IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-3DNANDエッチング 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】3DNANDエッチング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240213BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240213BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20240213BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20240213BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20240213BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20240213BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 104H
H01L29/78 371
H10B41/27
H10B43/27
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021503162
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 US2019043648
(87)【国際公開番号】W WO2020023867
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】62/711,285
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/743,877
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チアン, シーシー
(72)【発明者】
【氏名】マンナ, プラミット
(72)【発明者】
【氏名】チー, ポー
(72)【発明者】
【氏名】マリック, アビジート
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ルイ
(72)【発明者】
【氏名】北島 知彦
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトセル, ハリー エス.
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ホイユアン
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-021546(JP,A)
【文献】特表2017-510983(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0178920(US,A1)
【文献】特開2014-220468(JP,A)
【文献】特表2014-516205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H10B 43/27
H10B 41/27
H01L 21/336
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜積層体をエッチングする方法であって、
第1の厚さの膜積層体が形成された基板を提供することと、
側壁及び底部を有する実質的に均一な幅の間隙を形成するために、前記膜積層体を第2の厚さの深さまでエッチングすることであって、前記第2の厚さが前記第1の厚さよりも薄い、エッチングすることと、
前記間隙の前記側壁及び前記底部にライナを堆積させることと、
前記間隙の前記底部から前記ライナをエッチングすることと、
前記間隙の深さを伸ばすために、前記膜積層体を、ライナに対して第3の厚さの深さまで選択的にエッチングすることと、
前記ライナを約500°C以上の温度における、水蒸気を含む雰囲気中でのアニーリングを含むプロセスによって除去することと、
を含む、方法。
【請求項2】
交互になった複数の層の厚さが約200Åから約300Åの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エッチングの前に、前記膜積層体上にパターニングされたハードマスクを形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記パターニングされたハードマスクの開口が、前記膜積層体のエッチングされるべき部分を露出させる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記開口が、約10nmから約100nmの範囲内の幅を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ライナがホウ素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ライナがB、BN、BC、又はBCNのうちの一又は複数を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ライナが、約10Åから約50Åの範囲内の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ライナが炭素を含み、前記ライナは、約300°Cから約400 °Cの範囲内の温度で実施される酸素プラズマ灰化を更に含むプロセスによって除去される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
各エッチングプロセスが実質的に指向性である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
膜積層体をエッチングする方法であって、
第1の厚さの膜積層体が形成された基板を提供することであって、前記膜積層体が、交互になった酸化物と窒化物の層を備える、基板を提供することと、
前記膜積層体上にパターニングされたハードマスクを形成することと、
側壁及び底部を有する実質的に均一な幅の間隙を形成するために、前記ハードマスクを通して、前記膜積層体を第2の厚さの深さまでエッチングすることであって、前記第2の厚さが前記第1の厚さよりも薄い、エッチングすることと、
前記間隙の前記側壁及び前記底部にライナを堆積させることであって、共形の前記ライナがホウ素を含む、ライナを堆積させることと、
前記間隙の前記底部から前記ライナをエッチングすることと、
前記間隙の深さを伸ばすために、前記膜積層体を、ライナに対して第3の厚さの深さまで選択的にエッチングすることと、
前記ライナを除去するために、蒸気雰囲気下で前記基板のアニーリングを実施することと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記間隙の前記実質的に均一な幅が、約10nmから約100nmの範囲内である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ライナが、約10Åから約50Åの範囲内の厚さを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
膜積層体をエッチングする方法であって、
約200Åから約300Åの範囲内の第1の厚さの膜積層体が形成された基板を提供することであって、前記膜積層体が、交互になった酸化物と窒化物の層を備える、基板を提供することと、
前記膜積層体上に、前記膜積層体を露出させる開口を有するパターニングされたハードマスクを形成することであって、前記開口が、約10nmから約100nmの範囲内の幅を有する、パターニングされたハードマスクを形成することと、
側壁及び底部を有する実質的に均一な幅の間隙を形成するために、前記ハードマスクを通して、前記膜積層体を第2の厚さの深さまでエッチングすることであって、前記第2の厚さが前記第1の厚さよりも薄い、エッチングすることと、
前記間隙の前記側壁及び前記底部にライナを堆積させることであって、共形の前記ライナがホウ素及び炭素を含む、ライナを堆積させることと、
前記間隙の前記底部から前記ライナをエッチングすることと、
前記間隙の深さを伸ばすために、前記膜積層体を、ライナに対して第3の厚さの深さまで選択的にエッチングすることと、
前記ライナを、
約500°C以上の温度において、蒸気雰囲気下でアニーリングを実施すること、及び
約300°Cから約400 °Cの範囲内の温度で酸素プラズマ灰化を実施すること、を含む、プロセスによって除去することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は概して、半導体デバイスに間隙又はフィーチャ(特徴)を形成するためのエッチング方法に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、三次元半導体デバイスにワードライン(wordlines)を形成するためのエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理業界及びエレクトロニクス処理業界は、製造歩留まりを増大させつつ、表面積が大型化している基板上に堆積される層の均一性を向上させるために、努力を続けている。これらの要因が新たな材料と組み合わされることで、基板面積あたりの回路の集積化の増大が更にもたらされる。回路の集積化が増大するにつれ、層の厚さに関する均一性及びプロセス制御を向上させる必要性も高まる。その結果として、層の物理的特性及び化学的特性に対する制御を維持しつつ、費用対効果の高いやり方で基板上に層を堆積させ、基板上の層をエッチングするために、様々な技術が開発されてきた。
【0003】
V-NAND構造又は3D-NAND構造は、フラッシュメモリ応用において使用される。V-NANDデバイスは、多数のセルがブロック状に配置されている、垂直に積層されたNAND構造物である。ワードラインの形成前の基板は、層状の酸化物積層体である。この層状の酸化物積層体を垂直に通過する間隙又はスリット内に、メモリストリングが形成される。
【0004】
一般に、3D NAND構造物の形成では、膜積層体内に直線的プロファイルをエッチングすることが必要になる。しかし、現行のエッチングプロセスでは、特に厚い膜積層体の場合には、エッチングされた間隙の側壁が損傷されて、膜積層体の中央部で側壁が曲がることになる。これらの間隙は太さが不均一になり、その後に間隙が導電性材料で充填された時に、抵抗の変動がもたらされうる。
【0005】
エッチングプロセスのローディング効果により、太さが均一な間隙を形成することは困難である。現行のエッチングプロセスは、厚型積層体のエッチング中に間隙の側壁を損傷することが多いので、積層体の中央部又は底部よりも上部において、間隙の太さが不均一になる。この差異は、多くの場合、酸化物積層体の層が増加すると共に、より顕著になる。
【0006】
したがって、当該技術分野では、三次元構造デバイスにおいて厚さが均一なワードライン間隙を形成するための方法が、必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一又は複数の実施形態は、膜積層体をエッチングする方法を対象としている。この方法は、第1の厚さの膜積層体が表面上に形成された基板を提供することを含む。側壁と底部とを有する実質的に均一な幅の間隙を形成するために、膜積層体は第2の厚さの深さまでエッチングされる。第2の厚さは第1の厚さよりも薄い。間隙の側壁及び底部にライナが堆積される。間隙の底部から、ライナがエッチングされる。間隙の深さを伸ばすために、膜積層体は、ライナに対して第3の厚さの深さまで選択的にエッチングされる。ライナが除去される。
【0008】
本開示の追加の実施形態も、膜積層体をエッチングする方法を対象としている。この方法は、第1の厚さの膜積層体が表面上に形成された基板を提供することを含む。膜積層体は、交互になった酸化物と窒化物の層を備える。膜積層体上には、パターニングされたハードマスクが形成される。側壁と底部とを有する実質的に均一な幅の間隙を形成するために、膜積層体は、ハードマスクを通して、第2の厚さの深さまでエッチングされる。第2の厚さは第1の厚さよりも薄い。原子層堆積によって、間隙の側壁及び底部に共形ライナが堆積される。共形ライナはホウ素を含む。間隙の底部から、ライナがエッチングされる。間隙の深さを伸ばすために、膜積層体は、ライナに対して第3の厚さの深さまで選択的にエッチングされる。ライナを除去するために、酸化雰囲気下で基板のアニーリングが実施される。
【0009】
本開示の更なる実施形態は、膜積層体をエッチングする方法を対象としている。この方法は、約3000nmから約7000nmの範囲内の第1の厚さの膜積層体が表面上に形成された、基板を提供することを含む。膜積層体は、交互になった酸化物と窒化物の層を備える。膜積層体上には、膜積層体を露出させる開口を有するパターニングされたハードマスクが形成される。
これらの開口は、約1nmから約100nmの範囲内の幅を有する。側壁と底部とを有する実質的に均一な幅の間隙を形成するために、膜積層体は、ハードマスクを通して、第2の厚さの深さまでエッチングされる。第2の厚さは第1の厚さよりも薄い。原子層堆積によって、間隙の側壁及び底部に、実質的に共形のライナが堆積される。共形ライナはホウ素及び炭素を含む。間隙の底部から、ライナがエッチングされる。間隙の深さを伸ばすために、膜積層体は、ライナに対して第3の厚さの深さまで選択的にエッチングされる。ライナは、蒸気雰囲気下における約500°C以上の温度でのアニーリングと、約300°Cから約400 °Cの範囲内の温度での酸素プラズマ灰化とを含むプロセスによって、除去される。
【0010】
本開示の上述の特徴を詳しく理解しうるように、上記で簡単に要約した本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られる。一部の実施形態は付随する図面に示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、付随する図面はこの開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに、留意されたい。本書に記載の実施形態は、添付図面の図に、限定ではなく例示のために示されており、添付図面では、類似の参照符号が類似の要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本書に記載の一又は複数の実施形態による、膜積層体をエッチングする方法のフロープロセス図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示のいくつかの例示的な実施形態について説明する前に、本開示は以下の説明に明記されている詳細な構成又はプロセスステップに限定されるわけではないことを、理解されたい。本開示は、他の実施形態も可能であり、様々なやり方で実践又は実行されうる。
【0013】
この明細書及び付随する特許請求の範囲において使用される場合、「基板(substrate)」という語は、プロセスが作用する表面又は表面の一部分のことを指す。基板に対する言及は、文脈で別様に明示されない限り、基板の一部のみに対する言及でありうることも、当業者には理解されよう。更に、基板への堆積に対する言及は、ベア基板と、一又は複数の膜又はフィーチャが表面上に堆積又は形成された基板との、両方を意味しうる。
【0014】
本書で使用される場合、「基板」とは、製造プロセス中に表面上に膜処理が実施される任意の基板、又はかかる基板上に形成された任意の材料面のことを指す。例えば、表面上に処理が実施されうる基板表面は、応用に応じて、ケイ素、酸化ケイ素、歪みシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたケイ素、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイアといった材料、並びに他の任意の材料(金属、金属窒化物、金属合金、及びその他の導電性材料など)を含む。基板は半導体ウエハを含むが、これに限定されるわけではない。基板は、基板表面を研磨し、エッチングし、還元し、酸化させ、ヒドロキシル化し(又は、化学官能性を付与するためにターゲットの化学部分(chemical moieties)を別様に生成若しくはグラフトし)、アニーリングし、かつ/又はベイクするための、前処理プロセスに曝露されることもある。基板の表面自体への直接的な処理に加えて、本開示では、開示している膜処理ステップのいずれもが、より詳細に後述するように、基板上に形成された下層にも実施されうる。「基板表面(substrate surface)」という語は、文脈に示されるように、かかる下層を含むことが意図されている。ゆえに、例えば、膜/層又は部分的な膜/層が基板表面上に堆積された場合、新たに堆積された膜/層の露出面が基板表面となる。所与の基板表面が何を含むかは、どのような材料が堆積されるかだけでなく、使用される特定の化学的性質にも左右される。
【0015】
この明細書及び付随する特許請求の範囲で使用される場合、「前駆体(precursor)」、「反応体(reactant)」、「反応性ガス(reactive gas)」などの語は、基板表面と反応しうる任意のガス状種を指すために、互換可能に使用される。
【0016】
本書で使用される場合、「原子層堆積(atomic layer deposition)」又は「周期的堆積(cyclical deposition)」とは、基板表面上に材料の層を堆積させるための、2つ以上の反応性化合物への順次曝露のことを指す。基板又は基板の一部分は、処理チャンバの一反応ゾーンに導入される2つ以上の反応性化合物に、別々に曝露される。時間領域ALDプロセスでは、各化合物が、基板表面に付着しかつ/又は基板表面上で反応してから、処理チャンバからパージされることを可能にするために、各反応性化合物への曝露が時間遅延によって分離される。これらの反応性化合物は基板を順次曝露すると言われる。空間ALDプロセスでは、基板上の所与の点のいずれもが、実質的に、1を上回る数の反応性化合物に同時に曝露されないように、基板表面又は基板表面上の材料の別々の部分が2つ以上の反応性化合物に同時に曝露される。この明細書及び付随する特許請求の範囲で使用される場合、このように使用される「実質的に(substantially)」という語は、当業者には理解されるように、基板の小さな部分が複数の反応性ガスに(拡散により)同時に曝露されうる可能性はあるが、この同時曝露は意図的ではないことを意味する。
【0017】
時間領域ALDプロセスの一態様では、第1反応性ガス(すなわち、第1前駆体又は化合物A)が反応ゾーン内にパルス供給された後に、第1時間遅延が発生する。次に、第2前駆体又は化合物Bが反応ゾーン内にパルス供給された後に、第2遅延が発生する。各時間遅延において、反応ゾーンをパージするか、又は、残留している反応性化合物若しくは反応副生成物があればそれを反応ゾーンから別様に除去するために、パージガス(アルゴンなど)が処理チャンバに導入される。あるいは、反応性化合物のパルス供給間の時間遅延中にパージガスだけが流れるように、堆積プロセス全体を通じてパージガスが連続的に流れることもある。反応性化合物は、基板表面上に望ましい膜又は膜厚が形成されるまで、交互にパルス供給される。どちらの場合であっても、化合物A、パージガス、化合物B、そしてパージガスをパルス供給するALDプロセスが1サイクルである。サイクルは、化合物Aと化合物Bのいずれかで始まってよく、所定の厚さを有する膜が実現されるまで、サイクルのそれぞれの段階が継続されうる。
【0018】
空間ALDプロセスの一実施形態では、第1反応性ガスと第2反応性ガス(例えば窒素ガス)は、反応ゾーンに同時に供給されるが、不活性ガスカーテン及び/又は真空カーテンによって分離される。基板は、基板上の所与の点のいずれもが第1反応性ガスと第2反応性ガスとに曝露されるように、ガス供給装置に対して動かされる。
【0019】
本開示の実施形態は、膜積層体をエッチングする方法であって、均一な幅の間隙を提供する方法を、有利に提供する。理論に縛られるわけではないが、エッチングを浅くし、保護ライナを使用することにより、側壁の損傷が少なく、膜積層体を通る間隙の幅が均一になるプロセスがもたらされると考えられている。
【0020】
本書で使用される場合、「実質的に均一(substantially uniform)」な幅の間隙とは、全体を通じて(例えば、間隙の上部、中央部、及び底部において)幅がほぼ同じ間隙のことを指す。理論に縛られるわけではないが、厳密に均一な幅の間隙の実現はより困難であることが前提とされる。したがって、実質的に均一な幅の間隙とは、幅が約10%、5%、2%、1%又は0.5%以下しか変動しない間隙である。
【0021】
本書で使用される場合、「実質的に共形」のライナとは、厚さが全体を通じて(例えば、側壁の上部、中央部、及び底部、並びに間隙の底部において)ほぼ同じライナのことを指す。実質的に共形のライナは、厚さが約10%、5%、2%、1%又は0.5%以下しか変動しない。
【0022】
本書で使用される場合、「実質的に指向性の(substantially directional)」エッチングプロセスとは、一方向において、別の方向よりも多量の材料を除去する(例えば、垂直トレンチの側壁をエッチングせずに膜積層体から垂直トレンチを除去する)プロセスのことを指す。実質的に指向性のプロセスは、第1の方向では、第1の方向に対して直角な第2の方向で材料が除去されるよりも、10倍、20倍、50倍、又は100倍速い速度で、材料を選好的に除去する。
【0023】
図1は、本開示の一又は複数の実施形態による、膜積層体をエッチングする方法100のフロー図を示している。図1を参照するに、方法100は、膜積層体220が表面上に形成された基板210から始まる。膜積層体220は、複数の層220a、220bで構成される。一部の実施形態では、複数の層220a、220bは、膜積層体220内で交互になっている。一部の実施形態では、膜積層体220は、交互になった層を2つ以上備える一部の実施形態では、膜積層体220は、約2層から約500層の範囲内、約20層から約200層の範囲内、約50層から約150層の範囲内、約80層から約150層の範囲内、又は約100層から約120層の範囲内の、いくつかの層を備える。
【0024】
基板210上に形成された膜積層体220は、厚さD1(第1の厚さとも称される)を有する。一部の実施形態では、第1の厚さは、約3000nmから約7000nmの範囲内である。個々の層はそれぞれ、個別の厚さを有する。一部の実施形態では、この個別の厚さは、約100Åから約3000Åの範囲内、約100Å~約500Å、又は約500Åから約3000Åの範囲内である。
【0025】
一部の実施形態では、膜積層体220は、交互になった酸化物と窒化物の層を備える。一部の実施形態では、膜積層体220は、交互になった酸化物とポリシリコンの層の積層体を含む。
【0026】
一部の実施形態では、工程110において、膜積層体220上にパターニングされたハードマスク230が形成される。パターニングされたハードマスク230は、任意の好適なプロセスによって形成されうる。一部の実施形態では、パターニングされたハードマスク230は、ブランケットハードマスクとして形成され、その後、パターニングされたハードマスク230が形成されるようエッチングされる。一部の実施形態では、パターニングされたハードマスク230は、パターン(例えばパターンプリント)を有するハードマスクとして堆積される。一部の実施形態では、工程110は実施されず、方法100は、膜積層体220上のパターニングされたハードマスク230から始まる。
【0027】
パターニングされたハードマスク230は、膜積層体220を部分的に露出させる開口235を有する。一部の実施形態では、開口235は、約1 nmから約100nm、約2 nmから約80nm、約3 nmから約75nm、約4nmから約50nm、又は約5nmから約50nmの範囲内の幅を有する。
【0028】
工程120において、膜積層体220は、第2の厚さD2の深さまでエッチングされる。第2の厚さD2は第1の厚さD1よりも薄い。換言すると、工程120におけるエッチングプロセスでは、膜積層体220全体がエッチングされるわけではない。工程120のエッチングプロセスにより、間隙240が形成される。間隙240は、側壁242と底部245の少なくとも一方を有する。間隙240は、実質的に均一な幅Wを有する。
【0029】
工程130において、間隙240の側壁242と底部245の少なくとも一方に、ライナ250が堆積される。一部の実施形態では、ライナ250はホウ素(B)を含む。一部の実施形態では、ライナ250は、窒素(N)又は炭素(C)を更に含む。一部の実施形態では、ライナ250は、ホウ素、窒化ホウ素(BN)、炭化ホウ素(BC)、又は炭窒化ホウ素(BCN)のうちの、一又は複数を含む。
【0030】
工程130において、ライナは、任意の好適なプロセスによって堆積されうる。一部の実施形態では、ライナ250は、原子層堆積(ALD)によって堆積される。一部の実施形態では、ライナは、化学気相堆積(CVD)によって堆積される。
【0031】
本書で使用される場合、「原子層堆積」又は「周期的堆積」とは、基板表面上に材料の層を堆積させるための、2つ以上の反応性化合物への順次曝露のことを指す。基板又は基板の一部分は、処理チャンバの一反応ゾーンに導入される2つ以上の反応性化合物に別々に曝露される。時間領域ALDプロセスでは、各化合物が、基板表面に付着しかつ/又は基板表面上で反応してから、処理チャンバからパージされることを可能にするために、各反応性化合物への曝露が時間遅延によって分離される。これらの反応性化合物は基板を順次曝露すると言われる。空間ALDプロセスでは、基板上の所与の点が1を上回る数の反応性化合物に同時に曝露されることがないように、基板表面の別々の部分が2つ以上の反応性化合物に同時に曝露される。この明細書及び付随する特許請求の範囲で使用される場合、このように使用される「実質的に」という語は、当業者には理解されるように、基板の小さな部分が複数の反応性ガスに(拡散により)同時に曝露されうる可能性はあるが、この同時曝露は意図的ではないことを意味する。本書で使用される場合「化学気相堆積(chemical vapor deposition)」とは、基板表面が、複数の前駆体及び/又は共試薬に、同時に又は実質的に同時に曝露されるプロセスのことを指す。本書で使用される場合「実質的に同時に(substantially simultaneously)」とは、共流のことか、或いは前駆体の意図的な重複がある場合のことを指す。
【0032】
一部の実施形態では、ライナ250は連続している。一部の実施形態では、ライナ250は実質的に共形である。一部の実施形態では、ライナ250は、間隙240の少なくとも1つの側壁242において、間隙240の底部245よりも厚くなっている。一部の実施形態では、間隙240の少なくとも1つの側壁242における厚さは、間隙240の底部245におけるライナ250の厚さの、約100パーセント以上、約110パーセント以上、約120パーセント以上、約125パーセント以上、約150パーセント以上、又は約200パーセント以上となる。一部の実施形態では、ライナ250は、1つの側壁において、約10Åから約50Åの範囲内の厚さを有する。一部の実施形態では、ライナ250は、開口235の幅と比較して算出される厚さを有する。一部の実施形態では、ライナ250は、間隙240の向かい合った側壁において、開口235の総幅の約50%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、又は約10%以下の値を含む、厚さを有する。
【0033】
工程140において、膜積層体220を露出させるために、ライナ250が間隙240の底部245からエッチングされる。
【0034】
工程150において、膜積層体220は、ライナに対して第3の厚さD3の深さまで、選択的にエッチングされる。150において膜積層体220をエッチングすることにより、間隙240の全深が伸びる。
【0035】
一部の実施形態では、第2の厚さD2と第3の厚さD3との合計は、第1の厚さD1を下回る。換言すると、工程150におけるエッチングプロセスでは、膜積層体220全体がエッチングされるわけではない。一部の実施形態では、工程130、140、及び150は、膜積層体220から所定の厚さがエッチングされるまで反復されうる。
【0036】
本書で使用される場合、「選択的にエッチングされる(selectively etched)」という表現又は類似の表現は、対象の材料が他の材料よりも多くエッチングされることを意味する。一部の実施形態では、「選択的に(selectively)」は、対象の材料が、非選択表面からの除去速度の約10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、又は50倍以上の速度で、除去されることを意味する。理論に縛られるわけではないが、ライナ250は、工程150において、間隙240の少なくとも1つの側壁242を保護し、膜積層体の選択的エッチングを可能にすると考えられている。
【0037】
一部の実施形態では、図示していないが、工程150の後に、少なくとも1つの側壁242からライナ250が除去される。一部の実施形態では、ライナ250は、酸化雰囲気中でのアニーリングを含むプロセスによって除去される。一部の実施形態では、酸化雰囲気は、O、O、HO、H、CO、CO、NO、NO、又はNOのうちの、一又は複数を含む。一部の実施形態では、アニーリングは、約450°C以上、約500°C以上、約600°C以上、約750°C以上、約1000°C以上、約1100°C以上、又は約1200 °以上の温度で実施される。一部の実施形態では、ライナは、水プラズマを含むプロセスによって除去される。一部の実施形態では、ライナは、酸素プラズマ灰化を含むプロセスによって除去される。一部の実施形態では、酸素プラズマ灰化は、約300°Cから約400 °Cの範囲内の温度で実施される。
【0038】
理論に縛られるわけではないが、ライナがホウ素を含んでいれば、このホウ素が蒸気アニーリングプロセスによって除去されうると考えられている。更に、ライナが炭素を含んでいれば、この炭素が酸素プラズマ灰化プロセスによって除去されうる。
【0039】
工程120と150はそれぞれ、膜積層体220をエッチングすることを伴う。工程140は、底部のライナ250をエッチングすることを伴う。工程120、140、及び150で使用されるエッチングプロセスは、任意の好適なエッチングプロセスでありうる。工程150で使用されるエッチングプロセスは、ライナ250よりも膜積層体220に対して選択的な、任意の好適なエッチングプロセスでありうる。一部の実施形態では、工程120のエッチングプロセスは実質的に指向性である。一部の実施形態では、工程140のエッチングプロセスは実質的に指向性である。一部の実施形態では、工程150のエッチングプロセスは実質的に指向性である。一部の実施形態では、工程120と150で利用されるエッチングプロセスは、類似したプロセスである。一部の実施形態では、工程140で利用されるエッチングプロセスは、工程120で利用されるエッチングプロセスとも、工程150で利用されるエッチングプロセスとも異なる。このように使用する場合、類似したエッチングプロセスとは、同じ条件下で同じ試薬を使用して実施されるものである。類似したプロセス同士の間でも条件は若干変化してよく、かかる変化は本開示の範囲に含まれることが、当業者には認識されよう。
【0040】
この明細書全体を通じて、「一実施形態(one embodiment/an embodiment)」、「ある種の実施形態(certain embodiments)」、又は「一又は複数の実施形態(one or more embodiments)」に対する言及は、実施形態に関連して説明している特定のフィーチャ、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。ゆえに、この明細書全体の様々な箇所における、「一又は複数の実施形態では(in one or more embodiments)」、「ある種の実施形態では(in certain embodiments)」、又は「一実施形態では(in one embodiment/in an embodiment)」といった表現の表出は、必ずしも、本開示の同一の実施形態に言及しているわけではない。更に、かかる特定のフィーチャ、構造、材料、又は特性は、一又は複数の実施形態において、任意の好適なやり方で組み合わされうる。
【0041】
本書の開示は、特定の実施形態に関連付けて説明してきたが、これらの実施形態は、本開示の原理及び応用の単なる例示であることを理解されたい。本開示の方法及び装置には、本開示の本質及び範囲から逸脱することなく、様々な改変及び変形がなされうることが、当業者には自明となろう。ゆえに、本開示は、付随する特許請求の範囲及びその均等物の範囲に含まれる改変及び変形を含むことが意図されている。
図1