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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】半導体装置及び容量センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/34 20060101AFI20240213BHJP
   G01K 11/06 20060101ALI20240213BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240213BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20240213BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G01K7/34
G01K11/06 C
H01L27/04 V
H01L27/04 T
G06K19/07 170
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023041600
(22)【出願日】2023-03-16
(62)【分割の表示】P 2019197712の分割
【原出願日】2019-10-30
(65)【公開番号】P2023093435
(43)【公開日】2023-07-04
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 雅之
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-333484(JP,A)
【文献】特開2001-318111(JP,A)
【文献】特開2012-112798(JP,A)
【文献】特表2009-529703(JP,A)
【文献】特開2016-109465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00 - 19/00
G01L 7/00 - 23/32
G01R 27/26
H03K 17/955
H01L 21/822
G06K 19/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境変化に応じて静電容量が変化するセンサーコンデンサの第1及び第2の電極を夫々外部接続可能に構成された第1及び第2の電極パッドと、
一対の電極のうちの一方の電極が前記第1の電極パッドに接続されているコンデンサと、
前記センサーコンデンサの容量が変化したか否かを判定する為の閾値を供給する基準静電容量を有する容量回路と、
前記コンデンサの前記一対の電極のうちの他方の電極に電気的に接続されて第1の充電電流を供給する為の第1の端子と、前記容量回路に電気的に接続されて第2の充電電流を供給する為の第2の端子とを含み、前記第1の端子の電位及び前記第2の端子の電位を比較しその比較結果に基づき前記センサーコンデンサの静電容量が変化したか否かを検出する判定回路と、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記容量回路は、前記第2の端子と電気的に接続されている共通ラインに接続されており静電容量が可変な第1の回路部と、前記共通ラインに接続されており静電容量が可変な第2の回路部と、を含み、
前記第2の回路部の静電容量をマージン用静電容量に設定する第1のトリミング信号を前記第2の回路部に供給するコントローラと、
前記第1の回路部の静電容量を時間経過に伴い段階的に変化する静電容量に設定する第2のトリミング信号を前記第1の回路部に供給するキャリブレーションを実行するキャリブレーション回路と、を含み、
前記コントローラは、
前記キャリブレーションの実行中に前記判定回路で前記第1の端子の電位が前記第2の端子の電位と等しいと判定されたときに前記第2のトリミング信号を不揮発性のメモリに格納させ、次回の電源投入時に前記メモリに格納されている前記第2のトリミング信号によって前記第1の回路部の静電容量を設定することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記環境変化とは、周囲の温度が所定温度より低い状態から前記所定温度以上に変化することであり、
前記センサーコンデンサの前記一対の電極間に挟まれている誘電体は、前記所定温度の融点を有するワックスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
環境変化に応じて静電容量が変化するセンサーコンデンサと第1のコンデンサとが直列に接続されている直列回路の両端の電極を夫々外部接続可能に構成された第1及び第2の電極パッドと、
前記センサーコンデンサの容量が変化したか否かを判定する為の閾値を供給する基準静電容量を有する容量回路と、
前記直列回路の両端の電極のうちの一方の電極に電気的に接続されて第1の充電電流を供給する為の第1の端子と、前記容量回路に電気的に接続されて第2の充電電流を供給する為の第2の端子とを含み、前記第1の端子の電位及び前記第2の端子の電位を比較しその比較結果に基づき前記センサーコンデンサの静電容量が変化したか否かを検出する判定回路と、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
前記容量回路は、前記第2の端子と電気的に接続されている共通ラインに接続されており静電容量が可変な第1の回路部と、前記共通ラインに接続されており静電容量が可変な第2の回路部と、を含み、
前記第2の回路部の静電容量をマージン用静電容量に設定する第1のトリミング信号を前記第2の回路部に供給するコントローラと、
前記第1の回路部の静電容量を時間経過に伴い段階的に変化する静電容量に設定する第2のトリミング信号を前記第1の回路部に供給するキャリブレーションを実行するキャリブレーション回路と、を含み、
前記コントローラは、
前記キャリブレーションの実行中に前記判定回路で前記第1の端子の電位が前記第2の端子の電位と等しいと判定されたときに前記の第2トリミング信号を不揮発性のメモリに格納させ、次回の電源投入時に前記メモリに格納されている前記第2のトリミング信号によって前記第1の回路部の静電容量を設定することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記環境変化とは、周囲の温度が所定温度より低い状態から前記所定温度以上に変化することであり、
前記センサーコンデンサの一対の電極間に挟まれている誘電体は、前記所定温度の融点を有するワックスであることを特徴とする請求項4又は5に記載の半導体装置。
【請求項7】
環境変化に応じて静電容量が変化するセンサーコンデンサと、
一対の電極のうちの一方の電極が前記センサーコンデンサの一方の電極に接続されているコンデンサと、
前記センサーコンデンサの容量が変化したか否かを判定する為の閾値を供給する基準静電容量を有する容量回路と、
前記コンデンサの前記一対の電極のうちの他方の電極に電気的に接続されて第1の充電電流を供給する為の第1の端子と、前記容量回路に電気的に接続されて第2の充電電流を供給する為の第2の端子とを含み、前記第1の端子の電位及び前記第2の端子の電位を比較しその比較結果に基づき前記センサーコンデンサの静電容量が変化したか否かを検出する判定回路と、を有することを特徴とする容量センサ装置。
【請求項8】
前記容量回路は、前記第2の端子と電気的に接続されている共通ラインに接続されており静電容量が可変な第1の回路部と、前記共通ラインに接続されており静電容量が可変な第2の回路部と、を含み、
前記第2の回路部の静電容量をマージン用静電容量に設定する第1のトリミング信号を前記第2の回路部に供給するコントローラと、
前記第1の回路部の静電容量を時間経過に伴い段階的に変化する静電容量に設定する第2のトリミング信号を前記第1の回路部に供給するキャリブレーションを実行するキャリブレーション回路と、を含み、
前記コントローラは、
前記キャリブレーションの実行中に前記判定回路で前記第1の端子の電位が前記第2の端子の電位と等しいと判定されたときに前記第2のトリミング信号を不揮発性のメモリに格納させ、次回の電源投入時に前記メモリに格納されている前記第2のトリミング信号によって前記第1の回路部の静電容量を設定することを特徴とする請求項7に記載の容量センサ装置。
【請求項9】
前記環境変化とは、周囲の温度が所定温度より低い状態から前記所定温度以上に変化することであり、
前記センサーコンデンサの前記一対の電極間に挟まれている誘電体は、前記所定温度の融点を有するワックスであることを特徴とする請求項7又は8に記載の容量センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサの静電容量の変化を検出する容量センサ回路を含む半導体装置及び容量センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の搬送中または保管中にその物品が晒された環境温度の変化の履歴を検出し、検出した情報を無線送信する機能を備えたICタグが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
当該ICタグには、環境温度の変化を検出するセンサとして、蝋の塊を誘電体として電極間に充填したコンデンサ、及び蝋の塊が液化した場合に液状の蝋を吸収する吸収部を用いている。つまり、当該コンデンサでは、環境温度が蝋の融点に達するほどの高温に至ると、コンデンサの電極間に充填されていた蝋が液化して吸収部に吸収される。これにより、コンデンサの電極間に挟まれた領域は空気で満たされる。この際、空気の誘電率は蝋の誘電率よりも小さいため、コンデンサの静電容量は減少し、インピーダンスが増加する。
【0004】
そこで、ICタグには、このインピーダンスを当該コンデンサの静電容量として検出し、その検出結果を示すデータを無線送信させる回路が設けられている。
【0005】
当該ICタグから無線送信されたデータは、所定の受信装置で受信される。受信装置は、所定の閾値と、受信した検出結果、つまりコンデンサのインピーダンスの値とを比較し、蝋が融解したか否かを判定する。この際、蝋が融解したと判定した場合には、現時点までに蝋の融点を超えるような高い温度環境に晒された経緯があることが確認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-333484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載のICタグでは、コンデンサのインピーダンスを当該コンデンサの静電容量として検出する為に、検出用の電流をコンデンサに供給して当該コンデンサを充電する必要がある。
【0008】
したがって、静電容量が大きなコンデンサを用いた場合には検出に費やされる消費電流が大きくなる。
【0009】
この際、無線給電によって電力の供給を受けるタイプのICタグは、自身に搭載されている電源回路の電流供給能力が低い。よって、上記したようなコンデンサの静電容量の検出に費やされる消費電流が大きい、或いはコンデンサに対する充電速度が速い場合には、電源電位の低下が起こり、動作不良が生じる虞があった。
【0010】
そこで、本発明は、環境変化に応じて静電容量が変化するコンデンサとして静電容量が大きなものを用いた場合でも消費電流の増大を抑えて当該コンデンサの静電容量の変化を検出することが可能な半導体装置及び容量センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る半導体装置は、環境変化に応じて静電容量が変化するセンサーコンデンサの第1及び第2の電極を夫々外部接続する為の第1及び第2の電極パッドと、一対の電極のうちの一方の電極が前記第1の電極パッドに接続されているコンデンサと、基準静電容量を有する容量回路と、第1及び第2の中継端子を含み、前記第1の中継端子から充電電流を送出して前記コンデンサの前記一対の電極のうちの他方の電極に供給すると共に、前記第2の中継端子から充電電流を送出して前記容量回路に供給し、続いて前記第1の中継端子の電位と前記第2の中継端子の電位との大きさを比較しその比較結果に基づき前記センサーコンデンサの静電容量が変化したか否かを検出する判定回路と、を有する。
【0012】
また、本発明に係る半導体装置は、環境変化に応じて静電容量が変化するセンサーコンデンサと第1のコンデンサとが直列に接続されている直列回路の両端の電極を夫々外部接続する為の第1及び第2の電極パッドと、基準静電容量を有する容量回路と、第1及び第2の中継端子を含み、前記第1の中継端子から充電電流を送出して前記直列回路の両端の電極のうちの一方の電極に供給すると共に、前記第2の中継端子から充電電流を送出して前記容量回路に供給し、続いて前記第1の中継端子の電位と前記第2の中継端子の電位との大きさを比較しその比較結果に基づき前記センサーコンデンサの静電容量が変化したか否かを検出する判定回路と、を有する。
【0013】
本発明に係る容量センサ装置は、環境変化に応じて静電容量が変化するセンサーコンデンサと、一対の電極のうちの一方の電極が前記センサーコンデンサの一方の電極に接続されているコンデンサと、基準静電容量を有する容量回路と、第1及び第2の中継端子を含み、前記第1の中継端子から充電電流を送出して前記コンデンサの前記一対の電極のうちの他方の電極に供給すると共に、前記第2の中継端子から充電電流を送出して前記容量回路に供給し、続いて前記第1の中継端子の電位と前記第2の中継端子の電位との大きさを比較しその比較結果に基づき前記センサーコンデンサの静電容量が変化したか否かを検出する判定回路と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、環境変化に応じて静電容量が変化するセンサーコンデンサを充電した際の電位に基づき当該センサーコンデンサの静電容量が変化したか否かを検出するにあたり、当該センサーコンデンサと直列にコンデンサを接続し、その直列回路に充電電流を供給することでセンサーコンデンサの充電を行う。
【0015】
よって、当該直列回路による合成静電容量をセンサーコンデンサの静電容量よりも小さくすることができる。したがって、センサーコンデンサとして比較的静電容量が大きいものを採用した場合でも、その充電動作時にこの直列回路に流れる充電電流の電流量を抑えて当該センサーコンデンサの静電容量の変化を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】容量センサ装置を含むセンサータグ150の外観を表す斜視図である。
図2】センサータグ150の保護板120を透過して基板110の表面に形成されているデバイスを眺めた平面図である。
図3】センサータグ150及びリーダーライタ200間で無線通信を行う際の形態を示す図である。
図4】ICチップ100に形成されている回路の構成を示すブロック図である。
図5】容量センサ回路15の構成を示すブロック図である。
図6】切替回路SWの動作を表す図である。
図7】判定回路JCの構成を示す回路図である。
図8】キャリブレーション回路CALに含まれる制御回路41、トリミング信号選択回路42、及びクロック信号制御回路CLKCを示す回路図である。
図9】キャリブレーション回路CALに含まれるトリミング信号生成回路43を示す回路図である。
図10】容量回路CAP10(CAP20)の内部構成を示す回路図である。
図11】容量回路CAP30の内部構成を示す回路図である。
図12】センサーコンデンサ50を電極パッドP0及びP2に接続した場合における容量センサ回路15内の状態を記述したブロック図である。
図13】キャリブレーション動作を表すタイムチャートである。
図14】判定回路JCの内部動作を表すタイムチャートである。
図15】センサーコンデンサ50を電極パッドP3及びP2に接続した場合における容量センサ回路15内の状態を記述したブロック図である。
図16】電極パッドP2及び切替回路SWの入力端子CIN0M2間に含まれる回路の等価回路図である。
図17】テストモードでの容量センサ回路15内の状態を記述したブロック図である。
図18】容量センサ回路15の他の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下の各実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一または等価な部分には同一の参照符号を付している。
【0018】
図1は、本発明に係る容量センサ装置を含むセンサータグ150の外観を表す斜視図である。尚、センサータグ150は、自身が所定の温度より高い環境温度に晒されたことがあったか否かを検出し、その旨を無線送信する機能を備えた例えばパッシブ型のRFID(Radio Frequency Identification)ICタグである。
【0019】
センサータグ150は、以下に説明する複数のデバイスが一方の面に形成されている基板110と、当該複数のデバイスを覆うように基板110の一方の面に貼着されている保護板120と、を含む。尚、基板110及び保護板120は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)等のフレキシブル基板である。
【0020】
図2は、図1に示す白抜き矢印の方向から、センサータグ150の保護板120を透過して基板110の表面に形成されているデバイスを眺めた平面図である。
【0021】
図2に示すように、基板110の一方の面上には、IC(Integrated Circuit)チップ100、アンテナ20、及びセンサーコンデンサ50等のデバイスが形成されている。
【0022】
アンテナ20は、例えば導電性の配線材料からなり、半導体装置としてのICチップ100の電極パッドに接続されている。
【0023】
センサーコンデンサ50は、自身の静電容量が周囲の温度によって不可逆的に変化する構造を有し、当該静電容量の変化に基づき環境温度の変化を検知する温度センサとして機能する。
【0024】
例えば、センサーコンデンサ50は、図2に示すように、基板110の一方の面上において当該一方の面に沿って配置された櫛型形状の電極W1及びW2と、電極W1及びW2各々の櫛歯同士の間に充填されているワックス(蝋)WXとを含む。尚、電極W1及びWは、互いの櫛歯が交互に並置するように対向して配置されている櫛形の平面パターンを有する電極である。ワックスWXは、コンデンサの誘電体の役目を担う。ワックスWXは、環境温度が所定の融点以下である場合には固体の状態を維持し、環境温度がその融点より高くなると液化する。よって、センサーコンデンサ50が当該融点より高い環境温度に晒されると、誘電体としてのワックスWXが液化して電極W1及びW2間から流出し、センサーコンデンサ50の静電容量が低下する。
【0025】
これにより、温度センサとしてのセンサーコンデンサ50は、環境温度が所定温度(蝋の融点)以下の場合には所定の第1の静電容量を有し、環境温度が所定温度よりも高くなると第1の静電容量よりも低い第2の静電容量に変化する。尚、その後、環境温度がワックスWXの融点以下に戻っても、流出してしまったワックスWXは戻らないので、センサーコンデンサ50は、上記した第2の静電容量の状態を維持する。
【0026】
センサーコンデンサ50の電極W1及びW2各々の一端は、ICチップ100の外部端子としての電極パッド(後述する)に夫々接続されている。
【0027】
センサータグ150に含まれるICチップ100には、センサーコンデンサ50の静電容量を検出し、この静電容量に基づく各種の情報及び識別IDを、図3に示すようにリーダーライタ200に無線送信する回路が形成されている。尚、センサーコンデンサ50の静電容量に基づく各種の情報には、ICチップ100が所定温度より高い環境温度に晒された経緯があるか否かを示す情報、又は当該静電容量を示す情報等が含まれる。
【0028】
図4は、ICチップ100に形成されている回路の構成を示すブロック図である。
【0029】
図4に示すように、ICチップ100には、整流回路11、電源回路12、送受信回路13、コントローラ14、自身の識別IDが格納されている不揮発性のメモリ16、及び容量センサ回路15が形成されている。
【0030】
整流回路11には、電極パッドPXを介してアンテナ20が接続されている。アンテナ20は、リーダーライタ200からの無線電波を受信して得た受信情報(コマンドコードを含む)を表す高周波信号、及び無線給電用の高周波電流を電極パッドPXを介して受けて整流回路11に供給する。
【0031】
整流回路11は、高周波電流を整流して得た直流電圧を電源回路12に供給すると共に、当該高周波信号に整流及び検波を施して得た信号を受信信号として送受信回路13に供給する。また、整流回路11は、送受信回路13から供給された変調信号をアンテナ20に供給する。
【0032】
電源回路12は、整流回路11から供給された直流電圧に基づき電圧値一定の電源電圧VDを生成し、送受信回路13、コントローラ14、メモリ16及び容量センサ回路15に供給する。かかる電源電圧VDの供給を受けることで、送受信回路13、コントローラ14、メモリ16及び容量センサ回路15は、夫々以下の動作を行う。
【0033】
送受信回路13は、整流回路11から供給された受信信号に復調処理を施すことでコマンドコードを取得し、これをコントローラ14に供給する。また、送受信回路13は、例えば近距離無線通信で用いるUHF帯、HF(High Frequency)帯、又はLF(Low Frequency)帯に対応した搬送波信号を、コントローラ14から供給された送信用情報で変調した変調信号を整流回路11に供給する。
【0034】
コントローラ14は、メモリ16に格納されている識別IDを読み出し、これを取り込む。
【0035】
更に、コントローラ14は、ICチップ100に外部接続されているセンサーコンデンサ50の静電容量を検出させる各種制御信号を容量センサ回路15に供給する。
【0036】
ここで、容量センサ回路15は、かかる各種制御信号に応じて、センサーコンデンサ50の静電容量と基準静電容量との大きさを比較する。そして、容量センサ回路15は、その比較結果に基づきセンサーコンデンサ50の静電容量が第1の静電容量から当該第1の静電容量より低い第2の静電容量に変化したか否かを判定する。容量センサ回路15は、この判定結果をコントローラ14に供給する。
【0037】
コントローラ14は、その判定結果に基づきセンサータグ150が所定の温度より高い環境温度に晒された経緯があるか否かを示す温度変化情報を生成し、当該温度変化情報と自身の識別IDとを含む情報を上記した送信用情報として送受信回路13に供給する。
【0038】
これにより、センサータグ150は、自身が所定の温度より高い環境温度に晒された経緯があるか否かを示す温度変化情報及び識別IDを、図3に示すようにリーダーライタ200に無線送信する。
【0039】
以下に、容量センサ回路15の構成について詳細に説明する。
【0040】
容量センサ回路15は、図4に示すようにICチップ100の外部端子としての電極パッドP0~P3に接続されている。電極パッドP0~P3は、いわゆるボンディングパッドであり、いずれも同じ容量値の寄生容量を有する。
【0041】
ここで、電極パッドP0~P3のうちのP0及びP3は、上記したセンサーコンデンサ50の電極W1及びW2のうちの一方の電極である電極W1を外部接続する為の電極パッドである。また、電極パッドP2は、当該センサーコンデンサ50の電極W1及びW2のうちの他方の電極W2を外部接続する為の電極パッドである。
【0042】
ここで、電極パッドP0は、センサーコンデンサ50の静電容量が比較的小さい場合に、当該センサーコンデンサ50の電極W1を接続する為の電極パッドである。一方、電極パッドP3は、センサーコンデンサ50の静電容量が比較的大きい場合に、当該センサーコンデンサ50の電極W1を接続する為の電極パッドである。
【0043】
図5は、容量センサ回路15の構成を示すブロック図である。
【0044】
容量センサ回路15は、ダイオードD0~D5、抵抗R0~R2、キャリブレーション回路CAL、判定回路JC、切替回路SW、付加コンデンサCX、第1の容量回路CAP10、第2の容量回路CAP20、及び第3の容量回路CAP30を含む。
【0045】
電極パッドP0には、ダイオードD0のアノード、ダイオードD1のカソード、及び抵抗R0の一端が接続されている。ダイオードD0のカソードには電源電圧が印加されており、ダイオードD1のアノードは接地されている。抵抗R0の他端は、ノードn0を介して切替回路SWの入力端子CIN0Pに接続されている。
【0046】
電極パッドP1には、ダイオードD2のアノード、ダイオードD3のカソード、第1の容量回路CAP10の容量接続端子CIN、及び抵抗R1の一端が接続されている。ダイオードD2のカソードには電源電圧が印加されており、ダイオードD3のアノードは接地されている。抵抗R1の他端は、ノードn1を介して切替回路SWの入力端子CIN1Pに接続されている。
【0047】
電極パッドP2は接地されている。
【0048】
電極パッドP3には、ダイオードD4のアノード、ダイオードD5のカソード、抵抗R2の一端、及び付加コンデンサCXの一端が接続されている。ダイオードD4のカソードには電源電圧が印加されており、ダイオードD5のアノードは接地されている。抵抗R2の他端はノードn20を介して切替回路SWの入力端子CIN0Mに接続されており、付加コンデンサCXの他端は切替回路SWの入力端子CIN0M2に接続されている。
【0049】
尚、付加コンデンサCXとしては、例えばMIM(Metal-Insulator-Metal)キャパシタや、MOM(Metal Oxide Metal)キャパシタ、或いはMOS(Metal Oxide Semiconductor)キャパシタ等、どのような構造のコンデンサを用いても良い。また、ダイオードD0~D5としては、夫々のカソードの寄生容量及びアノードの寄生容量が全て同一のものが用いられる。また、抵抗R0~R2の各抵抗値は同一である。
【0050】
上記したダイオードD0~D5及び抵抗R0~R2により、ICチップ100の外部から電極パッドP0~P3を介して侵入する静電気から内部回路(SW、JC、CAL、CAP10、CAP20及びCAP30)を保護する保護回路を構成している。更に、抵抗R0~R2、及びノードn0、n1及びn20各々の寄生容量がフィルタの役割を果たすため、ICチップ100の外部から電極パッドP0、P1及びP3を介して入り込むノイズに対する耐性が高い。
【0051】
切替回路SWの入力端子CIN1Tには第2の容量回路CAP20の容量接続端子CINが接続されており、切替回路SWの入力端子CIN0Tには第3の容量回路CAP30の容量接続端子CINが接続されている。
【0052】
切替回路SWは、コントローラ14から、夫々が2値(例えば接地電位、及び電源電位)のテストモード信号TEST及び切替信号OPT2を受ける。尚、以降、2値のうちの高電位の方をHレベル、低電位の方をLレベルと称する。切替回路SWは、かかるテストモード信号TEST及び切替信号OPT2に基づき、入力端子CIN0M、CIN0M2、CIN0P、CIN1P、CIN1T、CIN0Tの状態を設定する。更に、切替回路SWは、当該テストモード信号TEST及び切替信号OPT2に基づき、2値のテスト信号ITEST2、反転テスト信号ITEST2、及び信号CIN0TPを生成する。
【0053】
尚、テストモード信号TESTは、ICチップ100単体で、容量センサ回路15による検出動作及びキャリブレーション(後述する)が正常に行われるか否かのテストを実施する場合にHレベル、それ以外の場合にはLレベルを有する信号である。また、切替信号OPT2は、センサーコンデンサ50をICチップ100の電極パッドP2及びP0間に接続する場合にはLレベル、電極パッドP2及びP3間に接続する場合にはHレベルを有する。
【0054】
図6は、切替回路SWの動作を表す図である。
【0055】
ずなわち、切替回路SWは、テストモード信号TEST及び切替信号OPT2が共にHレベルである場合には、入力端子CIN0M、CIN0M2、CIN1T及びCIN0Tを接地電位の状態に設定する。更に、この際、切替回路SWは、入力端子CIN0Pを自身の第1の中継端子CIN0と接続し、入力端子CIN1Pを自身の第2の中継端子CIN1と接続する。
【0056】
また、切替回路SWは、テストモード信号TESTがHレベルであり且つ切替信号OPT2がLレベルである場合には、入力端子CIN0Mをハイインピーダンス状態に設定し、CIN0P、CIN1P及びCIN0Tを接地電位の状態に設定する。更に、この際、切替回路SWは、入力端子CIN0M2を中継端子CIN0と接続し、入力端子CIN1Tを中継端子CIN1と接続する。
【0057】
また、切替回路SWは、テストモード信号TESTがLレベルであり且つ切替信号OPT2がHレベルである場合には、入力端子CIN0M、CIN0M2、CIN0P及びCIN1Pを接地電位の状態に設定する。更に、この際、切替回路SWは、入力端子CIN1Tを中継端子CIN1と接続し、入力端子CIN0Tを中継端子CIN0と接続する。
【0058】
また、切替回路SWは、テストモード信号TEST及び切替信号OPT2が共にHレベルである場合にはHレベルを有し、TEST及びOPT2のうちの一方がLレベルである場合にはLレベルを有するテスト信号ITEST2を生成する。切替回路SWは、テスト信号ITEST2を第1の容量回路CAP10に供給すると共に、当該テスト信号ITEST2のレベルを反転(LレベルからHレベル、又はHレベルからLレベルに反転)した反転テスト信号ITESTB2を第2の容量回路CAP20に供給する。
【0059】
また、切替回路SWは、テストモード信号TESTがHレベルであり且つ切替信号OPT2がLレベルである場合にはLレベルを有し、それ以外の場合にはHレベルを有する信号CIN0TPを生成する。切替回路SWは、信号CIN0TPを第3の容量回路CAP30に供給する。
【0060】
切替回路SWの中継端子CIN0は判定回路JCの中継端子CIN0と接続されており、切替回路SWの中継端子CIN1は判定回路JCの中継端子CIN1と接続されている。
【0061】
判定回路JCは、中継端子CIN0、ノードn0(又はn20)、抵抗R0(又はR2)、電極パッドP0(又はP3)を介してセンサーコンデンサ50を充放電する。また、判定回路JCは、中継端子CIN1、ノードn1及び抵抗R1を介して容量回路CAP10を充放電する。また、判定回路JCは、中継端子CIN1を介して容量回路CAP20を充放電する。また、判定回路JCは、中継端子CIN0を介して容量回路CAP30を充放電する。
【0062】
そして、判定回路JCは、センサーコンデンサ50を充放電させることで生じた中継端子CIN0の電位と、容量回路CAP10(又はCAP20)を充放電させることで生じた中継端子CIN1の電位との大きさを比較する。この際、判定回路JCは、当該比較の結果に基づきセンサーコンデンサ50の静電容量が第1の静電容量から第2の静電容量に変化したか否かを判定し、その判定結果を示す検出信号COUTをキャリブレーション回路CAL及びコントローラ14に供給する。更に、判定回路JCは、中継端子CIN0の電位と、中継端子CIN1の電位との差が所定値よりも小さいか否か、つまり両者が略同一であるか否かを判定し、その判定結果を示すフラグ信号COUT2をコントローラ14に供給する。
【0063】
また、判定回路JCは、コントローラ14から供給されたリークテスト信号ILTに応じて、自身のリークテストを実行する。
【0064】
図7は、判定回路JCの構成を示す回路図である。
【0065】
図7に示すように、判定回路JCは、リークテスト受付部30、制御部31、バイアス信号生成部32、第1の電流供給部33、第2の電流供給部34、差動アンプ部35、タイミング生成回路36、インバータ部37及びデータラッチ部38を有する。
【0066】
リークテスト受付部30は、インバータINV4及びインバータINV5から構成されている。インバータINV4の出力端はインバータINV5の入力端と接続されている。
【0067】
インバータINV4は入力端でリークテスト信号ILTを受け、そのレベルを反転させた信号を反転信号IILTBとして電流供給部33及び34に夫々供給すると共にこれをインバータINV5に供給する。インバータINV5は、反転信号IILTBのレベルを反転させた信号を制御信号IILTとしてバイアス信号生成部32に供給する。
【0068】
制御部31は、NAND0、NAND1、NAND2及びインバータINV0から構成されている。
【0069】
NAND0、NAND1及びNAND2は、否定論理積を出力する2入力のNANDゲート回路である。NAND0は、入力端の一方でクロック信号CLKINを受ける。NAND1及びNAND2は、フリップフロップ回路を構成している。NAND1は、入力端の力端の一方でクロック信号CLKINを受ける。NAND1の出力端は、NAND0の入力端の他方に接続されている。NAND2の入力端の一方は、ノードn9を介して、NAND1の出力端とともにNAND0の入力端の他方に接続されている。NAND2の出力端子は、ノードn10を介してNAND1の入力端の他方に接続されている。NAND0は、NAND1の出力がHレベルである間はLレベルの状態を維持し、NAND1の出力がLレベルである間は、クロック信号CLKINのレベルを反転させた信号を、クロック信号CLKとしてノードn2に出力する。インバータINV0は、入力端がノードn2を介してNAND0の出力端子に接続されている。インバータINV0は、入力端に入力されたNAND0の出力信号のレベルを反転させた信号を反転クロック信号としてバイアス信号生成部32に供給する。
【0070】
バイアス信号生成部32は、トランジスタPM6、トランジスタNM9、トランジスタNM10及びトランジスタNM13を含む。
【0071】
トランジスタPM6は、Pチャネル型MOSFETPチャネル型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)から構成されている。トランジスタPM6のソースは電源に接続され、ドレインがノードn3に接続されている。トランジスタPM6は、自身のゲートで制御信号IILTを受ける。トランジスタNM9、NM10及びNM13は、第2導電型のトランジスタであるNチャネル型MOSFETから構成されている。トランジスタNM9は、インバータINV0が出力した反転クロック信号を自身のゲートで受ける。トランジスタMN9のドレインはノードn3に接続されており、ソースがトランジスタMN10のドレインに接続されている。トランジスタNM10のソースは接地されており、ゲートがノードn3に接続されている。トランジスタNM13は、Nチャネル型MOSFETから構成されている。トランジスタNM13のソースは接地されており、ドレインがノードn3に接続されている。トランジスタNM13は、自身のゲートで上記した制御信号IILTの供給を受ける。
【0072】
電流供給部33は、トランジスタPM2、NM2及びNM11を含む。
【0073】
トランジスタPM2は、第1導電型のトランジスタであるPチャネル型MOSFETから構成されている。トランジスタPM2のソースには電源が接続されており、ゲートがノードn2に接続されている。トランジスタPM2のドレインには中継端子CIN0が接続されている。トランジスタNM2及びNM11は、第2導電型のトランジスタであるNチャネル型MOSFETから構成されている。トランジスタNM2のゲートはノードn2に接続されており、ドレインには中継端子CIN0が接続されている。トランジスタNM2のソースには、トランジスタNM11のドレインが接続されている。トランジスタNM11のソースは接地されており、自身のゲートで反転信号IILTBを受ける。
【0074】
電流供給部34は、トランジスタPM3、NM3及びNM12を含む。
【0075】
トランジスタPM3は、第1導電型のトランジスタであるPチャネル型MOSFETから構成されている。トランジスタPM3のソースには電源が接続されており、ゲートがノードn2に接続されている。トランジスタPM3のドレインには中継端子CIN1が接続されている。トランジスタNM3及びNM12は、第2導電型のトランジスタであるNチャネル型MOSFETから構成されている。トランジスタNM3のゲートはノードn2に接続されており、ドレインには中継端子CIN1が接続されている。トランジスタNM3のソースには、トランジスタNM12のドレインが接続されている。トランジスタNM12のソースは接地されており、自身のゲートで反転信号IILTBを受ける。
【0076】
差動アンプ部35は、中継端子CIN0及びCIN1の電位差を増幅して出力する差動増幅回路である。差動アンプ部35は、トランジスタPM0、PM1、NM0、NM1及びNM8を含む。
【0077】
トランジスタPM0及びPM1は、第1導電型のトランジスタであるPチャネル型MOSFETから構成されている。トランジスタPM0及びPM1は、各々のソースが電源に接続され、ゲート同士が互いに接続されるとともに共通して接地されている。トランジスタPM0のドレインはノードn4及びトランジスタNM0のドレインに接続されている。トランジスタPM1のドレインはノードn5及びトランジスタNM1のドレインに接続されている。
【0078】
トランジスタNM0、NM1及びNM8は、第2導電型のトランジスタであるNチャネル型MOSFETから構成されている。トランジスタNM0のゲートは、トランジスタPM2のドレイン及びトランジスタNM2のドレインに接続されるとともに、中継端子CIN0端子に接続されている。トランジスタNM1のゲートは、トランジスタPM3のドレイン及びトランジスタNM3のドレインに接続されるとともに、中継端子CIN1に接続されている。
【0079】
トランジスタNM8は、ソースが接地され、ドレインがトランジスタNM0及びNM1のソースに接続されている。トランジスタNM8のゲートはノードn3に接続され、ノードn3を介してトランジスタNM10のゲート、トランジスタPM6のドレイン及びトランジスタNM9のドレインに接続されている。トランジスタNM8は、定電流源回路としての機能を有する。定電流源回路としてのトランジスタNM8が送出する定電流(テイル電流)は、バイアス信号生成部32からのバイアス信号(すなわち、ノードn3の電位)によって制御される。
【0080】
タイミング生成回路36は、NOR0、NOR1、NOR2、NAND3、インバータINV1、インバータINV2及びインバータINV3を含む。
【0081】
インバータINV1は、入力端がノードn7に接続されている。インバータINV1は、ノードn7の信号のレベルを反転した反転信号をNOR1に供給する。インバータINV2は、入力端がノードn6に接続されている。インバータINV2は、ノードn6の信号のレベルを反転した反転信号をNOR2に供給する。
【0082】
NOR1及びNOR2は、否定論理和を出力する2入力のNORゲート回路である。NOR1の入力端の一方は、インバータINV2の入力端と共通してノードn6に接続されている。NOR1の入力端の他方は、インバータINV1の出力端に接続されている。NOR1は、ノードn6の信号とインバータINV1から出力された反転信号との否定論理和の信号をNOR0に供給する。
【0083】
NOR2の入力端の一方は、インバータINV1の入力端と共通してノードn7に接続されている。NOR2の入力端の他方は、インバータINV2の出力端に接続されている。NOR2は、ノードn7上の信号とインバータINV2から出力された反転信号との否定論理和の信号をNOR0に供給する。
【0084】
NAND3は、否定論理積を出力する2入力のNANDゲート回路である。NAND3の入力端の一方はノードn6に接続されている。NAND3の入力端の他方は、ノードn7に接続されている。NAND3は、ノードn6上の信号及びノードn7上の信号の否定論理積を表す信号をインバータINV3に供給すると共に、当該信号をノードn12を介してデータラッチ部38に供給する。
【0085】
インバータINV3は、NAND3から出力された信号のレベルを反転した信号をノードn11を介してNOR0に供給する。
【0086】
NOR0は、否定論理和を出力する3入力のNORゲート回路である。NOR0は、NOR1、NOR2及びインバータINV3各々から出力された信号の否定論理和の結果を表す信号をノードn8を介して制御部31のNAND2に供給する。
【0087】
インバータ部37は、差動アンプ部35からの出力信号を反転して出力する回路部である。インバータ部37は、トランジスタPM4、PM5、NM4、NM5、NM6及びNM7を含む。
【0088】
トランジスタPM4及びPM5は、第1導電型のトランジスタであるPチャネル型MOSFETから構成されており、トランジスタNM4~NM7は、第2導電型のトランジスタであるNチャネル型MOSFETから構成されている。
【0089】
トランジスタPM4は、ソースが電源に接続され、ゲートがノードn4に接続されている。トランジスタNM4は、ゲートが電源に接続され、ドレインがトランジスタPM4のドレインと共通してノードn6に接続されている。トランジスタNM5は、第2導電型のトランジスタであるNチャネル型MOSFETから構成されている。トランジスタNM5は、ソースが接地され、ドレインがトランジスタNM4のソースに接続され、ゲートがノードn4に接続されている。
【0090】
トランジスタPM5は、ソースが電源に接続され、ゲートがノードn5に接続されている。トランジスタNM6は、ゲートが電源に接続され、ドレインがトランジスタPM5のドレインと共通してノードn7に接続されている。トランジスタNM7は、ソースが接地され、ドレインがトランジスタNM6のソースに接続され、ゲートがノードn5に接続されている。
【0091】
上記した差動アンプ部35及びインバータ部37の構成により、中継端子CIN0の電位に対して中継端子CIN1の電位が大きいか否かを表す信号がノードn6に出力される。また、中継端子CIN1の電位に対して中継端子CIN0の電位が大きいか否かを表す信号がノードn7に出力される。
【0092】
なお、上記したトランジスタPM0及びPM1は、同じディメンション(ゲート長、ゲート幅等)で形成されている。同様に、トランジスタPM2とPM3、PM4とPM5、NM0とNM1、NM2とNM3、NM4とNM6、及びNM5とNM7は、それぞれ同じディメンションで形成されている。
【0093】
データラッチ部38は、第1のラッチ回路LT1及び第2のラッチ回路LT2から構成されている。
【0094】
ラッチ回路LT1及びLT2各々のクロック端子には、ノードn2を介してクロック信号CLKが供給されている。ラッチ回路LT1の信号入力端子にはノードn7が接続されており、ラッチ回路LT2の信号入力端子にはノードn12が接続されている。
【0095】
ラッチ回路LT1は、クロック信号CLKがLレベルの間、ノードn7の信号を取り込む。
【0096】
そして、クロック信号CLKがLレベルからHレベルに遷移したとき、ラッチ回路LT1は、その直前に取り込んだノードn7の信号レベルを反転させた信号を、センサーコンデンサ50の静電容量が第1の静電容量から、この第1の静電容量より低い第2の静電容量に変化したか否かを示す検出信号COUTとして出力する。その後、ラッチ回路LT1は、クロック信号CLKが再度LレベルからHレベルに遷移するまで、その取り込んだ信号レベルを保持しつつ、これを検出信号COUTとして出力する。
【0097】
ラッチ回路LT2は、クロック信号CLKがLレベルの間、ノードn12の信号を取り込む。そして、クロック信号CLKがLレベルからHレベルに遷移したとき、ラッチ回路LT2は、その直前に取り込んだノードn12の信号レベルを反転させた信号を、中継端子CIN0の電位と中継端子CIN1の電位とが略同一であるか否かを表すフラグ信号COUT2として出力する。
【0098】
キャリブレーション回路CALは、コントローラ14から、キャリブレーションイネーブル信号CALEN、センサイネーブル信号CSREN、クロック信号CLK、第1トリミング信号TC<n:0>(nは2以上の整数)を受ける。
【0099】
尚、キャリブレーションイネーブル信号CALENは、判定回路JCに通常動作を実行させる通常モードとキャリブレーション動作を実行させるキャリブレーションモードとの切り替えを行うための2値の信号である。キャリブレーションイネーブル信号CALENは、例えばキャリブレーションモードを表す場合にはHレベル、通常モードではLレベルとなる。センサイネーブル信号CSRENは、容量センサ回路15を活性状態(通常動作を実行する通常モードの状態)と、非活性状態(非活性モードの状態)とに切り替えるための信号である。例えばセンサイネーブル信号CSRENが、Lレベルのときは非活性モードを表し、Hレベルのときは通常モードを表す。第1トリミング信号TC<n:0>は、第1の容量回路CAP10又は第2の容量回路CAP20で設定する静電容量(つまり、コンデンサ50に付加されるICチップ100の外部の寄生容量分を含む静電容量)を指定する為の(n+1)ビットのデータ信号である。この際、第1トリミング信号TC<n:0>によって第1の容量回路CAP10又は第2の容量回路CAP20の静電容量を指定することで、ICチップ100の外部で生じる寄生容量分をキャンセルすることができる。
【0100】
更に、キャリブレーション回路CALは、判定回路JCから出力された検出信号COUTを受ける。
【0101】
キャリブレーション回路CALは、CALEN、CSREN、CLK、TC<n:0>及びCOUTに応じて、制御信号ICAL、第2トリミング信号TCO<n:0>、トリミング信号ITC<n:0>、及びクロック信号CLKINを生成する。
【0102】
以下に、かかるキャリブレーション回路CALの動作について詳細に説明する。
【0103】
図8及び図9は、キャリブレーション回路CALの構成を示す回路図である。
【0104】
キャリブレーション回路CALは、図8に示す制御回路41、トリミング信号選択回路42、クロック信号制御回路CLKC、及び図9に示すトリミング信号生成回路43を含む。
【0105】
制御回路41は、インバータINV40及びインバータINV41から構成されている。
【0106】
インバータINV40の出力端は、インバータINV41の入力端と接続されている。インバータINV40の入力端には、キャリブレーションイネーブル信号CALENが供給される。インバータINV40は、2値のキャリブレーションイネーブル信号CALENの信号レベルを反転した信号を反転制御信号ICALBとして出力する。インバータINV41は、反転制御信号ICALBの信号レベルを反転した信号を制御信号ICALとして出力する。
【0107】
制御回路41は、制御信号ICAL及び反転制御信号ICALBを、トリミング信号選択回路42及びトリミング信号生成回路43と共に、図5に示すように、第1の容量回路CAP10及び第2の容量回路CAP20に供給する。
【0108】
トリミング信号選択回路42は、n+1個の信号選択部42-0~42-nから構成されている。
【0109】
信号選択部42-0~42-nは、第1選択信号TC<0>~TC<n>、及び第2選択信号TCO<0>~TCO<n>を受ける。
【0110】
尚、第1選択信号TC<0>~TC<n>は、コントローラ14から送出された第1トリミング信号TC<n:0>の各桁をなす信号であり、夫々が2値、つまり所定のLレベル又はHレベルの信号レベルを有する。第2選択信号TCO<0>~TCO<n>は、第2トリミング信号TCO<n:0>の各桁をなす信号であり、夫々が2値(Lレベル又はHレベル)の信号レベルを有する。尚、第2選択信号TCO<0>~TCO<n>は、トリミング信号生成回路43で生成(後述する)される。
【0111】
信号選択部42-0は、トランジスタPM40-0、NM40-0、PM50-0及びNM50-0を含む。トランジスタPM40-0のゲートには、制御回路41から出力された制御信号ICALが供給される。トランジスタPM40-0のソース及びトランジスタNM40-0のドレインは互いに接続され、第1選択信号TC<0>の供給を受ける。トランジスタPM40-0のドレイン及びトランジスタNM40-0のソースは互いに接続されている。
【0112】
トランジスタNM40-0のゲート及びトランジスタPM50-0のゲートは互いに接続され、反転制御信号ICALBの供給を受ける。トランジスタPM50-0のソース及びトランジスタNM50-0のドレインは互いに接続され、第2選択信号TCO<0>の供給を受ける。トランジスタNM50-0のゲートには、制御回路41から出力された制御信号ICALが供給される。トランジスタPM50-0のドレイン及びトランジスタNM50-0のソースは互いに接続されている。
【0113】
トランジスタPM40-0のドレイン及びトランジスタNM40-0のソースの接続部と、トランジスタPM50-0のドレイン及びトランジスタNM50-0のソースの接続部と、は互いに接続されており、信号選択部42-0は、その接続端から選択信号ITC<0>を出力する。
【0114】
信号選択部42-1~42-nも同様の構成を有する。例えば、信号選択部40―nは、トランジスタPM40-n、NM40-n、PM50-n及びNM50-nを含む。トランジスタPM40-nのゲートには、制御回路41から出力された制御信号ICALが供給される。トランジスタPM40-nのソース及びトランジスタNM40-nのドレインは互いに接続され、第1選択信号TC<n>の供給を受ける。トランジスタPM40-nのドレイン及びトランジスタNM40-nのソースは互いに接続されている。
【0115】
トランジスタNM40-nのゲート及びトランジスタPM50-nのゲートは互いに接続され、反転制御信号ICALBの供給を受ける。トランジスタPM50-nのソース及びトランジスタNM50-nのドレインは互いに接続され、第2選択信号TCO<n>の供給を受ける。トランジスタNM50-nのゲートには、制御回路41から出力された制御信号ICALが供給される。トランジスタPM50-nのドレイン及びトランジスタNM50-nのソースは互いに接続されている。
【0116】
トランジスタPM40-nのドレイン及びトランジスタNM40-nのソースの接続部と、トランジスタPM50-nのドレイン及びトランジスタNM50-nのソースの接続部と、は互いに接続されており、信号選択部42-nは、その接続端から選択信号ITC<n>を出力する。
【0117】
上記した構成により、制御回路41及びトリミング信号選択回路42は、キャリブレーションイネーブル信号CALENに基づき、第1トリミング信号TC<n:0>、及び第2トリミング信号TCO<n:0>のうちの一方を選択する。
【0118】
つまり、制御回路41及びトリミング信号選択回路42は、キャリブレーションイネーブル信号CALENがLレベルである場合には、第1トリミング信号TC<n:0>を選択する。一方、キャリブレーションイネーブル信号CALENがLレベルである場合には、制御回路41及びトリミング信号選択回路42は、第2トリミング信号TCO<n:0>を選択する。
【0119】
そして、制御回路41及びトリミング信号選択回路42は、TCO<n:0>及びTC<n:0>のうちから選択した方を、トリミング信号ITC<n:0>として、図5に示すように第1の容量回路CAP10及び第2の容量回路CAP20に供給する。
【0120】
クロック信号制御回路CLKCは、コントローラ14から送出された、夫々2値(Hレベル、Lレベル)のクロック信号CLK及びセンサイネーブル信号CSRENを受ける。
【0121】
クロック信号制御回路CLKCは、クロック信号CLK及びセンサイネーブル信号CSRENに応じて、2値の出力クロック信号ICLK、及び当該出力クロック信号ICLKの信号レベルを反転させた反転クロック信号ICLKBを生成する。すなわち、クロック信号制御回路CLKCは、センサイネーブル信号CSRENの信号レベルがLレベルのとき、Lレベル固定の出力クロック信号ICLKを生成する。一方、センサイネーブル信号CSRENの信号レベルがHレベルのとき、クロック信号制御回路CLKCは、クロック信号CLKと同相の出力クロック信号ICLKを生成する。
【0122】
クロック信号制御回路CLKCは、生成した出力クロック信号ICLKをクロック信号CLKINとして判定回路JCに供給すると共に、反転クロック信号ICLKBをトリミング信号生成回路43に供給する。
【0123】
図9に示すように、トリミング信号生成回路43は、ラッチ回路LT3、LT4、LT10-0~10-n、及びLT20-0~20-nを含む。また、トリミング信号生成回路43は、インバータINV42、インバータINV50-0~50-(n+1)、及びインバータINV60-0~60-nを含む。更に、トリミング信号生成回路43は、NAND40、及びNAND50-0~50-nを含む。
【0124】
ラッチ回路LT3の信号入力端子Qは、電源に接続されている。ラッチ回路LT3のクロック端子には、反転クロック信号ICLKBが供給される。ラッチ回路LT3の入力端子RNには、制御信号ICALが供給される。ラッチ回路LT3の出力端子QNは、ノードn30を介してインバータINV42の入力端に接続されている。インバータINV42の出力端は、ノードn31を介してラッチ回路LT4の信号入力端子Qに接続されている。
【0125】
ラッチ回路LT4のクロック端子には、反転クロック信号ICLKBが供給される。ラッチ回路LT4の入力端子RNには、制御信号ICALが供給される。ラッチ回路LT3の出力端子QNは、ノードn32を介してNAND40の入力端の一方に接続されている。
【0126】
NAND40の入力端の他方は、インバータINV42の出力端に接続されている。NAND40の出力端は、インバータINV50-(n+1)の入力端に接続されている。NAND40は、出力信号INTB<n+1>をインバータINV50-(n+1)の入力端に供給する。インバータINV50-(n+1)は、NAND40からの出力信号INTB<n+1>を反転した出力信号INT<n+1>をラッチ回路LT10-nに供給する。
【0127】
ラッチ回路LT10-nのクロック端子には、反転クロック信号ICLKBが供給される。ラッチ回路LT10-nの入力端子RNには、制御信号ICALが供給される。ラッチ回路LT10-nの信号入力端子Qは、インバータINV50-(n+1)の出力端に接続されている。ラッチ回路LT10-nは、出力信号INTB<n>を出力端QNから出力する。ラッチ回路LT10-nの出力端子QNは、インバータINV50-nの入力端に接続されるとともに、ラッチ回路LT20-nのクロック端子及びNAND50-nの入力端の一方に接続されている。
【0128】
インバータINV50-nは、ラッチ回路LT10-nの出力端QNからの出力信号INTB<n>を反転した出力信号INT<n>を出力する。インバータINV50-nの出力端は、ラッチ回路LT10-(n-1)の信号入力端に接続されている。
【0129】
ラッチ回路LT10-(n-1)のクロック端子には、反転クロック信号ICLKBが供給される。ラッチ回路LT10-(n-1)の入力端子RNには、制御信号ICALが供給される。ラッチ回路LT10-(n-1)の信号入力端子Qは、インバータINV50-nの出力端に接続されている。ラッチ回路LT10-nは、出力信号INTB<n-1>を出力端QNから出力する。ラッチ回路LT10-nの出力端子QNは、インバータINV50-(n-1)の入力端に接続されるとともに、ラッチ回路LT20-(n-1)のクロック端子及びNAND50-(n-1)の入力端の一方に接続されている。
【0130】
インバータINV50-(n-1)は、ラッチ回路LT10-(n-1)の出力端QNからの出力信号INTB<n-1>を反転した出力信号INT<n-1>を出力する。
【0131】
以下同様に、ラッチ回路LT10-k(k=(n-2)~1まで)は、クロック端子に反転クロック信号ICLKBが供給される。ラッチ回路LT10-kの入力端子RNには、制御信号ICALが供給される。ラッチ回路LT10-kの信号入力端子Qは、インバータINV50-(k+1)の出力端に接続されている。ラッチ回路LT10-kの出力端子QNは、インバータINV50-kの入力端に接続されるとともに、ラッチ回路LT20-kのクロック端子及びNAND50-kの入力端の一方に接続されている。
【0132】
ラッチ回路LT10-0のクロック端子には、反転クロック信号ICLKBが供給される。ラッチ回路LT10-0の入力端子RNには、制御信号ICALが供給される。ラッチ回路LT10-0の信号入力端子Qには、インバータINV50-nの出力信号INT<1>が供給される。ラッチ回路LT10-0は、出力信号INTB<0>を出力端QNから出力する。ラッチ回路LT10-0の出力端子QNは、インバータINV50-0の入力端に接続されるとともに、ラッチ回路LT20-0のクロック端子及びNAND50-0の入力端の一方に接続されている。
【0133】
インバータINV60-0~60-nの各々の入力端には、判定回路JCから出力された検出信号COUTが供給される。インバータINV60-0~60-nは、当該検出信号COUTのレベルを反転した信号を出力端子から出力し、ラッチ回路LT20-0~20-n各々の信号入力端子Qに供給する。
【0134】
ラッチ回路LT20-nのクロック端子には、ラッチ回路LT10-nの出力端子QNからの出力信号が供給される。ラッチ回路LT20-nの入力端子RNは、キャリブレーション回路CALのイネーブル端子EN2に接続されており、センサイネーブル信号CSRENが供給される。ラッチ回路LT20-nの信号入力端子Qは、インバータINV60-nの出力端に接続されている。ラッチ回路LT20-nの出力端子QNは、NAND50-nの入力端の他方に接続されている。
【0135】
ラッチ回路LT20-(n-1)のクロック端子には、ラッチ回路LT10-(n-1)の出力端子QNからの出力信号が供給される。ラッチ回路LT20-(n-1)の入力端子RNには、センサイネーブル信号CSRENが供給される。ラッチ回路LT20-(n-1)の信号入力端子Qは、インバータINV60-(n-1)の出力端に接続されている。ラッチ回路LT20-(n-1)の出力端子QNは、NAND50-(n-1)の入力端の他方に接続されている。
【0136】
以下同様に、ラッチ回路LT20-k(kは(n-2)~0の整数)は、クロック端子にラッチ回路LT10-kの出力端子QNからの出力信号が供給される。ラッチ回路LT20-kの入力端子RNには、センサイネーブル信号CSRENが供給される。ラッチ回路LT20-kの信号入力端子Qは、インバータINV60-kの出力端に接続されている。ラッチ回路LT20-kの出力端子QNは、NAND50-kの入力端の他方に接続されている。
【0137】
ラッチ回路LT3、LT4、LT10-0~10-n、及びLT20-0~20-nでは、入力端子RNに入力される信号の信号レベルがLレベルのとき、出力端子QNからの出力信号はHレベルに固定となる。一方、入力端子RNに入力される信号の信号レベルがHレベルのとき、クロック端子の立ち上がりで信号入力端子Qに入力された信号を反転した信号を出力端子QNから出力する。
【0138】
NAND50-0~50-nは、ラッチ回路LT10-0~10-nからの出力信号と、ラッチ回路LT20-0~20-nからの出力信号との否定論理積の信号を、第2選択信号TCO<0>~TC<n>として生成する。これにより、上記した第2トリミング信号TCO<n:0>がキャリブレーション回路CALで生成され、トリミング信号選択回路42及びコントローラ14に供給される。
【0139】
尚、第2トリミング信号TCO<n:0>は、コントローラ14によってメモリ16に一旦格納される。その後、電源投入が為される度に、コントローラ14は、メモリ16から当該第2トリミング信号TCO<n:0>を読み出し、これを第1トリミング信号TC<n:0>としてキャリブレーション回路CALに供給する。
【0140】
次に、図5に示す第1の容量回路CAP10、第2の容量回路CAP20及び第3の容量回路CAP30の構成について説明する。
【0141】
容量回路CAP10、CAP20及びCAP30は、夫々が複数のコンデンサを含み、回路全体としての静電容量の容量値を選択可能に切り替えることが可能な回路である。
【0142】
容量回路CAP10は、切替回路SWからLレベルのテスト信号ITEST2を受けた場合には非テストモードに設定され、Hレベルのテスト信号ITEST2を受けた場合にはテストモードに設定される。容量回路CAP20は、切替回路SWからLレベルの反転テスト信号ITESTB2を受けた場合には非テストモードに設定され、Hレベルの反転テスト信号ITESTB2を受けた場合にはテストモードに設定される。容量回路CAP30は、切替回路SWからLレベルの信号CIN0TPを受けた場合には非テストモードに設定され、Hレベルの信号CIN0TPを受けた場合にはテストモードに設定される。
【0143】
更に、容量回路CAP10、CAP20及びCAP30の各々は、コントローラ14から、m(mは2以上の整数)ビットからなるマージン用トリミング信号TM<m:0>、及び上記した切替信号OPT2の供給を受ける。
【0144】
容量回路CAP30は、更に、コントローラ14から、テストモード時に用いるイネーブル信号EN及び容量値選択信号TP<k:0>を受ける。
【0145】
容量回路CAP30は、イネーブル信号ENの信号レベルがHレベルのとき、マージン用トリミング信号TM<m:0>を有効となる。一方、イネーブル信号ENの信号レベルがLレベルのとき、容量回路CAP30は、マージン用トリミング信号TM<m:0>を無効にする。
【0146】
容量値選択信号TP<k:0>は、テストモード時に、センサーコンデンサ50に付加されるICチップ100外の寄生容量を想定して、容量回路CAP30の静電容量値を選択させる(k+1)ビットのデータ信号である。
【0147】
図10は、容量回路CAP10及びCAP20の構成を示す回路図である。
【0148】
尚、容量回路CAP10及びCAP20の構成については、CAP10がテスト信号ITEST2を受け、CAP20は反転テスト信号ITESTB2を受ける点を除く他の回路構成は互いに同一である。
【0149】
そこで、以下に、容量回路CAP10を抜粋してその回路構成を説明する。
【0150】
図10に示すように、容量回路CAP10(CAP20)は、第1回路部10A、第2回路部10B及び信号生成回路44を有する。
【0151】
第1回路部10Aは、コンデンサCAP20-0、CAP20-1、・・・CAP20-nと、Nチャネル型MOSFETであるトランジスタNM20-0、NM20-1、・・・NM20-nと、を含む。コンデンサCAP20-0~CAP20-nの各々は、一端が共通のラインを介して容量接続端子CINに接続され、他端がトランジスタNM20-1~NM20-nのドレインに接続されている。トランジスタNM20-0~NM20-nの各々は、ソースが接地され、ゲートに選択信号ITX<0>~ITX<n>が供給される。
【0152】
第2回路部10Bは、m+1個のコンデンサであるコンデンサCAP30-0~30-mと、m+1個のNチャネル型MOSFETであるトランジスタNM30-0~30-mと、を含む。コンデンサCAP30-0~30-mの各々の一端は、共通のラインを介して容量接続端子CINに接続されている。コンデンサCAP30-0の他端は、トランジスタNM30-0のドレインに接続されている。同様に、コンデンサCAP30-1~30-mの他端は、トランジスタNM30-1~30-mのドレインにそれぞれ接続されている。トランジスタNM30-0~30-mの各々のソースは、接地されている。トランジスタNM30-0~30-mの各々のゲートには、選択信号ITM<0>~ITM<m>が供給される。
【0153】
信号生成回路44は、INV9-0~9-nの(n+1)個のインバータと、NOR10-0~10-nの(n+1)個のNORゲート回路と、を含む。
【0154】
更に、信号生成回路44は、INV120及び121の2個のインバータと、NAND80~82の3個のNANDゲート回路と、NOR20-0~20-mの(m+1)個のNORゲート回路と、NOR30-0~30-mの(m+1)個のNORゲート回路と、1個のNORゲート回路であるNOR40と、を含む。
【0155】
NOR10-0~10-nの各々の出力端子は、INV9-0~9-nの入力端にそれぞれ接続されている。NOR10-0~10-nの各々の入力端の一方には、キャリブレーション回路CALから出力された選択信号ITC<0>~ITC<n>が夫々供給される。NOR10-0~10-nの各々の入力端の他方にはテスト信号ITEST2(CAP20ではITESTB2)が供給される。
【0156】
INV9-0~9-nは、NOR10-0~10-nの出力信号のレベルを反転した信号を、選択信号ITX<0>~ITX<n>としてトランジスタNM20-0~NM20-nの各々のゲートに供給する。
【0157】
NOR20-0~20-mの各々の出力端は、NOR30-0~30-mの各々の入力端子の一方に接続されている。NOR20-0~20-mの各々の入力端の一方は、コントローラ14から送出されたマージン用トリミング信号TM<m:0>を受ける。NOR20-0~20-mの各々の入力端の他方には、上記したテスト信号ITEST2(CAP20ではITESTB2)が供給される。
【0158】
NOR30-0~30-mの各々の入力端子の他方は、すべてNOR40の出力端に接続されている。
【0159】
NOR40の入力端の一方はNAND80の出力端に接続されており、入力端の他方には上記したテスト信号ITEST2(CAP20ではITESTB2)が供給される。NAND81の入力端の一方には、キャリブレーション回路CALから出力された制御信号ICALが供給されており、当該入力端の他方にはINV120の出力端が接続されている。INV120の入力端には、コントローラ14から送出された切替信号OPT2が供給されている。NAND82の入力端の一方には、上記した制御信号ICALが供給されており、当該入力端の他方にはINV121の出力端が接続されている。INV121の入力端には上記した切替信号OPT2が供給されている。
【0160】
NOR30-0~30-mの各々は、選択信号ITM<0>~ITM<m>を出力し、トランジスタNM30-0~NM30-mの各々のゲートに供給する。
【0161】
かかる構成により、CAP10(CAP20)は、Lレベルのテスト信号ITEST2(ITESTB2)を受けている間は、選択信号ITC<0>~ITC<n>、及びマージン用トリミング信号TM<m:0>によって静電容量が変化する可変コンデンサとなる。つまり、この際、CAP10(CAP20)は、選択信号ITC<0>~ITC<n>、及びマージン用トリミング信号TM<m:0>によって自身の静電容量が設定されたコンデンサとなる。
【0162】
一方、Hレベルのテスト信号ITEST2(ITESTB2)を受けている間は、CAP10(CAP20)は、コンデンサCAP30-0~30-m及びCAP30-0~30-mの全ての静電容量を加算した静電容量を有するコンデンサと等価となる。
【0163】
尚、CAP10は、センサーコンデンサ50を電極パッドP0及びP2に接続した場合に、当該センサーコンデンサ50の静電容量が所定値より低下したか否かを判定するための第1の基準静電容量を提供するコンデンサである。CAP20は、センサーコンデンサ50を電極パッドP3及びP2に接続した場合に、当該センサーコンデンサ50の静電容量が所定値より低下したか否かを判定するための第2の基準静電容量を提供するコンデンサである。
【0164】
容量回路CAP30は、センサーコンデンサ50を外部接続していない状態、つまりICチップ100単体で、容量センサ回路15による検出動作及びキャリブレーション(後述する)が正常に行われるか否かをテストする為に用いられる。すなわち、容量回路CAP30は、当該テスト時において、センサーコンデンサ50の役目を担う。
【0165】
図11は、容量回路CAP30の構成を示す回路図である。
【0166】
図11に示すように、容量回路CAP30は、第1回路部30A、第2回路部30B及び信号生成回路45を有する。
【0167】
第1回路部30Aは、コンデンサCAP40-0、CAP40-1、・・・CAP40-nと、Nチャネル型MOSFETであるトランジスタNM80-0、NM80-1、・・・NM80-nと、を含む。コンデンサCAP40-0~CAP40-nの各々は、一端が共通のラインを介して容量接続端子CINに接続され、他端がトランジスタNM80-1~NM80-nのドレインに接続されている。トランジスタNM80-0~NM80-nの各々は、ソースが接地され、ゲートに選択信号ITP<0>~ITP<n>が供給される。
【0168】
第2回路部30Bは、(m+1)個のコンデンサであるコンデンサCAP50-0~50-mと、(m+1)個のNチャネル型MOSFETであるトランジスタNM90-0~90-mと、を含む。コンデンサCAP50-0~50-mの各々の一端は、共通のラインを介して容量接続端子CINに接続されている。コンデンサCAP50-0の他端は、トランジスタNM90-0のドレインに接続されている。同様に、コンデンサCAP50-1~50-mの他端は、トランジスタNM90-1~90-mのドレインにそれぞれ接続されている。トランジスタNM90-0~90-mの各々のソースは、接地されている。トランジスタNM90-0~90-mの各々のゲートには、選択信号ITM<0>~ITM<m>が供給される。
【0169】
信号生成回路45は、INV10-0~10-kの(k+1)個のインバータと、NOR50-0~50-kの(k+1)個のNORゲート回路と、を含む。
【0170】
更に、信号生成回路45は、INV130及び131の2個のインバータと、NAND90~92の3個のNANDゲート回路と、NOR60-0~60-mの(m+1)個のNORゲート回路と、NOR70-0~70-mの(m+1)個のNORゲート回路と、1個のNORゲート回路であるNOR80と、を含む。
【0171】
NOR50-0~50-kの各々の出力端子は、INV10-0~10-kの入力端にそれぞれ接続されている。NOR50-0~50-kの各々の入力端の一方には、コントローラ14から送出された選択信号TP<0>~TP<k>が夫々供給される。NOR50-0~50-kの各々の入力端の他方にはキャリブレーション回路CALから出力された信号CIN0TPが供給される。
【0172】
INV10-0~10-kは、NOR50-0~50-kの出力信号のレベルを反転した信号を、選択信号ITP<0>~ITP<k>としてトランジスタNM80-0~NM80-kの各々のゲートに供給する。
【0173】
NOR60-0~60-mの各々の出力端は、NOR70-0~70-mの各々の入力端子の一方に接続されている。NOR60-0~60-mの各々の入力端の一方は、コントローラ14から送出されたマージン用トリミング信号TM<m:0>を受ける。NOR60-0~60-mの各々の入力端の他方には、上記した信号CIN0TPが供給される。
【0174】
NOR70-0~70-mの各々の入力端子の他方は、すべてNOR80の出力端に接続されている。
【0175】
NOR80の入力端の一方はNAND90の出力端に接続されており、入力端の他方には上記した信号CIN0TPが供給される。NAND91の入力端の一方には、コントローラ14から送出されたイネーブル信号ENが供給されており、当該入力端の他方にはINV130の出力端が接続されている。INV130の入力端には、コントローラ14から送出された切替信号OPT2が供給されている。NAND92の入力端の一方には、上記した切替信号OPT2が供給されており、当該入力端の他方にはINV131の出力端が接続されている。INV131の入力端には上記したイネーブル信号ENが供給されている。
【0176】
NOR70-0~70-mの各々は、選択信号ITM<0>~ITM<m>を出力し、トランジスタNM90-0~NM90-mの各々のゲートに供給する。
【0177】
以下に、容量センサ回路15の動作について説明する。
【0178】
先ず、センサーコンデンサ50として比較的静電容量が小さいものを用いる場合には、前述したように、センサーコンデンサ50の一方の電極W1をICチップ100の電極パッドP0に接続し、当該センサーコンデンサ50の他方の電極W2を電極パッドP2に接続する。一方、センサーコンデンサ50として比較的静電容量が大きいものを用いる場合には、センサーコンデンサ50の一方の電極W1をICチップ100の電極パッドP3に接続し、当該センサーコンデンサ50の他方の電極W2を電極パッドP2に接続する。
【0179】
次に、可変コンデンサとしての容量回路CAP10、CAP20又はCAP30の静電容量を、ICチップ100に外部接続された上記センサーコンデンサ50の静電容量に対応した静電容量に自動的に較正するキャリブレーションを行う。
【0180】
尚、前述したように、センサーコンデンサ50を電極パッドP0及びP2に接続した場合には容量回路CAP10及びCAP20のうちのCAP10のみが用いられ、センサーコンデンサ50を電極パッドP3及びP2に接続した場合には容量回路CAP20のみが用いられる。この際、CAP10及びCAP20の各々に対するキャリブレーション動作は同一であるので、以下に、センサーコンデンサ50を電極パッドP0及びP2に接続した場合に、CAP10に対して施されるキャリブレーション動作を抜粋して説明する。
【0181】
図12は、センサーコンデンサ50を電極パッドP0及びP2に接続した場合での容量センサ回路15内の状態を記述したブロック図である。
【0182】
すなわち、当該キャリブレーションを行うにあたり、コントローラ14は、先ず、Lレベルのテストモード信号TESTを切替回路SWに供給すると共に、Lレベルのリークテスト信号ILTを判定回路JCに供給する。更に、コントローラ14は、容量回路CAP10及びCAP20のうちからCAP10を指定するLレベルの切替信号OPT2を、切替回路SW、容量回路CAP10、CAP20及びCAP30に夫々供給する。
【0183】
これにより、切替回路SWは、図12に示すように、ノードn0、抵抗R0及び電極パッドP0を介して、センサーコンデンサ50の電極W1を判定回路JCの中継端子CIN0と接続する。また、切替回路SWは、ノードn1及び抵抗R1を介して、容量回路CAP10の容量接続端子CINを判定回路JCの中継端子CIN1と接続する。
【0184】
更に、切替回路SWは、図12に示すように、ノードn20、付加コンデンサCXの他端、容量回路CAP20及びCAP30各々の容量接続端子CINにLレベルを印加する。これにより、容量回路CAP30及び容量回路CAP20の容量接続端子CINは共に判定回路JCに接続されないため、容量センサ回路15の動作に関与することはない。
【0185】
図13は、コントローラ14からの制御によってキャリブレーション回路CALが実行するキャリブレーション動作を表すタイムチャートである。
【0186】
[非活性モードIM1]
先ず、コントローラ14は、Lレベルのセンサイネーブル信号CSREN及びキャリブレーションイネーブル信号CALENをキャリブレーション回路CALに供給する。これにより、図9に示すラッチ回路LT20-0~20-nの入力端子RNはいずれもLレベルとなる。このとき、出力クロック信号ICLKはLレベル、反転クロック信号ICLKBはHレベル、制御信号ICALはLレベル、反転制御信号ICALBはLレベルとなる。
【0187】
図8に示すトリミング信号選択回路42のトランジスタPM40-0~40-nは、ゲートにLレベルの制御信号ICALの供給を受けてオンとなる。また、トランジスタNM40-0~40-nは、ゲートにHレベルの反転制御信号ICALBの供給を受けてオンとなる。
【0188】
一方、トランジスタPM50-0~50-nは、ゲートにHレベルの反転制御信号ICALBの供給を受けてオフとなる。また、トランジスタNM50-0~50-nは、ゲートにLレベルの制御信号ICALの供給を受けてオフとなる。これにより、トリミング信号選択回路42は、第1選択信号TC<0>~TC<n>を選択信号ITC<0>~ITC<n>として出力する。すなわち、第1トリミング信号TC<n:0>がトリミング信号ITC<n:0>として出力される。
【0189】
また、図9に示すトリミング信号生成回路43のラッチ回路LT3、ラッチ回路LT4、ラッチ回路LT10-0~10-n、及びラッチ回路LT20-0~20-nは、出力端子QNからHレベルの信号を出力する。このため、INT<n+1:0>(すなわち、INT<n+1>、INT<n>、・・・INT<0>)及びTCO<n:0>(すなわち、TCO<n>、TCO<n-1>、・・・TCO<0>)はすべてLレベルとなる。
【0190】
この際、出力クロック信号ICLKがLレベルであるため、クロック信号CLKINもLレベルとなる。クロック信号CLKINがLレベルであるため、検出信号COUT及びフラグ信号COUT2には、その直前のデータ値であるHレベルが保持されることになる。図13では、この状態の期間を非活性モードIM1として示している。
【0191】
[通常モードNM(初期状態IS1)]
その後、コントローラ14はセンサイネーブル信号CSRENがLレベルからHレベルに遷移させる。これにより、クロック信号制御回路CLKCは、クロック信号CLKと同相の出力クロック信号ICLKを出力し、クロック信号CLKの反転信号を反転クロック信号ICLKBとして出力する。この際、図9に示すラッチ回路LT3、LT4、LT10-0~10-n、及びLT20-0~20-nの各々の出力端子QNから出力される信号はHレベルのままであるため、INT<n+1:0>及びTCO<n:0>の各信号はいずれもLレベルに維持される。
【0192】
出力クロック信号ICLKがクロック信号CLKと同相の信号であるため、クロック信号CLKINもクロック信号CLKと同相の信号となる。クロック信号CLKINの立ち上がりにより容量センサ回路15が動作し、検出信号COUT及びフラグ信号COUT2を出力する。例えば、センサーコンデンサ50の電極間の誘電体が融解する前の個体状であり、且つ容量回路CAP10の容量値がセンサーコンデンサ50よりも小さいとすると、検出信号COUT及びフラグ信号COUT2の信号レベルは共にLレベルとなる。図13では、この状態の期間を通常モードNM(初期状態IS1)として示している。
【0193】
[キャリブレーションモードCM]
その後、コントローラ14は、キャリブレーションイネーブル信号CALENをLレベルからHレベルに遷移させる。これにより、制御信号ICALはHレベル、反転制御信号ICALBはLレベルとなる。トリミング信号選択回路42のトランジスタPM40-0~40-nは、ゲートにHレベルの制御信号ICALの供給を受けてオフとなり、トランジスタNM40-0~40-nは、ゲートにLレベルの反転制御信号ICALBを受けてオフとなる。一方、トランジスタPM50-0~50-nは、ゲートにLレベルの反転制御信号ICALBの供給を受けてオンとなり、トランジスタNM50-0~50-nは、ゲートにHレベルの制御信号ICALを受けてオンとなる。
【0194】
これにより、トリミング信号選択回路42は、第2選択信号TCO<0>~TCO<n>を選択信号ITC<0>~ITC<n>として出力する。すなわち、第2トリミング信号TCO<n:0>がトリミング信号ITC<n:0>として出力される。INT<n+1:0>及びTCO<n:0>の各信号はいずれもLレベルであるため、トリミング信号ITC<n:0>の各信号もすべてLレベルとなる。
【0195】
この状態でキャリブレーション回路CALにクロック信号CLKが入力されると、最初のクロック信号CLKの立下りで、図9に示すトリミング信号生成回路43のノードn31の電位が立ち上がり、2番目のクロック信号CLKの立下りでノードn32が立ち下がる。よって、キャリブレーションモードNMの期間における最初のクロック信号CLKのクロックと2番目のクロックとの間だけトリミング信号生成回路43のインバータINV50-(n+1)の出力信号INT<n+1>はHレベルとなる。
【0196】
ここで、図9のラッチ回路LT10-n~10-0と、インバータINV50-n~50-0とにより構成される回路は、INT<n:0>の各ビットをシフトしつつ出力するシフトレジスタである。このため、出力信号INT<n+1>のHパルスはクロック信号CLKの3番目のクロックの立下り以降、出力信号INT<n>から順にINT<0>までシフトする。出力信号INT<n>がHレベルのとき、出力信号INTB<n>はLレベルであるため、第2選択信号TCO<n>はHレベルとなる。このとき、INT<n-1:0>はすべてLレベルである。
【0197】
このように、第2トリミング信号TCO<n:0>がトリミング信号ITC<n:0>として出力されるため、図10に示す容量回路CAP10のコンデンサCAP20-n~20-0のうち、コンデンサCAP20-nのみが静電容量として機能し、他のコンデンサは機能しない状態となる。一方、コンデンサCAP30-m~30-0は、キャリブレーションイネーブル信号CALENがHレベルになったときに制御信号ICALもHレベルになる。よって、ITM<m:0>(すなわち、選択信号ITM<0>~ITM<m>)はマージン用トリミング信号TM<m:0>と同じ信号となり、コンデンサCAP30-m~30-0は、マージン用トリミング信号TM<m:0>の信号入力に応じた静電容量のコンデンサとして機能することになる。
【0198】
この状態でクロック信号CLKが立ち上がると、判定回路JCから出力された検出信号COUTがキャリブレーション回路CALに供給される。よって、続くクロック信号CLKの立下りでINTB<n>は立ち上がり、INT<n>は立ち下がるため、検出信号COUTを反転した反転信号が図9に示すトリミング信号生成回路43のラッチ回路20-nに格納される。これが第2選択信号TCO<n>の出力データとして、キャリブレーションイネーブル信号CALENがHレベルの状態にある間に亘り保持される。
【0199】
ここで、本実施例の容量センサ回路15では、センサーコンデンサ50の電極間の誘電体が融解前の固体状態にある場合にはLレベルの検出信号COUTを出力し、融解後はHレベルの検出信号COUTを出力するように設計されている。
【0200】
すなわち、センサーコンデンサ50の静電容量よりも容量回路CAP10の静電容量(基準静電容量)の方が小さいと容量センサ回路15の判定回路JCが判定した場合には、検出信号COUTはLレベルとなり、その結果、Hレベルの第2選択信号TCO<n>が出力される。一方、センサーコンデンサ50の静電容量よりも容量回路CAP10の静電容量の方が大きいと当該判定回路JCが判定した場合、検出信号COUTはHレベルとなり、その結果、Lレベルの第2選択信号TCO<n>が出力される。
【0201】
そして、次のクロックにより、TCO<n-1>がHレベルとなり、INT<n-2:0>はすべてLレベルのままである。このため、容量回路CAP10のコンデンサCAP20-nは、TCO<n>がHレベルのとき、すなわちセンサーコンデンサ50よりも容量回路CAP10の方が静電容量が小さい場合には、静電容量として機能する。一方、TCO<n>がLレベルのとき、つまりセンサーコンデンサ50より容量回路CAP10の方が静電容量が大きい場合には、容量回路CAP10のコンデンサCAP20-nは容量として機能しない状態となる。
【0202】
また、図10に示すコンデンサCAP20-(n-1)~20-0のうち、CAP20-(n-1)のみが容量として機能し、他のコンデンサは容量として機能しない状態となる。この状態でクロック信号CLKが立ち上がると、判定回路JCから出力された検出信号COUTがキャリブレーション回路CALに供給される。この際、続くクロック信号CLKの立下りでINTB<n-1>は立ち上がり、INT<n-1>は立ち下がる。よって、検出信号COUTの信号レベルを反転した反転信号が図9に示すトリミング信号生成回路43のラッチ回路20-(n-1)に格納され、これが第2選択信号TCO<n-1>として、キャリブレーションイネーブル信号CALENがHレベルの状態にある間に亘り保持される。
【0203】
以降、当該検出信号COUTの信号レベルを反転した反転信号がラッチ回路LT20-0に格納され、これがTCO<0>として、キャリブレーションイネーブル信号CALENがHレベルの状態にある間に亘り保持されるまで、同様の処理が繰り返される。
【0204】
このように、キャリブレーションイネーブル信号CALENがHレベルの期間に亘り、センサーコンデンサ50の静電容量が容量回路CAP10の静電容量よりも大きい場合には、容量回路CAP10の容量を低下させ、センサーコンデンサ50の静電容量が容量回路CAP10の静電容量よりも小さい場合には、容量回路CAP10の容量を増加させるように一連の動作が行われる。すなわち、容量回路CAP10の静電容量がセンサーコンデンサ50の固体状態での静電容量と等しくなるように、第2トリミング信号TCO<n:0>が設定される。図13では、この状態の期間をキャリブレーションモードCMとして示している。尚、当該キャリブレーションモードの期間中、コントローラ14は、誘電体が融解する前のセンサーコンデンサ50の静電容量と、融解後のセンサーコンデンサ50の静電容量との差分の例えば半分をマージンとして設定するマージン用トリミング信号TM<m:0>を容量回路CAP10に供給する。そして、キャリブレーションの終了後、コントローラ14は、当該キャリブレーション終了直後の第2トリミング信号TCO<n:0>を不揮発性のメモリ16に格納する。
【0205】
[非活性モードIM2]
その後、電源供給が遮断(図13のP-OFFの期間)され、再び電源が投入されると、コントローラ14は、メモリ16から第2トリミング信号TCO<n:0>を読み出し、これを第1トリミング信号TC<n:0>として、キャリブレーション回路CALに供給する。図19では、この状態の期間を非活性モードIM2として示している。
【0206】
[通常モードNM(初期状態IS2)]
そして、コントローラ14がセンサイネーブル信号CSRENをLレベルからHレベルに遷移させ、Lレベルのキャリブレーションイネーブル信号CALENをキャリブレーション回路CALに供給して容量センサ回路15を動作させる。この際、キャリブレーションイネーブル信号CALEN及び切替信号OPT2が共にLレベルであるため、図10に示す信号生成回路44の(m+1)ビットのITM<m:0>(すなわち、選択信号ITM<0>~ITM<m>)はすべてLレベルとなる。これにより、コンデンサCAP30-0~30-mはすべて静電容量として機能しない。
【0207】
よって、容量回路CAP10の静電容量、つまり基準静電容量は、ICチップ100外の寄生容量を含めたセンサーコンデンサ50の誘電体融解前の第1の静電容量と、誘電体融解後の第2の静電容量との間の静電容量値に設定されることになる。図13では、この状態の期間を通常モードNM(初期状態IS2)として示している。
【0208】
要するに、上記した一連のキャリブレーション処理では、コントローラ14が、容量回路CAP10の第2回路部10Bの静電容量をマージン用静電容量に設定するマージン用トリミング信号TM(第1トリミング信号と称する)を、第2回路部10Bに供給する。キャリブレーション回路CALは、容量回路CAP10の第1回路部10Aの静電容量を時間経過に伴い段階的に変化する静電容量に設定する第2トリミング信号TCO(ITC)を第1回路部10Aに供給するキャリブレーションを実行する。
【0209】
コントローラ14は、このキャリブレーション処理の実行中に、判定回路JCで第1の中継端子CIN0の電位が第2の中継端子CIN1の電位と等しいと判定されたときに第2トリミング信号TCO(ITC)を不揮発性のメモリ16に格納させる。そして、コントローラ14は、次回の電源投入時に、メモリ16に格納されている第2トリミング信号TCO(ITC)によって容量回路CAP10の第1回路10Aの静電容量を設定する。
【0210】
よって、上記したキャリブレーションにより、ICチップ100外の寄生容量分をキャンセルし、且つ容量回路CAP10の静電容量をセンサーコンデンサ50の誘電体が融解する前の静電容量と、融解した後の静電容量との中間レベルとなるように設定することが可能である。これにより、センサーコンデンサ50の電極間に充填されている誘電体が融解したか否かを精度良く判断することが可能となる。
【0211】
尚、上記実施例では、キャリブレーション回路CALを、容量回路CAP10(又はCAP20、CAP30)に対して、センサーコンデンサ50の静電容量の変化を検出する為の閾値となる基準静電容量に較正する為に用いている。
【0212】
しかしながら、キャリブレーション回路CALによるキャリブレーション動作を、電極パッドP0(又はP3)及びP2に接続したコンデンサの静電容量を検出する為に用いることも可能である。例えば、静電容量の検出対象とするコンデンサを電極パッドP0(又はP3)及びP2に接続し、前述したキャリブレーション動作を実行する。この際、判定回路JCがHレベルのフラグ信号COUT2を出力したら、その時点でキャリブレーション回路CALが出力したトリミング信号ITC<n:0>をコントローラ14で取り込む。つまり、Hレベルのフラグ信号COUT2が出力された時点でコントローラ14が取り込んだトリミング信号ITC<n:0>は、容量回路CAP10のコンデンサNM20-0~NM20-nによる合成静電容量を表しており、その値は電極パッドP0(又はP3)及びP2に接続されているコンデンサの静電容量と等しい。そこで、コントローラ14は、取り込んだトリミング信号ITC<n:0>に対応した静電容量を示す情報を上記した識別IDと共に送信用情報として、送受信回路13に供給する。これにより、センサータグ150は、電極パッドP0(又はP3)及びP2に接続されたコンデンサの静電容量を示す情報及び識別IDを、図3に示すようにリーダーライタ200に無線送信する。よって、リーダーライタ200において、センサータグ150の電極パッドP0(又はP3)及びP2に接続されたコンデンサの静電容量を無線にて知ることができる。
【0213】
次に、図7に示される判定回路JCの内部動作について図14に示すタイムチャートを参照しつつ説明する。
【0214】
尚、図14では、センサーコンデンサ50の電極間の誘電体が融解していない期間を期間T1、誘電体がある程度融解してセンサーコンデンサ50の静電容量と容量回路CAP10の静電容量とがほぼ等しくなっている期間を期間T2、センサーコンデンサ50の誘電体がすべて融解した後の期間を期間T3として表す。
【0215】
まず、期間T1での動作について説明する。
【0216】
[第1の初期状態IS1]
キャリブレーション回路CALからLレベルのクロック信号CLKINが判定回路JCに供給されると、図7に示されるノードn2の電位はHレベルとなる。これにより、ノードn0及びノードn1の電位はLレベル、ノードn3、ノードn4及びノードn5の電位はHレベルとなる。また、ノードn6及びノードn7の電位はLレベルとなり、ノードn8の電位はHレベル、ノードn9の電位はHレベル、ノードn10の電位はLレベル、ノードn11の電位はLレベルとなる。図14では、この状態の期間を第1の初期状態IS1として示している。
【0217】
第1の初期状態IS1では、ノードn2の電位がHレベルであるため、第1ラッチ回路LT1から出力される検出信号COUTの値は、その直前まで保持されていた値である。すなわち、センサーコンデンサ50の電極間の誘電体が融解前の状態であるため、Lレベルの検出信号COUTが出力される。
【0218】
同様に、ノードn2の電位がHレベルであるため、第2ラッチ回路LT2から出力されるフラグ信号COUT2の値も、その直前まで保持されていた値である。すなわち、容量性回路CAP10の静電容量よりもセンサーコンデンサ50の静電容量の方が大きいため、Lレベルのフラグ信号COUT2が出力される。
【0219】
[第1の充電期間CP1]
その後、クロック信号CLKINがHレベルに遷移すると、ノードn2の電位はLレベルとなる。ノードn2の電位はインバータINV0により反転され、Hレベルの反転信号がトランジスタNM9のゲートに印加される。これにより、バイアス信号生成部32が動作し、ノードn3は中間電位Vxとなる。これにより、定電流源であるトランジスタNM8のゲートには中間電位Vxのレベルのバイアス信号が供給される。
【0220】
また、ノードn2の電位がLレベルであるため、トランジスタNM2及びトランジスタNM3はいずれもOFF状態となり、トランジスタPM2及びPM3はいずれもON状態となる。これにより、判定回路JCは、中継端子CIN0及びCIN1からノードn0及びn1を夫々介して充電電流をセンサーコンデンサ50及び容量回路CAP10に送出し、これらセンサーコンデンサ50及び容量回路CAP10を充電する。
【0221】
期間T1ではセンサーコンデンサ50の誘電体が融解していないため、センサーコンデンサ50の静電容量は所定の第1の静電容量であり、容量回路CAP10の静電容量(基準静電容量と称する)よりも大きい。従って、センサーコンデンサ50よりも容量回路CAP10の方が早く充電され、ノードn0よりもノードn1の方が先に電位が上昇する。
【0222】
ノードn1の電位はトランジスタNM1のゲートに印加され、差動アンプ部35の動作により、ノードn5の電位が低下する。一方、ノードn0はノードn1よりも電位が遅れて上昇するため、差動アンプ部35の機能により、ノードn4の電位はほとんど低下しない。図14では、かかる状態の期間を第1の充電期間CP1として示している。
【0223】
[第1の充電検出期間CDP1]
その後、ノードn5の電位がインバータ部37の閾値レベルVthまで低下すると、ノードn7の電位はHレベルとなり、Hレベルの信号が第1ラッチ回路LT1に取り込まれる。また、ノードn6の電位がLレベルであるため、ノードn7の電位がHレベルとなっても、ノードn12の電位はHレベル、ノードn11の電位はLレベルのまま維持される。これにより、Hレベルの信号が第2ラッチ回路LT2に取り込まれる。図14では、かかる状態の期間を第1の充電検出期間CDP1として示している。
【0224】
尚、第1の充電検出期間CDP1では、ノードn8、n10、及びn9の電位が時間差で順次変化する。具体的には、ノードn7の電位がHレベルとなることにより、ノードn8の電位はLレベルとなる。ノードn8の電位の変化に応じて、ノードn10の電位はHレベルとなる。ノードn10の電位の変化に応じて、ノードn9の電位はLレベルとなる。
【0225】
[第1の放電期間DP1]
ノードn9の電位がLレベルとなることにより、ノードn2の電位はHレベルへと変化する。これにより、第1ラッチ回路LT1のクロック端子には、Hレベルの信号がクロック信号として供給される。このとき、ノードn7はHレベルであるため、第1ラッチ回路LT1は、Hレベルの信号を取り込み、これを反転させたLレベルの信号を検出信号COUTとして出力する。
【0226】
同様に、第2ラッチ回路LT2のクロック端子には、Hレベルの信号がクロック信号として供給される。このとき、ノードn12はHレベルであるため、第2ラッチ回路LT2は、Hレベルの信号を取り込み、これを反転させたLレベルの信号をフラグ信号COUT2として出力する。
【0227】
また、ノードn2の電位がHレベルになることで、ノードn2の電位を反転したLレベルの反転信号が、トランジスタNM9のゲートに印加される。これにより、バイアス信号生成部32はOFF状態(すなわち、動作しない状態)となり、ノードn3の電位はHレベルとなる。これにより、トランジスタNM8のゲートにはHレベルのバイアス信号が供給され、定電流源としてのトランジスタNM8はオン状態となる。また、トランジスタNM2及びNM3がON状態となり、トランジスタPM2及びPM3がOFF状態となるため、中継端子CIN0及びCIN1を介してセンサーコンデンサ50及び容量回路CAP10が放電される。図14では、かかる状態の期間を第1の放電期間DP1として示している。
【0228】
[第1の放電検出期間DDP1]
その後、ノードn5の電位がインバータ部37の閾値レベルVthまで上昇すると、ノードn7の電位はLレベルとなり、ノードn8の電位はHレベルとなる。その後、クロック信号CLKINがLレベルになると、ノードn9の電位はHレベルとなり、ノードn10の電位はLレベルとなる。図14では、かかる状態の期間を第1の放電検出期間DDP1として示している。
【0229】
次に、期間T2(すなわち、誘電体がある程度融解してセンサーコンデンサ50の静電容量と容量回路CAP10の静電容量とがほぼ等しくなった状態)での動作について説明する。
【0230】
[第2の初期状態IS2]
Lレベルのクロック信号CLKINが判定回路JCに供給されると、ノードn2の電位はHレベルとなる。これにより、ノードn0及びノードn1の電位はLレベル、ノードn3、ノードn4及びノードn5の電位はHレベルとなる。また、ノードn6及びノードn7の電位はLレベルとなり、ノードn12の電位はHレベル、ノードn11の電位はLレベル、ノードn8の電位はHレベル、ノードn9の電位はHレベル、ノードn10の電位はLレベルとなる。図14では、この状態の期間を第2の初期状態IS2として示している。
【0231】
尚、第2の初期状態IS2では、ノードn2の電位がHレベルであるため、第1ラッチ回路LT1から出力される検出信号COUTは、前のデータ値であるLレベルを保持した状態にある。同様に、第2ラッチ回路LT2から出力されるフラグ信号COUT2についても、前のデータ値であるLレベルを保持した状態にある。
【0232】
[第2の充電期間CP2]
その後、クロック信号CLKINがHレベルになると、ノードn2の電位はLレベルとなる。ノードn2の電位はインバータINV0により反転され、Hレベルの反転信号がトランジスタNM9のゲートに印加される。これにより、バイアス信号生成部32が動作し、ノードn3は中間電位Vxとなる。これにより、定電流源であるトランジスタNM8のゲートには中間電位Vxレベルのバイアス信号が供給される。
【0233】
また、ノードn2の電位がLレベルであるため、トランジスタNM2及びトランジスタNM3はいずれもOFF状態となり、トランジスタPM2及びPM3はいずれもON状態となる。これにより、判定回路JCは、中継端子CIN0及びCIN1からノードn0及びn1を夫々介して充電電流をセンサーコンデンサ50及び容量回路CAP10に送出し、これらセンサーコンデンサ50及び容量回路CAP10を充電する。
【0234】
期間T2では誘電体がある程度融解しており、センサーコンデンサ50と容量回路CAP10とがほぼ同じ静電容量(すなわち、基準静電容量)を有する。このため、センサーコンデンサ50及び容量回路CAP10はほぼ同じスピードで充電され、ノードn0及びノードn1各々の電位は同程度の上昇率(すなわち、上昇度の差異が所定未満の状態)で時間経過につれて上昇する。
【0235】
ノードn0の電位はトランジスタNM0のゲートに印加され、差動アンプ部35の動作により、ノードn4の電位が低下する。一方、ノードn1の電位はトランジスタNM1のゲートに印加され、差動アンプの動作により、ノードn5の電位が低下する。ノードn0及びノードn1の電位の上昇率がほぼ同じであるため、ノードn4及びノードn5もほぼ同じ低下率(すなわち、低下度の差異が所定未満の状態)で電位が低下する。図14では、かかる状態の期間を第2の充電期間CP2として示している。
【0236】
[第2の充電検出期間CDP2]
その後、ノードn4の電位がインバータ部37の閾値レベルVthまで低下すると、ノードn6の電位はHレベルとなる。同様に、ノードn5の電位がインバータ部37の閾値レベルVthまで低下すると、ノードn7の電位はHレベルとなる。ノードn4及びノードn5の電位の低下率がほぼ同じであるため、ノードn6及びノードn7の電位はほぼ同時にHレベルとなる。
【0237】
ノードn6及びn7の電位がHレベルとなることにより、ノードn12の電位はLレベルとなり、ノードn11の電位はHレベルとなる。また、ノードn8、n10、及びn9の電位が時間差で順次変化する。具体的には、ノードn6及びn7の電位がHレベルとなり、さらにノードn11の電位がHレベルとなることにより、ノードn8の電位はLレベルとなる。ノードn8の電位の変化に応じて、ノードn10の電位はHレベルとなる。ノードn10の電位の変化に応じて、ノードn9の電位はLレベルとなる。図14では、かかる状態の期間を第2の充電検出期間CDP2として示している。
【0238】
[第2の放電期間DP2]
また、クロック信号CLKINがHレベルであり、ノードn9の電位がLレベルであるため、これらの否定論理積であるノードn2はHレベルとなる。このとき、ノードn7がHレベルであるため、Hレベルの信号が第1ラッチ回路LT1に取り込まれている。従って、第1ラッチ回路LT1は、これを反転したLレベルの反転信号を検出信号COUTとして出力する。また、ノードn12の電位がLレベルであるため、Lレベルの信号が第2ラッチ回路LT2に取り込まれている。従って、第2ラッチ回路LT2は、これを反転したHレベルの反転信号をフラグ信号COUT2として出力する。
【0239】
また、ノードn2の電位がHレベルになることで、ノードn2の電位を反転したLレベルの反転信号がトランジスタNM9のゲートに印加される。これにより、バイアス信号生成部32はOFF状態(すなわち、動作しない状態)となり、ノードn3の電位はHレベルとなる。これにより、トランジスタNM8のゲートにはHレベルのバイアス信号が供給され、定電流源としてのトランジスタNM8はオン状態となる。また、トランジスタNM2及びNM3がON状態となり、トランジスタPM2及びPM3がOFF状態となるため、中継端子CIN0及びCIN1を介してセンサーコンデンサ50及び容量性回路CAP10が放電される。図14では、かかる状態の期間を第2の放電期間DP2として示している。
【0240】
[第2の放電検出期間DDP2]
その後、ノードn4の電位がインバータ部37の閾値レベルVthまで上昇すると、ノードn6の電位はLレベルとなる。同様に、ノードn5の電位がインバータ部37の閾値レベルVthまで上昇すると、ノードn7の電位はLレベルとなる。これにより、ノードn12の電位はHレベルとなり、ノードn11の電位はLレベルとなり、ノードn8の電位はHレベルとなる。その後、クロック信号CLKINがLレベルになると、ノードn9の電位はHレベルとなり、ノードn10の電位はLレベルとなる。図14では、かかる状態の期間を第2の放電検出期間DDP2として示している。
【0241】
次に、期間T3(すなわち、誘電体がすべて融解した状態)での動作について説明する。
【0242】
[第3の初期状態IS3]
Lレベルのクロック信号CLKINが判定回路JCに供給されると、ノードn2の電位はHレベルとなる。これにより、ノードn0及びノードn1の電位はLレベル、ノードn3、ノードn4及びノードn5の電位はHレベルとなる。また、ノードn6及びノードn7の電位はLレベルとなり、ノードn12の電位はHレベル、ノードn11の電位はLレベル、ノードn8の電位はHレベル、ノードn9の電位はHレベル、ノードn10の電位はLレベルとなる。図14では、この状態の期間を第3の初期状態IS3として示している。
【0243】
第3の初期状態IS3では、ノードn2の電位がHレベルであるため、第1ラッチ回路LT1から出力される検出信号COUTは、前のデータ値であるLレベルを保持した状態にある。また、第2ラッチ回路LT2から出力されるフラグ信号COUT2についても、前のデータ値であるHレベルを保持した状態にある。
【0244】
[第3の充電期間CP3]
その後、クロック信号CLKINがHレベルになると、ノードn2の電位はLレベルとなる。ノードn2の電位はインバータINV0により反転され、Hレベルの反転信号がトランジスタNM9のゲートに印加される。これにより、バイアス信号生成部32が動作し、ノードn3は中間電位Vxとなる。これにより、定電流源であるトランジスタNM8のゲートには中間電位Vxレベルのバイアス信号が供給される。
【0245】
また、ノードn2の電位がLレベルであるため、トランジスタNM2及びトランジスタNM3はいずれもOFF状態となり、トランジスタPM2及びPM3はいずれもON状態となる。これにより、判定回路JCは、中継端子CIN0及びCIN1からノードn0及びn1を夫々介して充電電流をセンサーコンデンサ50及び容量回路CAP10に送出し、これらセンサーコンデンサ50及び容量回路CAP10を充電する。
【0246】
期間T3ではセンサーコンデンサ50の誘電体が融解しているため、当該センサーコンデンサ50の静電容量は第2の静電容量であり、容量回路CAP10の基準静電容量よりも小さい。従って、容量回路CAP10よりもセンサーコンデンサ50の方が早く充電され、ノードn1よりもノードn0の方が先に電位が上昇する。
【0247】
ノードn0の電位はトランジスタNM0のゲートに印加され、差動アンプ部35の動作により、ノードn4の電位が低下する。一方、ノードn1はノードn0よりも電位が遅れて上昇するため、差動アンプ部35の機能により、ノードn5の電位はほとんど低下しない。図14では、かかる状態の期間を第3の充電期間CP3として示している。
【0248】
[第3の充電検出期間CDP3]
その後、ノードn4の電位がインバータ部37の閾値レベルVthまで低下すると、ノードn6の電位はHレベルとなる。一方、ノードn5の電位が低下しないため、ノードn7はLレベルに維持され、Lレベルの信号が第1ラッチ回路LT1に取り込まれる。また、ノードn7の電位がLレベルであるため、ノードn6の電位がHレベルに変化しても、ノードn12の電位はHレベルに維持され、ノードn11の電位はLレベルに維持される。図14では、かかる状態の期間を第3の充電検出期間CDP3として示している。
【0249】
第3の充電検出期間CDP3では、ノードn8、n10、及びn9の電位が時間差で順次変化する。具体的には、ノードn6の電位がHレベルとなることにより、ノードn8の電位はLレベルとなる。ノードn8の電位の変化に応じて、ノードn10の電位はHレベルとなる。ノードn10の電位の変化に応じて、ノードn9の電位はLレベルとなる。
【0250】
[第3の放電期間DP3]
ノードn9の電位がLレベルとなることにより、ノードn2の電位はHレベルとなる。これにより、第1ラッチ回路LT1のクロック端子には、Hレベルの信号がクロック信号として供給される。このとき、ノードn7はLレベルであるため、第1ラッチ回路LT1はLレベルの信号を取り込み、そのレベルを反転させたHレベルの信号を検出信号COUTとして出力する。
【0251】
また、第2ラッチ回路LT2のクロック端子には、Hレベルの信号がクロック信号として供給される。このとき、ノードn12はHレベルであるため、第2ラッチ回路LT2はHレベルの信号を取り込み、その信号レベルを反転させたLレベルの反転信号をフラグ信号COUT2として出力する。
【0252】
また、ノードn2の電位がHレベルになることで、ノードn2の電位を反転したLレベルの反転信号が、トランジスタNM9のゲートに印加される。これにより、バイアス信号生成部32はOFF状態(すなわち、動作しない状態)となり、ノードn3の電位はHレベルとなる。これにより、トランジスタNM8のゲートにはHレベルのバイアス信号が供給され、定電流源としてのトランジスタNM8はオン状態となる。また、トランジスタNM2及びNM3がON状態となり、トランジスタPM2及びPM3がOFF状態となるため、中継端子CIN0及びCIN1を介してセンサーコンデンサ50及び容量回路CAP10が放電される。図14では、かかる状態の期間を第3の放電期間DP3として示している。
【0253】
[第3の放電検出期間DDP3]
その後、ノードn4の電位がインバータ部37の閾値レベルVthまで上昇すると、ノードn6の電位はLレベルとなり、ノードn8の電位はHレベルとなる。その後、クロック信号CLKINがLレベルになると、ノードn9の電位はHレベルとなり、ノードn10の電位はLレベルとなる。図14では、かかる状態の期間を第3の放電検出期間DDP3として示している。
【0254】
このように、容量センサ回路15では、外部接続されているセンサーコンデンサ50の電極間の誘電体がまだ融解していない場合には、判定回路JCがLレベルの検出信号COUT及びLレベルのフラグ信号COUT2を出力する。誘電体がある程度融解し、センサーコンデンサ50及び容量回路CAP10各々の静電容量がほぼ等しくなった場合には、判定回路JCがLレベルの検出信号COUT及びHレベルのフラグ信号COUT2を出力する。そして、誘電体がすべて融解した場合には、判定回路JCは、Hレベルの検出信号COUT及びLレベルのフラグ信号COUT2を出力する。
【0255】
したがって、容量センサ回路15によれば、外部接続したセンサーコンデンサ50の誘電体が融解したか否かの情報、つまりセンサーコンデンサ50の静電容量が変化したか否かを示す情報(COUT)が得られる。更に、当該容量センサ回路15によれば、センサーコンデンサ50及び容量回路CAP1がほぼ同じ静電容量であるか否かを示す情報(COUT2)が得られる。
【0256】
また、容量センサ回路15では、図14に示す第1の充電期間CP1、第1の充電検出期間CDP1、第2の充電期間CP2、第2の充電検出期間CDP2、第3の充電期間CP3、及び第3の充電検出期間CDP3でのみ電流が消費され、他の期間では電流の消費がない。このため、センサーコンデンサ50の静電容量と容量回路CAP10の静電容量とがほぼ等しくなった場合でも、クロック信号CLKINを低周波数にすることで、回路全体の消費電流を抑えることが可能となる。
【0257】
すなわち、図7に示す判定回路JCを備えた容量センサ回路15によれば、センサーコンデンサ50及び容量回路CAP10の静電容量がほぼ等しくなった場合でも、電流を増加させずに、センサーコンデンサ50の静電容量に関する情報を受信装置200に送信することができる。また、センサーコンデンサ50及び容量回路CAP10の静電容量がほぼ等しいか否かを示す情報を受信装置200に送信することができる。
【0258】
尚、センサーコンデンサ50として比較的静電容量が大きなものを電極パッドP2及びP3に外部接続した場合にも、容量回路CAP20を用いることで、前述した容量回路CAP10を用いた場合と同様に、図13に示すキャリブレーション動作及び図14に示す検出処理を実施することができる。
【0259】
図15は、比較的静電容量が大きいセンサーコンデンサ50を電極パッドP2及びP3に接続した場合での容量センサ回路15内の状態を記述したブロック図である。
【0260】
この際、コントローラ14は、Lレベルのテストモード信号TESTを切替回路SWに供給すると共に、Lレベルのリークテスト信号ILTを判定回路JCに供給する。更に、コントローラ14は、容量回路CAP10及びCAP20のうちからCAP20を指定するHレベルの切替信号OPT2を、切替回路SW、容量回路CAP10、CAP20及びCAP30に夫々供給する。
【0261】
これにより、切替回路SWは、図15に示すように、付加コンデンサCX及び電極パッドP3を介して、センサーコンデンサ50の電極W1を判定回路JCの中継端子CIN0に接続する。また、切替回路SWは、容量回路CAP20の容量接続端子CINを判定回路JCの中継端子CIN1と接続する。
【0262】
更に、切替回路SWは、図15に示すように、ノードn20をハイインピーダンス(HiZと記述)状態に設定すると共に、ノードn0、n1及び容量回路CAP30の容量接続端子CINにLレベルを印加する。
【0263】
ところで、判定回路JCでは、センサーコンデンサ50の電極の電位と容量回路CAP20の容量接続端子CINの電位とを比較するにあたり、図14に示す第1~第3の充電期間CP1~CP3の各々で、センサーコンデンサ50を充電している。
【0264】
この際、センサーコンデンサ50の静電容量が大きい場合には小さい場合に比べてその充電動作に費やされる消費電流が大きくなる。更に、センサーコンデンサ50及び当該ICチップ100の外部の寄生容量を充電する速度が速い場合には、電源回路12で生成される電源電圧が低下して、動作不良を引き起こす虞がある。
【0265】
そこで、容量センサ回路15では、比較的大きな静電容量を有するセンサーコンデンサ50の一方の電極W1を接続する電極パッドP3及び切替回路SWの入力端子CIN0M2間に、当該センサーコンデンサ50と直列に接続されるように付加コンデンサCXを設けている。
【0266】
判定回路JCは、図14に示す第1~第3の充電期間CP1~CP3の各々で、自身の中継端子CIN0から送出した充電電流を付加コンデンサCXに供給すると共に、中継端子CIN1から送出した充電電流を容量回路CAP20に供給する。これにより、容量回路CAP20が充電されると共に、電極パッドP3を介して直列に接続されている付加コンデンサCX及びセンサーコンデンサ50が充電される。
【0267】
ここで、電極パッドP2及び切替回路SWの入力端子CIN0M2間に含まれる回路は、図16に示す等価回路によって表される。尚、図16に示されるCAPPは、図15に示すダイオードD4及びD5、抵抗R2、及び電極パッドP3各々の寄生容量を合成した合成寄生容量を表すものである。
【0268】
よって、図16に示す等価回路において、切替回路SWの入力端子CIN0M2側から眺めた合成静電容量CAPTは、
CAPT=(CAP1+CAP2)・CAP2/(CAP1+CAPP+CAP2)
CAP1:センサーコンデンサ50の静電容量
CAP2:付加コンデンサCXの静電容量
CAPP:P3、R2、D4、D5の合成寄生容量
となる。
【0269】
これにより、センサーコンデンサ50の静電容量CAP1が大きくても、これと直列に接続する付加コンデンサCXの静電容量CAP2を小さくすることで、合成静電容量CAPTを小さくすることが可能となる。
【0270】
よって、ICチップ100に外部接続されるセンサーコンデンサ50の静電容量CAP1が比較的大きくても、合成静電容量CAPTの充電に費やされる電流を増やすことなく、前述したキャリブレーション及び静電容量の検出処理を実施することが可能となる。
【0271】
次に、ICチップ100単体で、上記した容量センサ回路15による検出動作及びキャリブレーションが正常に行われるか否かを内部検証するテスト動作について説明する。
【0272】
図17は、当該テストを行うテストモードでの容量センサ回路15内の状態を記述したブロック図である。
【0273】
当該テストを実施する場合、コントローラ14は、Hレベルのテストモード信号TESTを切替回路SWに供給すると共に、Lレベルのリークテスト信号ILTを判定回路JCに供給する。また、コントローラ14は、Hレベル又はLレベルのイネーブル信号ENを容量回路CAP30に供給する。更に、コントローラ14は、Lレベルの切替信号OPT2を、切替回路SW、容量回路CAP10、CAP20及びCAP30に夫々供給する。
【0274】
これにより、切替回路SWは、図17に示すように、容量回路CAP30の容量接続端子CINを判定回路JCの中継端子CIN0に接続すると共に容量回路CAP20の容量接続端子CINを判定回路JCの中継端子CIN1に接続する。更に、切替回路SWは、Hレベルのテスト信号ITEST2を容量回路CAP10に供給し、Lレベルの反転テスト信号ITESTB2を容量回路CAP20に供給し、Lレベルの信号CIN0TPを容量回路CAP30に供給する。
【0275】
よって、Lレベルの反転テスト信号ITESTB2を受けることで、図10に示す容量回路CAP20の選択信号ITX<0>~ITX<n>は、トリミング信号としての選択信号ITC<0>~ITC<n>と同相の信号となる。また、図10に示す選択信号ITM<0>~ITM<m>は、キャリブレーション動作の制御を担う制御信号ICALと、マージン用トリミング信号TM<m:0>(すなわち、選択信号TM<0>~TM<m>)との論理積の信号となる。
【0276】
また、Lレベルの信号CIN0TPを受けることで、図11に示す容量回路CAP30の選択信号ITP<k:0>(すなわち、選択信号ITP<0>~ITP<k>)は、容量値選択信号TP<k:0>(すなわち、選択信号TP<0>~TP<k>)と同相の信号となる。
【0277】
ここで、容量回路CAP30が、Hレベルのイネーブル信号ENと、ICチップ100の外部の寄生容量を想定した容量値選択信号TP<k:0>と、容量回路CAP30の静電容量をセンサーコンデンサ50の誘電体が融解する前の静電容量と融解した後の静電容量との差分の半分に設定するようなマージン用トリミング信号TM<m:0>を受けたとする。この際、イネーブル信号ENはHレベルであり且つ切替信号OPT2がLレベルであることから、図11のITM<m:0>とTM<m:0>とは同相の信号となる。図11に示すコンデンサCAP50-0~50-mによる静電容量を、図10に示すコンデンサCAP30-0~30-mによる静電容量の倍となるように設定しているとすると、コンデンサCAP50-0~50-mには、センサーコンデンサ50の誘電体が融解前の静電容量と融解後の静電容量との差分に相当する静電容量が設定されていることになる。
【0278】
この状態でキャリブレーション回路CALによって前述したようなキャリブレーションを実行し、容量回路CAP20の静電容量と容量回路CAP30の静電容量とが等しくなるようにトリミング信号TCO<n:0>が設定されたとする。コントローラ14は、このときのTCO<n:0>のデータをTC<n:0>としてキャリブレーション回路CALに供給する。更に、コントローラ14は、Hレベルのセンサイネーブル信号CSREN及びLレベルのキャリブレーションイネーブル信号CALENをキャリブレーション回路CALに供給する。この際、キャリブレーションイネーブル信号CALENがLレベルであるため、制御信号ICALもLレベルとなり、図10のITM<m:0>もすべてLレベルとなる。コンデンサCAP30-0~30-mはすべて静電容量として機能しないため、容量回路CAP20の静電容量は、容量回路CAP30の静電容量からセンサーコンデンサ50の誘電体が融解前の静電容量と融解後の静電容量との差分の半分に相当する静電容量を差し引いた値に設定されることになる。
【0279】
さらに、コントローラ14がLレベルのイネーブル信号ENを容量回路CAP30に供給すると、図11のITM<m:0>はすべてLレベルとなり、コンデンサCAP50-0~50-mはすべて静電容量として機能しない。このため、容量回路CAP30の静電容量は、容量回路CAP20の静電容量からセンサーコンデンサ50の誘電体が融解前の静電容量と融解後の静電容量との差分の半分に相当する静電容量を差し引いた値に設定されることになる。
【0280】
つまり、Hレベルのイネーブル信号EN、Lレベルの切替信号OPT2、及びHレベルの制御信号ICALにより、容量回路CAP20の静電容量が、容量回路CAP30の静電容量よりもセンサーコンデンサ50の誘電体が融解前の静電容量と融解後の静電容量との差分の半分に相当する容量分だけ少ない状態で、容量センサ回路15の動作を検証することができる。
【0281】
また、Lレベルのイネーブル信号EN、Lレベルの切替信号OPT2、及びLレベルの制御信号ICALにより、容量回路CAP30の静電容量が、容量回路CAP20の静電容量よりもセンサーコンデンサ50の誘電体が融解前の静電容量と融解後の静電容量との差分の半分に相当する容量分だけ少ない状態で、容量センサ回路15の動作を検証することができる。
【0282】
このように、本実施例の容量センサ回路15によれば、検出対象となるセンサーコンデンサ50をICチップ100に外部接続していない状態、例えばICチップ100のウエハ段階で、上記したキャリブレーション動作及び検出動作が正しく行われるか否かの検証を行うことが可能となる。
【0283】
次に、容量センサ回路15のリークテストモードについて説明する。
【0284】
リークテストモードでは、コントローラ14がHレベルのリークテスト信号ILTを判定回路JCに供給する。このとき、図7に示す判定回路JCにおける反転信号IILTBはLレベル、制御信号IILTはHレベルとなる。
【0285】
これにより、図7に示すトランジスタPM6は、ゲートにHレベルの制御信号IILTの供給を受け、オフ状態となる。トランジスタNM13は、ゲートにHレベルの制御信号IILTの供給を受け、オン状態となる。
【0286】
トランジスタNM11は、ゲートにLレベルの反転信号IILTBの供給を受け、オフ状態となる。同様に、トランジスタNM12は、ゲートにLレベルの反転信号IILTBの供給を受け、オフ状態となる。
【0287】
これにより、図5に示すノードn0及びノードn1は共にハイインピーダンス状態となる。また、図7に示すノードn3の電位はLレベルとなる。
【0288】
ノードn3の電位がLレベルとなることにより、トランジスタNM8はオフ状態となる。このため、バイアス信号生成部32及び差動アンプ部35間では貫通電流が流さない。この状態の期間がリークテストモードとなる。
【0289】
このように、リークテストモードでは、コントローラ14がHレベルのリークテスト信号ILTを判定回路JCに供給することで、センサーコンデンサ50が接続されるノードn0又はn20、及び容量回路CAP10が接続されるノードn1をハイインピーダンス状態にすることができる。従って、ICチップ100の製造後のテスト工程において電極パッドP0又はP3のショート不良等を検出するためのスクリーニング試験を実行することが可能となる。
【0290】
尚、上記実施例における切替回路SWとしては、図6に示すような動作を行うことが可能なものであれば、どのような回路構成を採用しても良い。
【0291】
また、上記実施例では、ICチップ100の外部に接続するセンサーコンデンサ50として、比較的静電容量が大きいものを用いる場合と小さいものを用いる場合とで、当該センサーコンデンサ50の一方の電極W1を接続する電極パッド(P0、P3)を個別に設けている。しかしながら、これを共通の電極パッドとしても良い。この際、例えばICチップ100内に当該共通の電極パッドに接続したスイッチを設け、当該スイッチにより、共通の電極パッドの接続先を、切替信号OPT2に基づき抵抗R2の一端、又は抵抗R0の一端に切り替える。
【0292】
また、上記実施例では、ICチップ100に外部接続するセンサーコンデンサ50と直列に接続されるように、当該ICチップ100内に付加コンデンサCXを設けているが、この付加コンデンサCXをICチップ100の外部で、センサーコンデンサ50と直列に接続しても良い。
【0293】
図18は、かかる点に鑑みて為された容量センサ回路15の他の構成を示すブロック図である。尚、図18に示す構成では、図5に示されるようにICチップ100名に形成されていた付加コンデンサCXを排除すると共に、抵抗R2に接続されているノードn20を切替回路SWの入力端子CIN0M2に接続した点を除く他の構成は、図5に示すものと同一である。すなわち、かかる構成では、静電容量を低下させる為に設ける付加コンデンサCXを図18に示すようにICチップ100の外部でセンサーコンデンサ50と直列に接続したものを外部接続する為の専用の電極パッドとして電極パッドP3を設ける。
【0294】
また、上記した実施例では、センサーコンデンサ50として、周囲の環境温度が誘電体としてのワックスの融点を超えた場合に静電容量が低下するような構成を採用している。しかしながら、当該ワックスの融点を超えた場合に静電容量が増加するような構成を採用しても良い。
【0295】
また、センサーコンデンサ50の誘電体として、上記したワックスに代えて、湿度、或いは振動等に反応して自身の形態が個体から液体に不可逆的に変化する材料を採用しても良い。
【0296】
例えば、当該誘電体が所定の湿度以上、或いは所定の湿度より低湿度の環境下に晒された場合に自身の形態が個体から液体に不可逆的に変化するものであれば、環境変化として湿度の変化を検出することが可能となる。また、当該誘電体が所定の大きさ以上の振動に反応して自身の形態が個体から液体に不可逆的に変化するものであれば、環境変化として、振動を受けたことを検出することが可能となる。
【0297】
要するに、容量センサ回路15を含むICチップ100(半導体装置)としては、以下の第1及び第2の電極パッド、コンデンサ、容量回路、及び判定回路を有するものであれば良い。
【0298】
つまり第1及び第2の電極パッド(P3、P2)は、環境変化に応じて静電容量が変化するセンサーコンデンサ(50)の第1及び第2の電極(W1、W2)を夫々外部接続する為の電極パッドである。
【0299】
コンデンサ(CX)は、自身の一対の電極のうちの一方の電極が第1の電極パッドに接続されている。容量回路(CAP20)は、基準静電容量を有する。
【0300】
判定回路(JC)は、第1及び第2の中継端子(CIN0、CIN1)を含み、この第1の中継端子(CIN0)から充電電流を送出してコンデンサ(CX)の一対の電極のうちの他方の電極に供給すると共に、第2の中継端子(CIN1)から充電電流を送出して容量回路(CAP20)に供給する。そして、引き続き判定回路(JC)は、第1の中継端子(CIN0)の電位と第2の中継端子(CIN1)の電位との大きさを比較しその比較結果に基づきセンサーコンデンサ(50)の静電容量が変化したか否かを検出する。
【符号の説明】
【0301】
15 容量センサ回路
50 センサーコンデンサ
CAL キャリブレーション回路
CAP10 容量回路
CAP20 容量回路
CAP30 容量回路
CX 付加コンデンサ
JC 判定回路
P0~P3 電極パッド
SW 切替回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18