風味付与剤を調製しておき、当該風味付与剤を食品に対して、上記濃度範囲となるように添加することも可能である。
さらに、本発明の風味付与剤(2,4-デカジエナール及びメチオナール)に組み合わせる他の香料成分としては、2-アセチル-1-ピロリン、2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジン、2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン又は2-アセチルチアゾールを同時に使用することが好適である。
【0038】
これらの風味付与剤については、
2,4-デカジエナール:2-アセチル-1-ピロリンは10:1~103:1程度の重量比、
2,4-デカジエナール:2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジンは1:1~102:1程度の重量比、
2,4-デカジエナール:2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジンは1:1~102:1程度の重量比、
2,4-デカジエナール:2-アセチルチアゾールは4:1~4×102:1程度の重量比、
の割合が好適である。
【0039】
《3》本発明の風味付与剤を添加する対象食品
本発明の風味付与剤は、各種食品に添加して当該食品に穀物を茹で等の加熱処理をした際に生じる風味を付与することができる。特に、穀物を原料とする加工食品である即席麺(即席カップ麺、即席袋めん)やカップライス等の即席食品に好適に利用することができる。
具体的には、例えば、穀物である小麦を使用する麺類に関しては即席麺に好適に利用することができる。
また、穀物である米を使用する食品として、即席食品である米を使用するカップライスに利用することができる。このように各種の即席食品(乾燥食品・レトルト食品等)に広く風味付与の目的で利用することができる。さらに、チルド食品や冷凍食品にも使用することができる。
【実施例】
【0040】
以下の本発明の実施例について説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0041】
[試験例1]2,4-デカジエナール及びメチオナールを利用した場合の風味付与効果について検討
2,4-デカジエナール及びメチオナールを利用した場合について検討した。尚、2,4-デカジエナール比較対象として、2,4-ノナジエナール(2,4-nonadienal)及び2,4-ウンデカジエナール(2,4-undecadienal)を用いた。さらに、メチオナールの比較対象として、メチオノール(methionol)を用いた。具体的には、以下の表1に記載するように風味付与剤を調製した。尚、溶媒は食用油であるパーム油を用いた。
【0042】
また、2,4-ノナジエナール(2,4-nonadienal)、2,4-デカジエナール(2,4-decadienal)、2,4-ウンデカジエナール(2,4-undecadienal) 、メチオナール(methional)及びメチオノール(methionol)については、市販の香料素材を利用した。これらより表1の配合組成となるように風味付与剤を調製した。尚、溶剤は食用油であるパーム油を用いた。
【0043】
【0044】
表1で調製した各試験区の風味付与剤を以下の加工食品に添加した。当該加工食品としては、醤油味の即席麺(日清食品株式会社(製)の商品名:出前一丁(登録商標)どんぶり)を利用した。当該即席麺に対して410mlの熱湯を注湯し、3分後に攪拌して即席麺の調理を完成させた。
当該即席麺(480g)に対して、その0.05重量%となるように表1の各試験区の風味付与剤を添加して、攪拌した後、上記の風味付与剤を添加しないブランクの即席麺と比較した。
【0045】
官能評価は、熟練のパネラー5名により行い、“風味”については、穀物を水分と共に加熱した際に生じる調理感の強弱によって0~9の10段階で評価した。尚、0:コントロールと比較し風味が同じ ⇔ 9:風味が非常に強い、の10段階の評価で行った。結果を表2に示す。
【0046】
【0047】
─結果─
2,4-デカジエナール及びメチオナールの組み合わせが、本発明の風味付与において特に有効であることが判明した。
【0048】
[試験例2]香料をさらに添加した場合の風味付与効果について検討
上記の結果より得られた2,4-デカジエナール及びメチオナールを含む風味付与剤に対して、さらに、2-アセチル-1-ピロリン、2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジン
2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン又は2-アセチルチアゾールをさらに添加した場合の効果について検討した。
尚、2-アセチルチアゾールについては、市販の香料を利用した。さらに、2-アセチル-1-ピロリン、2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジン及び
2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジンについては当該すべての成分を含む素材を以下の方法で調整した。
【0049】
すなわち、プロリン1.5重量部、グルコース0.1重量部、小麦粉0.4重量部、アルカリ剤として炭酸水素ナトリウム0.1重量部を水10重量部に混合・懸濁して、パーム油87.9重量部を入れた後、オートクレープを140℃で10分処理を行った。
【0050】
これによって2-アセチル-1-ピロリン、2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジン及び2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジンを含む香料含有素材を調製し、以下の試験に用いた。尚、当該香料含有素材についてはGC/MS(Agilent社、機種5977)によって2-アセチル-1-ピロリン等の成分を分析をすることによってその濃度を測定し各試験区の調製に用いた。
また、2-アセチルチアゾールについては、市販の香料素材を利用した。これらより表3の配合で風味付与剤を調製した。尚、溶媒は食用油であるパーム油を用いた。
【0051】
【0052】
表3に記載の各試験区の風味付与剤を試験例1と同様に、官能試験の結果を表4に示す。尚、官能試験は試験例1と同様に調理済みの即席麺(480g)に対して、その0.05重量%となるように表3の各試験区の風味付与剤を添加して実施した。評価基準は試験例1と同様にした。結果を表4に示す。
【0053】
【0054】
─結果─
2,4-デカジエナール及びメチオナールに追加して2-アセチル-1-ピロリン、2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジン、2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジンを併用することで風味付与効果が増強することが判明した。また、2-アセチルチアゾールを追加することによって風味付与効果が増強した。